Sapeetは「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションとして掲げ、「人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化する。また、その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発し続ける。その仕組みによって、人と社会がより最適な状態で触れ合い、人のポテンシャルを解放したり、生活の質を高めたり、と心身豊かになれる世界をつくります。」を実現すべく、様々な事業に取り組んでおります。
Sapeetの強みとする技術分野としては、AI及び3Dに関するものがあります。AIに関する技術分野としては、主に画像認識、自然言語処理(*5)、機械学習(*6)/深層学習(*7)を中心としております。また直近では、LLM(*8)や生成AI(*9)の活用を進めております。Sapeetにおいてはこれらの技術を組み合わせ、さらに専門家との協同により付加価値の高い専門的な技術・ノウハウ等のナレッジを蓄積したデータを様々な形で提供できるアルゴリズム(*10)をもとにした「Expert AI」を中核として、顧客企業のニーズに合わせたプロダクト開発・プロダクト開発支援・コンサルティング等を行うAIソリューション、自社で開発したプロダクトを主にSaaS(*11)型で顧客企業に提供するAIプロダクトの提供を行っております。これらを総称してExpert AI事業と称しております。
Expert AIは、業務効率化を主な目的とするAIが「ノンコア業務(例えば、直接的に利益を生み出さない業務)を代替し業務効率化を図る」ことに対し、「AIで各領域の専門家ナレッジを再現・サポートし、コア業務(例えば、利益の創出に直結する業務)の価値をさらに増幅・拡張する」ものと定義しております。これまでSapeetはウェルネス領域の専門家(理学療法士、整形外科医、柔道整復師等)、セールス領域の専門家(コンサルタント等)等との協同によるExpert AIによりサービス提供を行っております。今後も、様々な領域の専門家との協同より、更なるExpert AIの強化や創出によりSapeet事業の拡大に努めてまいります。
AIソリューション及びAIプロダクトのいずれも、それぞれ単体でサービス提供が可能となっておりますが、いずれもExpert AIを技術の源泉としており、その他の技術の共通化や、ノウハウの共有等により、売上の最大化や開発コストの低減が行えるといった特徴を有しております。
Expert AI事業全体を図示すると、以下のとおりであります。
(1)AIソリューション
Sapeetの保有するAIや3D等の技術をもとにしたアルゴリズムモジュールを、顧客ごとの要件に合わせて組み合わせ、これら技術の活用ニーズがある業種業界向けのサービス提供(主にAI身体分析アルゴリズム)や、LLMを用いた生成AIモジュールを集客や営業・接客の場面で活用できるようにするサービス提供(主にコミュニケーションアルゴリズム)を行っております。また具体的には、営業・接客型化やシステム化、蓄積データのものづくりへの活用による製品開発支援等を行っており、Sapeet技術を顧客ニーズに寄り添った形で、プロダクト開発・コンサルティングといった様々フェーズでサービスを提供しております。当事業年度より、各種AIエージェント(*12)の開発にも注力しており、営業AIエージェント、インサイト創出AIエージェント、ナレッジ整備エージェントを開発し、汎用的な機能を集めた営業AIエージェントα版もリリースしております。
AIソリューションの提供手法を図示すると、以下のとおりであります。
Sapeetでは顧客価値を最大化するために、様々なAIソリューションから最適なAIソリューションの導入を戦略策定フェーズから全面的にサポートしております。また、AIソリューションの導入に伴うAI開発や実装だけでなく、その前段階の業務の整理や要件定義、業務フローの改善、導入後の保守運用等も行い、Sapeetが一気通貫で対応することで顧客価値や費用対効果の最大化を目指しております。また、SapeetAIプロダクトのSaaSカスタマイズパッケージや、Sapeet独自のExpert AI等を活用することで、より早期の開発・実装、より高い費用対効果を実現することも可能であります。
戦略策定から保守運用・ライセンス提供まで、一気通貫でのAIソリューションの提供を可能としていることから、短期・中期におけるサービス提供に係る収益(戦略策定~実装)だけではなく、保守運用やライセンス収入といった長期間に渡る安定的なストック売上獲得も可能となっております。また、顧客内での内でのプロジェクト拡大や、他社への横展開等により更なる拡大を図ってまいります。
AIソリューションにおいて注視している指標について、上位10プロジェクトの平均受注単価※1は、取引先企業規模の拡大や、案件規模拡大により上昇傾向にあり、2025年9月期20百万円(前期比2百万円増加)となりました。継続率※2は、2025年9月期70.8%(前期比19.2ポイント低下)となり、前期にPoCからスタートする新規取引先が急増したことから、前期の高水準と比較して低下したものの、一定水準は維持しました。
※1 当該期に新規受注したプロジェクトの受注額の平均値、2025年9月期は2024年10月から2025年8月までの平均値
※2 売上高100万円以上の取引先について、前期に売上計上があった取引先のうち当期にも売上計上があった取引先の割合、2025年9月期は8月末までの数値
(2)AIプロダクト
AIプロダクトは、「カルティ」のブランドで主にSaaSによりサービスを提供しております。ひとを科学し、ノウハウを詰め込んだExpert AIにより接客・商談現場における"バラつき"を解消し、お客様とのコミュニケーションのAI・DX化を実現するクラウドサービス(カルティクラウド)であります。
現在リリースされている主なサービスとしては、「シセイカルテ」「マルチカルテ」「カルティロープレ」であり、単一のサービスとしての利用のみならず、複数のプロダクトを組み合わせた提案やサービス提供も行っております。一般的なSaaSの場合、個別のカスタマイズを行うことはできませんが、SapeetのAIプロダクトにおいては個社ごとのカスタマイズ提供も可能となっております。中長期的には、ウェルネス業界の店舗DXを一気通貫でサポートできるようなオールインワンSaaSとしてのポジションを確立すべく、各サービスの機能拡充や相互利用できるような開発を進めております
本書提出時点において、主なカルティクラウドにおいては以下の3サービスであり、総アカウント数※3 は2025年9月末4,123アカウント(前事業年度末月比675アカウント増)となっており、解約率※4 については2025年9月期1.37%(前事業年度比0.55ポイント上昇)となっております。なお、AIプロダクトのうち、「シセイカルテ」の売上高が引続きAIプロダクト全体の8割程度を占めておりますが、「マルチカルテ」「カルティロープレ」の拡大により「シセイカルテ」への依存度は低下しております。
※3 カルティ シセイカルテ・カルティ マルチカルテ・カルティ ロープレのアカウント数の合計
