日本製鉄グループ(日本製鉄及び日本製鉄の関係会社)の事業体制は、製鉄事業、エンジニアリング事業、ケミカル&マテリアル事業及びシステムソリューション事業です。
なお、これら4事業は本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 事業セグメント」に掲げるセグメント情報の区分と同一です。
2025年3月31日現在、日本製鉄グループは、日本製鉄及び419社の連結子会社並びに110社の持分法適用関連会社等により構成されます。
各事業を構成している日本製鉄及び日本製鉄連結子会社において営まれている主な事業の内容及び位置づけは次のとおりです。なお、主要な関係会社につきましては、本報告書「第一部 企業情報 第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載しています。
[製鉄事業]
条鋼(鋼片、軌条、鋼矢板、H形鋼、その他形鋼、棒鋼、バーインコイル、普通線材、特殊線材)、鋼板(厚板、中板、熱延薄板類、冷延薄板類、ブリキ、ティンフリースチール、亜鉛めっき鋼板、その他金属めっき鋼板、塗装鋼板、冷延電気鋼帯)、鋼管(継目無鋼管、鍛接鋼管、電縫鋼管、電弧溶接鋼管、冷けん鋼管、めっき鋼管、被覆鋼管)、交通産機品(鉄道車両部品、型鍛造品、鍛造アルミホイール、リターダ、環状圧延品、鍛鋼品)、特殊鋼(ステンレス鋼、機械構造用炭素鋼、構造用合金鋼、ばね鋼、軸受鋼、耐熱鋼、快削鋼、ピアノ線材、高抗張力鋼)、鋼材二次製品(スチール・合成セグメント、NS-BOX、メトロデッキ、パンザーマスト、制振鋼板、建築用薄板部材、コラム、溶接材料、ドラム缶、ボルト・ナット・ワッシャー、線材加工製品、油井管付属品、建築・土木建材製品)、銑鉄・鋼塊他(製鋼用銑、鋳物用銑、鋼塊、鉄鋼スラグ製品、セメント、鋳物用コークス)、製鉄事業に付帯する事業(機械・電気・計装関係機器の設計・整備・工事施工、海上運送、港湾運送、陸上運送、荷役、倉庫業、梱包作業、材料試験・分析、作業環境測定、技術情報の調査、施設運営管理、警備保障業、原料決済関連サービス、製鉄所建設エンジニアリング、操業指導、製鉄技術供与、ロール)、その他(チタン展伸材、食料品、繊維品、電力、不動産、サービスその他)
[エンジニアリング事業]
各種プラント・施設、エネルギー導管、水道設備、産業機械・装置、建築物、建築部材・装置、鋼構造物等の設計・製作・販売・施工・監理、プラント・施設等の運転・運営・維持管理、廃棄物等の処理・再生資源化事業、電気・ガス・熱等の供給事業
[ケミカル&マテリアル事業]
ピッチコークス、ピッチ、ナフタリン、無水フタル酸、カーボンブラック、スチレンモノマー、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、無接着剤FPC用銅張積層板、液晶ディスプレイ材料、有機EL材料、UV・熱硬化性樹脂材料、圧延金属箔、半導体用ボンディングワイヤ・マイクロボール、半導体封止材用フィラー、炭素繊維複合材、排気ガス浄化用触媒担体、多孔質炭素材料
[システムソリューション事業]
コンピュータシステムに関するエンジニアリング・コンサルティング、ITを用いたアウトソーシングサービスその他の各種サービス
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。(2025年3月31日現在)
(経営方針)
日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献することを企業理念に掲げて事業を行っています。
<日本製鉄グループ企業理念>
基本理念
日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。
経営理念
1.信用・信頼を大切にするグループであり続けます。
2.社会に役立つ製品・サービスを提供し、お客様とともに発展します。
3.常に世界最高の技術とものづくりの力を追求します。
4.変化を先取りし、自らの変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。
5.人を育て活かし、活力溢れるグループを築きます。
(経営環境)
中長期的な環境変化については、次のとおり想定しています。
世界の鉄鋼需要については、インドも含めたアジア地域を中心に確実な成長が見込まれます。また、カーボンニュートラルに向けた新規ニーズを含め高級鋼の需要は拡大が見込まれます。一方で、国内の鉄鋼需要については、人口減少・高齢化や需要家の海外現地生産拡大等に伴い引き続き減少していくことが想定されます。また、製造業における地産地消・自国産化の傾向が、グローバルに繋がっていた市場の分断を進展させると考えられます。さらに、世界の鉄鋼生産量の5割強を占める中国における需要の頭打ち等により、海外市場における競争が一層激化することが想定されます。
世界的に気候変動に関する問題意識が高まるなか、カーボンニュートラルの実現は官民を挙げた総力戦となり、他国に先駆けたカーボンニュートラルスチールの製造技術の確立が、今後の鉄鋼業界における競争力、収益力、ブランド力を決める鍵となると考えています。
2024年度においては、世界の鉄鋼需要については、未曾有の厳しい状況が当面継続すると見ざるを得ません。実需回復は現時点で見通しづらく、市況回復にも時間を要する見通しであり、原料と製品のデカップリング(非連動)構造が当面継続するリスクもあります。
(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
日本製鉄グループは、製鉄事業を中核として、鉄づくりを通じて培った技術をもとに、エンジニアリング、ケミカル&マテリアル、システムソリューションの4つのセグメントで事業を推進しています。製鉄セグメントは、日本製鉄グループの連結売上収益の約9割を占めています。
日本製鉄は、2020年度に断行した抜本的コスト改善による損益分岐点の大幅な引下げに加え、紐付き価格の是正、一貫能力絞込みによる注文選択の効果、海外グループ会社の収益力の向上等により、外部環境に関わらず高水準の事業利益を確保し得る収益構造の構築に取り組んできました。2024年度においては、経営環境が厳しさを増し、当面継続すると想定される状況にあっても、従来の収益構造対策の継続等に加え、将来ビジョンである1兆円の利益水準に向けさらに厚みを持った新たな事業構造へと進化し、外部環境に関わらずさらなる高収益を計上できる基盤を構築すべく施策を着実に進めていくとともに、将来を見据えた人材確保・活躍推進に資する投入も行っていきます。
2021年3月に策定した「日本製鉄グループ中長期経営計画」の概要と進捗は次のとおりです。
<日本製鉄グループ中長期経営計画(2021年3月5日公表)の概要と進捗>
日本製鉄は、「総合力世界No.1 の鉄鋼メーカー」を目指し、日本製鉄グループ中長期経営計画を定め、その4つの柱である「国内製鉄事業の再構築とグループ経営の強化」、「海外事業の深化・拡充に向けた、グローバル戦略の推進」、「カーボンニュートラルへの挑戦」及び「デジタルトランスフォーメーション戦略の推進」の実現に向け、諸施策に着実に取り組んでいます。
1.国内製鉄事業の再構築とグループ経営の強化
「戦略商品への積極投資による注文構成の高度化」、「技術力を確実に収益に結びつけるための設備新鋭化」、「商品と設備の取捨選択による生産体制のスリム化・効率化」を基本方針として、国内製鉄事業の最適生産体制を構築するとともに、競合他社を凌駕するコスト競争力の再構築と適正マージンの確保による収益基盤の強化を推進しています。
当期においては、名古屋製鉄所への次世代熱延ライン、瀬戸内製鉄所阪神地区(堺)及び九州製鉄所八幡地区への電磁鋼板設備等、戦略商品の能力・品質向上対策への投資を含め競争力優位な設備への選択投資を行っており、競争力劣位な設備を休止することと合わせて、生産設備を新鋭化・スリム化・効率化し、品種高度化を推進するとともに、生産能力規模と固定費規模の適正化を進めてきました。また、原料事業については、カーボンニュートラル推進に資する高品質な製鉄用原料炭の安定確保に加え、より外部環境に左右されにくい連結収益構造の構築を目指し、カナダの原料炭事業会社Elk Valley Mining Limited Partnershipへ20%の出資を行いました。加えて、日鉄物産㈱の子会社化・非公開会社化を実施するなど、商社機能のグループでの効率化・強化、営業ノウハウ・インフラを一体活用した直接営業力強化、サプライチェーンのさらなる高度化の取組みも進めています。今後もこうした厚みを持った事業構造へ進化させていきます。
2.海外事業の深化・拡充に向けた、グローバル戦略の推進
世界の鋼材消費は、2025年さらに2030年に向けて引き続き緩やかな成長が見込まれています。日本製鉄は、規模及び成長率が世界的に見ても大きいアジアを中心に事業を展開しており、マーケットの規模や成長を日本製鉄の利益成長につなげ得るポジションにあります。
このような環境のもと、需要の伸びが確実に期待できる地域において、日本製鉄の技術力・商品力を活かせる分野で、需要地での一貫生産体制を拡大し、現地需要を確実に捕捉することで、日本製鉄グループとして、「グローバル粗鋼1億トン体制」を目指しています。
将来の市場拡大と自国産化のさらなる進展が見込まれるインド市場においては、ArcelorMittal Nippon Steel India Limitedによる拠点買収や新たな一貫製鉄所建設の検討を開始するなど、能力の拡張を進めています。さらに、最大の高級鋼需要国であり、かつ日本製鉄が培ってきた技術力・商品力を活かせる地域である米国において、United States Steel Corporationの買収を決定しました。これにより、インドとホームマーケットであるASEANに米国を加えた3つの重要拠点を確保することとなり、グローバル拠点の多様化につながることとなります。グローバル粗鋼1億トン体制の実現に向けて、今後も主要な海外市場における一貫生産体制拡大による収益力の向上を目指していきます。
3.カーボンニュートラルへの挑戦
脱炭素社会に向けた取組みにおいて欧米・中国・韓国との開発競争に打ち勝ち、引き続き世界の鉄鋼業をリードするべく、「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を掲げ、経営の最重要課題として諸対策を検討・実行しています。
東日本製鉄所君津地区の小型試験炉でのSuper COURSE50開発試験で世界最高水準を更新するCO2排出量33%の削減効果を確認するなど技術開発の進捗に加え、九州製鉄所八幡地区及び瀬戸内製鉄所広畑地区を候補地とした高炉プロセスから電炉プロセスへの転換に向けた本格検討を開始するなど、「高炉水素還元」、「水素による還元鉄製造」及び「大型電炉での高級鋼製造」の3つの超革新技術によるカーボンニュートラルの実現に向けて取組みを継続しています。また、カーボンニュートラル化を通じて日本製鉄が提供する2つの価値である「鉄鋼製造プロセスにおけるCO2排出量を削減したと認定される鉄鋼製品~『NSCarbolex® Neutral』」と「社会におけるCO2排出量削減に寄与する高機能製品・ソリューション技術~『NSCarbolex® Solution』」によりお客様の国際競争力を支えています。これらの取組みに対し、脱炭素化における鉄鋼業の役割の重要性が再認識され、グリーンイノベーション基金の鉄鋼業への配分が大幅に拡大されたことを受け、日本製鉄としても開発・実機化の加速化・前倒しを行うこととしています。
4.デジタルトランスフォーメーション戦略の推進
デジタルトランスフォーメーション戦略に5年間で1,000億円以上を投入し、鉄鋼業におけるデジタル先進企業を目指しています。
当期の具体的な取組みの一例として、原料を海上輸送する際の配船管理において、リアルタイムな運行情報取得を可能にするシステムを構築し、運用を開始しました。これにより意思決定の迅速化が促進され、原料調達から輸送、生産までのサプライチェーンの効率化に貢献し、さらには運航・輸送効率の向上等によりカーボンニュートラル社会の実現にもつながると考えています。また、日鉄ソリューションズ㈱と共同で、数理最適化技術を応用し、製鋼工程における生産計画を高速立案する出鋼スケジューリングシステムを開発し、東日本製鉄所君津地区で本格運用を開始しました。これによって、熟練技能者と同等以上の計画を短時間で導き出すことが可能となり、従来と比較し約70%の計画立案時間の削減を達成しました。今後は各製鉄所へ順次展開し、全社での生産計画の一元化を進めていく予定です。そのほか、IoT、AI による操業・設備保全の遠隔管理・予兆監視、自動化や、実績管理・一貫生産計画の一元化・迅速化等の各DX 施策にも引き続き取り組んでいます。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
「日本製鉄グループ中長期経営計画」の収益・財務体質目標等については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しています。
(注) 上記(経営環境)と(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)の記載には、2024年5月9日決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれている。これらはその発表又は公表の時点において日本製鉄が適切と考える情報や分析、一定の前提等に基づき策定したものであり、かかる見積りに固有の限界があることに加え、実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。かかる要因については、後記「3 事業等のリスク」を参照されたい。
本報告書に記載した日本製鉄グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、下記各項のものがあります。ただし、これらは日本製鉄グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況」の他の項目、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の各注記、その他においても個々に記載していますので、あわせて御参照ください。
なお、日本製鉄グループは、これらのリスクの低減を図るため、本報告書「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの企業統治体制を整え、内部統制システムを整備・運用し、各社・各部門が自らの事業上のリスクの把握・評価を行ったうえで、組織規程・業務規程において定められた権限・責任に基づき業務を遂行しています。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において日本製鉄が判断したものです。
<経営環境(鉄鋼市場)に関するリスク>
(1)日本及び海外の経済状況の変動等
製鉄事業を中核とする日本製鉄グループにおいては、連結売上収益の約9割を製鉄事業が占めています。自動車、建設、エネルギー、産業機械等、鋼材の主要な需要家が属する業界と同様に、製鉄事業は国内及び海外のマクロ経済情勢と相関性が高く、日本や世界経済の景気に大きく影響されます。
日本製鉄は、資産の多くを日本に保有しており、日本の政治的、経済的又は法的環境が大きく変わると、その資産価値が大きく変動するリスクがあります。また、日本は、日本製鉄グループの最も重要な地理的市場の一つであり、国内売上収益が当期末の連結売上収益の約6割を占めます。先行きを見通すことは困難ですが、日本の経済情勢が悪化すれば、日本製鉄グループの事業活動、業績、財政状態や将来の成長に悪影響が生じる可能性があります。
また、日本製鉄グループは、グローバル戦略の深化・拡充を事業戦略の一つに掲げており、日本製鉄グループの海外売上収益は、連結売上収益の約4割を占めます。海外では政情不安(戦争・内乱・紛争・暴動・テロを含む。)、日本との外交関係の悪化、経済情勢の悪化、商習慣、労使関係や文化の相違から不測のリスクが生じる可能性があります。これらに加えて、鋼材需要の減退、価格競争の激化、大幅な為替レート変動、自然災害の発生、感染症の拡大、保護主義の台頭、投資規制、輸出入規制、為替規制、現地産業の国有化、税制や税率の大幅な変更等、海外各国における事業環境が大きく変化する場合は、日本製鉄グループの事業活動、業績、財政状態や将来の成長に悪影響が生じる可能性があります。2024年度については、世界の鉄鋼需要は未曾有の厳しい状況が当面継続すると見ざるを得ません。実需回復は現時点で見通しづらく、市況回復に時間を要する見通しであり、原料と製品とのデカップリング構造が当面継続するリスクもあります。このように経営環境が厳しさを増し、当面継続すると想定される状況にあっても、日本製鉄は従来の収益構造対策の継続等に加え、将来ビジョンである1兆円の利益水準に向けさらに厚みを持った新たな事業構造へと進化し、外部環境に関わらずさらなる高収益を計上できる基盤を構築すべく施策を着実に進めていくとともに、将来を見据えた人材確保・活躍推進に資する投入も行っていきますが、今後の様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性があります。
(2)鋼材需給の変動等
鋼材の国際的な需給の変動が日本製鉄グループの業績等に影響を与える可能性があります。特に、中国における鉄鋼の過剰生産能力問題は、十分な解決には至っておらず、過剰供給に起因する世界市場での厳しい競争は、世界の鋼材価格の引下げ要因となり、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、原油・天然ガス等の価格変動も、販売先のひとつであるエネルギー分野の鋼材需要の変化につながることから、日本製鉄グループの業績等に影響を与える可能性があります。
また、日本製鉄グループの製鉄事業における需要家の多くは、鋼材を大量にかつ長期にわたり購入しており、主要な需要家が事業戦略や購買方針を大幅に変更した場合や、鋼材等の販売先である商社・需要家等において与信リスクが顕在化した場合には、日本製鉄グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(3)原燃料価格の変動等
日本製鉄グループは、鋼材の生産に必要な鉄鉱石、石炭等の主原料の大半をオーストラリア、ブラジル、カナダ、米国等の海外から輸入しています。また、日本製鉄グループは、主原料をはじめ、合金、スクラップ、天然ガス等の原燃料の調達に際し、調達ソースの分散等を通じて安定調達に努めていますが、その価格や海上輸送にかかる運賃は国際的な需給状況により大きく変動しており、市況が高騰した際に、日本製鉄グループがこれを鋼材の販売価格に転嫁できなければ、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、原燃料生産国における大きな自然災害、ストライキやトラブルの発生、政治情勢の悪化や戦争・テロ、感染症の拡大等により、原燃料の生産・出荷・貿易量が減少すると、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(4)為替相場の変動
日本製鉄グループは、製品等の輸出及び原燃料等の輸入において外貨建取引を行っており、また外貨建ての債権債務を保有しています。製品等の輸出による受取外貨を原燃料等の輸入の際の支払外貨に充当することにより為替変動影響の大部分を排除したうえで、実需原則に基づいて先物為替予約を実施していますが、為替相場の変動が日本製鉄グループの業績等に影響を与える可能性があります。円高が進んだ場合、鋼材を中心とする日本製鉄グループの国内製品の輸出競争力が損なわれることや、自動車、家電、エネルギー、産業機械等、製鉄事業の主要な需要産業の輸出競争力も損なわれて国内鋼材需要が減退することにより、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。一方、円安が進んだ場合、輸出市場においては相対的に価格競争力が増しますが、原燃料等の価格が高騰している状況においては、急速な円安によるコスト影響が従来以上に大きくなる可能性があります。
(5)他素材との競合
鉄鋼製品は、アルミニウム、炭素繊維、ガラス、樹脂・プラスチック、複合材、コンクリート及び木材のような他の素材と常に競合しています。近年、特に電気自動車(EV)の普及等により素材へのニーズが多様化している自動車向け用途においては、日本製鉄グループも独自に鋼材のさらなる軽量化や高機能鋼材の研究・開発・製造等を進めていますが、需要家がアルミニウム、樹脂、炭素繊維複合材等の他素材への転換を選択し鋼材の需要が減少すると、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
<事業戦略・計画の遂行に関するリスク>
(1)中長期経営計画の遂行
日本製鉄グループは、2021年3月に「日本製鉄グループ中長期経営計画」(本項において、以下「中長期経営計画」という。)を策定し、その計画に掲げた具体的諸施策を推進しています。中長期経営計画は、策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されていますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれています。今後、事業環境の悪化や本「事業等のリスク」として記載したすべての事項を含めたその他の要因により、期待される成果の実現に至らず、中長期経営計画で掲げた投入計画、財務目標も達成できない可能性があります。
(2)カーボンニュートラル実現に向けた取組み
日本製鉄は、2021年3月に「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」を策定し、2050年に向けて電炉による高級鋼の量産製造、Super-COURSE50等の高炉水素還元法の開発を通じたCO2抜本的削減、水素による直接還元鉄製造等の超革新的技術にチャレンジし、CCUS等によるカーボンオフセット対策等も含めた複線的なアプローチでカーボンニュートラルを目指すこととしました。こうした極めてハードルの高いイノベーションに対し、日本製鉄は約5,000億円の研究開発費、設備実装、増加する操業コストに約4~5兆円の投資が必要であることに加え、2050年段階での外部条件を含むベストケース想定でも大幅なコストアップになると想定しています。これに対し、非連続的イノベーション等のための研究開発や設備実装、増加する操業コストに対する長期かつ継続的な政策措置、莫大なコストを社会全体で負担する仕組みの構築等を、政府をはじめとする関係部門に対して要望していますが、十分な政策措置等が講じられない場合、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、鉄鋼業界にとって不利となる制度変更、研究開発の成果が得られない等の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。
(3)コスト改善の取組み
日本製鉄グループは、中長期経営計画に掲げたとおり、「戦略商品への積極投資による注文構成の高度化」、「技術力を確実に収益に結びつけるための設備新鋭化」、「商品と設備の取捨選択による生産体制のスリム化・効率化」を基本方針として最適生産体制の構築を進めることとしています。そのうち生産体制のスリム化・効率化については、2020年2月に決定した生産設備構造対策による効果とあわせ、2025年までに2019年度対比で1,500億円/年の構造対策効果を見込んでいます。しかしながら、様々な外部要因や内部要因等により、国内製鉄事業において計画している鉄源工程や製品製造工程のスリム化・効率化の進捗が遅れるなど、コストを計画通り改善することができない場合、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(4)設備投資
製鉄事業は資本集約型産業であり、継続的に多額の設備投資及び設備修繕支出を必要とします。日本製鉄グループは、高炉・コークス炉改修を含む設備の新鋭化・健全性維持並びに成長分野の需要捕捉に向けた瀬戸内製鉄所及び九州製鉄所におけるハイグレード無方向性電磁鋼板能力対策や名古屋製鉄所における次世代熱延ライン新設を含む生産対応等を推進するために必要な設備投資を計画的に実施していますが、減価償却費が増加するほか、当初想定した効果が十分に得られないこと等により、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、日本製鉄グループは中長期経営計画に掲げたとおり、「戦略商品への積極投資による注文構成の高度化」、「技術力を確実に収益に結びつけるための設備新鋭化」、「商品と設備の取捨選択による生産体制のスリム化・効率化」を基本方針に、2021年度から2025年度までの5年間で約2兆4,000億円の設備投資を実施し、その投資効果の最大化に取り組んでいます。
(5)組織再編、海外投資等
日本製鉄グループは、2017年3月の日新製鋼㈱の子会社化(2020年4月に吸収合併)、2018年6月のスウェーデン Ovako AB社の買収、2019年3月の山陽特殊製鋼㈱の子会社化、2019年12月のインド エッサールスチール社のアルセロールミッタル社との共同買収、2020年12月のAM/NS Calvert LLCにおける電気炉の新設の決定、2022年2月のタイ G Steel Public Company Limited及びG J Steel Public Company Limitedの買収、2023年4月の日鉄物産㈱の子会社化、2023年11月のカナダの原料炭事業会社Elk Valley Mining Limited Partnershipへの出資、2023年12月のUnited States Steel Corporationの買収の決定等の組織再編・投資によって成長をしており、今後も国内及び海外において、合併や買収、合弁会社の設立等の組織再編や投資を継続する可能性があります。日本製鉄グループは、慎重な事業評価、契約交渉、社内審議等のプロセスを経たうえで投資等の実行を判断し遂行していますが、当初計画通りにシナジー効果が創出されなかったり、連結財政状態計算書に計上したのれんに減損が生じたりする場合は、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。特に、海外での投資案件は、様々な要因(適切な投資対象を見つけられない可能性や合弁事業におけるパートナーとの関係等も含む)から不確実性が高まります。
(6)事業構造・生産体制の見直し
国内鉄鋼需要の縮小や海外鉄鋼市場における競争激化及び主要生産設備の老朽化に対応すべく、国内製鉄事業においては、商品と設備の取捨選択による集中生産等を基軸とした、体質強化の徹底的な推進を目的に、設備の休止や不採算品種からの撤退等の生産設備構造対策を実施していますが、今後の経営環境の変化や収益動向等を踏まえ、さらなる対策を実施する可能性があります。海外においても、既存の事業についてこれまでに選択と集中を積極的に推進し、日本製鉄が継続する合理性のない事業からの撤退を概ね完了しつつありますが、経営環境の悪化等により、将来的に収益回復の見込みがない不採算事業や投資目的が希薄化した事業を中心に、引き続き再編・撤退を行う可能性があります。これらのさらなる再編・撤退等を実施する場合、減産や一時的な損失の発生等により、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、当期においては、事業再編損として909億円の損失を計上しています。
(7)人材確保・育成、ダイバーシティ&インクルージョンへの取組み、省力化対策
日本製鉄グループの将来の成長は、有能な人材の確保及び育成に依拠する部分も大きいことから、仕事と生活の調和の取れた働き方の実現や関連諸制度の浸透・定着等によって就労環境の整備を図りつつ、育成体系の整備等を行いながら、安定的な人材確保と人材競争力の強化に努めています。また、有能な人材の確保及び育成とともに、会社人生で発生し得るライフイベントや健康に起因する労働損失を最小化し、様々な事情を抱える多様な人材が生産性高く、誇りを持って活躍できる働き方を実現するために、ダイバーシティ&インクルージョンへの積極的な取組み等を通じ、多様な従業員が誇りとやりがいを持って活躍できる企業を実現していくべく、具体的な取組みの強化に努めています。加えて、人口減少による人手不足に対応するべく、省力化対策の設備投資を進めています。日本製鉄グループは、有能な人材の確保と育成、また省力化対策の設備投資の確実な実行に努めていますが、計画通り達成できない場合、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
<事業運営に関するリスク>
(1)設備事故、労働災害等
日本製鉄グループの中核事業である製鉄事業の生産プロセスは、高炉、コークス炉、転炉、連続鋳造機、圧延機、発電設備等の特定の重要設備に依存しています。日本製鉄グループは、安定生産の確保を図るため、製鉄所等の強化・再建を基本経営課題に据えて、設備と人材の両面で製造実力の強化策を推進していますが、これらの設備において、電気的又は機械的事故、火災や爆発、労働災害等が生じた場合、一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延すること等により費用や補償の支払いが発生し、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、日本製鉄グループは、これらの事故等に関連し、一定の保険を付しています。
(2)品質問題等
日本製鉄グループは、鉄鋼製品をはじめ、様々な製品・サービスを顧客に提供しています。日本製鉄は、「品質は生産に優先する」という基本的なものづくりの価値観のもと、一般社団法人日本鉄鋼連盟が定めた「品質保証体制強化に向けたガイドライン」等に沿った様々な取組みを実施していますが、製品やサービスに欠陥が見つかり品質問題が生じた場合は、顧客等から代品の納入や補償を求められるほか、製造・品質管理オペレーションの中止や見直しを行う必要が生じたり、日本製鉄グループ又は日本製鉄グループの製品やサービスに関する信頼が損なわれて売上が減少すること等により、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、日本製鉄グループは、これらの事故等に関連し、一定の保険を付しています。
(3)知的財産権の侵害等
日本製鉄グループは、技術開発等の成果である知的財産を、特許権等の知的財産権として権利化し又は営業秘密として秘匿することにより、事業活動における競争優位性を確保しています。これらの知的財産について第三者による権利侵害や無断使用等がなされた場合又は第三者から権利の有効性が争われた場合、日本製鉄グループは速やかに法的措置等を検討・実施するものの、必要な法的保護が受けられない可能性、また、損害の回復が十分になされない可能性があります。この場合、日本製鉄グループの競争優位性の喪失を招き、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
日本製鉄グループは、各国・地域の知的財産法を遵守し、また第三者の知的財産を尊重し、事業活動を展開しています。しかしながら、第三者から知的財産の侵害訴訟等を提起され、日本製鉄グループに不利な判断がなされた場合は、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(4)情報システムの障害、情報漏洩等
日本製鉄グループの事業活動は、情報システムの利用に大きく依存しており、また、自社及び顧客・取引先の営業機密や個人情報等の機密情報が情報システムに保管されています。日本製鉄においては、技術情報をはじめとする機密情報の漏洩対策を最重要の経営課題として認識し、システムのセキュリティ強化に加えて、業務ルール、社員教育等の対策を推進していますが、日本製鉄グループの情報システムにおいて、悪意ある第三者からのウイルス感染等のサイバー攻撃等により、システム停止、機密情報の外部漏洩や棄損・改ざん等の事故が起きた場合、生産や業務の停止、知的財産における競争優位性の喪失、訴訟、社会的信用の低下等を招き、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
<その他のリスク>
(1)自然災害、戦争・テロ・感染症等
日本製鉄グループは、製造、販売、研究開発等の活動をグローバルに展開しており、世界中に拠点を有しています。製鉄所をはじめとするこれらの各拠点においては、台風、地震、津波、洪水等の自然災害、戦争やテロ行為が生じた場合に備え、ハード面(設備対策)、ソフト面(事業継続計画の策定等)において、一定の対策を施していますが、大規模な自然災害等に見舞われた場合は、各拠点の設備、情報システム等が損害を被り、一部の操業が中断し、生産・出荷が遅延すること等により費用や補償の支払いが発生したり、原料・製品・燃料の輸送手段等のインフラが停止すること等により、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。また、日本製鉄グループの拠点の有無にかかわらず、大規模な自然災害や戦争・テロ行為が生じた場合や強力な新型インフルエンザ等の感染症が世界的に流行した場合には、日本製鉄グループの事業活動に制約が生じる可能性があります。また、これに伴い、需要家の活動水準の低下やサプライチェーンの混乱等の影響による景気の急速な悪化等を通じて、日本製鉄グループの生産活動及び販売活動等に支障をきたす可能性があります。
(2)事業活動にかかる環境規制
日本製鉄は、製鉄所毎に異なる環境リスクへのきめ細かな対応や各地域の環境保全活動を通じた環境リスクマネジメントを推進し、グループ全体での環境負荷低減に取り組んでいます。日本製鉄グループは、事業活動を行う日本及び海外各国において、大気・水・土壌の汚染、化学物質の利用、廃棄物の処理・リサイクル等に関する広範な環境関連規制の適用を受けており、今後、これらについて、より厳格な規制が導入されたり、法令の運用・解釈が厳しくなったりすることにより、日本製鉄グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加する可能性があります。
また、日本製鉄グループは、「持続可能な開発目標(SDGs)」の一つのゴールに掲げられた気候変動対策にも貢献すべく、世界最高レベルの資源・エネルギー効率で鋼材を生産し、中長期的なCO2排出量削減の観点から革新的な技術開発と長年培った技術の海外への移転・普及にも積極的に取り組んでいますが、今後、CO2の排出や化石燃料の利用に対する新たな規制等が導入された場合には、製鉄事業を中心に日本製鉄グループの事業活動が制約を受けたり、費用が増加したりする可能性があります。
(3)非金融資産の減損及び繰延税金資産の回収可能性
日本製鉄グループは、製鉄所設備等の有形固定資産や無形資産等の多額の非金融資産を所有していますが、経営環境の変化等に伴い、その収益性が低下し投資額の回収が見込めなくなった場合には、将来的な回収可能性を踏まえて非金融資産の帳簿価額を減額し減損損失を計上するため、日本製鉄グループの業績や財政状態に悪影響が生じる可能性があります。当期末における有形固定資産の残高は3兆3,804億円、無形資産の残高は1,778億円となっています。
また、日本製鉄グループは、将来の課税所得の見積りに基づき繰延税金資産を計上していますが、経営環境の変化等に伴い将来課税所得の見積りの変更が必要になった場合や税率等の税制変更があった場合、繰延税金資産の取崩しにより、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、当期末における繰延税金資産(繰延税金負債との相殺前)の残高は3,169億円となっています。
(4)有価証券等の保有資産(制度資産を含む。)価値の変動
当期末において、日本製鉄グループは株式等の資本性金融商品、関連会社・共同支配企業に対する投資を合計2兆1,318億円保有しています。このうち、取引先や提携先の政策保有株式については、すべての株式を対象に、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、保有の適否を確認しており、時価が一定額を超える政策保有株式については、取締役会において毎年検証しています。しかしながら、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等により、評価損が発生する可能性があります。また、上記のほかに、当期末において、制度資産(退職給付信託財産を含む。)が日本製鉄グループ合計で6,049億円あり、この資産を構成する国内外の株式、債券等の価格変動や金利情勢の変動が財政状態等に影響を与える可能性があります。
(5)金融市場の変動や資金調達環境の変化
当期末における日本製鉄グループの連結有利子負債残高は、2兆7,116億円であり、金利情勢、その他の金融市場の変動が業績等に影響を与える可能性があります。また、日本製鉄グループは、事業資金を金融機関からの借入及び社債の発行等により調達しています。日本製鉄グループは、「中長期経営計画」に掲げた親会社の所有者に帰属する持分に対する有利子負債の比率(劣後ローン・劣後債資本性調整後D/Eレシオ)0.7以下を目標とし、健全な財務体質の維持に努めていますが、金融市場が不安定となり又は悪化した場合、金融機関が貸出を圧縮したり格付機関が日本製鉄の信用格付の引き下げをしたりした場合等においては、必要な資金を必要な時期に適切な条件で調達できず、資金調達コストが増加することにより、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。その結果として、「中長期経営計画」に掲げた上記目標を達成できない可能性もあります。
(6)海外の主要市場における関税引上げ、輸入規制
これまで日本製鉄グループにおける一部の鋼材の輸出取引において、米国や東南アジア諸国等から反ダンピング税等の特殊関税を賦課されています。日本製鉄グループは、輸入規制を受ける可能性を認識のうえ輸出取引を行うなど、適切に対応するよう努めていますが、将来、海外の主要市場国において関税引上げ、特殊関税の賦課、数量制限等の輸入規制が課せられた場合には、輸出取引が制約を受けることにより、日本製鉄グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。
(7)会計制度や税制の大幅な変更
日本製鉄グループが事業活動を行う国において、会計制度や税制が大きく変更され又は日本製鉄グループに不利な解釈や適用がなされたりした場合、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。なお、日本製鉄は、グローバル展開の一層の推進による企業価値の向上と資本市場における財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的に、連結財務諸表において国際会計基準(IFRS)を任意適用しています。
(8)人権に関する国際規範等への対応
日本製鉄グループは、人権に関する国際規範等を踏まえ、人権の尊重へのコミットメント、人権デューディリジェンスや是正・救済措置等の取組みを定め、人権尊重に対する日本製鉄グループの企業姿勢を内外に示すため、「日本製鉄グループ人権方針」を制定しています。本方針は、日本製鉄グループの役員・従業員のみならず、サプライヤーを含むすべてのステークホルダーにも本方針を理解し、支持していただくことを求めています。日本製鉄グループは、人権の尊重に最大限配慮しつつ、高い倫理観を持って事業活動に取り組む方針としていますが、日本製鉄グループ及びそのステークホルダーに人権の尊重に関する問題が発生した場合には、調達や生産・販売への影響に加えて、社会的信用の低下等により、日本製鉄グループの事業活動、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
(9)各種法的規制、訴訟等
日本製鉄グループの事業活動はグローバルに展開しており、日本及び海外各国・地域の法令や規制に従って事業活動を行っています。法規制には、商取引法、競争法、労働法、証券関連法、知的財産権法、環境法、税法、輸出入関連法、個人情報保護関連法、刑法等に加えて、事業活動や投資を行うために必要とされる様々な許認可及び経済安全保障に関連する規制等があります。今後、より厳格な規制が導入されたり、法令の運用・解釈が厳しくなったりすることにより、日本製鉄グループの事業活動の継続が困難となったり、法令遵守のための費用が増加する可能性があります。
日本製鉄グループは、法令遵守が事業活動の基盤であることを認識し、国内外の役員・従業員に対し、様々な形で法務・コンプライアンス教育を実施していますが、日本製鉄グループが何らかの法規制に違反したと認定された場合には、課徴金等の行政処分、罰金等の刑事処分を受ける可能性があり、日本製鉄グループの業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
また、日本製鉄グループの広範な事業活動から、様々な第三者から訴訟を提起される可能性があり、重要な訴訟において日本製鉄グループに不利な判断がなされた場合には、事業活動の停止・制約、補償等により、業績及び財政状態に悪影響が生じる可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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