Chordia Therapeutics(190a)の株価チャート Chordia Therapeutics(190a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷
(1)事業の概要
①ビジネスモデル
Chordia Therapeuticsは、新規抗がん薬の市販を目指して研究開発を行う創薬ベンチャー企業です。医療ニーズ(アンメットメディカルニーズ)の高いがん領域で、新しい作用を有する低分子の画期的医薬品(ファーストインクラス)の研究開発が主要な事業の内容です。Chordia Therapeuticsがマネジメントと研究業務(探索研究、前臨床研究、臨床研究)、特に候補化合物の探索、評価、最適化、臨床試験に集中し、外部協力先が得意な業務、中でも基礎研究、原薬及び製剤の製造、流通・販売などは各外部協力先に委託するという形を取ってビジネスを進めております。
創薬事業においては様々な専門性の高い作業や過程があり、また長い開発期間と多額の研究開発費用が必要です。Chordia Therapeuticsは、効率的な創薬事業を実現するために、大学や公的機関、事業補完性のある企業、製薬会社などと積極的に共同研究やライセンス提携などの協業を行い、より短い期間で効率的に新しい抗がん薬の創出に取り組んでいます。
・パートナリングに関する方針、考え方
Chordia Therapeuticsにおける事業提携の基本戦略は、パイプライン(開発プログラム)の医薬品として市販される蓋然性が高まったタイミングで日本国外の販売権についてライセンス交渉を行う事です。2021年のBiotechnology Innovation Organizationの報告では、第2相臨床試験の成功確率が最も低いとされており、第2相臨床試験が成功してパイプラインが医薬品として市販される蓋然性が高まったタイミングは、パイプラインの価値が高くなるタイミングとChordia Therapeuticsは考えております。そのため事業提携の基本戦略としては第2相臨床試験の結果を確認できるタイミングで行うことが最適であるとChordia Therapeuticsでは考えています。
パートナー企業の選定基準としては、①パートナー企業の臨床開発戦略立案力、②パートナー企業の臨床開発に関する資金力、③Chordia Therapeuticsのパイプラインの理解力、④パートナー企業内でのChordia Therapeuticsのパイプラインの優先順位などを基準に選定を行います。
<事業系統図>
②ファーストインクラスの抗がん薬を生み出すための研究開発
がんは世界において主要な死因の一つであり、国立がん研究センターの統計によると日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、2人に1人ががんと診断され、また、がんで死亡する確率は男性が27.9%で約4人に1人、女性が21.1%で約5人に1人となっています(国立がん研究センター調査データに基づく。診断される確率は2021年、死亡確率は2022年のデータを引用)。そのため、患者や家族、社会にとって、がんは大きな問題になっています。また、近年、新しい治療法や新規抗がん薬が開発され、生存予後が改善する傾向がみられていますが、がんと診断された人の5年相対生存率(国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」)は68.9%にとどまり、依然として新しい抗がん薬や治療法の開発が望まれています(国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」)。このことから、がん領域は依然としてアンメットメディカルニーズが高い領域と考えています。
Chordia Therapeuticsは、がん領域において、ファーストインクラスの研究開発を行っています。ファーストインクラスの医薬品は、既存治療薬と異なる有用性を示すことが期待され、これまでの治療法を大きく変えることができる医薬品に成長する可能性があると考えています(図1)。特に既存治療薬では十分な効果が認められず、現在のがんの進行に不安を感じている多くの患者に対して、がんの進行をコントロールできるという希望を届けられる可能性を秘めております。医薬品市場の観点からは、初めて市場に出るため大きな市場を取れる可能性が高く、薬価算定の際にその有効性や新規性に応じた高い価格が設定されることが多いことから、数多くのグローバル製薬企業が非常に高い関心を持っていると考えています。そのため、ファーストインクラスの医薬品にフォーカスしたパイプラインを有するChordia Therapeuticsは、グローバル製薬企業との共同開発やライセンス契約等の機会を積極的に検討しながら事業の価値最大化をめざすことが可能になります。
図1.ファーストインクラス創薬とは
③Chordia Therapeuticsの研究領域
|
抗がん薬の標的となる分子を見つけ出すには、がんのホールマーク(特徴)、つまり、がん細胞が正常細胞と比べてどのように異なるのかを明らかにすることが重要です。これまでに、12種の多様なホールマーク(継続的な血管新生、組織への浸潤と転移、アポトーシスの回避、増殖シグナルの自己充足、増殖抑制シグナルに対する不応答性、無制限の複製能力、DNA損傷ストレス、酸化ストレス、有糸分裂ストレス、タンパク質毒性ストレス、代謝ストレス、及び免疫ストレス)が見出されていましたが、近年、最新の研究によって、RNA制御ストレスが新たなホールマークとして認識されるようになりました(右図、枠内がRNA制御ストレス)。がんのホールマーク(特徴)に着目した医薬品開発はこれまでにも盛んに行われてきており、優れた抗がん薬が多数生み出されてきたことから、高い効能を有する抗がん薬の開発において有効な研究戦略であると考えています。
|
|
・がんの新しいホールマークである“RNA制御ストレス”
RNA制御ストレスとは、細胞内でRNAを生成する過程に乱れが生じ、異常なRNAが蓄積し、それが細胞へ負荷をかけている状態のことです。特にがん細胞ではRNAを生成する複数の過程が乱れ、正常細胞に比べてがん細胞では過剰に負荷がかかっている状態です。Chordia Therapeuticsの研究開発は、この新たに見出されたがんのストレス表現型である、RNA制御ストレスに焦点を当てています。Chordia Therapeuticsのパイプラインは、RNA制御ストレスを標的とするコンセプト、すなわち異常RNAをさらに生成、蓄積させることでがん細胞に追加の負荷をかけて死に至らしめるという科学的なコンセプトに基づいています(図2)。RNA制御ストレスを標的としたがん治療薬は未だ医薬品として市販されていません。Chordia Therapeuticsは、このRNA制御ストレスにいち早く注目して研究開発を行っており、当領域におけるリーディングカンパニーとして、新しい抗がん薬の研究開発を世界に先駆けて行っています。
図2.RNA制御ストレスとは
④パイプラインの概要
Chordia Therapeuticsは現在、2つの臨床パイプライン(CLK阻害薬CTX-712、国際一般名称はrogocekib(以下、「rogocekib」という。)、MALT1阻害薬CTX-177、(以下、「CTX-177」という。))に加えて、3つの前臨床パイプライン(CDK12阻害薬CTX-439(以下、「CTX-439」という)、GCN2阻害薬、新規パイプライン)、合計5つのパイプラインを保有しています(図3)。前臨床パイプラインのうち、CTX-439は前臨床研究段階に、その他2つは探索研究段階です。
図3.パイプラインの概要と開発状況と開発タイムライン
⑤収入形態
Chordia Therapeuticsが得る収入は、当面の間は、ライセンス契約に基づく提携企業からの収入を想定しています。ライセンス契約の収入には、「契約一時金」「開発マイルストン収入」「販売マイルストン収入」「ロイヤリティ収入」があります。また、Chordia Therapeuticsは自社でも製造や販売する体制を構築することを視野にいれてパートナー企業との戦略的提携を進めていますので、今後のビジネスの進展により自社で製品を販売して得る収入も想定しています。
<事業収益の類型>
|
収入形態 |
内容 |
|
ライセンスの契約一時金 |
ライセンス契約を行った際に独占的な権利をパートナーに付与する対価として得られる一時金収入。 |
|
ライセンスの開発マイルストン |
ライセンス契約を行ったパイプラインの開発進捗に応じて設定したいくつかの目標を達成する毎に一時金として得られる収入。臨床試験段階での開発マイルストンについては、目標間の期間は数年程度と想定する。 |
|
ライセンスの販売マイルストン* |
ライセンス契約を行った際に設定した売上目標達成に応じて受領する収入。 |
|
ライセンスのロイヤリティ* |
製品が市販後に、その売上からあらかじめ定められた一定割合を受領する収入。 |
*:現時点での受領実績はない。
**:現時点では自社で製品を販売する意思決定は行われていないため、計画上で想定される「製品の販売収入」につ
いては表中に記載されていない。
(2)個別パイプラインの状況
①RNA制御ストレスに焦点を当てたパイプライン
RNAを生成する過程には、転写、スプライシング、分解、輸送などが挙げられます。これら各過程を標的とした抗がん薬は未だに市販されていません。Chordia Therapeuticsはこれらに対するパイプラインを有しており、いずれのパイプラインも医薬品として市販されておらず、ファーストインクラスの医薬品になる可能性を有しています(図4)。特にChordia Therapeuticsが最も期待するパイプラインであるrogocekibにより、RNA制御ストレスを標的とした抗がん薬の有用性が立証されれば、RNA制御ストレスを対象とした抗がん薬の開発において新たな一歩が示せると考えています。
また、がん特有のホールマークは複数のがん種において共通して認められることから、このホールマークに焦点を当てた創薬研究は一つのがん種に限定されず、多くのがん種に対して適応できることが期待されます。実際に、既知のホールマークを標的とした医薬品は、市販後に適応とされるがん種が拡大され、ブロックバスターとして成長したケースがあり、Chordia Therapeuticsが焦点を当てるホールマークであるRNA制御ストレスにおいても同様、幅広いがん種に適応する可能性があると考えています。すなわち、Chordia Therapeuticsの研究アプローチは、がんのホールマークを標的とするという考え方であり、この考え方は既存の市販医薬品で有効性が示されている実績があります。
図4.DNA、RNA及びタンパク質に係るストレスを標的とした市販済みのがん治療薬の現状とChordia Therapeuticsパイプライン
②Chordia Therapeuticsのパイプラインの標的となるRNAを生成する過程
DNAは生命活動の維持に不可欠な、タンパク質を合成するための設計図として機能しています。DNA上の遺伝情報は、メッセンジャーRNA(mRNA)へ写しとられ、このmRNAの情報をもとにタンパク質が作られます。Chordia Therapeuticsのパイプラインは、mRNAを生成する過程に対してかかる制御ストレスを標的としており、イメージ図(図5)においては、A:転写を調節するCDK12、B:スプライシングを調節するCLK、C:RNA輸送を調節するGCN2、D:RNA分解を調節する新規パイプラインとして記載しています。
