イタミアート(168a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


イタミアート(168a)の株価チャート イタミアート(168a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

イタミアートは、「「IT」×「モノづくり」の力で世の中を変える。」をミッションに掲げ、伝統的な印刷業界でインターネットを活用し、D2C(Direct to Consumer)ビジネスモデルと効率的な社内管理システムを自社独自で構築することで、必要な時に必要な分だけを低価格かつ迅速に制作し、安定した品質の商品を顧客に届けるべく、事業を展開しております。

主な事業内容は、飲食業、小売業、広告代理店などにご利用頂いているBtoB向けECサイト「キングシリーズ」など、18のECサイトの運営と卸販売事業であります。インターネットを通じ、屋外に設置するメディアOOH(アウト・オブ・ホーム)広告の代表的な媒体のひとつであるのぼり旗、幕、看板といったオリジナル大型セールスプロモーション商材(以降、SP商材)の商品企画、サイト構築、集客、販売、制作、出荷の全工程を自社で行い(注)、顧客に対して柔軟性・利便性の高いサービス、安定した品質、短納期、低価格販売を実現しております。

なお、イタミアートの事業におけるセグメントはSP商材の企画・制作・販売の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

(注)一部、外注している商品もあります。

 

(イタミアートビジネスモデルのイメージ図)

 

(1) 事業の概要

イタミアートでは、のぼり旗、幕、冊子、パネル、うちわ等、豊富な取り扱いSP商材ごとに「キングシリーズ」としての独立ECサイトで販売を行っております。

また、EC販売取引において、多くのご注文を頂いた顧客やその他ご紹介などによる大口の顧客には、専任の営業担当をつけて対応を行う卸販売事業も行っており、ECでは拾えないニーズへの対応も行っております。

イタミアートは、ECサイト構築、受注管理、商品管理、顧客管理、出荷指示など受注から出荷までの管理の全てをECサイト構築システム「DREAM-PACK」、製造管理システム「i-backyard」等の自社開発システムで行っております。

集客施策については、販売の主要チャネルがECサイトであり、WEBマーケティングを行う専門部署を設置して、SEO(注)対策、WEB広告運用、サービス開発など効果的な集客施策に取り組んでおります。

ECサイトを通じた受注獲得、システム開発、製造の自動化による生産性の向上、設備導入によるキャパシティ拡大を継続的に行い、SP商材を利用する多くの顧客に短納期、低価格の販促商品提供を実現しております。

(注)SEO:WEBサイトを検索結果に上位表示させるために実施するWEBサイトの改善のこと。

 

(自社開発のシステム事例)

 

 

① BtoB向けECサイト

イタミアートは計18のECサイトを運営しております。主要なECサイトは「のぼりキング」、「横断幕・懸垂幕キング」、「冊子製本キング」となっており、下記にその特徴を記載します。その他のサイトも全て同様の施策を行っており、再現性の高い集客と売上の拡大、効率化を図っております。

 

(イタミアート運営の主なECサイト)

 

a. のぼり旗のECサイト「のぼりキング」の運営

イタミアートは、のぼり旗のECサイトである「のぼりキング」の運営を行っております。のぼり旗を中心に横断幕、タペストリー、看板、バナースタンドなど店舗のサイン&ディスプレイを幅広くラインナップしており、「のぼりキング」では約1.5万点以上の商品を取り扱っております。オリジナルのぼり旗が1枚から注文でき、最短当日出荷を行っております。ご注文方法は、顧客からの専用ソフトを利用したデータ入稿だけではなく、イタミアート専任デザイナーへのデザイン依頼、専用ソフトを利用せずにサイト上で豊富なテンプレートの中から顧客自身がデザインを編集し注文ができる「のぼりデザイン」サービスも提供しております。

 

(のぼりデザインイメージ)

 

「のぼりキング」は、Google自然検索における表示順位において検索キーワード「のぼり」で1位、「のぼり旗」で1位を獲得(2025年2月時点)しております(注)。さらに広告投資も継続的に行っており、2025年1月実績では、年間約194万の流入数があり、9.3万件以上のご注文を頂いております。

(注)検索順位チェックツールを用いて日別Google自然検索における表示順位において調査月に一番多く獲得した順位を記載しております。

売上構成の約75%が過去購入実績のある既存顧客からのリピート注文となっているほか、注文の約90%は1枚~10枚までの小口注文で構成された、安定したビジネスモデルとなっております。

