eWeLL(5038)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


eWeLL(5038)の株価チャート eWeLL(5038)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

eWeLLは、「ひとを幸せにする」をMissionに掲げ、「私たちは在宅療養(注1)に新しい価値の創造を行い、すべての人が安心して暮らせる社会を実現します」をVisionとし、地域における在宅療養を支えている訪問看護(注2)ステーション向けに業務支援SaaS(注3)として、オペレーション業務を網羅したクラウド型「訪問看護専用電子カルテiBow(以下、「iBow」という)」をサブスクリプション(注4)で提供するクラウド(注5)ソフトウエア事業を営んでおります。

eWeLLでは、サービス提供方法により「クラウドサービス」「BPaaS」(注6)の2つに区分しております。

なお、eWeLLのセグメントは、訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントであり、セグメント情報の記載を省略しております。区分別の内容は次のとおりであります。

 

(1)クラウドサービス

①サービスの概要

主として訪問看護ステーションに対して、訪問看護ステーションの業務全般にわたる課題解決に対処するための各種サービスを提供しております。

訪問看護ステーションの生産性向上に貢献するSaaS型業務支援ツール(CRM機能(注7)を有する「iBow」、保険請求を行う機能を有する訪問看護専用レセプトシステム「iBow レセプト」、訪問看護専用勤怠管理サービス「iBow KINTAI」、介護保険請求ファイル伝送機能を有する「iBow 介護請求伝送サービス」、e-ラーニングサービス「iBow e-Campus 訪問看護 法定研修編」)を提供し、自社を中心に要件定義、機能設計(開発部分は外注を活用)から販売、運用サポートまでの一連のプロセスに対応するとともに、システム開発で培ってきたノウハウを活用して徹底的に見やすさと使いやすさを重視したツールを基本料金と従量課金の組合せにて提供しております。

 

②訪問看護業界のDX(注8)推進に貢献する「iBow」

eWeLLは、訪問看護ステーションで働く看護師等(看護師等に含まれるのは、看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士になります。)が、在宅療養中の患者宅に訪問しケアを実施する度に記録書類(カルテ)を作成する義務があることに着目し、患者宅で記録書類の作成、過去のカルテ等の確認が簡単にできることで訪問看護師等が本来提供する業務に専念することができ、訪問看護ステーションが収益を新たに生み出せるのではないかと考え、顧客である現場で働く看護師等の意見を聴取し、UI/UX(注9)にこだわってシステムを開発してまいりました。また何が必要かを徹底的に追求するため、自社でも訪問看護ステーションを立ち上げ(現在は閉鎖)対応してまいりました。

eWeLLが創業した2012年には各種記録が手書きで行われていた訪問看護業界にICT(注10)の活用を提案し、未だ半数以上が紙カルテに手書きをしているというアナログな業界に、DXを推進すべく事業展開しております。訪問看護ステーションの業務効率の向上に貢献するとともに、記録される情報をデータ化し蓄積することを推進しております。

 

③サービスラインアップ

eWeLLは、訪問看護市場向けに、「iBow」、「iBow レセプト」、「iBow KINTAI」、「iBow 介護請求伝送サービス」、「iBow e-Campus 訪問看護法定研修編」、「けあログっと(地域包括ケアプラットフォーム)」および「e-レセ(訪問看護向けファクタリングサービス)」を提供しております。

 

提供サービスを取りまとめると次のとおりとなります。

提供

サービス

課金の種類

概要

iBow

(主要な料金プラン)

基本料金+従量課金

基本料金:

18,000円/月

従量課金:

訪問件数×100円

原則、2年以上の期間契約

訪問看護ステーションは、介護サービス事業、指定医療機関として地方自治体および厚生労働省の許認可を得て行う事業であります。看護師等が患者宅へ訪問し、主治医の指示のもとで立案する看護計画に基づき看護ケア等を行うことで収益を得る事業であることから、利用者宅への訪問件数が増えることで収益が増えていきます。またターミナル期の在宅看取り、小児慢性疾患や精神疾患患者への地域での対応等、乳幼児から終末期までの幅広い在宅療養を地域の中心となって行っています。

訪問看護ステーションはeWeLLのサービスを利用することで、看護師等の訪問看護業務を効率化(残業時間の削減や1日当たりの訪問件数の向上に寄与することを開発コンセプトとして提供しております。)し、また地域包括ケア(注11)として重要である多職種への情報提供等も迅速に行えるため、看護師等が安心・安全に在宅看護ケアに集中する時間づくりに寄与し、一人当たりの訪問件数を増加させ、労働生産性を上げることを目指しております。

eWeLLのサービスはSaaSでのシステム提供だけではなく、生成AIを用いてワンクリックで訪問看護計画の草案を自動作成する「AI訪問看護計画」、同じく訪問看護報告書の草案を自動作成する「AI訪問看護報告」、訪問看護の最適ルートをAIで自動作成する「AI訪問予定・ルート」の機能を搭載するほか、顧客に対して訪問看護制度への質問に対する回答や、法律が改正される都度の情報提供等も自社運営のカスタマーサポートが行っており、看護師等が制度理解や解釈で悩む時間を削減させることで訪問件数の増加に寄与しております。

なお、eWeLLの提供するシステムは、電子カルテ運用に係るガイドラインである3省2ガイドライン(注12)(厚生労働省、総務省、経済産業省)を踏まえたサービスを提供する電子カルテシステム(注13)であります。

 

 

提供

サービス

課金の種類

概要

iBow レセプト

従量課金

最低利用料金:7,000円/月

原則、単月または年間契約

本システムは、「iBow」と完全に連携されており、「iBow」で患者宅に訪問し看護を実施した記録を看護師等が作成することで、レセプトの計算が自動的に行われるよう開発しております。

レセプト請求の諸元となる訪問看護記録から請求が自動で作成されることで、不正請求や誤った請求等を抑制することができ、訪問看護ステーションのガバナンス強化に貢献するものであります。

また訪問看護ステーションは看護師等の医療従事者が管理運営しているため、事務手続きのレセプト作成に自信がない管理者も多く、そういった人でも「iBow」を適正に入力しておくことで、レセプト請求が容易にできます。

オンライン請求、資格確認等、幅広い医療保険請求や介護保険請求にも対応しており、レセプト請求事務に多くの時間を費やしていた看護師等が効率的にレセプト業務を行うことができることから、看護に集中する時間を新たに生み出すことができます。

 

 

 

提供

サービス

課金の種類

概要

iBow KINTAI

原則、無償

有償の場合は、単月または年間契約

 

※利用者数に応じた従量課金制での一部有償サービスもあります。

訪問看護ステーションで働く看護師等の就業環境は、一般的な企業と異なり、就業時間中の中抜けやシフト制の勤務、夜間や休日に患者や患家、主治医からの緊急連絡が入る体制を取るために、定めた携帯電話を保持するオンコール当番(注14)といった特殊なものがあります。また常勤換算(注15)と言われる訪問看護ステーション特有の計算、管理、定められたフォーマットでの書類の作成が必要な事業であります。

本システムは、スマートフォン、タブレット、パソコンのどのような機器でも、また、出先や自宅等、どこからでも打刻ができ、GPSで位置情報も取得することが可能なため、直行直帰やテレワークに有効なシステムとして提供しております。

eWeLLの顧客でない方も無償で利用できるようにしており、訪問看護業界自体の発展に寄与すべく取り組んでおります。

●直行・直帰で打刻

●1日複数回の勤務も管理

●複雑なシフトに対応

●柔軟なスタッフ管理機能

●オンコール当番表の作成

●出退勤状況を一覧管理

●常勤換算表を自動作成

 ※従業員の勤務体制および

  勤務形態一覧表

※画像は、iBow KINTAIの利用画面であります。

iBow

介護請求伝送

サービス

定額課金

初期登録費用:

2,400円

月額利用料金:

980円

本サービスは、「iBow レセプト」に追加された機能であり、国保連合会への介護保険請求データの伝送をインターネットで行います。訪問看護ステーションにおいては、「電子証明書」も「国保伝送ソフト」も購入不要です。

iBow

e-Campus 訪問看護

法定研修編

1ステーションあたり180,000円の年間契約

本サービスは、訪問看護で義務化されている法定研修を、訪問数をできる限り減らさずに看護師等が各々の隙間時間で自由に受講できるe-ラーニングサービスです。

本サービスのコンテンツには、高齢者虐待防止、業務継続計画(BCP)、ハラスメント防止等の法定研修の他、訪問看護の制度やステーション経営等の訪問看護事業運営に必要な情報を網羅的に学べるコンテンツが用意され、スマートフォン、タブレット、パソコンからオンラインで個別に受講でき、時間と場所を選ばずに何度でも受講可能です。

また、年間研修計画書のテンプレートや受講状況の管理、受講証明書の自動発行等、研修の計画から実施に係る効果、効率化に寄与しています。

 

 

提供

サービス

課金の種類

概要

けあログっと(地域包括ケアプラットフォーム)

少子高齢化の進行にともない、政府は入院患者の平均在院日数を短縮する政策を進めており、入院患者のスムーズな退院支援はますます重要となる一方で、限られた時間内に患者と家族の希望を満たす訪問看護ステーション等を探す医療従事者の業務負担が増大しています。

「けあログっと」は、全国の病院・クリニック(診療科目別検索に対応)、訪問看護ステーション、介護事業所等の情報を搭載し、特に訪問看護ステーションについては、全国の各地域にある訪問看護ステーションの特徴や空き状況をリアルタイムで表示し、退院支援看護師や医療ソーシャルワーカー(注16)、ケアマネージャー(注17)が、退院患者に適した訪問看護ステーションをその場で見つけて依頼できる新たな退院支援サービスです。

これにより、医療従事者は退院支援がスムーズに行え、訪問看護ステーションは営業コストなしで患者を獲得することができ、患者は退院後も途切れのない医療ケアを受けられるようになります。

 

e-レセ(訪問看護ステーション向けファクタリングサービス)

訪問看護市場全体の更なる活性化を目指し、訪問看護ステーションの事業成長を促進させるため、訪問看護事業者の債権の早期資金化を可能にするファクタリングサービス(注18)です。

訪問看護ステーションは、開業後の利用者の増加にともない、その規模を拡大するためにスタッフの増員や事業所の拡張に十分な資金が必要となります。一方で、主な収入源である診療報酬や介護報酬は、看護師等がサービスを提供してから入金されるまでに通常2か月程度の期間を要し、その間の運転資金の確保が課題となることがあります。

「e-レセ」は、訪問看護ステーションが持つレセプト(診療報酬明細書・介護給付費請求書)に係る債権を対象に、これらの債権額の95%を早期に資金化(残金の5%については報酬請求手続き完了後に送金)し、訪問看護ステーションが有する資金的な課題を解決するサービスとして提供しています。簡便な手続きで担保や保証人も不要であり、訪問看護市場全体の活性化につながる利用いただきやすいサービスです。

 

④ビジネスモデルによる安定した収益基盤

eWeLLは、サブスクリプション型で顧客にサービスを提供しております。一般的なイニシャルコスト(初期費用)やID課金という形態はとらず、主要な料金プランでは1ステーション毎に定める月額基本料金に加え、看護師等が患者宅に訪問する訪問1件あたりの単価で計算した利用料金をいただく従量課金で収益を得ており、顧客である訪問看護ステーションの収入が増える(訪問件数が増える)ことでeWeLLの収益も増えるwin-winの関係を築いております。

 

⑤情報セキュリティ管理への取り組み

eWeLLのサービスを通じて顧客は個人情報および医療情報を取り扱います。eWeLLの提供するサービスは、インターネットを利用しているため、自然災害、事故、不正アクセス等によって通信ネットワークの切断、サーバー等ネットワーク機器に作動不能等のシステム障害が発生する可能性があります。稼働状況の定期的なモニタリングや異常発生時の対応方法の明確化等、システム障害の発生防止のための対策を講じております。

eWeLLは、外部クラウドサーバーにて提供しており、安定的な稼働がeWeLLの事業運営上、重要な事項となっております。eWeLLでは継続的に稼働しているかを常時監視しており、障害の発生またはその予兆を検知した場合には、eWeLLの役職員に連絡が入り、早急に復旧するための体制を整えております。国内に点在する複数の地理的リージョン(注19)で運用されております。

eWeLLでは、情報セキュリティに関する取り組みとして、情報セキュリティ管理に関する規程の制定、社内教育を実施し、情報管理への意識向上を図るとともに、情報セキュリティマネジメントシステムISMS(ISO27001)(注20)認証を取得し、情報セキュリティ体制および情報流出防止対策を構築しております。

 

⑥訪問看護ステーション向けサービス提供事業の競争優位性

eWeLLは、設立時点において既に訪問看護業界にも定着していたレセプトシステム(勘定系システム)ではなく、紙カルテに手書きをしているというアナログな訪問看護業界のDXを推進すべく、「iBow」(CRM系システム)を提供しております。

eWeLLは訪問看護ステーションで働く方々が日々の業務で必要なことをデジタル化し、その情報をもとにレセプトシステムへデータが流れる仕組みを提供しておりますが、一般的にはレセプトシステムがメインであり、CRM系機能が主ではなくレセプトシステムの付帯機能となっていることが多く見受けられます。

eWeLLの提供するサービスにより、訪問看護師等が日々業務を効率的に行うことが可能となるため、看護師等が訪問する件数が増えることやステーションの管理者がレセプト以外の他の業務を遂行しやすくなります。eWeLLは、現場第一主義を掲げ、常にUI/UXを追求しております。

また、この仕組みは訪問看護ステーションによる不正請求の防止にも効果を発揮します。日々の情報をもとにレセプト情報を作成するeWeLLの仕組みでは記録がないと処理できませんが、レセプトありきのシステムでは記録を後から記録する仕組みもあり、不正につながる可能性もあります。訪問看護ステーションが図らずも不正請求が生じにくいシステムを提供することで、適正な業務支援を行っております。

 

[「iBow」とレセプトシステムとの違い]

eWeLLの主力サービス「iBow」のターゲットである日本全国の訪問看護ステーション数は、18,754ステーション(2025年4月1日現在、一般社団法人全国訪問看護事業協議会「令和7年度訪問看護ステーション数調査結果(2025年5月)」)存在し、「iBow」の契約ステーション数(稼働ステーション数およびサービス準備中のステーション数の合計)は3,501社(2025年12月末時点)となっており、訪問看護ステーション全体に占めるeWeLLの市場シェアは18.7%(2025年12月末時点)であります。2020年以降新型コロナウイルスが猛威を振るった影響もあり、訪問看護業界においても、モバイル等の活用を推進していることから、 ICTの普及率は上昇傾向にあると考えております。このような中で、早くからモバイルを活用したサービスの提供を行ってきたeWeLLとしては、未利用企業の新規開拓促進により、さらなる高い市場シェア獲得を目指しております。

 

 

(2)BPaaS

①サービスの概要

BPaaSとして、「iBow 事務管理代行サービス」を提供しております。事務管理代行サービスでは、正しいレセプト業務を行うために必要である医療・介護保険情報の登録や、医師からの指示書情報の登録を代行すること、また請求諸元となる電子カルテ情報の確認等をeWeLLが行うことで、顧客における人的リソースを収益獲得に集中することに貢献できるものとしてサービスを提供しております。

主なサービスの内容は、「利用者情報の登録代行」「日々の記録、各種説明等の確認」「レセプトの作成」「審査結果の対応」「利用者請求書/領収証データ作成」等になります。

 

②サービス優位性

一般的に医療保険でのレセプト業務とは、組合健保や協会けんぽ、市区町村等の健康保険の保険者に診療報酬を請求する業務のことを指します。「レセプト」とは、保険者に請求する診療報酬明細書であります。「診療報酬」とは、診療に要した費用のことで、診療報酬点数表に基づいて点数で算出されます。「医療費」は診療報酬点数から1点=10円として金額で算出されます。日本では国民皆保険制度により、加入者が診察を受けるときは最大で医療費の3割を患者が負担し、残りの7割は保険者が負担する仕組みとなっています。

訪問看護ステーションのレセプト請求業務は、医療保険の診療報酬計算、療養費明細書請求、介護保険の介護報酬計算と請求、自費訪問(保険外でのサービスとなります。訪問看護ステーションは混合診療可能)の計算と請求でありますが、患者の主病名、状態に応じて、医療保険、介護保険の制度を利用することになり、また患者および患家からの要望があった場合には自費の訪問も行います。また医療保険、介護保険だけではなく、患者の世帯収入や患者の年齢、主病名等に応じて、国の補助である公費の利用や、社会福祉保障制度等も活用されます。

このように医療、介護保険の切り替えを確認するのはもちろんのこと、様々な制度を活用しながら、正しく保険者に医療費および介護費を請求し、自己負担分を患者へ請求する業務がレセプト業務であります。一人の患者の医療および介護保険毎に保険者への請求を計算し、請求を行いますが、その請求計算や入力に間違いが一箇所でもあった場合は、その患者の保険請求全額が返戻となって差し戻され、支払われなくなります。よって正確なレセプト請求を行うことが、指定訪問看護ステーションとしての収入を支え、また安定した経営を行う重要な業務となるため、訪問看護ステーションでは重要視されています。

eWeLLの「iBow」を訪問看護ステーションが利用することで、複雑な医療、介護の制度が違う請求対応や、患者毎に異なる加算算定、保険者への請求漏れや不正請求等の問題が解消することになり、管理者(看護師)の業務負担の軽減を実現することができ、管理者が看護ケアに集中し訪問看護に向き合う時間を確保することができるようになるため、訪問看護ステーションの訪問件数向上につながります。また複雑で難しいレセプト業務を担当する専門的な事務員の確保が困難なステーションにとっては課題解消の選択肢になります。

 

③収益構造

提供価格は、顧客の総売上(保険、自己負担分、自費)の一定割合(最低利用料金100,000円、利用料金:顧客の総売上の一定割合)をいただくこととしており、顧客の収入が増えることでeWeLLの収益も増える仕組みとしております。「iBow 事務管理代行サービス」は、2021年1月より本格的にサービス提供を開始し、2025年12月末における稼働ステーション数は253ステーションであり、さらなる拡大を目指しております。

 

用語

注1

在宅療養

「可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けたい」在宅医療は、そのような患者さんの想い、ご家族の想いを大切にしながら、医療・介護の多職種が連携して行う医療です。そして、その在宅療養生活を支えるのが在宅医療であります。

注2

訪問看護

病気や障害を持った方が住み慣れた地域やご家庭で、その人らしい療養生活が送れるように支援するサービスです。地域の訪問看護ステーションから、看護師や理学療法士・作業療法士等がその方が生活する場所へ訪問し、医療的ケアを提供します。

注3

SaaS

クラウドで提供されるソフトウエアのことを指します。企業側にソフトウエアをインストールするのではなく、クラウドを通じてオンライン上でソフトウエアを提供することで、常に最新版のソフトウエアを利用することができます。

注4

サブスクリプション

「料金を支払うことで、製品やサービスを一定期間利用することができる」形式のビジネスモデルのことであります。

注5

クラウド

クラウドコンピューティングの略語で、インターネット経由で必要な時に必要なだけITシステムを利用する仕組みの総称であります。ソフトウエア、ハードウエアを所有してITシステムを利用するのに比べて、ITシステムに関する開発や保守・運用の負担が軽減され、コスト削減につながる技術として普及しております。

注6

BPaaS

Business Process as a Serviceの略語であり、企業活動における特定の業務プロセスを外部の企業へアウトソーシングするクラウドサービスを指しております。

注7

CRM機能

訪問看護ステーションにおいて、従来手書きで対応されていた「入院時サマリー、カンファレンス記録、看護計画、看護記録Ⅰ・Ⅱ、統計データ、対応記録、ヒヤリハット、サービス提供票、情報提供書」等の顧客管理情報を電子データで管理する機能を指しております。

注8

DX(デジタル・トランスフォーメーション)

・デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること

・既存の価値観や枠組みを根底から覆すような革新的なイノベーションをもたらすもの

注9

UI(User Interface)

Webサイト等を利用する際の情報の表示形式や操作性のことであります。

UX(User Experience)

Webサイト等を利用して得られる体験、また、その心地よさや充足感等の概念であります。

注10

ICT

インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーの略語であり、情報処理技術や通信技術を総称する用語であります。

注11

地域包括ケア

「地域包括ケア」とは、「医療や介護が必要な状態になっても、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した生活を続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される」という考え方であります。

注12

3省2ガイドライン

医療情報を電子的に扱う際の安全管理の観点から、厚生労働省、総務省、経済産業省の3省が策定した2つのガイドラインを、まとめて3省2ガイドラインといいます。

・厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第6版)」

・経済産業省「医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン」

厚生労働省のガイドラインは、病院や一般診療所、薬局等の医療機関向けのガイドラインです。経済産業省のガイドラインは、医療情報を取り扱うクラウドサービス事業者・情報処理事業者を対象としています。

 

注13

電子カルテシステム

電子カルテとは病院で医師が記録する診療記録(カルテ)を電子化し、保存・管理するシステムのことです。電子カルテは、「真正性」「見読性」「保存性」の電子保存の3原則を満たさなければいけません。

真正性:正当な人が記録し確認された情報に関し第三者から見て作成の責任の所在が明確であること故意または過失による、虚偽入力、書き換え、消去、および混同が防止されていること

見読性:電子媒体に保存された内容を、権限保有者からの要求に基づき必要に応じて肉眼で見読可能な状態にできること

保存性:記録された情報が法令等で定められた期間に渡って真正性を保ち、見読可能にできる状態で保存されること

注14

オンコール当番

訪問看護ステーションの多くは、利用者の急変等に備えて24時間体制を採っています。オンコールとは、こうした緊急の呼び出しや訪問に備えて待機することです。オンコールの対応は、担当の訪問看護師が専用の携帯電話を持ち、利用者やご家族からかかってきた電話に応じるという形が一般的です。

注15

常勤換算

医療や介護の質を保つため、国は事業所規模やサービス内容に応じた、人員配置基準を定めています。しかし、正社員やパート等、労働時間が異なる人を同じ1人と考えると、実際の現場では基準を下回っていたということになりかねません。基本的には、すべての従業員の労働時間を足し、フルタイムの労働時間で割ることで、「通常何人で働いているか」を示します。その事業所の労働者の平均を表すのが「常勤換算」であります。

注16

医療ソーシャルワーカー

医療ソーシャルワーカーは、医療機関における福祉の専門職です。主に病院で、患者やその家族が抱えるさまざまな課題についての相談援助を行い、解決のために調整や援助を行う役割を担っております。

注17

ケアマネージャー

ケアマネージャーは、要介護者や要支援者の相談や心身の状況に応じるとともに、サービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるようにケアプラン(介護サービス等の提供についての計画)の作成や市町村・サービス事業者・施設等との連絡調整を行う役割を担っております。

注18

ファクタリングサービス

事業者が保有している売上債権等を決済期日より前に買取るサービスであり、事業者にとっては有効な資金調達手段の一つです。

注19

リージョン

リージョンとは、地理的に近い「ゾーン」をグループ化したもので所在地を特定することができ、またリージョン毎に完全に独立しています。

注20

ISMS(ISO27001)

ISMSとは、Information Security Management Systemの頭文字をとった略称で、情報セキュリティマネジメントシステムのことを意味しております。

ISO27001とは、組織内の情報を守り有効活用するための情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関するISOの規格であります。

 

 

[事業系統図]

 

 


有価証券報告書(2023年12月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 eWeLLの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてeWeLLが判断したものであります。

 

(1)経営方針について

eWeLLは、企業理念として次の「Mission」「Vision」「Value」を掲げております。

Mission「ひとを幸せにする」

Vision「私たちは在宅療養に新しい価値の創造を行い、すべての人が安心して暮らせる社会を実現します」

Value「(Be a challenger:努力と挑戦を続け、成長し続けます。)

 (Be innovative:新しいことを追求し、新たな価値を創造し続けます。)

 (Be sincere:真心をもって誠実にひとに向き合い、信頼に溢れる豊かな人生を築きます。)

 (Be positive:物事を自分事として捉え、何事もチャンスと解釈し、前進させます。)

 (Be professional:法と秩序を守り、ひとに安心と感動を与えるプロ集団を目指します。)」

 

(2)経営戦略について

 今後の方向性は、主力サービス「iBow」の市場シェアを拡大させるとともに、第2のサービス「iBow 事務管理代行サービス」も拡大させることで訪問看護市場におけるプラットフォーマーとしての地位の確立を目指します。

 また、主力サービスで得られる情報を匿名加工情報(特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報)として活用することでPHR(注)を活用したデータビジネス(地域包括ケア事業)につなげ、eWeLLの事業領域の拡大と企業価値の向上を図ってまいります。

 eWeLLの事業領域は、療養治療・観察の慢性期医療と終末期医療分野という、長期的で継続的な医療・介護分野です。現在はiBowを中心に在宅療養の核となる訪問看護ステーションに向けて業務支援システムとBPOサービスを提供しております。日本では、医療・介護・健康分野の情報化として、PHRを中心とした医療データの利活用が推進されております。eWeLLにおいてもこのPHR情報を地域包括ケアシステムの中に取り込み、患者を中心とした関係者が、安全で安心して情報共有ができる仕組みの構築と提供を考えております。

 また、2021年より開始している在宅治験支援をはじめ、在宅医療データの活用による第3のサービスの確立がeWeLLのさらなる成長に大きく貢献すると考えております。

(注)パーソナルヘルスレコードの略語であり、個人の健康・医療・介護に関する情報のことを指します。

 

 

(3)経営戦略上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

eWeLLは、事業規模と収益性を測る指標として、売上高および営業利益を重視しております。

また、主力サービス「iBow」においては、サブスクリプション型のサービスを提供しているため、eWeLLがサービスを提供する稼働ステーション数の増大、市場シェアの拡大、月次平均解約率の低減および顧客平均単価の向上を重要な経営指標としております。複合サービスを展開し、市場シェアの拡大、満足度の向上(解約率の低位安定)、顧客単価向上の循環がeWeLLのサステイナブルな成長の基礎と考えております。

 

(4)経営環境について

 eWeLLの顧客である訪問看護ステーションの事業環境は、1992年に老人保健法等の一部改正により新設された老人訪問看護ステーションからの指定老人訪問看護が始まり、1994年の健康保険法等の一部改正で創設された訪問看護ステーションから高齢者以外の在宅療養者にも指定訪問看護が提供されることとなり、以降、指定訪問看護事業所は「老人」をとり「訪問看護ステーション」となっております。

 2000年の介護保険制度施行後は、訪問看護が介護保険制度の居宅介護サービスのひとつとして位置付けられて要介護認定者等にも訪問看護を提供することになり、2006年には要支援者に対する訪問看護は予防給付の「介護予防訪問看護」とされ、介護給付の「訪問看護」と区分され今日に至っております。

 2011年には「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が制定され、地域包括ケアシステムの実現に向けて、医療ニーズを伴う要介護者への介護・看護一体的提供が進められています。

 訪問看護制度は、乳幼児から高齢者まで家族も含めて、医師と連携し疾病や障がいの悪化防止、病院等からの在宅移行支援、在宅療養生活支援(24時間体制で緊急対応も含む)、エンドオブライフケアを行うのが訪問看護で、予防・医療・介護機能を合わせもち生活支援を行う看護は地域包括ケアシステムの要となっております。

 以上のことを踏まえ、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・看護職員需給分科会の中間まとめ」によると、2025年までに、超過勤務時間が月10時間以内で有給休暇5日以上取得する場合を前提とした場合、2016年時点の訪問看護に従事する看護職員数は4.6万人が2025年には11.7万人が必要と試算されております。これは、在宅療養の需要が増え、2025年には2倍以上の訪問看護師等の従事者が必要になることを指しております。

 

 

 日本国内においては、少子高齢化が進み、就業人員の減少が見込まれるなか、試算通りの看護師等の確保が可能であると楽観視できないものとeWeLLは考えております。一方、需要は伸びていく状況にあるため、eWeLLはeWeLLのシステムやサービスを提供することで、一人一人の訪問看護師等が効率的に業務を進めることができる状況を作り出し、訪問看護師が増えない状況を、一人当たりの訪問件数を増加させることでカバーすることにより、この需給問題の解決になるのではと考えております。

 また、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師等の受入れが一般的になり、訪問看護ステーションにおいても就業されるようなことが生じたときには、eWeLLの「iBow」も多言語化への対応等が必要になってくると考えております。

 

(5)社会ニーズの高まる訪問看護市場の拡大

 訪問看護ステーションは、介護保険と医療保険の利用者に訪問看護を提供し、両保険に対する請求に基づき報酬が支払われております。介護給付費と医療費の割合でみると、7,652億円のうち介護給付費が3,723億円(48.7%)、医療費が3,929億円(51.3%)になっており、年々医療費割合が増加し、訪問看護への支払額は、13年間で約3倍に拡大しております。

 

・訪問看護業界における医療費と介護給付費

(単位:億円)

年度

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

合 計

2,048

2,214

2,376

2,682

2,940

3,282

3,689

4,155

4,666

5,215

5,824

6,682

7,652

医療費

665

740

808

956

1,086

1,256

1,485

1,742

2,023

2,355

2,727

3,254

3,929

介護

給付費

1,383

1,474

1,568

1,726

1,854

2,026

2,204

2,413

2,643

2,860

3,097

3,428

3,723

(出所:医療費は厚生労働省「国民医療費の概況」(2009年~2021年)、介護給付費は同省「介護給付費等実態統計」(2009~2021年)、合計はeWeLL集計)

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①市場環境および顧客ニーズにタイムリーに対応できる開発体制の強化

 eWeLLは創業以来、「世にある物は活用し、世にない物を作りだす」を合言葉に、訪問看護ステーション向け業務支援システム「iBow」を提供してまいりました。今後さらなる市場スケールの拡大に対応するため、開発体制の強化が必要と考えております。そのため開発人材の確保が必須と考えており、継続的な開発人員採用活動および人材教育を実施し、開発体制の強化に取り組む方針であります。

 

②内部管理体制の強化による事業基盤強化

 eWeLLは、業務運営の効率化やコーポレート・ガバナンス、リスクマネジメントのための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。引き続き経営の公平性や透明性を確保するために内部統制の実効性を高め、内部管理体制の強化に取り組み、事業基盤を強化いたします。

 

③システム信頼性の継続的な維持や品質の向上、設備環境の強化

 eWeLLは、顧客に安心してeWeLLサービスを利用していただくためには、システム稼働の安定化が重要な課題であると認識しております。セキュリティ・開発・保守管理体制の整備は不可欠であり、今後も引き続き投資を行い、システムの継続的な安定化、品質の向上に取り組む方針であります。

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

 eWeLLの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のある事項を以下に記載しております。

 また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。eWeLLは、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避および発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。

 なお、本記載事項の将来に関する事項は、本書提出日現在においてeWeLLが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境および事業内容に関するリスクについて

①医療保険制度・介護保険制度の改正対応について(影響度:大、発生可能性:低)

 eWeLLがサービス提供を行っている「iBow」については、医療保険制度・介護保険制度の影響を強く受けます。定期的に法律全般に関する検討が加えられ、2年に1度診療報酬の見直し、3年に1度介護報酬の見直しが行われることになっており、これらの改正に対応するための適時なシステム開発が必要となります。
 こうした状況は、同業他社も同様の条件であるため、開発において他社に先んじることや差別化を図ることでシェアの拡大に直結することになりますが、逆に遅れをとった場合にはeWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
 また、新たな市場動向の変化や医療保険・介護保険法の改正動向次第でeWeLLや顧客である訪問看護の事業環境が大きく変わる場合があります。これらの事業環境の変化が顕在化し、また、eWeLLが適時適切に対応できず、サービスの導入延期やサービス利用数の削減、他社サービスへの乗り換え等に繋がった場合は、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
 これに対する取組として、関連法令の動向等を捉え、それらを経営・事業の戦略に適時適切に反映しております。

 

②特定業界への依存について(影響度:大、発生可能性:低)

 eWeLLは、全売上が訪問看護ステーションを中心とする訪問看護業界向けという特定の業界に集中しております。過度に依存することがないよう訪問看護業界以外の分野への展開も視野に入れ、2021年12月期より在宅治験支援の取組を開始し、また、現在は医療データビジネスを中心としたPHRの展開を進めるなど、事業基盤の盤石化を図っておりますが、現在の訪問看護業界からの需要が大幅に縮小した場合や看護師等の不足に伴い、訪問看護ステーションが常勤換算等の要件を満たせず訪問看護ステーション数が大幅に減少した場合には、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

③クラウド関連市場について(影響度:大、発生可能性:低)

 eWeLLが行っている訪問看護ステーション向けサービス提供事業は、売上高の大部分をクラウドサービスで提供しております。クラウドサービスに関連して、今後新たな法的規制の導入、技術革新の停滞等の要因により、クラウドサービスの導入が想定通りに進捗せず、クラウド関連市場の成長が阻害される場合には、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 これに対し、クラウド関連市場における新たな法的規制や技術革新等の動向について、常に情報収集に努め、クラウドサービスの提供に支障が生じないよう対策を検討できる体制を構築して参ります。

 

④特定のサービスへの依存について(影響度:大、発生可能性:低)

 eWeLLは、「iBow」、「iBow レセプト」、「iBow 事務管理代行サービス」等を提供しておりますが、現在、全体の売上高に占める「iBow」の割合が多く(2023年12月期の売上高に対して81.0%を占めております。)、同サービスに依存しております。eWeLLは、収益源の多様性を持つことにより、より安定した体制の構築を目指すべく、コンテンツサービスの拡大や、新たにeWeLLの柱となる新規サービス、事業の開発に向け積極的に取り組んでおります。

 しかしながら、現在時点において主要サービスである「iBow」が顧客のニーズと乖離した場合や競合他社に対する優位性を喪失する等の事態に陥った場合、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
 これに対して、第2の柱である「iBow 事務管理代行サービス」の強化、第3の柱としてPHRを中心とした医療データの利活用を進めていきます。

 

 

⑤他社との競合について(影響度:中、発生可能性:低)

 現在、国内で介護・医療分野におけるクラウドサービス事業を展開する競合企業が複数存在しており、今後の市場規模拡大に伴い新規参入を検討する企業が増加する可能性があります。
 その中でeWeLLは訪問看護ステーション向けに特化し、利用者である看護師等の視点を重視し提供することで市場における優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。
 今後も、利用者目線を重視し、UI/UXを追求しシステム構築を推進してまいりますが、新規参入等により競争が激化した場合には、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
 これに対する取組として、徹底した利用者目線をもち、訪問看護という特定の分野に深化し続けることで、競合他社に対して十分な競争優位性を実現していきます。

 

⑥技術革新について(影響度:中、発生可能性:低)

 eWeLLのサービスは、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発およびそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。このため、eWeLLは技術者の採用・育成に関する技術やノウハウの取得に注力しております。

 しかしながら、このような技術やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対するeWeLLの対応が遅れた場合には、eWeLLの競争力が低下する可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費等の支出が拡大する可能性があり、その結果、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
 これに対する取組として、常に複数の外注先と情報交換を進め、企画・要件定義は自社内で進めるが開発等については積極的に外部を活用することで技術の陳腐化を回避しております。

 

⑦システム障害について(影響度:中、発生可能性:低)

 eWeLLのサービスは、サービスの信頼性および取引の安全性の観点からも、eWeLLの事業用ITインフラは障害に強い設計としております。また、管理を強化するため、情報システム開発および運用経験の豊富な人材の採用を積極的に実施しております。

 しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、未知のコンピュータウイルスやテロ攻撃、通常使用時だけでなくシステム改修やシステムトラブル等により想定を超える事故が発生した場合、eWeLLが保有する設備の損壊や電力供給、インターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生し、その結果、eWeLLはサービス提供および営業取引に深刻な影響を受け、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 これに対する取組として、十分なセキュリティ対策を施した上で、クラウド化を実施する等、有事の際にもサービスを提供できるよう対処しております。さらに、システム開発およびシステム運用経験の豊富な人材を採用すると共に、システムに関する従業員向け教育を積極的に実施する等、体制面での強化も継続して取り組んでおります。

 

⑧既存ユーザー企業の継続について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLのサービスは、サブスクリプション型のビジネスモデルであることから、eWeLLの継続的な成長には、新規契約ステーションの獲得のみならず、既存契約ステーションの維持が重要と考えております。
 しかしながら、eWeLLサービスの魅力の低下、競合他社に対する競争力の低下、顧客ニーズに合致しない等により、eWeLLの想定を大幅に下回る継続状態となった場合には、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
 現状においては、2023年12月期における月次平均解約率(注)が0.11%であり、過去のこれまでの実績から当該リスクが顕在化する蓋然性は高くないと、eWeLLでは認識しておりますが、既存契約ステーションの維持については、機能の追加開発やサポートの充実により、契約の継続維持・向上を図っております。

(注)月次平均解約率は、各月の売上に対する前月解約による売上の減少割合である月次解約率を算出し、当該月次解約率を単純平均しております。

 

⑨新規事業展開に伴うリスクについて(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、既存システムを活用した新規事業の開発を進めております。新規事業の展開にあたっては、当初見込み通りの展開ができず投資を回収できなくなる可能性があり、eWeLLの業績に重要な影響を与える可能性があります。eWeLLは新規事業の実現可能性を慎重に見極め、開発計画を立て進捗管理を適切に行っておりますが、開発が想定通りに立ち上がらなかった場合には、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

⑩外注先への依存について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、提供するサービスや機能を開発する場合、企画・要件定義を自社で行い、コーディング等の開発は外注を利用しております。外注先を十分に確保できない場合、または外注先の経営不振および納期遅延が発生する場合には、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 eWeLLでは、このようなリスクに対して、新たな外注先の確保をすすめるとともに、コンポーネント化した開発(注)を行うことで不測の事態に備えております。外注先の選定にあたっては、その経営状態、技術力、評判および反社会的勢力との関係の有無等を調査し安全・品質管理の徹底等に十分に留意しております。

(注)コンポーネント化した開発とは、機能を部品化して開発することであります。プログラムをコンポーネント単位に分けることで、機能の追加・修正・削除等が発生した場合に、コンポーネント単位で対応することができます。eWeLLではコンポーネント単位で必要に応じて外注し、特定の外注先への依存を回避することができる仕組みとしております。

 

(2)事業運営体制に関するリスクについて

①内部管理体制の整備に係るリスクについて(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性および財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追い付かない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

②人材育成・確保について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人材の確保であると考えております。

 今後の事業展開を見据えて、主に顧客リレーションおよびシステム分野のスキルを有する人材の確保を目指すとともに、教育研修制度の充実等、人材の育成に努めておりますが、eWeLLが求める人材が十分に確保出来なかった場合や人材育成が円滑に進まない場合、または各部門において中心的役割を担う特定の従業員が万が一社外に流出した場合、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 これに対して、社内研修の充実や各職務職位別の業務・目標の明確化を図り経営陣と従業員のミスマッチを防ぐ活動を行っております。

 

③特定人物への依存について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLの代表取締役社長中野剛人は、eWeLLの創業者であり、設立以来、経営方針や事業戦略の立案・決定およびその遂行において取締役としての役割を果たしております。
 eWeLLでは、経営会議を設け重要事項の審議を行うほか、各事業部門を統括する業務執行取締役に権限を委譲するなど同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏がeWeLLの業務を継続することが困難となった場合、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

④個人情報の管理について(影響度:大、発生可能性:低)

 eWeLLは、展開する各サービスの運営過程において、ユーザーよりユーザー自体の個人情報を取得することがあるほか、ユーザーの顧客である患者情報をeWeLLにて取り扱うことがあります。当該個人情報の管理については、権限を有する者以外の閲覧をシステム上で制限しております。なお、患者情報に関しましては、eWeLLはユーザーの承諾を得て閲覧することがあるものの、その情報は外部のサーバーにのみ保管され、eWeLLシステムには残らないようになっており、流出することがないよう厳格に管理・運用しております。

 しかしながら、外部からの不正なアクセス、その他想定外の事態の発生により個人情報が流出した場合には、eWeLLの社会的信用を失墜させ、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
 これに対する取組として、3省2ガイドライン(厚生労働省・総務省・経済産業省による医療機関向けクラウドサービス利用検討ガイドライン)を踏まえた仕組みとすることで、情報セキュリティ対応を行っております。

 

 

⑤知的財産権の保護について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、特許権、商標権等の知的財産権の保護に努めており、当保護に当たってはeWeLLの管理部門および弁理士等による事前調査を行っております。
 しかしながら、第三者によるeWeLLの権利に対する侵害等により、企業・ブランドイメージの低下、サービス運営への悪影響等を招く等、その対応のために多額の費用が発生する可能性があります。

 また、万が一eWeLLが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求や差止請求等を受ける可能性があります。こうした場合、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

(3)その他

①自然災害について(影響度:小、発生可能性:低)

 事業を展開する地域において、大規模な自然災害やパンデミック等が発生した場合、事業を継続することが困難な状況に陥ることが予想されます。eWeLLでは大阪本社のほか東京に拠点を置き営業活動を行っておりますが、リモートワーク環境を構築してこれら営業拠点に依存しない業務遂行体制を整備しております。

 しかしながら、当該エリアにおいて地震、火災、津波、大型台風等の自然災害やパンデミック等が発生して営業活動や情報収集活動等が制約を受ける場合には、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

②訴訟について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。

 しかしながら、事業を展開するなかで、eWeLLが提供するサービスの不備、eWeLLが保有する個人情報および情報漏洩等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。これらの訴訟により、eWeLLの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容および結果によっては、eWeLLの事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、eWeLLの役員および従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。新株予約権が権利行使された場合、eWeLL株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値および議決権割合が希薄化する可能性があります。

 また、eWeLLは取締役および執行役員に対し譲渡制限付株式報酬制度を導入しております。優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを実施する可能性もあり、eWeLLの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 

④減損損失について(影響度:小、発生可能性:低)

 eWeLLは、有形固定資産やソフトウエア等の固定資産を保有しています。これらの資産については、減損会計を適用し、減損の兆候がある場合には当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。

 しかしながら、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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