三井金属(5706)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】三井金属及び三井金属の関係会社(三井金属、子会社52社及び関連会社10社(2026年3月31日現在)により構成)においては、機能材料、金属、自動車部品、その他の事業の4部門に関係する事業を主として行っており、その製品は多岐にわたっています。各事業における三井金属及び関係会社の位置付け等は次のとおりであります。以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。なお、当連結会計年度より、2025年4月1日付の全社的な組織改編に伴い、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。 (機能材料)当部門においては、銅箔(キャリア付極薄銅箔、プリント配線板用電解銅箔等)、排ガス浄化触媒、機能粉(電子材料用金属粉等)、電池材料(水素吸蔵合金等)、レアマテリアル(高純度酸化タンタル、半導体装置保護膜材料等)、セラミックス製品、スパッタリングターゲット(ITO等)の製造・販売等を行っています。[主な関係会社]台湾銅箔股份有限公司、Mitsui Copper Foil(Malaysia)Sdn.Bhd.、三井銅箔(香港)有限公司、三井銅箔(蘇州)有限公司、Mitsui Kinzoku Components India Private Limited、三井金属(珠海)環境技術有限公司、PT. Mitsui Kinzoku Catalysts Jakarta、Mitsui Kinzoku Catalysts Vietnam Co.,Ltd.、Mitsui Kinzoku Catalysts(Thailand)Co.,Ltd.、Mitsui Kinzoku Catalysts America,Inc.、台湾特格股份有限公司、三井金属特種陶瓷(蘇州)有限公司、三井金属貿易(上海)有限公司 (金属)当部門においては、亜鉛、鉛、銅、金、銀の製造・販売、資源リサイクル事業等を行っています。[主な関係会社]神岡鉱業㈱、彦島製錬㈱、三池製錬㈱、八戸製錬㈱、㈱産業公害・医学研究所、日本メサライト工業㈱、三井串木野鉱山㈱、日比製煉㈱、日比共同製錬㈱、三井金属リサイクル㈱、Compania Minera Santa Luisa S.A.、奥会津地熱㈱、三井金属資源開発㈱、上海三井鑫云貴稀金属循環利用有限公司、エム・エスジンク㈱、パンパシフィック・カッパー㈱ (自動車部品)当部門においては、自動車用ドアロックの製造・販売等を行っています。[主な関係会社]三井金属アクト㈱、GECOM Corp.、MITSUI KINZOKU ACT MEXICANA, S.A. de C.V.、Mitsui Siam Components Co.,Ltd.、Mitsui Components Europe Ltd.、広東三井汽車配件有限公司、無錫大昌機械工業有限公司、三井金属愛科特(上海)管理有限公司、Automotive Components Technology India Private Limited、PT. Mitsui Kinzoku ACT Indonesia,なお、2025年11月に三井金属アクト㈱とその子会社につきましては、三井金属が保有する全株式を譲渡しています。 (その他の事業)当部門においては、各種産業プラントエンジニアリング、伸銅品、パーライト製品、ダイカスト製品、粉末冶金製品の製造・販売等を行っています。[主な関係会社]三井金属(上海)企業管理有限公司、三井金属ダイカスト㈱、九州精密機器㈱、三井金属パーライト㈱、三井金属商事㈱、三井金属計測機工㈱、三井金属ユアソフト㈱、三井金属スタッフサービス㈱、三井金属エンジニアリング㈱、三井住友金属鉱山伸銅㈱、㈱ナカボーテック、パウダーテック㈱ <事業系統図>以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において三井金属が判断したものであります。 (1) 経営の基本方針三井金属グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としています。 (2) 対処すべき課題■中期経営計画「25中計」スタート三井金属グループは、2025年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「25中計」をスタートいたしました。「25中計」では、「22中計」の取り組みを通じて認識した経営課題を踏まえ、パーパスに基づく「統合思考経営(注)1」、「両利きの経営(注)2」を基軸とした全社ビジョン(2030年のありたい姿)を確実なものとするため、次の3つの重点課題を設定しました。「25中計」の2年目となる2026年度においても、これらの課題に対する取り組みを着実に推進するため、現行施策のブラッシュアップと追加施策を実施してまいります。