すららネット(3998)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


すららネット(3998)の株価チャート すららネット(3998)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

すららネットグループは、すららネットとファンタムスティック社の計2社で構成されています。環境に左右されず、どのような子どもたちにも最適な「教育の機会」を提供することを目指しております。報告セグメントとしては「eラーニング事業」、「受託開発事業」及び「アプリ開発事業」の3つに区分しています。

すららネットeラーニング事業では、主に小学生・中学生・高校生を対象に、ICT学習教材「すらら」「すららドリル」等のサービス提供を行っております。また、すららネットサービスを導入する顧客に対して、すららネットサービスを活用した教育カリキュラムの企画・提案や、独立開業の各種支援、勉強会の定期開催等による各種経営支援サービス、他社とのコラボレーションによるコンテンツの提供等を行っております。受託開発事業では、教育にかかるコンテンツやアプリ等受託開発及び関連する保守やメンテナンスサービスの提供、アプリ開発事業では、ゲーミフィケーションを活かした学習コンテンツを自社開発し、Apple Store等よりダウンロードをして活用いただく知育アプリの提供を行っております。

すららネットグループは全セグメントの売上高、営業損益の合計額に占めるeラーニング事業の割合が、いずれも90%を超えるためセグメントの情報を記載せず、主要な事業についてのサービス概要を記載いたします。

 

eラーニング事業を担うすららネットの教材は、学習塾や学校など現場の声をもとに意見交換を行う「SuRaLabo」プロジェクト、大手企業との共同研究など、コンテンツの改善や利用者の学習効果向上に向けて様々な取り組みを行っています。今後も各教育機関と協働してのサービス開発や、学習履歴のビッグデータの利活用による新たなサービスの開発など、より学習効果の高い教材を目指していきます。

すららネットの教材は、PCやタブレット端末等のスマートデバイスに対応しております。海外マーケットにつきましては、独立行政法人国際協力機構や経済産業省から採択を受けた各種事業等を契機として、スリランカ、インドネシア、エジプト、カンボジア等でサービスの提供を行っております。

 

  すららネットeラーニング事業が提供するサービスの内容は以下のとおりです。

 

(1) サービスの概要

① 「すらら」「すららドリル」「Surala Math」「すららにほんご」の提供

AI×アダプティブラーニング教材「すらら」は小学校から高校までの国語、算数/数学、英語、理科、社会5教科の学習を、先生役のアニメーションキャラクターと一緒に、一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブなeラーニング教材です。レクチャー機能、ドリル機能、テスト機能により、一人一人の習熟度に応じて理解→定着→活用のサイクルを繰り返し、学習内容の定着をワンストップで実現できます。初めて学習する分野でも一人で学習を進めることができる特長を生かし、小・中・高校、専門学校や学習塾をはじめ、放課後等デイサービス等においても活用が広がっています。新たな個別最適化の取り組みとして、認知特性診断「Surala LIFT」と、認知特性別学習教材「漢字アドベンチャー」を追加しました。

「すららドリル」は、アダプティブなドリルと自動作問・採点機能を有するテストからなり、「すらら」の姉妹版として主に公立小中学校向けに提供しています。

「Surala Math」は、従来提供していたインタラクティブなアニメーションを通じて加減乗除の四則計算を中心としたICT教材「Surala Ninja!」に、「すらら」の算数/数学のローカライズ版を加えた海外向けICT教材です。スリランカ向けのシンハラ語版、インドネシア向けのインドネシア語版、エジプトやカンボジア、フィリピンで活用されている英語版があります。

新たな市場への取り組みとして2023年リリースした「すららにほんご」は、国内外の外国にルーツを持つ人たちが就労・留学・生活に必要なレベルの日本語を習得できるICT教材です。

 

② 「すらら」等を導入する顧客に対する経営支援

学習塾や学校等に対して、「すらら」等を現場で活用した教育事業の提案やカリキュラム提案、成功事例・各種ノウハウの提供等の経営支援サービスを提供しております。また、すららネットのサービスを使って学習塾を独立開業される方等に対して、物件探索や資金調達・販売促進活動・その他塾経営に必要な情報や研修等を提供する開業支援サービスも提供しております

