木徳神糧グループは、木徳神糧株式会社(木徳神糧)及び関係会社10社により構成されており、事業は精米の製造販売・玄米の販売を行う米穀事業、飼料の販売を行う飼料事業、鶏卵の商品販売を行う鶏卵事業、米粉・加工食品・その他製造販売を行う食品事業を行っております。
なお、次の4部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
事業内容と木徳神糧及び関係会社の当該事業にかかる位置付けは、次のとおりであります。
米穀事業は、精米販売と玄米販売に大別されます。精米には量販店等で販売され一般家庭で消費される家庭用精米と、外食・中食産業で使用される業務用精米があり、それぞれ普通精米と無洗米があります。なお、家庭用精米には自社ブランドとして「純づくり」「とがずに炊ける無洗米」「e-come(イーコメ)」「木徳神糧セレクション」「長鮮度米」等があります。玄米は、米穀卸会社への販売を中心に一部米穀小売店への販売も行っております。
また、1998年から輸入米穀の政府買入委託契約に係る一般競争(指名競争)の参加資格を有しており、農林水産省が実施する入札に参加のうえ、ミニマム・アクセス米の販売を行っております。
飼料事業は、配合飼料メーカー向けの配合飼料原料(糟糠類等)、飼料販売店及び企業畜産向け単体飼料(牧草等)の販売を行っております。
鶏卵事業では、鶏卵及び鶏卵加工品の販売を行っております。
なお、栄養素(カロチン、ビタミン、DHA等)を多く含んだ鶏卵を従来の商品と区別するため、「ブランド卵」と称し、それらを「カロチンE卵α」等のブランド名で販売しております。
食品事業では、製菓及び加工食品用米粉の製造・販売、たんぱく質調整米「真粒米」の製造・販売、小麦粉等の製造・販売等を行っております。
以上の木徳神糧グループについて事業系統図を示すと次のとおりであります。
(注) ◎連結子会社
○持分法適用関連会社
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において木徳神糧グループが判断したものであります。
1.経営方針
企業価値
・私たちは、お客さまのニーズに応えます。
・私たちは、お客さま、お取引先、株主、従業員、地域社会など、あらゆるステークホルダーとの信頼関係を大切にします。
・私たちは、社業の発展を通じて社会に貢献します。
企業理念
・誠意と感謝の気持ちを持つ企業であり続けます。
・より高いクオリティを追求する企業であり続けます。
・新しい価値を創造する企業であり続けます。
経営理念
「コメビジネスを軸に世界中の消費者にコメとコメ関連食品の素晴らしさを発信し、健康で楽しいライフスタイルの実現をサポートします。」
木徳神糧グループは、「誠意と感謝」、「クオリティの追求」、「価値創造」の企業理念のもと、お客さまに価値ある商品をタイムリーにお届けすることを通じて「豊かなライフスタイル」を提供していくとともに、「コメをコアとした食と暮らしの提案」を積極的に行う、創造力と活気にあふれた企業を目指します。
そのために、お客さまのニーズを起点としたマーケティング戦略を実践し、お客さまに喜ばれる新しいサービスや商品の開発に果敢にチャレンジしていくことでこれらを実現してまいります。
2.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
木徳神糧グループは、最重点戦略分野への資本投下に対して会社の経営状態(投資状態)を判断する指標として総資本経常利益率を活用しております。当面、5%以上の目標を設定しております。加えて、売掛金の低減・在庫の削減を通して総資本回転率の向上を進めるとともに、売上高経常利益率1%以上を目標に置いております。
3.中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
木徳神糧グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和で各国経済に緩やかな持ち直しの動きが見られる反面、長期化するロシアによるウクライナ侵攻の影響で原材料やエネルギー価格が高止まり、食品業界に大きく影響を与えていることに加え、国内における人口減少と少子高齢化の進行による市場規模の縮小や実質賃金の減少による個人消費の弱さが続いていることから、依然として厳しい状況にあります。
このような環境のなか、木徳神糧グループは収益基盤の強化と持続的な企業価値の向上を実現するため、2023年より2025年までの3年間を「事業規模と事業領域の拡大に向けた体制再構築の期間」と定義する中期3カ年経営計画を策定し、「コメビジネスの拡大」「コメ関連ビジネスの成長」「企業成長の土台作り」を基本方針とした取り組みを進めております。
(1) コメビジネスの拡大