また、受注処理の自動化にも力を入れており、顧客から入稿されたデータは、通常は人による目視チェックを行い印刷用のデータに加工しますが、イタミアート独自の印刷データ処理システムにより自動化を行っており、小口注文の処理効率を向上させております。

製造管理においては、受注システムのデータが製造管理システム「i-backyard」に自動連携されます。「i-backyard」を通して、製造工場に納品日ごとに制作すべき商品が表示され、その情報を基に漏れなく正確に制作・出荷を行っています。

 

b. 横断幕のECサイト「横断幕・懸垂幕キング」の運営

イタミアートは、大型幕のECサイトである「横断幕・懸垂幕キング」の運営を行っております。店頭幕、垂れ幕、看板幕、広告・イベント幕など店舗装飾として商品やイベントの告知にご利用いただいております。

また、建築現場に特化した足場幕も建築現場用のSP商材として販売しております。幕に関しても1枚から注文が可能で、最短3営業日で出荷を行っております。幕だけの販売ではなく、のぼり旗、バナースタンド、看板など買い合わせが期待できる商材はECサイトを跨いで販売を行っており、クロスセルも積極的に行っています。

「のぼりキング」同様、「横断幕・懸垂幕キング」でも顧客が自身で作成したデータ入稿、デザイン制作依頼、サイト上でデザインできる「幕デザイン」のサービスを提供しております。

 

(幕デザインイメージ)

 

また、Google自然検索における表示順位において検索キーワード「横断幕」で1位、「横断幕 印刷」でも3位を獲得(2025年2月時点)しており、「のぼりキング」と同様に購買確度の高い自然検索からの顧客流入を多く獲得しております(注)。

(注)検索順位チェックツールを用いて日別Google自然検索における表示順位において調査月に一番多く獲得した順位を記載しております。

受注処理の自動化や製造管理システムとの連携も、「のぼりキング」と同様のシステムを利用しており、製造工程の効率化を行っております。

 

c. 冊子のECサイト「冊子製本キング」の運営

イタミアートは、冊子印刷のECサイトである「冊子製本キング」の運営を行っており、パンフレット、会社案内、大会冊子、教材、レポート、写真集、カタログ等、様々なジャンルの紙面印刷物を取り扱っています。中綴じ、無線綴じと本格的な製本冊子を1冊から注文でき、最短3営業日で出荷を行っております。

2018年より開始したECサイトですが、売上は順調に拡大しており、次なる中核として市場獲得を目指しております。

また、冊子はサイズや仕様の選択肢が多いことに加えてページ数も多いため、データチェックを人が行うと時間も手間も非常に掛かることから、小ロット受注は受けにくかった分野ですが、「のぼりキング」と同様に入稿データの確認、加工を自動化する冊子専用のデータ処理自動化システムを独自開発し、データ処理時間や工数の圧縮に対応しており、1冊の受注でも利益を確保できる仕組みを実現しております。

「冊子製本キング」においても、Google自然検索における表示順位において検索キーワード「冊子 製本」で1位、「冊子 印刷」で2位を獲得(2025年2月時点)しており、購買確度の高い自然検索からの顧客流入を多く獲得しております(注)。

(注)検索順位チェックツールを用いて日別Google自然検索における表示順位において調査月に一番多く獲得した順位を記載しております。

 

 

d. その他

「のぼりキング」、「横断幕・懸垂幕キング」、「冊子製本キング」以外に、「うちわキング」、「マグネットキング」をはじめとしたキングシリーズなどのBtoB向けECサイトを全18サイト運営しております。様々なマーケティング施策やシステム化された受注処理などこれまでに培った専門ECサイト運営のノウハウを他のECサイトに横展開をすることで、売上の拡大を図っております。

 

② 卸販売事業

ECサイトから継続的に大口注文を頂く顧客や継続的な注文や大口案件をお持ちの企業からの受注については、専任の営業担当を配置し卸価格を設定して対応することで、ECだけでは拾いきれない受注や継続的な受注を獲得しております。数千枚単位の「のぼり旗」でも、価格や納期面においても十分な競争力を持って販売が可能であり、受注拡大に注力をしてまいります。この競争力は、日々のEC販売取引において、1日1,000件以上の受注、10,000枚以上の出荷という大量生産を続けていることで材料原価の低減交渉が可能となっていること、また、オペレーション業務のシステム化、効率化によって人件費を抑制できていることにより、実現しております。EC販売と卸販売の売上構成比率についてはEC販売:67.3%(売上高2,427,496千円)、卸販売:32.7%(売上高1,178,064千円)(2025年1月期実績)となっております。