※4 カルティ シセイカルテ・カルティ マルチカルテにおけるMonthly Gross Revenue Churn Rateの平均値(カルティチャットは取引件数の重要性が低いことに
より除外)、2025年9月期は8月末までの平均値
Monthly Gross Revenue Churn Rateは、月内に発生した解約やダウングレードによる損失金額をベースに、解約等が与える影響を示す指標をいう。
SaaSの一般的な特徴として、サービス開始まで一定の開発期間が必要であるものの、サービス開始後は契約期間において安定的な収益が獲得できる点にあります。例えば、「シセイカルテ」の場合は、契約期間が1年間・2年間・3年間のプランがあり、かつ契約期間においては原則として解約不可であることから、新規ユーザーの増加に従い収益がストック型で逓増するモデルとなっております。それにより、固定費を吸収し損益分岐点を突破することにより、高い収益率を確保することを見込んでおります。
① カルティ シセイカルテ(以下、「シセイカルテ」と記載)
「シセイカルテ」は、「AI姿勢・可動域・歩行分析」といった姿勢分析を主な機能とした、コミュニケーション支援ツールであり、SaaSプロダクトとしてサービス提供しております。「シセイカルテ」は、理化学療法士・整形外科医・柔道整復師等の身体の専門家から姿勢分析の専門ノウハウを再現したExpert AIをもとに、姿勢のゆがみ等をAIにより分析し、タブレット端末やスマートフォンにおいて可視化するツールであります。
シセイカルテは主に、以下の機能・特徴を有しております。
・ タブレット端末やスマートフォンのみで、体の歪みを数値化できる。
・ 体の歪みを3D技術で可視化することができ、利用者の行動変容を促すことができる。
・ 分析結果に対して、改善メニューをAIがレコメンドすることができる。また、レコメンド内容はカスタマ
イズ可能であり、事業者ごとのメニュー提供も可能である。
・ 施術履歴のデータベース機能を有しており、利用者の身体の変化を写真・数値・グラフで記録することが
できる。
本書提出時点における主なターゲット業種としては、整体院、接骨院、鍼灸院、フィットネス、歯科医院となっております。顧客においては、「姿勢」の可視化を通じた顧客とのコミュニケーションにより、利用者数の増加やリピート率の向上を目的としてご利用いただける事例が多くあります。
また、姿勢分析だけではなく、歩行分析及び動作分析機能を有しており、当該機能は介護施設がターゲットとなります。
なお、Sapeetは、様々な不調と相関関係があると言われている「姿勢」に着目しており、2025年9月末時点で約 200万回分の姿勢分析データを保有しております。Sapeetでは様々な専門家と、「姿勢×メンタル」「姿勢×栄養」といったように姿勢と姿勢に関連するテーマでオンラインセミナーを開催しており、これまでに累計3,500名以上の申込実績があるなど専門家からの関心も高い領域であると認識しております。
② カルティ マルチカルテ(以下、「マルチカルテ」と記載)
「マルチカルテ」は、利用者が自社の事業や業務の流れに沿って、マルチカルテ上に記録しておきたい顧客情報、施術記録、トレーニング記録、接客記録、顧客からヒアリングした事項といったすべての項目を、ノーコードで制限なく自由にカスタマイズ可能なカルテサービスであり、SaaSプロダクトとしてサービス提供しております。タブレット端末での利用を想定しており、タップ操作や手書き機能により、紙に書いているものと同じ内容を入力することができ、ペーパーレス化の実現にも寄与しております。
マルチカルテはシセイカルテとのセットでご利用いただくケースが多いですが、マルチカルテ単体でもサービス提供を行っております。分析・可視化のみならず、電子カルテ機能や施術履歴データベース機能も搭載しており、コミュニケーション支援のためのDX(*13)ツールとしても活用されております。
マルチカルテは主に、以下の機能・特徴を有しております。
・ カルテのすべての項目がノーコードでカスタマイズ可能となっており、自社専用のオリジナルカルテを作
成することができる。そのため、あらゆる情報を一元管理することができ、利用者間でのスムーズな連携
が行える。
・ ヒアリングや施術が理想的なフローとなるように項目をカスタマイズすることが可能であり、実際の流れ
に沿って項目を変化させることができるため、理想的なフローの型化をすることができる。
・ 接客内容の音声記録、文字起こし、要約、箇条書き変換を自動で行うLLMを活用した「AIカルテ」機
能(オプション)
・ 利用者のスマートフォン等から、事前に必要事項の入力が行え、来店時の業務を効率化できる。
・ 画像・表・グラフなど様々な表現方法が選択でき、円滑な顧客とのコミュニケーションを促進することが
できる。
・ 手書き入力機能を有しており、同意書の手書き署名や、利用者の状態を手書きで補足説明できる。
上記のように、カルテのすべての項目を自由にカスタマイズできることで、シセイカルテのような特定の業界だけではなく、より広い業種・業態での利用が可能となっております。
本書提出時点における主なターゲット業種としては、シセイカルテと同様ですが、すべての項目のカスタマイズが可能であるため、カルテを利用する業種であればターゲットとなります。
③ カルティロープレ
「カルティロープレ」は、AIソリューションで実績のあるAIロープレを、SaaS型のサービスとしてカルティクラウドのラインナップに追加しております。営業・接客をはじめとする様々なテーマや、界や各社の課題・注力ポイントに合わせたトレーニングを提供できるサービスであり、幅広い顧客層に提供することが可能となっております。
カルティロープレは主に、以下の機能・特徴を有しております。
・ AIと、営業・接客など、様々なニーズに応じたロールプレイングができる。
・ シーンや AIのペルソナを、自由に設定ができる。
・ ロープレを評価ができる 、評価項目も自由に設定できる。
・ 好感度を設定して心理的距離をつめる練習ができる。
・ 生成AIによる理想のロープレシーン作成サポートがある。
・ 管理画面からロープレの実施状況や、ボトルネックを瞬時に把握することができる。
また、営業という場面においては、「AIとリアルなロープレが実施でき、教育工数が削減できる」、「トップセールスの要素を学習したAIが、会話を評価することができる」、「ロープレ動画の振り返り、コメントが可能」といった特徴を有しております。
カルティロープレは、シセイカルテやマルチカルテと異なり幅広く提供が可能となっているため、IT・情報通信、小売、化学・医薬品、不動産、建設、総合商社、公共機関・非営利団体、コールセンター、金融、特定検診等の幅広い業種に対して提供しており、今後も提供範囲が拡大することを見込んでおります。
以上述べた事項を、事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
[事業系統図]
* 用語集
文中の将来に関する事項は、Sapeetが本書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1)経営方針
