チームスピリット(4397)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


チームスピリット(4397)の株価チャート チームスピリット(4397)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

(1)事業の概要

 チームスピリットグループは「すべての人を、創造する人に。」というミッションのもと、「個を強く。チームを強く。」をビジョンに掲げ、「チームスピリット」の提供を主としたSaaS (Software as a Service)(注1)事業を行っております。また「チームスピリット」の導入や運用に関してユーザー企業を有償で支援するプロフェッショナルサービスも展開しております。

 「チームスピリット」は、すべての従業員が日常的に利用する業務システムの内、勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSといったシステムを一体化したチームスピリットサービスになります。従来この領域は、ERPと組み合わせて一から開発するか、ERPのオプション機能として提供されたシステムを個社仕様にカスタマイズして使用されていましたが、「チームスピリット」は、これらの様々な利用者機能(データの登録機能)を一つのサービスに纏めSaaSとして独立させました。異なる分野の利用者機能が一つのデータベース及びワークフローで展開されることで、それぞれのデータをかけ合わせて分析することや、各種決裁フローをデジタル化することが可能となり、企業に求められる高度な内部統制を実現することができます。

 日本は少子高齢化による労働力人口の減少という社会課題に直面しており、多くの日本企業にとって生産性の改善や多様な人材が活躍できる労働環境の整備が重要な経営課題となっています。とりわけ、日本はOECD加盟国の中で労働生産性が最も低いとされています。こうした環境下で企業が成長し続けるためには、既存の組織及びビジネスモデルの根本的な構造改革に挑戦することに加えて、イノベーションを実現することが必要不可欠であり、多くの日本企業にとって、「デジタルトランスフォーメーション」(以下、「DX」という)(注2)による生産性の向上は避けては通れない重要な課題となっています。

 「チームスピリット」は、業務の効率化や可視化を通じ、個人やチームの生産性向上を実現するためのサービスです。足下では、“場所や時間にとらわれない新しい働き方”が広まりを見せており、働き方そのものに対するパラダイムシフトが起きています。そのような事業環境の中で、「チームスピリット」の需要は高まっており、2024年8月末時点で「チームスピリット」の契約ライセンス数は545,519ライセンス、契約社数は1,967社となりました。なお、チームスピリットグループはSaaS事業の単一事業となります。

 

(2)チームスピリットグループのサービスについて

<チームスピリットグループが提供する主なサービス>

種別

サービス名称

サービス内容

ライセンス

「チームスピリット」サービス

勤怠管理、工数管理、経費精算の基本機能を単独もしくは複数組み合わせて利用が可能なSaaS(電子稟議、カレンダー、SNS等の機能も利用可能)

アドオンサービス

プロジェクト原価管理

プロジェクト原価管理サービス

アサイン管理

アサインメントを最適化するサービス

プロフェッショナルサービス

スポットサポート

プレミアサポート

顧客の本番稼働や着実な運用のために、担当コンサルタントが実施する有償支援業務

 

 

a.「チームスピリット」

 チームスピリットグループの中核サービスで、勤怠管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSなど、従業員が日々利用するシステムです。このクラウドサービスは、ユーザー企業のニーズに応じて、パッケージとしても単機能としても利用できます。インターネット経由で必要な期間に応じて、単独または複数の機能を組み合わせて利用することができ、ハイブリッドワークやフレックスタイムなど、多様なワークスタイルをサポートします。2023年9月にサービスラインナップを刷新し、「TeamSpirit」と「TeamSpirit EX」のサービス名称を「チームスピリット」に統一しています。

 

 「勤怠管理」の機能においては、単なる出退社時刻の記録だけでなく、残業時間の推移・36協定の順守状況・インターバル時間・有給休暇の取得状況・必要な休日確保の状況など、近年特にニーズの高い長時間労働の抑制や健康確保措置としての労働時間管理を実現します。

 また「工数管理」の機能では、「勤怠管理」と組み合わせることでリアルタイムに従業員の働き方を可視化し、トップパフォーマーの時間や経費の使い方などのワークログ(業務における活動記録)を分析する等して、従業員が生産性高く働くための質の高いコーチングを提供するといったような生産性向上の実現をサポートします。

 「チームスピリット」の各機能を使って働き方を可視化することで、従業員一人ひとりの間接業務を効率化してタイムマネジメントの質を向上させ、アウトプットの増大を実現します。

 

