3 【事業の内容】
三井金属及び三井金属の関係会社(三井金属、子会社72社及び関連会社12社(2025年3月31日現在)により構成)においては、機能材料、金属、モビリティ、その他の事業の4部門に関係する事業を主として行っており、その製品は多岐にわたっております。
各事業における三井金属及び関係会社の位置付け等は次のとおりであります。
以下に示す区分は、セグメントと同一の区分であります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
(機能材料)
当部門においては、銅箔(キャリア付極薄銅箔、プリント配線板用電解銅箔等)、機能粉(電子材料用金属粉、酸化タンタル等)、電池材料(水素吸蔵合金等)、スパッタリングターゲット(ITO等)、セラミックス製品の製造・販売等を行っております。
[主な関係会社]
日本イットリウム㈱、台湾銅箔股份有限公司、Mitsui Copper Foil(Malaysia)Sdn.Bhd.、三井銅箔(香港)有限公司、三井銅箔(蘇州)有限公司、台湾特格股份有限公司、三井金属特種陶瓷(蘇州)有限公司、三井金属貿易(上海)有限公司
(金属)
当部門においては、亜鉛、鉛、銅、金、銀の製造・販売、資源リサイクル事業等を行っております。
[主な関係会社]
神岡鉱業㈱、彦島製錬㈱、三池製錬㈱、八戸製錬㈱、㈱産業公害・医学研究所、三井串木野鉱山㈱、日比製煉㈱、日比共同製錬㈱、三井金属リサイクル㈱、Compania Minera Santa Luisa S.A.、奥会津地熱㈱、三井金属資源開発㈱、上海三井鑫云貴稀金属循環利用有限公司、エム・エスジンク㈱、パンパシフィック・カッパー㈱、Compania Minera Quechua S.A.
(モビリティ)
当部門においては、排ガス浄化触媒、自動車用ドアロック、ダイカスト製品、粉末冶金製品の製造・販売等を行っております。
[主な関係会社]
Mitsui Kinzoku Components India Private Limited、三井金属(珠海)環境技術有限公司、
PT. Mitsui Kinzoku Catalysts Jakarta、Mitsui Kinzoku Catalysts Vietnam Co.,Ltd.、
Mitsui Kinzoku Catalysts(Thailand)Co.,Ltd.、Mitsui Kinzoku Catalysts America,Inc.、三井金属アクト㈱、GECOM Corp.、MITSUI KINZOKU ACT MEXICANA, S.A. de C.V.、Mitsui Siam Components Co.,Ltd.、
Mitsui Components Europe Ltd.、広東三井汽車配件有限公司、無錫大昌機械工業有限公司、三井金属愛科特(上海)管理有限公司、Automotive Components Technology India Private Limited、PT. Mitsui Kinzoku ACT Indonesia,、三井金属ダイカスト㈱、九州精密機器㈱
(その他の事業)
当部門においては、伸銅品、パーライト製品の製造・販売、各種産業プラントエンジニアリング等を行っております。
[主な関係会社]
三井金属(上海)企業管理有限公司、三井金属パーライト㈱、三井金属商事㈱、日本メサライト工業㈱、三井金属計測機工㈱、三谷伸銅㈱、三井研削砥石㈱、Mitsui Grinding Technology (Thailand)Co.,Ltd.、三井金属ユアソフト㈱、三井金属スタッフサービス㈱、三井金属エンジニアリング㈱、三井住友金属鉱山伸銅㈱、㈱ナカボーテック、吉野川電線㈱、パウダーテック㈱
<事業系統図>
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において三井金属が判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
三井金属グループは、「創造と前進を旨とし、価値ある商品によって社会に貢献し、社業の永続的発展成長を期す」を経営理念とし、「マテリアルの知恵を活かす」というコーポレートスローガンの下、「社会の持続的な成長」と「中長期的な企業価値の向上」に努めることを経営の基本方針としております。
(2) 対処すべき課題
〔中期経営計画「22中計」スタート〕
三井金属グループは、2022年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「22中計」を策定し、昨年4月よりスタートいたしました。パーパスを基軸とした全社ビジョン(2030年のありたい姿)を実現するため、「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」の両立を目指す統合思考経営を本格的に導入し、持続可能な会社へと変革を進めております。
「社会的価値の向上」については環境影響、社会関係資本、人的資本、ビジネスモデル・イノベーション、リーダーシップ・ガバナンスの5つの観点で各事業の機会・リスクを評価し、事業の持続可能性を経営判断に活かしております。
「経済的価値の向上」については両利きの経営(注)1を実現するべく、事業ポートフォリオの動的管理、社内外シナジーの追求、成長戦略を加速するためのM&Aの活用、研究開発と市場共創の機能を持つ事業創造本部への積極的資源投入に重点的に取り組んでおります。
そのような中、「22中計」スタート年である2022年度は、中国の景気減速等の市況悪化やウクライナ情勢の長期化等が懸念される中、原材料価格やエネルギーコストの上昇、急激な為替相場の変動等の影響により、損益・財務実績は計画値を大幅に下回りました。
「22中計」の2年目となる2023年度も、損益・財務指標は原計画値を下回る見込みの厳しい経営環境ではありますが、全社ビジョン実現に向けた戦略は変更せず、引き続き以下の重点施策を実行してまいります。
機能材料部門では、経済的価値実現に向けた事業機会拡大による成長加速とその仕組みづくり、社会的価値創造に向けた環境貢献製品の創出、CO2排出量削減の加速といった戦略の追加や経営資源配分の最適化による資産効率向上を進めてまいります。
金属部門では、持続可能な社会の実現に必須とされる存在になるためのリサイクルネットワークの確立、新たな金属・再生可能エネルギー資源の開発という中長期的な目標に向け、銅・貴金属採収率の改善や副産物の増回収に取り組むとともに再生可能エネルギー開発可能性の検討に引き続き取り組んでまいります。
モビリティ部門では、選ばれる価値を見極め、創り続けるモビリティ社会の開拓者となるべく、技製販全てにおける深化(商権維持)と共に新規開拓(新しい製品・事業創出)を推進するため、部門横断的な課題解決に取り組んでまいります。
事業創造本部では、新たな事業を「持続的」に創造できるようになるために、事業機会の探索力、研究開発力の強化を図り、事業化推進テーマについては環境の変化に応じてタイムリーに投資と人員の投入を行ってまいります。
本社部門では、サステナビリティ推進部と事業部門を含めた関係部門の連携促進を図り、「社会的価値の向上」の取り組みを更に加速させるため、2023年4月にサステナビリティ推進部を経営企画本部から、社長直下に移管いたしました。なお、2030年度CO2排出量をグローバルで38%削減(2013年度比)すること、2050年度カーボンニュートラル(Net排出ゼロ)を目指すため、カーボンニュートラルロードマップ運用やLCA(ライフサイクルアセスメント)(注)2による改善ポイントの把握、インターナルカーボンプライシング(注)3制度を導入しております。さらに、本年、経済産業省が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)(注)4リーグ(注)5へ参画いたしました。2026年度以降の排出量取引市場の本格稼働に向け日本政府の制度構築の議論に積極的に参加してまいります。
また、「社会的価値の向上」と「経済的価値の向上」の両立を目指す統合思考経営に向け、技術系の4部門である生産技術部、品質保証部、保安環境部、知的財産部は各部でGX、DX(デジタルトランスフォーメーション)(注)6等の技術基盤の強化や人材育成に取り組んでおりますが、協働して取り組むことでシナジーを創出しその成果を最大化するため、2023年4月に上記4部門を統括する「技術本部」を新設いたしました。
厳しい経営環境ではありますが、以上の取り組みを実行することにより、統合思考経営への変革を遂げ、ステークホルダーの皆様と共に地球を笑顔にすることを目指してまいります。
(注)1 両利きの経営:「主力事業の絶え間ない改善(知の深化)」と「新規事業に向けた実験と行動(知の探索)」を両立させていく考え方。
2 LCA(ライフサイクルアセスメント):製品やサービスのライフサイクル(原料の採取、社内製造・加工過程、さらにその製品を使用、消費、廃棄プロセス)を通じた環境への影響を定量的に評価する手法。
3 インターナルカーボンプライシング:自社基準で二酸化炭素(CO2)に価格を設定してその排出量を費用換算し設備、開発投資判断の参考とするもの。
4 GX(グリーントランスフォーメーション):気候変動の主な要因となっている温室効果ガスの排出量を削減しようという世界の流れを経済成長の機会ととらえ、排出削減と産業競争力向上の両立を目指す取り組みのこと。
5 GXリーグ:2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXへの挑戦を行い、現在及び未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取り組みを行う企業群や官・学と共に協働する場で、日本政府が2022 年に設立。
6 DX(デジタルトランスフォーメーション):デジタルテクノロジーを駆使して、経営の在り方やビジネスプロセスを再構築すること。
〔目標とする経営指標〕
このような状況の下、創業150年を迎える22中計最終年度である2024年度(2025年3月期)の業績予想は、入手可能な外部の情報等を踏まえ、次のとおりであります。
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2024年度連結業績
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予想値(A)
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目標値(B)
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増減 (A)-(B)
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売上高(億円)
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7,180
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7,250
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△70
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経常利益(億円)
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470
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600
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△130
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フリーキャッシュ・フロー(億円)
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240
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370
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△130
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ROE(自己資本当期純利益率)(%)
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12.2
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14.0
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△1.8
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自己資本比率(%)
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43.2
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50.0
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△6.8
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Net D/Eレシオ(倍)
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0.66
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0.42
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0.24
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Net D/Eレシオ:有利子負債から現金及び預金を差し引いて、それを自己資本で割ったもの。
主な前提諸元
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予想値(A)
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目標値(B)
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増減 (A)-(B)
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亜鉛LME価格($/t)
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2,900
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3,000
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△100
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為替(円/US$)
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135
|
120
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15
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上記の業績予想につきましては、2023年5月16日現在において入手可能な情報に基づき算出したものであり、今後様々な要因により実際の業績が記載の予想数値と異なる場合があります。
中期経営計画「22中計」の進捗状況につきましては、三井金属ホームページのIR・投資家情報に、2023年5月16日付で掲載されております「22中計進捗説明会資料」をご参照下さい。
https://www.mitsui-kinzoku.com/LinkClick.aspx?fileticket=Qjgt7FQqwIw%3d&tabid=199&mid=826&TabModule950=0
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において三井金属が判断したものであります。
三井金属グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)は、様々な要因によって、重要な影響を受ける可能性があります。三井金属グループでは、経営成績等やビジネスモデル、長期的価値創造に直接影響を与え、事業の継続や企業の存続を脅かす可能性のあるリスクを特定しております。また、リスクへの対応力を向上させるため、リスクマネジメントの推進体制や仕組みの整備・改善に取り組み、対応策を検討し実施しております。
分類
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区分
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リスクの内容・対応策等
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顕在化した場合に 緊急性の高いリスク
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感染症の 大規模流行
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感染症の大規模流行のリスクが顕在化した場合、三井金属グループやサプライチェーンの従業員に感染が拡大する恐れがあります。また、国や地域ごとの緊急事態宣言等により、サプライチェーンや三井金属グループの事業活動が制限を受ける可能性があり、感染症の大規模流行のリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります 。 三井金属グループはこれらのリスクが顕在化した際には、「緊急事態発生時の対応に関する規則」に基づき、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。 三井金属グループでは、三井金属BCMマネジメント活動サイクルによりBCP等の対策の有効性を改善し、適宜見直すといったBCM活動を継続的に推進し、感染症の大規模流行に係るリスクの低減を図っております 。
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大規模自然災害
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地震や、気候変動の進行による大規模な台風、集中豪雨の発生により、大規模自然災害のリスクが増大しています。大規模自然災害のリスクが顕在化した場合、従業員、生産設備等の資産、サプライチェーンにおいて被害が発生する恐れがあります。これらの被害により三井金属グループの調達、生産、製品販売に支障が生じ、大規模自然災害のリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 三井金属グループはこれらのリスクが顕在化した際には、「緊急事態発生時の対応に関する規則」に基づき、人命の保護を最優先に、BCP等を実施し、資産を守りサプライチェーンを維持し、操業の早期復旧と継続を図ります。三井金属グループでは、三井金属BCMマネジメント活動サイクルによりBCP等の対策の有効性を改善し、適宜見直すといったBCM活動を継続的に推進し、大規模自然災害に係るリスクの低減を図っております。
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情報セキュリティ
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三井金属グループでは、顧客等のステークホルダー及び三井金属グループの機密情報を保持・管理しております。サイバー攻撃や関係者の故意又は過失等により、機密情報の漏洩、改ざん、消失が起きた場合、顧客や社会からの信用を失うだけでなく、多額の損害賠償の請求や訴訟の恐れがあります。結果として、情報セキュリティに係るリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 三井金属グループでは、ICTを活用し機密情報を統一的に管理し、セキュリティ規則の遵守や提携先との秘密保持契約締結により、情報セキュリティに係るリスクの低減を図っております。 また、国際情勢の変化やICT技術の進歩に伴い、想定していなかった新たなリスクが日々脅威として増え続けているとも認識しており、事前予防もさることながら、「新しいリスクは発生するもの」という認識の下で、緊急時にできる限り迅速・的確に対応する仕組みの継続的な強化を図っております。
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分類
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区分
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リスクの内容・対応策等
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財務リスク
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相場変動
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亜鉛、鉛、銅等の非鉄金属の価格はロンドン金属取引所(LME:London Metal Exchange)、その他の国際市場で決定されます(以下、LME相場等)。LME相場等は国際的な需給バランス、世界の政治経済の状況や投機的取引等の影響を受けて変動します。LME相場等が著しく低下し、さらに、その状態が長期間続いた場合には、相場変動リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 相場変動に対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて商品先渡取引を利用することで、相場変動リスクの影響の低減を図っております。
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為替変動
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亜鉛精鉱等の輸入原料価格や、非鉄金属地金の国内価格は、米ドル建てのLME相場等を基準に決定され、三井金属グループが製錬事業から得る製錬収入(マージン)も、実質的に米ドル建てとなっております。 また、機能材料分野他の製品等の輸出から得られる収入も、外国通貨建てとなっております。したがって、為替レートが大きく円高に振れ、その期間が長期間にわたって継続した場合には、為替変動リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 為替変動に対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて為替予約取引を利用することで、為替変動リスクの影響の低減を図っております。
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資金調達
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安定的な資金調達を図るため、金融機関との間でシンジケートローン及びコミットメントライン契約を締結しており、契約には一定の財務制限条項が付されております。三井金属グループがこれらに抵触した場合、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる等、資金調達リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 三井金属グループの財政状態は、財務制限条項に照らして問題のない水準にありますが、随時モニタリングを行い、資金調達リスクの低減を図っております。
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年金資産運用
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従業員に対する退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なる場合、年金資産運用のリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 年金資産の運用については、運用機関から意見を聴取した上で、分散投資を前提に政策的資産構成割合を策定しております。また、運用状況を定期的にモニタリングし、年金資産の運用方針(運用期間及び運用割合)の見直しを行い、年金資産運用のリスクの低減を図っております。
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セグメントにおける リスク
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機能材料 セグメント
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機能材料セグメントは、キャリア付極薄銅箔等、トップシェア製品を有していますが、市況及び競争環境変化は大きいため、三井金属技術の陳腐化、製品のミドル/ローエンド化による参入障壁低下や、代替技術の台頭に伴う競合参入によるシェアの減少・停滞のリスクがあります。結果として、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては、技術優位性の確保に向けたスマート工場化や設備稼働率の改善、新製品の創出、及び第三者との提携等の対応策を講じることで、リスク低減を図ってまいります。
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金属セグメント
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金属セグメントは、上記「財務リスク」に記載のとおり、相場変動及び為替変動のリスクを有しており、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。これらのリスクに対しては、リスクヘッジを目的とし、必要に応じて商品先渡取引・為替予約取引を利用することで、変動リスクの影響の低減を図っております 。また、ロシア・ウクライナ情勢を背景として石油・石炭・LNG・電力等エネルギーコストが急騰しており、さらに、近年のカーボンニュートラル実現に向けた世界的な趨勢の下、当セグメントとしても化石燃料の使用削減への取り組みが急務となっております。これらのリスクに対しては、省エネルギー・燃料切り替えに加え、水力発電等の再生可能エネルギー開発を検討していくことで、リスクの低減を図ってまいります。 さらに、環境意識の高まりに伴う世界的なリサイクル原料市場の拡大を背景に、製錬ネットワークに銅製錬のプロセスを有機的に繋げたことで、多種多様なリサイクル原料の獲得及び増処理を推進している一方で、生産設備の老朽化や増処理に伴う設備への高負荷操業の継続、新規原料の処理等に起因する、設備故障を含む操業トラブルが発生するリスクがあり、結果として、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります 。 三井金属グループでは、日々の設備保全とともに、中長期的視点において適切なタイミングでの設備投資や工程改善を通じて操業リスクの低減と安定操業に努めております 。
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分類
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区分
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リスクの内容・対応策等
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セグメントにおける リスク
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モビリティ セグメント
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モビリティセグメントは、市場の変化からの影響を受けやすい傾向にあります。景気変動や脱炭素化による市場の変化が、三井金属グループの製品構成や価格に影響をもたらし、経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 三井金属グループでは、顧客・第三者機関等から情報を収集して市場の動向をモニタリングしております。そして、現地調達、現地生産及びスマートファクトリー化による生産性や品質の向上とコストの削減、並びに新たな市場に備えた研究開発により、変化への対応力を強化しリスクの低減に努めております。
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セグメント横断的 リスク
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製品の品質
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三井金属グループの製品は、電子機器や自動車等に幅広く利用されており、品質問題が発生した場合、バリューチェーンの広範囲に影響を及ぼす可能性があります。例えば、モビリティセグメントでは搭乗者の安全に関わる重要な部品の一つであるドアロックを生産しており、三井金属製品の品質に欠陥があった場合には、重大な事故の発生や、大規模リコールにつながる恐れがあります。さらに、顧客・社会におけるレピュテーションが低下し、品質リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 三井金属グループでは、各事業セグメントの業態に合わせた品質保証体制を構築し、品質マネジメントシステムに基づき、品質管理を行い、品質問題の発生の低減に努めております。 また、製品の使用や輸送における安全確保、さらに、廃棄における環境影響につき適切な情報提供を継続しています。 さらに、品質に関するコンプライアンスを確保するため、三井金属グループ品質保証ガイドラインを定め、法令や客先との取決めを順守する活動を国内外に展開しています。
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第三者との提携
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三井金属グループは、将来の成長商品、成長事業となる新事業の継続的創出を図っております。この一環として、三井金属と事業シナジーが見込まれる国内外の有望なベンチャー等の第三者と共同開発を行っております。第三者との提携において、提携先での技術開発の遅れ及び技術優位性の低下、提携先財務状況の悪化により、三井金属の新事業創出が困難となる、また、提携先へ出資をしていた場合は、これらの状況により減損リスクが生じる恐れもあります。結果として、第三者との提携に係るリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 三井金属グループでは、適切なデュー・ディリジェンスによる提携先の選定、また三井金属の経営ノウハウ、技術、人材等の活用により、第三者との提携に係るリスクの低減を図っております。
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カントリー リスク
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三井金属グループはグローバルに事業活動を展開しており、サプライチェーンも国内外に拡がっております。拠点所在国・地域及び事業関連国・地域の政治状況の不安定化、経済・通商政策の変更、法制や税制の変更、紛争、国家間の経済制裁等が、三井金属製品の売上の減少やコストの増加等につながる等、カントリーリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 今般のウクライナ情勢については、現在までの影響は限定的でありますが、更に長期化し経済制裁の強化等が進んだ場合には、原材料の調達等のサプライチェーン上の影響、三井金属グループの業績及び財務に一定の影響を及ぼす可能性があります。 三井金属グループでは、外務省等行政発信情報、顧客企業及びサプライヤー企業からの情報、民間シンクタンク情報、各種報道による情報の評価分析を行っております。三井金属グループの事業活動が影響を受ける可能性のある事象をモニタリングし、カントリーリスクによる影響の低減を図っております。
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労働力の不足
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日本国内において、生産年齢人口減少に伴う採用競争の激化、及び今後見込まれる定年退職者の増加により、三井金属グループの労働力不足に係るリスクが三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 三井金属グループでは優秀な人材を確保するため、採用を強化するとともに、年齢に関わらず、活躍し続けられる会社を目指して、定年年齢の引き上げを行っています。そして、多様な人材が働きやすい職場環境を整え、キャリア開発支援や教育を継続的に実施しています。さらに、ICT導入等により生産性の向上を図り、労働力不足に係るリスクの低減に努めております。
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分類
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区分
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リスクの内容・対応策等
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経営成績等に影響を与えうるESGリスク (注1)
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環境
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三井金属グループは、ESG項目の内、環境リスクとして、「温室効果ガス排出」、「エネルギー管理」、「水の管理」、「廃棄物と有害物質の管理」、「生物多様性への影響」を特定しております。とりわけ三井金属グループが位置する業界は、「温室効果ガスの排出」や「エネルギー使用」が相対的に多く、今後、各国・地域が温室効果ガスに係る法規制を強化した場合、温室効果ガスの排出のコスト化等により、エネルギーコストが増大する恐れがあり、さらに、温室効果ガス削減の進展に伴う顧客ニーズの変化やサプライチェーン取引先への温室効果ガス削減貢献等のリスクと機会に対する認識から、その対応を拡充しています。「廃棄物と有害物質」については、有害物質が水、大気、土壌等、周辺環境に流出した場合、環境汚染を引き起こし、膨大なコストが発生する恐れがあります。さらに、事業活動が、その周辺地域の「生物多様性」に影響を与えた場合には、コストの発生やレピュテーションリスクにつながります。結果として、これら環境リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 環境リスクへの対応として、環境行動計画を作成し、それぞれの環境リスク項目(マテリアリティ)について目標を制定し、年次でPDCAを回し取組みの進捗を管理しております。温室効果ガス排出やエネルギー管理については、中期経営計画の開始に合わせて、2050年のカーボンニュートラル実現を見据えたところの温室効果ガス排出量の削減目標を見直し、この目標の進捗管理を行う指標も定めたうえで、省エネルギー活動、再生可能エネルギーの利用や拡大等の具体策に取り組んでいます。水の管理については、規制基準に沿って、排水量とその水質の適正な管理目標を設定し、汚染を起こさないよう対応策の実施を徹底しております。また、廃棄物と有害物質については廃棄物量とPRTR法に基づく届け出対象物質の排出量について、削減目標を定め、取組みを進めております。また、リユース及びリサイクル原料の使用率向上にも取り組んでいます。生物多様性への影響については、各拠点の課題と取組みの状況を集計し、具体的なアクションプランの作成に取り組んでいます。これらの取組みにより、環境リスクの低減を図っております。
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社会
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三井金属グループは、ESG項目の内、社会リスクとして、「人権」、「安全衛生」、「公正な事業慣行」を特定しております。 ①人権 三井金属グループの事業やサプライチェーンにおいて、特に鉱業特有の人権リスクや、鉱物サプライチェーン上の人権リスクがあると認識しております。人権侵害が発覚した場合、調達や生産への影響だけではなく、三井金属グループのレピュテーションリスクにもつながり、結果として、人権リスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 これらのリスクに対し、三井金属は、人権方針と人権基準に基づき、三井金属グループの各拠点において、人権デュー・ディリジェンスを行っております。地域コミュニティ(鉱山地域含む)については、鉱山事業に係る自己評価アンケートを実施し、デュー・ディリジェンスを行っております。また、サプライチェーンについては、これらの方針の他、調達方針を定め、サプライヤー デュー・ディリジェンスを実施しております。デュー・ディリジェンスでは、潜在的リスクを洗い出し、抽出された課題については、該当拠点やサプライヤーとエンゲージメントを行い、改善策を実施し、人権リスクの低減を図っております。
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分類
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区分
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リスクの内容・対応策等
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経営成績等に影響を与えうるESGリスク (注1)
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社会
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②安全衛生 従業員の安全や衛生に係る労働災害が発生するリスクがあり、労働災害は、行政等からのペナルティや操業停止につながり、安全衛生に係るリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 労働安全衛生を徹底するために、主要拠点では、ISO45001/OHSAS18001を取得し、労働安全衛生マネジメントシステムに基づきPDCAを回しレベルアップを図っております。また、従業員に対し、安全衛生の関連法規やルールの遵守・危険感受性を高めるための研修、非常時に備えた訓練、個別作業ごとの保護具や工具の使用等についてトレーニングを実施し、安全衛生に係るリスクの低減を図っております。
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③公正な事業慣行 三井金属グループ内や政治、行政、サプライヤー等ステークホルダーとの間で、贈収賄や反競争的行為といった不正な行為が発生した場合、ペナルティやレピュテーションリスクにつながり三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、各国法制も情勢により変化することから、グローバルな事業展開をする中において、より感度を上げて対応していく必要があると認識しています。 三井金属グループは、公正な事業慣行を徹底する施策として、役員や従業員を対象に研修を継続実施し、各拠点において、競合他社等との接触機会のモニタリング、サプライヤーとの関係を含めた法務監査を行っており、また、海外拠点を中心に、順次、サプライヤーとの贈収賄禁止協定書の締結を進め、公正な事業慣行に係るリスクの低減を図っております。
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ガバナンス
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三井金属グループは、ESG項目の内、ガバナンスリスクとして、「コーポレート・ガバナンス」、「コンプライアンス」を特定しております。 三井金属グループは、持続的に企業価値を高めるために、コーポレート・ガバナンスの仕組みや機能を規律づけ、ガバナンスの実効性が強化されるよう改善を図っております。しかしながら、将来的に、事業・外部環境の変化等により不測の事態が発生した場合、ガバナンスの実効性が低下する恐れがあります。ガバナンスの実効性の低下は、法令違反等のコンプライアンスのリスクにつながる可能性もあり、訴訟やレピュテーションリスクが生じる恐れがあります。結果として、ガバナンスリスクが、三井金属グループの経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。 ガバナンスの実効性を確保するため、コーポレートガバナンス・コードを踏まえたモニタリング機能の強化により、取締役会を中心としたガバナンス機能の向上を図っております。また、全ての役員や従業員を対象としたコンプライアンス研修等によりコンプライアンス実践意識を浸透させるとともに、部門間、拠点間の情報共有体制を強化し、グループ全体でのガバナンスリスクの低減を図っております。
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(注)1.三井金属グループの持続可能性を実現するために、サステナビリティに関するマテリアリティを特定し取組みを進めております。マテリアリティの内、特に三井金属グループの経営成績等に影響を与えうる項目を、ESGリスクと区分しております。
2.新型コロナウイルス感染症(以下「COVID-19」という。)の影響については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照下さい。