Sapeetは「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションとして掲げ、「人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化する。また、その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発し続ける。その仕組みによって、人と社会がより最適な状態で触れ合い、人のポテンシャルを解放したり、生活の質を高めたり、と心身豊かになれる世界をつくります。」を実現すべく、様々な事業に取り組んでおります。
また、ミッションの達成のために、短期・中期においては「デスクレスワーカーのエンパワーメント」「ウェルネスデータの分析・可視化による」に取り組んでまいります。
① デスクレスワーカーのエンパワーメント
国内就業者のうち、いわゆるデスクレスワーカーは約60%を占めていますが、現場ではまだまだ紙ベースの作業が多くDX化が進んでいない状況があります。
書類作成やPCへの転記作業などに時間をとられることや、情報共有のタイムラグや記入漏れ・紛失などのリスクがあり、こういった状況下では、当然データ管理も難しく、企業にとって重要な資産であるデータも活用することができません。
業種柄デジタル人材が不足することが多く自社でのシステム構築等も難しいことから、Sapeetでは社内のデジタル人材への不足に対してAIを用いた解決策を提示し、業務の効率化やデータの利活用等(アナログからデジタル)によるデスクレスワーカーのエンパワーメントを進めてまいります。
※『2023年度総務省統計局「労働力調査(基本集計)」』 オフィスワーカー(管理的職業/専門的・技術的職業/事務従業者)、
その他デスクレスワーカーを保安職業/農 林漁業/生産工程/建設・採掘/運搬清掃等/分類不能 従業者と定義
② ウェルネスデータの分析・可視化による健康寿命の延伸
「健康寿命の延伸」について、厚生労働省が2019年5月に「健康寿命延伸プラン」という「2040年までに健康寿命を約5歳伸ばす」といった計画を打ち出されているように、医療費の増大の一要因ともなっており社会的な課題となっております。
Sapeetは、AIプロダクトである「シセイカルテ」を通じて100万回以上の姿勢分析を実施し、そのデータを蓄積しております。姿勢は様々な不調と相関関係があると言われており、今後更なるウェルネスデータの取得により様々な課題解決に取組み、健康寿命の延伸への寄与を目指しております。
また、WHOの2019年の調査(Life expectancy and Healthy life expectancy Data by country(World Health Organization))によれば、平均寿命と健康寿命の差の順位において日本は33位であり当該領域の課題は国内に限った話ではないことから、まずはAIプロダクトにおいて海外展開も視野に入れて事業を進めております。
(2)経営戦略
SapeetのExpert AI事業は、AIソリューション及びAIプロダクトで構成されており、いずれもそれぞれ単体でのサービス提供が可能となっております。競争力の源泉として、共通する開発基盤を持ち、技術やインフラの共通化や、ノウハウやリソースの共有等を行い、売上の最大化と開発コストの低減が行えるといった特徴を有しております。共通する開発基盤においては、コンサルタント、デザイナー、エンジニア/アルゴリズムエンジニア、プロダクトマネージャー/プロジェクトマネージャー、専門家(理学療法士、整体師等)及び外部パートナーといった人的リソースを有しております。
AIソリューション及びAIプロダクトのいずれもフロー型の売上高及びストック型の売上高で構成されております。AIプロダクトはSaaSであるため売上に先行して開発やマーケティングが必要となりコストが先行するビジネスモデルでありますが、AIソリューションは主に準委任契約によりサービスを提供しており、AIプロダクトと比較して早期に収益が確保できるビジネスモデルであります。各サービスの売上高のボリュームやタイミングにより、一定の開発資金を確保しつつ安定したストック売上高を計上できるような体制としております。
Sapeetの事業拡大はAIソリューションから始まり、AIプロダクトの順に進んでおり、今後もその好循環により拡大を見込んでおります。今後も様々なExpert AIを用いたAIソリューション及びAIプロダクトの提供や、そこから生み出されるアセット(技術・データ等)を活用したプラットフォームビジネス等の創出を見込んでおります。同時にAIソリューション及びAIプロダクトにおいてストック売上が積み上がることにより、収益基盤及び財務基盤の安定化に寄与するものと考えております。
収益基盤及び財務基盤の安定化により、新規事業等の投資資金を確保し、非連続な成長が実現できるよう努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
Sapeetはより高い成長性と、安定的な収益基盤を両立させることを目指しており、売上高成長率、ARR(*)、ストック売上比率及び取引社数を重要な経営指標と捉えております。
売上高成長率についてはSapeetとして高い成長性のターゲットとしている40%以上を最近3期間において維持し、ストック売上比率については安定的な収益基盤という観点からターゲットとしている50%程度の水準を同期間において概ね維持しております。ストック売上とは、顧客又はプロジェクトから契約等に基づき概ね1年以上の期間において売上が見込めるものと定義しており、例えばAIプロダクトにおける月額利用料、ソリューションサービスにおけるライセンス利用料及び保守運用費用等がこれに当たり、AIプロダクトにおいて多くが計上されます。安定的な収益基盤だけを言えば、よりストック売上比率が高い方が望ましいですが、上記経営戦略における資金繰りの観点や、AIソリューション及びAIプロダクトをともに成長させていく観点から上記の指標をターゲットとしております。また、取引社数については、Expert AI事業全体での拡大の指標として重要視しております。
(*)Annual Recurring Revenueの略称であり、SaaSのストック性のある既存契約から今後12ヶ月で想定される売上高を表す指標をいう。
各指標の推移等については、以下のとおりであります。
※各指標の定義等は、以下のとおり
・「ARR」は、期末月におけるMRR(AIプロダクトとAIソリューションのストック売上高の合計)×12カ月で算出
・「ストック売上比率」は、「ストック売上高=AIプロダクト 月額費用+AIソリューション ライセンス費用・保守運用費用等」と定義し算出
・「AIソリューション 上位10プロジェクト平均受注単価」は、 当該期に新規受注したプロジェクトの受注額の平均値
・「AIソリューション継続率」は、売上高100万円以上の取引先について、前期に売上計上があった取引先のうち当期にも売上計上があった取引先の割合
・「AIプロダクト カルティクラウド アカウント数」は、 カルティ シセイカルテ・カルティ マルチカルテ・カルティ セールスのアカウント数、及びカルティチャットの
取引社数の合計
・「AIプロダクト解約率」は、カルティ シセイカルテ・カルティ マルチカルテ・カルティ セールスにおけるMonthly Gross Revenue Churn Rateの年間平均値(カルティ