「チームスピリット」の契約ライセンス数及び契約社数の推移は以下のとおりです。

 

 

b.プロジェクト原価管理(アドオンサービス)

 「チームスピリット」のアドオンサービスのひとつで、「チームスピリット」と組み合わせて使用するプロジェクト原価管理サービスです。主に人の作業時間が原価となるプロジェクト型のビジネスにおいて、見積りを作成するための工数計画を作成することができ、計画後は「チームスピリット」で登録された工数実績との比較により原価の予実管理を行うことができます。

 

c.アサイン管理(アドオンサービス)

 「チームスピリット」と連携してタレントアサインメントを最適化するサービスです。個人のスキルや経験に基づいた最適なアサインや、勤怠管理と連動することでメンバーの負荷状況を考慮したアサインが可能となります。また、過重労働の防止や納期の正確な予測も可能となります。

 

d. プロフェッショナルサービス

 「チームスピリット」は、原則としてユーザー企業自らで、導入から運用までを実施いただけるようデザインされておりますが、導入目標日に確実な本稼働を迎えたい、導入に係わる担当者の負荷を極力抑えたい、運用段階のシステム設定や新規帳票のレイアウト作成の人材が不足しているなどのお客様の課題に対して、高度なIT及び業務スキルをもったコンサルタントがユーザー企業を有償で支援するサービスを提供しております。

 

 なお、販売体制については、ユーザー企業から直接受注する直販ビジネスを中心としておりますが、一部大企業のお客様向けの販売を目的として、パートナーにサービスを卸しユーザー企業に再販でご利用いただく再販パートナーや、既存で取引のある顧客を紹介いただく紹介パートナーとの協業があります。

 

(3)ビジネスモデルについて

《サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル(注3)による安定性と成長性》

 

 「チームスピリット」は顧客企業に対し、使用した期間に応じたサービス料をユーザー人数分のサブスクリプション(定期購入)として課金するビジネスモデルを採用しています。サブスクリプションが複数年にわたり継続して利用されることで、新規・追加の契約数を解約・削減数が上回らない限り、収益が前年度を上回るという安定性がありながら、高い成長を目指すことが可能です。当連結会計年度でのチームスピリットグループの売上におけるリカーリングレベニュー(継続収益:ライセンス売上+プレミアサポート売上)の比率は約9割となっています。

 収益の安定に重要な契約の継続のために定期的なバージョンアップを実施しており、顧客満足度の向上を実現することで高い継続率を維持しています。またチームスピリットグループでは既存のお客様に対する活用促進を行う営業体制を構築しており、「チームスピリット」の追加導入などにも注力し継続的なリカーリングレベニューの成長を目指しております。

 サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルの単一事業であることから、経営の安定性と成長性が両立できることに加え、年間の契約金額を一括前払いで回収しているため経常的な運転資金は発生しません。キャッシュ・フローの面でも非常に安定していることがチームスピリットグループのビジネスモデルの特徴です。

 

《シングルソース・マルチテナント形式(注4)による顧客価値の最大化とコストダウン》


 「チームスピリット」は、SaaSという形態で提供しており、ご契約いただいたすべてのお客様がそれぞれ共通のソースコードで作られた1種類のアプリケーションを使用しています。これを、シングルソース・マルチテナント形式と言います。日々増加するお客様からの要望にお応えして、年間複数回の定期メジャーバージョンアップを提供するなど常に機能を強化・拡大させることができるので、お客様にとっての価値を継続的に向上させることができます。開発者は特定のソースの開発に集中できるので比較的少ないリソース(コスト)で高機能なサービスを開発することが可能です。

 さらに「チームスピリット」は従業員1,000名以上のエンタープライズ企業(注5)にもご利用いただいておりますが、仕様が複雑な大規模なお客様であってもアプリケーション本体の改造をせずにシングルソース・マルチテナントで提供できる充実した機能性や優れたサポート体制がビジネス上の大きな優位点であると考えています。

 

