ティアフォー(593a)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


ティアフォー(593a)の株価チャート ティアフォー(593a)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

(1) ミッション・ビジョン

ティアフォーは、「創造と破壊」をミッションとし、「自動運転の民主化」をビジョンに掲げております。ミッションである「創造と破壊」は、従来にないアプローチで前例のない課題に挑み、新たな価値を大胆に創造するというティアフォーの姿勢を表現しています。

ビジョンには、安全な自動運転技術に資するあらゆるテクノロジーを開放し、様々な組織・個人がその発展に貢献できる開放的なエコシステムを構築するという意味が込められております。

現在、自動車産業は歴史的な大変革期にあり、ソフトウェア・ディファインド・ビークル(以下「SDV」という。)の台頭、電動化、自動運転技術の進展など、従来のビジネスモデルに根本的な変化が求められています。また、自動運転市場においては、各国政府による政策支援や法規制の整備が進展しているものの、ティアフォーグループの事業拡大にあたっては、関連法令に基づく許認可の取得や制度整備の進展が重要な要素となっております。

こうした技術革新及び制度環境の変化を背景に、ティアフォーグループは新しい技術と伝統的な企業との橋渡し役として、オープンソース(注1)型ソフトウェアを活用した柔軟かつ実装可能なソリューションを提供することにより、既存の自動車業界構造をディスラプト(混乱)させることなく尊重しつつ、次世代技術への円滑な移行を支援する存在となることを目指しています。これにより、既存の大手自動車OEM(注2)やTier1サプライヤー(注3)など自動車産業に関連する様々な企業が自動運転を含む次世代技術を無理なく導入できる環境づくりに貢献していきます。

これらミッション・ビジョンのもと、ティアフォーグループはオープンソース戦略によって自動運転技術の社会実装を推進しており、オープンソース型自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」の開発を主導することで、グローバルな技術基盤を提供しております。ティアフォーグループはこのような取組みを通じて、自動運転技術を社会全体へ普及させ、人々の移動の可能性を広げることを目指しております。

なおティアフォーグループは自動運転事業の単一セグメントであります。

 

(2) オープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」との関係性について

ティアフォーグループが事業の技術的基盤として採用する「Autoware(オートウェア)」は、自動運転システムの開発・運用に必要な機能群を備えた、オープンソース型自動運転ソフトウェアプラットフォームです。「Autoware(オートウェア)」は2015年に名古屋大学にてティアフォー創業者が公開した後、ティアフォーグループが中心となって開発・普及を推進しており、自動運転分野における国際的な共通基盤として、拡大を遂げております。

オープンソースとは、ソフトウェアの設計図に相当するソースコード(注4)を一般に公開し、誰もが自由に利用・改良・再配布できる方式を指します。この方式により、特定の企業や国家に依存しない中立性・透明性が確保され、また、グローバルに分散した開発者や研究者との協調開発が可能となることで、技術革新のスピードと柔軟性が大きく向上します。とりわけ、オープンソースの透明性は、クローズドソース(プロプライエタリ)型ソフトウェア(注5)と比較して顕著です。クローズドなソフトウェアは、特定企業がソースコードや技術仕様を独占的に管理・運用するものである一方、「Autoware(オートウェア)」はその全コードと更新履歴が公開されているため、利用者自身が技術の内容や動作を確認・評価することが可能です。これにより、ユーザーは特定ベンダーへの過度な依存を避け、導入や運用に関する選択の自由を保持できます。また、このような協調開発によって、従来のクローズドなソフトウェア開発と比較して、ティアフォー及びティアフォーの顧客であるOEMにおいてソフトウェアの開発効率を高めることができます。「Autoware(オートウェア)」はこうした透明性の利点を活かし、多様な用途・要件に対応可能な柔軟性と拡張性を備えたソフトウェア基盤として構築されています。このような柔軟性及び拡張性を基盤として、ティアフォーグループは「Autoware(オートウェア)」に自社技術を組み合わせることで、多様な車種・用途への展開を可能とし、特定用途に特化した企業と比較して汎用性の高い技術基盤を提供しております。

2018年には、「Autoware(オートウェア)」の国際的普及及び持続可能なエコシステムの構築を目的として、ティアフォーを含む複数の企業・団体により、一般社団法人「The Autoware Foundation」が設立されました。AWFは、「Autoware(オートウェア)」の開発・保守・標準化の中核的役割を担う国際コンソーシアムであり、産業界、学術機関、研究機関、政府機関、非営利団体など100社超の多様な組織が加盟しています。なお、「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権はAWFに帰属しており、当該知的財産はオープンソースソフトウェアとして、誰もが自由に利用・改良・再配布することが可能な形で管理されています。

 

AWFの主な役割としては、以下の項目が挙げられます。

・「Autoware(オートウェア)」の中長期的な技術ロードマップの策定と管理

・コミュニティ主導によるソフトウェア開発・保守の推進

・国際標準化活動との連携

・技術文書・仕様書の策定と公開

・実証実験や学術研究との連携による実用化支援

 

ティアフォーはAWFの創設メンバーとして、理事会や技術委員会において中心的役割を担っており、ソフトウェアの開発のみならず、エコシステム全体の設計・運用、産学官の連携促進、人材育成など、幅広い分野で貢献しています。こうした活動を通じて、ティアフォーグループは「Autoware(オートウェア)」の継続的な進化と、自動運転社会における国際的な透明性の高いプラットフォームの形成を目指しております。

2026年4月1日現在、「Autoware(オートウェア)」への貢献者数(ソフトウェア開発プラットフォームであるGitHubにおけるコード・コントリビューター数)は600人であり、そのうち68.2%がティアフォー及びパートナー企業に属さない貢献者です。また、GitHubのユーザーがリポジトリをブックマークし、プロジェクトへの支持を示す手段である「Star」の数も着実に増加しており、同日現在でAWFが受領した「Star」は11,584件となっています。

 

(3) 事業の内容

ティアフォーグループ(ティアフォー並びにティアフォーの子会社及び関連会社)は、ティアフォー(株式会社ティアフォー)、連結子会社2社(TierIV North America Inc.、株式会社Human Dataware Lab.)、持分法適用関連会社3社(株式会社マップフォー、株式会社eve autonomy、AI教習所株式会社)で構成されています。

ティアフォーグループは、「自動運転の民主化」をビジョンに掲げ、オープンソースソフトウェア「Autoware(オートウェア)」を基盤とした自動運転ソリューションの社会実装を推進しており、日本国内を中心に事業を展開しております。

会社別では、ティアフォーは、自動運転システムの開発と提供を中心に、自動運転車両の走行環境の構築、データ解析、ソフトウェア更新等を含む各種ソリューションを提供しており、連結子会社であるTierIV North America Inc.は、主に北米市場におけるパートナーや事業の開拓を、株式会社Human Dataware Lab.は、自動運転領域等におけるデータ解析、ソフトウェアの開発を主な業務としております。また、持分法適用関連会社である株式会社マップフォーは自動運転の実現に必要な高精度3次元地図データや測量技術に関わる開発、株式会社eve autonomyは工場内などにおける無人搬送サービスの提供、AI教習所株式会社は自動運転技術を活用した自動車教習システムの開発・販売を行っております。

 

a)「Autoware(オートウェア)」を活用した収益創出の仕組みについて

本項では、オープンソースである「Autoware(オートウェア)」を基盤とした技術提供に関連する、ティアフォーグループの代表的な収益創出の仕組みの一例について説明いたします。本記載は、「Autoware(オートウェア)」が無償で公開されている中で、ティアフォーグループがどのように商用展開に向けた価値を提供し、対価を得ているかについての概要を示すものであり、ティアフォーグループの全事業における収益構造を網羅するものではありません。なお、ティアフォーグループは、自動運転市場の立ち上がり段階や顧客の導入フェーズに応じて多様な収益創出の仕組みを有しており、これらの詳細については後段の「サービスの説明」にて記載しております。

「Autoware(オートウェア)」は、誰もが無償で利用可能なオープンソースソフトウェアであり、基本的な自動運転機能を備えているものの、そのままでは商用車両への実装や量産フェーズにおいて求められる水準を達成することは困難であり、商用利用には一定の技術的補完が必要とされます。特に、機能安全や品質保証、実運用環境への適応など、事業として自動運転を成立させるには、個別の顧客ニーズに応じた高度な設計と実装が不可欠です。

ティアフォーグループは、「Autoware(オートウェア)」を基盤とし、商用利用を見据えたソフトウェア及びハードウェア構成から成る「リファレンスデザイン(注6)」を独自に構築しております。この設計思想の中核にあるのが、「マイクロオートノミー・アーキテクチャ(Microautonomy Architecture)(注7)」というティアフォーグループ独自の概念です。これは、共通の要素技術群を基盤にしつつ、用途や車種が異なる複数の事業領域に対し、効率的かつ柔軟に自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発・展開することを可能とする設計思想であり、「Autoware(オートウェア)」やティアフォーグループが開発する要素技術のみならず、サードパーティー製のハードウェアやソフトウェアとも統合されたものです。

なお、自動運転レベルは0~5までに分類され、ティアフォーグループでは、運転者を必要としない自動運転の実現が可能となるレベル4が実現可能な技術開発を推進しております。これは、深刻化するドライバー不足といった社会課題の解決に資するのみならず、人の関与を前提とするレベル0~3と比して、より広範なユースケースへの適用が可能となることから、ティアフォーグループにとっても事業上の成長機会を獲得するうえで肝要であると認識しております。

 

各自動運転レベルの概要

自動運転

レベル

自動運転レベルの概要

運転操作の主体

全ての運転操作を運転者が手動で行う状態。

運転者

アクセル・ブレーキ操作又はハンドル操作のどちらかが、部分的に自動化された状態(運転支援)。

運転者

アクセル・ブレーキ操作及びハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態(特定条件下での自動運転機能)。

運転者

特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態。

ただし、自動運行装置の作動中、自動運行装置が正常に作動しないおそれがある場合においては、運転操作を促す警報が発せられるので、適切に応答しなければならない(条件付自動運転)。

自動運行装置

(自動運行装置の作動が困難な場合は運転者)

特定の走行環境条件を満たす限定された領域において、自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態(特定条件下における完全自動運転)。

自動運行装置

自動運行装置が運転操作の全部を代替する状態(完全自動運転)。

自動運行装置

 

出所:国土交通省「自動運転車両の呼称」資料をもとにティアフォー作成

 

このリファレンスデザインに基づき、ティアフォーグループは顧客(主に自動車OEMや特殊用途車両のメーカー)ごとの車両タイプや運用環境、要件に応じて最適な技術構成を設計・提供しています。これにより、顧客にとっては、一から自動運転技術を開発する必要がなくなり、既に検証済みのリファレンスデザインに基づき、ラストワンマイル(注8)のカスタマイズ作業のみに注力することで、商用化までの期間とコストを大幅に圧縮することが可能となります。また、一度確立されたリファレンスデザインは、共通性・再利用性の高いアーキテクチャで構成されているため、他の類似ニーズを持つ顧客への横展開が可能であり、ティアフォーグループにとってスケーラブルな事業運営の基盤を形成しております。こうした技術的基盤の上でティアフォーグループは、リファレンスデザインの提供及び顧客ごとの個別要件に応じたラストワンマイルにおける技術支援・開発業務を通じて収益を獲得しており、さらに、顧客において「Autoware(オートウェア)」を基盤とした自動運転システムを搭載した車両が量産フェーズに移行した場合には、ライセンスモデルやロイヤルティモデルを適用することで、販売台数等に応じた継続的な収益を得る仕組みを構築しております。

このようにティアフォーグループは、オープンで非独占的な技術である「Autoware(オートウェア)」を活用し、マイクロオートノミー・アーキテクチャとリファレンスデザインを軸とした技術価値の提供を通じて、収益を創出しております。

 

 

マイクロオートノミー・アーキテクチャとリファレンスデザイン(イメージ)(注6、7)

 


ティアフォーグループの顧客への提供価値(イメージ)


 

b)ティアフォーの提供するプロダクトについて

ティアフォーは、オープンソース自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」の開発を先導する企業として、「Autoware(オートウェア)」を技術的基盤とした自動運転システムの商用利用を実現するための補完的なプロダクトを開発・提供しています。これらは、自動運転機能の設計・検証・運用までの一連のプロセスに対応するものであり、顧客(主に自動車OEMや特殊用途車両のメーカー)の導入フェーズや技術ニーズに応じて柔軟に組み合わせて提供することが可能です。

具体的には、「Autoware(オートウェア)」をベースとした拡張可能な車載ソフトウェアプラットフォーム「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」、クラウド技術を活用して開発及び運用の効率化を支援する開発運用プラットフォーム「Web.Auto(ウェブドットオート)」、及びセンサーや演算装置などのハードウェアとソフトウェアを統合したリファレンスプラットフォーム「Edge.Auto(エッジドットオート)」を展開しております。ティアフォーグループでは、これらのプロダクトを、自動車OEMや特殊用途車両メーカーを含む多様な顧客の実現したい内容や導入フェーズに応じて、単独又は必要な要素を組み合わせた形で複数同時に提供することで、事業を展開しております。

以下に、各プロダクトの概要を示します。

 

・Pilot.Auto(パイロットドットオート)

「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」は、「Autoware(オートウェア)」を基盤として構築された車載用自動運転ソフトウェアパッケージであり、センシング、周辺認識、自己位置推定、経路計画、車両制御など、自動運転に必要な機能を包括的に提供します。商用車両への組込みを前提とした設計となっており、用途や走行環境に応じたモジュール構成(注9)や、機能安全要件への対応も視野に入れた高い拡張性を備えています。

ティアフォーグループは、「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」を通じて、ソフトウェアのカスタマイズ、車両への組込み及びハードウェア構成要素との統合、走行環境への適合、並びに運用段階におけるメンテナンス支援を提供しています。これには、ソフトウェア及びシステム全体に対する技術支援に加え、「Web.Auto(ウェブドットオート)」との連携による走行ルートや地図データなどの運用環境に対する保守・更新支援も含まれます。

このように、「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」はティアフォーグループが提案するリファレンスデザインを基盤としながら、顧客のニーズに応じた柔軟なシステム設計と運用を可能とするものであり、初期構築にかかる負担の軽減及び迅速な自動運転システムの導入に資する設計となっております。

・Web.Auto(ウェブドットオート)

「Web.Auto(ウェブドットオート)」は、「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」を活用した自動運転システムの開発・検証・運用を効率化するクラウドベースのソフトウェアプラットフォームであり、いわゆるDevOps(開発と運用の連携)を支援するための基盤としての機能も備えております。シミュレーションによる自動運転アルゴリズムの検証、走行ログの管理・可視化、地図データの生成・更新、パラメータのリモート設定といった機能を提供し、開発現場と運用現場を横断した一貫性のある開発環境を実現することを目指しています。

また、「Web.Auto(ウェブドットオート)」は、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)に対応した開発データパイプラインの管理や、車両運行管理(Fleet Management Service)(以下「FMS」という。)(注10)・遠隔監視・ソフトウェアの無線アップデート(Over The Air)(以下「OTA」という。)(注11)といった機能を通じて、自動運転システムを搭載した車両の運用・保守を支援する仕組みを提供しており、第三者が提供するアプリケーションや運用支援サービスとの連携も考慮された設計となっております。これらの機能により、開発コストの削減や市場投入までの期間短縮に資することが可能です。

・Edge.Auto(エッジドットオート)

「Edge.Auto(エッジドットオート)」は、「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」の動作に必要な周辺ハードウェア(センサー、エッジコンピューティングデバイス、入出力インターフェースなど)と各種ソフトウェアツールを組み合わせたリファレンスプラットフォームです。リアルタイム処理性能や環境耐性など、実運用に求められる仕様に基づいた構成がなされており、商用展開を視野に入れたシステム評価や初期導入に適した設計となっております。

本プラットフォームは、ティアフォーグループがこれまでに培ってきた自動運転技術を基に、利用実績のあるセンサーや演算装置を採用し、オープンソースで提供されるセンサドライバや「Autoware(オートウェア)」に含まれるソフトウェアモジュールと組み合わせて動作する構成となっています。これにより、用途や導入フェーズに応じて、個別のハードウェアコンポーネント単位から、統合されたシステム構成まで複数の段階的な選択肢を提供することが可能です。

また、「Edge.Auto(エッジドットオート)」は、ティアフォーが提供する「Pilot.Auto(パイロットドットオート)」及び「Web.Auto(ウェブドットオート)」と組み合わせて活用することが想定されており、それぞれのプロダクトと連携することで、自動運転システムに必要なハードウェア及びソフトウェアの選定、評価、検証プロセスの効率化が図られる構成となっています。これにより、ユーザーは独自の自動運転ソリューションを速やかに構築することが可能となります。

 

「Autoware(オートウェア)」とティアフォープロダクトとの関係性(イメージ)


c)サービスの説明

ティアフォーグループの事業は、「Mobility Service(モビリティサービス)」「Development Service(デベロップメントサービス)」「Solution Service(ソリューションサービス)」の3つのサービスに大別されます。これらの事業は、自動運転市場そのものの発展段階に加え、顧客企業が置かれている事業フェーズ(例:自動運転技術の開発・導入初期段階、量産化段階等)にも対応できるよう構成されています。

現時点においては自動運転バスを中心とした事業展開を行っており、地方自治体等における自動運転レベル2からレベル4の実証実験や定期運行に関連する売上が主な構成要素となっております。モビリティサービス及びデベロップメントサービスについても、現状においてはこれら実証実験や定期運行の拡大に対応する形で展開されております。

なお、足元では「Mobility Service(モビリティサービス)」における自動運転サービスの実証実験・導入を推進しておりますが、自動運転市場の拡大及び社会における自動運転車両の需要が高まることに伴い、当該車両の量産を見据えた「Development Service(デベロップメントサービス)」が事業の中心的な役割を担っていくことを想定しております。

具体的には、「Mobility Service(モビリティサービス)」では主に自動運転市場の黎明期かつ顧客が初期導入段階にある場合における実証実験・実装から、その後の運用支援までを担います。「Development Service(デベロップメントサービス)」では自動運転市場の拡大局面において、ティアフォーグループの顧客である自動車OEM等が自動運転に対応した車両の量産を行うことに向けた自動運転システムの開発を行います。「Solution Service(ソリューションサービス)」は、これら両事業の下支えとなる基盤的役割を果たしており、ティアフォーグループ及び「Autoware(オートウェア)」のエコシステム拡大を支援する位置付けにあります。なお、ティアフォーグループでは多様な車種への対応を進めておりますが、現時点においては社会実装の進展状況等を踏まえ、「Mobility Service(モビリティサービス)」における自動運転バスと、「Development Service(デベロップメントサービス)」における閉鎖空間における特殊用途車両を活用したサービスが事業の主要な領域となっております。

2025年9月期におけるティアフォーグループの「Mobility Service(モビリティサービス)」「Development Service(デベロップメントサービス)」「Solution Service(ソリューションサービス)」の売上高及び構成比は、それぞれ2,267百万円(35.4%)、1,330百万円(20.8%)、2,812百万円(43.9%)となっております。以下に、ティアフォーが展開する3つのサービスの概要を記載いたします。

 

・Mobility Service(モビリティサービス)

「Mobility Service(モビリティサービス)」は、ティアフォーグループが自動車OEMからベース車両を調達し、自動運転システムを架装した上で、地方自治体や交通事業者、MaaS(Mobility as a Service)(注12)事業者等の顧客に提供する事業です。なお、地方自治体等への導入にあたっては、パートナー企業を介して提供するケースが多いものの、一部においてはティアフォーグループが直接提供する場合もあります。

本事業は、自動運転市場の黎明期において、日本における自動運転の社会実装に先行して取り組む、新技術への感度が高い顧客層を対象とし、自動運転車両の導入・実証実験・運用を技術的に支援することを通じて、日本国内における自動運転市場そのものの形成を目指すものです。実証実験においても、車両提供や運行サポート、アフターサービスなどを通じて技術知見の蓄積を図りつつ、事業収益を獲得しております。

本事業の収益は、自動運転システムが架装された完成車両の販売に加え、自動運転車の走行準備にかかる技術支援(高精度3次元地図作成、調律作業)、自動運転車の運行・運用支援、自動運転レベル4の認可取得にかかる技術支援、並びに保守・アフターサービスに基づく継続的なサービス収入などで構成されます。地方自治体等との実証実験から得られる収益もこれらに含まれます。

 

・Development Service(デベロップメントサービス)

「Development Service(デベロップメントサービス)」は、大手自動車OEM等を顧客とし、ティアフォープロダクトを基盤とした自動運転システムの量産化開発を推進する事業です。顧客の中には、商用車メーカー、乗用車メーカーに加え、建設機械等の特殊用途車両のメーカーなど、幅広い顧客が含まれ、2026年5月現在、協業先のOEM及びTier1サプライヤーは合計で18社存在します(直接的な顧客に加え、ビジネスフローに間接的に関与する企業及びエンドユーザーを含む。)。各顧客が自社製品として販売を予定する量産車両への自動運転機能の搭載を見据え、ティアフォープロダクトを提供するとともに、各社の要求事項に対する開発受託並びに技術協力を実施しております。本事業は、自動運転市場の拡大とともに、ティアフォーグループ顧客における自動運転システムを搭載した車両の量産フェーズへの移行に応じて、ティアフォーグループの事業機会も拡大していく構想であり、中長期的にティアフォーグループの業容を支える主要な事業領域の一つです。また、今後は自動運転市場の拡大及び社会における自動運転車両の需要の高まりに伴い、当該量産フェーズへの移行が進展することで、本事業がティアフォーグループにおいて中核的な役割を担っていくことを想定しております。現在も、ティアフォーグループは複数の企業との間で、自動運転技術の開発受託や技術実証などを担っており、こうした連携を通じて、将来の各社の量産車両に向けた自動運転技術の実装を支援しております。

本事業の収益は、顧客との共同開発において、個別のニーズに応じた専用開発支援やカスタマイズ対応に対する対価を主たる構成要素としております。初期段階においては、ティアフォーソフトウェアをベースに顧客の量産車向けに共同開発活動を行います。共同開発の段階においては、エンジニアリングサービスにかかるワンタイム収益のほかに、開発に必要なライセンスを付与することによるライセンス料収入を計上することもあります。こうした取組みは、将来的な量産展開を見据えたパートナーシップの中で進められるため、フェーズごとの技術検証、仕様策定、評価といったプロジェクト単位の収益が中心となっております。次に、自動運転システムの稼働に必要なセンサー、コンピューター類のハードウェアコンポーネント一式である「ADK(Autonomous Driving Kit)」の販売を行います。前述のステップを踏まえ、顧客が自動運転車両の量産が可能となるため、量産フェーズに移行した後は、販売された車両一台ごとに対価を得るライセンスモデルやロイヤルティモデルといった、スケールに応じた収益創出の仕組みが適用されます。

 

・Solution Service(ソリューションサービス)

「Solution Service(ソリューションサービス)」は、オープンソースソフトウェア「Autoware(オートウェア)」やティアフォープロダクトの導入・活用を推進する企業・団体に対し、幅広い技術支援及び運用支援を提供する事業や、ティアフォーが採択された政府の委託事業などが含まれており、ティアフォーグループの事業並びに「Autoware(オートウェア)」エコシステムの拡大を支える役割を担っております。提供するサービスは多岐にわたり、「Autoware(オートウェア)」に関する技術トレーニング、エデュケーションキットや関連デバイスの提供、導入コンサルティングなど、委託事業の採択内容や、顧客ニーズに応じた柔軟な技術支援体制を構築しています。

また、本事業を通じ、ティアフォーグループは公益社団法人自動車技術会と連携し、自動運転技術を競技形式で学ぶ教育プログラム「自動運転AIチャレンジ」の運営にも参画しております。本チャレンジには、日産自動車株式会社、本田技研工業株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社SUBARUといった日本の主要自動車OEM等が協賛しており、「Autoware(オートウェア)」に対応可能なエンジニアの裾野の拡大を図るとともに、産学官を横断した連携により、Autowareエコシステムの持続的成長に寄与しています。

このように「Solution Service(ソリューションサービス)」は、ティアフォーの他サービスを技術的・組織的な両面から支える事業基盤であり、自動運転技術の普及とその社会実装を支援するうえで、ティアフォーグループ全体の成長と持続的な競争力強化に寄与する重要な領域として位置付けられています。

本事業の収益は、顧客に対するソフトウェアライセンスの提供、技術トレーニング、導入支援、ハードウェア販売、コンサルティング等のサービス提供に対する対価で構成されております。これに加え、ティアフォーグループが運営に参画する教育プログラムや啓発活動などを通じたパートナーシップ契約やプロジェクト単位での支援業務も含まれており、技術支援と教育支援の両輪による収益基盤を築いております。

以上のとおり、ティアフォーのサービスは、自動運転市場の発展段階と顧客の様々な事業フェーズの双方に対応できるよう設計されております。自動運転の導入を検討する初期段階の顧客に対しては、ティアフォーグループが車両の提供とともにシステム構築や現地対応まで一貫して支援する「Mobility Service(モビリティサービス)」を展開しており、一方で、将来の量産を見据えた自動運転システムの開発を行う顧客に対しては、「Development Service(デベロップメントサービス)」を通じて共同開発から量産に対応可能な技術提供までを担っています。顧客の技術的成熟度や導入段階に応じた柔軟な提供体制を構築することで、安全な自動運転技術を誰もが利用できるように開放し、様々な組織・個人がその発展に貢献できるエコシステムを築くことの達成を段階的かつ戦略的に推進しています。

 

サービス別概要

サービス

主なエンドユーザー

収益形態 (収益の性質)

Mobility Service

(モビリティサービス)

・地方自治体

・交通事業者

・MaaS事業者

・システムインテグレーション(ワンタイム)

・車両販売(ワンタイム)

・ソフトウェアアップデートを含む保守運用サービス(リカーリング)

Development Service

(デベロップメントサービス)

・自動車OEM

・特殊用途車両メーカー

・エンジニアリングサービス(ワンタイム)

・ADK(Autonomous Driving Kit)販売(ワンタイム)

・ソフトウェアライセンス(リカーリング)

Solution Service

(ソリューションサービス)

・研究機関

・教育機関

・技術導入の意向がある企業、政府機関、団体

・ソフトウェアライセンス(リカーリング)

・ハードウェア販売(ワンタイム)

・コンサルティングサービス(ワンタイム)

 

(注) 1.エンドユーザーに対するサービス提供の形態としては、パートナー企業を通じて提供する場合と、ティアフォーグループが直接提供する場合が存在します。

2.「ワンタイム」収益とは、車両やハードウェアの販売など、その性質上個別的なサービス又は製品に関連して発生し、将来において繰り返されることが想定されない収益をいいます。また、「リカーリング」収益とは、長期間にわたり定期的に支払われるライセンス料や納品後のアフターサービスに係る収益など、その性質上継続的に発生することが想定される収益をいいます。

3.Solution Service(ソリューションサービス)のコンサルティングサービスには政府からの委託事業を含みます。

 

 

(用語解説)

(注1)

オープンソース

ソフトウェアの設計図に相当するソースコードを一般に公開し、誰もが自由に利用・改良・再配布できる方式。

(注2)

自動車OEM、OEM

自動車業界における、完成車メーカーに関する一般名称。

(注3)

Tier1(ティアワン)サプライヤー

OEMに直接納品をするサプライヤーのこと。一般に、車載部品の大手サプライヤーを指す。

(注4)

ソースコード

ソフトウェアの機能や処理内容を記述したプログラムの設計図。

(注5)

クローズドソース(プロプライエタリ)型ソフトウェア

ソースコードが一般に公開されておらず、特定の開発者又は企業のみが保有・管理するソフトウェア。

(注6)

リファレンスデザイン

「Autoware(オートウェア)」に含まれる要素技術を基盤とし、車両毎に必要とされる技術を抽出し、自動運転の実現に必要なソフトウェアとハードウェアの構成を標準化した設計モデル。

(注7)

マイクロオートノミー・アーキテクチャ

(Microautonomy Architecture)

ティアフォーグループが独自に提唱する自動運転車両の開発構成思想。共通の要素技術群を基盤としつつ、用途・車種の異なる複数の事業領域に対し、効率的かつ柔軟に自動運転レベル4対応車両の開発・展開を可能とする。サードパーティー製のハードウェアやソフトウェアとの統合も前提とする。

(注8)

ラストワンマイル

自動運転の実現において、それぞれの顧客が必要とする固有の機能だけに特化した最終的な開発部分。

(注9)

モジュール構成

機能ごとに分割された独立性の高い構成単位でシステムを設計・構築する方式。

(注10)

FMS

Fleet Management Serviceの略。車両の位置情報、運行状況、メンテナンス履歴等を一元的に管理・最適化するサービス。

(注11)

 

OTA

Over The Airの略。車両に搭載されたソフトウェアを、物理的な接続を介さずに無線通信経由でアップデートする技術。

(注12)

MaaS

Mobility as a Serviceの略。運営主体の異なる移動手段をデータ連携により統合し、ユーザーの利便性向上や移動の効率化を図る次世代移動プラットフォーム。

 

 

事業系統図(イメージ)



有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

ティアフォーグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在においてティアフォーが判断したものであります。

(1) 経営方針

ティアフォーグループは、「自動運転の民主化」というビジョンのもと、自動運転に資するあらゆるテクノロジーを開放し、様々な組織、個人がその発展に貢献できる開放的なエコシステムを構築することを目的としております。この実現に向け、オープンソース型の自動運転ソフトウェアである「Autoware(オートウェア)」をベースとして開発したティアフォープロダクトを活用し、「Mobility Service(モビリティサービス)」、「Development Service(デベロップメントサービス)」、「Solution Service(ソリューションサービス)」の3つのサービスで事業展開をしております。

 

(2) 経営戦略

① 自動運転の社会実装の推進

先ず、ティアフォーグループの主な事業領域である国内のモビリティ産業の市場規模について説明をします。以下に主な車種ごとの国内の市場規模を図解します。例えば、バスの領域においては、国内の稼働台数は6.2万台と推定しております。バス以外にも特殊用途車両、タクシー、トラックといった市場も存在しますが、これらについてはより大きな買替需要を見込んでおります。これに加えて、ティアフォーでは海外展開も見据えて事業を実施しております。

 

国内の車両タイプ別市場規模:


 

(注) 1.車両タイプ別市場規模(既存の車両台数)のうち、バス・特殊用途車両・トラックの日本での稼働台数についてはArthur D Little(2024年5月、ティアフォーからの委託調査)を、タクシーについては全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI Today in Japan 2025」(2024年3月)の数値を参照。

2.年間買替需要は既存の車両台数が変化しないという前提のもと、車両タイプ別に既存の車両台数を想定耐用年数で除して算出。(想定耐用年数は、バス6年、特殊用途車両10年、タクシー4年、トラック5年と仮定)

 

こうした市場の中で、ティアフォーグループではコアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し実装を行っています。具体的には、バス、トラック、特殊用途車両(大型・小型・デリバリーロボット)、タクシー等の自動運転車両を開発しております。

また、ティアフォーグループは、事業領域・車種ごとに異なる事業戦略を採用しております。バス/シャトルはあらかじめ決められたルートで定期運行され、特殊用途車両は閉鎖された環境下において稼働することから、レベル4対応の自動運転の導入に適しており、また、これらの車両については特に人手不足の影響を受けております。これらの領域においては、「先行逃げ切り」(First-Mover)のアプローチを志向し、他社に先行してマーケットシェアを獲得することで、市場成熟段階においてもドメインリーダーとしての地位を維持する方針です。一方、タクシー、トラックや乗用車等の領域においては、海外他社を中心に多額の研究開発費を投下し、市場開拓を行っている状況にあります。そうした中、ティアフォーグループでは「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチを採用し、過度な投資は行うことなく、技術のコモディティ化の進展を見極めつつ、バス/シャトルや特殊用途車両市場での市場拡大を通じて蓄積した経験とノウハウ、並びに自動車OEMやその販売チャネルとのネットワークも活用することで、オープンソースに技術が開放された後に迅速に市場シェアの獲得を図る方針です。

なお、これらのいずれの事業領域・車種においても、研究開発や実証実験用途の取組みに留まらず、「社会実装」の実現を進めていくことを、重視しております。

 

ティアフォーグループが手掛ける自動運転車両の種類


(注) ダンプトラック、レーシングカー、監視用カートは参考イメージ。その他画像はティアフォー技術を搭載した実際の車両を示している。

 

主な取組みとして、バスと物流車両・特殊用途車両における取組みを下記に記載します。

 

1.自動運転バス

バス型車両においては、2026年3月時点で、全国39都道府県127箇所の自治体において実証実験を行った実績を有します。また、長野県塩尻市及び石川県小松市において自動運転レベル4の認可を取得しております。

また、2026年5月時点で全国6自治体において、レベル2もしくはレベル4での通年運行の実績を有しております。自動運転の社会実装において重要になるのが自動運転の車両確保です。ティアフォーグループでは、BYD社製の小型EVバスをベースとして、自動運転に対応するための改造を行い、自ら小型EV自動運転バスの製造販売を行っております。2026年3月時点において、全国の自治体やバス事業者を主な顧客として、26台の販売実績がございます。これらの収益は、「Mobility Service(モビリティサービス)」に区分されております。

また、中長期的な量産化を見据え、いすゞ自動車株式会社と同社大型EVバスERGA EV(エルガEV)の自動運転共同開発プロジェクトを推進し、神奈川県平塚市において開発成果を用いた実証実験を実施しております。加えて、トヨタ自動車とは、次世代モビリティ「e-Palette」の自動運転化にかかる開発を進めております。これらの収益は、「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

 


(左)長野県塩尻市で走行する自動運転小型EVバス

(右)神奈川県平塚市で走行する自動運転大型EVバス

 

ティアフォーグループが実証実験・実装実績を有する地域(2026年3月時点)


2.自動運転物流車両・特殊用途車両

小型自動運転物流車両に関しては、ティアフォーの持分法適用関連会社である株式会社eve autonomyにおいてティアフォーの自動運転システムを組み込んだ車両の製造及び販売が行われております。株式会社eve autonomyにおいては、ヤマハ発動機株式会社の車両に対する知見と自動運転システムに関するティアフォーグループの知見の双方を組み合わせ、小型の工場内搬送車両を用いた無人搬送サービスを展開しており、ティアフォーは当該車両の稼働台数に応じたライセンス料を受領しております。2026年3月現在、93台の車両が国内各地の工場内にて無人運行で稼働しております。当収益は「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

無人搬送サービス eve autoの車両


 

 

また、建設機械の自動運転車両に関しては、株式会社小松製作所(以下「コマツ」という。)及びコマツの子会社である株式会社EARTHBRAINと、自動運転技術の実用化に向けた協業を開始しています。土木・砕石現場向けにコマツのアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックの自動運転化を進め、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指しています。自動運転の対象とする機種はアーティキュレートダンプトラック「HM400」(最大積載量40トン)及びリジッドダンプトラック「HD785」(最大積載量93.9トン)から取り組みを開始し、その他の機種への展開を視野に入れ、技術開発を進めます。製鉄やプラントなどの様々な現場への導入に加え、海外現場への市場展開も見据えています。

 

自動運転試験中のアーティキュレートダンプトラック(HM400)の走行の様子


 

加えて、警備用無人車両(Unmanned Ground Vehicle:UGV)の開発も行っております。具体的には、防衛省が実施する「警備用無人車両システムの導入検証に係る業務委託」において、技術提供パートナーとして参画をしています。全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地(約160カ所)における警備業務の高度化及び効率化を目的とした初期検証として、朝霞駐屯地において2台のUGVを用いた実証運用を実施しています。実運用環境下における検証を通じて、全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地への展開を見据えた実用的な運用モデルの確立を目指しています。

 

警備用無人車両のイメージ画像(実際の車両画像ではありません)


 

 

 

② 着実な研究開発の推進

ティアフォーグループでは、研究開発や実証実験に留まることなく、自動運転技術を社会実装することを目標に事業を推進しております。自動運転レベル4の許認可取得実績を有するなどティアフォーグループ製品は一定の技術水準を達成しておりますが、より社会実装を拡大するためには、適用可能な地域の拡大をはじめとした技術開発が必要になると考えております。ティアフォーグループではオープンソース型の自動運転プラットフォームである「Autoware(オートウェア)」を基盤にし、リファレンスデザインの考え方を採用して、効率的に研究開発を推進しております。また、我が国の政府より研究開発費に対する補助を受けながら研究開発を行っております。昨今の主な開発テーマとしては以下のようなものが挙げられます。

・既存のプロダクトにおける量産水準への品質向上

・ODD(Operational Design Domain)拡大のためのE2E(End to End)AI自動運転の推進

・自動運転向け半導体の研究開発

・大規模データ収集プラットフォームの構築

 

③ 中期的な売上拡大及び利益率の改善

ティアフォーグループはこれまで売上拡大を実現してまいりましたが、同時に研究開発活動を加速させることが企業価値の最大化に繋がると考え、研究開発投資も拡大させて参りました。今後に向けては、研究開発の成果がより事業に繋がり、研究開発投資の拡大を上回るペースで売上拡大を図ることにより、中長期的な売上及び利益率の改善を実現し、ひいては企業価値の最大化を企図します。

また、現在自動運転の市場は黎明期にあるため、ティアフォーでは「Mobility Service(モビリティサービス)」の収益構成が大きく、また、「Development Service(デベロップメントサービス)」においては、共同開発に係るエンジニアリングサービスの収入や開発ライセンス料収入の構成が主たるものとなっております。今後市場拡大につれて、「Development Service(デベロップメントサービス)」における量産車販売に伴うリカーリング収入へと収益の主軸を移していくことにより、売上拡大及び利益率の改善を図ります。

 

④ 中長期的なロードマップ

国内事業基盤を盤石なものとしたうえで、培ったノウハウや実績を活かし、海外市場の展開を段階的に推進します。さらに、周辺領域への事業展開を図って、持続的に成長をしてまいります。

具体的には、先ず海外市場への開拓を段階的に進めてまいります。すでに、ティアフォー連結子会社であるTierIV North America Inc.を中心として、自動運転技術の世界の研究開発の中心である米国カーネギーメロン大学や独国ミュンヘン工科大学といった研究機関との共同研究を進行しており、また、Mobility Service(モビリティサービス)やSolution Service(ソリューションサービス)においては、豪州・英国をはじめ10カ国以上への展開実績があります。

さらには、技術を提供するテクノロジープロバイダーとしての立ち位置のみならず、ソリューションプロバイダーとして自動運転技術の周辺領域での事業機会も模索します。具体的には保険や金融機能といった法人ソリューションの事業、鉄道等幹線輸送の二次交通、宇宙における自動運転等を想定しております。また、自動運転ソフトウェアに限らず、半導体など周辺技術のオープン化も進め、さらなる事業機会の開拓にも取り組みます。

 

(3) 目標とする経営指標等

ティアフォーグループにおいては、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、事業規模の成長並びに適正な財務規律の中で研究開発投資を行うことが重要であると考えております。そのため、主な経営指標として、売上高、事業利益(売上高から売上原価並びに事業経費を差し引いたもの)に加え、経常利益を重視しております。また、KPIとして、実証実験・実装地域数、車両運用台数、開発プロジェクト顧客数を重視しております。

実証実験・実装地域数は、ティアフォーグループの自動運転車両が各地の公道での実証実験で使用されている、あるいは、公共交通路線に投入されている地域数の合計を表します(なお、双方に該当する場合でも1地域として計上)。ティアフォーグループの技術及びサービスが各地域において展開されている状況を示す指標であり、将来的な事業拡大及び収益機会の拡大に直結します。

車両運用台数は、ティアフォーの自動運転車両の実稼働台数のことです。ティアフォーグループの自動運転システムの普及規模を示す指標であります。運用実績の蓄積による技術高度化及びサービス品質の向上に加え、車両1台当たりの収益水準の動向を把握する上でも重要な指標であると認識しております。また、当指標はリカーリング売上とも連動することから、ティアフォー全体の収益性を把握する上でも重要な指標であります。

また、開発プロジェクト顧客数は、自動車OEMや特殊用途車両メーカーと進める共同開発・受託開発のプロジェクト数のことです。顧客ニーズに基づく研究開発及び実証実験案件の広がりを示すとともに、自動運転車両の量産化に向けた顧客基盤の拡大状況を把握するための指標であり、中長期的な事業成長の源泉を把握する上で重要です。以下に、「Mobility Service(モビリティサービス)」及び「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要なプロジェクトの概要並びに、ティアフォーの想定する自動運転車両の実装台数のイメージを示します。

 


(注) 1.パイプラインの状況は2026年4月時点。デベロップメントサービスについては量産展開に向け、台数・時期・車種について協議中の主要OEMを掲載。

2.NRE(Non Recurring Engineering)とは、継続ではなく一度だけ行われる設計や試作、検証等の工程のこと。

3.車両運用台数は累計値

4.掲載しているデベロップメントサービスの顧客群は一例であり、網羅的な一覧ではありません。

5.2026年9月期以降のプロジェクトについては、2026年4月時点における契約済みプロジェクト及び想定されるプロジェクトスケジュールを示しており、実際のスケジュールは、顧客との協議により変更される可能性があります

6.上記の図は参考イメージであり、ティアフォーが目標とする車両販売の展開規模を示します

 

 

 

① 売上高の中長期的な成長

自動運転は成長が期待される技術であり、ティアフォーグループの目指す社会実装の進捗を示すため、売上高を重要な経営指標の一つとして認識しております。 

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

売上

Mobility Service

(モビリティサービス)

1,803

2,267

1,428

Development Service

(デベロップメントサービス)

744

1,330

1,141

Solution Service

(ソリューションサービス)

1,323

2,812

1,799

 

 

② 経常利益の推移

技術開発においては、世界における競争環境を認識し研究開発目標を立てつつも、過度に投資をしないことが重要であると考えております。政府補助金による支援を踏まえながら、財務規律をもって研究開発投資を行う必要があると考えており、ティアフォーグループでは利益指標として経常利益を重視しております。

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

経常利益(損失)

△4,834

△5,504

△2,385

 

 

③ 非財務KPIの推移

事業進捗、開発進捗を計るための指標として、以下の非財務KPIを定め、定期的にモニタリングしております。

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

実証実験・実装地域数(地域)

29

50

40

車両運用台数(台)

公道

15

25

26

閉鎖空間

52

89

93

開発プロジェクト顧客数(社)

7

9

13

 

(注)1.「実証実験・実装地域数」には、ティアフォーグループ車両を使用しての実証実験を実施、もしくは定常的に走行が行われている地域が含まれます。当該期間中の単年での数値であります。

2.「車両運用台数」には、以下の車両が含まれます。当該期間の期末時点での累計の台数であります。

・公道:ティアフォーグループが販売する小型EV自動運転バスの車両台数

・閉鎖空間:ティアフォーの持分法適用関連会社である、株式会社eve autonomyが顧客に導入したeve autoの車両台数

3.「開発プロジェクト顧客数」には、ティアフォーグループが受託済みの開発プロジェクトに係る当該期間中単年での顧客数が含まれます。

 

 

(4) 経営環境

① 社会環境

世界各国では、タクシー型車両のほか、港湾、鉱山や工場といった現場でも自動運転車の利用が進んでいます。

我が国においては、高齢化・過疎化が進行し、特に自家用車による移動に頼らざるを得ない地方部を中心に、高齢者等の移動弱者の生活機能(医療・買い物等)へのアクセスが深刻な社会課題となっております。例えば、株式会社帝国データバンクの2023年11月発表によると、全国のバス事業者の約8割が路線の削減を検討中であり、国土交通省「令和7年版 国土交通白書 概要」では、2030年には3.6万人(28%)のバスドライバーが不足するとの試算が発表されております。また同白書では、なにも対策を講じなかった場合、物流分野においても、2030年に34%の輸送力不足を見込んでおります。こうした社会課題を解決するための手段の一つとして、自動運転レベル4の自動運転に対する期待が高まっているものと考えております

 


出所:(左図)帝国データバンク「全国「主要路線バス」運行状況調査(2023年)」(2023年11月発表)を基にティアフォー作成、(右図)日本バス協会「国土幹線道路部会 ヒアリング資料」(2023年5月発表)を基にティアフォー作成。

 

② 自動車業界の動向

自動車業界においてはデジタル技術の進展に伴い、自動車産業のバリューチェーンや産業構造に大きな変化がもたらされ、自動車を巡る競争は、グローバルなゲームチェンジが起こりつつあります。こうした中、自動車のDXは、電動化と並ぶ競争軸となり、今後もSDVの実装が進展していくものと認識しております

 

③ 政府の動向

自動車業界の動向を背景に、日本政府は自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト「RoAD to the L4」を立ち上げ、自動運転レベル4に代表される、高度な自動運転を用いた移動・物流サービスの実現・普及に向けた活動に取り組んでいます。また、2022年2月に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想総合戦略において、2027年度100か所以上においての自動運転移動サービスを実現することが定められています。

また、2024年には、経済産業省及び国土交通省により、2030~2035年に向けた我が国の勝ち筋として、「モビリティDX戦略」が策定され、官民連携による取組みを進めるべき3領域の一つとして、「モビリティサービス(自動運転等)領域」が特定されています。

加えて、2025年6月6日には、第7回経済財政諮問会議において、「経済財政運営と改革の基本方針 2025(原案)」が発表され、ティアフォーの事業領域である自動運転の領域では、地方交通の課題解消に向けた自動運転移動サービスの社会実装の加速、関係制度の整備及び実証実験・事業化の全国展開等が盛り込まれた内容となっており、また、2026年1月に閣議決定された「交通政策基本計画」では、2030年度までに自動運転サービス車両10,000台を導入する目標が発表されております。加えて、2026年4月公表の日本成長戦略会議分科会においては、2030年代に日本企業による自動運転車両の販売台数で世界シェア約25%を目指すことが発表されております。以上の動向を踏まえ、引き続き政府による支援は継続するものと見込んでおります。

上記の自動運転市場に対する政策を背景として、ティアフォーは複数の政府助成事業・委託事業への採択を受けております。各事業の詳細は、「5重要な契約等(1)政府助成事業、委託事業に関する契約」をご参照ください。

 

④ 自動運転市場におけるポジショニング

ティアフォーは国内の自動運転市場を開拓してきたリーディングプレイヤーであると認識しており、日本政府や自治体との関係性を強みとして、日本全国における多数の実績を有します。また、国内法規制に適合したレベル4自動運転の許認可取得実績も有しております。

他方で、自動運転市場をグローバルにみると、国内外に他プレイヤーが存在します。他社は特定領域に特化し、ソースコードはブラックボックスのままサービス化を進めているのに対し、ティアフォーは、オープンソースに基づく透明性の高さや、対応可能なハードウェアの幅を強みにして、自動車OEM等の法人を主な顧客として、多様なユースケースにおいて自動運転を実現できることが強みであります。

 

自動運転市場におけるティアフォーのポジショニング図(1)


(注) 1.現時点で他の市場参加者と比較した際の自社の市場ポジションに関するティアフォーの認識・考えに基づくものであり、図は各社の実際の状況を反映したものではありません。

2.ADAS(Advanced Driver Assistance Systems) : ドライバーが引き続き車両操作の責任を負う前提のもと、運転を支援する各種機能を提供するシステム。車両が自律的に運転を行う自動運転システムとは明確に区別されます。

3.ここでは、SoCへの対応を指します。 SoC (System on Chip) とは、自動運転やADASに必要なCPU、GPU、AIアクセラレータ、メモリ制御などの主要機能を1つの半導体チップに統合した車載向け集積回路をいいます。

 

以上のような社会的要請、業界構造の変化及び政策動向を背景に、自動運転分野においては、官民連携の枠組みのもとで市場形成が進展しているものとティアフォーグループでは認識しております。こうした中、ティアフォーは政府主導のプロジェクトへの参画等を通じて、自動運転に関する制度整備やルールメイキングの議論にも関与し、市場形成の初期段階から関与しております。加えて、オープンソースのアプローチのユニークさを活用しながら、競合他社と差別化を図りつつ、地方自治体、交通事業者、自動車OEM等との広範なパートナーシップを構築し、全国各地における実証実験及び社会実装を推進しております。これらの取組みにより、我が国の自動運転分野において一定のプレゼンスを有しているものと認識しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 技術力の強化

ティアフォーグループは「自動運転の民主化」という経営方針のもと、国内外において自動運転レベル4の事業化に取り組んでおり、既に一部の車両・地域においては、商用運行を実施しています。また、テスト走行距離に関しては、創業から2026年3月時点までで約46.9万キロの走行実績を有しますが(ティアフォーシステムによる記録に基づく自動運転システムによる累積走行距離)、さらなる事業拡大のためにはODDの拡大、安全性・信頼性の向上や、自動車OEMとの量産に向けた開発などの技術開発が求められます。これまでと同様に今後も技術開発を重要視して取り組む方針であります。

 

② 優秀な人材の確保

ティアフォーグループは研究開発を遂行するために、多様な開発領域において高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から継続的に雇用しております。2026年4月現在、ティアフォー内には、307名のエンジニアが在籍し、また、「Autoware(オートウェア)」への社外貢献者(ティアフォー及びパートナー企業に属さないエンジニアを含むGitHubにおけるコード・コントリビューター数)を合計すると、716名のエンジニアが従事しています。ティアフォーグループが掲げる「自動運転の民主化」及び複数の事業領域・車種における社会実装を達成、推進するためには、引き続き、優秀な人材の確保は重要な課題であります。リファラル採用の推奨や採用エージェントの活用などに加えて、産学官連携を進め、業界におけるティアフォーグループの認知向上に努めることで継続的に人材を確保する方針です。また、新卒採用を強化し社員の育成にも重点を置いていきます。また、2025年9月期には採用競争力を高めることに加え、優秀な人材の流出を防ぐことを目的とし、人事制度の刷新を実施しました。

 

③ 内部統制システムの構築及び運用

ティアフォーグループは成長段階にあり、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。

 

④ 規律ある先行投資の実行

自動運転業界では一般的に多額の研究開発投資が必要とされるところ、ティアフォーのプロダクトはオープンソース型の自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」を基盤としていることから、ティアフォーグループ独自で開発する項目は限定的であり、効率的な技術開発が実現できております。また、日本政府からの補助金による支援を受けながら研究開発を実施しております。ティアフォーグループが安定的な事業基盤を構築するためには、技術水準の向上が不可欠であり、規律をもって先行投資を実施していきます。

 

⑤ 財務基盤の強化

ティアフォーグループでは、経営戦略の達成のために肝要である技術水準の向上のため、収益化に先行し研究開発投資を行う必要があります。そのため、手許資金確保が重要であると認識しております。ティアフォーグループでは、金融機関3社との間で総額6,000百万円の当座貸越契約を締結しており、1,000百万円の長期借入を実行していることから、提出日現在において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えておりますが、今後の事業拡大に備えて、営業キャッシュ・フローの改善等により財務基盤の強化を図ってまいります。

また、政府による補助金や委託事業等の公的支援も適切に活用しながら、効率的かつ持続可能な事業運営を図っており、こうした取り組みを通じて、自社の財務基盤の一層の強化に努めております。

 

⑥ 先行投資負担を踏まえた収益性改善に向けた課題

ティアフォーグループは、研究開発投資及び事業基盤構築に係る先行費用が継続的に発生していることから、現時点において業績は赤字となっております。ティアフォーグループの目指す方向性を実現するためには、現時点において先行投資を行うことが最善であると判断をしております。また、足元で事業・開発は順調に進捗しておりますが、自動運転市場は黎明期にあり、技術開発及び社会実装に一定の期間を要する特性を有していることから、ティアフォーグループにおいても、黒字化に至るまでには一定の期間を要する可能性があると認識しております。規律ある研究開発投資を継続することと、売上を中心に事業規模を拡大することのバランスを取りながら事業運営を行うことで、経常損益の赤字幅の改善、黒字化に向けて取り組んで参ります。

 

有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

ティアフォーグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在においてティアフォーが判断したものであります。

(1) 経営方針

ティアフォーグループは、「自動運転の民主化」というビジョンのもと、自動運転に資するあらゆるテクノロジーを開放し、様々な組織、個人がその発展に貢献できる開放的なエコシステムを構築することを目的としております。この実現に向け、オープンソース型の自動運転ソフトウェアである「Autoware(オートウェア)」をベースとして開発したティアフォープロダクトを活用し、「Mobility Service(モビリティサービス)」、「Development Service(デベロップメントサービス)」、「Solution Service(ソリューションサービス)」の3つのサービスで事業展開をしております。

 

(2) 経営戦略

① 自動運転の社会実装の推進

先ず、ティアフォーグループの主な事業領域である国内のモビリティ産業の市場規模について説明をします。以下に主な車種ごとの国内の市場規模を図解します。例えば、バスの領域においては、国内の稼働台数は6.2万台と推定しております。バス以外にも特殊用途車両、タクシー、トラックといった市場も存在しますが、これらについてはより大きな買替需要を見込んでおります。これに加えて、ティアフォーでは海外展開も見据えて事業を実施しております。

 

国内の車両タイプ別市場規模:


 

(注) 1.車両タイプ別市場規模(既存の車両台数)のうち、バス・特殊用途車両・トラックの日本での稼働台数についてはArthur D Little(2024年5月、ティアフォーからの委託調査)を、タクシーについては全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI Today in Japan 2025」(2024年3月)の数値を参照。

2.年間買替需要は既存の車両台数が変化しないという前提のもと、車両タイプ別に既存の車両台数を想定耐用年数で除して算出。(想定耐用年数は、バス6年、特殊用途車両10年、タクシー4年、トラック5年と仮定)

 

こうした市場の中で、ティアフォーグループではコアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し実装を行っています。具体的には、バス、トラック、特殊用途車両(大型・小型・デリバリーロボット)、タクシー等の自動運転車両を開発しております。

また、ティアフォーグループは、事業領域・車種ごとに異なる事業戦略を採用しております。バス/シャトルはあらかじめ決められたルートで定期運行され、特殊用途車両は閉鎖された環境下において稼働することから、レベル4対応の自動運転の導入に適しており、また、これらの車両については特に人手不足の影響を受けております。これらの領域においては、「先行逃げ切り」(First-Mover)のアプローチを志向し、他社に先行してマーケットシェアを獲得することで、市場成熟段階においてもドメインリーダーとしての地位を維持する方針です。一方、タクシー、トラックや乗用車等の領域においては、海外他社を中心に多額の研究開発費を投下し、市場開拓を行っている状況にあります。そうした中、ティアフォーグループでは「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチを採用し、過度な投資は行うことなく、技術のコモディティ化の進展を見極めつつ、バス/シャトルや特殊用途車両市場での市場拡大を通じて蓄積した経験とノウハウ、並びに自動車OEMやその販売チャネルとのネットワークも活用することで、オープンソースに技術が開放された後に迅速に市場シェアの獲得を図る方針です。

なお、これらのいずれの事業領域・車種においても、研究開発や実証実験用途の取組みに留まらず、「社会実装」の実現を進めていくことを、重視しております。

 

ティアフォーグループが手掛ける自動運転車両の種類


(注) ダンプトラック、レーシングカー、監視用カートは参考イメージ。その他画像はティアフォー技術を搭載した実際の車両を示している。

 

主な取組みとして、バスと物流車両・特殊用途車両における取組みを下記に記載します。

 

1.自動運転バス

バス型車両においては、2026年3月時点で、全国39都道府県127箇所の自治体において実証実験を行った実績を有します。また、長野県塩尻市及び石川県小松市において自動運転レベル4の認可を取得しております。

また、2026年5月時点で全国6自治体において、レベル2もしくはレベル4での通年運行の実績を有しております。自動運転の社会実装において重要になるのが自動運転の車両確保です。ティアフォーグループでは、BYD社製の小型EVバスをベースとして、自動運転に対応するための改造を行い、自ら小型EV自動運転バスの製造販売を行っております。2026年3月時点において、全国の自治体やバス事業者を主な顧客として、26台の販売実績がございます。これらの収益は、「Mobility Service(モビリティサービス)」に区分されております。

また、中長期的な量産化を見据え、いすゞ自動車株式会社と同社大型EVバスERGA EV(エルガEV)の自動運転共同開発プロジェクトを推進し、神奈川県平塚市において開発成果を用いた実証実験を実施しております。加えて、トヨタ自動車とは、次世代モビリティ「e-Palette」の自動運転化にかかる開発を進めております。これらの収益は、「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

 


(左)長野県塩尻市で走行する自動運転小型EVバス

(右)神奈川県平塚市で走行する自動運転大型EVバス

 

ティアフォーグループが実証実験・実装実績を有する地域(2026年3月時点)


2.自動運転物流車両・特殊用途車両

小型自動運転物流車両に関しては、ティアフォーの持分法適用関連会社である株式会社eve autonomyにおいてティアフォーの自動運転システムを組み込んだ車両の製造及び販売が行われております。株式会社eve autonomyにおいては、ヤマハ発動機株式会社の車両に対する知見と自動運転システムに関するティアフォーグループの知見の双方を組み合わせ、小型の工場内搬送車両を用いた無人搬送サービスを展開しており、ティアフォーは当該車両の稼働台数に応じたライセンス料を受領しております。2026年3月現在、93台の車両が国内各地の工場内にて無人運行で稼働しております。当収益は「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

無人搬送サービス eve autoの車両


 

 

また、建設機械の自動運転車両に関しては、株式会社小松製作所(以下「コマツ」という。)及びコマツの子会社である株式会社EARTHBRAINと、自動運転技術の実用化に向けた協業を開始しています。土木・砕石現場向けにコマツのアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックの自動運転化を進め、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指しています。自動運転の対象とする機種はアーティキュレートダンプトラック「HM400」(最大積載量40トン)及びリジッドダンプトラック「HD785」(最大積載量93.9トン)から取り組みを開始し、その他の機種への展開を視野に入れ、技術開発を進めます。製鉄やプラントなどの様々な現場への導入に加え、海外現場への市場展開も見据えています。

 

自動運転試験中のアーティキュレートダンプトラック(HM400)の走行の様子


 

加えて、警備用無人車両(Unmanned Ground Vehicle:UGV)の開発も行っております。具体的には、防衛省が実施する「警備用無人車両システムの導入検証に係る業務委託」において、技術提供パートナーとして参画をしています。全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地(約160カ所)における警備業務の高度化及び効率化を目的とした初期検証として、朝霞駐屯地において2台のUGVを用いた実証運用を実施しています。実運用環境下における検証を通じて、全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地への展開を見据えた実用的な運用モデルの確立を目指しています。

 

警備用無人車両のイメージ画像(実際の車両画像ではありません)


 

 

 

② 着実な研究開発の推進

ティアフォーグループでは、研究開発や実証実験に留まることなく、自動運転技術を社会実装することを目標に事業を推進しております。自動運転レベル4の許認可取得実績を有するなどティアフォーグループ製品は一定の技術水準を達成しておりますが、より社会実装を拡大するためには、適用可能な地域の拡大をはじめとした技術開発が必要になると考えております。ティアフォーグループではオープンソース型の自動運転プラットフォームである「Autoware(オートウェア)」を基盤にし、リファレンスデザインの考え方を採用して、効率的に研究開発を推進しております。また、我が国の政府より研究開発費に対する補助を受けながら研究開発を行っております。昨今の主な開発テーマとしては以下のようなものが挙げられます。

・既存のプロダクトにおける量産水準への品質向上

・ODD(Operational Design Domain)拡大のためのE2E(End to End)AI自動運転の推進

・自動運転向け半導体の研究開発

・大規模データ収集プラットフォームの構築

 

③ 中期的な売上拡大及び利益率の改善

ティアフォーグループはこれまで売上拡大を実現してまいりましたが、同時に研究開発活動を加速させることが企業価値の最大化に繋がると考え、研究開発投資も拡大させて参りました。今後に向けては、研究開発の成果がより事業に繋がり、研究開発投資の拡大を上回るペースで売上拡大を図ることにより、中長期的な売上及び利益率の改善を実現し、ひいては企業価値の最大化を企図します。

また、現在自動運転の市場は黎明期にあるため、ティアフォーでは「Mobility Service(モビリティサービス)」の収益構成が大きく、また、「Development Service(デベロップメントサービス)」においては、共同開発に係るエンジニアリングサービスの収入や開発ライセンス料収入の構成が主たるものとなっております。今後市場拡大につれて、「Development Service(デベロップメントサービス)」における量産車販売に伴うリカーリング収入へと収益の主軸を移していくことにより、売上拡大及び利益率の改善を図ります。

 

④ 中長期的なロードマップ

国内事業基盤を盤石なものとしたうえで、培ったノウハウや実績を活かし、海外市場の展開を段階的に推進します。さらに、周辺領域への事業展開を図って、持続的に成長をしてまいります。

具体的には、先ず海外市場への開拓を段階的に進めてまいります。すでに、ティアフォー連結子会社であるTierIV North America Inc.を中心として、自動運転技術の世界の研究開発の中心である米国カーネギーメロン大学や独国ミュンヘン工科大学といった研究機関との共同研究を進行しており、また、Mobility Service(モビリティサービス)やSolution Service(ソリューションサービス)においては、豪州・英国をはじめ10カ国以上への展開実績があります。

さらには、技術を提供するテクノロジープロバイダーとしての立ち位置のみならず、ソリューションプロバイダーとして自動運転技術の周辺領域での事業機会も模索します。具体的には保険や金融機能といった法人ソリューションの事業、鉄道等幹線輸送の二次交通、宇宙における自動運転等を想定しております。また、自動運転ソフトウェアに限らず、半導体など周辺技術のオープン化も進め、さらなる事業機会の開拓にも取り組みます。

 

(3) 目標とする経営指標等

ティアフォーグループにおいては、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、事業規模の成長並びに適正な財務規律の中で研究開発投資を行うことが重要であると考えております。そのため、主な経営指標として、売上高、事業利益(売上高から売上原価並びに事業経費を差し引いたもの)に加え、経常利益を重視しております。また、KPIとして、実証実験・実装地域数、車両運用台数、開発プロジェクト顧客数を重視しております。

実証実験・実装地域数は、ティアフォーグループの自動運転車両が各地の公道での実証実験で使用されている、あるいは、公共交通路線に投入されている地域数の合計を表します(なお、双方に該当する場合でも1地域として計上)。ティアフォーグループの技術及びサービスが各地域において展開されている状況を示す指標であり、将来的な事業拡大及び収益機会の拡大に直結します。

車両運用台数は、ティアフォーの自動運転車両の実稼働台数のことです。ティアフォーグループの自動運転システムの普及規模を示す指標であります。運用実績の蓄積による技術高度化及びサービス品質の向上に加え、車両1台当たりの収益水準の動向を把握する上でも重要な指標であると認識しております。また、当指標はリカーリング売上とも連動することから、ティアフォー全体の収益性を把握する上でも重要な指標であります。

また、開発プロジェクト顧客数は、自動車OEMや特殊用途車両メーカーと進める共同開発・受託開発のプロジェクト数のことです。顧客ニーズに基づく研究開発及び実証実験案件の広がりを示すとともに、自動運転車両の量産化に向けた顧客基盤の拡大状況を把握するための指標であり、中長期的な事業成長の源泉を把握する上で重要です。以下に、「Mobility Service(モビリティサービス)」及び「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要なプロジェクトの概要並びに、ティアフォーの想定する自動運転車両の実装台数のイメージを示します。

 


(注) 1.パイプラインの状況は2026年4月時点。デベロップメントサービスについては量産展開に向け、台数・時期・車種について協議中の主要OEMを掲載。

2.NRE(Non Recurring Engineering)とは、継続ではなく一度だけ行われる設計や試作、検証等の工程のこと。

3.車両運用台数は累計値

4.掲載しているデベロップメントサービスの顧客群は一例であり、網羅的な一覧ではありません。

5.2026年9月期以降のプロジェクトについては、2026年4月時点における契約済みプロジェクト及び想定されるプロジェクトスケジュールを示しており、実際のスケジュールは、顧客との協議により変更される可能性があります

6.上記の図は参考イメージであり、ティアフォーが目標とする車両販売の展開規模を示します

 

 

 

① 売上高の中長期的な成長

自動運転は成長が期待される技術であり、ティアフォーグループの目指す社会実装の進捗を示すため、売上高を重要な経営指標の一つとして認識しております。 

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

売上

Mobility Service

(モビリティサービス)

1,803

2,267

1,428

Development Service

(デベロップメントサービス)

744

1,330

1,141

Solution Service

(ソリューションサービス)

1,323

2,812

1,799

 

 

② 経常利益の推移

技術開発においては、世界における競争環境を認識し研究開発目標を立てつつも、過度に投資をしないことが重要であると考えております。政府補助金による支援を踏まえながら、財務規律をもって研究開発投資を行う必要があると考えており、ティアフォーグループでは利益指標として経常利益を重視しております。

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

経常利益(損失)

△4,834

△5,504

△2,385

 

 

③ 非財務KPIの推移

事業進捗、開発進捗を計るための指標として、以下の非財務KPIを定め、定期的にモニタリングしております。

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

実証実験・実装地域数(地域)

29

50

40

車両運用台数(台)

公道

15

25

26

閉鎖空間

52

89

93

開発プロジェクト顧客数(社)

7

9

13

 

(注)1.「実証実験・実装地域数」には、ティアフォーグループ車両を使用しての実証実験を実施、もしくは定常的に走行が行われている地域が含まれます。当該期間中の単年での数値であります。

2.「車両運用台数」には、以下の車両が含まれます。当該期間の期末時点での累計の台数であります。

・公道:ティアフォーグループが販売する小型EV自動運転バスの車両台数

・閉鎖空間:ティアフォーの持分法適用関連会社である、株式会社eve autonomyが顧客に導入したeve autoの車両台数

3.「開発プロジェクト顧客数」には、ティアフォーグループが受託済みの開発プロジェクトに係る当該期間中単年での顧客数が含まれます。

 

 

(4) 経営環境

① 社会環境

世界各国では、タクシー型車両のほか、港湾、鉱山や工場といった現場でも自動運転車の利用が進んでいます。

我が国においては、高齢化・過疎化が進行し、特に自家用車による移動に頼らざるを得ない地方部を中心に、高齢者等の移動弱者の生活機能(医療・買い物等)へのアクセスが深刻な社会課題となっております。例えば、株式会社帝国データバンクの2023年11月発表によると、全国のバス事業者の約8割が路線の削減を検討中であり、国土交通省「令和7年版 国土交通白書 概要」では、2030年には3.6万人(28%)のバスドライバーが不足するとの試算が発表されております。また同白書では、なにも対策を講じなかった場合、物流分野においても、2030年に34%の輸送力不足を見込んでおります。こうした社会課題を解決するための手段の一つとして、自動運転レベル4の自動運転に対する期待が高まっているものと考えております

 


出所:(左図)帝国データバンク「全国「主要路線バス」運行状況調査(2023年)」(2023年11月発表)を基にティアフォー作成、(右図)日本バス協会「国土幹線道路部会 ヒアリング資料」(2023年5月発表)を基にティアフォー作成。

 

② 自動車業界の動向

自動車業界においてはデジタル技術の進展に伴い、自動車産業のバリューチェーンや産業構造に大きな変化がもたらされ、自動車を巡る競争は、グローバルなゲームチェンジが起こりつつあります。こうした中、自動車のDXは、電動化と並ぶ競争軸となり、今後もSDVの実装が進展していくものと認識しております

 

③ 政府の動向

自動車業界の動向を背景に、日本政府は自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト「RoAD to the L4」を立ち上げ、自動運転レベル4に代表される、高度な自動運転を用いた移動・物流サービスの実現・普及に向けた活動に取り組んでいます。また、2022年2月に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想総合戦略において、2027年度100か所以上においての自動運転移動サービスを実現することが定められています。

また、2024年には、経済産業省及び国土交通省により、2030~2035年に向けた我が国の勝ち筋として、「モビリティDX戦略」が策定され、官民連携による取組みを進めるべき3領域の一つとして、「モビリティサービス(自動運転等)領域」が特定されています。

加えて、2025年6月6日には、第7回経済財政諮問会議において、「経済財政運営と改革の基本方針 2025(原案)」が発表され、ティアフォーの事業領域である自動運転の領域では、地方交通の課題解消に向けた自動運転移動サービスの社会実装の加速、関係制度の整備及び実証実験・事業化の全国展開等が盛り込まれた内容となっており、また、2026年1月に閣議決定された「交通政策基本計画」では、2030年度までに自動運転サービス車両10,000台を導入する目標が発表されております。加えて、2026年4月公表の日本成長戦略会議分科会においては、2030年代に日本企業による自動運転車両の販売台数で世界シェア約25%を目指すことが発表されております。以上の動向を踏まえ、引き続き政府による支援は継続するものと見込んでおります。

上記の自動運転市場に対する政策を背景として、ティアフォーは複数の政府助成事業・委託事業への採択を受けております。各事業の詳細は、「5重要な契約等(1)政府助成事業、委託事業に関する契約」をご参照ください。

 

④ 自動運転市場におけるポジショニング

ティアフォーは国内の自動運転市場を開拓してきたリーディングプレイヤーであると認識しており、日本政府や自治体との関係性を強みとして、日本全国における多数の実績を有します。また、国内法規制に適合したレベル4自動運転の許認可取得実績も有しております。

他方で、自動運転市場をグローバルにみると、国内外に他プレイヤーが存在します。他社は特定領域に特化し、ソースコードはブラックボックスのままサービス化を進めているのに対し、ティアフォーは、オープンソースに基づく透明性の高さや、対応可能なハードウェアの幅を強みにして、自動車OEM等の法人を主な顧客として、多様なユースケースにおいて自動運転を実現できることが強みであります。

 

自動運転市場におけるティアフォーのポジショニング図(1)


(注) 1.現時点で他の市場参加者と比較した際の自社の市場ポジションに関するティアフォーの認識・考えに基づくものであり、図は各社の実際の状況を反映したものではありません。

2.ADAS(Advanced Driver Assistance Systems) : ドライバーが引き続き車両操作の責任を負う前提のもと、運転を支援する各種機能を提供するシステム。車両が自律的に運転を行う自動運転システムとは明確に区別されます。

3.ここでは、SoCへの対応を指します。 SoC (System on Chip) とは、自動運転やADASに必要なCPU、GPU、AIアクセラレータ、メモリ制御などの主要機能を1つの半導体チップに統合した車載向け集積回路をいいます。

 

以上のような社会的要請、業界構造の変化及び政策動向を背景に、自動運転分野においては、官民連携の枠組みのもとで市場形成が進展しているものとティアフォーグループでは認識しております。こうした中、ティアフォーは政府主導のプロジェクトへの参画等を通じて、自動運転に関する制度整備やルールメイキングの議論にも関与し、市場形成の初期段階から関与しております。加えて、オープンソースのアプローチのユニークさを活用しながら、競合他社と差別化を図りつつ、地方自治体、交通事業者、自動車OEM等との広範なパートナーシップを構築し、全国各地における実証実験及び社会実装を推進しております。これらの取組みにより、我が国の自動運転分野において一定のプレゼンスを有しているものと認識しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 技術力の強化

ティアフォーグループは「自動運転の民主化」という経営方針のもと、国内外において自動運転レベル4の事業化に取り組んでおり、既に一部の車両・地域においては、商用運行を実施しています。また、テスト走行距離に関しては、創業から2026年3月時点までで約46.9万キロの走行実績を有しますが(ティアフォーシステムによる記録に基づく自動運転システムによる累積走行距離)、さらなる事業拡大のためにはODDの拡大、安全性・信頼性の向上や、自動車OEMとの量産に向けた開発などの技術開発が求められます。これまでと同様に今後も技術開発を重要視して取り組む方針であります。

 

② 優秀な人材の確保

ティアフォーグループは研究開発を遂行するために、多様な開発領域において高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から継続的に雇用しております。2026年4月現在、ティアフォー内には、307名のエンジニアが在籍し、また、「Autoware(オートウェア)」への社外貢献者(ティアフォー及びパートナー企業に属さないエンジニアを含むGitHubにおけるコード・コントリビューター数)を合計すると、716名のエンジニアが従事しています。ティアフォーグループが掲げる「自動運転の民主化」及び複数の事業領域・車種における社会実装を達成、推進するためには、引き続き、優秀な人材の確保は重要な課題であります。リファラル採用の推奨や採用エージェントの活用などに加えて、産学官連携を進め、業界におけるティアフォーグループの認知向上に努めることで継続的に人材を確保する方針です。また、新卒採用を強化し社員の育成にも重点を置いていきます。また、2025年9月期には採用競争力を高めることに加え、優秀な人材の流出を防ぐことを目的とし、人事制度の刷新を実施しました。

 

③ 内部統制システムの構築及び運用

ティアフォーグループは成長段階にあり、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。

 

④ 規律ある先行投資の実行

自動運転業界では一般的に多額の研究開発投資が必要とされるところ、ティアフォーのプロダクトはオープンソース型の自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」を基盤としていることから、ティアフォーグループ独自で開発する項目は限定的であり、効率的な技術開発が実現できております。また、日本政府からの補助金による支援を受けながら研究開発を実施しております。ティアフォーグループが安定的な事業基盤を構築するためには、技術水準の向上が不可欠であり、規律をもって先行投資を実施していきます。

 

⑤ 財務基盤の強化

ティアフォーグループでは、経営戦略の達成のために肝要である技術水準の向上のため、収益化に先行し研究開発投資を行う必要があります。そのため、手許資金確保が重要であると認識しております。ティアフォーグループでは、金融機関3社との間で総額6,000百万円の当座貸越契約を締結しており、1,000百万円の長期借入を実行していることから、提出日現在において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えておりますが、今後の事業拡大に備えて、営業キャッシュ・フローの改善等により財務基盤の強化を図ってまいります。

また、政府による補助金や委託事業等の公的支援も適切に活用しながら、効率的かつ持続可能な事業運営を図っており、こうした取り組みを通じて、自社の財務基盤の一層の強化に努めております。

 

⑥ 先行投資負担を踏まえた収益性改善に向けた課題

ティアフォーグループは、研究開発投資及び事業基盤構築に係る先行費用が継続的に発生していることから、現時点において業績は赤字となっております。ティアフォーグループの目指す方向性を実現するためには、現時点において先行投資を行うことが最善であると判断をしております。また、足元で事業・開発は順調に進捗しておりますが、自動運転市場は黎明期にあり、技術開発及び社会実装に一定の期間を要する特性を有していることから、ティアフォーグループにおいても、黒字化に至るまでには一定の期間を要する可能性があると認識しております。規律ある研究開発投資を継続することと、売上を中心に事業規模を拡大することのバランスを取りながら事業運営を行うことで、経常損益の赤字幅の改善、黒字化に向けて取り組んで参ります。

 

有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

ティアフォーグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在においてティアフォーが判断したものであります。

(1) 経営方針

ティアフォーグループは、「自動運転の民主化」というビジョンのもと、自動運転に資するあらゆるテクノロジーを開放し、様々な組織、個人がその発展に貢献できる開放的なエコシステムを構築することを目的としております。この実現に向け、オープンソース型の自動運転ソフトウェアである「Autoware(オートウェア)」をベースとして開発したティアフォープロダクトを活用し、「Mobility Service(モビリティサービス)」、「Development Service(デベロップメントサービス)」、「Solution Service(ソリューションサービス)」の3つのサービスで事業展開をしております。

 

(2) 経営戦略

① 自動運転の社会実装の推進

先ず、ティアフォーグループの主な事業領域である国内のモビリティ産業の市場規模について説明をします。以下に主な車種ごとの国内の市場規模を図解します。例えば、バスの領域においては、国内の稼働台数は6.2万台と推定しております。バス以外にも特殊用途車両、タクシー、トラックといった市場も存在しますが、これらについてはより大きな買替需要を見込んでおります。これに加えて、ティアフォーでは海外展開も見据えて事業を実施しております。

 

国内の車両タイプ別市場規模:


 

(注) 1.車両タイプ別市場規模(既存の車両台数)のうち、バス・特殊用途車両・トラックの日本での稼働台数についてはArthur D Little(2024年5月、ティアフォーからの委託調査)を、タクシーについては全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI Today in Japan 2025」(2024年3月)の数値を参照。

2.年間買替需要は既存の車両台数が変化しないという前提のもと、車両タイプ別に既存の車両台数を想定耐用年数で除して算出。(想定耐用年数は、バス6年、特殊用途車両10年、タクシー4年、トラック5年と仮定)

 

こうした市場の中で、ティアフォーグループではコアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し実装を行っています。具体的には、バス、トラック、特殊用途車両(大型・小型・デリバリーロボット)、タクシー等の自動運転車両を開発しております。

また、ティアフォーグループは、事業領域・車種ごとに異なる事業戦略を採用しております。バス/シャトルはあらかじめ決められたルートで定期運行され、特殊用途車両は閉鎖された環境下において稼働することから、レベル4対応の自動運転の導入に適しており、また、これらの車両については特に人手不足の影響を受けております。これらの領域においては、「先行逃げ切り」(First-Mover)のアプローチを志向し、他社に先行してマーケットシェアを獲得することで、市場成熟段階においてもドメインリーダーとしての地位を維持する方針です。一方、タクシー、トラックや乗用車等の領域においては、海外他社を中心に多額の研究開発費を投下し、市場開拓を行っている状況にあります。そうした中、ティアフォーグループでは「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチを採用し、過度な投資は行うことなく、技術のコモディティ化の進展を見極めつつ、バス/シャトルや特殊用途車両市場での市場拡大を通じて蓄積した経験とノウハウ、並びに自動車OEMやその販売チャネルとのネットワークも活用することで、オープンソースに技術が開放された後に迅速に市場シェアの獲得を図る方針です。

なお、これらのいずれの事業領域・車種においても、研究開発や実証実験用途の取組みに留まらず、「社会実装」の実現を進めていくことを、重視しております。

 

