三洋貿易の企業集団は、三洋貿易とその連結子会社19社、非連結子会社5社で構成され、ゴム、化学品、機械機器、自動車部品、科学機器その他各種商品の輸出入、国内販売を主な内容とし、更に各事業に関する技術サービス、研究およびその他のサービス等の事業活動を展開しています。
三洋貿易およびグループ会社の各セグメントにおける位置づけは次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、三洋貿易グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
三洋貿易グループは長期経営計画「SANYO VISION 2028」を策定し、「堅実と進取の精神、自由闊達な社風のもと、柔軟かつ迅速に最適解を提供し、国際社会の永続的な発展と従業員の幸福を共創する」をミッションとし、「世の中の課題解決に貢献し、人と地球の笑顔をつくる」を三洋貿易が目指すあり姿、即ちビジョンとしており、この理念実現こそがすべてのステークホルダーの皆様の期待に応えることと考えています。
三洋貿易グループは、長期経営計画「SANYO VISION 2028」を推進していくと共に、コーポレートスローガンとして掲げた「Quest for Next」を合言葉に、全社一丸となって事業展開を推進してまいります。事業環境の変化が激しい今日においては、事業の選択と集中をタイムリーに実現し企業価値の増大を図る一方、企業の社会的責任としての企業統治、法令遵守、気候変動を含む環境問題、社会貢献などにも積極的に取り組んでまいります。
(2) 目標とする経営指標
株主価値創出の観点から、2028年9月期にROE10~12%、営業利益90億円を目標として定め、また、連結業績及び財務状況を勘案し、長期安定的な株主還元を実施してまいります。
成長と財務規律の観点では、営業キャッシュ・フローの黒字、自己資本比率50%以上を維持しつつ、5年間で累計200~300億円を事業投資、DX投資、人的資本に投資する計画としております。また、営業利益率としては5.1%以上を目標としており、成長性・収益性・安定性をバランス良く実現し、適切に市場から評価いただくことで、PBR1倍超を実現し維持向上してまいります。
(3) 中期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題
三洋貿易グループを取り巻く事業環境は、資源価格や物流費の急激な高騰、気候変動問題への対応、外国為替市場の変動などの不透明要因が存在しています。これらの要因は、三洋貿易の事業に影響を及ぼす可能性があり、予測不確実な状況を生み出しています。
三洋貿易グループは、これらのリスクを単なる脅威として捉えるのではなく、新たな事業機会を見出すチャンスとしても捉えています。盤石な財務基盤と永年培った強みと経験を活かし、外部環境の変化に対して柔軟かつ迅速に対応することが課題と認識しています。
三洋貿易グループは、持続的な成長と企業価値の向上に向け、長期経営計画「SANYO VISION 2028」を推進してまいります。
長期経営計画「SANYO VISION 2028」
「SANYO VISION 2028」では、ビジョンを実現するための打ち手として、「収益基盤の強化」、「企業体質の改善」の重点施策を推進しています。また、「世の中の課題解決に貢献し、人と地球の笑顔をつくる」をあるべき姿に掲げ、環境への配慮と社会的責任を重視した事業活動を通じて、経済的な利益成長のみならず、社会の課題解決に貢献することを目指します。
<収益基盤の強化>
① 既存事業の成長
市場の変化を敏感に捉え、プロダクトアウトとマーケットインのハイブリッド戦略で市場のニーズに応じた製品開発と効果的なマーケティング戦略を推進します。
② 新規ビジネスの開拓
新規事業への投資においては、市場の成長性と競争状況を綿密に分析し、将来的な収益性を見据えた戦略的な投資を行います。また、新規事業を育成するために、新たな技術の研究、人材及び情報の獲得にも注力します。
③ 連結経営体制の強化
グローバル事業部制の深化と連結経営体制の強化により、グループ間のシナジー極大化を目指します。
④ 投資案件の推進
収益性が高く、長期的な成長が期待できる案件に対して積極的に投資します。迅速かつ柔軟な意思決定により、市場の変化に素早く対応し、事業の強化および多様化を図ります。
<企業体質の改善>
A 企業文化
自由闊達な企業文化を醸成し、従業員が自身の能力を最大限に発揮できる環境を提供することで創造性とイノベーションを促進します。
B 人的資本
従業員の成長を促進するため、継続的な教育プログラムやキャリア開発の機会を提供します。また、多様な人材が長くいきいきと働ける職場環境の構築や従業員を含む全てのステークホルダーの人権尊重のための取り組みを推進します。
C サステナビリティ
SDGs(持続可能な開発目標)に取り組むため、「環境負荷の低減」、「心豊かな暮らしの提供」、「盤石な経営体制の強化」、「意欲ある多様な人材の活躍」を三洋貿易のマテリアリティとして特定し、SDGsとマテリアリティを関連付けて、ESG(環境、社会、ガバナンス)経営を推進します。
D IT利活用
システム開発の内製化と攻めと守り両面でのデジタイゼーションとデジタライゼーション、そしてデジタルトランスフォーメーションを推進し、業務プロセスの効率化と革新を図ります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において三洋貿易グループが判断したものです。
①主要市場の経済動向について
三洋貿易グループは、広範な産業分野に対して商品を販売していますが、特に自動車、家電・情報機器関連向けが大きな割合を占めています。従って、これら業界の市況が悪化した場合には、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
②商品価格の変動について