《エンタープライズ企業に選ばれるSaaS》

 「チームスピリット」は、パブリッククラウド(注6)で利用できるPaaS (Platform as a Service)(注7)である、Salesforce,Inc.(注8)が運営しているLightning Platform上に構築されております。基盤となるサーバーなどのシステム機器の提供・情報セキュリティ対策・バックアップなどの運用は、すべてSalesforce,Inc.が実施します。そのため株式会社セールスフォース・ジャパンとのOEMパートナー契約(注9)を基に1ライセンス当たり月額課金の仕入が発生する以外、サービス提供に関わる設備投資や運用投資を抑制することができます。その上、ワークフローやSNS及びデータ連携機能、レポート・ダッシュボードなどの分析機能、さらにはAI(機械学習・ディープラーニング)機能やIoTとの接続機能など、システムで使う共通機能もPaaSに実装されています。そのため開発リソースをすべて業務アプリケーションに投下できるメリットがあります。そのことによりサービス改善サイクルを高速化し、SaaSビジネスで最も重要な持続的な顧客体験価値の向上が可能になると考えています。

 また、世界中で利用されているSalesforce,Inc.が提供するクラウドプラットフォームにより、金融機関からグローバルに活動するエンタープライズ企業まで、安心して「チームスピリット」をご利用いただける環境を提供できているものと考えています。

 

(注)1SaaSとは、Software as a Serviceの略称で、ソフトウエアをインターネット経由のサービスとして提供することです。

デジタルトランスフォーメーションとは、情報システムによる業務効率化の域を超え、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)などデジタル技術を活用して新たなビジネスを生み出し、人々の生活をあらゆる面でより良くするという概念のことです。

サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルとは、使用した期間に応じたサービス料をユーザー人数分のサブスクリプション(定期購入)として課金するリカーリングレベニュー(継続収益)型ビジネスモデルのことです。

シングルソース・マルチテナント形式とは、ひとつのシステム環境を複数企業で共同利用することです。

企業(市場)規模の定義は以下のとおりです。

名称

定義

エンタープライズ企業(市場)

従業員が1,000名以上の企業(又はその企業を対象とした市場)

ミッド企業(市場)

従業員が100~999名の企業(又はその企業を対象とした市場)

スモール企業(市場)

従業員が99名以下の企業(又はその企業を対象とした市場)

パブリッククラウドとは、クラウド上のサービスのうち不特定多数の利用者を対象に広く提供されている形態のことです。特定の利用者を対象として提供される「プライベートクラウド」との対比で用いられます。

PaaSとは、Platform as a Serviceの略称で、ソフトウエアを稼動させるための土台となるプラットフォームを、インターネット経由のサービスとして提供することです。

Salesforce,Inc.とは、米国カリフォルニア州に本社を置く、クラウドコンピューティング・サービスの提供企業です。株式会社セールスフォース・ジャパンは、Salesforce,Inc.の子会社です。

OEMパートナー契約とは、Lightning Platformを仕入れチームスピリットグループ商品に結合して販売することができる契約のことです。

 

[事業系統図]

 


有価証券報告書(2024年8月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

チームスピリットグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてチームスピリットグループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

《ミッション》

「すべての人を、創造する人に。」

すべての人が創造性を発揮し、人の数だけ世界を変えていく。

チームスピリットは、変化を巻き起こす機会を創る会社であり続けます。

 

《ビジョン》

「個を強く。チームを強く。」

一人ひとりの挑戦するチカラに加速力をもたらし、一人ひとりが主人公となって動く。

強い「個の集団」が生まれ、あらゆる壁を超えていく世の中を実現します。

 

《コアバリュー》

Customer Value
  お客様自身が気付いていない価値の創造にこだわります
Team Spirit
  誠実にリスペクトの気持ちを持って、関係者と貢献の輪を創ります
Innovation
  理想のビジョンを描き、光速で実験し、失敗から学びます
Re:Start-up
  毎日スタートアップ初日に戻り、未知を探索します

 

 チームスピリットグループはこのようなミッション、ビジョン、コアバリューにより「働く人の創造的な時間を生み出し、チームの力を最大限引き出す」ことを基本方針に、「お客様の成功」を判断基準として経営しております。

 

《経営方針》

少子高齢化と労働人口の減少が進む日本の産業社会において、生産性の改善は最大級の課題です。働き方改革を成果として結実させるためには「生産性改革」と真正面から向き合っていく必要があり、その課題をテクノロジーの力で解決していくことが、チームスピリットに課された大きな使命であると感じています。

私たちが提供する「チームスピリット」は、勤怠管理、工数管理、経費精算といった従業員が日常的に利用するバックオフィス業務システムを、1つのプラットフォームの中で自由に組み合わせて利用できるクラウドサービスです。2011年のサービスローンチ以降、多くの企業の働き方改革に貢献してまいりました。

