J-REITと金利の関係


リートの価格変動要因のひとつに金利の変動があります。リートは資金を集める際、銀行から融資を受けたり、投資法人債を発行して集めることがあるため、金利が高いとコストがかさみ業績に影響を与えることがあります。
金利は、お金を貸したい人と借りたい人の資金需要で変化します。借り手が多く貸し手が少ない場合は金利が上昇し、貸し手が多く借り手が少ないときは金利が下落します。
景気がいいときは消費が伸びるので、企業は生産能力を高めるための設備投資を行います。このときに資金需要が増えるため金利が上昇します。
反対に景気が悪いときは物価が下がり金利も下落します。景気がいいときは物価が上がり金利が上がる、景気が悪いときは物価が下がり金利が下がる。景気と物価と金利の間にはこのような関係があります。
リートの価格は日銀の金利政策によって動くことがありますが、2016年9月12日の日銀の金融政策決定会合で、10年物国債の金利がゼロ%程度になるように国債などを買い入れるイールドカーブコントロールという金融政策を実施してから、金利はほとんど動かなくなりました。
では、米国の金利政策で、金利が上がれば日本の金利はどうなるかというと、米国の金利が上がったからと言って、日本の金利に対して直接的な影響はありません。多少の連動は見られますが、日本の金利はイールドカーブコントロールによって±ゼロになるよう調整されていますので、大きな変動は見られません。

ただしドル建ての米国債がかわれてドル高になると、相対的に円が安くなります。円安になれば輸入コストが上がりますので、日本で悪いインフレが起こる可能性もあります。
このようなインフレを抑制するために、日銀が金利の引き上げを行う可能性はあり得ますが、円高になると輸出企業の業績に悪影響を与えて景気が悪くなってしまうこともありますので、金利の引き上げは簡単には行うことが難しいといった現状もあります。
したがって、米国金利が多少上がっても、J-REITの業績への影響は、ほとんどないと考えられます。

逆に思惑でろうばい売りが殺到して、J-REITの価格が下がった時は、分配金を目的とした長期投資においては、なるべく安い時に買うのが一番よいので、絶好の買い時ともいえます。

事例:長期金利の代表的な指標である10年物国債の推移を下記(赤色の折れ線グラフ)で示し、東証REIT指数のローソク足チャート(青)をその下に示しました。平成28年(2016年)前後で金利が下落しているときには、東証リート指数の価格が上昇しています。

10年物国債の金利推移

東証REIT指数の推移

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