当企業集団(アサヒグループ)は、アサヒグループホールディングス、連結子会社196社及び関連会社33社により構成され、その主な事業内容と、主要な会社の当該事業に係る位置づけは次の通りです。
なお、当年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6 事業セグメント」の(報告セグメントの変更に関する事項)をご参照ください。
(1)日本・東アジア
(酒類、飲料、食品、薬品の製造・販売)
連結子会社であるアサヒグループジャパン㈱はアサヒビール㈱等の日本・東アジア地域子会社を統括する地域統括会社であります。
連結子会社であるアサヒビール㈱は全国でビール類、低アルコール飲料等の製造・販売及び焼酎、洋酒、ワイン等の販売を行っております。また、連結子会社であるニッカウヰスキー㈱は、焼酎、洋酒等の製造を行っており、アサヒビール㈱等へ販売しております。連結子会社であるエノテカ㈱は、ワインの販売を行っております。連結子会社であるアサヒドラフトマーケティング㈱は、酒類販売設備の制作、販売及び保守業務を行い、アサヒビール㈱より業務を受託しております。連結子会社であるアサヒビールモルト㈱は、アサヒビール㈱等の麦芽の受託加工等を行っております。連結子会社である㈱アサヒビールフィードはアサヒビール㈱のモルトフィード(ビール粕)の受託加工等を行っております。
連結子会社であるアサヒ飲料㈱及びカルピス㈱は各種飲料の製造・販売を行っております。
連結子会社であるアサヒグループ食品㈱はベビーフード・菓子・フリーズドライ食品・サプリメント等の製造・販売を行っています。
連結子会社であるアサヒロジ㈱等は、アサヒグループ製品等の運送、物流センターの管理、倉庫業を行っております。連結子会社であるアサヒユウアス㈱は、サステナブルプロダクツの開発・販売を行っております。
(2)欧州
(酒類の製造・販売)
連結子会社であるAsahi Europe & International Ltdは等の欧州地域子会社を統括する地域統括会社であります。
連結子会社である、、Kompania Piwowarska S.A.、Ursus Breweries SA、Dreher Sörgyárak Zrt.は中東欧にて、Birra Peroni S.r.l.、Koninklijke Grolsch N.V.等は西欧にてビールの製造・販売を行っております。
(3)アジアパシフィック
(酒類、飲料の製造・販売)
連結子会社であるAsahi Beverages Pty LtdはCUB Pty Ltd等のアジアパシフィック地域子会社を統括する地域統括会社であります。
連結子会社であるCUB Pty Ltdはオーストラリアにて、Asahi Beverages (NZ) Limitedはニュージーランドにて酒類の製造・販売を行っております。
連結子会社であるAsahi Lifestyle Beveragesはオーストラリアにて、Etika Beverages Sdn. Bhd.はマレーシアにて、飲料の製造・販売を行っております。
連結子会社であるEtika Dairies Sdn. Bhd.はマレーシアを中心とした東南アジアにて乳製品の製造・販売を行っております。
(4)その他
連結子会社であるアサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱はグループの持続的な発展につながる中長期的
な研究を行っております。
連結子会社であるアサヒバイオサイクル㈱はアニマルニュートリション(飼料添加物等)、農業・緑化分野におけるバイオスティミュラント(肥料原料)、微生物利用の製品・サービスの提供を行っております。
連結子会社であるAsahi Group Beverages & Innovation, LLCは、米国サンフランシスコにて、ビールを中心とした既存事業の基盤を活かした新規領域での成長を目指し、スタートアップ投資ファンド Asahi Group Beverages & Innovation Fund の運営及び米国のスタートアップ企業へのマイノリティ出資等を行っております。
連結子会社であるAsahi Global Procurement Pte. Ltd.は、シンガポールにて、グループ全体の調達機能の高度化を目指し、アサヒグループのグローバル調達に関する戦略立案と管理を行っております。
なお、アサヒグループホールディングスは特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
企業集団の状況
事業の系統図及び主要な会社名は次の通りであります。
※ Asahi Beverages Pty. Ltd.はAsahi Holdings (Australia) Pty Ltd傘下の地域統括会社であります。
文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本、欧州、オセアニア、東南アジアを核として主に酒類、飲料、食品事業を展開しています。
グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」に基づき、未来のステークホルダーからも信頼されるグループを目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。
(2)中長期経営方針
AGPの実践に向けて、『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。
目指す事業ポートフォリオを示すとともに、サステナビリティと経営の統合、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化により、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。
1.『中長期経営方針』:長期戦略の概要
2.目指す事業ポートフォリオ
長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のWell-beingの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。
既存事業については、主力ブランドを中心としたプレミアム戦略の推進などにより、各地域において販売単価の向上を実現したほか、『Asahi Super Dry』と『Peroni Nastro Azzurro』を中心とした世界的なパートナーシップの強化などにより、グローバル5ブランド全体で販売数量は前年比4%増加しました。
新規領域については、各地域でのノンアルコールや低アルコールカテゴリーの取り組みを推進するなど、BAC※への投資強化による新市場拡大を図りました。また、新たな成長ドライバーの探索を目指して設立した米国の投資運用会社が本格的に稼働をスタートしたほか、酵母・乳酸菌技術を活用した新たな領域拡大やデジタル技術を活かした新サービスの開発に取り組みました。
今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。
※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビール、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。
3.コア戦略 ―サステナビリティ戦略―
アサヒグループは、事業成長と社会価値の創出の最大化を目指して、バリューチェーン全体で人々のサステナブルな生活を実現することを重点方針として定めています。また、経営課題として取り組む領域を特定したマテリアリティ・取り組みテーマを設定し、適切で実効性のある取り組みにつなげています。
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
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4.コア戦略 ―DX戦略― アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「Business」「Process」「Organization」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。 |