「チームスピリット」は、長時間労働の是正や休暇取得管理などの労務管理業務にとどまるものではなく、従業員一人ひとりの働くデータ(ワークログ)を活用し、個を強くし、チームを強くするソリューションです。このプロダクトを通じて、多くの企業が直面している「生産性改革」を真正面からとらえ、その課題を解決するための顧客価値をお届けします。

私たちは「すべての人を、創造する人に。」のミッションを実現すべく、志を同じくする仲間とともに「Oneチームスピリット」の精神でこの社会課題に対し全力で向き合い、ステークホルダーの皆さまとともに持続的な発展を目指してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

 チームスピリットグループのSaaS事業は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルであるため、ARR及び契約ライセンス数を増加させ解約率を低位に留めることで、売上高及び利益の成長を実現し、継続的な企業価値の向上と株主への利益還元を目指します。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

 我が国は、少子高齢化による労働力人口の減少という大きな社会課題に直面しており、多くの日本企業にとって生産性の改善や多様な人材が活躍できる労働環境の整備が重要な経営課題となっています。加えて、テレワークやハイブリッドワークが急速に広まったことで、働き方そのもののパラダイムシフトが起こり、高度な労務管理や働き方の可視化による生産性の改善の重要性は今後もさらに高まっていくものと考えております。

 

 このような状況の中で、チームスピリットグループはQoW(Quality of Work = 「働くコト」の質)の向上を実現するためのツールやソリューションの市場が急拡大すると考えており、幅広い業種や規模の企業の「働くコト」を巡る経営課題の解決に貢献するべく、チームスピリット主力サービスであるERPフロントウェア「チームスピリット」をさらに強化し、営業活動を拡大していく方針であります。特に、エンタープライズ企業のフロントウェア領域で現在主流となっている、手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたパッケージシステムを「チームスピリット」でリプレイスしていく「エンタープライズ市場開拓」を中期的な経営戦略として位置付けております。

 

 なお、このような経営環境におけるチームスピリットグループの商品、ビジネスモデルは「第1 企業の概況 3 事業の内容」に記載しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

チームスピリットグループが提供するサービスは、多様な働き方への対応や生産性の改善、チーム力の強化といった、「働くこと」や「人的資本」を取り巻く企業の課題意識の高まりを背景に、今後もますますの需要増加が期待されます。チームスピリットグループのさらなる成長を実現するため、優先的に対処すべき課題は以下のとおりであります。

 

①エンタープライズビジネスの拡大

 チームスピリットは、「エンタープライズビジネスの拡大」を成長戦略の柱に据えて、製品開発、マーケティング、営業、新規領域・プロダクトの各領域に投資を行っております。2024年8月期においても、従業員1,000名以上のエンタープライズ企業から新規受注を獲得し、エンタープライズビジネスの拡大を進めております。この戦略を成功させることが、中長期的な企業価値及び株主価値の向上に資すると考えており、成長性と収益性のバランスを取りながら投資を行ってまいります。

 

②ミッド・スモール市場の成長再加速

 ミッド・スモール市場には多くの競合が存在しており、足もとの成長率はやや鈍化傾向にあります。運用利便性を向上させるUIの改善や継続的な機能強化及び新機能のリリースに加え、インサイドセールスやWebマーケティングの強化等、ミッド・スモール市場の成長を再加速させるために各種施策を推進してまいります。また、カスタマーサクセスの継続的な強化を行い、解約率の削減にも取り組んでおります。

 

③新規領域への事業拡大及びマルチプロダクト開発の加速

 チームスピリットグループは、持続的な成長率を実現するために、積極的な新規事業・プロダクトの開発が不可欠であると考えております。既存事業の周辺領域における新サービスの開発にとどまらず、新たな領域への新規事業の開発を進めるマルチプロダクト戦略を行い、中長期的な成長再加速を目指してまいります。

 

④優秀な人材の確保と育成

 チームスピリットグループの中長期的な企業価値の向上に向けて、優秀で意欲的な人材を採用し、その定着を図ることは経営基盤を強固にしていくために非常に重要な課題であると認識しております。チームスピリットグループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。また、従業員の職位、職務に応じた適切な研修を積極的に行い、人材の教育・育成を進めてまいります。

 