図5.RNAを生成する過程のイメージ図
ウイルスからヒトに至る多くの生物は遺伝子DNAを有しています。DNAは生命活動の維持に不可欠な、タンパク質を合成するための設計図として機能しています。DNA上の遺伝情報は、メッセンジャーRNA(mRNA)へ写しとられ、このmRNAの情報をもとにタンパク質が作られます。「DNA→mRNA→タンパク質」という細胞内における遺伝情報の流れは、生命の営みの基本的かつ普遍的な反応であることからセントラルドグマと呼ばれています。
RNAの転写とは、上記のセントラルドグマの中で、DNA情報をmRNAに写しとる過程です。この転写過程を直接つかさどっている重要なタンパク質としてRNAポリメラーゼⅡが知られています。RNAポリメラーゼⅡはDNAを鋳型として前駆型mRNAを作ります。
RNAのスプライシングとは、転写後の前駆型mRNAはタンパク質を作るために必要なエクソン配列に加えてタンパク質合成に不要なイントロン配列の両方を含んでいるため、エクソン配列を繋げ、イントロン配列を取り除き、成熟型mRNAを作る過程です。
RNAの輸送とは、スプライシングを受けた成熟型mRNAやタンパク質を作るために必要なトランスファーRNA(tRNA)をタンパク質合成の場に輸送する過程です。
RNAの分解とは、タンパク質合成の鋳型として役割を果たしたmRNAやtRNAが分解される過程です。
Ⅰ.rogocekib(CLK阻害薬CTX-712)
①作用
CLKはスプライシングを調節しています。rogocekibがCLKを阻害することによって正常のスプライシングが行われなくなるため、異常なmRNAが蓄積し、細胞に負荷がかかります。そもそも、がん細胞には過剰に負荷がかかっているためCLK阻害による追加の負荷に耐えられず、正常細胞に比べてがん細胞が選択的に死滅すると考えています。
②特徴及び対象疾患
正常なスプライシングを阻害する作用の抗がん薬はこれまで市販されていないため、これまでの治療法で効果が無かった患者に対して新たな治療法となる可能性があると考えております。非臨床試験の結果からは、急性骨髄性白血病(以下、「AML」という。)や骨髄異形成症候群(以下、「MDS」という。)などの血液がんのみならず、卵巣がんなど複数の固形がんに対しても有効性が期待されていると考えております。
また患者を対象にした国内第1相臨床試験の結果からも、再発・難治性のAMLやMDS、卵巣がんがrogocekibに対する感受性が高いことが示唆されました。非臨床試験である動物モデルと実際の臨床試験が大きく相違ない結果であり、rogocekibは特定の特徴を有する複数種類のがんにおいて効果が期待されると考えております。
③開発状況の概要
2018年から実施中のrogocekibの日本国内第1相臨床試験では、2023年8月に全ての患者登録が完了し、固形がん46名、血液がん14名合わせて60名の患者への投薬が行われました。
観察されたDLT(Dose-Limiting Toxicity:用量制限毒性)は、脱水、血小板数減少、低カリウム血症,及び肺炎であり、週2回の投与におけるMTD(Maximum Tolerated Dose:最大耐用量)は140 mgと決定されました。rogocekibに関連する有害事象として吐き気、嘔吐、下痢等が挙げられましたが、許容される安全性プロファイルと考えられました。有効性に関しては、固形がんにおいて4例のPR(partial response:部分奏効)を認め、それらはすべて卵巣がん(4/14例、28.6%)でした。AML、MDS計14例において、4例のCR(complete remission:完全寛解)、1例のCRi(complete remission with incomplete hematologic recovery:好中球未回復の完全寛解)、1例のMLFS(morphologic leukemia-free state:形態学的無白血病状態)を認め、Overall Response Rateは42.9%でした。以上より、卵巣がん、血液がんにおいてrogocekibが有効であることを示しました。
当事業年度末現在では、2023年に米国において開始した再発又は難治性のAML及びMDSの患者を対象にした第1/2相臨床試験を進めており、2025年8月末時点では36人の患者への投与を完了し、更なる症例登録を進めている状況でございます。
④ライセンス状況
当事業年度末現在、武田薬品工業株式会社(以下、「武田薬品」という。)とのライセンス契約に基づき全世界での独占的な研究、開発、製造及び商業化する権利は、Chordia Therapeuticsが保有しています。今後の研究開発状況にあわせてライセンス活動を積極的に行ってまいります。
Ⅱ.CTX-177(MALT1阻害薬)
①作用
MALT1は転写因子NF-κBを活性化します。難治性リンパ腫においては、T細胞シグナルあるいはB細胞シグナル伝達経路の因子(T細胞受容体CD28、B細胞受容体CD79A/B、PLCγ1,PKCβ、CARD11)にシグナルを活性化する遺伝子変異が起こり、そのシグナルがBTKやMALT1を経由してNF-κBの活性化が引き起こされ、リンパ腫が異常に増殖しています(図6)。CTX-177は、MALT1を阻害してNF-κBの活性化を抑制する事で抗がん作用を生み出すと考えています。本パイプラインはRNA制御ストレスを標的としてはいません。
②特徴及び対象疾患
MALT1阻害薬は難治性リンパ腫での有効性が期待されています。いくつかの難治性リンパ腫ではBTK阻害薬による治療が行われています。しかしながら、MALT1がNF-κBを活性化することによりBTK阻害薬に耐性を獲得したリンパ腫が出現しており、治療上の問題となっています。MALT1阻害薬はNF-κBの活性化を抑制することが可能であるため、BTK阻害薬に耐性のリンパ腫においても効果を示すことが期待されています。
図6.CTX-177の作用のイメージ
③開発・ライセンス状況
2020年に武田薬品とのライセンス契約に基づき、Chordia Therapeuticsは対象化合物に関する全世界での独占的な研究、開発、製造及び商業化の権利を取得しました。その後、当該権利は小野薬品工業株式会社(以下、「小野薬品」という)に導出され、同社により米国及び日本において第1相臨床試験が実施されました。
しかしながら、2025年4月28日に、小野薬品より戦略的判断に基づき臨床試験を中止する旨の通知を受領し、これに伴いChordia Therapeuticsが当該権利を回収いたしました。これにより、当事業年度末現在、当該化合物に関する全世界での独占的な研究、開発、製造及び商業化の権利は、Chordia Therapeuticsが保有しています。現在、Chordia Therapeuticsは新たなライセンス許諾先の選定に向けた検討を進めております。
Ⅲ.CTX-439(CDK12阻害薬)
①作用
CDK12はRNAポリメラーゼⅡによるmRNAの転写を調節しています。CTX-439は、CDK12を阻害することによってRNAポリメラーゼⅡによるmRNAの転写を抑制します。このmRNAの転写の抑制により異常なmRNAが蓄積し、細胞に負荷がかかります。そもそも、がん細胞には過剰に負荷がかかっているためCDK12阻害による追加の負荷に耐えられず、正常細胞に比べてがん細胞が選択的に死滅すると考えています。
②特徴及び対象疾患
CTX-439は、単剤で乳がん及び卵巣がんを含むその他複数の固形がん及び血液がんのマウスモデルで抗がん作用を示しております。加えて、化学療法薬あるいは分子標的薬の魅力的な併用薬となる可能性を有しています。
③開発状況
当事業年度末現在、臨床試験開始に向けての安全性試験や治験原薬の製造を終え、次のフェーズの準備を進めているところです。
④ライセンス状況
当事業年度末現在、武田薬品とのライセンス契約に基づき全世界での独占的な研究、開発、製造及び商業化する権利は、Chordia Therapeuticsが保有しています。今後の研究開発状況にあわせてライセンス活動を積極的に行ってまいります。
Ⅳ.GCN2阻害薬
①作用
GCN2は、タンパク質を作るために必要なtRNAの輸送を調節しています。GCN2阻害薬は、tRNAの輸送に異常を生じさせ、輸送が正常に行われなかった異常なtRNAが蓄積し、細胞に負荷がかかります。そもそも、がん細胞には過剰に負荷がかかっているためGCN2阻害による追加の負荷に耐えられず、正常細胞に比べてがん細胞が選択的に死滅すると考えています。
②特徴及び対象疾患
GCN2阻害薬は、単剤で異常なtRNAを誘導することによる抗腫瘍効果を示すことが期待されます。加えて、化学療法薬あるいは分子標的薬の魅力的な併用薬となる可能性を有しています。
③開発状況
当事業年度末現在、前臨床研究に向けて、内部リソースを活用した探索研究を実施中です。
④ライセンス状況
当事業年度末現在、武田薬品とのライセンス契約に基づき全世界での独占的な研究、開発、製造及び商業化する権利は、Chordia Therapeuticsが保有しています。今後の研究開発状況にあわせてライセンス活動を積極的に行ってまいります。
(3)用語説明(五十音順)
|
用語 |
解説 |
|
RNA |
Ribonucleic acidリボ核酸の略で、遺伝子であるDNAからタンパク質を生成するために必要な物質。ゲノムDNAから転写されたメッセンジャーRNA(mRNA)、タンパク質合成時に利用されるトランスファーRNA(tRNA)などがある |
|
RNAポリメラーゼⅡ |
DNAからmRNAへの転写を触媒するタンパク質複合体 |
|
アンメットメディカルニーズ |
未だ有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズ |
|
イントロン |
タンパク質合成に不必要なRNA部分 |
|
AML |
Acute Myeloid Leukemia急性骨髄性白血病の略で、骨髄中で白血球の元になる血液細胞ががん化した疾患で、血液がんのひとつ |
|
エクソン |
タンパク質合成に必要なRNA部分 |
|
エクソンスキッピング |
一部のエクソンが抜け落ちるスプライシングの変化 |
|
FDA |
Food and Drug Administration米国食品医薬品局の略で、医薬品などを審査、取り締まるアメリカ合衆国の政府機関 |
|
NF-κB |
Nuclear Factor-kappa Bの略で、転写を担うタンパク質複合体のひとつ |
|
MFLS |
CRには至らないものの、形態学的には骨髄中に白血病細胞が見られない状態 |
|
MDS |
Myelodysplastic syndromes骨髄異形成症候群の略で、骨髄中で血液細胞のもとになる造血幹細胞に異常がおき、正常な血液細胞がつくなれなくなる疾患で、血液がんのひとつ |
|
MTD |
Maximum Tolerated Dose最大耐量の略で、毒性が認容できる範囲内で最大の投与量 |
|
CARD11 |
Caspase Recruitment Domain Family Member 11の略で、MALT1の活性調節に働くタンパク質 |
|
拡大コホート |
第1相臨床試験のなかで、次相の推奨使用用量の設定後、安全性と一部有効性を確認するために症例を集めた患者集団のこと |
|
血管新生 |