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①Business Innovation
一人ひとりの“Well-being”の形を捉え、パーソナライゼーションモデルの実現を目指します。また、デジタル技術でサステナビリティに関する課題を解決し、人々のサステナブルな生活の実現に向けた取り組みを推進していきます。
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②Process Innovation
全工場の生産性・品質情報を数値化・透明化し、生産性向上を目指します。また、グローバル調達で規模の経済を実現し、調達コストやリスクを最適化するとともに、サプライチェーン、サステナビリティチームとIT組織が協働し、最適なソリューションの導入に向け、取り組んでいます。
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③Organization Innovation
デジタルネイティブ組織への変革を目指し、各機能・組織がIT/データ活用スキルを当たり前のスキルとして持つ「IT/データ活用の民主化」を目指します。また、アジャイルな働き方※1の導入を同時に進めていきます。
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5.コア戦略 ―R&D戦略―
R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドからバックキャストで導いた未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間での技術シナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。
①アルコール関連
アルコールを取り巻く消費者ニーズの変化や将来予測に複数の角度から対応すべく、アルコール価値代替、新価値創造、BACにおける優位性構築に向けた商品・技術開発を中心に研究開発に取り組んでいます。
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変化する消費者ニーズを捉えるべく、2023年は、欧州で発売したノンアルコールビール『Kozel 0,0%』では、従来の脱アルコール技術を用いながら、より環境負荷が低い製法を開発しました。スマートドリンキングをはじめとしたBAC領域の開拓を目的に、今後もさまざまな技術開発を進めていきます。 また、消費者ニーズのダイナミックな変化に対応すべく、Z世代のインサイト探索手法の構築及び迅速なZ世代向けコンセプト生成技術の開発も進めています。 ニーズを技術課題に落とし込み、製品提案に至るまでの一連のプロセスを迅速にすることで、研究成果の更なる導出を目指します。 |
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②ヘルス&ウェルネス
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身体や心の健康に関する消費者の拡大するニーズに対し、さまざまなタイプのソリューションを提供することで人々の健康的な生活をサポートしています。 「L-92乳酸菌」は、長年にわたって積み重ねてきたデータやエビデンスにより、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが確認されました。「L-92乳酸菌」と免疫の関わりをさらに明らかにすることで、人々の生涯にわたる健康の維持増進に貢献していきます。 |
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また、長年、研究をしてきた乳酸菌「ラクトバチルス・ガセリCP2305株」は、腸に作用し、脳腸相関※1を介して脳に働きかけ、精神ストレスを緩和することが確認されました。今回、フェムケア※2領域への展開を目指し、ヒト試験により効果の評価を行い、女性の月経周期に関連した精神的疲労や眠気の軽減効果を持つ機能性表示を届け出て、「月経周期」に関連した具体的な機能性を表示する製品として初めて受理されました。 独自性のある健康機能性素材とそれを活用したサービスに関する研究を強化し、国内外での新しい価値提案を目指します。 |
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※1 脳腸相関:腸と脳が互いに情報伝達を行い、生体機能を保つ仕組み
※2 女性の体や健康をケアすること
③サステナビリティ
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環境・エネルギー分野や副産物利用における世界トップ水準の技術の実装を目指すとともに、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化や容器包装の環境負荷低減に取り組み、サステナビリティ戦略の実効性を高めています。 環境・エネルギー分野では、ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電技術の実証を行っており、2023年は、アラブ首長国連邦・ドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の「ジャパン・パビリオン」に出展し、技術普及にも取り組みました。 サステナビリティに関する研究開発を通じて、社会的責務を果たすとともに、持続的な企業活動を通じ、事業利益につながる成果獲得を目指します。 |
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④新規事業
中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向け、グループ内外の技術とビジネスモデルとの掛け合せ等により、新規事業につながる非凡なシーズの創出に取り組んでいます。
酵母や乳酸菌など、アサヒグループがこれまでに活用してきた微生物領域に新たな視点を加えることで、グループのメリットを活かした新規事業を開拓していきます。これらを実現するため、革新的な外部技術の取り込みや従来とは異なる領域との融合を積極的に推進していきます。
6.人的資本の高度化
戦略基盤強化に向けて、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを連携させながら、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」の実現を目指しています。
※ 戦略を実現するために必要な組織的能力
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。
(3)中期的なガイドライン
『中長期経営方針』の中期的なガイドラインについては、以下のとおりです。
■主要指標のガイドライン
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3年程度を想定したガイドライン |
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事業利益 |
・CAGR(年平均成長率):一桁台後半※1 |
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EPS(調整後※2) |
・CAGR(年平均成長率):一桁台後半 |
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FCF※3 |
・年平均2,000億円以上 |
※1 為替一定ベース
※2 調整後とは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を除いたものです。
