ホーブ(1382)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】 (1)ホーブグループの事業内容ホーブは、「いちご」という農産物において、新しい品種の研究開発から始まり、苗の生産販売から収穫した果実の販売までの全てを行っており、1年365日、洋菓子メーカー等に対して国産いちごを供給しております。国内で広く一般的に販売されている「とちあいか」「とちおとめ」等のほとんどのいちごは、いちごの中でも一季成性といわれる品種であり、品種特性により収穫時期は主に冬から春に限られます。そのため、夏秋期には一部国産いちごの収穫はあるものの、現在夏秋期に販売されているいちごの大部分はアメリカ合衆国から輸入されたものであり、ケーキにのっているいちごにも輸入品が使用されております。ホーブでは、四季成性いちご※1「コア」(2017年6月品種登録 品種登録名ペチカエバー)、「夏瑞/なつみずき」(2017年6月品種登録 品種登録名ペチカほのか)の自社品種を有しており、苗の生産及び農家への販売、生産農家で収穫したいちごの仕入及び洋菓子メーカーへの販売までの全てを行うというビジネスモデルを構築しております。この自社品種により、洋菓子メーカーの「夏秋期にも国産いちごを使いたい」という要望にこたえ、1年を通して安定した国産いちごを供給できる体制を構築しております。この体制を支えているのは、夏秋期に収穫できる自社品種であり、その自社品種苗を均一無病苗※2として量産化できるバイオテクノロジー技術であります。ホーブでは、いちご以外にも、これまでに構築してきたバイオテクノロジー技術を用いて、その他の苗の研究開発や生産・販売も行っており、また、自社品種の栽培に必要な機器や資材及び収穫した果実の梱包用資材の販売も行っております。さらに、洋菓子メーカー等へケーキ素材となるいちご以外の果物等の販売も行っております。 ※1 いちごには、花芽形成(花となる芽のもとが作られること)に一定の条件を必要とする一季成性いちごと条件を必要としない四季成性いちごがあります。一般に知られているいちごの多くは一季成性いちご(とちおとめ等)であり、一定の条件が整ってはじめて花芽が形成され、果実ができます。一方、四季成性いちごは花芽形成に条件を必要としないため、一年中栽培が可能であります。※2 親苗と同じ遺伝子情報をもち、ウイルスや病原菌に汚染されていない苗のことであります。ホーブグループは、ホーブ(株式会社ホーブ)と連結子会社1社(株式会社エス・ロジスティックス)で構成されております。報告セグメントは、いちご果実・青果事業、種苗事業、馬鈴薯事業及び運送事業の4つのセグメントとなります。ホーブグループの事業内容及びホーブと連結子会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。(いちご果実・青果事業 ホーブ)ホーブがいちご果実(自社品種いちご果実・その他いちご果実)、青果及び農業用生産・出荷資材の仕入販売を行っております。(種苗事業 ホーブ)ホーブが自社品種のいちご苗を生産し、生産農家へ販売しております。また、いちご以外の種苗についても、食用ユリなどの生産を受託し販売を行っております。(馬鈴薯事業 ホーブ)ホーブが種馬鈴薯の生産販売及び仕入販売と、青果馬鈴薯の仕入販売を行っております。(運送事業 株式会社エス・ロジスティックス)株式会社エス・ロジスティックスが、ホーブの商品等を中心とした配送業務を行っております。 以上に記載した事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。 [事業系統図] (2)四季成性いちご①一季成性と四季成性一般に知られている「いちご」は、秋になって日照時間が短くなり、気温が低下してくると花芽形成(花となる芽のもとが作られること)されます。その後、冬になってさらに気温が下がると休眠状態となり、春になり気温の上昇とともに休眠から覚めて、成長し、花が咲き、果実となります。八百屋あるいはスーパーマーケット等で広く一般的に販売されている「とちあいか」「とちおとめ」「紅ほっぺ」等のほとんどのいちごが、この花芽形成の条件(夜の長さが12時間以上となる日が連続するという短日条件、あるいは温度の低下という低温条件)を必要とする一季成性品種のいちごであります。