木徳神糧グループのコアである米穀事業においては、少子高齢化や食の多様化を要因に米の消費減少が続く一方、猛暑や豪雨をはじめとする異常気象が頻発しているなか、生産者の高齢化や農業資材価格の高騰による離農の拡大等、生産の担い手不足が深刻になっていくことが想定されます。足元の令和5年産米は猛暑を要因とした品質低下による精米歩留りの悪化や収量減少による原料調達難が予見されることから、仕入数量の確保、調達コストの低減を図るため、安定的な原料の確保に加えて各産地から機動的な調達を行う仕入ルートの複線化を深化させるほか、高温に強く食味の良い品種の普及を今まで以上に進め、より生産者に近づく調達と消費ニーズにマッチした提案型の営業を進めてまいります。
また、物流の2024年問題への対策の一つとして進めてきた精米工場の統廃合や委託先の活用に加え、事業連携や資本参加等による米穀事業グループの拡大を推進し、仕入を行う産地、精米を行う工場、販売先の消費地をつなぐ輸送と保管の効率化を進めながら、精米技術や工場運営のレベルアップを図りコストダウンを実現してまいります。
米粉販売については、業務用向け販売の収益改善と製粉工場の運営効率化を進めております。また、新たな需要層に対応する商品として、家庭用向け米粉商品の開発を進め、ラインナップの拡充と販売先の開拓に努めてまいります。
海外展開においては、木徳神糧グループの海外法人の体制強化と環境整備を着実に進め、各国の国内及び近隣国マーケットへの拡販に注力するとともに、人口の増加するアジア諸国や和食の評価が高いヨーロッパ・北米の市場に向けたジャポニカ米の販売と日本産米の輸出を拡大してまいります。
さらに、社会的な課題解決のため環境に配慮した取り組みが求められるなか、無洗米加工における水と化石燃料の使用量を大幅に抑えることができるUMBP製法による無洗米の拡大と、石油由来プラスチックの使用量を削減した環境配慮型包装資材の使用を推進し、事業と環境の持続的な調和を目指してまいります。
(2) コメ関連ビジネスの成長
国内畜産業界においても生産コストの上昇による離農が拡大しているなか、コストの多くを占める飼料費の抑制ニーズの高まりや輸入飼料原料価格の変動リスクがあることから、木徳神糧の存在意義が再認識されております。精米時に発生する米ぬかや水田を活用して生産する飼料用米等、商材が米穀事業と密接に関連しているため、飼料事業において米穀事業のネットワークを活用して仕入先を開拓するとともに、飼育頭数が増加傾向にある北海道・九州エリアでの拡販を進めてまいります。
また、鶏卵事業については、生産者との関係づくりを強化し仕入ルートの多様化を図りながら、米穀事業との協働によるシナジーを発揮し、既存得意先への深耕と新規開拓に向けた提案営業を推進し、事業規模の拡大を目指してまいります。
さらに、新商品開発においては、米穀を中心とした事業活動で発生する副産物等の様々な資源の潜在的な価値を改めて検討するとともに、ギフトニーズへの対応や米油を使用した無添加石鹸等、既存のビジネス領域にとどまらず新たなジャンルに挑戦し、お米の周辺ビジネス拡大に注力していきます。
(3) 企業成長の土台作り
木徳神糧グループが成長していくための基盤は人材(人財)であり、優秀な人材の確保が重要課題だと認識しております。そのため、教育研修や福利厚生の充実による従業員エンゲージメントの向上、従業員一人ひとりが能力を発揮し活躍できる環境の整備等、人的資本への投資についても積極的に行い、企業と従業員が共に成長できる体制を目指します。
加えて、コーポレート・ガバナンスの強化と経営全般の効率化を図りながら経営資源を最大限に活用し、資本収益性の向上を意識した収益力強化とサステナビリティを重視する企業の成長に全力で取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年3月28日)現在において、木徳神糧グループが判断したものであります。
木徳神糧グループの米穀事業においては、原料調達の大部分を国内産にて行っております。現在、減反による生産調整の廃止、農地集積や担い手の育成、飼料用米等主食用米以外への転作等による影響等、農業の生産や流通に係る多くの課題を抱えておりますが、今後の米の生産や流通基盤の変化と、通商政策による外国産米の輸入取り扱いについての政府方針変更によって、原料調達価格の変動等が発生した場合には、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。木徳神糧グループは、契約手法の多様化によって原料調達価格や数量の変動リスクの低減を図るとともに、海外における収益基盤の拡充、新規事業や新商品開発に取り組んでまいります。
木徳神糧グループの米穀事業においては、国内外の天候、災害等の影響を受ける作況動向、各国政府の備蓄に係わる方針及び数量、社会全体の景気に影響される消費動向等により仕入・販売価格が変動し、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。木徳神糧グループは高温耐性や耐倒伏性といった温暖化等の気候変動に対応した特性を持つ品種の普及を推進するとともに、原料調達におけるエリアの広域化とルートの複線化によって安定的な原料調達を図ってまいります。