※3 FCF=営業CF-投資CF (M&A等の事業再構築を除く)
■財務方針のガイドライン
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2022年以降のガイドライン |
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成長投資・債務削減 |
・FCFは債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高める ・Net Debt/EBITDA※1は2024年に3倍程度を目指す (劣後債の50%はNet Debtから除いて算出) |
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株主還元 |
・配当性向※235%程度を目途とした安定的な増配 (配当性向は2025年までに40%を目指す) |
※1 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA
※2 配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失などに係る一時的な損益(税金費用控除後)を控除して算出しております。
(4)対処すべき課題
中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。
そうしたメガトレンドを踏まえて更新した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。
<地域統括会社の中期重点戦略>
[日本]
① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出による日本事業のポテンシャル拡大
② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、高付加価値型サービスの創造
③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、日本全体でのサプライチェーン最適化
[欧州]
① グローバル5ブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化
② ノンアルコールビールやクラフトビール、RTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速
③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進
[オセアニア]
① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、統合シナジーの創出
② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化
③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進
[東南アジア]
① マレーシアの持続成長と自社ブランドの強化など、域内6億人超の成長市場での基盤拡大
② 植物由来商品など新セグメントの拡大による最適なプレミアムポートフォリオの構築
③ 環境配慮型容器の展開などによる持続可能性の確保や原材料調達での地域社会との共創
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。
1.アサヒグループのリスクマネジメント体制
アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しております。この取り組みの中で、グループ理念「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに「中長期経営方針」の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールします。
ERMを推進するにあたり、代表取締役社長兼Group CEO以下の業務執行取締役、Group CxO及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成される、リスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長兼Group CEOが実行責任を負います。
アサヒグループ各社は、事業単位毎にERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取組内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取り組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。
2.アサヒグループ リスクアペタイト
アサヒグループは、ERMを推進するとともに、「中長期経営方針」の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する、「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しております。
「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定した、事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取り組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進してまいります。
3.アサヒグループのクライシスマネジメント体制
アサヒグループでは、ERMにおけるグループ全体の重大リスクの中でも、人・モノ・カネ・情報等の経営資源遮断の危機があり「即時対応」する領域を「クライシスマネジメント」の対象としております。
クライシスマネジメントの実効性を上げるため、平時から「事前の想定」を行い、クライシス時に混乱なく速やかに対応できるよう「緊急時の即応体制」を構築しております。事前の想定については、経営資源遮断の危機を想定した「リスクシナリオ」を作成し対応を準備しております。
また、緊急時の即応体制については、クライシス類型に応じた対応主体を予め明確にし、危機発生時の初動における事実確認と重大性の評価を迅速・的確に実施し対応する体制を構築しております。
4.主要リスク
アサヒグループホールディングスグループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、代表取締役社長兼Group CEO以下の業務執行取締役、Group CxO及び委員長が指名するFunctionのHeadで構成されるリスクマネジメント委員会で、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の「(2)個別戦略リスク」として認識しております。
加えて、それ以外に考えられるアサヒグループホールディングスグループの事業等のリスクについても、「(1)全体リスク」及び「(3)その他リスク」に記載しております。但し、以下に記載したリスクはアサヒグループホールディングスグループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
また、前述の、アサヒグループホールディングスグループリスクマネジメントの取り組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)全体リスク
1)中長期経営方針について
アサヒグループホールディングスグループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、2022年、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中長期経営方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、本方針では、3年程度を想定した主要指標のガイドラインや、財務・キャッシュ・フロー方針を示しておりますが、これらのガイドライン・方針は、策定時にアサヒグループホールディングスグループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「3 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、アサヒグループホールディングスグループの事業や業績が中期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。
2)事業環境について
アサヒグループホールディングスグループの売上収益において日本の占める割合は約49.2%(2023年12月期決算)となっております。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレの影響などにより、国内での競争環境がさらに激化することでアサヒグループホールディングス売上数量・金額が低下するとともに、コスト構造の悪化を招き、アサヒグループホールディングスグループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。
日本の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、アサヒグループホールディングスグループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、アサヒグループホールディングスグループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与しておりますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、アサヒグループホールディングスグループは海外での事業領域を拡大しており、2023年12月期決算での売上収益における欧州、オセアニア、東南アジアの占める割合は、約50.5%となっております。今後、欧州、オセアニア地域を中心とするアサヒグループホールディングスグループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域におけるアサヒグループホールディングスグループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、中長期経営方針に『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』を掲げ、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルブランドをはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類以外にも酒類全般における商品のラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業において、消費者の健康志向の高まり及び高齢化社会に対応する領域へ挑戦することで、事業拡大を図っていきます。
アサヒグループホールディングスグループは、テクノロジーの発展が、人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定しています。そうしたメガトレンドを踏まえて更新した「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」という方針のもと、変化しつつあるWell-beingへの迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、アサヒグループホールディングスグループの戦略及び事業の競争力を強化してまいります。
(2)個別戦略リスク
アサヒグループホールディングスリスクマネジメント委員会は、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを以下の通り認識しております。その中で、中長期的に顕在化が懸念されるリスクを①、短中期的に顕在化が懸念されるリスクを②、及び継続的に顕在化を留意すべきリスクを③、とそれぞれ分類し記載しました。
① 中長期的に顕在化が懸念されるリスク
1)事業拡大について
アサヒグループホールディングスグループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、オセアニア地域での事業を盤石にし、日本、欧州、オセアニアの3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。ここ数年は財務基盤の強化を優先し大型の買収は控えておりましたが、今後条件が揃えば、成長のために、外部の経営資源を活用していきます。
外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来のアサヒグループホールディングスグループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、アサヒグループホールディングスグループの期待する成果が得られない可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2023年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の40.6%(21,471億円)及び21.5%(11,368億円)を占めております。
アサヒグループホールディングスグループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、AGP及び中長期経営方針に基づいた価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しており、『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』、や『持続的成長を実現するためのコア戦略の推進』とともに、『長期戦略を支える経営基盤の強化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。
2)アルコール摂取に対する社会の価値観
アルコールの摂取は人々の生活を豊かにしてきた一方で、その不適切な摂取は健康面あるいは社会的悪影響が指摘されています。世界保健機関(WHO)においては世界的な規模での酒類販売に関する規制が推奨されており、アサヒグループホールディングスグループの予想を上回る規制強化が行われる可能性があります。新型コロナウイルス感染症の拡大時には、アルコールの製造販売の禁止や制限を含む行動規制が世界各国で布かれ、このような規制が消費者のライフスタイルの見直しに直結することを体験しました。将来、不適切な飲酒による酒類業界やアサヒグループホールディングスグループのレピュテーション及びブランド価値を毀損する可能性や、行政による行動規制が重なると、アルコールに対する消費者の需要が縮小する可能性もあります。その結果、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、アルコール飲料を製造・販売する企業としての社会的責任を果たすため、WHOが2022年5月に新たに採択したグローバルアルコールアクションプラン2022-2030の中で掲げたグローバル目標「有害なアルコール使用20%低減」の達成に貢献する戦略の方向性を経営の中で議論し、地域ごとに具体的なアクションプランの策定に取り組んできています。責任ある飲酒の取り組み促進のためにグループスローガン「Responsible Drinking Ambassador」を打ち出し、不適切な飲酒の撲滅に向けた活動を強化するとともに、社員に対する「責任ある飲酒」の研修の取り組みを推進してきました。今後更に社会インパクトを創出する取り組みを強化していきます。更に、新しい飲用機会の創出に向けた取り組みとして、2030年までにアサヒグループにおけるノンアルコール・低アルコールの販売構成比20%を新たな目標に掲げ、アルコール起因の課題解決にも取り組んでいます。アサヒビール株式会社は2020年に「スマートドリンキング宣言」を発表し、商品ごとの純アルコール量の積極的な開示を開始。多様な飲み方に対応すべく、様々な度数の低アルコール飲料による飲み方提案や、ノンアルコール飲料の強化などを進めています。2022年にはノンアルコールや低アルコール飲料のメニューを100種提供し、飲む人も飲まない人も楽しめる『SUMADORI-BAR SHIBUYA(スマドリバー シブヤ)』を、2023年には、酔わなくても楽しめる新しい大人の嗜好品を提供するバー『THE 5th by SUMADORI-BAR』を展開するなど、新たな飲食店のカタチを提案しています。
