異次元緩和で株価が上がる理由


日銀は、物価の安定を図ることを理念に、世の中に出回っているお金の量を調整するための様々な金融政策を実施しています。お金の量を増やす政策を金融緩和といい、お金の量を減らす政策を金融引き締めといいます。
金融政策には、主に政策金利の調整と量的緩和の2つがあり、政策金利は、金融機関の間でお金の貸し借りを行う際の短期金利(無担保コール翌日物金利)を上下させる政策で、主に金融機関が資金調達に要するコストなどで変動する変動金利型の住宅ローンなどに影響を与えます。
インフレが急激に加速して、国民の生活が苦しくなった時は、日銀はこの政策金利を引き上げて、一時的にお金の量を減らすことで景気を冷やして過熱しているインフレを抑えにかかることがあります。
1973年に産油国が原油価格を引き上げたことにより起きたオイルショックでは、急激なインフレを抑えるために日銀が公定歩合(のちの政策金利)を引き上げることで対応しました。
その後、円高進行にあわせて日銀は公定歩合を引き下げ、バブル景気に突入します。
しかし土地や株式の資産価格が実際の価値をはるかに超えて膨れ上がってしまったため、総量規制の導入と公定歩合の引き下げを行いました。
1990年ごろバブルが崩壊し、地価と株価の暴落にあわせて景気も悪くなっていきました。
日銀は、景気刺激策として政策金利の引き下げを繰り返して、2000年ごろには政策金利がほぼゼロ(ゼロ金利政策)となりました。

2001年以降は、政策金利に代わる金融緩和策として世界で初めて量的緩和が日本で実施されました。量的緩和は、金融機関が保有している国債を日銀が買い取って、市中に出回るお金の量を増やす金融政策のことをいいます。
日銀が国債を買い取って、国債の流通量が減ると、需要と供給の関係から国債の価格が上がり、国債の金利が下がります。 国債を買いたい人が多ければ、金利を下げても国債を買ってくれる人がいるだろうという理屈で、国債市場が動きます。
国債の金利は、固定金利型の住宅ローンなど長期金利に影響を与えていますので、金利が下がると、不動産などの高額な商品を買いやすくなったり、企業が設備投資をしやすくなるなど、景気にはプラスの方向に働きます。

異次元緩和は、日銀の黒田総裁のもと2013年4月にはじまった金融緩和政策です。従来の量的緩和とは量的および質的に次元が異なる金融緩和と発表しています。国債などを買い入れてマネタリーベース(現金と民間金融機関が保有する中央銀行預け金の合計)を今後2年間で2倍に増加させ、インフレ率2%を目標に資金供給量を拡大しデフレ脱却を狙うとしました。
この異次元緩和は、 別名「黒田バズーカ砲」とも言われています。
さらに2014年10月31日に、日銀は金融政策決定会合において、大幅な追加金融緩和を決定。マネタリーベースを年間で約80兆円増加するペースで資産(長期国債を年間約80兆円、ETFを同約3兆円、J-REITを同約900億円を)買い入れるとしました。

異次元緩和と追加緩和が実施された後の日経平均株価と為替(ドル円)の推移は以下の通りです。縦軸(左):株価 縦軸(右):ドル円
円が大量に出回ることで、円の価値が下がって円安が進行。
日本は、輸送用機器やエレクトロニクス、機械など製品を海外に輸出している企業が多いため、海外で円製品を安く売ることができるこれらの企業には追い風となります
また日本株は海外投資家の割合が多いので、円安になると海外の投資家はドルベースの日本株を割安に買えるようになることから、日本株に買いが集まりやすく、株高が進行しやすくなります。

異次元緩和以降の株価と為替の動き



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