Liberaware(218a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


Liberaware(218a)の株価チャート Liberaware(218a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

(ミッション・ビジョン)

 Liberawareグループは、「見えないリスクを可視化する」とのビジョンのもと、ドローン・ロボット(以下「ドローン等」という。)やデータ処理・解析技術を活用し、産業インフラの保守・点検領域における安全性・効率性・持続可能性の向上を支援する各種ソリューションを提供しております。その中でも、屋内のGPSが届かない「狭くて、暗くて、危険な」特殊環境におけるインフラ・設備点検は、Liberawareグループの強みを最も発揮できる領域の一つです。自社開発の屋内狭小空間点検ドローン「IBIS(アイビス)」を用いて、人が立ち入ることが困難な空間からデータを取得し、3次元化クラウド「LAPIS(ラピス)」によるデータ処理やAI解析、クラウド管理などのデジタル化まで一気通貫でサービス提供をしております。

 Liberawareグループのソリューションは、老朽化したインフラの増加、人手不足、熟練作業員の高齢化といった喫緊の社会課題に対し、人が入らずに点検できる新たな選択肢を提供するものです。Liberawareグループのソリューションを広めることで、国内の産業基盤の強化と、Liberawareのミッションでもある「誰もが安全な社会を作る」ことの実現につながると考えております。

 このように、Liberawareグループでは、ドローン等を軸としたハードウェア技術と、撮影画像・映像等の加工・処理・管理といったソフトウェア技術を用い、インフラ施設・設備等へのDXソリューションを提供するインフラDX事業という単一事業を行っております。

 当該事業セグメントにおいて、ドローン等によるインフラ・プラントの調査・点検・測量に資するデータの提供や、ドローンの製造・販売を実施する「ドローン事業」と、ドローン等により取得したデータの画像処理技術等により、映像、3次元データ、異常検知に資する情報等をデジタル上に構築・提供する「デジタルツイン事業」、そして、両事業を支える事業として、Liberawareグループの技術力やノウハウをベースにした新しいソリューションを開発する「ソリューション開発事業」を合わせた3つの事業を展開しております。

 

(Liberawareグループの事業内容)

(1)ドローン事業

 「ドローン事業」とは、自社開発した屋内専用の産業用小型ドローン「IBIS」を中心に、その他ドローン等のデバイスを活用し、ユーザーが抱える各種課題の解決に資するソリューションの提供を行う事業であります。

 具体的には、調査・点検・測量等を目的としたドローン撮影画像の提供を行う「点検ソリューション」及び当該用途に供されるドローンの機体販売・レンタルを行う「プロダクト提供サービス」を展開しております。特に、ドローン等で撮影した画像は後述のデジタルツイン事業において、3次元化の基礎となる重要なデータとなります。

 サービスの中核を構成するIBISは、製鉄業等における実現場での綿密な実証実験のもと開発された、屋内の暗所・狭小空間、鉄粉の舞う環境や高温環境での飛行に耐えうる防塵性・耐熱性を有した、20cm四方程度の大きさの小型ドローンとなります。転落リスクを伴う高所空間、狭小で点検員が進入できない空間、高温あるいは半水没環境、又は有毒性のガスが含まれているような空間といった、危険かつ点検が困難な箇所を人に代わって調査・点検を行うことが可能となります。このような環境は国内外に数多く存在しており、IBISは「狭く、暗く、危険な」環境においても接近目視と同等の調査・点検を実現しております。

 「ドローン事業」においては、下記のサービスを展開しております。

点検ソリューション

今まで人が立ち入ることができなかった場所や人が入ると危険な空間にIBIS等が人に代わって調査・点検し、撮影した施設・設備等の動画をユーザーへ提供するサービス

プロダクト提供サービス

ドローンで事業展開したい事業者や自社保有施設でドローンを運用したい事業者などへLiberawareプロダクトIBIS等を販売・レンタルするサービス

(機体販売)

IBISと必要備品一式を販売するサービス。修理サービスや講習会サービスも提供

(レンタルサービス)

IBISと必要備品一式を月額レンタルするサービス。修理サービスや講習会サービスも提供

 

 点検ソリューションの主要顧客は製鉄業・鉄道業・建設業・製造業・官公庁等で、過年度より継続して利用しているエンドユーザーが占める売上高割合(継続顧客の売上高割合※1)は2025年7月期において59%(前事業年度59%)と、リカーリング性が高いという特徴があります。また、プロダクト提供サービスにおける「IBIS2」の提供セット数は2025年7月末時点で85セット(前事業年度末72セット)となっており、そのうち、機体販売は49セット(前事業年度末39セット)、レンタルサービスのレンタルセット数は36セット(前事業年度末33セット)となっております。

 

(2)デジタルツイン事業

 「デジタルツイン事業」とは、Liberawareの関連会社であるCalTa株式会社(以下「CalTa」という。)が提供するソフトウェアTRANCITY(以下「TRANCITY」という。)や、その基幹システムを構成するLiberawareのソフトウェアLAPIS(※2)を用いて、デジタルツインサービスを提供する事業となります。それらのソフトウェアを活用し、映像及び映像以外の周辺情報(例えば、ガス濃度、温度など、ドローン等から取得した情報等)を、デジタルツイン(※3)のプラットフォーム上に構築することで、顧客が設備の維持管理や建設現場の管理などを行う上で必要となる様々な情報の一元管理を支援しております。

 TRANCITYの顧客は、鉄道業・建設業が中心で、インフラ及び設備の維持管理のためには時系列でデータを保管することが有用となります。そのため、Liberawareサービスを用いてデータを保管し続けることが想定されることから、他社サービスへスイッチしにくく、継続利用が見込めるサービスであります。

 

 なお、「デジタルツイン事業」においては、下記のサービスを展開しております。

データ処理・解析サービス

IBISを用いて撮影した施設・設備等の動画データ等を基に、LAPISを通じて3次元化・オルソ化(※4)等のデータ加工処理や3次元データの解析(経年変化解析や異常検知等)、BIM(※5)等のデジタル図面化を提供するサービス。また、IBISによる撮影データだけではなく、屋外用ドローンにより撮影した動画データやレーザースキャナによる3次元データを加工、解析するサービスも提供

デジタルツインプラットフォーム

CalTaの提供するTRANCITYの画像処理に関するライセンス提供

 

 

(3)ソリューション開発事業

 「ドローン事業」「デジタルツイン事業」を展開する上で源泉となる事業であり、インフラ・プラント業界や建設業界等の企業に対し、効率化・省力化・省人化のニーズに応じたドローン等の開発やデジタルツインプラットフォームの開発、ユーザー保有施設のデジタル管理ソフトウェアなど、Liberawareグループの技術力とノウハウを基にハードウェアからソフトウェアまで幅広いソリューションを自社開発にて提供する事業となります。

当事業では、導入にあたり顧客企業からのヒアリングや情報分析を徹底して行うことで課題を深く理解し、当該理解を基に活用方針を明確にし、実証実験や試作開発、本開発、さらには事業化後の継続開発まで、長期にわたり顧客企業と協働し、課題解決に取り組んでおります。

これまでに、日本製鉄株式会社(以下「日本製鉄」という。)との高温環境対応ドローンの開発や、東京電力グループとの高放射線環境下でのドローンの活用といった特殊環境特化型ドローンの共同開発等を行っており、現在も取引を継続しております。また、後述するTRANCITYもJR東日本グループから受託したソリューション開発が発端となっています。ドローンの開発にとどまらず、ロボットやデジタルツインを主とした新たなサービスの源泉となる開発を進めております。

 

 

(関連会社の概要)

 CalTaは、JR東日本スタートアップ株式会社、JR東日本コンサルタンツ株式会社及びLiberawareが出資し、2021年7月に設立された企業となります。東日本旅客鉄道株式会社(以下「JR東日本」という。)をはじめとした鉄道・インフラ業界は、施設・設備の老朽化と労働力減少の背景から建設工事・維持管理などの生産性向上が急務であります。その課題解決のため、IBIS等を用いた施設の撮影サービス事業、IBIS等のドローン・ロボットの技術等により取得した情報をデジタルツインで表現し、施工管理や維持管理に資する情報を提供するソフトウェアサービスTRANCITY事業、及び受託開発事業を展開しております。

