ヒットグループ(ヒット及びヒットの関係会社)は、ヒット及び連結子会社(HIT SINGAPORE PTE. LTD.)の計2社で構成されており、屋外広告媒体の企画及び屋外広告を中心とした広告全般の取扱いを行っております。なお、ヒットグループの事業は、屋外広告媒体の企画及び屋外広告を中心とした広告全般の取扱いに係る事業(以下「広告事業」)の単一セグメントであるため、セグメント別の記載をしておりません。
ヒットは、不動産オーナーから賃借した屋上や壁面に、広告用のデジタルサイネージやアナログ看板を設置する形で、繁華街やロードサイドに屋外広告媒体を保有し、保有媒体に広告主の広告掲出を行う形で事業を展開しております。「屋外広告のリーディングカンパニーとして世界を変えるメディアを創造する」という経営理念を掲げ、好立地かつ大型な広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に努めることで、高い利益率を維持しつつ事業を拡大してまいりました。
また、ヒットは屋外広告媒体の開発から設置運営、広告枠の販売までをワンストップで行っていることを強みとしております。ヒットは自社媒体を多く保有していることにより、多様な広告主のニーズを把握でき、それが新しいサービスの開発につながっています。販売面では広告代理店頼みが一般的な屋外広告業界において、ヒットは創業当時から広告主に対する直接営業に重きを置いてまいりました。屋外広告に特化した媒体開発のノウハウを基礎に、広告主への直接販売を通じて顧客ニーズを直接把握し、媒体設置物件を選定、オーナーとの交渉にあたります。媒体新設が確定した後、実際の設置、稼働までスピーディーに進行し、広告主のニーズに応える屋外広告のラインナップを揃えて販売を行うという、ワンストップ体制で広告価値を創造する好循環型のビジネスモデルを確立し、業界を牽引してまいりました。
ヒットが保有する自社の屋外広告媒体は、合計61媒体139面(2025年4月末現在)であり、これらはデジタル媒体(デジタルサイネージ)とアナログ媒体(看板)、繁華街媒体とロードサイド媒体に分類できます。種類別の特徴及びそれぞれの媒体数・面数は以下のとおりです。
(注) 媒体数は単面又は複数面からなる販売商品ラインナップの数であり、面数は広告掲出面の数です。複数の広告掲出面が1つのパッケージ商品を構成している場合、媒体数を1としてカウントしています。
自社媒体の確保については、ヒット単独で広告掲出面を所有することを基本としておりますが、その他にも、他社との共同所有や他社所有面の借り上げを行うケース、他社所有面の運用・販売委託を受けて自社媒体として運用・販売を行うといったケースがあります。また、一部、広告代理店として他社媒体の取扱いも行っています。
さらに、屋外広告枠の販売のみならず、屋外広告用のクリエイティブ制作サービスや、屋外広告掲出に連動させる形でのスマホ位置情報広告サービス“HIT-movi”等のクロスメディアサービスといった、周辺サービスの提供にも取り組んでいます。
クリエイティブ制作サービスとして取り組んでいるのは、デジタル媒体用の広告映像企画制作サービスです。とりわけ、昨今世界的流行となっている、肉眼で立体的に見える“肉眼3D広告”映像の企画制作に注力しております。“肉眼3D広告”は、従来のマス広告やインターネット広告にはないインパクトや面白さ、SNSとの親和性の高さ(拡散されやすさ)が魅力で、話題作りに直結する広告施策を求める多くの広告主の広告施策に取り入れられております。“肉眼3D広告”は、基本的に特定のデジタル媒体のための専用映像として制作する必要があるため、テレビCMを流用した従来型の放映以外に、屋外広告専用のクリエイティブが制作される機会が増加していくと考えられ、デジタル媒体運営との大きなビジネスシナジーが期待できるものと考えております。
以下はヒットがクリエイティブを制作し、ヒットのデジタル媒体で放映された“肉眼3D”広告の事例です。
クリエイティブ制作に次ぐ周辺サービスとして、ヒットではクロスメディアサービスを提供しております。屋外広告媒体以外の広告媒体を提供することをクロスメディアサービスと位置づけており、その中でもヒットの代表的なサービスに“HIT-movi”があります。
“HIT-movi”は、スマートフォンの持つ位置情報データを利用して、特定の場所への滞在者のスマホアプリの広告面に広告を配信する位置情報広告(ジオターゲティング広告)のサービスを活用し、ヒットの屋外広告媒体の視認範囲に“いる”又は“いた”可能性の高い人のスマートフォンに、屋外広告と同じ内容のインターネット広告を届けることで、重層的な広告体験を提供するサービスです。基本的には、デジタル媒体と組み合わせる形で提供しています。
屋外広告媒体での広告展開を他の手段を用いて二次拡散させるような、重層的又は複合的な広告体験を提供するサービスには一定のニーズが見込めると判断しており、ヒットでは引き続き“HIT-movi”以外のクロスメディアサービスを育成していく予定です。
ヒットのビジネスモデルは、以下のとおりであります。デジタル媒体の売上高は広告費のみ、アナログ媒体の売上高は、広告費と施工費等により構成されております。施工費等は、施工費、撤去・原状回復費、校正追加費等からなります。
本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてヒットが判断したものであります。
ヒットグループは、屋外広告を専門に取り扱う広告会社として、1991年に創業いたしました。「屋外広告のリーディングカンパニーとして世界を変えるメディアを創造する」という経営理念を、また、その実現のためのビジョンとして『未来を見据えて発想し、理想を現実にする』『常にクライアント目線に立ち"最小の予算で最大の効果を発揮する"提案をする』『変化を歓迎しよう。リスクや失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧とする』『高い倫理観を持ち、透明な企業活動を築く』『ダイバーシティの考えに基づき、社員お互いが尊重し目標を達成する』の5つを掲げ、好立地かつ大型な広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に努めることで、事業を拡大してまいりました。
当期における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している状況にあります。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策等アメリカの政策動向による影響等が、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況です。
日本国内の広告業界においては、総務省が2025年2月に発表した「サービス産業動向調査」によると、2024年の広告業全体の売上高は前年比で101.3%と、前年をわずかに上回る結果となりました。
また、株式会社電通の「2024年日本の広告費」によると、ヒットが属する屋外広告市場は2024年に2,889億円となっています。ラグジュアリーブランド、飲料、コンテンツ、人材系を中心に多くの業種で屋外広告が活用され、また、インバウンド需要の高まりにともない、関連業種での広告出稿が目立ちました。その結果、屋外広告市場は、前年に続き拡大しております。なかでも屋外ビジョンは、渋谷、新宿、表参道等都心部で需要が高まり、販売価格の値上げ等もあり成長しております。なお、株式会社帝国データバンクの調査によると、2023年の日本の屋外広告業の市場規模は1,234億円で、前年比106.6%となっております。このような背景の下で、ヒットが取り扱う日本の屋外広告は、人流の回復にともなう需要の回復が見えてまいりました。
海外の屋外広告市場においては、QYResearchの調査によると、ヒットが進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイの2024年の屋外広告市場規模は、それぞれ162百万USドル(前年比98.7%)、160百万USドル(同108.1%)、384百万USドル(同107.3%)、そして396百万USドル(同104.9%)となっております。
日本及びASEANにおいて、屋外広告の需要は今後も緩やかな拡大傾向にあると認識しており、更なる売上拡大を目指して以下の6つの戦略を推進してまいります。
ヒットでは新設の屋外広告媒体について、基本的に短期間で投資回収が見込めるものをターゲットとしています。屋外広告の強みは、認知拡大、ブランディング及び第一想起獲得における高い広告効果にあると言われています。これらの広告効果を最大化すべく、好立地かつ大型(概ね80~100㎡以上)の広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に注力しております。広告主の事業拡大・推進に貢献するべく、年間3~5媒体程度の繁華街の大型デジタル媒体開発を目標に、広告効果の高い新規媒体の開発を進めてまいります。
ヒットは運営する広告媒体稼働率向上のため、営業人員の増強、広告主の多様なニーズに応える放映プランの設計、各種マーケティング施策(展示会出展、ウェビナーの開催、メールマガジンの配信等)、販売難易度が高いロードサイド媒体の専門営業担当者の育成といった施策に取り組んでおります。これからも媒体価値の最大化を図り、媒体稼働率の向上に努めてまいります。
ヒットは、屋外広告用のクリエイティブ制作や“HIT-movi”(屋外広告に連動させる形でのスマホ位置情報広告配信サービス)に代表されるクロスメディアサービスといった、屋外広告周辺サービスの提供に積極的に取り組んでいます。今後もクリエイティブ領域では、3Dメガネ等を使用せずに肉眼で映像が立体的に見える技術を用いた“肉眼3D”クリエイティブ制作の積極提案を行い、クロスメディア領域では、屋外広告と親和性の高い交通広告媒体の取扱い強化を行う等、屋外広告周辺サービスの充実に努めてまいります。
ヒットグループは将来的な海外展開、中でもアジア諸国への展開を計画しております。日本の人口は減少傾向にあり、将来的には人口減少に比例する形で、ヒットの運営する国内広告媒体の価値も緩やかに減少していく可能性があるためです。ヒットグループが持続的な成長を実現していくためには、屋外広告媒体の開発先を日本国内に限定せず、海外の有望媒体を発掘するというアプローチが必要だと考えています。海外においては日本で培った媒体開発の実践、国内においては海外の先進事例の応用や外国企業の国内広告掲出案件獲得等、双方向のメリットを活かし事業展開していく所存です。
なお、ヒットグループは過去に2度、海外での事業展開を図ったことがあります。1度目は2003年のアメリカ合衆国進出であり、ニューヨーク市でアナログ媒体開発及び運営を行いましたが、国内事業の拡大を優先し、2005年に撤退をいたしました。2度目は、ASEANでのトイレサイネージ事業への挑戦です。商業施設のトイレに広告用サイネージを展開するトイレサイネージ事業を営む会社として、2019年にHIT SINGAPORE PTE. LTD.(以下、HIT SINGAPORE)、2020年にHIT BANGKOK CO.,LTD.(以下、HIT BANGKOK)を、シンガポールとタイにそれぞれ設立いたしましたが、主に新型コロナウイルス禍による人流の停滞により事業が軌道に乗らず、2022年にトイレサイネージ事業の撤退及びHIT BANGKOKの清算、並びに、近い将来にASEANにてヒットの既存事業である大型屋外広告事業へ挑戦することを前提に、ASEANを中心とした広告市場調査を行う会社へHIT SINGAPOREを転換するという判断をいたしました。事業を撤退した際にHIT SINGAPOREを清算しなかった理由は、事業撤退を決定したものの、上述のとおり長期的にヒットグループを大きく飛躍させるために海外進出は不可欠であると判断していることがあります。また、将来的に海外現地で媒体獲得交渉を行うことになった場合、ヒットグループの規模であれば、法人を残すことで一定の信用力を有して交渉ができるというメリットが享受できる点、事業再開時の準備期間を短縮できる点や、現地人材を確保しやすくなる点等が存続判断の理由となっています。
現在は、海外展開へ向けて、ヒットの代表取締役会長である松丸敦之が連結子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼ね、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上の現地滞在をしております。松丸が屋外広告媒体設置の可能性を探るのに最も適した経験と業務知識を備えていること、及び、アジア諸国での広告関係者との太いパイプを有する人材が他にはいないことがその理由です。主に、ヒットグループが直近の進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイ等、ASEAN現地の広告媒体社や広告代理店との接触、実際の進出時に備えた各国のJETRO等の社外協力者との面談、及び媒体設置場所候補の調査等を行っております。当面、松丸の現地滞在は継続いたしますが、2025年6月期より、ヒットのシニアマネージャーをHIT SINGAPOREの取締役として追加で選任し、ASEAN現地に常駐させることで、HIT SINGAPOREの体制強化と事業促進を実現してまいります。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、ヒットよりHIT SINGAPOREに対する300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。
ヒットでは、従前よりITの導入及び運用を進めてまいりましたが、電子メールを用いた受注業務や、複数の業務システムに対する同一又は類似した情報の入力業務等、効率化の余地のある既存業務が業務フローの中に残っております。また、デジタル媒体の放映管理業務には、オペレーターのマンパワーに頼る部分を多く残しておりますが、今後デジタル媒体数を増加させていくうえで、放映管理業務の属人化排除や標準化の取組みはさらに重要になってくるものと認識しております。ヒットは今後なお一層、既存業務の自動化や、デジタル管理の活用等を推進することにより、社員の非生産的業務をDX化し、生産的業務時間の拡充を図ってまいります。また、DXに積極的に取り込むことにより業務効率を向上させ、事業拡大に繋げていきたいと考えております。
更なる企業成長のために、様々な企業との業務提携やM&Aを検討してまいります。サステナビリティへの配慮やその事業機会にも目を配り、新たな成長へ向けて新規ビジネスの開発を進めてまいります。
ヒットグループの事業は、効果的な屋外広告サービスを広告主に提供するものであり、適切な立地の選定及び投資の実行が重要となります。引き続き、広告主の需要を満たす立地選定を進めてまいります。
ヒットの屋外広告媒体はビルの屋上や壁面に設置されていることから、設置時やメンテナンス時等における事故が起きないよう努めております。広告主に安心して広告掲出をして頂けるよう、安全作業の徹底と社員の指導・育成を推進し、より品質の高いサービスを提供してまいります。