新しい血管が作られる現象のことで、創傷部位やがんが進行する際にも認められる現象 |
|
血液がん |
血液細胞が分化の過程でがん化して増殖する疾患の総称 |
|
好中球 |
細菌などの感染から体を守る働きを有した白血球の一種。白血球全体の約45~75%を占めている。 |
|
固形がん |
血液がん以外の、臓器や組織などで塊をつくるがんの総称 |
|
最大耐量 |
毒性が認容できる範囲内で最大の投与量、MTDのこと |
|
CR |
Complete Remission完全寛解の略で、血液がんの評価において使用され、患者の骨髄に存在するがん細胞の割合が5%未満であり、末梢血中の好中球と血小板などの数値が完全に回復している状態 固形がんの評価におけるCRは、Complete Response完全奏効の略で用いられ、腫瘍が完全に消失した状態 |
|
CRi |
Complete Remission with incomplete hematologic recoveryの略で、血液がん(AML)の評価において使用され、患者の骨髄に存在するがん細胞の割合が5%未満であるが、末梢血中の好中球と血小板の回復が不完全な状態 |
|
CLK |
CDC2-Like Kinaseの略で、対象となるタンパク質にリン酸基を転移させる反応を触媒する酵素でスプライシングにおいて重要な役割を果たしている |
|
CDK12 |
Cyclin Dependent Kinase 12の略で、対象となるタンパク質にリン酸基を転移させる反応を触媒する酵素で転写の伸長反応において重要な役割を果たしている |
|
GCN2 |
General Control Nonderepressible 2の略で、対象となるタンパク質にリン酸基を転移させる反応を触媒する酵素で細胞内のアミノ酸の量において重要な役割を果たしている |
|
浸潤 |
がん細胞や免疫細胞などが周辺組織に染み広がる特徴のことで、転移するがんが有している特徴の一つである |
|
スプライシング |
RNAを成熟させる過程 |
|
成熟型mRNA |
スプライシングを受けて成熟したRNA |
|
前駆型mRNA |
スプライシングを受けて成熟する前のRNA |
|
前臨床研究 |
臨床試験を実施する前に検討する研究。ヒトにおける医薬品候補化合物の安全性、薬物濃度、有効濃度などを推定する研究の総称 |
|
探索研究 |
医薬品の研究開発の初期段階であり、病態の進展に寄与している生体分子(薬物標的)を探索する研究 |
|
用語 |
解説 |
|
治療モダリティ |
治療薬の種類のことで、低分子医薬品、抗体医薬品、核酸医薬品、細胞医薬品などがある |
|
DNA |
Deoxyribonucleic acidデオキシリボ核酸の略で、DNAには全ての遺伝情報が蓄えられている |
|
DLT |
Dose-Limiting Toxicity用量制限毒性の略で、臨床試験において増量できない理由となる毒性のこと |
|
転写 |
遺伝情報をDNAからメッセンジャーRNAにコピーする過程 |
|
バイオマーカー |
ある疾患の有無、病状の変化や治療の効果の指標となる生体内の物質。特に抗がん薬領域では患者の層別化に用いることが多い |
|
パイプライン |
研究開発プログラムもしくは医薬品候補化合物 |
|
曝露 |
生体に化学物質がさらされていること |
|
PR |
Partial Remission部分寛解の略で、血液がんの評価において使用され、骨髄に存在するがん細胞の割合が5-25%(AMLの場合)あるいは5%以上(MDSの場合)であるが、治療前に比べ50%減少した状態 固形がんの評価におけるPRは、Partial Response部分奏効の略で用いられ、標的病変の径の和が30%以上減少した状態 |
|
POC |
Proof of Concept概念実証の略で、患者での安全性と有効性(治療効果)が確認されること |
|
PK |
Pharmacokinetics薬物動態の略で、薬物投与後の体内薬物濃度の推移 |
|
PD |
Pharmacodynamics薬力学の略で、生体や細胞に対する薬物の作用 |
|
PMDA |
Pharmaceuticals and Medical Devices Agency医薬品医療機器総合機構の略で、厚生労働省所管の独立行政法人であり、医薬品等の品質、有効性及び安全性の向上に関する審査機関 |
|
非臨床試験 |
臨床試験以外の試験であり、臨床試験を行う前に実施する安全性試験、薬物動態試験、薬効薬理試験などが含まれる。 |
|
ファーストインクラス |
これまでになかった新しい作用を有する低分子の画期的医薬品のカテゴリーのことで、既存治療薬による治療法を大きく変えることができる可能性のある医薬品のこと |
|
B細胞シグナル、T細胞シグナル |
リンパ球であるB細胞やT細胞の増殖を活性化するシグナル |
|
BTK |
Bruton’s Tyrosine Kinaseの略で、対象となるタンパク質にリン酸基を転移させる反応を触媒する酵素 |
|
ブロックバスター |
画期的な薬効を持つ新薬で、大きな売上を生み出す医薬品(年商1,000億円以上の製品を指すことが多い) |
|
分子標的薬 |
特定の生体分子を標的として、その機能を制御する医薬品 |
|
MALT1 |
Mucosa-Associated Lymphoid Tissue lymphoma translocation protein 1の略で、タンパク質を切断する酵素のひとつ |
|
薬物動態 |
薬物投与後の体内薬物濃度の推移、PK(Pharmacokinetics)のこと |
|
用量漸増コホート |
第1相臨床試験のなかで、最大耐量MTDや用量制限毒性DLTを確認するために症例を集めた患者集団のこと |
|
臨床試験 |
新しい医薬品などの効果や安全性について確認するために行われる患者を対象とした試験 |
|
臨床研究 |
病気の原因及び病態の理解ならびに予防方法、診断方法及び治療法の改善を目的として実施されるヒトを対象とする医学系研究の総称 |
Chordia Therapeuticsの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてChordia Therapeuticsが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
Chordia Therapeuticsは、「日本発」「世界初」のこれまでにない新しい抗がん薬を、一日でも早く患者様のもとに届けることで、『Tomorrow is Another Day~明日に希望を感じる社会の実現』を目指しています。ファーストインクラス抗がん薬を創ることを設立以来のミッションに掲げ、その実現を通じて、2030年には日本発の研究開発型の製薬会社に成長していくことをビジョンとして掲げております。
(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
Chordia Therapeuticsは、新規抗がん薬の市販を目指して研究開発を行う創薬ベンチャー企業であり、現時点では製品売上により利益を安定的に計上するステージにはありません。
当面の経営管理上の目標は、抗がん薬の早期の市販に向けて、Chordia Therapeuticsのパイプラインを計画通り研究開発を推進すること、及び新規創薬標的の探索及びパイプラインを安定的に創出する体制を構築することです。
従いまして、Chordia Therapeuticsは、ROAやROEといった経営指標を目標とはせず、パイプラインの進捗等に目標をおいた事業活動を推進しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
Chordia Therapeuticsの中長期における最重要課題は、新規抗がん薬の研究開発を着実に推進して承認の取得もしくはライセンス契約を締結し、自社もしくはパートナー企業による製品販売からの安定的な収益源を確保することです。
Chordia TherapeuticsのパイプラインであるCTX-712は臨床試験段階にあり、自社もしくはパートナー企業により日本国内や欧米などの各地域での承認を取得していく予定です。また、パイプラインの充実に向けた探索研究も継続的に実施してまいります。創薬ベンチャーであるChordia Therapeuticsにとっては、これらの臨床開発と探索研究を並行して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。
従いまして、Chordia Therapeuticsは、日本の提携先に留まらず、グローバルの製薬会社等の新規提携パートナー企業の確保に努めるとともに、必要に応じて、事業会社や株式発行による資本市場からの資金調達を行いながら、研究開発を推進していく方針です。
(4)経営環境
①医薬品市場の動向
厚生労働省が公表した「薬事工業生産動態統計」によると、2020年の国内での医薬品最終製品(医療用医薬品や一般用医薬品などの合計)の生産金額は9兆2,640億円、外国からの輸入金額は2兆8,782億円で、合計金額は12
兆1,422億円となりました。これに対し、国内への出荷金額は10兆8,965億円、外国への輸出金額は5,125億円であり、合計金額は11兆4,090億円となりました。
医薬品は、医療用医薬品と一般用医薬品に大別され、その9割弱は医療用医薬品となります。医療用医薬品の2020年の生産金額は8兆5,195億円となりました。過去5年間の推移をみると2016年から2019年まで拡大傾向で推移しており、2020年度は前年度と同水準を保つという結果となりました。
生産状況を薬効分類別にみると抗がん薬用の薬の2020年の生産金額は1兆2,015億円となり、医薬品総生産金額(医療用医薬品、一般用医薬品の合算)の13.0%を占めており、前年に比較して398億円、3.4%と市場規模は拡大しております。
国内医薬品市場規模は、薬価改定や医療制度改革に強く影響を受けております。1991年以降、薬価の引下げやジェネリック医薬品の流通量の増加等により国民医療費に占める薬剤比率は約30%から低下してきており、近年では約18%の水準で横ばいに推移しております。
<最近5ヵ年の国内の医療用医薬品生産金額の推移>
(百万円)
<最近5ヵ年の国内の医療用医薬品生産金額の推移>
②低分子医薬品の市場及びがん領域
Evaluate Pharma社の分析によれば、2022年には、米国食品医薬品局(FDA)で市販が承認された医薬品の約50%が低分子医薬品(37品目中で18品目)であり、革新的な治療薬の大部分を低分子医薬品が占めています。また、新有効成分含有医薬品のうち抗腫瘍効果を有する品目は、Chordia TherapeuticsがFDAのホームページに記載されている2022年の承認薬情報を確認したところ、米国では12品目であり、がん治療薬に関する成長性や必要性は依然として高く、多くの製薬会社は事業戦略の中心にがん領域を位置づけていると考えています。国際がん研究センターの調査では2020年のがんの罹患者数は世界で1,900万人となりました。内訳としては乳がん、肺がん、大腸がんの順で多くなっております。
(2020年 世界がん罹患者数)
(引用元:International Agency for Research on Cancer(IARC) “Key Cancer Data and Key Figures on IARC: 2020-2021.”)