アルコールの有害な使用の低減による健康被害の予防を更に推進するためには産業界が協力し合って課題解決に取り組むことも重要になります。酒類事業を行う各地の関連法令遵守のほか、IARD※をはじめとする業界団体や他業種の業界と協力・連携して販売や広告に関する自主基準を設け、責任あるマーケティングに取り組んでいます。2020年1月に、IARDに加盟する企業のCEOによる未成年飲酒防止に向けた取り組みを推進する共同声明を公表しました。2021年にはIARDとしてeコマースのプラットフォームなどと共にeコマースにおける世界基準を策定し実践を開始したほか、インフルエンサーマーケティングの世界基準を新たに策定し広告代理店やPR代理店などと共に取り組むことを宣言しています。
※ IARD=International Alliance for Responsible Drinking(責任ある飲酒国際連盟)の略称。不適切な飲酒の撲滅と、責任ある飲酒を促進するという共通の目的のもとに、世界のビール、ワイン、スピリッツの製造業者である大手企業15社の加盟企業で構成される非営利団体。
3)技術革新による新たなビジネスモデルの出現
アサヒグループホールディングスグループが国内外で事業を展開する、酒類・飲料・食品業界は、その製造販売に関して、技術革新による競争環境の変化が比較的少ない安定した業界でしたが、最近では、低アルコール飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料などのビール隣接カテゴリー(BAC:Beer Adjacent Categories)による新たな飲用シーンの提案ができるようになり、最新デジタル技術を活用して“変化するWell-Being”に応えることで新たな価値の提供、AI活用による各種業務の効率化、あるいはアルコール代替品等、技術革新による新たなビジネスモデルの可能性も示されております。更に、2020年以降世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの急激な普及や、EC等のオンラインチャネル利用の加速等、それまで将来的に発生すると想定されていた変化が前倒しで出現しています。
こうした環境変化や新たなビジネスモデルの出現により、アサヒグループホールディングスグループ事業がコスト構造や顧客体験で劣後し、業界での主導権喪失や競争力の低下につながり、売上収益、事業利益の低下等、アサヒグループホールディングスグループ業績に影響を及ぼす可能性があります。その一方で、アサヒグループホールディングスグループがこのようなイノベーションを先導することによって、市場優位性獲得や、新規市場創出につなげることが期待できます。
アサヒグループホールディングスグループは、このような状況に対して、単なるリスク対応に留まることなく技術革新を先取りすることを目指して、中長期経営方針において「DX=BX※と捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進」及び「R&D(研究開発)機能の強化による既存商品価値の向上・新たな商材や市場の創造」を掲げ、領域を特定した戦略的DX及びR&D投資を推進していきます。
DX領域においては、グローバル調達プラットフォーム、グローバルデータマネジメント、環境負荷の予測と見える化といった生産性を向上するグローカル基盤を構築するとともに、新たな消費者データ、多様化・細分化する顧客ニーズの把握と新しい素材や製法による新ビジネスモデルの開発、及びこれらのイノベーションを実現するためのデジタルネイティブ組織への変革、インキュベーション機能の強化、アジャイル型働き方の組み込みを推進します。
R&Dにおいては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドからバックキャストで導いた未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、変化するアルコールに関する価値観に対応した新たな価値創造、消費者の身体と心の健康の実現、サステナビリティ実現に向けた環境・気候変動リスクの軽減、及び新規事業につながる非凡なシーズの開発を重点領域と位置づけ、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発への投資を推進します。
また、米国サンフランシスコに投資運用会社を設立し、2023年1月から運用を開始したスタートアップ投資ファンドは、低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料など、将来大きく成長する可能性のある魅力的なブランドや、新たな販売手法や製造手法に繋がるテクノロジーを持った米国のスタートアップ企業にマイノリティ出資を行い、アサヒグループホールディングスグループの市場優位性獲得や、新規市場創出につながるイノベーションに貢献することが期待できます。
※ DX=BX:デジタル・トランスフォーメーション = ビジネス・トランスフォーメーション
4)気候変動に関わるリスク
地球温暖化により、これまで経験したことのない気候の変化や熱波による干ばつ、台風や豪雨による洪水など異常気象が世界各地で発生し、生命や財産に大きな被害をもたらしています。この気候変動問題は、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとってきわめて重要な環境課題です。
アサヒグループホールディングスグループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「Beyondカーボンニュートラル」を2050年の世界のあるべき姿として掲げています。脱炭素社会に向けて、事業の枠を超えた社会全体におけるカーボン排出量が削減され、生物多様性が保全された世界を目指すため、バリューチェーンのCO2削減と生態系の保全の両立、CO2の排出量削減・吸収・回収の技術開発・展開などに取り組んでいきます。
将来的な気候変動が業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクとして、以下の通り認識しています。海外の生産拠点における干ばつが深刻化し、水需給が逼迫、水価格の高騰による操業コストが上昇する可能性があります。気温上昇(生育環境や労働環境の変化)・天候・自然災害・CO2濃度等が需給バランスや品質に影響し、主要な原材料価格が変動する可能性があります。更に、必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失と工場移転費用が発生する可能性があります。異常気象の激甚化により、深刻な風水害及び土砂災害が発生することで生産ラインや物流が停止し、設備被害や機会損失、製品廃棄による損失が発生する可能性があります。