ヒットの広告媒体は、設置場所の性質により繁華街媒体とロードサイド媒体に大別されますが、商品力や価格競争力の維持向上に努めながら、それぞれの媒体特性に合致する広告主への効率的な営業を行い、一層の売上増加を図ってまいります。
ヒットグループは、上場会社として求められるコンプライアンス、内部管理体制を整備強化しております。それと同時に、経営・営業・管理部門に相乗効果をもたらすシステムの構築に、一層注力してまいります。
ヒットグループの事業の拡大のために、優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。積極的な採用に加え、社員研修の充実を図り、教育の質を高めていくことで、優秀な人材の確保と育成を推進してまいります。
なお、財務上の課題については、「3 事業等のリスク (22) 財務上のリスクについて」をご参照ください。
ヒットグループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は、自社デジタル媒体数、デジタル媒体満稿額及びデジタル媒体稼働率であります。
(注) 上記指標については提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
当該KPIを採用した理由ですが、下表に記載のとおり、ヒットグループの売上高の約4分の3は自社運営のデジタル媒体によりもたらされておりますので、自社デジタル媒体数及びデジタル媒体満稿額はヒットグループの事業のポテンシャルを表すために最適な指標であり、デジタル媒体稼働率は媒体運用や営業が効率的に行われているかどうかをみるために最適な指標であると判断し、KPIとして採用しています。アナログ媒体は年間契約が多く、変動性が低いため、業績状況の確認のためには重要視しておりません。当該KPIは、投資家がヒットグループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、また当該KPIにより、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となると認識しております。
(注) 売上比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
ヒットグループの自社デジタル媒体の定義、及びデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法は、以下のとおりです。
ヒットグループのデジタル媒体の料金体系は、基本的にレギュラープランとプレミアムプランよりなります。レギュラープランはそのデジタル媒体の標準的な料金プランであり、プレミアムプランは広告枠の大口購入を条件として、放映1回当たりの価格(放映単価)の面でレギュラープランよりも優遇されるプランです。広告主にとってコストパフォーマンスが良く、ヒットにとってはビジネスが安定するというメリットがあるため、営業戦略上プレミアムプランを積極提案しております。営業戦略と一体的に媒体稼働率を評価するため、プレミアムプランを基準としたデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法を採用しています。特定媒体の受注が、放映1回当たりの価格(放映単価)がプレミアムプランよりも高いプラン(レギュラープラン等)に偏った場合、媒体稼働率が100%を超える可能性があります。
なお、デジタル媒体の新設や稼働の停止・終了等、又は販売価格の改定があった場合にデジタル媒体満稿額は変動いたします。期中に媒体の新設や稼働の停止・終了等があった場合については、当該媒体が通年稼働したものと仮定してデジタル媒体満稿額を算出しております。また、期中に販売価格の改定を行った場合、当該期のデジタル媒体満稿額は変更せず、改定の次期から新しい販売価格を基準としたデジタル媒体満稿額を適用いたします。
本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてヒットが判断したものであります。
ヒットグループは、屋外広告を専門に取り扱う広告会社として、1991年に創業いたしました。「屋外広告のリーディングカンパニーとして世界を変えるメディアを創造する」という経営理念を、また、その実現のためのビジョンとして『未来を見据えて発想し、理想を現実にする』『常にクライアント目線に立ち"最小の予算で最大の効果を発揮する"提案をする』『変化を歓迎しよう。リスクや失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧とする』『高い倫理観を持ち、透明な企業活動を築く』『ダイバーシティの考えに基づき、社員お互いが尊重し目標を達成する』の5つを掲げ、好立地かつ大型な広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に努めることで、事業を拡大してまいりました。
当期における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している状況にあります。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策等アメリカの政策動向による影響等が、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況です。
日本国内の広告業界においては、総務省が2025年2月に発表した「サービス産業動向調査」によると、2024年の広告業全体の売上高は前年比で101.3%と、前年をわずかに上回る結果となりました。
また、株式会社電通の「2024年日本の広告費」によると、ヒットが属する屋外広告市場は2024年に2,889億円となっています。ラグジュアリーブランド、飲料、コンテンツ、人材系を中心に多くの業種で屋外広告が活用され、また、インバウンド需要の高まりにともない、関連業種での広告出稿が目立ちました。その結果、屋外広告市場は、前年に続き拡大しております。なかでも屋外ビジョンは、渋谷、新宿、表参道等都心部で需要が高まり、販売価格の値上げ等もあり成長しております。なお、株式会社帝国データバンクの調査によると、2023年の日本の屋外広告業の市場規模は1,234億円で、前年比106.6%となっております。このような背景の下で、ヒットが取り扱う日本の屋外広告は、人流の回復にともなう需要の回復が見えてまいりました。
海外の屋外広告市場においては、QYResearchの調査によると、ヒットが進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイの2024年の屋外広告市場規模は、それぞれ162百万USドル(前年比98.7%)、160百万USドル(同108.1%)、384百万USドル(同107.3%)、そして396百万USドル(同104.9%)となっております。
日本及びASEANにおいて、屋外広告の需要は今後も緩やかな拡大傾向にあると認識しており、更なる売上拡大を目指して以下の6つの戦略を推進してまいります。
ヒットでは新設の屋外広告媒体について、基本的に短期間で投資回収が見込めるものをターゲットとしています。屋外広告の強みは、認知拡大、ブランディング及び第一想起獲得における高い広告効果にあると言われています。これらの広告効果を最大化すべく、好立地かつ大型(概ね80~100㎡以上)の広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に注力しております。広告主の事業拡大・推進に貢献するべく、年間3~5媒体程度の繁華街の大型デジタル媒体開発を目標に、広告効果の高い新規媒体の開発を進めてまいります。
ヒットは運営する広告媒体稼働率向上のため、営業人員の増強、広告主の多様なニーズに応える放映プランの設計、各種マーケティング施策(展示会出展、ウェビナーの開催、メールマガジンの配信等)、販売難易度が高いロードサイド媒体の専門営業担当者の育成といった施策に取り組んでおります。これからも媒体価値の最大化を図り、媒体稼働率の向上に努めてまいります。
ヒットは、屋外広告用のクリエイティブ制作や“HIT-movi”(屋外広告に連動させる形でのスマホ位置情報広告配信サービス)に代表されるクロスメディアサービスといった、屋外広告周辺サービスの提供に積極的に取り組んでいます。今後もクリエイティブ領域では、3Dメガネ等を使用せずに肉眼で映像が立体的に見える技術を用いた“肉眼3D”クリエイティブ制作の積極提案を行い、クロスメディア領域では、屋外広告と親和性の高い交通広告媒体の取扱い強化を行う等、屋外広告周辺サービスの充実に努めてまいります。
ヒットグループは将来的な海外展開、中でもアジア諸国への展開を計画しております。日本の人口は減少傾向にあり、将来的には人口減少に比例する形で、ヒットの運営する国内広告媒体の価値も緩やかに減少していく可能性があるためです。ヒットグループが持続的な成長を実現していくためには、屋外広告媒体の開発先を日本国内に限定せず、海外の有望媒体を発掘するというアプローチが必要だと考えています。海外においては日本で培った媒体開発の実践、国内においては海外の先進事例の応用や外国企業の国内広告掲出案件獲得等、双方向のメリットを活かし事業展開していく所存です。
なお、ヒットグループは過去に2度、海外での事業展開を図ったことがあります。1度目は2003年のアメリカ合衆国進出であり、ニューヨーク市でアナログ媒体開発及び運営を行いましたが、国内事業の拡大を優先し、2005年に撤退をいたしました。2度目は、ASEANでのトイレサイネージ事業への挑戦です。商業施設のトイレに広告用サイネージを展開するトイレサイネージ事業を営む会社として、2019年にHIT SINGAPORE PTE. LTD.(以下、HIT SINGAPORE)、2020年にHIT BANGKOK CO.,LTD.(以下、HIT BANGKOK)を、シンガポールとタイにそれぞれ設立いたしましたが、主に新型コロナウイルス禍による人流の停滞により事業が軌道に乗らず、2022年にトイレサイネージ事業の撤退及びHIT BANGKOKの清算、並びに、近い将来にASEANにてヒットの既存事業である大型屋外広告事業へ挑戦することを前提に、ASEANを中心とした広告市場調査を行う会社へHIT SINGAPOREを転換するという判断をいたしました。事業を撤退した際にHIT SINGAPOREを清算しなかった理由は、事業撤退を決定したものの、上述のとおり長期的にヒットグループを大きく飛躍させるために海外進出は不可欠であると判断していることがあります。また、将来的に海外現地で媒体獲得交渉を行うことになった場合、ヒットグループの規模であれば、法人を残すことで一定の信用力を有して交渉ができるというメリットが享受できる点、事業再開時の準備期間を短縮できる点や、現地人材を確保しやすくなる点等が存続判断の理由となっています。
現在は、海外展開へ向けて、ヒットの代表取締役会長である松丸敦之が連結子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼ね、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上の現地滞在をしております。松丸が屋外広告媒体設置の可能性を探るのに最も適した経験と業務知識を備えていること、及び、アジア諸国での広告関係者との太いパイプを有する人材が他にはいないことがその理由です。主に、ヒットグループが直近の進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイ等、ASEAN現地の広告媒体社や広告代理店との接触、実際の進出時に備えた各国のJETRO等の社外協力者との面談、及び媒体設置場所候補の調査等を行っております。当面、松丸の現地滞在は継続いたしますが、2025年6月期より、ヒットのシニアマネージャーをHIT SINGAPOREの取締役として追加で選任し、ASEAN現地に常駐させることで、HIT SINGAPOREの体制強化と事業促進を実現してまいります。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、ヒットよりHIT SINGAPOREに対する300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。
ヒットでは、従前よりITの導入及び運用を進めてまいりましたが、電子メールを用いた受注業務や、複数の業務システムに対する同一又は類似した情報の入力業務等、効率化の余地のある既存業務が業務フローの中に残っております。また、デジタル媒体の放映管理業務には、オペレーターのマンパワーに頼る部分を多く残しておりますが、今後デジタル媒体数を増加させていくうえで、放映管理業務の属人化排除や標準化の取組みはさらに重要になってくるものと認識しております。ヒットは今後なお一層、既存業務の自動化や、デジタル管理の活用等を推進することにより、社員の非生産的業務をDX化し、生産的業務時間の拡充を図ってまいります。また、DXに積極的に取り込むことにより業務効率を向上させ、事業拡大に繋げていきたいと考えております。
更なる企業成長のために、様々な企業との業務提携やM&Aを検討してまいります。サステナビリティへの配慮やその事業機会にも目を配り、新たな成長へ向けて新規ビジネスの開発を進めてまいります。
ヒットグループの事業は、効果的な屋外広告サービスを広告主に提供するものであり、適切な立地の選定及び投資の実行が重要となります。引き続き、広告主の需要を満たす立地選定を進めてまいります。
ヒットの屋外広告媒体はビルの屋上や壁面に設置されていることから、設置時やメンテナンス時等における事故が起きないよう努めております。広告主に安心して広告掲出をして頂けるよう、安全作業の徹底と社員の指導・育成を推進し、より品質の高いサービスを提供してまいります。
ヒットの広告媒体は、設置場所の性質により繁華街媒体とロードサイド媒体に大別されますが、商品力や価格競争力の維持向上に努めながら、それぞれの媒体特性に合致する広告主への効率的な営業を行い、一層の売上増加を図ってまいります。
ヒットグループは、上場会社として求められるコンプライアンス、内部管理体制を整備強化しております。それと同時に、経営・営業・管理部門に相乗効果をもたらすシステムの構築に、一層注力してまいります。
ヒットグループの事業の拡大のために、優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。積極的な採用に加え、社員研修の充実を図り、教育の質を高めていくことで、優秀な人材の確保と育成を推進してまいります。
なお、財務上の課題については、「3 事業等のリスク (22) 財務上のリスクについて」をご参照ください。
ヒットグループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は、自社デジタル媒体数、デジタル媒体満稿額及びデジタル媒体稼働率であります。
(注) 上記指標については提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
当該KPIを採用した理由ですが、下表に記載のとおり、ヒットグループの売上高の約4分の3は自社運営のデジタル媒体によりもたらされておりますので、自社デジタル媒体数及びデジタル媒体満稿額はヒットグループの事業のポテンシャルを表すために最適な指標であり、デジタル媒体稼働率は媒体運用や営業が効率的に行われているかどうかをみるために最適な指標であると判断し、KPIとして採用しています。アナログ媒体は年間契約が多く、変動性が低いため、業績状況の確認のためには重要視しておりません。当該KPIは、投資家がヒットグループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、また当該KPIにより、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となると認識しております。
(注) 売上比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
ヒットグループの自社デジタル媒体の定義、及びデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法は、以下のとおりです。
ヒットグループのデジタル媒体の料金体系は、基本的にレギュラープランとプレミアムプランよりなります。レギュラープランはそのデジタル媒体の標準的な料金プランであり、プレミアムプランは広告枠の大口購入を条件として、放映1回当たりの価格(放映単価)の面でレギュラープランよりも優遇されるプランです。広告主にとってコストパフォーマンスが良く、ヒットにとってはビジネスが安定するというメリットがあるため、営業戦略上プレミアムプランを積極提案しております。営業戦略と一体的に媒体稼働率を評価するため、プレミアムプランを基準としたデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法を採用しています。特定媒体の受注が、放映1回当たりの価格(放映単価)がプレミアムプランよりも高いプラン(レギュラープラン等)に偏った場合、媒体稼働率が100%を超える可能性があります。
なお、デジタル媒体の新設や稼働の停止・終了等、又は販売価格の改定があった場合にデジタル媒体満稿額は変動いたします。期中に媒体の新設や稼働の停止・終了等があった場合については、当該媒体が通年稼働したものと仮定してデジタル媒体満稿額を算出しております。また、期中に販売価格の改定を行った場合、当該期のデジタル媒体満稿額は変更せず、改定の次期から新しい販売価格を基準としたデジタル媒体満稿額を適用いたします。
本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてヒットが判断したものであります。
ヒットグループは、屋外広告を専門に取り扱う広告会社として、1991年に創業いたしました。「屋外広告のリーディングカンパニーとして世界を変えるメディアを創造する」という経営理念を、また、その実現のためのビジョンとして『未来を見据えて発想し、理想を現実にする』『常にクライアント目線に立ち"最小の予算で最大の効果を発揮する"提案をする』『変化を歓迎しよう。リスクや失敗を恐れずチャレンジし、成功への糧とする』『高い倫理観を持ち、透明な企業活動を築く』『ダイバーシティの考えに基づき、社員お互いが尊重し目標を達成する』の5つを掲げ、好立地かつ大型な広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に努めることで、事業を拡大してまいりました。
当期における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している状況にあります。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。ただし、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、通商政策等アメリカの政策動向による影響等が、我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況です。
日本国内の広告業界においては、総務省が2025年2月に発表した「サービス産業動向調査」によると、2024年の広告業全体の売上高は前年比で101.3%と、前年をわずかに上回る結果となりました。
また、株式会社電通の「2024年日本の広告費」によると、ヒットが属する屋外広告市場は2024年に2,889億円となっています。ラグジュアリーブランド、飲料、コンテンツ、人材系を中心に多くの業種で屋外広告が活用され、また、インバウンド需要の高まりにともない、関連業種での広告出稿が目立ちました。その結果、屋外広告市場は、前年に続き拡大しております。なかでも屋外ビジョンは、渋谷、新宿、表参道等都心部で需要が高まり、販売価格の値上げ等もあり成長しております。なお、株式会社帝国データバンクの調査によると、2023年の日本の屋外広告業の市場規模は1,234億円で、前年比106.6%となっております。このような背景の下で、ヒットが取り扱う日本の屋外広告は、人流の回復にともなう需要の回復が見えてまいりました。
海外の屋外広告市場においては、QYResearchの調査によると、ヒットが進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイの2024年の屋外広告市場規模は、それぞれ162百万USドル(前年比98.7%)、160百万USドル(同108.1%)、384百万USドル(同107.3%)、そして396百万USドル(同104.9%)となっております。
日本及びASEANにおいて、屋外広告の需要は今後も緩やかな拡大傾向にあると認識しており、更なる売上拡大を目指して以下の6つの戦略を推進してまいります。
ヒットでは新設の屋外広告媒体について、基本的に短期間で投資回収が見込めるものをターゲットとしています。屋外広告の強みは、認知拡大、ブランディング及び第一想起獲得における高い広告効果にあると言われています。これらの広告効果を最大化すべく、好立地かつ大型(概ね80~100㎡以上)の広告媒体開発や、特定エリアでの同時多面展開が可能な広告面のセット商品の開発に注力しております。広告主の事業拡大・推進に貢献するべく、年間3~5媒体程度の繁華街の大型デジタル媒体開発を目標に、広告効果の高い新規媒体の開発を進めてまいります。
ヒットは運営する広告媒体稼働率向上のため、営業人員の増強、広告主の多様なニーズに応える放映プランの設計、各種マーケティング施策(展示会出展、ウェビナーの開催、メールマガジンの配信等)、販売難易度が高いロードサイド媒体の専門営業担当者の育成といった施策に取り組んでおります。これからも媒体価値の最大化を図り、媒体稼働率の向上に努めてまいります。
ヒットは、屋外広告用のクリエイティブ制作や“HIT-movi”(屋外広告に連動させる形でのスマホ位置情報広告配信サービス)に代表されるクロスメディアサービスといった、屋外広告周辺サービスの提供に積極的に取り組んでいます。今後もクリエイティブ領域では、3Dメガネ等を使用せずに肉眼で映像が立体的に見える技術を用いた“肉眼3D”クリエイティブ制作の積極提案を行い、クロスメディア領域では、屋外広告と親和性の高い交通広告媒体の取扱い強化を行う等、屋外広告周辺サービスの充実に努めてまいります。
ヒットグループは将来的な海外展開、中でもアジア諸国への展開を計画しております。日本の人口は減少傾向にあり、将来的には人口減少に比例する形で、ヒットの運営する国内広告媒体の価値も緩やかに減少していく可能性があるためです。ヒットグループが持続的な成長を実現していくためには、屋外広告媒体の開発先を日本国内に限定せず、海外の有望媒体を発掘するというアプローチが必要だと考えています。海外においては日本で培った媒体開発の実践、国内においては海外の先進事例の応用や外国企業の国内広告掲出案件獲得等、双方向のメリットを活かし事業展開していく所存です。
なお、ヒットグループは過去に2度、海外での事業展開を図ったことがあります。1度目は2003年のアメリカ合衆国進出であり、ニューヨーク市でアナログ媒体開発及び運営を行いましたが、国内事業の拡大を優先し、2005年に撤退をいたしました。2度目は、ASEANでのトイレサイネージ事業への挑戦です。商業施設のトイレに広告用サイネージを展開するトイレサイネージ事業を営む会社として、2019年にHIT SINGAPORE PTE. LTD.(以下、HIT SINGAPORE)、2020年にHIT BANGKOK CO.,LTD.(以下、HIT BANGKOK)を、シンガポールとタイにそれぞれ設立いたしましたが、主に新型コロナウイルス禍による人流の停滞により事業が軌道に乗らず、2022年にトイレサイネージ事業の撤退及びHIT BANGKOKの清算、並びに、近い将来にASEANにてヒットの既存事業である大型屋外広告事業へ挑戦することを前提に、ASEANを中心とした広告市場調査を行う会社へHIT SINGAPOREを転換するという判断をいたしました。事業を撤退した際にHIT SINGAPOREを清算しなかった理由は、事業撤退を決定したものの、上述のとおり長期的にヒットグループを大きく飛躍させるために海外進出は不可欠であると判断していることがあります。また、将来的に海外現地で媒体獲得交渉を行うことになった場合、ヒットグループの規模であれば、法人を残すことで一定の信用力を有して交渉ができるというメリットが享受できる点、事業再開時の準備期間を短縮できる点や、現地人材を確保しやすくなる点等が存続判断の理由となっています。
現在は、海外展開へ向けて、ヒットの代表取締役会長である松丸敦之が連結子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼ね、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上の現地滞在をしております。松丸が屋外広告媒体設置の可能性を探るのに最も適した経験と業務知識を備えていること、及び、アジア諸国での広告関係者との太いパイプを有する人材が他にはいないことがその理由です。主に、ヒットグループが直近の進出を検討しているシンガポール、マレーシア、インドネシア及びタイ等、ASEAN現地の広告媒体社や広告代理店との接触、実際の進出時に備えた各国のJETRO等の社外協力者との面談、及び媒体設置場所候補の調査等を行っております。当面、松丸の現地滞在は継続いたしますが、2025年6月期より、ヒットのシニアマネージャーをHIT SINGAPOREの取締役として追加で選任し、ASEAN現地に常駐させることで、HIT SINGAPOREの体制強化と事業促進を実現してまいります。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、ヒットよりHIT SINGAPOREに対する300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。
ヒットでは、従前よりITの導入及び運用を進めてまいりましたが、電子メールを用いた受注業務や、複数の業務システムに対する同一又は類似した情報の入力業務等、効率化の余地のある既存業務が業務フローの中に残っております。また、デジタル媒体の放映管理業務には、オペレーターのマンパワーに頼る部分を多く残しておりますが、今後デジタル媒体数を増加させていくうえで、放映管理業務の属人化排除や標準化の取組みはさらに重要になってくるものと認識しております。ヒットは今後なお一層、既存業務の自動化や、デジタル管理の活用等を推進することにより、社員の非生産的業務をDX化し、生産的業務時間の拡充を図ってまいります。また、DXに積極的に取り込むことにより業務効率を向上させ、事業拡大に繋げていきたいと考えております。
更なる企業成長のために、様々な企業との業務提携やM&Aを検討してまいります。サステナビリティへの配慮やその事業機会にも目を配り、新たな成長へ向けて新規ビジネスの開発を進めてまいります。
ヒットグループの事業は、効果的な屋外広告サービスを広告主に提供するものであり、適切な立地の選定及び投資の実行が重要となります。引き続き、広告主の需要を満たす立地選定を進めてまいります。
ヒットの屋外広告媒体はビルの屋上や壁面に設置されていることから、設置時やメンテナンス時等における事故が起きないよう努めております。広告主に安心して広告掲出をして頂けるよう、安全作業の徹底と社員の指導・育成を推進し、より品質の高いサービスを提供してまいります。
ヒットの広告媒体は、設置場所の性質により繁華街媒体とロードサイド媒体に大別されますが、商品力や価格競争力の維持向上に努めながら、それぞれの媒体特性に合致する広告主への効率的な営業を行い、一層の売上増加を図ってまいります。
ヒットグループは、上場会社として求められるコンプライアンス、内部管理体制を整備強化しております。それと同時に、経営・営業・管理部門に相乗効果をもたらすシステムの構築に、一層注力してまいります。
ヒットグループの事業の拡大のために、優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。積極的な採用に加え、社員研修の充実を図り、教育の質を高めていくことで、優秀な人材の確保と育成を推進してまいります。
なお、財務上の課題については、「3 事業等のリスク (22) 財務上のリスクについて」をご参照ください。
ヒットグループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は、自社デジタル媒体数、デジタル媒体満稿額及びデジタル媒体稼働率であります。
(注) 上記指標については提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
当該KPIを採用した理由ですが、下表に記載のとおり、ヒットグループの売上高の約4分の3は自社運営のデジタル媒体によりもたらされておりますので、自社デジタル媒体数及びデジタル媒体満稿額はヒットグループの事業のポテンシャルを表すために最適な指標であり、デジタル媒体稼働率は媒体運用や営業が効率的に行われているかどうかをみるために最適な指標であると判断し、KPIとして採用しています。アナログ媒体は年間契約が多く、変動性が低いため、業績状況の確認のためには重要視しておりません。当該KPIは、投資家がヒットグループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、また当該KPIにより、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となると認識しております。
(注) 売上比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
ヒットグループの自社デジタル媒体の定義、及びデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法は、以下のとおりです。
ヒットグループのデジタル媒体の料金体系は、基本的にレギュラープランとプレミアムプランよりなります。レギュラープランはそのデジタル媒体の標準的な料金プランであり、プレミアムプランは広告枠の大口購入を条件として、放映1回当たりの価格(放映単価)の面でレギュラープランよりも優遇されるプランです。広告主にとってコストパフォーマンスが良く、ヒットにとってはビジネスが安定するというメリットがあるため、営業戦略上プレミアムプランを積極提案しております。営業戦略と一体的に媒体稼働率を評価するため、プレミアムプランを基準としたデジタル媒体満稿額とデジタル媒体稼働率の算出方法を採用しています。特定媒体の受注が、放映1回当たりの価格(放映単価)がプレミアムプランよりも高いプラン(レギュラープラン等)に偏った場合、媒体稼働率が100%を超える可能性があります。
なお、デジタル媒体の新設や稼働の停止・終了等、又は販売価格の改定があった場合にデジタル媒体満稿額は変動いたします。期中に媒体の新設や稼働の停止・終了等があった場合については、当該媒体が通年稼働したものと仮定してデジタル媒体満稿額を算出しております。また、期中に販売価格の改定を行った場合、当該期のデジタル媒体満稿額は変更せず、改定の次期から新しい販売価格を基準としたデジタル媒体満稿額を適用いたします。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在においてヒットグループが判断したものであります。
ヒットの営業活動は、可能な限り広告主へ直接接触を行うことを重視していることから、常に一定数の営業社員の確保が必要となるため、毎年10名前後の新卒採用と若干名の中途採用活動に注力しております。また、広告媒体の開発及び設置・保守管理部門については専門分野に対応した人材の採用が必須となるため、採用した社員への教育・研修体制の充実・強化を図り、早期戦力化と人材の定着に努めております。
しかしながら、必要な数の人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、複数のITシステムを使用して業務処理・管理を行っておりますが、社内規程にて運用上のルール及びBCPマニュアルを定め、データバックアップを行い、社内ネットワークへのマルウェア侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃、災害等に起因するネットワークの不通、外部委託先の故意又は過失によるシステムトラブル等への対策を講じております。
しかしながら、ヒットグループの想定を超えた事象の発生によって、情報システムに何らかの障害が生じた場合、ヒットの業務に重大な支障をきたす可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループの広告事業は、日本国内外の景気変動の影響を受けやすい傾向があります。ヒットは、渋谷や池袋、大阪・道頓堀といった繁華街の屋外広告媒体と、首都高速道路や大阪・新御堂筋といったロードサイドの屋外広告媒体という、性質の異なる媒体設置場所に投資することで、景気変動や国際情勢の影響を低減し、多様な業種・企業からの広告掲出を獲得してきました。
しかしながら、国内外全体の景気悪化や物価上昇、大幅な為替変動、広告予算の削減等の影響により、ヒットの屋外広告媒体への出稿が減少した場合や仕入額が高騰した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットのデジタル媒体で使用しているLEDパネル等は中国製のものを中心に使用しております。そのため、中国製LEDパネル等の供給が停止した場合、一時的にデジタル媒体の設置やメンテナンスに影響が出る可能性はありますが、台湾製、韓国製又はアメリカ製等のLEDパネル等を活用することによって、その影響は限定的なものになるものと考えております。また、日本国外からの広告出稿も多いことから、国際情勢等の動向を注視し、情報収集をタイムリーに行うことで適切な対応策を早めに講じる取組みを実施しております。
しかしながら、テロや紛争、政治・経済情勢の変動等の影響により、日本国外からの広告出稿の停止や減少、LEDパネルの仕入高騰や供給の不安定化といった事案が発生する可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループは、事業活動を営む上で、「屋外広告物法」及び各自治体の屋外広告物条例、「景観法」及び各自治体の景観条例、「建築基準法」、「都市計画法」、「道路法」、「道路交通法」、「建設業法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「労働基準法」等、様々な法規制の適用を受けています。
なかでも、ヒットグループの主要な事業となる国内での屋外広告業は、各自治体の屋外広告物条例によって直接的に、屋外広告物の規制(広告物の設置場所、広告物の大きさ・高さ等の規格、広告物の表示及び掲出物件の設置に関する首長の許可等)と、屋外広告業を営むために必要な登録に関する規制を受けています。ヒットでは、事業活動を行ううえで、必要な自治体にて屋外広告業の登録を行っており、その有効期間は5年間です。現時点において、屋外広告業の登録が取消しとなる事由は発生しておりません。
また、これらの法的規制等に適切に対応すべく、リスク・コンプライアンス委員会にて改正法や新法が事業に与える影響を評価しており、事業に何らかの影響を及ぼす法改正が発生する場合は、具体的な影響範囲の特定や対応策の検討・実施を行って、コンプライアンスの遵守に努めております。
しかしながら、何らかの理由により、これらの法令等の改廃若しくは新たな法的規制が今後制定された場合、又は屋外広告業登録が取消され若しくはその更新が認められない場合等には、ヒットグループの業績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点のヒットの屋外広告業登録等の状況は以下のとおりです。
ヒットグループは、提供するサービスに関連して取引先等の個人情報を取り扱っております。これらの個人情報については個人情報保護方針を定めることに加え、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が認定するプライバシーマークを取得し、適切に管理、保護しております。
しかしながら、外部からの不正アクセス等による不測の事態によって、個人情報が社外に漏洩する可能性は排除できず、そのようなことが生じた場合にはヒットグループに対する社会的信用の低下や損害賠償請求等により、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループでは、運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、ヒットグループが保有する商標、コンテンツ等についての保護を図るとともに、知的財産権の侵害につながるような広告放映を行わないよう、掲出素材の法務・コンプライアンス審査を実施しております。しかしながら、ヒットグループの知的財産権が第三者から保護されない場合や、第三者から知的財産権の侵害を主張された場合において、ヒットグループの主張に対する防御又は紛争の解決のために費用や損失が発生した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループでは、本書提出日現在において、事業運営及び業績に影響を及ぼす訴訟や係争は発生しておりません。法的問題の発生を最小限に抑えるために、リスク・コンプライアンス委員会の活動や役職員への教育を通じて、リスクマネジメントに注力しております。また、クレーム管理規程を定め、クレームに対する組織的な管理体制を構築しております。
しかしながら、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性や、行政機関による調査等の対象となる可能性、又は今後の業界環境の変化や新規事業への進出、既存事業の拡大等により意図せぬ訴訟を提起される可能性があり、それらが発生した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの屋外広告媒体は屋外に設置されていることもあり、媒体の損壊や設備故障、停電や節電によるデジタルサイネージや照明の消灯等、自然災害の直接的あるいは間接的な影響により、サービス提供が不可能となる可能性があります。直近10年でこれらに該当する事象は発生しておらず、万が一の事態への備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っておりますが、今後発生した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症等の影響により、ヒット媒体の設置されているエリアの人流が著しく減少した場合、ヒット媒体への広告掲出が減少し、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告事業は、屋外広告媒体として価値のある設置箇所が限定的、不動産オーナーへ支払う媒体料が高額となること、不動産オーナーとの強固な関係構築が必要であること、法令対応を含めたノウハウ獲得が容易でない等の理由から参入障壁が高く、ヒットと同様の好立地かつ大型な屋外広告媒体を複数展開する競合企業は少ない状況にあります。しかしながら将来的に、優れた競合企業の登場、競合企業によるサービス改善や付加価値が高いビジネスモデルの出現等により、ヒットグループの優位性が低下する可能性も否定できず、そういったケースが発生した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループは、株式会社電通の子会社である株式会社OOHメディア・ソリューションと多くの取引があります。同社に対する2024年6月期の売上高は1,116,573千円、売上高に占める割合は27.1%となっております。現状、ヒットは同社と安定的な取引関係にあり、複数の役職員が定期的に交流・情報交換を行い、連携して重要顧客向けに販売戦略を練る等、親密な関係の維持・強化に努めております。
しかしながら、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは取引先に対し、与信調査の実施、与信限度額の設定等、与信管理に努めております。また、初回取引時やアナログ媒体の販売時等に前金取引交渉を徹底し、回収リスクを低減する取組みも行っており、これまでに債権を回収できなかった事例はありません。
しかしながら、取引先の経営破綻又は信用状況の悪化によりヒットグループが保有する債権が回収不能になるリスクは否定できず、そういった事象が発生した場合には、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、デジタル媒体・アナログ媒体を問わず、関連設備の稼働状況や、掲出素材内容、制作内容に不備や瑕疵、欠陥等がないことの確認作業を行っており、人為的及び機械的なトラブルの発生可能性を可能な限り低減できるよう努めております。また、広告素材の審査をヒット内にて実施しているほか、媒体運営時の周辺住民からのクレームについて、クレーム管理規程により適切に対応する旨定めております。他にも、万が一のトラブルへの備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っております。
しかしながら、設備の故障や掲出素材内容、制作物等の何らかの瑕疵や欠陥、又は設置媒体へのクレーム等に起因して広告主等に損害が生じた場合や正常な広告掲出ができなかった場合、その損害やサービスの不足分の規模により、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
広告市場においてインターネット広告の成長は著しく、広告主は従前より多様な広告手段を選択できる環境となっています。ヒットグループは、屋外広告の良さを追求しつつ、インターネット広告との効果的な同時広告展開を可能とするサービスを提供しております。
しかしながら、今後ヒットグループの想定を超えて広告主によるインターネット広告の偏重が進行した場合や、日本の人口減少にともない人流に多大な変化が生じる等、屋外広告を取り巻く環境が大きく変化した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告媒体は、設置されたエリアの環境変化による影響を大きく受ける広告媒体です。広告媒体の前にビルが建ち看板面が見えなくなった、地区開発により通行者の人流が大きく変化した等の理由により、広告媒体の価値が低下する可能性があり、また、周辺住民からのクレーム等により、法規制に適合した広告媒体であっても運営ができない事案が発生する可能性があります。ヒットでは、媒体設置エリアの周辺開発情報を積極的に収集することで、媒体価値の維持やリスク察知を図るとともに、クレーム管理規程により周辺住民からのクレームを適切に管理する社内体制を構築しております。
しかしながら、主力である屋外広告媒体の価値低下や、クレームへ適切に対応できなかった場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの屋外広告事業の主力はデジタル媒体であり、その中でも売上高上位3媒体(シブハチヒットビジョン(※1)、OMOSANシンクロ(※2)、ツタヤエビスバシヒットビジョン(※3))で全体の売上高の50%超を占めております。そのため、ヒットでは主力となりうるデジタル媒体の新設に注力しており、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大と収益源の分散を図っております。
しかしながら、何らかの要因により当初の計画どおりに新設媒体をリリースできなかった場合や、設置した媒体の稼働状況がヒットの想定を大幅に下回った場合、また、何らかの理由で主力デジタル媒体の稼働状況が悪化等した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
※1 渋谷スクランブル交差点前に設置された、単面かつ広告用では日本最大級の超大型デジタル媒体。渋谷エリアの様々な場所から視認できる視認範囲の広さが特徴。
※2 表参道交差点に面した合計6面を備えた、日本のファッションの中心地である表参道エリアで最大のサイズを誇る大型デジタル媒体。L字型を生かした“肉眼3D”放映が可能。
※3 大阪・道頓堀エリアに位置し、上下2面を使った放映が可能。歩行者とサイネージ面との距離が近く視認性が高い点や、視認エリアの滞留性が高い点が特徴。
ヒットグループは、「好立地」「大型」を重視し、高額の設備投資を要する屋外広告媒体の設置を行っており、また、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大を図っております。
しかしながら、設置先候補や不動産オーナーとの交渉、行政との折衝等により当初の計画どおりに媒体開発が進捗しなかった場合や、設置した媒体の稼働状況がヒットの想定を大幅に下回った場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、複数のビルに設置した媒体を組み合わせたセット商品を、デジタル媒体・アナログ媒体ともに複数展開しております。これら商品は複数の不動産オーナーとの賃貸借契約から成り立っておりますが、ヒットでは予備面の設置や不動産オーナーとの関係性の維持、媒体設置ビル周辺の定期的な環境チェック等を通じて、セット商品の商品性を維持しております。
しかしながら、不動産オーナーとの関係性悪化や媒体周辺環境の変化等によりセット商品の商品性を維持できなくなった場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの事業は、不動産オーナーよりビルの壁面や屋上を賃借し、賃借料を支払うとともに広告媒体を設置しております。役職員が定期的に不動産オーナーとの交流を行うことで親密な関係の維持・強化に努めており、いずれの不動産オーナーとも良好な関係性を構築できておりますので、主要媒体に係る契約解除の可能性は限定的だと考えております。
しかしながら、今後何らかの事象によって不動産オーナーとヒットの関係が悪化し、主要媒体の賃貸借契約が解消された場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの公募増資による調達資金の使途は、国内の大型デジタル媒体設備投資への充当を計画しております。デジタル媒体の新設やリプレイスの計画立案に際しては、その媒体価値や投資の必要性について詳細に検討しておりますが、事業環境の変化にともない、現在計画している資金使途を変更する場合や、計画どおり資金を使用したとしても、期待どおりの成果をあげられない場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの保有する屋外広告媒体は、すべての施工・メンテナンスを外部委託しております。ヒットにおいては、仕入取引担当者が取引先の品質保証の体系や品質検査結果の情報を入手し、必要があればヒットの業務計画や媒体新設・管理工程等に支障をきたさないよう指導監督しています。また、媒体の新設施工や改修工事等において、状況に応じて途中工程での立会検査を実施しており、安全性を確認しております。
しかしながら、ヒットが保有する屋外媒体の落下、倒壊等により人的被害が発生した場合は、その事故の規模によりヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループの資金調達の状況は、有利子負債が2025年3月末では1,676,542千円となっており、総資産に占める有利子負債の比率は27.5%となっております。また、自己資本比率は50.7%であります。ヒットは複数の金融機関と友好的な関係を継続しておりますが、今後の事業展開や経済情勢、経営環境の変化等によって、機動的に資金調達を行うこともあり、有利子負債の金利負担が増加した場合や調達金利が上昇した場合、新たに計画した資金調達が不調に終わった場合には、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットでは、広告媒体ごとに固定資産を認識しており、営業活動から生じる損益、回収可能価額を著しく低下させる事象、経営環境の著しい悪化の有無等により、減損の兆候の有無を把握しております。減損の兆候がある広告媒体が十分な将来キャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には減損損失を計上することも予測され、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、株主に対する利益還元を経営の重要な政策の一つと考えており、企業価値を最大化するための中長期的な取組みや事業拡大に必要な内部留保とのバランスを勘案し、継続的かつ安定的な株主還元を実施していくことを基本方針としております。
ヒットは毎年配当を計画しておりますが、将来的には一層の事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながるとの考えから内部留保の充実を図る等、配当政策の方針転換を行う場合があります。
ヒットグループは、将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づく課税所得等を見積り、回収可能性があると判断した範囲内で繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が見積りと異なることで繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性がないと判断され、繰延税金資産を減額することになった場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在におけるヒットの発行済株式総数は5,560,000株、新株予約権による潜在株式数は710,400株(発行済株式総数に対する割合12.8%)であり、これら当該新株予約権の行使が行われた場合には、ヒットの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、本書提出日現在において、売出人である深井英樹、安田仁裕、勝山宏哉、高橋徹及び大岩義典の保有する新株予約権による潜在株式数は合計656,800株(発行済株式総数に対する割合11.8%)に相当しますが、当該5名は、本売出しによって得た資金の一部を各々が保有する新株予約権の行使代金に充当することで、安定株主比率の向上を目的とした新株予約権の行使を行い、取得した株式を継続保有する方針であります。
実際に当該行使が行われた場合にはヒットの1株当たりの株式価値の希薄化が進む可能性があります。
なお、ヒットでは、今後も優秀な人材確保のために、同様なインセンティブプランを継続して実施していく方針を有しており、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、ヒットの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
創業者兼代表取締役会長である松丸はヒット事業に関する専門的な知識、技術、経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において、屋外広告に関する専門的な知識や経験を活かした意見を述べる等の重要な役割を果たしております。ヒットグループでは、取締役会やその他会議体においてその他の役職員への情報共有や権限移譲を進める等の組織体制の強化を図りながら、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの理由により松丸が経営、業務執行を継続することが困難になった場合には、ヒットグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ヒットはシンガポールに連結子会社であるHIT SINGAPOREを設置し、ASEAN諸国における事業展開を計画しており、2027年6月期には屋外広告事業での売上計上を目指しております。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、ヒットよりHIT SINGAPOREに対し、2026年6月期の100百万を皮切りに総額300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。ASEANにおける広告市場調査を詳細に実施し、進出先における協力者の選定を慎重に行う等、事業展開に際しての準備には万全を期してまいりますが、進出先における政治的・社会的・経済的混乱や予測不可能な法令変更等を含むなんらかの要因により、ヒット子会社の海外事業戦略の変更を余儀なくされた場合、将来的なヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒット代表取締役会長である松丸敦之は、ヒット子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼任し、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上、現地滞在する体制をとっております。このような体制を採用した理由として、以下の3点が挙げられます。
① ASEAN進出を通じた事業拡大
長期的にヒットが大きく飛躍するために、ASEANでの屋外広告事業の展開は不可欠であると判断しております。そのため、シンガポールに法人を置くことで、今後ASEANにて媒体獲得交渉を行う場合や協業先の現地資本企業を探す場合に一定の信用力を有して交渉ができるというメリットを享受できると考えております。また、現地での本格的な事業展開時の準備期間を短縮できる点や現地人材確保等の点においても有利に働くことが期待されます。
② 屋外広告媒体に造詣の深い人員の配置
松丸を現地に滞在させている理由としては、当人の長年にわたる業界経験に基づき、マクロでの屋外広告市場調査能力、ミクロでの屋外媒体の市場調査能力、現地パートナーとの交渉力等において最適な人材であり、加えて媒体開発までのリードタイム、収益を生み出せる屋外媒体の発掘力、費用対効果等に関してもメリットを生み出せると総合的に評価したためであります。
③ 海外進出を果たす上で現地情報の精緻な把握が必須
屋外広告は、電波や印刷物を介して広範囲に伝達されるマスメディアの広告や、世界中どこにいても同質的に伝達されるインターネット広告とは異なり、広告媒体がどこにあるのか、そこはどんな場所なのか、ということが重要視される広告媒体であり、人流が多く視認性に優れた好立地での媒体確保ができるか否かが、屋外広告事業の成否を分けるポイントです。そのため、長期滞在を通じて、進出候補先の現地の情勢を常に把握しておくことが望まれます。広告コンテンツに関しても、どのようなメッセージやクリエイティブが好まれるのか(あるいは嫌われるのか)について、法令等の規制や文化的側面も含めて深く理解する必要があります。
以上の理由に加えて、松丸は情報収集能力や分析力に長けていることから、現地に長期滞在することは重要かつ効率的だと考えております。今後HIT SINGAPOREでは、従来よりも具体的な媒体開発に直結した活動が行われていく予定で、その存在意義はさらに高まるものと考えております。なお、ASEANの事業が後継者育成も含めて軌道に乗った際には、松丸を中心とした海外体制を解消する予定です。また、ヒットグループでは子会社の撤退基準(累積損失3億円以上かつ3年連続で営業赤字)を設けており、この基準を満たした場合、黒字化の目途が立つかどうかを含めた総合的な判断を行い、取締役会で撤退の決議を行うこととなっております。HIT SINGAPOREについては、新規デジタル媒体の稼働の始期となる2027年6月期を基準とする予定です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在においてヒットグループが判断したものであります。
ヒットの営業活動は、可能な限り広告主へ直接接触を行うことを重視していることから、常に一定数の営業社員の確保が必要となるため、毎年10名前後の新卒採用と若干名の中途採用活動に注力しております。また、広告媒体の開発及び設置・保守管理部門については専門分野に対応した人材の採用が必須となるため、採用した社員への教育・研修体制の充実・強化を図り、早期戦力化と人材の定着に努めております。
しかしながら、必要な数の人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、複数のITシステムを使用して業務処理・管理を行っておりますが、社内規程にて運用上のルール及びBCPマニュアルを定め、データバックアップを行い、社内ネットワークへのマルウェア侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃、災害等に起因するネットワークの不通、外部委託先の故意又は過失によるシステムトラブル等への対策を講じております。
しかしながら、ヒットグループの想定を超えた事象の発生によって、情報システムに何らかの障害が生じた場合、ヒットの業務に重大な支障をきたす可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループの広告事業は、日本国内外の景気変動の影響を受けやすい傾向があります。ヒットは、渋谷や池袋、大阪・道頓堀といった繁華街の屋外広告媒体と、首都高速道路や大阪・新御堂筋といったロードサイドの屋外広告媒体という、性質の異なる媒体設置場所に投資することで、景気変動や国際情勢の影響を低減し、多様な業種・企業からの広告掲出を獲得してきました。
しかしながら、国内外全体の景気悪化や物価上昇、大幅な為替変動、広告予算の削減等の影響により、ヒットの屋外広告媒体への出稿が減少した場合や仕入額が高騰した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットのデジタル媒体で使用しているLEDパネル等は中国製のものを中心に使用しております。そのため、中国製LEDパネル等の供給が停止した場合、一時的にデジタル媒体の設置やメンテナンスに影響が出る可能性はありますが、台湾製、韓国製又はアメリカ製等のLEDパネル等を活用することによって、その影響は限定的なものになるものと考えております。また、日本国外からの広告出稿も多いことから、国際情勢等の動向を注視し、情報収集をタイムリーに行うことで適切な対応策を早めに講じる取組みを実施しております。
しかしながら、テロや紛争、政治・経済情勢の変動等の影響により、日本国外からの広告出稿の停止や減少、LEDパネルの仕入高騰や供給の不安定化といった事案が発生する可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループは、事業活動を営む上で、「屋外広告物法」及び各自治体の屋外広告物条例、「景観法」及び各自治体の景観条例、「建築基準法」、「都市計画法」、「道路法」、「道路交通法」、「建設業法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「労働基準法」等、様々な法規制の適用を受けています。
なかでも、ヒットグループの主要な事業となる国内での屋外広告業は、各自治体の屋外広告物条例によって直接的に、屋外広告物の規制(広告物の設置場所、広告物の大きさ・高さ等の規格、広告物の表示及び掲出物件の設置に関する首長の許可等)と、屋外広告業を営むために必要な登録に関する規制を受けています。ヒットでは、事業活動を行ううえで、必要な自治体にて屋外広告業の登録を行っており、その有効期間は5年間です。現時点において、屋外広告業の登録が取消しとなる事由は発生しておりません。