 

③ 他社とのコラボレーションによるコンテンツサービスの提供

すららネットは「すらら」をはじめとする自社教材に加え、他社コンテンツとの連携により、サービスの品揃えを拡充し、顧客満足とユーザーの拡大を目指しております。すららネットは、他社との協働により、英語の発話トレーニングのできるAI機能や長文読解コンテンツ等を提供しております

④ BtoC受講者に対する包括的なサポート

すららネットのBtoC顧客の中には、不登校、発達障がい、学習障がいなど、悩みの深い家庭が多数含まれています。すららネットでは、保護者への包括的なサポートを目指し、「すららコーチ」による保護者向けコーチングや、保護者向け勉強ペアレント・トレーニング「ほめビリティ」、心理・教育アセスメントサービスの提供を行っています。また、不登校生がICT教材を活用することにより出席認定を得られる制度を活用するためのセミナーやアドバイス活動など、悩みの深い家庭の課題に寄り添い、包括的なサポートを行っています

 

(2) サービスの対象顧客と収益構造

すららネットは、オンライン学習教材「すらら」「すららドリル」等サービスを、主に学習塾、自治体や学校法人等、個人学習者に対して提供しております。すららネットの主な収益源は、すららネットオンライン学習教材の導入校や個人学習者に対して提供することによる、サービス利用料やID利用料収入であります。

 

〈学習塾・学校向け(BtoBtoC)の事業モデル〉

学習塾や学校等のBtoBtoCの事業モデルにおいては、すららネットは導入校に対してすららネットICT学習教材を利用するための管理者用ID(先生ID)を発行し、導入校は導入校に通う生徒向けに生徒IDを発行しております。導入校に通う生徒は導入校を介してすららネットオンライン教材を利用することになります。導入校は「すらら」等の各種機能を使って、生徒に対する受講フォローを実施しますので人件費・各種管理コストの発生を抑制することが可能となります。

「すらら」は従来より学習塾を経営されている個人顧客に加えて、すららネットのサービスを使って新たに塾を独立開業される方や、複数の校舎や生徒を有する学習塾や学校法人等、また、教育の多様化に伴いフリースクールや民間の学童施設、放課後デイサービス、各種専門学校などでも活用が広がっています。自治体や公立高校には「すららドリル」を提供しています。さらに、すららネットはすららネットのサービスを使って学習塾を独立開業される方等に対しては、「すらら」等サービスを提供することに加えて、「物件や資金調達、内装や生徒募集に関するサポート」、「定期開催による成功事例・塾経営ノウハウの共有」、「販売促進チラシ等の無償提供」等の各種研修や経営支援を実施しております。

すららネットによる「すらら」等サービス提供の対価として、学習塾においては、「すらら」等サービスを契約された1校舎につき課金される月額「サービス利用料」と、導入校がすららシステムに登録した生徒ID1つにつき課金される月額「ID利用料」を主な収益として得ております。また、学校法人においては、契約時に発生する「初期導入料」と、導入校がすららシステムに登録した生徒ID1つにつき課金される月額「ID利用料」を主な収益として得ております。

 

 

〈個人学習者向け(BtoC)の事業モデル〉

個人学習者向けのBtoCの事業モデルにおいては、すららネットが個人学習者に対して「すらら」を利用するための生徒IDを発行しております。各ご家庭には、すららネットと業務協力関係にある「すらら」導入塾の先生(すららコーチ)が指導経験を活かして、学習習慣の身に付け方を始めとした学習に関する悩みや、基礎学力、成績を上げるための学習設計をサポートします。

すららネットによる「すらら」サービス提供の対価として、個人学習者においては、生徒ID1つにつき課金される月額「ID利用料」を主な収益として得ております。また、導入塾の先生に対しては、受講フォロー業務委託料を支払うことにより、エンドユーザーの数が増える度に導入塾の収益も増えるといったすららネットとWin-Winの関係となる事業モデルを構築しております。

 

これらのサービス提供の結果、2024年12月末時点での導入校数は2,609校、利用ID数は249,407IDとなっております。

 