チャットは取引件数の重要性が低いことにより除外)
(4)経営環境
SapeetはAIソリューション及びAIプロダクトを通じて、Sapeetのターゲット顧客であるウェルネス業界のAI技術の浸透やデジタルトランスフォーメーションを支援しております。
デジタルトランスフォーメーションは企業の重要な課題として位置付けが高まっており、企業価値の向上につながる取り組みとして投資が行われています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響から、リモート化や自動化などのオペレーション改善を目的とする投資や、Web・スマートフォンを軸とした顧客接点改革への投資が積極的であります。
変化の迅速かつ柔軟な対応を目的として、システムの内製化(ある業務において外部委託をやめて、自社内でその業務を行うよう変更すること)が本格化しており、2030年度には投資金額が5兆1,957億円となることが予測されており、Sapeetがターゲットにしているウェルネス業界だけを見ても、2020年度 731億円から、2030年度予想では2,115億円に拡大することが見込まれております。(『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編』(富士キメラ総研))。Sapeetは事業領域拡大により、ウェルネス業界だけではなく、より広い市場にアクセスしてまいります。
しかしながら、自社内でシステムの内製化を完結できない会社においては、Sapeetのような専門技術やノウハウがある会社と共同して進める、あるいは容易にDXが実現できるツール等を利用することになります。Sapeetとしてはそこにビジネスチャンスがあると認識しており、自社仕様・個別対応が必要なお客様にはソリューションサービスを、汎用的なツールで解決できるお客様にはSaaS型のAIプロダクトを提供することが可能であることから、Sapeetの活躍の場が広がっているものと認識しております。
例えばAIプロダクトにおいて提供している「シセイカルテ」や「マルチカルテ」の顧客企業は、小規模~中規模の企業が多いことから余剰資金に乏しく、デジタルトランスフォーメーションに対して多額の投資を行えない状況が多く見受けられます。また、実際にデジタルトランスフォーメーションと言っても、何をどのように行えばよいか、といったことからサポートが必要なケースも多く見受けられます。そのため、Sapeetでは各企業の初期投資を抑えられ、かつ自社での保守運用が不要なSaaSでのサービス提供を行っております。
世界のデジタルトランスフォーメーションの市場規模は、株式会社グローバルインフォメーションの調査により、2026年に総額1兆2,475億ドルに達すると報告されております(デジタルトランスフォーメーションの市場規模、2026年に1兆2,475億米ドル到達予測(株式会社グローバルインフォメーション))。海外展開についてはAIプロダクトから進める方針であるため、「シセイカルテ」及び「マルチカルテ」の多言語対応を行っており、具体的な販売・提供体制については検討してまいります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 開発体制の強化
Sapeetの持続的な成長のためには、AIソリューション案件の継続的な獲得・開発や、自社AIプロダクト継続的な創出を続けることができる体制の維持及び拡大が必要となります。また、Sapeetが開発したプロダクトを安心してお使いいただけるよう、安定的な保守・運用体制の維持・向上も不可欠となります。そのためには、優秀な人材の確保や、技術的な知見・ノウハウ獲得、これらを社内で活用していく仕組みを構築することにより、より強固な開発・運用体制の構築に努めてまいります。
② 営業体制の強化
AIソリューションについては、顧客ニーズに応じた提案力のみならず、案件の遂行までを担当するため実行力も兼ね備えた人材が必要となります。
AIプロダクトについては、2020年1月の「シセイカルテ」リリース後から、当該プロダクトの営業活動を積極的に行っております。「シセイカルテ」はいわゆるSaaSプロダクトであり、顧客数が多くなればなるほど固定費を吸収して利益率が高まるビジネスモデルであるため、先行的に営業体制の強化・拡大が必要となります。
このように、Sapeetの成長のためには営業体制の強化が必要であるため、優秀な営業人材の積極的な採用を行ってまいりますが、同時に営業管理体制の運用・改善などによる効率化により、より収益が安定的に獲得できるような体制構築に努めてまいります。
③ 内部管理体制の強化
Sapeetは当事業年度において事業規模拡大の途上であり、事業規模拡大を支え、事業上のリスクを低減させるための内部管理体制の強化を重要な課題であると考えております。このため、将来の事業規模拡大を想定したうえで、適切かつ必要な内部管理体制の整備に努めてまいります。
④ 情報管理体制の強化
SapeetはAIソリューション及びAIプロダクトにおいて、個人情報や顧客の機密情報を取扱っております。また、新たな案件についても同様の情報を取扱う可能性があり、これらの情報管理体制を強化していくことが重要であると考えております。現在は個人情報保護管理規程等に基づき管理を行っておりますが、今後も社内教育・研修の実施やインフラを含めたシステムの整備などを継続して行ってまいります。
⑤ システムの安定性・効率性の確保
Sapeetの提供するAIソリューションの一部やAIプロダクトは、インターネット上でサービス提供を行っており、顧客の維持・獲得のためにはシステムの安定稼働の確保は必要不可欠となっております。また、効率的なシステム設計によりインフラコスト低減も見込まれることから、今後も引き続きシステムの安定性確保及び効率化に取り組んでまいります。
⑥ 黒字化と事業資金の確保
Sapeetは前事業年度及び当事業年度において先行投資的な研究開発、人材投資、マーケティング活動等により当期純損失を計上しており、本書提出時点において通期で安定的に利益を計上できるような収支構造には至っておりません。そのため、事業資金の確保は資金調達コストを勘案して行っており、これまでその資金は借入れ及び第三者割当増資により調達しております。SapeetのAIプロダクトは研究開発やマーケティング活動が先行的に発生するビジネスモデルであり、現在は先行投資フェーズから回収フェーズに移行する端境期に当たります。Sapeetとしては顧客数やアカウント数の増加に伴うストック収益の獲得により、損益分岐点を超えて安定的な黒字化の実現を企図しており、それに向けた営業活動や開発活動を行ってまいります。
⑦ 蓄積したデータの利活用
SapeetはAIソリューションやAIプロダクトを通じて、利用者等と合意した範囲内で様々なデータを蓄積しております。これらのデータは各サービスの精度向上等には活用されているものの、他のサービスや新たなビジネス等への利活用は進んでおりません。Sapeetの事業拡大のためには、Sapeetの有形・無形の資産を利活用し、Expert AIを強化、また当該AIを用いた更なるビジネス展開を行うことが不可欠であると考えておりますが、同時に個人情報や顧客の機密情報等の慎重な取扱いも不可欠であると考えております。そのため、取扱う情報の内容等に応じて慎重に配慮したうえで、新たな事業・サービス拡大に努めてまいります。
