JSHグループは、JSH及び連結子会社であるショウタイム24株式会社の計2社で構成されております。
JSHは、「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」を企業理念とし、「地域を問わず全ての人が、心豊かに、能力や個性を発揮できる社会の実現」を目指すゴールとして、在宅医療事業及び地方創生事業に取り組んでおります。
在宅医療事業は、近年の精神疾患者の増加に伴う在宅医療ニーズの高まりを受け、医療機関への訪問診療のコンサルティング及び、精神疾患者を主たる対象者としたJSH看護師職員等による訪問看護サービスを提供しております。
地方創生事業は、過疎化の進展に伴う人口減少や地場産業の衰退に伴う雇用機会の減少等、地方が直面している課題を解決することを目的とした事業であり、障がい者雇用支援事業、観光物産事業により構成されております。
なお、2019年11月にJSHを存続会社として、連結子会社4社と合併しておりますが、合併前はJSHが持株会社であり、日本在宅医療株式会社、インタービーイング株式会社及びジャパンサポート株式会社の3社が在宅医療事業に関連する事業を主として行っており、株式会社トレースエンタープライズにて地方創生事業を行っておりました。
また、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報)」をご参照ください。
地方創生事業は、過疎化の進展に伴う人口減少や地場産業の衰退に伴う雇用機会の減少等、地方が直面している課題を解決することを目的とした事業であり、①障がい者雇用支援事業、②観光物産事業により構成されております。
我が国が直面している課題に対して、官民一体となって取り組み、将来にわたって活力ある日本社会を維持する観点から2014年12月に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」が閣議決定され、2015年度から2019年度までを対象期間とする第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(以下、「総合戦略」という)が策定されました。第1期「総合戦略」では、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」、「地方への新しいひとの流れをつくる」、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」及び「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」が4つの基本目標とされております。2019年12月には「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン(令和元年改訂版)」及び2020年度から2024年度までを対象期間とする第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され、4つの基本目標に加え、2つの横断的な目標が設定されました。
JSHは、地方と都市の社会構造的不均衡を是正すべく、障がい者雇用支援事業により「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」という第1期「総合戦略」の1つ目の基本目標に取り組み、観光物産事業により「地方への新しいひとの流れをつくる」という「総合戦略」の2つ目の基本目標に取り組んでおります。また、第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の横断的な目標として設定された「新しい時代の流れを力にする」においては、「SDGsを原動力として地方創生を推進する」ことが明記されておりますが、JSHは障がい者雇用支援事業及び観光物産事業の両事業においてSDGsを意識した取り組みを行っており、障がい者雇用支援事業においては障がい者の働き甲斐の向上や健康的な生活等の推進に取り組み、観光物産事業においては民泊や体験プログラムを通じたサステイナブル・ツーリズム等の推進にも取り組んでおります。
① 障がい者雇用支援事業
民間企業における障がい者の法定雇用率(障害者雇用促進法にて定められた民間企業の障がい者雇用率。従業員を40人以上雇用している事業主は、従業員に占める身体障がい者・知的障がい者・精神障がい者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります)が、2024年4月に2.5%へと段階的に引き上げられ、更に2026年7月からは2.7%に引き上げられることが決定しており、民間企業による障がい者雇用の需要の拡大が見込まれております。
上記のように民間企業においては今後障がい者の雇用不足が拡大し、特に民間企業が集中する地域において大きな需要が発生することが見込まれます。障がい者の雇用義務がある民間企業は全国で117,239社ございますが、そのうち、24,995社が東京都、9,543社が大阪府、7,434社が愛知県、5,512社が神奈川県に集中しており、当該4都府県で全国の40.5%を占めております(厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」)。一方、地方においては障がい者の雇用義務がある民間企業の数が限られていることに加え、都市部の企業と比較して従業員数が少ない企業が占める比率が高いことから、障がい者の就労機会が限られており、都市と地方においては障がい者の就労機会の格差が存在していると認識しております。
JSHの障がい者雇用支援事業は、利用企業における安定的な障がい者雇用の実現や、ダイバーシティの重要性の理解促進のため、地方に在住している障がい者に就労機会を提供することを通じて、地方に在住している障がい者の社会参加、地域社会への適合と職業能力の開発、経済的自立を支援していく事業です。
JSHは就労機会が限られた地域において農園を開設し、障がい者の就労機会の地域間格差解消を図るとともに、障がい者が経済社会を構成する一員として能力を発揮する機会の確保、就労を希望する障がい者が、その能力や適性に応じた働き方を通じて障がいの特性や職業能力等に関わらず、住み慣れた地域で仕事を通じて自己実現ができる社会の実現に取り組んでおります。
JSHサービスの利用企業による適正な雇用管理のもとで、JSHでは障がいの特性に応じた働き甲斐のある就労環境の整備に努めております。例えば、障がい者が農園で栽培した収穫物はサービス利用企業の社員食堂や農園周辺のこども食堂等において有効活用されるだけでなく、地域の小売店等を通じて販売されており、障がい者にとって働き甲斐を感じてもらうことができる仕組みとなっております。
厚生労働省が2024年12月に公表した「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」によると、2024年6月1日時点において法定雇用率を達成できている民間企業はおよそ半分の46.0%という状況にあります。
その背景には障がい者を求人し、雇用する側である企業において、①採用したくても応募がない、②障がい者の仕事となる業務の切り出しが難しい、③バリアフリー対応等、障がい者を受け入れる職場環境を整えることが難しい、④採用しても受け入れる部署の理解が得られにくい等により、サポートする体制を整えられていない、⑤採用しても早期に離職してしまう等の課題があると考えられます。
これら障がい者雇用に関するさまざまな課題の解決手段、地域の特性から就労機会が限られている障がい者の雇用創出手段として、JSHでは地方に在住している障がい者及び障がい者を管理する管理者を企業等へ紹介し、当該人材紹介先企業等に採用された障がい者の就労の場としてJSHが設置している農園をご利用いただくとともに、農作業に必要となる水耕栽培設備を賃貸するサービスを提供しております。
JSHでは、「障がいの特性や程度に応じて作業の割り振りが行いやすい」「収穫の喜びを感じることができる」という点で農作業を、「毎営業日、作業が必要であること」「安全かつ快適な職場環境が用意できる」「多様な栽培品種に対応できる」という点で、水耕栽培を選んでおります。
またJSHでは、障がい者が安心して仕事に取り組めるようさまざまな定着支援を行い、障がい者の職場定着率の向上にも取り組んでおります。
障がい者雇用支援事業は、主にサービス導入時に1回限りで発生するスポット売上に加え、サービス利用期間において月額で継続的に発生するリカーリング売上から構成される安定性の高い収益モデルとなっております。
農園の利用企業が使用する区画で雇用される障がい者や、その管理者の人材紹介売上が主なスポット売上となり、リカーリング売上は障がい者1人あたりの定着支援サポート、農園利用、水耕栽培設備レンタル等の対価からなり、コルディアーレ農園の売上の90%(2025年3月期実績)を占めております。
下記の指標がリカーリング売上を測る経営上の指標となります。
(注) 1. Average Revenue per Account(1利用企業あたりのMRR(注2))の略称。