 

(2) イタミアート事業の特徴

① 製造直販のD2Cビジネスモデル

イタミアートは、計18のECサイトを運営し、SP商材の商品企画、サイト構築、集客、販売、制作、出荷の全工程を自社で行っております(注)。中間業者を介さずに自社インターネットサイトを通じて効率的な販売を行うことで、低価格、短納期で主に自社で制作した商品を顧客に届けております。

また、顧客からの専用ソフトを利用したデータ入稿、イタミアート専任デザイナーへのデザイン依頼だけでなく、顧客自身でデザイン、編集を行えるサービス「のぼりデザイン」を展開するなど、インターネットの特性を活かして高いサービスレベルを維持しております。

(注)一部、外注している商品もあります。

 

② 専門部署によるマーケティング施策

マーケティング課という専門部署を設置し、SEO対策、WEB広告、メールマガジン、SNS運用、ダイレクトメール送付など様々な施策を行っております。また特に、SEO対策とWEB広告には注力をしております。SEO対策では、ECサイトごとにユーザーの検索動向を分析し検索上位表示を狙う「キーワード」を設定し、サイトの内部要素、サイト内の内容を検索媒体のアルゴリズムへの最適化を重ねることで上位表示を実現し、検索ユーザーの流入増を図っております。また、WEB広告では、様々な媒体に出稿を行いながら、広告内容をターゲットとなるユーザーごとに変化させながら、広告効果の最適化を図っています。SEO対策、WEB広告を駆使し、新規顧客、既存顧客の両方を継続的かつ効率的に獲得しております。

主要ECサイト「のぼりキング」では、Google自然検索における表示順位において検索キーワード「のぼり」で1位、「のぼり旗」で1位を獲得(2025年2月時点)しております(注1)。その結果、検索ユーザーをECサイトへ流入させることが可能となり、着実に顧客数が増加しております。また、SEO対策、WEB広告に加え、自社独自のCRM(注2)を活用して、ターゲット、配信タイミング、配信内容にこだわったメールマガジンやダイレクトメールの発送を行っております。これらの施策によって、主要ECサイト「のぼりキング」の売上構成は約75%が既存顧客からのリピート注文となっております。

効率的な新規獲得とリピート顧客増加の施策を全サイトで横展開し、継続的な受注増を図っております。

(注1)検索順位チェックツールを用いて日別Google自然検索における表示順位において調査月に一番多く獲得した順位を記載しております。

(注2)CRM(Customer Relationship Management):顧客管理ツールを用いて顧客情報を管理すること。

 

③ 自社開発の管理システムと最新設備の導入

ECサイト構築システム「DREAM-PACK」、製造管理システム「i-backyard」を始めとした自社開発システムを開発・運用し、業務フローを効率化しております。また、これらのシステムによって、顧客が入稿した印刷用データのチェックから制作指示書の作成、発送状況のリアルタイム連携等を行っており、人的ミスを未然に防止する体制を整えております。

製造設備については、最新のオンデマンド印刷機(注)の導入による高速印刷で製造キャパシティの拡大を図るとともに、製造工程の断裁や縫製作業といった技術が必要な作業の機械化、自動化を推進しております。これにより、安定的な製造とオペレーションコストの低減を行い、小ロット・多品種生産に対応すると同時に、顧客の多様なニーズに迅速に対応できる社内体制を築いております。

(注)オンデマンド印刷:原稿データをダイレクトに読み取って製版することなく印刷をする方式のこと。

 

[事業系統図]

イタミアートの事業系統図は下記のとおりであります。

 

 


有価証券報告書(2024年1月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

イタミアートの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてイタミアートが判断したものであります。

 

(1)経営方針

イタミアートは、「商売繁盛応援企業、日本一!」を経営ビジョンとして、イタミアートからご提供するSP商材によって顧客に対し、集客の成功、売上アップ、利益率の改善をご提供し続けることで、日本全国の経済活性化に貢献してまいります。また、経営理念として「一、私たちは共に力を合わせ、お客様の繁盛づくりに貢献します。 一、私たちは新たな商品と市場の開拓に挑戦します。 一、私たちは仕事を通じて、自己研鑽を重ね、共に成長し夢を実現します。」を掲げ、顧客、共に働くスタッフ、その家族、取引業者皆様のためにSP商材を通じて繁盛を創造しビジョンの実現に惜しむことなく努力を続けてまいります。

