パワーエックスは蓄電型発電所(注1)を製作する会社です。
パワーエックスグループは、「永遠に、エネルギーに困らない地球」をVisionに、「日本のエネルギー自給率の向上を実現する」をMissionに掲げバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS:Battery Energy Storage System。蓄電池と電力制御を組み合わせて、状況に応じて電力を充放電する仕組み)の開発、製造、販売から、系統用蓄電所の企画、運用までを一貫して提供しております。
2025年2月に日本政府が閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、2040年度に総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されています(注2)。また、2025年1月には米国が国連に対してパリ協定からの離脱を通告するなど、エネルギーを巡る問題は世界規模で不確実性が高まっていますが、エネルギー自給率の向上や温室効果ガス削減等課題を解決するためには、再生可能エネルギーの主力電源化が鍵であり、その需要は急速に高まっております。蓄電池は、太陽光や風力などで発電された電力を余剰時に蓄え、不足時に放出することで、発生をコントロールしにくい再エネ由来の電力を需要に応じて柔軟に供給することを可能とする、化石燃料依存の脱却を実現する次世代の代替手段であり、その発展には高度なエネルギー制御とセキュリティ対策によって支えられた高品質且つ低コストでアクセスのしやすいハードウェアの普及が必要不可欠です。
パワーエックスグループは、脱炭素化社会の実現に貢献するため、岡山県玉野市に建設した蓄電池製造工場「Power Base」及び提携工場で生産する蓄電池製品を利用したソリューションを提供しており、BESS事業、EVCS事業、電力事業の3つの事業から構成されております。
(注1) 2022年5月の電気事業法改正以降、出力10MW以上で電力系統に直接接続する蓄電システムは「発電所」として扱われています。パワーエックスではこうした系統用蓄電システムを「蓄電型発電所」と称しています。
(注2) 出典:経済産業省 資源エネルギー庁「第7次エネルギー基本計画の概要(2025年2月)」
(Made in Japanの蓄電池製造基盤)
パワーエックスグループは、国内の蓄電池製造工場「Power Base」及び提携工場において、定置用蓄電池、急速EV充電器等の様々な用途に応じた蓄電池製品の製造を行っております。
近年は、ウクライナ紛争の長期化や、米中間における輸出入の禁止措置など、地政学上のリスクが高まる中で、日本でも2025年6月に施行された経済安全保障推進法において重要物資の安定的供給や、基幹インフラ役務の安定的提供の確保に関する制度が定められるなど、経済安全保障におけるエネルギー確保の重要性が認識されております。パワーエックスグループは製品の設計、製造、ソフトウェア開発、メンテナンスのすべてを日本で行うことで、日本のエネルギー安全保障に貢献するというコミットメントを表した「Made in Japan宣言」を行い、以下3点をお約束します。
① 日本国内で設計、組み立てられた製品
製品開発・生産拠点は、100%日本国内。岡山県玉野市に所在する自社工場及び提携工場にて高品質で信頼性のある蓄電池製品を組立て。
② 自社開発ソフトウェアによるセキュリティの確保
国内のインフラを外部から守るために開発された自社ソフトウェア。電力の送配電等の基幹システムへのサイバー攻撃リスクを最小化し、国内電力の安定供給を支える。
③ 万全なサポート体制
パワーエックスグループの製品は、自社システムで24時間監視可能。技術サポートの専門チームが製品導入後の運営やトラブル対応など、あらゆるサポートをオンサイトで提供。
パワーエックスグループは、多額の設備投資が必要な電池セル及び電池モジュール(電力を蓄える最小単位であるセルを、用途に合わせて複数組み合わせて電圧や容量を向上させたものがモジュール)の製造を自社では行わず、その時点で最も高品質でコスト競争力の高い電池セル及び電池モジュールを購入するビジネスモデルを採用しております。これにより、電池セル及び電池モジュールの製造設備への投資や開発コストの負担を軽減し、低価格の製品提供が可能となっております。また、定置用蓄電池、急速EV充電器等の様々な蓄電池製品に使用する電池セル及び電池モジュールは共通のものを調達し、それらを用いて製品を量産することでより低価格化、今後拡大する蓄電池需要に対応することができます。
また、パワーエックスグループでは、電池セルとして、三元系リチウムイオン電池に比べて異常時に熱暴走しにくいリン酸鉄リチウムイオン電池を使用しており、それに加え、自社開発のバッテリー安全保護システム(BMS:Battery Management System)により、過電圧、過放電、過電流、高温/低温、電気回路のショートなどのあらゆるトラブルから電池を保護します。リン酸鉄リチウムイオン電池は、コバルト系や三元系のリチウムイオン電池と比べてエネルギー密度は低いものの、ニッケル、マンガン、コバルト等の希少性の高い鉱物資源を使用しているため原価が高騰しているコバルト系や三元系のリチウムイオン電池よりも比較的安価であります。リン酸鉄リチウムイオン電池の定置用蓄電池への使用は広く普及しつつあり、今後一層のコストカットも期待できます。
2025年9月30日時点における生産能力は以下のとおりです。
パワーエックスグループが提供する蓄電池製品の主なラインナップは以下のとおりであります。
(BESS事業)
当事業は、主に大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」、中型定置用蓄電システム「PowerX Cube」の販売及びメンテナンスを行っております。「PowerX Mega Power」は、2.7MWhの大容量となっており、発電所等における電力の発生から消費に至る一連の電力供給システムに接続する電力系統用、自社拠点に設置して利用する産業・商業用のどちらにも利用可能で、再生可能エネルギーの有効な活用を可能とします。「PowerX Cube」は、産業用及び商業用に設計された中型の定置用蓄電池で「PowerX Mega Power」よりも設置面積が小さく、さまざまな用途に展開できます。また、パワーエックスのBESS事業では、バッテリー貯蔵システム(ESS)、パワーコンディショナー(PCS)、変圧器(TR)、パワー管理システム(PMS)、エネルギー管理システム(EMS)、アグリゲーション・コーディネーター(AC/RA)などの、周辺インフラからエネルギーソリューションを含めた製商品及びサービスをラインナップしております。
BESS事業における主要顧客は、発電事業者や都市開発業者、不動産業者、自動車関連メーカーや機器メーカー及び物流事業者など、幅広い業種にわたっております。また、パワーエックスグループが販売した蓄電池製品は、系統接続による電力の売買や、自家消費用の電力コストの削減、収益物件としての運用など、顧客のニーズに応じた用途に供されております。そのため、パワーエックスグループでは製品の購入のみを希望されるお客様から、機器購入後の運用まで一貫して任せたいというお客様まで、あらゆるニーズへのきめ細かい価値提供を可能とするべく、製品販売のみではなく、蓄電池の運用管理に必要なソフトウェアの開発・提供や、販売後の保守メンテナンスを含めてパワーエックスが対応する体制を構築しております。
また、電力系統に接続して電力の充放電を行う蓄電施設である系統用蓄電所向けの製品販売に当たっては、日本のエネルギー需給や系統への接続可否の調査を踏まえた導入サポートを行っているほか、自社開発の蓄電池運用システム「Power OS」を用いて遠隔監視による常時保守・保全を行っており、不具合発生時も適時に把握することが可能となっています。
産業・商業用では、工場、倉庫、ビルなどの脱炭素化を蓄電池が実現可能とします。太陽光発電システムに加えて蓄電池を導入することで、従来は廃棄していた余剰発電量を蓄電池に蓄えて夜間電力として最大限活用することや、昼夜の電力の価格差を利用して電気代を削減することが可能なほか、災害等により系統からの電力供給が途絶えた場合の非常用電源として、BCP(BCP: Business Continuity Plan)の観点からも活用が期待されます。
(EVCS事業)
当事業は、蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」の顧客への販売、メンテナンス及び「PowerX Hypercharger」を利用したEVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」を展開しております。
近年において自動車メーカー各社はEV市場へ参入・投資を行っておりますが、2024年における日本国内の新車販売に占めるEVの比率は1.3%(出典:一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「燃料別登録台数統計」より引用)と未だ普及途上にあります。パワーエックスは、必要な時に必要な量の充電を行える環境を整備してEVユーザーの懸念を払しょくすることがEV普及のカギであると考えており、こうした課題の中でも特に公共充電における短時間充電を可能とする急速充電設備(100kWh以上)の販売及び充電サービスを展開しております。
EVCS事業では国内外のカーディーラーや自動車用品販売業者、運送業者などを主要顧客として製品を販売するほか、EVユーザーである個人及び法人に対して充電サービスを提供する「PowerX Charge Station」の自社拠点の運営、及びFC拠点の運営受託を行っております。
パワーエックスが販売及び運営を行っている「PowerX Hypercharger」、「PowerX Charge Station」の特徴は以下のとおりです。
① 急速充電/高圧変電設備不要
パワーエックスグループが独自開発している「PowerX Hypercharger」は、最大出力240kWhによる短時間充電を可能とし、商業施設等の短時間の滞在を見込む場所での充電をサポートすることができます。また、変電機・パワーコンディショナー(注)・充電器を兼ね備えたオールインワンの充電設備であり、高圧変電設備及び工事が不要です。一般商業用の低圧電力(200V)契約で利用できることから設置場所の制限が少なく、低コストでの設置が可能です。
(注) パワーコンディショナーとは、発電された電気を変換する機器でありインバータの一種であります。太陽光発電システム等から流れる電気は通常「直流」であり、これを日本の一般家庭で用いられている「交流」に変換することで、通常利用可能な電気にすることができます。
② 再エネ充電可能
「PowerX Hypercharger」は、蓄電池内蔵型であるため、気候条件により発電が左右される太陽光発電等の電力を蓄電池に蓄えることが可能となり、「再エネ満タン」、すなわち100%再生可能エネルギーによるEV充電を実現できます。
自社で運営する「PowerX Charge Station」においては、EVユーザーの環境意識の度合いに合わせて純再エネ100%、純再エネ70%等、系統電力から電力を選んでEVを充電することが可能となっております。
③ 直感的なUI(User Interface)/ UX(User Experience)アプリ
EV充電ネットワークを利用できるアプリを自社開発いたしました。アプリは使いやすさを重視したシンプルな設計で、ユーザーは直感的な操作で予約、充電状況の確認、決済をアプリ上で完結することが可能となっております。
④ 検索&予約可能
日本における充電スポットの中には検索可能であるものの予約はできず現地に到着するまで使用状況がわからない、また時間制限がありフル充電が難しいという施設もありますが、パワーエックスの「PowerX Charge Station」は、自社開発アプリで充電スポットを検索・予約することでスムーズに充電でき、予約時間内であればフル充電も可能となっております。
(電力事業)
当事業は、蓄電池を使ったオフサイトPPA(電力の需要家が、需要場所外に発電設備を確保して再生可能エネルギーを調達するスキーム)である「X-PPA」をはじめとした蓄電池を利用した電力供給サービス及び蓄電所の開発、運営サービスを展開しております。
「X-PPA」は、昼間の太陽光や風力、国内バイオマス等のベース電源に加えて、日中に太陽光によって発電された電力を蓄電池に蓄え、電力需要の高まる夕方以降の時間帯に「夜間太陽光」として、オフィスビルや商業施設等に供給する、新たな法人向け電力販売契約(PPA)を提供するものであります。
日本においては各地にメガソーラーが建設されるなど、太陽光発電の導入が進んでいる一方で、太陽光発電の発電量や価格は、季節や天気等の自然要因に大きく影響を受ける上、日没後は発電できないため、夜間使用される電気の多くはいまだ火力由来の電源に頼っている現状であります。さらには、太陽光パネルを設置するスペースが限られることや、再生可能エネルギーを証明する非化石証書(注)の価格が変動することにより予測が困難であること等、法人による再生可能エネルギーの活用には様々な課題があります。
「X-PPA」では、パワーエックスグループが電力提供元として、発電元より再生可能エネルギーを購入し、オフィスビルや商業施設等に電力を供給しております。パワーエックスグループの蓄電池製品に蓄えられた再生可能エネルギーが夜間も電力系統を通して供給されることで、法人顧客は再生可能エネルギーの高い活用率を実現することが可能となります。蓄電池製品の電力需給調整の特徴を最大限活用したこのスキームにより、顧客は自らが設定した再エネ比率での電力供給を経済的かつ安定的に受けることができ、かつ、非化石価値を取得するための手間や価格変動リスクを低減できます。パワーエックスはこの「X-PPA」を多くの顧客に利用いただくことで、再生可能エネルギーの有効活用と更なる普及に貢献できるものと考えております。
(注) 非化石証書とは、再生可能エネルギー等の非化石エネルギーで発電された電力の、環境価値部分を証書化したものであります。化石燃料等による発電とは異なり、太陽光発電や風力発電による再生可能エネルギーは、物理的な電気の価値に加え環境価値を持っております。これを切り分け、環境価値のみを取引できるようにしたのが非化石証書であり、非化石エネルギーの利用を促進し環境保全に貢献することを目的としております。
蓄電所の開発、運営サービスは、パワーエックスがディベロッパーとして新しい蓄電所の企画・開発を行い、当該蓄電所のアセットオーナーにパワーエックス蓄電池製品を販売、商業運転開始後にパワーエックスが当該蓄電所の運営(当該蓄電所を用いて電力小売、電力卸売市場、容量市場、需給調整力市場で取引を実施し収益をあげる)を受託するものであります。
(海上送電事業)
海上送電事業は、主に連結子会社である海上パワーグリッドにおいて事業の構想準備段階にあり、電力を海上輸送する電気運搬船を利用した事業化を進めております。本書提出日現在の構想としては、再生可能エネルギーを調達し、電気を海上輸送、系統を通して顧客に電気を届けることを目指すものであり、海底の掘削等、大規模な敷設工事が必要となる海底ケーブルによる送電と比較すると、環境や自然に優しく、災害にも強い、これまでにない送電方法となり得ると考えております。
現在は電気運搬船の初号船開発に向けたプロジェクトを進めており、今後国内外で実証実験を行う予定でありますが、本書提出日現在、未だ事業化には至っておらず、計画が想定したとおり進捗しない可能性があります。また、上記の事業内容はパワーエックスが本書提出時点において計画しているものであり、実際の進捗状況によっては変更される可能性があります。
なお、パワーエックスは蓄電池の製造・販売を主要な事業としており、海上送電事業は海上パワーグリッド社において、外部企業との資本業務提携を含む様々な座組を検討の上で推進していく方針であり、パワーエックスの持分比率は今後低下させていく方針です。
[事業系統図]
パワーエックスグループの事業系統図は、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてパワーエックスグループが判断したものであります。
パワーエックスグループは、「永遠に、エネルギーに困らない地球」というビジョンのもとに、「日本のエネルギー自給率の向上を実現する」というミッションを掲げております。
日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入に取り組んでおります。一方、太陽光発電や風力発電等の出力が変動する再生可能エネルギーの大規模導入に伴い、余剰電力の発生や電力供給の安定性の確保が課題となっております。また、昨今、エネルギーを巡る問題は世界規模で不確実性が高まっている中で、再生可能エネルギーの主力電源化が鍵とされております。
パワーエックスグループでは、自然エネルギーの普及並びに蓄電、送電技術にイノベーションを起こし、脱炭素時代を担う次世代型のエネルギー企業を目指して社会に貢献してまいります。
Bloombergが発表したデータによりますと、温室効果ガスの主要因である二酸化炭素の排出量は年々増加しており、1990年から2022年にかけて約1.7倍に増加しております。また、全国地球温暖化防止活動推進センターが発表したデータによりますと、日本の部門別の二酸化炭素排出量の主要因の約40%が電力の発電によるものとされております(発電及び熱発生に伴うエネルギー起源の二酸化炭素排出量を、電気及び熱の生産者側の排出として生産者側の部門に計上した排出量で算定)。
出典:(左)Bloomberg「Global total CO2 emissions」、(右)全国地球温暖化防止活動推進センター「日本の部門別二酸化炭素排出量(2023年度)」よりパワーエックス作成
また、日本における2022年のエネルギー自給率はわずか12.6%(OECD中37位)にとどまり、先進諸国と比較しエネルギー資源の対外依存が高い状態が継続しております。
出典:国際エネルギー機関(2024年 9月) 「World Energy Balances Highlights」より作成。エネルギー自給率は、当該国の国内エネルギー生産量(PJ)÷国内総エネルギー供給量(PJ)で算出
このようなエネルギー情勢の中、日本政府は2025年2月に第7次エネルギー基本計画を閣議決定しております。当エネルギー基本計画では、2040年までに温室効果ガスの排出量を2013年度から73%削減することを目指すこととしており、また、エネルギーの安定供給の観点から再生可能エネルギーや原子力などエネルギー安全保障に寄与し、かつ脱炭素効果の高い電源を最大限活用することによりエネルギー自給率を向上させる必要がある旨が示されております。2040年には総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されており、その中でも太陽光発電と風力発電が再生可能エネルギー供給構成の大きな部分を占める見込みであります。
再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、電力安定化に不可欠な調整力に対する需要は増加することが見込まれ、今後、原子力の出力が増加したとしても過剰供給による充電ニーズ、瞬時の放電(出力)ニーズに応えるための調整力需要は依然として必要です。これに伴い調整力を提供する蓄電池に対する需要がより一層高まることが想定されます。
パワーエックスグループの各事業を取り巻く経営環境は以下のとおりであります。
(BESS事業)
再生可能エネルギーの調達促進、有効活用のニーズ増加に加えて、エネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーを蓄えることができる蓄電池の導入加速等が要因で、市場規模の拡大が見込まれております。パワーエックス試算における定置用蓄電池の導入ポテンシャルは、2040年までに累計291~337GWh(累計約10.1兆円)(注)と見込んでおります。この2040年において必要と推定される蓄電池容量は、国内の原子力発電所すべての出力を上回る見込みであり、蓄電池から供給される電力が重要な供給源となることからその制御に関するサイバーセキュリティが重要となっております。日本の国家安全保障の観点からも、BESSのセキュリティ強化、堅牢な国内制御が重要となります。
(注1)経済産業省及び資源エネルギー庁を含む、様々な公表資料に基づき試算。2040年の数値は第7次エネルギー基本計画に基づく日本政府のエネルギーミックス予測値及び2040年の総発電量の日本政府の予測値を使用して推定。2050年の数値は、総発電量と2050年の洋上風力発電の発電量目標に関する日本政府の予測に基づいて推定されており、その他の再生可能エネルギー発電量の数値については、独自の仮定を適用。特に2050年の数値を計算する際には、2021年の再生可能エネルギー量と2040年の日本政府の目標を比較して算出した成長率を適用。2050年の再エネ以外の電源について、原発発電については現在建設済み・建設中の原発を超えた発電能力の増加は想定せず、水素・アンモニア発電の比率については政府想定の10%を前提としている。棒グラフの陰影部分は老朽化した揚水式水力発電が耐用年数を迎えた時点ですべて電力需要の調整機能を持つ蓄電システムに置き換わると推定した場合に必要となる蓄電容量を示しているが、様々な要因により想定したとおりに代替が進まない可能性がある。また、2040年までの価格変動が生じないと仮定し、蓄電池システムの単価を30,000円/kWhとして算出した。
(注2)GWh値を日本におけるリチウムイオン電池の一般的な放電時間である4時間で除して算出
(注3)日本に現在設置されている原子力発電所の平均出力(2025年時点で1,003 MW)に基づいて算出(出所: 日本原子力安全機構)
(注4)既存の国内原子力発電所の総認可発電容量(2025年時点で33.08GW)に基づき算出 (出所: 日本原子力安全機構)
パワーエックスグループのBESS事業は、主に大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」及び中型定置用蓄電システム「PowerX Cube」の販売及びメンテナンスを行っております。パワーエックス製品は、自社開発のプラットフォーム(Power OS)で監視や制御、セキュリティサポートを行っており、ユーザーが自ら蓄電池の状態監視・充放電制御を管理することができます。また、このプラットフォームはAIアプリケーションと連携しており、蓄電池で生成された充放電データをAIモデルに学習させることで、バッテリーや周辺機器の制御、及び蓄電池に蓄えた電力の充放電制御の最適化を図り、その精度を向上させることを通じて卸電力市場取引の自動化や、より適切なタイミングで電力売買を行うことによる収益性の向上を図ることができます。また、ビハインド・ザ・メーター(BTM)やフロント・オブ・ザ・メーター(FTM) (注)への参加といった多様な方法で収益獲得が可能であり、潜在顧客の導入へのインセンティブになると考えております。