 TRANCITYは、JR東日本グループが長年研究・蓄積していた施工管理や設備維持管理の現場における技術ノウハウと、Liberawareグループの画像処理技術をベースに構築されたデジタルツインのソフトウェアサービスであり、取得した情報の時系列管理、測量、CAD(※6)化、BIM化、差分分析(※7)等を行えるサービスであります。類似サービスと比較し、より現場業務にフィットしたソフトウェアであり、鉄道業を中心に、製鉄業・通信業などにも活用が広がっております。

 Liberawareグループは、CalTaがエンドユーザーから獲得した設備等の調査・点検業務や受託開発案件等の全部または一部の受託、TRANCITYの画像処理に係るライセンス供与や当該ソフトウェアの構築・アップデートを行っております。2025年7月末時点でのライセンスの供与数は148件(前事業年度末115件)であります。

 

・TRANCITYの特徴

 TRANCITYの特徴としては、鉄道業における現場の建設管理・維持管理に特化したUI/UX(※8)の構築、及び機能性が挙げられます。

 UI/UXについては、TRANCITYは、CalTaを通じ実質的にはJR東日本グループが監修したプロダクトであり、建設現場・維持管理現場での利用を念頭に、現場の方が直感的に操作でき、情報の連携が容易で、時系列でのデータ管理・保存を行い、位置情報との紐づけが行える機能を有しております。さらなる利便性の向上に向け、2024年10月に株式会社マップフォーの3次元データ計測システム「SEAMS」とLiberawareグループの画像処理技術を融合したデジタルツインを導入、2025年2月にはGeoJSON(※9)対応した3次元データと地理データの統合を実現しております。

 機能性については、現場ではスマートフォンやタブレット等による利用が想定され、それらの端末で使用するために、クラウド上で、低遅延でストレスなく操作できることや、SfM技術(※10)を活用した動画・静止画情報からの3次元化が求められます。TRANCITYは、それらに対応でき、また、SfM技術を応用したBIMサービスの展開もしております。サービスの対象となる業界に特化したプロダクトを作りこむエンジニアの開発力もまた、技術的な強みの一つであります。

 

 

 

 

(競争力の源泉)

 

(1)ハードウェア、ソフトウェア及びサービスの強み

 Liberawareグループは、ハードウェア及びソフトウェアともに自社開発によりサービス構築を行い、顧客ニーズに応じたソリューションを提供することにより、屋内狭小空間での飛行実績及び撮影画像データを積み上げてきたことで、以下のような強みを有しております。

 

屋内ドローン飛行を可能とする技術力

LiberawareグループのドローンIBISは、「狭く・暗く・危険な」環境における画像データの取得を可能としている屋内狭小空間に特化したドローンであり、そのような環境での飛行・撮影に資する多くの技術を組み合わせることで、機体の優位性を確保できていると考えています。

具体的には、屋内という暗く、粉塵等が舞い、配管やダクト等の障害物の多い空間の飛行は、屋外に比べ様々な制約があることから技術的なハードルが高く、また、下水道や天井裏等のより狭い空間の飛行には小型化が必須であるため、カメラ・モーター・プロペラ・バッテリー等の各部品をそれぞれ独自に設計する技術も必要となりますが、IBISはそれらの技術課題を乗り越え生み出された機体であります。

屋内外の重要設備撮影情報の解析技術と他社連携

狭小空間は、暗く、粉塵等の障害物が多いため、撮影データの3次元化等の画像処理が極めて困難な空間ですが、LAPISは、独自のアルゴリズムを構築することで、当該環境下においても顧客の求める形で画像処理を行うことができます。

また、当該画像処理技術は屋内外等の環境を問わず利用が可能となっており、Liberawareの得意とする狭小空間においては、IBISとLiberawareサービスを用いますが、それ以外の空間においては、他社ドローン等とLiberawareサービスとの連携を積極的に進めております。屋内狭小空間のデータは、画像処理時のノイズ情報である粉塵が舞う空間が多く、また、暗所であることも多く十分な照度を確保できないことから、そのような環境に特化したドローンでなければ情報を得ることは容易ではありません。そのため、屋内外の撮影情報を網羅的に取得できることが、競合他社と比べたLiberawareグループの強みであると考えております。

屋内狭小空間における飛行・画像撮影実績

長年、屋内における小型かつ非GPS環境(※11)下での事業展開を行っているため、屋内におけるドローンの利活用実績を多く有しており、ユーザーとしては、製鉄会社・鉄道会社などの固定資産の多い重厚長大型産業に属する企業が中心です。他の機体では撮影できないプラントやインフラでの豊富な利活用実績を通じて、ハードウェアとソフトウェアの技術開発を進められていること、及び他社が有していない屋内における重要設備のドローン撮影画像データの蓄積及び撮影ノウハウが強みとなっております。

 

 上記に加えて、JR東日本グループや日本製鉄とは、長年にわたり取引関係を築いていることも、Liberawareグループの強みの一つと捉えています。JR東日本グループ及び、他の鉄道事業者に対しては、CalTaを通じて各種サービスの提供をしており、日本製鉄とも設立初期より共同研究等を行い深い関係が構築できております。これらの会社がLiberawareサービス利用先となっていることに加え、JR東日本グループや日本製鉄等が蓄積してきた設備データやノウハウを基にサービス開発を行えていることも強みの一つと捉えております。

 

(2)Liberawareグループの技術的な強み

 Liberawareグループは、ドローン等を開発するハードウェア技術、及びドローン等のデバイスで取得した映像情報等のデータ処理や解析、デジタルツインプラットフォームといったデジタル管理システムの開発等のソフトウェア技術を合わせ持ち、それらを一気通貫で実行できる開発体制を有しております。そのため、営業やプロダクトマネージャーが得たユーザーニーズを、各技術スペシャリストの検討のもと、正確に開発項目・要件・仕様に落とし込むことで、ユーザーニーズにフィットした製品・サービスを開発することが可能であります。

 特にLiberawareグループがターゲットとするユーザーは、インフラやプラント、建設業界等に属する事業者であり、当該ユーザーが従事する環境は「狭く・暗く・危険」であることも多いため、そのような環境に耐えうる仕様の製品・サービスを開発する必要があります。

 

①ハードウェア技術

 

 Liberawareグループは、前述のとおり、ハードウェアからソフトウェアまで一気通貫した開発体制を構築していることから、ユーザーに対してユーザビリティの高い製品・サービスを提供できております。特に、Liberawareグループが技術的に強みを有する開発領域は、製品をユーザー各々の環境で使用可能とするために最適化された「機体制御技術」「機体設計技術」であります。

 

・「機体制御技術」

 Liberawareグループが相対するユーザーニーズで最も多いのは、人による点検が困難な屋内狭小空間でのドローン等による調査・点検等であります。屋内狭小空間での飛行は、施設や設備の破損リスクがあるため、飛行安定性を担保するための「飛行制御アルゴリズム」が重要となります。
 また、人手不足に対するニーズも多く、当該ニーズに対しては、人の手を介さずにドローン等が自律的に飛行する自律型ドローンによる点検等であり、そこでは「自律化技術」が重要となります。

 

■飛行制御アルゴリズム

 IBISが利用される環境は、閉鎖環境ゆえ、周囲が壁等で囲まれており、かつ壁や天井までの距離が非常に短い空間となっております。例えば、直径50cm(IBISは縦横20cm四方程度の大きさであり、その2倍程のサイズ)の配管内で利用されることもありますが、閉鎖環境での飛行は、機体自身が吹き下ろす風が壁や床などに反射し、常に風による外乱ノイズに晒されるため、当該外乱ノイズへのフィードバック制御(※12)が重要となります。

 IBISの飛行制御に非線形ロバスト制御(※13)を採用しており、一般的に用いられるPID制御(※14)と比較した際、耐風性に優れ、閉鎖環境で安定的に飛行できる優れた性能を有しております。

 

■自律化技術

 Liberawareグループは、これまで様々な自律飛行技術を基に現場での適用検証を実施しました。特に、自律飛行を実現するために、LiDAR SLAMやVisual SLAM、モーションキャプチャ等の技術により、非GPS環境である屋内空間での自律型ドローンの開発・検証を行いました。他には、オプティカルフローセンシング(※15)やUWB(※16)等のGPSに依存しない位置推定技術の開発・検証を行いました。