上記経営理念のもと、ネット集客の強化や販売商品のバリエーションを増やすことで新規獲得を図ることに加え、リピート・LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を向上させることが売上拡大に対する有効策となると考えております。全国のお客様へ商売繁盛を届けるため、販促品のEC通販事業に特化し、「商売繁盛応援企業、日本一!」のビジョン実現を目指します。

 

(2)経営環境

BtoB-EC市場規模全体でみると、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年は334兆9,106億円と前年比5.1%減少しましたが2021年は372兆7,073億円とコロナ前の水準を上回るまで持ち直していることに加え、EC化率も前年から2.1ポイント増の35.6%となっており、2022年もそれぞれさらに増加しております(「BtoB-EC市場規模の推移」参照)。

イタミアートが事業を展開している国内印刷通販市場は、BtoB-EC市場規模全体が伸長していることやEC化率が増加していることを背景に、注文や入稿が手軽にできることから市場規模が成長しています。本市場は、法人企業の販促用途が大部分を占めていることからコロナ禍では一時成長が鈍化したものの、成長が続いております。また、商業印刷市場は2021年に1兆7,800億円、2022年に1兆7,750億円(株式会社電通 2021年 日本の広告費及び2022年 日本の広告費)の市場規模があると見込まれており、商業印刷市場全体に対する国内印刷通販比率は2021年の約6.9%から2022年には約7.5%まで上昇しております(イタミアート試算)。EC化率の観点からは、上述の2021年の国内印刷通販比率6.9%を下表の全体のBtoB-EC化率35.6%と比較すると約30%の差があり、成長の余地は多く残されております。

イタミアートがECサイトで販売しているSP商材においては、新型コロナウイルス感染症との共生状況にあわせて需要は回復しており、小ロット、多品種、即時性(短納期)のニーズは高まると見込んでおります。

 

(BtoB-EC 市場規模の推移)

出所:令和4年度 電子商取引に関する市場調査 報告書 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課

 

 

(3)経営戦略

イタミアートのBtoB向けEC販売事業は、D2Cビジネスモデルにより実現している「低価格、短納期」と自社開発の管理システムや最新設備により実現している「多品種、小ロット生産」、専門部署によるマーケティング施策を大きな特徴としております。

引き続き、これらの強みをより活かし、伸ばすべく、取扱商品の拡充(事業の横展開)、集客数・成約率・リピート率の維持・向上、製造ライン全体のシステム化・自動化を推進してまいります。

 

① 取扱商品の拡充(事業の横展開)

イタミアートでは、新たな市場の獲得に向け、常に新たな商品開発を行っております。近年では、パネル・看板の印刷製造ができる設備を導入し「パネルキング」を開設しております。また、充実した製造設備や製造ノウハウを活かした商品開発に加え、これまで蓄積されたSEO対策等のマーケティングのノウハウ、自社独自のシステム管理による圧倒的な生産性を活かし、各サイトにおいて再現性の高い成長を実現しております。のぼり旗、幕、パネル、看板などの新商品開発とECサイトの構築を継続的に行い、SEO対策等のマーケティング施策により購入意欲の高いユーザーに幅広く商品をお届けするとともに、全18のECサイトを跨いだクロスセルも積極的に行ってまいります。

 

(ECサイト別(キングシリーズ)売上)

(注)ECサイト別(キングシリーズ)売上高の合計には、卸販売事業等の売上高が含まれていないため、損益計算書の売上高と一致しません。

 

② 集客数・成約率・リピート率の維持・向上

WEBマーケティングの専門部署による、WEB広告運用、SEO対策、SNS運用による集客施策に加え、独自のCRMを利用した顧客データベースを基にメールマガジン、ダイレクトメールの送付などを行うことで顧客とのリレーションを強化し、また、顧客ニーズの分析結果を基に、新商品や新サービスのリリースを行うことで成約率(注)、リピート率の向上を推進してまいります。流入ユーザーの増加に対し、高い成約率・リピート率を維持させることは事業の成長に直結します。

(注)成約率:Webサイトへの流入数に対して購入に至った件数の割合のこと。

 