また、将来的な気候変動を見据えた脱炭素社会への移行リスクを以下の通り認識しています。炭素税が導入され、特にPETボトル等の製品原材料への価格転嫁や生産拠点の操業コストが上昇する可能性があります。水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受けて操業が停止、機会損失が発生する可能性があります。エシカル志向の高まりにより、環境配慮が不十分な製品があった場合、その需要が低下し、アサヒグループホールディングスグループの売上に影響を与える可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、脱炭素社会の速やかな実現を目指し、CO2排出量ゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を改訂しました。「アサヒカーボンゼロ」の中期目標として、Scope1,2※においては、2025年に40%削減、2030年に70%削減の脱炭素目標を設定しています。Scope3※においても、2030年に30%削減(ともに2019年比)を設定しています。その上で、長期目標として掲げていたScope1,2,3におけるCO2排出量ネットゼロの目標年を2050年から2040年へ上方修正し、今後更なる省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用を推進していきます。また、グループ全体で水使用量削減に向けた取り組みを進めて、水リスクに対応していきます。
将来的な気候変動リスクに関連する経営のレジリエンスと持続性を高めるために、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言への対応を行っています。シナリオ分析によって明確化された重要なリスクと機会に対してそれぞれの対策を講じ、リスクの低減と機会の確実な獲得につなげていきます。特に、炭素税による生産コストなどへの影響を軽減するため、「アサヒカーボンゼロ」に基づくCO2排出量削減施策として、2030年までに500億円以上を投資していきます。
※ Scope1は、自社(工場・オフィス・車など)での燃料の使用によるCO2の直接排出、Scope2は、自社が購入した電気・熱・蒸気の使用によるCO2の間接排出、Scope3は、自社のバリューチェーンからのCO2の排出を指します。
5)プラスチック使用
近年、廃棄プラスチックの規制強化の動きが加速しています。同時に、プラスチックを大量に使用する製品に対する社会の目は厳しくなってきており、容器包装をプラスチック素材に依存しているアサヒグループホールディングスグループの飲料・食品製品の需要が著しく低下し、売上に影響を与えるだけでなく、対応不十分とのことで、アサヒグループホールディングスグループに対するレピュテーションが低下する可能性があります。また、リサイクル費用の負担が増加することや、バイオマス素材等の代替素材を使用した場合の材料費が増加すること等で、製造原価が増嵩する可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「容器包装廃棄物のない社会」を2050年の世界のあるべき姿として掲げています。容器包装の中でも海洋汚染や生態系への影響が世界的に喫緊の課題となっている海洋プラスチック問題への対応については、2020年、グループの戦略の方向性として「3R+Innovation」を定め、2022年に目標を上方修正してグローバル統一の新たな目標として2030年までにPETボトルを100%リサイクル素材、バイオ由来の素材等に切り替えることを設定しました。それに基づき、グループ各社において様々な取り組みを進めています。
国内では、アサヒ飲料株式会社がリサイクルPET等リサイクル素材の使用、リデュースの推進、環境への配慮を前提とした新容器開発等に関する目標「容器包装2030」の達成に向けた取り組みを進めています。更なる「ラベルレスボトル」製品の拡大やリサイクル素材活用拡大のために「ボトルtoボトル」の水平リサイクルを進めています。後者の取り組みとして、再生事業者である株式会社JEPLANへの融資を行い、アサヒ飲料販売株式会社が管理・運営する首都圏エリア約3万台の自動販売機から使用済みPETボトルを回収、ケミカルリサイクルPET樹脂に再生させ、アサヒグループホールディングス商品に再利用する循環システムを構築し、水平リサイクルを進めています。
2022年4月から、一部の大型ペットボトル(「三ツ矢」「カルピス」「アサヒ 十六茶」「アサヒ おいしい水」「バヤリース」)でこのリサイクルPET樹脂を使用することにより、年間のCO2排出量は従来比で約47%削減され、約18,400tのCO2が削減される見込みです。また、業界の枠を超えた連携体制により使用済のプラスチックを再資源化する会社に共同出資を行い、中長期的なPET調達に向けた取り組みも強化しています。
また、2023年には飲料他社と共同で、複数の地方自治体との間で使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生する水平リサイクル「ボトルtoボトル」事業の連携協定を締結しました。各地で2024年から取り組みを開始し、プラスチック資源循環を推進していきます。
海外では、オーストラリアの子会社Asahi Beverages Pty Ltdが、業界の枠を超えたパートナーシップ構築を通じて、PETボトルのリサイクルを推進しています。リサイクル大手企業や容器メーカーと合弁会社を設立し、2022年にはニューサウスウェールズ州でリサイクルPET樹脂の更なる生産と供給のための工場を稼働しました。さらに2023年にビクトリア州で2拠点目のリサイクル工場の操業を開始しました。オーストラリアでは既に2019年より水ブランドの「Cool Ridge(クールリッジ)」に100%リサイクルPETボトルを使用しCO2排出量を従来の約半分に削減しました。
アサヒグループホールディングスグループ全体として、プラスチックのリサイクル素材、バイオ由来の素材等の更なる活用を推進してまいります。
② 短中期的に顕在化が懸念されるリスク
1)主要原材料の調達リスク
アサヒグループホールディングスがグローバルに事業展開する酒類・飲料・食品の製造においては、原材料の調達に関し、市況悪化による価格高騰、気候変動や自然災害及びパンデミック等による納期遅延や供給停止に陥るリスクがあります。このようなリスクに直面した場合、製造コストが上昇し、また製造数量が計画を下回ることで、グループの業績及び財政に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対しアサヒグループホールディングスでは、原材料毎にヘッジポリシー及びガードレールを定め、原材料商品及び為替市況をつぶさにモニタリングし、状況に応じ複数年での契約締結や、金融商品を活用することで価格高騰リスクを回避し、また必要量の安定確保に努めております。併せて、グローバル各製造拠点で原材料毎に在庫量を定め、安全在庫を確保すると共に、シナジー創出を期待できる品目については、2024年1月に運営を開始したグループグローバル調達組織であるAsahi Global Procurementが、カテゴリーマネジメントとソーシング機能を集約し、スケールメリットを活かしコスト低減に努めております。加えて、グループ間での在庫情報共有による調整機能を活用し、調達困難時でも全製造拠点で十分な在庫量を維持できるよう努めております。
2)地政学的リスク
現在、アサヒグループホールディングスグループは20を超える国に拠点を構え、グローバルに事業を展開しております。世界経済全体の動向に加え、アサヒグループホールディングスグループが事業活動を展開する国・地域における政治、経済、社会、法規制、自然災害等の要素が、各事業に影響を与える可能性があります。
さらに、近年は、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性が高まっていると認識しています。例えば、ウクライナ情勢や中東情勢、台湾を巡る緊張の高まり、米国と中国の対立関係などの要因により、アサヒグループホールディングスグループが事業を展開する複数の国・地域において、輸出入制限、差別的な措置、商品不買運動、技術の分断、データに関する規制等の具体的なリスクが想定され、同時に、今後の事業の強化やエリアの拡大を進める上でも影響を与える要素となります。地政学的な要因によりこれらのリスクが顕在化した場合には、アサヒグループホールディングスグループの中長期経営方針の実行や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、地政学的リスクに関する動向の情報収集と分析をもとに、リスクシナリオの策定及びリスクの把握を行い、その影響を低減するための適切な対策の検討を進めてまいります。また、事業展開国・地域のカントリーリスクの調査、情報収集、評価をもとに、リスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をする取り組みも継続しております。