三洋貿易グループの取扱商品には、需給バランスにより仕入価格が大きく変動するものが含まれており、変動に応じた販売価格の設定および適正在庫の管理に努めています。しかし、価格転嫁が十分にできない場合、あるいは在庫の価値が下落し評価損の計上を余儀なくされる場合には、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
③競合のリスクについて
三洋貿易グループは、多岐にわたる商品を取り扱っており、国内外のさまざまな企業と競合しています。これら競合相手の戦略変更や、新興国企業等価格競争力の強い競合相手の新規参入があった場合には、三洋貿易グループの優位性が維持できずに、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④仕入先に係るリスクについて
三洋貿易グループは、国内外の数多くの取引先から商品を仕入れており、商品の安定確保のため、仕入先との良好な関係の維持・強化に努めています。しかし、これら仕入先の事業再編や業績悪化、代理店政策の見直し等により、商権を喪失・縮小した場合には、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤新規事業開拓に伴う投資について
三洋貿易グループは、新規事業の開拓に向けてM&A等に積極的に取り組んでいます。投資の決定に際しては、対象となる企業や事業につきまして財務、法務等の各側面からデュー・ディリジェンスを実施し、十分な精査、検討を行うことによってリスク回避を図っています。しかしながら、投資先企業・事業の価値が低下した場合には、のれんの減損処理等によって三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥海外事業展開に伴うリスクについて
三洋貿易グループは、多くの輸出入取引、米国・アジアにおける事業拠点の設置等、幅広く海外活動を展開しており、今後更に注力していく所存です。しかし、関係する各国・地域において、予期し得ない政治・経済情勢の悪化などのカントリーリスクが顕在化した場合には、取引の継続あるいは三洋貿易グループが計画とおりの事業活動を行うことに支障をきたし、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑦債権管理について
三洋貿易グループの総資産に対する売上債権の割合は、当連結会計年度末現在35.4%(26,694 百万円)と高い水準にあります。債権の管理につきましては、取引先別の業績・財務内容に応じた与信設定を行い、信用状態の継続的な把握をするなど、不良債権の発生が極力少なくなるよう努めています。また、不測の事態に備え、過去の実績率や個別の回収可能性等の見積りに基づき貸倒引当金を計上していますが、実際に回収不能となった債権額がこれを超過した場合には、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑧為替変動の影響について
三洋貿易グループは、商社として欧米およびアジアを中心とした輸出入取引にも積極的な営業を推進しています。外貨建ての取引については先物為替予約等を行うことによりヘッジを行っていますが、取引先との価格交渉等において為替変動の影響は避けられず、急激な為替変動が生じた場合には、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、海外連結子会社の財務諸表は現地通貨建てとなっており、円換算する際の為替レートによっては、為替換算調整勘定を通じて三洋貿易グループの純資産が減少するリスクを有しています。
⑨株式相場の変動について
三洋貿易グループは、事業上の関係緊密化を図るため金融機関や取引先の株式を保有しています。その多くは市場に流通する時価のある株式であり、今後の株式相場の変動によっては、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑩自然災害による影響について
三洋貿易グループは、地震、台風、洪水等による災害が発生した場合に備えて、BCP(事業継続計画)を策定し、その一環で安否確認システム導入等の対策を講じています。しかしながら、被害を完全に回避することは困難であり、更には仕入先や得意先が被害を受けることもあります。そのような場合、三洋貿易グループの各事業拠点における活動に支障をきたし、業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑪コンプライアンス等に関するリスクについて
三洋貿易グループは、日本および諸外国で事業活動を行っており、関連する法的規制は広範囲にわたっています。これらの法的規制を遵守するために、三洋貿易ではコンプライアンス委員会を設けコンプライアンス体制の強化を図っています。しかしながら、このような対策を行っても事業活動におけるコンプライアンス等に関するリスクを完全に排除することはできません。関係する法的規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが行われた場合には、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
⑫人材に関するリスクについて
三洋貿易グループは、日本および諸外国で事業活動を行っており、事業の企画・遂行や組織の指揮・監督を行う人材が必要です。三洋貿易グループでは多様な人材を確保し、継続的な能力開発を行うことにより、適材適所の配置を実施しております。しかしながら、今後、労働市場の流動化のさらなる進展や、事業モデルの変化に伴い、特定分野に高度な知識・経験を持った人材へのニーズが集中するなど、人材確保の環境が大きく変化する可能性があります。このため、三洋貿易グループの取り組みにかかわらず、事業分野によっては求められる人材が不足し、新規事業創出や事業拡大の機会に十分応えられないリスクを完全に排除することはできません。将来の人材不足の状況によっては、三洋貿易グループの業績および財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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