シノプス(4428)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


シノプス(4428)の株価チャート シノプス(4428)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 シノプスは「われわれは在庫に関わる"人"、"もの"、"金"、"時間"、"情報"を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する。」を基本理念とし、在庫を抱える流通業の発展と活性化に貢献するサービスを提供する事業運営を行っております。その実現のために「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに掲げ、需要情報を需要起点で小売業・卸売業・製造業の流通三層に一気通貫で連携するディマンド・チェーン・マネジメント(以下「DeCM」という)(※1)構築を経営戦略の柱としております。このDeCMを実現するために、シノプスは流通業向けAIサービス「sinops(シノプス)」シリーズを提供しております。

 

■「sinopsシリーズ」の事業領域

 

 

 なお、シノプスの事業は「sinops事業」の単一セグメントであり、①「sinopsシリーズ」をクラウド型で提供するクラウドサービス、②「sinopsシリーズ」を一括販売型で提供するパッケージ販売、③「sinops」の導入効果を最大化するためのシステム構築及び運用構築を支援する導入支援サービス、④「sinops」の日常運用を支援するサポートサービスの4つのサービスを軸に事業を展開しております。また、シノプスには、エンドユーザーに対する直接販売及び販売パートナーによる販売の2種類の販売形態があります。

 

 

※1 ディマンド・チェーン・マネジメント

 需要側(消費者等)から得られる情報を基点として商品開発、生産・供給計画、流通、販売体制等を統合的に編成する情報管理システムのことです。具体的には、POSデータ等の情報をもとに需要予測を行い、生産管理や在庫管理を最適化することを目指すシステムです。

 

(1)クラウドサービス

 クラウドサービスは、「sinops-CLOUD」の利用料にサポートサービスが含まれております。「sinops-CLOUD」は、基本機能である「リアルタイム在庫」を中心に需要予測・自動発注・店舗オペレーション改善に関する機能を展開しており、ユーザーは必要な機能を1機能・1カテゴリ・1店舗から利用開始できます。ユーザーとしては、初期費用を抑えたうえでスピーディに利用開始できるため、短期間で導入効果を得られます。「sinops」の導入効果は、①発注時間の削減、②欠品率の削減、③値引・廃棄ロスの削減、④在庫金額の削減といった4つの指標を設定しており、ユーザーが導入効果を実感できるサービスとなっております。

 

(2)パッケージ販売

 シノプスのパッケージ販売は、小売業向け需要予測・自動発注システム「sinops-R6」を中心に、品揃え計画・棚割計画・棚割メンテナンス・発注端末・本部送り込み支援・賞味期限管理等の機能が統合されたソフトウエアパッケージ群を一括販売型で提供しております。また、卸売業向けキャッシュ・フロー最適化システム「sinops-W」、製造業向け中長期需要予測システム「sinops-M」といったように、流通三層それぞれに適したパッケージ製品を展開しております。シノプスのパッケージ販売の特徴は、他社事例を参考にした費用対効果の提示ではなく、顧客の実データを利用したシミュレーション結果に基づきsinops導入の費用対効果を具体的な金額で提示することにあります。

 

(3)導入支援サービス

 導入支援サービスは、「sinopsシリーズ」を導入する企業に対して、基幹システムとのデータ連携、本部・店舗・拠点での運用構築支援及びインターフェイスなどのカスタマイズ開発のサービスを提供しております。シノプスの導入支援サービスの特徴としては、ただシステムを連携するのではなく、導入企業が「sinops」の導入効果を高めるための支援を行うことにあります。また、クラウドサービスもしくはパッケージ販売した企業には、必ず導入支援サービスを提供し、導入企業が「sinopsシリーズ」の導入効果を出すことを最重要視しております。

 

(4)サポートサービス

 サポートサービスは、「sinopsシリーズ」の導入支援サービスが完了した企業に対して、日々の問い合わせ対応、稼働・運用状況の監視、障害発生時のリカバリ作業及びKPIの維持・向上サービスを提供しております。

 