そのため、国産いちごの主な収穫時期は、概ね12月(クリスマスの需要にあわせて人工的に必要な条件を作って収穫時期を早めたもの)から5月頃までとなっております。一方、四季成性品種は、花芽形成に日照時間の長短や低温であるという条件を必要としないため、一季成性品種と違い一年中栽培収穫が可能であります。ホーブの自社品種「ペチカエバー」「ペチカほのか」は、この四季成性品種のいちごであり、一年中栽培収穫が可能であります。しかしながら、ホーブでは一季成性いちごが収穫できず国産いちごの端境期となる5月から11月の夏秋期に自社品種の収穫時期を設定しております。業務用※1に使われる国産いちごの出荷量が少ない夏から秋にかけて、ホーブの品種は、国産夏秋いちごとして付加価値を高めております。 ※1 洋菓子メーカー等でケーキのトッピング用あるいはスポンジのサンド用として使用されるいちごのことであります。スーパーマーケット等で販売されているいちご(生食用いちご)と同じものですが、ケーキの上を飾るため、食味・食感だけでなく、大きさ、形状、色艶、スレ・あたり(手で触れたり、いちご同士あるいは他のものと擦れたりあたったりすることによって、いちごの表面にできる小さなピンクに変色した部分)などの傷の有無等、メーカーごとに厳しい規格があります。 ②自社品種の特徴いちごに関して重要なことは、生産農家にとっては病虫害に対する耐性があり、作りやすく、収穫量・生産性に優れていることであり、消費者にとっては、安心・安全であり、なおかつ、食味・食感、甘みと酸味のバランス、香り、円錐形の形状、色艶のどれもが水準以上であることであります。また、洋菓子メーカーは、消費者のニーズに合わせながら、必要なサイズ(大きさ)のものを必要な量だけ安定的に供給されることを望んでおります。ホーブの品種は、こうしたどの要望にも応えうる品種であると考えております。自社品種は、四季成性が強く季節を問わず安定して花芽を形成するため、安定的に連続して果実を収穫することができます。さらに、苗の定植時期によって収穫時期をコントロールしやすく多様な作型で栽培できるため、生産農家にとって生産作物の計画に組込みやすい品種です。また、食味・食感の良さ、豊かな香り、鮮やかな果色、きれいな円錐形をした果形、輸送性に問題がない程度の適度な果皮の硬さ等高い水準の果実品質を有しております。 (3)事業の特徴ホーブの事業の特徴は、「いちご」という農産物において、育種※1から苗の生産・販売、栽培指導、果実の仕入・販売までのそれぞれの事業において特徴、優位性を持っているだけではなく、川上から川下までの事業を行うことで、それらが有機的に結びついて、ホーブの総合力として発揮されていることにあります。また、この総合力は、生産農家や洋菓子メーカー等とのつながりによって補強され、いちご果実の生産者側及び消費者側それぞれの情報を的確に吸収し、ニーズに合った情報をそれぞれに還元できることにもつながっております。ホーブは、自社品種を作り上げた培養技術、さらに自社品種を基盤に展開してきたトータルサービスがホーブの特徴であると考えております。 ※1 交配などにより新しい形質を持つ品種を作り出すことであります。 ①育種(種苗の研究開発)ホーブは、研究開発の結果、2010年3月に「ペチカサンタ」(品種登録番号 第19206号)、2010年5月に「ペチカプライム」(品種登録名ペチカピュア 品種登録番号 第19528号)、さらに2017年6月に「コア」(品種登録名ペチカエバー 品種登録番号 第26015号)、「夏瑞/なつみずき」(品種登録名ペチカほのか 品種登録番号 第26016号)の品種登録をそれぞれ行いました。これらの育種過程で培われた技術を駆使し、中富良野研究農場及び東神楽研究圃場の研究農場においてさらなる新品種の開発を鋭意進めております。②種苗生産(組織培養※1)・組織培養技術ホーブは、バイオテクノロジーのひとつである植物組織培養技術を使い、優良な均一無病苗※2を短期間で大量に作り出す技術を有しております。この苗増殖技術によって、ホーブの自社品種苗を生産し、販売しております。組織培養による増殖技術は、近年実験室段階では急速に進歩しましたが、変異が多発しやすくまた馴化※3の効率が低い等の問題から、商業的技術として確立されたものは多くはなく、商業ベースにのっているものは限られております。ホーブでは、いちごはもとよりアルストロメリア、ユリ、クロユリ、アヤメ、胡蝶蘭、カトレア、ジャガイモ、ヤマイモ、アスパラガス、ニンニク、ニラ等の多様な植物についての増殖技術を確立しており、ユリについては、現在も苗生産を受託しており、組織培養技術を使って苗を増殖し、生産販売しております。 ・苗生産の分業システム国内のいちごの主要産地では、原苗を生産する段階から圃場増殖を繰り返しているため、ウイルス等への感染など病虫害が発生する可能性が高くなり、苗質劣化の問題が年々増大しております。また、いちごの生産に限らず、農作業の軽減化及び効率化が強く求められておりますが、国内のいちご生産農家の多くは、都道府県等の地方公共団体あるいは農業協同組合から病虫害に罹患していない健康な苗を親苗として購入し、自前の農場施設内で栽培しながら増殖させ、増えた子苗を果実生産用の苗として使用しております。いちご生産農家は、果実生産だけではなく苗生産の期間も合わせると1年365日毎日いちごの栽培に係わっていることになります。欧米諸国では、いちご生産農家が苗を購入し、増殖することなくそのまま果実生産用に使用する苗生産分業システムが広く一般的に普及しております。ホーブの自社品種苗においても、果実生産用の苗として、優良な均一無病苗を生産農家が必要とするときに、必要な数量だけ提供する苗生産分業システムを確立しており、生産農家の作業負担軽減に大きく貢献しております。 ※1 植物の細胞あるいは葉、茎、根や芽などの器官を無菌的に培養することであります。※2 親苗と同じ遺伝子情報をもち、ウイルスや病原菌に汚染されていない苗のことであります。※3 環境に馴れ、順応することであります。組織培養の苗は培養容器の中で生育したため、容器から出した際に温度や湿度の変化に対応できず、枯死する場合が多くなります。そこで、温度や湿度の変動をできるだけ抑えた条件で外気に触れさせる必要があります。 ③いちごの栽培研究及び栽培指導ホーブは、夏秋期におけるいちごの栽培生産技術の向上をはかるために、中富良野研究農場及び東神楽研究圃場において、自社品種の栽培研究を継続して行ってきております。自社品種の生産の主力は全国各産地の生産農家であります。ホーブでは、いちご栽培のプロフェッショナルである従業員が中心となって、全国各地の自社品種生産産地に出向き、各生産農家の栽培・生育状況を実際に目で確認して、きめ細かく的確に助言、指導を行っております。この指導により、生産農家の収穫実績は上がっており、信頼も得られ、ホーブにとっても規格の統一された優良ないちごが安定的に入荷されるようになってきております。④いちご果実・青果の販売・通年安定供給ホーブは、国産業務用いちごの販売に関して、自社品種を販売する夏秋期だけではなく、夏秋期以外の時期も含め最高の品質のものを1年間安定して供給すること、1年365日対応することを原則としております。そのため、ホーブは、夏秋期以外の冬から春にかけてのシーズンには全国のいちご産地からその時期における最高品質のいちご(とちおとめなど)を買付け、販売しております。冬から春にかけてのシーズンには生食用いちごが豊富に生産出荷されているため、ホーブとしても業務用いちごを確保することは比較的容易でありますが、夏秋期においてはいちごの生産自体が少なくなるため、自社品種の生産出荷量を夏秋期を通じて安定して確保することが重要となっております。ホーブの特色は、自社品種の苗を販売して終わるのではなく、その成果である果実を買付け販売することで、国産いちごの流通量が少なくなる夏秋期に国産いちごを安定供給でき、冬から春にかけてのいちごのシーズンと合わせ、業務用国産いちごの通年安定供給ができることであります。 ・輸送技術一般にいちご果実は、30℃を超える高温に弱く、また果皮がやわらかいため衝撃にも弱く、夏秋期の栽培、輸送にはあまり適しておりません。しかしホーブは、夏秋期の業務用国産いちごがほとんどなかった十数年前から、この夏秋期に生産、販売を行っており、夏秋期において特に顕著に現れる諸問題を解決するため、輸送技術の研究に力を注いでまいりました。