アイ・グリッド・ソリューションズ(603a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
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アイ・グリッド・ソリューションズ(603a)の株価チャート アイ・グリッド・ソリューションズ(603a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

使用するエネルギーを旧来の化石燃料から太陽光発電等の“グリーンエネルギー”に転換することで、企業活動や社会の在り方を変革し、温室効果ガスの排出量を削減しつつも、新たな競争力を生み、成長を実現する取り組みは「グリーントランスフォーメーション」(以下、「GX」という。)と呼ばれており、日本の2050年カーボンニュートラルの実現に向け、社会全体が向き合うべき重要なコンセプトです。

アイ・グリッド・ソリューションズは、「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」をビジョンに掲げ、以下の4つのアングルから、再エネの導入拡大等によるGX推進に取り組んでおります。

 

再エネを「創り・使う」:主に商業施設等を対象として、屋根上に太陽光発電設備(以下、「オンサイトソーラー」という。)を設置し、オンサイトソーラーが生み出す再エネで当該施設の電力需要の一部を賄い、脱炭素化の促進と電力コストの安定化を実現

再エネを「制御する」 :オンサイトソーラーと合わせて蓄電池も設置、日中に発電した再エネを蓄え、オンサイトソーラーが発電しない時間帯に使用する「タイムシフト」等による再エネの余すことない活用やBCP対応等、施設の多面的な機能強化を実現

再エネを「送る」   :オンサイトソーラーが発電する電力のうち、施設が消費しきれない余剰電力を活用し、グリーンエネルギーを需要家へ供給

再エネを「繋ぐ」   :他社開発再エネ発電所の生み出す再エネもアイ・グリッド・ソリューションズの需要家ネットワークと繋ぎ、一層の再エネ活用を促進

 

アイ・グリッド・ソリューションズにおけるGX推進の最大の特徴は、上記のように再エネの創出、活用、供給を統合的に実現し得ている点です。この根幹を成すのは、アイ・グリッド・ソリューションズの顧客である多数の電力需要家層、分散発電所であるオンサイトソーラーのネットワーク、そして、電力需給を最適化し両者を結びつけるテクノロジーであり、この「フィジカル(需要家・発電所)」と「デジタル(テクノロジー)」の融合したアイ・グリッド・ソリューションズ独自のAIプラットフォーム、「R.E.A.L. New Energy Platform」にアイ・グリッド・ソリューションズの強みは集約されております。また、このプラットフォームは、余剰電力の活用という事業上の大きな特徴の基礎ともなっており、これらのコアコンピタンスに立脚して巨大なスケールでGX推進に挑んでいるアイ・グリッド・ソリューションズは、「GXプラットフォーマー」と自認しており、脱炭素化の推進という社会的意義の大きい事業の発展に邁進しております。アイ・グリッド・ソリューションズの事業セグメントは、「GXソリューション事業」及び「エナジートレーディング事業」の2つから成ります。

以下では、これら2つの事業セグメントと、両セグメントを横断し、アイ・グリッド・ソリューションズ固有の付加価値の源泉となっている「R.E.A.L. New Energy Platform」の技術要素について説明します。

 

(1)GXソリューション事業

① 概要

固定価格買取制度(以下、「FIT」という。)といった補助金制度を前提としない法人顧客向けの中小型オンサイトソーラーソリューションがGXソリューション事業の中核的なプロダクトであり、これは屋根面積が概ね1,000m2程度以上の商業施設等を対象に中小型のオンサイトソーラーを設置するものです。オンサイトソーラー所有権の帰属主体には様々な形態がありますが、設置施設のオーナー又はテナントとオンサイトソーラー所有者との間でPPAを締結し、これに基づき設置施設のオーナー又はテナントはオンサイトソーラーが発電する電力のうち、自らの消費分を買電します。また、施設におけるより効率的な再エネ活用を実現するために、オンサイトソーラーに、蓄電池やEV充電器を組み合わせて展開することも行っており、これらを通じて、再エネを創り・制御することがGXソリューション事業の内容であります。

 

アイ・グリッド・ソリューションズは施設の屋根に設置する非FITのPPA型オンサイトソーラーの設置規模と運用において、2026年3月末時点で全国1,410施設、総容量約357MWの開発実績を有しております。

また、この開発実績のうち、太陽光発電設備の所有権がアイ・グリッド・ソリューションズ以外(アイ・グリッド・ソリューションズが協業する提携先等)での実績も2026年3月末時点で全国344施設、総容量約103MWとなっており、自社保有・他者保有合わせ、一般にオンサイトPPA(電力需要家(顧客)の初期負担ゼロで発電事業者がオンサイトソーラーを設置し、発電電力のうち顧客消費分を顧客へ売電するもの)と呼ばれるこの分野での開発実績において、アイ・グリッド・ソリューションズは大きなプレゼンスを有していると自負しております。

 

② 特徴

GXソリューション事業のサービス及び事業としての特徴は下記のとおりであります。

1.オンサイトソーラーから生じた余剰電力も活用可能

アイ・グリッド・ソリューションズの設置するオンサイトソーラーは、設置施設で使い切れない余剰電力(施設で蓄電をする場合もありますが、その場合は蓄電した上でも使いきれない電力)の発生時に、これをアイ・グリッド・ソリューションズが集約、電源として他需要家に供給できるという特徴を備えており、アイ・グリッド・ソリューションズではこれを「余剰電力循環スキーム」と呼称しております。

一般的なオンサイトソーラーでは余剰電力が発生した時、蓄電池等が併設されていなければ、これを活用することは不可能であり、余剰電力が生じたからといって簡単に売電できる訳でもないため、オンサイトソーラーの設置容量を制限する等によって、余剰電力が発生しないように調整を行っております。本スキームは、アイ・グリッド・ソリューションズが開発したAIによって需要家の電力消費量及び余剰電力の発生量を高い精度で推計できることが技術的な基礎となっており、加えて、アイ・グリッド・ソリューションズ自身が小売電気事業者として余剰電力を再エネ電源として活用できる、すなわちエナジートレーディング事業にて需要家に供給する再エネの一部をGXソリューション事業の活動から獲得できるという背景があります。余剰電力の活用により、より効率的に再エネを活用することが可能になり、GXの一層効果的な推進が実現されます。

 

2.余剰電力の活用によって屋根面積を最大限活用したオンサイトソーラーが設置可能

一般的なPPA型オンサイトソーラーでは余剰電力を活用する術がないため、投資効率の観点で、屋根面積に関わらず想定される自家消費電力量を上限にオンサイトソーラーの設置容量を決定することが一般的ですが、アイ・グリッド・ソリューションズの設置するオンサイトソーラーでは、自家消費分を上回る余剰電力まで余すことなく活用できるため、施設の屋根面積を最大限に活用して自家消費量を超える電力を生み出す規模のオンサイトソーラーを設置し、再エネの大きな創出・施設への安価な再エネの供給に寄与することが可能となります。

 

3.FIT制度を使わずとも経済的に成り立ち、かつ、様々な比較優位性を有す

アイ・グリッド・ソリューションズはオンサイトソーラーの設置に当たりFIT制度を活用しておらず、FIT制度の補助金に依らずとも経済的に成立する持続可能性の高い事業モデルを実現しております。これは、従来型のFIT制度等の政策に依拠した運営事業・再エネビジネスとは異なる点であります。

アイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトソーラーはFIT制度を利用したメガソーラーに対して様々な比較優位性があります。商業施設等の屋根上に設置されるため、開発時の環境破壊は生じず、設置可能場所が極端に制限されることもありません。また、FIT制度利用に際して発生する「再エネ賦課金」という国民の経済的負担も生じない他、発電された電力の売電先が送配電事業者に固定化されており、政策に依拠した売電以外には収益を上げることが難しいFIT制度利用の場合と異なり、PPA締結の相手方である企業・自治体等の需要家と直接契約関係にあるため、売電に加えて蓄電池やEV充電等のソリューションと組み合わせて提供することもできます。更には、土地造成が不要で制度上の申請期間もFIT制度利用時に比べ短期間で済むことから、完工までの期間が格段に短く、アイ・グリッド・ソリューションズでは常に複数案件の開発を同時に手掛けており、概ね1営業日に発電所ひとつを上回るペースで完工しております。これらの観点から、FIT制度を利用する場合に比べ、環境・経済合理性いずれの観点からも発展的なアプローチであると考えております。

 

4.導入施設は初期費用ゼロで導入メリットが大きい

アイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトソーラーは、売電の顧客となる導入施設のオーナー又はテナントに初期費用ゼロで導入いただいております。顧客企業の観点から見ると、初期投資ゼロで太陽光発電設備を導入して脱炭素化を推進できる、長期にわたる電力コスト変動リスクの一定の軽減が可能となる、電気料金の軽減が可能となる等のメリットを享受できることから、導入メリットの大きいサービスとなっております。

このように訴求力があるサービスであることから、アイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトソーラーは、施設面積が比較的大きく日中の電気使用量が大きい等、導入メリットが大きい各地の商業施設で多数導入頂いており、例えば、アイ・グリッド・ソリューションズが営業上得意とする業種であるGMS(General Merchandise Store:総合スーパー)及びスーパーマーケットでは、2026年3月末時点で、東証プライム上場企業18社中、11社に導入頂いております。また、2026年3月末時点で、全業種におけるPPA累計契約社数は389社となっております。

 

5.特定の開発案件に大きく業績を左右されることがなく、安定的な事業成長が可能

巨額の投資を伴う大型再エネ発電所の開発では、特定の開発案件の成否が大きな事業上のリスクとなるのが一般的ですが、アイ・グリッド・ソリューションズでは常時多数の中小型発電所開発を手掛けており、特定の開発案件の成否にアイ・グリッド・ソリューションズ全体の業績が左右されることはありません。2026年3月末時点で、アイ・グリッド・ソリューションズは373件の契約済オンサイトソーラー開発案件を抱えており、常時多数の開発案件を抱えていることに加えて、案件の地域的分散も相まって、安定的に事業成長を追求することができます。

 

