三菱製鋼(5632)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】三菱製鋼の関係会社は、三菱製鋼と子会社17社及び関連会社5社によって構成されております。主な事業の内容は、特殊鋼鋼材、ばね、素形材、機器装置の製造及び販売を行っているほか、これらに関連する運送・サービス等の事業を営んでおります。 三菱製鋼及び関係会社の事業内容と当該事業における位置付けは、次のとおりであります。 事業区分主要営業品目主要会社名会社数特殊鋼鋼材事業特殊鋼鋼材(炭素鋼、低合金鋼、ばね鋼、非調質鋼、軸受鋼、快削鋼、工具鋼、窒化鋼)三菱製鋼三菱製鋼室蘭特殊鋼㈱PT.MSM INDONESIAPT.JATIM TAMAN STEEL MFG.北海製鉄㈱7ばね事業巻ばね、スタビライザ、板ばね、トーションバー、コイルドウェーブスプリング、精密ばね、各種ヒンジ製品、精密プレス品、樹脂成形品、プレス組立品、シュープレート用ゴムパッド、タイヤプロテクター、タイヤチェーン他各種自動車・建設機械用補修部品・用品三菱製鋼MSSC CANADA INC.MSSC US INC.MSSC INC.MSSC MFG MEXICANA,S.A. DE C.V.寧波菱鋼弾簧有限公司MSM SPRING INDIA PVT.LTD.STUMPP SCHUELE & SOMAPPA AUTO SUSPENSION SYSTEMS PVT.LTD.MSM Philippines Mfg. Inc.10素形材事業特殊合金粉末、同微粉末、精密鋳造品、精密機械加工品、鋳鋼品、一般鍛鋼品、特殊合金素材及び同加工品三菱製鋼MSM (THAILAND) CO., LTD.3機器装置事業鉄構品、産業機械、鍛圧機械、環境リサイクル機器三菱長崎機工㈱5その他の事業内航海運、港湾運送、貨物利用運送、倉庫菱鋼運輸㈱菱鋼サービス㈱3 上記の事業区分とセグメント情報における事業区分の区分内容は同一であります。なお、三菱製鋼グループについて図示すると、次ページのとおりであります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】三菱製鋼グループは、いかなる経営環境の変化にも対応できる企業体質を確立することを重要課題と認識し、競争力ある事業の育成を通じて、持続的かつグローバルに発展することを経営の基本方針としております。 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、三菱製鋼グループが判断したものであります。 (1)経営環境及び対処すべき課題<三菱製鋼の経営戦略と課題認識> 三菱製鋼グループは、「2030年のありたい姿」の実現に向け、2023年度~2025年度の3ヵ年を対象とする「2023中期経営計画」を策定し、ROICを軸とした、稼ぐ力の強化、資本効率の改善、財務基盤の健全化に取り組むとともに、基盤事業の稼ぐ力の強化と戦略事業の育成を通じた三菱製鋼の事業ポートフォリオの変革を進めてまいりました。 その結果、国内鋼材以外の事業は概ね計画水準で進捗し、戦略事業の育成とポートフォリオ見直しは前進。一部戦略事業の収益化やばね事業の構造改革など、収益構造転換に向けた施策は着実に進展しました。また、ROICやCCCを意識した資産圧縮を進めたことで、有利子負債の削減等、財務体質の改善も進捗しています。 一方で、室蘭コンビナートの高炉トラブルの影響を受けた国内鋼材事業の低迷等により、「2023中期経営計画」に掲げた営業利益・ROE等の財務目標は達成に至らず、PBRも依然として1倍に満たない状況が続いています。また、人的資本経営の高度化にも、なお課題が残っていると認識しています。 このような状況を踏まえ、三菱製鋼では以下の重要な課題があると認識しています。 (三菱製鋼の対処すべき課題)① 企業価値の向上(PBR=1倍以上)② ROIC経営の深化(事業ポートフォリオ改革と創出したキャッシュの配分最適化)③ 成長ストーリーの実現(基盤事業の再構築と戦略事業の収益化)④ 組織実行力の強化(人的資本戦略の推進とパーパスの浸透) (課題に対する取り組みについて) 三菱製鋼の重要課題である企業価値の向上に向けては、ROIC経営の深化により、基盤事業の再構築を進めて収益基盤の再建とキャッシュ創出を進めるとともに、将来の利益成長ドライバーとなる戦略事業により資源を集中させ、「育成」から「収益化」のフェーズへと移行していくことが必要であると考えています。 