2.Monthly Recurring Revenue(月次経常収益)の略称。契約金額ベースの月間リカーリング売上。
3.Annual Recurring Revenue(年間経常収益)の略称。MRRを12倍して計算。
4.直近12か月の解約によるMRR減少額の合計値÷13ヵ月前から前月のMRRの合計値で計算。
5.Net Revenue Retention(売上継続率)の略称。利用期間が1年を超過する利用企業のMRRの合計値と当該利用企業の前年同月のMRRの比として算出した数値の12ヵ月平均値。
「障がい者を雇用したくても雇用が難しい都市部の企業」が「就労意欲があっても就労の機会が限定的な地方に在住している障がい者」を雇用することによって、地方と都市の社会構造的不均衡が是正されるとともに、障がい者の経済的自立支援が可能となります。また、障がい者による一般就労の実現は、地域経済にとって、社会保障費の削減や、地域における消費拡大などの効果も期待できると考えております。
JSHが運営している農園では、ハード面では、障がい者が働きやすい職場環境の整備として、冷暖房が完備された屋内農園、バリアフリー化や水耕栽培設備を導入し、ソフト面では、障がい者の体調やメンタルをサポートする看護師を常駐させることや、障がい者の通勤支援として送迎サービスを導入する等の取り組みを行っております。送迎サービスにより、就労における移動手段の問題や地理的な制約を無くすことで、幅広い障がい者が就労できる機会を提供し、看護師による障がい者や管理者へのカウンセリング機能の提供や、農園の近隣に訪問看護ステーションを開設することで、在宅医療事業におけるノウハウを障がい者の定着支援に活用するなど、身体、知的、精神障がいの区別なく幅広い障がい者が農園において安心して働ける職場環境づくりに取り組んでおります。
なお、2025年3月末時点における障がい者受入数は1,432人(前年同月比124%)となっており、障がい別の構成比は、身体、知的、精神の割合はおよそ1:1:2の割合になっております。また、障がい者の年齢別の構成比は20代、30代、40代、50代、60代とその他がおおよそ2割ずつという構成になっております。
今後、障がい者雇用においては量的な面で需要が大きく拡大することが見込まれている一方、足元においては雇用の質の面においても大きな変化が生じております。2022年10月3日に召集された第210回臨時国会において、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)の一部改正が成立しました。法改正により、事業主(障がい者の雇用主)の責務として障害者の職業能力の開発及び向上が含まれることが明確化され、2023年4月1日から施行されましたが、JSHは事業主による障がい者の職業能力の開発支援も行っております。
また、厚生労働省においては、2023年4月17日に開催された第128回労働政策審議会(障害者雇用分科会)において「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」が公表され、2023年6月12日に開催された第129回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント(リーフレット)」が、2023年12月27日に開催された第130回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては更新された「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」(令和5年度における労働局・ハローワークによる指導・助言の実施事案の例等含む)が公表されたことにより、障がい者が活躍できる職場環境の整備や適正な雇用管理のため事業主が行うことが望ましい取組のポイントが整理され、JSHの障がい者雇用支援サービスにおいては、サービスを利用する企業(事業主)が上記リーフレットで示された望ましい取組のポイントを実現できることが求められております。JSHとしては農園を利用する事業主が障害者雇用促進法のみならず障害者雇用分科会にて公表された課題を解決し、望ましい取組に沿った障がい者雇用に主体的に取り組めるよう、障がい者各自の障がい特性の把握や合理的配慮の提供、職業能力の開発、適正な雇用管理等の支援に取り組んでまいります。
障がい者雇用支援事業を展開している宮崎県、大分県、佐賀県、熊本県、北海道、岡山県においては、「訪問看護ステーション コルディアーレ」を設置し、在宅医療事業のサービスを受けている利用者や農園で就労している障がい者の状況に応じて、主に精神障がい者の相互紹介を実施し、在宅療養と一般就労の支援を行っています。
また、上記の取り組みを実施することによって両事業で連携先として共通する精神科医療機関等との関係性の強化にも繋がっています。
(注) 1.JSH100%子会社として設立した株式会社トレースエンタープライズにて行っていた事業となりますが、2019年11月1日に吸収合併しております。
2.1名の障がい者に対して1区画を割り当てております。
3.区画数については、開設時の区画数となります。
観光物産事業は、地方創生事業に占める売上構成比が1割未満となりますが、主として旅行代理店事業と民泊事業により構成されており、長崎県の五島事業所にて事業を行っております。
2018年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)」が世界文化遺産に登録されたことを契機として、当該地域における修学旅行生や観光客が増加し、消費の拡大や雇用促進等が期待されています。JSHでは、当該地域への修学旅行の誘致・観光客の誘客に取り組むために、2018年9月に第3種旅行業の登録を行っております。
当該地域への修学旅行の誘致に関しては、長崎県五島市から委託を受け、JSH民泊事業として、五島市体験交流協議会の運営事務局業務を行う関係にあり、委託収入などを得ております。
また、2019年10月には第2種旅行業の登録を行ったことにより、第3種旅行業の登録では行うことができなかった国内募集型の企画旅行の販売が可能となり、新聞等での旅行商品の宣伝販売なども行えるようになりました。
旅行代理店事業では、旅行商品の企画・提案を行っており、主に長崎県五島市在住者の旅行需要や出張需要、長崎県五島市への旅行需要の取り込みを行い、各種旅行商品のアレンジメントの対価を受け取っております。
民泊事業では主として自然豊かな離島ならではの体験プログラムや、世界遺産にも登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)」に関する学びの素材等を用いた旅行商品を学校等向けに企画・提案しており、五島市内に約100家庭ある民泊受入家庭を活用した修学旅行の受け入れを行っております。
新型コロナウィルスによる感染が拡大した2020年までは、民泊を利用した修学旅行は年々増加傾向にあり、修学旅行によって五島市を訪れた人数は、五島市観光協会が公表している「令和元年五島市観光統計」によれば、2015年の年間1,308人から2018年には年間4,129人、JSHが五島市観光協会より民泊及び体験プログラム事業を継承した2019年には過去最高となる年5,337人(対前年比+29.3%)まで拡大しました。2022年には298人まで減少しましたが、2023年は1,674人となり、足元では回復傾向にあります。
修学旅行に参加する生徒の各民泊受入れ家庭への割り振りや民泊と合わせて修学旅行生が参加する体験プログラムのアレンジメントの対価を受け取っております。
また、重要性の高い事業ではありませんが、物販事業として農園を運営している各地域の地場産品等をJSH運営ECサイト「地場くる」等を通じて販売する物販事業を行い、各種特産品の販売の対価を受け取っております。
在宅医療事業では、精神疾患(気分の落ち込みや幻覚・妄想など心身にさまざまな影響が出る疾患)を抱える方を主たる対象者として、JSHの看護師職員等による訪問看護サービス等を提供しております。
訪問看護は、疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助のことであり、訪問介護員等が、利用者(要介護者等)の居宅を訪問し、入浴・排せつ・ 食事等の介護、調理・洗濯・掃除等の家事等を提供する訪問介護とは異なり、医療行為の有無が大きな違いとなっております。
特に、精神疾患者を対象者とする精神科訪問看護は、精神疾患を抱えて地域で暮らす人の健康と生活を支え、利用者と家族を支援する医療サービスであり、そのサービス内容は主に「生活習慣、生活リズムの確立」「生活技術、家事能力、社会技術等の獲得」「対人関係の改善」「社会的資源活用の支援」「薬物療法継続への援助」「身体合併症の発症・悪化の防止」等となります。
なお、社会的資源とは、利用者がニーズを充足したり、問題解決するために活用される各種の制度・施設・機関・設備・資金・物質・法律・情報・集団・個人の有する知識や技術等の総称であり、例えば障害者年金の受給の支援や生活保護の申請の支援なども該当することから、精神科訪問看護師には多岐に渡る知識が求められます。