③ サービスの具体的な展開パターン

GXソリューション事業のサービス展開は、オンサイトソーラーや蓄電池、EV充電器等、設備所有主体の違いに応じて、大要下記3つのパターンに分類されます。

 

a.設備がアイ・グリッド・ソリューションズに帰属する「PPAサービス」

各種設備がアイ・グリッド・ソリューションズに帰属するスキームを「PPAサービス」と呼称しており、これはアイ・グリッド・ソリューションズの初期投資負担によってオンサイトソーラーや蓄電池等を開発し、これら設備はアイ・グリッド・ソリューションズに帰属します。この結果、これら設備から生じる売電収入等の収益はアイ・グリッド・ソリューションズが享受いたします。「PPAサービス」の中心的なサービスであるオンサイトソーラーにおいて、アイ・グリッド・ソリューションズと本サービスの顧客である施設のオーナー又はテナントとの間で締結するPPAの基本的な契約期間は20年間であり、なおかつ、2025年6月末時点で、これまでPPAを締結したオンサイトソーラーで解約や顧客の倒産等に至った事例は極めて限定的であることから、「PPAサービス」はアイ・グリッド・ソリューションズが長期にわたり安定的に、売上総利益率(2025年6月期実績で39.2%)の高いキャッシュ・フローを獲得できるスキームであります。

 

b.設備が第三者企業に帰属する「インテグレーションサービス」

第三者企業に設備が帰属するスキームを「インテグレーションサービス」と呼称しており、これは第三者企業の初期投資負担によってオンサイトソーラーや蓄電池、EV充電器を設置し、これら設備は当該第三者企業に帰属します。基本的には、当該第三者企業とは設備導入施設のオーナー又はテナントであります。

「インテグレーションサービス」では、PPAの締結主体とならないアイ・グリッド・ソリューションズは売電収入を得ない代わりに、主に第三者企業の設備導入時に商材としてのオンサイトソーラーや蓄電池等の機器調達、開発管理を中心とする手数料を一括で受領し、その他も必要に応じてO&M( Operation and Maintenance / 当該設備等の運用、保守・メンテナンス)や余剰電力の買取等のPPA事業に必要な各種機能を提供することでランニングでの手数料も受領いたします。

 

c.設備がアライアンスパートナー等に帰属する「アライアンスソリューション」

アライアンスパートナー等に設備が帰属するスキームを「アライアンスソリューション」と呼称しております。上記のa.「PPAサービス」及びb.「インテグレーションサービス」は、アイ・グリッド・ソリューションズが事業主体となり直接オーナー又はテナントへサービスを提供するスキームであることに対し、「アライアンスソリューション」は、事業会社や金融機関、自治体等とパートナーシップを結び、フランチャイズ展開的に事業を行うスキームです。パートナーシップの形態として、ジョイントベンチャー(以下、「JV」という。)を設立する場合としない場合とがありますが、いずれの場合も、設備はJV又はパートナーに帰属し、設備投資もJV又はパートナーの資金負担によって行われます。アイ・グリッド・ソリューションズは、案件開発時にノウハウ提供等に基づく開発報酬を一括で獲得し、案件開発後においてもAM( Asset Management / 当該設備資産の管理)/O&M、余剰電力の買取等の各種機能提供を通じてストック収入を継続的に確保できます。

「アライアンスソリューション」における開発の進み方には、①アイ・グリッド・ソリューションズが営業を行い、アイ・グリッド・ソリューションズ資産としてオンサイトソーラーを開発し、完工後にJV又はパートナーに譲渡する場合と、②JV又はパートナーが営業を行い、当初からJV又はパートナーの資産として開発が開始され、アイ・グリッド・ソリューションズはその開発を受託する場合とがあります。いずれも、完工時に譲渡収入又はノウハウ提供等による開発報酬として、アイ・グリッド・ソリューションズはフロー収入として一括で収益を獲得できるとともに、完工後もAM/O&Mや余剰電力の買取等の各種機能提供を通じて、ストック収入を継続的に獲得できます。①の「アセット譲渡型スキーム」においては、アイ・グリッド・ソリューションズが営業を担うことから譲渡時により大きなフロー収入を獲得できるとともに、譲渡後もAM/O&Mや余剰電力の買取等の各種機能提供を通じて、ストック収入を継続的に獲得できます。また、「PPAサービス」に対する位置づけとしては、アイ・グリッド・ソリューションズの営業力を活かしつつも、アイ・グリッド・ソリューションズ自身の借入余力に依存せずパートナー資金による開発が可能になります。

 

「アライアンスソリューション」では、アイ・グリッド・ソリューションズは商材としてのオンサイトソーラーやPPA事業に必要な機能を提供、パートナーは資金調達や資産の保有を担います。また、需要家のソーシング・獲得に関しては、「アセット譲渡型スキーム」では主としてアイ・グリッド・ソリューションズが、上記②の「開発受託型スキーム」では主としてパートナーが担っております。このように、アイ・グリッド・ソリューションズが蓄積してきたノウハウと、パートナーがもつ資金調達力や地域ネットワークを組み合わせることにより、業種を問わずアイ・グリッド・ソリューションズ単独ではアクセスしがたい地域企業施設も含めた、良質なオンサイトソーラー案件をスピーディーに獲得することを目指しています。

 

以上のように、GXソリューション事業で提供する各種ソリューションの設備及びそこから生み出される収益がアイ・グリッド・ソリューションズに帰属しない「インテグレーションサービス」及び「アライアンスソリューション」は、「PPAサービス」の場合にアイ・グリッド・ソリューションズが獲得する長期安定的なストック収益ではなく、オンサイトソーラー等の導入時にアイ・グリッド・ソリューションズが一括で収入を得るフロー収益により重きを置いたスキームとなっております。「PPAサービス」と比較して、アイ・グリッド・ソリューションズでの収益認識、キャッシュ・フロー獲得、いずれもが前倒しされ、アイ・グリッド・ソリューションズの設備投資負担が軽減されることも相まって、財務的負担を抑制しつつ、大きな事業成長とアイ・グリッド・ソリューションズ全体における利益の向上を追求できるスキームとなっております。パートナー等で資金調達や資産の保有を行いつつ、アイ・グリッド・ソリューションズとパートナー等双方の顧客基盤を活用しながらオンサイトソーラーの開発を加速することで、アイ・グリッド・ソリューションズとしてはB/Sへの影響を抑えながらアセットライトな形での事業拡大を進め、収益性及び資本効率を更に高めていくことを目指しております。

なお、「インテグレーションサービス」、「アライアンスソリューション」を通じて設置されるオンサイトソーラーは、「PPAサービス」で設置される設備と同一の仕様であり、それらオンサイトソーラーから生じる余剰電力はアイ・グリッド・ソリューションズが資産の所有者から購入して集約し、活用することができるものであります。「インテグレーションサービス」、「アライアンスソリューション」を通じて、アイ・グリッド・ソリューションズの財務的余力を制約とせずにオンサイトソーラーの導入を大きく加速することによって、アイ・グリッド・ソリューションズが活用できる再エネ/余剰電力の総量も、一層増大いたします。

 

「アライアンスソリューション」イメージ(JVを設立する場合の例示)

 

 

なお、オンサイトソーラーに蓄電池やEV充電器、空調制御等の様々な機能を付加し、統合的にサービス提供するソリューションは「GX Store」(流通小売企業向け)又は「GX Logistics」(物流企業向け)というサービス名で「インテグレーションサービス」のスキームにて顧客へ提供しております。

例えば、蓄電池をオンサイトソーラーに組み合わせた場合、日中に生み出された再エネのうち、自家消費に充当されなかった余剰電力を、蓄電池を通じて夜間へタイムシフトさせることにより、施設における再エネ利用量(再エネ自給率)を一層増大させることができます。その他、電力使用量の多い時間に蓄電池から放電することで電力系統からの買電量を減らす(ピークカット)ことにより、電力系統から購入する電力料金を低減させることも可能となります。

 

蓄電池を活用したタイムシフト及びピークカットのイメージ

 

また、蓄電池容量を超えて余剰電力が発生する場合には、顧客企業の保有施設のうち、PPAを導入していない施設へも余剰電力を融通することで、複数施設間での再エネ利用量の増大も実現されます。本サービスの活用により、施設のGXに加えオンサイトソーラーが生み出す電力や蓄電池に蓄えられた電力が災害時の事業継続を可能にする他、当該施設が近隣住民のライフラインとして災害レジリエンス拠点化する等、脱炭素化に留まらない、いわば「エネルギーのハブ拠点化」ともいうべき多面的な機能強化のメリットを享受することが可能となります。

GXソリューション事業における蓄電池、EV充電器等の展開方法としては、新規顧客に対する販売に加え、既に単体でオンサイトソーラーを設置済みの既存顧客に対する追加のサービスとしてアップセルすることも営業上重視しております。

 

(2)エナジートレーディング事業

アイ・グリッド・ソリューションズのエナジートレーディング事業では、「特別高圧」・「高圧」・「低圧」という全ての電圧区分で、「法人」・「家庭」と幅広い需要家に対して電力小売を行っており、オンサイトソーラーから生み出された再エネの一部を実質CO2排出量ゼロ(再生可能エネルギー由来の環境価値を組み合わせることで、再生可能エネルギー比率100%かつCO2排出量ゼロの電気の供給を実質的に実現するもの)の電力プランとして供給する等、環境に優しいエネルギーの供給に力を注いでおります。

さらに2025年7月からは、GXソリューション事業で生み出された太陽光電力を活用した新サービス「循環型電力」を開始いたしました。「循環型電力」は、屋根上・駐車場などに設置した太陽光発電設備から自家消費分を超えて生み出された余剰電力を集約し、地域内の他施設等へ長期にわたって供給する電力シェアリングサービスです。これにより、構造上の理由や賃貸条件などで太陽光パネルの設置が困難な施設に対しても、「設置工事不要」「最短2か月」で再エネ導入を可能とし、企業や地域における脱炭素化を力強く後押しします。

エナジートレーディング事業の大きな特徴は、GXソリューション事業において創出された余剰電力を集約し、電力供給において再エネの安定的な調達源として活用できるという点にあります。GXソリューション事業がアイ・グリッド・ソリューションズ事業全体の中で「再エネを創り、制御する」機能を果たしているのに対し、エナジートレーディング事業は創り・制御した再エネも含め電力を「送る」・「繋ぐ」という機能を果たしております。