さらにこれらの取り組みの推進には、「人材」の力が必要不可欠です。人材を育成し、成長させる仕組みの整備を通じて、成長事業へ人材を機動的に再配置できる基盤へ進化させることで、組織としての実行力を高め、持続的成長をより確かなものとしてまいります。 また企業価値向上に向けては、全従業員が三菱製鋼の成長ストーリーを自分事として捉え、納得感を持って取り組みを推進することが必要と考えています。三菱製鋼では、本年5月に、社会における存在意義として、三菱製鋼グループのパーパスを「想いをカタチにする力で 挑み 未来(あす)を 支えつづける」と定め、公表しました。今後このパーパスを社内外に浸透させていくことで、従業員をはじめとするステークホルダーと三菱製鋼の想いを共有し、全社一丸となった三菱製鋼の持続的成長に向けた未来への挑戦を、一層加速させてまいります。 こうした三菱製鋼の課題認識と対応策を踏まえ、本年5月に、2026年度~2028年度の3ヵ年を対象とする「2026中期経営計画」を策定・公表しました。2030年のありたい姿に向けて実現可能性を高める3年間と位置付けています。同中計の推進を通して、基盤事業の再建と戦略事業の収益化で利益構成を転換し、資本効率と実行力を向上させることで、持続的な企業価値向上を実現してまいります。 「2026中期経営計画」の詳細については三菱製鋼ウェブサイト(https://www.mitsubishisteel.co.jp/ir/mid-plan/)をご覧ください。 (2)各事業における重点施策[特殊鋼鋼材事業] 基盤事業である国内鋼材事業は、需要動向に左右されやすい事業であり、足元でも建設機械等の需要低迷の影響を大きく受けています。加えて、前期においては、高炉トラブル及び火災事故の発生に伴う操業停止により、販売数量の減少や操業度低下による生産性悪化の影響を受けたことで損益が大幅に悪化し、「2023中期経営計画」の目標未達の主因となりました。高炉トラブルの損益影響は2027年3月期第2四半期以降に回復を見込んでおりますが、「2026中期経営計画」期間においては、安定操業の確保を前提に、売価改善等による収益性向上を進め、生産量が回復せずとも利益を確保する収益体質への転換を図ってまいります。 一方、戦略事業である海外鋼材事業は、足元の需要環境が厳しい中にあっても、前中計期間において売価改善及びコスト改善を進め、安定した利益を確保してまいりました。今中計期間においては、ASEAN唯一の特殊鋼メーカーとしての強みを活かし、現地調達化が進展するASEAN・インドを中心に、高品質材の拡販及び日系・現地系顧客での採用拡大を進め、収益機会拡大を実現してまいります。 [ばね事業] ばね事業においては、戦略事業として注力してきた精密部品が大型案件の量産開始により前中計期間から収益に貢献し、能力増強投資も実施いたしました。一方、基盤事業である自動車用ばねでは、不採算拠点であったドイツ及びメキシコ子会社からの撤退を決定するなど構造改革を進めたものの、北米子会社の損益改善や、中国子会社の最適化などの課題が残りました。 今中計期間において、自動車用ばねについては、北米子会社再建及び中国子会社の最適化など構造改革を一段と推進するとともに、デジタルツールの活用による開発期間の短縮や次世代軽量化技術の展開を通じて、受注拡大を図ってまいります。精密部品については、前中計で整備した技術・生産基盤を活かし、高付加価値化による既存案件の深耕と採用品目の拡充を進め、収益拡大につなげてまいります。また、商用車用・車両用ばねについては、更新需要や保有台数の増加を背景に需要拡大が見込まれております。既存市場における収益改善を進めるとともに、新市場への参入に向けて、インドネシアに続く第二拠点の実現を目指し、提携やM&Aも活用しながら事業基盤の拡大を図ってまいります。 [素形材事業] 素形材事業においては、自動車内燃機関向けに偏重した製品ポートフォリオからの転換を進める中、自動車向け以外にも電子部品や3Dプリンタ用などに用いられる特殊合金粉末について、技術開発の進展及び拡販を推進しております。足元では、合金原材料価格の高騰に対する売価転嫁までのタイムラグにより減益となっておりますが、中長期的には、電動化、高効率化、高機能化を背景とした高性能粉末需要の拡大により、収益拡大が見込まれております。 特に重点分野と位置付ける軟磁性粉末については、能力増強投資を進めており、2027年3月期第4四半期から新鋼種の量産開始を予定しております。また、EV化進展の鈍化がみられる一方で、AIやデータセンター向けサーバ用インダクタの需要は拡大しております。今後は、軟磁性粉末の用途拡大に向けた開発を加速するとともに、MIM用粉末とあわせて採用拡大を推進し、収益拡大を図ってまいります。 [機器装置事業] 機器装置事業においては、社会的要請の高まりを背景に、安全保障分野及びエネルギー関連分野の需要が拡大しており、防護装備品やガスタービン向けケーシング等の受注が伸長しております。この需要増を受け、三菱製鋼グループの国内拠点では1994年以来となる新工場建設を決定しました。今後は、新工場の立上げを通じて生産能力、供給能力及び事業基盤を強化し、安全保障分野及びエネルギー関連分野の中長期的な需要拡大に対応してまいります。 また、洋上風力発電関連機器向けについては、風車の大型化及び市場拡大が見込まれており、前中計期間中の設備投資により、大型化ニーズに対応可能な体制を整備いたしました。今後は、国内外の市場動向を注視しつつ、大型化対応設備を活かして関連部材加工の案件化及び受注獲得を進め、将来の収益貢献につなげてまいります。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、三菱製鋼グループが判断したものであり、また以下の記載は、三菱製鋼グループのすべてのリスクを網羅するものではありません。 [リスク管理体制]三菱製鋼グループは、事業環境の変化に的確に対応し、企業価値の毀損を防止するとともに持続的成長を実現するため、全社的リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)の強化に取り組んでおります。2025年4月にはリスク管理室を再編し、リスク統括部を設置いたしました。これにより、従来分散的に管理していたコーポレートリスクと事業リスクについて、ERMの視点に基づき統合的に把握・評価・対応する体制へ移行を進めております。三菱製鋼グループのリスク管理は、最高リスク管理責任者(CRO)の統括のもと、各部門・各事業所が日常的なリスク管理を実施し、独立組織であるリスク統括部が全社横断的な把握とモニタリングを行い、リスク管理委員会において重大リスクの選定、対応方針及び対策の立案・進捗確認を行う体制としております。さらに、監査部が独立した立場からこれらの運用状況を監査することで、いわゆる3ラインモデルに基づく実効的なリスク管理の確保に努めております。また、投融資案件に関するリスクについては、事業部門から独立した投融資委員会において事業性及びリスクを中立的に評価し、経営判断に資する体制としております。加えて、重大インシデント発生時には、必要に応じて危機対応を目的としたリスク管理委員会を速やかに開催し、被害の最小化と早期復旧を図っております。三菱製鋼グループは、リスクの抽出・評価を定期的に実施し、対応策の有効性を踏まえた残存リスクを把握したうえで、未然防止策及び発生時対応策の継続的な見直しを進めております。今後もリスク管理体制の高度化を通じて、三菱製鋼グループの経営基盤の強化を図ってまいります。 [リスク管理体制図]※リスク管理委員会は、CRO、執行役員、管理部門(コーポレートセンター)の責任者で構成されています。 (第1線)本社及び各事業所、各部門が現場で各種施策を立案する際にリスク対応を含めて検討するとともに、自部門でリスク管理を実行しています。 (第2線)事業部門から独立した組織であるリスク統括部が、俯瞰してリスクの把握と対策状況を確認しリスク管理委員会に報告しています。重大リスクの選定・対策立案・推進はリスク管理委員会で行っており、その判断は経営会議で決定され、取締役会で報告されます。(第3線)監査部が第1、2線から独立した立場で、これらのリスク管理状況を監査し、監査結果を取締役会に報告しております。 [主要なリスクと対応策の一覧]区分リスク項目顕在化の時期主な影響(業績・財務等)関連する重点テーマ等三菱製鋼の主な対応策(抜粋)事業環境 (外的要因)1. 市場・需要動向短中期的および中長期的売上高減少、稼働率低下、棚卸資産増加、経営成績・キャッシュフロー悪化、成長シナリオへの影響市場・需要動向の変動、成長事業の育成市場動向の継続的モニタリング、ROICによる事業分析と事業ポートフォリオ最適化2. 市場競争継続的販売価格下落、シェア低下、新規案件失注、利益率悪化、収益性・成長性低下、投資回収・収益計画への影響競争優位性の維持・向上、成長投資の効果確保差別化推進(ノウハウ・品質・顧客基盤活用)、研究開発・設備投資・人的資本投資の重点配分3. 原材料・副資材・エネルギー価格等短期的利益率低下、収益悪化、経営成績・キャッシュフロー影響、生産計画・納入への影響原材料・副資材・エネルギー価格変動対応売価連動フォーミュラ構築、市場動向把握、購買先多元化、調達条件見直し、原価低減活動、価格改定協議4. 地政学及び為替変動突発的・短期的生産・物流停滞、調達混乱、追加コスト発生、資産価値下落、換算差損益発生、財政状態・経営成績悪化地政学リスク管理、為替変動リスク対応海外情勢把握、ヘッジ契約実施、親子ローン増資による為替リスク低減5. 金融市場・資金調達環境短中期的支払利息増加、投資計画見直し、手元流動性確保対応、財政状態・キャッシュフロー・成長投資影響資金調達環境変化対応、財務健全性維持営業キャッシュフロー創出、借入金返済による有利子負債圧縮6. 自然災害・感染症等不定期・突発的操業停止・減産、納期遅延、復旧費用発生、経営成績・財政状態悪化従業員安全確保、事業継続計画(BCP)、リスク管理BCP整備・見直し、設備保全、防災訓練、感染症対策7. 環境規制や気候変動継続的法規制対応コスト増加、調達・製造コスト増加、市場シェア低下、受注機会減少、設備・サプライチェーン被害による影響環境規制対応、気候変動対策、カーボンニュートラル実現、市場競争力維持2050年カーボンニュートラル目標設定、GHG削減、環境製品開発・販売、ISO14001運用、省エネ設備導入 区分リスク項目顕在化の時期主な影響(業績・財務等)関連する重点テーマ等三菱製鋼の主な対応策(抜粋)事業運営 (内的要因)8. 製品の瑕疵・欠陥突発的製品回収・補償コスト増加、訴訟リスク、信用低下、財政状態・経営成績悪化品質管理強化、安全性・信頼性確保、社会的信用維持品質管理体制強化、工程管理徹底、品質点検実施、品質不正防止・是正体制強化9. 設備事故・労働災害突発的人身被害、生産停止、復旧費用発生、納入遅延、行政処分、業績・信用悪化安全確保、労働災害防止、社会的信用維持安全パトロール、安全意識・技量向上、安全担当者会議、安全協議会の開催10. 人材確保と育成中長期的技術・技能承継遅延、生産性低下、新規事業・DX推進遅延、競争力・成長戦略遂行影響人材確保・育成、多様性推進、競争力維持採用強化、教育研修、技能伝承、エンゲージメント向上、多様な人材活躍推進11. 情報システム・情報漏洩継続的システム停止、生産・出荷・会計処理遅延、機密情報流出、復旧費用発生、信用低下情報セキュリティ強化、デジタルリスク管理情報セキュリティ対策強化、アクセス管理、バックアップ、教育啓発、インシデント対応体制整備、サイバー保険加入12. 人権侵害中長期的是正対応費用増加、事業機会逸失、社会的信用低下、企業価値影響人権尊重、人権リスク管理、企業の社会的責任人権方針整備、教育啓発、相談・通報制度運用、人権デュー・ディリジェンス推進13. その他法令・公的規制突発的行政処分、課徴金、損害賠償、訴訟対応、信用失墜、財政状態・経営成績悪化法令遵守、コンプライアンス強化法務機能集約、法令遵守体制強化、教育研修、内部通報制度運用、モニタリング (注)顕在化の時期について短中期:数か月から数年以内にリスクが顕在化し、比較的速やかな対応が必要となる時期。中長期:数年先や将来的にリスクが顕在化すると予測され、計画的かつ継続的な対策が求められる。 突 発:発生時期が予測困難で突然顕在化し、即時の対応が必要となるリスク。継 続:常に潜在しており、継続的に管理・監視が必要なリスク。 [事業環境に関するリスク(外的要因)](1)市場・需要動向に関するリスク 三菱製鋼グループの主要製品は、自動車、建設機械等の産業分野に広く使用されており、これらの需要動向は三菱製鋼グループの受注、販売数量、操業度及び収益性に影響を及ぼします。特に、国内鋼材事業においては、主要需要先の一つである建設機械分野の需要は景気変動や設備投資動向の影響を受けやすく、短中期的にも変動が生じ得るほか、国内市場全体については中長期的な縮小の可能性があります。 こうした需要変動が顕在化した場合、売上高の減少、稼働率の低下、棚卸資産水準の上昇等を通じて、三菱製鋼グループの経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、市場成長を見込んで育成を進めている戦略事業において、想定した需要の取り込みが進まない場合には、中期経営計画における成長シナリオに影響を及ぼす可能性があります。 これに対し、三菱製鋼グループは市場動向の継続的なモニタリングを行うとともに、ROICを用いた事業分析等を通じて事業ポートフォリオの最適化を進め、需要変動の影響低減と持続的成長の実現に努めております。 (2)市場競争に係るリスク 三菱製鋼グループが展開する国内鋼材事業、自動車ばね事業、その他の各事業領域においては、国内外に競合企業が存在しており、価格競争の激化、技術革新への対応の遅れ、顧客ニーズの変化等により、三菱製鋼グループの競争優位性が低下する可能性があります。こうしたリスクは、既存事業では継続的に存在し、戦略事業の拡大局面においては受注獲得競争の激化という形で顕在化する可能性があります。 競争環境の変化が顕在化した場合、販売価格の下落、シェア低下、新規案件の失注、利益率の悪化等を通じて、三菱製鋼グループの収益性及び成長性に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、成長投資を行っている分野で想定どおりの拡販が進まない場合には、投資回収計画や中長期的な収益計画に影響を与える可能性があります。 このため三菱製鋼グループは、操業で培ってきた高度なノウハウ、品質対応力、顧客基盤等の強みを生かした差別化を進めるとともに、研究開発、設備投資及び人的資本投資を重点領域に適切に配分し、競争優位性の維持・向上に努めております。 (3)原材料・副資材・エネルギー価格等の変動に関するリスク 三菱製鋼グループの事業活動においては、鋼材原料、各種副資材、電力・燃料等のエネルギーを使用しており、これらの価格変動は製造コストに直接影響を及ぼします。これらの価格は、国際市況、需給バランス、地政学的要因、為替動向等により短期的にも大きく変動する可能性があります。 原材料・エネルギー価格の上昇が急激に進行し、販売価格への転嫁が適時・十分に行えない場合には、利益率の低下や収益悪化を招き、三菱製鋼グループの経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。また、調達制約を伴う場合には、生産計画や納入にも影響を与える可能性があります。 これに対し三菱製鋼グループは一部お客様とは売価連動のフォーミュラを構築しているほか、市場動向の継続的な把握、複数購買先の確保、調達条件の見直し、原価低減活動、顧客との価格改定協議等を通じて、価格変動影響の低減に努めております。 (4)地政学及び為替変動リスク 三菱製鋼グループは、北米・中国・インド・東南アジア等に生産・販売拠点を有しており、各国・地域における政治・経済情勢、法規制、通商政策、社会情勢の変化、地政学上の緊張等の影響を受ける可能性があります。また、外貨建取引や在外子会社の財務諸表換算に伴い、為替相場の変動も業績に影響を及ぼします。これらのリスクは突発的に顕在化する場合があり、特定地域における情勢悪化や急激な為替変動は短期間で事業環境を変化させる可能性があります。さらに、近年の中東情勢を含む地域の緊張の高まりに加え、世界各地における地政学上の不確実性の増大により資源価格や物流、通商政策等を通じた間接的な影響が顕在化することにより、三菱製鋼グループの事業運営にも影響が及ぶおそれがあります。 こうした事象が発生した場合には、生産・物流の停滞、調達網の混乱、追加コストの発生、資産価値の下落、換算差損益の発生等を通じて、三菱製鋼グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 三菱製鋼グループは、各海外拠点における情勢の把握、ヘッジ契約や親子ローンを実施している海外拠点への増資等の対応を行うなど、為替変動リスクの低減等を通じて、影響の最小化に努めております。さらに、政治・経済・法令・安全保障に関する情報収集と社内共有を継続するとともに、緊急時の連絡体制整備、供給網の多元化や代替調達先の確保等を進め、情勢変化に機動的に対応してまいります。 (5)金融市場の変動や資金調達環境の変化に関するリスク 三菱製鋼グループは、事業活動に必要な資金を金融機関借入等により調達しており、金利水準、金融市場の変動、信用収縮等により資金調達環境が変化する可能性があります。特に、金融引締め局面や市場の不安定化局面においては、短中期的に調達コストの上昇や資金調達手段の制約が生じる可能性があります。これらの変化が顕在化した場合には、支払利息の増加、投資計画の見直し、手元流動性確保のための追加対応等を要し、三菱製鋼グループの財政状態、キャッシュ・フロー及び成長投資の実行に影響を及ぼす可能性があります。 これに対し、三菱製鋼グループは、運転資金圧縮等により営業キャッシュ・フローを創出し、借入金返済を進めることで、有利子負債の圧縮を図ってまいります。 (6)自然災害・感染症等の発生リスク 三菱製鋼グループの国内外の事業拠点において、地震、風水害等の自然災害、大規模火災、感染症の流行その他の不測の事態が発生した場合、従業員の安全確保、生産活動、物流、調達及び販売活動に支障が生じる可能性があります。これらの事象は発生時期の予測が困難である一方、一度顕在化すると短期的に大きな影響を及ぼす可能性があります。重大な災害や感染症拡大が発生した場合には、操業停止・減産、納期遅延、復旧費用の発生等により、当 社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 三菱製鋼グループは、BCPの整備・見直し、設備保全、防災訓練、感染症対策等を進め、被害の最小化と早期復旧に努めております。 (7)環境規制や気候変動に関するリスク 三菱製鋼グループでは、事業活動において廃棄物、副産物等が発生することから、環境マネジメントシステムを構築・運用し、国内外の法規制を遵守するとともに、環境保全活動を行っております。しかしながら、過去、現在及び将来の事業活動に関し、環境に関する責任リスクを有しており、関連法規制の強化等によっては、これに対応するための費用が発生し、三菱製鋼グループの業績に影響が生じる可能性があります。 また、気候変動が進行した場合には、炭素税等の規制強化や脱炭素化の進展により、調達・製造コストが増加し、三菱製鋼グループの業績に影響を与える可能性があります。さらに、環境関連需要の高まりに対し三菱製鋼グループの対応が遅れた場合には、市場シェアの低下や受注機会の減少につながる可能性があります。加えて、異常気象の増加による自然災害の激甚化は、工場設備や仕掛品・製品の破損、サプライチェーンの寸断等を通じて、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 これらに対し、三菱製鋼グループは、2050年カーボンニュートラルを掲げ、GHG削減の取り組みを進めるとともに、環境関連製品の開発・販売を進めることで需要構造の変化に対応しております。また、ISO14001環境マネジメントシステムの構築・運用や、省エネ設備の導入等を通じて、環境管理の継続的な改善を図っております。 気候変動に関するリスクの詳細につきましては、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組-(2)気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)」をご覧ください。 [事業運営に関するリスク(内的要因)](8)製品の瑕疵・欠陥に係るリスク 三菱製鋼グループは、品質マネジメントのもと製品の品質確保に努めておりますが、設計、製造、検査等の各工程において予期せぬ不具合が発生し、製品の瑕疵・欠陥が顕在化する可能性があります。とりわけ、自動車、建設機械その他の安全性・信頼性が重視される用途向け製品においては、品質問題の影響が大きくなる可能性があります。また重大な品質不具合が発生した場合には、製品回収、補償、代替対応、訴訟、信用低下等が生じ、三菱製鋼グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に重要な影響を及ぼす可能性があります。 このため三菱製鋼グループは、品質管理体制の強化、工程管理の徹底はもちろん、品質不正(改ざん・偽装)を未然に防止することを目的とした品質点検を各拠点に実施することで、品質不正の抑止と是正体制の実効性向上に努めています。 (9)設備事故・労働災害のリスク 三菱製鋼グループの生産設備の中には、高温、高圧での操業を行っている設備があり、高熱の生産物等を取り扱っている事業所もあります。 このため、対人・対物を問わず事故の防止対策には万全を期しておりますが、火災・爆発等の設備事故や重大な労働災害の発生により、人身被害、生産停止、復旧費用の発生、納入遅延、行政処分等を通じて、三菱製鋼グループの業績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。 これに対し、三菱製鋼グループでは、各事業所における安全パトロールや各種コンクールの開催による安全意識・技量の向上に取り組むとともに、各拠点の安全担当者による「安全担当者会議」を継続的に開催し、管理レベルの向上や情報・問題認識の共有を図っております。また、災害発生時には「安全協議会」を開催し、原因・対策について部署間を超えて協議を行うことで、設備事故・労働災害の撲滅に努めております。 (10)人材確保と育成に係るリスク 三菱製鋼グループが持続的な成長を実現するためには、製造、技術開発、品質保証、営業、デジタル、管理等の各分野で必要な人材を確保・育成することが重要であります。しかしながら、国内生産年齢人口の減少や労働市場の競争激化等により、必要な人材の確保・育成が計画どおり進まない、又は中核人材の離職が生じる可能性があります。この傾向は中長期的に継続する可能性があります。また、人材の確保・育成が十分に進まない場合には、技術・技能の承継遅延、生産性低下、新規事業やDX推進の遅れ等を通じて、三菱製鋼グループの競争力及び中長期的な成長戦略の遂行に影響を及ぼす可能性があります。 三菱製鋼グループは、採用強化、教育研修、技能伝承、エンゲージメント向上、多様な人材の活躍推進等を通じて、人材基盤の強化に努めており、今後も継続的工夫を重ねながら取り組んでまいります。 人的資本の取り組みの詳細は、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組-(3)人的資本」をご覧ください。 (11)情報システムの障害・情報漏洩等のリスク 三菱製鋼グループは、事業運営において各種情報システム及びネットワークを利用しており、サイバー攻撃、不正アクセス、システム障害、人的ミス等により、システム停止や情報漏洩が発生する可能性があります。近年はサイバー攻撃が高度化しており、当該リスクは継続的かつ高い緊張感をもって対応すべきリスクと認識しております。 重大な障害や情報漏洩が発生した場合には、生産・出荷・会計処理等の停滞、機密情報の流出、復旧費用の発生、取引先等からの信用低下等により、三菱製鋼グループの経営成績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。 これに対し、三菱製鋼グループは、情報セキュリティ対策の強化、アクセス管理、バックアップ、教育啓発、インシデント対応体制の整備、サイバーセキュリティ保険加入等を進め、被害の予防及び最小化に努めております。 (12)人権侵害のリスク 三菱製鋼グループは、事業活動において従業員、取引先、地域社会等の多様なステークホルダーに関わっており、ハラスメント、差別、不当労働、サプライチェーン上の人権侵害等が発生した場合には、企業としての責任が問われる可能性があります。また、人権に関する社会的要請は高まっており、このリスクは中長期的に重要性を増していくものと認識しております。 重大な人権侵害事案が発生した場合には、是正対応費用、事業機会の逸失、社会的信用の低下等を通じて、三菱製鋼グループの企業価値に影響を及ぼす可能性があります。 三菱製鋼グループは、人権方針の整備、教育・啓発、相談・通報制度の運用、人権デュー・ディリジェンスの推進等を通じて、人権尊重の徹底に努めております。 (13)その他の法令・公的規制に関するリスク 三菱製鋼グループは、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、取適法、環境関連法令、労働関係法令、輸出入関連法令等、国内外のさまざまな法令・公的規制の適用を受けております。法令改正、規制強化、解釈変更等は継続的に生じ得るほか、三菱製鋼グループの対応が不十分であった場合には、法令違反が顕在化する可能性があります。これらが発生した場合には、行政処分、課徴金、損害賠償、訴訟対応、信用失墜等により、三菱製鋼グループの財政状態、経営成績及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。 このため三菱製鋼グループは、リスク統括部内に法務機能を集約し、法令遵守体制の強化、教育研修、内部通報制度の運用、モニタリング等を通じて、コンプライアンスの徹底に努めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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