これらの技術により、ドローンが屋内空間を自律飛行することが可能となりますが、Liberawareグループはプラントやオフィス等を巡回点検するドローンや、巡回業務を繰り返すための自動充電装置、複数のドローンを遠隔監視・安全運航監視する仕組み、巡回点検データを一括管理する管制システムなどを独自で開発しております。これまでに、上述の自律化技術を組み込んだドローンにより、建設施工現場における施工進捗の遠隔管理や、水力発電所における水漏れや異常発熱、メーター監視など発電設備の巡回監視、などに取り組んでおります。さらに、ドローンが取得したデータにAI解析技術を活用してメーター自動読み取り機能や水漏れ検知する機能など、自動的に異常を検知するシステムも合わせて開発を行っております。当事業年度は、施工中の建築物内において、Visual SLAM技術を活用した自動巡回の実証実験を実施いたしました。本実証実験は、これまで人手による撮影および進捗・品質管理に依存してきた業務プロセスの自動化を目的とした技術開発の一環として行ったものとなります。

 

 

・「機体設計技術」

 Liberawareドローン等が利用される環境は狭小空間や閉鎖空間が多いため、ドローン等の小型化、軽量化が求められます。一方で、人の代替として利用されるためには、ドローン等に搭載する要素部品は高機能、高品質であることが必要となります。そのため、Liberawareグループでは、強度を高く保ちつつ小型で軽量な「機構・筐体」の開発や、粉塵が舞う過酷な環境で故障しないための「モーター」、暗所でも鮮明な撮影データを取得するための「カメラ」といった要素部品の開発にも注力しております。

 

■機構・筐体

 IBISが利用される環境は、例えば天井裏やボイラー内、配管内などの狭小空間となります。しかしながら、天井裏のような複雑に入り組んだ空間を飛行する際、コンシューマー向けドローンに搭載されている衝突回避機能は、周囲にある配線・配管等の物体に対して常にセンサが反応してしまうため、操縦の障害となり機能しないことから、Liberawareでは、機体に衝突回避機能を持たせるのではなく、壁や天井、障害物等に衝突しても安定して飛行を継続できるよう、独自の機体構造を設計しております。

 また、万が一墜落が起こった際に、再離陸・再飛行を可能とする強度を保ちながら、人や設備への損傷が限りなく少なくなるよう、小型で軽量な機体設計を実現しております。

 なお、プロペラを自社開発するにあたり、プロペラの周囲で発生する気流の解析と試作開発を自社で行うことで機体の密接な解析・検証を行い、IBISに適した高効率なプロペラの開発を実現しております。

 

■要素部品

カメラ

 IBISを利用して点検等を行う環境は、その多くが、照明や日光が届かず暗い空間であります。そのような空間において、より明るく鮮明な映像を撮影するため、Liberawareでは、ソニー株式会社製のSTARVISセンサ(※17)を搭載した高感度カメラを開発しております。

 さらに、Liberaware開発の高感度カメラは、暗い環境で明るく鮮明に撮影できるだけでなく、画像処理に適した調整が施されており、SfMによる3次元点群(※18)の作成や、ひび割れ腐食等の検出性能向上に寄与しています。

 

モーター

 一般に、多くのドローンに用いられているブラシレスモーター(※19)は、小型かつ高出力を実現するため、動作中は積極的に外部からの空気を取り入れコイルの冷却を行うことから、モーターに冷却用の穴や隙間を有する構造が採用されております。

 しかしながら、IBISが利用される発電プラントの設備内部、製鉄所の設備内部、天井裏等の環境は、多くの鉄粉や粉塵が舞う過酷な環境であります。一般的な仕様のモーターでは、鉄粉や粉塵が冷却用の穴や隙間から内部に入り込むため、破損の可能性や動作不良のリスクが高くなります。IBISは、Liberawareとニデック株式会社で共同開発した専用の防塵モーターを採用することにより、そのような過酷な環境においても故障リスクが僅少なため、安定運用が可能な仕様となっております。

 また、自社開発の専用プロペラの特性に合わせてモーター開発を行っており、プロペラの空力特性(※20)を最大限に発揮することが可能であり、小型であるにもかかわらず、高出力・高効率を実現しております。

 

 

②ソフトウェア技術

Liberawareグループは、人の進入が困難な天井裏やボイラー内、配管内などの狭小空間や閉鎖空間といった、従来は調査・点検が困難であった多くの環境に係るデータを取得してきております。そして、取得したそれらのデータを基に、3次元化を核とした高度なデータ解析技術を開発することで、インフラやプラント、建設業界等の分野で求められる「狭く、暗く、危険な」作業環境の「見える化」を実現し、ユーザーの課題解決に取り組んでおります。

 

・狭小空間、閉鎖空間における画像処理・解析技術

IBISにより、暗く、障害物や粉塵が多い環境のデータを数多く取得、解析することで、そのような環境の画像処理に特化した独自のアルゴリズムを開発し、一般的な画像処理技術と比較し、より鮮明な3次元データを生成する技術を構築しております。また、3次元データを生成するだけでなく、IBISに搭載したサーモカメラやガス検知センサによって取得した温度情報、ガス情報を3次元データと統合することで、視覚情報だけでは検知することが難しい水漏れやガス漏れなどの異常検知を可能としております。

・3次元解析クラウド「LAPIS」

 Liberawareは、独自の画像処理・解析技術を活用して、映像データから3次元データを自動生成するクラウド「LAPIS」を開発しました。ユーザーは映像データを「LAPIS」へアップロードするだけで、手間をかけることなく簡単に3次元データを生成することが可能となります。さらに、蓄積した解析に関する独自のノウハウを基に、例えば、過去と現在の3次元データの差分を検知することで異常箇所を特定する機能や、粉状の在庫の体積を計算する機能などの拡張開発に取り組んでおります。

 

・図面がないインフラや設備等のBIMデータ生成技術

 竣工から長い時間が経過したインフラや設備等は、図面が残っていないもしくは図面が更新されていないことにより、設備トラブルの原因把握が困難であったり、補修工事が非効率などという課題を抱えていることが多くあります。また、建設済みの設備は天井裏など人が入れない環境も多くあり、建設後の図面作成は容易ではありません。

 Liberawareは、IBISとその他データ取得機器を併用して3次元データを生成し、さらにBIMなどの図面データを生成する技術を有しており、狭小空間、閉鎖空間に特化した独自の画像処理技術とBIMデータ生成技術を組み合わせ、人が入れない環境を含む設備全体を図面化することで、上述の課題解決に取り組んでおります。

 

 

(3)コア技術に関する知財確保

 Liberawareは、企業競争力・事業競争力の確保を企図し、競合他社が市場参入してきた際の防御策として、ドローンを構成する要素の中で、筐体設計に係る耐久性向上技術や、モーターの放熱に係る安全性向上技術に関して、下記の知財を確保しております。

 

(耐久性向上技術:特許第6554731号 フレーム組立体)

 Liberawareの強みである機体等の「小型化」及び「軽量化」を実現するための、ドローンの筐体について特許を取得しております。本特許は、トップフレームとボトムフレームを設け、振動源であるモーターを支えるための剛性と軽量を両立させるための機構であります。また、トップフレームとボトムフレームをサイドフレームで繋ぐことで、衝突時や墜落時の耐衝撃性に強い構造を実現し、なおかつ軽量であるため、墜落時に空気抵抗によって落下速度を減速させる効果も有しております。

 

(安全性向上技術:特許第6589100号 フレーム組立体)

 IBISが飛行する環境には、製鉄所等の炉やボイラーの内部といった、非常に高温な環境が多くあります。一方、ドローン等に付属するモーターは、駆動することにより発熱し、一般には空気中に放熱されますが、当該高温環境においては、自然放熱では冷却が追いつかず、モーターの発熱に起因した故障が頻発いたします。本特許は、モーターの発熱時に、ボトムプレートに内包する金属板を通すことにより、放熱面積を増やし、冷却性を高めるものとなります。また、プロペラによって吹き下ろされる風によりボトムプレートの冷却が行われ、放熱のみならず冷却も同時に実現することを可能としております。

 

(基幹技術:特許第7679125号 無人飛行体)

 隣接する回転翼の間に「遮蔽部」を設置することで、ドローンに発生する左右間の気流を遮断して前後方向の気流による旋回トルクの有効活用が実現でき、従来のドローンよりもエネルギー効率の良い旋回飛行が可能となります。また、これによりドローンの飛行時間の延長や機動性の向上が期待できます。

