坪田ラボ(4890)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】 株式会社坪田ラボは「VISIONary INNOVATIONで未来をごきげんにする」をパーパスに掲げ、近視(*1)・ドライアイ(*2)・老視(*3)・脳疾患を対象に、新たな治療法の創出を目指す慶應義塾大学医学部発ベンチャー企業です。坪田ラボは、慶應義塾大学医学部眼科学教室における研究成果を社会に届けること、並びに医療分野においてイノベーションを実現することを目的として、2012年5月に株式会社ドライアイKTとして設立されました。近視、ドライアイ、老視は、いずれも超高齢社会における健康長寿の延伸およびQuality of Vision(視覚の質)の観点から重要な課題と認識されているものの、依然としてアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患領域(*4)であると認識しております。坪田ラボでは、これら3つの疾患領域に加え、眼と同様に中枢神経系に属する脳疾患領域にも研究対象を拡大しており、提携大学等との連携のもと、先進的な研究を推進しております。パートナー企業への導出、共同開発等を通じて、こうした研究成果を医療現場や患者への新たな価値として提供することを目指しております。なお、坪田ラボの事業は研究開発事業に特化しており、単一の事業セグメントで構成されています。 主な提携研究機関 :学校法人慶應義塾主なパートナー企業:株式会社ジンズホールディングス、ロート製薬株式会社、マルホ株式会社、Laboratoires Théa、Shenyang Xingqi Pharmaceutical Co.,Ltd. *1 近視:無調節の状態で眼に入る平行光線が網膜の前方で結像する眼の屈折状態。視力障害を伴うものは疾患であり、進行抑制・治療の必要がある。*2 ドライアイ:様々な要因により涙液層の安定性が低下する疾患であり、眼不快感や視機能異常を生じ、眼表面の障害を伴うことがある。*3 老視:40歳前後からはじまる誰もがなる眼の老化で、水晶体の弾力性が弱まり、調節力が低下した結果、近いところが見えにくくなる症状のこと。*4 アンメット・メディカル・ニーズ領域:いまだ有効な治療法がない疾患に対する医療ニーズがある領域のこと。 (1)ビジネスモデル 坪田ラボは、独自の研究開発コンセプトであるCo-Creation Core (CCC)(*5)を基盤とし、大学・研究機関及び企業との共創により創出された研究成果を知的財産として確立した上で、パートナー企業との共同研究開発契約や実施許諾契約による契約一時金、マイルストーン、さらにパイプラインの上市後に得られるロイヤリティ収入によって事業収益の獲得を目指し、その収益を新たな研究開発に再投資する循環型のイノベーションモデルを採用しています。現時点においては、契約一時金およびマイルストーン収入が坪田ラボ収益の中心を占めています。大学では日々高度な研究が行われ、特許取得や論文発表に至るケースが多いものの、研究成果が実際に社会で活用される「社会実装」にまで至らないケースも少なくありません。こうした状況を背景に、坪田ラボは慶應義塾大学医学部発のベンチャーとして、大学の優れた研究成果や知的財産(=“サイエンス”)を事業化(=“コマーシャリゼーション”)し、社会に革新(=“イノベーション”)をもたらすことを使命としています。坪田ラボの事業は、基礎研究から初期の臨床試験(治験)段階までを担い、その成果をもとにパートナー企業への導出を行い、パートナー企業による後期臨床試験を経て最終的に患者のもとへ製品が届く、B2B(企業間取引)型のビジネスモデルを志向しています。研究開発の実務は、高度な専門性を有する外部研究者(委託研究員)との連携により遂行されており、これにより効率的かつ柔軟な研究開発体制を構築し、多様な疾患領域に対応することが可能となっています。保険医療領域における医薬品や医療機器研究開発事業に加えて、疾患特性に応じて保険医療の外の領域での価値提供が好ましいと考えられるパイプラインについて、坪田ラボでは一般市場向け製品(コンシューマー製品)の企画・研究開発・販売も並行して進めるクロスドメイン戦略を採用しております。加えて、コンサルティング業務等による収益源の多様化にも取り組んでおり、現在までに複数の企業と契約を締結しています。 坪田ラボでは経営戦略の基本方針として、「深化」と「探索」の両軸から成るT型戦略の概念を取り入れております。研究開発においては、全体の研究予算のうち約70%を「深化」(既存研究の深掘りや研究開発プロジェクト推進、知財の強化)に、約30%を「探索」(新領域における基礎研究や、基礎研究に基づく新規知財の創出など)に配分することで、短期的成果と中長期的成長の両立を図る、バランスの取れた研究体制を構築しています。 *5 Co-Creation Core:パートナーと初期段階から研究テーマを共創し、双方の強みを活かして新たな価値を創出する。また、提携大学等の優れたサイエンスを早期検証して事業化を見極め、その知見を他領域へ展開することで、幅広いポートフォリオの拡充を目指す。 (2)事業の概要a 近視領域 近視は、網膜剥離・緑内障・黄斑変性など視覚障害を引き起こす失明原因の一つであり、有病率の急増は世界的な公衆衛生上の課題となっています。世界保健機関(WHO)が発表した『The Impact of Myopia and High Myopia』によると、2020年時点で世界の近視人口は約26億人に達しており、2050年には約48億人、世界人口のほぼ半数に相当するとの予測が示されています。また、近視は単なる屈折異常にとどまらず、進行すると強度近視となり、不可逆的な視機能障害を引き起こすことから、早期の介入と予防的介入法の確立が求められています。2024年12月には、日本国内において低濃度アトロピン点眼液が小児の近視進行抑制を効能効果とする医薬品として初めて承認され、近視治療に対する医療関係者・保護者・行政の関心が一層高まっています。近視領域は、全世界で数兆円規模の市場が見込まれており、特に疾患進行を抑制する根本的治療法の不足という点において、極めて大きなアンメット・メディカル・ニーズを抱える研究領域です。 坪田ラボ代表取締役社長・坪田一男が教授を務めていた慶應義塾大学医学部眼科教室において、2017年に波長360~400 nmの可視光「バイオレットライト(*6)」が、近視の進行抑制に有効であることが発見されました。その後の研究により、バイオレットライトが非視覚系光受容体(*7)であるOPN5(オプシン5)(*8)を刺激することで、脈絡膜(*9)を介して眼球内の血流を維持・増加させる作用を有することが明らかとなっています。さらに、近視進行における虚血の役割、虚血が強膜へ及ぼす影響を踏まえたこれら一連の研究成果は、坪田ラボの中核技術として特許による保護を積極的に進めており、他社との差別化を図る独自の競争優位性の源泉となっています。中でも「現代の生活環境において不足しているバイオレットライトを、効率的かつ安全に子どもたちへ提供することにより近視進行を抑制する」という技術概念は、坪田ラボの研究開発活動の根幹を成す理念となっています。