その結果、生産農家から洋菓子メーカー等までの物流を簡素化し、また、クールコンテナ等を利用することで、低温管理され、なおかつ振動の少ない輸送システムを実現いたしました。さらに、スレ・あたり※1を防ぐ一段トレーソフトパック※2の採用により、高品質を保持した長距離流通を実現しております。ホーブでは、全産地の自社品種について一段トレーソフトパックを採用しており、自社品種以外のいちごについても、産地の協力を得て一段トレーソフトパックに切替えております。こうした研究、努力により、ホーブは、業務用としての国産いちごを冬から春にかけてだけではなく、一年中安定して供給できるような産地・流通・販売のシステム構築に成功しております。 ・その他の果実、青果の販売ホーブは、いちご以外にもブルーベリー、バナナ、キウイ、メロン等の洋菓子の材料となる果物や野菜の卸売りも手がけております。これらの青果は、いちご果実の販売先と重複するため、新たな輸送手段及び輸送ルートを構築する必要がなく、販売先数の増加とともに、今後もホーブの収益拡大に期待ができます。 ※1 手で触れたり、いちご同士あるいは他のものと擦れたりあたったりすることによって、いちごの表面にできる小さなピンク色に変色した部分のことであります。※2 やわらかい材質のトレーにそれぞれのいちごの規格に合わせた窪みをつけた梱包用資材であります。この窪みの中にいちごを並べて輸送することでスレ・あたりを防ぐことができます。⑤種馬鈴薯等の生産販売日本国内に一般流通している品種「男爵」「メークイン」等の種馬鈴薯、青果馬鈴薯の仕入販売はもとより「サッシー」「アルバン」等の海外オリジナル品種の国内販売権を有し、種馬鈴薯を委託生産し、販売しております。
有価証券報告書(2025年6月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ホーブグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末においてホーブグループが判断したものである。(1)経営方針ホーブの社名ホーブ「HOB」は、「Horticultural Biotechnology(施設園芸の生命科学技術)」及び「Hokkaido Biotechnology(北海道の生命科学技術)」の2つのことから名付けられており、「研究室の中だけで行われていた組織培養のバイオテクノロジー技術を実際の農業の中で活かしていこう、そのバイオテクノロジー技術を活かすことで北海道の農業を活性化させる一助となろう」という想い、「バイオテクノロジー技術を北海道の大地に根付かせよう」というのが、ホーブの出発点でありました。ホーブはバイオテクノロジー技術を使って苗を生産し、その苗を販売するということから、さらに収穫された果実を販売するところまで事業分野は広がっております。ホーブグループは、農業を基盤とし農業に立脚しながらも、農業そのものを事業として行っていくのではなく、農業生産者と消費者をつなぐかけ橋となり、ホーブの有する種苗、技術、情報を積極的に提供していくことによって、農業の活性化に寄与していくことを事業の根幹としております。今後も、ホーブの原点「バイオテクノロジーをラボラトリーからフィールドへ」、そして「消費者とともに日本の農業を考え、農業活性化の一助を担う」心積もりを経営の根幹をなす経営理念として捉えていきたいと考えております。 (2)ホーブグループを取巻く環境①国内農業の現状国内農業については、依然として厳しい状況が続いております。原材料価格の高騰は農業用資材コストに反映される一方で、農産物の価格に全てを転嫁することは難しく、国内農業生産者の所得が確保しづらい状況にあります。また後継者不足、高齢化が言われ、農業生産者の減少といった現状に直面しているものと認識しております。また、農産物の輸入自由化が進み、海外から様々な農産物が入ってくるようになり、輸入量は増大し、国内農産物の自給率は依然として低いままで推移しております。しかしながら、最近の食の問題から消費者の安全、安心志向は強まり、国産の農産物に対する消費者の関心は高まっており、より良いものあるいは安全、安心という付加価値農産物を作る動きもあります。また新規就農者や農業生産法人を積極的に設立する動きも増え、企業が農業ビジネスへ参入するなどの変化が生じております。 ②業務用いちごの現状いちごは、農業生産物の中では極めて付加価値の高い作物と言われております。しかし、いちごは高い鮮度が要求され、衝撃、高温等の環境変化に弱いため、輸送や長期保存が難しい農業生産物であります。現在、業務用いちごは、概ね12月から5月頃までは栃木県や福岡県を中心とした一季成性いちご※1が中心となっております。また6月から11月まではアメリカ産輸入いちごが大部分を占めており、2024年のいちご果実(生鮮)の輸入量は約2.8千トン(大部分が6月から11月までの6か月間に輸入される)であります。アメリカ産輸入いちごは、一般に、国産に比べ食味、食感に大きく劣ると言われており、果皮が硬く、輸送性が高いため、国産いちごの供給量が少ない夏から秋にかけて、業務用として国内に入ってきております。 ※1 いちごには、花芽分化形成(花となる芽のもとが作られること)に一定の条件を必要とする一季成性いちごと条件を必要としない四季成性いちごがあります。一般に知られているいちごの多くは一季成性いちごであり(とちおとめ等)、一定の条件(夜の長さが12時間以上となる日が連続する短日条件と温度の低下という低温条件)が整ってはじめて花芽が形成され、果実ができます。(3)優先的に対処すべき業務上及び財務上の課題①いちご果実・青果事業の収益拡大ホーブは、夏秋期において自社いちご品種「ペチカほのか(商品名:夏瑞/なつみずき)」「ペチカエバー(商品名:コア)」を中心に販売しております。生産者の高齢化等で自社品種の栽培面積は減少傾向にあり、近年の猛暑の影響も重なって出荷数量が減少しております。これに対処すべく、出荷時期を早めるような栽培管理を試み、高温時期の収穫を中断し、しっかりと栽培株を休ませることで秋以降の収穫量確保を図ります。また、「夏瑞/ なつみずき」の優位性である食味の良さを活かした販売展開により利益率向上を図り、生産者の所得向上を目指します。さらに、収量性の高い「コア」及び他品種も併用することで、夏秋期の収益の安定化に努めてまいります。促成いちご販売時期においては、近年の品種の切替わりによる出荷動向や、市場相場価格の動向を勘案し、採算性を重視した仕入および販売体制を継続いたします。 ②種苗事業の収益拡大種苗事業は、自社品種「ペチカほのか」と「ペチカエバー」の種苗の販売を主力としております。ホーブは創業から30年以上にわたり夏秋いちごの新品種の開発に取り組んでまいりました。しかしながら、生産者の高齢化や温暖化などの栽培環境の変化により、自社品種の栽培面積は減少し、それに伴い種苗の販売本数も減少しております。今後も同様の状況が続くことが予想されることから、耐暑性の向上や栽培管理の省力化に向けた新品種の育成を目指します。さらに、あらゆる栽培環境に適応し、国内にとどまらず海外の市場でも求められる特色のある新品種の開発を進め、種苗事業の収益拡大に努めます。また、温度、湿度、光などの条件を制御した人工環境下での優良果実の生産方法の確立に取り組み、近年の猛暑等の気象変動に対応してまいります。 ③馬鈴薯事業の収益の維持馬鈴薯事業においては、主に種馬鈴薯の生産販売及び仕入販売を行っております。ホーブは、「男爵」や「メークイン」といった国内の一般品種の取扱いのほか、一般品種とは異なる食味、加工適正、病虫害抵抗性といった特性を持つ海外で育種された馬鈴薯品種の国内販売権を有しております。種馬鈴薯の生産者も年々減少傾向にあることから、海外の品種及び一般品種も含めた適正な数量の仕入管理を継続することで、馬鈴薯事業の収益の維持に努めてまいります。 ④運送事業の収益の向上運送事業を行う子会社「株式会社エス・ロジスティックス」は営業基盤を関東圏に特化し、事業を展開しております。物流業界は2024年問題もあり、いかに配送効率の良い新規配送を受託するかが重要となっております。それに向けた営業の推進はもとより、配送業務の効率化、ドライバーの充実を図り自社配送の比率を高めることで、収益の向上を目指してまいります。 ⑤人材の育成について ホーブの事業は、農業と密接に関わっております。近年の農業を取り巻く環境は多様に変化しており、気象変動等に対する有効的な対処が必要となっております。