また、これらの法的規制等に適切に対応すべく、リスク・コンプライアンス委員会にて改正法や新法が事業に与える影響を評価しており、事業に何らかの影響を及ぼす法改正が発生する場合は、具体的な影響範囲の特定や対応策の検討・実施を行って、コンプライアンスの遵守に努めております。
しかしながら、何らかの理由により、これらの法令等の改廃若しくは新たな法的規制が今後制定された場合、又は屋外広告業登録が取消され若しくはその更新が認められない場合等には、ヒットグループの業績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点のヒットの屋外広告業登録等の状況は以下のとおりです。
ヒットグループは、提供するサービスに関連して取引先等の個人情報を取り扱っております。これらの個人情報については個人情報保護方針を定めることに加え、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が認定するプライバシーマークを取得し、適切に管理、保護しております。
しかしながら、外部からの不正アクセス等による不測の事態によって、個人情報が社外に漏洩する可能性は排除できず、そのようなことが生じた場合にはヒットグループに対する社会的信用の低下や損害賠償請求等により、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループでは、運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、ヒットグループが保有する商標、コンテンツ等についての保護を図るとともに、知的財産権の侵害につながるような広告放映を行わないよう、掲出素材の法務・コンプライアンス審査を実施しております。しかしながら、ヒットグループの知的財産権が第三者から保護されない場合や、第三者から知的財産権の侵害を主張された場合において、ヒットグループの主張に対する防御又は紛争の解決のために費用や損失が発生した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループでは、本書提出日現在において、事業運営及び業績に影響を及ぼす訴訟や係争は発生しておりません。法的問題の発生を最小限に抑えるために、リスク・コンプライアンス委員会の活動や役職員への教育を通じて、リスクマネジメントに注力しております。また、クレーム管理規程を定め、クレームに対する組織的な管理体制を構築しております。
しかしながら、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性や、行政機関による調査等の対象となる可能性、又は今後の業界環境の変化や新規事業への進出、既存事業の拡大等により意図せぬ訴訟を提起される可能性があり、それらが発生した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの屋外広告媒体は屋外に設置されていることもあり、媒体の損壊や設備故障、停電や節電によるデジタルサイネージや照明の消灯等、自然災害の直接的あるいは間接的な影響により、サービス提供が不可能となる可能性があります。直近10年でこれらに該当する事象は発生しておらず、万が一の事態への備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っておりますが、今後発生した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症等の影響により、ヒット媒体の設置されているエリアの人流が著しく減少した場合、ヒット媒体への広告掲出が減少し、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告事業は、屋外広告媒体として価値のある設置箇所が限定的、不動産オーナーへ支払う媒体料が高額となること、不動産オーナーとの強固な関係構築が必要であること、法令対応を含めたノウハウ獲得が容易でない等の理由から参入障壁が高く、ヒットと同様の好立地かつ大型な屋外広告媒体を複数展開する競合企業は少ない状況にあります。しかしながら将来的に、優れた競合企業の登場、競合企業によるサービス改善や付加価値が高いビジネスモデルの出現等により、ヒットグループの優位性が低下する可能性も否定できず、そういったケースが発生した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループは、株式会社電通の子会社である株式会社OOHメディア・ソリューションと多くの取引があります。同社に対する2024年6月期の売上高は1,116,573千円、売上高に占める割合は27.1%となっております。現状、ヒットは同社と安定的な取引関係にあり、複数の役職員が定期的に交流・情報交換を行い、連携して重要顧客向けに販売戦略を練る等、親密な関係の維持・強化に努めております。
しかしながら、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは取引先に対し、与信調査の実施、与信限度額の設定等、与信管理に努めております。また、初回取引時やアナログ媒体の販売時等に前金取引交渉を徹底し、回収リスクを低減する取組みも行っており、これまでに債権を回収できなかった事例はありません。
しかしながら、取引先の経営破綻又は信用状況の悪化によりヒットグループが保有する債権が回収不能になるリスクは否定できず、そういった事象が発生した場合には、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、デジタル媒体・アナログ媒体を問わず、関連設備の稼働状況や、掲出素材内容、制作内容に不備や瑕疵、欠陥等がないことの確認作業を行っており、人為的及び機械的なトラブルの発生可能性を可能な限り低減できるよう努めております。また、広告素材の審査をヒット内にて実施しているほか、媒体運営時の周辺住民からのクレームについて、クレーム管理規程により適切に対応する旨定めております。他にも、万が一のトラブルへの備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っております。
しかしながら、設備の故障や掲出素材内容、制作物等の何らかの瑕疵や欠陥、又は設置媒体へのクレーム等に起因して広告主等に損害が生じた場合や正常な広告掲出ができなかった場合、その損害やサービスの不足分の規模により、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
広告市場においてインターネット広告の成長は著しく、広告主は従前より多様な広告手段を選択できる環境となっています。ヒットグループは、屋外広告の良さを追求しつつ、インターネット広告との効果的な同時広告展開を可能とするサービスを提供しております。
しかしながら、今後ヒットグループの想定を超えて広告主によるインターネット広告の偏重が進行した場合や、日本の人口減少にともない人流に多大な変化が生じる等、屋外広告を取り巻く環境が大きく変化した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告媒体は、設置されたエリアの環境変化による影響を大きく受ける広告媒体です。広告媒体の前にビルが建ち看板面が見えなくなった、地区開発により通行者の人流が大きく変化した等の理由により、広告媒体の価値が低下する可能性があり、また、周辺住民からのクレーム等により、法規制に適合した広告媒体であっても運営ができない事案が発生する可能性があります。ヒットでは、媒体設置エリアの周辺開発情報を積極的に収集することで、媒体価値の維持やリスク察知を図るとともに、クレーム管理規程により周辺住民からのクレームを適切に管理する社内体制を構築しております。
しかしながら、主力である屋外広告媒体の価値低下や、クレームへ適切に対応できなかった場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの屋外広告事業の主力はデジタル媒体であり、その中でも売上高上位3媒体(シブハチヒットビジョン(※1)、OMOSANシンクロ(※2)、ツタヤエビスバシヒットビジョン(※3))で全体の売上高の50%超を占めております。そのため、ヒットでは主力となりうるデジタル媒体の新設に注力しており、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大と収益源の分散を図っております。
しかしながら、何らかの要因により当初の計画どおりに新設媒体をリリースできなかった場合や、設置した媒体の稼働状況がヒットの想定を大幅に下回った場合、また、何らかの理由で主力デジタル媒体の稼働状況が悪化等した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
※1 渋谷スクランブル交差点前に設置された、単面かつ広告用では日本最大級の超大型デジタル媒体。渋谷エリアの様々な場所から視認できる視認範囲の広さが特徴。
※2 表参道交差点に面した合計6面を備えた、日本のファッションの中心地である表参道エリアで最大のサイズを誇る大型デジタル媒体。L字型を生かした“肉眼3D”放映が可能。
※3 大阪・道頓堀エリアに位置し、上下2面を使った放映が可能。歩行者とサイネージ面との距離が近く視認性が高い点や、視認エリアの滞留性が高い点が特徴。
ヒットグループは、「好立地」「大型」を重視し、高額の設備投資を要する屋外広告媒体の設置を行っており、また、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大を図っております。
しかしながら、設置先候補や不動産オーナーとの交渉、行政との折衝等により当初の計画どおりに媒体開発が進捗しなかった場合や、設置した媒体の稼働状況がヒットの想定を大幅に下回った場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、複数のビルに設置した媒体を組み合わせたセット商品を、デジタル媒体・アナログ媒体ともに複数展開しております。これら商品は複数の不動産オーナーとの賃貸借契約から成り立っておりますが、ヒットでは予備面の設置や不動産オーナーとの関係性の維持、媒体設置ビル周辺の定期的な環境チェック等を通じて、セット商品の商品性を維持しております。
しかしながら、不動産オーナーとの関係性悪化や媒体周辺環境の変化等によりセット商品の商品性を維持できなくなった場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの事業は、不動産オーナーよりビルの壁面や屋上を賃借し、賃借料を支払うとともに広告媒体を設置しております。役職員が定期的に不動産オーナーとの交流を行うことで親密な関係の維持・強化に努めており、いずれの不動産オーナーとも良好な関係性を構築できておりますので、主要媒体に係る契約解除の可能性は限定的だと考えております。
しかしながら、今後何らかの事象によって不動産オーナーとヒットの関係が悪化し、主要媒体の賃貸借契約が解消された場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの公募増資による調達資金の使途は、国内の大型デジタル媒体設備投資への充当を計画しております。デジタル媒体の新設やリプレイスの計画立案に際しては、その媒体価値や投資の必要性について詳細に検討しておりますが、事業環境の変化にともない、現在計画している資金使途を変更する場合や、計画どおり資金を使用したとしても、期待どおりの成果をあげられない場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの保有する屋外広告媒体は、すべての施工・メンテナンスを外部委託しております。ヒットにおいては、仕入取引担当者が取引先の品質保証の体系や品質検査結果の情報を入手し、必要があればヒットの業務計画や媒体新設・管理工程等に支障をきたさないよう指導監督しています。また、媒体の新設施工や改修工事等において、状況に応じて途中工程での立会検査を実施しており、安全性を確認しております。
しかしながら、ヒットが保有する屋外媒体の落下、倒壊等により人的被害が発生した場合は、その事故の規模によりヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループの資金調達の状況は、有利子負債が2025年3月末では1,676,542千円となっており、総資産に占める有利子負債の比率は27.5%となっております。また、自己資本比率は50.7%であります。ヒットは複数の金融機関と友好的な関係を継続しておりますが、今後の事業展開や経済情勢、経営環境の変化等によって、機動的に資金調達を行うこともあり、有利子負債の金利負担が増加した場合や調達金利が上昇した場合、新たに計画した資金調達が不調に終わった場合には、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットでは、広告媒体ごとに固定資産を認識しており、営業活動から生じる損益、回収可能価額を著しく低下させる事象、経営環境の著しい悪化の有無等により、減損の兆候の有無を把握しております。減損の兆候がある広告媒体が十分な将来キャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には減損損失を計上することも予測され、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、株主に対する利益還元を経営の重要な政策の一つと考えており、企業価値を最大化するための中長期的な取組みや事業拡大に必要な内部留保とのバランスを勘案し、継続的かつ安定的な株主還元を実施していくことを基本方針としております。
ヒットは毎年配当を計画しておりますが、将来的には一層の事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながるとの考えから内部留保の充実を図る等、配当政策の方針転換を行う場合があります。
ヒットグループは、将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づく課税所得等を見積り、回収可能性があると判断した範囲内で繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が見積りと異なることで繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性がないと判断され、繰延税金資産を減額することになった場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在におけるヒットの発行済株式総数は5,560,000株、新株予約権による潜在株式数は710,400株(発行済株式総数に対する割合12.8%)であり、これら当該新株予約権の行使が行われた場合には、ヒットの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、本書提出日現在において、売出人である深井英樹、安田仁裕、勝山宏哉、高橋徹及び大岩義典の保有する新株予約権による潜在株式数は合計656,800株(発行済株式総数に対する割合11.8%)に相当しますが、当該5名は、本売出しによって得た資金の一部を各々が保有する新株予約権の行使代金に充当することで、安定株主比率の向上を目的とした新株予約権の行使を行い、取得した株式を継続保有する方針であります。
