サカタのタネ(1377)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】サカタのタネグループ(サカタのタネおよびサカタのタネの関係会社)は、サカタのタネ、子会社37社および関連会社4社により構成されており、園芸商材(野菜種子、花種子、球根、苗木、農園芸資材)の販売業務を営んでおります。事業内容と、サカタのタネおよび関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりです。(1) 国内卸売事業野菜種子、花種子、球根、苗木および農園芸資材等を生産もしくは仕入れ、国内の種苗会社等へ卸販売しております。 (2) 海外卸売事業野菜種子、花種子および苗木等を生産もしくは仕入れ、海外の種苗会社等へ卸販売しております。 (3) 小売事業一般園芸愛好家を対象とした商品を仕入れ、国内のホームセンター向けに販売しているほか、通信販売での販売を行っております。 (4) その他、全社(共通)官公庁・民間向け造園工事の施工・管理、人材派遣業務、研究開発の受託業務を行っております。 事業内容とサカタのタネおよび関係会社の当該事業に係る位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりです。事業区分主な業務内容主要な会社国内卸売事業種苗会社、生産者への農園芸商材の卸売(扱い品目:野菜種子・花種子・球根・苗木)サカタのタネ含む計3社サカタのタネ(連結子会社)㈱サカタ ロジスティックス㈱ブロリード種苗会社、生産者への農園芸商材の卸売(扱い品目:農園芸資材)サカタのタネサカタのタネ種苗会社、生産者への農園芸商材の生産(扱い品目:苗木)計3社(連結子会社)㈱山形セルトップ㈱飛騨セルトップ㈱福岡セルトップ海外卸売事業種苗会社、生産者への農園芸商材の卸売および生産(扱い品目:野菜種子・花種子・苗木)サカタのタネ含む計34社サカタのタネ(連結子会社)Sakata Seed America,Inc.Sakata Vegetables Europe S.A.S.Sakata Ornamentals Europe A/SSakata Seed Sudamerica Ltda.Sakata Seed Chile S.A.Sakata Korea Co.,Ltd.坂田種苗(蘇州)有限公司Sakata Siam Seed Co.,Ltd.Sakata Seed India Pvt Ltd.Sakata Vietnam Co.,Ltd. ほか計30社(関連会社)NewBreed Ltd.Tikal Holding,LLCDomina S.R.L小売事業ホームセンターを通じた園芸愛好家への販売(扱い品目:野菜種子・花種子・球根・苗木・園芸資材)サカタのタネサカタのタネ通信販売(扱い品目:野菜種子・花種子・球根・苗木・園芸資材)サカタのタネサカタのタネその他、全社(共通)造園工事・管理、人材派遣業、研究開発受託業務計3社(連結子会社)㈲サカタテクノサービスサカタのタネ グリーンサービス㈱(関連会社)Genetwister Holding B.V. 以上の企業集団等の状況について事業系統図を示すと次のとおりです。(2026年5月31日現在)
有価証券報告書(2026年5月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 経営方針サカタのタネは、「品質・誠実・奉仕」を社是に掲げ、良質な商品とサービスの提供により世界の人々の生活文化向上に貢献し、世界一の種苗会社を目指すこと、そして顧客、取引先、サカタグループの三者が共に栄える「三者共栄」、社員、経営者、株主は一体であり共に繁栄する「三位一体」、地球上の自然とその自然に内包される社会、そして社会に帰属する企業の持続的な共生を目指す「三層共生」を経営理念として掲げています。サカタのタネは、採算性と財務の健全性を重視する堅実な経営と株主利益の追求によって企業価値の増大に努めます。また、生産者にも消費者にも喜んでいただける「野菜と花の種苗」をいち早く開発するとともに、高品質種子の安定生産と供給を実現することによって、世界の種苗界をリードする種苗会社として躍進することを目指します。 (2) 経営環境及び対処すべき課題サカタのタネグループを取り巻く事業環境は、世界的な食料需要の拡大を背景とした中長期的な市場成長が見込まれる一方、気候変動の進行、地域ごとの生産構造の変化、地政学的リスク、さらには技術革新の加速により、大きな転換期を迎えております。このような環境認識のもと、サカタのタネグループは、2026年7月13日に、2027年5月期を初年度とする10年間の長期経営計画「PASSION2035」を策定いたしました。 