Sapeetの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性がある主要なリスクは以下のとおりであります。
Sapeetはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合における影響の最小化のため「リスク管理委員会」の開催等も含めて、最大限の努力をしてまいります。「リスク管理委員会」につきましては、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由」に記載のとおりであります。
また、Sapeetとして必ずしも重要な事業上のリスクに該当しないと考える事項につきましても、投資者の判断上、あるいはSapeetの事業活動を理解するうえで重要であると考えられるものについては、投資者に対する積極開示の観点から記載しております。Sapeet株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討したうえで行っていただく必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてSapeetが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境に関するリスク
① ターゲットとなる業界について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
Sapeetがターゲットとしているウェルネス市場(医療/介護市場)のデジタルトランスフォーメーション市場の規模は、2020年度731億円から、2030年度予想では2,115億円に拡大することが見込まれております(『2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編、ベンター戦略編』(富士キメラ総研))。市場拡大ペースの急速な鈍化や、Sapeetサービスの競争優位性が発揮されないような局面においては、市場が拡大した場合においてもSapeetの成長ペースが市場拡大と相関しない可能性があります。当該リスクへの対応として、サービスの横展開により市場を横断的に獲得する、サービスラインナップを拡充する等を行っておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② マクロ経済について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
SapeetAIプロダクトは個人事業主や中小事業者に多数利用されており、国内の景気後退時には顧客のサービス利用者が減少し財務体制が脆弱な顧客の経営状態に影響を及ぼす可能性はありますが、顧客の属する業界・規模・地域は様々であり、AIソリューションにおいてはAIプロダクトと比較して顧客規模が大きい企業をターゲットとしていることからそのリスクは分散されているものと認識しております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合他社について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
Sapeetは、本書提出時点においてAI/ウェルネス関連領域において事業展開をしておりますが、当該分野はその成長性から注目されており、多くの企業が参入しており、Sapeetの競争力が低下する可能性があります。AIソリューションについては、これまでのプロジェクトで蓄積された知見やデータで学習・強化されたAIアルゴリズムを活用することで、事業の拡大及び競争力の維持に努めてまいります。また、AIプロダクトにおいては顧客の利用促進のため導入時のオンボーディングプログラムにおいて顧客業務フローに組み込むようなアドバイスの実施や、定期的なサポート等によりAIプロダクトの解約率(「シセイカルテ」「マルチカルテ」「カルティセールス」におけるMonthly Gross Revenue Churn Rateの平均値)は、2023年10月から2024年9月までの平均で0.82%と低くなっております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
Sapeetは「ひとを科学し、寄り添いをつくる」をミッションとして掲げ、「人の身体性・精神性・行動をデータとロジックに基づき分析/可視化する。また、その技術を簡単に利用できるように、仕組みを開発し続ける。その仕組みによって、人と社会がより最適な状態で触れ合い、人のポテンシャルを解放したり、生活の質を高めたり、と心身豊かになれる世界をつくります。」の実現を目指しております。そのため、これらの技術やその周辺技術、またその技術を活用したAIソリューション及びAIプロダクトが競争力の源泉となっており、急速な技術革新があった場合において、変化に対応する開発費や開発工数等が大幅に増加する可能性があります。当該リスクへの対応や更なる競争力の向上のため、継続的な情報収集、優秀なエンジニアやアルゴリズムエンジニアの採用や教育にも注力しております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業進捗や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業内容に関するリスク
① 特定の取引先・サービスに対する売上比率について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
SapeetはAIソリューション及びAIプロダクトにおいて、新規開発からその後のライセンス提供や運用保守、さらに追加の開発が発生するなど継続的に売上高が計上される顧客が多くを占めております。その結果、当事業年度における売上比率は、上位取引先3社で全体の29.0%を占めております。新規顧客開拓を含めた積極的な営業活動により、特定の取引先への売上比率は低下することが見込まれ、それに伴い当該リスクの顕在化の可能性も低下すると想定しております。なお、AIソリューションにおいてそのプロジェクトの規模や期間により、一時的に特定の取引先に対する売上比率が上昇することが想定されその場合におけるリスクは限定的であると考えておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、AIプロダクトのうち「シセイカルテ」の売上高が占める割合は、2024年9月期において8割程度となっております。「シセイカルテ」は2021年1月にリリースされ、SapeetAIプロダクトでは最初にサービス提供を開始しており、提供期間に応じてストック収益が積み上がるビジネスモデルであることが要因でありますが、「マルチカルテ」等のサービス提供開始によりその割合は低下しております。これまで「シセイカルテ」において、Sapeet収益に影響を及ぼすトラブル等は発生しておりませんが、今後の様々なAIプロダクトの拡販・創出により同サービスの売上割合が低下することが見込まれ、それに伴いに何らかのトラブル等があった場合の影響も低下すると想定しております。