 

(応用技術:特許第7645000号 飛行体)

 ドローンが揚力発生部を備えた本体と、本体から分離できる特殊な「離脱可能部」とを有することで、撮影や点検などの観察機能だけでなく、空中で何かを設置したり、飛行安定性を保ちながら作業を行う機能を有することを実現しています。すなわち、ドローンを「撮影するための道具」から「作業する道具」へと進化させることを可能にしています。

 

 そのほかにも、今後は更なる応用技術やAI関連技術の領域においても研究開発を推し進め、知財の確保等を進めてまいります。

 

(4)大手との取引

・JR東日本グループ

 JR東日本のグループ会社が出資し、Liberawareの関連会社でもあるCalTaを通じ、Liberawareは、JR東日本グループ関連の案件を多数受注しております。CalTaへの売上高は、2023年7月期は74百万円、2024年7月期は178百万円、2025年7月期は305百万円であり、2026年7月期以降も継続的な成長を見込んでおります。

 CalTaの運営に係り重要となる契約は、同社の株主であるJR東日本コンサルタンツ株式会社・JR東日本スタートアップ株式会社・Liberaware間の合弁契約と、同社とLiberaware間のTRANCITYに係るライセンス契約の2つとなります。

 なお、合弁契約においては、CalTaの重要な意思決定に係る協議・決定ルールを定めており、当該契約の定めに従い、Liberawareは社外取締役として代表取締役の閔弘圭、社外監査役として取締役の市川純也を派遣しております。

 

・日本製鉄グループ

 Liberawareは、機体の開発に着手した2016年より、日本製鉄のフィールドを借り、耐環境性、ユーザビリティの高いドローンの開発を進めてきており、同社とは継続的な取引関係にあります。

 Liberawareは、日本製鉄のグループ会社や、製鉄所における協力会社・商社等を通じ、日本製鉄関連の案件を多数受注しております。2025年7月期においては、引き続き日本製鉄の保有するプラントの保守やメンテナンス等を展開する事業者へのIBISの販売に注力しているため、当該事業者へのプロダクト提供サービスの売上が中心となっております。

 

・東京電力グループ

 Liberawareは、東京電力ホールディングス株式会社の福島第一廃炉カンパニー等をエンドユーザーとした受託開発プロジェクトを過年度より継続して実施しております。

 福島第一廃炉カンパニーとは、廃炉内の状況を把握し、今後実施が見込まれる廃炉処理を安全・適切に進めることを最終目的としており、社会的意義の非常に高い事業であると考えております。

 

(5)産学官連携による研究開発推進及び事業化推進

 Liberawareグループが身を置くドローン市場やデジタルツイン市場は、ドローンやそのシステムを構成するハードウェア・ソフトウェアの各関連領域において、めまぐるしい関連技術の発展とサービス創出がなされている状況であります。

 このような状況において、「誰もが安全な社会を作る」という大きなミッションに向けて、Liberawareグループが各分野でのリーディングカンパニーとしての地位を獲得するには、最先端の技術を取り入れ、継続的に研究開発を行っていくことが不可欠と考えております。

 そのためにLiberawareは、省庁、自治体、大学、その他外部の研究機関や民間企業と積極的に産学官連携を行い、研究開発推進並びに事業化推進をしております。

 

 Liberawareが当事業年度に取り組んできた主な産学官連携プロジェクトは以下のとおりであります。

国家プロジェクト案件名

管轄・

主導先

内容

進捗

「災害時に生き埋めになった生存者を迅速に捜索するセンシング技術やロボティクス技術の開発」

経済産業省

及び警察庁

災害現場にて生き埋めになった生存者を捜索するドローン技術の開発プロジェクト

警察庁が提供する実験設備にて実証実験が成功しプロジェクト終了。今後は警察庁と活用可能性について協議を推進中

「建設施工・災害情報収集における高度化(省力化・自動化・脱炭素化)の技術開発・実証」

国土交通省

建設現場の業務効率化を目的としたドローンを用いたDXソリューション開発プロジェクト

補助金の最大交付額4.7億円

ドローン遠隔運行システムと3次元化システムの連携完了

建設現場に自動充電ポート付きドローンを1年間常設し、現場補助者なしの目視外飛行(レベル3)による週次の遠隔自動測量を継続運用

データ利活用までの一貫ソリューションを構築中

「鉄道施設の維持管理の効率化・省力化に資する技術開発・実証」

国土交通省

鉄道環境に対応したドローンを用いた鉄道点検ソリューションの構築を目指すプロジェクト

補助金の最大交付額52億円

原理試作機の開発及び各システムとの連携試験は完了

現在はフェーズ移行判定の準備段階にあり、承認後に移行する計画

令和7年度応用研究(下水道)

募集テーマ「下水道におけるデータやデジタル技術の活用に資する技術」

国土交通省

デジタルツインと小型ドローンによる下水道管点検のDXソリューションの開発プロジェクト

最大委託予定額26百万円

下水道関連事業者や自治体とのコミュニケーションを実施し、開発を開始

令和5年度補正「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」(我が国企業によるインフラ海外展開促進調査:三次公募)

経済産業省

マレーシア等の新興国に対して、狭小空間点検ドローンとデジタルツイン技術を組み合わせたインフラ・プラント設備点検のDXソリューションを展開することを目的とする

補助金の最大交付額41百万円

マレーシアを中心としたドローン事業者と連携し、マレーシア現地にてLiberawareサービスの展開を推進中

※国家プロジェクトにおいては、各プロジェクトにおいて発生した研究開発費用について、管轄機関の監査を受けており、認められた金額のみを補助金又は助成金として収受しております。なお、補助金又は助成金に関して、新規技術の研究開発に係るものについては、営業外収益として計上しております。また、既存のLiberaware技術を用いて、委託された研究や実証実験を行うことが主目的となるものについては、売上高として計上しております。

 

大学連携

目的

概要

国立大学法人千葉大学

研究開発推進

屋内飛行に向けた制御開発と流体解析を加味した機体設計の検討を推進中

 

 

自治体連携

目的

概要

東京都

事業化推進

「UPGRADE with TOKYO」スタートアップと東京都で都政課題の解決に向けた協働取組み先として選出され、ドローンと3次元モデルを用いた工事出来形確認手法構築のための取組みを実施

事業化推進

「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」における新事業分野開拓者に認定され、東京都の機関において随意契約による導入が可能に

北九州市

事業化推進

令和6年度「企業変革・スタートアップ・グロースサポート事業」に採択され、港湾桟橋環境における点検手法を開発

 

・用語解説

 本項「3 事業の内容」において使用しております用語の定義について以下に記しております。

No.

用語

用語の定義

※1

継続顧客の売上高割合

点検ソリューション(関連するデータ処理・解析サービス含む)において、2期連続で受注のあったエンドユーザーの売上高を、点検ソリューション全体の売上高で除して算定

※2

LAPIS

Liberaware独自で開発した、屋内点検用小型ドローン「IBIS」で撮影した動画データを管理し、その動画から画像処理された3次元化データも一元管理することができるクラウドサービスを指す

※3

デジタルツイン

IoTセンサなどを用いて物理空間から取得した情報を基に、デジタル空間に物理空間のコピーを再現する技術

※4

オルソ化

ドローン、ラジコンヘリ、航空機、人工衛星等から中心投影として撮影された空中写真画像を補正し、正射投影された空中写真画像を作成する作業を指す

※5

BIM

「Building Information Modeling」の略称であり、コンピュータ上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、管理情報などの属性データを追加した構築物のデータベースを、建物の設計、施工から維持管理までのあらゆる工程で情報活用を行うためのソリューションを指す

※6

CAD

「Computer Aided Design」の略称であり、コンピュータを用いて設計をすること、又はコンピュータによる設計支援ツールのことを指す

※7

差分分析

量的調査などで用いられる統計的手法のことであり、施策の効果の因果関係を統計的に推理していく分析手法を指す

※8

UI/UX

「ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンス」の略であり、それぞれ、ウェブサイトやアプリなどのデザインや操作性に関わる部分、そしてそのデザインや操作性がユーザーに与える全体的な印象や感情を指す

※9

GeoJSON

地理空間データ(地図上の点・線・面など)をJSON形式で表現するための標準的なフォーマットであり、主にウェブ地図アプリケーションやGIS(地理情報システム)で広く使われている