それは短期間で習得できるものではなく、机上の学習だけでは得ることができない経験を通じて学んでいくことが重要であります。 また、ホーブは永年に亘り夏秋いちごの品種開発も行っております。ホーブがこれまで蓄積してきた栽培、育種に関する技術、ノウハウを社内で共有、継承していくために、今後も優秀な人材の確保、育成に努める方針であります。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてホーブグループが判断したものであります。 ①自社品種苗及びいちご果実の生産・販売についてa.天候の影響についてホーブの主要な事業は、自社品種等を中心としたいちご苗の生産及び生産農家への販売、各生産農家からの果実の仕入及び洋菓子メーカーへの販売であります。果実の生産はビニールハウス内で行っておりますが、気温及び日照等、天候の影響を受けることとなります。そのため、天候不順によって果実収穫量が大きく影響されないように、生産産地を北海道から東北地方へと広げてきており、さらに、天候不順であっても収穫量が大きく減少しないような栽培技術・ノウハウを蓄積してきており、生産農家に対する栽培指導の徹底に努めております。しかしながら、天候不順の影響は完全に回避できるものではなく、猛暑、冷夏、日照不足、台風といった気象条件の変化により収穫量が変動し、ホーブの業績に影響を与える可能性があります。 b.生産農家との契約についてホーブは、自社品種苗等を生産農家に販売し、そこから収穫されるホーブの規格に合った果実を買取って、全国の洋菓子メーカー等に供給しております。生産農家との間で毎年「栽培契約書」を締結しておりますが、契約書の中には、ホーブの選果規格に合致した果実をホーブが全量買取ることを内容とした条項があります。自社品種の果実は、主にケーキのトッピング(飾り)として使われるため、選果規格は厳格なものとなっております。そのため、粒の小さいものや形の整っていないもの等は規格外となり買取りの対象から外れ、ホーブが必要とする規格のもののみが入荷されております。この契約により夏秋期の自社品種の果実はすべてホーブから販売されることとなるメリットがありますが、天候条件等によっては収穫果実の規格あるいは時期の偏りが生じることがあります。そのような場合には、取引先の洋菓子メーカー等にいち早く情報提供を行い、使用規格の変更を依頼するなどの対応を講じておりますが、それでも販売しきれないほどの偏りが生じた場合には、ホーブが在庫を抱えることとなり、果実の廃棄の発生により、ホーブの業績に影響を与える可能性があります。 c.自社品種苗の生産について自社品種苗の生産は、組織培養から始めておよそ3年の期間を要するため、苗販売計画に基づいた見込み生産を行っております。苗販売計画は適時見直しを行い、修正が生じた場合には苗の生産も販売計画に合わせて調整しております。ただし、販売計画修正のタイミングによっては、生産調整が間に合わない場合もあり、過剰となった苗の廃棄が発生し、ホーブの業績に影響を与える可能性があります。 d.育種開発について新たな種苗の開発は、様々な形質を持った系統を掛け合わせ、生育を繰り返していく中で、より優れた形質を持つ種苗を選抜していく手法が用いられます。掛け合わせと選抜の繰り返しの中から品種として確立され栽培収穫されるようになるまでには、5年から10年程度の長い期間を要します。ホーブは、2010年に高温時でも品質の安定した果実を生産することのできる「ペチカサンタ」、「ペチカプライム(品種登録名ペチカピュア)」の2品種を種苗登録いたしました。また、2017年には、食味の良い「夏瑞/なつみずき(品種登録名ペチカほのか)」、収量性が極めて高い「コア(品種登録名ペチカエバー)」を種苗登録し、現在はこれら2品種の生産を行っております。ホーブは、優良形質がホモ※1であり、かつ水準以下の形質の少ない系統の選抜に成功しております。現在、これらを交配親とした新たな特性を持つ系統を多数選抜しており、今後も優秀な品種の開発を鋭意進めてまいります。都道府県などでも四季成性いちごの品種開発を進めておりますが、今後新しいタイプの優秀な四季成性いちご品種が開発された場合には、ホーブの業績に影響を与える可能性があります。※1 遺伝子は必ず対となって存在しております。同じ遺伝子が対になっていることをホモ(AA)、異なる遺伝子の場合はヘテロ(Aa)と称します。ホモの場合は交配した場合すべての組み合わせにAが含まれ、その形質が高頻度で子孫に発現します。たとえばペチカの優秀な形質がホモになっていれば、交配で得られる子孫もその優秀な形質を高頻度で持っていることになります。e.病虫害について農産物は、屋外の圃場やビニールハウス内で栽培及び生産するため、ウイルス等への感染及び害虫の発生を防ぐことは極めて難しい問題であります。ホーブは、自社品種での病虫害の発生を防ぐため、生産産地との連絡を密にし、栽培技術指導者が実際に苗・果実の生育状況を確認し、早期に異常を発見するように努めております。しかしながら、完全な防除が困難であるため、不測の病虫害が大量、広域に発生した場合、見込みどおりの成果が得られずホーブの業績に影響を与える可能性があります。 ②特定人物(経営者)への依存について代表取締役髙橋巌は、ホーブの創業者であり、創業以来ホーブの事業を推進してきております。ホーブでは、同氏への依存度を軽減するために、2013年9月からは、ホーブグループ全体の経営を統括する代表取締役会長に髙橋巌が就任し、日常的な経営を執行する代表取締役社長に政場秀が就任しております。今後も同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めるべく、役職員の質的向上に注力していく所存であります。しかしながら、同氏の業務遂行が何らかの理由により困難となった場合、ホーブの事業展開や業績などに影響を与える可能性があります。なお、同氏は、当連結会計年度末現在において、ホーブの発行済株式総数の40.04%を保有する筆頭株主であります。 ③運送事業について子会社である株式会社エス・ロジスティックスにおいて運送事業を行っております。その事業に影響を与える可能性がある事項といたしましては、環境規制をはじめ、その他法的規制などの変更・強化や、世界的な石油情勢の変動に起因する燃料費の高騰があります。また、運送業務の遂行にあたっては、安全と輸送品質の向上に努め、徹底した運行管理をいたしておりますが、万一、重大な事故が発生した場合には信用低下のみならず、補償問題や営業停止などの行政処分を受ける可能性があり、これらの事象も運送事業の遂行に影響を与える可能性があります。 ④馬鈴薯事業について種苗及びいちご果実生産と同様、天候不順や病虫害の発生により、見込み通りの成果が得られず、業績に影響を与える可能性があります。 ⑤法的規制についてホーブの事業及び製・商品等に対する法的規制は下表のとおりであります。許可・承認の種類有効期限監督官庁関連する法律品種登録 農林水産省種苗法「ペチカピュア」(登録番号第19528号)(商品名ペチカプライム)「ペチカエバー」(登録番号第26015号)(商品名コア)「ペチカほのか」(登録番号第26016号)(商品名夏瑞/なつみずき)2035年5月2042年6月2042年6月(注) ホーブが保有する種苗法登録品種「ペチカピュア」「ペチカエバー」並びに「ペチカほのか」に有する育成者権の存続期間は、上記のとおりであります。この育成者権の存続する間は、ホーブ以外の者がこの3品種の種苗や果実の売買等を行うことができないこととなっており、ホーブは独占的に利用する権利を有しております。育成者権の存続期間が終了した後は、これら3品種の苗や果実を自由に栽培、利用することが可能となるため、そのときの状況によっては、ホーブの経営戦略や業績に影響を与える可能性があります。 ⑥経営成績の変動要因についてホーブグループの主要な経営指標等の推移は、以下のとおりであります。回次第35期第36期第37期第38期第39期決算年月2021年6月2022年6月2023年6月2024年6月2025年6月売上高(千円)3,039,0412,604,6742,489,3622,519,0192,412,711経常利益(千円)109,438149,666138,79038,09439,466親会社株主に帰属する当期純利益(千円)108,305142,243110,35320,01224,712純資産額(千円)577,179719,374787,717769,645756,207総資産額(千円)974,9491,081,3681,108,0401,123,8421,069,690 a.