② 研究開発やプロジェクトの進捗等について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetでは、主に自社で研究開発を実施するAIプロダクト、Sapeetの保有する知見やデータで学習・強化されたAIアルゴリズムを活用するAIソリューションを提供しており、各開発フェーズにおいて想定以上に工数がかかる可能性はあります。SapeetではAIソリューション及びAIプロダクトの開発体制について様々な共通化(インフラ、アルゴリズムモジュール、開発人員)により柔軟な開発体制を構築することや、プロジェクト管理の徹底により当該リスクを低減しておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 新規サービス・新規機能の開発について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
Sapeetでは継続的に新規サービスや新規機能の開発を進めており、各サービスの事業拡大や顧客維持の源泉となっております。しかしながら、開発が想定どおりに進まない場合や、開発工数が想定以上となる可能性があります。そのためSapeetではスケジュール管理の徹底や、複数パイプラインを持つことで当該リスクを低減しておりますが、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ システム障害について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
SapeetのAIソリューション及びAIプロダクトにおいて提供しているサービスの大半は、インターネット通信網により提供しております。そのため、自然災害や事故によりインターネット通信網が切断された場合には、サービスの提供が困難となります。サイバー攻撃等によりSapeetサービス基盤への攻撃を受けた場合には、システム障害により事業遂行が困難になることや、事業上の重要機密が漏洩する可能性があります。また、予想外の急激なアクセス増加等による一時的な過負荷やその他予期せぬ事象等により、Sapeetのサービスが停止する可能性があります。Sapeetはセキュリティの強化や冗長化等の対策を講じており、これまでそのような大規模なシステム障害は発生しておりませんが、サービスの安定的な提供が行えないような事態が発生する可能性があり、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ ソフトウエアの資産計上について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
Sapeetは、第9期の期初より主にAIプロダクトに係るソフトウエアについて、将来の収益獲得が確実と認められるものに限り無形固定資産として資産計上しており、一定期間で減価償却を行っております。ソフトウエアの開発に際しては、市場環境等を慎重に見極めておりますが、市場や競合状況の急激な変化などにより、今後利用が見込めなくなった場合や、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、除却あるいは減損の対象となる可能性があり、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑥ 減価償却費の増加について
発生可能性:高、発生可能性のある時期:今後数期間、影響度:中
上記「⑤ ソフトウエアの資産計上について」に記載のとおり、Sapeetは第9期の期初よりソフトウエアの資産計上を開始しており、今後数期間にわたり徐々に減価償却費が増加することが見込まれております。Sapeetとしては固定的な減価償却費を上回る収益の獲得に努めてまいりますが、想定どおりに進捗しない場合には売上総利益率が低下する可能性があり、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑦ 先行投資から得られる効果が期待どおりに実現しないリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
AIプロダクトは、先行的なソフトウエア投資や研究開発費及び広告宣伝費を投下し、サービス開発とユーザー獲得のためのマーケティング活動を進めることが必要であり、その結果、全社業績においても赤字を継続しております。今後についても、収益性の向上に努めながら、先行的な投資を継続する方針です。サービス開発においては顧客のニーズを見極めながらより成果につながるよう努めており、また提供するサービスについては効果的・効率的なマーケティング活動に努めておりますが、経営環境の急激な変化、その他本「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、これらの先行投資が想定どおりの成果につながらない可能性があります。当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 情報セキュリティ体制について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
Sapeetは、AIプロダクトにおいては個人情報を取扱っており、またAIソリューションにおいては顧客の機密情報及び顧客が保有する個人情報が含まれるデータを取扱う場合があります。そのため、情報セキュリティ体制や情報管理体制を構築や継続的な強化を行うとともに、より高度な情報管理体制の構築のため2022年5月にJIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)の認証を取得しております。しかしながら、人為的なミスや不正アクセス等による情報漏洩が発生する可能性は完全に否定できず、当該リスクが顕在化した場合には、顧客への損害賠償やSapeetの社会的信用の失墜等により、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 法的規制等について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetは、「カルティチャット」を提供するにあたり、電気通信事業法に基づき「電気通信事業者」として届出を行っており、通信の秘密の保護が課せられております。本法令のほか、Sapeetの事業上運営に関連する法令に違反した場合には、業務改善命令等の処分を受ける可能性があります。当該リスクを低減させるため、リスク管理委員会の設置や適時に担当者が顧問弁護士に直接相談できる体制を整備しておりますが、当該リスクが顕在化した場合にはSapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 知的財産管理について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetは知的財産権を重要な資産と捉えて、弁理士と連携し必要に応じて事業に関する知的財産権の保護に努めております。また、Sapeetによる第三者の知的財産権侵害の可能性についても、調査可能な範囲で対応を行っており、こちらも必要に応じて弁理士と連携することが可能となっております。Sapeetが認識せずに他社の特許を侵害した場合には、損害賠償請求、使用差止請求又はロイヤリティの支払要求が発生する可能性がありますが、その時期は想定されるものではなく短期的に顕在化する可能性は低いと想定しております。しかしながら、Sapeetの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当該リスクが顕在化した場合にはSapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業運営に関するリスク
① 特定の人物への依存について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
Sapeet代表取締役社長である築山英治は、Sapeetの創業者であるとともに、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。現状において、何らかの理由により築山英治がSapeetの業務を継続することが困難になった場合には次の代表取締役社長が就任するまでの期間やその後の定着までの期間において業務執行に支障をきたす可能性はあります。当該リスクに対応するため、Sapeetは特定の人物に過度に依存しない体制を構築するべく、幹部人材の採用・育成や積極的な情報共有等により経営組織の強化を図っております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 人材の確保及び育成について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetが今後も持続的な高成長を続けるためには、優秀な人材の確保・育成が必要不可欠であります。Sapeetの求める水準に合致する人材の確保及び育成が計画どおりに進まない可能性があります。当該リスクに対応するため、積極的な採用活動を進めるとともに、人材の育成も進めており、また外部の業務委託者との連携を強化することでリソースの確保にも努めております。しかしながら、当該リスクが顕在化した場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 小規模組織であることについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetは、2024年9月30日現在において、取締役(監査等委員を除く)3名、取締役監査等委員3名、従業員41名と小規模な組織となっており、内部管理体制は事業の拡大及び従業員の増加に合わせて整備を進めております。適切な人材確保や配置ができず組織的な対応が困難となる場合や、事業規模に応じた事業体制、内部管理体制の構築が追いつかない可能性はあります。当該リスクに対応するため今後もより一層の人員充実を図る予定ですが、当該リスクが顕在化した場合にはSapeetの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 訴訟について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中~大
Sapeetは本書提出日現在において、Sapeetが当事者として提起されている訴訟はありません。コンプライアンス規程を整備して役職員へ周知すること等により法令違反などの発生リスクの低減に努めておりますが、Sapeet又はSapeet役職員を当事者とした訴訟が発生した場合には、その訴訟の内容や進行状況によっては、当該訴訟に対する金銭的な負担の発生や、Sapeet又はSapeet役職員のレピュテーションが悪化してSapeetの社会的信用が毀損されるなど、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 大規模な災害等に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中~大
Sapeetは、テレワークが可能な体制を構築しており、大規模な地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大等が発生した場合でも事業継続が可能となっており、新型コロナウイルス流行下においても大きな影響は発生しておりません。しかしながら、これらの災害等が長期間に及ぶ場合には、顧客企業やSapeetの顧客ターゲットとなる企業の経営判断・事業運営に大きな影響を与える可能性があります。当該リスクに対応するため、顧客及び顧客の属する業界の拡充を行っておりますが、当該リスクが顕在化した場合に、Sapeetの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスク
① 配当政策について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetは、株主に対する利益還元を経営上の重要課題と認識しておりますが、財務体質の強化に加えて事業拡大のための内部留保の充実等を図り、収益力強化のための投資に充当することが株主に対する最大の利益還元につながるものと考え、創業以来配当を実施しておりません。今後においては、業績・財務状況及び事業環境等を勘案したうえで、株主への利益配当を検討していく方針でありますが、持続的な成長に向けた投資を戦略的に実行する場合やSapeetの事業が計画どおり推移しない場合など、配当を実施できない可能性があります。
② ストック・オプションによる株式価値希薄化について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetは事業価値・企業価値向上に貢献した、役員、従業員に対するインセンティブ等を目的としたストック・オプション制度を採用しております。また、今後も事業価値・企業価値向上のための施策としてストック・オプション制度を活用していくことを予定しており、現在付与している新株予約権に加え、今後新たに付与される新株予約権について行使が行われた場合は、既存株主が有する株式価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。新たに付与される新株予約権について、その時期は想定されるものではありませんが、現在付与している新株予約権については短期及び中期において一定程度が行使され当該リスクが顕在化するものと想定しております。なお、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は111,100株であり、発行済株式数1,577,100株の7.04%に相当しておりますが、業績の達成条件を付すことで、株式価値希薄化を上回る株式価値向上に努めてまいります。