蓄電池製品の販売後においては、自社専門チーム及び外部の協力会社による保守メンテナンスや技術サポートを提供するとともに、運用面のサポートについても顧客ニーズに対応した提案を行っております。「PowerX Mega Power」は最長20年間の容量保証が付帯するなど、蓄電池製品は長期間の使用を想定していることから、購入後のサポート体制が充実していることは、顧客の製品購入の意思決定において重要なポイントであるとともに、パワーエックスとしてもストック型収益を獲得することができる重要な事業機会であると認識しております。
このような高い付加価値を持つ蓄電池製品を生み出すことで、来るべき蓄電池需要に対応した事業展開をしてまいります。
(注)電気メーターを基準に、蓄電池を需要者側に設置する(ビハインド・ザ・メーター)か、供給者側に設置する(フロント・オブ・ザ・メーター)かという概念を意味します。ビハインド・ザ・メーターで設置された蓄電池は、太陽光発電設備と合わせて設置することで、発生した電力を蓄電池に蓄えて需要者が自家消費する場合などに用いられます。一方で、フロント・オブ・ザ・メーターで設置された蓄電池は、周波数調整やピークカット、及び再生可能エネルギーの出力変動の平準化など、電力系統全体の安定化のために用いられます。
(EVCS事業)
日本国内における電気自動車(EV)の普及により、またはEVの普及を促進するために日本国内におけるEV充電器の需要は高まることが予想されます。
パワーエックスグループのEVCS事業は、自社で製造した蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」をカーディーラーや企業へ販売するとともに、自社でも「PowerX Hypercharger」を複合商業ビルや空港、コンビニ、マンション等の集合住宅の駐車場車室に設置し、「PowerX Charge Station」を運営しております。
パワーエックスグループが独自開発している蓄電池内蔵の「PowerX Hypercharger」を使用することで、最大出力240kWhの短時間充電を可能とし、商業施設等の短時間の滞在を見込む場所での充電をサポートすることができます。急速充電ができることで、時間の制約により充分な充電を行うことができないといった課題を解決し、フル充電を行うことも可能です。また、パワーエックスグループでは、EV充電ネットワークを利用できるアプリを自社開発しており、いつでもどこでも事前予約でき、待ち時間なくスムーズな充電を可能としております。スマホアプリによる分かり易い操作で、予約から決済まで高いユーザビリティを付与しております。
また、「PowerX Charge Station」は2023年より東京都内を中心に設置を開始しており、今後も急速充電、再生可能エネルギーの利用、予約のしやすさといった付加価値をもって、全国各地へ展開してまいります。
(電力事業)
上述のとおり、安定的かつ安価に再生可能エネルギーの供給を受けたいという企業のニーズは今後ますます増加することが見込まれております。
パワーエックスグループの電力事業では、再生可能エネルギーのベース電源(風力、バイオマス発電等)と太陽光発電に蓄電池を組み合わせることで太陽光だけのPPAでは実現できない高い再生可能エネルギー電源率を実現し、安定的に顧客へ電力を供給していくことが可能です。高い再生可能エネルギー電源率を保持したまま安定的に、安価な再生可能エネルギーを供給するには蓄電池が不可欠であり、自社で製造販売した蓄電池製品を利用した再生可能エネルギーソリューションを提供してまいります。
パワーエックスグループは、持続的な成長性と企業価値の向上に関する状況を測定するため、売上高、受注残高、EBITDA、ROA、ROE、及び温室効果ガス(GHG)削減貢献量を重要な経営指標として位置付けております。
当該指標を重視する理由は下記のとおりであります。
売上高、受注残高は、事業規模・成長性の目安であり、パワーエックス製品の市場シェアの動向把握にも適した指標であるためです。
EBITDAは、多額の初期投資を必要とするパワーエックスグループにおいて、会計上の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の向上を目指すために適した指標であるためです。なお、EBITDAの計算式は、「EBITDA=営業利益+減価償却費」としております。
ROA、ROEは、パワーエックスグループの事業戦略において、他人資本を取り入れながら資産効率・投資効率を最適化することを表す指標として有用であるためです。
温室効果ガス(GHG)削減貢献量は、カーボンニュートラルの実現のため自然エネルギーの爆発的普及を目指すパワーエックスにとって、重要な指標であるためです。なお、温室効果ガス(GHG)削減貢献量の算出方法については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 指標及び目標」をご参照ください。
① 事業の稼働状況
パワーエックスグループでは、2021年3月の創業以来、蓄電池製品出荷、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の展開、電力事業開始、電気運搬船の開発に向けて各事業の垂直立上げを行ってまいりましたが、事業立上げに係るコストは各事業が本格稼働するまでは損失を計上させる、又は利益を低下させる可能性があります。また、事業が計画どおりに推移せず投資回収が十分にできない場合、パワーエックスグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、市場動向を充分に観察・分析し、事業計画等を慎重に検討した上で実行の判断をするほか、事業の進捗状況のバランスを勘案しながら、許容できるリスクについて判断してまいります。なお、今後の具体的な対応策については以下のとおりです。
各事業の基礎となる製品製造については、蓄電池製品の需要拡大に対して安定供給が可能な体制を早期に整備してまいります。具体的には、岡山県玉野市のPower Base敷地内に第2工場を建設し大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の生産能力拡大を計画しており、完成後の生産能力は年間5,760台を予定しております(設備投資計画の詳細につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください)。
BESS事業については、人材採用を推進して営業人員を増加させることで営業体制をより強化するとともに、蓄電池製品導入に必要となるパワーコンディショナーメーカーや大手エネルギー会社との戦略的アライアンスを通じて受注の獲得に注力してまいります。また、販売した製品に対する保守・メンテナンスサービスの提供は、パワーエックス製品を安心して長期間ご利用いただくとともに、パワーエックスの安定的な収益の源泉としても重要であると認識しており、今後一層の強化を図ってまいります。
EVCS事業については、自動車会社等とのパートナーシップ契約に基づきカーディーラー等へのEV急速充電器販売を拡大していくとともに、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の自社拠点についても首都圏から全国へ順次拡大してまいります。
電力事業については、再生可能エネルギーの電源確保を進めるとともに蓄電池製品販売とセットで電力販売契約を提案するなど、単なる電力供給にとどまらない再生可能エネルギーソリューションを提供してまいります。
② 人材の確保と育成の強化
パワーエックスグループの継続的な事業の成長と発展のために、優秀な人材の確保と育成は重要な課題の1つと認識しております。パワーエックスグループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、社内教育の充実、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。
③ 財務上の課題
パワーエックスグループは、「① 事業の稼働状況」に記載のとおり各事業の垂直立上げを行っており、2023年12月期より蓄電池製品の販売を開始し、2024年12月期においては蓄電池製品の納品が進んでいるほか、電力事業についても顧客への電力供給を開始するなど事業展開は順調に推移しております。しかしながら、年間の固定費を回収するには至らず、2024年12月期まで4期連続して営業損失、経常損失、当期純損失(2023年12月期連結会計年度及び2024年12月期連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しており、2025年12月期第3四半期連結累計期間においても営業損益以降の各段階損益がマイナスとなっております。
当該状況を受けて、パワーエックスグループでは、「受注獲得に向けた営業体制の強化」、「徹底したコストコントロールの推進による利益率の改善」などの対策を実施し、当該状況の改善、解消に努めております(対策の詳細につきましては「3 事業等のリスク (3) 財務リスク等について ④継続企業の前提に関する重要事象等」をご参照ください)。
なお、資金面については、主に「PowerX Mega Power」の納品による売上計上や、契約締結に伴う前受金の入金により、2025年12月期中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは1,879百万円の収入となっております。また、2025年12月期第3四半期連結累計期間において法人7社及び個人17名に対する第三者割当増資により1,653百万円の払込みを受けております。さらに、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするコミットメントライン契約(総貸付極度額4,000百万円)を2025年3月26日付で締結し、そのうち2025年12月期第3四半期連結会計期間末において計2,500百万円を実行して既存借入金のリファイナンス及び運転資金に充当しております。この結果、2025年12月期第3四半期連結会計期間末において3,358百万円の現金及び預金を保有しており、資金繰りに重要な懸念はないと判断しております。
今後につきましても上記施策を着実に実行し早期の黒字転換を図るとともに、資金調達についても適宜適切な調達方法により機動的な資金確保を図ってまいります。
④ 成長戦略の推進
パワーエックスグループは、中長期的な事業拡大と収益基盤の確立に向けて、「市場拡大」「製品拡充」「競争力強化」の三点を軸とした成長戦略を優先課題として推進してまいります。
市場拡大においては、大型蓄電所向けに加え、EV関連、船舶関連、周辺機器市場、さらには海外市場など、多様な成長領域の開拓を進めてまいります。また、中小型蓄電池や海外案件を含む新規市場の獲得に向けて、営業体制の強化やパートナー企業との協業を進め、市場アクセスの拡大を図ってまいります。
製品戦略としては、パワーエックスの蓄電技術・制御技術を活かし、大型定置用蓄電システムのみならず、小型製品、EV充電関連製品、船舶関連製品など、製品ラインナップの多様化を進めることで、顧客ニーズへの対応力を強化してまいります。
競争戦略としては、部材の大量調達等によるコスト低減を継続しつつ、蓄電システムとしての性能、安全性、ソフトウェアを含む制御技術により差別化を図り、「低コスト」と「高付加価値」の両立による競争優位の確保に取り組んでまいります。
これらの施策を通じ、BESS市場の拡大や案件規模の大型化に対応しつつ、2030年に向けて収益拡大フェーズへの移行を確実に進めてまいります。当成長戦略の着実な実行により、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてパワーエックスグループが判断したものであります。
パワーエックスグループは、「永遠に、エネルギーに困らない地球」というビジョンのもとに、「日本のエネルギー自給率の向上を実現する」というミッションを掲げております。
日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入に取り組んでおります。一方、太陽光発電や風力発電等の出力が変動する再生可能エネルギーの大規模導入に伴い、余剰電力の発生や電力供給の安定性の確保が課題となっております。また、昨今、エネルギーを巡る問題は世界規模で不確実性が高まっている中で、再生可能エネルギーの主力電源化が鍵とされております。
パワーエックスグループでは、自然エネルギーの普及並びに蓄電、送電技術にイノベーションを起こし、脱炭素時代を担う次世代型のエネルギー企業を目指して社会に貢献してまいります。
Bloombergが発表したデータによりますと、温室効果ガスの主要因である二酸化炭素の排出量は年々増加しており、1990年から2022年にかけて約1.7倍に増加しております。また、全国地球温暖化防止活動推進センターが発表したデータによりますと、日本の部門別の二酸化炭素排出量の主要因の約40%が電力の発電によるものとされております(発電及び熱発生に伴うエネルギー起源の二酸化炭素排出量を、電気及び熱の生産者側の排出として生産者側の部門に計上した排出量で算定)。
出典:(左)Bloomberg「Global total CO2 emissions」、(右)全国地球温暖化防止活動推進センター「日本の部門別二酸化炭素排出量(2023年度)」よりパワーエックス作成
また、日本における2022年のエネルギー自給率はわずか12.6%(OECD中37位)にとどまり、先進諸国と比較しエネルギー資源の対外依存が高い状態が継続しております。
出典:国際エネルギー機関(2024年 9月) 「World Energy Balances Highlights」より作成。エネルギー自給率は、当該国の国内エネルギー生産量(PJ)÷国内総エネルギー供給量(PJ)で算出
このようなエネルギー情勢の中、日本政府は2025年2月に第7次エネルギー基本計画を閣議決定しております。当エネルギー基本計画では、2040年までに温室効果ガスの排出量を2013年度から73%削減することを目指すこととしており、また、エネルギーの安定供給の観点から再生可能エネルギーや原子力などエネルギー安全保障に寄与し、かつ脱炭素効果の高い電源を最大限活用することによりエネルギー自給率を向上させる必要がある旨が示されております。2040年には総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されており、その中でも太陽光発電と風力発電が再生可能エネルギー供給構成の大きな部分を占める見込みであります。
再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、電力安定化に不可欠な調整力に対する需要は増加することが見込まれ、今後、原子力の出力が増加したとしても過剰供給による充電ニーズ、瞬時の放電(出力)ニーズに応えるための調整力需要は依然として必要です。これに伴い調整力を提供する蓄電池に対する需要がより一層高まることが想定されます。
パワーエックスグループの各事業を取り巻く経営環境は以下のとおりであります。
(BESS事業)
再生可能エネルギーの調達促進、有効活用のニーズ増加に加えて、エネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーを蓄えることができる蓄電池の導入加速等が要因で、市場規模の拡大が見込まれております。パワーエックス試算における定置用蓄電池の導入ポテンシャルは、2040年までに累計291~337GWh(累計約10.1兆円)(注)と見込んでおります。この2040年において必要と推定される蓄電池容量は、国内の原子力発電所すべての出力を上回る見込みであり、蓄電池から供給される電力が重要な供給源となることからその制御に関するサイバーセキュリティが重要となっております。日本の国家安全保障の観点からも、BESSのセキュリティ強化、堅牢な国内制御が重要となります。
(注1)経済産業省及び資源エネルギー庁を含む、様々な公表資料に基づき試算。2040年の数値は第7次エネルギー基本計画に基づく日本政府のエネルギーミックス予測値及び2040年の総発電量の日本政府の予測値を使用して推定。2050年の数値は、総発電量と2050年の洋上風力発電の発電量目標に関する日本政府の予測に基づいて推定されており、その他の再生可能エネルギー発電量の数値については、独自の仮定を適用。特に2050年の数値を計算する際には、2021年の再生可能エネルギー量と2040年の日本政府の目標を比較して算出した成長率を適用。2050年の再エネ以外の電源について、原発発電については現在建設済み・建設中の原発を超えた発電能力の増加は想定せず、水素・アンモニア発電の比率については政府想定の10%を前提としている。棒グラフの陰影部分は老朽化した揚水式水力発電が耐用年数を迎えた時点ですべて電力需要の調整機能を持つ蓄電システムに置き換わると推定した場合に必要となる蓄電容量を示しているが、様々な要因により想定したとおりに代替が進まない可能性がある。また、2040年までの価格変動が生じないと仮定し、蓄電池システムの単価を30,000円/kWhとして算出した。
(注2)GWh値を日本におけるリチウムイオン電池の一般的な放電時間である4時間で除して算出
(注3)日本に現在設置されている原子力発電所の平均出力(2025年時点で1,003 MW)に基づいて算出(出所: 日本原子力安全機構)
(注4)既存の国内原子力発電所の総認可発電容量(2025年時点で33.08GW)に基づき算出 (出所: 日本原子力安全機構)
パワーエックスグループのBESS事業は、主に大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」及び中型定置用蓄電システム「PowerX Cube」の販売及びメンテナンスを行っております。パワーエックス製品は、自社開発のプラットフォーム(Power OS)で監視や制御、セキュリティサポートを行っており、ユーザーが自ら蓄電池の状態監視・充放電制御を管理することができます。また、このプラットフォームはAIアプリケーションと連携しており、蓄電池で生成された充放電データをAIモデルに学習させることで、バッテリーや周辺機器の制御、及び蓄電池に蓄えた電力の充放電制御の最適化を図り、その精度を向上させることを通じて卸電力市場取引の自動化や、より適切なタイミングで電力売買を行うことによる収益性の向上を図ることができます。また、ビハインド・ザ・メーター(BTM)やフロント・オブ・ザ・メーター(FTM) (注)への参加といった多様な方法で収益獲得が可能であり、潜在顧客の導入へのインセンティブになると考えております。
蓄電池製品の販売後においては、自社専門チーム及び外部の協力会社による保守メンテナンスや技術サポートを提供するとともに、運用面のサポートについても顧客ニーズに対応した提案を行っております。「PowerX Mega Power」は最長20年間の容量保証が付帯するなど、蓄電池製品は長期間の使用を想定していることから、購入後のサポート体制が充実していることは、顧客の製品購入の意思決定において重要なポイントであるとともに、パワーエックスとしてもストック型収益を獲得することができる重要な事業機会であると認識しております。
このような高い付加価値を持つ蓄電池製品を生み出すことで、来るべき蓄電池需要に対応した事業展開をしてまいります。
(注)電気メーターを基準に、蓄電池を需要者側に設置する(ビハインド・ザ・メーター)か、供給者側に設置する(フロント・オブ・ザ・メーター)かという概念を意味します。ビハインド・ザ・メーターで設置された蓄電池は、太陽光発電設備と合わせて設置することで、発生した電力を蓄電池に蓄えて需要者が自家消費する場合などに用いられます。一方で、フロント・オブ・ザ・メーターで設置された蓄電池は、周波数調整やピークカット、及び再生可能エネルギーの出力変動の平準化など、電力系統全体の安定化のために用いられます。
(EVCS事業)
日本国内における電気自動車(EV)の普及により、またはEVの普及を促進するために日本国内におけるEV充電器の需要は高まることが予想されます。
パワーエックスグループのEVCS事業は、自社で製造した蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」をカーディーラーや企業へ販売するとともに、自社でも「PowerX Hypercharger」を複合商業ビルや空港、コンビニ、マンション等の集合住宅の駐車場車室に設置し、「PowerX Charge Station」を運営しております。
パワーエックスグループが独自開発している蓄電池内蔵の「PowerX Hypercharger」を使用することで、最大出力240kWhの短時間充電を可能とし、商業施設等の短時間の滞在を見込む場所での充電をサポートすることができます。急速充電ができることで、時間の制約により充分な充電を行うことができないといった課題を解決し、フル充電を行うことも可能です。また、パワーエックスグループでは、EV充電ネットワークを利用できるアプリを自社開発しており、いつでもどこでも事前予約でき、待ち時間なくスムーズな充電を可能としております。スマホアプリによる分かり易い操作で、予約から決済まで高いユーザビリティを付与しております。
また、「PowerX Charge Station」は2023年より東京都内を中心に設置を開始しており、今後も急速充電、再生可能エネルギーの利用、予約のしやすさといった付加価値をもって、全国各地へ展開してまいります。
(電力事業)
上述のとおり、安定的かつ安価に再生可能エネルギーの供給を受けたいという企業のニーズは今後ますます増加することが見込まれております。
パワーエックスグループの電力事業では、再生可能エネルギーのベース電源(風力、バイオマス発電等)と太陽光発電に蓄電池を組み合わせることで太陽光だけのPPAでは実現できない高い再生可能エネルギー電源率を実現し、安定的に顧客へ電力を供給していくことが可能です。高い再生可能エネルギー電源率を保持したまま安定的に、安価な再生可能エネルギーを供給するには蓄電池が不可欠であり、自社で製造販売した蓄電池製品を利用した再生可能エネルギーソリューションを提供してまいります。
パワーエックスグループは、持続的な成長性と企業価値の向上に関する状況を測定するため、売上高、受注残高、EBITDA、ROA、ROE、及び温室効果ガス(GHG)削減貢献量を重要な経営指標として位置付けております。
当該指標を重視する理由は下記のとおりであります。
売上高、受注残高は、事業規模・成長性の目安であり、パワーエックス製品の市場シェアの動向把握にも適した指標であるためです。
EBITDAは、多額の初期投資を必要とするパワーエックスグループにおいて、会計上の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の向上を目指すために適した指標であるためです。なお、EBITDAの計算式は、「EBITDA=営業利益+減価償却費」としております。
ROA、ROEは、パワーエックスグループの事業戦略において、他人資本を取り入れながら資産効率・投資効率を最適化することを表す指標として有用であるためです。
温室効果ガス(GHG)削減貢献量は、カーボンニュートラルの実現のため自然エネルギーの爆発的普及を目指すパワーエックスにとって、重要な指標であるためです。なお、温室効果ガス(GHG)削減貢献量の算出方法については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 指標及び目標」をご参照ください。
① 事業の稼働状況
パワーエックスグループでは、2021年3月の創業以来、蓄電池製品出荷、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の展開、電力事業開始、電気運搬船の開発に向けて各事業の垂直立上げを行ってまいりましたが、事業立上げに係るコストは各事業が本格稼働するまでは損失を計上させる、又は利益を低下させる可能性があります。また、事業が計画どおりに推移せず投資回収が十分にできない場合、パワーエックスグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、市場動向を充分に観察・分析し、事業計画等を慎重に検討した上で実行の判断をするほか、事業の進捗状況のバランスを勘案しながら、許容できるリスクについて判断してまいります。なお、今後の具体的な対応策については以下のとおりです。
各事業の基礎となる製品製造については、蓄電池製品の需要拡大に対して安定供給が可能な体制を早期に整備してまいります。具体的には、岡山県玉野市のPower Base敷地内に第2工場を建設し大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の生産能力拡大を計画しており、完成後の生産能力は年間5,760台を予定しております(設備投資計画の詳細につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください)。
BESS事業については、人材採用を推進して営業人員を増加させることで営業体制をより強化するとともに、蓄電池製品導入に必要となるパワーコンディショナーメーカーや大手エネルギー会社との戦略的アライアンスを通じて受注の獲得に注力してまいります。また、販売した製品に対する保守・メンテナンスサービスの提供は、パワーエックス製品を安心して長期間ご利用いただくとともに、パワーエックスの安定的な収益の源泉としても重要であると認識しており、今後一層の強化を図ってまいります。
EVCS事業については、自動車会社等とのパートナーシップ契約に基づきカーディーラー等へのEV急速充電器販売を拡大していくとともに、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の自社拠点についても首都圏から全国へ順次拡大してまいります。
電力事業については、再生可能エネルギーの電源確保を進めるとともに蓄電池製品販売とセットで電力販売契約を提案するなど、単なる電力供給にとどまらない再生可能エネルギーソリューションを提供してまいります。
② 人材の確保と育成の強化
パワーエックスグループの継続的な事業の成長と発展のために、優秀な人材の確保と育成は重要な課題の1つと認識しております。パワーエックスグループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、社内教育の充実、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。
③ 財務上の課題
パワーエックスグループは、「① 事業の稼働状況」に記載のとおり各事業の垂直立上げを行っており、2023年12月期より蓄電池製品の販売を開始し、2024年12月期においては蓄電池製品の納品が進んでいるほか、電力事業についても顧客への電力供給を開始するなど事業展開は順調に推移しております。しかしながら、年間の固定費を回収するには至らず、2024年12月期まで4期連続して営業損失、経常損失、当期純損失(2023年12月期連結会計年度及び2024年12月期連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しており、2025年12月期第3四半期連結累計期間においても営業損益以降の各段階損益がマイナスとなっております。
当該状況を受けて、パワーエックスグループでは、「受注獲得に向けた営業体制の強化」、「徹底したコストコントロールの推進による利益率の改善」などの対策を実施し、当該状況の改善、解消に努めております(対策の詳細につきましては「3 事業等のリスク (3) 財務リスク等について ④継続企業の前提に関する重要事象等」をご参照ください)。
なお、資金面については、主に「PowerX Mega Power」の納品による売上計上や、契約締結に伴う前受金の入金により、2025年12月期中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは1,879百万円の収入となっております。また、2025年12月期第3四半期連結累計期間において法人7社及び個人17名に対する第三者割当増資により1,653百万円の払込みを受けております。さらに、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするコミットメントライン契約(総貸付極度額4,000百万円)を2025年3月26日付で締結し、そのうち2025年12月期第3四半期連結会計期間末において計2,500百万円を実行して既存借入金のリファイナンス及び運転資金に充当しております。この結果、2025年12月期第3四半期連結会計期間末において3,358百万円の現金及び預金を保有しており、資金繰りに重要な懸念はないと判断しております。
今後につきましても上記施策を着実に実行し早期の黒字転換を図るとともに、資金調達についても適宜適切な調達方法により機動的な資金確保を図ってまいります。
④ 成長戦略の推進
パワーエックスグループは、中長期的な事業拡大と収益基盤の確立に向けて、「市場拡大」「製品拡充」「競争力強化」の三点を軸とした成長戦略を優先課題として推進してまいります。
市場拡大においては、大型蓄電所向けに加え、EV関連、船舶関連、周辺機器市場、さらには海外市場など、多様な成長領域の開拓を進めてまいります。また、中小型蓄電池や海外案件を含む新規市場の獲得に向けて、営業体制の強化やパートナー企業との協業を進め、市場アクセスの拡大を図ってまいります。
製品戦略としては、パワーエックスの蓄電技術・制御技術を活かし、大型定置用蓄電システムのみならず、小型製品、EV充電関連製品、船舶関連製品など、製品ラインナップの多様化を進めることで、顧客ニーズへの対応力を強化してまいります。
競争戦略としては、部材の大量調達等によるコスト低減を継続しつつ、蓄電システムとしての性能、安全性、ソフトウェアを含む制御技術により差別化を図り、「低コスト」と「高付加価値」の両立による競争優位の確保に取り組んでまいります。
これらの施策を通じ、BESS市場の拡大や案件規模の大型化に対応しつつ、2030年に向けて収益拡大フェーズへの移行を確実に進めてまいります。当成長戦略の着実な実行により、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてパワーエックスグループが判断したものであります。
パワーエックスグループは、「永遠に、エネルギーに困らない地球」というビジョンのもとに、「日本のエネルギー自給率の向上を実現する」というミッションを掲げております。
日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げ、再生可能エネルギーの導入に取り組んでおります。一方、太陽光発電や風力発電等の出力が変動する再生可能エネルギーの大規模導入に伴い、余剰電力の発生や電力供給の安定性の確保が課題となっております。また、昨今、エネルギーを巡る問題は世界規模で不確実性が高まっている中で、再生可能エネルギーの主力電源化が鍵とされております。
パワーエックスグループでは、自然エネルギーの普及並びに蓄電、送電技術にイノベーションを起こし、脱炭素時代を担う次世代型のエネルギー企業を目指して社会に貢献してまいります。
Bloombergが発表したデータによりますと、温室効果ガスの主要因である二酸化炭素の排出量は年々増加しており、1990年から2022年にかけて約1.7倍に増加しております。また、全国地球温暖化防止活動推進センターが発表したデータによりますと、日本の部門別の二酸化炭素排出量の主要因の約40%が電力の発電によるものとされております(発電及び熱発生に伴うエネルギー起源の二酸化炭素排出量を、電気及び熱の生産者側の排出として生産者側の部門に計上した排出量で算定)。
出典:(左)Bloomberg「Global total CO2 emissions」、(右)全国地球温暖化防止活動推進センター「日本の部門別二酸化炭素排出量(2023年度)」よりパワーエックス作成
また、日本における2022年のエネルギー自給率はわずか12.6%(OECD中37位)にとどまり、先進諸国と比較しエネルギー資源の対外依存が高い状態が継続しております。
出典:国際エネルギー機関(2024年 9月) 「World Energy Balances Highlights」より作成。エネルギー自給率は、当該国の国内エネルギー生産量(PJ)÷国内総エネルギー供給量(PJ)で算出
このようなエネルギー情勢の中、日本政府は2025年2月に第7次エネルギー基本計画を閣議決定しております。当エネルギー基本計画では、2040年までに温室効果ガスの排出量を2013年度から73%削減することを目指すこととしており、また、エネルギーの安定供給の観点から再生可能エネルギーや原子力などエネルギー安全保障に寄与し、かつ脱炭素効果の高い電源を最大限活用することによりエネルギー自給率を向上させる必要がある旨が示されております。2040年には総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されており、その中でも太陽光発電と風力発電が再生可能エネルギー供給構成の大きな部分を占める見込みであります。
再生可能エネルギーの普及拡大に伴い、電力安定化に不可欠な調整力に対する需要は増加することが見込まれ、今後、原子力の出力が増加したとしても過剰供給による充電ニーズ、瞬時の放電(出力)ニーズに応えるための調整力需要は依然として必要です。これに伴い調整力を提供する蓄電池に対する需要がより一層高まることが想定されます。
パワーエックスグループの各事業を取り巻く経営環境は以下のとおりであります。
(BESS事業)
再生可能エネルギーの調達促進、有効活用のニーズ増加に加えて、エネルギー安全保障の観点から、再生可能エネルギーを蓄えることができる蓄電池の導入加速等が要因で、市場規模の拡大が見込まれております。パワーエックス試算における定置用蓄電池の導入ポテンシャルは、2040年までに累計291~337GWh(累計約10.1兆円)(注)と見込んでおります。この2040年において必要と推定される蓄電池容量は、国内の原子力発電所すべての出力を上回る見込みであり、蓄電池から供給される電力が重要な供給源となることからその制御に関するサイバーセキュリティが重要となっております。日本の国家安全保障の観点からも、BESSのセキュリティ強化、堅牢な国内制御が重要となります。
(注1)経済産業省及び資源エネルギー庁を含む、様々な公表資料に基づき試算。2040年の数値は第7次エネルギー基本計画に基づく日本政府のエネルギーミックス予測値及び2040年の総発電量の日本政府の予測値を使用して推定。2050年の数値は、総発電量と2050年の洋上風力発電の発電量目標に関する日本政府の予測に基づいて推定されており、その他の再生可能エネルギー発電量の数値については、独自の仮定を適用。特に2050年の数値を計算する際には、2021年の再生可能エネルギー量と2040年の日本政府の目標を比較して算出した成長率を適用。2050年の再エネ以外の電源について、原発発電については現在建設済み・建設中の原発を超えた発電能力の増加は想定せず、水素・アンモニア発電の比率については政府想定の10%を前提としている。棒グラフの陰影部分は老朽化した揚水式水力発電が耐用年数を迎えた時点ですべて電力需要の調整機能を持つ蓄電システムに置き換わると推定した場合に必要となる蓄電容量を示しているが、様々な要因により想定したとおりに代替が進まない可能性がある。また、2040年までの価格変動が生じないと仮定し、蓄電池システムの単価を30,000円/kWhとして算出した。
(注2)GWh値を日本におけるリチウムイオン電池の一般的な放電時間である4時間で除して算出
(注3)日本に現在設置されている原子力発電所の平均出力(2025年時点で1,003 MW)に基づいて算出(出所: 日本原子力安全機構)
(注4)既存の国内原子力発電所の総認可発電容量(2025年時点で33.08GW)に基づき算出 (出所: 日本原子力安全機構)
パワーエックスグループのBESS事業は、主に大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」及び中型定置用蓄電システム「PowerX Cube」の販売及びメンテナンスを行っております。パワーエックス製品は、自社開発のプラットフォーム(Power OS)で監視や制御、セキュリティサポートを行っており、ユーザーが自ら蓄電池の状態監視・充放電制御を管理することができます。また、このプラットフォームはAIアプリケーションと連携しており、蓄電池で生成された充放電データをAIモデルに学習させることで、バッテリーや周辺機器の制御、及び蓄電池に蓄えた電力の充放電制御の最適化を図り、その精度を向上させることを通じて卸電力市場取引の自動化や、より適切なタイミングで電力売買を行うことによる収益性の向上を図ることができます。また、ビハインド・ザ・メーター(BTM)やフロント・オブ・ザ・メーター(FTM) (注)への参加といった多様な方法で収益獲得が可能であり、潜在顧客の導入へのインセンティブになると考えております。
蓄電池製品の販売後においては、自社専門チーム及び外部の協力会社による保守メンテナンスや技術サポートを提供するとともに、運用面のサポートについても顧客ニーズに対応した提案を行っております。「PowerX Mega Power」は最長20年間の容量保証が付帯するなど、蓄電池製品は長期間の使用を想定していることから、購入後のサポート体制が充実していることは、顧客の製品購入の意思決定において重要なポイントであるとともに、パワーエックスとしてもストック型収益を獲得することができる重要な事業機会であると認識しております。
このような高い付加価値を持つ蓄電池製品を生み出すことで、来るべき蓄電池需要に対応した事業展開をしてまいります。
(注)電気メーターを基準に、蓄電池を需要者側に設置する(ビハインド・ザ・メーター)か、供給者側に設置する(フロント・オブ・ザ・メーター)かという概念を意味します。ビハインド・ザ・メーターで設置された蓄電池は、太陽光発電設備と合わせて設置することで、発生した電力を蓄電池に蓄えて需要者が自家消費する場合などに用いられます。一方で、フロント・オブ・ザ・メーターで設置された蓄電池は、周波数調整やピークカット、及び再生可能エネルギーの出力変動の平準化など、電力系統全体の安定化のために用いられます。
(EVCS事業)
日本国内における電気自動車(EV)の普及により、またはEVの普及を促進するために日本国内におけるEV充電器の需要は高まることが予想されます。
パワーエックスグループのEVCS事業は、自社で製造した蓄電池型急速EV充電システム「PowerX Hypercharger」をカーディーラーや企業へ販売するとともに、自社でも「PowerX Hypercharger」を複合商業ビルや空港、コンビニ、マンション等の集合住宅の駐車場車室に設置し、「PowerX Charge Station」を運営しております。
パワーエックスグループが独自開発している蓄電池内蔵の「PowerX Hypercharger」を使用することで、最大出力240kWhの短時間充電を可能とし、商業施設等の短時間の滞在を見込む場所での充電をサポートすることができます。急速充電ができることで、時間の制約により充分な充電を行うことができないといった課題を解決し、フル充電を行うことも可能です。また、パワーエックスグループでは、EV充電ネットワークを利用できるアプリを自社開発しており、いつでもどこでも事前予約でき、待ち時間なくスムーズな充電を可能としております。スマホアプリによる分かり易い操作で、予約から決済まで高いユーザビリティを付与しております。
また、「PowerX Charge Station」は2023年より東京都内を中心に設置を開始しており、今後も急速充電、再生可能エネルギーの利用、予約のしやすさといった付加価値をもって、全国各地へ展開してまいります。
(電力事業)
上述のとおり、安定的かつ安価に再生可能エネルギーの供給を受けたいという企業のニーズは今後ますます増加することが見込まれております。
パワーエックスグループの電力事業では、再生可能エネルギーのベース電源(風力、バイオマス発電等)と太陽光発電に蓄電池を組み合わせることで太陽光だけのPPAでは実現できない高い再生可能エネルギー電源率を実現し、安定的に顧客へ電力を供給していくことが可能です。高い再生可能エネルギー電源率を保持したまま安定的に、安価な再生可能エネルギーを供給するには蓄電池が不可欠であり、自社で製造販売した蓄電池製品を利用した再生可能エネルギーソリューションを提供してまいります。
パワーエックスグループは、持続的な成長性と企業価値の向上に関する状況を測定するため、売上高、受注残高、EBITDA、ROA、ROE、及び温室効果ガス(GHG)削減貢献量を重要な経営指標として位置付けております。
当該指標を重視する理由は下記のとおりであります。
売上高、受注残高は、事業規模・成長性の目安であり、パワーエックス製品の市場シェアの動向把握にも適した指標であるためです。
EBITDAは、多額の初期投資を必要とするパワーエックスグループにおいて、会計上の償却負担に過度に左右されることなく、企業価値の向上を目指すために適した指標であるためです。なお、EBITDAの計算式は、「EBITDA=営業利益+減価償却費」としております。
ROA、ROEは、パワーエックスグループの事業戦略において、他人資本を取り入れながら資産効率・投資効率を最適化することを表す指標として有用であるためです。
温室効果ガス(GHG)削減貢献量は、カーボンニュートラルの実現のため自然エネルギーの爆発的普及を目指すパワーエックスにとって、重要な指標であるためです。なお、温室効果ガス(GHG)削減貢献量の算出方法については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 指標及び目標」をご参照ください。
① 事業の稼働状況
パワーエックスグループでは、2021年3月の創業以来、蓄電池製品出荷、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の展開、電力事業開始、電気運搬船の開発に向けて各事業の垂直立上げを行ってまいりましたが、事業立上げに係るコストは各事業が本格稼働するまでは損失を計上させる、又は利益を低下させる可能性があります。また、事業が計画どおりに推移せず投資回収が十分にできない場合、パワーエックスグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、市場動向を充分に観察・分析し、事業計画等を慎重に検討した上で実行の判断をするほか、事業の進捗状況のバランスを勘案しながら、許容できるリスクについて判断してまいります。なお、今後の具体的な対応策については以下のとおりです。
各事業の基礎となる製品製造については、蓄電池製品の需要拡大に対して安定供給が可能な体制を早期に整備してまいります。具体的には、岡山県玉野市のPower Base敷地内に第2工場を建設し大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の生産能力拡大を計画しており、完成後の生産能力は年間5,760台を予定しております(設備投資計画の詳細につきましては「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください)。
BESS事業については、人材採用を推進して営業人員を増加させることで営業体制をより強化するとともに、蓄電池製品導入に必要となるパワーコンディショナーメーカーや大手エネルギー会社との戦略的アライアンスを通じて受注の獲得に注力してまいります。また、販売した製品に対する保守・メンテナンスサービスの提供は、パワーエックス製品を安心して長期間ご利用いただくとともに、パワーエックスの安定的な収益の源泉としても重要であると認識しており、今後一層の強化を図ってまいります。
EVCS事業については、自動車会社等とのパートナーシップ契約に基づきカーディーラー等へのEV急速充電器販売を拡大していくとともに、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の自社拠点についても首都圏から全国へ順次拡大してまいります。
電力事業については、再生可能エネルギーの電源確保を進めるとともに蓄電池製品販売とセットで電力販売契約を提案するなど、単なる電力供給にとどまらない再生可能エネルギーソリューションを提供してまいります。
② 人材の確保と育成の強化
パワーエックスグループの継続的な事業の成長と発展のために、優秀な人材の確保と育成は重要な課題の1つと認識しております。パワーエックスグループとしては積極的な採用活動を継続するとともに、社内教育の充実、適切な目標管理と人事評価を行い、優秀な人材の確保と活用に努めてまいります。
③ 財務上の課題
パワーエックスグループは、「① 事業の稼働状況」に記載のとおり各事業の垂直立上げを行っており、2023年12月期より蓄電池製品の販売を開始し、2024年12月期においては蓄電池製品の納品が進んでいるほか、電力事業についても顧客への電力供給を開始するなど事業展開は順調に推移しております。しかしながら、年間の固定費を回収するには至らず、2024年12月期まで4期連続して営業損失、経常損失、当期純損失(2023年12月期連結会計年度及び2024年12月期連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しており、2025年12月期第3四半期連結累計期間においても営業損益以降の各段階損益がマイナスとなっております。
当該状況を受けて、パワーエックスグループでは、「受注獲得に向けた営業体制の強化」、「徹底したコストコントロールの推進による利益率の改善」などの対策を実施し、当該状況の改善、解消に努めております(対策の詳細につきましては「3 事業等のリスク (3) 財務リスク等について ④継続企業の前提に関する重要事象等」をご参照ください)。
なお、資金面については、主に「PowerX Mega Power」の納品による売上計上や、契約締結に伴う前受金の入金により、2025年12月期中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは1,879百万円の収入となっております。また、2025年12月期第3四半期連結累計期間において法人7社及び個人17名に対する第三者割当増資により1,653百万円の払込みを受けております。さらに、株式会社みずほ銀行をアレンジャーとするコミットメントライン契約(総貸付極度額4,000百万円)を2025年3月26日付で締結し、そのうち2025年12月期第3四半期連結会計期間末において計2,500百万円を実行して既存借入金のリファイナンス及び運転資金に充当しております。この結果、2025年12月期第3四半期連結会計期間末において3,358百万円の現金及び預金を保有しており、資金繰りに重要な懸念はないと判断しております。
今後につきましても上記施策を着実に実行し早期の黒字転換を図るとともに、資金調達についても適宜適切な調達方法により機動的な資金確保を図ってまいります。
④ 成長戦略の推進
パワーエックスグループは、中長期的な事業拡大と収益基盤の確立に向けて、「市場拡大」「製品拡充」「競争力強化」の三点を軸とした成長戦略を優先課題として推進してまいります。
市場拡大においては、大型蓄電所向けに加え、EV関連、船舶関連、周辺機器市場、さらには海外市場など、多様な成長領域の開拓を進めてまいります。また、中小型蓄電池や海外案件を含む新規市場の獲得に向けて、営業体制の強化やパートナー企業との協業を進め、市場アクセスの拡大を図ってまいります。
製品戦略としては、パワーエックスの蓄電技術・制御技術を活かし、大型定置用蓄電システムのみならず、小型製品、EV充電関連製品、船舶関連製品など、製品ラインナップの多様化を進めることで、顧客ニーズへの対応力を強化してまいります。
競争戦略としては、部材の大量調達等によるコスト低減を継続しつつ、蓄電システムとしての性能、安全性、ソフトウェアを含む制御技術により差別化を図り、「低コスト」と「高付加価値」の両立による競争優位の確保に取り組んでまいります。
これらの施策を通じ、BESS市場の拡大や案件規模の大型化に対応しつつ、2030年に向けて収益拡大フェーズへの移行を確実に進めてまいります。当成長戦略の着実な実行により、中長期的な企業価値の向上を図ってまいります。
本有価証券届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がパワーエックスグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてパワーエックスグループが判断したものであります。
①日本の経済情勢に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
再生可能エネルギーやその技術・製品に対する需要は、パワーエックスグループが事業を展開する日本の経済情勢によって影響を受けます。即ち、少子高齢化の進行、金利上昇やインフレの進行によって日本の経済活動が停滞し、電力需要全体が想定よりも伸び悩む可能性や、パワーエックスグループの顧客が定置用蓄電池の設置やEV急速充電器の展開等に対する投資余力を失う可能性、政府が税収減少により再生可能エネルギー関連の補助金を削減する可能性があります。
このように、日本の経済情勢の悪化により、蓄電池の使用やEV急速充電器の設置がパワーエックスグループの想定したとおりに進まない場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
2025年2月に政府が閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、2040年度に総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されています。そして、この目標を達成するため、国レベルと地方レベルの両方で補助金を活用する方針・施策が示されていますが、政府のエネルギー戦略が変更され、当該計画で示された方針・施策は改定される可能性があります。このような場合には、再生可能エネルギー市場が縮小し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、パワーエックスグループは、上記第7次エネルギー基本計画及び第三者のデータやパワーエックス独自の分析に基づき、パワーエックスグループの事業が展開可能な市場に関する市場規模を推定しています(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境・戦略」をご参照ください。)。しかしながら、脱炭素社会の実現に向けた政府及び企業の考え方の変化、炭素エネルギーにおける技術革新、原発の再稼働・新設による再生可能エネルギーへの依存の低下、老朽化した揚水式水力発電施設の蓄電池への移行の遅れ、送電網の整備不足等により、パワーエックスグループが想定するほど当該市場が成長しない可能性があります。さらに、パワーエックスグループの事業が展開可能な市場に関する市場規模の推定が正確であった場合でも、他社との競合等により、パワーエックスグループの事業が成長しない可能性があります。
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
(発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:中)
地球温暖化による気候変動は、異常気象による自然災害の甚大化や、森林の減少・砂漠化、生物の絶滅等、地球規模で深刻なリスクを生じさせます。これらのリスクは、パワーエックスグループが保有する生産設備の損壊、サプライチェーンの機能不全、規制強化等によるコスト増加等、パワーエックスグループの事業活動の多方面に影響を及ぼす可能性があります。
また、地球温暖化による気候変動が想定以上に進まない場合、国、社会及び企業の再生可能エネルギーへの関心が薄れ、補助金や設備投資の減少によりパワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ EV充電サービス需要の変動リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
脱炭素化を背景として、電気自動車(EV)が普及していくことを想定していますが、日本におけるEVシフトの遅れやEVに替わる移動手段の出現などにより想定よりも日本国内におけるEVの普及が遅れた場合や、新たな技術によるEVへの充電方法が出現した場合は、パワーエックスグループのEV急速充電器の販売やEV充電サービスの売上が減少し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、過去、特定のEVメーカーの車両がパワーエックスグループのEV急速充電器を使用した場合に、当該車両が故障する事案が発生しましたが、今後類似の事案が発生した場合、パワーエックスグループのレピュテーション、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)
パワーエックスグループは、再生可能エネルギーの普及のために蓄電池の活用は不可欠であり、蓄電池製品をより多く普及させるためには、蓄電池を導入する顧客がストレージパリティ(蓄電池を導入することにより経済的なメリットを享受できる状態)を達成できる、より魅力的な経済条件で製品及びサービスを供給することが重要であると認識しております。パワーエックスグループは、高品質の製品を競争力のある価格で供給していくことを基本方針として事業を行っておりますが、国内外の競合他社との価格競争が激化し、想定した利益を確保できない場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
パワーエックスグループは、経済安全保障上の観点から、日本国内の蓄電池製品市場においては日本の製造業者が海外の製造業者よりも競争上の優位性があると考えておりますが、そのような優位性が将来に亘って継続する保証はありません。他方、現時点における国内の主要な競合他社の中には、パワーエックスグループよりも事業規模が大きい企業もあり、経営資源の配分によっては、パワーエックスグループよりも優位に事業を展開できる可能性があります。また、今後新規の競合他社が蓄電池製品市場に参入し、パワーエックスグループよりも強い競争力を有することとなる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 技術革新によるリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループは、太陽光や風力等の電源から生成されるエネルギーの余剰分を蓄電池を用いて貯蔵し、不足する時間帯に電力を供給することにより、再生可能エネルギーの導入に不可欠な役割を果たすことができると考えております。
しかしながら、将来的には、蓄電池に代替する革新的な蓄電技術が開発される可能性は否定することはできないと考えております。また、現状ではパワーエックスの採用するリン酸鉄リチウムイオン電池に優位性がありますが、将来的により低コストで高品質な技術・製品の登場によりかかる優位性が損なわれる可能性もあります。さらに、化石燃料発電における技術革新、原子力発電、地熱発電その他の再生可能エネルギーにおける技術革新や、蓄電池における技術革新により、パワーエックスグループの製品及びサービスの優位性が損なわれる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 原材料調達に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールについては、集中購買により低い単価で調達することを目的として、全量を中国の仕入先1社から輸入しております。しかしながら、当該仕入先における供給能力の低下、当該仕入先との関係の悪化、サプライチェーンにおける障害の発生、品質問題の発生、地政学リスクの顕在化、中国国内の政治情勢の変化等により、当該仕入先からの調達が困難となる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、パワーエックスグループでは当該仕入先からの主要部品の調達が困難になった場合を想定し、研究開発部門及び調達部門が連携して、他の事業者が製造している電池モジュール等についても品質面及びコスト面での評価を行うといった対策を講じております。しかしながら、主要部品の仕入先を変更する場合、変更までに追加的な工数及びコストを要し、円滑な製品製造及び顧客への販売を継続できないことで、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 原材料価格の変動リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)
パワーエックスグループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールの調達価格は、需要動向や貿易政策の変化等を受け変動します。また、原材料調達の一部は主に米ドル建てで行っており、為替変動の影響により調達価格は変動します。こうした状況に対して、パワーエックスグループでは、今後の生産計画を踏まえた仕入量の合意に基づく仕入価格の低減を交渉するとともに、外貨建取引について為替予約を付すことで為替リスクの抑制を図るといった対応策を講じております。しかしながら、これらの対応策が不調となった場合や、パワーエックスの想定を上回る市場価格や為替相場の変化が生じた場合には、原材料の価格変動によって、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営・組織体制に関するリスクについて
① 契約締結・履行に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループの主力であるBESS事業における販売及び収益認識プロセスは以下のとおりであり、初回のコンタクトから見積もり・顧客社内での承認プロセスを経て契約書締結まで平均3-4か月の期間を、また正式受注から生産・納品・検収を経てクロージングまで平均6-7か月の期間を、それぞれ想定しております。
上記のとおり、パワーエックス蓄電池製品の販売は、商談から納品・クロージングまでに一定の期間を要するビジネスモデルとなっており、商談や要件の調整、及び顧客社内での承認や補助金申請などに想定よりも時間を要し、パワーエックスが想定したタイミングよりも収益計上や資金回収が遅れる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、パワーエックスは顧客との契約状況等を踏まえて、毎事業年度の期初に当該事業年度の予算策定を行っておりますが、正式受注額(注)が積み上がっていなかった2024年12月期等においては、正式受注が想定よりも遅れたことで当該リスクが顕在化し、当該期初予算等を下方修正するに至っております。
また、正式に受注し売買契約を締結した案件についても、用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、パワーエックス製品以外の資材調達の遅れ、契約後に顧客の財務状況が変化すること、顧客による補助金申請に対する交付決定の動向等により、予定したとおりに契約が履行されない可能性があります。これらの事象が発生した場合には、契約に基づき期待される売上の全部若しくは一部が計上されない、又はその計上が遅れる結果、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、パワーエックスグループが納品する製品に不具合が発生した場合には、予定したとおりに顧客の検収を受けることができず、想定した時期に売上高を計上できない可能性や、契約に定める遅延損害金をパワーエックスが顧客に支払う可能性があります。なお、顧客への製品の納品及び稼働試験業務の提供が完了した後においても、顧客の財務状況が変化して製品販売代金の入金が得られない、又は遅延する場合や、顧客による補助金申請に対する交付が予定通りに得られない場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注)「正式受注額」とは顧客から正式に発注され、売買契約が締結された拘束力のある注文金額を指します。
② 主要製品の製造委託に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、三井造船特機エンジニアリング株式会社との間で大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の製造委託契約を締結しており、パワーエックスが製造販売する「PowerX Mega Power」はその全量を三井造船特機エンジニアリング株式会社にて組み立てていることから、当該契約はパワーエックスグループの主要な事業活動の前提となる事項に該当しております。当該契約は1年ごとの自動更新となっていますが、当事者のいずれか一方が契約違反や期限の利益喪失事由に該当する場合には他方の当事者が契約を解除することが可能であるほか、双方のいずれかが契約期限満了の6か月前までに書面で通知した場合は期限を延長しないことが可能となっており、三井造船特機エンジニアリング株式会社の経営方針等が大きく変更された場合には契約を解除される可能性があります。本書提出日現在において、当該契約の継続に支障を来たす要因は発生しておらず、またパワーエックスグループでは「PowerX Mega Power」の生産能力の増強を目的としてPower Base第2工場の建設を計画しており、同工場の完成後は本リスクを軽減できる見通しですが、仮に同工場の完成前に当該契約の継続が困難になった場合、「PowerX Mega Power」の製造に重大な支障が生じ、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 生産キャパシティに関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)
パワーエックスグループは、増加する製品需要に対応すべく生産能力の拡大を計画しております。自社保有施設の拡張に加え、第三者への製造委託契約を活用して生産能力を拡大していくことを予定していますが、資金調達や、契約の更新等が何らかの事由により進行せず、または建設関連コストの大幅な上昇や建設業者が確保できない状況などが生じることにより、生産能力を維持・拡張できなかった場合、事業拡大に遅延が生じ、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、代替施設を利用することが可能である場合であっても、当該代替施設への移転や生産開始に時間を要する可能性や、多額の追加費用を要する可能性があり、その場合にはパワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 創業者への依存に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスの取締役 代表執行役社長CEO伊藤正裕は、パワーエックスの創業者でありパワーエックス設立以来、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、会社の事業推進に重要な役割を果たしております。パワーエックスグループでは、執行役への権限委譲やコーポレート・ガバナンス体制の構築により、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの事情により同氏がパワーエックスグループの経営を継続することが困難になった場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 人材の確保と育成に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
パワーエックスグループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠です。パワーエックスグループでは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 (人的資本について)」に記載のとおり、「プロフェッショナル人材」がパフォーマンスを発揮しやすい社内環境の整備や制度設計に注力するなど、人材投資を重視しております。一方、国内を含むグローバルな人材獲得競争は激化しており、予定していた人員の確保及び育成が計画どおりに進まない場合や既存の人材の社外流出などがあった場合、及び人材の採用や育成に関するコストが増加する場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、自社で開発した蓄電池製品を製造、販売しておりますが、これら蓄電池製品には電力の充放電を最適化するためのアルゴリズムや機器構成といった技術やノウハウが含まれております。また、蓄電池製品の稼働状況を監視、制御するためのアプリケーションシステムについても自社の研究開発部門で開発しており、これらはパワーエックスの事業運営において不可欠な知的財産であります。これらのうち、発電設備とその電力出力方法、急速充電装置及び関連するシステム、及び移動体を用いたエネルギー輸送システムなど、パワーエックスグループが重要であると判断したものについては国内外において特許出願を行っておりますが、第三者によるパワーエックス知的財産への侵害がなされた場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、本書提出日現在において、パワーエックスグループが他社の知的財産を侵害したこと等によってパワーエックスグループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟を提起されている事実はございません。今後も知的財産に関連する法令を遵守して事業活動を行ってまいる所存ですが、見解の相違も含めて、他社の知的財産を侵害する可能性があり、こうした状況が発生した場合には、解決に時間と費用を要し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 災害等の発生リスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
地震、津波、竜巻、台風、寒波等の自然災害や戦争・テロ、紛争、その他の要因による社会混乱により、本社や主要な事業拠点が被災し、パワーエックスグループの主要な事業機能が麻痺することにより事業継続が困難になるリスクがあります。 また、パワーエックスグループが販売する製品の主要な製造拠点は岡山県に集中しており、当該地域が被災した場合、生産活動に甚大な影響を及ぼし、顧客への製品供給停滞による販売収益の大幅な減少や、多額の設備復旧費用及び外部委託費用の発生等が生じるリスクがあります。パワーエックスグループは、災害や事故などで被害を受けた際に、重要な機能を可能な限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧できるように、事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を策定していますが、実際に自然災害等が発生した際にBCPが有効に機能しない場合、パワーエックスグループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 製造物責任及び製品保証リスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは自ら策定した管理基準に基づき製品の設計、製造を行っておりますが、将来にわたり製品に欠陥が生じる可能性を否定することはできないと考えております。また、パワーエックスグループが締結している売買契約の中には、検収後一定期間の無償保証期間を設けているものや、最長20年の容量保証等を提供しているものもあります。これらの耐用年数や製品保証期間は、電池モジュール等のメーカーから提示されている試験結果や過去の運用結果に基づいて設定しており、また保証期間における補償費用をカバーするための保証契約を保証会社と締結するなど、製品保証コストの抑制を図っております。しかしながら、実際の稼働可能期間がパワーエックスグループの想定を下回る、または保証対象事案の発生の頻度又は重要度が当該想定を上回る場合には、パワーエックスグループが想定する以上の保証責任が発生する可能性があります。加えて、電池モジュール等の原材料の一部についてはサプライヤーによる保証期間が20年よりも短いことから、当該期間の経過後は、パワーエックスグループが当該原材料に起因する損害についても責任を負担する可能性があります。パワーエックスグループの製品の欠陥は大規模な製品回収(リコール)や製造物賠償責任、無償交換・修理等により多額の費用を必要とするだけではなく、パワーエックスグループのレピュテーションに重大な影響を与える可能性があります。パワーエックスグループは製品の販売時に製品保証引当金を計上しておりますが、当該見積りを超過する費用が発生した場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 取引先との関係性に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループは蓄電池製品の購入者、調達先や物流業者、EV急速充電器の設置及び事業展開について提携している自動車メーカー、外部委託先等、多くの取引先との関係性を築きながら、事業を拡大しております。しかしながら、取引先の全てが品質、価格、納期の観点でパワーエックスグループにとって有利な条件で取引を継続する保証はなく、他の取引先に変更する必要が生じ、取引条件が悪化した場合等は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 内部管理体制に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
パワーエックスグループは、創業以来、事業の立ち上げ、業容拡大に応じて管理部門等の人員増強、各種規程・マニュアルの整備、システム導入等を進め、内部管理体制を構築してまいりました。今後も規模拡大、業容拡大に応じて内部管理体制の充実を図っていく方針でありますが、有効な内部管理体制が整備されなかった場合、または内部管理体制の整備及び運用に多額のコストを要する場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 法規制等に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループの事業は、環境関連、知的財産、製品及び原材料の品質・安全性、競争関連、労働関連、税務関連等の様々な法規制等の適用を受けており、それらの法規制等を遵守し、事業活動を行っていますが、法規制等について、遵守できなかった場合や変更・改正があった場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 情報セキュリティに関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループでは、事業遂行にあたり、顧客の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。不正アクセス、コンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩など、不測の事態が生じてこれらの情報が外部に漏洩した場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 訴訟に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループでは本書提出日現在、パワーエックスグループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は認識しておりませんが、将来、パワーエックスグループの法令違反の有無に関わらず何らかの原因で取引先、同業他社、株主、各種団体等による訴訟等を提起される可能性があります。これらの訴訟等が発生した場合、及び当該訴訟等においてパワーエックスグループに不利な判断がなされた場合、パワーエックスグループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ ブランド認知に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループの事業推進において、ブランドイメージや社会的信用の維持・向上は重要であると考えております。一方で、パワーエックス製品の欠陥とそれに伴う製品回収(リコール)が発生した場合や、アフターメンテナンスが適切に行われなかった場合、及びパワーエックスグループ又はその役職員に不祥事が発生した場合、パワーエックスグループのレピュテーションに重大な悪影響を与える可能性があります。こうした状況に対して適切な対応を講じることができない場合や、マスコミによる報道やソーシャルメディアへの書き込みなどによりパワーエックスグループに対する否定的な風評が流布された場合には、パワーエックスグループのブランドイメージや社会的信用が著しく毀損され、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、受注時に前受金を受領して原材料を発注することで運転資本の圧縮を図るとともに、設備投資、研究開発、不足する運転資本等で必要な事業資金については増資及び金融機関からの借入等により調達しております。今後、パワーエックスグループの経営成績、財政状態の悪化や金融情勢の変化等により、パワーエックスグループが希望する金額、時期、条件での資金調達ができない場合、パワーエックスグループの事業展開及び財政状態等に影響を与える可能性があります。 また、パワーエックスグループが締結している借入契約に付された財務制限条項(「5 経営上の重要な契約等 (2)金銭消費貸借契約」をご参照ください。)に抵触する場合、パワーエックスグループの事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性や、パワーエックスグループの借入コストやその後の資金調達に悪影響を与える可能性があります。
② 金利変動リスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)
パワーエックスグループは、運転資金及び設備資金について金融機関からの借入れにより資金調達を行っており、本書提出日現在における借入は全て変動金利型となっております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損リスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)
パワーエックスグループは2024年12月期に事業計画の遅延に起因して2,211百万円の固定資産の減損損失を計上しましたが、2025年9月末時点では合計4,604百万円の有形固定資産及び無形固定資産を計上しております。今後も、工場設備の増強等を行うことで固定資産が増加していくことが想定されますが、パワーエックスグループの業績が想定したとおりに進捗しない場合、これらの固定資産の減損損失を計上することにより、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 継続企業の前提に関する重要事象等
(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、2021年3月の創業以来、蓄電池製品の製造販売、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の展開、電力販売、電気運搬船の開発準備に向けて各事業の垂直立上げを行っております。2023年12月期に蓄電池製品の販売を開始し、2024年12月期においては蓄電池製品の納品が進んでいるほか、電力事業についても顧客への電力供給を開始するなど事業展開は順調に推移しているものの、年間の固定費を回収することができず、2024年12月期まで4期連続の営業損失、経常損失、当期純損失(2023年12月期連結会計年度及び2024年12月期連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しており、2025年12月期第3四半期連結累計期間においても営業損益以降の各段階損益がマイナスとなっております。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると認識しております。
パワーエックスグループでは、当該事象又は状況を改善、解消すべく以下の対応策に取り組んでまいります。
1.受注獲得に向けた営業体制の強化について
BESS事業及びEVCS事業、並びに電力事業における蓄電池製品等の販売及び稼働試験業務等の役務の提供については、国や地方自治体が実施する補助金施策なども背景に蓄電所向け定置用蓄電池の受注が増加傾向にあります。今後についても自社営業体制をより強化するとともに、大手エネルギー会社や自動車会社との戦略的アライアンスを通じて蓄電池製品販売の受注を獲得してまいります。なお、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④生産、受注及び販売の状況」に記載のとおり、2025年12月期第3四半期連結会計期間末における受注残高は41,715百万円(2024年12月期連結会計年度末比681.6%)と増加しております。
2.徹底したコストコントロールの推進による利益率の改善について
パワーエックスグループに関連した調達環境として、主要部品である電池モジュールの市場価格は下落トレンドにあります。加えて、製品受注の増加に伴う生産規模拡大を背景にしたサプライヤーとの価格交渉や、適切な部材選定、まとめ発注、及びサプライヤーとの協業などの原価低減活動を一層推進することで、原材料の調達コストの低減を図っております。さらに、米ドル建てで行っている輸入仕入取引について為替予約を活用して為替変動による影響を低減させることや、顧客への納品時期を踏まえた平準的な生産計画を立案することで既存の生産能力を最大限有効活用し追加的な製造コストを抑制することにも取り組んでおります。このように、各種原価項目を適切にコントロールすることにより事業計画で設定した原価水準を達成し、適正な製品販売利益を確保、拡大するべく努めてまいります。
3.資金繰りについて
資金面については、主に「PowerX Mega Power」の納品による売上計上や、契約締結に伴う前受金の入金により、2025年12月期中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは1,879百万円の収入となっております。
また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、パワーエックスは2025年3月26日に株式会社みずほ銀行、三井住友信託銀行株式会社及び株式会社三井住友銀行を貸付人とした総額4,000百万円のコミットメントライン契約を締結し、2025年9月末時点では2,500百万円を実行しております。なお、新生信託銀行株式会社と締結している金銭消費貸借契約について、利益維持等の財務制限条項の一部に抵触しているものの、バランスシートモニタリングへ抵触していないことにより期限の利益を喪失しないものと見做されております(金銭消費貸借契約の概要につきましては「5 経営上の重要な契約等」をご参照ください)。
上記の資金調達により事業及び運転資金の安定的な確保に努めている他、財務体質の強化及び運転資本の充実のため、2025年12月期第3四半期連結累計期間において法人7社及び個人17名に対する第三者割当増資により合計1,653百万円の資本調達を実施しております。
以上より、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在するものの、上記の対応策を着実に実行することにより早期に解消可能であり、本書提出日現在においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。しかしながら、上記の対応策が期待された効果を上げない場合や、本書に記載されたリスクの発現等によりパワーエックスグループの事業環境が急速かつ急激に悪化する場合には、将来パワーエックスグループの財務的健全性が大きく損なわれる可能性があります。
(4) その他、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項について
パワーエックスは2021年3月に設立され、2023年12月期の第4四半期に初めて売上を計上して以降、2024年12月期には大幅な増収を実現しました。パワーエックスグループが属する蓄電池関連市場は、再生可能エネルギーの普及と日本のエネルギー自給率の向上に蓄電池が不可欠であることから急激に成長しております。一方で、同市場の成長には多くの不確実性があり、また、パワーエックスグループも依然として急速な成長過程にあることから、過年度の財務情報は期間業績比較を行うには不十分な可能性があるとともに、パワーエックスグループが今後の経営環境の変化を予測し適切に対応するための経験が不足している可能性があります。
② 業績の下期偏重について
パワーエックスグループの主要顧客は12月決算や3月決算の会社が多く、また顧客が利用する補助金制度の多くが年度末(3月末)までに受給要件を充足することが求められていることから、顧客の予算執行時期が下期に偏重する傾向にあり、そのためパワーエックスグループの売上高も通常、下期偏重となります。これに対して販売費及び一般管理費はその多くが固定費であることから、パワーエックスグループが営業利益、経常利益、当期純利益を計上する場合も、その割合は下期偏重となります。
2024年12月期連結会計年度における四半期連結会計期間ごとの売上高及び営業損益は以下のとおりです。なお、各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツのレビューを受けておりません。
パワーエックスグループの蓄電池製品及び関連する商品の販売については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (5)重要な収益及び費用の計上基準」に記載したとおり、収益認識会計基準の定めに則り、製品及び商品を引渡し顧客が検収した時点で顧客が当該製品及び商品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点において収益を認識しております。しかしながら、特にBESS事業における定置用蓄電池の販売においては、納品前の用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、パワーエックス製品以外の資材調達の遅れ、契約後に顧客の財務状況が変化すること等の顧客都合により納品・検収の遅れが生じることがあり、このような場合、当初想定時期に収益を計上できず、収益計上時期が決算期末を超える場合(期ズレ)があります。事前の納期・検収時期の調整や、自社保管場所・寄託倉庫で納品・検収等を行う条項を契約に記載し合意することで、当初想定した時期に納品・検収される施策を行っておりますが、当該施策が適時適切に行えなかった場合や顧客に受け入れられなかった場合には、当該事業年度における売上高が翌事業年度以降に計上されることとなり、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について
パワーエックスグループでは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、パワーエックスグループの役員及び従業員らに対して新株予約権(ストックオプション)を付与しており(本書提出日現在の新株予約権の発行状況については「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。)、本書提出日現在における潜在株式数は6,255,000株であり、発行済株式数38,387,000株(上記潜在株式数を含む)に対する割合は16.29%となっております。なお、パワーエックスグループは、今後においても役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、継続的にストックオプションの発行を実施していく予定であります。今後、これらの新株予約権が行使された場合には、既存株主が保有する株式価値の希薄化を生じ、また、行使の結果として交付される株式の処分の状況によっては、パワーエックス株式の需給に影響を及ぼす可能性があります。
本有価証券届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がパワーエックスグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてパワーエックスグループが判断したものであります。
①日本の経済情勢に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
再生可能エネルギーやその技術・製品に対する需要は、パワーエックスグループが事業を展開する日本の経済情勢によって影響を受けます。即ち、少子高齢化の進行、金利上昇やインフレの進行によって日本の経済活動が停滞し、電力需要全体が想定よりも伸び悩む可能性や、パワーエックスグループの顧客が定置用蓄電池の設置やEV急速充電器の展開等に対する投資余力を失う可能性、政府が税収減少により再生可能エネルギー関連の補助金を削減する可能性があります。
このように、日本の経済情勢の悪化により、蓄電池の使用やEV急速充電器の設置がパワーエックスグループの想定したとおりに進まない場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
2025年2月に政府が閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、2040年度に総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されています。そして、この目標を達成するため、国レベルと地方レベルの両方で補助金を活用する方針・施策が示されていますが、政府のエネルギー戦略が変更され、当該計画で示された方針・施策は改定される可能性があります。このような場合には、再生可能エネルギー市場が縮小し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、パワーエックスグループは、上記第7次エネルギー基本計画及び第三者のデータやパワーエックス独自の分析に基づき、パワーエックスグループの事業が展開可能な市場に関する市場規模を推定しています(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境・戦略」をご参照ください。)。しかしながら、脱炭素社会の実現に向けた政府及び企業の考え方の変化、炭素エネルギーにおける技術革新、原発の再稼働・新設による再生可能エネルギーへの依存の低下、老朽化した揚水式水力発電施設の蓄電池への移行の遅れ、送電網の整備不足等により、パワーエックスグループが想定するほど当該市場が成長しない可能性があります。さらに、パワーエックスグループの事業が展開可能な市場に関する市場規模の推定が正確であった場合でも、他社との競合等により、パワーエックスグループの事業が成長しない可能性があります。
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
(発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:中)
地球温暖化による気候変動は、異常気象による自然災害の甚大化や、森林の減少・砂漠化、生物の絶滅等、地球規模で深刻なリスクを生じさせます。これらのリスクは、パワーエックスグループが保有する生産設備の損壊、サプライチェーンの機能不全、規制強化等によるコスト増加等、パワーエックスグループの事業活動の多方面に影響を及ぼす可能性があります。
また、地球温暖化による気候変動が想定以上に進まない場合、国、社会及び企業の再生可能エネルギーへの関心が薄れ、補助金や設備投資の減少によりパワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ EV充電サービス需要の変動リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
脱炭素化を背景として、電気自動車(EV)が普及していくことを想定していますが、日本におけるEVシフトの遅れやEVに替わる移動手段の出現などにより想定よりも日本国内におけるEVの普及が遅れた場合や、新たな技術によるEVへの充電方法が出現した場合は、パワーエックスグループのEV急速充電器の販売やEV充電サービスの売上が減少し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、過去、特定のEVメーカーの車両がパワーエックスグループのEV急速充電器を使用した場合に、当該車両が故障する事案が発生しましたが、今後類似の事案が発生した場合、パワーエックスグループのレピュテーション、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)
パワーエックスグループは、再生可能エネルギーの普及のために蓄電池の活用は不可欠であり、蓄電池製品をより多く普及させるためには、蓄電池を導入する顧客がストレージパリティ(蓄電池を導入することにより経済的なメリットを享受できる状態)を達成できる、より魅力的な経済条件で製品及びサービスを供給することが重要であると認識しております。パワーエックスグループは、高品質の製品を競争力のある価格で供給していくことを基本方針として事業を行っておりますが、国内外の競合他社との価格競争が激化し、想定した利益を確保できない場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
パワーエックスグループは、経済安全保障上の観点から、日本国内の蓄電池製品市場においては日本の製造業者が海外の製造業者よりも競争上の優位性があると考えておりますが、そのような優位性が将来に亘って継続する保証はありません。他方、現時点における国内の主要な競合他社の中には、パワーエックスグループよりも事業規模が大きい企業もあり、経営資源の配分によっては、パワーエックスグループよりも優位に事業を展開できる可能性があります。また、今後新規の競合他社が蓄電池製品市場に参入し、パワーエックスグループよりも強い競争力を有することとなる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 技術革新によるリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループは、太陽光や風力等の電源から生成されるエネルギーの余剰分を蓄電池を用いて貯蔵し、不足する時間帯に電力を供給することにより、再生可能エネルギーの導入に不可欠な役割を果たすことができると考えております。
しかしながら、将来的には、蓄電池に代替する革新的な蓄電技術が開発される可能性は否定することはできないと考えております。また、現状ではパワーエックスの採用するリン酸鉄リチウムイオン電池に優位性がありますが、将来的により低コストで高品質な技術・製品の登場によりかかる優位性が損なわれる可能性もあります。さらに、化石燃料発電における技術革新、原子力発電、地熱発電その他の再生可能エネルギーにおける技術革新や、蓄電池における技術革新により、パワーエックスグループの製品及びサービスの優位性が損なわれる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 原材料調達に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールについては、集中購買により低い単価で調達することを目的として、全量を中国の仕入先1社から輸入しております。しかしながら、当該仕入先における供給能力の低下、当該仕入先との関係の悪化、サプライチェーンにおける障害の発生、品質問題の発生、地政学リスクの顕在化、中国国内の政治情勢の変化等により、当該仕入先からの調達が困難となる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、パワーエックスグループでは当該仕入先からの主要部品の調達が困難になった場合を想定し、研究開発部門及び調達部門が連携して、他の事業者が製造している電池モジュール等についても品質面及びコスト面での評価を行うといった対策を講じております。しかしながら、主要部品の仕入先を変更する場合、変更までに追加的な工数及びコストを要し、円滑な製品製造及び顧客への販売を継続できないことで、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 原材料価格の変動リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)
パワーエックスグループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールの調達価格は、需要動向や貿易政策の変化等を受け変動します。また、原材料調達の一部は主に米ドル建てで行っており、為替変動の影響により調達価格は変動します。こうした状況に対して、パワーエックスグループでは、今後の生産計画を踏まえた仕入量の合意に基づく仕入価格の低減を交渉するとともに、外貨建取引について為替予約を付すことで為替リスクの抑制を図るといった対応策を講じております。しかしながら、これらの対応策が不調となった場合や、パワーエックスの想定を上回る市場価格や為替相場の変化が生じた場合には、原材料の価格変動によって、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営・組織体制に関するリスクについて
① 契約締結・履行に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループの主力であるBESS事業における販売及び収益認識プロセスは以下のとおりであり、初回のコンタクトから見積もり・顧客社内での承認プロセスを経て契約書締結まで平均3-4か月の期間を、また正式受注から生産・納品・検収を経てクロージングまで平均6-7か月の期間を、それぞれ想定しております。
上記のとおり、パワーエックス蓄電池製品の販売は、商談から納品・クロージングまでに一定の期間を要するビジネスモデルとなっており、商談や要件の調整、及び顧客社内での承認や補助金申請などに想定よりも時間を要し、パワーエックスが想定したタイミングよりも収益計上や資金回収が遅れる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、パワーエックスは顧客との契約状況等を踏まえて、毎事業年度の期初に当該事業年度の予算策定を行っておりますが、正式受注額(注)が積み上がっていなかった2024年12月期等においては、正式受注が想定よりも遅れたことで当該リスクが顕在化し、当該期初予算等を下方修正するに至っております。
また、正式に受注し売買契約を締結した案件についても、用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、パワーエックス製品以外の資材調達の遅れ、契約後に顧客の財務状況が変化すること、顧客による補助金申請に対する交付決定の動向等により、予定したとおりに契約が履行されない可能性があります。これらの事象が発生した場合には、契約に基づき期待される売上の全部若しくは一部が計上されない、又はその計上が遅れる結果、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、パワーエックスグループが納品する製品に不具合が発生した場合には、予定したとおりに顧客の検収を受けることができず、想定した時期に売上高を計上できない可能性や、契約に定める遅延損害金をパワーエックスが顧客に支払う可能性があります。なお、顧客への製品の納品及び稼働試験業務の提供が完了した後においても、顧客の財務状況が変化して製品販売代金の入金が得られない、又は遅延する場合や、顧客による補助金申請に対する交付が予定通りに得られない場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注)「正式受注額」とは顧客から正式に発注され、売買契約が締結された拘束力のある注文金額を指します。
② 主要製品の製造委託に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、三井造船特機エンジニアリング株式会社との間で大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の製造委託契約を締結しており、パワーエックスが製造販売する「PowerX Mega Power」はその全量を三井造船特機エンジニアリング株式会社にて組み立てていることから、当該契約はパワーエックスグループの主要な事業活動の前提となる事項に該当しております。当該契約は1年ごとの自動更新となっていますが、当事者のいずれか一方が契約違反や期限の利益喪失事由に該当する場合には他方の当事者が契約を解除することが可能であるほか、双方のいずれかが契約期限満了の6か月前までに書面で通知した場合は期限を延長しないことが可能となっており、三井造船特機エンジニアリング株式会社の経営方針等が大きく変更された場合には契約を解除される可能性があります。本書提出日現在において、当該契約の継続に支障を来たす要因は発生しておらず、またパワーエックスグループでは「PowerX Mega Power」の生産能力の増強を目的としてPower Base第2工場の建設を計画しており、同工場の完成後は本リスクを軽減できる見通しですが、仮に同工場の完成前に当該契約の継続が困難になった場合、「PowerX Mega Power」の製造に重大な支障が生じ、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 生産キャパシティに関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)
パワーエックスグループは、増加する製品需要に対応すべく生産能力の拡大を計画しております。自社保有施設の拡張に加え、第三者への製造委託契約を活用して生産能力を拡大していくことを予定していますが、資金調達や、契約の更新等が何らかの事由により進行せず、または建設関連コストの大幅な上昇や建設業者が確保できない状況などが生じることにより、生産能力を維持・拡張できなかった場合、事業拡大に遅延が生じ、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、代替施設を利用することが可能である場合であっても、当該代替施設への移転や生産開始に時間を要する可能性や、多額の追加費用を要する可能性があり、その場合にはパワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 創業者への依存に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスの取締役 代表執行役社長CEO伊藤正裕は、パワーエックスの創業者でありパワーエックス設立以来、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、会社の事業推進に重要な役割を果たしております。パワーエックスグループでは、執行役への権限委譲やコーポレート・ガバナンス体制の構築により、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの事情により同氏がパワーエックスグループの経営を継続することが困難になった場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 人材の確保と育成に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
パワーエックスグループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠です。パワーエックスグループでは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 (人的資本について)」に記載のとおり、「プロフェッショナル人材」がパフォーマンスを発揮しやすい社内環境の整備や制度設計に注力するなど、人材投資を重視しております。一方、国内を含むグローバルな人材獲得競争は激化しており、予定していた人員の確保及び育成が計画どおりに進まない場合や既存の人材の社外流出などがあった場合、及び人材の採用や育成に関するコストが増加する場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、自社で開発した蓄電池製品を製造、販売しておりますが、これら蓄電池製品には電力の充放電を最適化するためのアルゴリズムや機器構成といった技術やノウハウが含まれております。また、蓄電池製品の稼働状況を監視、制御するためのアプリケーションシステムについても自社の研究開発部門で開発しており、これらはパワーエックスの事業運営において不可欠な知的財産であります。これらのうち、発電設備とその電力出力方法、急速充電装置及び関連するシステム、及び移動体を用いたエネルギー輸送システムなど、パワーエックスグループが重要であると判断したものについては国内外において特許出願を行っておりますが、第三者によるパワーエックス知的財産への侵害がなされた場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、本書提出日現在において、パワーエックスグループが他社の知的財産を侵害したこと等によってパワーエックスグループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟を提起されている事実はございません。今後も知的財産に関連する法令を遵守して事業活動を行ってまいる所存ですが、見解の相違も含めて、他社の知的財産を侵害する可能性があり、こうした状況が発生した場合には、解決に時間と費用を要し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 災害等の発生リスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
地震、津波、竜巻、台風、寒波等の自然災害や戦争・テロ、紛争、その他の要因による社会混乱により、本社や主要な事業拠点が被災し、パワーエックスグループの主要な事業機能が麻痺することにより事業継続が困難になるリスクがあります。 また、パワーエックスグループが販売する製品の主要な製造拠点は岡山県に集中しており、当該地域が被災した場合、生産活動に甚大な影響を及ぼし、顧客への製品供給停滞による販売収益の大幅な減少や、多額の設備復旧費用及び外部委託費用の発生等が生じるリスクがあります。パワーエックスグループは、災害や事故などで被害を受けた際に、重要な機能を可能な限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧できるように、事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を策定していますが、実際に自然災害等が発生した際にBCPが有効に機能しない場合、パワーエックスグループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 製造物責任及び製品保証リスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは自ら策定した管理基準に基づき製品の設計、製造を行っておりますが、将来にわたり製品に欠陥が生じる可能性を否定することはできないと考えております。また、パワーエックスグループが締結している売買契約の中には、検収後一定期間の無償保証期間を設けているものや、最長20年の容量保証等を提供しているものもあります。これらの耐用年数や製品保証期間は、電池モジュール等のメーカーから提示されている試験結果や過去の運用結果に基づいて設定しており、また保証期間における補償費用をカバーするための保証契約を保証会社と締結するなど、製品保証コストの抑制を図っております。しかしながら、実際の稼働可能期間がパワーエックスグループの想定を下回る、または保証対象事案の発生の頻度又は重要度が当該想定を上回る場合には、パワーエックスグループが想定する以上の保証責任が発生する可能性があります。加えて、電池モジュール等の原材料の一部についてはサプライヤーによる保証期間が20年よりも短いことから、当該期間の経過後は、パワーエックスグループが当該原材料に起因する損害についても責任を負担する可能性があります。パワーエックスグループの製品の欠陥は大規模な製品回収(リコール)や製造物賠償責任、無償交換・修理等により多額の費用を必要とするだけではなく、パワーエックスグループのレピュテーションに重大な影響を与える可能性があります。パワーエックスグループは製品の販売時に製品保証引当金を計上しておりますが、当該見積りを超過する費用が発生した場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 取引先との関係性に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループは蓄電池製品の購入者、調達先や物流業者、EV急速充電器の設置及び事業展開について提携している自動車メーカー、外部委託先等、多くの取引先との関係性を築きながら、事業を拡大しております。しかしながら、取引先の全てが品質、価格、納期の観点でパワーエックスグループにとって有利な条件で取引を継続する保証はなく、他の取引先に変更する必要が生じ、取引条件が悪化した場合等は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 内部管理体制に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
パワーエックスグループは、創業以来、事業の立ち上げ、業容拡大に応じて管理部門等の人員増強、各種規程・マニュアルの整備、システム導入等を進め、内部管理体制を構築してまいりました。今後も規模拡大、業容拡大に応じて内部管理体制の充実を図っていく方針でありますが、有効な内部管理体制が整備されなかった場合、または内部管理体制の整備及び運用に多額のコストを要する場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 法規制等に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループの事業は、環境関連、知的財産、製品及び原材料の品質・安全性、競争関連、労働関連、税務関連等の様々な法規制等の適用を受けており、それらの法規制等を遵守し、事業活動を行っていますが、法規制等について、遵守できなかった場合や変更・改正があった場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 情報セキュリティに関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループでは、事業遂行にあたり、顧客の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。不正アクセス、コンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩など、不測の事態が生じてこれらの情報が外部に漏洩した場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 訴訟に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループでは本書提出日現在、パワーエックスグループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は認識しておりませんが、将来、パワーエックスグループの法令違反の有無に関わらず何らかの原因で取引先、同業他社、株主、各種団体等による訴訟等を提起される可能性があります。これらの訴訟等が発生した場合、及び当該訴訟等においてパワーエックスグループに不利な判断がなされた場合、パワーエックスグループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ ブランド認知に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループの事業推進において、ブランドイメージや社会的信用の維持・向上は重要であると考えております。一方で、パワーエックス製品の欠陥とそれに伴う製品回収(リコール)が発生した場合や、アフターメンテナンスが適切に行われなかった場合、及びパワーエックスグループ又はその役職員に不祥事が発生した場合、パワーエックスグループのレピュテーションに重大な悪影響を与える可能性があります。こうした状況に対して適切な対応を講じることができない場合や、マスコミによる報道やソーシャルメディアへの書き込みなどによりパワーエックスグループに対する否定的な風評が流布された場合には、パワーエックスグループのブランドイメージや社会的信用が著しく毀損され、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、受注時に前受金を受領して原材料を発注することで運転資本の圧縮を図るとともに、設備投資、研究開発、不足する運転資本等で必要な事業資金については増資及び金融機関からの借入等により調達しております。今後、パワーエックスグループの経営成績、財政状態の悪化や金融情勢の変化等により、パワーエックスグループが希望する金額、時期、条件での資金調達ができない場合、パワーエックスグループの事業展開及び財政状態等に影響を与える可能性があります。 また、パワーエックスグループが締結している借入契約に付された財務制限条項(「5 経営上の重要な契約等 (2)金銭消費貸借契約」をご参照ください。)に抵触する場合、パワーエックスグループの事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性や、パワーエックスグループの借入コストやその後の資金調達に悪影響を与える可能性があります。
② 金利変動リスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)
パワーエックスグループは、運転資金及び設備資金について金融機関からの借入れにより資金調達を行っており、本書提出日現在における借入は全て変動金利型となっております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損リスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)
パワーエックスグループは2024年12月期に事業計画の遅延に起因して2,211百万円の固定資産の減損損失を計上しましたが、2025年9月末時点では合計4,604百万円の有形固定資産及び無形固定資産を計上しております。今後も、工場設備の増強等を行うことで固定資産が増加していくことが想定されますが、パワーエックスグループの業績が想定したとおりに進捗しない場合、これらの固定資産の減損損失を計上することにより、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 継続企業の前提に関する重要事象等
(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、2021年3月の創業以来、蓄電池製品の製造販売、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の展開、電力販売、電気運搬船の開発準備に向けて各事業の垂直立上げを行っております。2023年12月期に蓄電池製品の販売を開始し、2024年12月期においては蓄電池製品の納品が進んでいるほか、電力事業についても顧客への電力供給を開始するなど事業展開は順調に推移しているものの、年間の固定費を回収することができず、2024年12月期まで4期連続の営業損失、経常損失、当期純損失(2023年12月期連結会計年度及び2024年12月期連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しており、2025年12月期第3四半期連結累計期間においても営業損益以降の各段階損益がマイナスとなっております。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると認識しております。
パワーエックスグループでは、当該事象又は状況を改善、解消すべく以下の対応策に取り組んでまいります。
1.受注獲得に向けた営業体制の強化について
BESS事業及びEVCS事業、並びに電力事業における蓄電池製品等の販売及び稼働試験業務等の役務の提供については、国や地方自治体が実施する補助金施策なども背景に蓄電所向け定置用蓄電池の受注が増加傾向にあります。今後についても自社営業体制をより強化するとともに、大手エネルギー会社や自動車会社との戦略的アライアンスを通じて蓄電池製品販売の受注を獲得してまいります。なお、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④生産、受注及び販売の状況」に記載のとおり、2025年12月期第3四半期連結会計期間末における受注残高は41,715百万円(2024年12月期連結会計年度末比681.6%)と増加しております。
2.徹底したコストコントロールの推進による利益率の改善について
パワーエックスグループに関連した調達環境として、主要部品である電池モジュールの市場価格は下落トレンドにあります。加えて、製品受注の増加に伴う生産規模拡大を背景にしたサプライヤーとの価格交渉や、適切な部材選定、まとめ発注、及びサプライヤーとの協業などの原価低減活動を一層推進することで、原材料の調達コストの低減を図っております。さらに、米ドル建てで行っている輸入仕入取引について為替予約を活用して為替変動による影響を低減させることや、顧客への納品時期を踏まえた平準的な生産計画を立案することで既存の生産能力を最大限有効活用し追加的な製造コストを抑制することにも取り組んでおります。このように、各種原価項目を適切にコントロールすることにより事業計画で設定した原価水準を達成し、適正な製品販売利益を確保、拡大するべく努めてまいります。
3.資金繰りについて
資金面については、主に「PowerX Mega Power」の納品による売上計上や、契約締結に伴う前受金の入金により、2025年12月期中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは1,879百万円の収入となっております。
また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、パワーエックスは2025年3月26日に株式会社みずほ銀行、三井住友信託銀行株式会社及び株式会社三井住友銀行を貸付人とした総額4,000百万円のコミットメントライン契約を締結し、2025年9月末時点では2,500百万円を実行しております。なお、新生信託銀行株式会社と締結している金銭消費貸借契約について、利益維持等の財務制限条項の一部に抵触しているものの、バランスシートモニタリングへ抵触していないことにより期限の利益を喪失しないものと見做されております(金銭消費貸借契約の概要につきましては「5 経営上の重要な契約等」をご参照ください)。
上記の資金調達により事業及び運転資金の安定的な確保に努めている他、財務体質の強化及び運転資本の充実のため、2025年12月期第3四半期連結累計期間において法人7社及び個人17名に対する第三者割当増資により合計1,653百万円の資本調達を実施しております。
以上より、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在するものの、上記の対応策を着実に実行することにより早期に解消可能であり、本書提出日現在においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。しかしながら、上記の対応策が期待された効果を上げない場合や、本書に記載されたリスクの発現等によりパワーエックスグループの事業環境が急速かつ急激に悪化する場合には、将来パワーエックスグループの財務的健全性が大きく損なわれる可能性があります。
(4) その他、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項について
パワーエックスは2021年3月に設立され、2023年12月期の第4四半期に初めて売上を計上して以降、2024年12月期には大幅な増収を実現しました。パワーエックスグループが属する蓄電池関連市場は、再生可能エネルギーの普及と日本のエネルギー自給率の向上に蓄電池が不可欠であることから急激に成長しております。一方で、同市場の成長には多くの不確実性があり、また、パワーエックスグループも依然として急速な成長過程にあることから、過年度の財務情報は期間業績比較を行うには不十分な可能性があるとともに、パワーエックスグループが今後の経営環境の変化を予測し適切に対応するための経験が不足している可能性があります。
② 業績の下期偏重について
パワーエックスグループの主要顧客は12月決算や3月決算の会社が多く、また顧客が利用する補助金制度の多くが年度末(3月末)までに受給要件を充足することが求められていることから、顧客の予算執行時期が下期に偏重する傾向にあり、そのためパワーエックスグループの売上高も通常、下期偏重となります。これに対して販売費及び一般管理費はその多くが固定費であることから、パワーエックスグループが営業利益、経常利益、当期純利益を計上する場合も、その割合は下期偏重となります。
2024年12月期連結会計年度における四半期連結会計期間ごとの売上高及び営業損益は以下のとおりです。なお、各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツのレビューを受けておりません。
パワーエックスグループの蓄電池製品及び関連する商品の販売については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (5)重要な収益及び費用の計上基準」に記載したとおり、収益認識会計基準の定めに則り、製品及び商品を引渡し顧客が検収した時点で顧客が当該製品及び商品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点において収益を認識しております。しかしながら、特にBESS事業における定置用蓄電池の販売においては、納品前の用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、パワーエックス製品以外の資材調達の遅れ、契約後に顧客の財務状況が変化すること等の顧客都合により納品・検収の遅れが生じることがあり、このような場合、当初想定時期に収益を計上できず、収益計上時期が決算期末を超える場合(期ズレ)があります。事前の納期・検収時期の調整や、自社保管場所・寄託倉庫で納品・検収等を行う条項を契約に記載し合意することで、当初想定した時期に納品・検収される施策を行っておりますが、当該施策が適時適切に行えなかった場合や顧客に受け入れられなかった場合には、当該事業年度における売上高が翌事業年度以降に計上されることとなり、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について
パワーエックスグループでは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、パワーエックスグループの役員及び従業員らに対して新株予約権(ストックオプション)を付与しており(本書提出日現在の新株予約権の発行状況については「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。)、本書提出日現在における潜在株式数は6,255,000株であり、発行済株式数38,387,000株(上記潜在株式数を含む)に対する割合は16.29%となっております。なお、パワーエックスグループは、今後においても役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、継続的にストックオプションの発行を実施していく予定であります。今後、これらの新株予約権が行使された場合には、既存株主が保有する株式価値の希薄化を生じ、また、行使の結果として交付される株式の処分の状況によっては、パワーエックス株式の需給に影響を及ぼす可能性があります。
本有価証券届出書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者がパワーエックスグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてパワーエックスグループが判断したものであります。
①日本の経済情勢に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
再生可能エネルギーやその技術・製品に対する需要は、パワーエックスグループが事業を展開する日本の経済情勢によって影響を受けます。即ち、少子高齢化の進行、金利上昇やインフレの進行によって日本の経済活動が停滞し、電力需要全体が想定よりも伸び悩む可能性や、パワーエックスグループの顧客が定置用蓄電池の設置やEV急速充電器の展開等に対する投資余力を失う可能性、政府が税収減少により再生可能エネルギー関連の補助金を削減する可能性があります。
このように、日本の経済情勢の悪化により、蓄電池の使用やEV急速充電器の設置がパワーエックスグループの想定したとおりに進まない場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
2025年2月に政府が閣議決定した第7次エネルギー基本計画では、2040年度に総発電量のうち再生可能エネルギーの割合を4~5割程度とし、最大の電源とするとの指針が示されています。そして、この目標を達成するため、国レベルと地方レベルの両方で補助金を活用する方針・施策が示されていますが、政府のエネルギー戦略が変更され、当該計画で示された方針・施策は改定される可能性があります。このような場合には、再生可能エネルギー市場が縮小し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、パワーエックスグループは、上記第7次エネルギー基本計画及び第三者のデータやパワーエックス独自の分析に基づき、パワーエックスグループの事業が展開可能な市場に関する市場規模を推定しています(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境・戦略」をご参照ください。)。しかしながら、脱炭素社会の実現に向けた政府及び企業の考え方の変化、炭素エネルギーにおける技術革新、原発の再稼働・新設による再生可能エネルギーへの依存の低下、老朽化した揚水式水力発電施設の蓄電池への移行の遅れ、送電網の整備不足等により、パワーエックスグループが想定するほど当該市場が成長しない可能性があります。さらに、パワーエックスグループの事業が展開可能な市場に関する市場規模の推定が正確であった場合でも、他社との競合等により、パワーエックスグループの事業が成長しない可能性があります。
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
(発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:中)
地球温暖化による気候変動は、異常気象による自然災害の甚大化や、森林の減少・砂漠化、生物の絶滅等、地球規模で深刻なリスクを生じさせます。これらのリスクは、パワーエックスグループが保有する生産設備の損壊、サプライチェーンの機能不全、規制強化等によるコスト増加等、パワーエックスグループの事業活動の多方面に影響を及ぼす可能性があります。
また、地球温暖化による気候変動が想定以上に進まない場合、国、社会及び企業の再生可能エネルギーへの関心が薄れ、補助金や設備投資の減少によりパワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ EV充電サービス需要の変動リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
脱炭素化を背景として、電気自動車(EV)が普及していくことを想定していますが、日本におけるEVシフトの遅れやEVに替わる移動手段の出現などにより想定よりも日本国内におけるEVの普及が遅れた場合や、新たな技術によるEVへの充電方法が出現した場合は、パワーエックスグループのEV急速充電器の販売やEV充電サービスの売上が減少し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、過去、特定のEVメーカーの車両がパワーエックスグループのEV急速充電器を使用した場合に、当該車両が故障する事案が発生しましたが、今後類似の事案が発生した場合、パワーエックスグループのレピュテーション、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 競合リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)
パワーエックスグループは、再生可能エネルギーの普及のために蓄電池の活用は不可欠であり、蓄電池製品をより多く普及させるためには、蓄電池を導入する顧客がストレージパリティ(蓄電池を導入することにより経済的なメリットを享受できる状態)を達成できる、より魅力的な経済条件で製品及びサービスを供給することが重要であると認識しております。パワーエックスグループは、高品質の製品を競争力のある価格で供給していくことを基本方針として事業を行っておりますが、国内外の競合他社との価格競争が激化し、想定した利益を確保できない場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
パワーエックスグループは、経済安全保障上の観点から、日本国内の蓄電池製品市場においては日本の製造業者が海外の製造業者よりも競争上の優位性があると考えておりますが、そのような優位性が将来に亘って継続する保証はありません。他方、現時点における国内の主要な競合他社の中には、パワーエックスグループよりも事業規模が大きい企業もあり、経営資源の配分によっては、パワーエックスグループよりも優位に事業を展開できる可能性があります。また、今後新規の競合他社が蓄電池製品市場に参入し、パワーエックスグループよりも強い競争力を有することとなる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 技術革新によるリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループは、太陽光や風力等の電源から生成されるエネルギーの余剰分を蓄電池を用いて貯蔵し、不足する時間帯に電力を供給することにより、再生可能エネルギーの導入に不可欠な役割を果たすことができると考えております。
しかしながら、将来的には、蓄電池に代替する革新的な蓄電技術が開発される可能性は否定することはできないと考えております。また、現状ではパワーエックスの採用するリン酸鉄リチウムイオン電池に優位性がありますが、将来的により低コストで高品質な技術・製品の登場によりかかる優位性が損なわれる可能性もあります。さらに、化石燃料発電における技術革新、原子力発電、地熱発電その他の再生可能エネルギーにおける技術革新や、蓄電池における技術革新により、パワーエックスグループの製品及びサービスの優位性が損なわれる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 原材料調達に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールについては、集中購買により低い単価で調達することを目的として、全量を中国の仕入先1社から輸入しております。しかしながら、当該仕入先における供給能力の低下、当該仕入先との関係の悪化、サプライチェーンにおける障害の発生、品質問題の発生、地政学リスクの顕在化、中国国内の政治情勢の変化等により、当該仕入先からの調達が困難となる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、パワーエックスグループでは当該仕入先からの主要部品の調達が困難になった場合を想定し、研究開発部門及び調達部門が連携して、他の事業者が製造している電池モジュール等についても品質面及びコスト面での評価を行うといった対策を講じております。しかしながら、主要部品の仕入先を変更する場合、変更までに追加的な工数及びコストを要し、円滑な製品製造及び顧客への販売を継続できないことで、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 原材料価格の変動リスク
(発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:中)
パワーエックスグループが製造する蓄電池製品の主要な部品である電池モジュールの調達価格は、需要動向や貿易政策の変化等を受け変動します。また、原材料調達の一部は主に米ドル建てで行っており、為替変動の影響により調達価格は変動します。こうした状況に対して、パワーエックスグループでは、今後の生産計画を踏まえた仕入量の合意に基づく仕入価格の低減を交渉するとともに、外貨建取引について為替予約を付すことで為替リスクの抑制を図るといった対応策を講じております。しかしながら、これらの対応策が不調となった場合や、パワーエックスの想定を上回る市場価格や為替相場の変化が生じた場合には、原材料の価格変動によって、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営・組織体制に関するリスクについて
① 契約締結・履行に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループの主力であるBESS事業における販売及び収益認識プロセスは以下のとおりであり、初回のコンタクトから見積もり・顧客社内での承認プロセスを経て契約書締結まで平均3-4か月の期間を、また正式受注から生産・納品・検収を経てクロージングまで平均6-7か月の期間を、それぞれ想定しております。
上記のとおり、パワーエックス蓄電池製品の販売は、商談から納品・クロージングまでに一定の期間を要するビジネスモデルとなっており、商談や要件の調整、及び顧客社内での承認や補助金申請などに想定よりも時間を要し、パワーエックスが想定したタイミングよりも収益計上や資金回収が遅れる場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、パワーエックスは顧客との契約状況等を踏まえて、毎事業年度の期初に当該事業年度の予算策定を行っておりますが、正式受注額(注)が積み上がっていなかった2024年12月期等においては、正式受注が想定よりも遅れたことで当該リスクが顕在化し、当該期初予算等を下方修正するに至っております。
また、正式に受注し売買契約を締結した案件についても、用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、パワーエックス製品以外の資材調達の遅れ、契約後に顧客の財務状況が変化すること、顧客による補助金申請に対する交付決定の動向等により、予定したとおりに契約が履行されない可能性があります。これらの事象が発生した場合には、契約に基づき期待される売上の全部若しくは一部が計上されない、又はその計上が遅れる結果、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、パワーエックスグループが納品する製品に不具合が発生した場合には、予定したとおりに顧客の検収を受けることができず、想定した時期に売上高を計上できない可能性や、契約に定める遅延損害金をパワーエックスが顧客に支払う可能性があります。なお、顧客への製品の納品及び稼働試験業務の提供が完了した後においても、顧客の財務状況が変化して製品販売代金の入金が得られない、又は遅延する場合や、顧客による補助金申請に対する交付が予定通りに得られない場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(注)「正式受注額」とは顧客から正式に発注され、売買契約が締結された拘束力のある注文金額を指します。
② 主要製品の製造委託に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、「5 経営上の重要な契約等」に記載のとおり、三井造船特機エンジニアリング株式会社との間で大型定置用蓄電システム「PowerX Mega Power」の製造委託契約を締結しており、パワーエックスが製造販売する「PowerX Mega Power」はその全量を三井造船特機エンジニアリング株式会社にて組み立てていることから、当該契約はパワーエックスグループの主要な事業活動の前提となる事項に該当しております。当該契約は1年ごとの自動更新となっていますが、当事者のいずれか一方が契約違反や期限の利益喪失事由に該当する場合には他方の当事者が契約を解除することが可能であるほか、双方のいずれかが契約期限満了の6か月前までに書面で通知した場合は期限を延長しないことが可能となっており、三井造船特機エンジニアリング株式会社の経営方針等が大きく変更された場合には契約を解除される可能性があります。本書提出日現在において、当該契約の継続に支障を来たす要因は発生しておらず、またパワーエックスグループでは「PowerX Mega Power」の生産能力の増強を目的としてPower Base第2工場の建設を計画しており、同工場の完成後は本リスクを軽減できる見通しですが、仮に同工場の完成前に当該契約の継続が困難になった場合、「PowerX Mega Power」の製造に重大な支障が生じ、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 生産キャパシティに関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:中)
パワーエックスグループは、増加する製品需要に対応すべく生産能力の拡大を計画しております。自社保有施設の拡張に加え、第三者への製造委託契約を活用して生産能力を拡大していくことを予定していますが、資金調達や、契約の更新等が何らかの事由により進行せず、または建設関連コストの大幅な上昇や建設業者が確保できない状況などが生じることにより、生産能力を維持・拡張できなかった場合、事業拡大に遅延が生じ、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、代替施設を利用することが可能である場合であっても、当該代替施設への移転や生産開始に時間を要する可能性や、多額の追加費用を要する可能性があり、その場合にはパワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 創業者への依存に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスの取締役 代表執行役社長CEO伊藤正裕は、パワーエックスの創業者でありパワーエックス設立以来、経営方針や経営戦略の決定をはじめ、会社の事業推進に重要な役割を果たしております。パワーエックスグループでは、執行役への権限委譲やコーポレート・ガバナンス体制の構築により、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの事情により同氏がパワーエックスグループの経営を継続することが困難になった場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 人材の確保と育成に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:中期、影響度:中)
パワーエックスグループの事業を推進していくためには、高度な専門知識、技能及び経験を有する人材の確保及び育成が不可欠です。パワーエックスグループでは、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)戦略 (人的資本について)」に記載のとおり、「プロフェッショナル人材」がパフォーマンスを発揮しやすい社内環境の整備や制度設計に注力するなど、人材投資を重視しております。一方、国内を含むグローバルな人材獲得競争は激化しており、予定していた人員の確保及び育成が計画どおりに進まない場合や既存の人材の社外流出などがあった場合、及び人材の採用や育成に関するコストが増加する場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、自社で開発した蓄電池製品を製造、販売しておりますが、これら蓄電池製品には電力の充放電を最適化するためのアルゴリズムや機器構成といった技術やノウハウが含まれております。また、蓄電池製品の稼働状況を監視、制御するためのアプリケーションシステムについても自社の研究開発部門で開発しており、これらはパワーエックスの事業運営において不可欠な知的財産であります。これらのうち、発電設備とその電力出力方法、急速充電装置及び関連するシステム、及び移動体を用いたエネルギー輸送システムなど、パワーエックスグループが重要であると判断したものについては国内外において特許出願を行っておりますが、第三者によるパワーエックス知的財産への侵害がなされた場合は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、本書提出日現在において、パワーエックスグループが他社の知的財産を侵害したこと等によってパワーエックスグループの事業及び業績に重大な影響を及ぼす可能性のある訴訟を提起されている事実はございません。今後も知的財産に関連する法令を遵守して事業活動を行ってまいる所存ですが、見解の相違も含めて、他社の知的財産を侵害する可能性があり、こうした状況が発生した場合には、解決に時間と費用を要し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 災害等の発生リスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
地震、津波、竜巻、台風、寒波等の自然災害や戦争・テロ、紛争、その他の要因による社会混乱により、本社や主要な事業拠点が被災し、パワーエックスグループの主要な事業機能が麻痺することにより事業継続が困難になるリスクがあります。 また、パワーエックスグループが販売する製品の主要な製造拠点は岡山県に集中しており、当該地域が被災した場合、生産活動に甚大な影響を及ぼし、顧客への製品供給停滞による販売収益の大幅な減少や、多額の設備復旧費用及び外部委託費用の発生等が生じるリスクがあります。パワーエックスグループは、災害や事故などで被害を受けた際に、重要な機能を可能な限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧できるように、事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を策定していますが、実際に自然災害等が発生した際にBCPが有効に機能しない場合、パワーエックスグループの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 製造物責任及び製品保証リスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは自ら策定した管理基準に基づき製品の設計、製造を行っておりますが、将来にわたり製品に欠陥が生じる可能性を否定することはできないと考えております。また、パワーエックスグループが締結している売買契約の中には、検収後一定期間の無償保証期間を設けているものや、最長20年の容量保証等を提供しているものもあります。これらの耐用年数や製品保証期間は、電池モジュール等のメーカーから提示されている試験結果や過去の運用結果に基づいて設定しており、また保証期間における補償費用をカバーするための保証契約を保証会社と締結するなど、製品保証コストの抑制を図っております。しかしながら、実際の稼働可能期間がパワーエックスグループの想定を下回る、または保証対象事案の発生の頻度又は重要度が当該想定を上回る場合には、パワーエックスグループが想定する以上の保証責任が発生する可能性があります。加えて、電池モジュール等の原材料の一部についてはサプライヤーによる保証期間が20年よりも短いことから、当該期間の経過後は、パワーエックスグループが当該原材料に起因する損害についても責任を負担する可能性があります。パワーエックスグループの製品の欠陥は大規模な製品回収(リコール)や製造物賠償責任、無償交換・修理等により多額の費用を必要とするだけではなく、パワーエックスグループのレピュテーションに重大な影響を与える可能性があります。パワーエックスグループは製品の販売時に製品保証引当金を計上しておりますが、当該見積りを超過する費用が発生した場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 取引先との関係性に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループは蓄電池製品の購入者、調達先や物流業者、EV急速充電器の設置及び事業展開について提携している自動車メーカー、外部委託先等、多くの取引先との関係性を築きながら、事業を拡大しております。しかしながら、取引先の全てが品質、価格、納期の観点でパワーエックスグループにとって有利な条件で取引を継続する保証はなく、他の取引先に変更する必要が生じ、取引条件が悪化した場合等は、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 内部管理体制に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
パワーエックスグループは、創業以来、事業の立ち上げ、業容拡大に応じて管理部門等の人員増強、各種規程・マニュアルの整備、システム導入等を進め、内部管理体制を構築してまいりました。今後も規模拡大、業容拡大に応じて内部管理体制の充実を図っていく方針でありますが、有効な内部管理体制が整備されなかった場合、または内部管理体制の整備及び運用に多額のコストを要する場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 法規制等に関するリスク
(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループの事業は、環境関連、知的財産、製品及び原材料の品質・安全性、競争関連、労働関連、税務関連等の様々な法規制等の適用を受けており、それらの法規制等を遵守し、事業活動を行っていますが、法規制等について、遵守できなかった場合や変更・改正があった場合、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 情報セキュリティに関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループでは、事業遂行にあたり、顧客の個人情報及び機密情報を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。不正アクセス、コンピュータウイルスによる被害、内部不正者や外注先による情報漏洩など、不測の事態が生じてこれらの情報が外部に漏洩した場合には、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 訴訟に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループでは本書提出日現在、パワーエックスグループの業績に重大な影響を及ぼす訴訟等は認識しておりませんが、将来、パワーエックスグループの法令違反の有無に関わらず何らかの原因で取引先、同業他社、株主、各種団体等による訴訟等を提起される可能性があります。これらの訴訟等が発生した場合、及び当該訴訟等においてパワーエックスグループに不利な判断がなされた場合、パワーエックスグループの社会的信用、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ ブランド認知に関するリスク
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
パワーエックスグループの事業推進において、ブランドイメージや社会的信用の維持・向上は重要であると考えております。一方で、パワーエックス製品の欠陥とそれに伴う製品回収(リコール)が発生した場合や、アフターメンテナンスが適切に行われなかった場合、及びパワーエックスグループ又はその役職員に不祥事が発生した場合、パワーエックスグループのレピュテーションに重大な悪影響を与える可能性があります。こうした状況に対して適切な対応を講じることができない場合や、マスコミによる報道やソーシャルメディアへの書き込みなどによりパワーエックスグループに対する否定的な風評が流布された場合には、パワーエックスグループのブランドイメージや社会的信用が著しく毀損され、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、受注時に前受金を受領して原材料を発注することで運転資本の圧縮を図るとともに、設備投資、研究開発、不足する運転資本等で必要な事業資金については増資及び金融機関からの借入等により調達しております。今後、パワーエックスグループの経営成績、財政状態の悪化や金融情勢の変化等により、パワーエックスグループが希望する金額、時期、条件での資金調達ができない場合、パワーエックスグループの事業展開及び財政状態等に影響を与える可能性があります。 また、パワーエックスグループが締結している借入契約に付された財務制限条項(「5 経営上の重要な契約等 (2)金銭消費貸借契約」をご参照ください。)に抵触する場合、パワーエックスグループの事業の継続性に重大な影響を及ぼす可能性や、パワーエックスグループの借入コストやその後の資金調達に悪影響を与える可能性があります。
② 金利変動リスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)
パワーエックスグループは、運転資金及び設備資金について金融機関からの借入れにより資金調達を行っており、本書提出日現在における借入は全て変動金利型となっております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 固定資産の減損リスク
(発生可能性:中、発生時期:中期、影響度:小)
パワーエックスグループは2024年12月期に事業計画の遅延に起因して2,211百万円の固定資産の減損損失を計上しましたが、2025年9月末時点では合計4,604百万円の有形固定資産及び無形固定資産を計上しております。今後も、工場設備の増強等を行うことで固定資産が増加していくことが想定されますが、パワーエックスグループの業績が想定したとおりに進捗しない場合、これらの固定資産の減損損失を計上することにより、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 継続企業の前提に関する重要事象等
(発生可能性:小、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
パワーエックスグループは、2021年3月の創業以来、蓄電池製品の製造販売、EVユーザー向け充電サービス「PowerX Charge Station」の展開、電力販売、電気運搬船の開発準備に向けて各事業の垂直立上げを行っております。2023年12月期に蓄電池製品の販売を開始し、2024年12月期においては蓄電池製品の納品が進んでいるほか、電力事業についても顧客への電力供給を開始するなど事業展開は順調に推移しているものの、年間の固定費を回収することができず、2024年12月期まで4期連続の営業損失、経常損失、当期純損失(2023年12月期連結会計年度及び2024年12月期連結会計年度においては親会社株主に帰属する当期純損失)を計上しており、2025年12月期第3四半期連結累計期間においても営業損益以降の各段階損益がマイナスとなっております。これらの状況により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると認識しております。
パワーエックスグループでは、当該事象又は状況を改善、解消すべく以下の対応策に取り組んでまいります。
1.受注獲得に向けた営業体制の強化について
BESS事業及びEVCS事業、並びに電力事業における蓄電池製品等の販売及び稼働試験業務等の役務の提供については、国や地方自治体が実施する補助金施策なども背景に蓄電所向け定置用蓄電池の受注が増加傾向にあります。今後についても自社営業体制をより強化するとともに、大手エネルギー会社や自動車会社との戦略的アライアンスを通じて蓄電池製品販売の受注を獲得してまいります。なお、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④生産、受注及び販売の状況」に記載のとおり、2025年12月期第3四半期連結会計期間末における受注残高は41,715百万円(2024年12月期連結会計年度末比681.6%)と増加しております。
2.徹底したコストコントロールの推進による利益率の改善について
パワーエックスグループに関連した調達環境として、主要部品である電池モジュールの市場価格は下落トレンドにあります。加えて、製品受注の増加に伴う生産規模拡大を背景にしたサプライヤーとの価格交渉や、適切な部材選定、まとめ発注、及びサプライヤーとの協業などの原価低減活動を一層推進することで、原材料の調達コストの低減を図っております。さらに、米ドル建てで行っている輸入仕入取引について為替予約を活用して為替変動による影響を低減させることや、顧客への納品時期を踏まえた平準的な生産計画を立案することで既存の生産能力を最大限有効活用し追加的な製造コストを抑制することにも取り組んでおります。このように、各種原価項目を適切にコントロールすることにより事業計画で設定した原価水準を達成し、適正な製品販売利益を確保、拡大するべく努めてまいります。
3.資金繰りについて
資金面については、主に「PowerX Mega Power」の納品による売上計上や、契約締結に伴う前受金の入金により、2025年12月期中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは1,879百万円の収入となっております。
また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおり、パワーエックスは2025年3月26日に株式会社みずほ銀行、三井住友信託銀行株式会社及び株式会社三井住友銀行を貸付人とした総額4,000百万円のコミットメントライン契約を締結し、2025年9月末時点では2,500百万円を実行しております。なお、新生信託銀行株式会社と締結している金銭消費貸借契約について、利益維持等の財務制限条項の一部に抵触しているものの、バランスシートモニタリングへ抵触していないことにより期限の利益を喪失しないものと見做されております(金銭消費貸借契約の概要につきましては「5 経営上の重要な契約等」をご参照ください)。
上記の資金調達により事業及び運転資金の安定的な確保に努めている他、財務体質の強化及び運転資本の充実のため、2025年12月期第3四半期連結累計期間において法人7社及び個人17名に対する第三者割当増資により合計1,653百万円の資本調達を実施しております。
以上より、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在するものの、上記の対応策を着実に実行することにより早期に解消可能であり、本書提出日現在においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。しかしながら、上記の対応策が期待された効果を上げない場合や、本書に記載されたリスクの発現等によりパワーエックスグループの事業環境が急速かつ急激に悪化する場合には、将来パワーエックスグループの財務的健全性が大きく損なわれる可能性があります。
(4) その他、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項について
パワーエックスは2021年3月に設立され、2023年12月期の第4四半期に初めて売上を計上して以降、2024年12月期には大幅な増収を実現しました。パワーエックスグループが属する蓄電池関連市場は、再生可能エネルギーの普及と日本のエネルギー自給率の向上に蓄電池が不可欠であることから急激に成長しております。一方で、同市場の成長には多くの不確実性があり、また、パワーエックスグループも依然として急速な成長過程にあることから、過年度の財務情報は期間業績比較を行うには不十分な可能性があるとともに、パワーエックスグループが今後の経営環境の変化を予測し適切に対応するための経験が不足している可能性があります。
② 業績の下期偏重について
パワーエックスグループの主要顧客は12月決算や3月決算の会社が多く、また顧客が利用する補助金制度の多くが年度末(3月末)までに受給要件を充足することが求められていることから、顧客の予算執行時期が下期に偏重する傾向にあり、そのためパワーエックスグループの売上高も通常、下期偏重となります。これに対して販売費及び一般管理費はその多くが固定費であることから、パワーエックスグループが営業利益、経常利益、当期純利益を計上する場合も、その割合は下期偏重となります。
2024年12月期連結会計年度における四半期連結会計期間ごとの売上高及び営業損益は以下のとおりです。なお、各四半期会計期間の数値については、有限責任監査法人トーマツのレビューを受けておりません。
パワーエックスグループの蓄電池製品及び関連する商品の販売については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項 (5)重要な収益及び費用の計上基準」に記載したとおり、収益認識会計基準の定めに則り、製品及び商品を引渡し顧客が検収した時点で顧客が当該製品及び商品に対する支配を獲得し、履行義務が充足されると判断していることから、当該時点において収益を認識しております。しかしながら、特にBESS事業における定置用蓄電池の販売においては、納品前の用地選定や基礎工事・受電日の遅れ、パワーエックス製品以外の資材調達の遅れ、契約後に顧客の財務状況が変化すること等の顧客都合により納品・検収の遅れが生じることがあり、このような場合、当初想定時期に収益を計上できず、収益計上時期が決算期末を超える場合(期ズレ)があります。事前の納期・検収時期の調整や、自社保管場所・寄託倉庫で納品・検収等を行う条項を契約に記載し合意することで、当初想定した時期に納品・検収される施策を行っておりますが、当該施策が適時適切に行えなかった場合や顧客に受け入れられなかった場合には、当該事業年度における売上高が翌事業年度以降に計上されることとなり、パワーエックスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について
パワーエックスグループでは、企業価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、パワーエックスグループの役員及び従業員らに対して新株予約権(ストックオプション)を付与しており(本書提出日現在の新株予約権の発行状況については「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。)、本書提出日現在における潜在株式数は6,255,000株であり、発行済株式数38,387,000株(上記潜在株式数を含む)に対する割合は16.29%となっております。なお、パワーエックスグループは、今後においても役員及び従業員の士気向上や優秀な人材の確保を図るため、継続的にストックオプションの発行を実施していく予定であります。今後、これらの新株予約権が行使された場合には、既存株主が保有する株式価値の希薄化を生じ、また、行使の結果として交付される株式の処分の状況によっては、パワーエックス株式の需給に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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