(累計顧客数の推移)

 

(新規/リピート顧客受注実績推移)

 

(注)顧客区分の集計が可能な全運営サイト受注実績より算出。

 

③ 製造ライン全体のシステム化・自動化

イタミアートでは、自社独自の製造管理システム(i-backyard)を開発し、運用しております。また、最新の製造設備を導入し、裁断や縫製といった属人的作業やたたみ、梱包といった単純な作業を自動化することで、人員の増減に関わらない安定した製造と少人数オペレーションを実現しております。また、印刷データの加工から出荷検品までの工程一連をシステム化することで、多品種・小ロットの大量件数生産に対応することを可能にし、正確な作業と短納期対応などの顧客のニーズに対応可能となっております。さらに、このシステム化・自動化による業務効率化は、増え続けるご注文への対応に要する人件費を抑え、オペレーションコストの抑制につながっております。現在も製造管理システムの改良、製造の自動化を進めておりますが、今後もシステム・設備投資を続けてまいります。

 

(システム化・自動化のイメージ図)

 

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

イタミアートでは主な経営指標として、トランザクション数(注文件数)と平均客単価を重要な経営指標と考えております。トランザクション数の推移は、小ロット、多品種、大量受注を特徴とするイタミアートEC販売の成長性を示す重要な指標であると考えております。平均客単価は、事業の長期的な成長の基盤となる指標であり、提供しているサービスや商品の市場価値を示している指標であり、重要だと考えております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

企業を取り巻く経営環境は、急速な高齢化、経済格差、人口の減少、IT活用による情報格差等、かつてない社会構造の急速な変化の中にあり、顧客による選別や評価はなお一層厳しく、競争が激化するとともに企業の存在価値を常に問われる事業環境にあります。イタミアートが、このような加速度的に多様化する時代に、持続的に成長し社会貢献していくためには、強い組織の構築と事業規模の拡大で強固な経営基盤の確立を目指す必要があります。

これらを達成するために、下記の事項を対処すべき課題として取り組んでまいります。

 

① 認知度の向上、ブランドの確立

イタミアートが市場での浸透度を高めていくためには、一層の認知度の向上、信頼感の醸成が必要となってまいります。顧客に安定的にサービス提供のできる会社として信頼していただけるよう、顧客のニーズを捉える新商品の開発、低価格・短納期の実現、クレーム・トラブル等の削減など、サービス品質のたゆまぬ向上、既存顧客の満足度向上、広告宣伝を通じた広報活動の強化を通じ、イタミアートブランドの確立及び普及に努めてまいります。

 

② 新規顧客の獲得、大企業などの顧客へのアプローチ

イタミアートの低価格かつ短納期納品のサービスに対して、既存の顧客からは高い評価をいただいております。今後は、WEBブラウザ上でデザイン作成から発注までワンストップで注文ができるサービスの対象商品の拡充や、利便性向上を行い、デザインの専門ソフトや知識を持たないユーザーでも、オリジナル販促物を購入し易い環境をご提供し、幅広いユーザーの新規獲得拡大を行ってまいります。また、入稿データの自動チェック機能の開発により、ご注文時にデータ不備などの心配なく、納期が確定するサービスの展開やキャンペーンの実施など、期待を超えるサービスを提供し、新規顧客の獲得や既存顧客からのリピート注文の拡大を行ってまいります。

また、中堅・大企業の顧客に対しては、イタミアートのサービスを一層ご理解いただき、安心してご利用いただくことができるよう、低価格、短納期、注文が簡単で分かりやすく、利便性の高いサービス提供を行うことで受注を獲得してまいります。小規模事業主から大企業までご満足頂けるサービスをご提供することこそが、イタミアートが目指す「商売繁盛応援企業、日本一!」というビジョンにより近づくために不可欠な要素であるとともに、事業の安定成長の柱になっていくと考えております。

 

③ システム基盤の強化

イタミアートは、収益の基盤となるSP商材の販売をECサイト上で展開しており、また商材の製造工程・出荷管理等は自社開発システムを用いて行っております。そのため、システム稼働の安定性を確保すること、より生産性の高い製造・出荷工程を実現することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、システムを安定的に稼働させるための人員の確保及びサーバーの拡充を継続的に強化してまいります。

 