精神科訪問看護における収入の大部分は国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金に対する請求により得られ、一部利用者の自己負担金により回収する構図(後述)となっております。
精神科訪問看護の利用者の獲得に関しては、医療機関や役所、就労支援施設等多岐に渡る関係機関からの紹介が主な獲得経路になりますが、JSHは特定の医療機関と訪問診療の支援を行う連携をし、主治医による訪問診療とJSHの看護師職員等による訪問看護を組み合わせることで、精神疾患者向けの在宅医療を地域社会に普及させ、持続可能な医療体制のもと、住み慣れた地域で社会的な生活を家族と共に営むことができる社会を実現させることを事業の主目的としております。
訪問診療の診療報酬単価が高く設定されていることなどから、医療機関がこれまで実施していなかった訪問診療を新たに開始することを検討した場合であっても、診療報酬を得るための制度が複雑であることや対応方法が難しく実行が容易でないことから、JSHが医療機関に対し訪問診療制度・診療報酬体系等を解説するとともに、医療機関が訪問診療を実施する患者に対してJSHが提供する訪問看護サービスを活用してもらうなど、コンサルティングを通じて医療機関との連携を強化し、訪問看護の利用者の紹介を受ける機会を増やすことに取り組んでおります。
例えば薬の処方は医師が行い、薬の服薬状況の確認等は看護師が行う等のため、在宅医療の世界では、医師による訪問診療は主に訪問看護とセットで行われることから、訪問診療のコンサルティング(原則無料)などを通して訪問診療の開始または拡充の支援を行う連携により、訪問看護対象者のご紹介を頂くことに注力しております。
2014年7月14日に厚生労働省が公表した「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会」における「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の今後の方向性(概要)」には、「精神病床を適正化し、将来的に不必要となる病床を削減するといった病院の構造改革が必要」と明記されました。
それにより、長期入院患者の地域移行に加えて、厚生労働省が医療施設の病床削減・在宅移行を目指していることがより明確化されるなど、JSHの在宅医療事業を後押しする外部環境が整っている状況下にあると認識しております。
在宅医療事業における収益構造は、①国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金等からの診療報酬及び利用者本人からの診療報酬(自己負担分)と、②医療機関に対する各種コンサルティング収入に大別されますが、在宅医療事業売上高の9割以上は前者の診療報酬により構成されます。後者の医療機関に対する各種経営コンサルティングは、それ自体を在宅医療事業における収益の柱としているものではありませんが、当該医療機関から訪問看護の対象となり得る利用者の紹介を得る機会を獲得し、JSH看護師職員等による訪問看護の利用者数を拡大していくことを目的とした取組みとなります。
本書提出日現在において、東京や大阪をはじめとして27箇所に訪問看護ステーションを開設しております。なお、2025年4月1日付で5拠点の新規出店及び4拠点の営業所(サテライトオフィス)から事業所への変更を実行いたしました。今回の事業所変更に伴い、精神科訪問診療サポートサービスの更なる拡大や、従業員間の情報共有の円滑化はもちろん、各事業所との連携強化にも繋げていきたく考えております。
(注) 1.JSHの完全子会社だった日本在宅医療株式会社及びインタービーイング株式会社は「コルディアーレ」、「インタービーイング」の名称でそれぞれ訪問看護ステーションを開設しておりましたが、2019年11月1日にJSHが当該連結子会社2社を含む子会社4社を吸収合併しております。
また、JSHが2017年10月に日本在宅医療株式会社を、2019年2月にインタービーイング株式会社をそれぞれ子会社化する前に開設していた事業所等については、子会社化前の開設年月を記載しております。
2.竹ノ塚営業所は「訪問看護ステーション コルディアーレ北千住」に属するサテライトオフィスになります。
JSHにおける訪問看護ステーションの展開方針としては、主として次に掲げるような特徴があります。
JSHでは、居宅での訪問看護サービスの利用を希望している利用者の約4割を特定の訪問診療における連携医療機関から、残りを他の医療機関、保健センター、就労支援施設等より紹介いただくことで、訪問看護利用者の獲得を進めております。
利用者数の増加に応じて、訪問看護ステーションを新たに開設する場合には、一部の例外はありますが、新たな事業所や営業所の開設地域の近隣に居住している利用者の一部を既設の事業所等から新設する事業所等に移管することとしております。これは、既設の訪問看護ステーションの訪問看護効率の平準化を図り、新設した訪問看護ステーションの収支を早期に改善するための施策として講じております。
また、これまでは東京・大阪の首都圏や九州地方における拠点展開を進めてきましたが、精神科訪問診療のニーズ、看護師採用環境、農園との連携等を慎重に検討し、北海道・岡山へも出店いたしました。
JSHは、「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」を企業理念とし、目指すゴールとして、「地域を問わず全ての人が、心豊かに、能力や個性を発揮できる社会の実現」を掲げ、在宅医療・地方創生領域において、地域社会と日本の未来に貢献することに取り組んでおります。
在宅医療事業においては、利用者数、訪問件数、常勤換算看護師数(注1)、1利用者あたり訪問件数、1常勤換算看護師あたり訪問件数を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。なお、これら経営指標の推移は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 (c)在宅医療事業における収益構造上の特徴と主な経営指標」をご参照下さい。
(注) 1.所定労働時間週40時間以上の勤務をしている在籍看護師職員数を指します。なお、小数点は所定労働時間週40時間未満の勤務をしている在籍看護師職員数を按分換算したものとなります。
障がい者雇用支援事業においては、サービスを利用する企業に雇用されている障がい者受入純増数や、障がい者受入数合計を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。また、観光物産事業においては旅行及び民泊取扱人数を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。なお、これら経営指標の推移は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 (e)地方創生事業における収益構造上の特徴と主な経営指標」をご参照下さい。
2020年度における精神疾患を有する患者総数は615万人(注1)となり、年々増加する医療費を削減すること等を目的として、厚生労働省の精神保健福祉対策本部では、入院医療中心の診療から地域生活支援を前提とした診療へと切り替えること等を柱とした方向性を示しています(注1)。
この方向性を反映し、2020年度における精神疾患を有する入院患者数は23.7万人(注2)と2017年度比で6.1%減少しております。更に、2020年5月の「第6期障害福祉計画に係る国の基本指針(厚生労働大臣告示)」においては、統合失調症等で精神科に長期入院する患者を2018年度末の17.2万人から2023年度末までに全国で最大6.6万人減らす成果目標が定められることとなりました。精神科の医療施設に目を向けると、2020年において20床以上の病床を有する精神科病院数は1,059施設と2008年の1,079施設をピークに年々減少しているのに対し、19床以下の精神科診療所数は2017年で6,864施設と2008年の5,629施設(注3)との対比においても年々増加しております。
(注) 1.2022年10月 厚生労働省 「社会保障審議会障害者部会(第133回)」資料より。
2.厚生労働省「令和2年患者調査」より。
3.厚生労働省「医療施設調査」(令和2年、平成29年、平成20年各版)より。
2018年度の診療報酬改定においては、医療機関が精神疾患を有する患者に対して訪問診療を実施する際の「精神科在宅患者支援管理料」が新設されておりますが、医療機関が「精神科在宅患者支援管理料」を得るためには、通院が困難な患者に対して、精神科医、看護師等が患者の同意を得て、計画的な医学管理のもとに定期的な訪問診療・訪問看護を行っていることに加え、患者の容体に応じて臨機応変な診療又は看護ができる医師と看護師との綿密なコミュニケーションが取れる体制が整備されていること等が要件となっており、精神科医療においては入院へ対応できる中規模~大規模な医療機関への入院を中心とした医療体制から地域における小規模な医療機関への通院に在宅での治療を加えた医療体制へ移行しつつあると認識しております。