特定品目への依存についてホーブグループの売上高構成は、いちご果実売上高の比重が高く、当連結会計年度の売上高に占めるいちご果実の構成比は81.4%となっております。そのため、天候による収穫量の変化、販売価格の低下、消費者の嗜好の変化等により、ホーブの経営戦略及び業績に影響を与える可能性があります。売上高(千円)前々連結会計年度2023年6月期前連結会計年度2024年6月期当連結会計年度2025年6月 構成比(%)前期比(%) 構成比(%)前期比(%) 構成比(%)前期比(%)いちご果実・青果事業2,149,64586.494.12,234,64488.7104.02,153,98689.396.4(内訳)いちご果実(うち自社品種)1,865,645(303,289)75.0(12.2)94.2(92.2)1,991,324(213,185)79.1(8.5)106.7(70.3)1,963,658(216,988)81.4(9.0)98.6(101.8)青果244,8969.8109.3209,9078.385.7147,3726.170.2資材39,1031.649.733,4121.385.442,9551.8128.6種苗事業93,0423.7103.061,0122.465.652,1242.185.4馬鈴薯事業123,0994.991.277,3173.162.874,6573.196.6運送事業123,5755.0128.6146,0445.8118.2131,9435.590.3計2,489,362100.095.62,519,019100.0101.22,412,711100.095.8(注)いちご果実の( )は、自社品種果実で内書きであります。 b.特定の取引先への依存度が高いことについていちご果実・青果の販売先のうち、トーワ物産株式会社、株式会社シャトレーゼ、三井物産流通グループ株式会社の上位3社に対する販売金額は、当連結会計年度において41.2%を占めております。いちご果実・青果事業の販売先は当連結会計年度において308社程度となり、上記販売先3社に対する販売金額の割合を低下させるべく、販売先の拡大を積極的にはかっております。しかしながら、これら会社との取引の継続性や安定性は保証されていないため、これら会社の販売、価格政策、商品戦略の変更など取引関係等が変化した場合には、ホーブの業績に影響を与える可能性があります。相手先前連結会計年度2024年6月期当連結会計年度2025年6月期 割合(%) 割合(%)株式会社シャトレーゼ(千円)327,73113.0436,28018.1三井物産流通グループ株式会社(千円)(※)284,90611.3293,27012.2トーワ物産株式会社(千円)336,44413.4264,66911.0※ 2024年4月よりベンダーサービス株式会社から三井物産流通グループ株式会社に社名変更しております。 c.市場相場価格について促成期(12月頃から5月頃まで)のいちご果実は、青果市場において相場価格が形成されます。しかし、夏秋期(6月頃から11月頃まで)の国産いちごのほとんどは市場を経由しないため、価格は洋菓子メーカー等との交渉により決めており、促成いちごとは違い市場相場価格から受ける影響は少なくなっております。ホーブが仕入、販売する促成期のいちごの価格は、市場相場価格(主に東京都中央卸売市場大田市場)に基づいて決めております。例年、12月のクリスマス時期にはデコレーションケーキの飾りとしての需要の高まりから価格は高騰し、それをピークに価格は安くなります。例えば、2024年12月における東京都中央卸売市場大田市場の「とちおとめ」の市場相場価格(Lサイズ1パック当たり価格)は、クリスマス時期に1,200円になり、2025年1月には450円まで低下しております。このように促成いちごの市場相場価格は変動があるため、ホーブのいちご果実売上高および利益に影響を与える可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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