厚生労働省の調査によると日本における2020年のがんの死亡数は37.8万人となり、死因別にみても一番高い順位となりました。なお、がんは1981年から死因の第1位であり、人口10万人当たりの死亡率でみても1947年から増加傾向が進んでおり、最近では総死亡の約3割を占めております。
(死因順位別死亡数・構成割合(上位3位まで))
|
|
2019年 |
2020年 |
前年比 |
||
|
|
死亡数 (人) |
死亡総数に占める割合(%) |
死亡数 (人) |
死亡総数に占める割合(%) |
死亡数 (人) |
|
総数 |
1,381,093 |
100.0 |
1,372,755 |
100.0 |
△8,338 |
|
死因別 |
|
|
|
|
|
|
1位 悪性新生物(がん) |
376,425 |
27.3 |
378,385 |
27.6 |
1,960 |
|
2位 心疾患 |
207,714 |
15.0 |
205,596 |
15.0 |
△2,118 |
|
3位 老衰 |
121,863 |
8.8 |
132,440 |
9.6 |
10,577 |
(引用元:厚生労働省令和2年(2020)人口動態統計)
(主要死因別死亡率の年次推移)
(引用元:公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計2021」)
国立研究開発法人である国立がん研究センターの調査によると、日本においては人口比におけるがんの死亡割合が世界の中でも高いことが挙げられます。2019年には年間約99万人が新たにがんと診断され、2020年にがんで死亡した人は381,505人となりました。これは日本人が一生のうちにがんと診断される確率は男性が65.5%女性が51.2%と約2人に1人が診断されているほか、がんによる死亡確率は男性が26.2%で約4人に1人、女性が17.7%で約6人に1人となっています。(診断確率は2019年、死亡確率は2020年のデータを引用)
(がん統計まとめ)
(国立研究開発法人国立がん研究センター:がん情報サービスを元にChordia Therapeuticsで作成)
上記のとおり、がんは日本を含む世界中で罹患者数が多く、多くのがんにおいて根治療法が確立されていないため、新たな治療法を待っている患者が多くいることからアンメットメディカルニーズが高く、これからも創薬領域での研究開発がさらに活発になることが予想されます。
③今後の見通し
日本国内においては、高齢化や医療分野での技術革新等の要因により、国が負担する全体の医療費が増大しております。これに伴い、国は薬価の引き下げを強化して薬剤費を抑えようとしております。実際に、2020年に当時の菅首相の所信演説では薬価改定を毎年実施する予定であることが示されました。このような薬価改定による価格引き下げで、国内医薬品市場は縮小傾向にあります。しかしながら、高齢化によるがん患者が増加している背景を受けて、抗がん剤等の新薬は販売を拡大しています(日本貿易振興機構JETROのHPより)。
世界市場については、アジア新興国やBRICs諸国が世界市場のシェアを伸ばしてきており、この傾向は今後も続き、市場規模の拡大を牽引することが見込まれます。他の拡大要因としては、治療法が確立していない疾患への対応、長寿化及び医療サービスの高度化等が挙げられています。加えて創薬技術の高度化も市場規模の拡大に寄与するものと考えられます。
④参入障壁
医薬品開発では患者を対象にして安全性と有効性の検証を段階的に進める臨床試験を実施しなければなりません。そのため、医薬品の臨床試験の実施の基準に関するGCP(Good Clinical Practice)と呼ばれる基準や、GMP(Good Manufacturing Practice)と呼ばれる適正製造基準が制定されています。安全な医薬品を製造し、臨床試験を実施するには、これらの厳格な基準を遵守する必要があるため、製薬業界への参入障壁は高いと考えられます。
⑤国際競争力
医療用医薬品の世界売上上位100品目のうち、1割が日本の製薬企業から生み出されています。これまで医薬品開発に関連する様々なイノベーションにより、新しい価値を有する医薬品が誕生してきました。製薬産業は、研究、開発、生産、販売というバリューチェーンを通じて、さまざまなノウハウの蓄積が必要となるため、継続的に新薬を開発することができる製薬企業を持つ国は限られています。
医療用医薬品世界売上上位100品目の
国別起源比較(2018年)
(出所:厚生労働省「医薬品産業ビジョンの策定に向けて」、2021年5月17日)
⑥技術革新
製薬業界では、AIやITを活用した創薬が注目されています。例えば、新薬の候補になる化合物の探索や設計、評価を行いますが、この探索や設計をコンピュータによるシミュレーション技術を活用するなどといったことが挙げられます。他にも、自律的に学習を深めていくディープラーニング(深層学習)を取り入れる試みや、分子の構造を計算する新しいアルゴリズムなど画期的な技術も次々と登場しています。
これらの技術革新により、薬の有効成分になりうる新規化合物の創出や研究開発の時間的、金銭的コストの削減などのメリットが期待され、難病に対する新たな治療薬の誕生に向け、AIやIT技術が重要な役割を果たすとみられています。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
Chordia Therapeuticsは、新しい作用を有する抗がん薬を開発することにより、今まで効果的な治療薬がなかったがん患者に対して、新たな治療法を提供することを目指しています。一方で医薬品としての事業化は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、Chordia Therapeuticsは営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあり、すべての研究開発に関する投資を補うに足る収益は生じておりません。なお、Chordia Therapeuticsは、当面の研究開発活動は、リードパイプラインであるCTX-712の米国1/2相試験に注力し、他の自社パイプラインについては、上場後新たな資金を獲得するまで多額の投資は行わず、新たなフェーズへの進捗はない見込みです。なお、状況によっては早期導出も視野に入れ交渉してまいります。
このような事業背景の下で、Chordia Therapeuticsは、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。
①CTX-712の開発の促進
Chordia Therapeuticsは、国内の第1相臨床試験では、臨床試験実施医療機関の協力の下で患者登録が継続され、2023年8月には全ての患者登録を完了し、その結果を2024年4月の米国癌学会年次総会で発表しました。また2023年には米国での第1/2相臨床試験を開始し、臨床試験実施医療機関及び関連機関との連携を行い、早期で試験を完了する計画を進めています。世界の主要国において早期に承認を取得するためには、さらなる開発体制の強化と開発資金の確保が課題となります。このため、Chordia Therapeuticsは国内及び米国での臨床試験の結果をもとに、提携パートナーの獲得を目指しながら開発の促進を図ってまいります。同時に国内の商業化を製薬会社との提携を行わず自社を中心に実施することも視野に入れ、株式会社メディパルホールディングとの業務提携及びシオノギファーマ株式会社と協業に関する基本合意を行っております。ただし、株式会社メディパルホールディングス及びシオノギファーマ株式会社との提携については、基本合意段階であり、国内で自社販売する方針が固まったわけではありません。
また、CTX-712は、一定の要件を満たす画期的な医薬品等については、開発の比較的早期の段階から、薬事承認に関する相談・審査における優先的な取り扱いをされる「先駆的医薬品指定制度」や、重篤な疾患であって有効な治療薬が乏しく患者数が少ない疾患等を対象として、治験実施が困難、あるいは実施可能であっても治験の実施にかなりの長時間を要すると認められる場合に、承認申請時に検証的臨床試験以外の臨床試験等で一定程度の有効性及び安全性を確認した上で、製販後に有効性・安全性の再確認等のために必要な調査等を実施すること等を承認条件に付与される「条件付き早期承認制度」を活用できる可能性のある品目であるとChordia Therapeuticsは考えていることから、今後これらの指定制度(海外における同様の制度を含みます。)を活用することにより、開発の促進を実施する可能性がございます。現状の臨床試験戦略で目指している2026~2028年中の承認申請については、上述の国内外での指定制度を活用できることを前提として、計画を立案しております。
②CTX-177の開発の促進
CTX-177については、2020年12月に小野薬品工業株式会社との間で全世界での独占的ライセンス契約を締結し、契約金として8億円の支払いを受けております。現在、小野薬品工業株式会社が米国で第1相臨床試験を実施しており、2023年2月に第1回目のマイルストンとして25億円の支払いを受けております。さらにChordia Therapeuticsは、その後の開発の進捗及び売上高に応じたマイルストンとして最大496億円を受領します。開発における費用負担と意思決定は小野薬品が担いますが、Chordia Therapeuticsが行える範囲において臨床試験が早期に完了するように小野薬品工業株式会社のサポートを行い、2回目以降のマイルストンの支払い受け取りと、CTX-177の早期の実用化を目指して取り組んでまいります。
③CTX-712及びCTX-177以外の開発の促進
Chordia Therapeuticsは、CTX-712及びCTX-177以外に、RNA制御ストレスを標的としたCDK12阻害薬、GCN2阻害薬、新規の標的分子阻害薬の5つのパイプラインを保有しています。どのパイプラインも新規性の高い創薬標的であるため、競合製薬企業が開発を水面下で進めている可能性はありますが、同じ創薬標的で市販されている薬はありません。そのため、Chordia Therapeuticsは開発資金の確保をして、自社のパイプラインの開発を加速させながら、市場環境や競合状況を的確に判断して、適切なタイミングで提携パートナーを確保することが課題です。
④パイプラインの充実
Chordia Therapeuticsは、RNA制御ストレスを標的とした新しい抗がん薬候補化合物の探索研究を行っており、これらの候補化合物を新規パイプラインとして立ち上げ、臨床試験段階まで推進するためには、アカデミアなどの最先端の科学へのアクセスを維持することと研究開発資金の確保が課題となります。
⑤財務体質の強化
Chordia Therapeuticsは創薬バイオベンチャーであるため、多額の研究開発費用が先行して必要となり、継続的な営業損失が発生するとともに営業キャッシュ・フローもマイナスとなる傾向があります。そのため、財務体質の強化が課題となります。今後も、Chordia Therapeuticsが既存のパイプラインの開発を促進しながら、安定的に新規パイプラインの創出を継続していくためには、必要に応じて提携パートナーからの一時金及びマイルストン収入の確保に加え、事業会社や株式発行による資本市場からの資金調達を実施するなどして、財務基盤の充実と安定化を図っていくことが重要な課題と考えています。
⑥優秀な人材の獲得
Chordia Therapeuticsは、創薬に関する経験豊富なメンバーが積極的に外部委託を活用することにより、効率的な組織運営をしております。しかしながら、今後も、国内外のバイオベンチャー企業や製薬企業との競争が続く中において、競合他社との差別化、研究開発の加速、事業領域の拡大などが必要になる可能性があると考えております。そのため、パイプラインの創出に際して最先端の科学へのアクセスを維持し、創造的かつ独創的な研究活動を推進する等の優秀な人材の獲得は、Chordia Therapeuticsの重要な課題になっています。また、管理部門においても当面は少人数による運営体制を計画しておりますが、必要に応じて人事、法務などの専門的な人材の確保も図っていく方針です。
⑦提携パートナー確保
Chordia Therapeuticsはパイプラインの開発を推進するために最適な提携パートナーを確保することを課題としております。そのために、提携パートナー候補先の研究開発に関する戦略の方針状況を常に把握し、医療情報などの市場環境の情報収集も行っております。またChordia Therapeuticsのパイプラインの開発状況、競合状況を勘案して、適切なタイミングでコミュニケーションを行っております。
Chordia Therapeuticsの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。Chordia Therapeuticsとして必ずしも重要なリスクとは考えていない事項も含まれておりますが、投資判断上、もしくはChordia Therapeuticsの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。また、事業への影響度が高いとChordia Therapeuticsが考えるリスクに対しては、その発生可能性に対するChordia Therapeutics評価も合わせて記載しております。発生可能性は、5年に1回程度の発生を中として、それより頻繁な場合は高、稀な場合は低としました。
Chordia Therapeuticsはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針ですが、Chordia Therapeutics株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、これらは投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、更にこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意頂く必要があると考えます。
Chordia Therapeuticsは、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い歳月と多額の研究費用を要し、全ての開発が成功するとは限りません。特に販売開始前の研究開発段階のパイプラインを有する研究開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、Chordia Therapeuticsへの投資はこれに該当します。
なお、文中の将来に関する記載は、当事業年度末現在においてChordia Therapeuticsが判断したものであります。
Ⅰ.医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク
(1)新薬開発の不確実性(事業への影響度:高、発生可能性:中)
医療用医薬品の研究と開発は、一般的に多額の投資と長い時間を要し、またその成功確率は他の産業に比べて極めて低い確率となっています。実際に、新薬の研究開発においては基礎研究及び非臨床研究において高い効果が期待される医薬品候補が見つかったとしても、その後の臨床試験において、期待した効果が得られない場合、重篤な副作用が生じた場合、当局の審査において承認が得られない場合などには、研究開発に遅れが生じ、研究開発計画の大幅な変更あるいは研究開発を中止せざるを得ない可能性があります。
Chordia Therapeuticsでは、上記のリスクを低減するために非臨床試験での研究や評価、臨床試験での治験デザインの策定や計画、原薬及び製剤に関する施策などにおいて、外部の専門家のアドバイスを受けて適切にリスク対策を行っておりますが、Chordia Therapeuticsの現在及び将来のパイプラインについても研究開発の遅延や、計画変更あるいは計画自体を中断せざるを得ない不確実性が内在すると考えております。研究開発が遅れた場合や追加試験が必要となった場合には、計画外の追加試験期間や追加資金の確保が必要となり、新たに資金調達が必要となる可能性があります。その資金調達の確保自体についても不確実性があります。
Chordia Therapeuticsのパイプラインが承認された際でも類似する薬が存在しない新薬となるため、Chordia Therapeuticsで想定している薬価で保険償還されない可能性もあります。また新薬開発が必要とされるアンメットメディカルニーズの残る適応疾患には新たな競合品や新規の医療機器などが数多く開発されるため、将来的に対象疾患の治療体系が大きく変化する可能性があり、当初想定した計画を遂行できなくなり、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(2)副作用発現による損害賠償責任及び製造物責任(事業への影響度:高、発生可能性:低)
医薬品には、臨床試験段階から更には市販後において、予期せぬ副作用が発現する可能性があります。Chordia Therapeuticsは、こうした事態に備えて、各種賠償責任に対応するため、損害賠償保険などの適切な保険に加入しておりますが、最終的にChordia Therapeuticsが負担する賠償額の全てに相当する保険金が支払われる保証はありません。また、Chordia Therapeuticsに対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求等がなされたこと自体によるネガティブイメージにより、Chordia Therapeutics及びChordia Therapeuticsのパイプラインに対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があります。
(3)競合について(事業への影響度:高、発生可能性:中)
医薬品の研究開発は、国内外の製薬会社や創薬ベンチャー企業により激しい競争環境の下で行われております。Chordia Therapeuticsのパイプラインと同じ疾患領域で他社が早期に、もしくは優位性のある競合品を市場導入した場合においては、Chordia Therapeuticsパイプラインの競争力は低下する可能性があります。詳細は後述の通りですが、RNA制御ストレスに着目してChordia Therapeuticsパイプラインと同じ標的の研究開発を手掛けている創薬ベンチャー企業が既に存在しています。また、Chordia TherapeuticsがCTX-712を優先的に開発している急性骨髄性白血病では低分子医薬品に加えて抗体医薬品や細胞医薬品などの新しい治療モダリティの競合品が複数検討されています。競合品の開発状況により、Chordia Therapeuticsのパイプラインの臨床試験において被験者登録の遅延や目標被験者数の未達となる可能性があり、その場合には当初の計画以上の開発資金が必要になったり、又は開発中止に追い込まれたりして、Chordia Therapeuticsの事業計画や経営等に甚大な影響を及ぼす可能性があります。さらに、ライセンスアウトしたパイプラインの競合品が先行して市販された場合において、Chordia Therapeuticsのパイプラインの事業性が大きく毀損されたと導出先製薬企業が判断した場合、開発スケジュールが遅延する可能性があるだけでなく、ライセンス契約そのものを解消する可能性があります。また、Chordia Therapeuticsパイプラインが市販に至った場合でも、他社がChordia Therapeuticsのパイプラインより優位性のある製品を販売した場合、市場占有率が低下して、当初想定したロイヤリティ収入が得られない等により、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。Chordia Therapeuticsは、競合品の開発状況について随時検討を重ねており、将来収益予想に影響を及ぼす可能性のある競合品は現時点では少ないと判断しておりますが、今後の競合品の開発状況の変化により、将来の収益性に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4)ライセンス活動の不確実性(事業への影響度:高、発生可能性:中)
ライセンス収入の形態は、ライセンス契約締結時に発生する「契約一時金」、開発や販売の進捗に伴って発生する「マイルストン収入(臨床試験の開始や終了時又は製造販売承認申請時、販売目標等の予め定めた開発及び販売の節目(マイルストン)毎に支払われる収入)」、市販後において導出先である製薬会社が行う医薬品販売に対する「ロイヤリティ収入」などがあります。
ライセンス契約の締結においては、製薬会社からChordia Therapeuticsのパイプラインに関して評価を獲得する必要があります。その際には、Chordia Therapeuticsのパイプラインの有効性及び安全性、並びに予想される対象患者数や薬価、特許存続期間、競合優位性等の事業性の観点が評価されます。従いまして、製薬会社から研究開発成果に対する十分な評価が得られない可能性、Chordia Therapeuticsの研究開発の遅延や導出候補先製薬会社のパイプライン状況などにより想定どおりのタイミングで評価されない可能性、製薬会社から想定どおりの評価が得られず「契約一時金」をはじめ上記の各種収入がChordia Therapeuticsの想定する規模の金額で契約できない可能性又はライセンス契約に至らない可能性があります。
またライセンス契約締結に至っても、臨床試験を次の段階に進めるために十分な成績が得られない可能性、対象疾患の市場環境の変化、特許訴訟の発生等でChordia Therapeuticsのパイプラインの事業性が大きく毀損されたと導出先製薬企業が判断する場合は、開発スケジュールが遅延する可能性やライセンス契約自体を解消される可能性があります。また、医薬品のライセンス契約においては特許の成立国ごとで存続期間が異なる場合があるため特許権の有効期間をライセンス存続期間とする契約条件が一般的であり、ライセンス契約期間中に重要なマイルストンの達成が遅れてしまうと、Chordia Therapeuticsが想定する投資金額の回収を終える前に、ライセンス期間もしくは特許期間が満了してしまうリスクがあり、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)薬事関連法規について(事業への影響度:高、発生可能性:低)
医薬品業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法(日本では、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律、別名、薬機法)及びその他の関連法規等により、様々な規制を受けております。具体的には、非臨床試験においては、医薬品の安全性試験の実施に関する基準であるGood Laboratory Practice(GLP)、原薬等の治験薬の製造においては、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準であるGood Manufacturing Practice(GMP)に準拠した治験薬製造、そして臨床試験においては、医薬品の臨床試験の実施に関する基準であるGood Clinical Practice(GCP)を遵守することが必要であり、製造販売においては販売を行う各国で定められている薬事関連法規や法令、規制当局の承認、許可を得る必要があります。
現在、Chordia Therapeuticsのパイプラインは、それぞれの法規制に適する体制を整備して事業を進めておりますが、各国の薬事法及びその他の関連法規等は改定やガイドラインの追加がなされるものであり、さらなる体制の整備・変更を求められることが起こり得ます。そうした場合において、これまで認められてきた開発方針や申請内容では薬事承認が下りなくなる、又は薬事承認の取得に想定以上の時間を要するといったリスクも否定できません。Chordia Therapeuticsでは、当該リスクへの対応について、適切なタイミングで各国の規制当局(日本では医薬品医療機器総合機構(PMDA))やその他の専門家に事前相談を行い、適切な助言を受けた上で計画の立案や事業の運営を行っておりますが、こうした規制への対応を適切に行えなかった場合や規制対応に多額の費用を要する事により、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6)医療費抑制策などによる医療保険制度の変化
世界の医薬品市場の主要国においては、人口の高齢化に伴う医療費の増大に対処するために、医療費抑制策が強化されております。実際に米国では2010年に当時のオバマ大統領が医療費負担適正化法(アフォーダブルケア法)を施行し、医療保険改革法案等による先発医薬品への価格引下げ圧力のほか、低価格の後発医薬品の使用促進が進められています。当時の副大統領であったバイデン大統領は本適正化法の拡充にさらに取り組もうとしています。日本国内においても、政府は医療費の増大を抑制するため、定期的に薬価引き下げを実施しながら、後発医薬品の使用促進策の導入を進めております。そのため、今後の医療保険制度及びその他関係する制度の動向により、Chordia Therapeuticsの想定する販売価格や薬価が認められず投資額を回収できなくなり、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ.事業遂行上のリスク
(1)特定のライセンス契約への収益依存及び不確実性(事業への影響度:高、発生可能性:中)
Chordia Therapeuticsは、下記のライセンス契約を締結しており、これらを中心とした事業計画を策定しております。
・2017年11月に、武田薬品工業株式会社との間で、4つのパイプラインの全世界での独占的に研究、開発、製造及び商業化する権利を獲得するライセンス契約を締結
・2020年12月に、小野薬品工業株式会社との間で、全世界においてMALT1阻害薬CTX-177及びその関連化合物に関する独占的に研究、開発、製造 及び商業化する権利を供与するライセンス契約を締結
このような契約は、契約条項違反が一定期間内に是正されない場合、Chordia Therapeuticsの責務に依存しない要因などによって契約期間満了前に終了する可能性があります。現時点では契約終了となるような状況は発生しておりませんが、仮に本契約が終了した場合は、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
上記の武田薬品工業株式会社とのライセンス契約では、契約内に記載の違反条項等により契約を終了、解約された場合、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、CTX-177のライセンス契約に基づく収益には、開発の進捗に依存したマイルストンも含まれており、開発の遅延が生じた場合や、提携先の経営方針の変更などChordia Therapeuticsが制御し得ない要因により開発を中断あるいは中止した場合、又は提携先が契約条件の履行や各種規制等の遵守をできない場合は、提携契約の解除・終了や契約条件の変更等が生じ、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
Chordia Therapeuticsでは現状のライセンス契約に基づく収益への依存度を低減していくために、今後、自社での国内の製造販売体制の構築や国内外の製薬企業との新しいライセンス契約を図っていきますが、ライセンス契約の締結には、Chordia Therapeuticsのパイプラインに対する相手先企業の評価や経営判断等が伴うことから、Chordia Therapeuticsが想定するタイミングで導入もしくは導出の提携ができない可能性があります。
(2)小規模組織及び少数の事業推進者への依存
Chordia Therapeuticsは、2024年8月末現在、取締役5名(社外取締役4名)、及び従業員22名の小規模組織であり、現在の内部管理体制は当該組織規模に応じたものとなっています。今後、事業拡大に応じて内部管理体制の拡充を図る方針です。Chordia Therapeuticsの事業活動は、Chordia Therapeuticsの創業者であり代表取締役である三宅洋及び事業を推進する各部門の責任者に強く依存するところがあります。したがいまして、三宅洋及びその他の重要な役職員による職務遂行が困難となった場合には、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
Chordia Therapeuticsは、当該リスクへの対応として、社内で事前に事業継続計画(BCP)を定めており、また各部門においては有事の際に、各従業員の担当業務の引継ぎ担当を決めており、持続的に成長を続けていく体制を構築しておりますが、上記の対応策では重要な役職員の職務を完全に補完できない可能性があり、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)社歴の浅さ
Chordia Therapeuticsは2017年10月に設立された社歴の浅い企業です。従って、過去の業績からChordia Therapeuticsの将来の業績等を推測することは難しい状況にあります。また、医薬品業界における豊富な経験を有する経営陣及び研究開発人員により運営されているものの、企業としては未経験のトラブルが発生する可能性は否定できず、それへの組織としての対応能力については、一定のリスクがあります。
(4)人材の採用、育成
Chordia Therapeuticsは、持続的に事業を拡大していくために不可欠な要素の一つとして、優秀な人材、特に研究開発の知識や技能を有した人材の確保及び育成を考えております。また同時に、優秀な人材の採用、育成、維持に関しては人事に関する専門家、さらには知的財産、法務などの専門家の確保も重要と捉えています。Chordia Therapeuticsでは、①企業理念、経営戦略についてホームページなどを通じて社内外に浸透させ、やりがいのある会社風土を醸成し、②各従業員の職務権限を明確化し、適切な権限委譲を行い、③公的資金の獲得等による知名度向上などにより、優秀な人材の育成、維持、新規採用を図るように努めておりますが、Chordia Therapeuticsの想定する計画で人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材が社外に流出した場合には、Chordia Therapeuticsの事業、業績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(5)知的財産権
①Chordia Therapeuticsが保有する知的財産権について(事業への影響度:高、発生可能性:低)
Chordia Therapeuticsでは研究開発をはじめとする事業展開において様々な知的財産権を使用しており、これらはChordia Therapeutics所有の権利であるか、あるいは適法に実施許諾を受けた権利となります。また、こちらの知的財産権については登録済みとなっているものと、出願・審査中のものがあります。下表に開発段階及び臨床試験段階にあるChordia Therapeuticsの抗がん薬候補化合物に関する重要な特許の状況について記載します。
|
標的阻害薬 |
特許権者 |
特許申請番号 |
出願日(注) |
|
CLK阻害薬 |
武田薬品工業株式会社 |
PCT/JP2017/016717 |
2016年4月28日 |
|
GCN2阻害薬 |
武田薬品工業株式会社 |
PCT/JP2017/028928 |
2016年8月10日 |
|
CDK12阻害薬 |
武田薬品工業株式会社 |
PCT/JP2019/013531 |
2018年3月29日 |
|
MALT1阻害薬 |
武田薬品工業株式会社 |
PCT/JP2019/046261 |
2018年11月28日 |
|
MALT1阻害薬 |
武田薬品工業株式会社 |
PCT/JP2021/019911 |
2020年5月27日 |
|
MALT1阻害薬 |
Chordia Therapeutics及び小野薬品工業株式会社 |
PCT/JP2023/003154 |
2022年2月2日 |
|
CLK阻害薬 |
Chordia Therapeutics及び国立研究開発法人国立がん研究センター |
PCT/JP2023/013361 |
2022年3月31日 |
|
未公開出願 |
Chordia Therapeutics |
特願2024-003374 |
2024年1月12日 |
(注)当該出願日は、基礎出願日となります。
Chordia Therapeuticsが保有している現在出願中の特許が全て登録される保証はありません。また、特許が登録された場合でも、特許異議申立や特許無効審判制度によりChordia Therapeuticsが保有している特許の全部又は一部の請求項が無効化され、独占性が失われる可能性があります。さらに、特許権の有効性、帰属などに係る特許権侵害訴訟の提起や特許無効審判が請求された場合、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。あわせて、CLK阻害薬の物質特許であるPCT/JP2017/016717については、出願時に特許明細書の一部の記載に不具合が存在したことから、外部専門家の意見も得た上で、特許事務所、ライセンス元である武田薬品工業株式会社と協力して対応して、これまで問題なく各国での登録が進んでいます。しかし、将来的にその不具合を根拠とした異議申立や特許無効審判が請求される可能性は否定できません。
②知的財産に関する訴訟及びクレーム等の対応について(事業への影響度:高、発生可能性:低)
Chordia Therapeuticsでは他社の特許権の侵害を未然に防止するため、出来る範囲で特許の調査を実施しており、これまでに、Chordia Therapeuticsの開発パイプラインに関する特許権等の知的財産権について第三者との間で訴訟が発生した事実はありません。しかし、Chordia Therapeuticsのような研究開発型企業にとって知的財産権侵害の問題を完全に回避することは困難です。また、Chordia Therapeuticsが保有する特許及びライセンスを受けた特許に係る関連化合物及び製剤の開発等に関し、第三者が権利主張や異議を述べてくる可能性も否定できません。Chordia Therapeuticsは、仮に法的紛争に巻き込まれた場合には、弁護士や弁理士との協議の上、その内容に応じて対策を講じていく方針でありますが、法的紛争の解決に多大な労力、時間及び費用を要する可能性があり、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
③職務発明及び特許出願に関する方針について
Chordia Therapeuticsは、2005年4月に施行された特許法の改正に伴い、職務発明規程を作成して、発明の認定や特許出願に関する社内運用を明確化しております。特許出願においては、発明の内容、事業性などの情報を基にして知財の排他性や費用対効果などを考慮して特許出願の可否を決定しています。一方、特許出願に至らなかった発明や戦略上の理由により特許出願しないと判断した発明においては、ノウハウとして社内で留保する運用を図っています。職務発明規程は労使間の協議の上で作成したものでありますが、将来、発明者との間で発明に対する対価の支払請求等について問題が起こらない保証はなく、紛争が生じた場合には、Chordia Therapeuticsの業績及び財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、Chordia Therapeuticsは複数の大学や公的研究機関との共同研究を積極的に行っております。そのため共同研究の中から見いだされた発明に係る知的財産については、単独あるいは共同出願という形で権利化を進めています。大学や研究機関が単独で出願した権利であっても、Chordia Therapeuticsに独占的な実施権が許諾されるようなライセンス契約を協議することができます。そのため、本共同研究で生じた発明や特許権については一定の排他的な実施権を確保した上で事業を進めていると認識しております。しかしながら、大学や研究機関が出願人である発明や特許権に関して、将来的に共同研究契約の内容が変更された場合、期間満了及び解除等により契約が終了された場合において、知的財産の権利の確保が出来ず、Chordia Therapeuticsの事業に影響を及ぼす可能性があります。
Chordia Therapeuticsでは当該リスクに対して、大学や公的機関の研究者や知的財産担当者と適切な関係性を維持しており、また労使関係においても継続的な協力関係を築いておりますが、将来的に異議申し立てが発生する可能性や紛争が起こる可能性は否定できません。
(6)パイプライン(事業への影響度:高、発生可能性:中)
Chordia Therapeuticsは、臨床開発段階に2つ、それ以前の研究段階に3つの全5パイプラインを有しています。臨床開発段階にはCTX-712とCTX-177が進んでいますが、それぞれ第1相臨床試験の途上、第1相臨床試験を開始したばかりでありどちらも開発の早期段階にあるため、今後の開発がChordia Therapeuticsの計画通りに進まない場合は、市販時期が遅れる可能性があります。さらに、各パイプラインは、前述の「Ⅰ.医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク」を伴うことに加え、それぞれに特有な業務遂行上のリスク要因が存在すると認識しています。
①CLK阻害薬 CTX-712
Chordia Therapeuticsと競合するCLK阻害薬を米国のベンチャー企業であるBiosplice Therapeutics社(以下、Biosplice社という。)、BlossomHills Therapeutics社(以下、BlossomHills社という。)が臨床試験を実施しております。Biosplice社がChordia Therapeuticsよりもより早く開発を進めると、CTX-712の市場占有率が下がる可能性があることに加え、Biosplice社がCLK阻害薬の安全性懸念事項や毒性所見を発表した際においては、Chordia TherapeuticsのCLK阻害薬の開発計画についても影響を受ける可能性があります。ただし、同一の化合物を開発しているわけではないため、影響は限定的であると想定しております。またBiosplice社、BlossomHills社のみならず、他の大手製薬会社がCLK阻害薬を新たに研究・開発して新たな競合が生じるリスクは潜在的に存在するものと想定しておりますので、できるだけ早くに開発を進め、競合優位性を保ちつつ市販され、市場占有率を高く維持し、適応がん種を拡大していく事が課題であると考えています。
また、日本国内第1相臨床試験において、CTX-712の投与と因果関係が否定できない2件の死亡例が発生しています。いずれも、PMDAに報告を行い、より安全に治験を実施するため治験実施計画書を改訂した上で試験を継続しており、現時点では、本パイプラインの開発の継続は可能と考えていますが、今後、重篤な副作用(特に死亡例)が続き、重篤な副作用発生のリスクを低減できない場合においては、本パイプラインの開発を中止する可能性があります。
②MALT1阻害薬 CTX-177
CTX-177においては、血液がんの研究開発で強みを持つJanssen Pharmaceutical社とAbbVie社が、他にもSchrodinger社がMALT1阻害薬の臨床試験を実施しております。またNovartis社など他の会社でも同一標的に対する研究を報告しているため競合環境が激しいといえます。提携先の小野薬品工業株式会社が優位性を保ちながら、臨床開発を進めることができるかという点が課題となっています。また、小野薬品工業株式会社内での研究開発の優先順位付けによって、CTX-177の臨床開発スピードが影響を受けることがあります。Chordia Therapeuticsでは、Chordia Therapeuticsが行える範囲において臨床試験が早期に完了するように小野薬品工業株式会社のサポートを行い、CTX-177の早期の実用化を目指して取り組んでおりますが、協力できる範囲は限定的であります。
③CDK12阻害薬 CTX-439
Chordia Therapeuticsと競合するCDK12阻害薬を米国の創薬ベンチャー企業であるCarrick Therapeutics社が臨床試験を2024年に開始する報告をしており、またAurigene Oncology社、Insilico Medicine社、OnKure社等の会社も非臨床試験を実施しております。競合他社がChordia Therapeuticsよりも早く開発を進めると、CTX-439の市場占有率が下がる可能性があることに加え、CDK12阻害薬の安全性懸念事項や毒性所見が発表された際においては、Chordia TherapeuticsのCDK12阻害薬の開発計画についても影響を受ける可能性があります。ただし、同一の化合物を開発しているわけではないため、影響は限定的であると想定しております。できるだけ早くに開発を進め、競合優位性を保ちつつ市販され、市場占有率を高く維持していく事が課題であると考えています。
④GCN2阻害薬
GCN2阻害薬については探索研究段階にあり、非臨床の安全性、製造上の懸念等で医薬品の研究開発における遅延や中断のリスクが存在するため、想定し得ない原因により開発が遅延したり、開発自体を中断しなければならない可能性も否定できません。HiberCell社がGCN2活性調節薬を、Nerviano Medical Sciences社がGCN2阻害薬の臨床試験を実施しており、またDeciphera Pharmaceuticals社がGCN2阻害薬と活性薬を、Merck KGaA社やRAPT Therapeutics社などが研究の報告をしております。競合他社がChordia Therapeuticsよりもより早く開発を進めると、Chordia TherapeuticsのGCN2阻害薬の市場占有率が下がる可能性があることに加え、GCN2阻害薬の安全性懸念事項や毒性所見が発表された際には、Chordia TherapeuticsのGCN2阻害薬の開発計画についても影響を受ける可能性があります。ただし、同一の化合物を開発しているわけではないため、影響は限定的であると想定しております。できるだけ早くに開発を進め、競合優位性を保ちつつ市販され、市場占有率を高く維持していく事が課題であると考えています。
⑤新規の標的分子阻害薬
Chordia TherapeuticsのRNA制御ストレスを標的とした新規の標的分子阻害薬については、化合物の最適化検討を行っている段階であります。現時点で競合品の開発情報はございませんが、Chordia TherapeuticsのCLK阻害薬が臨床での有用性を証明した際には多くの製薬会社がRNA制御ストレスの創薬研究に参入する可能性があり、競合環境がさらに激しくなる可能性があります。また、本標的分子の阻害薬においては、非臨床試験で安全性の確保、十分な有用性、医薬品に必要な化合物の物性を保つことができないリスクも否定できず、Chordia Therapeuticsが想定している計画通りに研究開発が進まない可能性があり、Chordia Therapeuticsの業績及び財務状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(7)外部委託先との連携について
Chordia Therapeuticsは、経営の機動性・効率性の観点、経費の低減や高い専門性が必要な分野における協業などの観点から、以下の業務の一部を専門機関に委託しております。
・薬効薬理試験、化合物の最適化と合成研究
・薬物動態や毒性試験等の非臨床試験
・原薬や製剤の製造・評価試験
・臨床試験の実施、そのモニタリング、データマネジメント、統計解析など
Chordia Therapeuticsは、業務委託先の選定及び関係構築について慎重に対応しており、業務に支障が生じないようリスク管理を十分に行っております。しかしながら、不測の理由により、業務委託先との契約が終了した場合、Chordia Therapeuticsにとって不利な契約改定が行われた場合、業務委託先で業務遂行に支障が生じた場合には、Chordia Therapeuticsの事業活動計画に大きな変更が生じる可能性があり、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。当該リスクへの対応については、代替委託先を複数確保するように努めておりますが、適切なタイミングで委託契約を締結できるかの不確実性があり、また、これまでと同等の品質のサービスを受けられるとは限らないため、代替委託先での切り替えには時間とリスク、追加費用が発生する可能性が存在します。
(8)経営上の重要な契約等(事業への影響度:高、発生可能性:低)
Chordia Therapeuticsの経営上の重要な契約等は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載の通りです。事業環境の変化、契約の相手方の方針の変更その他、不測の理由で契約が終了したり、契約の履行に支障が生じたりした場合には、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(9)研究施設等における事故等の発生について
Chordia Therapeuticsは、湘南ヘルスイノベーションパーク内に研究施設を賃借して研究活動を行っております。同施設は多数の他社がテナントとして入居して共同利用することができるオープンラボスペースですが、設備の一部でChordia Therapeuticsの専有スペースを借りております。オープンラボスペースの特性上、他社が専有スペースにも出入りできる設備デザインとなっておりますが、湘南ヘルスイノベーションパークでは厳格な利用規則や使用ルール、毎日の巡回、入退場記録や防犯カメラ、3つのセキュリティレベルのICカード等が設置されており、またChordia Therapeuticsの専有機器には施錠等の対策をすることで盗難や事故が起こりにくい体制となっております。しかしながら、オープンラボのため何らかの原因により火災や環境汚染漏洩事故などが発生した場合、研究開発活動の中断、停止、又は、損害賠償などの重大な損失を招く可能性があり、その場合にはChordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
さらに、地震や水害などの自然災害やその他避けることの困難な事態の発生により、研究設備・インフラが支障をきたし、研究施設等が稼働できない状況、従業員などが出社できない状況など、一時的又は長期的に業務が停止せざるを得ない状況が発生した場合には、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(10)ITセキュリティ及び情報管理について(事業への影響度:高、発生可能性:中)
Chordia Therapeuticsは、湘南ヘルスイノベーションパーク内に本社機能を設けております。同施設は多数の他社がテナントとして入居して共同利用することができるオープン施設ですが、設備の一部に他社が入室できないChordia Therapeutics専有の執務用スペースを借りております。そのため、重要な業務や秘匿情報については専有の執務用スペースで業務を行っており、重要な書類についても専有の執務用スペースの施錠可能なロッカーで情報管理を行っております。しかしながら、第三者による意図的な行為によりChordia Therapeuticsの重要情報の漏洩が発生する可能性があります。
また、ITセキュリティ及び情報管理については、情報セキュリティ管理規程、個人情報取扱規程、特定個人情報保護規程、IT機器管理マニュアルなどの規程やマニュアルを整備して、ITセキュリティ及び情報管理の体制を構築していますが、役職員や外部委託先の不注意又は故意の行為、又は第三者による意図的なサイバー攻撃などにより、Chordia Therapeuticsのシステムの停止、中断、秘密情報や個人情報の漏洩が発生する可能性があります。Chordia Therapeuticsでは当該リスクに対して、できる限りリスクを低減するべく規程やマニュアルの改訂・更新を行うとともに、外部専門家への委託を通じてセキュリティの強化に努めております。しかしながら、万が一Chordia Therapeuticsの研究又は開発段階の情報や技術、ノウハウ等の重要な機密情報が流出した場合には、Chordia Therapeuticsの研究開発活動への悪影響、個人情報や知的財産などにかかる重大な機密情報の流出、漏洩により権利の毀損や社会的信用低下を招き、Chordia Therapeuticsの業績及び財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(11)コンプライアンスについて