※10

SfM技術

「Structure from Motion」の略称であり、3次元構造を2次元のカメラ画像や動画から推定する技術

※11

非GPS環境

屋内や、構造物の近く、橋梁下において、GPS、GNSSデータが遮断され位置情報を把握することが困難な環境

※12

フィードバック制御

実際の状況をリアルタイムに取得し、それに基づいて制御入力を決定する制御技術

※13

非線形ロバスト制御

制御理論、制御技術の一つであり、一般的にPID制御よりも高度な数学が用いられ、制御対象をより正確に制御することが可能な制御技術

※14

PID制御

比例(P)制御、積分(I)制御、微分(D)制御の組み合わせによって、設定された目標値にフィードバック(検出値)を一致させる制御機能を指す。速度、圧力、流量、温度などの制御に使用される技術

※15

オプティカルフローセンシング

動画像において、各点の動きをベクトルとして求める技術を指す

※16

UWB

Ultra Wide Bandの略称であり、超広帯域を意味する無線通信技術のことであり、高精度な位置測位を可能とすることが特徴

※17

STARVISセンサ

可視光線領域に留まらず、沢山の光を集めることができる夜間の撮影にも適した高感度な裏面照射型画素技術を指す

※18

3次元点群

3次元レーザースキャナーなどで物体や地形を計測したデータ(スキャナーからの相対的なX,Y,Z情報やカメラの画像データから得た色の情報)をコンピュータ上で扱う際、物体や地形を「点」の集合体で表現したもの

※19

ブラシレスモーター

整流子やブラシなどの機械的な接触部を取り除いたモーターを指す

※20

空力特性

ドローンが飛行中やプロペラで吹き下ろす空気の流れから受ける様々な影響(機体にかかる力やモーメント、そしてそれらの力やモーメントに起因する機体の安定性や操縦性等の飛行性能)のこと

 

 

(事業系統図)

 


有価証券報告書(2024年7月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 Liberawareの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてLiberawareが判断したものであります。

(1)経営方針

 Liberawareは、「誰もが安全な社会を作る」をミッションとし、「見えないリスクを可視化する」とのビジョンのもと、ハードウェアとソフトウェアを融合させたソリューションを展開しております。特に、製鉄業を中心とした重厚長大系の産業や、鉄道などのインフラ産業への、ドローンとデジタル技術を組み合わせた、革新的なソリューションの提供を進める方針です。また、将来的にはLiberawareの得意とする屋内の閉鎖空間(狭く・暗く・危険な空間が多い)を自由に飛行する、自律型ドローンの開発と、日本国内におけるユーザーと同じ課題を抱える海外企業への展開も視野に、事業活動を進めてまいります。

 

(2)経営環境

 Liberawareがソリューションを提供している事業領域は、プラントメンテナンス・インフラメンテナンス・建設業界であり、施設・設備の老朽化・人手不足といった共通の課題を持っており、今後、よりニーズが高まることが見込まれる市場であります。労働市場においては、内閣府の「人口減少と少子高齢化」によると、生産年齢人口は2065年までに約2,900万人(2020年比△約39%)減少し、また、国土交通省の「社会資本の老朽化の現状と将来」によると、2040年3月時点において、トンネルの約53%が建設後50年以上となる等、その他道路や橋梁等のインフラも老朽化が進む見込みです。

 さらに、目視点検等アナログな手法の代替手段の一つとして、ドローン等のデバイスやデジタル技術を用いた点検が導入・普及することを企図し、2023年6月14日に、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律が成立し、ドローンによる点検の認知度が向上することが期待されております。加えて、国土交通省は、2020年3月にBIM/CIMの活用ガイドライン(案)を発表しBIM/CIMの原則適用を進めており、図面等の管理手法や建設現場の管理・維持管理の在り方の抜本的な変革の流れや、働き方関連法案に基づき2024年4月1日から始まった、建設や物流などの適用猶予事業者に対する労働時間規制強化の動きもあります。このような政策動向は、デジタル技術を用いた生産性・品質向上による上記課題の解決が、社会的に求められていることの証左であり、上述の社会背景を追い風に、Liberawareのターゲットとしているドローン市場及びDX市場は伸長見込みであると考えております。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 Liberawareは、持続的な利益成長を目指すことが非常に重要だと考えており、特に、経営指標としては、売上高・粗利益率・研究開発費を重視しております。また、経営指標の成果を図るKPIとしては、コアクライアント数(※)及びコアクライアント売上高を挙げております。

※Liberawareは、売上高1,000億円以上の鉄道業、製鉄業、電力・ガス業、建設業、石油化学業、道路業、プラント業に従事している企業、及び自治体・官公庁を重点顧客と考えていることから、そのうち、エンドユーザーベース(エンドユーザーが企業グループを構成している場合にはグループ会社含む)で直近2年間のLiberawareとの取引金額が合計50百万円以上の企業をコアクライアント(エンドユーザーが企業グループを構成している場合にはコアクライアントグループ)と定義しています。

 

(4)経営戦略

 Liberawareの戦略は、コアクライアント数を増やすことにより、ドローンとデジタル技術を組み合わせたソリューションを浸透させていくことであり、現在、主要取引先となっている製鉄業・鉄道業・電力業等の各企業以外にも、コアクライアント数を増やし、また、各業種の実業務への定着化・標準化によるコアクライアントとLiberawareの取引量の拡大、コアクライアントをエンドユーザーとする中間の事業者へのLiberawareサービスの浸透などにより、売上規模を拡大することを企図しております。

 そのためには、国内外での様々な設備・施設での有効な事例を増やすことが重要であり、網羅的に市場ニーズを探求するための組織体制整備・マーケティング戦略の策定・実行と、案件実行に係る事業推進が必要となります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 Liberawareが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりです。

①既存サービスの強化との事業連携

 Liberawareにおける各種サービスの継続的な成長のためには、既存顧客のニーズを的確に把握すること等による更なる関係強化に加え、より幅広い業種・業態の顧客企業に選ばれる必要があります。そのためには今まで以上に多くのニーズや環境に対応できるよう当該サービスの質的向上や機能拡充を進め、引き続き顧客満足度の向上やそれに伴う販売の拡大に努めます。

 また、今後も市場拡大が見込まれる中で、Liberawareが更なる成長を実現していくためには、様々な事業との連携やパートナーシップの拡充によるLiberawareサービスの利用機会の増大や利用範囲の拡大を進めることが重要と考えており、そのためには事業連携企業やパートナー企業の新規開拓及び既存企業との関係強化を図ってまいります。

 

②認知拡大

 今後、市場拡大と共にドローン等による業務の代替やアナログ手法のデジタル化がより一層進むことが予測されます。

 Liberawareは主に展示会への出展やWEBマーケティングの手法を通じ、IBISを初めとした各種サービスの認知度を徐々に高めてまいりましたが、今後の事業拡大及び競争優位性を高めるにあたり、屋内狭小空間で利用できるドローンや3次元化等のデジタルツインサービスをより一層認知させていくことが重要であると認識しております。

 特に、屋内ドローン等が認知され、利活用の回数やユースケースが増えることで、アナログ手法による点検業務の改善や、人による危険な箇所の点検代替手段として、また、多額のコストや手間がかかるため長年断念していた箇所の点検、さらに、事故や災害など有事の際の探索手段の一つとして想起されることが社会的な必要性も満たすこととなります。

 今後も引き続き、より一層のLiberaware及びLiberawareサービスの認知度向上のため、広報活動やマーケティング活動の推進、ユースケースの増大やサービスチャネルの拡充等を通じて新規顧客獲得や新たな領域での利活用につなげてまいります。

 

③開発体制の強化及び優秀な人材の確保

 Liberawareでは、ハードウェアとソフトウェアの両技術の向上を推進しており、当該技術がLiberawareの競争力の源泉の1つであることから、継続的な強化が重要であると認識しております。そのためにも、今後も収益基盤の安定化を前提として研究開発への投資を継続しつつ、卓越した能力を持つエンジニアの採用及び育成に注力していきます。また、必要に応じて大学等との産学連携や新技術を持つ企業との業務提携、共同研究等を進め、更なる技術の向上に努めてまいります。

 

④海外での事業展開

 Liberawareは韓国を中心に海外での事業展開を進めております。今後も、特に東南アジア各国の規制や現地ニーズ等に合わせ、効率的かつ効果的な進出方法を検討し、推進していきたいと考えております。