〈課金対象導入校数の推移及びID数の推移〉

年月

導入校数

利用ID数

学習塾

学校

海外

合計

学習塾

学校(注2)

海外

BtoC

合計

2010年12月末

97

47

144

1,322

16,465

49

17,836

2011年12月末

181

55

236

2,157

19,334

26

21,517

2012年12月末

318

57

375

3,543

21,346

44

24,933

2013年12月末

428

60

488

4,985

22,672

112

27,769

2014年12月末

511

72

583

6,682

25,739

127

32,548

2015年12月末

520

86

4

610

7,384

25,877

186

33,447

2016年12月末

543

111

21

675

9,610

27,314

812

218

37,954

2017年12月末

561

133

23

717

13,872

34,702

1,810

594

50,978

2018年12月末

797

154

29

980

15,895

41,545

2,248

1,122

60,810

2019年12月末

872

183

42

1,097

18,637

46,580

2,401

2,349

69,967

2020年12月末

1,116

1,096

55

2,267

25,280

343,151

1,936

3,416

373,783

2021年12月末

1,215

1,336

55

2,606

22,494

404,558

2,710

3,677

433,439

2022年12月末

1,204

1,191

95

2,490

19,430

328,882

7,819

4,161

360,292

2023年12月末

1,177

1,366

53

2,596

18,571

402,045

3,204

4,301

428,121

2024年12月末

1,196

1,338

75

2,609

19,013

222,264

4,398

3,732

249,407

 

(注) 1.すららネットICT教材の導入校数、利用ID数を各マーケット毎に表しています。

2.ご利用いただいているすららネットICT教材は以下となります。
すらら:主要5教科の学習を一人一人の理解度に合わせて進めることができるアダプティブなICT教材
すららドリル:ドリル機能、テスト機能に特化した公立小中学校向け「すらら」の姉妹版ICT教材
すららSatellyzer:宇宙をテーマに必要な基礎スキルを身につけていく高校生向け探究学習ICT教材

 

〈公立学校の導入校数及びID数〉

年月

公立学校(注1)

EdTech導入補助金(注2)

探究的な学び支援(注3)

学校数

ID数

学校数

ID数

学校数

ID数

2022年12月末

942

268,038

345

103,152

2023年12月末

1,034

326,866

282

133,296

2024年12月末

1,081

163,332

94

23,542

 

(注) 1.経済産業省EdTech導入補助金、探究的な学び支援により利用している学校数・利用ID数を含めていますが、すららネット既存契約校舎が採択された補助金申請分の学校数・利用ID数は控除しております。

2.経済産業省EdTech導入補助金により利用している学校数・利用ID数になります。

3.経済産業省探究的な学び支援により利用している学校数・利用ID数から、すららネット既存契約校舎が採択された学校数・利用ID数は控除しております。

 

 

[事業系統図]

 すららネットグループの事業の系統図は、以下のとおりであります。

 


〈用語集〉

※反転授業:これまで教室で一律講義していた新たな学習内容を、オンライン学習教材等を用いて自宅で予習することで教室では講義を行わず、その代わりに教室では従来宿題としていた課題について講師が個々の生徒の特性に合わせた指導を行ったり、生徒同士での協働学習を行う形態の授業

 

 


有価証券報告書(2023年12月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

1.経営方針

すららネットグループは、「教育に変革を、子どもたちに生きる力を。」を企業理念とし、新しい学習体験を届ける事業活動を通じ、学習者に「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を得られる機会を提供しています。貧困や障がいに苦しむ子どもたち、低学力の生徒、世界中の教育格差という社会課題を、最先端技術で解決する。教育格差を根絶することがすららネットグループの使命であると考えています。

すららネット教材は、従来の進学塾・予備校、人による個別指導塾や映像配信型の教材とは異なり、無学年式で、学習内容のさかのぼり、先取りを学年、学校種を超えて行える(高校生が小学校の復習に取り組むなど)特長を活かし、偏差値30~60と低学力層を含めた幅広いレンジの生徒が利用でき、一人ひとりの学力向上のみならず学習塾・学校全体の学力底上げを目指すコンテンツです。また、幅広い機能を有する学習管理機能により、教員の働き方改革への貢献も可能となります。すららネットは今後も、教材の開発・提供、教育現場でのEdTech活用のためのコンサルテーションならびに、学習者の学習履歴や解答情報をはじめとするビッグデータの活用や、AIのさらなる活用など、新しい教材やサービスの開発、提供を加速し、すららネット独自のポジションを確立していきます。

 

2.経営環境

わが国の教育業界においては、従来からの少子化の流れの中で、企業間競争が激しさを増しており、経営環境は依然厳しい状況で推移しているものの、すららネットが属するEdTech市場は、2020年度から始まった政府のGIGAスクール構想と、新型コロナウィルス感染拡大などの影響により、オンライン学習の普及が拡大し、高い水準で関心・注目が続いており、EdTech市場の市場規模は、2027年度には2,524億円に拡大することが予測されています。(出典:「ITナビゲーター2022年版」野村総合研究所 EdTech市場規模予測「コンテンツ(教科学習)」)

また、新学習指導要領が2020年度(小学校)、2021年度(中学校)、2022年度(高等学校)に実施され、新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実が図られます。新学習指導要領ではSociety 5.0 の実現を目指し、主体的・対話的で深い学び(「アクティブ・ラーニング」)の視点からの学習過程の改善が行われています。情報活用能力が、言語能力、問題発見・解決能力等と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられ、「各学校において、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境を整え、これらを適切に活用した学習活動の充実を図る」ことが明記されるなど、今後の学習活動において、積極的にICTを活用することが想定されています。同時に文部科学省からは、「学校における働き方改革に関する緊急対策」が発表され、ICTを活用することにより教員の働き方改革を実現することも期待されています。

文部科学省では、新学習指導要領の実施を見据え「2018年度以降の学校におけるICT環境の整備方針」を取りまとめるとともに、当該整備方針を踏まえ「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」を策定しました。1人1台端末や、家庭でも繋がる通信環境の整備等、GIGAスクール構想におけるハード・ソフト・指導体制を一体とした整備を加速させる方針が発表されましたが、2020年に起こった新型コロナウイルス感染症拡大を受け、当初のスケジュールが前倒しとなりました。2021年度末時点で全自治体等のうち、義務養育段階の学校においては98.5%が端末整備されたと報告があります。また、公立高校においては、2022年度1年生の1人1台端末整備は完了予定、2024年度全学年の1人1台端末整備が完了予定と予測されています。(出典:文部科学省「高校学校における学習者用コンピューターの整備状況について(令和4年度見込み)」)

なお、経済産業省では2020年度よりEdTech導入実証事業が進められました。EdTech導入実証事業は、EdTechを学校などに導入実証する事業者に費用の一部を補助する制度で、学校や教育委員会などの費用負担を軽減することによりEdTechを導入しやすくし、教育のイノベーションにつなげることを目的とした事業で、すららネットは2020年、2021年、2022年と採択されています。このように教育支援サービスも広がり、教育のICT化に向けた取り組みは一層加速し、教育現場へのEdTech導入がさらに広がっています。

 

 

3.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

すららネットグループが認識している対処すべき課題は、次のとおりであります。

 

① コンテンツの拡充

eラーニング事業では、「国語・算数/数学・英語・理科・社会」の主要5科目を網羅するAI×アダプティブなeラーニングコンテンツを提供しております。2022年秋にテストリリースをしました「探究学習」や、今後も多様化する教育ニーズに対応すべく、新しいコンテンツを企画し拡充してまいります。自社開発以外にも教育関連企業等と協働して、新しい技術を活用し、新しい分野でのコンテンツの制作に邁進してまいります。

 

② 開発体制の構築

eラーニングコンテンツの技術革新のスピードは、非常に早く、新たなサービスや競合他社が続々と現れることが予想されます。すららネットが競合企業とのサービスの差別化、競争優位性の確立を図るためには、迅速な開発体制の構築が不可欠となります。すららネットグループはこれらを実現するために、社内開発スタッフの技術向上、グループ会社間との連携、外部からの優秀な人材の採用、最先端の技術動向の調査、ビッグデータを活かした商品開発等に継続的に取り組んでまいります。