⑤中長期的な収益性の向上と安定したキャッシュ・フローの創出

 チームスピリットグループは、ARR成長を最優先としながらも、収益性向上に向けた経営の効率性を高めることを重要戦略にしております。

 2024年8月期からすでに投資対効果を見極めながら規律を持った投資を行っており、今後もARR成長に向けた投資は継続するものの、収益性向上に向けた経営効率性を高めるための取り組みを行ってまいります。

 2025年8月期には、営業利益率3%以上、2026年8月期において営業利益率10-15%を目指していく方針です。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。チームスピリットグループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてチームスピリットグループが判断したものであります。

 

(1)経営環境の変化について

 チームスピリットグループのSaaS事業は、企業を主要顧客としており、勤怠管理など顧客企業の従業員が毎日使用する機能を提供しています。国内外の経済情勢の変動や景気動向等を理由として直ちに契約が解約される性質の商品ではないため安定的な収益を見込んでおりますが、顧客企業のIT投資マインドが減退するような場合には、新規契約数が鈍化する可能性など、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)クラウド市場の動向について

 チームスピリットグループが事業を展開するクラウド市場は着実な成長を続けております。チームスピリットグループはこの市場成長傾向は継続するものと見込んでおり、その中で一定のシェアを獲得するべく、商品や営業組織の拡充を図っております。しかしながら、国内外の経済情勢の変動や景気動向等を理由として予期せずクラウド市場の成長が鈍化するような場合には、新規契約数の鈍化など、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)株式会社セールスフォース・ジャパンに関するリスク

 チームスピリットグループが顧客に提供しているアプリケーションは、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するクラウドプラットフォーム(Lightning Platform)上に構築されております。なお、同社との契約における解除条項は以下のとおり定められておりますが、現状で解除条項に抵触しておりません。

・相手方が本契約の重大な違反をして、違反のない当事者からの書面の通知の受領後30日以内に、その違反を是正しなかった場合。

・特定の四半期において、チームスピリットグループの有効なユーザー合計数が25%以上減少し、さらにその後2ヶ月連続して10%以上減少した場合。

・相手方に、解約しようとする当事者の直接競合者による支配権の変更があった場合。

・相手方が、破産又は、支払不能、管財人による財産管理、清算、債権者への財産譲渡に関するその他の手続の申し立ての対象となった場合。

 また、現状では株式会社セールスフォース・ジャパンに日本からの撤退の予定はなく、今後の契約関係も安定して継続する見込みであります。しかしながら、同社の経営戦略の変更により日本でのLightning Platformの提供が廃止・停止となった場合、Lightning Platformの機能に障害が発生してチームスピリットグループのアプリケーションに影響が生じた場合、Lightning Platformの競争優位性が失われた場合、Lightning Platform利用料(チームスピリットグループのプラットフォーム仕入価格)の引上げを要求された場合、同社とのOEMパートナー契約の解除事由に抵触し契約を解除された場合には、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)営業活動に関するリスク

 チームスピリットグループはこれまで、クラウド市場や働き方改革市場の拡大などを背景として事業の拡大をしてまいりました。今後は、エンタープライズ企業を中心により幅広い業種や企業との契約を増やしていく予定でございますが、商談日数の長期化や段階的な導入などにより、売上計上時期が変動し、チームスピリットグループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)想定を上回る解約が生じるリスク

 チームスピリットグループのSaaS事業は、サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルであるため、顧客満足度を高めることで解約率を低く維持するための施策を行っております。しかしながら、顧客企業の利用状況や経営環境の変化などの理由により、毎年一定の解約が発生しております。予算及び経営計画には将来の解約を見込んでおりますが、想定を超える解約が発生した場合には、チームスピリットグループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)新規契約数の季節変動について

 チームスピリットグループの売上は顧客企業の人事及びIT予算により構成されるため、新規契約時期は顧客企業の予算策定スケジュール、システム刷新計画、人事部門の繁忙期などの影響を受けます。また、既存顧客における人員増加による追加契約時期については、多くの顧客企業の会計年度末である3月末前後となる傾向が見られます。したがって、季節に依らず契約数が推移する業種に比べて、顧客毎の年間スケジュールに依存するほか、システム刷新計画の変更により、契約の獲得件数の変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。
 