④ 情報管理体制の強化

イタミアートでは、SP商材を販売するECサイトを複数運営しており、既存の顧客の個人情報を多く取り扱っております。「情報セキュリティー規程」に基づき、アクセス権限の設定や外部記録媒体の管理等に係る情報管理体制の整備を引き続き推進していくとともに、社内研修の実施や内部監査等を通じて、情報の取扱いに関する社内規程の適切な運用や役職員の機密情報リテラシーの向上を図るなど、情報管理体制の強化を進めてまいります。

 

⑤ 内部管理体制の強化

イタミアートは、今後もより一層の企業価値の向上及び成長を図ってまいります。そのため企業規模の拡大に応じた内部管理体制の構築を図るために、コーポレート・ガバナンスを重視し、リスクマネジメントの強化並びに金融商品取引法における内部統制報告制度の適用等も踏まえた内部統制の継続的な改善及び強化を推進してまいります。また、イタミアートの事業に関連する法規制や社会的要請等の環境変化にも対応すべく、内部管理体制の整備及び改善に努めてまいります。

 

 

⑥ 優秀な人材の確保と育成

イタミアートは、今後持続的な成長を遂げるために、優秀な人材の確保並びに成長フェーズに沿った組織設計及び人材育成体制強化が不可欠、かつ、課題であると認識しております。優秀な人材の確保のため、新卒・中途採用を積極的に行っており、成長の資質を備え、かつイタミアートの企業風土に合致した人材の登用を進めるとともに、人材育成体制の整備を推進し、人材の定着と組織力の底上げを図ってまいります。

 

⑦ 財務基盤の拡充

イタミアートは事業拡大に応じ、人材確保と合わせて製造設備の更新・拡充を図ります。そのために強固な財務基盤を確立する必要があることから、今後、財務基盤を強化するため、機動的な資金調達が出来る体制の構築を行い、必要に応じて株式発行を含めた資本市場からの資金調達の実施を検討します。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてイタミアートが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① 市場の動向について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの主要ドメインであるPOP及び屋外広告のBtoB-EC市場は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により一時的に落ち込んだものの、ウィズコロナ時代の新しい生活様式が定着するにつれてPOP及び屋外広告市場は回復していくものとイタミアートでは考えております。またその一方で、EC化率は今後も継続的に上昇するものと見込まれるため、POP及び屋外広告のBtoB-EC市場は拡大傾向であると認識しております。しかしながら、景気の落ち込みによる企業の広告宣伝費の抑制、インターネットの利用を制約するような法規制、電子商取引やオンライン決済への新たな規制等により同市場の成長が鈍化した場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 顧客獲得の鈍化について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの売上高は、イタミアートのECサイトへの流入数、成約率、客単価、LTV(顧客生涯価値:顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益)により変動します。イタミアートはマーケティング手法別に効果測定を行いつつ、新規ユーザーの獲得、既存ユーザーへの追加販売、既存ユーザーの離脱防止を図る施策を継続的に実施しております。上記に挙げたような各種事業KPIについてはこれまで安定的に推移・改善してきておりますが、社会・経済情勢による顧客ニーズの変化、他の事業者との競合の激化、イタミアートのマーケティング手法が効果的でない等の要因によってイタミアートの登録ユーザー数の伸びが従来と比べて低いものとなった場合には、売上高の増加ペースが鈍ること、もしくはマーケティング費用が上昇することにより、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 検索エンジンの検索順位アルゴリズムの変更について(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートECサイトへの流入の多くは自然検索より得ております。自然検索流入数は主要な検索キーワードにおける表示順位に影響を受けるため、イタミアートの事業において「Google」等の主要なメディアが定期的に行う検索エンジンのアルゴリズムの判定要素の更新については、その判定要素が対外的に公開されていないため、その更新への対応を適時適切に行う必要があります。検索エンジンのアルゴリズムの判定要素の大規模な変更が行われた場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ システムトラブルについて(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの主要な事業であるEC販売事業は、すべてインターネットを介して行われており、そのサービス基盤はインターネットに接続するための通信ネットワークに依存をしております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備等の強化や社内体制の構築を行っておりますが、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大、地震等の自然災害や事故等により予期せぬトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こった場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑤ 新型コロナウイルス感染拡大による経済的影響について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