エナジートレーディング事業としては、GXソリューション事業から生み出された再エネを電源の一部として活用することで、再エネを志向する需要家へ供給できるというメリットを享受している一方、GXソリューション事業としては、エナジートレーディング事業を通じて余剰電力を他の需要家へ供給するというオペレーションが展開できることで、施設の屋根面積を最大限に活用して自家消費量を超える余剰電力を生み出す規模のオンサイトソーラーを設置し、再エネの大きな創出に寄与することが可能となっております。加えて、エナジートレーディング事業が生み出した収益の一部はオンサイトソーラーの新設に活用されております。このように 、エナジートレーディング事業とGXソリューション事業は相互に不可分な重要な機能を果たし、大きなシナジーを生んでおります。

 

エナジートレーディング事業で供給する電力のうち、一部は一般社団法人日本卸電力取引所(以下、「JEPX」という。)等から調達しております。2021年10月から2023年2月にかけてのJEPXスポット価格高騰の影響を受け、電力調達コストが2倍近く上昇(アイ・グリッド・ソリューションズ2022年6月期実績10.53円/kWh、2023年6月期実績19.21円/kWh)する状態が見られたことから、アイ・グリッド・ソリューションズは2023年1月に電気需給約款及び電気供給約款(低圧)を改定し、顧客への電力供給において、アイ・グリッド・ソリューションズが調達する電源に占めるJEPXからのスポット電源調達相当分に関しては、JEPXスポット価格に連動して各月の電力料金を設定するモデルを採用いたしました。なお、発電事業者から電源の一定量を相対で調達することで、JEPXからの調達量を抑制しており、今後もこのオペレーションを継続する方針であります。これらにより、電源調達コスト変動の影響は限定的となり、及び電源の安定的な調達を実現し、エナジートレーディング事業の採算安定化を実現しております。また、今後の事業展開に伴い、GXソリューション事業を通じてアイ・グリッド・ソリューションズが活用できる余剰電力量が更に増大すると、アイ・グリッド・ソリューションズがJEPX経由、及び相対で調達する電力量が減少するため、エナジートレーディング事業顧客への供給価格安定化にも繋がります。

 

(3)それぞれの事業を支える固有のAIプラットフォーム「R.E.A.L. New Energy Platform」の技術的優位性

GXソリューション事業で生まれる余剰電力を他施設へ融通するには、送配電網を介して電力を流す必要があります。その際、アイ・グリッド・ソリューションズのような電力事業者は地域ごと・30分単位で翌日の供給予定量を送配電事業者に事前通告しなければならず、実際の供給量との差分が生じると、その分に応じた「インバランス料金」というペナルティを支払う必要があります。このため、余剰電力を需要家へ供給するためには、発生する余剰電力、つまり送配電網に流す電力量を精緻に見積もることが不可欠です。

アイ・グリッド・ソリューションズがオンサイトソーラーを設置する施設は2026年3月末時点で1,400以上あり、規模、日照条件や電力需要パターンなどはそれぞれ異なります。加えて天候などの要因も刻々と変化するため、全施設の需要・発電量・余剰電力量をリアルタイムかつ個別に予測することは極めて困難であって、人間の力はもちろん、固定的なアルゴリズムではこの複雑な計算は解決できません。この技術的課題を解消するのがアイ・グリッド・ソリューションズ独自のAIプラットフォーム「R.E.A.L. New Energy Platform」であると考えております。

「R.E.A.L. New Energy Platform」は各施設・設備に設置されたエッジ端末とAIモデルで構成されています。エッジ端末が様々な機器から発電量や使用量等をリアルタイムで収集し、施設ごとに別個に割り当てられたAIモデルがこれらデータ等を用いて需要と発電量の予測を行います。学習初期のモデルは類似条件で稼働する他のAIモデルから支援を受けながら精度を高めていきます。

また、円滑な事業運営に繋げるべく、「R.E.A.L. New Energy Platform」に集約される様々なデータを活用するアプリケーションの開発も行っております。予測データを活用した送配電事業者に通告する余剰計画の作成や各施設の太陽光発電状況監視、収支管理、請求書作成等を行う業務アプリケーション、各施設データの可視化やダウンロード、蓄電池や空調の制御機能を提供する顧客向けアプリケーションなど、利用シーンや利用者に応じて適切な機能を提供する多様なアプリケーションが同一プラットフォーム上で実用化されております。

このように多数のAIモデルの力を活用する「R.E.A.L. New Energy Platform」によって、複雑な余剰電力量の精緻な予測が可能となり、余剰電力循環スキームが実現しています。「R.E.A.L. New Energy Platform」のAIはアイ・グリッド・ソリューションズが過去約20年間に亘り、8,000以上の施設で蓄積した電力使用量のビッグデータと省エネSaaSを展開してきたノウハウを基礎に開発されており、日々進化を続けています。膨大な知見に裏打ちされたこのプラットフォームは、他社による模倣が困難なアイ・グリッド・ソリューションズ固有の技術的優位性であると認識しております。

 

[事業系統図]

 以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

 

 


有価証券届出書の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

アイ・グリッド・ソリューションズの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてアイ・グリッド・ソリューションズが判断したものであります。

 

(1)アイ・グリッド・ソリューションズの経営方針及び経営環境

脱炭素化に向けた取り組み強化は国際的な潮流であり、国際エネルギー機関(IEA: International Energy Agency)が2025年2月に公表した報告書(Electricity 2025)によると、世界全体の再エネ供給量が2025年には石炭火力発電を上回り、特に年間発電電力量が2024年に2,000TWhに達した太陽光発電は今後3年間で毎年約600TWhずつの増加が見込まれています。また、日本においても2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民を挙げて脱炭素化に向けた取り組みが進められており、国土交通省発行の国土交通白書2022によると脱炭素化の関連領域市場は成長しております。企業や自治体等が発電事業者から再エネを長期にわたり購入する契約は一般にコーポレートPPAと呼ばれますが、脱炭素化に向けた取り組みとしてコーポレートPPAの活用は国内外で主流になりつつあります。コーポレートPPAの中でも、都市部の地理的制約から屋根上にオンサイトソーラーを設置することの優位性が大きい日本において、施設屋根に設置するPPA型オンサイトソーラーの設置規模は今後も大きく伸び続けると考えております。この大きなトレンドの中、余剰電力も含めた活用や、蓄電池を含む各種ソリューションの統合的提供等の比較優位性をもとに、アイ・グリッド・ソリューションズは大きく事業を伸ばしており、太陽光オンサイトPPAの領域において、大きなプレゼンスを有していると自負しております。

規制、企業・自治体のニーズ、技術的な挑戦・発展等、脱炭素をめぐる環境は日々目まぐるしく変化しますが、「変化より、はやく」をキーワードに、アイ・グリッド・ソリューションズはイノベーションをいち早く具現化し、アイ・グリッド・ソリューションズビジョンである「グリーンエネルギーがめぐる世界の実現」に向けた社会のあゆみを後押しすべく、社会的インパクトのある事業発展を追求しております。

 

アイ・グリッド・ソリューションズは事業遂行において、下記の3点を重視しております。

 

①.環境負荷を伴わない脱炭素化

FIT制度を活用したメガソーラー開発において、大規模な森林伐採や景観の破壊等、脱炭素の名のもとに環境負荷を伴う開発が行われている事例が散見されました。

一方で、アイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトソーラーは開発時の環境負荷を伴わないため、樹木の伐採を行うことなく、350MW以上もの太陽光発電設備の開発を成し遂げてきました。また大規模な土地造成が前提となるメガソーラー等の開発で適地が大幅に制約されるのとは対照的に、オンサイトソーラーは日本中の多くの屋根が設置対象となり得ます。

 

②.多数分散した再エネ電源を集約した価値創造

多数分散した中小型再エネ発電所を束ね、ひとつの発電所のように需要家に電力を融通する次世代電力ネットワークはVPP(Virtual Power Plant)と呼ばれます。VPPはGXの強力な推進手段であるのみならず、巨大発電所を中心とするシステムのデメリットである(ⅰ)発電所が被災した際に電力供給が機能不全に陥るリスク、(ⅱ)送電ロスの発生、(ⅲ)大規模送電網の整備が必要、等の解消にも資するものであります。

様々なメリットをもつ、この次世代電力供給スキームの活用加速が期待されますが、VPP実現には電力需給バランスの高度な最適化を含むテクノロジーが必要であり、これが技術的なハードルとなっておりました。アイ・グリッド・ソリューションズはまさにこれを可能とする技術を有していることに加え、2026年3月末時点で設置した全国約1,400施設、約350MW超の大規模なオンサイトソーラー群と、これらを統合的に制御し、生まれる再エネを総計約1万拠点に及ぶ需要家層に繋いでいる実績を有しており、VPP構築を通じて、社会のGX推進に大きなブレークスルーを起こすケイパビリティを有していると自認しております。

 

③.再エネの地産地消と、再エネ自給率の向上

地域・都市で生み出される再エネを、オンサイトソーラー設置施設で消費するだけでなく、その余剰電力を域内で融通し合って消費すること、いわば「再エネの地産地消」は、発電量をコントロールできない不安定な電源である再エネの余すことない効率的な活用を可能にします。更に、再エネの地産地消は再エネで地域・都市の電力自給率を高めることにも繋がり、電力調達それ自体、及び電力調達コストの安定性確保を通じ、地域・都市のサステナビリティ向上にも資すると考えております。余剰電力も含めた活用が大きな特徴のひとつであるアイ・グリッド・ソリューションズソリューションの展開を通じて、地域・都市における再エネの地産地消、及び再エネ自給率の向上を追求してまいります。

なお、アイ・グリッド・ソリューションズのサービス名等に使われている「R.E.A.L.」とはRenewable(再生可能エネルギー)、Economical(経済性)、Aggregate(集約)、Local(地域循環)の頭文字をとった造語であり、アイ・グリッド・ソリューションズのビジョンを体現する下記の思いが込められています。

 

ⅰ.環境を破壊しない再エネ:メガソーラー等のように開発時の環境負荷を伴うものではなく、自然を破壊しない再エネの開発へコミット(Renewable

ⅱ.経済的な価格:FIT制度を活用せずとも経済的に成立する事業モデルでありながら、リーズナブルな価格で再エネを供給(Economical

ⅲ.分散したオンサイトソーラーの余剰電力を集約:多数分散したオンサイトソーラーをテクノロジーの力で繋ぎ、生み出される電力を集約。巨大発電所を中心とする電力システムよりも災害に強く無駄のない、オンサイトソーラー網が電力を融通し合う電力供給システムを構築(Aggregate

ⅳ.地域での再生可能エネルギーの循環:オンサイトソーラーで作られた電力を、消費しきれなかった余剰分も地域で循環させ「地産地消」することで、余すことなくグリーンエネルギーの導入・活用を促進(Local

 

(2)経営戦略

再エネを生み出し、蓄え、そして循環的に活用する、「R.E.A.L. New Energy Platform」によって統合される一連のアイ・グリッド・ソリューションズサービスを通じて、「GXプラットフォーマー」として大きな社会的意義を伴う事業発展を追求するために、下記の戦略を遂行します。なお、下記戦略は「第1 企業の概況 3.事業の内容」に記載しているアイ・グリッド・ソリューションズ事業の特徴や各サービスの内容を前提としております。

 

① オンサイトソーラーの展開拡大を通じたGXソリューション事業の一層の強化

アイ・グリッド・ソリューションズではGXソリューション事業を成長ドライバーと位置づけ、リソースを重点的に配分しております。GXソリューション事業の一層の強化のため、引き続きオンサイトソーラーの導入拡大を追求してまいります。メガソーラーのように適地の制約がないオンサイトソーラーは商業施設等の屋根上の多く、更には、今後はカーポートも潜在的な設置場所になりうるため、大きな設置可能場所ポテンシャルがあります。

市場の高い成長性に加え、初期投資なく脱炭素化を推進可能であり、余剰電力も活用可能というアイ・グリッド・ソリューションズが展開するオンサイトソーラーの顧客に対する強い訴求力も相まって、アイ・グリッド・ソリューションズサービスは一層強力な展開が可能と考えております。

「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」で設置されたPPAを伴うオンサイトソーラーの累積容量について、100MWを超えた2022年12月に比し、2025年6月末にはその約3倍という高いペースで成長を続けております。また、アイ・グリッド・ソリューションズサービスを統合制御するプラットフォームである「R.E.A.L. New Energy Platform」のデバイスは2026年3月末時点で約1,740拠点の施設に導入をいただいております。

今後も、オンサイトソーラーの展開拡大を通じ、GXソリューション事業の強力な成長を追求してまいります。

 2026年3月末時点 点が発電所の所在地を示す

 

② パートナーと連携したGXソリューション事業成長の追求

株主や事業パートナー、自治体等と連携し、GXソリューション事業の展開を加速いたします。

筆頭株主であり事業上の重要なパートナーでもある伊藤忠商事株式会社とは、同社の全国取引先ネットワークを活用した営業及び太陽光パネル・蓄電池等の資材調達を含め、既に幅広いシナジーを発揮しており、今後も連携を継続する方針であります。

また、「アライアンスソリューション」においては、事業会社や金融機関、自治体等と連携し、アイ・グリッド・ソリューションズのノウハウを活かした各地域でのオンサイトソーラーの導入拡大を追求しております。具体的な提携事例として、2023年2月以降、アイ・グリッド・ソリューションズが公表している事案だけでもJA三井リース株式会社、農林中央金庫、株式会社栃木銀行、株式会社ちゅうぎんエナジー、鈴与商事株式会社、東急不動産株式会社、三菱UFJ信託銀行株式会社等と「アライアンスソリューション」を通じた連携を行っております。脱炭素化に向けた社会的責任を果たすためPPA型太陽光発電事業に参入を望む企業は少なからずあり、今後もこのような連携を強化する方針であります。

加えて、GX推進ニーズを抱えている自治体は全国に少なからずあります。「R.E.A.L. New Energy Platform」にて統合されるアイ・グリッド・ソリューションズの一連のサービスは、自治体のGX推進ニーズを正面から捉えるものであり、またアイ・グリッド・ソリューションズとしても、「R.E.A.L. New Energy Platform」をもってこのようなニーズに応えていくことは、アイ・グリッド・ソリューションズが経営上重視する、再エネの地産地消と、再エネ自給率の向上という考え方とも合致するものであります。アイ・グリッド・ソリューションズとしては積極的にこのような自治体と連携し、「R.E.A.L. New Energy Platform」のネットワークを拡大する機会を追求いたします。

 

③ ストック型とフロー型、バランスのとれた収益基盤を追求

オンサイトソーラー等の設置に係る初期投資がアイ・グリッド・ソリューションズの資金で賄われ、設備の所有権がアイ・グリッド・ソリューションズに帰属する「PPAサービス」は、アイ・グリッド・ソリューションズの投資基準(投資効率や収益性)を満たした当該設備の生み出す約20年間(オンサイトソーラーの場合)にわたる長期安定的なキャッシュ・フローをアイ・グリッド・ソリューションズが全て取り込み、予見性の高い収益を繰り返し獲得するストック型収益重視の事業スキームであります。また、エナジートレーディング事業を通じた電力供給も、特に低圧家庭セグメントにおいては、契約の切り替えが頻繁に生じないストック性の高い収益となっております。これに対しGXソリューション事業の「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」では、案件開発時に一括で開発報酬等を得るフロー型収益重視の事業モデルとなっております。

長期安定的な将来キャッシュ・フロー基盤を厚くするストック型のモデルと、資本効率高く利益とキャッシュ・フローを早期に獲得するフロー型のモデル、双方の適正なバランスがとれた収益基盤の更なる強化を追求いたします。これら両輪で発電設備の開発・販売や運営・保守を積み上げており、収益額及び収益性を拡大させています。

 

④ アイ・グリッド・ソリューションズが活用できる再エネ電力量の最大化を通じた、利益成長の追求

アイ・グリッド・ソリューションズが供給できる再エネ電力量が増大することは、アイ・グリッド・ソリューションズの一層の利益成長に繋がります。現時点では、「PPAサービス」でアイ・グリッド・ソリューションズがPPAを締結しているオンサイトソーラー導入施設の電力需要のうち、一部しか再エネで満たせておりませんが、今後、アイ・グリッド・ソリューションズが扱う再エネの総量が増大しこれら施設により多くの再エネを供給することができれば、現顧客基盤だけでも追加的な利益創出機会があると認識しております。この他、エナジートレーディング事業においても顧客により多くの環境にやさしいエネルギーを供給することが可能となり、アイ・グリッド・ソリューションズの一層の事業成長への貢献が期待されます。

アイ・グリッド・ソリューションズが活用できる再エネ電力量を増大させるために、オンサイトソーラーの導入数を増加させることで、アイ・グリッド・ソリューションズが集約する余剰電力量を増大させることが可能となります。また、アイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトソーラー以外の多数分散した外部再エネ発電所をもアイ・グリッド・ソリューションズの抱える需要家層と繋ぐ技術を有すアイ・グリッド・ソリューションズは、これらの技術を活用し、アイ・グリッド・ソリューションズの設置したオンサイトソーラーだけでなく外部発電所由来の再エネもアイ・グリッド・ソリューションズの需要家基盤に繋ぎ、再エネを供給することができます。オンサイトPPAのアイ・グリッド・ソリューションズ既存顧客にはより多くの再エネを供給する余地があり、外部発電所からの再エネを繋ぎ、アイ・グリッド・ソリューションズが取り扱う再エネ総量が増えることで、これら顧客へより多くの再エネを供給できます。

一般的に事業用太陽光の発電コスト(10.9円/kWh)に対して、その他再エネ電源である洋上風力(30.9円/kWh)やバイオマス(32.9円/kWh)※1は太陽光と比較すると高価ですが、外部の高単価再エネもアイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトソーラーと組み合わせることで加重平均し、顧客へ導入しやすい単価での再エネ導入を進めています。

既存顧客からの収益機会の増加に、この先の更なる顧客数の増加も掛け合わせ、更なる利益成長を追求いたします。

※1:経済産業省 第5回発電コスト検証ワーキンググループ 令和6年12月16日資料

 

⑤ アイ・グリッド・ソリューションズが提唱する事業構想、「GX City」の実現に向けた社会の後押し

自然を破壊せずに開発された地域の再エネ発電所で作られた電力を当該地域で消費する、再エネの地産地消を通じて、地域の再エネ自給率を高めながら脱炭素化を実現し、更にレジリエンス強化や経済活性化等も実現する理想的な地域・都市の在り方として「GX City」というコンセプトをアイ・グリッド・ソリューションズは提唱しております。「GX City」は、環境への負荷をかけずに脱炭素化を推進するのみならず、地域・都市の再エネ自給率向上を通じて、震災の多い日本において様々なリスクを伴う巨大発電所への一極依存からの脱却にも資する等、社会的意義が大きいとアイ・グリッド・ソリューションズでは分析しております。

下記のような事業展開のステップにより、アイ・グリッド・ソリューションズとしては「GX City」の実現に向けた社会の発展に貢献できると考えております。

ステップ1:「PPAサービス」のみならず、アイ・グリッド・ソリューションズの財務余力を制約としない展開が可能となる「アライアンスソリューション」や「インテグレーションサービス」も活用し、自然を破壊せず、余剰電力も活用可能な多数分散したオンサイトソーラーを大規模に展開

ステップ2:「R.E.A.L. New Energy Platform」でオンサイトソーラーとともに統合的にコントロールされる蓄電池、EV充電器等を導入することで、地域・都市において、より一層効率的かつ効果的な再エネ活用を促進

ステップ3:多数の需要家と分散した発電設備との需給バランスを最適化して「繋ぐ」というアイ・グリッド・ソリューションズのテクノロジーを活用し、アイ・グリッド・ソリューションズのオンサイトソーラーのみならず他社開発の再エネ発電所も需要家に繋ぎ、再エネが循環する地域・都市を実現

「GX City」はGXソリューション事業、エナジートレーディング事業双方のソリューションを動員し、いわばアイ・グリッド・ソリューションズが有す全ての機能や技術の高度な融合として実現されるものです。GXソリューション事業、エナジートレーディング事業、各個の事業セグメント単位での成長を超えた、事業の発展を追求してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

   アイ・グリッド・ソリューションズでは、以下の点を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として掲げております。

① オンサイトソーラー累計開発容量(MW)及び累計開発件数(件)

