ペルセウスプロテオミクス(4882)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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ペルセウスプロテオミクス(4882)の株価チャート ペルセウスプロテオミクス(4882)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 ペルセウスプロテオミクスは東京大学先端科学技術研究センター・システム生物医学ラボラトリー(LSBM)で開発された蛋白質発現・抗体(※1)作製技術を基盤として、診断・創薬標的に対する抗体の医療への活用を目指して設立されました。創業以来、医薬品シーズ(※2)抗体を創生することで、がん及びその他疾患の治療用医薬品の研究開発、及び関連業務を行っております。LSBMで開発された蛋白質発現技術により、従来は作製することが困難だった標的蛋白質も免疫することが可能となり、そのような標的蛋白質に対する抗体の取得がより容易になりました。これをハイブリドーマ法(動物免疫法)(※3)と組み合わせることで、親和性(※4)の高い抗体の効率的な取得を可能にしています。さらに、ペルセウスプロテオミクスは多様性に富むファージ抗体ライブラリ(※5)とペルセウスプロテオミクス独自の抗体スクリーニング(※6)技術を保有しており、対象とする疾患の細胞に適用することで、創薬標的を探索するとともに、従来のハイブリドーマ法で得られるものとは異なる特徴を持つ高機能シーズ抗体を取得することを可能にしています。また、新たな抗体取得技術として、シングルBセルスクリーニング法(※7)の活用も開始しました。ペルセウスプロテオミクスの技術は、これらの抗体技術とシーズ探索技術を融合し、医療ニーズにマッチした医薬品シーズ抗体を取得することを特長としております。また、ペルセウスプロテオミクスは東京大学発であることを起点として、さらにそのネットワークを広げ、多くのアカデミアとの連携により「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを企業理念としております。

<ペルセウスプロテオミクスの抗体取得技術>

 ペルセウスプロテオミクスは以下のアプローチにより、シーズ探索を行っております。第一は、動物に免疫して取得する一般的なハイブリドーマ法です。グリピカン3やカドヘリン3(CDH3)に対する抗体はこの手法で取得しました。第二は、動物を用いずに抗体を取得するファージディスプレイ法(※8)をがん細胞に適用することで、トランスフェリン受容体1(TfR1)に対する抗体を取得しております。第三のシングルBセルスクリーニング法では、特定の抗原に対してのみ反応する抗体を生産するB細胞を単離し、モノクローナル抗体を取得します。ハイブリドーマの作製が難しい動物種やヒトのモノクローナル抗体も取得することが可能です。

 

 

 世界におけるバイオ医薬品市場の推移を見ると、年々バイオ医薬品の売上高は増加しており、2026年には約5,489億ドルに達するとも予測されています(出典:Evaluate®)。

 また、2024年度の世界の医薬品の売上高上位10品目のうち、抗体医薬品(※13)は5品目を占めております(出典:日経BP社 「日経バイオテクONLINE」2025年5月19日掲載https://pharma.all.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/082400016/051500392/?ST=pb)。

 このような事業環境の中で、ペルセウスプロテオミクスは機能性の高い抗体をペルセウスプロテオミクス独自の技術で作製し治療薬として開発しているほか、抗体に放射性同位体や抗がん剤等を化学的に結合させ、がん細胞への攻撃力を高めた治療薬の研究開発も行っております。

 

(1)ペルセウスプロテオミクスの事業モデル

 ペルセウスプロテオミクスの事業セグメントは、医薬品事業のみの単一セグメントでありますが、以下の各分野において製品化に向けた研究開発、ライセンス、製造方法の確立に取り組んでおります。

① 創薬

 ペルセウスプロテオミクスは、長年の経験に基づいたハイブリドーマ法、独自のスクリーニング技術を取り入れたファージディスプレイ法、及びシングルBセルスクリーニング法により、高機能抗体を取得し、必要に応じて抗体に遺伝子工学的な改変あるいは化学的な修飾を施し、抗体医薬品候補として研究開発を進めております。

 創薬の収益モデルは、国内外の製薬企業に対して、ペルセウスプロテオミクスが開発した医薬品候補を導出(特定の医薬品を開発、販売するために必要な知的財産権の使用を許可すること)することによる契約一時金収入、開発の進捗に応じて支払われるマイルストーン収入、上市(※14)後に売上高の一定割合が支払われるロイヤリティ収入等を獲得することであります。

 

 

 

収入の形態

内容

契約一時金収入

契約締結時に一時金として受け取る対価。

マイルストーン収入

製薬企業等提携先がペルセウスプロテオミクスと契約締結後、ペルセウスプロテオミクス又は提携先における研究開発が進捗し、契約上規定された特定の開発目標を達成した時の対価である開発マイルストーンと、医薬品販売後に、事前に設定した年間販売額を達成した時に受け取る収益である販売マイルストーンがあります。

ロイヤリティ収入

上市後に当該製品売上高に対して契約に設定された一定割合を受け取る収入。

 

 ペルセウスプロテオミクスは、これまでに創出したがん治療用抗体のうち、肝臓がんを標的とする抗体及び固形がんを標的とする放射性同位体標識抗体を、それぞれ製薬企業である中外製薬株式会社及び富士フイルム株式会社に導出しております。このうち富士フイルム株式会社に導出した2つの抗体(PPMX-T002及びPPMX-T004)は、同社の子会社の放射性医薬品事業の他社への譲渡により、2022年3月に実施権が返還されました。現在、有効性を高めた新たな抗体医薬品としての開発をそれぞれ進めております。また、難治性血液がんを標的とした抗体(PPMX-T003)は、2014年に国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に採択された後、開発を進め、2018年より企業主体の開発に切り替えました。その後、自社で実施した治験結果に基づいて導出活動を進めております。この抗体については、導出活動中の対象疾患とは別の疾患においても開発を進めております。

 なお、ペルセウスプロテオミクスにおける抗体創薬の特長は、医薬品として高い薬理効果が期待できる新規抗体を効率的に取得することです。この抗体の物質特許が事業のベースになり、その抗体を医薬品として患者さんに届けるべく非臨床試験、臨床試験及び薬事承認を得るまでいかに早く進めるかが課題となります。導出は、一般的に、特許取得後すぐに大手製薬企業に導出するケース、自社で非臨床試験を完了してから導出するケース、自社単独であるいはパートナー企業と共同で臨床試験を実施し、パイプラインの価値を高めてから製薬企業に導出するケース等があります。この導出の形態は、薬剤の特性、薬剤ごとに異なる臨床試験の計画、適応疾患及び開発費用等を勘案して決定いたします。

 近年、抗体医薬品の認知度が高まる中、多数の抗体医薬品が上市され、抗体医薬品ビジネスの競争も激化しつつあります。これに伴い、非臨床段階では有利な経済条件で導出することが難しくなりつつあります。ペルセウスプロテオミクスは、抗体医薬品を早期に患者さんに届けるため、自社でも臨床試験を実施し、製薬企業への導出を推進してまいります。

 なお、各開発品の詳細については、後述「(3)ペルセウスプロテオミクスの開発品」をご参照ください。

 

② 抗体研究支援

 ペルセウスプロテオミクスは、これまでにがん等を対象とした抗体医薬品や研究用試薬の創出を通じて培ってきた技術や経験を活かして、抗体に関連した研究支援(受託)を実施しております。特にアカデミアや製薬企業に対する抗体研究支援は、ペルセウスプロテオミクスの創薬活動におけるネットワークを広げる等のシナジー効果があります。

 

 

a.抗体作製

 動物細胞を利用した組換え蛋白質の生産系を利用して、薬効を確認する試験に使用することが可能な抗体の作製を行います。一般にマウスなどを対象とした動物試験で使用する抗体の必要量は数十mg程度ですが、一般の試薬会社では100単位で販売されるのに対し、組換え蛋白質として抗体の生産を委託会社に依頼した場合、数g単位のような過剰量であることも多く費用が高額になりがちです。それに対し、ペルセウスプロテオミクスは生産量にフレキシブルに対応することが可能です。

 

b.配列解析

 抗体産生細胞(ハイブリドーマ、一般に一種類の抗体を産生する)から、抗体の遺伝子配列(※15)を決定します。抗体の遺伝子配列は様々な標的との結合が可能となるように多様な組み合わせの配列を生成するという特有の特殊性を持つため、通常の配列決定法では一意に遺伝子配列を決めることが困難ですが、ペルセウスプロテオミクスは独自に設計した遺伝子増幅用配列を用いることで、その抗体配列情報を解析することが可能です。そして、この解析を行うことでこの結果をもとにした特許出願を行ったり、前述した組換え蛋白質として抗体作製に用いたりすることが可能となります。

 

c.その他の研究受託

 抗体は物理的な安定性や薬理的な効果など様々な観点での試験が行われ、その用途に応じて、最適な抗体が選択される必要があります。ペルセウスプロテオミクスではこれまでに培った抗体解析・評価ノウハウをもとに、ある標的に対して得られる多数の抗体群の中から、診断・治療に適した抗体を選別・提供するような研究受託を行います。また前述した抗体作製技術によって作製した抗体などを利用して薬効試験を代行・コンサルティングするなど、ペルセウスプロテオミクスの抗体開発経験をもとにした各種サービスを提供することで、アカデミアの研究を支援いたします。

 

 