新型コロナウイルス感染症の影響が国内及び海外主要各国において再拡大し、拡大が長期間にわたり続いた場合は、より深刻な経済的影響が生じ、印刷EC市場の縮小や個人消費の冷え込みにつながることが予想されます。印刷EC販売事業において、顧客の広告出稿量及び広告単価が減少する可能性があります。また、物流の停滞による原材料や商品調達の遅れや生産及び納品の遅延等が発生する可能性があります。今後、さらなる業務改善や効率化への見直しを行うほか、仕入先の分散等、積極的な対応に取組んでまいりますが、国内及び世界経済の動向によってはイタミアートの事業活動並びに財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 減損損失について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化によりその見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。イタミアートの固定資産の時価が著しく下落した場合や、将来新たに開始するものも含めて、事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により資産について減損損失が発生し、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ 原材料及び商品の価格の変動について

原材料(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

商 品(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

のぼり旗や横断幕の生地等の原材料及び注水台等の商品の価格が高騰した際、それをタイムリーに販売価格に転嫁できなかった場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、商品の一部を海外から外貨建てによって調達していることから、為替相場の変動リスクを可能な限り回避する目的で金融機関との間でデリバティブ契約を締結しておりますが、当該リスクを完全に回避できるものではないため、為替相場が変動した場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 配送・物流コストについて(発生可能性:高、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

イタミアートは、製・商品販売に際し運送会社に配送業務を委託しており、ユーザーの利便性向上を目的とし、一定の金額以上をご購入いただいたユーザーに対して一部製・商品を除き無料での配送サービスを提供しております。配送コストが上がった場合には、必要に応じて価格転嫁を行うことを検討してまいりますが、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 競合他社の動向について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

現在、国内で印刷EC販売事業を展開する競合企業が複数存在しており、一定の競争環境があるものと認識しております。イタミアートは幅広い顧客ニーズに対応できる商品ラインナップの拡充を進めるとともに、積極的なマーケティング活動やカスタマーサポートの充実、提供サービスの拡大及び品質向上に取り組んでおり、市場における優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。今後もユーザー目線に立ってサービスをより充実させていくと同時に、知名度向上に向けた取組みを積極的に行ってまいりますが、価格競争力、サービス力、新たな技術やビジネスモデルを有する競合事業者の参入等により、イタミアートのサービス内容や価格・技術に優位性がなくなった場合には、イタミアートの事業活動並びに財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 特定商品への依存度について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

イタミアートの主力商品である、のぼり旗、横断幕・懸垂幕は、売上高の約75%を占めております。国内印刷通販市場は、法人企業の販促用途が大部分を占めていることからコロナ禍では一時成長が鈍化したものの、成長が続いております。また、のぼり旗、横断幕・懸垂幕などのSP商材は、今後の購買動向がECサイト経由に変化していくという観点からも今後の成長拡大が期待されており、足元の市場動向は安定しております。ただし、将来市場動向が悪化し、のぼり旗、横断幕・懸垂幕の売上高が減少する場合は、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 製造設備の故障・トラブルについて(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

イタミアートの主力製品は自社で製造しております。安定的な製造を続けるためにメンテナンスや調整は行っておりますが、想定以上の受注による稼働率の急激な上昇や水害・地震等の大規模災害が発生した場合、設備に故障やトラブルが発生する可能性があります。その場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 事業運営体制に関するリスクについて

① 人材の採用について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートは、今後の企業規模の拡大に伴い、イタミアートの理念に共感し、かつ、高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用することで、強固な組織を構築していくことが重要であると考えております。今後、積極的な採用活動を行っていく予定でありますが、イタミアートの求める人材が十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 内部管理体制の構築について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、各社内規程及び法令の遵守を徹底してまいりますが、事業が急速に拡大することにより、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営を行うことができず、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報セキュリティーについて(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートは、厳重な情報セキュリティー管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業の一環として得意先から預託された機密情報や個人情報の収集・保管・運用を行っております。プライバシーマークを取得し、社内で運用する他、従業員研修を繰り返し実施する等、これらの情報管理には万全な方策を講じておりますが、万一イタミアートの従業員や業務の委託会社等が情報を漏洩又は誤用した場合には、イタミアートが企業としての社会的信用を喪失し、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 特定の人物への依存について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの代表取締役社長である伊丹 一晃は、イタミアートの経営方針や事業戦略の決定及びその遂行について重要な役割を果たしております。イタミアートは、取締役会やその他会議体において役職員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指しております。しかしながら、何らかの理由により同氏に過度に依存しない経営体制の構築が進まない場合または同氏がイタミアートの経営執行を継続することが困難になった場合には、イタミアートの事業活動並びに財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 著作権等知的財産権について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低)