実際に当該行使が行われた場合にはヒットの1株当たりの株式価値の希薄化が進む可能性があります。
なお、ヒットでは、今後も優秀な人材確保のために、同様なインセンティブプランを継続して実施していく方針を有しており、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、ヒットの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
創業者兼代表取締役会長である松丸はヒット事業に関する専門的な知識、技術、経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において、屋外広告に関する専門的な知識や経験を活かした意見を述べる等の重要な役割を果たしております。ヒットグループでは、取締役会やその他会議体においてその他の役職員への情報共有や権限移譲を進める等の組織体制の強化を図りながら、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの理由により松丸が経営、業務執行を継続することが困難になった場合には、ヒットグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ヒットはシンガポールに連結子会社であるHIT SINGAPOREを設置し、ASEAN諸国における事業展開を計画しており、2027年6月期には屋外広告事業での売上計上を目指しております。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、ヒットよりHIT SINGAPOREに対し、2026年6月期の100百万を皮切りに総額300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。ASEANにおける広告市場調査を詳細に実施し、進出先における協力者の選定を慎重に行う等、事業展開に際しての準備には万全を期してまいりますが、進出先における政治的・社会的・経済的混乱や予測不可能な法令変更等を含むなんらかの要因により、ヒット子会社の海外事業戦略の変更を余儀なくされた場合、将来的なヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒット代表取締役会長である松丸敦之は、ヒット子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼任し、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上、現地滞在する体制をとっております。このような体制を採用した理由として、以下の3点が挙げられます。
① ASEAN進出を通じた事業拡大
長期的にヒットが大きく飛躍するために、ASEANでの屋外広告事業の展開は不可欠であると判断しております。そのため、シンガポールに法人を置くことで、今後ASEANにて媒体獲得交渉を行う場合や協業先の現地資本企業を探す場合に一定の信用力を有して交渉ができるというメリットを享受できると考えております。また、現地での本格的な事業展開時の準備期間を短縮できる点や現地人材確保等の点においても有利に働くことが期待されます。
② 屋外広告媒体に造詣の深い人員の配置
松丸を現地に滞在させている理由としては、当人の長年にわたる業界経験に基づき、マクロでの屋外広告市場調査能力、ミクロでの屋外媒体の市場調査能力、現地パートナーとの交渉力等において最適な人材であり、加えて媒体開発までのリードタイム、収益を生み出せる屋外媒体の発掘力、費用対効果等に関してもメリットを生み出せると総合的に評価したためであります。
③ 海外進出を果たす上で現地情報の精緻な把握が必須
屋外広告は、電波や印刷物を介して広範囲に伝達されるマスメディアの広告や、世界中どこにいても同質的に伝達されるインターネット広告とは異なり、広告媒体がどこにあるのか、そこはどんな場所なのか、ということが重要視される広告媒体であり、人流が多く視認性に優れた好立地での媒体確保ができるか否かが、屋外広告事業の成否を分けるポイントです。そのため、長期滞在を通じて、進出候補先の現地の情勢を常に把握しておくことが望まれます。広告コンテンツに関しても、どのようなメッセージやクリエイティブが好まれるのか(あるいは嫌われるのか)について、法令等の規制や文化的側面も含めて深く理解する必要があります。
以上の理由に加えて、松丸は情報収集能力や分析力に長けていることから、現地に長期滞在することは重要かつ効率的だと考えております。今後HIT SINGAPOREでは、従来よりも具体的な媒体開発に直結した活動が行われていく予定で、その存在意義はさらに高まるものと考えております。なお、ASEANの事業が後継者育成も含めて軌道に乗った際には、松丸を中心とした海外体制を解消する予定です。また、ヒットグループでは子会社の撤退基準(累積損失3億円以上かつ3年連続で営業赤字)を設けており、この基準を満たした場合、黒字化の目途が立つかどうかを含めた総合的な判断を行い、取締役会で撤退の決議を行うこととなっております。HIT SINGAPOREについては、新規デジタル媒体の稼働の始期となる2027年6月期を基準とする予定です。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在においてヒットグループが判断したものであります。
ヒットの営業活動は、可能な限り広告主へ直接接触を行うことを重視していることから、常に一定数の営業社員の確保が必要となるため、毎年10名前後の新卒採用と若干名の中途採用活動に注力しております。また、広告媒体の開発及び設置・保守管理部門については専門分野に対応した人材の採用が必須となるため、採用した社員への教育・研修体制の充実・強化を図り、早期戦力化と人材の定着に努めております。
しかしながら、必要な数の人材の確保及び育成が計画どおりに進まない場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じる可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、複数のITシステムを使用して業務処理・管理を行っておりますが、社内規程にて運用上のルール及びBCPマニュアルを定め、データバックアップを行い、社内ネットワークへのマルウェア侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃、災害等に起因するネットワークの不通、外部委託先の故意又は過失によるシステムトラブル等への対策を講じております。
しかしながら、ヒットグループの想定を超えた事象の発生によって、情報システムに何らかの障害が生じた場合、ヒットの業務に重大な支障をきたす可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループの広告事業は、日本国内外の景気変動の影響を受けやすい傾向があります。ヒットは、渋谷や池袋、大阪・道頓堀といった繁華街の屋外広告媒体と、首都高速道路や大阪・新御堂筋といったロードサイドの屋外広告媒体という、性質の異なる媒体設置場所に投資することで、景気変動や国際情勢の影響を低減し、多様な業種・企業からの広告掲出を獲得してきました。
しかしながら、国内外全体の景気悪化や物価上昇、大幅な為替変動、広告予算の削減等の影響により、ヒットの屋外広告媒体への出稿が減少した場合や仕入額が高騰した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットのデジタル媒体で使用しているLEDパネル等は中国製のものを中心に使用しております。そのため、中国製LEDパネル等の供給が停止した場合、一時的にデジタル媒体の設置やメンテナンスに影響が出る可能性はありますが、台湾製、韓国製又はアメリカ製等のLEDパネル等を活用することによって、その影響は限定的なものになるものと考えております。また、日本国外からの広告出稿も多いことから、国際情勢等の動向を注視し、情報収集をタイムリーに行うことで適切な対応策を早めに講じる取組みを実施しております。
しかしながら、テロや紛争、政治・経済情勢の変動等の影響により、日本国外からの広告出稿の停止や減少、LEDパネルの仕入高騰や供給の不安定化といった事案が発生する可能性があり、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループは、事業活動を営む上で、「屋外広告物法」及び各自治体の屋外広告物条例、「景観法」及び各自治体の景観条例、「建築基準法」、「都市計画法」、「道路法」、「道路交通法」、「建設業法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「個人情報の保護に関する法律」、「労働基準法」等、様々な法規制の適用を受けています。
なかでも、ヒットグループの主要な事業となる国内での屋外広告業は、各自治体の屋外広告物条例によって直接的に、屋外広告物の規制(広告物の設置場所、広告物の大きさ・高さ等の規格、広告物の表示及び掲出物件の設置に関する首長の許可等)と、屋外広告業を営むために必要な登録に関する規制を受けています。ヒットでは、事業活動を行ううえで、必要な自治体にて屋外広告業の登録を行っており、その有効期間は5年間です。現時点において、屋外広告業の登録が取消しとなる事由は発生しておりません。
また、これらの法的規制等に適切に対応すべく、リスク・コンプライアンス委員会にて改正法や新法が事業に与える影響を評価しており、事業に何らかの影響を及ぼす法改正が発生する場合は、具体的な影響範囲の特定や対応策の検討・実施を行って、コンプライアンスの遵守に努めております。
しかしながら、何らかの理由により、これらの法令等の改廃若しくは新たな法的規制が今後制定された場合、又は屋外広告業登録が取消され若しくはその更新が認められない場合等には、ヒットグループの業績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現時点のヒットの屋外広告業登録等の状況は以下のとおりです。
ヒットグループは、提供するサービスに関連して取引先等の個人情報を取り扱っております。これらの個人情報については個人情報保護方針を定めることに加え、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が認定するプライバシーマークを取得し、適切に管理、保護しております。
しかしながら、外部からの不正アクセス等による不測の事態によって、個人情報が社外に漏洩する可能性は排除できず、そのようなことが生じた場合にはヒットグループに対する社会的信用の低下や損害賠償請求等により、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループでは、運営する事業に関する知的財産権の取得に努め、ヒットグループが保有する商標、コンテンツ等についての保護を図るとともに、知的財産権の侵害につながるような広告放映を行わないよう、掲出素材の法務・コンプライアンス審査を実施しております。しかしながら、ヒットグループの知的財産権が第三者から保護されない場合や、第三者から知的財産権の侵害を主張された場合において、ヒットグループの主張に対する防御又は紛争の解決のために費用や損失が発生した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループでは、本書提出日現在において、事業運営及び業績に影響を及ぼす訴訟や係争は発生しておりません。法的問題の発生を最小限に抑えるために、リスク・コンプライアンス委員会の活動や役職員への教育を通じて、リスクマネジメントに注力しております。また、クレーム管理規程を定め、クレームに対する組織的な管理体制を構築しております。
しかしながら、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして損害賠償請求等の訴訟を提起される可能性や、行政機関による調査等の対象となる可能性、又は今後の業界環境の変化や新規事業への進出、既存事業の拡大等により意図せぬ訴訟を提起される可能性があり、それらが発生した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの屋外広告媒体は屋外に設置されていることもあり、媒体の損壊や設備故障、停電や節電によるデジタルサイネージや照明の消灯等、自然災害の直接的あるいは間接的な影響により、サービス提供が不可能となる可能性があります。直近10年でこれらに該当する事象は発生しておらず、万が一の事態への備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っておりますが、今後発生した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、感染症等の影響により、ヒット媒体の設置されているエリアの人流が著しく減少した場合、ヒット媒体への広告掲出が減少し、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告事業は、屋外広告媒体として価値のある設置箇所が限定的、不動産オーナーへ支払う媒体料が高額となること、不動産オーナーとの強固な関係構築が必要であること、法令対応を含めたノウハウ獲得が容易でない等の理由から参入障壁が高く、ヒットと同様の好立地かつ大型な屋外広告媒体を複数展開する競合企業は少ない状況にあります。しかしながら将来的に、優れた競合企業の登場、競合企業によるサービス改善や付加価値が高いビジネスモデルの出現等により、ヒットグループの優位性が低下する可能性も否定できず、そういったケースが発生した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループは、株式会社電通の子会社である株式会社OOHメディア・ソリューションと多くの取引があります。同社に対する2024年6月期の売上高は1,116,573千円、売上高に占める割合は27.1%となっております。現状、ヒットは同社と安定的な取引関係にあり、複数の役職員が定期的に交流・情報交換を行い、連携して重要顧客向けに販売戦略を練る等、親密な関係の維持・強化に努めております。
しかしながら、何らかの要因により取引関係に問題が生じた場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは取引先に対し、与信調査の実施、与信限度額の設定等、与信管理に努めております。また、初回取引時やアナログ媒体の販売時等に前金取引交渉を徹底し、回収リスクを低減する取組みも行っており、これまでに債権を回収できなかった事例はありません。
しかしながら、取引先の経営破綻又は信用状況の悪化によりヒットグループが保有する債権が回収不能になるリスクは否定できず、そういった事象が発生した場合には、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、デジタル媒体・アナログ媒体を問わず、関連設備の稼働状況や、掲出素材内容、制作内容に不備や瑕疵、欠陥等がないことの確認作業を行っており、人為的及び機械的なトラブルの発生可能性を可能な限り低減できるよう努めております。また、広告素材の審査をヒット内にて実施しているほか、媒体運営時の周辺住民からのクレームについて、クレーム管理規程により適切に対応する旨定めております。他にも、万が一のトラブルへの備えとしてBCPマニュアルを定め、早期に正常な広告掲出が再開できるように図っております。
しかしながら、設備の故障や掲出素材内容、制作物等の何らかの瑕疵や欠陥、又は設置媒体へのクレーム等に起因して広告主等に損害が生じた場合や正常な広告掲出ができなかった場合、その損害やサービスの不足分の規模により、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
広告市場においてインターネット広告の成長は著しく、広告主は従前より多様な広告手段を選択できる環境となっています。ヒットグループは、屋外広告の良さを追求しつつ、インターネット広告との効果的な同時広告展開を可能とするサービスを提供しております。
しかしながら、今後ヒットグループの想定を超えて広告主によるインターネット広告の偏重が進行した場合や、日本の人口減少にともない人流に多大な変化が生じる等、屋外広告を取り巻く環境が大きく変化した場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
屋外広告媒体は、設置されたエリアの環境変化による影響を大きく受ける広告媒体です。広告媒体の前にビルが建ち看板面が見えなくなった、地区開発により通行者の人流が大きく変化した等の理由により、広告媒体の価値が低下する可能性があり、また、周辺住民からのクレーム等により、法規制に適合した広告媒体であっても運営ができない事案が発生する可能性があります。ヒットでは、媒体設置エリアの周辺開発情報を積極的に収集することで、媒体価値の維持やリスク察知を図るとともに、クレーム管理規程により周辺住民からのクレームを適切に管理する社内体制を構築しております。
しかしながら、主力である屋外広告媒体の価値低下や、クレームへ適切に対応できなかった場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの屋外広告事業の主力はデジタル媒体であり、その中でも売上高上位3媒体(シブハチヒットビジョン(※1)、OMOSANシンクロ(※2)、ツタヤエビスバシヒットビジョン(※3))で全体の売上高の50%超を占めております。そのため、ヒットでは主力となりうるデジタル媒体の新設に注力しており、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大と収益源の分散を図っております。
しかしながら、何らかの要因により当初の計画どおりに新設媒体をリリースできなかった場合や、設置した媒体の稼働状況がヒットの想定を大幅に下回った場合、また、何らかの理由で主力デジタル媒体の稼働状況が悪化等した場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
※1 渋谷スクランブル交差点前に設置された、単面かつ広告用では日本最大級の超大型デジタル媒体。渋谷エリアの様々な場所から視認できる視認範囲の広さが特徴。
※2 表参道交差点に面した合計6面を備えた、日本のファッションの中心地である表参道エリアで最大のサイズを誇る大型デジタル媒体。L字型を生かした“肉眼3D”放映が可能。
※3 大阪・道頓堀エリアに位置し、上下2面を使った放映が可能。歩行者とサイネージ面との距離が近く視認性が高い点や、視認エリアの滞留性が高い点が特徴。
ヒットグループは、「好立地」「大型」を重視し、高額の設備投資を要する屋外広告媒体の設置を行っており、また、毎年新設媒体をリリースすることで売上の拡大を図っております。
しかしながら、設置先候補や不動産オーナーとの交渉、行政との折衝等により当初の計画どおりに媒体開発が進捗しなかった場合や、設置した媒体の稼働状況がヒットの想定を大幅に下回った場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、複数のビルに設置した媒体を組み合わせたセット商品を、デジタル媒体・アナログ媒体ともに複数展開しております。これら商品は複数の不動産オーナーとの賃貸借契約から成り立っておりますが、ヒットでは予備面の設置や不動産オーナーとの関係性の維持、媒体設置ビル周辺の定期的な環境チェック等を通じて、セット商品の商品性を維持しております。
しかしながら、不動産オーナーとの関係性悪化や媒体周辺環境の変化等によりセット商品の商品性を維持できなくなった場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの事業は、不動産オーナーよりビルの壁面や屋上を賃借し、賃借料を支払うとともに広告媒体を設置しております。役職員が定期的に不動産オーナーとの交流を行うことで親密な関係の維持・強化に努めており、いずれの不動産オーナーとも良好な関係性を構築できておりますので、主要媒体に係る契約解除の可能性は限定的だと考えております。
しかしながら、今後何らかの事象によって不動産オーナーとヒットの関係が悪化し、主要媒体の賃貸借契約が解消された場合、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの公募増資による調達資金の使途は、国内の大型デジタル媒体設備投資への充当を計画しております。デジタル媒体の新設やリプレイスの計画立案に際しては、その媒体価値や投資の必要性について詳細に検討しておりますが、事業環境の変化にともない、現在計画している資金使途を変更する場合や、計画どおり資金を使用したとしても、期待どおりの成果をあげられない場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットの保有する屋外広告媒体は、すべての施工・メンテナンスを外部委託しております。ヒットにおいては、仕入取引担当者が取引先の品質保証の体系や品質検査結果の情報を入手し、必要があればヒットの業務計画や媒体新設・管理工程等に支障をきたさないよう指導監督しています。また、媒体の新設施工や改修工事等において、状況に応じて途中工程での立会検査を実施しており、安全性を確認しております。
しかしながら、ヒットが保有する屋外媒体の落下、倒壊等により人的被害が発生した場合は、その事故の規模によりヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットグループの資金調達の状況は、有利子負債が2025年3月末では1,676,542千円となっており、総資産に占める有利子負債の比率は27.5%となっております。また、自己資本比率は50.7%であります。ヒットは複数の金融機関と友好的な関係を継続しておりますが、今後の事業展開や経済情勢、経営環境の変化等によって、機動的に資金調達を行うこともあり、有利子負債の金利負担が増加した場合や調達金利が上昇した場合、新たに計画した資金調達が不調に終わった場合には、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットでは、広告媒体ごとに固定資産を認識しており、営業活動から生じる損益、回収可能価額を著しく低下させる事象、経営環境の著しい悪化の有無等により、減損の兆候の有無を把握しております。減損の兆候がある広告媒体が十分な将来キャッシュ・フローを創出できないと判断される場合には減損損失を計上することも予測され、ヒットグループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒットは、株主に対する利益還元を経営の重要な政策の一つと考えており、企業価値を最大化するための中長期的な取組みや事業拡大に必要な内部留保とのバランスを勘案し、継続的かつ安定的な株主還元を実施していくことを基本方針としております。
ヒットは毎年配当を計画しておりますが、将来的には一層の事業拡大を目指すことが株主に対する利益還元につながるとの考えから内部留保の充実を図る等、配当政策の方針転換を行う場合があります。
ヒットグループは、将来減算一時差異に対して、将来の収益力に基づく課税所得等を見積り、回収可能性があると判断した範囲内で繰延税金資産を計上しております。しかしながら、実際の課税所得が見積りと異なることで繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性がないと判断され、繰延税金資産を減額することになった場合、ヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在におけるヒットの発行済株式総数は5,560,000株、新株予約権による潜在株式数は710,400株(発行済株式総数に対する割合12.8%)であり、これら当該新株予約権の行使が行われた場合には、ヒットの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
また、本書提出日現在において、売出人である深井英樹、安田仁裕、勝山宏哉、高橋徹及び大岩義典の保有する新株予約権による潜在株式数は合計656,800株(発行済株式総数に対する割合11.8%)に相当しますが、当該5名は、本売出しによって得た資金の一部を各々が保有する新株予約権の行使代金に充当することで、安定株主比率の向上を目的とした新株予約権の行使を行い、取得した株式を継続保有する方針であります。
実際に当該行使が行われた場合にはヒットの1株当たりの株式価値の希薄化が進む可能性があります。
なお、ヒットでは、今後も優秀な人材確保のために、同様なインセンティブプランを継続して実施していく方針を有しており、今後付与される新株予約権の行使が行われた場合には、ヒットの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
創業者兼代表取締役会長である松丸はヒット事業に関する専門的な知識、技術、経験を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において、屋外広告に関する専門的な知識や経験を活かした意見を述べる等の重要な役割を果たしております。ヒットグループでは、取締役会やその他会議体においてその他の役職員への情報共有や権限移譲を進める等の組織体制の強化を図りながら、特定人物に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。
しかしながら、何らかの理由により松丸が経営、業務執行を継続することが困難になった場合には、ヒットグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
ヒットはシンガポールに連結子会社であるHIT SINGAPOREを設置し、ASEAN諸国における事業展開を計画しており、2027年6月期には屋外広告事業での売上計上を目指しております。また、ASEANでデジタル媒体の保有・新設を行うための媒体開発資金として、ヒットよりHIT SINGAPOREに対し、2026年6月期の100百万を皮切りに総額300百万円の投融資を、2028年6月期までに行う予定です。ASEANにおける広告市場調査を詳細に実施し、進出先における協力者の選定を慎重に行う等、事業展開に際しての準備には万全を期してまいりますが、進出先における政治的・社会的・経済的混乱や予測不可能な法令変更等を含むなんらかの要因により、ヒット子会社の海外事業戦略の変更を余儀なくされた場合、将来的なヒットグループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
ヒット代表取締役会長である松丸敦之は、ヒット子会社であるHIT SINGAPOREの社長を兼任し、広告市場調査や現地パートナーの開拓のため、1年のうち半分以上、現地滞在する体制をとっております。このような体制を採用した理由として、以下の3点が挙げられます。
① ASEAN進出を通じた事業拡大
長期的にヒットが大きく飛躍するために、ASEANでの屋外広告事業の展開は不可欠であると判断しております。そのため、シンガポールに法人を置くことで、今後ASEANにて媒体獲得交渉を行う場合や協業先の現地資本企業を探す場合に一定の信用力を有して交渉ができるというメリットを享受できると考えております。また、現地での本格的な事業展開時の準備期間を短縮できる点や現地人材確保等の点においても有利に働くことが期待されます。
② 屋外広告媒体に造詣の深い人員の配置
松丸を現地に滞在させている理由としては、当人の長年にわたる業界経験に基づき、マクロでの屋外広告市場調査能力、ミクロでの屋外媒体の市場調査能力、現地パートナーとの交渉力等において最適な人材であり、加えて媒体開発までのリードタイム、収益を生み出せる屋外媒体の発掘力、費用対効果等に関してもメリットを生み出せると総合的に評価したためであります。
③ 海外進出を果たす上で現地情報の精緻な把握が必須
屋外広告は、電波や印刷物を介して広範囲に伝達されるマスメディアの広告や、世界中どこにいても同質的に伝達されるインターネット広告とは異なり、広告媒体がどこにあるのか、そこはどんな場所なのか、ということが重要視される広告媒体であり、人流が多く視認性に優れた好立地での媒体確保ができるか否かが、屋外広告事業の成否を分けるポイントです。そのため、長期滞在を通じて、進出候補先の現地の情勢を常に把握しておくことが望まれます。広告コンテンツに関しても、どのようなメッセージやクリエイティブが好まれるのか(あるいは嫌われるのか)について、法令等の規制や文化的側面も含めて深く理解する必要があります。
以上の理由に加えて、松丸は情報収集能力や分析力に長けていることから、現地に長期滞在することは重要かつ効率的だと考えております。今後HIT SINGAPOREでは、従来よりも具体的な媒体開発に直結した活動が行われていく予定で、その存在意義はさらに高まるものと考えております。なお、ASEANの事業が後継者育成も含めて軌道に乗った際には、松丸を中心とした海外体制を解消する予定です。また、ヒットグループでは子会社の撤退基準(累積損失3億円以上かつ3年連続で営業赤字)を設けており、この基準を満たした場合、黒字化の目途が立つかどうかを含めた総合的な判断を行い、取締役会で撤退の決議を行うこととなっております。HIT SINGAPOREについては、新規デジタル媒体の稼働の始期となる2027年6月期を基準とする予定です。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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