OATアグリオ(4979)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


OATアグリオ(4979)の株価チャート OATアグリオ(4979)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

OATアグリオグループは『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』という経営理念の下、先進的な農薬及び肥料の研究開発、栽培技術の探求、製造及び国内外での販売を主たる事業として取り組んでおります。

OATアグリオグループ(OATアグリオ及びOATアグリオの関係会社)は、OATアグリオ(OATアグリオ株式会社)及び連結子会社29社(旭化学工業株式会社、潤禾(舟山)植物科技有限公司、OAT&IIL India Laboratories Private Limited、Asahi Chemical Europe s.r.o.、PT. OAT MITOKU AGRIO、LIDA Plant Research, S.L.、株式会社インプランタイノベーションズ、Blue Wave Holding B.V.等)と非連結子会社1社及び関連会社2社により構成されております。

OATアグリオグループは、特徴的な農薬製品や肥料製品及び独創的な栽培技術を持ち、生産者や一般消費者に対し多様な支援を行い、そこで得られた現場のニーズをフィードバックし研究開発に活用しております。

現在、OATアグリオグループは以下の3つの技術ごとにサービスを提供しており、それらの定義を次のように考えております。

(1)防除技術

 防除技術とは、農作物に対して悪影響を与える病害虫から農作物を守る技術と、不要な植物(雑草類)を駆除する技術を合わせた総称であります。OATアグリオグループでは、植物の医薬品と位置づける「農薬」として提供しております。

(2)施肥灌水技術

 施肥灌水技術とは、農作物を適正に生育させるための栄養分を与える技術と、農作業の省力化や効率化を図る技術を合わせた総称であります。OATアグリオグループでは、植物の栄養分と位置づける「肥料」とそれらを農作物に供給する「養液土耕栽培システム」として供給しております。

(3)バイオスティミュラント

 バイオスティミュラントとは、植物が本来持つ能力や機能を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術の総称であります。OATアグリオグループでは、バイオスティミュラントに属する肥料、活力剤を提供しております。

 

(食糧増産に貢献する技術とOATアグリオグループが提供するサービス)

 OATアグリオグループの特徴は、上記3つの技術ごとにサービスを提供することによって、食糧増産を目指す多面的なソリューションを提供できる点にあります。環境問題や食糧増産問題に直面する農業従事者をターゲットとして、現場のニーズや悩みを汲み上げ、農薬・肥料・バイオスティミュラント全方面の研究開発へ活用してまいります。また、「栽培」を通じた企業文化の構築による新たにD2Cビジネスに挑戦し、多様な製品を一般消費者にも提供していくことができると考えております。

 また、循環型社会の実現を目指したプロバイオポニックス(有機質肥料活用型養液栽培)の実証試験、施設園芸分野での省力化・効率化、ビッグデータを活用したスマート農業の実践に向けた栽培トータルソリューションサービス『アグリオいちごマスター』のバージョンアップや普及にも引き続き取り組んでまいります。今後、新規就農者や農業分野へ新規参入を検討の企業などをターゲットに様々な形でサービスを提供できると考えております。

 

 OATアグリオグループの主要製品である農薬・肥料・バイオスティミュラント製品を提供するためには、原体と呼ばれる有効成分や各種製剤を自社開発する研究開発体制が必要となります。

 OATアグリオグループは研究開発拠点として、国内及び海外(インド共和国・スペイン)に3拠点を保有しております。

 国内の研究開発拠点として、徳島県鳴門市に研究所を開設し、原体の自社開発や各種製剤開発のため、化合物の合成やスクリーニングを行っております。同地には研究所だけでなく、OATアグリオグループの開発した原体や各種製剤を生産する工場設備や生産された農薬・肥料・バイオスティミュラント製品の有効性を実地調査するための栽培研究センターも併設しております。

 海外の研究開発拠点として、インド共和国にInsecticides(India)Limitedとの共同研究所OAT&IIL India Laboratories Private Limitedを設立し、国内の研究開発拠点と同様に化合物の合成やスクリーニングを行っております。また、スペインのLIDA Plant Research, S.L.では、バイオスティミュラント製品の研究開発を行っております。 OATアグリオグループは、アグリテクノ事業の単一セグメントであるため、技術ごとにOATアグリオグループのサービスについて記載しております。

 

(1)防除技術(農薬製品の提供)

 OATアグリオグループは、農薬の研究開発及び製造を行い、全農(全国農業協同組合連合会)を始め、商社やメーカー向けに販売を行っております。

 農業では、特定の作物を人為的な環境で単一栽培するため、病害虫や雑草が発生しやすく、一定の収量と品質を確保することが困難となります。

 農薬は、農作物の栽培を行う上で、その収量や品質、また安全性の確保に重要な役割を担っており、国内外の食糧増産に貢献しております。

 農薬の機能ごとの分類として、殺虫剤・殺菌剤・殺虫殺菌剤・除草剤・殺そ剤・植物成長調整剤・補助剤・その他に分類されます。

 

OATアグリオグループが取り扱う主要な農薬製品は以下のとおりであります。

分類

原体名

製剤名

適用作物

殺虫剤

ベンフラカルブ

 

オンコル粒剤5

(特許出願)1981年6月

(登録取得)1986年10月

水稲・さとうきび・きくなど

オレイン酸ナトリウム

オレート液剤

(※1)

(特許出願)1994年8月

(登録取得)1992年12月

野菜類・果樹類など

アラニカルブ

オリオン水和剤40

(特許出願)1982年11月

(登録取得)1993年11月

なし・かんきつ・もも・キャベツなど

トルフェンピラド

ハチハチ乳剤

(特許出願)1989年9月

(登録取得)2002年4月

キャベツ・はくさい・レタスなど

シフルメトフェン

ダニサラバフロアブル

(特許出願)2000年8月

(登録取得)2007年10月

茶・いちご・すいかなど

バチルスチューリンゲンシス菌の産生する結晶毒素

トアロー水和剤CT

(※1)(※2)

(登録取得)2002年3月

野菜類・りんごなど

プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル

アカリタッチ乳剤

(※1)(※2)

(登録取得)2001年4月

野菜類・果樹類・ホップなど

調合油(サフラワー油、綿実油)

サフオイル乳剤

(※1)(※2)

(登録取得)2010年10月

かんきつ・いちご・野菜類・トマト・ミニトマトなど

 

 

殺菌剤

フルチアニル

ショウチノスケフロアブル

(特許出願)1999年12月

(登録取得)2014年12月

いちご・メロン・すいかなど

オキスポコナゾールフマル酸塩

オーシャイン水和剤

(特許出願)1989年10月

(登録取得)2000年4月

りんご・なし・ぶどうなど

炭酸水素カリウム

カリグリーン

(※1)(※2)

(登録取得)2002年5月

野菜類・トマトなど

除草剤

シアン酸ソーダ

シアノット

(※2)

(登録取得)2003年12月

キャベツなど

 

シクロスルファムロン

かねつぐ1キロ粒剤

(※2)

(登録取得)2013年9月

水稲

植物成長調整剤

デシルアルコール

コンタクト

(※2)

(登録取得)1982年7月

たばこ

5-ニトログアヤコール

ニトロフェノール

アトニック

(※3)(※4)

 

水稲・りんご・トマト・いちご・菜種など

※1 OATアグリオが「農薬登録を有する天然・食品添加物由来又は有機JAS適合農薬など使用回数に制限のない安心安全な環境にも優しい防除資材」と定義している『グリーンプロダクツ』製品となっております。

※2 買収等により取得した製剤であり、特許出願をしておりませんので、記載を省略しております。

※3 国内登録を取得しておりませんので、記載を省略しております。

※4 日本国内において、植物成長調整剤は農薬として規制を受けておりますが、OATアグリオにおいてこのうち「アトニック」につきましては、バイオスティミュラントとして区別しております。

 

①販売体制

 OATアグリオグループの販売体制としましては、国内向けは国内営業本部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、国内2支店、4営業所が、全農、商系代理店を通じた新規顧客獲得、販路拡大などの営業活動を行っております。また、丸善薬品産業株式会社との業務提携により一層営業活動を深掘りしていきます。

 海外向けは海外営業本部を窓口として、商社経由の販売体制とOATアグリオ及びOATアグリオグループ会社直販体制の両面から、OATアグリオグループ会社と協議の上で海外の顧客へアプローチしております。特にアジア・中南米・アフリカ地域は人口増加率が高く、今後の成長が見込まれる市場であるため、アジア・中南米・アフリカ地域への販売体制を強化しております。

 具体的な取組みとしましては、農家集会での商品説明会やパートナー企業向け技術説明会等を行い、販売促進に注力しております。

 

②研究開発体制

 OATアグリオグループでは、徳島県鳴門市にある研究所に研究開発部を置き、「人や環境に優しい」、「高い安全性」、「世界に通用する独創的な技術」、「世界的なニーズの高い分野の開発」をキーワードに、基礎研究から応用研究まで行っております。

 国内で農薬を新規に開発し、製造・販売を行うには、農薬取締法に定められた登録を取得する必要があります。登録の取得には、厳格な手続きと多様な試験が要求され、およそ十年の歳月と数十億円に及ぶ経費を要すると想定されます。(図表)

 OATアグリオでは、インドの子会社OAT&IIL India Laboratories Private Limitedとの協力体制を構築し、自社での新規農薬の研究開発スピード向上に取り組んでおります。

 

 出典:農薬工業会、農林水産省

 

(2)施肥灌水技術(肥料製品の提供)

 OATアグリオグループは、施設園芸農家向けに養液土耕栽培システムと肥料の販売を行っております。

 養液土耕栽培システムは、液体肥料混入機と点滴チューブ及びその他周辺部材から構成され、養水分を正確に作物の株元に供給できるシステムです。作物の生育ステージに合わせて水と肥料の正確な施用を自動化することで、農業従事者の間口を広げると共に、農作物の収穫量向上に貢献します。

 養液土耕システムは、農家の労力軽減、環境負荷の低減、作物の品質向上や収穫量増加などの目的で使用されています。発売開始後25年以上の実績があり、累計販売台数は約3,000台で全国の農家に導入されております。2017年度からは新機種である液肥混入機TT(Tractable(扱いやすく)&Trustable(信頼できる))シリーズの販売を開始いたしました。導入されている作物は、トマト、いちご、きゅうり、ピーマン、ぶどう、カーネーション等多岐に亘っております。現在、養液土耕システムと生育診断システムを一体化した新サービス『アグリオいちごマスター』を本格的に国内市場にて普及活動を行い、スマート農業に参入してまいります。今後は、いちご以外の作物(トマト、ピーマンなど)にも広げる予定です。

OATアグリオグループが取り扱う主要な肥料製品と養液土耕栽培システムの特徴は以下のとおりであります。

分類

製品名

用途

肥料

OATハウス肥料シリーズ

トマト、いちご、花などの水耕栽培用肥料

亜リン酸粒状肥料

果菜類・葉菜類・根菜類・果樹類・芝などの粒状肥料

ホスプラス

果菜類・葉菜類・根菜類・果樹類・芝などの葉面散布肥料

養液土耕栽培用肥料

養液土耕栽培システム用肥料

ルートビーズ

豆類などの液状複合肥料

システム

養液土耕栽培システム

主にトマト・いちご・きゅうり・ピーマン・ぶどう・カーネーションなどの液肥供給システム

花卉資材

美咲・クリザールシリーズ

切り花の生産者用、輸送用、小売及び消費者用品質保持剤

OAT栽培トータルソリューションサービス

アグリオいちごマスター

いちご栽培システム(養液土耕栽培液肥供給システム、生育診断システム、その他機材及び農業資材(OAT製品:肥料・農薬・BS)、栽培暦、アドバイス

①販売体制

 OATアグリオグループでは、肥料とシステムにおきましては国内営業本部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、全国6ヶ所にある国内2支店、4営業所と、子会社の株式会社養液土耕栽培研究所を通じた活動により、全農、商系代理店を通して新規顧客獲得、販路拡大などの営業活動を行っております。また、丸善薬品産業株式会社との業務提携により一層営業活動を深掘りしてまいります。マーケティング体制としましては、支店に配置した営業グループがきめ細かいマーケティング活動を通じて、顧客ニーズへの対応に努めております。

 また、これらOATアグリオグループの施肥灌水技術を家庭菜園や農業の現場へ提供しやすくするため、ウェブ直販サイト「AGRIO」の運営をしております。ウェブ直販サイト「AGRIO」では、リビングで野菜を育てる水耕栽培キット「Living Garden」や農作物の育成に必要な肥料成分を1本でカバーする専門肥料「ベジタブルライフA」、ステビアを利用した農業資材「OATファームA」、切り花のながもち液「美咲」等、一般消費者向けの商品を中心に取扱いを行っております。同サイトでは、園芸家の方や華道家の方から、使用方法等についてのアドバイスを掲載しております。

 オランダのBlue Wave Holding B.V.(クリザールグループ)が持つネットワークを通じて、ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ及びアジア各国の世界中の市場へ、切り花の品質保持剤(クリザールシリーズ)の積極的な営業活動を行っております。

 

②研究開発体制

 OATアグリオグループでは、徳島県鳴門市に研究開発部肥料・BS開発グループと栽培研究センターを設置し、施設園芸作物の施肥灌水技術並びに、肥料製品の品質改善と安定生産のための技術開発を行っております。

 またBlue Wave Holding B.V.(クリザールグループ)の研究所において、切り花の品質保持剤(クリザールシリーズ)の品質改善のための技術開発や新製品開発を行っております。

 

(3)バイオスティミュラント(植物成長調整剤の提供)

 バイオスティミュラントは、植物が本来持つ免疫力や機能を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長促進を促す物質や技術を指しております。バイオスティミュラントは国内での認知度は向上段階にありますが、近年ヨーロッパを中心に、植物の成長や健康を助ける働きを持つバイオスティミュラントが、農薬や肥料と同等の独立した枠組みで捉えられようとしております。

 OATアグリオでは、バイオスティミュラントの一つである植物成長調整剤「アトニック」の販売を足がかりに、防除技術、施肥灌水技術に続く、OATアグリオサービスの第三の柱として確立すべく、注力しております。

 国内でもスペインのLIDA Plant Research, S.L.が開発した天然物由来成分を配合した3製品を全国に展開しており、さらに、環境ストレスの低減や果皮強度の向上が期待できる製品「プロテクト」、気孔の開口をコントロールすることにより光合成を促進させ収量増加が期待できる製品「ポテト―ル」の普及を行ってまいります。また、当連結会計年度に上市した猛暑対策製品「炎天マスター」のさらなる普及・拡大を行ってまいります。

 

OATアグリオグループが取り扱う主要なバイオスティミュラントは以下のとおりであります。

分類

製品名

用途

植物成長調整剤

アトニック

水稲・りんご・トマト・イチゴ・菜種・とうもろこし・さとうきびなどの

植物成長調整剤

肥料

リダバイタル

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

アルガミックス

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

フルボディ

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

プロテクト

葉面散布液肥(スペインLIDA社製品)

ポテト―ル

馬鈴薯・甘藷用の葉面散布液肥

炎天マスター

トマト用の葉面散布液肥

 

①販売体制

 アトニックにつきましては、OATアグリオ海外営業部を通じて広く海外向けに販売活動を行っております。また、OATアグリオグループのAsahi Chemical Europe s.r.o.を通じて、主に東ヨーロッパ向けに販売活動を行っております。

 具体的には欧州でのプロモーション活動や、バイオスティミュラント学会の開催を行い、販売促進に注力しております。

 

 スペインのLIDA Plant Research, S.L.のネットワークを通じて、LIDA Plant Research, S.L.の開発した製品をヨーロッパ、南北アメリカなどへ積極的な営業活動を行っております。

 OATアグリオグループでは、バイオスティミュラント製品におきましては、国内営業本部と営業支援室が、マーケティングに基づいた販売拡大対策を立案し、全国6ヶ所にある国内2支店、4営業所を通じて、代理店を通して新規顧客獲得、販路拡大などの営業活動を行っております。また、丸善薬品産業株式会社との業務提携により一層営業活動を深掘りしてまいります。マーケティング体制としましては、支店に配置した営業グループがきめ細かいマーケティング活動を通じて、顧客ニーズへの対応に努めております。

 

②研究開発体制

 OATアグリオ研究開発部のBS開発グループと旭化学工業株式会社、スペインのLIDA Plant Research, S.L.の研究所において、既にOATアグリオグループに収益貢献している「アトニック」とそれに続く製品の開発を行っております。

 

[事業系統図]

 OATアグリオグループの事業系統図は以下のとおりであります。

 

(注)無印 連結子会社

※1 非連結子会社で持分法非適用会社

※2 関連会社で持分法適用会社

 


有価証券報告書(2023年12月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 OATアグリオグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてOATアグリオグループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 OATアグリオグループは、「食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で、世界の人々に貢献します。」という企業理念のもと、農薬や肥料、あるいは独自の栽培システムなどを開発・製造・販売する過程で、作物の増収に寄与する総合的かつ包括的な技術の開発と体系化に取り組んでおります。この技術・ノウハウの蓄積を基礎に「新たな食糧増産技術」を開発していくことで、増え続ける世界人口を支えるための食糧問題を解決し、株主の皆さまやお客さまから高い信頼と評価を得られるよう、企業価値の最大化を図ることを経営の基本方針としています。

 OATアグリオグループの持つ技術や製品の機能を広く提案し積極的な展開を行うことにより持続的な企業価値の向上を図ってまいりますまたESG(環境(Environment)社会(Social)ガバナンス(Governance))の観点も積極的に経営に取り入れてまいりますOATアグリオグループの企業活動は持続可能な未来を社会と共に築くものでありSDGs活動そのものであると考えております

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 OATアグリオグループは、食糧増産技術(アグリテクノロジー)の提供を通じ社会に貢献するとともに、企業収益を高め、企業価値の向上を図ることを基本方針とし、収益の拡大と財務体質の強化に取り組み、かつ、人や環境に優しい持続可能な農業に貢献できる事業活動を進めてまいります。

 2024年2月に公表いたしました新中期経営計画(2024-2026年)に記載の通り、さらなる成長に向けた積極投資を行い、世界の農業の課題解決に向けたイノベーションを実現させることで企業価値の向上に努め、社会環境の変化に柔軟に対応した企業活動を行ってまいります。また、人と環境に優しい持続可能な農業への貢献を企業の社会的責任と認識し、サステナビリティ経営の実践を行ってまいります。気候変動リスクへの対応やカーボンニュートラルの実現、日本政府が2021年5月に策定した持続可能な食料システムの構築を目指す「みどりの食料システム戦略」、EUの「Farm to Fork戦略」への対応推進などに引き続き取り組んでまいります。活動方針及び具体的な取組みは以下のとおりであります。

 

企業価値の向上

 2024年2月に発表した「新中期経営計画(2024-2026年)<さらなる挑戦への積極投資>」に記載のとおり、持続可能な農業に貢献すべくイノベーションに向けて研究開発への集中投資を行い、日本国内やグローバルにおける農業の課題を解決できるよう取り組んでまいります。

 

研究開発体制について

 OATアグリオグループにおいては、人や環境に優しい持続可能な農業に貢献するために安全性の高い新規防除資材や、天然・食品添加物由来であり、有機JAS適合農薬など使用回数に制限のない防除資材であるグリーンプロダクツ製品、植物が本来持つ免疫力を高め、耐寒性・耐暑性・病害虫耐性及び成長を促すバイオスティミュラント製品の研究開発に注力してまいります。また、循環型社会の実現を目指したプロバイオポニックス(有機質肥料活用型養液栽培)の実証試験、施設園芸分野での省力化・効率化、ビッグデータを活用したスマート農業の実践に向けた栽培トータルソリューションサービス『アグリオいちごマスター』のバージョンアップや普及にも引き続き取り組んでまいります。

 2030年の「あるべき姿」を具現化するために、農業最先端技術にも積極的に投資を行ってまいります。

 

成長ドライバーへの取り組み

 2021年に発表した新中期経営計画にて掲げた成長ドライバーへの取り組みを具現化するために「人と環境にやさしいグリーンプロダクツ」「バイオスティミュラント事業」「施設園芸分野での潜在需要の掘り起こし」「グローバル製品展開」へ注力してまいりました。今後も持続的な成長に向け、成長ドライバーへの取り組みを実践してまいります。

企業文化の構築

 『栽培の楽しさ・難しさを自ら体験し、世界に発信する』ことを企業文化とし、OATアグリオグループの強みである栽培技術を通して、全ての人々に『育てる喜び』『観る感動』『食べる幸せ』をお届けできるよう取り組んでまいります。

 また、食糧増産技術(アグリテクノロジー)を普及することにより、人や環境に優しい持続的な農業に貢献できるよう努めてまいります。

 

⑤生産性の向上

 原材料の動向、製品の販売状況及び在庫状況等を勘案し、生産体制の最適化・効率化をすすめてまいります。また、SDGsの概念をOATアグリオグループ内に周知するとともに人材育成への注力、職場環境の改善へ継続投資を行い、付加価値の高い業務への移行実現に向けて取り組んでまいります。

 

⑥財務体質の強化

 グループ全体でのキャッシュマネジメントを通じ、グループ内での資金融通など効率的かつ機動的な資金バランスを整え、有利子負債残高の減少に努めてまいります。また、重要な財務指標として自己資本比率やROEに具体的な目標値を設定し、引き続き、株主還元や積極的な事業展開、研究開発投資のため、安定した強固な財務基盤の構築を進めてまいります。

 

営業体制の強化

 農業分野の課題を真正面から受け止め解決するために、市場のニーズ及び問題点等を把握し、日々変化する課題に対して迅速に対応できる営業体制の構築に取り組んでまいります。また、収集した情報を製品開発に活かし、食糧増産技術で世界の人々に貢献する企業を目指してまいります。

 

(3)目標とする経営指標

 OATアグリオグループは、2024年2月13日に公表いたしました2026年12月期を最終年度とする新中期経営計画(2024-2026年)において、目標とする経営指標として連結営業利益率12.0%、連結ROE13.8%を掲げております。

 過去5年間の経営指標の推移

 

2019年

12月期

2020年

12月期

2021年

12月期

2022年

12月期

2023年

12月期

売上高営業利益率(%)

4.9

7.5

8.8

12.4

13.0

連結ROE(%)

0.1

12.9

19.2

23.4

20.0

 

(4)経営者の問題意識と今後の方針について

 2023年度の激変した世界情勢の中で、OATアグリオグループは、2023年2月に公表いたしました「新中期経営計画(2023-2025年)」にて明確化した長期ビジョンの達成に向け、ひいては経営理念『食糧増産技術(アグリテクノロジー)と真心で世界の人々に貢献します』の実現に向け、一丸となって新たなる挑戦へ向かうべく土台固めを進めてまいりました。OATアグリオグループは、今後も引き続き持続的な成長を維持していくために、企業価値の向上、研究開発、成長ドライバー、企業文化の構築、生産性の向上、財務体質の強化、営業体制の強化の課題に取組み、更なる企業価値の向上に努めてまいります。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、本項の記載内容はOATアグリオ株式の投資に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。

 OATアグリオグループはこれらのリスクの発生可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、OATアグリオ株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容も合わせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてOATアグリオグループが判断したものであります。

 

重要なリスク

(1)農業市場の動向に係るリスク

 OATアグリオグループの主要な製品である、農薬・肥料の最終消費者は農業従事者となります。このため、農業市場の動向により、OATアグリオグループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 近年における国内の農業市場は、国内人口の減少、農作物の販売価格の下落や、農業従事者の高齢化・後継者不足により漸減傾向が続いております。今後の国内市場の動向としましても、政府の農業政策の方針によっては、依然として不透明な環境が継続すると予想されます。

 政府が公表している計画、戦略の主なものは、以下のとおりであります。

食料・農業・農村基本計画

(2020年3月 農林水産省)

主な講ずべき施策

・グローバルマーケットの戦略的な開拓

・農業担い手の育成

・農業生産・流通現場のイノベーションの促進

・環境政策の推進

みどりの食料システム戦略 概要

(2021年5月 農林水産省)

みどりの食料システム法

(2022年7月 施行)

「みどりの食料システム戦略」に基づく取組の進捗状況

(2023年12月 農林水産省)

KPIと目標設定(2030年、2050年)

・Co2ゼロエミッション

・低リスク農薬への転換、総合的な病害虫管理体制の確立・普及等を図ることに加え、従来の殺虫剤に代わる新規農薬等の開発により化学農薬の使用量(リスク換算)を50%低減

・輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減

・耕地面積に占める有機農業の面積を25%(100万ha)に拡大

 OATアグリオグループは、創業当時の企業理念及びOATアグリオの事業に係る政府の農業政策等も考慮し中期経営計画を策定しております。2024年2月に改訂した「新中期経営計画(2024‐2026年)<さらなる成長への積極投資>」においても、基本方針は前年の中期計画を踏襲して、成長ドライバーへの取組みとして「人と環境にやさしいグリーン農薬(グリーンプロダクツ)」「バイオスティミュラント事業」「施設園芸分野での潜在需要の掘り起こし」「グローバル製品展開」、スマート農業への取組みを引き続き行うことにより持続的な成長ができるものと判断しております。しかしながら、政府の農業政策変更等に伴う外部環境の変化、農業後継者不足等に伴う市場縮小などの要因等により、OATアグリオグループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法規制によるリスク

 OATアグリオグループの主な事業は、国内外での農薬・肥料の生産及び販売活動であり、農薬や肥料、登録制度などに関する法令のさまざまな規制を受けております。OATアグリオグループでは、社内の管理体制の構築やコンプライアンス推進活動等によりこれらの法令遵守に取り組んでおりますが、今後、これらの法令に違反する行為が行われた場合、もしくは、法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合には、OATアグリオグループの経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 法規制による主なリスクは以下になります。

①OATアグリオグループが取り扱う製品は、原料調達、製造、輸出、販売、使用の全ての過程において法規制されております。法令改正により、既存の製品や開発中製品の原料調達、製造、販売、使用ができなくなる、輸入販売ができなくなる、また追加の試験研究費が発生する可能性があります。

②OATアグリオグループが取り扱う製品の製造場所・保管場所においても法令の制限を受け登録が必要となります。法令改正により製造場所・保管場所の機能に支障が発生する可能性があります。

③海外大手企業の新規市場参入制限の緩和、競合品の市場参入により販売価格が下落する可能性があります。

 当該リスクの発生する時期は、法令制定及び改正が施行された時期となり、時期を特定することが困難であります。そのため、OATアグリオとしては、事業活動においては、関係法令の動向を確認し、最新の法規制を理解して活動する、製品については、研究活動による既存製品の改善・改良、新製品の開発、成長ドライバーへの取組み活動、製造場所及び保管場所については、取引先の代替を確保する活動を行い、当該リスクの軽減化に努めてまいります。

 

(3)減損会計及び子会社株式評価に関するリスク

 OATアグリオグループは、事業の拡大に向け積極的に外部の経営資源を獲得してまいりました。そのため多額の固定資産を有しております。

 当該リスクは、景気変動、天候変動、世界的災害等が生じたときに発生すると考えており、これらの影響により今後の事業計画との乖離等によって期待されるキャッシュ・フローが生み出されない場合には、固定資産の減損リスクが発生いたします。また、OATアグリオが保有する子会社株式の評価基準は原価法によっておりますが、市場価格のない株式については財政状態の悪化等により実質価額が著しく下落した場合、子会社株式の減損処理が必要となり、個別財務諸表の業績に影響を与える可能性があります。

 なお、当連結会計年度末の固定資産については、当該リスクが顕在化する可能性や経営成績及び財務状況の影響については、現時点では認識しておりませんが、定期的にモニタリングし監督機能の強化を行い、更に、グループ各社と協力したシナジー効果による業績向上を目指した経営を行ってまいります。

 

(4)地政学リスクについて

 ウクライナ情勢等による地政学的リスクやそれに伴うエネルギー・原材料価格の高騰等が懸念されます。OATアグリオは、調達先の検討や原価削減の徹底を図っておりますが、予想以上の急騰や長期にわたって高騰が続くことにより、OATアグリオグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、紅海周辺で起きている船舶への攻撃によって海上輸送の遅れや輸送費高騰等が懸念され、OATアグリオグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)為替変動について

 OATアグリオグループでは、輸出入取引の一部を米ドル、ユーロ、インドルピー建てで行っておりますが、外貨建てによる輸出額と輸入額のバランスを保つように努めております。また、外貨取引において為替変動によるリスクが生じる恐れのある場合には、社内規程に基づいた所定の手続きを行い、為替予約等によるリスク回避を行っております。但し、これにより当該リスクは完全な回避、低減を保証するものではありません。

 さらに、OATアグリオグループは、海外子会社の財務諸表を連結財務諸表作成のため円貨換算しております。現地通貨建ての項目は、換算時の為替レートにより円貨換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 OATアグリオグループは、海外連結子会社が多いことから円安基調が連結業績に好影響をもたらします。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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