イタミアートは、顧客により入稿されたデザインを加工・印刷する事業を行っております。顧客に対しては、著作権、商標権等の第三者の知的財産権を侵害しないようサービスサイト上で注意喚起するほか、利用規約により、知的財産権を侵害したデザインの入稿を禁止しております。また、入稿されたデザインを社内基準に従って審査しております。しかしながら、イタミアートの認識していない知的財産権の侵害があり、信用失墜や損害賠償請求等が発生した場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 法的規制に関するリスクについて

① 訴訟等について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの事業に関連して、第三者との間で重要な訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありません。イタミアートは、法令及び契約等の遵守のため、コンプライアンス規程を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、イタミアートが事業活動を行うなかで、顧客、取引先又はその他第三者からイタミアートが提供するサービス及び品質等に関するクレームのほか、顧客等との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかるクレーム及び訴訟の内容及び結果によっては、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生やイタミアートの社会的信用の毀損によって、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 個人情報の保護について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートは、会員登録情報をはじめとする個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針及び個人情報保護マニュアルを定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に流出し、悪用されるといった事態が発生した場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績並びに企業としての社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

③ 関連業法の法的規制について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートが運営する事業は、「景品表示法」、「著作権法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「プロバイダ責任制限法」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の法規制の対象となっております。イタミアートは、これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後も社内教育や体制の構築等を行っていく予定であります。しかしながら、今後新たな法令の制定や、既存法令の強化等が行われ、イタミアートが運営する事業が規制の対象となる等の制約を受ける場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産権について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

イタミアートでは、イタミアートが運営する事業に関する知的財産権を確保するとともに、定期的に知的財産権に関する周辺調査を実施することで、第三者の知的財産権を侵害しない体制の構築に努めております。しかしながら、イタミアートの認識していない知的財産権が既に成立していることによりイタミアートの事業運営が制約を受ける場合や、第三者の知的財産権侵害が発覚した場合等においては、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) その他のリスクについて

① 自然災害について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの生産拠点並びに物流拠点は、岡山市に所在しています。火災・地震・台風等の大規模な自然災害の発生時には、被災した自社保有設備、建物及び原材料等の資産の損壊等の物的被害並びに従業員等の人的損害が発生する可能性があります。また、社会インフラの大規模な損壊で原材料、商品等の確保が困難になる可能性があります。これらの場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 有利子負債について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

当事業年度末時点における有利子負債残高(リース債務を含む)は17億12百万円、有利子負債依存度は67.8%となっております。イタミアートの資金需要の主な内容は運転資金及び設備投資資金であり、2021年1月期に竣工した七日市工場に係る借入もあり、有利子負債の比率が高い水準にあります。今後も財務体質の改善に努めてまいりますが、現行の金利水準が大幅に上昇した場合には金利負担が増加し、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 大株主について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大)

イタミアートの代表取締役社長である伊丹 一晃はイタミアートの大株主であり、同人と同人が議決権の過半数を所有している会社の所有株式の合計は、本書提出日現在で発行済株式総数の50.8%となっております。同人は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。イタミアートといたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人及び同人が議決権の過半数を所有している会社の株式が減少した場合には、イタミアート株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 調達資金の使途について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中)

イタミアートの株式上場時に計画している公募増資による調達資金の使途は、事業拡大のため七日市工場の増設費用及び印刷機の購入費用に充当する予定であります。しかしながら、事業環境の変化により、現在計画している資金使途を変更する可能性があります。また、当初の計画に従って投資を行った場合においても、期待通りの効果が得られない場合には、イタミアートの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、株式上場時における公募増資による調達資金の使途について変更になった場合は、速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。

 

⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

イタミアートは、イタミアートの取締役及び従業員に対して、業績向上に対する意欲を高めることを目的としたストック・オプションとして新株予約権を発行しております。ストック・オプションが権利行使された場合には、イタミアート株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日現在、新株予約権による潜在株式数は36,600株であり、発行済株式総数1,470,000株の2.5%(株式総数1,506,600株(潜在株式を含む)の2.4%)に相当しております。

 

 

⑥ 株式の流動性について(発生可能性:低、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小)

株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は新規上場時において46.9%です。今後は、イタミアートの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、イタミアート株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それによりイタミアート株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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