(1) ミッション
フリーグループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションのもと、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム」の実現を目指し、個人事業主及び従業員1,000名以下の法人に対してサービスの開発及び提供をしております。
大胆に、スピード感をもってアイデアを具現化することができるスモールビジネスは、様々なイノベーションを生むと同時に、大企業を刺激して世の中全体に新たなムーブメントを起こすことができる存在だと考えております。
一方、日本全体の労働生産性は主要先進7ヶ国中最下位(注1)であり、なかでも中小企業の従業員一人当たり付加価値額は大企業の半分未満(注2)と、スモールビジネスの生産性は低い状況にあります。
フリーグループは、AIを始めとする先進的なテクノロジーを用いてスモールビジネスにクラウドERPサービス(注3、4)を提供し、スモールビジネスの生産性向上と経営改善を支援してまいりました。
フリーグループは、データとテクノロジーの活用が、スモールビジネスが更なる成長を遂げる鍵であると捉え、スモールビジネスこそがデータとテクノロジーの最先端を活用できる世界を追求することで、より良い社会を実現してまいります。
(注) 1.公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2024」。主要先進7ヶ国(米国、ドイツ、カナダ、フランス、イタリア、英国、日本)における1人当たり労働生産性の比較において日本が最下位。
2.中小企業庁「中小企業白書(2025年版)」。従業員一人当たり付加価値額の企業規模別の比較において、大企業(資本金10億円以上)は約1,588万円であるのに対し、中規模企業(資本金1千万円以上1億円未満)は約578万円、小規模企業(資本金1千万円未満)は約503万円。
3.クラウドサービス:ソフトウェアやハードウェアを所有することなく、ユーザーがインターネットを経由してITシステムにアクセスを行えるサービス。
4.ERP:Enterprise Resources Planningの略称。日本語では、企業経営において点在するあらゆる情報を一箇所に集め、一元管理を行うシステムを指して一般的に「ERP」「ERPパッケージ」と呼ばれる。
(2) サービス概要
フリーグループでは、スモールビジネスのバックオフィスの生産性向上に寄与するSaaS(注1)サービスを開発・提供してまいりました。具体的には、2013年に「freee会計」を、2014年に「freee人事労務」をリリースしました。その後もラインナップを拡充し、2016年に「freee申告」を、2020年に「freee工数管理」を、2021年に「freee勤怠管理Plus」及び「freee経費精算」を、2022年に「freeeカード Unlimited」及び「freee販売」をリリースしました。
事業領域拡大に向けたM&Aにも積極的に取り組んでおります。2021年には、株式会社サイトビジット(注2)を子会社化し、電子契約サービス「NINJA SIGN(現・freeeサイン)」の提供を開始しました。2022年には、Mikatus株式会社を完全子会社化及び吸収合併し、税理士事務所向け及びその顧問先に電子申告ソフト「A-SaaS(エーサース)」の提供を開始しました。2023年には、sweeep株式会社を子会社化(注3)し、請求書の受取・仕訳・振込・保管を自動化するサービス「sweeep(現・freee支出管理 受取請求書)」の提供を開始したほか、Why株式会社を完全子会社化及び吸収合併し、企業の情報システム部門向けの作業自動化ツール「Bundle」の提供を開始しました。さらに同年、フリーランス管理ツールの「pasture」事業をエン・ジャパン株式会社より承継し、「freee業務委託管理」の提供を開始しました。2024年には、アポロ株式会社を完全子会社化し、翌年より「freee予約」の提供を開始しました。2025年には、株式会社YUIを完全子会社化及び吸収合併し、「freee会計」の連結会計機能を強化しました。
なお、フリーグループは、フリーと連結子会社5社及び持分法適用関連会社1社の合計7社(注4)で構成されておりますが、プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注) 1.SaaS: Software as a Serviceの略称。ユーザー側のコンピューターにソフトウェアをインストールするの ではなく、ネットワーク経由でソフトウェアを利用する形態のサービス。
2.2022年8月に株式会社サイトビジットの社名をフリーサイン株式会社に変更。2024年6月にフリーサイン株式会社を完全子会社化、2024年7月にフリーサイン株式会社を吸収合併。
3.2024年1月にsweeep株式会社を吸収合併。
4.当事業年度末時点。
(3) 統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由
フリーグループが提供するサービスは、資本、人材に限りのあるスモールビジネスにおける利用を前提に設計・提供しており、独自性の高い統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトとして、下記の特長がユーザー企業(注)に支持されています。
(注)フリーグループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す。
① カンタン、自動化
一般的な会計ソフトは、すべての取引を複式簿記形式の仕訳として手動で入力する必要があり、多くの手間を要するという課題があります。「freee会計」においては、例えばクレジットカードや銀行の口座との同期(データ連携を指し、以下、「同期」という。)を行うことで、金融機関のトランザクションデータを自動的にサービス上に取り込み、AIにより自動で仕訳を行うことができます。これにより、ユーザー企業は手作業や手入力にかけてきた時間と工数を削減し、生産性を向上させることが可能です。
また「freee会計」は、簿記の知識がない人でも直感的に使用可能なユーザー・インターフェイスの提供により、専門人材の確保が容易でないスモールビジネスが自社で財務会計及び管理会計を実施することを可能にしております。一方で、従来の会計ソフトで一般的な複式簿記形式の入力に対応したインターフェースも提供しているため、会計士をはじめ高い専門性を有するユーザーのニーズにも対応しております。
さらにフリーグループでは、会計ソフト業界において早期よりモバイル対応の開発を行ってまいりました。「freee会計」のモバイルアプリは、直感的に操作しやすいユーザー・インターフェイスを有し、簡単かつ効率的に業務を行うことができます。その結果、このモバイルアプリは、9万件超のユーザー評価をいただくなど、多くのユーザーに利用頂いていることに加えて、5段階評価で平均4.5の高評価(注)を獲得しております。
また、スモールビジネスにおいて、会計業務に次いで大きな負担となっているのが給与計算や勤怠管理等の人事労務業務です。人事労務の業務領域では、社会保険や源泉所得税などの専門的知識が必要である上に、勤怠情報や従業員の扶養状況といった詳細情報の把握や、様々な行政手続を遅滞なく正確に実施することが必要となります。
「freee人事労務」では、従業員が必要な情報を登録し、勤怠をつけるだけで、会社の給与計算やそれに付随する申告書類の作成などを自動化することができるため、専門的知識がなくても利用可能です。
(注)Apple社が運営するApp Storeにて「freee会計」のiPhoneアプリが5段階評価で平均4.5のスコアを獲得。ユーザー評価数は9万件超(いずれも2025年8月末時点)。
② バックオフィスオートメーション
一般的な単機能型会計ソフトが担う領域は経理業務全体の一部である記帳処理に留まり、上流工程である業務は別のソフトウェアやソリューションを使用する必要があります。例えば、請求書発行や入金消込といった販売管理業務や、購買申請や支払いといった仕入業務では、会計ソフトとは異なるソフトウェアや紙・印鑑などを使用したオペレーションが用いられてきたため、各業務が分断された非効率な業務構造となっています。加えて、同一の取引に係る情報について、会計ソフトへの転記作業が発生し、さらに手入力ミスを防止するための確認作業を要するという課題があります。
