パピレスグループ(パピレス及びパピレスの関係会社)は、パピレス(「株式会社パピレス」)及び子会社6社により構成されており、スマートフォン、タブレット、PC等の情報端末向けに、ネットワーク配信による電子書籍販売を主たる業務とし、さらにIP制作の事業活動を展開しています。
パピレスグループの事業内容とパピレスと関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりです。
なお、下記の事業は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一です。
(1) 電子書籍事業
・「株式会社ネオアルド」は、次世代コンテンツの開発・制作を行っています。制作したコンテンツをパピレス及び当
社の子会社並びに電子書籍事業者に提供しています。
・「巴比楽視網路科技股份有限公司」は、主に中華民国向けの電子書籍販売サイトである「中国語繁体字版Renta!」の運営を行っています。販売コンテンツについて、パピレス及びアルド・エージェンシー・グローバル株式会社から提供を受けています。
・「Papyless Global,Inc.」は、米国をはじめとする英語圏向けの電子書籍販売サイトである「英語版Renta!」の運営を行っています。販売コンテンツについて、パピレス及びアルド・エージェンシー・グローバル株式会社から提供を受けています。
・「PAPYLESS HONG KONG CO.,LTD.」は、中華人民共和国の電子書籍販売サイト向けに電子書籍の提供を行う予定です。アルド・エージェンシー・グローバル株式会社が販売コンテンツを提供する予定です。
・「アルド・エージェンシー・グローバル株式会社」は、日本の出版社等からコンテンツの提供を受け、海外の電子書籍販売サイト等に取次販売を行っています。
(2)IP制作事業
・「JadeComiX株式会社」は、Webtoonコンテンツ及びサービスの開発とオリジナルコンテンツの制作を行っています。制作したコンテンツをパピレスに提供しています。
(事業系統図)
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。
パピレスグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてパピレスグループが判断したものであります。
(1)経営方針
パピレスグループは、インターネットの進展による世界的なコンテンツ流通革命の中で、顧客が満足する新しい価値を創造し、世界規模のデジタルコンテンツ提案型のビジネスを目指すことを経営の基本方針としています。
(2)経営戦略等
パピレスグループの基本的な経営戦略は、次のとおりです。
デジタルコンテンツのアグリゲーションに関する戦略等
・高品質なデジタルコンテンツを安定的に収集し、全世界の顧客のニーズにマッチした形で提供できるように最適化する
・販売力が高いオリジナルコンテンツを恒常的に供給できる体制を構築し、構造分析に基づく分業化とAIによる効率化を図る
・デジタルの特長(動画、音声、双方向性等)を活かした次世代コンテンツとサービスを開発し、新たな付加価値を創出する
デジタルコンテンツのディストリビューションに関する戦略等
・顧客ごとに最適なデジタルコンテンツを提供できる販売プラットフォームを、AI等の技術も活かして構築し、デジタルコンテンツ販売高第1位を目指し、社会的・経済的にグループの価値を最大化する
・インターネットを通して、国内だけでなく、英語圏、中国語圏等の全世界の顧客を対象としたグローバルなデジタルコンテンツ販売プラットフォームへと発展させ、コンテンツの販路拡大を目指す
(3)経営環境
パピレスグループが行っている電子書籍事業は、通信環境の整備やデバイス性能の向上に伴い、電子書籍の普及が進み、市場規模が拡大していますが、比較的、参入障壁が低いため、市場参入企業も多く、市場シェアの獲得競争が一層激化しています。
当連結会計年度においては、不安定な世界情勢や歴史的な円安を背景とした物価上昇等による、ユーザーの消費行動の低下、個人情報保護法の改正に伴うターゲティング広告の規制強化等の影響により、経営環境は、厳しい状況にあります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① ユーザーが使い易い総合電子書店サービス
従来から採用しているクラウド型配信方式を拡大し、複数の端末で利用可能なマルチデバイス展開を継続しつつ、スマートフォンやタブレットユーザーをターゲットとした販売の強化を目指します。
また、ユーザーの声に基づいた、サイト機能、アプリ、ビューア等の利便性の向上や顧客サポートの強化等の改良を行い、サービスを一層充実させる方針です。
さらに、AIの実用化を行い、検索機能等のユーザビリティの向上を図ります。
② コンテンツの拡充
出版社等との契約をさらに増やし、掲載コンテンツの品揃えを充実させ、ユーザー層の拡大を図ります。
また、スマートフォン向けに最適化した、タテ読みフルカラーコミック「タテコミ」のコンテンツ数を増加させ、普及促進を強化します。
合わせて、デジタルならではの演出を加えた次世代コンテンツの開発強化を図ります。ⅰ)小説の文章を短く区切り、画像を追加した「絵ノベル」、ⅱ)「タテコミ」にアニメーション効果及び人気声優によるボイスを付加した、スマホで見るタテ型マンガアニメーション「アニコミ」等の開発・改良を進め、制作体制を強化します。
さらに、オリジナルコンテンツの制作体制を強化し、自社レーベルを通じて、掲載数の増加を目指します。
③ 認知度の向上
TVCM等のマス広告を実施し、ユーザー層の拡大を図ります。集客のためのプロモーション強化を積極的に行うとともに、広告効果を継続的に検証し、AIを活用しながら広告効率の向上を図り、会員数の増加とパピレスグループが運営する電子書籍販売サイトの認知度向上に努めます。
また、各種キャンペーンやニュースリリースを積極的に行うとともに、SNSを活用してユーザーと対話する機会を増やしていきます。
④ 販売システム及び電子書籍制作掲載体制の合理化及び構築
販売システムについては、次々と発表される新端末に迅速に対応するため、システムの統一化、応用性の向上を図ります。
また、データ量の増加による回線負荷への対応や、有事の際のサービス継続性強化のため、サーバー及び回線の増強や、バックアップ体制の強化等、運用保守の改善に努めていきます。
電子書籍制作掲載体制については、電子書籍素材の一元管理による効率的な制作体制の強化、制作関連システムの自動化や合理化を進めていきます。
⑤ 海外での電子書籍販売
海外での電子書籍販売については、翻訳をはじめとし、様々な課題を抱えていますが、国内に比べてコンテンツ市場が大きく、また、拡大が見込まれています。英語圏、中国語繁体字圏、中国語簡体字圏、韓国語圏に向けて電子書籍事業を展開し、海外での事業拡大を目指します。
⑥ ブランドの確立
社会的な認知が広がるとともに、市場参入業者も多く、厳しい競争が続く電子書籍業界の中で、ユーザーから選ばれる電子書籍販売サイトを目指し、ブランド構築を進めていきます。
運営サイトの統合、代替がきかないオリジナリティの高いサイト構築等を行い、競合他社との差別化を図り、競争優位性があるブランドの確立を目指します。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
パピレスグループは、日本国内における電子書籍販売売上高シェア第1位を目標として経営を行っており、電子書籍販売売上高を、目標の達成状況を判断するための指標としています。
また、同時に、全世界での電子書籍販売売上高の向上も目標としており、海外での電子書籍販売売上高を、目標の達成状況を判断するための指標としています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてパピレスグループが判断したものです。
(1)競合他社の影響について
電子書籍販売事業には、特許等による特別な参入障壁が存在していないため、多数の企業が参入しています。
競合他社が、パピレスグループに比べて、ユーザーに支持されるサービス提供や効果的な集客施策を実施した場合は、パピレスグループの収入及び収益が減少するリスクがあります。
① リスクが顕在化する可能性の程度や時期
当連結会計年度以前から、競合他社との競争は激化しており、リスクは既に顕在化しています。
② リスクが顕在化した場合に経営に与える影響
競合他社に比べて、パピレスグループが運営する電子書籍販売サイトがユーザーに支持されない、または、有効な集客施策を実施することができない場合は、パピレスグループの収入が減少し、収益も減少します。
③ リスクへの対策
パピレスグループは、以下のリスクへの対策を実施しています。
ⅰ.広告宣伝、販売促進の集客施策の積極的な実施
ⅱ.広告宣伝施策において、継続的な効果測定を行うとともに、AIの導入を進め、効果の向上に努める
ⅲ.ユーザーニーズを調査し、ユーザビリティの向上を目的とした、恒常的なサイト改良の実施
ⅳ.コンテンツ検索機能の向上を目的としたAIの導入の促進
ⅴ.既存の電子書籍の販売強化を行うと同時に、デバイス、通信インフラ環境の発展・普及に合わせて、ユーザーにとって魅力的な次世代コンテンツの開発
ⅵ.国内市場だけでなく、海外市場への積極的な進出
④ リスクの重要性・水準の変化
参入障壁が存在しない電子書籍市場では、2010年の電子書籍元年以前から、競合他社との激しい競争が続いています。そのため、リスクの重要性・水準は、当連結会計年度末現在においても大きな変化はありません。
⑤ 経営方針・経営戦略等との関連性
パピレスグループの経営方針・経営戦略は、当該リスクを踏まえて決定されています。また、経営戦略と整合したリスク対策が実施されています。
(2)海賊版サイトについて
電子書籍は、電子データであるため、違法配信リスクが存在しています。
① リスクが顕在化する可能性の程度や時期
リスクが顕在化する可能性や時期については、予測することが困難です。国内外を含めて海賊版対策の強化を図ることで、将来的にはリスクが低下する可能性があります。
② リスクが顕在化した場合に経営に与える影響
リスクが顕在化した場合の影響を想定することは困難です。過去に影響があった「漫画村」による電子書籍業界に与えた被害額は3,200億円(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構による試算)と推定されています。
③ リスクへの対策
海賊版サイトをはじめとしたさまざまな電子書籍事業に関する問題に対応するため、読者への正規版購入と著者への収益還流を推進することを目的とし、電子書店5社(株式会社アムタス、株式会社イーブックイニシアティブジャパン、エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社、株式会社パピレス、株式会社ビーグリー)が発起人となり、「日本電子書店連合」を発足し、運営しています。
「日本電子書店連合」は、正規の電子書店の公認マーク(「ABJマーク」)の策定や海賊版対策及びSTOP!海賊版の啓発活動等を行っている、一般社団法人ABJに協力しています。
④ リスクの重要性・水準の変化
リスクの重要性・水準は、電子書籍の市場規模に比例して大きくなっていると判断しています。
⑤ 経営方針・経営戦略等との関連性
経営方針・経営戦略と直接的な関連性はありませんが、その前提である電子書籍市場の健全な発展に悪影響を与えるリスクとして認識しています。
(3)システム障害について
パピレスグループが行っている電子書籍事業を営むためには、コンピューターネットワークシステムの構築及び運用が不可欠なものとなっています。
パピレスグループが構築・運用しているコンピューターネットワークシステムに障害が発生した場合は、障害の規模に応じてパピレスグループの収入及び収益が減少するリスクがあります。
① リスクが顕在化する可能性の程度や時期
リスクの顕在化を防止するため、パピレスグループで予測可能なリスクについて、対応策を実施しています。
ただし、予測不可能な、ハードウェアの不具合、通信回線の障害、新たなコンピューターウィルスのほか、自然災害、火災、停電等によるリスクが顕在化する可能性の程度や時期を推定することは非常に困難です。
② リスクが顕在化した場合に経営に与える影響
リスクが顕在化した場合の影響を推定することは困難です。システム障害の規模に応じて、パピレスグループの事業運営が阻害されるため、収入及び収益が減少します。
③ リスクへの対策
パピレスグループ内に、コンピュータネットワークシステムの構築及び運用の専門部署を設けて、障害発生の抑止に努めています。
社外データセンターへのサーバ分割設置、無停電電源装置の導入、回線の二重化等の冗長化を継続的に実施し、不慮の事故を想定したシステム対策を行っています。
④ リスクの重要性・水準の変化
コンピュータネットワークシステムに障害が発生した場合は、その程度によってはパピレスグループの営業活動が停止する可能性があり、リスクの重要性は高いものとなっています。
当該リスクの水準については、コンピュータネットワークシステムの冗長化を強化し、低減に努めています。
⑤ 経営方針・経営戦略等との関連性
コンピュータネットワークシステムの構築及び運用は、パピレスグループの経営方針の達成及び経営戦略の実行のための前提要件となっています。
(4)著作権利用料について
パピレスグループは、掲載コンテンツに関して、出版社等と著作権利用契約を締結し、著作権利用料を支払っています。
著作権利用料は、契約によって支払料率が決定されていますが、契約支払料率が変動した場合や契約の更新に支障をきたす何らかの事情が生じた場合は、パピレスグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
① リスクが顕在化する可能性の程度や時期
パピレスグループは、電子書籍販売事業を長年営んでおり、出版社等のコンテンツホルダーと長年直接取引を行ってきました。
電子書籍業界の発展を第一に考え、電子書籍書店と出版社等のコンテンツホルダーの双方にメリットがある著作権利用契約を締結して、協力して事業を行っています。
ただし、一部の大手出版社とは、紙書籍事業との兼ね合い等の外的要因もあり、厳しい契約交渉を続けています。
一部の大手出版社との間の著作権利用契約については、支払料率の上昇や契約が継続できない事態が発生する可能性があります。
当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期を予測することは困難です。
② リスクが顕在化した場合に経営に与える影響
著作権利用に対する支払料率が上昇した場合は、売上原価の売上高比率が上昇し、収益が減少します。
著作権利用契約が継続できない場合は、収入は減少しますが、収益は増加する可能性があります。
③ リスクへの対策
出版社等コンテンツホルダーと、電子書籍業界の発展のために、協力して事業を行うことで、良好な関係の構築に努めています。
同時に、既存の紙書籍を電子化するのではなく、パピレスグループで、デジタルボーンコンテンツを制作する体制を強化しています。
④ リスクの重要性・水準の変化
出版社等のコンテンツホルダーとの著作権利用契約は、パピレスグループの事業にとって重要です。
ただし、パピレスグループは、多くの出版社等のコンテンツホルダーと直接取引を行っており、一部取引先との間でリスクが顕在化した場合でも、経営に与える影響は限定的なものであると判断しています。
当該リスクの水準については、出版社等のコンテンツホルダーの電子書籍事業に対する依存度の上昇に伴い低下する可能性があります。
⑤ 経営方針・経営戦略等との関連性
経営方針及び経営戦略のデジタルコンテンツのアグリゲーションと、特に密接な関連性があります。
また、リスクへの対策は、オリジナルコンテンツの制作体制の構築及び、次世代コンテンツの開発と関連しています。
(5)広告宣伝費について
パピレスグループが営むイーコマース事業にとって、広告宣伝費は、集客を図り、売上高を増加させるための重要な費用です。
広告宣伝費の費用対効果は、パピレスグループの収入及び収益に大きな影響を与えます。
① リスクが顕在化する可能性の程度や時期
広告宣伝費の支出に関しては、広告効果を継続的に検証し、最適な広告宣伝を実施するように努めていますが、広告戦略が想定した効果をあげることが出来ないリスクがあります。
パピレスグループの広告戦略の費用対効果が低下するリスクが顕在化する可能性の程度や時期については、広告施策を、パピレスグループの最重要施策として位置づけ、十分な効果検証を行い、その顕在化を防ぐことに努めています。
② リスクが顕在化した場合に経営に与える影響
費用対効果が低下した場合は、パピレスグループの収入及び収益が減少します。その影響は、費用対効果の低下に比例します。
③ リスクへの対策
広告効果について、その分析を広告代理店に任せるのではなく、パピレスグループにおいてデータを収集し、継続的に効果分析を実施しています。
広告施策は、社会情勢の変化等及び広告技術の進化により、常に最適な施策が変化するため、広告戦略に則して、様々な広告施策をトライアンドエラーで試験的に実施し、その効果検証を行ってきました。
過去からの効果検証データの積み上げによって獲得した、広告施策に関するノウハウに基づき、広告戦略を立案し、実施することで、最適な広告施策が行える体制を構築しています。
④ リスクの重要性・水準の変化
パピレスグループが営むイーコマース事業にとって、広告宣伝費は、事業の発展と継続に欠くことが出来ない費用です。
その費用対効果は、収入及び収益に直接的な影響を与えるため、リスクの重要性は非常に高いものとなっています。
リスクの水準は、基本的には変化はありませんが、事業規模の拡大に伴い、広告宣伝に依拠しないユーザーからの収入が積み上がるため、収入及び収益に与える影響は低減します。
⑤ 経営方針・経営戦略等との関連性
経営方針及び経営戦略のデジタルコンテンツのディストリビューションと、特に密接な関連性があります。
国内におけるデジタルコンテンツの販売高についての戦略及び国外でのグローバルなデジタルコンテンツ販売プラットフォームの発展についての戦略の達成に、重要な関連性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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