まず「経営基盤の強化」では、事業性評価の運用定着及び実効性の向上を図るとともに、“大胆施策(注)3”として「抜本的なキャッシュの創出」の仕組みづくり、及びバイサイドM&Aも含む「大胆な資源投入による成長の加速」に取り組んでいます。2026年度はバイサイドM&Aの予算枠を原計画の240億円から600億円へ拡大し、案件の創出と実行の両面で体制強化を進めてまいります。また、SSBJ基準などの国際的なサステナビリティ開示動向を踏まえ、非財務情報についても戦略と連動した管理及び開示の高度化を進めてまいります。次に「人的資本の拡充」では、全社ビジョンの実現に向け、従業員の行動変容を促すべく、2025年4月にバリュー(行動指針)を制定し、人事制度と連動した運用を開始しました。2024年度の「なでしこ銘柄(注)4」選定に続き、2025年度は「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業(注)5」に選定されました。引き続きダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン、働きがい改革、HRBP(注)6による最適な人材アロケーションなどの人材戦略を構成する施策を定着させ、企業価値向上へのさらなる貢献を進めてまいります。「DXの促進」では、「22中計」において全社で取り組んだ「デジタル基盤整備」をベースに、これまで各部門・所社で推進してきた「デジタル技術活用」を全社で共有し、一連の活動とするとともに、生成AIの活用や従業員のリテラシー向上により、業務効率化と戦略の加速を図ってまいります。 ・機能材料本部2030年のありたい姿実現に向けて、既存事業の価値最大化を追求しつつ、グローバルシェアNo.1機能材料を連続的に生み出す事業体への変革を実行します。運転資本の最適活用、商品価値の再検証と生産性の大胆な見直しにより、抜本的なキャッシュ創出を行い、今後の大きな成長が見込まれるAIインフラ、先端半導体関連分野に継続的投資を行ってまいります。また、その一環として、ものづくり産業が集積し、産官学連携や多様な技術人材を有する九州地域に「九州先端材料開発センター」を2026年4月に設立しました。今後、事業部と連携した材料開発体制を構築、社内外の知見を結集することで、将来の競争力向上につながる先端材料の創出を進めてまいります。 ・金属事業本部循環型社会実現に向けて高まるリサイクルニーズに応えるべく、三井金属グループが保有する多様なプロセスを活かした高度なリサイクル製錬ネットワークの追求及び低炭素エネルギーを活用し、カーボンニュートラル実現に不可欠な金属素材の提供に引き続き取り組んでまいります。また、CO2排出量削減については、工程改善・省エネ等の様々な取り組みにより、2030年度の三井金属目標である2013年度比38%削減は達成の見通しです。 ・事業創造本部引き続き新たな事業を「持続的」に創造するために、「事業機会の探索力強化」、「研究開発力の強化」、「基盤の強化」という3つの戦略を掲げ、研究開発と市場共創を軸にした価値創造に取り組みます。全固体電池向け固体電解質(A-SOLiD®)、2025年10月機能材料事業本部へ移管された次世代半導体チップ実装用キャリア(HRDP®)に続く事業化推進テーマとして「機能性多孔体」、「ライフサイエンス」へのリソース配分をさらに強化し、2030年以降の事業の柱を育ててまいります。 以上の取り組みを実行することにより、全社ビジョンの実現、そして持続的な企業価値の向上をステークホルダーの皆様と共に目指してまいります。 (注)1 統合思考経営:「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」を統合して持続可能な価値を創造する経営アプローチ。2 両利きの経営:「既存事業の効率化と絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させていく考え方。3 大胆施策:社外の知見を活用した「漸次的ではなく非線形な成長への変化」を実現する施策。4 なでしこ銘柄:経済産業省と東京証券取引所が共同で、「女性活躍推進」に優れた上場企業を紹介する制度。2024年度は「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」を両輪で進める企業を選定。5 Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業:「中長期の企業価値向上」を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として経済産業省と東京証券取引所が共同で「共働き・共育てを可能にする性別を問わない両立支援」に関する取り組みが特に優れた企業を選定。6 HRBP:Human Resources Business Partnerの略。経営者や事業部門のパートナーとして事業成長と戦略の実行を人材・組織の面から支える機能。 〔目標とする経営指標〕これらの取り組みを実行することにより、25中計期間及び2030年度においては、以下の財務目標の達成を目指してまいります。 今回予想25中計2026年度2027年度2030年度2027年度2030年度売上高(億円)8,3008,3009,0006,5007,300経常利益(億円)9301,1501,5007001,000フリーキャッシュ・フロー(億円)200550860480840ROE(自己資本当期純利益率)(%)17.017.016.014.014.0ROIC(%)12.214.020.011.014.0 主な前提諸元 今回予想25中計亜鉛LME価格($/t)3,2002,800為替(円/US$)155145 上記の財務目標につきましては、2026年5月21日現在において入手可能な情報に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の目標数値と異なる場合があります。中期経営計画「25中計」の進捗状況につきましては、三井金属ホームページのIR・投資家情報に、2026年5月21日付で掲載されております「中期経営計画「25中計」進捗説明会」をご参照下さい。https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=Qm2Jc2k%2bpgo%3d&tabid=159&mid=1060&TabModule1202=0
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において三井金属が判断したものであります。なお、2025年4月1日付で実施した組織再編を踏まえて記載しています。 三井金属グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)は、様々な要因によって、重要な影響を受ける可能性があります。三井金属グループでは、経営成績等やビジネスモデル、長期的価値創造に直接影響を与え、事業の継続や企業の存続を脅かす可能性のあるリスクを特定しています。また、リスクへの対応力を向上させるため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組み、対応策を検討し実施しています。 分類区分リスクの内容・対応策等顕在化した場合に緊急性の高いリスク感染症の大規模流行感染症の大規模流行のリスクが顕在化した場合、三井金属グループやサプライチェーンの従業員に感染が拡大する恐れがあります。また、国や地域ごとの緊急事態宣言等により、サプライチェーンや三井金属グループの事業活動が制限を受ける可能性があり、感染症の大規模流行のリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります 。三井金属グループはこれらのリスクが顕在化した際には、「緊急事態発生時の対応に関する規則」に基づき、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。三井金属グループでは、三井金属BCMマネジメント活動サイクルによりBCP等の対策の有効性を改善し、適宜見直すといったBCM活動を継続的に推進し、感染症の大規模流行に係るリスクの低減を図っています。大規模自然災害地震や、気候変動の進行による大規模な台風、集中豪雨の発生により、大規模自然災害のリスクが全世界的に増大しています。大規模自然災害のリスクが顕在化した場合、従業員、生産設備等の資産、サプライチェーンにおいて被害が発生する恐れがあります。これらの被害により三井金属グループの調達、生産、製品販売に支障が生じ、大規模自然災害のリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。三井金属グループはこれらのリスクが顕在化した際には、「緊急事態発生時の対応に関する規則」に基づき、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。三井金属グループでは、三井金属BCMマネジメント活動サイクルによりBCP等の対策の有効性を改善し、適宜見直すといったBCM活動を継続的に推進し、大規模自然災害に係るリスクの低減を図っています。情報セキュリティ三井金属グループでは、顧客等のステークホルダー及び三井金属グループの機密情報を含む事業活動に伴う様々な情報を保持・管理しています。サイバー攻撃や関係者の故意又は過失、生成AIの不適切な利用等により、これらの情報の漏洩、改ざん、消失が起きた場合、顧客や社会からの信用を失うだけでなく、事業活動の停止、多額の損害賠償の請求や訴訟の恐れがあります。結果として、情報セキュリティに係るリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。三井金属グループでは、ICTを活用し機密情報を統一的に管理し、ICTセキュリティ規則の遵守及び運用しているシステムのリスクアセスメントや提携先との秘密保持契約締結により、情報セキュリティに係るリスクの低減を図っています。また、国内外の事業所・関係会社における機密情報の管理体制の構築及び構築された体制の運用状況の監査を定期的に実施し、機密情報の管理状況をモニタリングしています。加えて、国際情勢の変化やICT技術の進歩に伴い、想定していなかった新たなリスクが日々脅威として増え続けているとも認識しており、事前予防もさることながら、「新しいリスクは発生するもの」という認識の下で、緊急時にできる限り迅速・的確に対応するべくSOC(Security Operation Center:サイバー攻撃の検出・分析・対策を行なう組織)やCSIRT(Computer Security Incident Response Team:セキュリティインシデントが発生した際の対応専門組織)の継続的な強化を図っています。 分類区分リスクの内容・対応策等財務リスク相場変動亜鉛、鉛、銅等の非鉄金属の価格はロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場で決定されます(以下、LME相場等)。LME相場等は国際的な需給バランス、世界の政治経済の状況や投機的取引等の影響を受けて変動します。LME相場等が著しく低下し、さらに、その状態が長期間続いた場合には、相場変動リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。相場変動に対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて商品先渡取引を利用することで、相場変動リスクの影響の低減を図っています。為替変動亜鉛精鉱等の輸入原料価格や、非鉄金属地金の国内価格は、米ドル建てのLME相場等を基準に決定され、三井金属グループが製錬事業から得る製錬収入(マージン)も、実質的に米ドル建てとなっています。また、機能材料分野他の製品等の輸出から得られる収入も、外国通貨建てとなっています。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、その期間が長期間にわたって継続した場合には、為替変動リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。為替変動に対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて為替予約取引を利用することで、為替変動リスクの影響の低減を図っています。資金調達安定的な資金調達を図るため、金融機関との間でシンジケートローン及びコミットメントライン契約を締結しており、契約には一定の財務制限条項が付されています。三井金属グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、資金調達リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。三井金属グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、資金調達リスクの低減を図っています。年金資産運用従業員に対する退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、年金資産運用のリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。年金資産の運用については、運用機関から意見を聴取した上で、分散投資を前提に政策的資産構成割合を策定しています。また、運用状況を定期的にモニタリングし、年金資産の運用方針(運用期間及び運用割合)の見直しを行い、年金資産運用のリスクの低減を図っています。セグメントにおけるリスク機能材料セグメント機能材料セグメントにおいては、金属/貴金属相場及び為替相場の変動等により、原材料の調達・製品販売の採算悪化や棚卸資産の評価損益の変動が生じ、三井金属グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、中国等における競合品の台頭による価格競争の激化、代替技術の進展による技術優位性の低下及び市場シェアの減少、景気後退等による需要の減少、輸入関税の変更、レアメタルに係る輸出規制等も、業績及び事業継続に影響を及ぼす可能性があります。さらに、環境規制の強化や炭素税導入等によるコスト増加、人材不足、自然災害等による操業停止又は稼働率低下が発生する可能性があります。これらに対し、高付加価値製品・差別化技術の開発、適正な価格設定、棚卸資産の適正化、関係当局・顧客との連携、調達・販売先の複線化、法令遵守及び災害対応体制・エネルギー管理の強化により、影響の低減に努めています。金属セグメント金属セグメントは、上記「財務リスク」に記載のとおり、相場変動及び為替変動のリスクを有しており、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて商品先渡取引・為替予約取引を利用することで、変動リスクの影響の低減を図っています。また、ロシア・ウクライナ情勢を背景として石油・石炭・LNG・電力等エネルギーコストが急騰しており、さらに、近年のカーボンニュートラル実現に向けた世界的な趨勢の下、当セグメントとしても化石燃料の使用削減への取り組みが急務となっています。これらのリスクに対し、一部実施している排出係数が小さい電力会社・電力契約への切替に加え、CO2低減製品・SDGsに貢献する製品の提供等による新たな価格政策、再生可能エネルギー・CO2フリー電力購入等を両輪として新たに検討し、対応して参りたいと考えています。さらに、環境意識の高まりに伴う世界的なリサイクル原料市場の拡大を背景に、製錬ネットワークに銅製錬のプロセスを有機的に繋げたことで、多種多様なリサイクル原料の獲得及び増処理を推進している一方で、生産設備の老朽化や増処理に伴う設備への高負荷操業の継続、新規原料の処理等に起因する、設備故障を含む操業トラブルが発生するリスクがあり、結果として、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。三井金属グループでは、日々の設備保全とともに、中長期的視点において適切なタイミングでの設備投資や工程改善を通じて操業リスクの低減と安定操業に努めています。さらに、亜鉛製錬事業においては、東邦亜鉛株式会社の事業再編に伴い三井金属とDOWAメタルマイン株式会社の二社体制となったことを踏まえ、一層の安定操業・安定供給の維持に努めてまいります。 分類区分リスクの内容・対応策等セグメント横断的リスク製品の品質三井金属グループの製品は、電子機器や自動車等に幅広く利用されており、品質問題が発生した場合、バリューチェーンの広範囲に影響を及ぼす可能性があります。例えば、機能材料では、銅箔の様に携帯電話や様々な電気電子機器の配線材料・部品材料として使われる製品が多く、その特性不良がクレーム等につながる可能性があり、また、自動車用の部品、材料について、三井金属製品の品質に欠陥があった場合には、重大事故の発生や大規模リコールにつながる恐れがあります。三井金属グループでは、2024年10月に発覚した、三井金属子会社での品質不適切事案に関し、特別調査委員会を設置し、調査結果を2025年4月4日に公表しました。同様の事案を二度と繰り返さないよう、従来から取り組んできた、(新規事業を含む)事業分野の業態に応じた品質保証体制の構築や、品質マネジメントシステムに基づく品質管理の強化に加え、当該子会社に限らず、グループ全体として、この1年、再発防止対策を講じてまいりました。具体的には、4月4日を品質の日とすると共に、リスクベースアプローチに基づく優先拠点の緊急点検(抜き打ち監査)、検査データのデジタル化及び検査表作成システムの導入、全階層を対象とした品質コンプライアンス教育、役員による月次のメッセージ配信、品質保証ガイドラインの改善・運用強化、並びに守れる規格の締結等を展開してまいりました。今後も品質コンプライアンスを最優先事項として、全社一丸となって品質保証活動に取り組んでまいります。第三者との提携三井金属グループは、将来の成長商品及び成長事業となり得る新事業の継続的な創出を図っています。この一環として、三井金属との事業シナジーが見込まれる国内外の企業やベンチャー等の第三者との間で、共同開発、戦略的提携、事業提携や事業買収等を行う可能性があります。第三者との提携においては、提携先における技術開発の遅延や技術競争力の低下、事業環境の変化、提携先の財務状況の悪化等により、三井金属グループが想定する新事業の創出や成長が実現しない可能性があります。また、提携先への出資を行っている場合には、これらの状況により、出資金額の回収が困難となり、減損損失を計上する等のリスクが生じる可能性があります。これら第三者との提携に係るリスクが、三井金属グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を与える可能性があります。三井金属グループでは、提携に際して適切なデュー・ディリジェンスを実施し、提携先の技術力、事業内容及び財務状況等を慎重に評価するとともに、三井金属の経営ノウハウ、技術及び人材等を活用することで、第三者との提携に係るリスクの低減に努めています。カントリーリスク三井金属グループはグローバルに事業活動を展開しており、サプライチェーンも国内外に拡がっています。拠点所在国・地域及び事業関連国・地域における地政学リスクの高まりや「紛争」、政治状況の不安定化(テロやクーデターを含む)、加えて各国における政策転換、通商規制の強化、経済制裁や保護主義的な動き等のカントリーリスクが、三井金属製品の需要の減少や原材料・物流コストの増加等に繋がり、三井金属グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。とりわけ、米国をはじめとする主要国の通商政策の変更や追加関税措置等については、その影響を完全に見通すことは困難であり、顧客企業の生産・投資計画の見直しによる販売数量の減少や、三井金属製品の販売及び原材料調達におけるコスト増加を通じて、三井金属グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。三井金属グループでは、外務省等の行政機関が発信する情報、顧客企業及びサプライヤー企業からの情報、民間シンクタンクの分析、各種報道等を通じて情報の収集・評価を行っています。事業活動に影響を及ぼし得る事象を継続的にモニタリングし、サプライチェーンの多元化等を含め、カントリーリスクによる影響の低減に努めています。労働力の不足日本国内において、生産年齢人口減少に伴う採用競争の激化、及び今後見込まれる定年退職者の増加により、三井金属グループの労働力不足に係るリスクが三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。三井金属グループでは優秀な人材を確保するため、採用を強化するとともに、年齢に関わらず、活躍し続けられる会社を目指して、定年年齢の引き上げを行っています。そして、多くの方が三井金属グループを選択しいきいきと働いてもらえる会社となるために、多様な人材が働きやすく働きがいのある職場環境を整え、キャリア開発支援や教育を継続的に実施しています。また、昨年に引き続きベースアップも実現いたしました。さらに、ICT導入等により生産性の向上を図り、労働力不足に係るリスクの低減に努めています。 分類区分リスクの内容・対応策等経営成績等に影響を与えうるESGリスク(注1)環境三井金属グループは「環境と調和した事業活動」をマテリアリティと位置付け、気候変動対応を含む環境全般を重要な経営課題と認識しています。環境を取り巻くリスクとして、各国の政策・法規制強化による事業への影響、対応の遅れによるレピュテーション低下、気候変動に伴う物理的影響や自然資本の毀損を共通のリスクと捉えています。これらに対応するため、三井金属グループは環境を構成する各項目に、以下の通りリスクの把握と低減に向けた取り組みを進めています。①温室効果ガス排出及びエネルギー管理三井金属グループが属する非鉄金属業界は、相対的に温室効果ガス排出が多い産業特性を有しています。近年は国内外で進む脱炭素政策の影響を受け、排出量取引制度の開始や排出削減に向けた設備投資等により、事業コストが上昇する可能性があります。さらに、地政学的緊張等を背景とする社会情勢不安により、エネルギー調達の不確実性が高まっています。また、脱炭素に関する顧客ニーズの変化を踏まえ、三井金属グループではエネルギー調達と温室効果ガス排出抑制の両面を考慮し、環境貢献製品の提供やサプライチェーンへの対応強化等に努めています。加えて、機関投資家やESG評価機関から、開示情報の精緻化・拡充が求められています。これを踏まえ、SSBJ基準やGHGプロトコル改訂に対応した気候関連対応の情報開示に向け、準備を進めています。②水の管理水は地球上の重要な資源であり、三井金属の事業活動にとっても必要不可欠な要素です。一方で、気候変動の進行や水資源を巡る環境変化等により、水ストレスの高い地域を中心に取水制限や水供給の不安定化が生じ、三井金属の生産活動や操業コストに影響を及ぼす可能性があります。こうした水関連リスクに対応するとともに水資源の持続可能な利用を図るため、三井金属は各工程における水資源利用効率の向上に取り組むとともに、水ストレスの高い地域を中心に取水量削減目標を設定し、計画的な取水量削減を進めています。あわせて、水の管理に関する規制基準を遵守し、排水量及び排水の水質について適切な管理目標を定めたうえで、関連法規制に沿った排水量・水質管理と汚染物質の排出抑制の徹底により、水質汚染の防止に努めています。これらの取り組みを通じて、水資源に関するリスクの低減と環境負荷の最小化を目指してまいります。③廃棄物と有害物質の管理三井金属は、廃棄物及び有害物質について、総廃棄物量並びにPRTR制度に基づく届け出対象物質の排出量について削減目標を設定し、その達成に向けた取り組みを進めています。廃プラスチックについても、プラスチック資源循環法に基づき削減目標を定め、発生抑制及び削減に取り組むとともに、リサイクル原料の使用率向上にも努めています。④生物多様性への影響生物多様性への影響については、一部拠点での予備スタディを踏まえ、影響の把握と低減・回復に向けた取り組みを推進し、環境リスクの低減を図っています。また、TNFD提言に沿った情報開示に向け、アドプター登録のうえ、LEAPアプローチに基づく分析・評価を進め、影響・依存並びにリスク・機会を把握し、開示の充実と経営への反映を検討していく方針です。社会三井金属グループは、ESG項目の内、社会リスクとして、「人権」、「安全衛生」、「公正な事業慣行」を特定しています。①人権三井金属グループの事業やサプライチェーンにおいて、特に鉱業特有の人権リスクや、鉱物サプライチェーン上の人権リスクがあると認識しています。人権侵害が発覚した場合、調達や生産への影響だけではなく、三井金属グループのレピュテーションリスクにもつながり、結果として、人権リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。これらのリスクに対し、三井金属グループは、人権方針と人権基準に基づき、各対象に対し人権デュー・ディリジェンスを行っています。社内については、各拠点での人権デュー・ディリジェンスの実施、また、特に外国人労働者の人権尊重について課題調査及び是正措置に取り組んでいます。加えて人権尊重に係るグループ全体のルールを整備するとともに社内の教育を実施し対応を進めています。サプライチェーンについては、調達方針を定め、サプライヤーデュー・ディリジェンスを実施しています。デュー・ディリジェンスでは、リスク評価を実施しリスクが高いと評価された人材派遣会社等の非生産材サプライヤー含む重要サプライヤーに対し調査を行っています。課題が特定されたサプライヤーにはエンゲージメントを行い改善を実施いただき、人権リスクの低減を図っています。地域コミュニティ(鉱山地域含む)については、操業中の鉱山に対し、鉱山事業に係る自己評価アンケートを実施しています。 分類区分リスクの内容・対応策等経営成績等に影響を与えうるESGリスク(注1)社会②安全衛生三井金属の作業従事者には安全や衛生に係る労働災害が発生するリスクがあります。特に重篤な労働災害は人的損失、操業停止、行政指導等につながることから、安全衛生に係るリスクが三井金属グループの経営に重大な影響を与える可能性があります。労働安全衛生を管理するために、主要拠点では、ISO45001を取得し、労働安全衛生マネジメントシステムに基づきPDCAを回し、レベルアップを図っています。また、作業従事者に対し、安全衛生の関連法規やルールの遵守・危険感受性を高めるための研修、非常時に備えた訓練、個別作業ごとの保護具や工具の使用等についてトレーニングを実施し、安全衛生に係るリスクの低減を図っています。③公正な事業慣行三井金属グループ内や政治、行政、サプライヤー等ステークホルダーとの間で、贈収賄や反競争的行為といった不正な行為が発生した場合、ペナルティやレピュテーションリスクにつながり三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、各国法制も情勢により変化することから、グローバルな事業展開をする中において、より感度を上げて対応していく必要があると認識しています。三井金属グループは、公正な事業慣行を徹底する施策として、役員や従業員を対象に研修を継続実施し、各拠点において、競合他社等との接触機会のモニタリング、サプライヤーとの関係を含めた法務監査を行っており、また、海外拠点を中心に、順次、サプライヤーとの贈収賄禁止協定書の締結を進め、公正な事業慣行に係るリスクの低減を図っています。ガバナンス三井金属グループは、ESG項目の内、ガバナンスリスクとして、「コーポレート・ガバナンス」、「コンプライアンス」を特定しています。三井金属グループは、持続的に企業価値を高めるために、コーポレート・ガバナンスの仕組みや機能を規律づけ、ガバナンスの実効性が強化されるよう改善を図っています。しかしながら、将来的に、事業・外部環境の変化等により不測の事態が発生した場合、ガバナンスの実効性が低下する恐れがあります。ガバナンスの実効性の低下は、法令違反等のコンプライアンスのリスクにつながる可能性もあり、訴訟やレピュテーションリスクが生じる恐れがあります。結果として、ガバナンスリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。ガバナンスの実効性を確保するため、コーポレートガバナンス・コードを踏まえたモニタリング機能の強化により、2024年6月より移行した監査等委員会設置会社に適した、取締役会を中心としたガバナンス機能の確立・向上を図っています。また、三井金属グループの全員が共有すべき価値観及び行動のあり方を示す規範である「行動規範」を制定し、「コンプライアンスガイドブック」によりその周知を行っています。加えて、三井金属グループにおけるコンプライアンス全般を統括する組織として、2026年3月1日付で社長を委員長とし、コンプライアンスについての最上位の独立した委員会であるコンプライアンス委員会を設置し、平時におけるコンプライアンス違反の未然防止及び有事における迅速かつ適切な対応を図っています。これらを活用し、国内外全ての役員や従業員を対象としたコンプライアンス研修等によりコンプライアンス実践意識を浸透させるとともに、グループ全体での情報共有体制を強化し、グループ全体でのガバナンスリスクの低減を図っています。 (注)1.三井金属グループの持続可能性を実現するために、サステナビリティに関するマテリアリティを特定し取り組みを進めています。マテリアリティの内、特に三井金属グループの経営成績等に影響を与えうる項目を、ESGリスクと区分しています。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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