「freee会計」は、スモールビジネス向け統合型会計ソフトであり、請求書機能やワークフロー機能(注)を同一のソフトウェア上で提供しているユニークな設計を特長としており、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化に寄与します。例えば、「freee会計」上にて作成した請求書の情報は、売掛金として自動で帳簿に登録され、かつ債権管理台帳にも登録されます。その債権情報と、銀行のオンライン口座の入金情報との連携により、自動的に債権の消込が行われます。一方、仕入取引又は経費精算の場合においても、受領した請求書をスキャンして取り込むと、買掛金や未払金として自動で会計帳簿及び債務管理台帳に登録されます。加えて、登録された債務は「freee会計」の中から一括で振込指示を行うことができ、債務の消込も自動的に行われます。
このように、統合型会計ソフトである「freee会計」上で上流工程にあたる業務を行うことで自動的に会計帳簿が作成されるため、経理業務自体が大幅に効率化されます。
同様に、人事労務の領域においても、従来は、従業員基礎情報、勤怠管理、給与計算、保険・行政手続、マイナンバー等の人事関連の定型業務に係る情報のマスタ(データベース)が別個のソフトウェアに散逸し、マスタ間の転記及び整合性担保に手間とコストが生じているケースが見られました。
「freee人事労務」も統合型ソフトとしての特長を有しており、従業員基礎情報の構築から給与計算及び行政手続等に至るまでのデータを一元管理することで、人事労務に係る定型業務を単一のソフトウェア上で完結できます。これにより、人事労務担当者の負荷を軽減するとともに、従来の転記作業に伴うミスを抑制でき、人事労務業務の大幅な効率化に寄与します。
(注)経費精算、支払依頼、各種稟議など、各種業務フローに係る申請・承認を行う機能。
③ 経営者の意思決定をナビゲート
一般的な会計ソフトは、税務を中心とした制度会計向けの財務諸表作成とそのための記帳を主な目的として利用されています。スモールビジネスにおける経理業務は、会計ソフトだけでなく、様々なソフトウェアや紙と印鑑によるオペレーションの組み合わせにより行われていることが多く、販売や仕入等の取引発生から会計処理の完了までのリードタイムは長期化しています。また、様々なソフトウェアやアナログ手法の組み合わせによって経理業務が行われていることで、取引の発生から財務諸表までのデータは断絶されています。そのため、従来の会計ソフトは、経営指標のモニタリングや経営分析を目的に利用することが困難です。
フリーグループの「freee会計」は統合型会計ソフトであるため、上流工程と会計帳簿を一体で扱うユニークな設計を有しており、リアルタイムに経営状況が記録され可視化されます。また、財務情報のみならず、財務諸表や各種レポートから、上流工程業務の証憑、取引先、部門等の情報を一元化して可視化し分析することができます。例えば「予算・実績管理」機能を用いることで、予算と実績の差異について、財務諸表から個々の取引情報や証憑まで遡って分析することができます。
人事労務ソフトの領域においても、従来は、従業員情報及び勤怠情報等のデータが別個のソフトウェアに散逸し、意思決定に有用なデータをリアルタイムで把握することが困難な状況が珍しくありませんでした。
フリーグループの「freee人事労務」は統合型人事労務ソフトであり、人事労務に係る情報を単一のソフトウェアに集約することが可能です。これにより、適時に情報を把握することが可能となるほか、「freee会計」の各種機能と連携することでより高度な分析を実現し経営の意思決定をサポートします。
④ 組織全体での利用による効率化と内部統制整備
一般的な会計ソフトは、経理業務に携わる従業員のみがライセンスを有して使うことが想定されています。
「freee会計」は、上述のワークフロー機能の提供を通じて、経理業務の枠組みを超えた企業のあらゆる事業活動において全従業員が活用することが可能な設計となっております。特に中堅規模以上の企業において、全従業員が利用することで「カンタン、自動化」「オペレーション効率化」の更なる追求につながる他、ワークフロー機能が有する承認プロセスの証跡を活用することで内部統制の整備にも貢献します。
また、「freee人事労務」と併せて利用することで、人事データ及び組織構造をリアルタイムにワークフローや経営分析に反映し、一層の業務効率化と高度な経営の可視化の両立を図ることが可能となります。
⑤ パブリックAPI(注1)による拡張性
従来のスモールビジネスでは、その企業特有の業務プロセスを自動化するために、独自のシステムを開発するしかありませんでした。しかし、独自のシステム開発は多額な開発コストとメンテナンスコストがかかり、IT投資の体力が限られるスモールビジネスにとって、大きな負担になっていました。また、そもそも独自のシステム開発自体が難しい規模の企業においては、市販のソフトウェアにアナログのプロセスを加えて補う運用がなされてきました。
このように自社開発された独自システムや、市販のソフトウェアと別のソフトウェア間でのデータ連携も容易ではなく、システム間のデータ連携はファイルの取り込み等の手作業によってなされ、工数が増大する上、転記ミス等の原因にもなっていました。
フリーグループは、2013年に日本国内の会計ソフト業界では初めてパブリックAPIを公開して以来、クラウドとAPIを活用したオープン・エコシステム(注2)の構築を進めております。パブリックAPIの公開により、「誰でも、自由に」フリーグループのサービスとデータ連携を行うためのアプリケーション開発を行うことができます。
そのため、スモールビジネス向けの業務ソフトウェアを提供する企業が、フリーグループのサービスとの連携機能を自発的に開発することが容易になります。このような他社製品との連携機能が多く提供されることにより、スモールビジネスが社内業務のための独自のシステムやソフトウェアを開発する負担を大幅に削減することができます。
また、もし独自要件を追加したい場合でも、パブリックAPIを活用すれば、ユーザー企業が自社の業務プロセスに合わせて、カスタマイズ開発を従来より簡単に行うことができます。
2019年1月には「freeeアプリストア」をリリースしました。freeeのユーザー企業は、必要な業務カテゴリーごとにfreeeと連携可能なソフトウェアを検索することができ、数回のクリックで簡単にfreeeと連携させることができます。業務ソフトウェアを提供する企業にとっては、フリーグループの顧客基盤にアクセスできる「freeeアプリストア」への掲載は、魅力的な販促手段となりえます。
(注) 1.組織内部のみでの利用を想定したAPIをプライベートAPIと呼び、他方で、組織外の主体にも利用を認めるものをオープンAPIと呼ぶ。オープンAPIの中でも、特定の提携企業のみでなく、幅広い外部企業が利用可能なものをパブリックAPIと呼ぶ。
2.複数の企業同士が非排他的に提携することで、複数の企業が提供するサービスが共存共栄できる生態系のような環境を指す。
以上の「選ばれる理由」を背景に、有料課金ユーザー企業数(注1)及びARPU(注2)の双方が伸長した結果、フリーグループのARR(注3)は堅調に成長し、2025年6月期末には34,393百万円(うち法人26,701百万円、個人事業主7,692百万円)に到達するなど、事業は順調に拡大しております。
(注)1.フリーグループのサービスを利用する個人事業主と法人の双方を指す。
2.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出。
3.ARR:Annual Recurring Revenueの略称。各期末月のMRR(Monthly Recurring Revenue)を12倍して算出。MRR:Monthly Recurring Revenueの略称。対象月の月末時点における継続課金ユーザー企業に係る月額料金の合計額(一時収益は含まない)。
(4) サービスラインナップ
①「freee会計」
個人事業主及び法人向けに提供している統合型クラウド会計ソフトです。
銀行口座やクレジットカード等との連携、請求書発行から入金管理、各種稟議や支払依頼など日々行われる経理の上流工程業務との統合により、手入力によるミスを防ぎ、経理作業にかかる負担を大幅に削減できます。同時に、上流工程業務まで含めた日々のデータを活かして、リアルタイムでの経営指標のモニタリングや具体的な打ち手に繋がる詳細な経営分析を可能としております。
さらに、従業員に個別アカウントを付与し、ワークフロー機能を利用することで、更なる業務の効率化と内部統制の整備にも寄与します。なお、ワークフロー機能は、承認プロセスの証跡を有していることから、上場企業に求められる内部統制報告制度に対応しており、上場準備企業及び上場企業における利用も非常に効果的です。なお、個人事業主向けプランにおいては、所得税の確定申告まで完結できます。
また、「freee経費精算」や「freee経理」等、「freee会計」から特定の機能を切り出したプロダクトも提供することで段階的なソフトウェア導入のニーズにも対応しております。
②「freee人事労務」
法人向けの統合型クラウド人事労務ソフトです。