この考えに基づき、坪田ラボでは以下に示すような多面的な研究アプローチを展開しております。 *6 バイオレットライト:波長360~400 nmの光を指し、JIS Z 8120「光学用語」により、この波長域の光は可視光波長域の短波長限界と定義されている。*7 非視覚系光受容体:光受容体のなかで、「見るため」ではない目的で働く種類のものを指す。OPN5は非視覚系光受容体の一種のこと。*8 OPN5(オプシン5):ヒトにおいて380 nmにその吸収スペクトルのピークを持つ、非視覚系光受容体のこと。*9 脈絡膜:網膜と強膜の間にあり、眼球壁を形成する膜のこと。 (a)TLG-001 TLG-001は、バイオレットライト(波長360~400 nm)を照度で照射することにより、子どもの近視進行を予防することを目的とした、メガネフレーム型の医療機器です。本デバイスにおけるバイオレットライト照度は、東京における屋外の水平方向・東西南北方位の年間平均バイオレットライト放射照度に基づいて設定されており、現代の屋内中心の生活により不足しがちなバイオレットライトを適切に補うことを意図しています。デバイスの安全性については、探索的治験により確認済みであり、2022年6月より、パートナー企業である株式会社ジンズホールディングス(以下、ジンズ社)が、医療機器製造販売承認の取得に向けた最終段階の検証治験(*10)を実施いたしました。現在は、本試験結果を基に対象患者集団および評価方法の再検討を行い、中国での追加試験の実施を検討しております。坪田ラボは、ジンズ社と日本国内における実施許諾契約を締結しており、近視進行抑制を目的とした医療機器としての製造販売承認の取得を目指し、ジンズ社が当局への承認申請を行い、承認取得後販売開始を計画しています。本件におけるビジネスモデルは、契約一時金に加え、マイルストーン、ロイヤリティ収入を得る契約形態となっております。 *10 検証治験:医療機器開発における、医療機器承認を目指した、主に有効性を評価する臨床試験のこと。 (b)TLM-003 TLM-003は、近視進行を抑制する新規メカニズムの点眼薬です。TLG-001がバイオレットライトによって眼内血流を増大させることで眼軸伸長を抑制して近視を予防するのに対し、本点眼薬は近視の進行に伴う強膜の菲薄化を抑制し、強膜の伸展を防ぐことによって眼軸伸長を抑制する作用機序を有しています。本剤は、すでに前臨床試験(近視モデルマウス)において有意な近視進行抑制効果を確認しており、その有効性の裏付けとなるデータをもとに、ロート製薬株式会社(以下、ロート社)と長期の開発契約を締結しております。ロート社においては、第1相臨床試験を終了して安全性を確認した上で、現在は第2相臨床試験が進行中です。さらに、2022年12月に独占的実施許諾契約を締結したLaboratoires Théa社においても国外での第2相臨床試験が開始され、国内外で臨床開発が進展しています。 (c)TLM-023 TLM-023は血流改善が期待される新規メカニズムの点眼薬です。近視進行においては眼の虚血が大きな役割を担っていると考えられ、本剤はその虚血を改善することで近視を予防する新規薬剤です。これまでに動物モデルでの有効性および安全性が確認されており、これらのデータをもとにヒトでの安全性を評価する臨床研究を開始予定です。 b ドライアイ領域 現代の視覚情報化社会において、眼は酷使される状況が常態化しており、乾燥環境による涙液の蒸発増大や、現代社会におけるストレスの蓄積による涙液分泌の低下が、ドライアイを引き起こす一因となっています。症状としては、眼が乾く、眼が疲れる、眼が重いといった不定愁訴(*11)が多く報告されており、日本国内だけでも約2,000万人の潜在的なドライアイ患者が存在すると考えられています(ドライアイ研究会ホームページより)。ドライアイは、涙液層の不安定性を背景とする不定愁訴を主症状とした疾患であり、その病態には涙液および眼表面の慢性炎症が深く関与していることが近年明らかになってきています。現代社会においてその有病率は急速に上昇しており、特に新型コロナウイルス感染症の影響により在宅勤務が広がったことで、ドライアイ症状を有する患者が急増していると考えられています。涙液層の不安定化の主な要因は、涙液そのものの減少、ムチン層(*12)の減少や異常、油層(*12)の異常による涙液の過剰な蒸発に大別されます。これらの要因はいずれも涙液層の恒常性破綻を引き起こし、それに伴って眼表面の炎症や神経異常が生じることが知られています。さらに、この炎症や神経異常は涙液分泌のさらなる低下や構成成分の異常を招き、涙液層の不安定性を悪化させるという悪循環を形成します。現在、ドライアイ治療法の開発が、世界中で精力的に進められています。とりわけ、炎症を抑制しつつ涙液層の恒常性を回復させることを目指した新たな治療戦略が注目を集めており、ドライアイは依然として大きなアンメット・メディカル・ニーズを抱える領域であると位置づけられています。坪田ラボにおいても、こうした複雑な病態に対応すべく、眼の周囲環境を整えるためのメガネ型デバイスの開発や、涙液分泌を内因性に促進する機能性サプリメントの研究開発を推進しています。日常生活において無理なく取り入れられるこれらの新たなアプローチにより、ドライアイに伴う症状の軽減と視機能の質(Quality of Vision, QOV)の向上を図ることを目指しています。 *11 不定愁訴:頭痛や食欲不振など主観的な多岐にわたる自覚症状の訴えがあるものの、検査をしても客観的所見に乏しく、原因となる病気が見つからない状態。*12 涙液層(水層)、油層、ムチン層:涙を構成する3層。涙液(水)は上まぶたの涙腺から、ムチンという粘性成分は結膜から分泌される。最表層である油層は、上下まぶた裏側にあるマイボーム腺から出て、水分の蒸発を防ぐ役割がある。 (a)TLM-001 ドライアイは、上図に示すように油層・水層(涙液層)・ムチン層からなる3層構造の涙液層が不安定となり、眼表面に慢性的な炎症や不快感、さらには神経由来の慢性疼痛を引き起こす疾患です。これら3層のいずれか一つに障害が生じた場合でも、涙液層全体の安定性は損なわれ、視機能やQOV(Quality of Vision)に深刻な影響を与えることがあります。近年増加しているタイプのドライアイは、特に油層の機能不全に起因するものが多いとされており、この油層は、まぶたの縁に存在するマイボーム腺と呼ばれる脂腺から分泌される脂質によって構成されています。加齢や慢性炎症などの影響によりマイボーム腺機能が低下すると、油層が不安定化し、涙液の蒸発が亢進することでドライアイが悪化することが知られています。坪田ラボではこの病態に着目し、ビタミンD関連物質である TLM-001 がマイボーム腺機能を回復させることを動物モデルおよび臨床研究により見出しました。マルホ株式会社と本剤の全世界における開発および商業化に関する契約を締結し、TLM-001 を主成分とする眼軟膏の開発を進めております。マルホ株式会社による臨床試験は、本事業年度において初期第2相臨床試験へ移行し、マイルストーンを受領いたしました。今後も、本開発が進展することにより、マイルストーン収入を段階的に得るとともに、製品が上市された際にはロイヤリティ収入を受け取る契約スキームとなっており、坪田ラボのドライアイ領域における中核的なパイプラインの一つとして位置づけられています。 (b)TLM-017 TLM-017は、眼の表面を修復・維持する幹細胞の働きを高めることを目的とした新しい点眼薬です。現在、眼移植片対宿主病(oGVHD)(*13)を対象として非臨床開発を進めており、将来的にはドライアイやマイボーム腺機能不全(MGD)などの眼表面疾患への適応拡大も視野に入れています。oGVHDは、造血幹細胞移植後に発症する重篤な眼表面疾患であり、現在の治療は症状を和らげることが中心であるため、新たな治療法に対する医療ニーズが存在しています。TLM-017は、前臨床試験において眼表面組織の改善や幹細胞機能の維持を確認しており、現在、臨床研究が実施されています。導出を含めた事業化を推進しています。 *13 眼移植片対宿主病(oGVHD):GVHDは同種造血幹細胞移植後にドナーの免疫細胞が患者様の眼組織を異物とみなし攻撃することで発症する合併症。GVHDの中でも、眼に発症する眼移植片対宿主病(oGVHD)は、慢性GVHDであることが多く、重度のドライアイや激しい痛み、視力低下を伴う。 c 老視領域 老視は、加齢に伴って水晶体が硬化し、その弾性が低下することで生じる調節力の低下であり、40歳頃から多くの人にみられる加齢に伴う視機能の変化です。主な症状として近方視が困難となり、読書やスマートフォンの操作など日常生活に支障をきたすことがあります。これまで老視に対しては、多焦点眼鏡やコンタクトレンズ、眼内レンズ、リーディンググラスなどによる光学的補正が中心であり、水晶体の加齢変化そのものに作用する治療法は現時点では確立されていません。世界的な高齢化の進展に伴い、老視による生活の質(QOL)の低下は今後さらに重要な課題になると考えられています。水晶体の老化には、細胞代謝や酸化ストレス、タンパク質の架橋形成など複数の因子が関与すると考えられており、坪田ラボではこれらの老化メカニズムに着目し、代謝調節という新たなアプローチによる医薬品や関連製品の研究開発を推進しています。 d 脳疾患領域(a)TLG-005 眼が脳の神経組織の一部であることに着目し、坪田ラボでは、バイオレットライトが眼のみならず脳にも血流促進効果をもたらす可能性に注目し、研究を重ねてまいりました。その結果、バイオレットライトの照射により脳内血流の増加を実証し、この作用が中枢神経系疾患に対する新たな治療的可能性を持つことが示唆されています。 従来、バイオレットライトは近視予防に有効であることが知られてきましたが、近年ではそれに加え、うつ病や認知症などの脳疾患への応用可能性についても検討が進められており、坪田ラボではうつ病、パーキンソン病、および軽度認知障害を対象とした特定臨床研究を実施しました。いずれの研究においても、機器の安全性が確認されております。うつ病に関しては、有効性を示す結果が得られ、パーキンソン病においても、一部の症状に対してバイオレットライトの照射が改善効果を示唆する結果が得られております。これまでに得られたデータを基に、事業化に向けた提携交渉を行っております。 e その他 坪田ラボでは、バイオレットライトの医療応用に関する研究を多角的に展開しています。現在、バイオレットライトが脈絡膜の機能維持に寄与する可能性に着目し、後眼部疾患への応用に向けた基礎的・臨床的検討を進めています。また、光による角膜コラーゲンのクロスリンク(*14)を用いた円錐角膜治療の臨床研究(TLG-003)から得られた知見を基に今後の開発方針を検討中です。さらに、網膜に存在する非視覚系光受容体OPN5が、概日リズム(*15)を調節する上で重要な役割を果たすことが明らかとなっており、これを応用した新たな治療アプローチとして、女性の月経不順を対象としたバイオレットライト照射による臨床研究を実施いたしました(TLG-021)。サーカディアンリズムの調整を通じた非薬物的かつ副作用の少ない治療手段の確立を目指しています。また、ペット医療への展開も視野に入れ、老犬の体調管理を目的としたバイオレットライト照射の有用性を評価する研究を、公的支援のもとで実施いたしました(TLG-019)。 *14 クロスリンク:ドイツのSeilerらが開発した円錐角膜の手術方法のこと。リボフラビンなどを点眼し、365nmの波長の光を照射すると、角膜のコラーゲン繊維が架橋(クロスリンキング)される。*15 概日リズム:体内時計である約24時間周期のリズムを概日リズム(サーカディアンリズム)と呼ぶ。 (3)坪田ラボのパイプライン 以下の表は、坪田ラボの開発製品並びにその適応症、市場、開発段階及び本書提出日現在の進捗状況を示しております。 なお、製品の開発に際しては様々なリスクを伴います。坪田ラボ製品の開発リスクの概要については、「第2[事業の状況] 3[事業等のリスク]」の通りであります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文章中における将来に関する事項は、本書提出日現在において坪田ラボが判断したものであります。 (1)会社の経営方針 坪田ラボは「VISIONary INNOVATIONで未来をごきげんにする」をパーパスに掲げ、近視、ドライアイ、老視、脳疾患などアンメット・メディカル・ニーズ(UMN)の高い疾患領域において、革新的なソリューションの創出を目指しております。慶應義塾大学医学部発の研究開発型ベンチャーとして、世界的に拡大する近視人口、ドライアイによるQOL(生活の質)の低下、老視の予防・治療ニーズの高まり、ならびに中枢神経系疾患に対する医療的対応の必要性といった社会課題に真正面から取り組み、企業価値の向上を図っております。 (2)経営戦略 坪田ラボは、短期的な利益の最大化にとらわれるのではなく、社会課題の解決という本質的な目標に対し、長期的な視点から真摯に取り組むことを基本方針としています。特許に繋がる独自の発明(Invention)と、パートナー企業との協働による社会実装(Implementation)を掛け合わせることで、確実なイノベーションの創出を目指しています。この目標を達成するために、坪田ラボは社会課題の解決と企業の持続的成長の同時実現を目指すCSV経営(*1)の考え方に基づき、パートナー企業と連携し、社会課題の解決を企業活動の原動力とすることで新たな社会価値を創造し、持続可能なかたちで企業価値の最大化を図ってまいります。*1 CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)とは、企業が強みを生かしながら本業を通じて社会課題の解決に貢献することで、社会的価値と経済的価値の双方を同時に創出し、持続可能な成長を実現する経営アプローチを指します。従来のCSR(企業の社会的責任)とは異なり、社会貢献と事業成長を一体化させる点に特徴があります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 坪田ラボは、各パイプラインの事業化(上市)を目指して共同研究または実施許諾を行うベンチャー企業であり、事業化後(上市後)のロイヤリティ収入を安定的に計上するステージにはまだありません。従いまして、坪田ラボは、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標を目的とせず、各パイプラインの進捗状況等を適時かつ正確に管理することを目標においた事業活動を推進してまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 基礎研究、知財発掘および管理の強化 坪田ラボは、近視、ドライアイ、老視および脳疾患といったUMNの高い分野において、先進的な研究開発に取り組んでいます。 坪田ラボは創立初期より、契約一時金を含むライセンス収入を安定的に確保しながら、財務的な健全性を保ちつつ研究開発を推進してきました。こうした取り組みを通じて、価値ある研究成果を継続的に創出し、パートナー企業との共同研究開発へとつなげるエコシステムを構築しております。また、研究成果に基づく知的財産の戦略的な管理・活用を通じて、導出力(ライセンシング・パワー)の強化にも注力しております。将来的には、これらの研究成果をもとに、パートナー企業との共同開発を通じて製品化を実現し、上市された製品からロイヤリティ収入を得るビジネスモデルの構築を目指しております。得られた収益は、さらなる研究開発への再投資に活用し、新たな革新的ソリューションを次々と創出することで、UMNの高い領域における選択肢を拡げ、社会に貢献してまいります。 ② 国内・海外事業開発の強化 坪田ラボのビジネスモデルは、独自の技術・知財を基盤に、国内外のパートナー企業と共同研究開発やライセンス契約を締結し、契約一時金、マイルストーン、上市後のロイヤリティによって収益を得るものです。得られた収益は新たな研究開発に再投資し、継続的にパイプラインと企業価値を拡充する循環型モデルを構築しています。坪田ラボのような小規模のバイオベンチャーにおいては、研究開発の質と臨床研究および臨床試験の効率的かつ迅速な実施を図る上でも、強固かつ効率的な共同研究開発体制の構築が極めて重要な課題です。今後も国内外の有力な研究機関および企業との連携をさらに拡大・深化させるべく、適切なコミュニケーションを重ねながら、研究開発および事業開発機能の強化を進めてまいります。 ③ レギュラトリーサイエンス(*2)の強化 研究開発の成果を、医薬品医療機器総合機構(PMDA)をはじめ、米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、中国国家薬品監督管理局(NMPA)など、各国の規制当局からの承認取得へとつなげ、事業化を実現していくためには、レギュラトリーサイエンスへの対応力の強化が不可欠です。坪田ラボでは、研究開発本部を中心に社内の専門性を継続的に高めることにより、グローバルな開発・承認戦略にも対応できる体制の構築を進めております。*2 レギュラトリーサイエンスとは、医療分野の研究開発の成果の実用化に際し、その品質、有効性及び安全性を科学的知見に基づき適正かつ迅速に予測、評価及び判断することに関する科学です。 ④ 企業体質の強化 坪田ラボは、社会課題の解決と企業の持続的成長の同時実現を目指すCSV経営の考え方に基づき、社会課題の解決を企業成長の原動力とすることを基本方針としています。その実行基盤として、米国の先進的スタートアップにおいても成果を上げているOKR(*3)を導入し、ビジョン・ミッションに直結した目標設定と進捗管理体制を構築しております。OKRの導入により、個人と組織の目標をビジョン・ミッションと明確に結びつけ、戦略と現場の一体化、意思決定の迅速化、成果の可視化を図ることが可能となります。坪田ラボはこの仕組みを通じて、企業体質を強化してまいります。*3 OKR(Objectives and Key Results)とは、企業が達成すべき目標を具体的な成果指標とともに設定し、組織全体での一貫した目標達成を目指すマネジメント手法です。 ⑤ 経営体制の強化a 人材の確保と育成 大学発ベンチャーにおいては、卓越したサイエンスの成果を有しながらも、ビジネスの視点での評価や市場での信頼獲得が課題となるケースが多く見受けられます。坪田ラボにおいても、技術力や研究開発力に加え、経営および事業推進の視点を備えた多様な人材の確保が、今後の成長を加速させる上で重要な経営課題であると認識しております。 こうした認識のもと、坪田ラボは上場企業としての信用力と社会的認知度を活かし、国内外から多様なバックグラウンドを持つ優れたビジネス人材の確保・登用を進めてまいります。これにより、坪田ラボが有する知的財産権の価値最大化を牽引するとともに、事業環境の変化を踏まえて柔軟かつ機動的に対応し得る戦略的な経営体制の構築を通じて、持続的な企業価値の向上を実現してまいります。 b コーポレート・ガバナンスの強化 坪田ラボは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、経営の健全性・透明性の確保と、あらゆるステークホルダーとの信頼関係の構築が不可欠であると認識しております。特に坪田ラボは、上場企業、医療機関、公的研究機関などとの共同研究開発・事業提携を通じて研究開発を推進しており、こうした取引関係を維持・拡大していくためにも、社会的信用の継続的な向上が重要な経営課題となっております。このような認識のもと、坪田ラボは小規模な組織ながらも、実効性あるコーポレート・ガバナンス体制の整備を進めております。具体的には、管理部門の人員体制および内部統制機能の強化に加え、内部監査人と監査役との連携を通じて、業務執行の適法性および妥当性の監視機能を高めております。また、財務報告に関わるリスクの提言と、経営における意思決定の質の向上を図ることで、健全かつ透明性の高い経営体制の構築を推進しております。今後も、ガバナンス体制の継続的な見直しと改善に努め、法令遵守・情報開示・リスク管理の強化を通じて、社会的責任を果たす企業としての基盤を一層強固なものとしてまいります。 c 資金調達・財務基盤の強化 坪田ラボは、上市までに長期の研究開発期間を要するバイオベンチャーであり、その過程において、臨床研究や臨床試験に多額の資金を必要とします。こうした資金需要に対応するため、坪田ラボは外部からの資金調達手段の多様化を図りつつ、財務基盤の強化に取り組んでおります。具体的には、必要に応じた株式市場からのエクイティファイナンスに加え、金融機関からの融資、各種助成金・補助金の活用を通じて、中長期的な成長を支える資金を安定的に確保してまいります。また、運転資金確保の観点から、金融機関との間で、当座貸越契約(極度額10億円)を締結し、資金繰りの柔軟性向上を図っております。 ⑥ 慶應義塾大学および他大学との研究協力体制の構築 坪田ラボは、慶應義塾大学をはじめとする国内外の大学・研究機関との共同研究を積極的に推進しております。すでに複数の研究機関との連携を開始しており、今後もさらなる拡充を図ってまいります。研究開発戦略の中核には、CCCコンセプトを基盤に、坪田ラボ独自の助成制度であるT-SBIR(*4)を位置づけ、アカデミアとのネットワークを国内外に広く構築しています。これにより、高度な専門性を有する研究者による先端的な研究テーマを早期に発掘・創成・強化し、適切なリスクを取りながら、研究開発の推進と早期の事業化を目指す体制を整えております。持続的に価値ある研究開発を行ううえで、多様な知見と技術を有するアカデミアとの連携は極めて重要と考えており、このような認識のもと、共同研究契約等を通じて、大学・研究機関との信頼関係に基づく協力体制を今後も継続的に強化してまいります。*4 T-SBIR(Tsubota Small Business Innovation Research)とは、米国の中小企業向け研究開発助成制度(SBIR)に着想を得て坪田ラボが設立した、大学や研究機関に対する独自の研究助成制度です。革新的なアカデミアの研究活動を支援し、その成果の事業化を推進することを目的としています。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】 坪田ラボの事業展開その他に関するリスク要因となる可能性がある主な事項を以下に記載しております。また、坪田ラボとして必ずしも重要なリスクと考えていない事項及び具体化する可能性が必ずしも高くないと想定される事項についても、投資判断の上で又は坪田ラボの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。坪田ラボは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、リスクの発生をすべて回避できる保証はありません。また、以下の記載内容は坪田ラボのリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。 坪田ラボは、医薬品、医療機器等の開発を行っていますが、医薬品、医療機器等の開発には長い年月と多額の研究費用を要し、各パイプラインの開発が必ずしも成功するとは限りません。特に研究開発段階のパイプラインを有する製品開発型バイオベンチャー企業は、事業のステージや状況によっては、一般投資者の投資対象として供するには相対的にリスクが高いと考えられており、坪田ラボへの投資はこれに該当します。 また、本項記載の将来に関する事項は、本書提出日現在において坪田ラボが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 ① 医薬品及び医療機器パイプラインの開発及びそれに伴う収益獲得の不確実性発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大 医薬品及び医療機器の開発には多額の研究開発投資と長い年月を要しますが、臨床試験で有用な効果を発見できないこと等により、研究開発が予定どおりに進行せず、開発の延長や中止の判断を行うことは稀ではありません。また、日本国内はもとより、海外市場への展開においては、各国の薬事関連法等の法的規制の適用を受けており、新薬等の製造及び販売には各国別に厳格な審査に基づく承認を取得しなければならないため、有効性、安全性及び品質等に関する十分なデータが得られず、予定していた時期に上市できずに延期になる、又は上市を断念する可能性があります。 これは、坪田ラボのパイプラインを他社に導出した場合も同様であり、坪田ラボが研究開発を行った医薬品及び医療機器候補及び他社に導出した医薬品及び医療機器の候補の上市が延期又は中止された場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ② 副作用発現発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大 医薬品及び医療機器には、臨床試験段階からさらには上市以降において、予期せぬ副作用が発現する可能性があり、坪田ラボに対する信頼に悪影響が生じる可能性があります。これら予期せぬ副作用が発現した場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ③ 医薬品、医療機器等法その他の規制に関する事項発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大 坪田ラボの属する医薬品及び医療機器業界は、研究、開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の医薬品、医療機器等法、薬事行政指導、医療保険制度及びその他関係法令等により、様々な規制を受けております。 医薬品及び医療機器は基礎研究から製造販売承認を取得するまでには、多大な開発コストと長い年月が必要となります。研究開発期間中に当初は見込んでいない法的規制の改定等により、医薬品及び医療機器として規制当局が認めない場合には、承認が計画どおり取得できず上市が困難になる可能性があります。これは開発品を他社に導出する場合も同様であり、当初計画した条件での導出が行えない可能性、導出そのものが困難になる可能性、導出した場合にその契約内容が変更になる可能性若しくは導出契約が解消される可能性があります。また、坪田ラボ開発品への承認を取得できた際にも、健康保険の対象として保険収載されない場合や、計画どおりの保険価格が付されない可能性があります。このような事象が生じた場合、また、将来各国の医薬品、医療機器等法等の諸規制に大きな変化が生じた場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ④ 資源投入リスク発生可能性:小、発生する可能性のある時期:3年以内、影響度:中 坪田ラボは、上場時の公募増資等により調達した資金を用いて、研究開発の強化及び研究員を拡充することとしております。 当該計画に基づき、研究開発力を核とした持続的成長を実現するための研究開発に、積極的に経営資源を投入する方針であり、2026年以降も引き続き、特定臨床研究費及び治験費への投入を計画しております。しかしながら、研究開発の成果が目標から大きく乖離した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、臨床試験の結果、予測していた有効性が証明できない、あるいは予測していない副作用が発現した等の理由で承認申請を断念しなければならない可能性があります。 ⑤ 競合について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 医薬品及び医療機器の研究開発分野では、国内外の製薬企業、バイオベンチャー及び研究機関等が研究開発を進めており、技術革新も急速に進展しております。坪田ラボが開発する技術又は開発品について、競合技術や競合製品が優位性を有すると評価された場合には、新たな共同研究開発契約又は実施許諾契約の締結が想定どおり進まない可能性があります。また、導出後においても、競合製品の開発進展や市場投入等により、開発計画の変更、上市時期の遅延、販売規模の縮小等が生じた場合には、マイルストーン収入又はロイヤリティ収入に影響を及ぼし、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 海外市場について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、事業拡大戦略の一環として、海外展開を行ってまいります。進出にあたっては、現地の市場動向や関連法令の有無・内容等に関する調査を行い、慎重な判断を行っておりますが、今後、予期しない法規制の変更、政情不安等による社会的混乱等のリスクが顕在化し、当初の計画どおりに事業展開が進展しなかった場合には、坪田ラボの事業及び業績に影響を与える可能性があります。 ⑦ 技術革新について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボが携わる研究開発領域は、技術の革新及び進歩が著しく速いバイオテクノロジー分野に属しております。そのため、坪田ラボは、大学、公的研究機関及び大手製薬会社等との連携を通じ、最先端の研究成果・情報を速やかに導入できる体制を構築する予定であります。 しかしながら、急激な研究の進歩等により医薬品及び医療機器の研究開発において有効と思われる研究成果等への対応が困難となった場合、坪田ラボの事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、必要な研究成果を常に追求するためには多額の費用と時間を要することから、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑧ 共同研究型パイプラインについて発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大坪田ラボは、医薬品及び医療機器の研究開発において、共同研究開発契約及び実施許諾契約(導出)を通じて契約一時金、開発進捗に応じたマイルストーン及び上市後のロイヤリティ収入等を獲得することを基本的な事業モデルとしております。このため、新規の共同研究開発契約及び実施許諾契約の締結状況は、坪田ラボの事業戦略及び経営成績に重要な影響を及ぼします。 しかしながら、新規提携及び導出の成否や契約条件は、研究開発の進捗、非臨床試験及び臨床試験の結果、知的財産の状況、市場環境、競合技術、パートナー候補企業の開発戦略や経営方針等、坪田ラボがコントロールできない様々な要因の影響を受けます。そのため、坪田ラボが想定する時期又は条件で新たな共同研究開発契約若しくは実施許諾契約を締結できない場合や、契約締結までに想定以上の期間を要する場合には、契約一時金等の収益計上時期が遅延し、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、坪田ラボが導出した医薬品及び医療機器候補については、パートナーが主体となって開発、臨床試験及び承認申請を実施するため、その進捗や結果は坪田ラボの業績に影響を及ぼします。坪田ラボは導出後も技術的支援等を行いますが、開発方針や開発継続の判断はパートナーが行うものであり、坪田ラボがこれをコントロールすることはできません。そのため、開発の遅延、中止又は承認申請の断念等により、マイルストーン収入やロイヤリティ収入が計画どおり得られない場合には、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、既存の共同研究開発契約及び実施許諾契約には、一定の条件の下で契約を終了できる旨の条項が含まれている場合があります。そのため、パートナーの経営方針の変更、事業戦略の見直し、経営環境の悪化その他坪田ラボがコントロールできない事情により契約が終了した場合には、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点において、主要な提携契約について契約終了を想定する事象は発生しておりません。 また、医薬品及び医療機器業界では組織再編やM&Aが活発に行われており、坪田ラボのパートナー企業においても、組織再編や競合他社による買収等が生じる可能性があります。このような事象により開発方針や事業戦略が変更された場合には、共同研究又は開発計画に影響を及ぼす可能性があります。 坪田ラボでは、これらのリスクの低減を図るため、複数のパイプライン及び提携先を有するポートフォリオを構築するとともに、研究開発の初期段階から共同研究や導出を進めることにより、開発リスクの分散に努めております。また、技術的課題により開発継続が困難となった場合には、研究資源を成功可能性の高いテーマへ再配分するとともに、パートナーの戦略的判断等により開発が中止された場合であっても、坪田ラボが開発継続に合理性があると判断した場合には、自社開発又は新たなパートナーとの提携による開発継続を検討いたします。 ⑨ 重要な契約について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 経営上重要と思われる契約の概要は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載のとおりであります。現時点において、経営上の重要な契約の相手先とは、当該契約の遂行に支障をきたすような事象は発生しておりませんが、今後において、当該契約の期間満了、相手先の経営状態の悪化や経営方針の変更による契約解除その他の理由による終了、若しくは坪田ラボにとって不利な改定が行われた場合、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす場合があります。 ⑩ 提携関係に関する事項についてa パートナー企業との提携関係について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、開発品の導入や導出のほか、研究開発の各段階において広範な提携関係を構築し、それによって固定費の増加を回避しつつ最先端技術の取込みを図っております。特に研究開発本部では、組織の規模拡大を一義とせず、自社では専門性を有する少数の人材を確保するに留め、パートナー企業との協力・協業によって研究開発活動を遂行しております。坪田ラボは、自社の研究開発人員とこれらの提携関係をもって研究開発体制を構築しております。これら提携関係のうち、特に重要と考えられる契約は、「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載のとおりであります。今後も事業基盤の強化、効率的な経営の実現に向けて、広範な提携関係の構築を推進してまいりますが、坪田ラボの計画どおりに提携関係が構築できない場合、提携関係に想定し得ない変化が生じた場合、提携の効果が当初の計画を下回る場合、若しくは提携関係が坪田ラボの意図に反して解消された場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 b 外部委託研究員との提携関係について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボの研究開発活動は、研究開発の各段階において外部委託研究員と広範な提携関係を構築し研究開発活動を行っており、研究開発活動において重要な役割を果たしております。 坪田ラボでは、これらに外部委託研究員に過度に依存しない研究開発体制を築くために、研究開発体制の強化を図っております。しかしながら、当面の間はこれら外部委託研究員への依存度が高い状態で推移するものと考えております。このような状態において、これら外部委託研究員の研究開発活動への関与が何らかの理由により困難となった場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑪ 収益計上について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大 坪田ラボの収益は、共同研究開発契約及び実施許諾契約に基づく契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン収入並びに製品上市後のロイヤリティ収入により構成されております。これらの収益は、契約締結、開発進捗、承認取得及び販売開始等の特定の事象の発生を前提として認識されるため、収益計上の時期及び金額が年度ごとに大きく変動する可能性があります。 また、契約締結、研究開発、承認申請及び販売は、坪田ラボのみならずパートナー企業の事業戦略、研究開発の進捗、規制当局の判断及び市場環境等の影響を受けるため、坪田ラボが想定した時期に収益を計上できない場合や、収益額が計画を下回る場合には、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑫ 剰余金の分配について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小 坪田ラボは、株主への利益還元については、重要な経営課題と認識しており、将来的には経営成績及び財政状態を勘案しつつ剰余金の分配を検討する所存でありますが、当面は、多額の先行投資を行う研究開発活動の継続的かつ計画的な実施に備えた資金の確保を優先するため、配当等の株主還元は行わない方針としております。 この点、収益計上額の大きな変動若しくは、収益計上の時期の変更等により、将来的な剰余金の分配について遅れる可能性があります。 ⑬ 会社組織に関する事項a 組織体制及び専門人材の確保について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、研究開発型企業として少数精鋭の組織体制により事業を運営しております。このため、役職員一人ひとりが高度な専門性を有し、研究開発、知的財産、事業開発、薬事、臨床開発及び経営管理等において重要な役割を担っております。 今後の事業拡大及び持続的な成長のためには、専門性を有する人材の採用、育成及び定着が重要であると認識しております。しかしながら、必要な人材を適時に確保又は育成できない場合や、主要な役職員が退職、休職その他の理由により業務遂行が困難となった場合には、研究開発、事業開発又は経営管理体制に影響を及ぼし、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。坪田ラボでは、組織体制の強化、業務の標準化・属人化の解消及び計画的な人材採用・育成を進めることにより、これらのリスクの低減に努めております。 b キーパーソンリスクについて発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小 坪田ラボの研究開発及び経営戦略・経営管理は、高度な専門知識及び経験を有する役職員により支えられております。坪田ラボでは組織体制の強化を進めておりますが、主要な役職員が退職その他の理由により業務遂行が困難となり、適切な後任を確保できない場合には、坪田ラボの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 ⑭ 訴訟等に関する事項発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小 坪田ラボは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により、訴訟等による請求を受ける可能性を完全に回避することは困難であり、このような事態が生じた場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑮ 知的財産権発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、大学等との共同研究を通じて創出した研究成果及び知的財産を基盤として、共同研究開発契約及び実施許諾契約(導出)を締結する事業モデルを採用しており、知的財産権は坪田ラボの事業競争力を支える重要な経営資源であります。このため、知的財産権の取得、維持及び活用の状況は、坪田ラボの事業活動及び経営成績に重要な影響を及ぼします。 坪田ラボでは、研究成果について特許出願等を行い知的財産権の確保に努めておりますが、出願中の特許が全て権利化される保証はなく、また、権利化された場合であっても、坪田ラボが期待する範囲の権利が認められない可能性があります。さらに、競合他社による代替技術の開発や、坪田ラボの知的財産権の権利範囲を回避する技術が開発された場合には、坪田ラボの競争優位性が低下し、新規の共同研究開発契約又は実施許諾契約の締結や契約条件に影響を及ぼす可能性があります。 また、坪田ラボでは、研究開発及び事業活動において必要に応じて第三者の知的財産権に関する調査を実施し、知的財産権侵害の未然防止に努めております。現時点において、坪田ラボの開発パイプラインに関して第三者との間で知的財産権に関する重大な紛争は発生しておりません。しかしながら、知的財産権に関する紛争を完全に回避することは困難であり、第三者との間で知的財産権に関する紛争が生じた場合には、研究開発又は事業活動に支障を来し、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 なお、坪田ラボでは、大学等との共同研究における知的財産権の帰属及び活用について、契約締結時に十分な協議を行い、適切な管理及び運用に努めております。 ⑯ 職務発明について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小 役員、従業員等の職務発明の発明者から特許等を譲り受ける場合、坪田ラボは特許法に基づき相当の対価を支払わなければなりません。坪田ラボでは「職務発明取扱規程」を設けておりますが、これまで発明者との間で問題は生じておりません。しかしながら、将来、発明者との間で対価の支払請求等について問題が生じる可能性があります。その場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑰ 特定人物への依存について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:15年以内、影響度:大 坪田ラボは、代表取締役社長である坪田一男が創業した大学発研究開発型企業であり、同氏は坪田ラボの研究開発戦略、事業戦略及び大学・研究機関との連携において重要な役割を担っております。また、同氏は主要株主でもあり、坪田ラボの経営基盤において重要な位置付けを有しております。 坪田ラボでは、研究開発、事業開発及び経営管理に関する組織体制の強化を進めるとともに、権限委譲及び人材育成を通じて特定の個人への依存度の低減に努めております。しかしながら、何らかの理由により坪田一男が坪田ラボの業務執行又は研究開発活動への関与を継続できなくなった場合には、坪田ラボの研究開発、事業活動及び対外的な信用に影響を及ぼし、坪田ラボの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 ⑱ 慶應義塾大学医学部眼科学教室との関係について発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、自社での研究活動の他、慶應義塾大学医学部眼科学教室と共同研究を実施しており、特許権について共同保有する等しております。外部委託研究員の多くが慶應義塾大学にも所属しております。 坪田ラボは同大学から、商業化を行う大型特許については、全て買取をしておりますが、まだ商業化を計画していない一部の特許については買取をしていないため、今後同大学との間で、共有特許について同大学から独占的実施権の許諾を受け、契約一時金及びかかる特許権を第三者に実施許諾したことによる収入(契約一時金、マイルストーン収入、ロイヤリティ収入)の一定料率に相当する金額を同大学に支払うこと等を定めた契約を締結した場合は、当該契約に基づき、上記に該当する収入を受け取った場合には、一定率の金額を慶應義塾大学に支払うことになります。 また、同大学との取引については、良好な関係を維持しつつも坪田ラボ又は株主の利益を害することのないよう、法規制を遵守するとともに、取締役会の監視等を通じて十分留意しております。しかしながら、このような留意にかかわらず、利益供与を疑われる等の事態が発生した場合や同大学との取引が継続できない事態が発生した場合は、坪田ラボの利益及び社会的評価を損ねる可能性があり、その結果として坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ⑲ 情報管理に関する事項発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小 坪田ラボは、事業の過程において技術、営業に関しての機密情報を保持し、また一定の個人情報を有しております。これらの情報の外部への不正な流出を防止するため、セキュリティシステムの継続的な改善を図るとともに、情報の取り扱いに関する社員教育や、情報へのアクセス管理等、内部管理体制についても強化しております。しかしながら、予期せぬ事態により情報が流出する可能性は存在し、このような事態が生じた場合、社会的信用の失墜を招き、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります ⑳ 風評上の問題の発生について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、開発における安全性の確保、法令遵守、知的財産権管理、個人情報管理等に努めております。しかしながら、坪田ラボに関してマスコミ報道等において事実と異なる何らかの風評上の問題が発生した場合、坪田ラボの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす場合があります。 ㉑ 自然災害等の発生発生可能性:小、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、東京都新宿区に本社及びラボを設置しており、事業活動や研究開発活動に関する設備及び人員が現所在地に集中しております。このため、現所在地の周辺地域において、地震等の自然災害、大規模な事故、テロ等が発生し、坪田ラボ設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生した場合には、坪田ラボの事業戦略及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ㉒ 大株主について発生可能性:大、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボ創業者かつ代表取締役社長である坪田一男の当事業年度末日現在での議決権所有割合は、直接所有分として46.23%であります。また、坪田一男の資産管理会社である株式会社坪田及び二親等内血族の議決権を合算した所有割合は60.92%となっており、引き続き大株主となる見込みであります。坪田一男は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しています。 坪田一男は、坪田ラボの創業者かつ代表取締役社長であるため、坪田ラボとしても安定株主であると認識していますが、将来的に何らかの事情により坪田ラボ株式が売却された場合には、坪田ラボ株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。 ㉓ 坪田ラボ株式の流動性について発生可能性:中、発生する可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中 坪田ラボは、坪田ラボ株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、㈱東京証券取引所の定める流通株式比率は当事業年度末日現在において33.57%であります。今後、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、坪田ラボ株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより坪田ラボ株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。 今後は、大株主からの売出、坪田ラボの事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針でございます。 ㉔ 継続企業の前提に関する重要事象等 坪田ラボは、大学発研究開発型企業として、医薬品、医療機器及びヘルスケア領域における研究開発活動を推進しております。 当該事業の特性上、研究開発費用が先行して発生する一方、収益については、ライセンス契約等に基づく契約一時金、マイルストーン収入及びロイヤリティ収入等の計上時期により変動するため、期間損益及び営業キャッシュ・フローが大きく変動する傾向があります。 当事業年度においては重要な営業損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況が存在しておりますが、坪田ラボは複数の導出実績及び研究開発パイプラインを有しており、引き続き国内外のパートナー企業との事業開発活動を推進しております。また、研究開発投資についても優先順位付けを行いながら適切なコストコントロールを実施しております。 翌事業年度においては、既存契約及び進行中案件の着実な推進に加え、事業進捗に応じた費用管理を実施することにより、営業黒字化を見込んでおります。 資金面においては、当事業年度末現在において十分な現金及び預金残高を保有しており、今後1年間の事業活動を継続するために必要な資金は確保できております。 以上の対応策及び財務状況を踏まえ、坪田ラボは継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー