ヤプリ(4168)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


ヤプリ(4168)の株価チャート ヤプリ(4168)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】(1)事業の概要 ヤプリは、「デジタルを簡単に、社会を豊かに」というミッションの下、ノーコード(プログラミング不要)でネイティブアプリ(*1)の開発・運用が可能なクラウド型アプリ運営プラットフォームを中核として、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業を展開しております。  ヤプリが提供するプラットフォームは、顧客企業における顧客体験(マーケティング領域)および従業員体験(HR領域)を支援するものであり、企業が自社のデジタル接点を効率的に開発・管理・運用するための基盤を提供しております。現在、事業の中心はアプリを起点とした企業のデジタル接点の構築支援であり、ウェブについては2025年5月に「Yappli WebX」の提供を開始し、導入拡大に取り組んでおります。なお、2026年2月には「Yappli MobileOrder」「Yappli MiniApp」の提供を開始し、将来的にはこれらを含むデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)での拡張を目指し、継続的なプロダクト開発に取り組んでまいります。 なお、ヤプリグループの事業は、アプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略をしております。 [事業系統図] (2)主力プロダクト ヤプリグループの主力プロダクトである「Yappli」は、アプリ開発の専門知識を持たない企業担当者であっても、ノーコードでiOSおよびAndroidのネイティブアプリを開発・管理・運営することができるクラウド型プラットフォームです。プッシュ通知(*2)、会員証・ポイント管理、コンテンツ管理、アクセス分析等の機能を提供しております。  Yappliのビジネスモデルはサブスクリプション型を基本としており、主な収益は基本利用料および追加機能に係る利用料(オプション料金)から構成されます。契約数の増加およびオプション機能の利用拡大に伴い利用料が増加し、低い解約率を維持することで収益が積み上がる構造となっております。 (3)提供ソリューション ヤプリグループは、主力プロダクト「Yappli」を基盤として、顧客企業の用途に応じたソリューションを提供しております。特に、「マーケティング領域」および「HR領域」を中心に展開しており、主な領域は以下のとおりであります。■ マーケティング領域(Yappli for Marketing) 企業が顧客向けに提供する公式アプリの開発・運営を支援するソリューションです。CRM施策、販売促進活動、オンラインとオフラインを連動させるO2O施策(クーポン配信、ポイントカード、ショップ検索等)、プッシュ通知を活用したセグメント別コミュニケーション機能等を提供しております。主にアパレル、生活雑貨、小売、飲食、食品業界を中心に導入されております。 ■ HR領域(UNITE by Yappli) 企業が従業員向けに提供する社内アプリの開発・運営を支援するソリューションです。社内ポータルや情報共有基盤として活用されるほか、ポイント付与等を活用した福利厚生施策の実施や企業理念・文化の浸透支援を通じて、従業員エンゲージメント向上を支援しております。主に人材業界、製造業、メーカー、労働組合等において導入されております。 ■ BtoB領域(Yappli for Business) 企業が取引先向けに提供するポータルアプリの開発・運営を支援するソリューションです。営業資料や商品情報の共有、販売促進施策の案内、動画コンテンツの配信等を通じて、取引先との情報共有の効率化および営業活動の高度化を支援しております。主にメーカー、卸売業、フランチャイズ展開企業等において導入されております。 ■ その他 上記の各領域に分類されない用途においても、企業が特定のステークホルダー向けに提供するアプリの開発・運営を支援しております。大学向けや自治体向けアプリ、イベント専用アプリ、会員向け情報提供アプリ等、様々な用途に応じた活用がなされております。 ■ 契約数構成比 2025年12月期末時点における契約数ベースの構成比は以下のとおりであります。 ソリューション名2024年12月期末2025年12月期末Yappli for Marketing66%62%UNITE by Yappli11%15%Yappli for Business9%7%その他15%15%新規事業(注)-1%(注)新規事業として、「Yappli WebX」、「Yappli MiniApp」の契約数を含めております。 (4)マルチプロダクト戦略 ヤプリグループは中長期的に、アプリ・ウェブ・LINEミニアプリ等を含む多様なデジタル接点を包括的に支援するデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)への進化を目指しております。主力プロダクトであるYappliを中核に据え、顧客企業のデジタル接点の多様化するニーズに対応するため、プロダクトラインアップの拡充に取り組んでおります。マルチプロダクト戦略のもと、提供範囲を段階的に拡張していくことを基本方針としております。 ■ Yappli WebX Yappli WebXは、AIおよびノーコード技術を活用し、企業のWebサイトを効率的に構築・運用できるウェブ構築プラットフォームであり、2025年5月に提供を開始いたしました。Yappliとのコンテンツ連携が可能で、アプリとウェブのデータを横断的に活用できる環境を提供し、顧客体験の一貫性向上および運用効率の改善を支援しております。 ■ Yappli MiniApp Yappli MiniAppは、企業が LINEミニアプリ をノーコードで開発・運用できるプラットフォームであり、2026年2月に提供を開始いたしました。LINEを通じた顧客接点に特化して、簡単かつ迅速にLINEミニアプリを構築できる環境を提供します。企業はスマートフォンを介した顧客との接点を最適化し、効率的な運用やマーケティング施策の実施を支援します。今後は、自社開発による機能拡張に加え、M&A等も含め必要に応じた手法を活用しながら、マルチプロダクトを推進し、プラットフォーム全体の価値向上を図ってまいります。 ■ Yappli MobileOrder Yappli MobileOrderは、飲食店におけるモバイルオーダー機能を提供するプロダクトであり、2026年2月に提供を開始いたしました。顧客が自身のスマートフォンを通じて注文および決済を行うことを可能とし、店舗運営の効率化および顧客利便性の向上を支援しております。 (5)ビジネスモデル及び主要KPI ヤプリグループの売上高は、「プラットフォーム売上(*3)」および「プロフェッショナルサービス売上(*4)」から構成されております。<プラットフォーム売上> プラットフォーム売上は、主力プロダクトであるYappliならびにその他プロダクトの基本利用料および追加機能に係る利用料等を主な内容とするストック型の収益であります。 契約数の増加やオプション機能の利用拡大に伴い利用料が増加し、一定の解約率を前提に収益が継続的に積み上がる構造となっております。ヤプリグループの売上高の大部分を占める収益区分であり、安定的な収益基盤を形成しております。 <プロフェッショナルサービス売上> プロフェッショナルサービス売上は、顧客企業のデジタル活用を支援するフロー型の収益であり、以下の2種類から構成されております。・制作支援:アプリやWebサイトの初期制作に係る企画・設計・構築支援業務・成長支援:アプリ運用支援およびマーケティング施策支援等、契約後の継続的な活用を支援 本売上区分は、プラットフォーム売上の拡大を補完する役割を担っております。 ■ 主要KPI ヤプリグループは、ストック型収益モデルの拡大を重視しており、主要KPIを全社ベースで管理しております。主な指標および直近5年間の推移は以下のとおりであります。 2021年12月期2022年12月期2023年12月期2024年12月期2025年12月期契約アプリ数(数)639783843893939月次解約率(直近12カ月平均)(%)(*5)0.680.880.810.780.92月額利用料割合(%)7780828182(注)2025年12月期より新規事業として「Yappli WebX」を含めており、月額利用料割合は、総売上高に占める月額利用料の割合を示しております。 (*1)ネイティブアプリとは、スマートフォンやタブレットのホーム画面に、App StoreやGoogle Playなどのアプリケーションストア経由でインストールして使用するアプリをいいます。(*2)プッシュ通知とは、スマートフォンのアプリにユーザーにとって必要な情報を配信し、表示や音で通知する機能を指します。(*3)プラットフォーム売上とは、月額利用料等のストック売上を指します。(*4)プロフェッショナルサービス売上とは、初期制作等の単発的に発生するフロー売上を指します。(*5)月次解約率とは、既存契約の月額課金額に占める、解約に伴い減少した月額課金額の平均割合です。

有価証券報告書(2025年12月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 ヤプリグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてヤプリグループが判断したものであります。 (1)経営方針 ヤプリは、「デジタルを簡単に、社会を豊かに」というミッションのもと、企業のデジタル活用を強力に支援することを経営の基本方針としております。 ヤプリグループの主力プロダクトであるノーコードアプリプラットフォーム「Yappli」を中核に据え、以下のマルチプロダクトの展開を積極的に推進しております。 「Yappli」は、プログラミング不要で誰でも簡単にスマートフォンアプリの開発・運用ができるノーコードプラットフォームであり、企業が自ら効率的にアプリを運用し、より高い成果を生み出すことを支援しております。「Yappli WebX」は、AIおよびノーコード技術を活用し、専門知識を必要とせずウェブサイトの構築・運用を実現するウェブ構築プラットフォームです。