■製・商品及びサービスの特徴

(1)「sinopsサービス」をクラウド型で提供する「sinops-CLOUD」

 「sinops-CLOUD」は、需要予測・自動発注サービスのノウハウを、1機能・1カテゴリ・1店舗から利用できるクラウド型流通業向けAIサービスです。クラウド型でサービスを提供し、ユーザーは必要な機能だけを利用することができます。

 

 

(2)需要予測型自動発注システム「sinops-R6」

 「sinops-R6」はエキスパート法によるAI機能(※2)を搭載した小売業向け需要予測・自動発注システムです。特に牛乳・卵・豆腐・袋麺などの日配食品や、惣菜、パンなど、賞味期限が短く、かつ、週に何度かのチラシ特売により価格も頻繁に変わるカテゴリへの自動発注における実績が多くあります。例えば、ある牛乳を50円引きで特売すると何割販売数が増えるのかの予測はもちろん、代わりに日頃最もよく売れている牛乳がその影響を受け何割販売数が減るのかというカニバリゼーション(共食い状態)を正確に予測する必要があります。カニバリゼーションを考慮しなければ、余った商品に値引きシールを貼って販売せざるをえなくなり、その作業の無駄と値引きによる損失が発生してしまいます。さらに悪化し、廃棄するとその損失は収益に大きな影響を与えることになります。

 「sinops-R6」は過去のデータから商品ごとに販売価格別に数量PI(1,000人あたりの販売数)を自動計算するのみならず、影響を受けるライバル商品の数量PIも合わせて計算し必要に応じて発注数を抑制しますので、欠品による機会ロスのみならず、値引きロスや廃棄ロスをも合わせて改善することができます。

 

 

※2 エキスパート法によるAI機能

 エキスパート法とは、専門知識のない人あるいは初心者でも専門家と同じレベルの問題解決が可能となるよう、その領域の専門知識をもとに動作するコンピュータシステムのことです。システムは専門家のかわりに特定の分野に特化した知識をもとに推論を行い、専門家のようにアドバイスや診断を行います。

 

(3)店舗での発注業務をタブレット1つで完結「sinops-Pad」

 「sinops-Pad」は、iPad/Windowsタブレット上で棚割(※3)を修正できるシステムであり、従来の棚割システムでは非常に面倒だった棚割修正をタブレット上で直感的に操作できるシステムです。その結果、棚割データが現場と一致しやすくなり、最適発注を継続するための重要な要素である棚割情報を正確に把握できるようになります。

 

 

※3 棚割

 棚割とは、商品を陳列棚のどこに、いくつ陳列するかを計画することをいいます。

 

「sinops-Pad画面」

 

 

(4)人的資源最大化AIサービス「sinops-WLMS」

 「sinops-WLMS」(Work Log Management System)は、「作業」と「ヒト」に焦点をあて、人時生産性改善・向上を目的とした人的資源最大化AIサービスです。曖昧になりがちな「人の働き」をデータ化・解析し、最適な稼働計画、予実管理、人材育成を提案します。より少ないコスト(人時数)で最大のパフォーマンス(収益向上)を実現するための現場マネジメントを支援します。

 

(5)食品バリューチェーン最適化サービス「DeCM-PF」

 経営戦略の柱であるDeCM構築に向けて、段階的に「DeCM-PF」のサービス提供を開始しています。「DeCM-PF」はディマンド側である小売業の実績や計画に基づいてAIが算出した需要予測データを、卸売業や製造業に連携することで食品流通の課題を解決し、食品バリューチェ―ンを最適化するプラットフォームです。「特売リードタイム長期化サービス」の活用等により卸売業の在庫調整業務の負荷軽減や、車両及びドライバーの手配の計画性の向上、物流センターの過剰在庫や欠品リスクの抑制に貢献します。

 

■「sinopsシリーズ」について

対象

製品名

概要

内容

提供価値

sinops-CLOUD(※4)

クラウドサービス

「sinopsサービス」をクラウド型で提供するサービスです。リアルタイム在庫を基本機能として、日配・惣菜向けの自動発注システムやAI値引きサービス等を提供しております。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

sinops-R

自動発注システム

「sinopsサービス」を小売業向けにパッケージ販売型で提供するサービスです。販売実績・価格・売り方・天候などの様々な要素から需要を予測し、最適発注を実現します。日配食品からグロサリ・雑貨まで幅広いカテゴリの需要予測・自動発注が可能です。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

sinops-Pad

棚割メンテナンスアプリ

iPad/Windowsタブレット上で棚割を修正できるシステムです。従来の棚割システムでは非常に面倒だった棚割修正がタブレット上で直感的に操作でき、本当の棚割状況を本部で確認できるようになります。

・棚割修正作業の効率化

・発注端末費用の削減

・店舗との棚割ギャップ解消

sinops-Dcont

賞味期限チェックアプリ

短時間で実施しなければならず、ミスが許されない賞味期限チェック作業を効率化するシステムです。

・賞味期限チェック作業の削減

・賞味期限切れ販売の削減

sinops-MD

品揃最適化

システム

店舗ごとの販売実績から最適な品揃え・最適陳列数を提案するシステムです。「sinops-R」と連携することで、収益を最大化する品揃え計画の立案が可能になります。

・個店採算性の向上

sinops-DM

本部送り込み支援システム

本部送り込み(※5)企画を支援し、企画商品をどの店舗にいくつ配荷したら最適かを自動算出するシステムです。「sinops-R」と連携することで、特売ロスを削減することが可能です。

・特売ロスの削減

sinops-BPO

ワンストップ自動発注サービス

「sinops」に関連する店頭作業を業務受託するサービスです。

・発注作業の効率化

sinops-WLMS

人的資源最大化AIサービス

小売業の作業ログを収集・分析し、勤務シフトや作業スケジュールの作成、教育支援を行うことで、人時生産性改善・向上に貢献するシステムです。

・人時生産性の改善、向上

 

 

対象

製品名

概要

内容

提供価値

sinops-W

キャッシュ・フロー最適化システム

毎日需要予測を行い、発注点を自動更新することで最適在庫を維持し続ける自動発注システムです。仕入条件・賞味期限・商品受け入れ作業時間といった様々なことを考慮し、キャッシュ・フローを最適化できます。

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

・自動化による人手不足解消

・機会ロス削減による売上向上

sinops-IM

移送指示最適化

システム

「sinops-W」と連携することで過剰在庫を算出し、拠点間の在庫偏在をなくすように移送指示を行うシステムです。どの拠点に在庫があるかを電話で確認する必要がなくなり、自動で出てくる移送指示を承認するだけで作業が完了します。

・在庫削減による

 キャッシュ・フロー改善

・無駄な発注の削減

sinops-M

中長期需要予測

システム

エリア別の製品需要を予測し、製造業の生産計画の精度向上に貢献するシステムです。シリーズの「sinops-R/W」と連携することでDCMを確立でき、大幅な生産ロス改善を実現します。

・生産ロスの削減

 

※4 sinops-CLOUD各サービスについて

対象

製品名

概要

内容

提供価値

sinops-CLOUD

リアルタイム

在庫

クラウドサービス

タイムリーな在庫・売上情報が分かるシステムです。需要予測・自動発注サービスの基盤となるサービスです。

・店舗従業員の作業効率向上

・需要予測・自動発注精度

 の向上

sinops-CLOUD 惣菜

クラウドサービス

惣菜に特化した自動発注サービスです。アウトパック惣菜(※6)、インストア惣菜(※7)のどちらにも対応し、リアルタイム在庫機能と連携することで時間帯別の需要に合わせた最適発注を行います。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

sinops-CLOUD FoodCAS

クラウドサービス

惣菜等の食品表示ラベルの作成支援サービスです。原材料情報から、添加物、栄養素、原価を自動計算。専門担当者がいない店舗でも、食品表示ラベルを容易に作成できます。

・自動化による人手不足解消

・店舗独自の惣菜メニュー開発

 が可能になることによる売上

 向上、廃棄ロス削減

sinops-CLOUD 日配

クラウドサービス

日配食品に特化した自動発注サービスです。値引き・欠品・カニバリゼーションも加味し、売上・粗利を最大化する最適発注を行います。

・自動化による人手不足解消

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

sinops-CLOUD グロサリー

クラウドサービス

グロサリーに特化した自動発注サービスです。棚割りシステムと自動連携することで、ボリューム感を考慮した発注数を起案します。

・欠品率、在庫金額の改善

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD パン

クラウドサービス

パンに特化した自動発注サービスです。値引き・欠品も加味し、売上・粗利を最大化する最適発注を行います。

・売上、粗利の最大化

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD 精肉

クラウドサービス

精肉に特化した自動発注サービスです。高精度需要予測により、不定貫の精肉カテゴリに対応。プロセスセンターとの連携により店舗での発注業務を改善できます。

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・自動化による人手不足解消

・生産計画制度の向上

sinops-CLOUD 外食

クラウドサービス

外食業に特化した自動発注サービスです。過去売上情報をもとに原材料の最適な発注数量を予測します。

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

sinops-CLOUD AI値引

クラウドサービス

AIによる適正値引きアラートサービスです。適切なタイミング・値引率をAIが算出することで、ロス削減・売上向上に貢献します。

・値引き、廃棄ロス削減による利益向上

・機会ロス削減による売上向上

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD 客数予測

クラウドサービス

高精度で来客数予測ができるサービスです。競合店の開店・閉店や地域の催事を考慮することができるうえ、45日先まで予測が可能です。

・販売予測、生産計画制度

 の向上

・シフト作成の効率化

・自動化による人手不足解消

sinops-CLOUD 包材

クラウドサービス

包装資材向けの自動発注サービスです。食品製造業の生産実績、製品マスタなどのデータを用いて、今後の生産計画を予測し、必要な包装資材の発注数を算出します。

・適切なタイミングでの

 包装資材の発注・補充

sinops-CLOUD 本部送込

クラウドサービス

本部送り込み企画を支援し、企画商品をどの店舗にいくつ配荷したら最適かを自動算出するサービスです。特売ロスを削減することが可能です。

・特売ロスの削減

 

※5 本部送り込み

 本部送り込みとは、小売業において、本部のバイヤーが企画・仕入れた商品を本部主導で各店舗へ送り込むことをいいます。

 

※6 アウトパック惣菜

 アウトパック惣菜とは、メーカーや工場など店舗の外で調理・パッケージングした惣菜のことです。店舗では陳列のみを行います。

 

※7 インストア惣菜

 インストア惣菜とは、食品スーパーの店内で調理・パッケージングした惣菜のことです。sinopsは、レシピ・原材料データをもとに発注数を算出します。

 

 

■事業系統図

 


有価証券報告書(2023年12月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 シノプスの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてシノプスが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 シノプスは「われわれは在庫に関わる“人”、“もの”、“金”、“時間”、“情報”を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献する。」を基本理念に掲げ、「世界中の無駄を10%削減する」というビジョン達成のために、小売業・卸売業・製造業の流通三層の在庫を最適化するための流通業向けAIサービス「sinopsシリーズ」を提供しております。

 

(2)経営環境

 当事業年度におけるわが国経済は、資源及びエネルギー価格の高騰等による物価高、地政学リスクや不安定な為

替相場等、依然として不透明な状況が続いております。一方で、社会全体の変革を目的としたDX(デジタルトラン

スフォーメーション)推進が浸透しつつあり、小売業は益々多様化する消費者ニーズへの対応が求められており、

業務効率化のためのIT投資は今後増加していくものと予想されます。さらに、物流業界での「2024年問題」や、持

続可能な開発目標(SDGs)の採択に基づいた食品ロス削減運動も社会課題としての対応が急がれております。その

ため、バリューチェーンの最適化・食品ロス削減に貢献できるシノプスの需要予測・自動発注サービスに対するニーズ

が高まっております。

 

(3)経営戦略等

 シノプスは、食品スーパーマーケット向けの導入実績が数多くある強みを活かし、需要予測型自動発注からDeCM全体の需要予測活用DX(注1)へ事業拡大することを目指します。食品スーパーの需要予測・在庫情報を卸・メーカーとデータ連携することで、食品スーパー向けには店舗業務の生産性を向上させるサービス、卸・メーカー向けには物流や生産計画を最適化するサービスを提供します。

 ①食品スーパーマーケットを中心とした食品小売業のシェア率40%(注2)を実現する。

 ②卸売業の物流を最適化する。

 ③製造業・原材料/包装資材業の生産計画を最適化し、「sinops」で食品流通業のディマンド・チェーン・マネジメントを実現

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 シノプスが目標とする経営指標は、シェア率、ARR(注3)、売上高、営業利益の4指標であります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 シノプスは、以下を重要な経営課題と認識しております。

 

 ①新規ユーザー獲得

 事業領域拡大には、小売業の需要予測・在庫情報がコア技術として必須となるため、引き続き小売業のシェア獲得を目指して、需要予測型自動発注サービスに注力してまいります。特に注力している食品スーパーマーケット向けのシェア率は36.1%となり、2023年には食品ロス削減ソリューション市場シェア1位(注4)を獲得しました。この高いシェア率を活用し、他社とのサービス連携も進めております。

 

 ②既存ユーザーのアップセル・クロスセル

 既存顧客がsinopsの導入効果を高め続けられるよう、従来のサポート体制に加えて顧客満足度向上に向けた施策を強化します。また、AI値引・惣菜・客数予測といった需要予測活用DXサービスを提供することでsinopsの付加価値をさらに高めてまいります。

 

 ③食品DeCMの構築

 2023年はDeCM実現に向けて、伊藤忠商事株式会社と合同で「DeCM-PF(ディーシーエムプラットフォーム)」サービスを提供開始しました。機能の1つである「特売リードタイム長期化サービス」について、実証実験を既に実施している複数の小売業への2024年中の正式展開を目指します。今後、食品バリューチェーンの最適化に向けて、小売業の需要予測データをコアとして、複数のサービス展開や対象の商品カテゴリの拡大を進めてまいります。

 

 ④中長期成長に向けてコア技術を活用した事業領域拡大

 食品DeCMの構築に限らず、中長期的な成長を維持するため、新市場獲得のための事業領域拡大を進めます。食品スーパーの人時改善を行うDXサービスを2023年から研究開発しており、需要予測・在庫管理情報を活用することで、さらなる人時改善サービスを提供できるよう中長期の事業として推進を開始しました。また、まずは食品向けDXサービスに注力しますが、食品スーパー以外の業態にもDeCMを拡大できるよう備えてまいります。

 

 ⑤サステナビリティ経営の推進

 sinopsによる在庫最適化に取り組むことで、SDGs目標12「つくる責任・つかう責任」で謳われる食品ロス削減をはじめとした、サプライチェーン全体の無駄を削減します。また、東京都市大学との共同研究で、「小売業におけるsinops活用による食品ロス削減が環境に与える影響」を調査しています。sinops事業を推進することで、地球環境の維持・向上及び持続可能な社会の実現に貢献します。

 

 

(注1)DeCM全体の需要予測活用DXとは、需要予測・在庫情報データをサプライチェーン全体で活用することで、小売業務の深化やディマンド・チェーン・マネジメントの実現など、流通三層の最適化を目指すものです。小売業では値引きや勤怠管理など多岐にわたる業務を需要予測・在庫情報データをコアとして最適化します。卸売業・製造業では、需要予測・在庫情報データを活用することで、在庫・物流・生産計画を最適化します。

(注2)シェア率は、以下計算式で算出しております。

シェア率(%)=「sinops」導入企業の年間売上高計÷ターゲット企業の年間売上高計

※ターゲット企業とは、ダイヤモンド・チェーンストア「日本の小売業1000社ランキング」に掲載されている売上高400億円以上の小売業(百貨店、コンビニを除く。)。

(注3)Annual Recurring Revenueの略語。2023年12月末時点のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍にして算出。MRRは対象月の月末時点における有償契約ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。

(注4)株式会社富士キメラ総研が2023年8月8日に発刊した「2023 SX/GXによって実現するサステナビリティ/ESG支援関連市場の現状と将来展望」の「需要予測や自動発注ツールを対象とした食品ロス削減ソリューション市場」においてシェア1位(2022年度実績)を獲得。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてシノプスが判断したものであります。

 

(1)事業環境について

① 市場環境について

 シノプスは、第37期事業年度においては、売上高全体に占める食品スーパーマーケット向けの売上高の割合が70%以上と高い水準にあります。今後、食品スーパーマーケット業界以外での導入実績を増やすことでリスクを低減する方針ではありますが、シノプスが想定している事業展開が図れない場合には、当該業界の業況等によりIT・システムへの投資が減少する等した場合に、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新への対応について

 シノプスは、需要予測・自動発注サービス分野において多くの導入実績がある強みを活かし、既存顧客のニーズを積極的に汲み取り、ユーザーエクスペリエンス(注)のさらなる向上に努めてまいります。また、技術の最新動向をキャッチアップし、効果的に事業に反映することで技術的優位性の強化を実現してまいります。しかしながら、シノプスの想定を超える革新的な技術や著しい市場環境の変化等が生じた場合に、シノプスが当該変化に適時に対応することができなかった場合には、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(注)ユーザーエクスペリエンスとは、製品・サービスの利用を通じてユーザーが得る体験を指します。

 

③ 新規業界への進出について

 シノプスは、今後も持続的な成長と収益源の多様化を進めるために、食品スーパーマーケット業界以外の新規業界にも積極的に進出していきたいと考えております。しかしながら、新規業界へ進出した際には、その業界固有のリスク要因が加わると共に、新規業界での成功実績を積み上げていく過程では、その業界特有の商習慣をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、シノプスが想定している事業展開が図れない場合には、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競合の変化について

 シノプスの「sinops事業」の対象領域である需要予測・自動発注サービス領域においては、流通業の深刻な人手不足や食品ロスに対する注目度の高まりもあり、他社の新規参入により競合が激化する可能性があります。シノプスでは引き続き顧客ニーズを汲み取った製品・サービスの提供を進める方針でありますが、競合企業の営業方針、価格設定及び提供する製品・サービス等は、シノプスが属する市場に影響を与える可能性があります。これらの競合企業に対して効果的な差別化を行うことができず、シノプスが想定している事業展開が図れない場合には、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業活動について

① 需要予測ロジックミスによる顧客への影響について

 シノプスの需要予測・自動発注サービス「sinops」は、過去実績をもとに需要予測数を計算し、最低限必要と想定される発注数を発注勧告データとしてユーザー側に提供するサービスです。「sinops」はあくまで発注勧告数を提供するシステムであり、発注数の確定はユーザー側で行いますが、需要予測ロジックの計算式に誤りがあり、ユーザー側に異常な発注勧告数を提供し、ユーザー側における発注業務が円滑に実施できなくなる可能性があります。シノプスでは「sinops」の需要予測ロジック精度向上のために継続的に研究開発を行うことはもちろん、過去実績がない商品の販売や異常気象等の特殊事情が発生した場合にはユーザーの手動発注に切り替える等の対策を講じております。このような対策にもかかわらず、ユーザーの発注業務への影響が広範囲に渡り、復旧に相当時間を要した場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、シノプスの信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

② 人為的ミス・外的要因等によるサービスの中断・品質低下について

 シノプスが提供する製品・サービスに関して、人為的なミス、ハードウェアや通信回線の不具合等が発生した場合、これに起因して製品・サービスを継続的に提供できなくなること、又は製品・サービスの品質が低下すること等の重大なトラブルが発生する可能性があります。特に、シノプスの需要予測・自動発注サービスが、人為的ミスやシノプスがコントロールできない外的要因を起因としてユーザーに異常な発注勧告データを提供する、もしくは発注勧告データそのものを提供できなくなる等により、ユーザー側における発注業務が円滑に実施できなくなる可能性があります。シノプスでは、前日中に一旦予備の発注勧告データをユーザー側に送る仕様とする等、突発的なトラブルによってユーザー側の発注業務に重大な影響を及ぼさないようにするための対策を講じておりますが、このような対策にもかかわらず、製品・サービスの中断・品質低下による影響が広範囲にわたり、復旧に相当時間を要した場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、シノプスの信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定の製品への依存について

 第37期事業年度における売上高のうち、小売業向けサービスの売上高が70%以上を占めております。シノプスではクラウド型AIサービス「sinops-CLOUD」等の新製品開発を積極的に進め、顧客のニーズに合った製品を提供し続ける対応を行っております。しかし、製品開発を計画通りに行うことができない、又は、主力製品以外の新製品が顧客に支持されない等の理由により、シノプスの製品が競争力を失った場合には、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 既存ユーザー企業の継続率及び単価向上について

 シノプスのクラウドサービスは、サブスクリプション型のリカーリングモデルであることから、シノプスの継続的な成長には、新規顧客の獲得のみならず、既存顧客の維持及び単価向上が重要と考えております。

 既存顧客の維持については、その継続率が非常に重要な要素であり、機能の追加開発やサポートの充実により、継続率の維持・向上を図っております。予算及び経営計画には、実績を基に一定の解約率を踏まえた継続率を見込んでおりますが、シノプスサービスの魅力の低下、競合他社に対する競争力の低下、追加機能やサポートに対する満足度の低下等により、シノプスの想定を大幅に下回る継続率となる可能性があります。

 単価向上については、シノプスは、ユーザー企業あたりの利用サービス数の増加、既存顧客へのアップセルやクロスセルを促進する戦略をとっております。しかしながら、シノプスサービスが顧客ニーズに合致しないこと等により、想定した顧客単価の向上が実現しない可能性があります。

 その結果、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ システム等に関するリスクについて

 シノプスのクラウドサービスは、外部クラウドサーバのAmazon Web Services社が提供するサービス(以下、「AWS」という。)にて提供しており、AWSの安定的な稼働がシノプスの事業運営上、重要な事項となっております。シノプスではAWSが継続的に稼働しているかを常時監視しており、障害の発生又はその予兆を検知した場合には、シノプスの役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等やシノプスの想定していない事象の発生によりAWSが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入やその他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAmazon Web Services社との契約が解除される等によりAWSの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、シノプスの追加費用負担、又はシノプスブランドの毀損等により、シノプスの事業及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 情報の流出について

 シノプスは、事業を展開する上で、顧客情報(個人情報を含みます。)やその他の機密情報を取り扱っております。シノプスの故意・過失又は悪意を持った第三者のサイバー攻撃等により、これらの情報の流出や消失等が発生する可能性があります。こうした事態が生じた場合、関連する損害についての賠償請求を受ける可能性や、シノプスの信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑦ 知的財産権について

 シノプスは、保有する特許の保護、他社との差別化のための特許の獲得に努めていますが、これらが十分に行えない場合、関連する事業に悪影響を及ぼす可能性があります。また、シノプスは製品の開発・生産に必要な第三者の特許の使用許諾権の確保に努めていますが、将来、必要な許諾権が得られない可能性や不利な条件での使用を余儀なくされる可能性があります。いずれの場合もシノプスの業績と財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 一方で、シノプスは、自動発注システムにおけるアプリケーション、ビジネスモデルに関する特許権、実用新案権又はサービスに係る商標権等の知的財産権の調査等は可能な限り対応しておりますが、第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、シノプスが認識せず他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は残されます。2023年12月31日現在までシノプスでは事業に関連した特許その他知的財産権に関わる訴訟を提起されたことはありませんが、シノプスの認識外で第三者の知的財産権を侵害してしまった場合や、将来、シノプスの事業に関連した特許その他の知的財産権が第三者にて成立した場合、シノプスの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 受注損失の発生について

 シノプスの導入支援サービスは、目標とする導入効果をユーザーと合意した上で導入支援プロジェクトの完了条件を決め、想定される難易度及び工数に基づいて見積りを作成し、適正な利益率を確保した上でプロジェクトを受注しております。導入効果の目標値については、ユーザーの実データをもとにした効果シミュレーション、自動発注対象範囲、遵守すべき運用ルール等を取り決めた上で設定しておりますが、全てのプロジェクトに対して正確に導入効果を見積ることは困難であり、想定以上に導入効果が出ない可能性があります。また、プロジェクト中にユーザーと目標値の認識違いが発生しないように、情報共有の徹底に努めておりますが、ユーザーとプロジェクトの完了条件に認識違いが発生する可能性があります。当初想定した利益率を確保するために、完了条件の認識合わせ・要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っておりますが、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加し、受注損失が発生する場合があります。シノプスでは導入支援サービスの分割検収を行うことで業績への影響を最小限に抑えるように努めておりますが、シノプスの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 製品保証の発生について

 シノプスは、将来のビジネス展開を考慮し、ユーザーの導入効果を出すことを最優先としております。そのため、すでに「sinops」を利用しているユーザーに対しても、さらに導入効果を向上させることを目的に、シノプス自らの判断で再度導入支援サービスを無償提供することがあります。ユーザーからの要望ではないため、契約上の義務が発生しているわけではありませんが、無償の導入支援サービスに係る見込原価に対して、製品保証が発生する場合があります。その結果、シノプスの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 固定資産の減損リスクについて

 シノプスは各sinops-CLOUD製品を無形固定資産のソフトウエアとして計上しております。当該製品はクラウドサービス提供するために自社で開発したものであり、クラウド事業の資産としてグルーピングされるものでありますが、販売計画どおりにsinops-CLOUD製品の販売ができない場合等は想定どおりの収益を獲得できず、当該製品の開発に要したコストを回収することができなくなった場合、ソフトウエアの減損損失が発生する可能性があります。この事象が発生した場合、シノプスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)組織体制について

① 特定の役員・社員への依存について

 シノプスは2023年12月31日現在、取締役6名(うち監査等委員3名)、従業員111名と組織規模が小さく、内部管理体制や業務執行体制も当該組織規模に応じたものとなっております。従って、シノプスの役員や従業員が病気や怪我等により業務を遂行する上で支障が生じた場合や転職等により人材が社外に流出した場合には、シノプスの業務に支障が生じる可能性があります。その結果、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 人材の確保・育成について

 シノプスにおいて優秀な人材の確保・育成及び定着は最重要課題であり、将来に向けた積極的な採用活動、人事評価制度の整備や研修の実施等の施策を通じ、社内リーダー層への幹部教育、新入社員及び中途入社社員の育成・定着に取り組んでおります。しかしながら、これらの施策が効果的である保証はなく、必要な人材を確保できない可能性があります。その結果、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部管理体制について

 シノプスは、企業価値の継続的かつ安定的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であり、同時に適切な内部管理体制の構築が必要であると認識しております。シノプスでは、内部監査や内部通報制度への対応、さらには法令や社内規程等の遵守の徹底を行っておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない事態が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)その他

① 自然災害について

 顧客の情報資産が格納されるサーバは複数箇所に分散管理することでリスクを分散させておりますが、データセンターやその周辺ネットワーク設備等に被害を及ぼす災害・事故等が発生し、情報資産の消失又はサービスの提供が維持できない状態に至った場合には、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 風評について

 シノプスは、法令遵守違反等の不適切な行為が発覚した場合は速やかに適切な対応を図っておりますが、シノプスに対する悪質な風評がマスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かに関わらず、シノプスの信頼性や企業イメージが低下し、顧客の獲得・維持が困難になる可能性があります。その結果、シノプスの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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