人事労務業務においては、給与計算、勤怠管理、保険・行政手続、マイナンバー管理等と多岐にわたり、かつ従来は業務ごとに使用するツールが異なるなど、複雑に分断されているという課題がありました。
従業員一人一人が、「freee人事労務」の従業員用アカウントを用いて、個人情報や勤怠情報を入力することにより、給与計算や年末調整の自動化に加えて、労務の諸手続の自動化や従業員マスタとなるデータベースの構築を可能とします。
また「freee会計」と「freee人事労務」を連携することで、「freee人事労務」で計算した給与の情報が「freee会計」に自動で反映されるほか、「freee会計」にて申請・承認された経費精算と給与の支払いを「freee人事労務」経由でまとめて実施することができます。さらに、「freee人事労務」上の従業員マスタにおける役職や組織構造に基づくワークフローを「freee会計」の申請経路として自動で反映させ運用することが可能です。
加えて、幅広いニーズに適した勤怠管理プロダクトである「freee勤怠管理Plus」をリリースし、店舗数や拠点数が多いユーザーや、組織階層が複雑なMidセグメント(注) のユーザーにおけるニーズに対応します。また、人事労務領域の関連分野にも事業を拡大しており、借り上げ社宅制度の導入及び運用のサポートや充実のベネフィットサービスを提供する「freee福利厚生」や、「freee人事労務」の従業員マスタとの連携により社員の健康管理を効率化できる「freee人事労務 健康管理」をリリースしました。
(注) 従業員が20名以上1,000名以下の法人を指す。
③「freee販売」
個人事業主及び法人向けに提供している統合型クラウド販売管理ソフトです。
販売管理業務においては、商談の開始から売上の入金等のプロセスが紙や表計算ソフトで管理されることが多く、業務ごとに異なるツールが使用され案件別の工数を正確に把握することが難しいという課題がありました。
「freee販売」では請負型ビジネスにおける商談開始からサービス受注・発注後の納品管理まで、一連の販売管理業務を案件単位で管理することを可能としております。
また「freee販売」は、「freee会計」の取引先マスタや「freee人事労務」の従業員マスタを共通で利用できます。そのため、「freee販売」において新たにマスタを構築することなくスムーズに利用開始でき、またソフトウェア間でのデータの整合性にも優れております。
④「freee申告」
「freee申告」は、会計事務所や小規模法人に提供している、「freee会計」とシームレスに連携したクラウド型税務申告ソフトです。
従来の税務申告ソフトは、会計ソフトとは分断されていたことから、会計ソフトから出力したデータを税務申告ソフトに手入力などで転記する必要があるなど、多大な労力や時間がかかるという課題がありました。
「freee申告」の利用により、これまで分断されていた会計と申告の業務がシームレスに連携し、「freee会計」上の財務情報をもとに税務申告書を自動で作成することができ、更に、作成した申告書の電子申告まで実施することができます。
また、会計事務所は、顧問先とともに「freee会計」及び「freee申告」を利用することで、会計事務所での記帳業務から顧問先の決算申告、経営支援まで、ワンストップでクラウド上で行うことができます。
⑤「freeeサイン」
「freeeサイン」は、個人事業主及び法人向けに提供している電子契約サービスです。
スモールビジネスにおいては、法務専任者を自社に抱えていないことが多く、担当者が他の業務と兼務しながら契約業務を行うことが一般的であり、本来注力すべき業務に時間を割けないなどの課題がありました。
「freeeサイン」は、法務の知識が浅い方や、業務に時間を割けない方でも、迷わず簡単に利用できるユーザー・インターフェイスを提供しており、契約書のひな形やテンプレートをご利用いただくことで簡単にドラフトを作成いただけます。契約書の新規作成から、社内承認プロセス、電子契約の締結、契約書管理まで、契約業務をカバーしているため、契約業務をワンストップでクラウド上で管理することが可能になります。
⑥金融サービス
スモールビジネスの資金繰り改善を企図した金融サービスとして、「freeeカード」や「freeeカード Unlimited」等を提供しております。
「freeeカード」は、従来クレジットカードを作成することが容易でなかった個人事業主や中小企業に特化した事業用クレジットカードです。経費精算や仕入等をキャッシュレス化することでバックオフィス業務の効率化が可能となります。さらに、法人顧客の資金ニーズに対応すべく、自社の与信モデルを活用した「freeeカード Unlimited」も提供しております。「freeeカード Unlimited」では、「freee会計」のデータを活用した独自審査により最大5億円の利用可能枠を実現しており、ユーザーの事業成長をサポートします。また、クレジットカードの利用明細を自動で「freee会計」に同期させることで経営状況のタイムリーな可視化を可能とします。
以上に述べたプラットフォーム事業を事業系統図によって示すと、次のとおりです。
文中における将来に関する事項は、本書提出日現在においてフリーグループが判断したものであります。
(1) 経営方針
フリーグループは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げ、「だれもが自由に経営できる統合型経営プラットフォーム。」をコンセプトとしたサービスを提供しております。
(2) フリーグループの強み
① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション
国内企業の99.7%を占める中小企業(注1)は、大企業と比べて生産性が低く、テクノロジー活用には大きな成長ポテンシャルが存在しております。フリーグループでは顧客ターゲットであるスモールビジネスを従業員規模別に区分した個人事業主、Small及びMidの3領域に対して、それぞれのニーズに即したソリューションを提供しております。(注2)
フリーグループは、ビジネス向けの財務関連ソフトウェアと人事労務ソフトウェアのTAM(注3)について、合計で約1.6兆円と推計(注4)しております。一方、財務関連ソフトウェア及び人事労務ソフトウェアの市場におけるクラウドソリューションへの支出額比率は各46.3%及び63.5%であり(注5)、クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。また、我が国の財務関連ソフトウェア及び人事労務ソフトウェアの市場におけるクラウドソリューションへの支出額比率は、下表のとおり、海外主要国と比較して低い水準にあり、市場拡大の余地が多分に存在するものと考えております。
財務関連ソフト及び人事労務ソフトにおけるクラウドソリューションへの支出額比率の比較(注6)
前記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (3)統合型クラウド会計ソフト・人事労務ソフトを提供する「freee」が選ばれる理由」にて記載のとおり、フリーグループの提供するサービスは、単に従来型の会計ソフト・人事労務ソフトをクラウド化したものとは異なる統合型のクラウド会計ソフト・人事労務ソフトであり、経費精算や請求書発行といった記帳業務の上流工程まで含めた一体的な設計により、経理業務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化、及び経営者の意思決定のナビゲーションにも寄与するものです。
こうしたユニークなサービス設計・顧客価値により、成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場において、フリーグループのユーザー規模は創業以来順調に拡大しており、「freee会計」は我が国における市場シェア1位を獲得(注7)するなど、マーケットリーダーとしてクラウド会計・クラウド人事労務業界を牽引しており、とりわけ「freee会計」については新設法人、並びに「freee会計」及び「freee人事労務」の両者についてはIPO準備企業群にて多く使われております。
(注) 1.中小企業庁「中小企業白書(2023年版)」
2.個人事業主、Small及びMidにおける潜在企業数と出所は下表のとおり。尚、Midの潜在企業数については、「令和3年 経済センサス 活動調査」における雇用者規模20~999名の企業数を参考値として使用
3.TAM:Total Addressable Marketの略称。フリーグループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、フリーグループが本書提出日現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではない。各プロダクトのTAMは、一定の前提の下、外部統計資料をはじめ、プロダクトラインナップ拡充やプラン改定等のフリービジネスの取り組み状況も踏まえ、国内における全潜在ユーザー企業において各プロダクトが導入された場合の年間支出総金額をフリーグループが推計したものであり、その正確性にはかかる統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模はかかる推計値と異なる可能性がある。
4.国内におけるフリーグループの全潜在ユーザー企業において「freee会計」及び「freee人事労務」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員が1,000名未満の法人の合計。(「freee会計」及び「freee人事労務」の全潜在ユーザー企業数(国税庁「令和4年申告所得税」、総務省統計局「令和3年経済センサス 活動調査」) × 従業員規模別の「freee会計」及び「freee人事労務」の想定年間課金額)
5.International Data Corporation(IDC)「Worldwide Software and Public Cloud Services Spending Guide_2024V2」。財務関連ソフトウェア及び人事労務ソフトウェアそれぞれについて、従業員1,000人未満の中小企業及び個人事業主を対象に、クラウドソリューションへの支出額をオンプレミスを含むソフトウェア全体への支出額で除して算出しております。尚、人事労務ソフトウェアのデータは、給与計算関連のソフトウェアのみを対象に集計しております。
6.IDC「Worldwide Software and Public Cloud Services Spending Guide_2024V2」からクラウド化率の比較的高い国を抜粋しております。当該国には、ニュージーランドの同業プレーヤーであるXeroが進出しております。
7.クラウド会計サービス主要3社におけるユニークユーザー数No.1(56.3%):リードプラス株式会社「検索キーワードから紐解く業界分析:クラウド会計ソフト編」(2022年8月公開、2023年6月更新)。ユニークユーザー(UU)数とは、ログイン後トップページにアクセスしたユーザー数をいう。UU数比較は、クラウド会計サービス各社におけるログイン後トップページのページビュー(PV)数とログイン後トップページのUU数の比率が一致するとの仮定に基づき、かつ各社のログイン後トップページのPV数を基礎とした推定(調査期間は2021年7月-2022年6月)
② スモールビジネス向けクラウドERP市場における更なるTAMの拡大
フリーグループは、上記のとおり、従来の会計・人事労務ソフトの枠を超えて、バックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)を志向してサービスを提供しております。今後はさらに提供するサービスモジュールを広げ、スモールビジネス向けERPとして実現・提供可能なサービスの範囲拡大を目指してまいります。これは、上流工程から下流工程までを一貫してソフトウェア化するユニークな設計思想によって可能になるものです。
そのため、従来の会計・人事労務の枠を超えたバックオフィス全体の効率化に資するERP(統合型業務ソフト)のTAMとして捉えた場合には、フリーグループが狙うTAMは合計で約3.4兆円(注)まで拡大すると考えております。
(注) フリーグループの全潜在ユーザー企業において「freee会計」「freee人事労務」「freee販売」「freeeサイン」「freeeカード」及び「freee業務委託管理」が導入された場合の全潜在ユーザー企業による年間支出総金額。全潜在ユーザー企業は、個人事業主と従業員が1,000名未満の法人の合計。(各プロダクトの全潜在ユーザー企業数(国税庁「令和4年申告所得税」、総務省統計局「令和3年経済センサス 活動調査」) × 従業員規模別の各プロダクトの想定年間課金額)
③ スモールビジネスの情報が蓄積されたビジネスプラットフォーム
「freee会計」は、統合型会計ソフトであるため、経理財務情報のみならず、上流工程である個々の取引情報までを広くカバーしており、各ユーザー企業のトランザクションデータを保有しております。ECサイトや決済サービス等も同様にトランザクションデータを保有しておりますが、一つのユーザーが複数のECサイトや決済サービスを利用するのに対し、「freee会計」は他のソフトと併用する必要はなく、すべてのトランザクションデータが集約される点が強みです。
また、「freee人事労務」には、人事労務の定型業務に係る情報が一元的に蓄積されており、従業員向けの付加サービスを提供する上での有力なプラットフォームになると考えております。
④ 高い安定性を誇る財務モデル
フリーグループは、サービスの多くをサブスクリプション(継続課金)方式で提供しており、売上高合計に占めるサブスクリプション売上高の比率は90%超(注1)と、安定的かつ継続的な収益構造にあります。
顧客生涯価値(LTV)(注2)の長期的な最大化を企図し、機能改善の開発やカスタマーサクセス等に投資しております。その結果、2024年6月期における月次平均解約率(注3)は約1.2%となっており、大企業と比して廃業率が高く他のソフトウェアへの乗り換えが多い傾向にあるスモールビジネスを対象としたサービスとしては、低い解約率を実現しております。
(注) 1.サブスクリプション売上高(顧客から解約意思を示されない限り継続する自動更新契約から毎月得られる収益)を全売上高で除した比率(2024年6月期)
2.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期間×MRR×売上総利益率によって算出
3.(当該月に有料課金ユーザーでなくなったユーザーに関連するARR÷前月末ARR)の過去12ヶ月平均。フリーの全顧客領域を集計対象
⑤ 企業文化
「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションの実現に向け、フリーグループは「マジ価値を届けきる集団」であると自己定義し、「本質的な価値(マジ価値)をユーザーに届けきること」を世の中へのコミットメントとして位置づけております。「マジ価値」とは、「ユーザーにとって本質的な価値があると自信をもって言えることをする」という意味であり、フリーグループが創業以来、大切にしている考え方です。同時に、これは届いてこそ意味があるという考えから、マジ価値を届ける共通基盤である全役員及び全従業員が持つべきマインドとして「マジ価値2原則」を、マジ価値をチームとして届けるために大切にしたい行動として「マジ価値指針」を全役員及び全従業員で議論し浸透させております。
また、フリーグループは原則全日出社の方針を設け、働き方の柔軟性を担保しながら「一緒に出社」することで高いスピード感で事業を推進しております。
フリーグループは、ミッションやコミットメントに共感する社員が集まり、個々人が高い自律性を持ちながらも強い一体感・カルチャーを持つ組織を実現しています。
マジ価値2原則
・「社会の進化を担う責任感」:社会をよい方向へ進化させる責任を有するという自負をもって、あきらめずに挑戦する姿勢。また、世の中を変えうるよい事例は率先してつくるという姿勢
・「ムーブメント型チーム」:目指すべき世の中の方向性に共感し、自律的にアクションを起こす姿勢
マジ価値指針
・「理想ドリブン」:理想から考える。現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦しつづける
・「アウトプット⇒思考」:まず、アウトプットする。そして考え、改善する
・「Hack Everything★」:取り組んでいることや持っているリソースの性質を深く理解する。その上で枠を超えて発想する
・「ジブンゴーストバスター」:フィードバックを貪欲に求めることで、自分が認識出来ていない自分を知る。強み・弱みと向き合い、自分を進化させ続ける。
・「あえて共有」:人とチームを知る。知られるよう共有する。オープンにフィードバックをしあうことで一緒に成長する
(3) 経営環境
我が国は、少子高齢化を背景に人口減少フェーズに入り、生産年齢人口の減少が見込まれております。また、2017年3月に政府が「働き方改革実行計画」を発表、労働環境の規制が強化されています。加えて、最低賃金も上昇するなど、労働生産性の向上が益々要求される局面を迎えております。生産年齢人口が減少する一方で、新設法人数や副業者数は増加傾向にあります。こうした独立を志向した生き方に対するニーズが時代に合わせて大きくなることで、スモールビジネスの裾野は広がりを見せております。