3)情報セキュリティ
アサヒグループホールディングスグループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しており、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、あるいはサイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害、EU一般データ保護規則(GDPR)等の各国法令違反が発生する可能性があります。
このようなリスクが顕在化した場合、事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、GDPR違反による制裁金等により、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
サイバー攻撃リスクの高まりへの対応としては2022年10月にグループ全体で遵守すべきサイバーセキュリティ基準を制定し、運用の徹底を図っています。当基準に準じて国内・海外グループ会社のサイバー攻撃対策状況を評価し、セキュリティ体制の維持、及び向上に努めており、本件リスクが顕在化しないようにセキュリティの改善に取り組んでいます。また、当基準内でインシデント発生時の報告ルールを明示することでグループ全体でのインシデント情報を集約し、リスク対応の強化を目的とした体制整備も完了しています。
アサヒグループホールディングスグループは、ビジネスの多様な分野における生成AIの活用を積極的に推進しています。我々は、この技術が企業の競争力を高める重要な要素であると認識しており、その有効な活用を通じて、業務効率の向上とイノベーションの促進を図っています。さらに、生成AIの使用に伴うリスクに対処するため、国内・海外グループ会社に適用される包括的なガイドラインを制定しました。このガイドラインは、生成AIの安全かつ責任ある使用を確実にするための運用基準と注意事項を定めており、リスクの軽減と管理に努めています。
4)多様で有能な人材の確保
中長期経営方針の目標達成には、多様な価値観や専門性を持つ社員の貢献が不可欠です。そのため、アサヒグループホールディングスグループは社員の多様性を尊重し、一人ひとりの成長を支援する人材育成プログラムへの投資を増やし、必要に応じて、経営幹部や一般社員を外部から採用する取り組みを進めています。しかし、グローバルな事業の成長に伴う人材需要の増加や必要なスキルの変化、高度化により、多様で有能な経営幹部や一般社員の確保、育成、定着が難しく、中長期経営方針の戦略実行に影響を及ぼす可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは中長期経営方針で「目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を支える高度な人的資本の確保」を掲げ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進を通じて、戦略を支える経営基盤を強化し、従業員のエンゲージメントを高める企業文化を醸成しています。定期的にエンゲージメント調査を実施し、望ましい企業文化の実現度を確認しています。
また、経営者候補の育成を計画的に進めるため、グループ全体で共通のコンピテンシーモデルを策定し、将来の経営幹部候補を育成するグローバルリーダーシッププログラムを実施し、人材パイプラインを拡充・強化しています。さらに、各地域の人材を可視化し、国籍や性別に関係なく適材適所で配置するためのタレントレビューを実施し、多様な有能な人材の活用を推進しています。新しいケイパビリティを獲得するために、社外からの人材登用も積極的に行っています。
③ 継続的に顕在化を留意するリスク
1)大規模自然災害
2024年1月に能登半島で発生した地震が甚大な被害をもたらすなど、国内外問わず世界各地で地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、大規模災害が現実のものとなっています。このような大規模自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。更に、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みを導入するとともに、大規模地震を含め災害リスクが高い日本においては、早急に被災地の被害状況を把握するため、衛星携帯電話の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。
また、生産工場では、建物倒壊対策のため、全建物対象に耐震診断を実施しており、対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。
また、主要グループ会社において、過去の防災対策の実績及び自然災害の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理するサーバーセンターのバックアップセンターを設置する等、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動に支障が無いように備えています。
なお、大規模な災害等が発生した際には、代表取締役社長兼Group CEOを本部長とした「緊急事態対策本部」を設置して対応する危機管理体制を構築しており、平常時のリスクマネジメントにおいて、顕在化した際に即時対応を要するリスクを抽出し、その影響度と必要な対応を想定することで、危機発生時にクライシスマネジメントへ寸断なく移行できるよう準備しています。あわせて、国内を含めた4つのRegional Headquarters(RHQ)体制において、危機の類型に応じてRHQとアサヒグループホールディングスの役割を明確にするとともに、危機発生時の情報ラインの整流化を図り、グローバルなクライシスマネジメント体制の強化も進めています。
これらの事前対策により災害による被害の最小化、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。
2)人権尊重に関わるリスク
格差や貧困の拡大、気候変動等環境問題の深刻化、感染症や紛争の勃発、さらに欧米を中心とした人権尊重に関する法規制強化などを背景に、アサヒグループホールディングスグループにとって人権尊重並びに関連法規制の遵守は特に重要と認識しています。2023年は全社の人権取り組みを強化する目的で、「アサヒグループ人権方針」を改定しました。その中で、脆弱なステークホルダー(例:子ども、女性、移住労働者、先住民族)や人権擁護者の権利尊重や、グリーバンスメカニズムへの通報者保護と救済措置の実行強化を加えました。また「清潔で健康的かつ持続可能な環境に対する権利」へのコミットメントを新たに加え、今後は気候変動や生物多様性の喪失等による人権リスクも理解し、これらを人権デューデリジェンスに組み込んで取り組みを強化していきます。
具体的な取り組みとしては、2019年以降、サプライヤーと自社従業員への人権デューデリジェンスと教育、救済へのアクセスの構築を優先して進めています。サプライヤーについては、2024年1月からAsahi Global Procurementが本格稼働することに伴い、グローバル調達活動を一元化し人権デューデリジェンスの方針や基準整備、計画と実行を同組織の中で担い、今後取組内容を深化させます。新たに2030年までに原材料一次サプライヤー(※既存の原材料及び包装資材の年間10万ドル以上取引のある一次サプライヤー)へのリスクアセスメントを優先的に100%実施することを目標に実施する計画です。また、2021年には現代奴隷リスク分析でハイリスクとの結果が出たエチオピアとタンザニアのコーヒー豆に関わるサプライヤー等を対象とし、2022年はブラジルのサトウキビを対象にデスク・リサーチを行いました。2023年にはブラジルのサトウキビを対象に現地訪問調査を実施しています。これら調査結果を踏まえて人権リスクを特定・評価し、負の影響の是正や発生予防に取組む予定です。
自社従業員については、2030年までに事業展開国(※ディストリビューターを通じた輸出事業を除く)へのリスクアセスメントを100%実施し、各事業会社、機能部門が継続的にPDCAをモニタリングができている状態を目指します。2024年は高リスク国の全生産拠点におけるSedexによるリスクアセスメントと、高リスクと判断した生産拠点への実態把握調査、インタビュー、指摘事項の是正を計画しています。従業員一人ひとりが人権方針を遵守するための人権教育として、2023年は国内全役員・社員を対象にした3つの「ビジネスと人権」eラーニングを実施しました。
救済へのアクセス構築については、「クリーン・ライン制度」へのアンケート結果や人権有識者との対話等を通じて抽出した課題を基に検討を進め、2024年春に新しい通報システムの運用を開始する予定です。
3)法規制とソフトローのコンプライアンス
アサヒグループホールディングスグループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、「Asahi Group Philosophy」で示したステークホルダーに対する5つのPrinciplesに基づき、企業倫理・コンプライアンスを実践するための「アサヒグループ行動規範」を制定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表取締役社長兼Group CEOが委員長を務め、代表取締役社長兼Group CEO以下の業務執行取締役、Group CxO及び委員長が任命したFunctionのHeadで構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
④ 個別戦略リスクのヒートマップ
[評価変更リスク]
②-1)主要原材料の調達リスク
2024年1月に運営を開始したグループグローバル調達組織であるAsahi Global Procurementへのカテゴリーマネジメントとソーシング機能の集約により、グローバルでの安定調達と更なるコストベネフィット獲得につながる体制が整備された。社外環境としては今後も予断を許さない状況が続くと認識するが、前項取り組みの進捗により、当該リスク顕在時の影響度が低減していると評価する。
②-4)多様で有能な人材の確保
引き続き人材獲得が難しい状況が続く国や地域がある中で、アサヒグループホールディングスグループ内の多様で有能な人材を機動的に活用できる体制が整い、またグループ内人材育成の強化や競争力ある報酬制度の導入等により、当該リスク顕在化の蓋然性が低減していると評価する。
⑤ 個別戦略リスクの経営方針・戦略との関連性
(3)その他リスク
1)品質について
アサヒグループホールディングスグループは、研究開発、調達、生産、物流、販売、お客様とのコミュニケーションに至る全てのプロセスにおいて、お客様の期待を超える商品・サービスを提供することで、お客様の満足を追求することをグループ品質基本方針とし、いずれのグループ会社も品質を通して、お客様との信頼関係を築くことに不断の努力を続けています。お客様の健康に密接に関連する事業を展開しているため、万一、不測の事態により、お客様の健康を脅かす可能性が生じたときは、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。
しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があります。このような事象が発生した場合、中長期経営方針に掲げた「既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大」の未達を含む、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。
アサヒグループホールディングスグループは、品質リスク低減を目的とした品質保証レベル向上の取り組みとして、サプライチェーンの全てのプロセスにおいて、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正による改善のPDCAサイクルをグローバル共通の仕組みとして展開しています。
また、食の安全に関わる分野においては、研究開発部門を中心に微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたる最新の分析技術を開発しており、グループ内の連携によりグローバルでの品質保証活動を展開する体制・仕組みを通じて、技術面からグループ全体をサポートしています。
さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。
2)財務リスク
為替変動: アサヒグループホールディングスグループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、アサヒグループホールディングスの報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。
金利変動: アサヒグループホールディングスグループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。アサヒグループホールディングスグループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用することがあります。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。
格付低下: アサヒグループホールディングスグループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、アサヒグループホールディングスグループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、アサヒグループホールディングスグループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
保有資産の価格変動:アサヒグループホールディングスグループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3)税務リスク
アサヒグループホールディングスグループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめとする、各国の税制による適用を受けており、予期し得ない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、大幅なコストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等が懸念され、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4)訴訟リスク
アサヒグループホールディングスグループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一アサヒグループホールディングスグループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、アサヒグループホールディングスグループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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