③ 抗体・試薬販売

 ペルセウスプロテオミクスでは、がんや生活習慣病等、各種疾患のバイオマーカー(※16)となる核内受容体抗体を全48種類取り揃えており、世界の研究者に向けて研究用試薬として販売しております。また、核内受容体抗体以外のその他の研究用試薬として、PTX3 ELISAキット(※17)、抗体薬物複合体(ADC)研究用の抗体試薬等も販売しております。

 

 

a.核内受容体抗体

 核内受容体とは細胞内でホルモンなどと結合することで遺伝子の発現調節を行う蛋白質で、ヒトでは48種類存在します。核内受容体は生命維持の根幹に関わる遺伝子調節機能を担っており、創薬標的としても注目されている蛋白質群です。ペルセウスプロテオミクスは、この核内受容体に対する抗体を全種類開発し、研究用抗体として世界の研究者に販売提供しております。

 

b.その他の研究用試薬

 PTX3 ELISAキットは、血管炎症の程度を反映する指標と考えられている血液中のPTX3を高感度に測定できる研究用測定キットです。炎症の程度を鋭敏に捉えるPTX3の特徴を活かし、血管炎症を伴う各種疾患の重症化を予測するためのPTX3迅速計測キットの開発も別途進めております。また、ADC研究用抗体としては、ADCの血中薬物濃度測定等に用いることができる抗DM-1抗体、抗MMAE抗体、抗Exatecan抗体を販売し、ADCの研究開発に携わる研究者に提供しております。

 

<事業系統図>

 

 

(2)ペルセウスプロテオミクスの技術

 治療用抗体を取得するために、ペルセウスプロテオミクスでは①標的探索、②抗体探索、③抗体工学、④機能性蛋白質発現技術の各技術を保有しております。

① 標的探索

a.トランスクリプトーム(※20)解析

 抗体医薬品の新薬開発において最も重要なことの1つが、その疾患の治療標的となる細胞表面に存在する蛋白質が何であるかを効率的に絞り込んでいくことです。ペルセウスプロテオミクスでは、油谷浩幸教授(LSBM)が構築したLSBMトランスクリプトームデータベースから得られた情報に基づき、治療標的となり得る有用な蛋白質を発掘し、がんの診断・治療に役立つ抗体を作製し、抗体医薬品候補として研究開発を行っております。

 

b.リバーストランスクリプトーム(※21)解析

 疾患に関連した細胞(例えばがん細胞)の表面には、正常な細胞とは異なり、その疾患に特有の構造を持つ蛋白質が往々にして存在します。これらの蛋白質は抗体の標的分子となるため、ペルセウスプロテオミクスは、その疾患に特異的な蛋白質の構造を正確にとらえた抗体を多数取得し、ライブラリ化しております。このようにして得られた抗体ライブラリには、診断や治療に有用な抗体が多数含まれていることが期待され、ここから様々な治療効果を示す抗体を選別し、その抗体が標的としている蛋白質の調査を進めていきます。このようにして得られた有用な抗体群は、治療薬候補の抗体として研究開発が進められます。

 

② 抗体探索

 抗体を取得する方法として、ペルセウスプロテオミクスではファージディスプレイ法、ハイブリドーマ法及びシングルBセルスクリーニング法を実施しております。また、ファージディスプレイ法によって取得した抗体を効率的にスクリーニングする技術として、ペルセウスプロテオミクス独自の手法であるICOS法(Isolation of antigen/antibody Complexes through Organic Solvent method)を開発し、活用しております。

a.ファージディスプレイ法

 動物を用いない抗体取得方法として、以下の2つの抗体ライブラリから特定の標的分子と結合する抗体配列を選別します。ペルセウスプロテオミクスは、保有する抗体ライブラリと独自のスクリーニング技術を組み合わせることで、薬剤となりうる抗体を取得しています。優れた抗体は、狙った標的分子のみに強く結合する性質を持ち、これを特異性(※22)、高親和性と呼びます。またその性質により、標的分子の機能を制御する場合は機能性抗体と呼ばれ、抗体医薬品においては重要な性能となります。

(a)ヒト抗体ライブラリ

 ペルセウスプロテオミクスは多種類のヒト抗体配列を揃えたヒトナイーブ抗体ライブラリ(※23)を保有しています。抗体は、それぞれ2本のH鎖(重鎖:分子量が大きい)とL鎖(軽鎖:分子量が小さい)によって構成されています。抗体の抗原認識に対する寄与度は、L鎖よりもH鎖の方がより大きいことが知られています。そこで、ペルセウスプロテオミクスは保有するヒト抗体ライブラリのH鎖の多様性を増やして、多彩な抗原を認識できる抗体の存在比率を大幅に高めることにより、標的分子に対して多数の抗体群を取得することを可能としました。これにより、標的抗原に対して親和性の高い抗体を取得する可能性を向上させております。また、標的抗原に対して多数のエピトープ(※24)を認識する抗体群を取得することで、機能性抗体を取得する確率も高めております。

 ナイーブレパートリーと呼ばれる、体内の抗体の中でも特に未熟な抗体は、一般的に、免疫寛容(※25)を受けておらず、さまざまな標的に対する反応性を持っています。ペルセウスプロテオミクスではそのような素材からライブラリに格納する抗体集団を構築する手法により、様々な標的分子に対して最適な抗体を作出することを可能にしております。

 

(b)VHH抗体ライブラリ

 VHH抗体(Variable domain of Heavy chain of Heavy chain ※26)とは、ラクダ科の動物(ラクダ、ラマ、アルパカなど)の血液に含まれる重鎖のみから構成される特殊な抗体の抗原結合部分の分子を指します。VHH抗体は、ヒトの抗体と比べて分子量が小さく、熱に強いという特性があり、用途に応じて複数のVHHを繋げたり、新しい機能をもたせたりと加工しやすい抗体として近年注目を集めています。このため、医薬品だけでなく、研究用試薬や工業製品等の分野において幅広い用途への活用が期待されます。

 特に、ラクダ科の中でもヒトコブラクダはアルパカやラマと比べてVHHの割合が高いという特長を有しており、ペルセウスプロテオミクスはこうした優れた特性を持つヒトコブラクダの抗体配列を多種類揃えたナイーブ抗体ライブラリを保有しております。

 

(c)抗体スクリーニング技術

 抗体医薬品の標的分子となる蛋白質は、細胞膜上に発現しますが、その蛋白質は折り畳まれて複雑な立体構造を作り出しています。抗体は抗原認識の際に標的分子の持つ立体的な構造に大きく影響されますので、スクリーニングの際には細胞を用いることが効果的です。

 しかしながら生きた細胞をそのままスクリーニングに使うと、標的に特異的でない多数の抗体も含まれてしまうという問題が生じます。そのため、通常は精製された抗原がスクリーニングに使われますが、当該手法では、精製の過程で蛋白質の立体構造が失われてしまうため、標的蛋白質に対する最適な抗体を取得することは困難でした。これを解決した方法が、ペルセウスプロテオミクスが独自に開発したICOS法です。ICOS法は有機溶剤を利用して、細胞が有機層に入る過程で、非特異的に吸着した抗体を細胞表面から除去する手法です。これにより、細胞上に存在する蛋白質の立体構造を反映した、親和性の高い抗体のみを効率的に取得することが可能となりました。

 また細胞膜上の蛋白質に限らず、通常免疫法では取得が困難な標的に対しても最適なスクリーニング技術を開発しており、蛋白質はもちろん、低分子等様々な標的に対する抗体を取得することができます。

 

 

b.ハイブリドーマ法

 抗体作製技術の一つで、ペルセウスプロテオミクスの抗体作製技術の出発点となっている基本的な重要技術です。蛋白質等の標的分子をマウス等の動物に免疫することで、抗体を産生する細胞(ハイブリドーマ)を作出する、古典的ですが信頼性の高い手法です。現在市販されている抗体医薬品の多くがこの手法で作られています。

 抗体医薬品の主な標的である膜蛋白質の多くは、ヒト以外の動物でも同じ形で存在することが知られています。この様な標的の場合、通常の免疫方法では免疫が自分自身を攻撃するのを防ぐ機構を持つために、ヒトを形作るのと同じ構造を持つ蛋白質に対する機能性抗体の取得は難しいことが知られています(この現象を免疫寛容といいます)。しかしペルセウスプロテオミクスでは、東京大学との多くの共同研究を通じて得た最先端の知識と、アジュバント(※27)と呼ばれる免疫増強剤の使用・投与方法の工夫といったノウハウを組み合わせることで、高い結合力で的確に標的に結合する抗体を効率的に取得しています。

 

c.シングルBセルスクリーニング法
 シングルBセルスクリーニング法は、特定の抗原に対して反応する抗体を生産するB細胞を単離し、モノクローナル抗体を取得する方法です。
 この方法は極めてまれな抗体産生細胞を高精度かつ高効率で特定することができるため、高い特異性と親和性を持つ抗体が取得できます。また、得られた多数のB細胞から抗体遺伝子を取得することで効率よく多様な抗体を得ることが可能です。得られた抗体遺伝子を使って抗体産生細胞を作ることができるため、ハイブリドーマの作製が難しい動物種のモノクローナル抗体でも生産することが可能です。

 

③ 抗体工学

a.抗体配列解析

 抗体配列を100%正確に解析することは、後述する抗体デザインを行う上で極めて重要な操作となります。

 抗体産生細胞が生産する抗体のアミノ酸の並びを解読するためには、細胞から抗体の遺伝子を取り出し、その遺伝子配列を決定する必要があります。しかし抗体の遺伝子配列は、様々な標的との結合が可能となるように、多様な組み合わせの配列を生成するという特有の性質を持つため、通常の配列決定法では一意に遺伝子配列を決めることは困難です。そこでペルセウスプロテオミクスでは独自に設計した遺伝子増幅用配列(プライマー(※28))を用いて、その抗体配列情報を解析しています。即ち、抗体産生細胞から抗体に翻訳される遺伝子領域を取り出し、その部分を独自に設計したプライマーを用いて増幅することで遺伝子配列を解析します。これによりペルセウスプロテオミクスでは非常に多様な抗体の配列情報を正確に決定します。

 

b.抗体医薬品設計

 動物を免疫することによって得られた抗体は、そのままではヒトへの投与時に免疫原性などの問題が生じる可能性があるため、安全性を高める目的で、抗体のヒト化を実施します。一方、ヒト抗体ライブラリを使ってファージディスプレイ法で得られた抗体はヒト抗体ですので、ヒト化の工程は不要です。

 こうしたヒト化抗体またはヒト抗体を、そのままの形で薬として利用する場合もありますが、必要に応じて放射性同位元素(RI)や強力な抗がん剤を抗体と連結したり、複数の抗体を結合させたBispecific抗体を作製したりすることで、がん細胞など標的への攻撃効果をさらに高めることができます。このように、ヒト抗体ライブラリや動物免疫により取得した抗体を様々に加工・設計することで、抗体を高度に進化させ、最新の治療手法に応用します。

 

 

④ 機能性蛋白質発現技術(BV:Budded Virus)

 高い結合力で的確に目標と結合する抗体を作製するには、標的となる蛋白質の細胞上での構造と機能を維持した状態で作製することが極めて重要です。ペルセウスプロテオミクスはこの課題を克服する手段の一つとして、LSBMにて浜窪隆雄教授を中心に開発したBV(Budded Virus)技術を活用しています。この技術を用いると、標的蛋白質が構造と機能を保ったまま生産されるように遺伝子組換えを施したウイルスを昆虫細胞に感染させ、そこから放出されるウイルスを免疫源として直接利用することが可能です。これにより従来は作製することが困難だった標的蛋白質も免疫することが可能となり、これまで作製困難だった標的に対する抗体の取得が、さらに容易になりました。

 

 

(3)ペルセウスプロテオミクスの開発品

 ペルセウスプロテオミクスの開発パイプラインの進捗状況は以下のとおりです。

(注1)PV:真性多血症

(注2)ANKL:アグレッシブNK細胞白血病

 

① PPMX-T002

 PPMX-T002は、導出先の富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還され、新たな医薬品候補として開発を進めております。

a.特徴

 がん細胞で多数発現しているCDH3を標的とする抗体に、イットリウム90(90Y)という放射性同位体(RI)を標識した抗がん剤候補です。がん細胞上の標的に抗体が集積し、90Yが放射線を照射してがん細胞を殺傷する仕組みです。

 PPMX-T002は、放射性同位体を標識した抗体(Armed抗体(※29))を用いた抗がん剤で、通常の抗体医薬品とは異なる作用メカニズムを持ちます。一般的な抗体医薬品は、抗体ががん細胞表面に発現する特定の蛋白質に結合し、生体が持つ免疫機能を誘引することで標的細胞を攻撃しますが、免疫機能が低下した患者さんに対しては効果が弱くなります。一方PPMX-T002は、遺伝子改変した抗体に放射性同位体を標識したもので、抗原抗体反応によってがん細胞に集積させ、放射線で直接

がん細胞を攻撃することができます。このため、患者さんの免疫機能の状態に関わらず、高い効果が期待できます。また、PPMX-T002は、固形がんの細胞表面に多数発現しているCDH3を標的とし、肺がん、膵臓がん、大腸がん、卵巣がん等の細胞に高い集積性を有する抗体を用いています。

 

b.開発状況

 富士フイルム株式会社による米国における進行性固形がん患者さんでの第Ⅰ相試験において、PPMX-T002の抗体が、投与された患者さんのがん組織に集積すること及び安全性が確認された用量で一部症例において腫瘍の縮小が確認されました。ステージ4の患者さんを対象にした臨床試験で、15例中11例でSD(病勢安定)又はCR(完全寛解)という好成績が得られています。また、CRの症例では投与後、次第に腫瘍が小さくなり26か月後には卵巣がんが消失した症例がありました。

 その後、ペルセウスプロテオミクスでは抗腫瘍効果をさらに高める目的でRIを90Yからアクチニウム225(225Ac)へ変更し、動物実験で効果を検証しました。これをもとに放射性医薬品開発会社を中心に導出を目指しております。

 

 

(出典 Subbiah et al. (2017) AACR Annual Meeting, Chicago, USA DOI: 10.1158/1538-7445.AM2017-CT097)

 

 ペルセウスプロテオミクスは、同社から米国における第Ⅰ相試験の治験データを含むすべての成果物を譲り受け、さらに有効性の高い放射性同位体標識抗体として開発を進めております。

 

c.対象疾患

 CDH3陽性難治性固形がん(卵巣がん、胆道がん、頭頸部扁平上皮がん)

 

d.ライセンスの状況

 2011年1月に、ペルセウスプロテオミクス及び富士フイルムRIファーマ株式会社(現 富士フイルム富山化学株式会社)のPPMX-T002に関する権利(「研究・開発」及び「製造・販売」等)を富士フイルム株式会社に実施許諾する契約を締結しましたが、同社の子会社である富士フイルム富山化学株式会社の放射性医薬品事業の他社への譲渡に伴い、2022年3月に当該契約を解除しました。当該事業の承継先であるPDRファーマ株式会社と協議した結果、ペルセウスプロテオミクスが今後の開発及び導出活動を主導することが決定しました。

 

② PPMX-T003

a.特徴

 PPMX-T003は、ファージディスプレイ法により取得された抗体で、トランスフェリン受容体1(TfR1)を標的とします。TfR1は、鉄と結合したトランスフェリンを細胞内に取り込むために、細胞膜上に発現しています。細胞の生存には細胞内への鉄の取り込みが必須ですが、中でも赤血球になる前の細胞である赤芽球と、増殖が盛んな全てのがん細胞は極めて多くの鉄を必要とするため、TfR1が高発現していることが広く知られています。このため、鉄の取り込みを阻害することで細胞内の鉄を枯渇させ、がん細胞を死滅させるという試みが、古くから行われてきました。これまでに数多の研究者が抗TfR1抗体の研究開発に取り組んできましたが、臨床で使用可能な抗体はいまだ見出されておりません。こうした中、ペルセウスプロテオミクスは、独自のスクリーニング技術であるICOS法を取り入れたファージディスプレイ法により、極めて高い鉄取り込み阻害能を示す完全ヒト抗体を取得しました。現在、幅広い血液疾患を対象とした治療薬の開発を計画しており、まずは真性多血症(PV:Polycythemia Vera)に対する治療薬開発を目指して、第Ⅰ相試験を国内で実施し、2024年6月に終了しました。

 下の中央図は、PPMX-T003が、ブロッキング抗体としてTfR1からの鉄結合蛋白質の取り込みを阻害する様子を表しています。右のグラフは、TfR1に対する結合阻害率を評価した競合アッセイデータです。横軸は濃度で左に行くほど結合が強く(低濃度で阻害する)、下に行くほど結合阻害率が高いことを示します。体内にあるトランスフェリンと比較して、PPMX-T003は、100倍以上結合が強いこと、また、完全に結合阻害していることがわかります。A24は従来の抗体で、結合力も弱く阻害率が半分にも到達していません。

 

<がん細胞の鉄の取込みを阻害すると細胞死・増殖抑制するイメージ図、及びPPMX-T003の結合活性を従来の抗体と比較したデータ>

 

 

 PPMX-T003は、TfR1に結合することでがん細胞への鉄の取り込みを阻害し、強力な抗腫瘍効果を示しています。これにより、化学療法剤で生じるような患者さんの大幅なQOL(※30)低下を伴わない治療効果が期待されます。

 また、東海大学(2024年4月1日からは大阪大学)との共同研究においては、PPMX-T003の優れた鉄取り込み阻害能が、アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という超希少疾患にも有効である可能性が示されました。患者由来腫瘍細胞を移植したマウスモデルによるPPMX-T003の投与実験で、極めて高いがん細胞増殖抑制効果及び生存期間の延長が確認され、2022年3月には、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「創薬支援推進事業・希少疾病用医薬品指定前実用化支援事業」に採択され、3ヵ年の支援を受けてきました。本事業を受けて開始された医師主導第I/Ⅱ相試験(以下「本治験」)は、当事業年度内に終了する計画でしたが、超希少疾患のため予定どおりに被験者登録が進まず、治験調整医師の判断により、治験期間が1年延長されました。

 なお、本治験は2025年2月に再び本事業に採択されております。今後の被験者登録を加速するため、本報告書提出日現在、治験実施施設を7か所から9か所に増やしております。

 このほか、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんに対する治療薬としての作用機序を明確化するため、名古屋大学等と共同で創薬研究を推進しております。

 以下のデータ(表)は様々な血液がん細胞に対する増殖抑制効果のデータです。一番下の正常細胞(臍帯由来細胞)に対して、最下段以外の全てが種々のがん細胞で、そのEC50(細胞増殖を50%抑制するために必要な薬剤濃度)は2桁以上少なく、がん細胞が正常細胞に比較してPPMX-T003に敏感で、強く増殖抑制されることが示されています。

 

<正常細胞に対してがん細胞に強く作用するPPMX-T003の細胞増殖抑制の比較データ(表)>

(注) 細胞株とは、がん組織から採取し、安定的に増殖・培養できるようにした実験用細胞のこと

 

 以下のデータは担癌マウスを用いた動物実験データです。急性骨髄性白血病(AML)や悪性リンパ腫で薬剤の用量依存的にがん細胞の増殖が抑制されていることが示されています。いずれも横軸は日数、縦軸は腫瘍の大きさで、矢印は薬剤の投与を表しています。二つのグラフはいずれも、薬剤無し(Control)で日数と共に急速に腫瘍体積が大きくなっています。これに対してPPMX-T003を投与すると、投与量が増えるとともに腫瘍体積の増大が抑制されています。特に30日目以降は、その後薬剤の投与が行われていないのに腫瘍体積は増えていません。つまり、PPMX-T003は用量依存的に腫瘍体積の増加を抑制し、投与量が多い場合はがんを消失していることが確認できました。

 

(出典 Zhang et al.(2017) AACR Annual Meeting, Chicago, USA DOI: 10.1158/1538-7445.AM2017-5586)

 

 

b.開発状況

 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究成果最適展開支援プログラムの採択後、2018年にサルを用いた非臨床毒性試験(GLP毒性試験)を完了し、2015年に終了した予備試験と同様の結果を得ております。また、本非臨床毒性試験完了をもって研究成果最適展開支援プログラムは終了し、2018年より企業主体の開発に切り替えました。その後、自社で実施した治験結果に基づいて導出活動を進めております。この抗体については、導出活動中の対象疾患とは別の疾患においても、新たな医薬品候補となる可能性が認められ開発を進めております。

 PPMX-T003は種々の血液がんで治療効果が期待されますが、最初に真性多血症治療薬の開発に取り組んでいます。真性多血症(PV)は赤血球が通常より多い疾患で血栓生成が問題です。現在の治療法は、瀉血(しゃけつ)又は抗がん剤等の薬物療法です。瀉血は体内の鉄分が不足するため、貧血や脱力感、うつ病、手足むずむず病等の精神症状を伴い、QOLが悪いという課題があります。また、抗がん剤等の既存の薬物療法は骨髄抑制や2次がん発症リスク等の問題があります。これに対して、PPMX-T003は、既存の治療法で問題となる副作用の大幅な低減が期待されます。

 以下に真性多血症の標準的治療法と課題について図に示します。

<真性多血症と治療>

 

 

 以下のデータは、順天堂大学における真性多血症の患者さんの瀉血検体を用いた内因性赤芽球コロニーの増殖試験の結果です。PPMX-T003を加えた細胞培養の実験で、赤芽球コロニーの形成が阻害されていることがわかります。これは、PPMX-T003の真性多血症治療薬としての可能性が、ヒトの検体を用いて検証された、重要な事例です。

 

(出典:第81回日本血液学会学術集会「抗TfR1抗体による真性多血症内因性赤芽球コロニーの形成阻害」)

 

 2019年11月より健常人を対象とした第Ⅰ相試験を開始しました。

 2021年3月に治験総括報告書が完成した健常人の第Ⅰ相試験では、日本人健康成人男性へのPPMX-T003の投与量0.25mg/kgまでの単回持続静脈内投与において、安全性が確認されたと考えております。

 

 

 次に、PVを対象疾患と定めて第I相試験を国内で実施し、2024年6月に終了しました。

 なお、この第I相試験の結果につきましては、2024年12月に行われた第66回全米血液学会(ASH)年次総会で、被験者都合により中止となった1例を除く5例において12週間の瀉血不要期間が達成されたことや、全6例においてヘマトクリット、ヘモグロビン等の赤血球パラメータで薬効が示唆されたことを報告しました。

 また、「a.特徴」に記載のとおり、ANKLという超稀少疾患の治療薬となる可能性も示され、2023年4月より医師主導第I/Ⅱ相試験が実施されております。2023年9月には、最初の2名の患者さんに投与が行われました。稀少疾患であるため、被験者への投与が滞りなく行われるよう、全国7か所の基幹病院での治験実施体制を整備してまいりました。その後、被験者の登録が滞ったため、さらに2か所の基幹病院を追加しております。ANKLの有効な治療薬の開発に向けて、今後も治験を推進してまいります。

 さらに、急性骨髄性白血病、悪性リンパ腫等の血液がん及び固形がんの治療薬としての作用機構を明確化するため、名古屋大学等と共同で臨床効果に関する創薬研究を推進しております。

 

c.対象疾患

 血液がん

 

d.ライセンスの状況

 本書提出日現在、グローバルでのライセンス活動を進めております。

 

③ PPMX-T004

  PPMX-T004は、導出先である富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に実施権が返還されており、新たな医薬品候補として開発を進めております。

a.特徴

 PPMX-T004は、PPMX-T002と同じく、がん細胞表面に存在するカドヘリン3(CDH3)を標的としています。CDH3は、細胞間接着蛋白質として機能すると考えられています。PPMX-T004は、遺伝子改変した抗体に薬物を結合した抗体薬物複合体(ADC)(※31)で、結合した薬物によって、本抗体と結合したがん細胞を殺傷することができるため、患者さんの免疫機能の状態に関わらず、高い効果が期待できます。PPMX-T004では、固形がんの細胞表面に多く発現しているCDH3を標的とし、がん細胞に対し高い内在性を有する抗体を用いています。

 

b.開発状況

 ペルセウスプロテオミクスにおいて、新たな医薬品候補として開発を進めております。より有効性の高い薬剤と、薬剤と抗体とを結合させるためのリンカー(※32)の最適な組み合わせを見出し、マウスによる実験でも高い抗腫瘍効果を認めました。これを受けて、現在は予備毒性試験を進めております。

 

c.対象疾患

 CDH3を発現する固形がん

 

d.ライセンスの状況

 2015年9月に、PPMX-T004に関する権利(「研究・開発」及び「製造・販売」等)を富士フイルム株式会社に実施許諾する契約を締結しましたが、富士フイルム株式会社の事業方針の変更により、2022年3月に当該契約を解除しました。より高い有効性が期待される薬剤やリンカーに変更した新たな医薬品候補として開発を進めており、本書提出日現在、導出先は決まっておりません。

 

④ その他

 ペルセウスプロテオミクスは患者組織を利用することで取得した疾患特異的な標的候補を多数保有しております。これら標的群に対する抗体取得を順次進めており、Naked抗体(※33)、Armed抗体等、多様なプラットフォームを用いた自社開発プログラムを推進中です。

 

<用語集>

 

用語

説明

※1

抗体

抗原(免疫反応を引き起こす物質)の構造に応じて1対1の関係で特異的に結合する蛋白質。この特異的な結合力を利用して、がんや感染症、疾患を診断・治療する医薬品(分子標的薬)に応用されます。

※2

シーズ

医薬品の候補となる物質。

※3

ハイブリドーマ法

抗体を産生する細胞と不死化細胞を融合して、1種類の抗体を多量に産生する技術。免疫方法や細胞の調整といった手法が確立され、ファージディスプレイ法と比較して安価で簡便であることから、広く一般的に行われています。親和性の高い抗体が取得可能ですが、取得した抗体がヒト以外の動物由来のものであるため、医薬品として使用するためには抗体をヒト化する必要があります。また、ファージディスプレイ法と比較して複雑な構造の標的分子に対する抗体の作成が困難です。

※4

親和性

ある物質が特定の物質と選択的に結合しようとする性質、傾向。

※5

ファージ

細菌に感染するウイルスの総称。ファージに様々な遺伝子を組み込むことで細菌に人為的に特定の蛋白質を作らせることができます。

 

抗体ライブラリ

ある特定の手段あるいは目的をもって構成された抗体あるいは抗体遺伝子の集合。

※6

スクリーニング

様々な指標で目的とする物質を選択する操作。

※7

シングルBセルスクリーニング法

特定の抗原に対してのみ反応する抗体を生産するB細胞を単離し、モノクローナル抗体を取得する方法。

※8

ファージディスプレイ法

細菌に感染するウイルスであるファージに抗体分子を表出する技術。標的分子と反応させることで、特異的に結合する抗体クローンを見つけ出すことができます。ハイブリドーマ法と比較してヒト抗体ライブラリから直接ヒト抗体を取得できる利点がある一方、コストが高く、抗体ライブラリ作製に熟練が必要であることに加え、一般的には親和性の高い抗体の取得が困難です。

※9

マウス抗体

マウスに免疫して得られた抗体。

※10

キメラ抗体

遺伝子工学的手法によりマウス抗体の可変領域とヒト抗体の定常領域を連結したもの。

※11

ヒト化抗体

遺伝子工学を用いてマウスで作成した抗体の抗原結合部位をヒト由来の抗体分子に移植して作製された抗体分子で、配列的にキメラ抗体より、ヒト抗体に近いものです。

※12

完全ヒト抗体

蛋白質配列が全てヒト遺伝子に由来する抗体。他の生物種由来の配列を含まないため、より安全性が高いと考えられています。

※13

抗体医薬品

抗体の様々な機能を利用した医薬品。抗体はその構造の同一性から、製造技術の確立が進み、バイオ医薬品としての開発が盛んに行われています。

※14

上市

医薬品として承認され、実際に市販されること。

※15

抗体の遺伝子配列

抗体は蛋白質の一種であり、そのアミノ酸配列を決定するDNA(デオキシリボ核酸)の塩基の並びのこと。

※16

バイオマーカー

生体内の生物学的変化を定量的に把握するため、血中蛋白質量等の生体情報を数値化・定量化した指標。疾患の有無や進行度合いの指標になります。

 

 

 

用語

説明

※17

PTX3

Pentraxin3の略。体内の炎症により産生される炎症性蛋白質の一つ。

 

ELISA

Enzyme-Linked Immunosorbent Assay(酵素免疫測定法)の略。試料溶液中に含まれる目的物(一般的には蛋白質)を、これに特異的に結合する抗体で捕捉し、酵素反応に基づく発光、発色をシグナルとして検出することで目的物の濃度を計測する方法。

※18

CRO

Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)の略。製薬企業、医療機関、行政機関等の依頼により、医薬品、医療機器、食品(特定保健用健康食品)、化粧品等の臨床開発及び臨床試験(治験)に関わる業務を、受託、又は労働者派遣等で支援する機関のこと。

※19

CMO

Contract Manufacturing Organization(医薬品製造受託機関)の略。製薬企業から医薬品(治験薬・市販薬を含む)の製造を受託します。

※20

トランスクリプトーム

特定の状況下において細胞中に存在するmRNAの総体。

mRNA:Messenger RNA(伝令RNA)の略。蛋白質に翻訳される遺伝子情報を持つRNA(遺伝子の情報を伝える物質)のこと。

※21

リバーストランスクリプトーム

特定の状況下での発現産物の総体から発現産物を同定するトランスクリプトームから逆の過程を経ることから想起した造語。

※22

特異性

抗体が特定の抗原にのみ結合して他とは結合しない性質。

※23

ヒトナイーブ抗体ライブラリ

人のリンパ球由来抗体遺伝子をもとに構築された抗体配列の集合体。ナイーブとはいまだ特性の抗原に対して刺激を受けていない状態。刺激をうけると特定の抗原に対して特異性と親和性を向上させていきます。

※24

エピトープ

抗体が標的とする物質の結合領域。

※25

免疫寛容

体の中で作られる抗体が自分の細胞を攻撃しないように自己抗原に対する抗体をあらかじめ排除する機構。抗体が作られる初期の段階で選別が行われます。

※26

VHH抗体

ラクダ科動物が持つ特殊な抗体分子(重鎖抗体)の可変領域(Variable domain of Heavy chain of Heavy chain antibody)の略称。

※27

アジュバント

抗原と一緒に投与して、その効果を高めるために使用する物質。

※28

プライマー

遺伝子を増幅する際の起点として使用されるDNA断片。

※29

Armed抗体

放射性同位体や細胞傷害剤等を連結した抗体。連結した物質の種類により、例えばがん細胞への攻撃力を高めるなどが期待できます。

※30

QOL

Quality of Lifeの略。日本語では「生活の質」「生命の質」と訳されます。患者さんが、人間らしく満足行く生活が送れているのかという尺度として捉えられます。

※31

ADC

Antibody Drug Conjugate(抗体薬物複合体)の略。強力な細胞傷害活性を持つ薬物が連結されている抗体。ADCは標的を介して細胞内部に取り込まれ、連結している薬物の効果で細胞を殺傷します。

※32

リンカー

ADCの構成物の一つで、抗体と薬物とを結合するものです。薬物をいつ、どのように切断するかの制御も行います。

※33

Naked抗体

何の修飾も施していない抗体。


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 ペルセウスプロテオミクスの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてペルセウスプロテオミクスが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 ペルセウスプロテオミクスは、LSBMで開発された蛋白質発現技術、及びファージ抗体ライブラリを用いた抗体スクリーニング技術、並びにシーズ探索技術を駆使して、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めることで、世界の医療に貢献していくことを基本方針としております。

 

(2)目標とする経営指標

 ペルセウスプロテオミクスにおける導出時の契約一時金とその後の継続的なマイルストーン等の収入は、ペルセウスプロテオミクス又は導出先における研究開発の進捗に大きく左右されます。

 そのため、ペルセウスプロテオミクスでは、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった数値的な目標となる経営指標は用いておりませんが、経営指標として、将来の売上に繋がるパイプラインの開発の進捗、パイプラインの拡充及び売上高を重要な目標と考え、事業活動を推進しております。

 

(3)中長期的な経営戦略

 ペルセウスプロテオミクスの中長期における重要課題は、継続的に新規抗体を創出することであり、そのために開発パイプライン充実に向けた探索研究を継続的に実施するとともに早期臨床開発を実施してまいります。ペルセウスプロテオミクスの開発パイプラインにおいては、本書提出日現在、PPMX-T003で真性多血症を対象とする第Ⅰ相試験を進めているほか、アグレッシブNK細胞白血病を対象とする医師主導第I/II相試験を推進しております。また、PPMX-T002及びPPMX-T004は、薬効を高めた新しい医薬品候補として開発を進めております。

 創薬ベンチャーであるペルセウスプロテオミクスは、これらの研究開発を継続して行っていくために、研究開発体制の強化と研究開発資金の調達が不可欠であります。そのために、新規提携先の確保、研究開発助成金の獲得とともに、必要に応じて、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や、資本市場からの資金調達を行いながら研究開発を推進してまいります。

 

(4)経営環境

 ペルセウスプロテオミクスの事業である抗体医薬はバイオ医薬品に属します。世界におけるバイオ医薬品市場の推移を見ると、年々バイオ医薬品の売上高は増加しており、2026年には約5,489億ドルに達するとも予測されています(出典:Evaluate®)。また、2023年度の世界の医薬品の売上高上位10品目のうち、抗体医薬品は6品目を占めております(出典:日経BP社 「日経バイオテクONLINE」2024年5月8日掲載https://bizboard.nikkeibp.co.jp/bp_bto/atcl/column/16/011900001/24/05/06/00386/?ST=pharma&SRV=pharma&bzb_pt=0)。このようにペルセウスプロテオミクスの事業環境は成長基調にあり、その中にあって、ペルセウスプロテオミクスは医療ニーズの高い抗体医薬品を継続的に開発することにより、事業の成長が見込まれると考えています。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ペルセウスプロテオミクスは、「最先端の抗体技術で世界の医療に貢献する」ことを使命として、がん及びその他の疾患の治療用抗体医薬品の研究開発を進めております。この使命のもとで、ペルセウスプロテオミクスは、次の対処すべき課題に取り組んでまいります。

① 既存のパイプラインの開発と拡充

 ペルセウスプロテオミクスは現在、抗体医薬品候補として、PPMX-T002、PPMX-T003、PPMX-T004という3つのパイプラインの開発を進めております。研究開発先行型のビジネスモデルであるため、既存のパイプラインの開発を着実に進め、導出することで収益を改善し、新たな医薬品候補を継続的に開発することが、企業価値向上には必須であると認識しております。

 なお、それぞれのパイプラインの詳細及び具体的な進捗につきましては、「第1 企業の概況 3.事業の内容 (3)ペルセウスプロテオミクスの開発品」及び「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

 

② 次期パイプラインの探索研究
 複数の大学研究機関との継続的な共同研究によって、次期パイプラインの創出に向けた、候補標的の評価データの収集を行っております。また、標的に対する最適な抗体を獲得するための新技術導入も積極的に行っており、新たな抗体医薬品シーズの探索研究をさらに進めてまいります。

 

③ 抗体研究支援及び抗体・試薬販売の拡大

 抗体研究支援は、大学や研究機関との共同研究などを通じて得られた新たな顧客ニーズの発掘による支援メニューの拡充や、創薬企業ならではの細やかな研究支援により売上増を図ってまいります。また、抗体・試薬販売は、新製品の継続的な投入を行うとともに、ペルセウスプロテオミクス抗体の論文での使用例や、企業での使用例を具体的にホームページ等で訴求し、研究者や企業からの支持を拡大することで受注増を目指してまいります。また、ホームページでは漫画による事業紹介を行っておりますが、今後もペルセウスプロテオミクスの事業に対する理解度向上を図ります。

 

④ 新しいサービスの提供

 抗体医薬品業界においては、抗体薬物複合体(ADC)や放射性同位体標識抗体等のArmed抗体の研究開発も盛んとなっております。ペルセウスプロテオミクスの優れた抗体ライブラリや抗体技術を活用し、業界動向に沿った新たなサービスの提供を行ってまいります。

 

⑤ 研究開発資金の調達

 ペルセウスプロテオミクスのビジネスモデルは、多額の研究開発費用が先行して必要となるため、ライセンス契約の締結を始めとした国内外のパートナーとの提携や資本市場からの資金調達により、研究開発資金の調達に努めてまいります。

 

⑥ 企業基盤の強化

 ペルセウスプロテオミクスは優秀な人材を積極的に採用し、新たな抗体医薬品の開発をさらに積極的に進めてまいります。また、ジェンダーや国籍を問わず、働きやすく、やりがいのある職場づくりに継続的に取り組み、社員の成長を促すことで企業基盤の強化に努めてまいります。

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 ペルセウスプロテオミクスの事業運営及び展開等について、リスク要因として考えられる主な事項を以下に記載しております。投資判断上、もしくはペルセウスプロテオミクスの事業活動を十分に理解する上で重要と考えられる事項については、投資家や株主に対する積極的な情報開示の観点からリスク要因として挙げております。

 ペルセウスプロテオミクスはこれらのリスクの発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の適切な対応に努める方針であり、ペルセウスプロテオミクスにおけるリスク管理の体制として、問題があると認められる行為等については、コンプライアンス責任者から取締役会に適宜報告される体制としています。他方で、ペルセウスプロテオミクス株式に関する投資判断は、以下の事項及び本項以外の記載もあわせて、慎重に検討した上で行っていただく必要があると考えます。また、以下では投資判断のためのリスクを全て網羅したものではなく、さらにこれら以外にも様々なリスクを伴っていることにご留意いただく必要があると考えます。

 ペルセウスプロテオミクスは、医薬品等の開発を行っていますが、医薬品等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者が投資対象とするにあたり相対的にリスクが高い対象と考えられており、ペルセウスプロテオミクスへの投資はこれに該当します。

 なお、文中の将来に関する記載は、本書提出日現在においてペルセウスプロテオミクスが判断したものであります。

 

(1)医薬品の研究開発、医薬品業界に関するリスク

① 新薬開発の不確実性

 ペルセウスプロテオミクスは、抗体医薬品開発を行っておりますが、一般に医薬品開発の成功確率は、他産業と比較して極めて低いものとされています。また、一般的に、医薬品開発は多額の研究開発投資と基礎研究段階から承認取得に至るまで長期間を要すると考えられています。

 そのため、基礎研究及び非臨床試験において高い効果が期待される新規抗体医薬品候補が見つかったとしても、その後の臨床試験において、期待した効果が得られなかった場合、重篤な副作用が生じた場合、当局の審査において承認が得られなかった場合などには、研究開発に遅れを生じたり、研究開発計画が延期あるいは中止されたりする可能性があります。ペルセウスプロテオミクスでは、そのようなリスクを低減するために、ペルセウスプロテオミクスで治験を実施する場合は、医師等の専門家の指導を受けて治験デザインの策定等を行っておりますが、医薬品の研究開発には多くの不確実性が伴い、ペルセウスプロテオミクスの現在及び将来の開発品についても以上と同様の不確実性のリスクが内在しております。研究開発が遅れた場合や追加試験が必要となった場合には、計画外の追加資金が必要となり、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となる可能性があり、その資金調達の実現自体にも不確実性があります。また仮に開発に成功し、ライセンス契約の締結に至っても、その存続期間を特許権の有効期間が終了するまでの期間とするものもあり、ライセンス契約中にマイルストーンを達成できずに、当初想定した投資回収額を回収できないリスクもあります。このようなリスクが顕在化した場合には、ペルセウスプロテオミクスの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制及び医療保険制度について

 医薬品業界は、各国において薬事法をはじめとする事業規制法、医療保険制度並びにその他関係法令等により様々な規制を受けております。ペルセウスプロテオミクスにおいては、現行の医薬品に関する日本をはじめとした先進国での承認基準や薬事規制を前提として事業計画を策定しておりますが、これらの基準及び規制は、技術の発展や市場の動向等に応じて適宜改定がなされる性質であります。

 上述したとおり医薬品開発においては開発に長期間を要し、その期間内にこれらの基準及び規制、制度等が改定・変更される可能性があります。ペルセウスプロテオミクスでは、法令や制度等の変更に係る情報を収集し、適切に対応する方針ですが、それら制度等の改定・変更により既存の研究開発の体制(組織的な体制、製造方法、開発手法、臨床試験の進め方、追加試験を行う必要性の発生等)の変更が必要となり、それにも拘わらず速やかに対処できず研究開発が遅延・中止となるリスクが存在するだけでなく、人員確保や設備投資に計画外の追加資金が必要となり、追加資金確保のために新たな資金調達が必要となるリスクがあり、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 抗体医薬品市場について

 ペルセウスプロテオミクスは、主に抗体医薬品の開発を行っております。ペルセウスプロテオミクスは、医薬品業界動向を示すデータや予測などから抗体医薬品市場が安定的に成長すると見込んでおり、今後も継続的に業界動向の情報収集に努め、経営環境の変化に応じた事業運営を行う方針ですが、抗体医薬品と競合する低分子医薬品、中分子医薬品、核酸医薬品及び再生・細胞医療の開発・発展等により想定どおりに抗体医薬品市場が拡大しなかった場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 技術革新について

 ペルセウスプロテオミクスが属する医薬品業界は、技術革新が著しく速いため、ペルセウスプロテオミクスも創薬基盤技術を継続的に向上させるべく、研究開発を積極的に実施しております。

 しかしながら、急激な技術革新等により新技術への対応に遅れが生じた場合、ペルセウスプロテオミクスが保有する技術・ノウハウが陳腐化した場合、また、必要な技術進歩の常なる追求に伴い、想定を超える費用と時間を要した場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 競合について

 ペルセウスプロテオミクスが携わる研究開発領域は、急激な市場規模の拡大が見込まれており、欧米を中心にベンチャー企業を含む多くの企業が参入する可能性があります。

 ペルセウスプロテオミクスでは、早期の上市に向けた研究開発活動を続けており、特許の取得等によって競争優位性の確保に努めておりますが、競合他社の有する医薬品候補物質の研究開発が、ペルセウスプロテオミクスの有する医薬品候補物質と同じ疾患領域で先行した場合、ペルセウスプロテオミクスの事業の優位性は低下する可能性があります。競合他社による新薬の登場により、ペルセウスプロテオミクスの臨床試験において被験者の登録が停滞し臨床試験が遅延する可能性、目標被験者数に届かず臨床試験が中止となる可能性があります。そうした場合、ペルセウスプロテオミクスの事業戦略の変更などに伴い多額の資金が必要となる可能性があります。

 さらに、競合する新薬の開発が先行し、又は競合新薬が上市されたことにより、事業性が大きく毀損されたと導出先製薬企業が判断する場合は、開発スケジュールが遅延する可能性があるだけでなく、ライセンス契約そのものの解消に至る可能性があります。上市に至った場合においても、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を販売した場合、適切な薬価が付かず、当初想定したロイヤリティが得られない等により、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 医療費の抑制政策に伴う価格引き下げについて

 日本政府は、今後の人口の高齢化及びそれに伴うさらなる医療費の増加を抑制するため、薬価の引き下げ、ジェネリック医薬品の使用推進等の施策を行っております。また、日本のみならず米国や諸外国においても、同様の傾向がみられます。ペルセウスプロテオミクスは、引き続き政策動向を注視し、経営環境の変化に応じた事業運営を行う方針ですが、今後の医療費抑制の政策に関する動向によっては、上市した医薬品に想定した適切な薬価が付かず、想定したロイヤリティが得られないなどにより、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 副作用について

 ペルセウスプロテオミクスが研究開発を実施した治験薬及び上市後の医薬品で、臨床試験段階から製品上市後にかけて、予期せぬ重篤な副作用が発現する可能性があります。万が一重篤な副作用が発現した場合、製造物責任等を追求されることに伴い損害賠償リスクが発生する可能性があることから、保険の加入等により財政的な影響を回避又は最小限にしていくよう対応しております。

 しかしながら、保険金の支払が、最終的にペルセウスプロテオミクスが負担すべきとされた損害賠償額の全額に満たない、又は保険金が支払われない可能性もあります。その場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これ以外にも、最終的にペルセウスプロテオミクスへの損害賠償が認められなかった場合であっても、また、損害賠償額の全額が保険で補てんされた場合であっても、損害賠償請求がなされたという事実により、ペルセウスプロテオミクスに対してネガティブなイメージをステークホルダーが持ち、その結果、研究開発中の医薬品候補物質及び上市後の医薬品に対する信頼性が損なわれるならば、その後のペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 研究開発施設等における事故等の発生について

 ペルセウスプロテオミクスは、東京本社と名古屋ラボに研究開発施設を有しております。ペルセウスプロテオミクスでは、実験室安全委員会を設け、研究開発施設における危険物の管理、教育訓練等を実施し、事故防止のための対応を徹底しておりますが、不可抗力を含めた何らかの原因により火災や環境汚染事故、感染等が発生した場合、研究開発活動の中断、停止、又は、損害賠償や風評被害等重大な損失を招く可能性があり、その場合にはペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、以下の⑨に記載のとおり、ペルセウスプロテオミクスは、ペルセウスプロテオミクスの研究開発業務の一部を専門機関である外部委託先(CRO-医薬品開発業務受託機関、治験実施施設、原薬・製剤の製造業者等)に委託しており、これら外部委託先において不可抗力を含めた何らかの原因により火災や環境汚染事故等が発生した場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ペルセウスプロテオミクス及び外部委託先において地震、水害等の自然災害・その他の避けることの困難な事態の発生により、設備・インフラが支障をきたし稼働できない状況、従業員等が出社できない状況等、一時的又は長期にわたり業務が停止し、臨床開発を一時的又は長期にわたり休止せざるを得ない状況が発生した場合には、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 外部委託先との連携について

 ペルセウスプロテオミクスは、経営の機動性・効率性の観点、コスト低減や専門性の高い分野における協業等の観点から主に以下の業務の一部を専門機関に委託しております。

・原薬・製剤(治験薬)の製造・評価試験

・薬理効果試験・毒性試験等の非臨床試験

・臨床試験のモニタリング・データマネジメント・統計解析

・治験実施施設における臨床試験

 現在、委託先との関係は良好であり、今後も取引を継続してまいりますが、委託先における自然災害及び重大な感染症の流行等の不測の事態等により、原薬の安定供給に支障が生じる、適時なサービス業務を受けられなくなる、治験を含む研究開発活動が遅れる等の可能性があります。この場合にはペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 上述した委託及びそれ以外の業務に関する委託について、予期せぬ契約の終了や契約内容の変更が行われないよう、委託先の経営状況の把握と、良好な関係の維持に努めておりますが、ペルセウスプロテオミクスにとって不利な内容で契約の改定が行われた場合又は予期せぬ事情により契約が終了した場合には、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、外部委託先は日本国内のみならず海外の企業にも及んでおります。今後も国内外を問わず、研究開発において最善かつ最適な企業・医療機関等を選択して業務の委託を行う予定であります。

 海外の企業に業務を委託するに際して、国内外のコンサルタントを利用し、コミュニケーションを密にして情報収集に努めるなどトラブルを回避するための措置を講じておりますが、当該国における法令等及びその解釈等に伴い問題を生じる可能性、商取引慣行や買収等により現地の委託先と問題を生じる可能性、国際税務上の問題又は戦争・紛争等に伴う治安不安等により事業運営に制約を受ける可能性があります。この場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業遂行上のリスク

① 経営上の重要な契約等について

 ペルセウスプロテオミクスの経営上重要な契約の概要は、「第2 事業の状況 5 経営上の重要な契約等」に記載しております。現在、これら重要な契約の継続に支障はなく、ペルセウスプロテオミクスとしては予期せぬ契約の終了や契約内容の変更が行われないよう、委託先の経営状況の把握と、良好な関係の維持に努めておりますが、当該契約が期間満了、又は契約の相手方の経営状態の悪化や経営方針の変更に基づく契約解除その他の理由による終了、もしくはペルセウスプロテオミクスにとって不利な内容で改定が行われた場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 大学との共同研究に係る費用負担について

 ペルセウスプロテオミクスは、医薬品シーズの探索を目的として、複数の大学との共同研究を行っておりますが、共同研究に係る費用の一部についてはペルセウスプロテオミクスが負担しております。また、共同研究の進捗状況に応じて、追加的な費用を負担する場合もあります。

 ペルセウスプロテオミクスは、今後も大学との共同研究に積極的に取り組む方針であり、相応の共同研究費を負担する予定であります。共同研究費については、大学との話し合いの上決定しておりますが、共同研究に係るテーマ等の状況により、ペルセウスプロテオミクスが予定していない費用負担が発生することになった場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 会社組織について

 ペルセウスプロテオミクスは、本書提出日現在、従業員が30名に満たない小規模な組織であり、内部管理体制も当該規模に応じたものであります。今後の事業拡大に伴い、内部管理体制の充実を図る方針でありますが、必要な人員を確保できない場合、ペルセウスプロテオミクスの今後の組織的な事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 人材育成・確保について

 ペルセウスプロテオミクスが成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人材の確保育成であります。今後も、特に研究開発分野における専門的な知識・技能をもった優秀な人材の確保育成が必要であると考えており、引き続き優秀な人材の確保育成を進めていく方針ですが、ペルセウスプロテオミクスの想定する人材の確保に支障が生じた場合、又は優秀な人材が社外に流出した場合には、ペルセウスプロテオミクスの事業、業績や財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 特許について

 ペルセウスプロテオミクスは、様々な知的財産権を実施しており、これらはペルセウスプロテオミクスの保有する権利であるか、又は権利者から適法に使用許諾を受けた権利であると認識しております。また、これらの知的財産権については登録済みとなっているものと出願・審査中のものがあります。

 本書提出日現在、ペルセウスプロテオミクスとしては権利化されることを念頭に出願しておりますが、出願済みの発明について、その全てにつき特許が成立するとは限らないだけでなく、出願中の特許全てが権利化に至らない可能性があります。また、優れた技術が出現した場合には、ペルセウスプロテオミクスが実施する特許権に包含される技術が陳腐化する可能性があります。これらの結果、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、特許の出願は、発明の内容、対象国等について費用対効果を考慮して行いますので、研究開発で得られたすべての発明につき出願するものではありません。また、出願費用・維持費用等のコストを回収できない可能性があります。

 他社において優れた特許発明がなされ、権利化される可能性は常に存在していることから、ペルセウスプロテオミクスの特許が成立しても、他社の特許発明により、ペルセウスプロテオミクスの特許が無力化される可能性は潜在的に存在します。天然物に関連する特許については、日本・米国・欧州の特許庁において共通したガイドライン等が合意され、運用されておりますが、これとは別のガイドライン等に基づき運用している国があり、国によって法令・ガイドラインが異なり複雑な状況となる場合があります。また国によってその法令・ガイダンス等が同一でも解釈や事実認定の方法・解釈が異なる場合があり、他国においてペルセウスプロテオミクスが出願した特許が事前の想定どおりに取得・登録されない可能性があります。日本を含め他国においても、解釈等の違いに基づいて、第三者がペルセウスプロテオミクスに通知・補償・支払いをすることなくペルセウスプロテオミクスの特許及びそれに関連すると考えられている技術を利用し、研究開発、医薬品・薬剤の製造販売をする可能性があります。

 なお、現在、ペルセウスプロテオミクスのパイプラインにおいて、その実施に支障となる、又は支障をきたす可能性のある特許権等は、調査した限りにおいて確認されておりません。

 また、ペルセウスプロテオミクスが実施許諾を受けた権利の契約が期間満了、又は契約の相手方の経営状態の悪化や経営方針の変更に伴い契約解除その他の理由による終了、もしくはペルセウスプロテオミクスにとって不利な内容での改定が行われる可能性があり、それらはペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 訴訟及び請求について

 ペルセウスプロテオミクスは、その事業が第三者の特許権等に抵触することを未然に防止するため、特許事務所と連携の上、特許調査を適時実施しております。また、本書提出日現在において、ペルセウスプロテオミクスの事業に関する特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟係属を含め、何らかの請求・主張を受けている事実はありません。

 しかしながら、万が一、第三者との法的紛争が生じた場合には、この解決に時間及び多大な費用を要する可能性があります。特に第三者の特許権等に抵触する形で事業を行っていた場合、当該第三者からの差止請求や損害賠償請求、高額な実施料の請求等により、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、製造物関連、環境関連、労務関連その他に関する訴訟が提起された場合には、その結果、ペルセウスプロテオミクスの社会的信用が失墜を招き、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 職務発明について

 ペルセウスプロテオミクスにおける職務発明の取扱いに関しては、発明・考案に関する規程を制定・運用し、当該規程に従い発明者に対して相当の対価を支払うこととしております。また、本書提出日現在、ペルセウスプロテオミクスにおいて職務発明の対価の請求・主張を受けている事実はありません。

 しかしながら、発明者との間で職務発明の対価の相当性についての係争やトラブル等が発生した場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 風評上の問題の発生について

 ペルセウスプロテオミクスは、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めており、本書提出日現在、以上に関して第三者から請求・主張を受けている事実はありません。しかしながら、ペルセウスプロテオミクスに関してマスコミ報道等において事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 ペルセウスプロテオミクスでは、主にホームページでのタイムリーな発表等により、適時に適切な情報の提供をすることとして、こうした風評の発生の予防に努めております。

 

⑨ 災害、感染症等の発生に関する不確実性について

 ペルセウスプロテオミクスが事業活動を行っている地域において、自然災害や火災等の事故災害等が発生した場合、ペルセウスプロテオミクスの設備等に大きな被害を受け、その一部又は全部の稼働が中断し、研究開発が遅延する可能性があり、損害を被った設備等の修復のために多額の費用が発生した場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、重大な感染症の流行等が発生した場合や、研究開発部門の一時閉鎖等の不測の事態が発生した場合には、研究開発が遅延する可能性があり、その遅延の結果、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。ペルセウスプロテオミクスは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行拡大に対しては、『緊急コロナウイルス対策方針』を定めて、当該リスクの発生防止に努めてまいりました。今後も同様の感染症の流行が発生した場合には、当該方針をベースとした対策を適宜講じてまいりますが、従業員又は従業員の家族等に感染者が発生し、ペルセウスプロテオミクス全体に及んだ場合、研究開発や試薬販売等、事業の推進が困難になり、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 地政学上のリスクについて

ペルセウスプロテオミクスが開発している医薬品候補について、治験薬の製造や保管等を海外の企業に依頼しております。ペルセウスプロテオミクスは、複数の国で依頼先候補を選定しており、こうしたリスクの低減を図っておりますが、依頼する国において政情不安等が発生した場合、治験薬の供給が途切れ、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ ITセキュリティ及び情報管理について

 ペルセウスプロテオミクスは、ITセキュリティ及び情報管理について、情報セキュリティ管理規程、個人情報保護方針に沿って運用を行っておりますが、役職員、外部委託先の不注意又は故意の行為、又は第三者による意図的な攻撃(サイバーアタック)などにより、ペルセウスプロテオミクスのシステムの停止、中断などセキュリティ上の問題や、秘密情報や個人情報の漏洩が発生する可能性があります。ペルセウスプロテオミクスは、研究開発を目的の中心に据えていることから、こうした問題点に対応し、できる限りリスクを低減するべく規程や手続を整備するとともに、内部監査、監査や必要に応じた外部専門家の関与により、セキュリティの強化に努めておりますが、システムの停止やセキュリティ上の問題が発生した場合、ペルセウスプロテオミクスの研究開発への悪影響、個人情報や知的財産等にかかる重大な機密情報の流出・漏洩が、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ コンプライアンスについて

 ペルセウスプロテオミクスの事業遂行にあたっては、薬事法の規制、製造物責任、環境に関する規制など、各種の法令の規制の適用下にあります。ペルセウスプロテオミクスは、内部統制評価基本方針、コンプライアンス管理規程等に基づき、全社において事業活動が法令及び内規を遵守して実施されるよう、コンプライアンス責任者の活動、内部監査、監査等を通じて検証しておりますが、ペルセウスプロテオミクスの役職員、外部委託先等の第三者が、これらの法令等に違反した場合や、仮に法令違反に該当しなくとも社会的に不適切とみなされる行為に及んだ場合には、法令による処分、処罰などの制裁、訴訟の提起を受ける可能性があり、ペルセウスプロテオミクスの社会的信頼・名誉が毀損するだけでなく、金銭的損害を被ることにより、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 配当政策について

 ペルセウスプロテオミクスは創業以来、株主に対する剰余金の分配を実施しておりません。

 株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の配当を検討する所存でありますが、当面は研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先し、配当は行わない方針であります。

 

⑭ ベンチャーキャピタル及び投資事業組合の株式保有比率について

 当事業年度末現在、ペルセウスプロテオミクスの発行済株式のうちベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下総称して「VC等」という。)が保有している株式の所有割合は9.6%であります。一般的に、VC等が未公開株式に投資を行う目的は、株式公開後に当該株式を売却してキャピタルゲインを得ることであり、現在VC等の保有している株式も、今後売却することが想定されます。当該株式売却により、短期的な需給のバランスの悪化が生じる可能性があり、ペルセウスプロテオミクス株式の市場価格が低下する可能性があります。

 

⑮ 新株予約権について

 ペルセウスプロテオミクスはストック・オプション制度を設けており、優秀な人材の確保や、ペルセウスプロテオミクス事業及び研究開発活動へのモチベーションの維持・向上を目的として、役員及び従業員に新株予約権を付与しております。今後も上述した目的のため新たに新株予約権を付与していく予定であります。

 

 また、会社法の規定に従って、2024年2月20日に開催された取締役会での決議により、バークレイズ・バンク・ピーエルシーを割当先とする第28回新株予約権29,000個を発行しております。当該新株予約権による潜在株式数は2,900,000株であります。

 本書提出の前月末現在、ストック・オプションを含めた新株予約権にかかる潜在株式数は2,194,400株であり、発行済株式総数13,279,100株に対する潜在株式数の割合は16.5%であります。これらの新株予約権が行使された場合、ペルセウスプロテオミクスの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。新株予約権の状況及び内容につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

⑯ 資金使途について

 2021年6月の株式上場において公募増資により調達した資金の使途につきましては、主として既存パイプラインの研究開発費用に充当するほか、新規のパイプラインの研究開発・導入にも充当しております。

 また、2024年2月20日の取締役会で決議した第28回新株予約権により調達する資金の使途につきましては、主としてPPMX-T004や新規パイプラインの開発等の研究開発費用及び運転資金に充当していく方針であります。

 ただし、急激な外部環境の変化等を生じた場合、それに対応するために現時点における資金使途以外の使途に充当する、又は資金使途の充当時期が変更される可能性があります。また、ペルセウスプロテオミクスの計画どおりに使用したとしても、計画どおりの効果を上げられない可能性もあります。

 

(3)パイプラインに関するリスク

 ペルセウスプロテオミクスの開発するパイプラインは、上市までに数多くの開発課題を解決していく必要があります。各パイプラインが抱えるリスクは以下のとおりです。

 

① PPMX-T002について

 ペルセウスプロテオミクス及び富士フイルムRIファーマ株式会社(現 富士フイルム富山化学株式会社)は、PPMX-T002に関する権利を富士フイルム株式会社に使用許諾し、富士フイルム株式会社が使用許諾後の研究開発費を負担しておりましたが、2022年3月に同社の事業方針の変更により、当該権利が返還されました。

 富士フイルム株式会社が実施している米国での拡大第Ⅰ相試験において現在進行中の治験を終了した後、PPMX-T002の開発は中止されます。現在、より高い有効性が期待される放射性同位体に変更する方針で新たな医薬品候補として開発を進めておりますが、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。

・放射性医薬品の開発協業先を選定できない可能性

・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できなかった場合

・主に安全性等に起因する理由に基づく規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合

・医薬品候補物質の有効性及び安全性が認められる臨床試験成績が得られなかったと判断した場合

・外部環境の変化

 この場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。

 

② PPMX-T003について

 PPMX-T003は、ペルセウスプロテオミクスが研究開発費を負担し、真性多血症治療薬としての第Ⅰ相試験を日本で実施中です。第Ⅰ相試験完了後、製薬企業へ導出し、開発を委ねる予定です。現時点で導出の臨床試験のフェーズ、導出先及び契約内容は未定であり、上市までに長期間を要すると考えられます。

 今後、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。

・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できない場合

・主に安全性等に起因する理由に基づき、規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合

・臨床試験において期待する有効性及び安全性を示すデータが得られなかった場合

・研究開発の後期を担う導出先が見つかるまでに想定を大幅に越える時間がかかった場合、又は見つからなかった場合

・外部環境の変化

 この場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。

 

③ PPMX-T004について

 PPMX-T004に関する権利を富士フイルム株式会社に使用許諾し、富士フイルム株式会社が使用許諾後の研究開発費を負担しておりましたが、2022年3月に同社の事業方針の変更により、実施権が返還されました。

 今後、結合する薬物を、より高い有効性が期待される薬物に変更することも視野に、新たな医薬品候補として開発を進めてまいりますが、以下に記載する理由により、開発が遅延又は中止となる可能性があります。

・臨床試験実施中に疾患領域において競合する新薬が上市されるなどの理由により、必要となる被験者数を適時に獲得できない場合

・主に安全性等に起因する理由に基づき、規制当局による当該試験の中断又は中止命令が出た場合

・臨床試験において期待する有効性及び安全性を示すデータが得られなかった場合

・医薬品候補物質の有効性及び安全性が認められる臨床試験成績が得られなかったと判断した場合

・導出先が見つかるまでに想定を大幅に越える時間がかかった場合、又は見つからなかった場合

・外部環境の変化

 この場合、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、追加の資金調達の必要性が生じる可能性があります。

 

(4)業績等に関するリスク

① 収益の変動及びその不確実性について

 ペルセウスプロテオミクスの収入は、主に抗体研究支援及び抗体・試薬販売に伴う比較的安定した収入と、導出する抗体の医薬開発に向けた製薬企業等との契約に基づく契約一時金等の収入の2つに分かれております。製薬企業からの収入は、研究や開発の進捗に大きく左右されることから、ペルセウスプロテオミクス又は導出先における研究開発の進捗に遅れが生じた場合や、導出先の研究開発方針に変更等が生じた場合には、ペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、ペルセウスプロテオミクスの期間損益は、製薬企業への導出契約に基づく契約一時金及び研究開発の進捗に伴うマイルストーン等により大きく変動する可能性があります。

 

② 資金繰りについて

 ペルセウスプロテオミクスのような研究開発型の企業においては、開発期間において継続的に営業損失を計上し、営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスとなる傾向があります。ペルセウスプロテオミクスにおいても営業キャッシュ・フローのマイナスが続いているため、増資による調達のほか、研究開発の進捗に合わせて提携先からの一時金やマイルストーンの形などで資金の確保に努める方針でありますが、何らかの理由によりこうした資金の確保が進まなかった場合においては、今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 税務上の繰越欠損金について

 ペルセウスプロテオミクスは当事業年度末現在において、税務上の繰越欠損金を有しており、現在は所得を課税標準とする法人税、住民税及び事業税が課されておりません。しかしながら、ペルセウスプロテオミクスの業績が順調に推移することで繰越欠損金を上回る課税所得が発生した場合、あるいは税制改正に伴い所得を課税標準とする法人税、住民税及び事業税が発生した場合には、計画している当期純利益又は当期純損失並びにキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 為替レートの変動について

 ペルセウスプロテオミクスは、抗体・試薬の海外への販売及び治験薬の製造等の海外への委託を実施しており、海外の取引先との間で外貨建取引を行っております。ペルセウスプロテオミクスの今後の事業規模の拡大に伴い、外貨建取引の規模が大きくなった場合や支払サイトの長い外貨建取引を行う場合には、為替レートの変動によりペルセウスプロテオミクスの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 なお、上述したリスクは、ペルセウスプロテオミクスが事業を行う上で予想される主たるリスクであり、既に述べましたとおり、リスクがこれらに限定されるものではありません。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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