 

⑤情報管理体制の強化

 Liberawareは、サービス提供やシステム開発・運用の遂行過程において、顧客の機密情報や個人情報を取り扱う可能性があり、その情報管理を強化していくことが重要であると考えております。LiberawareではISMSの認証を2022年9月に取得し、当該情報セキュリティ等の社内規程に基づいた情報管理を徹底しておりますが、今後も、社内での継続的な研修や情報管理体制強化のためのシステム整備等を継続して実施してまいります。

 

⑥内部管理体制の強化

 Liberawareは、より一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であるものと認識しております。このため、コーポレート機能を充実させ、経営の公正性・透明性確保のためにコーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。

 

⑦財務上の課題

 Liberawareは、過年度において、継続的な事業成長を図るため、新製品又は新技術の開発に係る研究開発費や積極的な人材採用等への投資、顧客基盤拡大のための積極的な広告宣伝活動を実施してきた結果、利益面での損失計上、及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが継続しております。また、今後の計画が達成できない場合には赤字及び営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスが継続する可能性があります。そのような場合に備え、一定水準の手許流動性を確保するとともに、多様な資金調達手段を検討し、財務体質の更なる強化を図ってまいります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 

 本書に記載したLiberawareの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性がある事項及びその他の投資者の判断に影響を及ぼすと考えられる事項には、以下のようなものがあります。

 また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。Liberawareはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。具体的には、当該リスクを把握し、管理する体制・枠組みとしてLiberaware内にリスク・コンプライアンス委員会を設置して対応しております。詳しくは「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、本書提出日現在においてLiberawareが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

<経営環境に関するリスク>

(1) ドローンの安全性について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 2022年12月5日の改正航空法の施行により、住宅街や都市部などの「有人地帯」においても「目視外」でドローンを飛行できる「レベル4飛行」が解禁となりました。これに伴いドローンの社会実装はより一層進むことが予測されますが、合わせて飛行への信頼性や安全性も強く求められます。そのため、Liberawareに限らず、ドローンに関する重大な墜落事故が発生した場合には、ドローンの安全性に対する社会的信用が低下することにより、顧客からの需要低下、規制の強化等により市場の成長が減速する可能性があり、その場合は、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 一方、自社開発の屋内狭小空間に特化した産業用小型ドローン「IBIS」は、屋外にて人が居る上空を飛行することを想定した屋外用ドローンと異なり、人が入ることが困難であったり、人が入るには危険を伴う場所へ、人に代わって入ることを用途としているため、人への影響は限りなく低いと考えております。また、大きさ幅約20cm、重量約240gと小型化・軽量化をしていることから、仮に墜落した場合でも、人や設備等財産に損害を与える可能性は低いと考えております。

 しかしながら、これらの前提をもってしても、万が一、Liberawareの製造した機体が墜落すること等により人や財産等に損害を与えた場合には、製造物責任賠償やリコールによる多額の支払や費用発生及び社会的信用の失墜等により、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) Liberaware事業が対象とする市場について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:重)

 Liberawareの展開する事業が属するドローン市場は年々拡大しておりますが、ドローン市場の環境整備や新たな法的規制の導入、その他何らかの要因によってドローン市場の発展が阻害される場合には、Liberawareの事業活動が制限される可能性があります。

 Liberawareは、屋内狭小空間に特化した国産の小型ドローンを自社開発することで他社との差別化を図り当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの発生によって、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 インフラDX市場におけるデジタルツインの領域については、インフラ業界や建設業界のDX化推進に伴い、革新的な画像解析技術やAI等の技術発展により今までの処理技術より高品質な3次元データをより効率的に作成できる3Dスキャニング技術が出現した場合、Liberawareの事業活動が制限される可能性があります。

 Liberawareは、他社が容易に獲得できない狭く、暗く、危険な環境の3次元化や画像解析を通じて技術の向上とノウハウの獲得を進めており、また、どのような環境でも簡易に有用な解析データを生成できるよう、新たな技術の研究開発を推進することで当該リスクの低減を図っておりますが、当該リスクの発生によって、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:重)

 Liberawareの事業を展開しているドローン市場及びインフラDX市場は、市場が未成熟であり、日本国内及びグローバル市場においても技術革新のスピードやビジネスモデルの移り変わりが激しい環境となっています。Liberawareでは新技術及び新サービスの開発を継続的に行うとともに、エンジニアの採用や大学との連携による最新の技術やノウハウの獲得等によりこのような環境への対応を進めております。

 しかしながら、これらの対応に困難が生じ、技術革新に対するLiberawareの対応が遅れた場合には、Liberawareの技術力低下、それに伴う製品・サービスの質の低下を招き、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 競争優位性について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 Liberawareはハードウェアとソフトウェアの両技術に力を入れ、この両技術を用いた一気通貫したサービスを提供することで、他社との差別化を図っております。具体的には、IBISは長年に渡り屋内小型ドローンの研究と実証実験を繰り返し、当該研究結果や飛行データをもとに開発され、また、当該ノウハウを元に各種サービスを提供しています。同時に、IBISで撮影した狭く、暗く、危険な環境の3次元化や画像解析を行っているため、このような環境下の画像処理に関する独自のアルゴリズムの確立とノウハウを有しています。

 このようにLiberawareサービスはハードとソフトを掛け合わせ、相互補完するように構築していること、また、両者とも高い技術力と多岐に渡るノウハウに裏付けられたものであるため、参入障壁は高いと考えております。しかしながら、インフラDX市場やドローン市場は将来を期待される市場であるため、関連市場の拡大に伴い、新たな競合他社の出現、競合他社による新たな付加価値サービスの提供等がなされた場合には、価格競争の激化や他社サービスへの乗り換え等が発生すること等により、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 国家プロジェクトに係る補助金・助成金収入について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:重)

 Liberawareでは、産学官連携で様々なプロジェクトに参画し、最先端の技術開発に取り組むとともに、国からの補助金や助成金を受領することで、研究開発費の一部を賄っております。また、当該補助金等の受領は、一定の期間を区切って管轄機関による監査が行われ、当該期間の金額が確定した後の入金となりますが、研究開発活動を行うための資金は研究開発を実施する都度発生するため、補助金等の受領に対して先行して支出することとなります。Liberawareではキャッシュ・フロー管理の徹底と安定した財務基盤確保のために各金融機関と密な連携を行っておりますが、今後、Liberawareの事業に関連する国家プロジェクトそのものの規模が縮小する場合や補助金等の受領前の期間において研究開発資金が不足する場合には、必要な研究開発活動が進められず、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、Liberawareが参画している国家プロジェクトについて大きなウエイトを占めるものは、所轄行政官庁より予算枠、存続期間が定められたものであり、制度そのものの存続性についての懸念は限定的であると考えられます。

 

(6) 通信インフラ環境やネットワーク環境について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)

 Liberawareが展開するデジタルツイン事業は、サーバー等のインフラ環境やネットワーク環境に依存しております。Liberawareは、安定的なサービス提供のため、データセンターの利用、サーバーの冗長化/負荷分散及び監視強化、障害が発生した際に早急に復旧するための体制整備等を進めております。

 しかしながら、自然災害や事故、サイバー攻撃、その他何らかの事由によって当該環境に障害が発生し、サービスを停止せざるを得ない状況となった場合は、機会損失、顧客への損害の発生、サービスに対する信頼性の低下等により、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 海外に事業を展開していること(政治や規制など)(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:軽)

 Liberawareは、日本国内のほか、韓国を中心に海外でも事業を展開しております。Liberawareにおいては、機体製造やデータサービス全般を国内にて対応しているため、各国の情勢の変化等の影響は限定的ではありますが、万が一、政治的・経済的要因により、予期できない投資規制、移転価格税制を含む税制や法的規制の変更等が行われた場合、Liberawareの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 自然災害等について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 地震、台風、津波等の自然災害や火災、停電、未知の感染症の拡大等(以下「自然災害等」という。)が発生した場合、Liberawareの事業所等が深刻な損害を受ける可能性があります。

 このような自然災害等に備え、従業員安否確認手段の整備、防災品の確保等に努めておりますが、想定を超える自然災害等が発生する場合は、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、自然災害等によりドローン等の製造物が破損したり、サーバーの停止等により画像解析が行えなくなるなど、一時的にサービスの提供が困難となった場合には、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 風評被害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:軽)

