証券取引所が、有価証券報告書の虚偽記載や、公認会計士による不適正意見、上場契約違反などにより上場廃止の恐れが発生したものの、審査の結果、影響が大きくなく上場廃止にするほどではないが、企業の内部管理体制は改善しなければならないと判断した場合、その銘柄は「特設注意市場銘柄」に指定されます。 本制度は2007年11月に新設されました。
その後、特設注意市場銘柄に指定をされた企業は内部管理体制確認書を、指定から1年を経過するごとに提出して改善状況を説明し、問題なしと判断されば指定が解除されます。内部管理体制確認書を３回提出してもなお内部管理体制に問題があると判断された場合、上場廃止となり整理銘柄へ移行します。
特設注意市場銘柄の指定を受けた場合でもその銘柄の株式を売買することは可能ですが、上場廃止のリスクがあるため企業の動向には注意が必要です。
事例
ディー・ディー・エス（DDS） (3782) 東証グロース 2023年8月3日上場廃止
指定日:2022年9月29日
不適切な会計処理を行っていた
アジャイルメディア・ネットワーク (6573) 東証グロース
指定日:2022年6月16日 解除日:2023年8月30日 期間:440日
架空売上を計上していたこと、取締役ＣＦＯが新規上場前から継続して不正な資金流出を行っていたことなど判明
Ｅｄｕｌａｂ（エデュラボ） (4427) 東証グロース
指定日:2022年4月1日 解除日:2023年5月20日 期間:414日
取引先との共同事業において事業損失引当金が不適切に計上され、同社関連会社に対する売上が過大計上されれいたこと、連結範囲の調整も不適切だったこと、自社所有のソフトウェアに関連する取引やメール配信取引において売上の前倒し計上が行われていたことなどが判明
テラ (2191) 東証スタンダード 2022年8月22日上場廃止
指定日:2021年10月14日 解除日:2023年5月20日 期間:583日
2020年5月14日以降、新事業に関連するメキシコでの臨床試験の実在性が確認できない、2020年8月26日に発表された株式譲渡契約に関連するプロメテウス・バイオテック株式会社の存在が確認できない、同社はメキシコの薬事申請と承認に関する情報を提供していましたが、実際にはそのような制度が存在しないことが判明
アジア開発キャピタル (9318) 東証スタンダード 2023年4月28日上場廃止
指定日:2021年8月7日 解除日:2023年5月20日 期間:651日
蓄電池の売買取引において、実際には納品は行われず、お金のやりとりだけ行われていたことが判明
ハイアス・アンド・カンパニー (6192) 東証グロース
指定日:2020年11月27日 解除日:2022年7月28日 期間:608日
第一商品 (8746) 東証スタンダード
指定日:2020年7月11日 解除日:2022年4月1日 期間:629日
長年にわたり代表取締役らが貸付金と未収入金債権の回収を偽装し、不正な財務報告を行っていたことが判明
五洋インテックス (7519) JQスタンダード 2021年7月21日上場廃止
指定日:2020年3月12日 解除日:2022年4月1日 期間:750日
四半期報告書の法的提出期限までに、四半期レビューの重要な要点である継続企業の前提に関する資料を会計監査人に提出しなかったなど
ユー・エム・シー・エレクトロニクス (6615) 東証プライム
指定日:2019年12月19日 解除日:2021年4月29日 期間:497日
売上及び在庫の水増し、費用の繰延等の多種多様な手法により、利益を過大に計上する不適切な会計処理が、継続的かつ組織的に行われていたことが判明
ナイス (8089) 東証スタンダード
指定日:2019年9月20日 解除日:2020年12月19日 期間:456日
多数の非連結子会社の中から好調な業績のものを選び、連結決算で利益を過大に計上、2015年には不正な不動産取引による虚偽の売上と利益を計上していたことが判明
日本フォームサービス (7869) JQスタンダード 2021年4月23日上場廃止
指定日:2019年8月8日 解除日:2020年12月19日 期間:499日
経常損失の計上を回避するために、売上の前倒し、売上原価や営業費用の繰延べによって、利益を過大に計上するなどの不適切な会計処理が継続的に行われていたことが判明
東芝(6502) 指定日:2015/9/15 東証第一部 損失の先送り等の不正会計が行われていた
アイセイ薬局(3170) 指定日:2015/4/1 JQスタンダード 2015/1/30 不適切な会計処理に関する第三者委員会の調査報告書を開示
ＳＪＩ(2315) 指定日:2015/2/25 JQスタンダード 前代表取締役社長が同社資金を不正に社外流出、ギャンブル性の高い資金運用を行いそれを自己の借入金の返済に充当するなど。