梅乃宿酒造は、「新しい酒文化を創造する」をパーパス(目的)として、酒類の製造及び国内外での販売等の事業を行っております。
梅乃宿酒造は、創業者が吉田熊太郎商店として事業を開始した1893年3月より日本酒の製造販売を行っております。日本酒蔵としては後発となりますが、酒の品質にこだわり、戦後復興の景気を捉えることで地元ブランドの日本酒蔵として認知度を向上させてまいりました。高度経済成長期には大手メーカーの日本酒が人気となり、これに伴って「桶売り」(造った酒を他の酒蔵に売り、買い手の商品として販売する商慣習)の需要が拡大しました。梅乃宿酒造は当該需要を獲得すべく思い切って生産設備に投資を行い、旺盛な日本酒需要を背景に事業を拡大いたしました。
しかし、高度経済成長期が一段落した1970年代を境に日本酒の消費量は減少に転じ始めました。「桶売り」の需要に減少がみられる中、梅乃宿酒造は、次なる戦略として自社ブランドへの回帰を目指し、当時はまだ幅広く知られていなかった吟醸酒造りに進出いたしました。必ずしも地酒蔵にとって良い環境とはいえない中にありながら、梅乃宿酒造は吟醸酒ブームに乗ってブランド力を高めることに成功しました。吟醸酒を展開する一方、まだ吟醸酒が広く飲まれていなかった地元奈良向けには本醸造酒の製造販売を開始するなど、時代・地域に応じたニーズを捉えながら事業を継続してまいりました。
現在では梅乃宿酒造のように一年を通して日本酒を製造する例も増えましたが、日本酒は元来季節商品です。秋を迎えるころに準備に取りかかり、冬に仕込み、春になって新酒の出荷が始まると4月から10月は休蔵期に入るというサイクルでした。そのため、年間を通じて安定した収入が得られないことが、経営を難しくしていました。梅乃宿酒造は、1990年代後半から2000年にかけて、この課題を打開すべく、当時話題となっていた微発泡酒の開発・販売など、業績の平準化に向けた取り組みを行っておりました。
そのような取り組みの中で、梅乃宿酒造にとって大きな転機となったのが、現在の主力商品である日本酒リキュールへの進出の第一歩である梅酒の製造販売です。まだ梅酒といえば自宅で漬けるものといったイメージが強かった中、梅乃宿酒造は酒類等製造免許の規制緩和を機に2001年にリキュールの製造免許を取得し、日本酒蔵としては先駆的であった日本酒仕込みの梅酒の製造販売をスタートさせました。これは、ライフスタイルの変化から、ライトリカーの市場拡大を早期に察知したためです。
当時は業界から非常識とされたリキュールへのチャレンジでしたが、この梅酒が大きなヒットとなり、更なる事業拡大の契機となったほか、日本酒蔵にありがちであった季節的な業績変動を克服するなど、経営の安定にもつながりました。
その後も、梅乃宿酒造は、日本酒の可能性を広げるべく、様々な果実リキュールの新作を開発し、飲酒カテゴリーの多様化といったマーケットの変化に柔軟に対応しながら事業の拡大を続け、現在は、伝統の日本酒造りを軸としつつ、果実をふんだんに使用した「あらごしシリーズ」をはじめとする日本酒リキュールを販売アイテムの中心として様々な商品を展開し、最近事業年度の売上高は2,684,862千円、売上総利益率は55.7%と、清酒製造者、リキュール製造者の平均を上回る(注1)収益性を有するにいたっております。清酒製造者の平均を上回る主な理由は、日本酒は、製造に30日以上の日数を要し、かつ人的作業が比較的多く手間がかかる一方で、全国の地酒蔵と価格を含めた競争が激しい環境にあることに比べ、リキュールは製造リードタイムが短く固定費効率や在庫回転率が高い(注2)ことによるものです。また、リキュール製造者平均を上回る理由については、「(1) 商品の特徴」に記載の通り、梅乃宿酒造が一定のシェアを有していることで、価格をコントロールしやすい状況にあるためであると考えております。
近年では、日本酒造りで培った技術と業種平均を上回る収益性という2つの基盤を活用し、「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」のミッションのもと、大和の地酒造りというアイデンティティを守りながらも、お酒の新たな可能性を開拓すべく既存の常識にとらわれない新商品開発に挑戦し、消費者との共創を重要視し、「私たちの挑戦が世界の新たなスタンダードを創り出す」というビジョンの達成に向け、事業に邁進しております。また、日本の酒文化を世界に伝えるべく海外展開にも力を入れております。
(注)1.清酒製造者平均の酒類事業売上高は309百万円、売上総利益率は38.8%、リキュール製造者平均の酒類事業売上高は7,452百万円、売上総利益率は40.5%(出所:国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況(令和6年アンケート)」)
(注)2.梅乃宿酒造2025年6月期における、日本酒の売上総利益率は31%、主力リキュールの売上総利益率は57%。また、在庫回転率(2025年年間の在庫数及び出荷数に基づき算出)は、日本酒1.2回、リキュール7.5回。
梅乃宿酒造の2021年6月期以降の業績推移は以下のとおりであります。以下の売上高に基づき算出した2021年6月期から2025年6月期までの売上高成長率(平均成長率)は10.2%となります。
(金額単位:百万円)
*1 2021年6月期から2023年6月期の財務数値については、会社計算規則(平成18年法務省令第13号)の規定に基づき算出した各数値を記載しており金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を受けておりません。なお、2023年6月期の計算書類については、会社法第436条第2項第1号の規定に基づき、太陽有限責任監査法人の監査を受けております。
*2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を2022年6月期の期首から適用しており、2022年6月期以降に係る財務数値及び比率については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。
(1) 商品の特徴
① 定番商品
梅乃宿酒造は、日本酒及び「梅乃宿の梅酒」や「あらごしシリーズ(後述)」等の果実をつけ込んだ日本酒リキュールを中心として製造販売する他、ジン等のスピリッツの製造と販売を行っております。また、事業拡大の一環として、酒粕、ドレッシング等の発酵をテーマとした食品を国内に向け販売しております。
品目別の特徴といたしまして、日本酒は、少量・高品質にこだわり、純米大吟醸、純米吟醸などの高級酒カテゴリーをはじめとした特定名称酒(精米歩合や原料等、一定の条件に適合した清酒)に集中して製造販売しております。
日本酒の醸造に用いる米は、主として雄町米、山田錦などの酒造好適米を用い、特定名称酒等の規格に応じた精米を行ったのち、少量で高品質な醸造を行っております。日本酒造りでは、酒造好適米の品質が日本酒の品質に直結するため、契約農家、生産地を訪問し、生育状況など、リアルタイムな情報交換を行い、高品質な原料米の入手体制を整えております。前述のとおり、梅乃宿酒造は純粋な日本酒に留まらず様々な商品を展開しておりますが、努力を惜しまず日本酒の品質追及を続けております。その結果、これまでに、モンドセレクション金賞、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)トロフィ、ワイングラスで美味しい日本酒アワード金賞などをはじめとする受賞歴(注3)を有しております。これらの受賞は、梅乃宿酒造の品質へのこだわりが客観的に認められた証であり、一定の目的を達成したものと捉え、現在は出品に伴うコスト工数を踏まえ、酒類アワード等への出品は休止しております。現在は、この実績により培われた高い品質基準を堅持しつつ、限られた経営資源をよりお客様への価値提供と事業拡大に集中させるため、外部コンテストへの出品は見合わせております。
梅乃宿酒造の日本酒は、これまでも上記のような評価をいただいておりますが、特に2025年10月28日の高市早苗首相とドナルド・トランプアメリカ合衆国大統領の首脳会談後の昼食会では、梅乃宿酒造の「葛城 純米大吟醸」がメニューに採用されるという栄誉を得ました。
(注)3.モンドセレクション2022:最高金賞「葛城 純米大吟醸」、金賞「白鳳 大吟醸」、モンドセレクション2023:金賞「葛城 純米大吟醸」、第16回フェミナリーズ世界ワインコンクール2022:日本リキュール部門金賞「梅乃宿 ゆず酒」、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2022:トロフィ「梅乃宿 Unfold SAKE」、金賞「梅乃宿 紅梅 純米」、IWC2023:トロフィ「梅乃宿 純米吟醸」、銅賞「梅乃宿 純米大吟醸 山田錦」、Kura Master2023:金賞「葛城 純米大吟醸」、ワイングラスで美味しい日本酒アワード2023:金賞「梅乃宿 紅梅 純米」
リキュールについては、奈良県産を中心とした国産の梅の実を用いて仕込んだ梅酒及び、現在の主力ブランドである果肉をふんだんにブレンドした「あらごしシリーズ」を中心に展開しております。梅乃宿酒造は、10種類以上のフルーツリキュールを製造し、製造に関する20年以上の経験を有しております。梅乃宿酒造商品は、自社製造の日本酒仕込みによる、アルコール感が優しく飲みやすい商品であり、2024年時点で、国産リキュール市場(注4)において梅乃宿酒造は16.7%のシェアを占めております(出所:株式会社富士経済「2026年食品マーケティング便覧No.3」)。
梅酒については、日本酒をベースとして青梅・完熟梅などをバランスよくブレンドし、丁寧に熟成させ飲みやすさを追求しております。
(注)4.ここでは、株式会社富士経済「2026年食品マーケティング便覧No.3」におけるリキュール類(スピリッツに果実やハーブの香りをつけ糖質などを添加したアルコール飲料のうち、アルコール度数10%未満の缶チューハイ等の割らずにそのまま飲めるものを除いたもの)のうち、国産のものからレモンサワーの素を除いた金額を果実リキュールの市場規模としています。また、シェアは直近の実績値である2024年の当該市場規模を分母とし、梅乃宿酒造の2024年における年間のリキュールの売上高を分子として算出しております。
「あらごしシリーズ」は梅酒を漬けた後の果肉成分をブレンドした梅酒である「あらごし梅酒」を皮切りに、現在では「あらごしゆず」、「あらごしみかん」等、ラインナップを拡充し、アルコールライトユーザーをターゲットに展開しております。リキュールカテゴリにおきましては、果汁をブレンドしたものを主として様々な商品が販売されておりますが、梅乃宿酒造の「あらごしシリーズ」は、製法上の工夫により食感も味わうことができるほどの果実感を残していることを特徴としております。多様な果実を用いた商品をラインナップすることにより、様々な趣味趣向・食文化・シーンに対応できることから、グローバルでも展開が見込めます。
リキュールに用いる原料は、国内・海外の原料を、産地・品種・品質などの観点から選定し、原料メーカーより調達しております。特に、梅乃宿酒造の基幹ブランドである、あらごし梅酒などのあらごしシリーズにおいては、果肉分が特徴となることから、異物混入防止等を含め、品質検査を徹底しております。
なお、梅乃宿酒造商品は香料、保存料、着色料を使用しておりませんが、20年以上の製造経験により培った技術により新鮮な果実を感じさせる色彩を保ったまま商品化しており、見た目にも楽しめる商品となっております。
(日本酒)
(リキュール)
② 新商品
梅乃宿酒造の考える「新しい酒文化の創造」には、日本酒の「おいしさ」を追及しながらも「楽しさ」を探っていくことが欠かせません。梅乃宿酒造は、日本酒蔵としていち早く日本酒リキュールの製造に着手するなど、日本酒の新たな可能性にトライしてまいりました。その革新の精神を受け継ぎ、酒造りで培ってきた伝統的な技術を基礎としつつ、日本酒の多様な楽しみ方を提案し、日本酒の魅力を次の世代に引き継ぐため、既存の枠にとらわれない新たな商品の開発に力を入れております。
近年の新商品例としましては、2022年7月よりECショップのリニューアルに合わせて、果肉をふんだんに使用したリキュールである「大人の果肉の沼」シリーズを「PARLORあらごし」ブランドとして展開開始いたしました。
「大人の果肉の沼」シリーズ第一弾の「PARLORあらごし 大人の果肉の沼「いちご」」は、「いちご果肉をそのまま食べるようにたのしめる」コンセプトのリキュールであり、いちごジャムを思わせる大粒の果肉感と「とろっと感」を特徴としております。当該商品は、そのネーミングとヴィジュアルのインパクトが相俟って、SNS等で多数の反響を獲得いたしました。「大人の果肉の沼」シリーズは、第二弾「マンゴー」(2023年6月)、第三弾「もも」(2024年4月)と順次展開しており、現在梅乃宿酒造オンラインショップにて販売上位の商品となっております。
2025年6月期の新商品としましては、国内BtoB市場においては、BtoC市場での先行販売で好評を得た「甘くておいしいトマト」を2025年1月より全国展開するなど、商品ラインナップの強化を推進いたしました。
また、健康志向の高まりや飲酒に対する社会的な認識の変化により日本のみならず世界中でノンアルコールドリンクの人気が高まっている社会背景の中、「あらごしシリーズと同様の味わいのノンアルコールドリンクが欲しい」というお客様の声に応えて、2024年11月より「梅乃宿ノンアルコールあらごしゆず」を北海道エリアにおいて先行販売を行い、2025年4月より「梅乃宿ノンアルコールあらごしもも」をラインナップに加えて、全国展開を行いました。
新たな取り組みといたしまして、お客様と「ワクワク体験をしながら、お客様の望む商品をつくろう」という想いから始動したプロジェクト「ワクワク開発ラボ」において、梅乃宿ファンが集うオンラインコミュニティ『梅乃宿KURABU』のメンバーと共に創り上げた共創商品『晴れの日ライムミント』など、お客様との関係強化や新たな顧客ニーズの開拓等を進めております。
こうした新商品は自社ECショップ等を中心にSNS等を通じたマーケティングを駆使して販売してまいります。ユニークかつインパクトのある新商品が創出する話題性は、リアルとデジタル両面でコミュニケーションを生み出すことが期待できます。こうした取り組みを通じて、新鮮な酒体験を提供することが、中長期的に酒文化の更なる充実・進化につながるものと考えております。
梅乃宿酒造の新商品開発は、企画から開発までをスピーディーに行い、ECショップやSNS等を通じてリアルタイムに反響を確認しながら、トライ&エラーを反復するモデルとなっております。スピード感のある商品開発の継続により、歴史ある日本酒蔵のイメージにとらわれない果敢な商品を世に送り出し続けることを通じて、「クラフト感(注5)」のある酒蔵としての梅乃宿酒造ブランドを確立し、新たな顧客基盤やファンの開拓につなげております。
こうした新商品開発においても、原材料である酒の調達、迅速かつ連続的な試行錯誤の実行、品質の追及等の様々な面において、梅乃宿酒造が自社で日本酒を製造しており、技術と経験を十分に蓄積している酒蔵である点が、有利に働くものと考えており、確かな伝統に裏打ちされた信頼感と遊び心あふれるクラフト感を両立することが、「梅乃宿」のユニークなブランディングにつながるものと考えております。
(注)5.「クラフト」は、「クラフトビール」のブーム等により用いられるようになった言葉であり、元来の「手作り」だけではなく、酒業界では「小規模」「個性的」「新規性」等のイメージを伴って用いられます。クラフトサケブリュワリー協会は「クラフトサケ」を「日本酒(清酒)の製造技術をベースとして、お米を原料としながら従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒。」と定義しております。
(2) 生産体制
梅乃宿酒造では、製造を自社にて行っております。現在の製造拠点は、2022年7月に移転した新蔵(現本社所在地)であり、新設備による蔵内の温度管理や衛生管理の精度向上により、天候や微生物の混入など外的要因に左右されることなく、より衛生的で安定した品質の酒造りを実現するとともに、作業の大幅な効率化も実現いたしました。
また、酒造りには杜氏と蔵人たちが出稼ぎで蔵に入り、酒造りの本番である冬季だけ働くという伝統がありますが、梅乃宿酒造では、労働力不足の時代に即した人材の確保、技術の継承、働きやすさの確保等の観点から、2017年以降杜氏制度を廃止し、梅乃宿酒造従業員である蔵人全員での酒造りへ転換しております。
それに伴い、杜氏の勘と経験に頼っていた酒造りから、これまで収集してきた日本酒醸造時の温度経過・成分などの分析値などのデータを活用した酒造りへの転換に取り組み、同一製品の味の再現精度の向上等、品質の安定化を実現しております。また、梅乃宿酒造は、日本酒のみを製造する酒蔵と異なり、日本酒リキュールを製造していることから、リキュールに用いられる多様な副原料の特徴に応じた最適な日本酒を常に模索しております。こうした日常的に行われる探索的な酒造りを通じて蓄積される様々なデータの有効活用により、「ねらった味」に辿り着く酒造りの一層の合理化、品質向上が可能となるものと考えております。
さらに、梅乃宿酒造は、生産性の向上、労務負荷の低減、製造原価の削減、製品品質の安定化などの課題解決に向けて、製造施設の機械化、自動化の推進にも取り組んでおります。近年では酒瓶梱包ラインへのロボットの導入、ラベル貼り工程の自動化等を行い、今後も更なる効率化に向けて検討を進めております。
(3) 販売体制
梅乃宿酒造の主要マーケットは、2025年6月期において国内マーケット82.0%(内訳、BtoB:66.7%、BtoC:15.3%)、海外マーケット18.0%の構成比となっております。詳細は以下のとおりであります。
① 国内マーケット
梅乃宿酒造の国内販売は、酒販店などの酒類専門業者、問屋業の卸売業者へのBtoBと、直営店やEC販売でのBtoCのチャネルを有しております。
BtoBにつきましては、梅乃宿酒造は、定価販売を行う専門店を中心とした展開を行ってまいりました。長年にわたる梅乃宿酒造の品質管理や納期遵守の徹底による安定感が、取引先との信頼関係構築につながり、現在では国内取引企業1,000社超のネットワークを有しております。
BtoBは梅乃宿酒造の「あらごしシリーズ」のヒットを牽引する販売基盤であり、リキュールの販売が中心となっております。近年におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、酒販店の取引先である料飲店が大きな打撃を受けておりましたが、取引先と連携しながら新規料飲店の開拓など再興を進めているところであります。また、近年では、量販店を通じた販路拡大にも取り組んでおり、国内大手顧客の開拓を行い大規模商談の獲得にも成功しております。
BtoCの売上については、酒類を含む食品、飲料市場のEC化率は5%未満と未だ低い水準にあるとされており(出所:経済産業省 令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査))、今後の市場規模拡大が期待されます。梅乃宿酒造では、当該市場のポテンシャルを引き出すべく、2022年7月に自社ECサイトをリニューアルし、EC映えのする新商品の投入とSNS等を活用したプロモーション施策を展開しております。また、ECでの販売については、自社ECショップのほか、Amazon、楽天等の外部が運営するECモールへも出店し、BtoC市場の間口獲得を推進しております。
梅乃宿酒造は、自社ECサイトの魅力度を高め、今後の梅乃宿酒造売上の柱へ成長させるために、EC専用商品の企画開発・販売、SNS等の活用による新規顧客の獲得、会員サイト・コミュニティサイトを活用した情報提供や消費者とのコミュニケーション深化によるリピーター獲得などの施策を引き続き推進してまいります。また、ECの強化と同時に、2022年の新蔵移転時に直営店を併設し、日本酒蔵の見学や梅酒づくり体験、年2回の当蔵の開放イベント等を通じ、観光需要を掘り起こすとともに体験価値を提供し、消費者と直接の接点を持つための取り組みを進めております。
梅乃宿酒造と消費者とのコミュニケーション強化は、消費者の声を活かした商品開発等につながる他、BtoBの商流においても、消費者の声を反映した取引先との交渉を可能にします。こうした、BtoBとの間でのシナジー創出に向けたBtoC基盤の強化のため、EC、商品開発、広告、販促、SNS、PR機能を同組織下に配置し、企画から実行、検証までを迅速に行い得る体制を構築しております。
② 海外マーケット
梅乃宿酒造は、2002年より輸出事業を開始いたしました。輸出開始から20年以上が経過し、現在ではアメリカ合衆国・中華人民共和国・香港・台湾・ドイツ・オーストラリア・マレーシア・イギリスなど24の国又は地域に販路を展開しております。
海外売上高の主な構成といたしましては、輸出先ではアジアが37%、北米が27%、欧州が7%、オセアニアが5%、その他の地域が12%となっており、空港免税店向けの販売が12%の比率となっております。
梅乃宿酒造の海外販売のうち90%はリキュールが構成しております(2025年6月期)。これは、主要輸出国の中国、香港、台湾に加えて、近年注力している欧米、オセアニアなどにおいて、みかん、ゆず等の果実を用いた日本産リキュールが希少である中、果実をふんだんに用いた梅乃宿酒造の商品が評価され、徐々に拡大を続けているものであり、各地域への定着及びアジア圏をはじめ、その他輸出国への市場拡大を見込んでおります。
世界的な和食ブームや、和食のユネスコ無形遺産登録もあり、今後も日本製品の需要には期待できるものと考えております。梅乃宿酒造は、各輸出国の代理店との連携、大型量販店の開拓、代理店を通じた料飲店の開拓等の施策を進めてまいります。
各国の嗜好性の違いについては把握が進んできており、専用商品の開発も行いながら、梅乃宿酒造シェアの拡大に向けた活動も継続して実施いたします。また、梅乃宿酒造はインバウンド需要においても積極的に取り組んでおり、関西国際空港、成田国際空港、新千歳空港などの国際空港にある免税店向けの商品ラインナップを充実させることで、訪日観光客からの需要獲得を推進しております。さらに、北米におきまして、ジン、ウォッカの販売を開始するなど、日本酒、リキュールにとどまらない顧客獲得策を実施しております。
なお、海外への販売に関しましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (6) 海外市場に対するリスク」に記載いたしましたとおり、テロ、戦争・伝染病等の社会的混乱、政治的な要因による経済摩擦の発生等の要因が業績に影響を及ぼすリスクがあります。近年においても、福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出に関連して、中国での販売が困難になる等の事象が発生いたしました。特定の国又は地域におけるかかる事象や景気の変動が業績に悪影響を及ぼすリスクに対処するためにも、新規国の開拓には積極的に取り組んでおります。
近年の海外売上高の推移は以下のとおりです。
(金額単位:百万円)
* 海外売上高には免税店を含む空港向けの販売の全部又は一部が含まれます。空港向けの販売は重要性の増加に応じて管理区分を変更しており、2025年6月期から、国内商社経由の空港向けの販売については、免税店向けの販売が含まれないため、国内での販売(BtoB)として管理しております。そのため、2025年6月期以降は、国内商社経由での空港向けの販売額は含まれておりません。
(4) 事業成長モデル
梅乃宿酒造は、BtoB事業とBtoC事業間に好循環を創出する「UMENOYADO LOOP」を事業成長モデルに掲げ、更なる成長を目指しております。これは、BtoB事業を大きな売上を獲得する場、BtoC事業を新しいチャレンジの場と位置付け、BtoB事業において大規模生産する定番商品の販売から獲得する安定的な収益を、BtoC事業での新たなマーケティング・商品開発に投資し、その成果としての認知拡大や新商品をBtoB事業に波及させることで、さらなるBtoB事業の販路・売上拡大につなげるサイクルを循環させるものです。
[UMENOYADO LOOPの概念図]
「UMENOYADO LOOP」におけるこのような好循環を創出・強化するうえで、梅乃宿酒造は、消費者との共創が重要であると考えております。梅乃宿酒造は、「生活者共創型マーケティング」の場を構築し、自社サイトやSNS等を通じてファンとコミュニケーションをとりながら、消費者のファン化を推進し、良好な関係を築いたうえで、その生の声を生かしながら商品を開発し、ファンと共に価値を創り上げる体験を提供することを通じて、ファンコミュニティの更なる強化・拡大を図ります。
[生活者共創型マーケティングの概念図]
[事業系統図]
梅乃宿酒造の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において梅乃宿酒造が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
梅乃宿酒造は、「新しい酒文化を創造する」ことをパーパスとし、「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」ことをミッションに掲げ、「私たちの挑戦が世界の新しいスタンダードを創り出す」ことをビジョンにさだめ、カテゴリー・名称といった、お酒の概念にとらわれることなく、おいしさを求めながら楽しさも探求することにより、誰もがおいしく、楽しいと感じるお酒を生み出し、飲む人を笑顔にする、人を幸せにする酒づくりに挑戦いたします。
梅乃宿酒造の価値観、行動指針は以下のとおりであります。
進化 :失敗を恐れず挑戦し、変わり続けることを楽しむ
団結力 :皆を思いやり、絆を深め、同じ方向を向く
誠実 :規律を守り、ホスピタリティを持ち、小さな約束も守る
情熱 :何事も自分事として能動的に捉え、高い志を持って行動する
本質思考:前例に頼らず、プロ意識を持って考え尽くす
遊び心 :完璧に捉われず、好奇心やユーモアを大切にし、梅乃宿を楽しむ
このような理念に基づき、お客様の価値軸に寄り添いながらも、常に新しい発信と価値提案を続けることにより、顧客満足度の向上を継続させ、梅乃宿酒造の社会的価値の向上とともに企業価値の最大化を図り、持続的な発展を目指すものであります。
(2) 経営環境
梅乃宿酒造を取り巻く環境は、以下のとおりであります。
① 国内酒類市場
全体として、国内酒類市場は縮小傾向が続いており、これは人口の減少や、少子高齢化や若年層の飲酒離れ等の要因によるものと考えております。また、消費者の嗜好の多様化により酒類もバラエティ化が進み、市場の細分化や商品の改廃を伴う回転が加速しております。
近年では、特に新型コロナウイルス感染症をきっかけとした生活様式や働き方の変化が、酒類の消費に影響を与えております。特に、小売市場においては、コロナ禍にEC市場が消費者の新たな購買チャネルとして急成長を遂げました。当該傾向は、自宅での食事や娯楽を楽しむ「イエナカ消費」のニーズとともに、新たな市場として、今後も拡大がみこまれるものと考えております。また、近年、ユニークな副原料等を用いた酒が注目されるようになり、2022年には「クラフトサケブリュワリー協会」が設立されるなど「クラフトサケ」ジャンルが認知されつつあります。こうした小ロットの商材はECを通じた販売と親和性が高いものと考えており、梅乃宿酒造でも「クラフト感」のある新商品開発に力を入れながらBtoCの強化に取り組んでおります。
個別の市場に目を移すと、国内飲食店市場については、円安を背景にした物価上昇を受けて、価格改定による顧客単価の上昇が売上の増加要因となる一方、物価上昇に伴う消費者の節約志向等により、コロナ禍から回復してきた顧客数に頭打ちの傾向が見られる環境の中、訪日外国人客が過去最高となるなどのプラス要因により、2025年は外食産業全体で業態問わず売上高が前年を上回る状況となりました(出所:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査令和7年(2025年)年間結果報告」)。
酒類販売業者を通じた家庭向け販売市場におきましては、コロナ禍に喚起された需要が継続する傾向にあり、引き続き堅調であるものと考えております。また、国内のEC市場につきましては、酒類を含む食品、飲料市場のEC化率は5%未満と未だ低い水準にあるとされておりますが、市場規模は2024年において前年比6.36%増加しており(出所:経済産業省 令和6年度デジタル取引環境整備事業「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」)、今後の市場規模拡大が期待できる状況にあります。
② 海外酒類市場
海外向けの酒類販売市場は成長を続けており、2025年年間の日本産酒類の輸出金額は1,495億円と過去最高額を更新いたしました。梅乃宿酒造は、日本政府の日本産酒類の輸出拡大施策や、和食のユネスコ無形遺産登録等の好材料を追い風に、今後も輸出市場の拡大が期待できるものと考えております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化による世界経済の不安定化、中国国内の経済動向、米国の通商政策の影響などの不確定要素もあり、国際情勢によって不測の影響を受けることも考えられます。
日本産酒類の輸出先を国別にみると、中国、アメリカが最大市場であり、韓国、台湾、シンガポール、香港がそれに次ぐ構図となっております(出所:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について(2026年2月作成)」)。
③ 生産面
製造面においては、原材料費・包材費・人件費等の生産コストの上昇、物流費の高騰など原価を圧迫する要因が増加の一途をたどっております。原材料においては、生産者の減少が続いており、供給減少に伴う調達量・価格面での競争が激化しております。
また、売上増加に比例した製品の増産にともない、人員の確保も必要となりますが、生産年齢人口の減少によって人員確保も容易ではない状況にあります。ついては、生産設備の更新・増強を行い、効率化を推進するとともに生産性向上に向けて、設備投資を含めた対策を続けてまいります。
(3) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題
梅乃宿酒造は、中期的な経営目標として、「①より多くの人に梅乃宿を」、「②ブランド戦略の明確化」、「③革新の連続」「④丁寧な酒造りの磨き込み」、「⑤組織力の底上げ」等の各種施策の遂行に取り組んでまいりました。
具体的な戦略と課題は以下のとおりであります。
① 「より多くの人に梅乃宿を」
国内BtoBにおきましては、品質管理・納期遵守の管理体制の徹底・向上の姿勢を維持し、より多くの取引先様との信頼関係を維持・強化しながら、既存顧客の取扱いアイテムの増加を図るために提案力の強化を図ります。また、新規顧客の開拓にむけた施策として、梅乃宿酒造の得意先である酒販店の顧客である飲食店の開拓に向けた導入提案の支援等の取り組みを行います。こうした取り組みを通じて、既存顧客との関係強化と売上最大化、新規顧客の拡大を着実に進めてまいります。
また、近年進めてきた大手量販店等の大口クライアントへのアプローチを継続し、海外展開への足掛かりとしながら、定番商品の更なる国内シェア拡大を目指し、日本酒リキュールとして第一想起されるブランドとしての立ち位置を強固なものとしてまいります。
加えて、国内では飲酒量の総量に減少の傾向がみられる中、少量の質の高いお酒を楽しむ顧客ニーズへの対応も重要であると考えており、高価格帯商品による贈答ニーズなど、高付加価値な酒類の需要を取り込むべく、プレミアムラインの拡大に向けた取り組みを行っております。
海外展開に関しましては、2025年12月末時点で、24の国又は地域へ輸出を実施するに至っております。海外については、引き続き主力顧客の深掘、新規顧客の開拓に注力し、各国の輸出代理店との関係強化を通じて現地販売網の構築を進めてまいります。また、新型コロナウイルスの影響で、一次的にインバウンド需要は停滞しておりましたが、梅乃宿酒造は国内主要国際空港の免税店向けの販売強化を実施しており、訪日観光客の取り込みから、現地での購買活動の推進につなげ、市場開拓を進めております。現在の梅乃宿酒造主力輸出先は、中国、香港、台湾、アメリカとなっており、当該国への輸出の推進については今後も継続してまいりますが、経済情勢・国際情勢のリスクを鑑み、注力国の範囲を広げ、次世代の柱となる国との取引強化を推進してまいります。
地域別には、アジアでは中国、台湾、香港を中核市場に位置づけしながら、インド、シンガポールを含むASEAN、韓国など、成長国での取引拡大を推進します。北米では、代理店を通じたリキュール販売の強化により、量販店、専門店の両軸で取引の拡大を目指します。欧州においては、ドイツとフランスを中核に据え、高付加価値市場でのブランド浸透を推進します。そして、オセアニアでは、オーストラリアを拠点市場としながら、ニュージーランドへの販路拡張をはかり、南半球市場への展開を強化する方針です。その他の地域としましては、西アジア(中東)地域への進出に向けた開拓活動等を続けてまいります。また、コストコの海外店舗への展開を開始しており、今後は、導入国数を増加させ、販路拡大を図ってまいります。
以上のほか、海外展開に関しましては、越境ECについても可能性があるものと考えており、広告拡大による顧客獲得、EC販売の拡大を、代理店経由の輸出拡大と並行して推進してまいります。
BtoCにおきましては、梅乃宿酒造の商品開発力を武器に引き続きユニークな商品を展開しながら、ECサイト、SNS、会員型コミュニティの好循環を軸に進めて参ります。ECサイトを通じた販売については、2022年7月の自社ECサイトリニューアルを機に、商品ラインナップと、広告戦略をより密接に連動させた販売体制を構築し、専用商品の開発と認知度向上や顧客獲得のためのSNS等を活用したマーケティング・プロモーションを実施した結果、順調に顧客基盤を拡大しつつあります。今後は、会員型コミュニティ「梅乃宿KURABU」等を活用し、飲用体験の共有などユニークな酒体験の提供を進め、お客様と繋がることで顧客ロイヤリティの醸成を行なってまいります。
また、2022年7月に新蔵内に開設した直営店は、新蔵をお客様と梅乃宿酒造の接点として有効活用するために、現地で商品を販売するだけではない店舗運営を行っております。「魅せる」酒蔵として、観光需要の拡大をはかり、蔵開きなどのイベントの開催、蔵見学・梅酒作り体験など「体験型」酒蔵として、幅広い世代、属性の顧客獲得に向けての施策を継続的に推進してまいります。
② 「ブランド戦略の明確化」
梅乃宿酒造は、日本酒製造から生業を開始し、現在の主力はリキュール製造となっております。近年は、国内におけるこれまでの酒販店を中心とした販売、海外における代理店を通じた輸出といったBtoBチャネルに加え、EC・直営店のBtoCチャネルの強化に取り組む中で、各チャネルに対して適切にブランド・商品を選定し販売するために、チャネルごとに価値機軸を明確にし、ブランドラインナップの整理を実施し、商品の棲み分けを行ってまいりました。
今後は、それぞれの販売チャネルに対し、それぞれの顧客に対する価値機軸に基づいた提案を実施するとともに、高付加価値化を含め適切にプロダクトラインナップの強化をはかり、梅乃宿酒造への信頼感を高めてまいります。さらに、BtoCチャネルにおける直接的なお客様とのコミュニケーション結果をダイレクトにBtoBチャネル向けの商品・ブランドに反映させることができる点が梅乃宿酒造の強みであり、このBtoB、BtoCチャネルのシナジー効果を売上拡大につなげてまいります。
③ 「革新の連続」
梅乃宿酒造は、伝統的な酒文化を継承しつつ、日本酒リキュールの製造販売にいち早く取り組むなど、革新の歴史を有しております。今後も、当該革新の精神を受け継ぎ、日本酒、リキュールにおいて引き続き思い切った新商品を開発する他、日本酒、リキュール以外の商品開発や食品等の新領域への展開を進めております。
当該取り組みにおいては、梅乃宿酒造の商品開発における独創性やスピード感、BtoCを通じて獲得した「ファン」基盤等を活用し、既存概念にとらわれない酒文化の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
④ 「丁寧な酒造りの磨き込み」
梅乃宿酒造は、過去20年にわたり、酒造りにおける各工程のデータを記録し、蓄積してまいりました。この資産を基に、製造工程の視える化を推進することで、日本酒製造業における伝統的な杜氏制度を廃止するに至りました。杜氏の勘と経験ではなく、過去のデータに基づいた仕込み経過の予測により、出来上がりの品質のばらつきを低減し、高品質かつ再現性のある日本酒造りが実現いたしました。さらに、2022年7月の蔵移転により、最先端の製造体制を構築することができ、温度管理や、衛生管理の精度が向上し、天候や目的外の微生物の混入などの外的要因に左右されない安定的な生産体制を構築しております。2023年6月には「大阪版食の安心安全認証」を取得し、社外の視点でも評価を得ております。
今後も、現在進行形で蓄積しているデータを活用し、高品質かつ再現性のある製造技術に磨きをかけるとともに、既存設備の自動化・高速化を含めた生産能力の拡大、生産効率の向上、品質の向上に向けた設備更新を行い、経営の効率化と職場の働きやすさ向上に取り組んでまいります。
また、生産体制の向上とともに、教育体制、組織強化をはかりお客様へより安全安心な商品を提供してまいります。
⑤ 「組織力の底上げ」
梅乃宿酒造が掲げるミッションである「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」の実現のためには、社員一人一人が「ワクワク」していなければ、お客様を「ワクワク」させることはできないと考えており、働き方の改革を進めてまいりました。特に、日本酒製造においては、伝統産業的である絶対的な長を中心とする「杜氏制度」に基づいた生産体制と冬季に醸造する、季節労働的勤務体制が主であったものを、生産体制、勤務体制を見直し、日本酒製造の従業員も一般社員と同様の働き方とする、働き方改革を実現しております。
さらに、単に“楽しく働く”のではなく、社員が同じベクトル、高いモチベーションで、強い組織を構築してこそ梅乃宿酒造のミッションが実現するととらえて、組織力の底上げにつながる制度改革を推進しております。年齢給制度の廃止を伴う人事評価制度の改定を行い、組織ビジョンと社員各人の目標・目的を明確化し、結果に対する評価の一元化とともにチャレンジ風土の醸成と社員のキャリアパス、成長の支援を強化いたしました。2023年4月には機能組織の改編による、権限・責任の委譲を通じたガバナンス強化を実施いたしました。これは組織の機能の最適化と同時に組織の強化を図るものであります。働きやすさと業務の効率化を実現するためにIT化を推進し、必要最低限の人員で業務を遂行できる筋肉質な組織づくりに向けた体制整備も進めております。
具体的には、障がい者雇用、国境を越えた採用、男女の区別のない採用、人事考課による昇進、女性の産休後の復職支援、男性の育児休暇取得制度、扶養する小学生以上を対象とした就学支援手当の拡充のほか、昨今の物価上昇などの社会情勢を加味したベースアップの実施などの組織を支える人への支えを強化してまいります。
また、梅乃宿酒造は日本酒業界以外の人材採用にも積極的に取り組んでおります。これまでに、菓子業界、厨房機器業界等、異業種からの人材を迎え入れ、新たな視点からのビジネスの磨き込みに取り組んでまいりました。
今後も、持続的成長を可能とする組織文化の醸成に向けた働き方の改革を継続しつつ、売上拡大の一翼を担う営業部門の強化、事業の拡大を支えるマーケティング部門の強化、商品開発機能の進化、社内の最適な統制の持続に向けた管理部門の強化、グローバル展開を支える人材の国際化など、一層の組織強化を推進してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、EBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)、BtoC売上、海外売上及びROE(自己資本利益率)の4つをKPIとして、設定しております。
各指標の詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
梅乃宿酒造の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において梅乃宿酒造が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
梅乃宿酒造は、「新しい酒文化を創造する」ことをパーパスとし、「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」ことをミッションに掲げ、「私たちの挑戦が世界の新しいスタンダードを創り出す」ことをビジョンにさだめ、カテゴリー・名称といった、お酒の概念にとらわれることなく、おいしさを求めながら楽しさも探求することにより、誰もがおいしく、楽しいと感じるお酒を生み出し、飲む人を笑顔にする、人を幸せにする酒づくりに挑戦いたします。
梅乃宿酒造の価値観、行動指針は以下のとおりであります。
進化 :失敗を恐れず挑戦し、変わり続けることを楽しむ
団結力 :皆を思いやり、絆を深め、同じ方向を向く
誠実 :規律を守り、ホスピタリティを持ち、小さな約束も守る
情熱 :何事も自分事として能動的に捉え、高い志を持って行動する
本質思考:前例に頼らず、プロ意識を持って考え尽くす
遊び心 :完璧に捉われず、好奇心やユーモアを大切にし、梅乃宿を楽しむ
このような理念に基づき、お客様の価値軸に寄り添いながらも、常に新しい発信と価値提案を続けることにより、顧客満足度の向上を継続させ、梅乃宿酒造の社会的価値の向上とともに企業価値の最大化を図り、持続的な発展を目指すものであります。
(2) 経営環境
梅乃宿酒造を取り巻く環境は、以下のとおりであります。
① 国内酒類市場
全体として、国内酒類市場は縮小傾向が続いており、これは人口の減少や、少子高齢化や若年層の飲酒離れ等の要因によるものと考えております。また、消費者の嗜好の多様化により酒類もバラエティ化が進み、市場の細分化や商品の改廃を伴う回転が加速しております。
近年では、特に新型コロナウイルス感染症をきっかけとした生活様式や働き方の変化が、酒類の消費に影響を与えております。特に、小売市場においては、コロナ禍にEC市場が消費者の新たな購買チャネルとして急成長を遂げました。当該傾向は、自宅での食事や娯楽を楽しむ「イエナカ消費」のニーズとともに、新たな市場として、今後も拡大がみこまれるものと考えております。また、近年、ユニークな副原料等を用いた酒が注目されるようになり、2022年には「クラフトサケブリュワリー協会」が設立されるなど「クラフトサケ」ジャンルが認知されつつあります。こうした小ロットの商材はECを通じた販売と親和性が高いものと考えており、梅乃宿酒造でも「クラフト感」のある新商品開発に力を入れながらBtoCの強化に取り組んでおります。
個別の市場に目を移すと、国内飲食店市場については、円安を背景にした物価上昇を受けて、価格改定による顧客単価の上昇が売上の増加要因となる一方、物価上昇に伴う消費者の節約志向等により、コロナ禍から回復してきた顧客数に頭打ちの傾向が見られる環境の中、訪日外国人客が過去最高となるなどのプラス要因により、2025年は外食産業全体で業態問わず売上高が前年を上回る状況となりました(出所:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査令和7年(2025年)年間結果報告」)。
酒類販売業者を通じた家庭向け販売市場におきましては、コロナ禍に喚起された需要が継続する傾向にあり、引き続き堅調であるものと考えております。また、国内のEC市場につきましては、酒類を含む食品、飲料市場のEC化率は5%未満と未だ低い水準にあるとされておりますが、市場規模は2024年において前年比6.36%増加しており(出所:経済産業省 令和6年度デジタル取引環境整備事業「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」)、今後の市場規模拡大が期待できる状況にあります。
② 海外酒類市場
海外向けの酒類販売市場は成長を続けており、2025年年間の日本産酒類の輸出金額は1,495億円と過去最高額を更新いたしました。梅乃宿酒造は、日本政府の日本産酒類の輸出拡大施策や、和食のユネスコ無形遺産登録等の好材料を追い風に、今後も輸出市場の拡大が期待できるものと考えております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化による世界経済の不安定化、中国国内の経済動向、米国の通商政策の影響などの不確定要素もあり、国際情勢によって不測の影響を受けることも考えられます。
日本産酒類の輸出先を国別にみると、中国、アメリカが最大市場であり、韓国、台湾、シンガポール、香港がそれに次ぐ構図となっております(出所:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について(2026年2月作成)」)。
③ 生産面
製造面においては、原材料費・包材費・人件費等の生産コストの上昇、物流費の高騰など原価を圧迫する要因が増加の一途をたどっております。原材料においては、生産者の減少が続いており、供給減少に伴う調達量・価格面での競争が激化しております。
また、売上増加に比例した製品の増産にともない、人員の確保も必要となりますが、生産年齢人口の減少によって人員確保も容易ではない状況にあります。ついては、生産設備の更新・増強を行い、効率化を推進するとともに生産性向上に向けて、設備投資を含めた対策を続けてまいります。
(3) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題
梅乃宿酒造は、中期的な経営目標として、「①より多くの人に梅乃宿を」、「②ブランド戦略の明確化」、「③革新の連続」「④丁寧な酒造りの磨き込み」、「⑤組織力の底上げ」等の各種施策の遂行に取り組んでまいりました。
具体的な戦略と課題は以下のとおりであります。
① 「より多くの人に梅乃宿を」
国内BtoBにおきましては、品質管理・納期遵守の管理体制の徹底・向上の姿勢を維持し、より多くの取引先様との信頼関係を維持・強化しながら、既存顧客の取扱いアイテムの増加を図るために提案力の強化を図ります。また、新規顧客の開拓にむけた施策として、梅乃宿酒造の得意先である酒販店の顧客である飲食店の開拓に向けた導入提案の支援等の取り組みを行います。こうした取り組みを通じて、既存顧客との関係強化と売上最大化、新規顧客の拡大を着実に進めてまいります。
また、近年進めてきた大手量販店等の大口クライアントへのアプローチを継続し、海外展開への足掛かりとしながら、定番商品の更なる国内シェア拡大を目指し、日本酒リキュールとして第一想起されるブランドとしての立ち位置を強固なものとしてまいります。
加えて、国内では飲酒量の総量に減少の傾向がみられる中、少量の質の高いお酒を楽しむ顧客ニーズへの対応も重要であると考えており、高価格帯商品による贈答ニーズなど、高付加価値な酒類の需要を取り込むべく、プレミアムラインの拡大に向けた取り組みを行っております。
海外展開に関しましては、2025年12月末時点で、24の国又は地域へ輸出を実施するに至っております。海外については、引き続き主力顧客の深掘、新規顧客の開拓に注力し、各国の輸出代理店との関係強化を通じて現地販売網の構築を進めてまいります。また、新型コロナウイルスの影響で、一次的にインバウンド需要は停滞しておりましたが、梅乃宿酒造は国内主要国際空港の免税店向けの販売強化を実施しており、訪日観光客の取り込みから、現地での購買活動の推進につなげ、市場開拓を進めております。現在の梅乃宿酒造主力輸出先は、中国、香港、台湾、アメリカとなっており、当該国への輸出の推進については今後も継続してまいりますが、経済情勢・国際情勢のリスクを鑑み、注力国の範囲を広げ、次世代の柱となる国との取引強化を推進してまいります。
地域別には、アジアでは中国、台湾、香港を中核市場に位置づけしながら、インド、シンガポールを含むASEAN、韓国など、成長国での取引拡大を推進します。北米では、代理店を通じたリキュール販売の強化により、量販店、専門店の両軸で取引の拡大を目指します。欧州においては、ドイツとフランスを中核に据え、高付加価値市場でのブランド浸透を推進します。そして、オセアニアでは、オーストラリアを拠点市場としながら、ニュージーランドへの販路拡張をはかり、南半球市場への展開を強化する方針です。その他の地域としましては、西アジア(中東)地域への進出に向けた開拓活動等を続けてまいります。また、コストコの海外店舗への展開を開始しており、今後は、導入国数を増加させ、販路拡大を図ってまいります。
以上のほか、海外展開に関しましては、越境ECについても可能性があるものと考えており、広告拡大による顧客獲得、EC販売の拡大を、代理店経由の輸出拡大と並行して推進してまいります。
BtoCにおきましては、梅乃宿酒造の商品開発力を武器に引き続きユニークな商品を展開しながら、ECサイト、SNS、会員型コミュニティの好循環を軸に進めて参ります。ECサイトを通じた販売については、2022年7月の自社ECサイトリニューアルを機に、商品ラインナップと、広告戦略をより密接に連動させた販売体制を構築し、専用商品の開発と認知度向上や顧客獲得のためのSNS等を活用したマーケティング・プロモーションを実施した結果、順調に顧客基盤を拡大しつつあります。今後は、会員型コミュニティ「梅乃宿KURABU」等を活用し、飲用体験の共有などユニークな酒体験の提供を進め、お客様と繋がることで顧客ロイヤリティの醸成を行なってまいります。
また、2022年7月に新蔵内に開設した直営店は、新蔵をお客様と梅乃宿酒造の接点として有効活用するために、現地で商品を販売するだけではない店舗運営を行っております。「魅せる」酒蔵として、観光需要の拡大をはかり、蔵開きなどのイベントの開催、蔵見学・梅酒作り体験など「体験型」酒蔵として、幅広い世代、属性の顧客獲得に向けての施策を継続的に推進してまいります。
② 「ブランド戦略の明確化」
梅乃宿酒造は、日本酒製造から生業を開始し、現在の主力はリキュール製造となっております。近年は、国内におけるこれまでの酒販店を中心とした販売、海外における代理店を通じた輸出といったBtoBチャネルに加え、EC・直営店のBtoCチャネルの強化に取り組む中で、各チャネルに対して適切にブランド・商品を選定し販売するために、チャネルごとに価値機軸を明確にし、ブランドラインナップの整理を実施し、商品の棲み分けを行ってまいりました。
今後は、それぞれの販売チャネルに対し、それぞれの顧客に対する価値機軸に基づいた提案を実施するとともに、高付加価値化を含め適切にプロダクトラインナップの強化をはかり、梅乃宿酒造への信頼感を高めてまいります。さらに、BtoCチャネルにおける直接的なお客様とのコミュニケーション結果をダイレクトにBtoBチャネル向けの商品・ブランドに反映させることができる点が梅乃宿酒造の強みであり、このBtoB、BtoCチャネルのシナジー効果を売上拡大につなげてまいります。
③ 「革新の連続」
梅乃宿酒造は、伝統的な酒文化を継承しつつ、日本酒リキュールの製造販売にいち早く取り組むなど、革新の歴史を有しております。今後も、当該革新の精神を受け継ぎ、日本酒、リキュールにおいて引き続き思い切った新商品を開発する他、日本酒、リキュール以外の商品開発や食品等の新領域への展開を進めております。
当該取り組みにおいては、梅乃宿酒造の商品開発における独創性やスピード感、BtoCを通じて獲得した「ファン」基盤等を活用し、既存概念にとらわれない酒文化の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
④ 「丁寧な酒造りの磨き込み」
梅乃宿酒造は、過去20年にわたり、酒造りにおける各工程のデータを記録し、蓄積してまいりました。この資産を基に、製造工程の視える化を推進することで、日本酒製造業における伝統的な杜氏制度を廃止するに至りました。杜氏の勘と経験ではなく、過去のデータに基づいた仕込み経過の予測により、出来上がりの品質のばらつきを低減し、高品質かつ再現性のある日本酒造りが実現いたしました。さらに、2022年7月の蔵移転により、最先端の製造体制を構築することができ、温度管理や、衛生管理の精度が向上し、天候や目的外の微生物の混入などの外的要因に左右されない安定的な生産体制を構築しております。2023年6月には「大阪版食の安心安全認証」を取得し、社外の視点でも評価を得ております。
今後も、現在進行形で蓄積しているデータを活用し、高品質かつ再現性のある製造技術に磨きをかけるとともに、既存設備の自動化・高速化を含めた生産能力の拡大、生産効率の向上、品質の向上に向けた設備更新を行い、経営の効率化と職場の働きやすさ向上に取り組んでまいります。
また、生産体制の向上とともに、教育体制、組織強化をはかりお客様へより安全安心な商品を提供してまいります。
⑤ 「組織力の底上げ」
梅乃宿酒造が掲げるミッションである「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」の実現のためには、社員一人一人が「ワクワク」していなければ、お客様を「ワクワク」させることはできないと考えており、働き方の改革を進めてまいりました。特に、日本酒製造においては、伝統産業的である絶対的な長を中心とする「杜氏制度」に基づいた生産体制と冬季に醸造する、季節労働的勤務体制が主であったものを、生産体制、勤務体制を見直し、日本酒製造の従業員も一般社員と同様の働き方とする、働き方改革を実現しております。
さらに、単に“楽しく働く”のではなく、社員が同じベクトル、高いモチベーションで、強い組織を構築してこそ梅乃宿酒造のミッションが実現するととらえて、組織力の底上げにつながる制度改革を推進しております。年齢給制度の廃止を伴う人事評価制度の改定を行い、組織ビジョンと社員各人の目標・目的を明確化し、結果に対する評価の一元化とともにチャレンジ風土の醸成と社員のキャリアパス、成長の支援を強化いたしました。2023年4月には機能組織の改編による、権限・責任の委譲を通じたガバナンス強化を実施いたしました。これは組織の機能の最適化と同時に組織の強化を図るものであります。働きやすさと業務の効率化を実現するためにIT化を推進し、必要最低限の人員で業務を遂行できる筋肉質な組織づくりに向けた体制整備も進めております。
具体的には、障がい者雇用、国境を越えた採用、男女の区別のない採用、人事考課による昇進、女性の産休後の復職支援、男性の育児休暇取得制度、扶養する小学生以上を対象とした就学支援手当の拡充のほか、昨今の物価上昇などの社会情勢を加味したベースアップの実施などの組織を支える人への支えを強化してまいります。
また、梅乃宿酒造は日本酒業界以外の人材採用にも積極的に取り組んでおります。これまでに、菓子業界、厨房機器業界等、異業種からの人材を迎え入れ、新たな視点からのビジネスの磨き込みに取り組んでまいりました。
今後も、持続的成長を可能とする組織文化の醸成に向けた働き方の改革を継続しつつ、売上拡大の一翼を担う営業部門の強化、事業の拡大を支えるマーケティング部門の強化、商品開発機能の進化、社内の最適な統制の持続に向けた管理部門の強化、グローバル展開を支える人材の国際化など、一層の組織強化を推進してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、EBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)、BtoC売上、海外売上及びROE(自己資本利益率)の4つをKPIとして、設定しております。
各指標の詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
梅乃宿酒造の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において梅乃宿酒造が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
梅乃宿酒造は、「新しい酒文化を創造する」ことをパーパスとし、「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」ことをミッションに掲げ、「私たちの挑戦が世界の新しいスタンダードを創り出す」ことをビジョンにさだめ、カテゴリー・名称といった、お酒の概念にとらわれることなく、おいしさを求めながら楽しさも探求することにより、誰もがおいしく、楽しいと感じるお酒を生み出し、飲む人を笑顔にする、人を幸せにする酒づくりに挑戦いたします。
梅乃宿酒造の価値観、行動指針は以下のとおりであります。
進化 :失敗を恐れず挑戦し、変わり続けることを楽しむ
団結力 :皆を思いやり、絆を深め、同じ方向を向く
誠実 :規律を守り、ホスピタリティを持ち、小さな約束も守る
情熱 :何事も自分事として能動的に捉え、高い志を持って行動する
本質思考:前例に頼らず、プロ意識を持って考え尽くす
遊び心 :完璧に捉われず、好奇心やユーモアを大切にし、梅乃宿を楽しむ
このような理念に基づき、お客様の価値軸に寄り添いながらも、常に新しい発信と価値提案を続けることにより、顧客満足度の向上を継続させ、梅乃宿酒造の社会的価値の向上とともに企業価値の最大化を図り、持続的な発展を目指すものであります。
(2) 経営環境
梅乃宿酒造を取り巻く環境は、以下のとおりであります。
① 国内酒類市場
全体として、国内酒類市場は縮小傾向が続いており、これは人口の減少や、少子高齢化や若年層の飲酒離れ等の要因によるものと考えております。また、消費者の嗜好の多様化により酒類もバラエティ化が進み、市場の細分化や商品の改廃を伴う回転が加速しております。
近年では、特に新型コロナウイルス感染症をきっかけとした生活様式や働き方の変化が、酒類の消費に影響を与えております。特に、小売市場においては、コロナ禍にEC市場が消費者の新たな購買チャネルとして急成長を遂げました。当該傾向は、自宅での食事や娯楽を楽しむ「イエナカ消費」のニーズとともに、新たな市場として、今後も拡大がみこまれるものと考えております。また、近年、ユニークな副原料等を用いた酒が注目されるようになり、2022年には「クラフトサケブリュワリー協会」が設立されるなど「クラフトサケ」ジャンルが認知されつつあります。こうした小ロットの商材はECを通じた販売と親和性が高いものと考えており、梅乃宿酒造でも「クラフト感」のある新商品開発に力を入れながらBtoCの強化に取り組んでおります。
個別の市場に目を移すと、国内飲食店市場については、円安を背景にした物価上昇を受けて、価格改定による顧客単価の上昇が売上の増加要因となる一方、物価上昇に伴う消費者の節約志向等により、コロナ禍から回復してきた顧客数に頭打ちの傾向が見られる環境の中、訪日外国人客が過去最高となるなどのプラス要因により、2025年は外食産業全体で業態問わず売上高が前年を上回る状況となりました(出所:一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査令和7年(2025年)年間結果報告」)。
酒類販売業者を通じた家庭向け販売市場におきましては、コロナ禍に喚起された需要が継続する傾向にあり、引き続き堅調であるものと考えております。また、国内のEC市場につきましては、酒類を含む食品、飲料市場のEC化率は5%未満と未だ低い水準にあるとされておりますが、市場規模は2024年において前年比6.36%増加しており(出所:経済産業省 令和6年度デジタル取引環境整備事業「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」)、今後の市場規模拡大が期待できる状況にあります。
② 海外酒類市場
海外向けの酒類販売市場は成長を続けており、2025年年間の日本産酒類の輸出金額は1,495億円と過去最高額を更新いたしました。梅乃宿酒造は、日本政府の日本産酒類の輸出拡大施策や、和食のユネスコ無形遺産登録等の好材料を追い風に、今後も輸出市場の拡大が期待できるものと考えております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化による世界経済の不安定化、中国国内の経済動向、米国の通商政策の影響などの不確定要素もあり、国際情勢によって不測の影響を受けることも考えられます。
日本産酒類の輸出先を国別にみると、中国、アメリカが最大市場であり、韓国、台湾、シンガポール、香港がそれに次ぐ構図となっております(出所:国税庁「最近の日本産酒類の輸出動向について(2026年2月作成)」)。
③ 生産面
製造面においては、原材料費・包材費・人件費等の生産コストの上昇、物流費の高騰など原価を圧迫する要因が増加の一途をたどっております。原材料においては、生産者の減少が続いており、供給減少に伴う調達量・価格面での競争が激化しております。
また、売上増加に比例した製品の増産にともない、人員の確保も必要となりますが、生産年齢人口の減少によって人員確保も容易ではない状況にあります。ついては、生産設備の更新・増強を行い、効率化を推進するとともに生産性向上に向けて、設備投資を含めた対策を続けてまいります。
(3) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題
梅乃宿酒造は、中期的な経営目標として、「①より多くの人に梅乃宿を」、「②ブランド戦略の明確化」、「③革新の連続」「④丁寧な酒造りの磨き込み」、「⑤組織力の底上げ」等の各種施策の遂行に取り組んでまいりました。
具体的な戦略と課題は以下のとおりであります。
① 「より多くの人に梅乃宿を」
国内BtoBにおきましては、品質管理・納期遵守の管理体制の徹底・向上の姿勢を維持し、より多くの取引先様との信頼関係を維持・強化しながら、既存顧客の取扱いアイテムの増加を図るために提案力の強化を図ります。また、新規顧客の開拓にむけた施策として、梅乃宿酒造の得意先である酒販店の顧客である飲食店の開拓に向けた導入提案の支援等の取り組みを行います。こうした取り組みを通じて、既存顧客との関係強化と売上最大化、新規顧客の拡大を着実に進めてまいります。
また、近年進めてきた大手量販店等の大口クライアントへのアプローチを継続し、海外展開への足掛かりとしながら、定番商品の更なる国内シェア拡大を目指し、日本酒リキュールとして第一想起されるブランドとしての立ち位置を強固なものとしてまいります。
加えて、国内では飲酒量の総量に減少の傾向がみられる中、少量の質の高いお酒を楽しむ顧客ニーズへの対応も重要であると考えており、高価格帯商品による贈答ニーズなど、高付加価値な酒類の需要を取り込むべく、プレミアムラインの拡大に向けた取り組みを行っております。
海外展開に関しましては、2025年12月末時点で、24の国又は地域へ輸出を実施するに至っております。海外については、引き続き主力顧客の深掘、新規顧客の開拓に注力し、各国の輸出代理店との関係強化を通じて現地販売網の構築を進めてまいります。また、新型コロナウイルスの影響で、一次的にインバウンド需要は停滞しておりましたが、梅乃宿酒造は国内主要国際空港の免税店向けの販売強化を実施しており、訪日観光客の取り込みから、現地での購買活動の推進につなげ、市場開拓を進めております。現在の梅乃宿酒造主力輸出先は、中国、香港、台湾、アメリカとなっており、当該国への輸出の推進については今後も継続してまいりますが、経済情勢・国際情勢のリスクを鑑み、注力国の範囲を広げ、次世代の柱となる国との取引強化を推進してまいります。
地域別には、アジアでは中国、台湾、香港を中核市場に位置づけしながら、インド、シンガポールを含むASEAN、韓国など、成長国での取引拡大を推進します。北米では、代理店を通じたリキュール販売の強化により、量販店、専門店の両軸で取引の拡大を目指します。欧州においては、ドイツとフランスを中核に据え、高付加価値市場でのブランド浸透を推進します。そして、オセアニアでは、オーストラリアを拠点市場としながら、ニュージーランドへの販路拡張をはかり、南半球市場への展開を強化する方針です。その他の地域としましては、西アジア(中東)地域への進出に向けた開拓活動等を続けてまいります。また、コストコの海外店舗への展開を開始しており、今後は、導入国数を増加させ、販路拡大を図ってまいります。
以上のほか、海外展開に関しましては、越境ECについても可能性があるものと考えており、広告拡大による顧客獲得、EC販売の拡大を、代理店経由の輸出拡大と並行して推進してまいります。
BtoCにおきましては、梅乃宿酒造の商品開発力を武器に引き続きユニークな商品を展開しながら、ECサイト、SNS、会員型コミュニティの好循環を軸に進めて参ります。ECサイトを通じた販売については、2022年7月の自社ECサイトリニューアルを機に、商品ラインナップと、広告戦略をより密接に連動させた販売体制を構築し、専用商品の開発と認知度向上や顧客獲得のためのSNS等を活用したマーケティング・プロモーションを実施した結果、順調に顧客基盤を拡大しつつあります。今後は、会員型コミュニティ「梅乃宿KURABU」等を活用し、飲用体験の共有などユニークな酒体験の提供を進め、お客様と繋がることで顧客ロイヤリティの醸成を行なってまいります。
また、2022年7月に新蔵内に開設した直営店は、新蔵をお客様と梅乃宿酒造の接点として有効活用するために、現地で商品を販売するだけではない店舗運営を行っております。「魅せる」酒蔵として、観光需要の拡大をはかり、蔵開きなどのイベントの開催、蔵見学・梅酒作り体験など「体験型」酒蔵として、幅広い世代、属性の顧客獲得に向けての施策を継続的に推進してまいります。
② 「ブランド戦略の明確化」
梅乃宿酒造は、日本酒製造から生業を開始し、現在の主力はリキュール製造となっております。近年は、国内におけるこれまでの酒販店を中心とした販売、海外における代理店を通じた輸出といったBtoBチャネルに加え、EC・直営店のBtoCチャネルの強化に取り組む中で、各チャネルに対して適切にブランド・商品を選定し販売するために、チャネルごとに価値機軸を明確にし、ブランドラインナップの整理を実施し、商品の棲み分けを行ってまいりました。
今後は、それぞれの販売チャネルに対し、それぞれの顧客に対する価値機軸に基づいた提案を実施するとともに、高付加価値化を含め適切にプロダクトラインナップの強化をはかり、梅乃宿酒造への信頼感を高めてまいります。さらに、BtoCチャネルにおける直接的なお客様とのコミュニケーション結果をダイレクトにBtoBチャネル向けの商品・ブランドに反映させることができる点が梅乃宿酒造の強みであり、このBtoB、BtoCチャネルのシナジー効果を売上拡大につなげてまいります。
③ 「革新の連続」
梅乃宿酒造は、伝統的な酒文化を継承しつつ、日本酒リキュールの製造販売にいち早く取り組むなど、革新の歴史を有しております。今後も、当該革新の精神を受け継ぎ、日本酒、リキュールにおいて引き続き思い切った新商品を開発する他、日本酒、リキュール以外の商品開発や食品等の新領域への展開を進めております。
当該取り組みにおいては、梅乃宿酒造の商品開発における独創性やスピード感、BtoCを通じて獲得した「ファン」基盤等を活用し、既存概念にとらわれない酒文化の創出に取り組んでまいりたいと考えております。
④ 「丁寧な酒造りの磨き込み」
梅乃宿酒造は、過去20年にわたり、酒造りにおける各工程のデータを記録し、蓄積してまいりました。この資産を基に、製造工程の視える化を推進することで、日本酒製造業における伝統的な杜氏制度を廃止するに至りました。杜氏の勘と経験ではなく、過去のデータに基づいた仕込み経過の予測により、出来上がりの品質のばらつきを低減し、高品質かつ再現性のある日本酒造りが実現いたしました。さらに、2022年7月の蔵移転により、最先端の製造体制を構築することができ、温度管理や、衛生管理の精度が向上し、天候や目的外の微生物の混入などの外的要因に左右されない安定的な生産体制を構築しております。2023年6月には「大阪版食の安心安全認証」を取得し、社外の視点でも評価を得ております。
今後も、現在進行形で蓄積しているデータを活用し、高品質かつ再現性のある製造技術に磨きをかけるとともに、既存設備の自動化・高速化を含めた生産能力の拡大、生産効率の向上、品質の向上に向けた設備更新を行い、経営の効率化と職場の働きやすさ向上に取り組んでまいります。
また、生産体制の向上とともに、教育体制、組織強化をはかりお客様へより安全安心な商品を提供してまいります。
⑤ 「組織力の底上げ」
梅乃宿酒造が掲げるミッションである「驚きと感動で世界中をワクワクさせる」の実現のためには、社員一人一人が「ワクワク」していなければ、お客様を「ワクワク」させることはできないと考えており、働き方の改革を進めてまいりました。特に、日本酒製造においては、伝統産業的である絶対的な長を中心とする「杜氏制度」に基づいた生産体制と冬季に醸造する、季節労働的勤務体制が主であったものを、生産体制、勤務体制を見直し、日本酒製造の従業員も一般社員と同様の働き方とする、働き方改革を実現しております。
さらに、単に“楽しく働く”のではなく、社員が同じベクトル、高いモチベーションで、強い組織を構築してこそ梅乃宿酒造のミッションが実現するととらえて、組織力の底上げにつながる制度改革を推進しております。年齢給制度の廃止を伴う人事評価制度の改定を行い、組織ビジョンと社員各人の目標・目的を明確化し、結果に対する評価の一元化とともにチャレンジ風土の醸成と社員のキャリアパス、成長の支援を強化いたしました。2023年4月には機能組織の改編による、権限・責任の委譲を通じたガバナンス強化を実施いたしました。これは組織の機能の最適化と同時に組織の強化を図るものであります。働きやすさと業務の効率化を実現するためにIT化を推進し、必要最低限の人員で業務を遂行できる筋肉質な組織づくりに向けた体制整備も進めております。
具体的には、障がい者雇用、国境を越えた採用、男女の区別のない採用、人事考課による昇進、女性の産休後の復職支援、男性の育児休暇取得制度、扶養する小学生以上を対象とした就学支援手当の拡充のほか、昨今の物価上昇などの社会情勢を加味したベースアップの実施などの組織を支える人への支えを強化してまいります。
また、梅乃宿酒造は日本酒業界以外の人材採用にも積極的に取り組んでおります。これまでに、菓子業界、厨房機器業界等、異業種からの人材を迎え入れ、新たな視点からのビジネスの磨き込みに取り組んでまいりました。
今後も、持続的成長を可能とする組織文化の醸成に向けた働き方の改革を継続しつつ、売上拡大の一翼を担う営業部門の強化、事業の拡大を支えるマーケティング部門の強化、商品開発機能の進化、社内の最適な統制の持続に向けた管理部門の強化、グローバル展開を支える人材の国際化など、一層の組織強化を推進してまいります。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、EBITDA(税引前利益に、特別損益、支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)、BtoC売上、海外売上及びROE(自己資本利益率)の4つをKPIとして、設定しております。
各指標の詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において梅乃宿酒造が判断したものであります。
(1) 国内景気の動向及び飲酒人口減少 (発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:中)
梅乃宿酒造の主力ブランド「あらごしシリーズ」は、国内販売が中心となっております。海外市場の拡大を図っておりますが、国内の景気の変動や、日本の人口の減少以外にも、特に高齢者のアルコール離脱、若年層のアルコール離れによる飲酒人口の減少により、想定以上にアルコール消費量が減少した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 消費者の嗜好の変化について (発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、果実をふんだんに使用した「あらごしシリーズ」をはじめとする日本酒リキュールを販売アイテムの中心としております。梅乃宿酒造の扱うアルコール飲料を含む食料品は、消費者の嗜好の変化による影響を受けやすく、消費者の嗜好の変化も早い分野であると考えております。梅乃宿酒造は、アルコール飲料を中心としながら、ノンアルコール飲料も含めて、消費者の需要を捉えた商品を開発すべく研究開発を行っておりますが、仮に、梅乃宿酒造が消費者の需要動向にあった商品開発が行えなかった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 気候変動と原料の調達 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
主力ブランドの「あらごしシリーズ」や、日本酒は、国内・海外の産地より厳選し、原料調達しております。調達に関しては、産地・生産者と、品質、供給量について密に情報交換を実施し、安定的な原料の確保を念頭に実施しております。加えて、調達先の拡大など、中長期の計画に対応できるよう、安定確保のための活動に取り組んでおります。
しかし、予期せぬ天候不順、病虫害による不作、災害などにより、必要調達量が大幅に確保できなかった場合、また、これに連動した大幅な原料価格の高騰が生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 主力包材の調達 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造の商品は、液体であるという商品特性上、包材として容器が不可欠となっております。中でも、瓶は主要な容器となっておりますが、日本国内においては、瓶の製造メーカーは限られており、特に、大容量の瓶は生産キャパシティに限界があります。梅乃宿酒造は、事業計画と連動した調達に向けて、供給元との連携強化に努めており、さらには国内外含めた調達先の拡大等を推進いたしますが、何らかの理由により梅乃宿酒造が必要とする瓶等の供給が受けられず、主力包材の供給が滞ることが続いた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害・感染症の流行等 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、奈良県葛城市に本社機能を有する工場を構えております。梅乃宿酒造では、大規模地震等の自然災害、伝染病等の流行等に伴う事業活動の停止に備え、工場設備の耐震補強や適切な市場在庫の確保、早期復旧体制の整備を進めております。また、出荷拠点を外部に備え、機能の分散化にも努めておりますが、想定を超えた災害・新興感染症の流行等が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 海外市場に対するリスク (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造の販売構成比における海外市場の比率は年々高まってきております。中華圏、北米市場を中心とした海外市場の売上構成を分散させるための営業活動を継続して実施しております。しかし、テロ、戦争・伝染病等の社会的混乱、政治的な要因による経済摩擦の発生、予期しえない法律・規制・制度の変更などが生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報セキュリティ (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、販売、管理などの業務運営や、通信販売等により、多数のお客様の個人情報を取得し、情報システム上で管理しております。適切な情報管理、セキュリティ対策は実施しておりますが、停電、災害、コンピュータウイルス、不正アクセス、機器のトラブルなど予測の範囲を超える事態により、情報の消失・流出などの問題が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(8) 人材の確保・育成 (発生可能性:中、発生時期:短期~中期、影響度:中)
梅乃宿酒造が今後事業拡大を図る上では、人材の確保・育成が不可欠であると認識しております。これは、パート・アルバイト等の多様な働き方とともに、外国人労働者、再雇用を含めた高齢者雇用等の活用が必要であると認識しております。
今後、人口減少による労働力の減少により人材の確保は競争が激化し、景気回復、消費者物価指数の上昇などによる賃上げ圧力の増大などに起因した労働コストの大幅な上昇により、人材の確保や社内人材の育成が困難になった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(9) 生産体制 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造の生産体制は、一部の委託製品を除き、日本酒・リキュール等すべての酒類製品を1拠点で製造しております。
梅乃宿酒造工場内におきましては、突発かつ長期的に生産設備が停止することが無いよう、定期的な設備点検等を実施しております。しかしながら、天災等による予期せぬ生産設備の稼働に対する影響を排除できるものではなく、不測の事態が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(10)在庫リスク (発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:小)
梅乃宿酒造は、販売予測に基づく適切な在庫管理を行うことにより、過剰在庫の発生及び品切れによる販売機会の逸失がないよう努めておりますが、販売予測を誤った場合には過剰在庫又は在庫不足となり、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)業績の季節偏重について (発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
梅乃宿酒造の販売するアルコール飲料は、忘年会シーズンや年始を控えた12月がハイシーズンとなっております。梅乃宿酒造は、通年に渡って楽しんでいただける商品を開発するなど、業績の季節変動の影響を軽減すべく事業を推進しておりますが、営業又は製造上の理由でハイシーズンの需要を十分に獲得できなかった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)競合について (発生可能性:中、発生時期:中長期、影響度:小)
国内には多数の酒造業者があり、活発な競争環境にあるため、梅乃宿酒造は常に競合リスクに晒されております。この点、梅乃宿酒造は、創業約130年と後発事業者でもあることから、酒造業界での生き残りのため、日本酒イコール清酒のイメージにとらわれず、日本酒蔵としては先駆的に梅酒(リキュール)の製造販売に進出するなど、大手メーカー等とは異なるブランドの確立に向けて様々な挑戦を行ってまいりました。そのことが奏功し、現在では業界内で一定の地位を確保できているものと考えております。また、酒造には製造免許等による規制があり、過去と比較すると緩和されているものの、新規参入は必ずしも容易ではありません。
今後、想定外の未知の革新的な競合企業の登場により、梅乃宿酒造ブランドの相対的な地位が変化し、存在感が低下するなどの事態が生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、梅乃宿酒造としましては、市場の動向を適切に把握し、引き続き「新しい酒文化の創造」に向けて十分な努力を継続することにより競合リスクに対応できるものと考えております。
(13)食品の安全性・衛生管理及び製造物責任 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、食品の安全性・衛生管理を重要課題と認識しております。取り組みとしましては、梅乃宿商品安全方針を制定し、継続的に製品の品質管理・衛生管理体制の向上に努めるほか、衛生管理のフレームワークを導入する目的で、2023年6月に大阪版食の安全安心認証制度を認証取得しております。しかしながら、異物混入や健康被害を与える可能性のある製品、表示不良製品の流通等重大な品質問題が発生した場合、処理・解決のための多額のコスト負担の発生や、梅乃宿酒造の品質への対外的な評価の毀損に伴う受注の減少、製造物責任賠償等により、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(14)法的規制 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、酒税法上の製造免許をうけて酒類製造を行っております。この許認可の品目範囲(清酒、リキュール、焼酎乙類、甘味果実酒、雑酒、スピリッツ、その他醸造酒)において使用できる原料、アルコール度数などを適切に管理し製造するとともに、酒税も適切に納付しております。梅乃宿酒造は、酒税関係法令を遵守する社内管理体制の整備に努めており、免許の停止・取り消しになる事由は発生しておりません。しかしながら、酒税法第12条で規定される偽りその他不正行為などの酒類製造免許の取消し要項に抵触し、免許の停止・取り消しとなった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、酒税法の改正によって税率が改正された場合、基本的には販売価格に反映して対応する方針ですが、販売価格の改定が梅乃宿酒造商品の需要に影響を及ぼす可能性があります。さらに、税率の改正に伴い、販売価格の改定が円滑に実施できなかった場合、梅乃宿酒造の利益率が悪化するなど、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
酒税法の製造免許のほか、梅乃宿酒造は、下表のとおり、食品衛生法上の営業許可をうけております。衛生的な環境での生産に細心の注意を図るため、大阪版食の安全安心認証制度の認定を受けるなどし、社内管理体制の整備・強化に努めており、これまで免許の停止・取り消しになる事由は発生しておりません。しかしながら、食品衛生法に規定される事例に違反し、違反事実から梅乃宿酒造の営業の継続が不適当であると判断された場合や危害発生の状態が継続していると判断された場合等、食品衛生法第60条に基づき営業許可の停止・取り消しとなった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
梅乃宿酒造は、酒税法、食品衛生法のほか、製造物責任法、不当景品類及び不当表示防止法、中小受託取引適正化法等幅広い法令等の規制をうけており、それらに従い法令順守の管理体制の元事業活動を行っております。現時点で法令違反による、処罰・処分を受けておりませんが、今後何らかの理由により法令違反が発生し、処罰・処分等の制裁を受けた場合には、梅乃宿酒造に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15)飲酒に対する社会的規制について (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、酒文化は人々に楽しさをもたらすものであると考え、新しい酒文化を創造していくことをパーパスとして掲げております。その一方で、アルコールには過度の摂取に伴う健康面、社会面での悪影響が従来から指摘されております。
こうしたアルコール関連の問題について、WHO(世界保健機関)は2010年に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を採択し、わが国でも2014年に「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、2024年には厚生労働省より「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が公表されるなど、アルコール関連問題について、取り組みが行われているところです。
梅乃宿酒造としても、不適切なアルコールの摂取については問題であるものと認識しており、酒類の製造・販売事業者として、社会的な責任を果たすべく、広告宣伝・マーケティング等の活動を適切に行う努力を行いながら、社会動向を注視し、情勢の変化に対応していく方針であります。
梅乃宿酒造としては、現時点では、飲用アルコールに関して直ちに規制が強化される深刻な事態に陥ることは想定しておりませんが、長期的にみて、何らかの事情による社会的機運の高まり等により、酒類の製造、販売、飲酒等に関する規制が強化される可能性は考えられます。当該規制が、酒類の販売活動ないしは需要そのものに影響を及ぼすものである場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)訴訟に関するリスク (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:不明)
現在、梅乃宿酒造の業績に重要な影響を及ぼす係争や訴訟は提起されておりませんが、取引先とのトラブルの発生等、何らかの問題が生じた場合には係争や訴訟に発展する可能性があり、その内容及び結果によっては、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17)風評リスク (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、インターネットを通じ商品の販売を行うとともに、SNS等により広告・宣伝を実施しております。現在のところ、消費者による梅乃宿酒造商品の購買に著しく影響を及ぼす評価はありませんが、今後、作為的なものを含めた梅乃宿酒造及び梅乃宿酒造商品等の評判を下落させる風評があった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(18)梅乃宿酒造株式の流動性について (発生可能性:低、発生時期:特定時期無し、影響度:小)
梅乃宿酒造は本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場への上場を予定しておりますが、梅乃宿酒造の流通株式比率及び流通株式時価総額は、新規上場時において、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準に近接することが見込まれます。今後は、梅乃宿酒造大株主からの一部売出し、株式報酬等を用いた流通株式数の増加など、これらを組み合わせて、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、上場維持基準に抵触し、梅乃宿酒造株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより梅乃宿酒造株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(19)大株主について (発生可能性:低、発生時期:特定時期無し、影響度:小)
梅乃宿酒造の代表取締役社長である吉田佳代(戸籍上の氏名:濱渕佳代)は、資産管理会社であるグッドフィールド・ビーチサイド株式会社の持分も含めて、本書提出日現在で発行済株式総数の43.6%を所有しております。
同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。梅乃宿酒造といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式の多くが減少した場合には、梅乃宿酒造株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(20)ファンド株主について (発生可能性:中、発生時期:短期~中期、影響度:中)
梅乃宿酒造は、日本成長投資アライアンス株式会社からの事業支援を受ける目的で、同社が組成するファンドより純投資を目的とした出資を受けており、本書提出日現在では、梅乃宿酒造発行済株式の51.0%を同社の組成するファンドが保有しております。
また、本書提出日現在において、社外取締役である中坪武之の派遣を受けております。
同社の組成するファンドは梅乃宿酒造の上場時において、所有する梅乃宿酒造株式の一部を売却する方針でありますが、一定割合の株式を引き続き保有することが想定されます。一般に、投資ファンド等にとって保有株式の売却によりキャピタルゲインを得ることは事業の目的であり、上場後の一定時点において、梅乃宿酒造株式を売却することが想定されますが、その処分方法によっては、梅乃宿酒造株式の需給バランス及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
梅乃宿酒造が株主の株式売却方針を管理することはできず、また、当該リスクが顕在化した場合の影響等を合理的に予測することは困難ですが、梅乃宿酒造はファンド株主と適切な意見交換を行い、健全な関係を維持しつつ一般株主の利益に配慮した保有・処分の方針となるよう努めてまいります。
(21)配当政策について (発生可能性:低、発生時期:中長期、影響度:小)
梅乃宿酒造は、株主への還元を重要な経営課題と認識しております。一方で、梅乃宿酒造は現在、成長過程にあることから、一定の内部留保を将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながるとも考えております。
この点、梅乃宿酒造は、成長投資のための内部留保を充実させ、財務健全性を維持しながらも、資本効率を一定以上に保つことを目安として留保と分配のバランスを取りながら、継続的かつ安定的な配当を行う事を検討していく方針です。
しかしながら、梅乃宿酒造の事業が計画通りに進展しない場合や、業績が悪化した場合には配当を行わない、或いは公表している配当の予定額を減ずる可能性があります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において梅乃宿酒造が判断したものであります。
(1) 国内景気の動向及び飲酒人口減少 (発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:中)
梅乃宿酒造の主力ブランド「あらごしシリーズ」は、国内販売が中心となっております。海外市場の拡大を図っておりますが、国内の景気の変動や、日本の人口の減少以外にも、特に高齢者のアルコール離脱、若年層のアルコール離れによる飲酒人口の減少により、想定以上にアルコール消費量が減少した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 消費者の嗜好の変化について (発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、果実をふんだんに使用した「あらごしシリーズ」をはじめとする日本酒リキュールを販売アイテムの中心としております。梅乃宿酒造の扱うアルコール飲料を含む食料品は、消費者の嗜好の変化による影響を受けやすく、消費者の嗜好の変化も早い分野であると考えております。梅乃宿酒造は、アルコール飲料を中心としながら、ノンアルコール飲料も含めて、消費者の需要を捉えた商品を開発すべく研究開発を行っておりますが、仮に、梅乃宿酒造が消費者の需要動向にあった商品開発が行えなかった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 気候変動と原料の調達 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
主力ブランドの「あらごしシリーズ」や、日本酒は、国内・海外の産地より厳選し、原料調達しております。調達に関しては、産地・生産者と、品質、供給量について密に情報交換を実施し、安定的な原料の確保を念頭に実施しております。加えて、調達先の拡大など、中長期の計画に対応できるよう、安定確保のための活動に取り組んでおります。
しかし、予期せぬ天候不順、病虫害による不作、災害などにより、必要調達量が大幅に確保できなかった場合、また、これに連動した大幅な原料価格の高騰が生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 主力包材の調達 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造の商品は、液体であるという商品特性上、包材として容器が不可欠となっております。中でも、瓶は主要な容器となっておりますが、日本国内においては、瓶の製造メーカーは限られており、特に、大容量の瓶は生産キャパシティに限界があります。梅乃宿酒造は、事業計画と連動した調達に向けて、供給元との連携強化に努めており、さらには国内外含めた調達先の拡大等を推進いたしますが、何らかの理由により梅乃宿酒造が必要とする瓶等の供給が受けられず、主力包材の供給が滞ることが続いた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害・感染症の流行等 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、奈良県葛城市に本社機能を有する工場を構えております。梅乃宿酒造では、大規模地震等の自然災害、伝染病等の流行等に伴う事業活動の停止に備え、工場設備の耐震補強や適切な市場在庫の確保、早期復旧体制の整備を進めております。また、出荷拠点を外部に備え、機能の分散化にも努めておりますが、想定を超えた災害・新興感染症の流行等が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 海外市場に対するリスク (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造の販売構成比における海外市場の比率は年々高まってきております。中華圏、北米市場を中心とした海外市場の売上構成を分散させるための営業活動を継続して実施しております。しかし、テロ、戦争・伝染病等の社会的混乱、政治的な要因による経済摩擦の発生、予期しえない法律・規制・制度の変更などが生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報セキュリティ (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、販売、管理などの業務運営や、通信販売等により、多数のお客様の個人情報を取得し、情報システム上で管理しております。適切な情報管理、セキュリティ対策は実施しておりますが、停電、災害、コンピュータウイルス、不正アクセス、機器のトラブルなど予測の範囲を超える事態により、情報の消失・流出などの問題が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(8) 人材の確保・育成 (発生可能性:中、発生時期:短期~中期、影響度:中)
梅乃宿酒造が今後事業拡大を図る上では、人材の確保・育成が不可欠であると認識しております。これは、パート・アルバイト等の多様な働き方とともに、外国人労働者、再雇用を含めた高齢者雇用等の活用が必要であると認識しております。
今後、人口減少による労働力の減少により人材の確保は競争が激化し、景気回復、消費者物価指数の上昇などによる賃上げ圧力の増大などに起因した労働コストの大幅な上昇により、人材の確保や社内人材の育成が困難になった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(9) 生産体制 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造の生産体制は、一部の委託製品を除き、日本酒・リキュール等すべての酒類製品を1拠点で製造しております。
梅乃宿酒造工場内におきましては、突発かつ長期的に生産設備が停止することが無いよう、定期的な設備点検等を実施しております。しかしながら、天災等による予期せぬ生産設備の稼働に対する影響を排除できるものではなく、不測の事態が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(10)在庫リスク (発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:小)
梅乃宿酒造は、販売予測に基づく適切な在庫管理を行うことにより、過剰在庫の発生及び品切れによる販売機会の逸失がないよう努めておりますが、販売予測を誤った場合には過剰在庫又は在庫不足となり、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)業績の季節偏重について (発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
梅乃宿酒造の販売するアルコール飲料は、忘年会シーズンや年始を控えた12月がハイシーズンとなっております。梅乃宿酒造は、通年に渡って楽しんでいただける商品を開発するなど、業績の季節変動の影響を軽減すべく事業を推進しておりますが、営業又は製造上の理由でハイシーズンの需要を十分に獲得できなかった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)競合について (発生可能性:中、発生時期:中長期、影響度:小)
国内には多数の酒造業者があり、活発な競争環境にあるため、梅乃宿酒造は常に競合リスクに晒されております。この点、梅乃宿酒造は、創業約130年と後発事業者でもあることから、酒造業界での生き残りのため、日本酒イコール清酒のイメージにとらわれず、日本酒蔵としては先駆的に梅酒(リキュール)の製造販売に進出するなど、大手メーカー等とは異なるブランドの確立に向けて様々な挑戦を行ってまいりました。そのことが奏功し、現在では業界内で一定の地位を確保できているものと考えております。また、酒造には製造免許等による規制があり、過去と比較すると緩和されているものの、新規参入は必ずしも容易ではありません。
今後、想定外の未知の革新的な競合企業の登場により、梅乃宿酒造ブランドの相対的な地位が変化し、存在感が低下するなどの事態が生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、梅乃宿酒造としましては、市場の動向を適切に把握し、引き続き「新しい酒文化の創造」に向けて十分な努力を継続することにより競合リスクに対応できるものと考えております。
(13)食品の安全性・衛生管理及び製造物責任 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、食品の安全性・衛生管理を重要課題と認識しております。取り組みとしましては、梅乃宿商品安全方針を制定し、継続的に製品の品質管理・衛生管理体制の向上に努めるほか、衛生管理のフレームワークを導入する目的で、2023年6月に大阪版食の安全安心認証制度を認証取得しております。しかしながら、異物混入や健康被害を与える可能性のある製品、表示不良製品の流通等重大な品質問題が発生した場合、処理・解決のための多額のコスト負担の発生や、梅乃宿酒造の品質への対外的な評価の毀損に伴う受注の減少、製造物責任賠償等により、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(14)法的規制 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、酒税法上の製造免許をうけて酒類製造を行っております。この許認可の品目範囲(清酒、リキュール、焼酎乙類、甘味果実酒、雑酒、スピリッツ、その他醸造酒)において使用できる原料、アルコール度数などを適切に管理し製造するとともに、酒税も適切に納付しております。梅乃宿酒造は、酒税関係法令を遵守する社内管理体制の整備に努めており、免許の停止・取り消しになる事由は発生しておりません。しかしながら、酒税法第12条で規定される偽りその他不正行為などの酒類製造免許の取消し要項に抵触し、免許の停止・取り消しとなった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、酒税法の改正によって税率が改正された場合、基本的には販売価格に反映して対応する方針ですが、販売価格の改定が梅乃宿酒造商品の需要に影響を及ぼす可能性があります。さらに、税率の改正に伴い、販売価格の改定が円滑に実施できなかった場合、梅乃宿酒造の利益率が悪化するなど、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
酒税法の製造免許のほか、梅乃宿酒造は、下表のとおり、食品衛生法上の営業許可をうけております。衛生的な環境での生産に細心の注意を図るため、大阪版食の安全安心認証制度の認定を受けるなどし、社内管理体制の整備・強化に努めており、これまで免許の停止・取り消しになる事由は発生しておりません。しかしながら、食品衛生法に規定される事例に違反し、違反事実から梅乃宿酒造の営業の継続が不適当であると判断された場合や危害発生の状態が継続していると判断された場合等、食品衛生法第60条に基づき営業許可の停止・取り消しとなった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
梅乃宿酒造は、酒税法、食品衛生法のほか、製造物責任法、不当景品類及び不当表示防止法、中小受託取引適正化法等幅広い法令等の規制をうけており、それらに従い法令順守の管理体制の元事業活動を行っております。現時点で法令違反による、処罰・処分を受けておりませんが、今後何らかの理由により法令違反が発生し、処罰・処分等の制裁を受けた場合には、梅乃宿酒造に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15)飲酒に対する社会的規制について (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、酒文化は人々に楽しさをもたらすものであると考え、新しい酒文化を創造していくことをパーパスとして掲げております。その一方で、アルコールには過度の摂取に伴う健康面、社会面での悪影響が従来から指摘されております。
こうしたアルコール関連の問題について、WHO(世界保健機関)は2010年に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を採択し、わが国でも2014年に「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、2024年には厚生労働省より「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が公表されるなど、アルコール関連問題について、取り組みが行われているところです。
梅乃宿酒造としても、不適切なアルコールの摂取については問題であるものと認識しており、酒類の製造・販売事業者として、社会的な責任を果たすべく、広告宣伝・マーケティング等の活動を適切に行う努力を行いながら、社会動向を注視し、情勢の変化に対応していく方針であります。
梅乃宿酒造としては、現時点では、飲用アルコールに関して直ちに規制が強化される深刻な事態に陥ることは想定しておりませんが、長期的にみて、何らかの事情による社会的機運の高まり等により、酒類の製造、販売、飲酒等に関する規制が強化される可能性は考えられます。当該規制が、酒類の販売活動ないしは需要そのものに影響を及ぼすものである場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)訴訟に関するリスク (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:不明)
現在、梅乃宿酒造の業績に重要な影響を及ぼす係争や訴訟は提起されておりませんが、取引先とのトラブルの発生等、何らかの問題が生じた場合には係争や訴訟に発展する可能性があり、その内容及び結果によっては、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17)風評リスク (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、インターネットを通じ商品の販売を行うとともに、SNS等により広告・宣伝を実施しております。現在のところ、消費者による梅乃宿酒造商品の購買に著しく影響を及ぼす評価はありませんが、今後、作為的なものを含めた梅乃宿酒造及び梅乃宿酒造商品等の評判を下落させる風評があった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(18)梅乃宿酒造株式の流動性について (発生可能性:低、発生時期:特定時期無し、影響度:小)
梅乃宿酒造は本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場への上場を予定しておりますが、梅乃宿酒造の流通株式比率及び流通株式時価総額は、新規上場時において、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準に近接することが見込まれます。今後は、梅乃宿酒造大株主からの一部売出し、株式報酬等を用いた流通株式数の増加など、これらを組み合わせて、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、上場維持基準に抵触し、梅乃宿酒造株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより梅乃宿酒造株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(19)大株主について (発生可能性:低、発生時期:特定時期無し、影響度:小)
梅乃宿酒造の代表取締役社長である吉田佳代(戸籍上の氏名:濱渕佳代)は、資産管理会社であるグッドフィールド・ビーチサイド株式会社の持分も含めて、本書提出日現在で発行済株式総数の43.6%を所有しております。
同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。梅乃宿酒造といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式の多くが減少した場合には、梅乃宿酒造株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(20)ファンド株主について (発生可能性:中、発生時期:短期~中期、影響度:中)
梅乃宿酒造は、日本成長投資アライアンス株式会社からの事業支援を受ける目的で、同社が組成するファンドより純投資を目的とした出資を受けており、本書提出日現在では、梅乃宿酒造発行済株式の51.0%を同社の組成するファンドが保有しております。
また、本書提出日現在において、社外取締役である中坪武之の派遣を受けております。
同社の組成するファンドは梅乃宿酒造の上場時において、所有する梅乃宿酒造株式の一部を売却する方針でありますが、一定割合の株式を引き続き保有することが想定されます。一般に、投資ファンド等にとって保有株式の売却によりキャピタルゲインを得ることは事業の目的であり、上場後の一定時点において、梅乃宿酒造株式を売却することが想定されますが、その処分方法によっては、梅乃宿酒造株式の需給バランス及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
梅乃宿酒造が株主の株式売却方針を管理することはできず、また、当該リスクが顕在化した場合の影響等を合理的に予測することは困難ですが、梅乃宿酒造はファンド株主と適切な意見交換を行い、健全な関係を維持しつつ一般株主の利益に配慮した保有・処分の方針となるよう努めてまいります。
(21)配当政策について (発生可能性:低、発生時期:中長期、影響度:小)
梅乃宿酒造は、株主への還元を重要な経営課題と認識しております。一方で、梅乃宿酒造は現在、成長過程にあることから、一定の内部留保を将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながるとも考えております。
この点、梅乃宿酒造は、成長投資のための内部留保を充実させ、財務健全性を維持しながらも、資本効率を一定以上に保つことを目安として留保と分配のバランスを取りながら、継続的かつ安定的な配当を行う事を検討していく方針です。
しかしながら、梅乃宿酒造の事業が計画通りに進展しない場合や、業績が悪化した場合には配当を行わない、或いは公表している配当の予定額を減ずる可能性があります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において梅乃宿酒造が判断したものであります。
(1) 国内景気の動向及び飲酒人口減少 (発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:中)
梅乃宿酒造の主力ブランド「あらごしシリーズ」は、国内販売が中心となっております。海外市場の拡大を図っておりますが、国内の景気の変動や、日本の人口の減少以外にも、特に高齢者のアルコール離脱、若年層のアルコール離れによる飲酒人口の減少により、想定以上にアルコール消費量が減少した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 消費者の嗜好の変化について (発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、果実をふんだんに使用した「あらごしシリーズ」をはじめとする日本酒リキュールを販売アイテムの中心としております。梅乃宿酒造の扱うアルコール飲料を含む食料品は、消費者の嗜好の変化による影響を受けやすく、消費者の嗜好の変化も早い分野であると考えております。梅乃宿酒造は、アルコール飲料を中心としながら、ノンアルコール飲料も含めて、消費者の需要を捉えた商品を開発すべく研究開発を行っておりますが、仮に、梅乃宿酒造が消費者の需要動向にあった商品開発が行えなかった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 気候変動と原料の調達 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
主力ブランドの「あらごしシリーズ」や、日本酒は、国内・海外の産地より厳選し、原料調達しております。調達に関しては、産地・生産者と、品質、供給量について密に情報交換を実施し、安定的な原料の確保を念頭に実施しております。加えて、調達先の拡大など、中長期の計画に対応できるよう、安定確保のための活動に取り組んでおります。
しかし、予期せぬ天候不順、病虫害による不作、災害などにより、必要調達量が大幅に確保できなかった場合、また、これに連動した大幅な原料価格の高騰が生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 主力包材の調達 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造の商品は、液体であるという商品特性上、包材として容器が不可欠となっております。中でも、瓶は主要な容器となっておりますが、日本国内においては、瓶の製造メーカーは限られており、特に、大容量の瓶は生産キャパシティに限界があります。梅乃宿酒造は、事業計画と連動した調達に向けて、供給元との連携強化に努めており、さらには国内外含めた調達先の拡大等を推進いたしますが、何らかの理由により梅乃宿酒造が必要とする瓶等の供給が受けられず、主力包材の供給が滞ることが続いた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自然災害・感染症の流行等 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、奈良県葛城市に本社機能を有する工場を構えております。梅乃宿酒造では、大規模地震等の自然災害、伝染病等の流行等に伴う事業活動の停止に備え、工場設備の耐震補強や適切な市場在庫の確保、早期復旧体制の整備を進めております。また、出荷拠点を外部に備え、機能の分散化にも努めておりますが、想定を超えた災害・新興感染症の流行等が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 海外市場に対するリスク (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造の販売構成比における海外市場の比率は年々高まってきております。中華圏、北米市場を中心とした海外市場の売上構成を分散させるための営業活動を継続して実施しております。しかし、テロ、戦争・伝染病等の社会的混乱、政治的な要因による経済摩擦の発生、予期しえない法律・規制・制度の変更などが生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 情報セキュリティ (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、販売、管理などの業務運営や、通信販売等により、多数のお客様の個人情報を取得し、情報システム上で管理しております。適切な情報管理、セキュリティ対策は実施しておりますが、停電、災害、コンピュータウイルス、不正アクセス、機器のトラブルなど予測の範囲を超える事態により、情報の消失・流出などの問題が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(8) 人材の確保・育成 (発生可能性:中、発生時期:短期~中期、影響度:中)
梅乃宿酒造が今後事業拡大を図る上では、人材の確保・育成が不可欠であると認識しております。これは、パート・アルバイト等の多様な働き方とともに、外国人労働者、再雇用を含めた高齢者雇用等の活用が必要であると認識しております。
今後、人口減少による労働力の減少により人材の確保は競争が激化し、景気回復、消費者物価指数の上昇などによる賃上げ圧力の増大などに起因した労働コストの大幅な上昇により、人材の確保や社内人材の育成が困難になった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(9) 生産体制 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造の生産体制は、一部の委託製品を除き、日本酒・リキュール等すべての酒類製品を1拠点で製造しております。
梅乃宿酒造工場内におきましては、突発かつ長期的に生産設備が停止することが無いよう、定期的な設備点検等を実施しております。しかしながら、天災等による予期せぬ生産設備の稼働に対する影響を排除できるものではなく、不測の事態が発生した場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(10)在庫リスク (発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:小)
梅乃宿酒造は、販売予測に基づく適切な在庫管理を行うことにより、過剰在庫の発生及び品切れによる販売機会の逸失がないよう努めておりますが、販売予測を誤った場合には過剰在庫又は在庫不足となり、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)業績の季節偏重について (発生可能性:高、発生時期:短期、影響度:小)
梅乃宿酒造の販売するアルコール飲料は、忘年会シーズンや年始を控えた12月がハイシーズンとなっております。梅乃宿酒造は、通年に渡って楽しんでいただける商品を開発するなど、業績の季節変動の影響を軽減すべく事業を推進しておりますが、営業又は製造上の理由でハイシーズンの需要を十分に獲得できなかった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)競合について (発生可能性:中、発生時期:中長期、影響度:小)
国内には多数の酒造業者があり、活発な競争環境にあるため、梅乃宿酒造は常に競合リスクに晒されております。この点、梅乃宿酒造は、創業約130年と後発事業者でもあることから、酒造業界での生き残りのため、日本酒イコール清酒のイメージにとらわれず、日本酒蔵としては先駆的に梅酒(リキュール)の製造販売に進出するなど、大手メーカー等とは異なるブランドの確立に向けて様々な挑戦を行ってまいりました。そのことが奏功し、現在では業界内で一定の地位を確保できているものと考えております。また、酒造には製造免許等による規制があり、過去と比較すると緩和されているものの、新規参入は必ずしも容易ではありません。
今後、想定外の未知の革新的な競合企業の登場により、梅乃宿酒造ブランドの相対的な地位が変化し、存在感が低下するなどの事態が生じた場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら、梅乃宿酒造としましては、市場の動向を適切に把握し、引き続き「新しい酒文化の創造」に向けて十分な努力を継続することにより競合リスクに対応できるものと考えております。
(13)食品の安全性・衛生管理及び製造物責任 (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、食品の安全性・衛生管理を重要課題と認識しております。取り組みとしましては、梅乃宿商品安全方針を制定し、継続的に製品の品質管理・衛生管理体制の向上に努めるほか、衛生管理のフレームワークを導入する目的で、2023年6月に大阪版食の安全安心認証制度を認証取得しております。しかしながら、異物混入や健康被害を与える可能性のある製品、表示不良製品の流通等重大な品質問題が発生した場合、処理・解決のための多額のコスト負担の発生や、梅乃宿酒造の品質への対外的な評価の毀損に伴う受注の減少、製造物責任賠償等により、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(14)法的規制 (発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、酒税法上の製造免許をうけて酒類製造を行っております。この許認可の品目範囲(清酒、リキュール、焼酎乙類、甘味果実酒、雑酒、スピリッツ、その他醸造酒)において使用できる原料、アルコール度数などを適切に管理し製造するとともに、酒税も適切に納付しております。梅乃宿酒造は、酒税関係法令を遵守する社内管理体制の整備に努めており、免許の停止・取り消しになる事由は発生しておりません。しかしながら、酒税法第12条で規定される偽りその他不正行為などの酒類製造免許の取消し要項に抵触し、免許の停止・取り消しとなった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
また、酒税法の改正によって税率が改正された場合、基本的には販売価格に反映して対応する方針ですが、販売価格の改定が梅乃宿酒造商品の需要に影響を及ぼす可能性があります。さらに、税率の改正に伴い、販売価格の改定が円滑に実施できなかった場合、梅乃宿酒造の利益率が悪化するなど、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
酒税法の製造免許のほか、梅乃宿酒造は、下表のとおり、食品衛生法上の営業許可をうけております。衛生的な環境での生産に細心の注意を図るため、大阪版食の安全安心認証制度の認定を受けるなどし、社内管理体制の整備・強化に努めており、これまで免許の停止・取り消しになる事由は発生しておりません。しかしながら、食品衛生法に規定される事例に違反し、違反事実から梅乃宿酒造の営業の継続が不適当であると判断された場合や危害発生の状態が継続していると判断された場合等、食品衛生法第60条に基づき営業許可の停止・取り消しとなった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
梅乃宿酒造は、酒税法、食品衛生法のほか、製造物責任法、不当景品類及び不当表示防止法、中小受託取引適正化法等幅広い法令等の規制をうけており、それらに従い法令順守の管理体制の元事業活動を行っております。現時点で法令違反による、処罰・処分を受けておりませんが、今後何らかの理由により法令違反が発生し、処罰・処分等の制裁を受けた場合には、梅乃宿酒造に対する社会的信用が毀損して受注活動に影響が及ぶ等、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(15)飲酒に対する社会的規制について (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
梅乃宿酒造は、酒文化は人々に楽しさをもたらすものであると考え、新しい酒文化を創造していくことをパーパスとして掲げております。その一方で、アルコールには過度の摂取に伴う健康面、社会面での悪影響が従来から指摘されております。
こうしたアルコール関連の問題について、WHO(世界保健機関)は2010年に「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を採択し、わが国でも2014年に「アルコール健康障害対策基本法」が施行され、2024年には厚生労働省より「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が公表されるなど、アルコール関連問題について、取り組みが行われているところです。
梅乃宿酒造としても、不適切なアルコールの摂取については問題であるものと認識しており、酒類の製造・販売事業者として、社会的な責任を果たすべく、広告宣伝・マーケティング等の活動を適切に行う努力を行いながら、社会動向を注視し、情勢の変化に対応していく方針であります。
梅乃宿酒造としては、現時点では、飲用アルコールに関して直ちに規制が強化される深刻な事態に陥ることは想定しておりませんが、長期的にみて、何らかの事情による社会的機運の高まり等により、酒類の製造、販売、飲酒等に関する規制が強化される可能性は考えられます。当該規制が、酒類の販売活動ないしは需要そのものに影響を及ぼすものである場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)訴訟に関するリスク (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:不明)
現在、梅乃宿酒造の業績に重要な影響を及ぼす係争や訴訟は提起されておりませんが、取引先とのトラブルの発生等、何らかの問題が生じた場合には係争や訴訟に発展する可能性があり、その内容及び結果によっては、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(17)風評リスク (発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
梅乃宿酒造は、インターネットを通じ商品の販売を行うとともに、SNS等により広告・宣伝を実施しております。現在のところ、消費者による梅乃宿酒造商品の購買に著しく影響を及ぼす評価はありませんが、今後、作為的なものを含めた梅乃宿酒造及び梅乃宿酒造商品等の評判を下落させる風評があった場合、梅乃宿酒造の業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(18)梅乃宿酒造株式の流動性について (発生可能性:低、発生時期:特定時期無し、影響度:小)
梅乃宿酒造は本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場への上場を予定しておりますが、梅乃宿酒造の流通株式比率及び流通株式時価総額は、新規上場時において、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準に近接することが見込まれます。今後は、梅乃宿酒造大株主からの一部売出し、株式報酬等を用いた流通株式数の増加など、これらを組み合わせて、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、上場維持基準に抵触し、梅乃宿酒造株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより梅乃宿酒造株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(19)大株主について (発生可能性:低、発生時期:特定時期無し、影響度:小)
梅乃宿酒造の代表取締役社長である吉田佳代(戸籍上の氏名:濱渕佳代)は、資産管理会社であるグッドフィールド・ビーチサイド株式会社の持分も含めて、本書提出日現在で発行済株式総数の43.6%を所有しております。
同人は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。梅乃宿酒造といたしましても、同人は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同人の株式の多くが減少した場合には、梅乃宿酒造株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(20)ファンド株主について (発生可能性:中、発生時期:短期~中期、影響度:中)
梅乃宿酒造は、日本成長投資アライアンス株式会社からの事業支援を受ける目的で、同社が組成するファンドより純投資を目的とした出資を受けており、本書提出日現在では、梅乃宿酒造発行済株式の51.0%を同社の組成するファンドが保有しております。
また、本書提出日現在において、社外取締役である中坪武之の派遣を受けております。
同社の組成するファンドは梅乃宿酒造の上場時において、所有する梅乃宿酒造株式の一部を売却する方針でありますが、一定割合の株式を引き続き保有することが想定されます。一般に、投資ファンド等にとって保有株式の売却によりキャピタルゲインを得ることは事業の目的であり、上場後の一定時点において、梅乃宿酒造株式を売却することが想定されますが、その処分方法によっては、梅乃宿酒造株式の需給バランス及び株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
梅乃宿酒造が株主の株式売却方針を管理することはできず、また、当該リスクが顕在化した場合の影響等を合理的に予測することは困難ですが、梅乃宿酒造はファンド株主と適切な意見交換を行い、健全な関係を維持しつつ一般株主の利益に配慮した保有・処分の方針となるよう努めてまいります。
(21)配当政策について (発生可能性:低、発生時期:中長期、影響度:小)
梅乃宿酒造は、株主への還元を重要な経営課題と認識しております。一方で、梅乃宿酒造は現在、成長過程にあることから、一定の内部留保を将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資に充当し、より一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながるとも考えております。
この点、梅乃宿酒造は、成長投資のための内部留保を充実させ、財務健全性を維持しながらも、資本効率を一定以上に保つことを目安として留保と分配のバランスを取りながら、継続的かつ安定的な配当を行う事を検討していく方針です。
しかしながら、梅乃宿酒造の事業が計画通りに進展しない場合や、業績が悪化した場合には配当を行わない、或いは公表している配当の予定額を減ずる可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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