ソラコム(147a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】ソラコムグループは、ソラコム、連結子会社である米国のSoracom Global, Inc.、英国のSORACOM CORPORATION, LTD.及び国内の株式会社キャリオット、株式会社ミソラコネクトの計5社で構成されており、AI/IoTプラットフォーム事業(単一セグメント)を展開しております。 (1)ビジョン現在、あらゆるモノがインターネットにつながるIoT(Internet of Things)の活用が世界的に加速しております。IoTの導入によって労働力不足やサステナビリティといった様々な社会的な課題を解決することが望まれております。しかし、デバイスの多様化、データ通信の複雑化、テクノロジーの高度化は益々進んでおり、企業がIoTを導入するには、ハードウェア、ソフトウェア、通信、セキュリティ、生成AIと多くの技術要素が複雑に絡む様々な課題に対処する必要があります。 ソラコムグループは「Making Things Happen for a world that works together」をビジョンとして掲げ、日本から世界へと広がるグローバルな視野を持ちながら、IoTとAIのテクノロジーイノベーションを通じて社会に貢献することを目指しており、IoT活用に必要な各種サービスをワンストップに提供する事業を展開しております。最も顧客至上主義な会社として、ソラコムのプラットフォームサービスの利用によって、多くの企業が気軽にIoTを導入し、即時に大規模展開することが可能となる「テクノロジーの民主化」を実現し、社会をより良いものへ変革することを目指しております。「私たちがつくるのは、共鳴しあう世界です。モノや人がつながり、それぞれの価値が増幅しあい、 想像を超える未来が次々と生まれていく。通信、クラウド、AIといったテクノロジーを誰もが使えるように して、志を共にするパートナーたちと共に世界をよくするイノベーションへとつなげる。IoTと、その先へ。」 (2)事業・サービスの概要ソラコムグループは、顧客企業がIoTを導入・運用する際に直面する共通課題を解決するIoTプラットフォーム「SORACOM」(以下「ソラコムプラットフォーム」という。)を提供しております。具体的には、IoTデバイスやIoT SIM、IoTに必要な通信回線、IoTサービスに求められるデータ保存や可視化アプリケーション、ネットワークサービス等をプラットフォームサービスとして提供しております。顧客企業は、ソラコムプラットフォームを利用することで、迅速かつ効率的にIoTサービスを立ち上げることが可能になります。さらに、エコシステムパートナー企業には、プラットフォームを補完する多様なサービスの提供をいただき、共にIoTのエコシステムを発展させております。 ソラコムはKDDI株式会社や株式会社NTTドコモなどの移動体通信事業者(MNO:Mobile Network Operator)から通信回線を調達している仮想移動体通信事業者(MVNO:Mobile Virtual Network Operator)であるとともに、クラウド上にモバイル・コア(注)を独自に構築することによって、IoTに特化した通信サービスをコスト競争力のある価格で提供しております。ソラコムプラットフォームのコスト競争力は、MNOが提供する従来型のモバイル・コアが、サーバー、交換機及びデータセンター等を主にハードウェアによって構築しているため、多額の設備投資や更新費用の負担が必要となる一方で、ソラコム独自のモバイル・コアはサーバー、交換機、データセンター等の機能をソフトウェアによりクラウド上に構築しているため、設備投資や更新費用の負担が相対的に少なくなっていることに起因しております。また、ソラコムプラットフォームは全てクラウド上に展開していることから、クラウド上の他社サービスとの親和性が高いだけでなく、ソラコム独自のプラットフォームサービスとして、データの蓄積や可視化、クラウド連携やリモートアクセス、パケットキャプチャー、閉域ネットワークなど様々なIoT向けサービスを顧客のフィードバックを基に自社で開発し、柔軟に提供することが可能であり、継続的な機能更新や追加等を含めた拡張性を備えております。(注) モバイル・コアとは、モバイル通信の基幹システムで、端末の制御、加入者情報管理、通信経路設定等を行っております。 ソラコムプラットフォームは、一定規模の回線契約を必要とせず1回線からIoT通信を手軽に利用することが可能であり、かつ、予め必要となる各種IoT向けサービス・機能が用意されていることから汎用的に利用可能であるため、スタートアップ企業から大企業までの様々な規模の顧客企業において、システム開発又はカスタマイズ等の初期投資を抑えつつIoTを導入することが可能となっております。今までは顧客がIoT通信を開始するためには、MNOと一定規模の回線数をまとめて契約しなければならず、初期投資も多額になる傾向だったものが、ソラコムプラットフォームは、1回線から利用できる汎用的な通信サービスを提供しているため設備負担が少ない形でIoT通信を開始することが可能です。 また、一般的なMVNOから安価な通信サービスを利用した場合、ソラコムプラットフォームのようなIoT向けサービスをワンストップで提供していないことが多いため、顧客はIoTの導入を一気通貫で進めることができないことがあります。一方で、ソラコムプラットフォームにおいてはデータの蓄積や可視化、クラウド連携やリモートアクセス、パケットキャプチャー、閉域ネットワークなど様々なIoT向けサービスを利用できるため、顧客はIoTの導入を一気通貫で進めることができます。さらには、顧客がIoTを始める上で必要なシステムを新しく自社開発することなく、ソラコムのプラットフォームサービスを利用するだけでIoTを導入することが可能です。加えて、ソラコムプラットフォームを利用したIoT導入を支援するパートナープログラムを構築しており、顧客企業がIoT活用を進める上での課題を解決するエコシステムを形成しております。エコシステムのパートナー企業はソラコムプラットフォームを活用して、付加価値の高いソリューションやシステムインテグレーションをIoTを導入する顧客企業に提供することが可能となっております。これらエコシステムのパートナー企業数の増加がソラコムプラットフォームを補完するサービスの充実につながり、IoTのエコシステムを発展させております。日本では、2015年9月以降、パートナープログラムを洗練させており、参画するエコシステムパートナー企業(注)は年々増加しております。(注) エコシステムパートナー企業は、認定資格者数や販売実績などの一定の基準を満たし、ソラコムプラットフォーム活用の実績を持つと認定されたパートナーをいいます。 上記の事業サービスを展開することにより、ソラコムプラットフォームを活用して、スマートメータリング、シェアリングモビリティ、スマートファクトリー、クラウド通訳機、子供やシニアの見守り端末、遠隔医療、遠隔監視といった、顧客企業の業務効率化や省力化の推進や、社会課題を解決するための数多くのIoTサービスが創出されております。 ソラコムプラットフォームは、顧客企業自らがインターネット検索、Web広告、オンラインイベントやディベロッパーコミュニティの口コミや評判を通じてソラコムプラットフォーム及びサービスに興味を持ち、Web上にて通信SIMの購入及びサービス利用契約を行い、サービス利用を開始することが可能なセルフサービスモデル型の事業展開を構築しております。また、ソラコムプラットフォームの利用を小規模から開始した顧客に対しては、IoT分野に精通するソラコム営業人員やエコシステムのパートナー企業が顧客のIoT利用の拡大をサポートしており、顧客のIoT利用が大きく拡大すると、IoTの成功事例として他の顧客に波及(ネットワーク効果)し、新たな顧客によるソラコムプラットフォームの利用につながるという好循環が生まれているものと認識しております。なお、顧客獲得戦略は後述「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に詳細を記載しております。このような顧客獲得戦略によって、2026年3月末において国内外のグループ全体の課金アカウント数(注)は1万4百を超えて拡大しており、スタートアップ企業から大企業、米国/欧州企業まで多くの顧客がソラコムプラットフォームを利用するに至っております。 最近では、AI技術の社会実装に強みを持つ株式会社松尾研究所(所在地:東京都文京区、代表取締役 川上登福)とともに、ChatGPTに代表されるGenerative AI(GenAI、以下「生成AI」という。)とLLM(大規模言語モデル)のIoT分野での活用を研究・推進するチーム「IoT x GenAI Lab」を設立しました。IoT分野における生成AI、LLMを用いた技術検証やプロトタイピング、新たなプロダクトの開発を行うとともに、ユーザー企業向けのプロジェクト支援を視野に入れ活動し、将来の事業・サービスの拡大を図っています。 (注) 課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。同一の顧客企業等が部署や業務別に複数の口座を有する場合が含まれております。 ソラコムグループが獲得する収益は、「リカーリング収益(プラットフォーム利用料)」、「商品販売」及び「その他」により構成されており、各サービス等の概要は以下のとおりであります。 [リカーリング収益 (プラットフォーム利用料)]① 通信サービス(コネクティビティ)IoT向けの通信接続を提供するサービスであり、「SORACOM Air」の名称にて以下の通信規格に対応したサービスを提供しております。当該サービスにおいては、通信サービスにかかる従量課金による継続収入を受領しており、リカーリング収益の主要な収益源となっております。 ・セルラー通信ソラコムグループの主たる通信サービスであり、携帯電話向け周波数帯である2G/3G/LTE/5Gに対応したデータ通信SIM「IoT SIM」による通信サービスを提供しております。当該通信サービスは、国内向け回線及びグローバル回線に区分され、世界207の国と地域における利用をカバーしております。・LPWA通信省電力及び長距離伝送を特徴とし、IoT用途での利用に適したLPWA(Low Power Wide Area)通信を用いたサービスであり、Sigfox、LoRaWAN及びLTE-Mの各ネットワークを利用した通信サービスを提供しております。・その他通信上記の他に、Skylo Technologie, Inc. と協業し、衛星通信を提供しております。また、Wi-Fi、有線通信、衛星通信など通信経路に限らず、ネットワーク上のデータを暗号化して通信を行いソラコムグループのIoTプラットフォーム機能を利用できる「SORACOM Arc」も提供しております。 ② ネットワークサービスIoTシステム運用のためには、安全性の確保、通信方向の制御、取得したデータの利用等、通信サービス(コネクティビティ)の利用だけでは解決できない様々な課題が生じます。これらの課題を解決するために、VPN接続や物理専用線によりIoTデバイスから各種クラウドや顧客データセンターまでをセキュアに接続するサービス、ソラコム通信サービスによりつながるIoTデバイスに必要時に遠隔から安全にアクセスできるサービス等を提供しており、ネットワークサービス上の顧客のデータ利用に応じた従量課金による継続収入を受領しております。 ③ アプリケーションサービスIoTデバイスから送信されるセンサーデータ等を時系列で保存する機能、データを可視化するダッシュボードの作成/共有サービス、各種クラウドやAI/機械学習などのサービスへのデータ転送サービス、IoT デバイスの管理等IoTデータ活用やIoTデバイス活用における課題を解決する機能を提供するサービスを提供しており、顧客のデータ利用に応じた従量課金による継続収入を受領しております。 ④ その他(KDDI向けプラットフォーム提供)主要株主であるKDDI株式会社との業務提携契約に基づく協業の一環として、同社が構築する「IoT世界基盤」(グローバルIoTアクセス)の基礎となる通信ネットワークについて、ソラコムプラットフォームを提供しております。 [商品販売]通信サービス提供時の回線契約に伴い主に販売される通信用IoT SIMに加えて、通信モジュール、USBドングル、カメラ・GPS・ センサー等のIoTデバイス等の商品を仕入販売しております。また、特定大口顧客向けにはスマートメーター等の商品を販売しております。 [その他]① プロフェッショナルサービスソラコムグループのIoTプロフェッショナルコンサルタントが、顧客企業のIoT導入プロジェクトにかかる技術要素や課題の整理、実行計画立案の支援等、顧客プロジェクトに参画・サポートを行うコンサルティングサービスを提供しております。また、企業のIoTプロジェクトに関するシステム開発の考え方や、システム構成、具体的なサービス提供について実装するワークショップも提供しております。 ② 業務受託主要株主であるKDDI株式会社との業務提携契約に基づく協業の一環として、技術開発支援等の業務を受託しており、個々の受託案件毎に業務受託収入を受領しております。 「商品販売」や「その他」の売上については顧客がIoT事業を始めるときだけでなく、IoT事業の拡大に伴って継続的に増加する売上であるため、「商品販売」や「その他」の売上をインクリメンタル収益と呼称しており、インクリメンタル収益の増加に伴って、リカーリング収益も増加していく関係にあります。一般的なIoTプロジェクトは、顧客企業がSIMやデバイスを購入し、PoC(概念検証)を実施した後、商用サービスを開始するにつれ規模が拡大していきます。規模の拡大とともに、インクリメンタル収益は増加するとともに、リカーリング収益の割合が高まっていく傾向があります。 (3)事業の特徴[技術的な優位性]① パブリック・クラウド上に構築した独自のモバイル・コアについて従来型のモバイル・コアは交換器やサーバー等をハードウェアで構築していたため設備投資負担が大きいところ、ソラコムグループはパブリック・クラウド上にソフトウェアベースで独自のモバイル・コアを構築しているため、コスト競争力と高い拡張性を実現しております。このモバイル・コアに関連する特許も100以上有しており、ソラコムプラットフォームの技術的優位性の源泉となっております。 ② 継続的な機能更新及びサービス拡張についてソラコムグループは創業以降、プロダクト開発を積極的に進めており、多くの顧客企業がIoTに取り組む際に直面する共通課題を解決できるサービスを通信(コネクティビティ)、デバイス、アプリケーションの多岐にわたり提供しております。必要な機能が、レゴのブロックのようにモジュールとして揃っているため、顧客企業は、必要な要素を活用することで、すぐに新しいサービスを創り出すことができます。また、顧客企業からのフィードバックに基づいた継続的な機能更新及びサービス拡張を実施しております。近年は平均2週間の開発サイクルにて継続的に新機能をリリースしており、ソラコムプラットフォームのアップデートを通じて、顧客は先端技術の導入や利便性が向上されたサービスの利用が可能となっております。生成AIを活用した主な取り組みは以下のとおりです。 2023年SORACOM Harvest Data IntelligenceIoTデータ保存サービス「SORACOM Harvest Data」に蓄積された時系列データをAI分析し、異常値や傾向などを自然言語で受け取ることが可能 2023年IoT x GenAI Lab 設立株式会社松尾研究所とIoT分野におけるLLM(大規模言語モデル)の活用を研究・推進する共同ラボを設立 2024年SORACOM Fluxプログラミングの専門知識がなくても、生成AIを利用してIoTデバイスからのデータ(センサーデータ、カメラ画像など)を基に、さまざまな処理や連携を行うIoTアプリケーションを簡単に構築できるサービス 2025年SORACOM Query生成AIを統合したデータ分析基盤サービス。センサーデータやSIMの通信状況といったIoTデータを自然言語で検索・可視化・分析することが可能 2025年Wisora生成AIを活用し、ボットの「学習」から「利用」「分析・改善」まで、必要な機能を搭載した業務支援サービス ② 多様な通信規格への対応及びクラウドとの高い親和性ソラコムプラットフォームは通信サービスにおいて、セルラー回線(3G~5G)及びSigfox等のLPWA回線による通信規格に対応しているほか、仮想SIMを発行することによりWi-Fiや有線Ethernetのインターネット回線などで接続するデバイスを提供しております。また、多様な通信規格による接続を可能とし、それら通信によって収集されたデータをソラコムプラットフォーム上で、一元的かつ容易に管理可能な設計としております(「Connectivity Agnostic」と称しております)。また、ソラコムプラットフォームはパブリック・クラウド上で構築されていることから、同じくパブリック・クラウド上に構築された顧客システムとの互換性が非常に高いことに加えて、データセンターなどのプライベート・クラウドも含め、他のクラウドサービスとの連携も容易に実行可能となっております(「Cloud Agnostic」と称しております)。ソラコムグループは、上記の「Connectivity Agnostic」及び「Cloud Agnostic」を、ソラコムプラットフォームの機能柔軟性における特徴として顧客に訴求しており、一定の評価を受けているものと認識しております。 [グローバル・カバレッジ]ソラコムグループの現在の売上高においては、国内向けサービスが過半を占めておりますが、ソラコムグループは、国内向けに加えて、海外地域向けサービスも展開しております。ソラコムグループは、SIM内のソフトウェアを自社開発することで回線プロファイルの拡張を可能としており、顧客ニーズに合わせてカスタマイズできるSIM/eSIMを提供しております。海外における接続回線は、欧州、米国、アジアの複数のキャリアとの契約により当該キャリアがローミング接続する各地域の通信キャリア回線を含めた調達を実現しており、ソラコムプラットフォームは2026年3月時点において207の国と地域で、550のキャリア(注)を使用することが可能な通信カバレッジ体制を構築しております。また、契約の切り替え無しに複数のキャリアを使用できることも特徴のひとつであり、例えば、米国においては、全土にIoTシステムを配置しようとした場合に一つのキャリアが提供する通信ではIoTシステムをカバーできないという顧客側の課題がありますが、ソラコムプラットフォームにおいては複数のキャリアを使用可能とすることでこれを解消しており、同国における競争優位性を確立していると考えております。(注) キャリアは、ソラコムプラットフォームが接続可能な移動体通信事業者をいいます。 [強固なセキュリティ]IoTプラットフォームを提供するにあたり、ソラコムは2017年に情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC 27001:2013の認証を取得しているほか、AWS Foundational Technical Review等の外部機関によるシステム脆弱性診断を実施し指摘事項に対応することで、強固なセキュリティを構築しております。社内においてもISMS取得に際して情報セキュリティに関する各種規程を整備し運用したほか、四半期に一度システムに係る内部監査を実施することで、継続的にセキュリティを確認しております。このようにセキュリティの管理運営に関して充実を図ることで、ソラコムグループのIoTプラットフォームサービスを顧客が安心かつ安全に利用することが可能になっているものと考えております。 [顧客ストックの蓄積と事業拡大]ソラコムグループのサービスにおいては、IoT領域における特性として一度導入されたサービスが継続利用される傾向が強く、サービス開始以降、順調に顧客数は拡大しております。また、ソラコムグループの事業においては、導入時におけるIoTデバイスの販売、各種セットアップ料等の初期費用にかかるインクリメンタル収益に加えて、データ通信量等のサービス利用に応じた継続課金にかかるリカーリング収益を獲得する構造であることから、比較的安定したビジネスモデルが構築されていると考えております。当該ビジネスモデルにおいては、データ通信を実現する契約回線数(注1)と課金アカウント数(注2)の増加が重要となりますが、ソラコムグループと顧客企業との取引においては、サービス導入時は小規模で開始されるものの、顧客企業におけるサービス導入範囲の拡大や、顧客企業が提供するIoTビジネスの拡大等に伴い、契約回線数並びにデータ通信量が拡大するケースが多く、新規顧客獲得に加えて、既存顧客との取引拡大が事業成長に大きく貢献する構造となっていると認識しております。(注)1.契約回線数は、セルラー回線及びLPWA回線の数をいいます。2.課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。 ソラコムグループの事業系統図は以下のとおりであります。 用語解説本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記します。用語用語の定義IoTInternet of Things(モノのインターネット)の略称。様々なモノをインターネット接続して活用すること又はその技術を意味します。この仕組みにより、離れた場所にあるモノ同士のデータの授受、遠隔操作などが可能になります。IoTプラットフォームIoT向けのプラットフォーム。インターフェース2つの異なる機器やシステム、ソフトウェア間で情報のやり取りがなされる際、その間をつなぐ規格や機能であり、ソラコムにおいては、外部からWebを介してソラコムプラットフォームとの接続を可能にし、アクセス権限管理やユーザーがソフトウェアを操作したり、アプリケーションを構築できるサービスなどを提供しております。モバイルコアネットワークモバイル通信の基幹システムであり、端末の制御、加入者情報管理、通信経路設定等を行うネットワーク基盤を意味します。IoT通信IoT向けのデータ通信。パケットキャプチャー通信ネットワークや回線を流れるデータ(packet)を捕獲(capture)して、内容の表示や解析、集計などを行うことを意味します。これにより、通信の挙動の検証などを行うことができます。閉域ネットワーク不特定多数から直接アクセスを受けない、インターネットから物理的・論理的に分離されているネットワークを意味します。2G携帯電話等における通信規格「2nd Generation」の略称。デジタルな無線技術による通信を可能にした反面、通信速度が比較的遅い規格を意味します。3G携帯電話等における通信規格「3rd Generation」の略称。電波が広範囲に届くことにより様々な場所での通信が可能である反面、2Gに比べて通信速度が向上した規格を意味します。LTELong Term Evolutionの略称。3Gより後に開発された携帯電話等における通信規格であり、3Gに比べて通信速度が向上した規格を意味します。5G携帯電話等における通信規格「5th Generation」の略称。従来の無線通信システムである4G/LTEに比べ、高周波数帯を利用した超広帯域伝送などによる高速・大容量通信、低遅延、多数接続といった特長がある規格を意味します。SIMSubscriber Identity Moduleの略称。利用者を識別する固有の番号が記録されており、端末に装着することで、通信することが可能になります。LPWALow Power Wide Areaの略称。低消費電力で長距離の通信ができる無線通信技術を指します。Sigfox仏国Unabiz SAS社が提供する低消費電力・長距離伝送を特長とした、グローバルIoTネットワークを意味します。LoRaWANLoRa(Long Range)の変調方式を採用したLPWAの通信規格のひとつを意味します。LTE-MLTEの一部周波数帯域のみを利用する通信規格を意味します。 用語用語の定義VPNVirtual Private Networkの略称。暗号化等によりセキュリティを高めることを目的として、一般的なインターネット回線の中に作られた、仮想的なプライベートネットワークを意味します。AIArtificial Intelligenceの略称。人間が行う知的活動をプログラムとして実現することを意味します。Wi-Fi端末が互いに無線によって接続可能になる通信方式を意味します。Ethernet主に室内でコンピュータや電子機器をケーブルでつないで通信する通信規格を意味します。ISMSInformation Security Management System(情報セキュリティマネジメントシステム)の略称。国際標準化機構(ISO)と国際電気標準会議(IEC)が共同で策定する情報セキュリティ規格で、情報資産の保護、利害関係者からの信頼を獲得するための“情報セキュリティ体制の確保”を目的としたフレームワークを意味します。ISO/IEC 27001:2013ISMSを構築することを目的に、その構築に必要な要求事項や管理策などを記載した国際規格を意味します。AWS Foundational Technical ReviewAWS上で提供されているサービスに関して、セキュリティ・信頼性・運用上の優秀性等の観点でワークロードを評価・診断することにより、AWSのベストプラクティスに沿っているか認定する制度を意味します。回線プロファイルAPN(Access Point Name)設定プロファイル。回線へ接続するためのアクセスポイントを定義したファイルを意味します。このプロファイルを基に、回線へ接続することが可能になります。eSIMEmbedded Subscriber Identity Moduleの略称。組み込み型のSIMであり、デバイスに手動で挿入するSIMカードとは違い、デバイスの製造時に基盤に実装されます。ローミング接続通信事業者間の提携により、利用者が契約しているサービス事業者のサービスエリア外であっても、提携先の事業者のエリア内にあれば同様のサービスを利用できることをローミングといい、そのサービスを利用した接続を意味します。スマートメータリングガス・電気・水道等のメーターをインターネットに接続し、利用量や保安データの取得を可能にします。検針等にかかっていた業務コストの削減やデータの適時取得により、利用の予測と最適化、保安の高度化を実現します。スマートファクトリー工場内のシステムや生産設備等をインターネットに接続し、設備の稼働状況等のデータの取得を可能にします。得られたデータは、製造工程の可視化、生産性や品質の向上、在庫管理や物流の最適化に活用されます。LLM(大規模言語モデル)Large Language Modelsの略称。大量のデータをディープラーニング(深層学習)させることで、人が理解できる自然言語でのテキスト生成を実現します。IoT分野では、専門人材のようなデータ分析や予測などの分野で期待されています。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、本書提出日現在においてソラコムグループが判断したものであります。 (1)経営方針ソラコムグループは、グローバルに使われるプラットフォームビジネスを目指し、以下の企業理念を掲げております:「Making Things Happen for a world that works together」—モノや人がつながり、それぞれの価値が増幅し合い、想像を超える未来が次々と生まれていく世界—このプラットフォームとは、オープンでフェアで、アイディアを持つ誰もが利用できる共通の基盤です。クラウドの登場がアイディア実現の初期コストを下げ、多くのスタートアップとイノベーションを生む原動力となったように、ソラコムグループのAI/IoTプラットフォームを通じて、素晴らしいアイデアを持つお客さまがテクノロジーを活用し、社会的問題を解決することを支援します。ソラコムグループは、IoTテクノロジーのプロフェッショナルとしてこの分野のフロントランナーであり続けるとともに、先進テクノロジーが社会をより良く進化させ、サスティナブルな社会を創ると確信しております。AI/IoTコネクティビティプラットフォームの拡充とグローバル展開を加速させ、日本発のグローバルリーダーとしてグローバルNo.1を目指します。 (2)経営戦略等ソラコムグループは、上記の経営方針の下、グローバルNo.1 AI/IoTプラットフォームへの成長を実現するため、「IoT中核事業の成長と拡張」及び「海外展開の加速」を主要成長ドライバーと位置づけ、これらにM&Aによる「インオーガニック成長」を組み合わせることで持続的かつ飛躍的な成長基盤を確立するとともに、ソラコムのAI/IoT基盤の強みを活かした「新たな成長市場への展開」を加速してまいります。(a)IoT中核事業の成長と拡張ソラコムグループの中核事業であるIoTコネクティビティプラットフォームは、国内外の幅広い産業においてIoTの導入が加速するなか、引き続き堅調な成長を見込んでおります。リカーリング収益の持続的な成長ソラコムグループは、IoTサービスを始める顧客企業に向けて包括的なサービスを提供しております。具体的には、IoTデバイスやIoT SIM、IoTに必要な通信回線、IoTサービスに求められるデータ保存や可視化アプリケーション、ネットワークサービス等をプラットフォームサービスとして提供しております。ソラコムプラットフォームでは、Web上で提供するIoTストアから、IoT SIMやデバイスを1個単位で購入し、すぐにサービス利用を開始することができるセルフサービスモデル型で事業を展開しております。Web広告やイベントを通じてソラコムプラットフォームの認知度を上げるとともに、IoTの導入ハードルを下げることで、幅広いセルフサービスアカウント(注1)の獲得を目指しており、セルフサービスアカウント数の増加がひとつの成長ドライバーとなります。セルフサービスアカウント数の増加に加えて、メジャーアカウント(注2)への転換もソラコムグループの成長ドライバーになると考えております。ソラコムグループにおいては、顧客によるIoTの導入規模や成長スピード等のポテンシャルを考慮の上でサービス導入や将来の取引拡大にかかるサポートを要すると判断した場合には、IoTに精通したアカウントマネージャーが対応することとしており、さらに、顧客ニーズに応じてスムーズなサービス導入及び立ち上げを促進するプロフェッショナルサービスを提供しております。ソラコムプラットフォームを利用するセルフサービスアカウントが成長することで、契約回線数並びにデータ通信量が拡大するケースが多く、ソラコムプラットフォームの利用料が増加し、メジャーアカウントへ成長する事例も増えております。結果として、第13期連結会計年度におけるリカーリング収益のNRR(注3)は121%の伸びとなっております。また、これらのメジャーアカウントの成長による成功事例が、ソラコムプラットフォームのサービスの評価や認知向上に繋がり拡散されることによるネットワーク効果から、更なるセルフサービスアカウントの獲得に結び付くという好循環を生み出しているものと認識しております。さらに、当該ネットワーク効果は、IoTに精通しているアカウントマネージャーが比較的大規模にIoT事業を始める顧客に直接アプローチすることで、新規のメジャーアカウントの獲得にも寄与しており、2026年3月末でグループ全体の課金アカウントは1万4百と継続的に増加しております。なお、IoT領域における特性に加え上記のアカウントマネージャーのフォローにより、2026年3月末の主要顧客の年間解約率は0.4%(注4)に留まっております。ソラコムプラットフォームは、5G/6G、衛星通信、生成AI、などのテクノロジーの進化、異なる業種での顧客利用にあわせ、今後も継続して新規機能を追加していく予定であり、リカーリング収益の持続的な成長が見込まれます。国内市場戦略国内では、AI対応(AI Ready)化が求められる産業において大容量・低遅延・高信頼の通信基盤への需要が構造的に高まっており、AIが必要とする通信へのシフトが接続単価を押し上げ、接続数と単価の両面で成長が加速する局面に入ったと認識しております。また、ミソラコネクト・キャリオット等のグループアセットを統合し経済圏を拡大するとともに、クロスセルの推進、通信ネットワーク統合による原価低減、ソラコムの技術基盤の移植によってグループ全体の収益性を底上げしてまいります。ソラコムプラットフォームを活用することで、顧客企業のイノベーションの初期投資を抑え、より多くの企業が社会課題の解決に向けたAI/IoTテクノロジーの活用に取り組めるよう支援してまいります。(注1)セルフサービスアカウントとは、ソラコムのアカウントマネージャーが担当していない比較的小規模なアカウントをいいます。(注2)メジャーアカウントとは、規模や将来性等を踏まえソラコムのアカウントマネージャーが担当しているアカウントをいいます。(注3)Net Retention Rate の略称。既存顧客のリカーリング収益の継続率を表し、以下の式で算出しております。NRR=(前期以前に獲得した顧客の当期リカーリング収益)÷(当該顧客の前期リカーリング収益)。(注4)2026年3月31日時点。年間解約率 = (12か月間リカーリング収益の発生していないアカウント数) ÷ (年間1,000千円以上のリカーリング収益が発生しており、かつ、12か月間以上リカーリング収益の発生していない期間が存在しないアカウント数) (b) 海外展開の加速ソラコムグループのAI/IoTコネクティビティプラットフォームは、「2026 Gartner® Magic Quadrant™ for Managed IoT Connectivity Services, Worldwide」においてSoracom-KDDIがリーダーの一社として位置づけられたほか、複数の主要調査機関からも最高水準の評価を獲得しており、グローバルでの認知度と競争力は着実に高まっております。グローバル販売体制の構築ソラコムプラットフォームは、グローバルに提供できるBtoBプロダクトであり、日米欧の世界三拠点で販売カバレッジに対応した体制を構築しております。実際、世界標準の通信規格とメガクラウドに準拠するソラコムグループのサービスは、米国や欧州を含め海外で既にプロダクトマーケットフィットを確認しております。海外拠点においては、営業人員拡充による販売体制強化を継続しており、顧客獲得においては米国拠点、欧州拠点ごとにその地域の顧客や市場に最適化したアプローチをとっております。米国拠点:より中堅・中小企業やスタートアップ企業などを対象としてセルフサービスアカウントの獲得に注力するとともに、メジャーアカウントへ成長するサポートに注力しております。数千社規模のTSAネットワークを保有するTSD(Technology Solution Distributor)との提携を深化させることで最小限の直販リソースで高い成長を実現しております。欧州拠点:有望な見込み顧客への直接アプローチに注力することで顧客開拓を進めております。米国・欧州を中心とした社会・産業インフラへの採用が拡大するなか、グローバル売上比率はすでに4割に達しております。グローバル比率50%超を目指してまいります。今後は中南米・アジアをはじめとする新興地域への段階的な進出も進めてまいります。今後も、米国拠点と欧州拠点のそれぞれの販売体制構築に向けたリソース拡充に努めてまいります。 (c) インオーガニック成長(戦略的M&A・アライアンス)オーガニックの成長基盤を確立した上で、M&Aによるインオーガニック成長も積極的に推進してまいります。国内外のIoT MVNOの買収によるリージョン拡大と、AIやIoTソリューション領域における技術補完を両軸として、ターゲットの選定を進めております。買収後はソラコムのクラウドネイティブ・モバイルコア技術への移行によってコスト削減とサービス品質向上を同時実現し、グローバルNo.1の地位を不可逆なものとしてまいります。戦略的アライアンスの強化丸紅グループとは、ミソラコネクトの子会社化をはじめ複数の分野において戦略的協業を推進しており、あらゆる産業のデジタル変革の加速と、持続可能でスマートな社会基盤の実現を目指してまいります。ソラコムグループは主要株主であるKDDI株式会社と戦略的アライアンスを組み、コネクテッドカー分野に取り組んでおります。グローバルなコネクテッドカーは、海外の地域キャリアと連携する必要があり、ソラコムプラットフォームの海外通信キャリア連携の強みが活きる分野と考えております。通信キャリアとの連携において、KDDI株式会社へのIoT通信管理プラットフォームの開発・導入支援等も既に開始しております。今後、ソラコムグループのテクノロジーを海外の他通信会社へ提供し、売上成長及びグローバルスタンダードの確立も期待できるものと考えております。また、2024年2月にスズキ株式会社ともモビリティサービス分野のIoT先端技術の活用に向けた合意書を締結しております。これらのアライアンスを通じて、ユーザー、パートナーのみなさまとともに、テクノロジーが社会をより良く進化させるエコシステムの構築に取り組んでまいります。 (d) 新たな成長市場への展開上記の成長基盤を土台として、ソラコムグループはAI/IoT基盤の強みを活かした以下の4つの成長市場において、収益機会の拡大を加速してまいります。ソラコムプラットフォームを活用したイノベーティブなソリューション提供を通じて、様々な業界のお客さまの社会的課題解決を支援いたします。大規模案件の安定的な獲得ソラコムプラットフォームは、主力サービスであるIoT通信の「SORACOM Air」をはじめとした多くのサービスを提供しております。様々な業種の顧客においてIoTの導入が進むにつれて、多様なニーズ、事業機会が生まれると想定されます。今後のさらなる成長に向けて、顧客のフィードバックに基づくサービス開発を通じてAI/IoTプラットフォームサービスを継続的に拡充させるほか、各産業で必要とされるサービスを顧客の業務の流れやビジネス展開に沿った形で提供する取組みにより、また、クラウドカメラやIoTストア等のデバイス販売分野においても一時的な売上だけではなく、同様に顧客のニーズやビジネス展開に沿った提案をすることで、通信サービスの継続利用につなげ、事業の方向性を拡大し、収益機会を最大化してまいります。ソラコムグループは、IoTの導入を進める多くの業界へ水平に展開してきましたが、いくつかの業界においては、その業界に特化したIoTデバイスやIoT関連サービスの開発を共に行うことで、深い業界知識と様々なニーズに対応できる技術を蓄積しております。今後は、その業界特有のIoTに関する課題を解決するサービスを開発・提供するといった垂直的な展開を進めていくことによって、大規模案件の安定的な獲得につなげ、さらなる収益の向上に向けて取り組んでまいります。第一:通信事業者向けサービス(MVNE)国内外のMNOに対し、旧来型の通信設備をクラウドネイティブ・モバイルコアで代替することで設備コストの大幅削減を実現します。すでにKDDI株式会社との包括契約のもとで協業を深化させており、他の国内外通信事業者への展開を推進することで数百億円規模のMNO設備更新需要を取り込んでまいります。第二:コネクテッドカー次世代eSIM標準(SGP.32)準拠のeSIM管理を軸に、国内外のモビリティ企業へ国境を問わずシームレスな車載通信を提供します。グローバルなコネクテッドカーは海外の地域キャリアとの連携が不可欠であり、ソラコムプラットフォームの海外通信キャリア連携の強みが最大限に活きる分野と位置づけております。第三:AIネイティブカメラクラウドカメラとAI解析を組み合わせることで物理世界をリアルタイムに可視化し、現場データを経営判断へ統合するサービスを提供します。フィジカルとデジタルをAIで繋ぐプラットフォームとして、幅広い産業における需要の取り込みを図ってまいります。第四:AI×IoTソリューション通信・クラウド・デバイスを一気通貫で提供するソリューション事業を推進することで、フィジカルAI時代における新たな収益の柱を創出してまいります。生成AIによるオペレーション自動化やコスト削減効果も、グループ全体の競争力強化に寄与するものと考えております。 (3)経営環境 ①市場環境 ソラコムグループが展開するAI/IoTプラットフォーム事業は、IoTプラットフォーム市場やIoT関連のサービス市場のうち、コネクティビティ、サービス、ソフトウェア及びハードウェア(エンドポイント)を対象市場として想定しております。このIoT市場は、技術革新の波に乗り、今後も年間二桁成長率を維持することが予想されており、進化する生成AIや5Gなどのテクノロジーは、コネクテッドカーやスマートシティといった多岐にわたる業界においてIoTの展開を促進することが期待されています。また、IoTデータの蓄積が進むにつれて、その価値はさらに増大すると予測されており、2026年時点で全世界でそれぞれコネクティビティ市場(セルラー・LPWA回線他)は約646億ドル、インフラストラクチャ市場(クラウド基盤やデータ処理等)は約738億ドル、ソフトウェア市場(IoTプラットフォームやアプリケーション等)は約1,324億ドル、エンドポイント市場(センサーやセキュリティ機器等)は約3,081億ドル及びサービス市場(システム設計や構築等)は約626億ドルと、2029年時点では合計で約9,523億ドルの市場規模が見込まれております(注)。ソラコムグループが注力するコネクティビティ市場はもちろんのこと、ソフトウェアやサービスを含む広範な領域で成長機会があります。(注) 市場規模は、IDC「Worldwide Internet of Things Spending Guide」(2025年12月)におけるConnectivity、Infrastructure、Software、Endpoint及びServicesの各市場規模(米ドル)を参照しております。 ② 競争優位性について ソラコムグループは、IoTに必要な通信回線やデバイスを提供するとともに、インターフェースやアプリケーション、ネットワークサービス等、IoTを導入・運用する際に必要となる多種多様な機能をワンストップで利用可能なプラットフォームを提供しております。国内外の移動体通信事業者(MNO)より通信回線(携帯電話網)を調達し、サービスを提供するとともに、必要に応じて経営資源とノウハウを補完し合えるエコシステムパートナーとの協業を図り、常に変化する市場環境と多様化する顧客ニーズにスピード感をもって的確に対処することで、競合サービスとは異なる優位性を構築しております。 ③ 事業・サービスの概要について ソラコムの主要なサービスの内容につきましては、「第1 企業の概況 3 事業の内容(2)事業・サービスの概要」に記載しております。 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 ソラコムプラットフォームは従量課金モデルで提供しており、リカーリング収益の拡大を経営上の目標としております。その達成状況を判断する上で、契約回線数や課金アカウント数を重要な指標としております。リカーリング収益は経常的に得られる利用料の合計額であり、経営上の目標の達成状況を把握するものです。リカーリング収益を拡大させるためには特に課金アカウント数(注1)とリカーリング収益のARPA(注2)の拡大が重要と考えております。(注1)課金アカウント数は、1ヶ月の間にリカーリング収益が発生した口座数をいいます。同一の顧客企業等が部署や業務別に複数の口座を有する場合が含まれております。(注2)Average Revenue Per Accountの略称。1アカウントあたりの平均売上金額を示す指標を意味します。 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題AI/IoTプラットフォーム市場やIoT関連のサービス市場は、事業環境の変化が早く、顧客企業のニーズが絶えず変化しております。ソラコムグループは直面する課題に対処するだけではなく、今後さらなる成長を実現するために、以下の取組みを行ってまいります。 ① 優秀な人材の採用と育成ソラコムグループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人材を採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えております。特に、イノベーションによりIoTの力で顧客の課題解決並びに事業成長を支援できるAI/IoTプラットフォームを開発・提供していくことが重要と考えており、顧客ニーズを適切に把握できる営業や開発の人員の強化が求められております。ソラコムグループのミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材を採用するために、積極的な採用活動を推進するとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取組んでまいります。 ② 技術力の強化と追加サービスの展開AI/IoTプラットフォームに係る独創的な技術力はソラコムグループの競争力の源泉であり、事業の成長を支える基盤でもあることから、継続的な改善、強化が重要であると考えております。優秀な技術者の採用や先端技術の把握及びソラコムサービスへの反映を通じて、技術力の向上に取組んでまいります。またAI/IoTプラットフォームとしての価値向上のために、自社サービスの追加開発や、ソラコムプラットフォームにおいて他社のアプリケーションの連携を容易にする仕組みを継続的に開発し続けてまいります。さらに、成功事例として蓄積されたノウハウを横展開し、新規顧客の獲得を進めてまいります。 ③ 海外市場における事業成長ソラコムグループは、2016年11月の北米におけるサービス開始、2017年2月の欧州におけるサービス開始を起点に、海外市場への展開を開始いたしました。世界的なIoT導入の加速、インターネットに接続されるデバイス数の飛躍的な増加を背景に、1回線から手軽にIoTを始めることを可能にするソラコムのビジネスモデルは海外市場においても事業機会を形成することができるものと考えており、ソラコムグループは、投資規律を維持しつつ、今後も戦略的に海外市場での事業成長を図ってまいります。 一方で、ソラコムグループの海外事業は人材の採用・育成やマーケティング活動に対する投資段階にあり、中期的には売上高拡大を重視した海外事業のさらなる拡大に向けて、以下2点の取組みを重点的に行ってまいります。 a. 営業体制の強化 ソラコムグループの海外事業の成長を加速させる上で、海外拠点における営業体制の拡充は必要不可欠であると考えております。ソラコムグループは、ミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材の確保や、教育研修制度の拡充を行うことで、より強固な営業体制の構築に努めてまいります。なお、米国及び欧州における営業体制は一定の規模に達しており、現在は人材の質の向上と組織の最適化に注力しております。 b. 顧客獲得・マーケティング強化にかかる対応グローバルでの認知度も高まっており、世界的な調査会社であるCounterpoint ResearchによりCMP(Connectivity Management Platform)ランキングにおいて3年連続でリーダーに選出され、IoT MVNOの中で最高のケイパビリティ評価を獲得しました。また、2026年のGartner® Magic Quadrant™ for Managed IoT Connectivity ServicesにおいてもSoracom-KDDIがリーダーの1社として位置づけられました。海外顧客基盤の拡大のためには、さらなる知名度の向上が不可欠と考えております。ソラコムグループは、今後もオンライン、オフライン双方でのイベント開催等を中心とした情報発信を通じて、知名度向上に努めてまいります。 ④ 戦略的アライアンスパートナーとの事業連携ソラコムは、2021年6月にセコム株式会社、ソースネクスト株式会社、ソニーグループ株式会社、日本瓦斯株式会社(ニチガス)、株式会社日立製作所及びWorld Innovation Lab(WiL)の6社と資本提携を含むパートナーシップを締結しております。6社とのグローバルビジネス協業を通じて、ソラコムプラットフォームの国内外における利用実績を拡大し、顧客フィードバックに基づいてサービスを拡充していくことを目的としております。また、今後は事業ポートフォリオの拡大及び既存事業とのシナジー創出等による事業成長を目的とし、IoTに関連するデバイスやアプリケーション領域にて事業展開する企業に対するソラコムグループからの出資を行う方針であります。その一環として、2022年5月には、ビジネス分野でのカメラ活用を推進するためIoTスマートホーム製品を開発・製造販売するアトムテック株式会社と資本業務提携を開始しております。また、2024年2月にスズキ株式会社とモビリティサービス分野におけるIoT先進技術の活用に向けた合意書を締結しております。ソラコムグループは、必要に応じて経営資源とノウハウを補完し合えるアライアンスパートナーとの協業を図り、常に変化する市場環境と多様化する顧客ニーズにスピード感をもって的確に対処しながら、企業価値のさらなる向上に向けて事業展開を進めてまいります。 ⑤ 通信ネットワークの増強多様な顧客が手軽に利用できるAI/IoTプラットフォームを構築するためには、通信ネットワークの運用効率化の推進が必要となります。ソラコムグループは、特に海外における複数地域キャリア等からの回線調達の拡充を重点的に行うことで、今後も通信ネットワークの増強に努めてまいります。 ⑥ 自社デバイス製品の開発強化ソラコムグループは、IoT領域における技術革新に迅速に対応し、事業競争力の向上を図るため、今後新たな人員確保、研究開発の拡充を通じて、セルラー対応のAIカメラ、IoTセンサーといった自社デバイス製品の開発を強化していく方針であります。 ⑦ 出資による資本提携の実施ソラコムグループは、IoTに関連するデバイスやアプリケーション領域にて事業展開する企業等への出資による資本提携を通じて、ポートフォリオの拡大及び既存事業とのシナジー創出等による事業成長を検討してまいります。この戦略の一環として、2024年10月には、IoTプラットフォーム開発・提供を手掛ける株式会社キャリオットを連結子会社化しました。これにより、ソラコムのIoTソリューション提供能力が強化され、顧客への付加価値提供がさらに向上しました。また、2025年8月には、丸紅ネットワークソリューションズ株式会社のMVNO事業を承継した株式会社ミソラコネクトを連結子会社化し、IoT通信サービスの提供基盤をさらに強化しました。 ⑧ 財務上の課題ソラコムグループの当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高は767,457千円、現金及び預金の残高は9,269,384千円となっており、ソラコムグループの事業を推進していくうえで十分な流動性を確保しており、現時点において優先的に対処すべき財務上の課題はございません。しかしながら、今後事業拡大のための優秀な人材の採用や広告宣伝・販売促進等のマーケティング投資、AI/IoTコネクティビティプラットフォーム「SORACOM」の拡充のための開発投資を進めていった際に、意図した投資成果が得られない場合には、流動性が低下する可能性があります。ソラコムグループは、事業規模の拡大状況から投資タイミングを見極め、投資成果を最大限に得られるようなリスク対策や施策を行いながら、投資を進めてまいります。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ソラコムの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。中にはソラコムとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくはソラコムの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。ソラコムはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、ソラコム株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載も併せて、慎重に判断した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在において判断したものであります。顕在化の時期については具体的な記載があるものを除き、本書類提出日時点で合理的に時期を見積もることは困難と判断しております。 (1)事業展開等について① 特定の取引先に対する売上比率について(顕在化の可能性:小、影響度:中)第13期連結会計年度におけるソラコムグループの連結売上高に占めるKDDI株式会社(主要株主)に対する売上高の割合は9.3%となりましたが、2026年3月期に締結した包括契約に基づく協業の一環として、コネクテッドカー、モバイルコアシステムのOEM提供、生成AIとIoTの活用に向けた取組みを推進しており、引き続き売上の拡大を見込んでおります。ソラコムグループにおいては、今後もKDDI株式会社を含む上位取引先との良好な関係構築に努めるとともに、新規顧客獲得に注力することにより、その依存度低減を図る方針であります。しかしながら、当面は当該上位取引先の割合は一定程度高い状態が継続するものと考えられ、当該顧客企業における事業サービス動向に影響を受けるほか、事業戦略や取引方針等に変更が生じた場合は、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② AI/IoTプラットフォームについて(顕在化の可能性:小、影響度:大)(a)通信回線の調達についてソラコムグループは、仮想移動体通信事業者(MVNO)であり、事業運営基盤となる通信回線(携帯電話網)は国内外の移動体通信事業者(MNO)より調達しており、その他複数の通信事業者と回線調達にかかる契約を締結しております。ソラコムグループは、これら調達先と良好な関係を維持するとともに、事業拡大や効率的なネットワーク運営等を踏まえた調達先の拡大等、通信回線の安定調達を推進していく方針であります。しかしながら、一部は代替困難となる通信回線等もあり、何らかの要因により通信回線の調達に支障が生じた場合はソラコムグループの事業運営に影響を及ぼす可能性があるほか、将来において回線調達コストの上昇が生じた場合には、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、各調達先における通信回線サービスの長期にわたる中断や停止、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害その他の想定外の事象発生に起因する大規模通信障害等が発生した場合には、ソラコムグループにおけるサービス提供不全等が生じ、収益機会の逸失やサービスに対する信頼性低下等により、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、ソラコムプラットフォームにかかる顧客利便性向上及び通信ネットワークの運用効率化を図るため、海外における複数地域キャリア等からの回線調達の拡充を行う計画を有しております。各社との取引契約にかかる条件により設備投資費用の一部負担や預託金等の供出を要請される可能性があり、複数社との契約を締結することにより当該支出が多額となる可能性があります。 (b)クラウドサービス上におけるサービス提供についてソラコムグループは、外部クラウドサービス上に[IoTプラットフォーム用システム]を構築した上で各種サービスを提供しており、事業運営においてはクラウドサービスの安定稼働が重要な要素となります。ソラコムグループは、Amazon Web Services社が提供するサービス(以下「AWS」という。)を活用しており、AWSは全世界に点在する複数の地理的リージョン(注1)及びアベイラビリティゾーン(注2)にて運用されており、FISC安全対策基準(注3)を満たす安全性を備えているものと認識しております。また、ソラコムグループは、クラウドサービスの継続稼働にかかる常時監視、障害発生又は予兆検知時のアラート通知及び早期復旧体制の構築等の対応を実施しております。しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害その他の想定外の事象発生によりクラウドサーバーの停止、コンピュータ・ウイルス、クラッカーの侵入又はその他不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAWSの継続利用に支障が生じた場合には、サービス提供に支障が生じることにより顧客からの損害賠償やその対応にかかる追加費用負担等が発生する可能性があるほか、ソラコムグループのサービスやブランドに対する信頼性毀損等により、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(注1) 地理的に独立したサーバーの設置エリアのことをいいます。各リージョン同士は完全に独立しているためひとつのリージョンで障害が発生しても他のリージョンには影響が出ない設計となっております。(注2) リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称のことをいいます。(注3) 公益財団法人「金融情報システムセンター(FISC:The Center for Financial Industry Information Systems)」が提供するガイドライン「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」 ③ SIM及びデバイス商品仕入について(顕在化の可能性:中、影響度:中)ソラコムグループは、一部の通信サービス用SIM及びIoTデバイス商品(ソラコム独自仕様含む)について、外部の海外事業者より商品仕入を行っております。また、ソラコムグループは、近年における電子部品不足等の状況を踏まえて、商品在庫の確保施策等に努めております。しかしながら、当該仕入については、製造元の供給能力や半導体その他の部材確保状況、その他のサプライチェーン動向等の要因から、継続かつ安定した商品仕入が困難となった場合、また、代替困難な商品について重大な欠陥が生じた場合等においては、ソラコムグループの事業拡大の制約要因となる可能性があり、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 海外事業展開について(顕在化の可能性:小、影響度:小)ソラコムグループの事業展開は、現在、国内に加えて、連結子会社であるSoracom Global, Inc.(米国)及びSORACOM CORPORATION, LTD.(英国)において、米国及び欧州その他の海外地域における事業展開を推進しております。現時点においては、海外地域におけるソラコムグループの認知及び顧客獲得実績は限定的であり、海外事業の拡大を企図し、人員体制強化によるマーケティング及び顧客獲得強化等を推進しております。しかしながら、当該施策がソラコムグループの想定通り推移する保証はなく、海外事業の拡大に支障が生じた場合や事業推進のためにさらなる投資が必要となった場合、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、海外で事業活動を行うにあたっては、地政学上のバランス、各国の政治・経済情勢、為替の変動、外資規制・知的財産権等に関するものを中心とした法規制の新設又は変更等のリスクが存在すると考えております。ソラコムグループはこれらのリスクを事前又は適宜に把握する社内体制を構築しており今後も必要な対応を講じていく方針でありますが、これらのリスクが顕在化した場合は、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 為替変動について(顕在化の可能性:大、影響度:小)ソラコムグループの事業においては、海外顧客向けの販売(国内顧客向けグローバル回線販売含む)及び海外通信回線の調達については外貨建て取引にて実施しております。また、SIM及びデバイス商品については海外商品があり、日本円建て取引を含めて為替変動の影響を受けております。ソラコムグループは、現在、外貨建て取引の割合、外貨建て仕入及び販売による相殺効果等を考慮して特段の為替リスク対策は実施しておらず、急激な為替変動が生じた場合にはソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 事業環境について① IoT関連市場の動向について(顕在化の可能性:小、影響度:大)ソラコムグループのIoTプラットフォーム事業は、今後の国内及び海外のIoT関連市場の成長を事業展開の前提と考えており、ソラコムグループの事業成長は当該市場動向に依存しているといえます。国内外のIoT関連市場は現在発展途上であり、また、今後も継続的な市場成長を想定しておりますが、ソラコムグループの事業展開地域における景気の低迷や設備投資縮小、IoT領域にかかる新たな法的規制の導入や規制強化、技術革新の停滞などの要因により、IoT関連市場の成長が阻害される場合やソラコムグループの想定どおりの規模に成長しない場合には、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、持続的な成長に向け、継続収入であるリカーリング収益拡大に注力しているほか、事業展開地域における景気変動や経済情勢等を分析し、市場の変化を適切に経営戦略に反映させるとともに、海外展開により特定地域への依存を軽減し、顧客ニーズの変化に応じたサービスの提供によりリスクの低減を図っております。また法的規制の動向につき国内外の弁護士等の専門家と連携し、適時に把握し、必要な対応をとるよう努めております。更に、常に最新の技術動向を注視し、優秀な人材の確保や教育を通じた技術水準の向上を図るとともに、既存サービス・機能の向上や新規開発等を目的とした投資の必要性について判断を行っております。 ② 技術革新等への対応について(顕在化の可能性:小、影響度:中)ソラコムグループの事業展開においては、特にIoT領域におけるビジネス・サービス動向や顧客ニーズに対応したプラットフォームやサービス・機能の拡充・更新等を適時かつ継続的に行うことが重要であると考えております。また、IoT領域に関連する技術革新のスピードは非常に速く、先端技術に対応するサービスを提供し続けるためには、常に技術ノウハウを獲得し、開発プロセスに取り入れていく必要があります。そのため、ソラコムグループは、高度なスキルを有するエンジニアの採用及び育成、創造的な職場環境・開発環境の整備を進めるとともに、技術的な知見・ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる施策に拘わらず、ソラコムグループにおける技術革新等への対応が困難となる場合はサービスの陳腐化や競争力低下が生じる可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム投資又は人材投資等の支出が増加する可能性があり、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 競争状況について(顕在化の可能性:中、影響度:中)ソラコムグループが事業を展開するIoT関連業界においては、移動体通信事業者(MNO)や各種MVNO事業者まで多数の競合企業が参入しサービスを提供しており、その競争は激しい状況にあると認識しております。ソラコムグループは、クラウド上にモバイルコアネットワークを独自に構築し、IoTを導入・運用する際に必要となる多様な機能をワンストップでかつ安価に利用できるIoTプラットフォームが競争力の源泉となっているものと認識しており、また、過年度における顧客導入実績等から国内IoT業界において一定の市場認知を獲得しているものと考えております。ソラコムグループは、提供サービスについて、継続的な機能拡充、品質向上及び利便性追求等により競争力維持に努めていく方針でありますが、既存事業者との競争の激化や、新たな参入事業者がソラコムのシステムに類似する仕組みを構築する等によりソラコムグループの優位性が損なわれる場合には、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 法的規制について(顕在化の可能性:小、影響度:中)ソラコムは、IoTに必要な通信回線を提供するため、電気通信事業者として総務省に登録を行っており、電気通信事業法の規制を受けております。電気通信事業としての登録に有効期間はありませんが、ソラコムの業務運営に関し、通信の秘密の確保やその他業務運営が適切ではないと判断された場合は、総務大臣より業務方法の改善命令その他の措置が実施されることとなります。また、電気通信事業法第14条に定められた事項に該当した場合は、電気通信事業者の登録の取消しとなります。現在、電気通信事業者の登録の継続に支障をきたす要因は発生していませんが、登録が取り消された場合、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、ソラコム事業においては、消費者保護法、電気用品安全法、個人情報保護法等の法規制を受けております。また、ソラコムグループは、海外地域においても事業活動を行っており、その対象となる各国及び地域の電気通信関連の法規制が適用されており、必要な届出又は許認可取得を実施しております。その他、労働安全衛生、労使関係、外国投資規制、外資規制、国家安全保障、消費者保護、競争政策、税制及び環境保護等に関連する様々な法律及び規制の対象となっております。ソラコムグループにおいては、各種法規制を踏まえた社内規程やマニュアル整備等による社内体制の構築、各地域の法律専門家の活用、行政当局への相談等により、法令を遵守した業務運営に努めております。しかしながら、ソラコムグループが法令等に違反する行為を行った場合、その違反意図の有無にかかわらず、行政当局から処分又は指導を受けることにより事業運営に支障をきたす可能性があるほか、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。また、今後上記の法的規制やこれに関連する法解釈が変更されたり、新たな法的規制が導入された場合には、ソラコムグループの事業運営が制約される可能性があります。これらの場合には、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)事業体制について① 人材の採用・育成について(顕在化の可能性:小、影響度:中)ソラコムグループは、今後想定する事業成長や企業規模拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが重要であると認識しております。サービスにかかる品質確保や安定稼働、競争力向上に際しては、開発部門を中心とした高度な技術力・企画力を有する人材が必要であり、また、国内外における新たな顧客獲得や顧客サポートを強化するため、営業及びマーケティング部門における組織体制強化も必要となり、継続的な人材採用とともに、既存人材の育成・強化が必要であると考えております。ソラコムグループでは、国内外において、営業及びマーケティング部門、エンジニア部門および経営管理部門等の人員強化を図るとともに、部門別・職階別研修等による計画的な人材育成に努めております。しかしながら、エンジニアその他の優秀な人材確保にかかる競争は厳しく、ソラコムグループが必要とする優秀な人材確保が計画通りに進展しない場合や人材確保にかかる費用上昇が生じた場合、また、既存人材の育成が図られない場合や社外流出が生じた場合、ソラコムグループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ② 内部管理体制の整備状況にかかるリスクについて(顕在化の可能性:小、影響度:中)ソラコムグループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、ソラコムグループの事業運営、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。 ③ コンプライアンス体制について(顕在化の可能性:小、影響度:中)ソラコムグループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っております。併せて、コンプライアンス体制の強化にも取組んでおります。しかしながら、これらの取組みにもかかわらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後のソラコムグループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、ソラコムグループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 知的財産権の管理について(顕在化の可能性:小、影響度:小)ソラコムグループは、提供している商品・サービスに関する知的財産権の取得・維持・活用に努めております。しかしながら、先行する技術や商標の存在等により、ソラコムが希望する態様で知的財産権を取得できず、ソラコムグループの商品・サービスを模倣する商品・サービスに対して十分な対応ができない可能性があります。また、ソラコムグループは、第三者の知的財産権の侵害を防ぐため、必要に応じて知財担当者又は外部への委託等により調査を行っております。しかしながら、万が一、ソラコムグループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者に対して損害賠償の支払いや、侵害を構成するソラコムグループの商品・サービスの名前又は仕様の変更が必要となる可能性があります。これらの結果として、ソラコムグループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 情報管理体制について(顕在化の可能性:小、影響度:中)ソラコムグループは、電気通信事業者として通信の秘密の保護を遵守するとともに、取り扱う情報資産の保護、管理に関して、情報セキュリティ委員会を設置して内部からの情報漏洩防止、及び外部ネットワークからの不正侵入の防止に関わる全社的対応策の策定及びGDPR等グローバルな法制度への対応を実施しております。しかしながら、情報の漏洩等が発生した場合、ソラコムグループのブランドイメージや信頼性の失墜、莫大な補償・課徴金を伴う可能性があります。また、将来的に通信の秘密及び顧客情報保護体制の整備のため、さらなるコストが増加する可能性があり、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4) KDDI株式会社との関係についてKDDI株式会社は、本書提出日現在におけるソラコムの発行済株式総数の42.1%を保有しており、同社はソラコムの主要株主であります。 ① KDDIグループとの資本関係(顕在化の可能性:小、影響度:小)同社は、ソラコム株式上場に伴う一部保有株式の株式売出し等により株式保有割合は42.1%となりましたが、今後もソラコムが同社持分法適用会社に該当する水準にてソラコム株式を継続保有する方針であります。KDDIグループの適切な運営を目的として、ソラコムの経営において、同社の承認を要する事項は存在しておりませんが、同社において適時開示が必要となる事項に限り事前報告を行うことが定められており、同社は議決権の行使を通じてソラコムの経営判断に影響を及ぼし得る立場にあることから、同社利益が他の株主の利益と一致しない可能性があります。 ② KDDIグループとの人的関係について(顕在化の可能性:小、影響度:小)本書提出日現在、ソラコム取締役7名のうち、主要株主であるKDDI株式会社より1名を選任しております。豊富な経営知識から、ソラコム事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。兼任している役員は以下のとおりであります。 ソラコムにおける役職氏名兼務先における役職 取締役藤井 彰人執行役員 先端技術統括本部長 ③ KDDIグループにおけるソラコムの位置付けについて(顕在化の可能性:小、影響度:小)ソラコムは、KDDIグループにおいて、IoTやクラウド等を活用したビジネスDX(デジタルトランスフォーメーション)を担う会社として位置付けられております。主要株主であるKDDI株式会社においては、移動通信及び固定通信を中心とする通信事業をコア事業としているものの、これらに付随してIoTサービスを提供しており、広くIoTという領域でみれば、ソラコムと一部事業領域が重複しております。主要株主であるKDDI株式会社は、通信基地局等を保有したMNO(移動体通信事業者:Mobile Network Operator)であり、IoT領域においては、主に大規模顧客等に対するIoTシステム構築及び個別開発を前提とした事業を展開しております。これに対しソラコムグループは、通信基地局等を持たないMVNO(仮想移動体通信事業者:Mobile Virtual Network Operator)であり、IoTに必要となる機能・サービスをクラウド上に独自プラットフォームとして構築し、顧客に提供する形態により事業を展開しており、事業上の棲み分けがなされているため、事業展開に影響を及ぼす競合等は生じておりません。また、ソラコムはKDDI株式会社との間で締結する業務提携契約に基づき、KDDI株式会社が構築する「IoT世界基盤」にかかる開発支援及びプラットフォームサービスの提供、その他技術開発支援等を受託しており、一部事業において協業しております。「IoT世界基盤」はソラコムのIoTプラットフォーム形成に関連する通信技術とau国際ローミングや閉域接続サービスを含むKDDI株式会社の世界規模の通信カバレッジを融合させたサービスであり、IoTによるシステム保守やメンテナンスのDX(デジタルトランスフォーメーション)やサブスクリプションモデルのグローバル展開など全産業の幅広い事業法人を対象に展開しております。なお、事業展開に影響を及ぼす競合等は生じておりません。なお、ソラコムグループにおいては上記の関係を継続していく方針でありますが、将来においてKDDIグループにおける経営方針及び事業戦略等の変更が生じた場合には、競合が生じる可能性があります。 ④ 主要株主であるKDDI株式会社との業務提携契約について(顕在化の可能性:小、影響度:小)ソラコムグループは、協業による通信ネットワークに関する技術開発及び収益ビジネスの創出・拡大を目的とし、KDDI株式会社と業務提携契約を締結しております。業務提携の主な内容は、新たな通信サービスの共同での技術開発及び販売等、ソラコムが保有するデータ通信に関連する技術及び知見を活用したKDDI株式会社の通信ネットワークの高度化、KDDIグループが保有する通信に関連する技術開発環境及び営業上の販路等のリソースを活用したソラコムの販路拡大及び競争力強化になります。また、ソラコムグループは当該契約において指定される国内及び海外の移動体通信事業者等(指定事業者等)と指定される業務(指定業務)と競業する行為を行おうとするときは、KDDI株式会社との事前合意又は事前協議を経ることを義務付けられております。本書提出日現在、当該契約における指定業務は「KDDIグループが保有するネットワークの改善・高度化を図るための技術検証及び開発」並びに「IoT 世界基盤等の提供可能範囲・サービス内容拡充のための技術連携・サービス開発」に限定されており、ソラコムの提供しているサービスについては、顧客が指定事業者等に該当しないか、指定業務と競業する行為に該当しないかのいずれかとなっているため、ソラコムグループの事業及び業績に与える影響も限定的であります。しかしながら、今後のソラコムグループのビジネス展開がKDDI株式会社との競合に該当し同意が得られない場合や、当該契約の内容によりソラコムグループの将来の事業活動が阻害される場合には、ソラコムグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。なお、過去に、ソラコムグループのビジネス展開がKDDI株式会社との競合に該当した事例はありません。 ⑤ KDDIグループとの取引関係について(顕在化の可能性:小、影響度:小)ソラコムグループは、移動体通信事業者(MNO)であるKDDI株式会社と「IoT世界基盤」に係るプラットフォームサービスの提供及びソフトウェア開発等の業務受託取引並びにその他の取引を行っております。また、ソラコムグループは、KDDI株式会社を含むKDDIグループとの取引(関連当事者取引)を実施するにあたっては、関連当事者取引管理規程に基づき、年間取引金額が1百万円以上となる新たな取引については事業計画決議時又は取引開始前に取締役会において事業上の必要性、取引条件の妥当性を検討のうえ、承認を得ることとしております。さらに、事業年度をまたいで継続する取引についても、事業計画決議時の取締役会において事業上の必要性、取引条件の妥当性を報告することで、適切に牽制する体制を構築しております。ソラコムグループと主要株主であるKDDI株式会社との取引については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」をご参照ください。 (5) その他のリスクについて① 配当政策について(顕在化の可能性:中、影響度:小) ソラコムグループは、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化及び競争力の確保を経営の重要課題として位置付けております。現時点では、ソラコムグループは成長過程にあると考えており、内部留保の充実を図り、事業拡大と事業の効率化のための投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。このことから、創業以来配当は実施しておらず、今後においても当面の間は内部留保の充実を図る方針であります。将来的には、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主への利益還元を検討していく方針ですが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。 ② 税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性:大、影響度:小、顕在化の時期:中期)第13期連結会計年度末は、ソラコムグループに税務上の繰越欠損金が存在しております。ソラコムの経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合や税制の変更等により繰越欠損金が十分に活用できない場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、当期純損益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 ③ 訴訟等について(顕在化の可能性:小、影響度:小)ソラコムグループは、本書提出日現在において、業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。ソラコムグループは、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施する等、法令違反などの発生リスクの低減に努めておりますが、事業を展開する中で、ソラコムグループが提供するサービスの不備、情報漏洩、役職員のトラブル等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御の為に費用と時間を要する可能性があるほか、ソラコムグループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、ソラコムグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ④ 自然災害・事故等について(顕在化の可能性:中、影響度:中)ソラコムグループでは、自然災害・事故等に備え、サービスの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止又は回避に努めておりますが、ソラコムグループの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、ソラコムグループが保有する設備の損壊や電力供給やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、ソラコムグループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑤ 株式の追加発行等による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:中、影響度:小、顕在化の時期:中期)ソラコムグループは、ソラコムグループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後においても新株予約権又は譲渡制限付株式等を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合や譲渡制限付株式の発行に伴い、ソラコム株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は4,320,555株であり、発行済株式総数 45,579,505株の9.5%に相当しております。 ⑥ 調達資金の使途について(顕在化の可能性:小、影響度:中)株式上場時における公募増資による調達資金の使途については、事業拡大のための人件費及び採用費、広告宣伝・販売促進等のマーケティング投資並びにIoTプラットフォーム「SORACOM」の拡充のための開発費に充当する予定であります。しかしながら、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても、想定通りの投資効果を得られない可能性があります。また、市場環境の変化が激しく、計画の変更を迫られ調達資金を上記以外の目的で使用する可能性があり、その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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