 Liberawareの事業運営に関し、悪意を持った第三者が、意図的に噂や憶測、悪評やあいまいな情報を流す、又は何らかの事件や事故等の発生に伴う風評により、Liberawareに対する誤解、誤認、誇大解釈等が生じた場合は、顧客マインドにマイナスの影響を与え、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。Liberawareは、企業倫理規程の周知やコンプライアンス研修の実施により役職員のコンプライアンス意識の醸成を図り健全な企業経営を推進してまいります。また、悪意のある風評等には毅然とした姿勢で対応する方針であります。

 

<経営戦略に関するリスク>

(10) JR東日本グループとの関係性について(発生可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 Liberawareの関連会社であるCalTaは、JR東日本グループと設立したジョイントベンチャーであります。

 現在、JR東日本グループとLiberawareの関係は良好であり、鉄道業界を始めとしたインフラ業界のDX化に向けた各種サービスを展開し、更なる業務拡大に向けて連携を強化しておりますが、何らかの要因による合弁関係の悪化等が生じた場合、CalTaの運営及びLiberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、関連会社であるCalTaに対するモニタリングは、Liberawareの関係会社管理規程に則り適時適切に行っており、また、CalTaとの取引にあたっては、関連当事者取引管理規程に則り、適切に実施しております。さらに、CalTaへ役員等を派遣し、経営内容を迅速かつ的確に把握する体制を構築しております。

 

(11)特定の販売先への依存について(発生可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 LiberawareにおけるCalTaに対する売上高は高い水準にあります。

 CalTaはLiberawareの関連会社であり、複数年にわたり安定的な取引を行っており、拡大傾向にあります。

 LiberawareとCalTaとは、現時点においては緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、特定の取引先の今後の経営方針等がLiberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 当該リスクを低減させるため、各事業の拡大や新規顧客の開拓など上記主要顧客以外の顧客との間の取引比率増加や提供サービスの多様化等を推進し、収益基盤の安定化と上記主要顧客への依存度の低減に努めております。

 

(12)資金使途について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 Liberawareが上場時の公募増資により調達した資金は、サーバー等設備の購入費用、韓国進出に係る新規拠点の設立費用、ドローンによる調査・点検の更なる省人化のための自律型ドローンの開発やIBISの次世代機開発のための研究開発費用、売上規模拡大に応じた営業人員等増強のための費用、認知度及びブランド力の向上を目的とした広告宣伝費用、及び借入金の返済に充当する計画であります。

 しかしながら、経営環境等の変化に対応するため、調達資金を計画以外の使途に充当する可能性があります。また、当初の計画どおりに資金が使用された場合でも、想定どおりの成果をあげられない可能性があり、その場合Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクを踏まえ、Liberawareを取り巻く外部環境や経営環境の変化については適時その動向を注視するとともに、公募増資による資金調達の使途に変更が生じた場合には、適時適切に開示を行います。

 

<組織に関するリスク>

(13)内部管理体制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 Liberawareは少人数であり、現段階の事業規模にあわせた内部管理体制をとっております。今後、事業規模の拡大に伴い、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の整備、運用が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な事業運営が困難となり、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)有能な人材の確保・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:長期、影響度:中)

 Liberawareの事業においては、ドローンや3次元化技術など、ハードウェア及びソフトウェアの各業務分野において専門性を有する人材が必要であり、今後とも業容拡大に応じて継続した人材の確保が必要であると考えております。

 Liberawareにおいては、通常の採用手法に加え優秀な人材を採用するためにリファラル採用を積極的に取り入れることで安定的な人材の確保に努めておりますが、今後、各業務分野における人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材の獲得が困難となる場合又は在職する人材の社外流出が生じた場合には、Liberawareの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)特定の人物に対する依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:中)

 Liberawareの創業者は、Liberaware代表取締役の閔弘圭であります。閔弘圭は、ロボット開発を専門として、ロボットの機械工学に精通しております。さらに、Liberaware設立以来、経営方針や経営戦略の決定等の事業運営においては、重要な役割を果たしております。Liberawareとしては、経営幹部の拡充や採用・育成、及び権限委譲による業務分掌の推進などにより、特定の役職員に依存しない組織的な経営体制の構築に努めております。

 しかしながら、専門的な知識、技術及び経験を有する閔弘圭に、何らかの理由によって不測の事態が生じた場合には、Liberawareの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<事業運営に関するリスク>

(16)製品の品質について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 Liberawareでは、小型ドローン等の開発・製造及び3次元化等画像解析サービスを行っており、このような製品やサービスを適切に管理するため、品質マネジメントシステム(QMS)の国際規格である「JIS Q 9001(ISO9001)」の認証を2022年9月に取得しました。当該規格に基づき、品質管理規程等のルールを定期的な社内研修の実施等により周知徹底し、また、定期に開催する品質保証委員会によるフィードバックを通じて改善を図る等、品質の保持、向上に努めております。さらに、これらの品質マネジメントに対する取組み全体を、社内に設置したリスク・コンプライアンス委員会においてモニタリングすることで、不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。

 しかしながら、万が一、製品の欠陥が発生した場合には、その欠陥内容によっては多額のコスト発生や信用の失墜を招き、Liberawareの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)部品・部材等の調達及び価格、在庫について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:軽)

 Liberawareは、生産活動や研究開発活動に必要な部品・部材等の多くを外部の取引先から調達しており、いくつかの部材については特定の取引先から調達を行っておりますが、取引先からの供給が中断した場合や製品需要の急増などによる供給不足が発生した場合には諸活動が制限され、Liberawareの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、Liberawareは、調達にあたっては、信頼できる仕入先、外注先を選定し、品質確認等の受入検品を慎重に実施しておりますが、万が一、欠陥のある部品・部材等が納入され、Liberaware製品の信頼性及び評判に悪影響を及ぼした場合には、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、在庫については、製品計画、売上規模にあわせ最適量を維持してまいりますが、当初想定よりも需要が異なることで発生する、在庫不足による機会損失や逸失利益若しくは在庫過多による在庫管理費用や評価損等の追加費用が発生する可能性があります。さらに、既存製品の次世代品がローンチする際に、前世代品の在庫調整が適切に行われない場合には、棚卸評価損等の追加費用が発生する可能性があります。

 

(18)情報セキュリティについて(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:重)

 Liberawareにおいては、顧客の有している設備内部画像等の機密情報が含まれているデータを取り扱っております。Liberawareは、このような機密性の高い情報を適切に管理するため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC27001:2013」の認証を2022年9月に取得し、情報セキュリティ等の社内規程に基づいた情報管理に関する社内ルールの周知徹底を図る等、セキュリティ対策には万全の措置を講じております。

 しかしながら、万が一これらの情報が漏洩した場合、Liberawareの信用やブランド価値が毀損し、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<規制等に関するリスク>

(19)法的規制について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:重)

 Liberawareの事業を規制する主な法規制は、以下のとおりであります。

① 航空法

 航空法については、ドローンを同法の対象空域で飛行させる場合には、同法に基づく許可・承認を得ております。一方、Liberawareの主要サービスに利用しているIBISは原則として屋内にて利用していることから同法の対象外であります。万が一、機体がコントロールを失い屋外へ飛び出してしまった場合には、法的には、速やかに引き返すか、緊急停止が求められていますが、IBISは緊急停止機能を有しているため、緊急時には当該対応を行う想定です。

 しかしながら、航空法が改正され、Liberawareのサービスに影響のある法改正が行われた場合には、事業活動が制限され、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、顧問弁護士との定期的な連携やドローンにかかる関連諸団体への加入を通じて法改正等の情報収集と、必要に応じて法令の解釈等について随時相談を行っております。

 

② 電波法

 電波法については、ドローン操縦時における5.7GHz帯画像伝送に関して、同法に基づき業務用の無線局(携帯局)の免許を取得しております。

 Liberawareは、すべてのLiberaware事業で使用している機体に関して当該免許を取得して業務を運営しており、同法を厳格に順守しております。

 しかしながら、万が一、何らかの理由により、電波法違反と認定された場合には、事業活動が制限され、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 製造物責任法

 製造物責任法については、Liberawareはドローン等の製品を製造しているため、Liberaware製品の欠陥等が生じたことによって身体又は損害を被ったことを被害者が証明した場合、損害賠償請求される可能性があります。当該リスク軽減に向け、品質マネジメントシステムの認証取得や製造物責任賠償保険への加入を進めてまいりました。