③ 税務上の繰越欠損金及び資本政策・税制適用について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetは事業拡大のための先行投資等により2021年9月期から2023年9月期まで当期純損失を計上したこと、及び当該資金を株式会社PKSHA Technologyからの借入れにより調達したことにより、2023年9月期においても債務超過となっておりましたが、2024年4月に行った第三者割当増資により債務超過は解消しております。一方で税務上の繰越欠損金は引続き存在しており、将来における法人税等の税負担が軽減されることが予想されております。Sapeetの事業が順調に推移し、当該繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく税負担が生じることとなり、Sapeetの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、資本金の額によっては、Sapeetの規模に照らして税負担が重くなることが想定されることから、株主還元等の機動的かつ柔軟な資本政策の実現と適切な税制への適用を通じて財務内容の健全性の確保に努めてまいりますが、法令の改正や社会情勢等からSapeetの想定する施策が実施できない場合には、Sapeetの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ Sapeet株式の流動性について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
Sapeetの大株主には親会社である株式会社PKSHA Technology、Sapeet役職員が含まれており、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準は25.0%であるところ、本書提出時点において30.31%となっております。
今後は、親会社からの売出し協力、Sapeetの事業計画に沿った公募増資による成長資金の確保、役職員への一部売出し要請、ストックオプションの行使による流通株式数の増加分等の組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、Sapeet株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それによりSapeet株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 資金使途について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
2024年10月28日払込みの公募増資及びその後のオーバーアロットメントの売出しに伴う第三者割当増資による調達資金につきましては、設備投資(AIプロダクトソフトウエア)及び借入金の返済に充当する予定であります。しかしながら、急激な経営環境の変化が生じ、その変化に柔軟に対応していくため、調達資金の使途を現時点での計画以外の使途へ変更する可能性があります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を正確に予測することはできませんが、計画以外の使途へ変更が発生した場合は、速やかに開示いたします。また、計画どおりに使用された場合でも、想定どおりの投資効果を得られない可能性があります。
⑥ 株式会社PKSHA Technologyとの関係に関する事項
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
株式会社PKSHA Technology(東京証券取引所市場プライム上場企業)は、当事業年度末時点においてSapeet発行済株式総数の53.45%を保有し、本書提出時点においては35.97%を保有する筆頭株主であり、AI Research & Solution事業及びAI SaaS事業を行っております。Sapeetは、同社の子会社となった以降においても、引き続き独自に経営方針・政策決定及び事業展開についての意思決定を行いそれが尊重されていたことで、経営の独立性は確保されておりました。Sapeet上場後も同社はSapeet筆頭株主として株主としての権利は保持しておりますが、適切なコミュニケーションを引き続き行うことにより、株主総会での議案の賛否やその他の株主としての権利行使により、Sapeetの独立性が阻害されるリスクが顕在化する可能性は低いと想定しております。
⑦ PKSHA TechnologyグループにおけるSapeetの位置付けについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
PKSHA Technologyグループは、AI Research & Solution事業及びAI SaaS事業を行っており、SapeetはAI SaaS事業セグメントに属しています。SapeetはExpert AIをコアに販売促進に強みを持つSapeetと、業務効率化等に強みを持つ同社グループの事業領域は明確に区分されております。その中でもSapeetは、AIプロダクトの中核サービスである「シセイカルテ」を中心とした独自のSaaSプロダクトを展開しており、グループ内に同様の事業や類似事業を行う会社はありません。PKSHA Technologyグループ内の会社において、Sapeetと同様の事業や類似事業が行われる可能性がありますが、グループ内競合の発生によるグループ全体での営業効率の低下等といったデメリットが見込まれることから当該リスクが顕在化する可能性は低いと想定しております。なお、同社グループ及び同社AI SaaS事業セグメント売上高に対するSapeet売上割合は以下のとおりであります。
(単位:千円)
※ いずれの数値も2024年9月期の数値であります。
なお、SapeetとPKSHA Technologyグループとの人的関係及び取引関係については以下のとおりであります。
(人的関係)
本書提出日現在、株式会社PKSHA Technology及び同社を含めたグループ会社からの出向者はおりません。
(取引関係)
当事業年度におけるSapeetと株式会社PKSHA Technology及び同社を含めたグループ会社との主な取引は、以下のとおりであります。
(単位:千円)
※ 対象となる借入金は、前事業年度末において450,000千円ありましたが、2024年9月期第3四半期において
同社からの借入金は全額返済しております。また、家賃の支払い及び管理業務委託は終了しております。
取引にあたっては、Sapeetにおける標準的な価格や市場の実勢価格等を勘案して、取締役会で決定のうえ行っております。特にSapeetサービス提供に関しては、その状況を取締役会において定期的に確認しており、また監査等委員監査の重点監査項目としております。当事業年度における取引金額の割合は、PKSHA Technologyグループ全体との間で、売上において15%程度、原価・販管費の合計額において1%程度であります。今後については、潜在的な事業機会を捉える中で、PKSHA Technologyグループのネットワークを通じた顧客にアクセスをすること、PKSHA Technologyグループ各社との協業やPKSHA Technologyグループ全体での取り組みを進めることで、グループに対する事業上の依存度が増して、結果として株式会社PKSHA TechnologyがSapeetに与える影響力が高まる可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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