アイ・グリッド・ソリューションズが資産として保有する「PPAサービス」にて稼働済みのオンサイトソーラー発電容量・開発件数、及び「アライアンスソリューション」等にてアイ・グリッド・ソリューションズが開発し稼働させたオンサイトソーラーの発電容量・開発件数、更にはそれらの合計は、オンサイトソーラーのサービス展開状況を直接に表す重要KPIと位置付けております。

 

② 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」契約済容量(MW)及び契約済案件数(件)

開発容量が完工済みの発電容量を示すのに対し、着工を前提に契約がなされたその時々の完工前の契約容量(契約済容量)及び契約済案件数合計は開発容量の増大を測る先行指数として、重視しております。契約締結後に設置環境の要件不適合等の理由で開発が停止されるものも一定数あり、それを勘案しつつモニタリングしております。

 

③ GXソリューション事業のフロー収益

GXソリューション事業の成長状況をモニタリングするための重要KPIとして、「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益をフロー収益として集計し、注視しております。なお、この指標にはO&M等の継続的な収益は含んでおりません。

 

④ 電力販売量(億kWh)

アイ・グリッド・ソリューションズとして志向するGXソリューション事業とエナジートレーディング事業のシナジー最大化に資する電力販売量の量的コントロールの前提として、注視しております。

 

⑤ 売上総利益

アイ・グリッド・ソリューションズ全体の売上総利益額の成長を、利益創出を伴う成長を測る重要指標として重視しております。アイ・グリッド・ソリューションズはGXソリューション事業を成長ドライバーと位置付けており、2025年6月期においてはGXソリューション事業の構成比がエナジートレーディング事業を上回っており、2026年6月期以降も同傾向を見込んでおります。

 

⑥ EBITDA

アイ・グリッド・ソリューションズは、「PPAサービス」におけるオンサイトソーラー等の設備並びに「R.E.A.L. New Energy Platform」に係るシステム強化や追加機能開発等、多額の設備投資を実施しております。この結果、減価償却費が多額に計上されていることから、よりキャッシュ・フローの創出実態に近い指標をモニタリングする観点で、EBITDAを経営指標として重視しております。

 各指標の推移は以下のとおりであります。なお、以下表及び注記に記載の2022年6月期、2023年6月期及び2024年6月期の数値につきましては連結の数値を記載しており、2025年6月期の数値につきましては単体の数値を記載しております。

 

2022年

6月期

2023年

6月期

2024年

6月期

2025年

6月期

① オンサイトソーラー累計開発容量

GXソリューション事業計 ※1

(MW)

81

136

234

321

 内、PPAサービス

(MW)

81

134

207

243

 内、アライアンスソリューション ※2

(MW)

18

57

① オンサイトソーラー累計開発件数

GXソリューション事業計 ※1

(件)

390

614

973

1,259

 内、PPAサービス

(件)

390

610

892

1,030

 内、アライアンスソリューション ※2

(件)

64

193

② 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び

  「アライアンスソリューション」契約済容量 ※3

(MW)

88

178

② 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び

  「アライアンスソリューション」契約済案件数 ※3

(件)

303

396

③ フロー収益

  ※4

GXソリューション事業計

(百万円)

152

1,291

1,891

 内、アライアンスソリューション ※2

(百万円)

20

459

1,033

 内、インテグレーションサービス ※2

(百万円)

132

825

858

  (参考)新規導入件数

(件)

6

20

26

④ 電力販売量 ※5

(億kWh)

8.9

6.3

5.0

4.4

⑤ 売上総利益 ※6

(百万円)

2,478

3,814

4,459

6,059

⑥ EBITDA ※7

(百万円)

436

2,561

3,515

5,059

※1 アイ・グリッド・ソリューションズが開発・稼働に関わったオンサイトソーラーの合計としての累計開発容量・件数であります。

※2 「アライアンスソリューション」は、2023年6月期より開始しております。

※3 開発予定パイプラインとしての「PPAサービス」及び「アライアンスソリューション」契約済案件数及び契約済容量は2024年6月期末より集計を開始しているため、2022年6月期及び2023年6月期の数字は記載しておりません。

※4 「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。

※5 エナジートレーディング事業における、各事業年度1年間の電力販売量。

※6 2022年6月期から2025年6月期のセグメント別売上高、セグメント別売上総利益、及び営業利益、経常利益、当期純利益は次のとおりであります。なお、セグメント別売上総利益及び2022年6月期、2023年6月期の数値につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

<セグメント別売上高>                                (単位:百万円)

 

GXソリューション事業

エナジートレーディング事業

調整額

売上高

2022年6月期

1,571

18,371

△8

19,934

2023年6月期

2,860

20,086

△61

22,885

2024年6月期

5,861

16,827

△123

22,566

2025年6月期

8,920

14,219

△200

22,939

※セグメント売上高の調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る売上であります。

※GXソリューション事業の売上高の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

アライアンスフロー

インテグレーション

フロー

PPA及びその他

GXソリューション事業

2022年6月期

1,571

1,571

2023年6月期

20

394

2,445

2,860

2024年6月期

1,400

1,600

2,861

5,861

2025年6月期

3,602

1,508

3,809

8,920

※アライアンスフロー売上高とは、「アライアンスソリューション」の導入時に一括して計上する売上高を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。

 

※インテグレーションフロー売上高とは、「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上高を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。

※PPA及びその他売上高とは、GXソリューション事業売上高から、アライアンスフロー売上高及びインテグレーションフロー売上高を差し引いた額であります。

 

<セグメント別売上総利益>                              (単位:百万円)

 

GXソリューション事業

エナジートレーディング事業

調整額

売上総利益

2022年6月期

526

1,952

2,478

2023年6月期

906

2,907

3,814

2024年6月期

2,042

2,416

4,459

2025年6月期

3,240

2,818

6,059

※セグメント売上総利益の調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る利益であります。

※GXソリューション事業の売上総利益の内訳は次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

アライアンス

フロー

インテグレーション

フロー

PPA及びその他

GXソリューション事業

2022年6月期

526

526

2023年6月期

20

132

754

906

2024年6月期

459

825

757

2,042

2025年6月期

1,033

858

1,349

3,240

※アライアンスフロー売上総利益とは、「アライアンスソリューション」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。

※インテグレーションフロー売上総利益とは、「インテグレーションサービス」の導入時に一括して計上する売上総利益を集計した指標であり、O&M等の継続的な収益は含んでおりません。

※PPA及びその他売上総利益とは、GXソリューション事業売上総利益から、アライアンスフロー売上総利益及びインテグレーションフロー売上総利益を差し引いた額であります。

 

  <営業利益、経常利益、当期純利益>                (単位:百万円)

 

営業利益

経常利益

当期純利益

2022年6月期

△233

△491

△581

2023年6月期

1,549

811

1,348

2024年6月期

1,948

1,327

867

2025年6月期

3,139

2,389

1,595

※2022年6月期、2023年6月期、2024年6月期の当期純利益欄に記載の数値につきましては、連結財務諸表の親会社株主に帰属する当期純利益を記載しております。

 

※7 EBITDAの計算方法は次のとおりであります。

   EBITDA=営業利益+減価償却費(売上原価・販管費)+のれん償却費

   なお、EBITDAにつきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

   2022年6月期から2025年6月期のセグメント別EBITDAは次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

GXソリューション事業

エナジートレーディング事業

調整額

EBITDA

2022年6月期

534

436

△534

436

2023年6月期

1,228

1,941

△608

2,561

2024年6月期

2,547

1,753

△786

3,515

2025年6月期

3,647

2,407

△994

5,059

 

※セグメントEBITDAの調整額は、セグメント間取引消去と報告セグメントに配分していない主に管理部門等に係る費用であります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

アイ・グリッド・ソリューションズでは、以下の点を優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として掲げております。

 

① アイ・グリッド・ソリューションズの財務キャパシティに捉われないオンサイトソーラーの展開強化

各種設備がアイ・グリッド・ソリューションズに帰属する「PPAサービス」のスキームではアイ・グリッド・ソリューションズの初期投資負担が必要であるため、アイ・グリッド・ソリューションズの財務キャパシティが事業拡大の制約となる可能性があることを課題として認識しております。

これに対して、アイ・グリッド・ソリューションズでは2023年6月期より、他社に設備が帰属する「インテグレーションサービス」を展開しております。本スキームでは設備導入施設のオーナー又はテナントを主とする第三者企業の初期投資負担によってオンサイトソーラーや蓄電池等の設備を設置するため、アイ・グリッド・ソリューションズの財務キャパシティを制約とすることなく事業拡大が可能となります。

加えて、アイ・グリッド・ソリューションズでは同時期にオンサイトソーラーの「アライアンスソリューション」も開始し、事業会社や各地域の金融機関等のアライアンスパートナーとの連携を拡大しております。本スキームはアライアンスパートナーによって設備投資を行うソリューションであるため、同様にアイ・グリッド・ソリューションズの財務キャパシティを制約とすることなくオンサイトソーラー設置拠点数の増大が可能です。外部環境としても、環境省が推進する脱炭素先行地域の事例に代表されるように自治体や地域金融機関がオンサイトソーラーのPPAによるGXを計画し始めていることに加え、GXへの取り組みに積極的な企業も増えている中で、GXソリューション事業の成長を追求しているアイ・グリッド・ソリューションズとそれら自治体や企業等が連携することは、相互にメリットが大きいと認識しております。

 

② 財務基盤の強化と資金調達手段の多角化

各種設備がアイ・グリッド・ソリューションズに帰属する「PPAサービス」のスキームにおける初期投資負担に対して、アイ・グリッド・ソリューションズではその原資として多額の協調融資を受けてまいりました。今後も「PPAサービス」の展開を追求するにあたり銀行借入は適切な範囲で活用する方針であるため、借入余力の確保は重要な課題として認識しております。

コーポレート・ガバナンス体制やコンプライアンス体制をはじめとした経営基盤の強化と、そうした信用力も前提とした財務体質の強化により安定的な資金調達を目指してまいります。同時に、リースの活用や、プロジェクトのキャッシュ・フローを裏付けとしたプロジェクトファイナンスやプロジェクトボンド等、資金調達手段の一層の多角化も重要な課題として取り組んでまいります。

 