「Yappli MobileOrder」は、店舗等におけるモバイルオーダー機能を提供し、店舗運営の効率化および顧客利便性の向上を支援するプロダクトです。「Yappli MiniApp」は、企業がLINEミニアプリをノーコードで開発・運用できるプラットフォームであり、LINEを通じた顧客接点の最適化を支援しております。 これらのプロダクト群を有機的に組み合わせることで、アプリ・ウェブ・LINEといった多様なデジタルチャネルを統合管理する「デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(Digital Experience Platform、以下「DXP」)」の実現を目指しております。今後も自社開発による機能拡張に加え、M&A等も含め必要に応じた手法を活用しながら、DXPのさらなる推進を図ってまいります。 (2)経営戦略等 ヤプリグループは以下の事項を中長期的な経営戦略の方針としております。 ① マルチプロダクト戦略の推進 ヤプリグループは、主力プロダクトである「Yappli」を中核に据えつつ、顧客企業のデジタル接点の多様化するニーズに対応するため、プロダクトラインアップの拡充を積極的に進めております。 2025年5月には、AIおよびノーコード技術を活用したウェブ構築プラットフォーム「Yappli WebX」の提供を開始し、アプリに加えウェブ領域へと事業範囲を拡大いたしました。さらに2026年2月には、店舗等におけるモバイルオーダー機能を提供する「Yappli MobileOrder」および企業がLINEミニアプリをノーコードで開発・運用できる「Yappli MiniApp」の提供を開始し、デジタル接点のさらなる拡充を図っております。 また、「Yappli CRM」は、これらのマルチプロダクト群を横断して顧客データを一元管理するデータ基盤として機能しており、各プロダクトで蓄積されたデータを活用した顧客体験の最適化および効果的なマーケティング施策の実施を支援しております。 引き続き、自社開発による機能拡張を通じて各プロダクトの競争力強化を図るとともに、DXPを構成するプロダクトラインアップのさらなる拡充に取り組んでまいります。 ② ソリューション領域の強化 ヤプリグループは、マルチプロダクト群を活用したソリューション提供において、顧客体験向上を支援する「マーケティング領域」と、従業員体験向上を支援する「HR領域」の2軸に注力しております。 マーケティング領域においては、「Yappli for Marketing」を通じて、企業における顧客接点のデジタル化を支援しております。企業におけるアプリの重要性が高まっていることを背景に、アプリマーケティング等のプロフェッショナルサービスを強化し、顧客アプリのLTV向上を図るとともに、アップセルやクロスセルの創出に取り組んでまいります。 HR領域においては、「UNITE by Yappli」を通じて、従業員向けアプリの開発・運用を支援し、社内コミュニケーションの活性化や業務効率化など、従業員体験の向上を支援しております。 これら2つのソリューション領域において専門性の高いサービスを提供することで、顧客企業の多様な課題解決に貢献し、長期的な顧客関係の構築および収益基盤の強化を図ってまいります。 ③ 収益性の向上とバランス型成長 ヤプリグループは、持続可能な成長を実現するため、売上高の成長率と利益率の双方を重視した「バランス型の成長」を基本方針としております。これまでの先行投資により強固なプロダクト群の基盤が整ったことを受け、現在は投資効率を重視した成長フェーズにあります。 売上原価、販売費及び一般管理費につきましては、主に人件費、広告宣伝費、地代家賃およびサーバー費等から構成されております。マルチプロダクト訴求による効率的なリード獲得を進めることで広告宣伝費を抑制する一方、戦略推進を担う人員への投資を継続することで、収益性の向上と成長投資の最適なバランスを図ってまいります。 引き続き売上高の成長と収益性の改善を両立するバランス型の成長を目指してまいります。④ M&Aによる事業拡大 ヤプリグループは、DXPのさらなる推進に向けて、自社開発による機能拡張に加え、シナジーの見込める企業との提携やM&Aを機動的に実施することで、提供価値の向上と事業領域の拡大を図ってまいります。 2025年11月には、株式会社ヤプリフードコネクト(旧株式会社チューズモンスター)の株式を取得し連結子会社化することで、LINEミニアプリ市場への本格参入を実現いたしました。このように、ヤプリグループが持つノーコード技術・プラットフォーム基盤とのシナジーが見込める領域において、M&Aを積極的に活用してまいります。 今後も、DXPを構成するプロダクトおよびサービスの拡充および新たな市場・顧客層へのアクセス拡大を目的として、必要に応じた手法を柔軟に選択しながら、事業領域のさらなる拡大を図ってまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 ヤプリが顧客を獲得して売上を計上するまでのプロセスは、以下に記載のとおりであります。ヤプリでは、アプリ運営プラットフォーム事業において、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、各プロセスに関連する重要な経営指標は、契約アプリ数、アプリ当たりの平均月額利用料、月次解約率(直近12カ月平均)であると考えております。 (顧客獲得~売上計上のプロセス) リード獲得(*1)・・ヤプリマーケティング部門のマーケティング施策による潜在顧客リードの獲得 商談獲得・・・・・・・ヤプリインサイドセールス(*2)による潜在顧客への啓蒙活動や架電による商談の獲得 契約受注獲得・・・・・ヤプリフィールドセールス(*3)の商談の実施による契約受注の獲得 アプリ制作、申請・・・ヤプリディレクター(*4)、デザイナーによるアプリの制作、アプリストア申請 アップセル、解約防止・ヤプリカスタマーサクセス(*5)による、顧客のアプリ運用の成功支援 (4)経営環境※※以下に記載の統計データは、過去のデータ及び一時点における予測値であり、将来の結果を示唆または保証するものではありません。統計データに関する予測は、高い不確実性を伴うものであり、大きく変動する可能性があります。また、出典元の予測機関は、予測値の達成を保証するものではありません。  近年の情報通信技術の進化によって、インターネットの利用は社会全体に浸透し、DX(デジタル・トランスフォーメーション)が進みつつあります。企業においてもDXを後押しする傾向にあり、㈱富士キメラ総研公表の「2024 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」(2024年4月)によれば、この市場規模は2030年度には8.35兆円に到達すると予測されております。 一方、日本は他国と比較すると就業者に占めるIT技術者の割合が2.1%(世界37位)と低く(ヒューマンリソシア株式会社「2023版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.9」(2023年12月)より)、このようなデジタル化を下支えするIT人材の供給は年々不足が拡大していく(経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)- IT人材需給に関する調査 –」(みずほ情報総研委託)(2019年3月)より)と予測されております。さらに日本では、欧米と比較すると、IT企業に就職するIT人材の割合が高く(経済産業省「ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開」(2018年9月)より)、非IT企業は益々エンジニアリソースの不足を強いられる傾向にあると推察されます。 上記の背景の中、エンジニアを必要とせずクラウド上からソフトウェアを利用することができるSaaSの国内市場は2028年度では2023年度比45.8%増の3兆6,638億円(株式会社富士キメラ総研「ソフトウェアビジネス新市場2024年版」(2024年8月)より)に拡大することが見込まれております。また、総務省公表の「我が国のICT現状に関する調査研究(2018年3月)」によると、2017年の日本のSaaS導入率は41%に対して米国の導入率は79%であり、国内のSaaS市場は米国と比較するとまだまだ拡大する余地があることが推察されます。 ヤプリグループの事業ドメインである、スマートフォンアプリの市場環境に関しては以下のとおりとなります。 総務省公表の「令和3年版 情報通信白書」(2021年7月)によれば、携帯通信端末は従来型のフィーチャーフォンからスマートフォンに変化しており、スマートフォンの普及は2007年に米国でiPhoneが初めて発売されてから、わずか10年足らずで、加速的に普及してまいりました。2020年の世界のスマートフォン市場規模は3,389億ドル、出荷台数は12.9億台に対し、2023年には市場規模4,038億ドル、出荷台数は15.3億台にまで拡大すると推計されております。 我が国におけるスマートフォン個人保有率についても、2011年は14.6%であったものの、2023年では78.9%まで上昇しており、特に20~50代では約90%の高い利用率であります(総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」(2023年5月)より)。スマートフォンが普及したことによって、日常の様々な場面でアプリが使われるようになり、アプリのダウンロード数は2017年に1,781億ダウンロード(data.ai「アプリ市場予測2017-2022年版」(2018年5月)より)であったものの、2023年には2,570億ダウンロードへと増加いたしました(data.ai「モバイル市場年鑑2024」(2024年1月)より)。  また、経済産業省公表の「令和5年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」(2024年9月)によれば、物販のBtoC-EC市場規模は2023年で14兆6,760億円であり、このうちスマートフォン経由の市場規模は8兆6,181億円であります。市場規模に占めるスマートフォン経由の割合は58.7%で、2015年の27.4%と比較すると31.3ポイントの増加となり、今後もBtoC-EC市場規模及びスマートフォン経由比率ともに増加することが見込まれております。 