フリーグループでは、このような環境下において、スモールビジネスは労働力への依存から脱却し、テクノロジーに代替可能な作業を積極的に置き換える必要があるほか、だれもが自由に経営できる社会をつくり、新しい生き方のニーズに対応することが重要であると認識しており、スモールビジネスが強くスマートになることに貢献するサービスの開発、提供を目指してまいります。
また、(2) フリーグループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジションに記載がある通り、現状の我が国における会計ソフトウェア及び人事労務ソフトウェアの普及余地は多分に存在するものと考えております。
(4) 中長期的な経営戦略
上記の経営環境を前提とし、中長期で継続的な成長を実現することを目的として、2023年6月期を初年度とする中長期経営戦略を策定致しました。特に2025年6月期までに関しては、クラウド会計トップシェア(注1)であるフリーグループが日本のスモールビジネスにおけるクラウド化をより促進し顧客基盤を拡大することに注力するとともに、拡大した顧客基盤をもとにより多様なプロダクト・機能をご利用頂くためのプロダクト投資を行うことでより中長期的に成長が継続するための基盤構築に注力してまいります。
① ユーザー基盤の更なる拡大
フリーグループの2024年6月末における有料課金ユーザー企業数は532,637件であり、創業以来順調に拡大し続けております。創業当初はWebマーケティングやSNS(注2)を通じて流入したユーザー企業による自発的なユーザー登録が中心でしたが、インサイドセールス(注3)チームやフィールドセールス(注4)チームを立ち上げたほか、会計事務所向けセールス組織を強化するなど、スモールビジネスへのタッチポイントを拡充してきました。
ユーザー基盤が拡大し、多様化する中で、既存ユーザー企業からの紹介も増えてまいりました。
加えて、「freee経理」「freee勤怠管理Plus」等の新しいプロダクトをリリースすることで、ユーザー企業に統合型ERPの一部プロダクトを導入することができるようになったため、より多くのユーザー企業にフリーグループのサービスをご利用いただけるようになりました。また、2022年11月には「freee販売」をリリースし、請負型ビジネスにおける商談の開始からサービスの受注・発注後の納品の管理までが可能なプロダクトを提供開始いたしました。
今後もスモールビジネスへのタッチポイントの深化、多様化を進めることで、ユーザー基盤の更なる拡大を進めてまいります。
有料課金ユーザー企業数推移(件)
(注)1.クラウド会計サービス主要3社におけるユニークユーザー数No.1(56.3%):リードプラス株式会社「検索キーワードから紐解く業界分析:クラウド会計ソフト編」(2022年8月公開、2023年6月更新)。ユニークユーザー(UU)数とは、ログイン後トップページにアクセスしたユーザー数をいう。UU数比較は、クラウド会計サービス各社におけるログイン後トップページのページビュー(PV)数とログイン後トップページのUU数の比率が一致するとの仮定に基づき、かつ各社のログイン後トップページのPV数を基礎とした推定(調査期間は2021年7月-2022年6月)
2.SNS:Social Networking Serviceの略称。登録された利用者同士が交流できるWebサイトの会員制サービス
3.インサイドセールス:メールや電話等を活用し、非対面で実施する営業活動
4. フィールドセールス:見込み顧客を直接訪問し、対面で実施する営業活動
② 顧客価値の最大化
フリーグループは継続的に新規サービスをリリースしてきたほか、既存サービスの機能改善などにより、顧客価値の向上に努めてまいりました。また、中堅規模の企業向けプランであるエンタープライズプランをリリース(注1)したことや、複数サービスを利用するユーザー企業が増加した結果としてユーザー企業のARPU(注2)の上昇を実現してまいりました。
今後は、従来注力してきたバックオフィス業務周辺のサービスに加えて関連モジュールの強化にも取り組み、スモールビジネスの業務の効率化と可視化をより多くの範囲で実現することで統合体験を強化し、経営課題を解決するプラットフォームを提供していきます。
真にスモールビジネスに必要とされる既存サービスの改善や新規サービスのリリース等を通じて、顧客価値の最大化を目指してまいります。
(注)1.「freee会計」は2017年3月に、「freee人事労務」は2019年10月にエンタープライズプランをリリース
2.ARPU: Average Revenue Per Userの略称。1有料課金ユーザー企業当たりの平均単価。各期末時点における合計ARRを有料課金ユーザー企業数で除して算出
③ 金融サービスの拡大
フリーグループは、金融サービスを展開する子会社として、2018年10月にフリーファイナンスラボ株式会社を設立しました。2022年1月には、Mid領域(注1)を中心とした顧客の成長資金ニーズに対応すべく、「freeeカード Unlimited」をリリースし、2023年2月にはSmall領域(注2)にも提供範囲を拡大いたしました。
今後もスモールビジネスにとって大きな課題である資金繰りに対して、これらの改善を進めるとともに、データとテクノロジーの力を活用することで、あらゆる経営課題の解決に貢献するサービス開発及び提供を目指してまいります。
(注)1.従業員が20名以上1,000名以下の法人を指す
2.従業員が19名以下の法人を指す
④ オープンプラットフォームの充実
フリーグループは、2013年10月に日本国内の会計ソフト業界では初めてパブリックAPIを公開して以来、クラウドとAPIを活用したオープン・エコシステムの構築を進めております。パブリックAPIの公開により、「誰でも、自由に」フリーグループのサービスとデータ連携を行うためのソフトウェア開発を行うことができます。
また、2019年1月には「freeeアプリストア」をリリースしました。freeeユーザーは、必要な業務カテゴリーごとにfreeeと連携可能なソフトウェアを検索することができ、数回のクリックで簡単にfreeeと連携させ、利用開始できます。
今後も公開するfreeeAPIを拡張し、アプリストアに掲載されるソフトウェアのラインナップの充実化を図ることで、多様なニーズを有するスモールビジネスの業務効率化及び経営の可視化に貢献してまいります。
(5) 対処すべき課題
① スモールビジネス向けクラウドERP市場の拡大
フリーグループは、スモールビジネス向けのクラウド財務関連ソフトウェアとクラウド人事労務ソフトウェアのTAMについて、合計で約1.6兆円と推定(注)しております。また、財務関連ソフトウェアを利用する従業員1,000人未満の中小企業及び個人事業主におけるクラウドソリューションへの支出額比率は46.3%であり(注)、クラウドERP市場の拡大ポテンシャルは高いと認識しております。
フリーグループは、スモールビジネス向けクラウドERP市場におけるリーディングカンパニーとして、市場を引き続き牽引することが重要であると認識しております。
(注)前記「(2)フリーグループの強み ① 成長性の高いクラウド会計・人事労務ソフト市場におけるユニークで強固なポジション」を参照
② 持続可能な社会の実現と、そのための組織体制の整備
「freee会計」、「freee人事労務」をはじめとする各サービスの提供により、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくることで、ユーザーの皆様を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することが重要と考えております。また、フリーグループが持続可能な組織であるために、多様なバックグラウンドをもった優秀な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要であると認識しております。
上記をはじめとするサステナビリティ推進活動の詳細に関しては、フリーグループWebサイト内の「サステナビリティ」コーナー、及び「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
③ 情報管理体制の強化
フリーグループは、提供するサービスに関連して多数のユーザー企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、専任の情報セキュリティチームを設置しております。また情報セキュリティ基本方針を定め、この方針に従って情報資産を適切に管理、保護しております。今後も社内教育・研修の実施のほか、システムの強化・整備を実施してまいります。
④ 新規事業の展開
現在、フリーグループの収益の大半が「freee会計」や「freee人事労務」等のSaaSサービスから成り立っております。今後も継続的な事業成長の実現に向けて、既存サービスの伸長に加えて、金融サービスや取引プラットフォームにおける新規事業の展開を積極的に検討してまいります。
⑤ 利益及びキャッシュ・フローの創出
フリーグループは、事業拡大を目指し、開発投資や顧客獲得活動等に積極的に投資を進めており、創業以来営業損失を計上しております。
フリーグループの収益の中心であるSaaSビジネスは、サブスクリプション方式でユーザーに提供しており、継続して利用されることで収益が積み上がるストック型の収益モデルになります。SaaSビジネスにおいては、開発費用やユーザーの獲得費用が先行して計上される特徴があり、短期的には赤字が先行することが一般的です。フリーグループは、2024年6月期においても、開発費用やユーザーの獲得費用等に先行投資を行ったため営業損失を計上しておりますが、2025年6月期においては調整後営業利益(注1)の黒字化を見込んでおります。
また、SaaSビジネスにおいては、投資効率を計る指標として顧客生涯価値(LTV)(注2)と顧客獲得コスト(CAC)(注3)のバランス(LTV/CAC)が重要であるため、フリーグループではこれを重要指標の一つとして顧客獲得活動における投資判断を行ってまいりました。さらに、今後の持続的な成長に向けて、獲得した顧客からの収益増加の状態を示す重要指標としてNet Revenue Retention Rate(注4)を定め、事業の成長性及び収益性を測ってまいります。
これらの指標を基準として効率性を判断し投資していくことが、中長期的に利益及びキャッシュ・フローの最大化に寄与するものと考えております。
(注)1.調整後営業利益=営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用
2.LTV:Life Time Valueの略称。顧客から契約期間(Life Time)を通じてもたらされる価値であり、契約期
間×MRR×売上総利益率によって算出
3.CAC:Customer Acquisition Costの略称。顧客の獲得に要するコストであり、セールス活動及びマーケティング活動に係る費用が該当
4.Net Revenue Retention Rateは、該当期間中に、前期の同期間において顧客であったユーザーの該当期間における売上を前期の同期間における売上で除して算出。会計事務所の売上増分は顧問先の売上増加を含む
以下において、フリーグループの事業展開その他に関してリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも、そのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。フリーグループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、フリー株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてフリーが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
フリーグループのプラットフォーム事業は、売上高の大部分をクラウドサービスのサブスクリプション売上高が占めています。国内のBtoB向けのクラウド関連市場は従来型の会計ソフト・人事労務ソフトと比べて発展途上段階にあり、フリーグループは当該市場が今後も拡大していくことが事業展開の前提であると考えております。フリーグループでは、今後もクラウド関連市場の順調な成長を見込んでおりますが、クラウドサービスに関連して、今後新たな法的規制の導入、技術革新の停滞などの要因により、クラウドサービスの導入が想定通りに進捗せず、クラウド関連市場の成長が阻害される場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
フリーグループのプラットフォーム事業においては、顧客であるスモールビジネスのニーズに対応したサービスの拡充・開発を適時かつ継続的に行うことが重要です。
とりわけ、クラウドサービスを取り巻く技術革新のスピードは大変速く、先端的なニーズに合致するクラウドサービスを提供し続けるためには、常に先進的な技術ノウハウを獲得し、フリーグループの開発プロセス・組織に取り入れていく必要があります。このため、フリーグループは、エンジニアの採用・育成や創造的な職場環境・開発環境の整備を進めるとともに、技術的な知見・ノウハウの取得に注力しております。しかしながら、かかる知見やノウハウの獲得に困難が生じた場合、技術革新に対するフリーグループの対応が遅れた場合又は競合他社がより優れたサービスを展開した場合には、フリーグループの競争力が低下する可能性があります。更に、新技術への対応のために追加的なシステム投資、人件費などの支出が拡大する可能性があります。このように、フリーグループが技術革新に対して、適時かつ適切に対応することができなかった場合には、フリーグループの技術力低下、それに伴うサービスの質の低下、そして競争力や業界での地位の低下を招き、また、対応のための支出の増大により、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、会計、税務、人事労務その他の規制に関する変更により、フリーグループのサービスについて重大な修正を要し、又は販売が延期若しくは中止となる場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 法的規制について
フリーは、電子決済等代行業者として関東財務局に登録(登録番号:関東財務局長(電代)第1号)(以下、「本登録」という。)し、銀行法等に基づく役務の提供を行っております。本登録に関して、有効期限は存在しないものの、フリーが銀行法等に違反して業務改善命令を受ける、又は本登録が取り消される等した場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。但し、本書提出日現在において、本登録の継続に支障を来す要因は発生しておりません。
上記許認可及び登録の状況の概要は以下のとおりであります。
(フリー)
フリーグループは、社内の管理体制の構築等により、当該法令を遵守する体制を整備しておりますが、フリーグループが当該法令に抵触すること等により何らかの行政処分を受けた場合や、社会情勢の変化等によりフリーグループの事業展開を阻害する規制の強化等が行われた場合には、フリーグループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
④ 情報管理体制について
フリーグループは、提供するサービスに関連して多数の顧客企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、情報セキュリティに係る専任チームを設置し、情報資産を適切に管理、保護しております。具体的には、「freee会計」及び「freee請求書」については、国際的な保証報告書であるSOC1 Type2報告書を取得しております。また、「freeeカードunlimited」ではクレジットカード取扱事業者に求められる国際認証であるPCI-DSSを取得しており、提携先の金融機関によるセキュリティチェックや、電子決済等代行業者の登録に際して金融庁によるセキュリティチェックをパスしております。また、個人情報の取扱いに関して、プライバシーポリシーを定めると共に、個人情報保護に係る国際認証であるTRUSTe認証を取得し、関連法規類に準拠した情報保護を実施しています。さらに、情報セキュリティ基本方針を定め、従業員に対して継続的な研修活動を実施しております。
しかしながら、このような対策にもかかわらず、重要な情報資産の外部漏洩等により、フリーグループが行政指導や行政処分等を受け、フリーグループの社会的信用が失墜したり、若しくは損害賠償請求が発生したりする可能性があります。また、情報資産の取扱いに関する法規制若しくはその運用の厳格化等により、フリーグループのサービスの停止、情報の利活用に対する制約の増加等が発生した場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑤ 競争状況について
フリーグループは、主としてクラウド会計サービス業者、クラウド人事労務サービス業者と競合するほか、クラウドサービスと従来型の会計ソフト・人事労務ソフトの双方を提供している会計・人事労務サービス業者とも競合していることに加え、フリーグループが属するクラウド関連市場は、近年急速に拡大している分野であるため、さらに多数の競合企業が参入する可能性があります。
フリーグループは、これまで培った独自の開発ノウハウを活用したサービスを提供し、また、新規顧客獲得のための戦略的な施策を展開することで、継続的な事業成長に努めておりますが、既存の競合企業の競争力の向上や競合企業の参入を含む競争環境の変化にともなって、フリーグループやフリーグループのサービス等に対する評価や信頼性を維持することができず、又はその優位性が失われる場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 既存ユーザー企業の継続率及び単価向上について
フリーグループのSaaSサービスのビジネスモデルは、サブスクリプション型のリカーリングモデルであることから、フリーグループの継続的な成長には、新規顧客の獲得のみならず、既存顧客の維持及び単価向上が重要と考えております。
既存顧客の維持については、その継続率が非常に重要な要素であり、機能の追加開発やサポートの充実により、継続率の維持・向上を図っております。予算及び経営計画には、実績を基に一定の解約率を踏まえた継続率を見込んでおりますが、フリーグループのサービスの魅力の低下、競合他社に対する競争力の低下、追加機能やサポートに対する満足度の低下等により、フリーグループの想定を大幅に下回る継続率となる可能性があります。
単価向上については、フリーグループは、ユーザー企業当たりのユーザーID数の増加によるARPUの増加、既存顧客へのアップセルやクロスセルを促進する戦略をとっております。しかしながら、既存顧客の事業が成長しない、中堅規模の企業の顧客獲得が奏功しない、又はフリーグループのサービスが顧客のニーズに合致しないこと等により、想定した顧客単価の向上が実現しない可能性があります。
これらの結果、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑦ 事業の拡大に伴うリスクについて
現在、フリーグループの収益は、主力サービスである「freee会計」及び「freee人事労務」等のSaaSサービスによる売上が大部分を占めている状況であるため、フリーグループは、多角的観点から新たな収益源を常に模索し、スモールビジネス向けERPとして実現・提供可能なサービスの範囲の拡大を目指すとともに、金融サービスの拡大等に取り組んでおります。加えて、フリーグループは、今後、フィンテック領域における新規金融サービス等、現在の事業領域と異なる分野にも進出する可能性があります。しかしながら、現在の事業領域と異なる分野に進出したものの当該分野において収益化が進まない場合や当該分野に関係する法規制に新たに服することになる場合、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、フリーグループは、事業の拡大及び新規事業展開に際しては、資本提携やM&Aも有効な手段であるものと認識しております。資本提携やM&Aに際しては、既存サービスとのシナジーやリスク等について十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針ですが、当初想定した事業のシナジー効果等が得られない、デュー・ディリジェンスの限界等から法的若しくは事業上の新たなリスク要因が発生する、または期待した投資のリターンが得られない等の可能性があり、これらに起因してフリーグループの事業又は業績に影響を及ぼす可能性があります。また、期待した収益を得られず、保有する投資有価証券やのれん等の減損損失等が発生する場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 先行投資から得られる効果が期待通りに実現しないリスクについて
フリーグループが運営する事業は、先行的に研究開発費及び広告宣伝費を投下し、サービス開発とユーザー獲得を進めることが必要なものであり、フリーグループは、創業以来赤字を継続しております。今後も、収益性の向上に努めながら先行的な投資を継続する方針であるものの、2025年6月期においては、高水準な売上高成長を維持しつつ、開発費用やユーザーの獲得費用等の対売上高比率を改善させ調整後営業利益(注1)で黒字化を見込んでおります。
フリーグループは、海外の同業他社等を参考に、売上に対して適切な比率の額を研究開発費として先行投資し、将来的なサービスの競争力を維持・向上させることに努めておりますが、研究開発活動をより確実に成果に結びつけるため、新規のサービスを小規模に開始し、市場の反応を確認しながら改善していく方法を採っております。また、顧客獲得活動についても先述のとおりLTV/CACを投資判断の重要指標として、Net Revenue Retention Rate(注2)を獲得した顧客からの収益増加の状態を示す重要指標として計測・把握し、日々活動の効率を向上させております。
しかしながら、経営環境の急激な変化、その他「事業等のリスク」に記載のリスクの顕在化等により、こうした確実性を担保する努力にも関わらず、これらの先行投資が想定どおりの成果に繋がらなかった場合、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
また、フリーグループは、目標とする経営指標の見込みや財務方針等を掲げることがありますが、かかる経営指標の見込みや財務方針等は、経済状況の変化、経営環境、ユーザー企業のニーズの変化、他社との競合、技術革新の動向、法規制の変更及び為替変動等に係る多くの前提に基づいて作成されています。
(注)1.調整後営業利益=営業利益+株式報酬費用+M&Aにより生じた無形資産の償却費用+その他一時費用
2.Net Revenue Retention Rateは、該当期間中に、前期の同期間において顧客であったユーザーの該当期
間における売上を前期の同期間における売上で除して算出。会計事務所の売上増分は顧問先の売上増加を
含む
⑨ 為替の変動について
フリーグループは、外部クラウドサーバーのAmazon Web Services社が提供するサービス(以下、「AWS」という。)をはじめとする海外事業者が提供するサービス利用料等の支払いの一部を外貨建てで行っております。フリーグループは、為替相場の変動リスクを軽減するために、一部の外貨建て支払いにおいて為替予約を利用しておりますが、想定以上に為替相場が円安傾向となった場合は、フリーグループの事業運営、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 金融機関、他社ソフトウェアや会計事務所との連携について
第三者との連携は、フリーグループの事業の維持・成長における重要な取り組みです。例えば、フリーグループが提供するサービスの重要な機能として、金融機関及び他社ソフトウェアとデータ連携することによる入力等業務の自動化が挙げられます。
金融機関との口座同期(いわゆるアカウントアグリゲーション)について、フリーは電子決済等代行業の第一号として関東財務局へ登録しております。何らかの事情により、当該許認可の取り消しや金融機関との契約が維持できない場合は、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
一方、他社ソフトウェアとのデータ連携は、主にフリーグループが提供するパブリックAPIを通じて実施するものとなります。フリーグループは顧客基盤の拡大及びサービスの機能の向上を通じて、連携先企業からみたフリーグループが提供するプラットフォームの魅力を増大させております。また連携先企業を増やすことで、特定の連携先に対して依存しない体制の構築に向けて取り組んでおります。しかしながら、何らかの事象による連携先企業とフリーグループの関係悪化等によって、連携が解消された場合、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
さらに、フリーグループは、会計事務所及び金融機関等との間で密接な関係を築くことでスモールビジネスとのタッチポイントを拡充しています。しかしながら、会計事務所及び連携先にはフリーグループとの関係を継続する義務はありません。競合他社がインセンティブを提供することなどにより、フリーグループの連携先の数が減少した場合には、フリーグループの顧客獲得力が減退し、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
⑪ 固定資産の減損リスクについて
フリーグループは、今後減損の兆候が認められ、減損損失の認識をすべきであると判定されたソフトウェア等の固定資産について減損損失を計上する場合には、フリーグループの業績に影響を与える可能性があります。
⑫ 業績の季節変動について
フリーグループの個人事業主向けのプランの新規契約の多くが確定申告時期(1月から3月、フリーグループにおける第3四半期)に集中する傾向があります。確定申告時期においては、他の四半期の時期と比して、広告宣伝費を増額することが多く、第3四半期における損益が悪化する傾向にあります。
また、2020年6月期及び2021年6月期においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、確定申告期限が当初3月中旬であったところ4月以降に延長され、同連結会計年度の損益に一定の影響が生じました。このように、確定申告期限の変更により、上記季節変動に変更が生じる可能性があります。