③ 開発キャパシティの向上

GXソリューション事業の成長を実現する上では、開発キャパシティの拡充は重要な課題であると認識しております。

これに対して、営業・発電所開発・システム開発等、スキルの異なる様々な人的リソースの拡充を図っており、アイ・グリッド・ソリューションズの認知度向上や採用体制の充実を伴う採用強化に取り組んでおります。また、工事会社の工数確保に取り組むとともに、ノウハウの蓄積等による開発工数の削減やテクノロジーの活用等を通じた、生産性の向上を伴う開発キャパシティの拡充に取り組んでまいります。

 

④ GXソリューション事業の利益創出力強化

アイ・グリッド・ソリューションズの利益創出力に関して、GXソリューション事業の寄与が大きいため、GXソリューション事業の安定的な拡大は重要な課題であると認識しております。

営業面では、新規顧客のみならず既存の顧客基盤を活かしたアップセルの追求によって利益創出力の強化に注力いたします。GXソリューション事業では蓄電池、EV充電器といった各種ソリューションを、オンサイトソーラーと統合的に制御される付加的なサービスとして提供しておりますが、これらはオンサイトソーラーのみを導入された既存顧客に対する追加サービスとして事後的に導入することも可能であることが営業上の利点であると認識しております。2026年3月末現在、オンサイトソーラーのみを導入頂いている施設数は約1,400施設あり、これら既存の顧客基盤へのアップセルの機会を積極的に追求してまいります。

また、各スキームにおいて、販売面では適正な価格戦略を追求するとともに、コスト面では「PPAサービス」、「アライアンスソリューション」及び「インテグレーションサービス」を並行して活用しながら事業拡大を行うことで、太陽光パネルや蓄電池等の資材の大量ロット発注によるコスト低減を図るべく、各取引先との連携を強めながら取り組んでまいります。

 

⑤ エナジートレーディング事業の収益安定化

資源価格の高騰や電力需給のひっ迫等を要因に、電力の市場価格(JEPX価格)はボラティリティが高まることがあり、エナジートレーディング事業における電力の最適な調達については重要な課題であると認識しております。

 過去、アイ・グリッド・ソリューションズでは大部分の電源調達を電力会社との相対契約とすることでJEPX価格の上昇リスクをヘッジしていた経緯もありましたが、逆にJEPX価格が低下する局面においては相対的に割高な電力調達を行うこととなるため、想定以上の顧客の離脱等によってエナジートレーディング事業から獲得する売上総利益が減少する場合も想定されます。このため、現時点においては、一定量の電源についてはJEPXからの電力調達を行い、JEPX調達相当分を顧客への供給単価へ連動させる「調整項」を適用する対応を行っております。2023年1月に供給約款を変更しており、2023年4月から調整項を実導入いたしました。これにより、JEPX価格のボラティリティがエナジートレーディング事業の売上総利益に与える影響を抑制しております。

また、アイ・グリッド・ソリューションズではGXソリューション事業の拡大とともに電源調達に占める再エネ比率を高めていくことを目指しており、この方針を採ることで、JEPX価格が大幅に変動しうる環境下にあっても、電源調達費用の安定化に取り組んでまいります。

 

⑥ 内部管理体制の強化

アイ・グリッド・ソリューションズは、急速な事業環境の変化に適応して今後も継続的に成長していくためには、内部管理体制の強化が重要であると認識しております。

このため、事業規模の拡大・成長に合わせてコーポレート機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。また、財務報告の適正性の確保、情報セキュリティの向上、個人情報の保護、リスク管理等の内部統制及びコンプライアンス体制につきまして、より実効性の高い体制となるよう必要な適材適所の人材配置等を進めることで、各機能の充実を図ってまいります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がアイ・グリッド・ソリューションズの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。アイ・グリッド・ソリューションズは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、アイ・グリッド・ソリューションズ株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、アイ・グリッド・ソリューションズにおけるリスク管理の体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」における「②企業統治に関する事項及び当該体制を採用する理由 g.リスク管理・コンプライアンス委員会」及び「④リスク管理体制の整備の状況」をご参照ください。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてアイ・グリッド・ソリューションズが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業及び事業環境に関するリスク

① 出力制御リスク

 太陽光発電や風力発電といった発電出力が気候の影響を受ける自然変動電源においては、電力需給バランスを保ち電力供給の安定化を図ること、及び電源が送電容量制約を超過しないよう抑制することを目的とし、運転開始後における無制限・無補償の出力制御を受け入れることが系統への接続要件となる出力制御ルールを拡充する制度改定が2015年1月に行われました。

 アイ・グリッド・ソリューションズの発電所は出力制御を受けない自家消費施設が全体の約66%(発電容量ベース、2026年3月末時点)を占めており、FIT制度を利用して送配電網を通じて全量を売電するメガソーラーと比較して、出力制御リスクを抑えた形の事業構造となっております。一方で出力制御の対象となる余剰電力施設の開発数も伸びており、当該施設については出力制御を受けることにより、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、アイ・グリッド・ソリューションズの発電所は流通小売施設等、周辺に電力需要があるエリアに多く分布していることから、こちらについても電力需要が少ないエリアにある土地型のメガソーラーと比較して出力制御の影響を受けにくい形となっていることと、再生可能エネルギーの発電が石炭火力等より優先されるように送電線混雑時の系統利用ルールの見直しが進められており、2022年12月から再給電方式(調整電源の活用)が導入、2023年12月には、新たな「出力制御対策パッケージ」として、再エネが優先的に活用される制度的な枠組みを措置していくことが示されており、出力制御の影響が低減されることも見込まれております。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、中~長期的に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

② 物価上昇のリスク

 「R.E.A.L. Solar Power」で発電される電力の顧客に対する売電単価は、契約上長期にわたり固定されております。そのため、我が国において長期的な経済状況の変化によって大幅な物価の上昇が生じ、それに合わせて契約上の売電単価が改定されない場合には、屋根上ソーラーの運営に係る収支のバランスが損なわれる可能性があります。GXソリューション事業においては、長期固定の売電収入ではなく、太陽光発電所の開発受託や発電所譲渡によるフロー収益により重きをおいたアライアンスソリューションの展開も進んでおり、アイ・グリッド・ソリューションズにおけるストック収入とフロー収入はより均衡の取れたバランスとなりつつありますが、大幅な物価上昇が生じた場合には、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、顕在化する可能性のある時期は比較的長期と考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

③ 設備や資材の価格上昇及び工事労務費高騰による発電設備開発コストの上昇リスク

 アイ・グリッド・ソリューションズは、太陽光発電設備の設置に関する工事を外部のEPC事業者に依頼しております。当該工事に係る開発コストは、各種資材価格及び工事従事者の労務費動向等の影響を受けますが、アイ・グリッド・ソリューションズでは、資材価格や工事労務費が上昇した場合においても、販売価格への転嫁を前提とした収益管理の仕組み、調達先の分散化、価格高騰リスクが見込まれる資材の先行調達、EPC事業者の受注や稼働状況(人員の余裕を含む)に応じた工期や人員調整等により、開発コストの安定化及び低減に努めております。

 近年は資源価格の変動が大きく、工事に係る人手不足等の影響も受けて一般に資材価格及び工事労務費は上昇傾向にあることに加え、中東情勢の緊迫化等の影響により、これらの価格が想定以上にかつ短期間で高騰することも懸念されるため、開発コストの上昇によって、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、顕在化する時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

④ 法的規制等に起因するリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズの主要な事業は、「R.E.A.L. Solar Power」を軸とするGXソリューション事業と、法人及び家庭への電力小売を軸とするエナジートレーディング事業であり、「電気事業法」、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」、「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」、「地球温暖化対策の推進に関する法律」等の法的規制を受けております。また、これ以外にも「電力の小売営業に関する指針」、「適正な電力取引についての指針」等の法的規制や行政指導以外のガイドラインに基づいた事業活動を行っております。

 将来これらの法令の改正や新たな法令規制、ガイドライン等が制定されアイ・グリッド・ソリューションズの事業に適用された場合には、アイ・グリッド・ソリューションズの事業はその制約を受ける可能性があります。アイ・グリッド・ソリューションズの事業が制約を受けることが見込まれた場合には、法令改正等の内容に基づいて迅速な対応を行う方針ではありますが、法令改正等の内容によってはアイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

⑤ 顧客や施設、EPC事業者側の事由、送配電事業者事由や天候要因、及び設備や資材等の供給が不足し、発電設備の工事スケジュールに遅延等が生じるリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズは、発電設備の設置にあたっては、顧客施設の建物構造計算を実施し、発電設備を屋根上に長期間設置することが構造上問題ないことの検証を行った上で、着工の判断を行っております。かかる検証の結果、顧客施設の構造上、物理的に発電設備を設置することができない場合には、工事を中止せざるを得ない場合があります。

 また、工事には停電を伴う工程があるため、各顧客施設の営業状況を鑑みて多数の施設における工事スケジュールの調整・管理を行っております。工事スケジュールの策定・調整・管理は、複数のEPC事業者と連携のもと、各社の施工キャパシティ(対応可能件数)を踏まえて余裕をもって実施するよう努めておりますが、突発的に生じ得る顧客施設側やEPC事業者側の都合によって、当初スケジュール通りに工事が実施できない場合があります。その他、送配電事業者との系統連系に関する事前申請手続きの状況や、工事期間における天候影響(猛暑や積雪による工程変更等)によって工事スケジュールが延期となる場合があります。

 上述のような事由による工事の中止や延期については、過去の実績等を踏まえ、中止等を勘案するための係数設定や、遅延を勘案するために一定割合で遅延が生じる前提を設定し事業計画に織り込んでおります。なお、こうした事象が発生した場合には、数多ある開発中又は開発予定の他施設における工事の優先順位を引き上げる等の調整によって、全体の工事スケジュールや開発計画の変更リスクを最小限に抑える対策を実施しております。合わせて、EPC事業者の施工キャパシティの余裕を持った確保、EPC事業者との定例開催のミーティングにおける連携・調整等により、突発的な工事時期の調整が生じた場合でも柔軟に対応できる体制の拡充も進めております。

 また、発電設備の調達において、半導体不足によるメーカーの製造遅延や、ヨーロッパ等の需要増に伴う海外メーカー製品の日本市場への供給量減少等に影響を受ける場合があります。

 このため、アイ・グリッド・ソリューションズでは、商社と共同でメーカーに対する発注量の予測提出を行い、資材を商社で先行調達・在庫運用を行うことで資材の納品遅延リスクを最小限に抑える対策を実施しております。しかしながら、仮に工事の中止や延期事例が頻発した場合や、アイ・グリッド・ソリューションズの想定どおりに先行調達等を行うことができなかった場合、先行調達の対象としていない資材の供給が予想に反して不足した場合等には、全体の工事スケジュールや開発計画に大幅な変更が必要になり、アイ・グリッド・ソリューションズの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

⑥ 特定の四半期に収益が偏重するリスク

発電設備の設置にあたって顧客施設の屋根上での工事を行う都合上、地域にもよりますが、猛暑や積雪等の天候影響を受けやすい夏季や冬季においては工事を行いづらい場合があり、これらの時期を避けた第2四半期(10~12月)、第4四半期(4~6月)の新規稼働が比較的多くなる場合があります。これに伴って、特定の四半期に収益が偏重する可能性があり、特に第4四半期(4~6月)、中でも6月に新規稼働を予定していた案件については、雨を含む天候の影響、その他上述「⑤顧客や施設、EPC事業者側の事由、送配電事業者事由や天候要因、及び設備や資材等の供給が不足し、発電施設の工事スケジュールに遅延等が生じるリスク」記載の事由による複合的な要因により、稼働開始が翌事業年度にずれこむ可能性があります。この場合、当該事業年度における稼働件数や売上高計上額と差異が生じ、アイ・グリッド・ソリューションズの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このような天候影響による工事スケジュール調整が個別案件に生じても、上期又は決算期中には完工できるよう、工事会社とは調整を行っていることに加え、数多ある開発中又は開発予定の他施設における工事の優先順位を引き上げる等の調整によって、全体の工事スケジュールや開発計画の変更リスクを最小限に抑える対策を実施しております。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

⑦ 特定の販売先への依存に係るリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズは、「アライアンスソリューション」の「アセット譲渡型スキーム」の拡大を追求していく事業方針であり、本スキームが売上高及び売上総利益に占める比率は、今後高まっていくことを想定しております。

 本スキームは複数のアライアンス先と取り組んでおり、各社との間で中期的な取り組み方針について合意の上、その方針に沿った規模でのアセット譲渡を計画しております。また、特定の販売先への過度な集中を回避するためにも、新規アライアンス先の開拓も引き続き行う予定であります。

 しかしながら、新規アライアンス先の開拓の進捗や、アライアンス各社との取引条件、その他の要因により、特定のアライアンス先向けの販売額や利益がアイ・グリッド・ソリューションズの売上高及び売上総利益に占める割合が上昇する可能性も想定されます。この場合において当該アライアンス先との取り組みの条件変更や、取り組み自体が継続困難になる等の事情が生じた際には、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、販売額が最も大きいアライアンス先は、当事業年度(2025年6月期)においてはTLC VPP合同会社(売上高に占める割合:13.7%)であり、2026年6月期第3四半期累計期間においてはTLC VPP合同会社(売上高に占める割合:21.6%)であります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、中期的に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的大きいと想定しております。

 

⑧ 電力市場価格の変動リスク

 アイ・グリッド・ソリューションズはエナジートレーディング事業において、一部の電力をJEPXより調達しております。燃料価格の高騰等に伴うJEPXでのスポット価格の上昇により、アイ・グリッド・ソリューションズの電源調達価格が上昇した場合に、かかる調達コスト増大分を供給単価に転嫁できるよう、アイ・グリッド・ソリューションズでは2023年1月に電気需給約款及び電気供給約款(低圧)を改定しております。この結果、電力供給の損益自体が逆鞘に陥るリスクは限定的ですが、電源調達及び顧客への電力供給それぞれに係る計上時期や算定期間、支払・入金サイトの兼ね合いで、損益計算書上の売上・原価のバランスやキャッシュ・フロー上の支払額と収受額のバランスが一時的に悪化する可能性があります。また、調達コスト増大分を顧客への供給単価に転嫁することで顧客の離脱に繋がる可能性や、顧客からの信用失墜に繋がる可能性があります。アイ・グリッド・ソリューションズのエナジートレーディング事業においてJEPXからの電源調達依存分は、もとより割合としては限定的になるようコントロールしており、このようなリスクが重大な問題として顕在化する可能性は大きくはなく、また当該事象が発生した場合には、柔軟な資金調達等の対応に努めますが、JEPX価格が異常な高騰を示した場合にはアイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、中期的に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

⑨ インバランス料金の変動リスク

 一般送配電事業託送供給等約款料金算定規則に基づき、需給計画と実際の需給量を30分単位で一致させる義務(計画値同時同量制度)をアイ・グリッド・ソリューションズは負っており、それに過不足(インバランス)が生じた場合、一般送配電事業者との間でインバランス料金の精算が必要になります。アイ・グリッド・ソリューションズではスポット市場並びに時間前市場価格とインバランス価格の動向を確認し、インバランス価格のリスクを評価した上で需給計画を立てており、加えて電力受渡しの1時間前まで取引が可能な時間前取引を活用することで、インバランス発生及びインバランス精算コストの抑制に努めております。

 需給バランスがひっ迫していない平時では、インバランス精算コストの影響は軽微ですが、需給バランスがひっ迫し、スポット価格、インバランス価格が上昇するタイミングにインバランス精算が発生する場合、収益に与える影響が平時よりも大きくなり、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、中期的に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

⑩ 自然災害等に係るリスク

 メガソーラー等の大型発電所の運営者は、自然災害等によって発電所が損害を被った場合に、事業全体として重大な影響を被るリスクを分散できないという問題を抱えておりますが、アイ・グリッド・ソリューションズでは多数の中小型発電所を、全国の幅広い地域で運用しております。従って、発電所が自然災害等により損傷し、アイ・グリッド・ソリューションズの事業全体が深刻な影響を被るリスクは分散されております。また、自然災害による発電設備損害に備え、火災保険、利益保険に全ての発電所が加入しておりますが、特に広範な地域に大きな損害をもたらす大規模災害が生じた場合等においては、長期間にわたる設備の稼働停止や、発電設備の修繕に相応の期間が必要となる等、アイ・グリッド・ソリューションズの事業運営に影響を与える可能性があります。

 アイ・グリッド・ソリューションズは、当該事象が発生した場合には、適切な対応に努めますが、事業への影響を完全に防止又は軽減できない可能性があり、結果として、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

⑪ 天候不順により想定した発電量を確保できないリスク

 太陽光発電における発電量は日射量に大きく依存します。計画策定においては、過去の約17年の日射量実績や季節性を考慮しておりますが、日射量はアイ・グリッド・ソリューションズによるコントロールが及ぶ事象ではございません。アイ・グリッド・ソリューションズでは多数の発電設備を全国の幅広い地域で運用しており、気象状況等に起因する日射量不足のリスクは分散できていると認識しておりますが、日射量の多い春季から秋季にかけての長期間の悪天候、新しい建物の建築等による周辺環境の変化、また、粉じん・黄砂・降灰等による直達光・散乱光の減少、更に冬季にかけての降雪等の様々な要因により、想定した発電量を確保できない可能性があり、このような場合にはアイ・グリッド・ソリューションズの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

⑫ 重大事故の発生リスク

 アイ・グリッド・ソリューションズはGXソリューション事業の開発工事における安全対策や品質管理には万全を期しておりますが、人身や施工物に関わる重大な事故が発生した場合、操業停止、アイ・グリッド・ソリューションズに対する損害賠償請求や信用失墜等に繋がり、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

⑬ 再生可能エネルギーに関する政策変更リスク

 アイ・グリッド・ソリューションズが事業を展開する再生可能エネルギー分野においては、政府による再生可能エネルギー導入拡大のための取り組みが積極的に進められており、世界的に取り組みが加速している気候変動問題への対応として、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」の実現、2021年4月に「2030年度の温室効果ガス排出46%削減(2013年度比)、更に50%削減の高みを目指す」という我が国の目標を表明し、2021年10月の「第6次エネルギー基本計画」及び2025年2月の「第7次エネルギー基本計画」においてその道筋を示しております。

 足元では、2023年2月の「GX実現に向けた基本方針」の閣議決定や続く「GX推進法」「GX脱炭素電源法」の成立に代表されるように、上記のような政策目標や脱炭素化に向けた国際的潮流を背景に再生可能エネルギーの導入が後押しされており、アイ・グリッド・ソリューションズを取り巻く経営環境は経営戦略の遂行上、大きな追い風になっていると認識しております。かかる状況は今後も継続するものと見込んでおりますが、このような政策に変化が生じた場合には、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。アイ・グリッド・ソリューションズとしては随時政策動向の変化を把握するように努めており、アイ・グリッド・ソリューションズ事業に影響を及ぼす可能性が予見される場合には、迅速な対応を行う方針であります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

⑭ FIT制度において、今後の買取価格の変動、適用年数の変動等が生じた場合のリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズは原則としてFIT制度を活用しない事業を展開しており、今後の当該制度における買取価格の変動、適用年数の変動等の影響を直接受けることはございません。一方で、当該制度からその利用者が得られる経済的メリットが増加する場合は、アイ・グリッド・ソリューションズの太陽光発電所が生み出す再生可能エネルギーの売電価格や、アイ・グリッド・ソリューションズによる再生可能エネルギーの買取価格に影響を与え、この結果、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。ただ、太陽光に関しては既にFIT制度を利用しなくとも経済合理性をもった普及段階に入っており、国民負担の上に成り立つFIT制度について、今後事業者にとっての条件面の優遇を行っていく可能性は少ないと考えております。なお、FIT制度を活用した場合の経済的メリットが減少する場合においては、アイ・グリッド・ソリューションズの事業にとって追い風になる可能性があると認識しております。アイ・グリッド・ソリューションズとしては随時FIT制度に関する最新状況を把握するように努めており、アイ・グリッド・ソリューションズ事業に影響を及ぼす可能性が予見される場合には、迅速な対応を行う方針であります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