さらに、ニールセンデジタル株式会社「ニールセンモバイルネットビュー2020」(2020年3月)によると、2019年の国内のスマートフォン経由でのオンライン滞在時間の内訳は全体の92%がアプリ経由で行われている事が発表されております。 上記のとおり、国内のDXが加速する一方、IT人材の不足は拡大することが予見される背景のもと、国内のSaaS市場は益々拡大し、あわせてスマートフォンアプリの必要性も継続的に拡大することが予見されております。このような市場環境の中、ノーコードでネイティブなアプリを簡単に開発、運用できるヤプリのYappliの重要性は益々高まっていくと考えております。 (5)市場規模 ヤプリはYappliを通じてコアソリューションのYappli for Marketingを中心に約5,000億円規模の国内Marketing Tech市場(マーケティング領域)でのシェアを引き続き拡大してまいります。その上で、YappliとYappli CRMを活用する成長ソリューションのUNITE by Yappliを中心に約3,300億円規模のHR Tech市場(HR領域)への拡大も進めてまいります。 (6)競合環境 ヤプリは主力プロダクトであるYappliの開発に創業前から累計10年以上の歳月を注ぎ、サービスの機能拡充、UI/UX(*6)の向上、顧客満足度向上、特許取得などに努め、日本を代表する企業との契約や低い解約率を維持するなどYappliの優位性を確保してまいりました。昨今、スマートフォンアプリの市場拡大により、複数の企業が類似するサービスを提供しておりますが、スマートフォンアプリ黎明期からの開発先行投資と認知を有しており、特に大企業に向けて提供する点においては、ヤプリが優位性のある状況と考えております。また、大企業の多くはスクラッチでネイティブアプリの開発を行うシステムインテグレーターに開発を外注しておりますが、システムインテグレーターとは提供するサービスの特性上、明確な差別化(プログラミング不要で開発・運用・分析を一手に担えるプラットフォーム、個別のカスタマイズは行わない代わりにYappli上で活用できる機能を継続的に拡充、サクセス支援、自動OSアップデート、毎月継続型の料金体系など)を実現しており、市場においてコストパフォーマンスに優れた競争力の高い地位を築いていると考えております。 (7)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ヤプリは、「デジタルを簡単に、社会を豊かに」というミッションのもと、持続的な成長と企業価値の向上に向けて、以下の課題に優先的に取り組んでおります。 ① 既存プロダクトの競争力強化と収益基盤の安定化 主力プロダクトであるアプリ開発プラットフォーム「Yappli」においては、市場競争の激化および顧客ニーズの高度化に対応するため、継続的な機能開発およびサービス品質の向上が重要な課題であると認識しております。AIを活用した機能の拡充やデータ分析機能の強化、外部サービスとの連携強化等によりプロダクト価値の向上を図るとともに、カスタマーサクセス体制の強化により解約率の低減および顧客基盤の安定化を推進してまいります。 ② マルチプロダクト化の推進による成長機会の拡大 ヤプリグループは、アプリに加え、ウェブやLINEミニアプリ等の多様なデジタル接点を統合的に支援するデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)への進化を目指しております。「Yappli WebX」および「Yappli MobileOrder」等の新規プロダクトの成長を加速させるとともに、プロダクト間の連携およびクロスセルを推進し、顧客当たり収益(LTV)の最大化を図ってまいります。また、M&Aや資本提携を通じた事業領域の拡張にも取り組んでまいります。 ③ 事業領域別戦略の高度化 マーケティング領域においては、エンタープライズ企業を中心に、顧客特性に応じた営業戦略の高度化を進め、既存システムからのリプレイス需要の取り込み等によりシェア拡大を図ってまいります。HR領域においては、「UNITE by Yappli」を軸として、人的資本経営への関心の高まりを背景とした従業員エンゲージメント向上ニーズを取り込み、導入拡大およびサービス価値の向上に努めてまいります。 ④ 人材の確保・育成および組織基盤の強化 ヤプリグループの持続的成長のためには、優秀な人材の確保および育成が重要な課題であると認識しております。採用活動の強化に加え、教育研修の充実やリーダーシップ開発を通じて組織能力の向上を図ってまいります。また、事業規模の拡大に対応した組織体制の整備や働きやすい環境の構築を推進し、生産性の向上と人材の定着を図ってまいります。(*1)リードとは、マーケティング施策により獲得した潜在顧客の連絡先のことを言います。(*2)インサイドセールスとは、SaaS業界において潜在顧客へのサービスの啓蒙活動や商談設定に従事する部隊を言います。(*3)フィールドセールスとは、SaaS業界において潜在顧客との商談を実施して契約の受注を獲得する部隊を言います。(*4)ディレクターとは、ヤプリにおいては、アプリの制作や申請について顧客と協議し要件の定義をおこない、アプリストア申請が完了するまでのディレクションを行う部隊を言います。(*5)カスタマーサクセスとは、SaaS業界において契約後の顧客のサービス活用に関するナレッジを共有するなどをして、顧客のサービス導入の目的を達成する(カスタマーサクセス)支援を行う部隊を言います。(*6)UIとは、User Interfaceの略称でユーザーが電子端末を操作する際の入力や表示方法などの仕組みを言います。また、UXとは、User Experienceの略称でサービスなどによって得られるユーザー体験を言います。

事業等のリスク

3【事業等のリスク】本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ヤプリグループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、ヤプリ株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてヤプリが判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。 (1)モバイルアプリ市場についてヤプリが事業を展開している国内モバイルアプリ市場の売上高は、2016年の126億ドルから2026年には175億ドルまでに成長すると予測されており(出典:総務省「令和5年版情報通信白書」、「令和6年版情報通信白書」)、ヤプリは今後も引き続き同市場を基盤とした事業を展開する計画であります。しかしながら、今後、経済情勢や景気動向により同市場の拡大が鈍化、縮小するような場合には、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (2)競合他社の動向についてヤプリ事業は、プログラミング不要でネイティブアプリを簡単に開発、運用できるクラウド型のアプリ運営プラットフォームを提供しております。プロダクトの継続強化や特許の取得による参入障壁の強化を行っており、現時点においてヤプリ事業を脅かす、もしくは同等レベルでノーコードのアプリ開発、運用ができるプラットフォームを大企業向けに提供している競合他社は存在しないと考えております。外部ソリューションとの連携強化やパートナーアライアンスの構築も推進しております。しかしながら、競争環境激化によりヤプリと同様のシステムを大企業向けに提供する競合他社が参入し、ヤプリの優位性が失われるような場合、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (3)技術革新についてヤプリが事業を展開している国内モバイルアプリ市場は、技術革新のスピードが早い市場であります。ヤプリが競争優位性を維持するためには、技術動向を的確に把握し、迅速に製品へ反映していくことが必要です。ヤプリでは、各種イベントやセミナーへの参加、社内の定期的な勉強会等を通じて、モバイルアプリ市場の技術革新の動向を把握するとともに、これらに対応した新サービスの提供に努めております。また、近年進展する生成AIをはじめとする新技術についても、製品への活用を含めた検討を進めております。しかしながら、ヤプリが技術革新に適切に対応できない場合、またはヤプリの想定を超える革新的な技術やサービスが生じた場合、ヤプリの競争力が低下し、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (4)生成AI技術の進展について近年、生成AIをはじめとするAI技術の発展が進んでおり、企業における活用事例も拡大しております。これらの技術の進展は、技術的側面のみならず、企業のIT投資方針やデジタル施策の優先順位にも影響を及ぼす可能性があります。現時点において、AI技術の普及がヤプリの受注状況や価格水準に重大な影響を及ぼしている状況にはありませんが、企業におけるIT投資の重点がAI関連領域へとシフトした場合、アプリ開発やデジタル体験向上に係る投資予算が抑制又は再配分される可能性があります。また、AI技術を活用した施策の実行にあたっては、適切なセキュリティ対策やデータ管理体制の整備、専門的知見を有する人材の確保等が求められる場合があり、顧客企業の意思決定の在り方が変化する可能性もあります。ヤプリにおいても生成AIを含む新技術の活用を進めておりますが、市場環境や投資動向の変化に適切に対応できない場合には、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (5)モバイルアプリに代わるツールの普及についてヤプリグループのサービスを利用する顧客の多くはモバイルアプリをユーザーへのマーケティング、もしくは情報共有のツールとして使用しております。しかしながら、将来的にモバイルアプリに代わるツールが出現、普及した場合に、ヤプリのサービス利用が減少し、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6)単一セグメントであることについてヤプリグループの事業はアプリ運営プラットフォーム事業の単一セグメントであることから、市場の変化の影響を受けやすい性質があります。ヤプリは、市場の変化に対して臨機応変に対応する方針でありますが、市場全体が縮小を続ける等、ヤプリの対応に限度があるような場合、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(7)先行投資に伴う財務的影響についてヤプリが運営するアプリ運営プラットフォーム事業においては、システムの機能性・利便性の向上及び市場シェアの拡大を目的として過年度においてシステム開発人員に係る人件費や広告宣伝費等の先行投資を実施してまいりました。これらの先行投資は2022年度に概ね一巡しております。2023年12月期以降、先行投資型から売上高と利益の成長を両立するバランス型の成長戦略にシフトしており、費用対効果を重視した先行投資管理を行った結果、営業利益の黒字化を達成いたしました。2025年12月期も収益性の改善がさらに進み営業利益率14.6%となりました。2026年12月期においても、広告宣伝費及び人件費を中心に一定規模の投資を計画しつつ、LTV/CAC(*1)の水準を4~6倍を目標として、先行的な投資効率を管理する方針であります。しかしながら、経営環境の急激な変化等のリスクの顕在化等により、これらの先行投資が想定通りの成果に繋がらなかった場合、ヤプリの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。 (*1)LTV/CACとは、顧客1契約あたりの生涯に生み出す収益(LifeTimeValue)を、1契約の顧客獲得コスト(CustomerAcquisitionCost)で割り戻した数値を言います。ヤプリでは((新規獲得の顧客単価×粗利率÷月次解約率)+初期制作収入単価×粗利率)/((セールス人件費+マーケティング人件費+広告宣伝費+デモアプリ制作費)/新規顧客数)により算出しており、デモアプリ制作費とは、顧客に納品する初期的なアプリ制作に係るヤプリ従業員の人件費を指します。 (8)知的財産権についてヤプリグループが保有する知的財産権が違法に侵害されることによって、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、ヤプリは、ヤプリの提供するサービスが第三者の知的財産権を侵害しないように留意しており、現在まで第三者の知的財産権を侵害したとして損害賠償や使用差止めの請求を受けたことはありません。しかしながら、ヤプリが認識せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できず、その第三者よりヤプリに対する損害賠償請求訴訟等が起こされることにより賠償金の支払い等が発生した場合には、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (9)個人情報の管理についてヤプリグループが提供するYappliでは、顧客企業から委託を受けてお預かりした個人情報を取り扱います。お預かりした個人情報については、外部漏えいや不正利用等の防止のため、情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理・保護しております。また、ヤプリは個人情報保護のために、プライバシーマークを取得しており、個人情報の保護に積極的に取り組んでおります。アクセス権限の厳格な管理、定期的なセキュリティ監査の実施、また情報の取り扱いに関する従業員教育を徹底し、万が一の漏洩や不正利用に備えた対応策を整備しております。しかしながら、悪意あるハッキングやコンピューターウィルス等により、ヤプリが保有する個人情報が漏えい、盗用等される可能性を完全に排除することは困難であります。ヤプリが保有する個人情報が漏えい、盗用等されることとなった場合、ヤプリの社会的信用が失われるとともに、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10)システムや通信インフラ環境についてヤプリグループ事業は通信ネットワークやサーバー等のネットワーク機器の作動環境に依存しております。ヤプリが構築しているコンピュータ・システムは、適切なセキュリティや保護手段を講じておりますが、自然災害や不正アクセス等によって通信ネットワークの切断やネットワーク機器の障害が発生した場合、ヤプリの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)Apple Inc.及びGoogle LLCの動向についてヤプリサービスにおいて主に提供されるモバイルアプリは、Apple Inc.及びGoogle LLCのプラットフォーム運営事業者の仕様に従い、アプリ提供の申請、承認を受けることが重要な前提条件であります。これらのプラットフォーム運営事業者の動向や著しい仕様変更によっては、ヤプリの事業展開や事業運営に影響を与え、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12)内部管理体制の強化についてヤプリグループは、現在の事業規模に応じた内部管理体制を整備・運用しており、今後は事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大及び人員の増加に合わせ、適時に内部管理体制の強化ができなかった場合、適切な事業運営が行えず、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (13)人材の獲得及び育成についてヤプリグループが今後成長を続けるためには、各方面で優秀な人材を配置することが必要不可欠であります。そのため、既存の人材の育成はもちろんのこと、優秀な人材の獲得にも努めております。しかしながら、人材の育成・獲得が円滑に進まない場合、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (14)法令についてヤプリグループは、電気通信事業法等、企業活動に関わる各種法令の規制を受けております。現在のところ、ヤプリ事業に対する各種法規制の強化等が行われるという認識はありませんが、今後国内において新たにプライバシー関連法規の制定やインターネット関連事業者を規制する新たな法律等による法的規制の整備・強化がなされた場合、ヤプリの業務が一部制約を受け、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (15)訴訟についてヤプリグループでは、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図ることを目的にコンプライアンス規程を整備し従業員へ周知することで、法令違反などの発生リスクの低減に努めており、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開する中で、ヤプリが提供するサービスの不備や取引先、第三者との間での予期せぬトラブルの発生等により何かしらの問題が生じた場合には、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。その場合、当該訴訟に対する防御の為に費用と時間を要する可能性がある他、ヤプリの社会的信用が毀損され、ヤプリの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (16)新株予約権の行使による株式価値の希薄化についてヤプリは、役員及び従業員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しております。また、2026年3月開催の定時株主総会において、取締役に対する譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。これらの新株予約権の行使、または譲渡制限付株式報酬制度に基づく新株の発行等が行われた場合、ヤプリ株式が新たに発行または処分され、既存株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 (17)株主還元政策についてヤプリは、株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つと位置付けております。ヤプリはこれまで成長投資を優先する観点から、創業以来配当を実施しておりませんでした。しかしながら、収益力の向上及び財務体質の改善が進展する中、資本効率の向上及び機動的な資本政策の遂行を目的として、当事業年度において自己株式の取得を実施いたしました。その後、事業成長に向けた投資と株主還元を両立できる経営基盤が整ったと判断し、ヤプリとして初めて剰余金の配当(中間配当)を実施するとともに、期末配当を実施いたしました。今後につきましては、中長期的な成長投資とのバランスを図りつつ、自己株式の取得及び配当を含む総合的な株主還元策を、業績動向、財政状態及びキャッシュ・フローの状況等を総合的に勘案のうえ、利益成長に沿って安定的かつ持続的に実現を目指すことを基本方針としております。なお、経営環境の変化、業績の動向又は将来の投資計画等によっては、株主還元策の内容が変更となる可能性があります。 (18)資金使途についてヤプリのSaaS型アプリ運営プラットフォーム事業においては、上場後の現在においても、システムの機能性・利便性の向上及び市場シェアの獲得が重要と考えております。そのため、上場時に調達した資金の使途につきましては、システム開発や事業拡大に伴う人件費及びマーケティング費用へ積極的に投資していきたいと考えております。しかしながら、インターネット関連市場は変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、上記計画以外の使途に使用する可能性があります。また、上記計画通りに資金を使用したとしても、当初想定していた事業規模の拡大が進まない可能性があります。なお、将来にわたっては、資金調達の使途の前提となっている事業計画・方向性が見直される可能性があります。 (19)為替変動によるリスクヤプリは国内で事業を展開しているため、為替の影響は比較的少なく抑えられていると見ておりますが、ヤプリの既存顧客及びターゲット顧客層の中には、円安の影響により事業の運営が厳しくなっている企業が含まれるため、解約また新規顧客獲得に悪影響が出る可能性があります。また、ヤプリの費用についてですが、サーバー費用や社内で使用している一部のツールは為替の影響を受けるため、為替相場が円安になった場合、ヤプリの費用が増加する可能性があります。



※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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