(3) 「特定の得意先への依存度」
木徳神糧グループの売上高のうち約37%が得意先5社への米穀販売で占められています。これらの得意先は官公庁をはじめ、量販店及びスーパーマーケット、生協、米飯加工の業界等において、それぞれ安定的な収益状況にある大手企業であり、木徳神糧グループでは長年に亘り良好なお取引を継続させていただいております。しかしながら、今後も同様の取引を続けられる保証はなく、取引の停止、大幅な縮小となった場合には、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。長年に亘る取引において得意先のニーズに対し迅速に対応できる体制を構築し、得意先から高い満足度が得られる商品やサービスの提供を強化して安定的な取引の継続に努めるとともに、新たな分野における新規開拓にも注力してまいります。
木徳神糧グループの仕入高のおよそ39%は全農からの米穀仕入であり、長年に亘り良好な取引関係にありますが、全農の販売方針の変更により、全農からの仕入数量、仕入価格に大きな変動が生じた場合には、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。木徳神糧は全農と資本業務提携の関係にあり、水田営農の持続的発展と国産米の需要拡大及び輸出強化、ならびにごはん食を通じた食生活の維持・向上を実現するため、互いの経営資源を有効活用して事業の発展及び企業価値の向上に資する体制を構築し実需者への精米販売に連携して取り組むとともに、消費者ニーズに応える作付推進を協力して行っております。今後も全農との関係を強化していくとともに、様々な形で協力できるよう、機動的な調達が可能な体制構築を進めてまいります。
2. 食品の安全管理について
国内外において、鳥インフルエンザ、CSF(豚熱)、口蹄疫、BSE(牛海綿状脳症)、農産品の残留農薬、遺伝子組換食品の使用、食品表示義務違反等食品の安全性に係る事例が数多く発生しており、消費者の食品の安全性に対する関心が高まっています。木徳神糧グループの管理体制でカバーしきれない国内外の食品に関する安全、衛生問題の発生により、商品の調達、販売に支障をきたした場合、大規模な商品回収が発生した場合には、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。木徳神糧グループは日本国内をはじめ世界各国の消費者に安全・安心でおいしいおコメを提供するため国際規格に基づく認証の取得を進め、食品の提供に伴い発生するリスクの軽減と管理体制の構築に取り組んでおります。
木徳神糧グループの米穀事業においては、「食料・農業・農村基本法」、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」(改正食糧法)、「農産物検査法」、「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」(JAS法)、「米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律」(米トレーサビリティ法)、「食品衛生法」、「食品表示法」、「健康増進法」、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)、「製造物責任法」(PL法)、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法)、「農業競争力強化支援法」、「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)等の法規制の適用を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合には、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。社会の要請や法規制の変更等により、多くの新しい対応が求められておりますが、社内における各種情報の収集に努めるとともに、各分野の専門家、関係省庁及び業界団体の情報提供等から法改正等の趣旨や内容をいち早く把握し、法規制を遵守するとともに、木徳神糧グループとしての最適な対応を取れるよう努めてまいります。
木徳神糧グループは、原材料等の受発注、工場の運営管理、従業員の勤怠管理等については、必要なシステムを整備し、万全の体制を整えておりますが、万が一、大規模な自然災害、停電や機器の欠陥、コンピューターウイルスやハッキング等といったサイバー攻撃等によりシステム障害が発生した場合には、業務全般に支障をきたすことになり、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このため、基幹システムにおいては、データのバックアップ、ソフトウェアベンダーとの緊密な協力体制の確立等、可能な限り多面的な安全対策をとっております。
5. 自然災害や感染症について
木徳神糧グループの事務所や工場所在地を含む地域で想定を超える大規模な地震や台風等による風水害、感染症の蔓延が発生した場合、設備の損壊や往来・外出の制限等によって事業活動の継続が困難となり、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、木徳神糧グループの社会的な役割の一つは、お米という人々の生活に深く根付いた食品を安全かつ安定的に供給することであると認識しております。生産体制については、今後予想される大地震に備え可能な限りの対策をマニュアル化し、地震・ウイルス感染症の蔓延に対応したBCP(事業継続計画)を作成するとともに、災害時の対策行動指針を策定し全従業員に配布し、随時訓練を実施しております。また、新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症に対しては、手洗い及び消毒の励行とともに、感染症の拡大状況に応じてグループ役職員の健康管理の強化、工場を含む事業所間の往来制限、出張や会食の制限等、感染拡大防止を徹底し適切な事業運営ができるよう必要な措置を講じております。
木徳神糧グループは、木徳神糧グループにおいて開発した技術については、必要に応じて、特許権、実用新案権、商標権等の工業所有権を取得しており、重要な経営資源であると考えております。しかし、他社が類似したものやより優れたものを開発した場合、木徳神糧グループの優位性が損なわれることとなり、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。現在、木徳神糧グループ独自の技術等で製造する商品の販売が木徳神糧グループの業績に占める割合は僅少ですが、今後も木徳神糧グループの競争力の一つである知的財産を守りつつ積極的な活用を行ってまいります。
7. 海外事業に伴うリスク
木徳神糧グループは海外市場での事業拡大を戦略の一つとしておりますが、各国の予期せぬ法規制の変更、急激な為替相場の変動、その他の経済的・政治的な諸情勢の変化による事業活動上の障害が発生した場合には、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。木徳神糧グループが進出している各国の現地法人との定期的なミーティングをはじめ、現地のパートナー企業、関連取引先、在外公館や公的出先機関、各国の監査法人や会計事務所及び弁護士事務所等との情報交換等を通じて情勢変化の事前察知に努め、迅速且つ適切な対応ができるよう努めております。
木徳神糧グループは、将来の収益力に基づく課税所得及びタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断をしております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、経営環境等の変化により課税所得の見積りの変更が必要になった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、繰延税金資産の回収可能性を慎重に検討した上で繰延税金資産を計上することに努めております。
木徳神糧の米穀事業部で計上する売上割戻の条件は多様であることに加え、その取引量は膨大でありかつ計上金額の重要性は高いと認識しております。また、計上金額は顧客との商談により決定した情報に基づき、営業担当者が算定の上、支払依頼書に入力し承認申請を行っておりますが、売上割戻の網羅性が確保されないリスク及び計上処理が適時に行われないことにより期間帰属の適切性が損なわれるリスクが存在します。木徳神糧の米穀事業部は、売上割戻計上担当者以外の第三者が、売上割戻計上記録と管理台帳を照合し、漏れなく処理することで売上割戻の網羅性及び期間帰属の適切性の確保に努めております。
木徳神糧グループは商品・原材料・製品・仕掛品は主として先入先出法、貯蔵品は主として最終仕入法による原価法(収益性の低下による簿価切り下げの方法)を採用しております。
棚卸資産の評価を行うに当たっては、正味売却価額(一部の棚卸資産について再調達原価)に基づき収益性の低下を検討しております。
市場環境の悪化により正味売却価額が著しく下落した場合には、棚卸資産の金額から損失が発生し、木徳神糧グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、各産地からの機動的な調達及び販売計画の精度向上による棚卸資産の削減を通じて損失の軽減に努めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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