 

③ 情報管理体制の強化

すららネットグループでは、セキュリティの確保や情報管理体制の継続的な強化を行っていくことが重要であると考えております。2021年ISMSを取得し、情報管理にかかる施策には万全の注意を払っていますが、今後も情報管理体制の強化・整備を行ってまいります。

 

④ 優秀な人材の確保と育成

すららネットグループの持続的な成長のためには、すららネットグループの経営理念や事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人材採用し、開発体制、営業体制、管理体制を整備していくことが重要であると捉えております。特に大きく変革する教育業界においては、営業部門の人材が、学校や塾などの顧客の課題解決に向けての啓蒙や提案、継続的な支援を行うコンサルティング能力の向上が必要不可欠であり、そのための人材育成により注力して参ります。

 

⑤ システムの強化

すららネットグループはインターネット上でサービスを提供しており、システムの安定稼働の確保は必要不可欠です。あらゆる有事において通信障害が発生した場合、すららネットグループ事業に重大な影響を及ぼす可能性があるため、外部業者による脆弱性の確認等を継続的に行い、社員への教育・研修の実施等を継続して努めてまいります。

 

⑥ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化

すららネットグループのさらなる事業の拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの一層の強化が重要な課題であると認識しております。すららネットは、監査等委員会及び内部監査部門、任意の諮問機関である指名委員会・報酬委員会、ならびに会計監査人との連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の強化に取り組んでいく方針です。

 


事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

すららネットグループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、すららネットグループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び万一発生した場合でも業績及び財務状況に与える影響を最小限にすべく対応に努める方針であります。なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り、本書提出日現在においてすららネットグループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

1.業界環境に関するリスク

① EdTech市場について

近年、IT技術の発展やペーパーレス化の流れ等により、日本におけるEdTechのニーズは高まりを見せております。今後もスマートフォンやタブレット端末の普及により、EdTechに関するユーザーの需要は活発化していくことが予想されます。しかしながら、これらの市場のニーズや成長が大きく鈍化し、もしくは縮小した場合には、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② インターネット関連事業について

すららネットグループは、EdTech関連事業を主たる事業対象としているため、すららネット事業の継続的な拡大発展のためには、更なるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が必要と考えております。しかしながら、インターネットの利用等に関する新たな規制の導入や技術革新、その他予期せぬ要因によって、今後の利用拡大に大きな変化が生じた場合、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 少子化による影響について

教育業界は、長期にわたる出生率低下に伴う少子化により、学齢人口の減少という問題に直面しております。少子化による影響や、子どもにかかる学習費や学習塾の事業所数が増加傾向であることも相まって、教育業界では同業間での生徒数確保に向けた競争が激化していくことが予想されます。

このような状況の下、すららネットグループは、子どもたちには、「大人になっても役に立つ真の学力」と「努力をすれば結果が出るという自信」を身につけて頂くこと、すららネットグループのサービスを使って学習塾を独立開業される方等には、その経営を成功して頂くこと等を目指して事業展開を進める所存でありますが、今後、少子化が急速に進行し、教育市場全体が著しく縮小した場合、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 教育制度の変化について

近年、教育分野においては、グローバル化やICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)化の必要性が高まりを見せております。大学入試においても新制度導入が検討される等、今後も環境が変化し、また、子どもや保護者の教育に対するニーズも急速に多様化、個別化していくことが予想されます。

このような状況の下、すららネットグループは、細分化された顧客ニーズに対応した商品・サービスを提供するよう、新技術の開発やノウハウの取得を推進しております。しかしながら、将来において教育環境及び顧客ニーズがすららネットグループにおける対応を上回る規模で急激に変化した場合、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

2.事業に関するリスク

① 他社との競合について

すららネットグループは、「すらら」サービスをはじめとする特色あるサービスの提供や機能の強化、サービスラインナップの充実、学習塾や学校法人に対する経営支援体制の強化等に継続的に取り組み、競争力の向上を図っております。しかしながら、すららネットグループと同様にEdTechを提供している企業や新規参入企業との競争激化による顧客の流出やコストの増加等により、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 他社との業務提携について

すららネットグループでは、教育コンテンツの提供企業との業務提携等を通じた事業の拡大に取り組んでおります。すららネットグループと提携先が持つコンテンツや事業運営ノウハウ等を融合することにより、大きなシナジー効果を発揮することを目的としておりますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、またこれらの提携が解消された場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 技術革新への対応について

すららネットグループが事業を展開するEdTech業界においては、新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われております。これらの変化に対応するため、すららネットグループは、開発スタッフの採用・育成や最先端の技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対するすららネットグループの対応が遅れた場合には、すららネットグループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のために追加的なシステム投資、人件費等の支出が拡大する可能性があります。このような場合には、すららネットグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ すららネットの業務委託先のリスクについて

すららネットグループは、コンテンツ・システムのプログラミング等の一部の業務を外部に業務委託しております。すららネットグループは、業務委託先が開発遅延等を起こさないようにプロジェクトの進捗管理を慎重に実施しております。しかしながら、業務委託先において開発遅延、経営破綻、法令違反等が生じる等、サービス提供に重要な影響を及ぼす事象が発生した場合には、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 事業拡大に伴う継続的な設備投資について

すららネットグループは、今後の利用者数及びアクセス数の拡大に備え、システムインフラ等への設備投資を行ってまいりましたが、すららネットグループの計画を上回る急激な利用者数及びアクセス数の増加等があった場合には、設備投資、減価償却費負担の増加が想定され、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 校舎数と解約数の推移について

すららネットグループ eラーニング事業では、サービスを導入する学習塾や学校等の校舎数は、広告宣伝活動や営業活動による新規導入校数の増加等により拡大傾向にありますが、学習塾の独立開業者の減少や学習塾・学校における「すらら」等の導入が進まないこと等により、新規校舎獲得数が計画を下回る場合や、解約数がすららネットグループの想定よりも増加する場合等には、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ ID数の推移について

すららネットグループeラーニング事業では、学習塾や学校等の導入校に対する各種経営支援を通じて生徒数増加のための取組を推進しており、これらの活動等によってすららネットグループのサービスを利用するID数は増加傾向にありますが、すららネットグループから導入校に対する経営支援活動を行っても導入校において生徒数が増加せず、想定どおりのID数が得られない場合等には、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 法人顧客の解約について

すららネットグループeラーニング事業では、個人塾のみならず、複数の校舎や多くの生徒を有する学習塾運営会社や学校法人等の法人顧客との契約数の増加に向けた取組を推進しており、これらの学習塾運営会社や学校法人においては、「すらら」を活用した反転授業を教育カリキュラムに組み込むこと等により、「すらら」等の継続的な活用を促しております。

しかしながら、今後において、複数の校舎や多くの生徒を有する法人顧客において、他社サービスへの切り替えやその他の理由により、すららネットサービスの利用契約の解約が生じた場合、校舎数及びID数が大幅に減少することが想定されるため、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

 

 

⑨ 営業部門の人材の確保について

すららネットグループは、今後の更なる事業拡大を推進する上で営業部門における優秀な人材の確保及びその人材の育成が重要であると認識しており、適切な時期を見定めながら新卒や中途採用活動を実施し、また、採用した人材のモチベーションを向上させる人事諸制度の構築や教育の実施を進めております。しかしながら、現状においては、営業部門が少人数であり、一人当たりの役割が多いため、人材の新規採用が予定通りに進まない場合や既存の人材の社外流出等が発生した場合には、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ ソフトウエア開発について

すららネットグループは、競争優位性を高めるために、新サービスの開発や機能追加を行ってまいりましたが、サービス品質の向上や品揃えの充実のため、今後においてもソフトウエア資産の増加が見込まれます。

今後においてすららネットグループの想定を超えるソフトウエアの開発が必要となった場合には、減価償却費の増加が利益を圧迫する可能性があるほか、想定どおりの収益を獲得できず、営業損失を計上することとなった場合等には減損損失が発生する可能性があります。また、すららネットグループでは一部の開発を外部委託しており、外部委託先からの納品物の品質に問題が生じた場合にはソフトウエアの改修に係る費用や損失が発生する可能性があります。これらの事象が発生した場合、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ システム障害について

すららネットグループのサービスは、情報システム及び通信ネットワークを通じて提供しております。すららネットグループはシステムトラブルの発生可能性を低減させるために、以下のとおり対策を講じております。

 

1) 新規サービスのリリース時において事前検証を徹底する
2) 委託先が運営するデータセンターのサーバーを負荷分散し、障害時に備え日次バックアップを行う
3) サーバの保守・運営・管理業務は外部の専門会社へ委託し、障害の兆候が見受けられる時や障害が発生した時には、委託先からすららネットグループのシステム運用要員に通知する体制を整える

 

しかしながら、以下のようなシステム障害が発生した場合、すららネットグループのサービスは停止する可能性があり、業績に影響を与える可能性があります。

 

・電力供給不足、災害や事故等により通信ネットワークやサーバーが利用できなくなった場合

・コンピューターウイルス、不正アクセスによる被害にあった場合

・ソフトウエアや機器に不具合・欠陥が生じた場合等

 

3.法的規制に関するリスク

① 法的規制について

すららネットグループは、「個人情報の保護に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「電気通信事業法」等による法的規制を受けております。

社内の管理体制の構築等によりこれら法令を遵守する体制を整備・強化しておりますが、不測の事態により、万が一当該規制等に抵触しているとして何らかの行政処分等を受けた場合、また、今後これらの法令等が強化され、もしくは新たな法令等が定められすららネットグループの事業が制約を受ける場合、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

② 個人情報の管理について

すららネットグループは、すららネットのサービスを利用する生徒、取引先、従業員、株主等に関わる個人情報を有しております。すららネットグループは社内規程の整備、従業員への教育指導等、2021年2月にはISMS(JIS Q 27001)を取得し、個人情報の管理には万全を期しております。しかしながら、何らかの事情により個人情報が外部に漏洩した場合は、すららネットの社会的信用の失墜により、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 知的財産権に関するリスク

すららネットグループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、調査可能な範囲で対応を行っております。しかしながら、すららネットグループの事業分野ですららネットの認識していない知的財産権が既に成立している場合、または、今後すららネットが属する事業分野において第三者の権利が成立する場合には、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があり、またすららネットグループの知的財産が侵害された場合には、すららネットグループの事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

4.経営管理体制に関するリスク

① 代表取締役 湯野川孝彦への依存について

代表取締役である湯野川孝彦は、すららネットの創業者であり、創業以来すららネットの代表取締役を務めております。同氏は、EdTechをはじめとする新規事業の立ち上げや顧客に対する経営支援に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において極めて重要な役割を果たしております。

すららネットグループは、取締役会等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏がすららネットグループの業務を継続することが困難となった場合、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 小規模組織における管理体制について

すららネットは、本書提出日現在、取締役2名、監査等委員である取締役3名、従業員90名と小規模組織にて運営しており、内部管理体制もこれに応じたものとなっております。今後の事業の拡大及び多様化に対応して、人員の増強と内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、すららネットグループの事業活動に支障が生じ、すららネットグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

5.その他のリスク

① 配当政策について

すららネットグループの利益配分につきましては、業績の推移を見据え、将来の事業の発展と経営基盤の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、経営成績や配当性向等を総合的に勘案し、安定的かつ継続的な配当を維持することを基本方針としております。

しかしながらすららネットグループは、成長過程にあり、今後の事業発展及び経営基盤強化といった、内部留保の充実を図るため、配当を行っておりません。現時点においてすららネットグループは、内部留保の充実を優先しておりますが、将来的には、業績及び財務状態等を勘案しながら株主への利益の配当を目指していく方針であります。しかしながら、配当実施の可能性及びその実施時期等については、現時点において未定であります。

 

② M&A等について

すららネットは2022年1月にファンタムスティック株式会社を子会社化いたしました。同社についてはいずれすららネットグループの業績に大きく貢献すると見込んでおります。しかしながら、経営環境の変化等により、買収後の業績が取得時に見込んだ事業計画と乖離した場合には、のれんや関係会社株式を減損するリスクが生じ、すららネットグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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