(7)競合について

 チームスピリットグループが提供する勤怠管理や経費精算等のフロントウェアソリューション領域においては、特にミッド・スモール市場を中心に多くの競合企業が存在しておりますが、チームスピリットグループのサービスは単一機能を提供することに止まらず、勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSといった従業員が日々利用する機能をひとつに集約することで、複合的な視点で従業員の活動記録(ワークログ)をリアルタイムに可視化し、より効率的で生産的な働き方を実現することを目指しております。また、より幅広いお客さまニーズに対応するため、2023年9月にサービスラインナップを刷新し単機能プランを新設しました。

 エンタープライズ市場においては手組みのスクラッチシステムやカスタマイズされたオンプレ型のパッケージシステムの利用が主流となっており、チームスピリットと同じクラウドサービスの競合企業はミッド・スモール市場と比較しても少ない状況です。しかしながら、競合企業の技術力の向上や予期しないサービスの登場などにより、現在以上に競争が激化する場合には、新規契約数の鈍化や既存契約先の解約数増加など、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)単一事業であることのリスク

 チームスピリットグループの売上は、「チームスピリット」とその関連サービスで構成されており、SaaS事業の単一事業となっております。国内の労働力人口の現象により、企業の生産性向上に寄与するシステムに対する需要の成長傾向は継続するものと見込んでおりますが、当該市場の成長が鈍化するような場合、事業環境の変化等への対応が適切でない場合には、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人材の確保について

 チームスピリットグループのビジネスの成長持続には、優秀なエンジニア、コンサルタント及びセールス人材を安定的に確保することが重要と認識しております。チームスピリットグループでは継続的に従業員の採用及び教育を行っておりますが、従業員の採用及び教育が計画どおりに進まないような場合や人材流出が進むような場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)訴訟について

 本書提出日現在において、重大な訴訟を提起されている事実はございません。しかしながら、チームスピリットグループが事業活動を行う中で、顧客等からチームスピリットグループが提供するサービスの不備、アプリケーションの不具合、個人情報の漏洩等により、訴訟を受けた場合には、チームスピリットグループの社会的信用が毀損し、チームスピリットグループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)知的財産権に係る方針について

 チームスピリットグループは、販売する商品の名称につき、商標登録を行っており、将来展開を計画している商品についても商標権の取得を目指す方針であります。チームスピリットグループの保有する知的財産権を保護するために細心の注意を払うと共に、他社の知的財産権を侵害しないように顧問弁護士等と連携し必要な措置を講じてまいります。ただし、チームスピリットグループの知的財産権の侵害やチームスピリットグループの他社侵害を把握しきれずに、何らかの法的措置等が発生した場合、チームスピリットグループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)システムトラブルについて

 チームスピリットグループが顧客に提供しているアプリケーションは、クラウドという特性上、インターネットを経由して提供されており、その可用性をインターネットに接続するための通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。チームスピリットグループはシステムトラブルを最大限回避すべく、企業向けクラウドプラットフォームとして多くの企業から信頼されているSalesforce,Inc.が運営するLightning Platform上にアプリケーションを構築しております。しかしながら、自然災害及び事故等による予期しえないトラブルが発生し、大規模なシステム障害が起こるような場合には、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)重大な不具合について

 チームスピリットグループが提供するアプリケーションは、開発計画から本番リリースに至るまでの開発プロセスが定められております。顧客へ提供する前に、厳しい品質チェックを行った上で本番リリースしておりますが、顧客への提供後に重大な不具合(バグ等)が生じ、補修等追加コストの発生や信用の失墜、損害賠償責任が発生した場合、チームスピリットグループの事業活動及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)情報管理体制について

 チームスピリットグループでは、業務に関連して多数の顧客企業の情報資産を取り扱っております。情報セキュリティ基本方針を策定し、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施する等、情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、何らかの理由により重要な情報資産が外部に漏洩するような場合には、チームスピリットグループの社会的信用の失墜、損害賠償責任の発生等により、チームスピリットグループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)内部管理体制の構築について

 チームスピリットグループは、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制をさらに強化する必要があると認識しております。今後は人材採用及び育成を行うこと等により内部管理体制の強化を図っていく方針であります。しかしながら、内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、チームスピリットグループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)我が国における働き方の変化について

 チームスピリットグループの主力商品である「チームスピリット」は、勤怠・就業管理機能を主要機能の1つとして構成しており、今後、勤怠・就業管理を必要としない成果管理主義型の働き方が浸透した場合や、法規制の改正等により勤怠・就業管理の位置づけに変化が生じた場合、チームスピリットグループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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