 Liberawareの製品は当該法律の基準に適合しており、製造にあたっては厳格な品質管理体制を整備・運用しておりますが、万が一製造・検品の工程に重大な欠陥があった場合や予見できない不具合等が生じた場合、また、製造した製品が将来の法改正等によって当該基準に不適合となった場合は、事業活動が制限され、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 外国為替及び外国貿易法

 外国為替及び外国貿易法については、Liberawareが販売する製品及び部品の一部は、規制の対象となる可能性があります。そのため、Liberawareが海外に向けてドローンを輸出、又は関連する技術の提供をする場合は、同法を遵守して適切な輸出管理に努めております。また、法令遵守を徹底するために、顧問弁護士等社外の専門家も含めたチェック体制を構築しております。しかしながら、関連各国により予期せぬ規制の改廃や政策変更が行われた場合、事業活動が制限され、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)海外における許認可について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:軽)

 Liberawareは、海外にてドローンを利用するための製品規格に関する認証等様々な許認可を取得しており、かかる許認可に基づく基準を遵守する取り組みを行っております。そのため、将来において、法令の変更等により、更なる認証取得等の追加費用が生ずる可能性があります。また、将来の事業領域の拡大の際に新たな許認可取得の必要性が生ずる場合には、当該許認可取得のための対策費用が生ずる可能性があります。さらに、何らかの原因で許認可の更新が適切に行われない場合、Liberawareの事業運営に支障をきたす可能性があります。Liberawareでは、許認可取得について外部の専門機関に委託する等、これら法令を遵守する体制を整備するとともに、規制当局の動向及び既存の法規制の改正動向等を踏まえ、適切に対応していく予定でありますが、当該リスクの発生によって、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21)知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 Liberawareで開発・設計しているドローン等やソフトウェア、アプリケーション・プログラムは、Liberawareが独自に開発・設計したものであり、Liberawareの独自技術について特許出願等を行い、知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権についても、顧問弁護士や顧問弁理士に相談しながら権利侵害がないように特許権等の調査を行い、適切に管理できるよう進めております。

 これまで第三者より知的財産権の侵害に関する指摘等を受けた事実はなく、今後も上述の体制を強化し、管理を行っていく方針であります。しかしながら、第三者の知的財産権の完全な把握はその性質上困難であるため、Liberawareが認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性があります。その結果、損害賠償請求や知的財産権の使用に係る対価の支払い等により、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<会計税務に関するリスク>

(22)固定資産の減損について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 Liberawareは、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しており、回収可能性が見込めなくなった固定資産については減損処理を実施する方針であります。

 Liberawareは、主にドローン事業で使用しているドローン機体やエクステンダー、サーバーを固定資産に計上しておりますが、当該資産から得られるキャッシュ・フローの状況等が悪化し、それらの回収可能性が著しく低下した場合には減損処理が必要となり、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(23)税務上の繰越欠損金について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:中)

 Liberawareは、事業拡大のための積極的な研究開発投資等を行ってきたことから、創業以来当期純損失を計上しており、当事業年度末日現在において1,984,370千円の繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。

 しかしながら、繰越欠損金の利用額と利用期間には、税務上、一定の制限が設けられております。そのため、計画どおりに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金の一部が利用できないこととなるため、通常の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。

 

<株主に関するリスク>

(24)配当政策について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)

 Liberawareは、創業以来配当を実施しておりません。株主に対する利益還元を経営上の重要課題の一つとして位置づけておりますが、現状では、持続的成長と事業拡大に向けた積極的な投資に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して利益還元策を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期等については未定であります。

 

(25)ベンチャーキャピタル等の組成する投資事業組合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)

 2024年7月31日現在において、Liberaware発行済株式総数18,836,700株のうち、計8,017,400株はベンチャーキャピタル等が組成した投資事業組合(以下「VC等」という。)が所有しており、VC等が保有するLiberaware株式の発行済株式総数に対する割合は、42.6%という水準となっております。一般にVC等による未公開企業の株式所有目的は、株式公開後に売却しキャピタルゲインを得ることであることから、今後もVC等による所有株式の売却が予想されます。当該株式売却により、Liberaware株式の需給バランスが短期的に損なわれ、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

<その他のリスクについて>

(26)業績の季節変動に係るリスクについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:軽)

 Liberawareは、売上高の一部について大企業向けにドローンの販売や受託開発サービスの提供を行っているため、多くの大企業等の決算月である3月に売上高が集中する傾向にあり、四半期会計期間毎の業績について、第3四半期会計期間の比重が高くなる傾向にあります。

 第3四半期会計期間に比重が高くなる背景としては、Liberawareの顧客企業の予算消化サイクルと連動していること、及びソリューション開発案件の完了時期が2月及び3月となるものが多く、かかる季節変動により、Liberawareの経営成績の四半期毎の比較はLiberawareの経営成績の推移を判断するための参考にはならない可能性があります。

 なお、2023年7月期及び2024年7月期に係るLiberaware売上高の四半期会計期間毎の推移は以下のとおりとなります。

 

2023年7月期

第1四半期

2023年7月期

第2四半期

2023年7月期

第3四半期

2023年7月期

第4四半期

 売上高(千円)

46,845

93,079

170,981

68,698

(注)上記の売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくESネクスト有限責任監査法人の四半期レビューを受けたものではありません。

 

 

2024年7月期

第1四半期

2024年7月期

第2四半期

2024年7月期

第3四半期

2024年7月期

第4四半期

 売上高(千円)

73,472

191,770

344,279

205,785

(注)上記の第1四半期及び第2四半期の会計期間に係る売上高は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づくESネクスト有限責任監査法人の四半期レビューを受けたものではありません。

 

(27)過年度における継続的な損失計上について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 Liberawareは、過年度において、継続的な事業成長を図るため、新製品又は新技術の開発に係る研究開発費や積極的な人材採用等への投資、顧客基盤拡大のための広告宣伝活動を実施してきたことから、「第1 企業の概況 1主要な経営指標等の推移」に記載のとおり、継続的な売上高拡大が図られたものの、創業以来営業赤字を継続して計上しております。

 今後も更なる事業成長のために継続して研究開発活動や広告宣伝活動等を促進していく方針でありますが、市場の拡大と共に、各サービスにおける案件の積上げによる売上高の伸長によって、粗利率の改善を図ってまいります。この点において、今後、複数年にわたり「中小企業イノベーション創出推進事業」に係る多額の研究開発費が計上されるため、その間は営業赤字となる見込みではありますが、当該研究開発費については補助金にて補填されることから、中期経営計画期間内では経常利益ベースでの黒字化を図っていく予定であります。なお、「(5)国家プロジェクトに係る補助金・助成金収入について」に記載の通り、国家プロジェクトに係る研究開発費は先行して支出され、その後補助金を受領することから、国家プロジェクトに係る研究開発費と補助金収入を除くと経常黒字であっても、研究開発費が先行支出した期と補助金を受領する期が異なる場合には経常赤字となる可能性があります。

 上記の点を踏まえても、Liberawareが属する市場は新しい市場であることから、想定どおりに顧客開拓が進まない場合やLiberaware事業に対する需要が想定どおりに集まらない場合、また、研究開発活動の効果が十分に得られない場合やコスト上昇等想定外の費用が生じた場合等には、計画どおりのタイミングで利益を上げることができず、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(28)事業歴が浅いことについて(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)

 Liberawareは、2016年8月に設立されており、設立後の経過期間は8年程度と社歴の浅い会社であります。そのため、LiberawareはIR・広報活動等を通じて積極的に経営状況を開示していく方針でありますが、Liberawareの過年度の経営成績は期間比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の業績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。また、Liberawareが提供しているサービスは、屋内狭小空間を主としたドローン事業と、狭小空間や暗所などで撮影された画像の3次元化など難易度の高いサービスであり、市場が未成熟で成長過程にあることから、今後も積極的な成長投資等により一定期間業績が安定しない可能性があります。

 

(29)訴訟について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:長期、影響度:中)

 Liberawareは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。

 しかしながら、販売した機体の不具合やLiberawareが提供するサービスの不備、顧客情報の漏洩等が発生した場合又は取引先との関係に何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟を提起される可能性があります。その場合、損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、Liberawareの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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