⑮ 事業許認可等に関するリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズのエナジートレーディング事業を遂行するにあたっては、電気事業法に基づく小売電気事業者の登録(2015年11月取得)を受けているほか、電力広域的運営推進機関の会員資格(2015年4月取得)及び日本卸電力取引所の取引会員資格(2015年9月取得)を有していることが、主要な事業活動の前提となっております。これらの許認可・登録等については、いずれも有効期間の定めはなく、法令等に定められた要件を継続して充足する限り有効に存続いたします。本書提出日現在において、これらの継続に支障をきたす要因は発生しておりません。一方で、電気事業法に基づく命令若しくは処分への違反により公共の利益を阻害すると認められた場合や、不正の手段による登録、欠格事由への該当等が生じた場合には、小売電気事業者の登録が取り消される可能性があります。また、当該登録が取り消された場合には、電力広域的運営推進機関の会員資格及び日本卸電力取引所の取引会員資格の前提が失われ、これらの資格を喪失し、又は維持できなくなる可能性があります。このような事態が生じた場合には、アイ・グリッド・ソリューションズのエナジートレーディング事業の継続が困難となり、アイ・グリッド・ソリューションズの事業、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は大きいと想定しております。

 

(2)事業の運営体制に関するリスク

① 人材の獲得・育成に係るリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズの継続的な事業拡大には、成長の段階に応じた適切な人材の獲得、育成、維持が重要であると認識しております。採用体制の強化やアイ・グリッド・ソリューションズの知名度向上に伴い、近年はアイ・グリッド・ソリューションズの望む人材の採用が進んでおり、組織体制は着実に強化されております。

 しかしながら、今後の事業展開において、採用市場の影響等を受けてその時々で重要度が高い固有の能力をもった人材を適時に確保できない場合や人材が離職してしまった場合、又は人材育成が計画どおりに進展しない場合には、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。離職防止や人材育成に関しては、人材の管理・育成を担うミドルマネージャー層の育成に注力すべく、体系立てた研修プログラムを導入しております。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、比較的短期に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

② 特定人物への事業運営の依存リスク

 代表取締役社長である秋田智一は、入社以降長年にわたりアイ・グリッド・ソリューションズの事業上重要な役職を務めており、経営方針の決定や事業運営を含め、極めて重要な役割を果たしております。アイ・グリッド・ソリューションズでは、適切な権限委譲を図るための組織整備、社内の人材育成、社外取締役及び社外監査役を含む指名・報酬委員会での取締役の選解任の審議等を行うことによって、特定人物に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により秋田智一の業務遂行が困難になった場合、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

③ 伊藤忠商事株式会社との関係性

 伊藤忠商事株式会社は、本書提出日現在、アイ・グリッド・ソリューションズの議決権の24.7%を保有しているため、アイ・グリッド・ソリューションズのその他の関係会社に該当いたします。同社は、アイ・グリッド・ソリューションズの株主であると同時にアイ・グリッド・ソリューションズとの間で設備や資材等の調達、電力仕入等の関連当事者取引がありますが、取引の合理性及び妥当性は確保し、他の企業との取引条件等の比較等により取引条件の適正性等を確認しております。また、同社とは事業上の競合状況にはなく、相互に事業領域の調整等も生じておりません。

 同社とは、同社の全国取引先ネットワークを活用した営業面及び太陽光パネル・蓄電池等の資材調達面を含め、既に幅広いシナジーを発揮しており、今後も連携を継続する方針でありますが、何らかの理由により今後の連携が困難となった場合には、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、営業チャネルの拡大や発注者として他商流との定期的な条件協議や比較検討を行う事で、そのような場合の事業影響を抑える対策を講じております。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

(3)会社組織の運営体制に関するリスク

① 情報管理に係るリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズは、顧客の個人情報や取引先の機密情報を取扱っており、厳格な情報セキュリティが求められております。これらの情報管理に万全を期するため、管理体制の構築、社内規程の整備、システム上のセキュリティ対策を図るとともに、研修等により役職員の情報管理意識の向上に努めております。

 しかしながら、万一、アイ・グリッド・ソリューションズの故意・過失、又は第三者のサイバー攻撃等により情報漏えいが発生した場合、アイ・グリッド・ソリューションズに対する損害賠償請求や信用失墜等により、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的大きいと想定しております。

 

② システム障害に係るリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズのGXソリューション事業においては、AI・IoT・クラウド等のデジタル技術を活用したサービスを、インターネットを介して提供しております。アイ・グリッド・ソリューションズは安定的なサービスの提供を実現するために、サーバー設備の増強、セキュリティの強化、システム管理体制の構築等により、システム障害に対する万全の備えをしておりますが、大規模なプログラム不良や不正アクセス、その他何らかの要因によりシステム障害やネットワークの切断等予測不能なトラブルが発生した場合には、サービスの継続に支障が生じる可能性がある他、AIによる予測精度に関連して過大なインバランスが発生する等により、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

③ 内部管理体制に係るリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズは、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス及びリスク管理を経営の重要課題のひとつと位置付け、内部統制システムの適切な運用に努め、同システムの充実・強化を継続的に図っております。適切な管理体制のもとで役職員の不正及び不法行為の防止に万全を期しているものの、万が一不正及び不法行為が発生した場合には、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は比較的低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

(4)財務リスク

   ① 負債性資金調達に係るリスク

アイ・グリッド・ソリューションズは、GXソリューション事業における発電設備への投資資金及びエナジートレーディング事業における運転資金等への充当を資金使途として、金融機関からの借入を行っている他、設備投資の一部についてリースを活用しており、2025年6月期末における自己資本比率は15.8%(前連結会計年度末13.7%)、短期借入金や1年内返済予定の長期借入金、リース債務、長期借入金及び長期リース債務の合計が273億円(総資産に占める割合は65.7%)と有利子負債への依存度が高くなっております。有利子負債への依存度低下に向けた施策として、アライアンスソリューションの拡大によりアイ・グリッド・ソリューションズの自己資金負担を抑制しながらのGXソリューション事業の拡大が進んでおります。また今後も有利子負債への一定の依存は継続すると見込んでいるため負債調達の手段の多様化にも取り組んでおり、銀行借入の他、リースの活用、GXソリューション事業から得られるキャッシュ・フローを裏付けとしたプロジェクトファイナンスやプロジェクトボンドの活用等、方法の多様化を絶えず検討しており、適正条件での負債調達に務めております。

一方で、一層有利子負債への依存度が高くなることによる財務体質の悪化や、業績悪化等によるアイ・グリッド・ソリューションズ信用力の低下、金融機関の融資姿勢の変化等によっては今後の資金調達が困難になるリスクがあり、アイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、比較的中期に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

② 金利上昇リスク

 アイ・グリッド・ソリューションズ全体の借入のうち、過半は変動金利を固定金利にスワップしている又は料率が長期固定のリースを活用しているため、市中金利が上昇する局面において、既存借入に係る利払いが大幅に上昇するリスクは概ね抑制されておりますが、新規に調達する借入については金利上昇局面においては、調達コストが増加いたします。資金調達コストの増加分について、アイ・グリッド・ソリューションズの各種サービス提供価格への一定の転嫁は検討しうるものの、極端に金利が上昇した場合や業績悪化等によりアイ・グリッド・ソリューションズの信用力が低下した場合には、利払い負担の増加によりアイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、比較的短期に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は中程度と想定しております。

 

③ 財務制限条項への抵触リスク

 アイ・グリッド・ソリューションズの資金調達に係る契約には財務制限条項が付されている契約が多くあり、当事業年度以降においては経常利益及び当期純利益の計上を見込んでいることから財務制限条項へ抵触するリスクは低いと判断しているものの、財務制限条項へ抵触した場合には、資金調達先の請求により期限の利益を喪失し、アイ・グリッド・ソリューションズの財政状態及びキャッシュ・フローに重大な影響を与える可能性があります。当該財務制限条項は、「第5 経理の状況 2.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 貸借対照表関係 ※6 財務制限条項」に記載しております。なお、株式会社みずほ銀行とのコミットメントライン契約(契約日2022年11月29日)、株式会社みなと銀行とのコベナンツ付融資に関する特約書(契約日2019年11月29日)に関して2022年6月期決算において財務制限条項に抵触した事例(いずれも経常損益黒字維持という条件への抵触)がありますが、各金融機関に対して当該抵触の内容及び発生要因、今後の業績見通し等について適時適切に説明するとともに、継続的な協議及びコミュニケーションを行った結果、いずれの金融機関からも債務の弁済は求められておりません。引続き財務制限条項へ抵触することのないようアイ・グリッド・ソリューションズ事業の収益性確保を着実に行いながら、金融機関との関係の維持・強化にも努めることで、仮に財務制限条項へ抵触する事態が生じた場合においてもリスク低減を図りたいと考えております。

 当該リスクが顕在化する可能性は低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的大きいと想定しております。

 

④ 売掛債権管理上のリスク

 アイ・グリッド・ソリューションズでは法人・個人を含む幅広い顧客に対し売上債権を有していますが、取引先ごとに売上債権の回収状況・滞留状況のチェックを行い、社内規程に従い管理しております。滞留債権の発生防止に努め、一定の基準により引当処理をしておりますが、予期せぬ事態により債権回収に支障が生じた場合はアイ・グリッド・ソリューションズの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

⑤ 新株予約権による希薄化リスク

 アイ・グリッド・ソリューションズは、役職員等の業績向上に対する意欲や士気向上のため、ストック・オプション制度を採用しております。本書提出日現在、ストック・オプションによる潜在株式総数は4,390,000株であり、発行済株式総数の13.7%に相当しております。これらのストック・オプションが行使された場合、新株式が発行され、株式価値が希薄化する可能性があります。

 当該リスクが顕在化する可能性は中程度と想定しており、中~長期的に顕在化する可能性もあると考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。

 

⑥ 配当政策について

 アイ・グリッド・ソリューションズは現在、成長過程にあると認識しており、将来の事業展開に向けた設備投資や財務体質強化を重視する観点から、創業以来配当を実施しておりません。将来的には、経営成績及び財政状態を勘案しながら株主への利益配分を検討いたしますが、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であり、また、事業環境の変化などによりこの配当政策を変更する可能性があります。

当該リスクが顕在化する可能性は低いと想定しており、顕在化する可能性のある時期の特定は難しいと考えております。また、顕在化した場合のアイ・グリッド・ソリューションズ業績への影響度は比較的小さいと想定しております。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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