Chordia Therapeuticsの業務遂行にあたっては、各国の薬事法上の規制、製造物責任法、環境に関する規制などの各種法令の規制適用を受けております。Chordia Therapeuticsでは、全社において事業活動が法令に遵守して実施されるように内部監査規程、コンプライアンス管理規程、監査等委員会規程、ハラスメント防止規程、ハラスメント相談に関する対処規程、研究活動上の不正行為の防止規程、公的資金等管理規程を整備して、また定期的に監査を通じて運用状況を検証しておりますが、役職員や外部委託先の第三者が法令等に違反した場合や仮に法令違反に該当しなくとも社会的に不適切とみなされる行為に及んだ場合には、法令による処分、処罰などの制裁、訴訟の提起を受ける可能性があり、Chordia Therapeuticsの社会的信頼が毀損するだけでなく、金銭的損害を被ることにより、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12)災害、感染症等の発生に関する不可抗力について
Chordia Therapeuticsは、事業活動の中心となる設備や人員が東京都と神奈川県に集中しています。また研究や製造の委託先及び臨床試験においては国内外の企業や施設に委託しています。そのため、これらの地域において地震や大規模な災害、世界的な感染症などが発生した場合には、設備等の一部又は全部が損壊などの影響を受けることで、研究開発の遅延や停滞、又は事業を中断せざるを得なくなる場合があります。そのような不可抗力によりChordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(13)風評上の問題発生について
Chordia Therapeuticsは、研究開発における安全性の管理、法令遵守、個人情報の管理、知的財産権の管理などに努めており、現時点において、第三者から何らかの請求や主張を受けている事実はありません。しかしながら、Chordia Therapeuticsに対してマスコミ報道やインターネット上での書き込みなどで、事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
Chordia Therapeuticsでは、主にホームページ上で適時に適切な開示を行う事で、こうした風評の発生の予防に努めております。
(14)新型コロナウイルス感染症拡大について
新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって、各国で都市封鎖や渡航制限などの蔓延防止措置が講じられ、経済や企業活動などが影響を受けておりました。新型コロナウイルス感染症の拡大は収束に向かっておりますが、今後、再拡大する可能性があり、そのような場合にはChordia Therapeuticsの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ.業績等に関するリスク
(1)配当政策について
医薬品の研究開発には多額の先行投資が必要であり、その投資回収までの期間も長期に及ぶ傾向にあります。Chordia Therapeuticsも創業以来、繰越利益剰余金がマイナスとなっており、株主に対する余剰金の分配を実施しておりません。株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営の成績や財務状況を勘案しつつ余剰金の分配を検討する予定であります。しかしながら、剰余金がマイナスとなっている状況下においては、積極的な投資による開発推進によって企業価値を高めることこそが、株主利益の最大化に繋がると考えています。2024年8月期においては、配当可能な財政状態にはありませんが、将来、現在開発中の新薬が市販され、その販売によって当期純利益が継続的に計上される時期において、配当による利益還元の実施を検討したいと考えております。
①マイナスの繰越利益剰余金
Chordia Therapeuticsは、医薬品の研究開発を行う創薬バイオベンチャー企業です。医薬品の研究開発には多額の先行投資を要し、その投資資金の回収にかかる期間も他産業と比較して相対的に長期に及ぶため、創薬バイオベンチャー企業が当該事業に取り組む場合は、一般的に期間損益のマイナスが先行する傾向にあり、Chordia Therapeuticsにおいても繰越利益剰余金は、2024年8月期末時点で、△5,721百万円とマイナスが先行しております
Chordia Therapeuticsはパイプラインの進捗に邁進し、製品市販後に利益計上及び利益拡大を目指していますが、開発が計画通りに進捗しない場合には、将来において当期純利益を計上する時期が遅延する可能性があります。また、計画通りに当期純利益を計上できない場合には、繰越利益剰余金がプラスとなる時期も遅延し、株主に配当を実施する時期が遅れる可能性があります。
②収益が大きく変動する傾向
Chordia Therapeuticsの事業収益は、当面はパイプラインに対するライセンス契約等に基づく契約一時金、開発や販売の進捗に伴うマイルストン収入及びロイヤリティ収入に依存しているため、過年度の事業収益、当期純利益(損失)は不安定に推移する傾向があります。そのため、Chordia Therapeuticsのパイプラインが市販され安定的な収益基盤が確立するまで、収益の変動は続くと見込まれます。また、2023年8月期においては、小野薬品工業株式会社から25億円のマイルストン収入を受領したため、黒字となりましたが、2024年8月期以降は、損失計上が継続することを見込んでおります。
(2)資本政策について
Chordia Therapeuticsは、研究開発費用の負担により長期に亘って先行投資の期間が続きます。この先行投資期間においては、継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなる傾向があります。Chordia Therapeuticsにおいても、営業キャッシュ・フローは、前事業年度は543百万円とプラスとなりましたが、当事業年度は△1,937百万円とマイナスとなり、翌期以降もマイナスが継続することを見込んでおります。このため、Chordia Therapeutics製品が市販され、安定的な収益源が確保されるまでの期間においては、必要に応じて追加の資金調達等を実施し、財務基盤の強化を図る必要性が生じます。臨床戦略、ライセンス活動が想定通りに進まず、必要なタイミングで資金を確保できなかった場合は、手元資金が枯渇し、Chordia Therapeutics事業の継続に重大な懸念が生じる可能性があります。
①新株発行を伴う資金調達による株式の希薄化リスク
Chordia Therapeuticsは医薬品の研究開発型企業であり、将来の研究開発活動の拡大に伴い、増資等の新株発行を伴う資金調達を機動的に実施していく可能性があります。その場合には、Chordia Therapeuticsの発行済株式数が増加することにより、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
②新株予約権の発行に伴う株式の希薄化リスク
Chordia Therapeuticsは、Chordia Therapeutics役職員の業績向上に対する意欲や士気を高め、また優秀な人材を確保する観点から、ストック・オプション制度を採用しています。会社法第236条、第238条及び第239条の規定に基づき、株主総会の承認を受け、Chordia Therapeutics取締役、監査等委員である取締役、従業員に対して新株予約権の発行と付与を行っています。
2024年8月末時点におけるChordia Therapeuticsの発行済株式総数は67,678,800株、新株予約権による潜在株式数は7,037,000株(発行済株式総数と潜在株式数を合計した株式数に対する割合9.4%)であり、これら新株予約権の権利が行使された場合は、Chordia Therapeuticsの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、今後も優秀な人材の確保のため、新株予約権の発行と付与を継続する可能性があります。従って、今後付与される新株予約権が行使された場合にも、Chordia Therapeuticsの1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
③ベンチャーキャピタル等のChordia Therapeutics株式保有比率
2024年8月末時点におけるChordia Therapeuticsの発行済株式のうち、ベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下総称して「VC」)が所有している株式の所有割合は51.2%です。
一般に、VC等が未公開株式に投資を行う目的は、株式公開後の当該株式を売却してキャピタルゲインを得ることであり、VC等はChordia Therapeuticsの株式公開後に、それまで所有していた株式の一部又は全部を売却することが想定されます。なお、当該株式売却によっては、短期的な需給バランスの悪化が生じる可能性があり、Chordia Therapeutics株式の市場価格が低下する可能性があります。
(3)調達資金が業績に反映されないリスクについて
Chordia Therapeuticsは、上場時に公募増資で調達する資金の使途として抗がん薬候補化合物CTX-712の再発難治性の血液がんの臨床第1/2相試験に充当する計画です。しかしながら、新薬開発に関わる研究開発活動の成果が収益に結びつくには長期間を要するため、研究開発投資から期待した想定の期間で成果が得られない場合があり、その結果、調達した資金が期待される利益に結びつかない可能性があります。
また、Chordia Therapeuticsが携わる抗がん薬の研究開発の領域において、外部環境が急速に変化する可能性があります。そのため、新薬の市販の動向、法令等の改正、Chordia Therapeuticsの臨床試験の進捗状況によっては、上記の資金使途以外の事象に資金を充当する可能性があります。
(4)資金繰りに関するリスクについて
Chordia Therapeuticsは、当面の研究開発活動は、リードパイプラインであるCTX-712の米国1/2相試験に注力する見込みであり、そのための資金は上場時の資金調達で確保できる見込みです。また、他の自社パイプラインについては、上場後新たな資金を確保するまで多額の投資は行わず、新たなフェーズへの進捗はない予定です。現在、リードパイプラインであるCTX-712について今後想定するタイミングでのライセンスアウトを目指すと共に、バックアッププランとして、既存パイプラインの早期ライセンスアウト、その他新たな資金調達手段に係る検討を進めていますが、バックアッププランについては、先方との交渉次第であるという点で不確実性がある高いと考えています。仮に上場後、上記や、ライセンスアウト済みのCTX-177に係る小野薬品工業株式会社からのマイルストン収入等による新たな資金を確保出来ない場合には、CTX-712以外の研究開発が進められないなど、事業継続に支障が生じる可能性があります。
(5)為替変動リスクについて
医薬品の研究開発においては海外の委託先も使用しており、外貨建の取引を行っていること等、Chordia Therapeuticsの取引には、為替変動リスクにさらされているものが存在します。そのため、Chordia Therapeuticsの想定以上に為替相場の変動が生じた場合、Chordia Therapeuticsの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー