全保連は主に、賃貸物件における賃借人の家賃等の支払いを賃貸人に保証する事業を営んでおります。
本邦においては、従来、賃貸物件の契約時に、賃借人の親子・親族等が、賃借人の賃貸人に対する家賃等の支払債務について連帯保証人となることが一般的でした。しかしながら、近年の家族関係の希薄化、賃借人の高齢化に加え、2020年4月に施行された改正民法において、個人根保証契約における極度額の定めが必須となる等の事情も相まって、賃借人において上記のような連帯保証人を確保することが困難な状況が生じております。
このような社会的課題を解決し、もって賃貸マーケットを円滑に発展させていくお手伝いをすべく、全保連は、賃貸物件の賃借人・賃貸人との間でそれぞれ賃貸借保証委託契約・賃貸借保証契約を締結し、賃借人において家賃等の支払いが滞る場合には、保証委託料をお支払い頂いた賃借人の連帯保証人として、賃借人に代わって、賃貸人に対し、当該家賃等に相当する金員を代位弁済するサービス(以下「家賃債務保証サービス」)を提供しております(なお、代位弁済した家賃等に相当する金員は、後日全保連から賃借人に求償して回収します。)。
そして、この家賃債務保証サービスの提供を主たる業務とする家賃債務保証事業においては、賃貸物件の管理や仲介、各種契約の締結等の事務を担う不動産管理会社・不動産仲介会社等(以下「協定会社」)との協力関係の構築が不可欠であることから、全保連ではこれまで、全国の主要都市に配置した本社・営業所等(現在、全国19拠点)を通じて、協定会社に対する積極的な営業活動を展開してまいりました。
その過程においては、家賃等の支払いに係る概算払方式の導入や、賃借人向けの見守りサービス(Z-Support Premium)の提供など、さまざまな商品を開発し、お客様の多様なニーズにお応えすべく企業努力を重ねてまいりました。その結果、全保連はこれまでに、累計54,123拠点(注1)にのぼる幅広い協定会社ネットワークを構築し、確固たる事業基盤を築いております。
(注)1.協定会社拠点数は2025年3月末時点
「事業系統図」
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において全保連が判断したものであります。
① 企業理念
「QUALITY FOR THE FUTURE 新たな価値へ、新たな未来へ」
② 目指すべき姿
「先進性を追求し、変革する未来を乗り越え続けるリーディングカンパニー」
全保連を取り巻く環境は日々変化を続けております。賃貸不動産市場の現況を見てみますと、国内総人口は顕著な減少傾向にあるものの、単身世帯数(特に高齢者)や外国人労働者世帯数等の増加、さらに平均賃料の上昇等により、その市場規模は緩やかに拡大していくものと考えられております。
一方で、家賃債務保証業界においては競争が激化する状況が続いており、このような状況を踏まえますと、賃借人・賃貸人・不動産会社による家賃債務保証事業者の選別が今後更に進むことが想定されます。全保連においては、こうした経営環境で生き残るべく、住宅確保要配慮者への円滑な保証やデジタル社会への対応といった課題を克服することで、契約件数・単価の増加、債権管理の高度化、業務の効率化等を通じた収益性の向上を図り、もってリーディングカンパニーとしてのプレゼンスを確固たるものとする必要があると考えております。
中期経営計画における主な戦略は以下のとおりです。
① 住居用家賃債務保証
今後の成長戦略の柱のひとつとして、全保連は、各地域に強力な営業基盤を有する地銀グループとのアライアンスを推進してまいります。当該アライアンスを通じ、全保連は、現状活動拠点を有していない地域においても営業活動を効率的に推進展開できる体制を整備し、更なるシェア拡大を図ってまいります。
また、近時増加する単身世帯の高齢者の方が安心して暮らせるよう、見守りサービスや孤独死保険等の付帯サービスを開発・提供してまいります。
② 事業用家賃債務保証
事業用家賃債務保証領域は、住居用家賃債務保証領域よりも更に潜在的な需要が大きく、将来的にも有望な市場になるものと考えております。従来からお取引させていただいている協定会社に加え、事業用物件を保有・運営するファンド・リート等へのアプローチを強化することで、本領域におけるシェアと収益の拡大を図ってまいります。
③ 学費保証
全保連は新領域として、専修学校における授業料等の分割納付が可能となる新たな保証サービスの拡大に取り組んでおります。所得格差の広がりが懸念される昨今の状況ではございますが、かかる保証サービスの利用により、学生は、より資金負担の少ない方法で就学の機会を得られることとなります。全保連は、学費面での就学環境を整えることで学生の就学の機会や意欲をサポートするとともに、少子化の中、専修学校の経営がより安定的なものとなるよう支援いたします。なお、2024年3月31日時点で、全保連は51校の専修学校と提携し保証業務契約の締結を完了しております。今後は、各都道府県の専修学校各種学校連合会等との連携をより強力に推し進めることで、学費保証の認知度を向上させ、先行メリットを生かして事業規模を拡大してまいります。
④ DX戦略
AI・ロボット等を活用することで、営業・審査・債権回収・事務オペレーション等、社内の業務プロセス全体の効率化を不断に推進します。また、全保連が独自開発した電子申込システムである「Z-WEB2.0」の機能拡充(電子契約、顧客レポート、契約書管理)等により業務のデジタル化・顧客接点の拡大を推し進め、将来的には生活のプラットフォーマーとなるべく取り組んでまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が全保連の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当事業年度末現在において全保連が判断したものであります。
全保連の営む家賃債務保証事業は、国内賃貸不動産市場の動向による影響を受けております。近年では晩婚化や少子高齢化に伴う単身世帯や高齢者世帯の増加、民法改正に伴う人的保証から家賃債務保証業者による保証への移り変わりといった環境下にあります。これらの動向は、家賃債務保証のニーズを後押しするものであり、全保連の事業にとっては追い風の状況であると認識しております。一方、人口減少や経済状況の悪化等に伴い、賃貸不動産市場が低迷した場合においては、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
家賃債務保証業は、法令に基づく許認可が必要とされておらず、形式的な参入障壁は低いため、家賃債務保証業界においては多くの競合が発生し易い状況にあります。一方、賃貸人及び協定会社とのネットワークや代位弁済発生時の債権回収の実務フローは一朝一夕に構築できるものではないため、後発事業者にとっては参入障壁は高いものと考えております。しかしながら、保険会社等の保証実務に親和性のある他業種からの新規参入や、同業他社やクレジットカード会社等の台頭によってシェアを失うことになれば、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
全保連は、家賃債務保証契約の管理をはじめとして、多くの業務にシステムを活用しており、今後もシステムに対する投資を積極的に行っていく予定であります。全保連のシステムについては、安定稼働の維持に努めるべく、バックアッププランを含めた緊急時の体制を整えると共に、システム全般に適切なセキュリティ対策を講じております。
しかしながら、これらの施策にもかかわらず、ソフトウェアの不具合や人為的ミスのほか、災害や不正アクセス等の外的要因により、システムの安定稼働の維持が困難となった場合、全保連の事業活動に支障が生じることによって、全保連の財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
全保連は、保証委託契約を締結した賃借人の家賃不払い等の債務不履行が発生した際には、賃貸人に対して代位弁済を実施しております。保証委託契約締結前に行う審査においては、自社の審査システムに基づき審査の適正性の確保に努めております。また、代位弁済の実施により全保連が取得した賃借人に対する求償債権については、全保連の定めるルールに従い債権回収を専門に行う部署が回収を担当しております。
しかしながら、経済状況や雇用環境が著しく悪化し賃借人の支払能力が低下した場合には、代位弁済額の増加、求償債権回収不能等の事象の発生により、全保連の財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
全保連は、代位弁済実施前の潜在的な保証債務について保証履行損失引当金を、代位弁済実施後の賃借人に対する求償債権について貸倒引当金を計上しております。これらは、債権を期間に応じて分類し、過去の一定期間における貸倒実績率により算定した損失見込額に対して計上しております。前述の通り、経済状況や雇用環境が著しく悪化し、代位弁済額や求償債権額が増加した場合には、引当金の追加計上等によって全保連の財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
全保連は、必要な人材の確保と育成に努めていく方針でありますが、必要な人材の確保が計画どおり進まなかった場合や、現在在籍する人材の社外流出等により、全保連の事業拡大が制約を受けた場合、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
全保連では採用の強化、処遇の改善(給与改定等による平均年収増加率は、2023年度7%)、公平公正な人事評価、研修制度の充実、育児休業や有給休暇の取得推奨等の働きやすい環境の整備により、必要な人材の確保を図っております。
全保連は、契約者の個人情報を含む数多くの機密情報を保有しており、万が一、全保連の責めに帰すべき事由による情報漏洩が発生した場合、全保連には、被漏洩者に対する損害賠償債務が発生するほか、全保連の信用に対する重大な懸念が生じ、そのことが全保連の財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、全保連では、「プライバシーマーク」を取得し、社内規程やマニュアルの整備、役職員への教育、情報管理システムの構築等の体制を整備し、情報セキュリティの強化に取り組んでおります。また、万が一、情報漏洩が発生した場合には、直ちに関係者に公表し、被害拡大防止等の対策を講じるとともに、徹底した事実調査と原因究明を実施し、再発防止策を策定することにより、信用回復を図ることができるような対応策を整備しております。
全保連は2017年10月に国土交通省によって創設された家賃債務保証業者登録制度(注1)への登録を行っております。万が一、全保連が同制度に定める各種の規律に違反した等ことを理由に、同省から、同じく同制度に定める指導や登録取消等の措置を受けた場合には、全保連の事業内容、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
また、家賃債務保証業については、当該業務それ自体を直接規律する法令(いわゆる業法令)が現状存在しないところではありますが、今後新たな法制度が導入される等することで、当該業務が直接法令上で規律される対象となった場合には、全保連の事業内容、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(注)1.家賃債務保証業を営む者の登録に関し必要な事項を定めることにより、その業務の適正な運営を確保し、家賃債務保証の健全な発達を図ることを通じて、もって賃貸住宅の賃借人その他の者の利益の保護を図ることを目的とする制度。
家賃債務保証事業においては、代位弁済した家賃等を賃借人から回収する必要があります。全保連では『債権回収ガイドライン』を定めて、適正な回収業務に努めると共に、そうした業務をモニタリングする仕組みを設けております。
しかしながら、全保連の回収業務に対して苦情が発生し、報道やインターネットの掲示板等を通じて風評が拡散されることにより、全保連のレピュテーションに悪影響を及ぼし、収益低下の要因となる等、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
全保連は、社内規程や業務マニュアルの整備、事務手続におけるチェックの徹底、各業務のシステム化による正確な事務処理体制の整備等、オペレーションリスクの撲滅低減に努めております。
しかしながら、いわゆるヒューマンエラー等によりオペレーションに支障が生じる可能性はあり、そのことが、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
全保連は、協定会社を通じて、賃借人・賃貸人に全保連の家賃債務保証サービスを提供しており、協定会社との関係性が重要であります。全保連では協定会社との関係性を強化するために、電子申込みや事故対応費用保険等の仕組みを整えて利便性を高めているほか、概算払方式のスキームで家賃滞納時における協定会社側の負担を低減させております。また、継続的な新規開拓と適時のフォローのために、全国の主要都市中心に本社・営業所等(現在全国19拠点)を配置しております。しかしながら、全保連の努力をもってしても協定会社との関係性が維持できない場合や、協定会社が倒産等により業務を停止したことにより申込が減少した場合には、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
全保連は、今後実施することが予想される代位弁済に備えるために、十分な資金の流動性を維持する必要があります。
全保連は、保証債務及び求償債権の管理を厳格に行っておりますが、急激な経済状況の悪化等により代位弁済の実施件数の急増等が生じた場合には、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
全保連は全国的に事業を展開しておりますので、大規模な地震・台風等の自然災害や感染症流行による被害は、発生地域における家賃債務保証需要の縮小を惹起するとともに協定会社の営業体制に影響を及ぼし、全保連の財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。感染症に対しては、お客様、取引先及び社員の健康と安全を確保しつつ、サービスの維持を図るため、事前対策、感染後の情報の収集、感染拡大防止のための措置を定め、適切な対策を実施しておりますが、全保連の従業員に感染が拡大した場合、健康被害等により業務遂行に支障が生じ、全保連の財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
全保連ではモチベーション向上等のため、ストック・オプション制度として役員及び従業員に新株予約権を付与しております。本書提出日現在で全保連の役員、従業員に付与済みのストック・オプションに関する潜在株式数は3,514,000株であり、発行済株式総数に対する本新株予約権の潜在株式数の割合は14.64%となっております。また今後も優秀な人材確保のため新株予約権を発行する可能性があります。
これらの新株予約権が行使された場合、発行済株式総数が増加し1株当たりの株式価値を希薄化させ、株価形成に影響を与える可能性があります。
当事業年度末現在において、ファンド等が所有している株式数は10,972,231株であり、当事業年度末現在の発行済株式総数に対する保有株式数の割合は47.71%であります。一般的にファンド等による株式の所有目的は、株式を売却の上キャピタルゲインを得ることにあたるため、今後ファンド等が所有する全保連株式の一部又は全部を売却することが想定されます。その場合、短期的に株式の需給バランスの変動が生じる可能性があり、全保連株式の株価形成に影響を及ぼす可能性がございます。
全保連は、将来の合理的な期間における課税所得の見積りを行い、将来の回収可能性を検討した上で繰延税金資産を計上しております。全保連においては、主に保証委託料売上の前受金、保証履行損失引当金及び貸倒引当金等が一時差異等を構成しており、これらは今後も発生し続けることが見込まれております。今後、全保連の経営状態の変化で見込んでいた課税所得に達しない場合、税効果計算上の会社分類に影響が出る可能性があるほか、法人税率引き下げ等の税制改正及び会計基準の変更等が生じた場合には、繰延税金資産が減額され、全保連の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
全保連代表取締役社長執行役員である迫幸治は、創業時から蓄積された知見を有し、また代表取締役副社長執行役員である茨木英彦は大手金融機関で培った知見をもとに、全保連の経営方針や事業戦略の決定等において重要な役割を果たしております。全保連は、両名に過度に依存しないよう、経営幹部役職員の拡充、育成及び権限委譲による体制の構築等により、経営組織の強化に取り組んでおりますが、十分な体制の構築が整うより以前に、何らかの理由で両名が全保連の業務を遂行することが困難になった場合には、全保連の財政状態及び経営成績に多大な影響を与える可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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