そのため、複数の地域に分散している患者に対して訪問看護を効率的に行うための体制の整備状況と、医師による訪問診療を行うに際しての看護師との情報連携面での質が医療機関からは問われることとなります。
JSHは、訪問診療を理解し、訪問診療と連携した訪問看護サービスの提供に事業機会があると認識しています。
民間企業(注1)における障がい者の法定雇用率(障害者雇用促進法にて定められた民間企業の障がい者雇用率)が、2024年4月に2.5%に引き上げられ、更に2026年7月からは2.7%に引き上げられることが決定しており、民間企業による障がい者雇用の需要の拡大が見込まれております。
2023年6月において、障がい者の法定雇用率を達成している民間企業の割合は50.1%にとどまり、法定雇用率未達成企業は全国で53,963社となっております(注2)。
厚生労働省の資料(注2)によると、都市部における障がい者雇用の状況をみてみると、例えば東京都では法定雇用率達成企業の割合は34.4%となっており、法定雇用義務を負っている民間企業のうちおよそ3社に2社が義務を達成できておりません。
また、厚生労働省の調べでは2016年度における障がい者求人の充足率(障がい者新規求人数に占める障がい者就職数の割合)は東京都が30%を下回っており、全国で最低水準となっております。愛知県、大阪府においてもその水準は40%を下回り、大都市を中心として障がい者の採用環境が厳しい状況にあることが窺えます(注3)。
さらに、障がい者の就業が困難であると、雇用する労働者数を計算する際に、除外率に相当する労働者数を控除する制度(除外率制度)が設置されておりましたが、ノーマライゼーションの観点から、除外率制度は2002年の法改正により2004年に廃止され、現在は経過措置としてこの制度が継続しているものの、2020年2月の労働政策審議会障害者雇用分科会においては経過措置の廃止が検討されており、2023年1月には、同分科会において2025年4月に除外率を一律10%引き下げることが決定しております。今後も経過措置の一部または全部が廃止された場合には、除外率が適用されている業界に属している企業において障がい者の雇用不足が発生すると考えられます。
こうした状況に加え、これまで民間企業が積極的に採用してきた身体障がい者の高齢化が進展しております。2023年6月1日時点において民間企業が雇用している障がい者のうち56%が身体障がい者(注2)ですが、身体障がい者では55歳以上の比率が高く、今後10年で10万人以上が退職見込みと推定されます(注4)。
上記のように特に都市部の民間企業においては今後障がい者の雇用不足が拡大することが想定される一方で、地方においては障がい者の就労機会が限られており、都市と地方における就労機会の不均衡が存在していると認識しております。
本書提出日現在においてJSHが農園を運営している九州地域では、法定雇用義務が発生する規模の企業数が少ないことから、法定雇用義務がある企業の障がい者雇用求人と、九州地域在住の障がい者の求職者の需給が都市部と比較して緩く、九州地域の企業にとっては障がい者を雇用しやすい環境であり、法定雇用率の達成企業の割合の上位10県中4県が九州地域である(注2)ことから、同地域においては地元の企業による新たな障がい者の雇用が生まれにくい状況にあると考えており、JSHは、同地域における農園を活用した雇用創出に事業機会が存在すると認識しております。
今後、障がい者雇用においては量的な面で需要が大きく拡大することが見込まれている一方、足元においては雇用の質の面においても大きな変化が生じております。2022年10月3日に召集された第210回臨時国会において、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)の一部改正が成立しました。法改正により、事業主(障がい者の雇用主)の責務として障害者の職業能力の開発及び向上が含まれることが明確化され、2023年4月1日から施行されました。
また、厚生労働省においては、2023年4月17日に開催された第128回労働政策審議会(障害者雇用分科会)において「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」が公表され、2023年6月12日に開催された第129回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント(リーフレット)」が、2023年12月27日に開催された第130回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては障害者雇用ビジネス実施事業者やその利用企業の状況等について2023年11月末時点に更新された「いわゆる障害者雇用ビジネスに係る実態把握の取組について」(令和5年度における労働局・ハローワークによる指導・助言の実施事案の例等含む)が公表されたことにより、障害者が活躍できる職場環境の整備や適正な雇用管理のため事業主が行うことが望ましい取組のポイントが整理され、JSHの障がい者雇用支援サービスにおいては、サービスを利用する企業(事業主)が上記リーフレットで示された望ましい取組のポイントを実現できることが求められております。
(注) 1.従業員数43.5人(2024年4月からは40人)以上を雇用している事業主。事業主には毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告する必要があり、障害者雇用の促進と継続を図るために「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければならないとされております。
2.厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」より。
3.厚生労働省「平成31年 第82回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)」より。
4.厚生労働省「平成30年 障害者雇用実態調査」より。
JSHが観光物産事業を主に展開している長崎県五島市は「五島市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン総合戦略」を市政運営の基本方針とし、人口減少に歯止めをかけ、2060年に人口2万人を確保することを目標に街づくりを進めています。
2018年6月に「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産(長崎県、熊本県)」が世界文化遺産に登録されたことをきっかけとして、五島市を訪れる観光客は増加傾向にあり、2019年は前年比+5.2%となる252,657人まで増加(注5)しておりましたが、2020年、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響で123,703人、118,441人となっており、2022年には166,979人と復調傾向にあります。
(注) 5.令和4年 五島市観光統計より。
精神疾患を有する患者総数が増加傾向にある中で、精神科病院及び入院患者が減少し、入院をせずに自宅において医療サービスを受ける患者が増加し、在宅医療の需要が拡大していると考えられ、JSHは医療機関との連携を強化し、在宅医療の需要拡大へ対応できる体制の構築に取り組んでおります。
2020年1月に開催された第98回社会保障審議会障害者部会においては、第6期障害福祉計画における成果目標(案)として、2023年度末の長期入院患者数を2018年度と比べて6.6~4.9万人減少させることや精神障がい者の精神病床から退院後1年以内の地域における平均生活日数を316日以上とすることが明記されており、精神疾患を抱える退院患者に対する診療・看護を提供する受け皿の拡充が待たれる環境認識の下、JSHは、医療機関との関係構築・強化を図ることで、医療機関からの患者紹介の拡大に努めております。
また、実効性のある訪問診療・訪問看護を効率的に実施していくためには、医師及び看護師の移動時間や移動距離の短縮化を図る必要があることから、主治医と看護師による効率的な訪問診療・訪問看護を実施できる拠点体制の整備に取り組んでおります。
事業所及び営業所の出店においては、連携する医療機関の周辺地域への展開や既存拠点の訪問効率の向上、新たな地域への拡大等を検討してまいります。
また、地域の特性や看護師の採用・育成を考慮し、拠点数だけでなく、拠点の適正な規模についても検討してまいります。
JSHは、本書提出日現在において営業所を含め、20箇所に訪問看護ステーションを開設しております(地方創生事業における3箇所の訪問看護ステーションを含む。)。
JSHの障がい者雇用支援事業は、地方に在住している多数かつ幅広い障がい者の雇用を創出することを目的としているため、企業に紹介している障がい者は、JSHが展開している農園で就労することで、障がいの特性や程度に応じた働き方が可能となり、職業能力の開発・向上に関する支援を受けることができます。
農園においては水耕栽培設備を利用し、障がい者が安全に安心して働くことができる環境を整えていることに加え、JSHの在宅医療事業におけるノウハウを活用した障がい者への配慮や定着に向けた支援も行っております。
障がい者雇用支援事業においては、障害者雇用促進法において明示された事業主による障がい者の能力開発の責務に対する支援、厚生労働省が公表したリーフレットへの対応を図るとともに、サービス利用企業数の拡大及び1企業当たりの障がい者の雇用人数の拡大に取り組みます。また、農園の新規開設においては、開設候補地における障がい者の雇用状況や障がい者手帳の保有者数、交通の利便性等を考慮した展開を行ってまいります。
厚生労働省の「令和4年度 障害者の職業紹介状況等」によれば、身体障がい者の新規求職申込件数は58,095件、知的障がい者の新規求職申込件数は35,610件、精神障がい者の新規求職申込件数は123,593件となっており、精神障がい者の新規求職申込件数は身体障がい者及び知的障がい者の新規求職申込件数の合計を上回り、特に精神障がい者については就労機会の拡大と定着率の向上が望まれております。
また、2023年6月1日時点において民間企業が雇用する障がい者を障がい別でみると、身体障がい者が56%と最も比率が高く、精神障がい者は20%(注1)と最も比率が低くなっており、精神障がい者のより一層の社会進出が望まれております。
他方、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が2017年4月に公表した「障がい者の就職状況等に関する調査研究」によれば、精神障がい者の就職後1年経過後の職場定着率は49.3%と50%を下回る水準にあり、民間企業にとっては精神障がい者を積極的に採用することが難しい状況となっておりますが、JSHでは精神科領域における在宅医療事業のノウハウを活用し、農園における精神障がい者の定着率の向上に取り組んでおります。
また、訪問看護サービスの利用者を地方創生事業の障がい者雇用支援事業において企業に紹介していくことも視野に入れ、農園近隣の訪問看護ステーションの設置を2019年9月より開始するなど、より幅広い障がい者の就労機会を創出する為の施策を推進しております。
(注) 1.厚生労働省「令和5年 障害者雇用状況の集計結果」より。
観光物産事業においては、新型コロナウイルス感染症収束後の修学旅行生の誘致や個人観光客の誘客を見据え、民泊受入れ家庭の拡大や新たな体験プログラムの開発に取り組んでまいります。
地方創生事業の中軸をなす障がい者雇用支援事業において地方の障がい者の雇用を拡大するためには、より多くの企業の障がい者雇用を支援することが重要な課題であり、新たにサービスを利用する企業の確保に努めるとともに、既存のサービス利用企業のニーズをより一層汲み上げ、農園においてより多くの障がい者の就労を支援できるよう取り組んでまいります。
② 地方創生事業における障がい者雇用支援サービスの質的向上
地方に在住する障がい者の雇用創出を図るためには、より多くの企業(事業主)にJSHサービスを利用してもらうことが必要であり、そのためにはJSHが運営する農園を利用する事業主が、障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)を遵守して、障がい者の職業能力の開発及び向上へ対応できることが求められます。また、2023年4月17日に開催された第128回労働政策審議会(障害者雇用分科会)において障害者雇用ビジネス実施事業者の実態把握の取組として「把握した事例と課題等への対応に求められる望ましい取組のポイント(①~⑦)」が公表され、2023年6月12日に開催された第129回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント(リーフレット)」が、2023年12月27日に開催された第130回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「令和5年度における労働局・ハローワークによる指導・助言の実施事案の例(①~②)」が公表されていることを踏まえ、JSHとしては農園を利用する事業主が障害者雇用促進法のみならず障害者雇用分科会にて公表された課題を解決し、望ましい取組に沿った障がい者雇用に主体的に取り組めるよう、障がい者各自の障がい特性の把握や合理的配慮の提供、職業能力の開発、適正な雇用管理等の支援に取り組んでまいります。
医療業界においては、少子高齢化による人口構造の変化、社会保障制度や医療制度の変化等により、長期入院患者の退院を促し、患者が居住している地域において医療サービスを受ける方向へ構造変化が生じております。
訪問看護を提供する事業所数は、2023年4月1日時点で全国に15,697事業所(注1)がありますが、訪問看護の利用者数(医療保険)は2001年の48,830人から2019年には287,811人となり、2001年の約6倍にまで増加しております(注2)。また、2025年には団塊の世代の年齢が75歳を超え、人口の5人に1人が高齢者である超高齢社会が到来し(注3)、病院改革・医療技術の向上による在院日数の短縮化が進められ、ますます訪問看護の利用ニーズは高まっていくと推測されます。
上記の通り訪問看護に対する社会的な需要は年々高まっておりますが、JSHは医療機関と連携を図ることにより、質の高い在宅医療サービスを提供していくことを重要な課題と考え、医療機関からの信頼確保に努め、医療機関が在宅医療への対応をスムーズに行えるよう、支援能力を高めていく必要があると認識しております。
(注) 1.一般社団法人全国訪問看護事業協会「令和5年度訪問看護ステーション数調査結果」より。
2.第434回中央社会保険医療協議会総会(2019年11月20日開催)会議資料のP9記載内容を引用。
3.厚生労働省による広報誌「厚生労働2017年2月号」への記載内容を引用。
「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」というJSHの企業理念を実践し、地方創生事業および在宅医療事業において質の高いサービスを提供するために、人材育成の強化に取り組んでまいります。外部機関が開催する研修・セミナーへの参加、社内の研修・勉強会などのカリキュラムの充実を図ってまいります。
特に地方創生事業では、障がい者雇用支援事業従事者を対象に、精神疾患を抱える利用者に提供している訪問看護のノウハウを利用した社内の研修・勉強会などを行い、教育体制の充実を図ってまいります。
厚生労働省の「令和4年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によれば、2022年末時点において約131万人の看護師が就業しているとされていますが、その中で在宅医療に関わる訪問看護事業所で就労する看護師は僅か5.4%の70,975人にとどまっております。
今後、国の方針が「治す医療」から「治し、支える医療」へと転換していく中で、JSHが在宅医療事業において十分な訪問診療サポートサービスを提供していくためには、サービス提供者である看護師等の人材の確保が重要な課題であると認識しております。一人でも多くの方が、住み慣れた家で生活が送れるようにサポートできる人材を確保してまいります。
他方、地方創生事業では、多岐にわたるサービスを提供しており、障がい者雇用を理解した人材等、各事業内容に造詣の深い人材の確保に努めてまいります。
人材の確保を図るため、雇用条件の改善にとどまらず、福利厚生の充実等、働きやすい環境づくりに注力してまいります。
JSHは、財務基盤の安定性を維持しながら、様々な事業上の課題を解決するための事業資金を確保し、また、 新たな事業価値創出のために機動的な資金調達を実行できるよう、内部留保の確保と株主還元の適切なバランス を模索していくことが、財務上の課題であると認識しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、JSHが判断したものであり、リスクを把握し、管理する体制・枠組みに関しては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 」の記載を参照ください。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
JSHの在宅医療事業は、下表のとおり介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定を都道府県知事から、健康保険法に基づく指定訪問看護事業者の指定を厚生労働省地方厚生局から受けています。介護保険法においては、訪問看護の適正な運営を確保するために、事業主が欠格事由に該当した場合や条文に基づく命令処分に違反した場合において事業の許可の取り消しや事業の全部もしくは一部の停止を命じられる旨が定められております。また、本許可には有効期限があるため、その円滑な更新に努める必要があります。JSHとしては、引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育等を行いリスクの管理等に努めてまいります。
JSHが在宅医療事業を開始して以降、本書提出日までの間に本許可が取り消しとなる事由や業務停止処分等を受けた事由は発生しておりませんが、指定居宅サービス事業者や指定訪問看護事業者の取り消しや当該業務の一部の停止の命令を受けた場合、許可の有効期限内に許可の更新がされない場合には、訪問看護サービスを提供することができず、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(在宅医療事業における許認可等の状況)
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
在宅医療事業では、精神疾患を有する患者を主たる対象者として、外来での診療を中心としている医療機関に対する経営コンサルティングや精神科訪問診療に関する各種セミナーの開催等を通じて、医療機関等との関係性の構築を図り、医師による訪問診療を促し、利用者をJSHに紹介していただいております。
しかしながら、JSHがサービスを提供している医療機関を取り巻く経営環境の変化によって、患者の入院期間が長期化した場合、医療機関が外来患者の対応を中心とした診療方針を採用し続ける場合、訪問診療を始めた医療機関が再び外来中心の診療方針へと切り替えられた場合には、訪問看護の機会を失うことになることから、これら医療機関側の経営方針によって、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
JSHでは、特定の医療機関だけではなく、多様な医療機関や市役所、保健センター、就労移行支援事業者等との関係構築にも注力し、利用者紹介元の拡大を図っており、競合する企業は決して多くはないと認識しておりますが、高い資本力を有する企業や知名度を有する企業等の新規参入が相次ぎ、競争が激化した場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:数年に1度、影響度:中)
看護師や准看護師等が利用者の居宅等に訪問した場合の訪問看護診療費は、「精神科訪問看護基本療養費」と「訪問看護療養費」により構成され、国民健康保険法・社会保険診療報酬支払基金法により、全国一律の診療報酬制が敷かれております。
医療保険制度に基づく診療報酬は2年に1回、介護保険制度に基づく介護報酬は3年に1回の頻度で改定が実施されることから、JSHとしては報酬改定を含む業界動向・環境変化については情報収集等を積極的に行い事業戦略を策定しております。しかしながら、在宅医療事業における連携先である医療機関の経営環境や診療報酬制度、訪問診療等の診療報酬が改正された場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHの行う在宅医療事業では、介護保険法、医療保険各法、国民健康保険法、社会保険診療報酬支払基金法、障害者総合支援法、個人情報保護法、その他の関連法令・関連制度等の規制の影響を受けることになります。なかでも、精神疾患を有する患者の多くは、障害者総合支援法の適用を受けることとなりますが、JSHでは障害者総合支援法に基づく「指定自立支援医療機関」の指定を訪問看護ステーションの設置地域の都道府県知事から得ているため、JSHの訪問看護ステーションは病院等と同じ医療機関としての枠組みに区分されることになります。病院と同じように医療保険(社会保険・国民保険等)が適用され、訪問看護を利用された場合の費用(自己負担)は、3割負担となります。訪問看護を利用された方の診療報酬明細書を作成して、社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会に提出することで、7割の診療報酬が支払われ、疾患や障がいの程度によっては、国の助成制度や医療扶助があるため自己負担が軽減される場合があります。JSHとしては法的規制を含む業界動向・環境変化については情報収集等を積極的に行い事業戦略を策定しております。しかしながら、これら法的規制の改正等が行われた場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
JSHは、在宅医療事業における利用者の看護履歴、服薬情報、疾患情報等のセンシティブな利用者情報の一元的管理を実施することを目的とした専用のネットワークシステムを全拠点に導入しております。システムの利用に際しては、ID、パスワード、アクセス制限等、システム上の一定の制御を行っており、システムの導入元からは定期的な保守・メンテナンスを受けております。また、当該システムを導入して以降、事業運営面で重大な支障を及ぼしたシステムトラブルや利用者の個人情報等の漏洩事案等は生じておりません。
しかしながら、これらの対応策を以ってしても防ぎきることのできないシステムの誤作動やその他何らかのシステム障害等が生じた場合、利用者情報の正確な記録、保存が出来なくなることで、事業運営面での支障が生じる可能性があるほか、これら社内システムへの外部からの不正侵入によるウィルスの拡散や利用者情報の漏洩等が生じた場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境 ②地方創生事業」に記載した通り、民間企業等における障がい者の法定雇用率(障害者雇用促進法で規定)は引き上げられる傾向にありますが、障がい者の法定雇用率の変化や障がい者の求職動向等、企業の障がい者雇用を取り巻く環境が変化した場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
特に法定雇用率は2024年4月に2.3%から2.5%へ引き上げられ、2026年7月には2.7%への引き上げが決定しております。この2.3%から2.7%への2回の引き上げにより新たに11万人以上(※)の障がい者の雇用が生まれる可能性があり、JSHのサービスに対するニーズも高まることが想定されます。法改正を含む業界動向・環境変化については情報収集等を積極的に行い事業戦略を策定しておりますが、今後の法改正等によって法定雇用率の引き上げが中止された場合や、雇用義務そのものがなくなった場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。 (※令和5年障害者雇用状況の集計結果の民間企業における算定基礎労働者数2,752万人に0.4%を乗じて計算)
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
JSHにおける障がい者雇用支援事業では、企業等に障がい者及び管理者を単に紹介しているだけではなく、就労機会が限定的な地方において障がい者の雇用を創出する仕組みを備える「コルディアーレ農園」を開設し、企業等に採用された障がい者等に対して就労の場を提供しております。また、障がい者雇用の創出に加え、職場定着に向けた取り組みとして、JSHの訪問看護ノウハウを持った看護師による健康面への配慮や、JSH農園スタッフによる障がい者の特性を理解したサポート等を通じて、障がい者が働きがいをもって就労することができる職場環境づくりに努めており、障がい者自らの経済的な自立支援を視野に入れたビジネスモデルと認識しております。
障害者雇用促進法では、事業主による障がい者と健常者との均等な雇用機会の確保、障がい者に対する差別の禁止、障がい者への合理的配慮の確保等に関する諸規定や指針が示されております。JSHからの紹介によって企業等に採用された障がい者やその管理者は、当該企業等の本支店等ではなく、JSHが就労の場として提供している「コルディアーレ農園」にて就業していること自体が障害者雇用促進法その他の労働関連法令に違反するものではないことを外部の法律専門家(弁護士)に確認しております。
また、外部の法律専門家を通して厚生労働省にも照会を行い、適法性を確認しております。
しかしながら、JSHの障がい者雇用支援事業のような仕組みに対しては否定的な風評が存在していることを認識しております。このような風評等を踏まえて、厚生労働省は実態調査を行い、2023年4月17日に開催された第128回労働政策審議会(障害者雇用分科会)において障害者雇用ビジネス実施事業者の実態把握の取組として「把握した事例と課題等への対応に求められる望ましい取組のポイント①~⑦」を公表し、2023年6月12日に開催された第129回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「障害者が活躍できる職場づくりのための望ましい取組のポイント(リーフレット)」(注1)を、2023年12月27日に開催された第130回労働政策審議会(障害者雇用分科会)においては「令和5年度における労働局・ハローワークによる指導・助言の実施事案の例①~②」を公表するなど、利用企業への注意喚起や障害者雇用ビジネス実施事業者に対して利用企業への誤解を与えないような指導がなされております。
JSHは法令の趣旨や、当該リーフレットの内容を踏まえ、利用企業が望ましい取組みを行うことができるような働きかけや各種取組みを実施し、さらに、同業他社と業界団体(一般社団法人日本障害者雇用促進事業者協会)を設立し、法令及び法令の趣旨に沿った運営に取り組んでおりますが、今後新たな風評等が発生した場合やJSHの障がい者雇用支援事業のビジネスモデルを規制するような法改正や条例の制定等が行われた場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(注)1.「事業主の皆様へ」と題した農園等の利用企業が行うことが望ましい取組のポイントを紹介した冊子
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
地方創生事業では、障害者雇用促進法や雇用機会均等法以外にも、労働関連法令、職業安定法、農地法、旅行業法、特定商取引法、食品衛生法、酒税法、建築基準法等、規制を受ける関係法令は多岐にわたっており、それらの法令・規則を遵守する必要があります。
JSHでは関連業法をまとめた一覧を作成し、四半期毎に見直しを実施することで関連法令への遵守に注力しておりますが、関連法令の規制強化等が生じた場合、障がい者雇用支援事業における有料職業紹介事業許可や、観光物産事業における第2種旅行業の登録取り消しや抹消事由が生じた場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(地方創生事業における許認可等の状況)
(a) 障がい者雇用支援事業
(b) 観光物産事業
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
JSHの障がい者雇用支援事業において提供しているサービスと同様に民間企業に対して障がい者の人材紹介を含む雇用支援サービスを提供する競合企業は多数存在しております。JSHは、サービス内容やマーケティング手法の改善に日々取り組んでおりますが、サービスの改善等により既存の競合企業の競争力が向上した場合や、新規参入等による競争環境の変化によりJSHが提供しているサービスが優位性を保てなくなり、JSHが顧客を維持・獲得できなかった場合、JSHの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
JSHは長崎県五島市において民泊事業を運営しております。毎年、民泊を受け入れる家庭に対して、五島保健所による衛生管理講習や五島病院によるアレルギー講習会を受講いただいておりますが、民泊を受け入れる家庭において食中毒が発生する等の安全衛生面での問題が発生した場合や、各種の体験プログラムにおける不慮の事故等が発生した場合には、風評が報道機関等を通じて報じられることによって、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)
JSHが展開している観光物産事業は、多数の競合企業が存在していることに加え、宿泊事業者や特産品製造業者等のサプライヤーの直販等により、厳しい競争環境にあります。JSHでは障がい者雇用支援事業との連携により、農園利用企業の利便性に特化した出張パッケージや、農園を活用した独自のダイバーシティ研修プランの企画・販売などにより単純な価格競争に陥らない差別化に努めておりますが、今後更なる競争環境や価格競争に晒された場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
在宅医療事業及び地方創生事業が今後持続的な成長を遂げていくためには、看護師をはじめとする人材の安定的確保が必要となってまいります。中でも看護師、准看護師等に関しては、人材の流動性が相対的に高い職種であるとJSHでは認識していることから、これら有資格者の採用活動においては、社内紹介制度の導入、公的機関への募集広告の掲載、人材紹介会社の活用等の施策を講じ、標準的な週休2日の勤務形態のほかにも各人の働き方に合わせた複数の就業形態を導入していることに加え、保有資格や成果等に応じた処遇を行うことで、従業員の定着策を講じております。
また、定着化という面においては、両事業ともに労働集約的な事業であり、利用者宅や農園という業務実施環境の特性から生じるストレスや長時間労働の発生等により、人材が流出するリスクも高い事業であると認識しており、適度な休憩や長時間労働の防止、有給取得の推進などを行っておりますが、これらの諸施策による効果を得られず、人材の確保や定着化が進まない場合には、両事業の持続的な成長を遂げていく上での支障が生じ、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
在宅医療事業の訪問看護ステーション等の新たな事業拠点の開設に際しては、訪問看護サービス利用者の紹介元となっている医療機関の医師による訪問診療とJSHの看護師等による訪問看護を効率的に行うことが可能な立地条件、地域特性等を慎重に分析した上で、開設の意思決定をしております。
また、地方創生事業の障がい者雇用支援事業において、企業等に採用された障がい者及び管理者の就業場所となる農園を新たに開園するに際しては、当該開園候補地における障がい者数、立地条件、地域特性等を慎重に分析した上で、新規開設の意思決定をしております。
しかしながら、これら新規拠点の開設が計画通りに進まなかった場合や開設に必要とされる人員確保が進まなかった場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHの事業拠点は、そのほとんどが賃借物件であることから、賃貸借契約の期間満了にあたり契約の更新または新たな契約の締結ができない場合、若しくは予期せぬ事情により契約期間内に終了する場合には、近隣に代替拠点を開設し、または既存の他拠点を活用し、サービス提供の継続を図る方針ですが、これらの対策が奏功しない場合、顧客との契約を継続できないことや設備の処分・除却等により、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
また、JSHは、賃貸人とコミュニケーションを密にして良好な関係を維持することで状況変化の徴候を早期に捉えるよう努めるとともに、新たに事業拠点の賃借をする際には、物件の物理的状況、賃貸人の経済的状況等を確認するよう努めて参りますが、賃貸人に破産等の倒産手続が生じ、敷金及び保証金の回収が不能となる場合、あるいは、事業拠点の賃料が増加する場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHの創業者である野口和輝は、JSHの創業者であると同時に、代表取締役として、JSHの経営方針及び事業戦略の立案・決定・事業化に重要な役割を果たしております。また、野口和輝が直接、間接含め保有するJSH株式の合計がJSH発行済株式総数の33.8%(2024年3月31日時点、注)を有する筆頭株主でもあります。JSHでは権限委譲を進めており、野口和輝に対する依存度を低下させておりますが、不測の事態等の発生により、野口和輝による経営面での関与・執行継続が困難になった場合には、JSHの今後の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)JSH代表取締役 野口和輝は、JSH株式の東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴うJSHのオーバーアロットメントによる売出しのための保有株式の一部貸出しにより、野口和輝が直接、間接含め保有するJSH所有株式数1,982,000株(36.15%)のうち、127,500株(2.33%)を2024年3月26日に貸株として、株式会社SBI証券に貸出したことにより、当事業年度末日における所有株式数は1,854,500株(33.83%)となっております。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
JSHは在宅医療事業、地方創生事業を通して関東、九州を中心に多数の事業所を開設しております。JSHの運営する農園は屋内型農園を主とする方針でありますが、既存の農園の一部は屋外型農園であるため施設賠償保険に加入しております。また、感染症に対応し、本書提出日現在においても、農園運営と訪問看護に従事する従業員についてはマスク着用を原則とする等の対応を行っております。しかしながら、これらの事業所を開設している地域において地震や、台風、竜巻等の自然災害が生じ、JSH所有の設備に被害が生じた場合や、感染症等の流行による訪問看護サービスの実施や農園運営に障害が発生した場合等については、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)
在宅医療事業では訪問看護サービスの利用者情報、地方創生事業では農園利用企業が農園において雇用している障がい者の個人情報等、センシティブな情報を保持しており、これらの個人情報は所定の社内規程等に基づき厳重に管理しております。部署毎に情報システムにアクセスできる権限を細分化し、不必要な情報にアクセスができないようにする等、情報管理を徹底しておりますが、何らかの理由で個人情報が漏洩した場合には、JSHに対する社会的信用が毀損すること等により、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
在宅医療事業、地方創生事業ともに利用者とその家族、医療機関及び行政機関等のステークホルダーとの信頼関係のもとに成立している事業であることから、利用者の容体や症状等の変化に臨機応変に対応するための訪問看護マニュアルなどのマニュアルの整備や、従業員への定期的な教育研修の実施等を通じて、利用者への安定的かつ質の高いサービスの提供に努め、緊急を要する事態において適切な処置等が出来るような社内体制を整えております。
しかし、このような体制を整備していながら、JSH従業員の過失責任によって、利用者の症状や容体の深刻化を招いてしまった場合や、業務中に利用者に負わせてしまった怪我、人命に関わるような不慮の事故、人権等を無視した利用者に対する不適切行為等によって、利用者またはその家族等から、慰謝料の請求や訴訟を提起された場合や、そうした風評が報道機関等を通じて報じられた場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。なお、本書提出日現在において、重大な訴訟は発生しておりません。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、2024年3月31日時点における付与数は353,000株であり、発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は、6.4%となります。これらの新株予約権が行使された場合、JSH株式が発行され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHは、株主に対する利益還元については経営の重要課題の一つと位置付けておりますが、現時点において配当を実施しておりません。今後におきましては、経営成績、財政状態、事業計画の達成状況等を勘案しながら、株主への利益配当を検討していく方針であります。
しかしながら、JSHの事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
ベンチャー・キャピタルまたはベンチャー・キャピタルが運営するファンド(以下、VC)が保有するJSH株式の合計がJSH発行済株式総数の35.8%となっており、一般的にVCが保有する株式は上場後、段階を追って売却がなされる可能性が高く、ロックアップ期間(元引受契約締結日から上場日(当日を含む。)90日経過後もしくは株価が公開価格比で1.5倍に値上がりした場合にこれらVCがJSH株式を売却しようとする場合、JSH株式の市場価格等に悪影響が生じる可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHが公募増資・第三者割当増資によって調達した資金については、新たな農園設備費用、広告宣伝費用及び人材採用費用に充当する予定であります。
しかしながら、事業環境の急激な変化等により、当初の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。
なお、資金使途を変更する場合には、適時適切に開示等を行ってまいります。また、投資効果については継続的に投資効果を測定、改善を行い、想定どおりの成果をあげられるように取り組んでまいります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:数年以内、影響度:中)
当事業年度末において、JSHは税務上の繰越欠損金を有しております。JSHの業績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消された場合には、所定の税率に基づく納税負担が発生するため、当期純利益及びキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHが保有する固定資産について、経営環境の変化による収益性の低下等により、減損損失が発生し、JSHの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:全期間、影響度:中)
わが国においては、商慣習上3月を期末月とする企業が多く、地方創生事業の障がい者雇用支援事業は企業向けに提供するサービスであることから、顧客企業は新年度である4月に向けて、3月末までにJSHサービスの提供を求める例がみられること等により、障がい者雇用支援事業の障がい者紹介数、人材紹介売上の計上が下期偏重になりやすく、JSHの業績も下期偏重になりやすい傾向があると認識しており、第1四半期から第3四半期の決算数値における通期利益計画の進捗率が低くなりやすいことから、投資家の投資判断に影響を及ぼすリスクがあります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:全期間、影響度:中)
株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25%であるところJSHの流通株式比率は34.52%(注)となっております。
今後は、ベンチャーキャピタルによるJSH株式の更なる売却や、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により流動性が低下する場合には、JSH株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それによりJSH株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。また、通期利益計画の進捗率が低くなりやすいことから、投資家の投資判断に影響を及ぼすリスクがあります。
(注)JSH代表取締役 野口和輝は、JSH株式の東京証券取引所グロース市場への新規上場に伴うJSHのオーバーアロットメントによる売出しのための保有株式の一部貸出しにより、野口和輝が直接、間接含め保有するJSH所有株式数1,982,000株(36.15%)のうち、127,500株(2.33%)を2024年3月26日に貸株として、株式会社SBI証券に貸出したことにより、当事業年度末日における所有株式数は1,854,500株(33.83%)となっており、当該127,500株を非流通株式と認識した場合。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)
JSHは、事業を展開していく過程において、各種契約や法令の違反、労働問題、知的財産権に係る問題等に関して、取引先・従業員等により訴訟を提起される可能性やその他の法的手続きの当事者となるリスクを有しております。そのようなリスクを低減させるために、JSHは「リスク管理規程」及び「コンプライアンス管理規程」を制定し、両規程に基づいてリスク管理体制及びコンプライアンス管理体制を整備しており、役職員には社会的責任や社会貢献を重視し、法令等を遵守した行動、高い倫理観をもった行動をとることを周知徹底しております。しかしながら、上記のリスクが顕在化し、JSHが当事者となる訴訟やその他法的手続きにおいて、敗訴若しくはJSHにとって不利な内容の和解がなされる場合、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
また、JSHは、将来的な労務リスクを低減する目的で、2023年4月に労働基準法上の管理監督者の範囲を縮小変更しており、その結果、2023年4月以降、管理監督者から除外された従業員が存在しております。JSHは、管理監督者から除外された従業員から過去(2023 年3月以前)の未払賃金は存在しない旨を確認する同意書を取得しており、また、管理監督者の適用範囲の変更前においても、管理監督者性が否定される可能性は極めて低い旨の見解を外部の社会保険労務士法人より受領しております。従って、JSHとしては、過去の管理監督者の範囲変更に起因する未払賃金に係る労使トラブルが顕在化するリスクは低いと考えておりますが、既に労使関係の存在していない者からのものも含め、未払賃金請求が発生した場合、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。
(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:時期特定なし、影響度:大)
JSHには株式会社N・フィールド出身の取締役が4名在籍しており、各取締役は、株式会社N・フィールドとの間で役員等退任後1年間の競業避止契約を締結しておりました。当該期間中に各取締役は競業避止義務に違反した行為をおこなっておらず、各取締役が株式会社N・フィールドと締結していた競業避止契約に違反していないことは外部の法律専門家(弁護士)にも確認をしておりますが、株式会社N・フィールドより競業行為の差止請求や損害賠償請求があり、当該違反が認められた場合には、JSHの事業及び業績は影響を受ける可能性があります。なお、本書提出日現在において、民法上の時効期間を過ぎていると認識しておりますが、現時点までに株式会社N・フィールドからの請求等は受けておりません。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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