長期経営計画「PASSION2035」及び目標とする経営指標 (1)基本方針PASSION2035では、キーステートメントである「Cultivating Tomorrow’s Harvest with You」(あなたと共に培う、未来の豊かさ)のもと、ステークホルダーの皆様とともに価値を創出しながら、「世界で最も信頼されるパートナー」として種苗業界の進化をけん引していくことを目指しております。その実現に向けて、サカタのタネグループは、地域の自主性を尊重しつつ、グローバルでの戦略・ルール・ガバナンスの統合を図る「Integrated Autonomy」の考え方を基本に、各地域の市場特性に応じた迅速な意思決定と、グループ全体での最適化を両立させてまいります。また、収益性向上と持続的な成長基盤の確立のため、積極的な成長投資の実行、研究開発の強化、グローバル展開の加速、IT/DX/AIの活用に重点的に取り組むと共に、資本効率の向上および株主還元の強化を図ってまいります。 (2)2035年のありたい姿PASSION2035では、以下の6つの「2035年のありたい姿」を掲げ、その実現に向けた取り組みを進めてまいります。 ①イノベーション:革新的な価値を生み続ける企業市場ニーズの高度化や気候変動への対応が求められる中、継続的な技術革新と高付加価値品種の創出が重要な課題であります。サカタのタネグループは、グローバルな研究開発体制の推進および新技術の活用により、独自性と収益性を兼ね備えた品種の開発を推進してまいります。 ②サステナビリティ:社会・環境と共生する企業気候変動や環境負荷低減への対応は、事業継続および企業価値向上における重要課題となっております。サカタのタネグループは、持続可能な農業に資する品種・サービスの提供と、自社オペレーションにおける環境負荷低減の両面から、サステナビリティへの取り組みを強化してまいります。 ③業界でのポジション:グローバルに確固たる信頼と競争優位を有する企業市場成長が見込まれる一方、競争環境は一層激化しており、業界内におけるポジションの確立が重要な課題となっております。サカタのタネグループは、戦略品目の強化、地域特性に応じた事業展開、ならびに新規領域への挑戦を通じて、グローバル市場において顧客から最も高い評価と信頼を獲得し続ける企業を目指し、プレゼンスおよび競争力の向上に取り組み、持続的な競争優位性の確立に向けた取り組みを強化してまいります。 ④ビジネスパートナーシップ:多様なパートナーと価値を共創する企業事業の高度化・グローバル化が進む中、外部パートナーとの連携強化が重要な成長要因となっております。サカタのタネグループは、生産者・顧客・販売代理店・研究機関等との協働を深化させ、バリューチェーンの拡大と全体での価値創出力を強化してまいります。 ⑤グローバルマネジメント&ガバナンス:地域自主性と統合性を持ち合わせた企業グローバル展開の進展に伴い、各地域の事業を統合的にマネジメントし、ガバナンスおよびリスク管理を高度化することが重要な課題となっております。サカタのタネグループは、最適な組織成長のために、ローカルな対応力を保持しながら、グローバルで一貫したマネジメント体制の構築と内部統制の強化を通じ、透明性および信頼性の高い経営を推進してまいります。 ⑥企業文化:自律的で挑戦を促す組織文化を有する企業持続的な成長を実現するためには、多様な人財が活躍し、挑戦と成長を支える企業文化の醸成が不可欠であります。サカタのタネグループは、多様性の尊重と卓越性への情熱(Passion)を基盤に、人財育成の強化、多様性の推進および従業員エンゲージメントの向上を通じて、組織の持続的な競争力の源泉となる企業文化の確立に取り組んでまいります。 (3)定量目標PASSION2035では、2036年5月期に売上高2,000億円、営業利益率17.5%を目指すとともに、ROEについては、2031年5月期に8%以上、2036年5月期に10%以上を目標としております。これらの目標の実現に向けて、2031年5月期までの5年間で総額約500億円の成長投資を計画しております。研究開発、グローバル展開、IT/DX/AIの活用等に対する投資を加速することで、将来の成長基盤を強化してまいります。また、棚卸資産回転率や現預金月商比率の改善等を通じて資産効率を高めるとともに、健全な財務規律を維持しながら財務レバレッジを活用し、自己資本比率は60%台を目安として、資本収益性の向上に取り組んでまいります。 