(2) システム等に関するリスクについて
フリーグループが運営する事業は、PC、スマートフォン、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、フリーグループの事業及び業績は影響を受けます。また、フリーグループのサービスは、AWSにて提供しており、AWSの安定的な稼働がフリーグループの事業運営上、重要な事項となっております。フリーではAWSが継続的に稼働しているかを常時監視しており、障害の発生又はその予兆を検知した場合には、フリーの役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。AWSは、個々のアベイラビリティゾーン(注1)で運用されており、FISC安全対策基準(注2)を満たす安全性を備えております。
しかしながら、システムエラー、人為的な破壊行為、自然災害等やフリーの想定していない事象の発生によりAWSが停止した場合や、コンピュータ・ウイルスやクラッカーの侵入その他の不具合等によりシステム障害が生じた場合、又はAmazon Web Services社との契約が解除される等によりAWSの利用が継続できなくなった場合には、顧客への損害の発生、フリーグループの追加費用負担、又はフリーグループのブランドの毀損などにより、フリーグループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(注)1.リージョンの中の個々の独立したデータセンターの名称を指す。
2.金融庁が金融機関のシステム管理体制を検査する際に使用する基準を指す。
(3) 経営管理体制に関するリスクについて
フリーグループは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が適切に整備され、有効に機能していることが必要不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、更に法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、フリーグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
フリーグループは、今後急速な成長が見込まれる事業の展開や企業規模の拡大に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上に当たっては、開発部門を中心に極めて高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用すると共に、成長ポテンシャルの高い人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めていく必要性を強く認識しております。しかしながら、特にエンジニア等の一定の人材の確保に関する競争は激しく、フリーグループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画どおりに進まなかった場合又は人材確保のためにより高額の報酬を支払うこととなった場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
フリーの代表取締役である佐々木大輔は、創業者であると同時に創業以来フリーの事業推進において重要な役割を担ってまいりました。同氏は、クラウド会計ソフトの企画から開発、運用に至るまで豊富な経験と知識を有しております。フリーの設立以降は、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。フリーグループでは、取締役会やその他会議体において役員及び従業員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏がフリーの経営執行を継続することが困難になった場合には、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
フリーグループでは、企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、全役員及び全従業員を対象として社内研修を実施し、周知徹底を図っていると共に、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。しかしながら、これらの取組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後のフリーグループの事業運営に関して法令等に抵触する事態が発生した場合、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
フリーグループは、運営するコンテンツ及びサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制として、フリーグループの法務・リスク管理部及び顧問弁理士への委託等による事前調査を行っております。しかしながら、万が一、フリーグループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者から損害賠償請求や使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があり、これらに対する対価の支払いやこれらに伴うサービス内容の変更の必要等が発生する可能性があります。また、フリーグループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があるほか、フリーグループが保有する権利の権利化ができない場合もあります。こうした場合、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
フリーグループでは、自然災害、事故等に備え、サービスの定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの未然防止又は回避に努めておりますが、フリーグループまたはフリーグループが利用するクラウドサービスの所在地近辺において、大地震等の自然災害が発生した場合、フリーグループが保有する設備の損壊や電力供給やインターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、フリーグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 株式の追加発行等による株式価値の希薄化について
フリーは、フリーの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権及び譲渡制限付株式を付与しております。また、今後においても新株予約権又は譲渡制限付株式等を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が権利行使された場合や譲渡制限付株式の発行に伴い、フリー株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日の前月末現在(2024年8月末)でこれらの新株予約権による潜在株式数は669,273株であり、発行済株式総数58,610,302株の1.14%に相当しております。
③ 訴訟等について
フリーグループは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら、事業を展開するなかで、フリーグループが提供するサービスの不備、情報漏洩等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因して偶発的に発生する訴訟等やそれに至らない請求等を受ける可能性があります。その場合、当該訴訟等に対する防御の為に費用と時間を要する可能性があるほか、フリーグループの社会的信用が毀損され、また、損害賠償の金額、訴訟等の内容及び結果によっては、フリーグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 税務上の繰越欠損金について
2024年6月期末において、フリーグループに税務上の繰越欠損金が存在しております。フリーの経営成績が順調に推移することにより、繰越欠損金が解消した場合には、通常の税率に基づく法人税、住民税及び事業税が計上されることとなり、キャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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