KPI2026年5月期(実績)2031年5月期 目標2036年5月期 目標売上高1,043億円1,400億円2,000億円営業利益131億円195億円350億円営業利益率12.6%13.9%17.5%当期純利益122億円155億円280億円ROE7.2%8%以上10%以上 (4)株主還元株主還元については、株主資本配当率 2.5%以上としつつ、配当性向は35%を目安とし安定的な株主還元を実施いたします。また、自己株式の取得を適切に実施することにより、今後5年間における総還元性向は60%を目安としております。 (5)事業戦略PASSION2035より新たに、野菜・花・環境の3つのビジネスドメインを軸に業績管理を行い、それぞれを強化し、2036年5月期の売上高目標である、野菜事業1,635億円、花事業300億円、環境事業65億円を達成することを目指します。また、プロダクトポートフォリオの健全化に加えて、グローバルな需給管理を強化することで営業利益率の向上に取り組んでまいります。 ①野菜事業戦略品目の強化、マーケットシェアの拡大、プロダクトポートフォリオマネジメント、種子ビジネスを起点としたバリューチェーンの拡大、農園芸サポートビジネスの5つのテーマについて、各地域の市場特性を踏まえながら、グローバルに取り組みを進めてまいります。 ②花事業グローバルで花事業を一体的に運営する「ONE HOUSE」の理念に基づき、事業基盤の再構築、マーケティング戦略の構築、プロダクトポートフォリオの最適化、事業オペレーションの強化を推進してまいります。 ③環境事業種苗メーカーとして培ってきた花卉の品種開発力や芝草の栽培ノウハウを活かして、造園や植栽による景観整備を通じ、快適な都市環境や緑豊かな空間づくりに貢献してまいります。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてサカタのタネグループが判断したものです。 (1) 天候・自然災害リスクサカタのタネグループの主要販売商材である「種苗」の生育は天候に大きく左右されるため、天候状況は販売および生産に影響を与えます。まず販売面では、暴風雨などの自然災害や天候不良による不作などは生産者の活動に影響を与え、サカタのタネ商材の販売が減少するリスクがあります。販売地域を世界170か国以上に広げたり、厳しい生育環境にも適応する品種を開発することなどによりリスクの軽減に努めていますが、世界的に異常気象は増加傾向にあると認識しており、各地における天候不良は売上の低迷をもたらす可能性があります。また、商品種子の生産については、天候不良により充分な品質や数量を確保できないリスクや生産コストが上昇するリスクがあります。このため世界19か国に生産を分散し、かつ同一地域でも複数の種子生産者にその生産を委託してリスク分散を図っているほか、一定量の安全在庫を保有することとしております。しかしながら、特に主要な産地において播種期から採種期までに大規模な天候変化や自然災害が生じた場合、欠品による売上減少や生産コストの大幅な上昇など、業績に悪影響を与える可能性があります。 (2) 育種開発リスク・知的財産権の侵害リスク育種開発リスクとしては、育種目標を設定してから10年以上を必要とする育種開発の性格上、投資コスト負担リスク、開発実現性リスク、商品ニーズが変化してしまうリスク、他社との開発競争リスク、新規育種技術の普及により参入障壁が下がり開発競争が激化するリスクなどがあります。さらに、育種研究者であるブリーダーが社外流出することにより、担当する品種の育成に障害が出て良質な商品の完成が難しくなるリスクや、遺伝資源の流出により模倣品が出回り知的財産が侵害されるリスクを有しております。サカタのタネグループでは、育種工学の拡充や社外研究機関との連携などを含めた研究開発体制の整備、開発者に対する報奨制度の導入やチーム体制での育種の採用、種苗法に基づく品種登録や特許などを用いての知的財産権保護などを行っておりますが、急激に需要が変化した場合や強力な他社品種が出現した場合などは、業績に悪影響を与える可能性があります。 (3) 保有資産の価値変動リスクサカタのタネグループは様々な資産を保有しておりますが、定期的な不動産の現状確認や政策保有株式に関する社内規程整備などの管理体制を構築し、適切な評価・管理に努めております。しかしながら、土地や有価証券などの資産価値が急激に下落した場合には、サカタのタネグループの業績に悪影響を与える可能性があります。また、『(1) 天候・自然災害リスク』にて記載したとおり、商品種子の生産は天候条件に大きく左右されるというサカタのタネグループの事業の特性上、顧客への安定供給責任を果たし、事業を安定的に継続するための安全策として、棚卸資産である種子を一定量確保しているため、種子の品質低下や商品の需要変化などにより、棚卸資産の廃棄・評価損が増加するリスクがあります。品質や販売動向に基づき定期的に評価の見直しを行っておりますが、生産や販売実績が計画から大きく乖離した場合などには、サカタのタネグループの業績に悪影響を与える可能性があります。 (4) 品質と安全性に関するリスクサカタのタネグループでは、創業者坂田武雄の唱えた社是「品質・誠実・奉仕」に則り、品質と安全性に対する信頼を最重要課題のひとつと位置づけ、品質管理部を設けサカタのタネの品質基準に照らした商品チェックを行うと同時に、お客様相談室を設けるなどして商品クレームに適切に対応できる体制を採っております。しかしながら、「生き物」である商品の性質上、品質の水準や均一性などに不測の事態が生じるケースや、種子に由来しない環境や生産技術面からのリスクが発生し、業績に悪影響を与える可能性があります。 (5) カントリーリスクサカタのタネグループは、生産・研究開発・販売拠点として、日本を含めて全世界で23か国に事業展開を行っております。うち、農場および研究施設として、国内5か所、海外で12か国16か所に拠点を持っております。これらの事業展開地域の一部においては、次のようなリスクが内在しております。a.予期しない法律又は規制の制定又は改廃b.政治・経済の混乱c.テロ・紛争の発生などによる社会的混乱d.地震などの天変地異の発生e.コンピューターウイルスや諸情報の漏洩など、情報化に伴う問題の発生グローバルに事業を展開することで、販売や生産のリスク分散が図れるメリットはありますが、一定の地域において何らかのリスク事象が生じる可能性が高まる面もあります。拠点展開先の各国からは、常に情報を早期に収集し、迅速な意思決定ができるように、経営やリスク管理体制の強化を図っておりますが、これらの事象が発生した場合、当地での事業の継続、需要の大幅な低下、種子生産から撤退などのリスクがあり、サカタのタネグループの業績に悪影響を与える可能性があります。 (6) 為替変動に関するリスクサカタのタネグループは海外各地において商品を生産・販売しており、各地域において現地通貨にて作成された財務諸表は、連結財務諸表作成のために円換算されております。このため、為替相場の変動は、現地通貨における価値に変動がなかったとしても、業績に影響を与えます。また、サカタのタネグループが原材料および商品の一部を調達あるいは輸出している海外との取引は、為替変動の影響を受けます。こうした影響を最小限に止めるべく、サカタのタネグループでは通貨別金額の変化に常時注意を払っており、適切な管理体制の下、先物為替予約取引や通貨オプションなどを活用し、リスクの軽減に努めております。しかしながら、予測を超えて急激に為替レートが変動した場合などには、サカタのタネグループの業績に悪影響を与える可能性があります。 (7) 取引先の信用リスクサカタのタネグループでは、国内外の様々な顧客や仕入先との取引を行っており、売掛金、前渡金などの信用供与を行っております。サカタのタネグループでは、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定、貸倒引当金の計上など、信用リスク管理のための施策を講じておりますが、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、サカタのタネグループの業績に悪影響を与える可能性があります。 (8) 情報システム・情報セキュリティのリスクサカタのタネグループは、事業活動の重要なインフラとして情報システムを利用しております。また、研究開発・生産・営業活動に関する情報に加え、取引先や関係者に関する機密情報および個人情報を保有しています。サイバー攻撃やシステム障害等により情報システムの機能に支障が生じた場合、当グループの事業活動、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があるほか、情報漏えいにより社会的な信用の低下を招く可能性があります。以上のようなリスクを認識した上で対策を講じてまいりましたが、2025年11月11日に、サカタのタネサーバーに対する第三者の不正な侵入を確認し、その後の調査から、データの一部に不正アクセスされ、それらの情報が外部に漏えいした可能性が判明しました。サカタのタネは、ステークホルダーの皆さまの大切な情報を預かる責任ある企業として本件を重く受け止め、外部専門家のチェックを受けながら再発防止策とセキュリティ対策の徹底を図り、再発防止に全力を尽くしてまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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