ティアフォーグループが手掛ける自動運転車両の種類


(注) ダンプトラック、レーシングカー、監視用カートは参考イメージ。その他画像はティアフォー技術を搭載した実際の車両を示している。

 

主な取組みとして、バスと物流車両・特殊用途車両における取組みを下記に記載します。

 

1.自動運転バス

バス型車両においては、2026年3月時点で、全国39都道府県127箇所の自治体において実証実験を行った実績を有します。また、長野県塩尻市及び石川県小松市において自動運転レベル4の認可を取得しております。

また、2026年5月時点で全国6自治体において、レベル2もしくはレベル4での通年運行の実績を有しております。自動運転の社会実装において重要になるのが自動運転の車両確保です。ティアフォーグループでは、BYD社製の小型EVバスをベースとして、自動運転に対応するための改造を行い、自ら小型EV自動運転バスの製造販売を行っております。2026年3月時点において、全国の自治体やバス事業者を主な顧客として、26台の販売実績がございます。これらの収益は、「Mobility Service(モビリティサービス)」に区分されております。

また、中長期的な量産化を見据え、いすゞ自動車株式会社と同社大型EVバスERGA EV(エルガEV)の自動運転共同開発プロジェクトを推進し、神奈川県平塚市において開発成果を用いた実証実験を実施しております。加えて、トヨタ自動車とは、次世代モビリティ「e-Palette」の自動運転化にかかる開発を進めております。これらの収益は、「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

 


(左)長野県塩尻市で走行する自動運転小型EVバス

(右)神奈川県平塚市で走行する自動運転大型EVバス

 

ティアフォーグループが実証実験・実装実績を有する地域(2026年3月時点)


2.自動運転物流車両・特殊用途車両

小型自動運転物流車両に関しては、ティアフォーの持分法適用関連会社である株式会社eve autonomyにおいてティアフォーの自動運転システムを組み込んだ車両の製造及び販売が行われております。株式会社eve autonomyにおいては、ヤマハ発動機株式会社の車両に対する知見と自動運転システムに関するティアフォーグループの知見の双方を組み合わせ、小型の工場内搬送車両を用いた無人搬送サービスを展開しており、ティアフォーは当該車両の稼働台数に応じたライセンス料を受領しております。2026年3月現在、93台の車両が国内各地の工場内にて無人運行で稼働しております。当収益は「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

無人搬送サービス eve autoの車両


 

 

また、建設機械の自動運転車両に関しては、株式会社小松製作所(以下「コマツ」という。)及びコマツの子会社である株式会社EARTHBRAINと、自動運転技術の実用化に向けた協業を開始しています。土木・砕石現場向けにコマツのアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックの自動運転化を進め、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指しています。自動運転の対象とする機種はアーティキュレートダンプトラック「HM400」(最大積載量40トン)及びリジッドダンプトラック「HD785」(最大積載量93.9トン)から取り組みを開始し、その他の機種への展開を視野に入れ、技術開発を進めます。製鉄やプラントなどの様々な現場への導入に加え、海外現場への市場展開も見据えています。

 

自動運転試験中のアーティキュレートダンプトラック(HM400)の走行の様子


 

加えて、警備用無人車両(Unmanned Ground Vehicle:UGV)の開発も行っております。具体的には、防衛省が実施する「警備用無人車両システムの導入検証に係る業務委託」において、技術提供パートナーとして参画をしています。全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地(約160カ所)における警備業務の高度化及び効率化を目的とした初期検証として、朝霞駐屯地において2台のUGVを用いた実証運用を実施しています。実運用環境下における検証を通じて、全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地への展開を見据えた実用的な運用モデルの確立を目指しています。

 

警備用無人車両のイメージ画像(実際の車両画像ではありません)


 

 

 

② 着実な研究開発の推進

ティアフォーグループでは、研究開発や実証実験に留まることなく、自動運転技術を社会実装することを目標に事業を推進しております。自動運転レベル4の許認可取得実績を有するなどティアフォーグループ製品は一定の技術水準を達成しておりますが、より社会実装を拡大するためには、適用可能な地域の拡大をはじめとした技術開発が必要になると考えております。ティアフォーグループではオープンソース型の自動運転プラットフォームである「Autoware(オートウェア)」を基盤にし、リファレンスデザインの考え方を採用して、効率的に研究開発を推進しております。また、我が国の政府より研究開発費に対する補助を受けながら研究開発を行っております。昨今の主な開発テーマとしては以下のようなものが挙げられます。

・既存のプロダクトにおける量産水準への品質向上

・ODD(Operational Design Domain)拡大のためのE2E(End to End)AI自動運転の推進

・自動運転向け半導体の研究開発

・大規模データ収集プラットフォームの構築

 

③ 中期的な売上拡大及び利益率の改善

ティアフォーグループはこれまで売上拡大を実現してまいりましたが、同時に研究開発活動を加速させることが企業価値の最大化に繋がると考え、研究開発投資も拡大させて参りました。今後に向けては、研究開発の成果がより事業に繋がり、研究開発投資の拡大を上回るペースで売上拡大を図ることにより、中長期的な売上及び利益率の改善を実現し、ひいては企業価値の最大化を企図します。

また、現在自動運転の市場は黎明期にあるため、ティアフォーでは「Mobility Service(モビリティサービス)」の収益構成が大きく、また、「Development Service(デベロップメントサービス)」においては、共同開発に係るエンジニアリングサービスの収入や開発ライセンス料収入の構成が主たるものとなっております。今後市場拡大につれて、「Development Service(デベロップメントサービス)」における量産車販売に伴うリカーリング収入へと収益の主軸を移していくことにより、売上拡大及び利益率の改善を図ります。

 

④ 中長期的なロードマップ

国内事業基盤を盤石なものとしたうえで、培ったノウハウや実績を活かし、海外市場の展開を段階的に推進します。さらに、周辺領域への事業展開を図って、持続的に成長をしてまいります。

具体的には、先ず海外市場への開拓を段階的に進めてまいります。すでに、ティアフォー連結子会社であるTierIV North America Inc.を中心として、自動運転技術の世界の研究開発の中心である米国カーネギーメロン大学や独国ミュンヘン工科大学といった研究機関との共同研究を進行しており、また、Mobility Service(モビリティサービス)やSolution Service(ソリューションサービス)においては、豪州・英国をはじめ10カ国以上への展開実績があります。

さらには、技術を提供するテクノロジープロバイダーとしての立ち位置のみならず、ソリューションプロバイダーとして自動運転技術の周辺領域での事業機会も模索します。具体的には保険や金融機能といった法人ソリューションの事業、鉄道等幹線輸送の二次交通、宇宙における自動運転等を想定しております。また、自動運転ソフトウェアに限らず、半導体など周辺技術のオープン化も進め、さらなる事業機会の開拓にも取り組みます。

 

(3) 目標とする経営指標等

ティアフォーグループにおいては、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、事業規模の成長並びに適正な財務規律の中で研究開発投資を行うことが重要であると考えております。そのため、主な経営指標として、売上高、事業利益(売上高から売上原価並びに事業経費を差し引いたもの)に加え、経常利益を重視しております。また、KPIとして、実証実験・実装地域数、車両運用台数、開発プロジェクト顧客数を重視しております。

実証実験・実装地域数は、ティアフォーグループの自動運転車両が各地の公道での実証実験で使用されている、あるいは、公共交通路線に投入されている地域数の合計を表します(なお、双方に該当する場合でも1地域として計上)。ティアフォーグループの技術及びサービスが各地域において展開されている状況を示す指標であり、将来的な事業拡大及び収益機会の拡大に直結します。

車両運用台数は、ティアフォーの自動運転車両の実稼働台数のことです。ティアフォーグループの自動運転システムの普及規模を示す指標であります。運用実績の蓄積による技術高度化及びサービス品質の向上に加え、車両1台当たりの収益水準の動向を把握する上でも重要な指標であると認識しております。また、当指標はリカーリング売上とも連動することから、ティアフォー全体の収益性を把握する上でも重要な指標であります。

また、開発プロジェクト顧客数は、自動車OEMや特殊用途車両メーカーと進める共同開発・受託開発のプロジェクト数のことです。顧客ニーズに基づく研究開発及び実証実験案件の広がりを示すとともに、自動運転車両の量産化に向けた顧客基盤の拡大状況を把握するための指標であり、中長期的な事業成長の源泉を把握する上で重要です。以下に、「Mobility Service(モビリティサービス)」及び「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要なプロジェクトの概要並びに、ティアフォーの想定する自動運転車両の実装台数のイメージを示します。

 


(注) 1.パイプラインの状況は2026年4月時点。デベロップメントサービスについては量産展開に向け、台数・時期・車種について協議中の主要OEMを掲載。

2.NRE(Non Recurring Engineering)とは、継続ではなく一度だけ行われる設計や試作、検証等の工程のこと。

3.車両運用台数は累計値

4.掲載しているデベロップメントサービスの顧客群は一例であり、網羅的な一覧ではありません。

5.2026年9月期以降のプロジェクトについては、2026年4月時点における契約済みプロジェクト及び想定されるプロジェクトスケジュールを示しており、実際のスケジュールは、顧客との協議により変更される可能性があります

6.上記の図は参考イメージであり、ティアフォーが目標とする車両販売の展開規模を示します

 

 

 

① 売上高の中長期的な成長

自動運転は成長が期待される技術であり、ティアフォーグループの目指す社会実装の進捗を示すため、売上高を重要な経営指標の一つとして認識しております。 

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

売上

Mobility Service

(モビリティサービス)

1,803

2,267

1,428

Development Service

(デベロップメントサービス)

744

1,330

1,141

Solution Service

(ソリューションサービス)

1,323

2,812

1,799

 

 

② 経常利益の推移

技術開発においては、世界における競争環境を認識し研究開発目標を立てつつも、過度に投資をしないことが重要であると考えております。政府補助金による支援を踏まえながら、財務規律をもって研究開発投資を行う必要があると考えており、ティアフォーグループでは利益指標として経常利益を重視しております。

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

経常利益(損失)

△4,834

△5,504

△2,385

 

 

③ 非財務KPIの推移

事業進捗、開発進捗を計るための指標として、以下の非財務KPIを定め、定期的にモニタリングしております。

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

実証実験・実装地域数(地域)

29

50

40

車両運用台数(台)

公道

15

25

26

閉鎖空間

52

89

93

開発プロジェクト顧客数(社)

7

9

13

 

(注)1.「実証実験・実装地域数」には、ティアフォーグループ車両を使用しての実証実験を実施、もしくは定常的に走行が行われている地域が含まれます。当該期間中の単年での数値であります。

2.「車両運用台数」には、以下の車両が含まれます。当該期間の期末時点での累計の台数であります。

・公道:ティアフォーグループが販売する小型EV自動運転バスの車両台数

・閉鎖空間:ティアフォーの持分法適用関連会社である、株式会社eve autonomyが顧客に導入したeve autoの車両台数

3.「開発プロジェクト顧客数」には、ティアフォーグループが受託済みの開発プロジェクトに係る当該期間中単年での顧客数が含まれます。

 

 

(4) 経営環境

① 社会環境

世界各国では、タクシー型車両のほか、港湾、鉱山や工場といった現場でも自動運転車の利用が進んでいます。

我が国においては、高齢化・過疎化が進行し、特に自家用車による移動に頼らざるを得ない地方部を中心に、高齢者等の移動弱者の生活機能(医療・買い物等)へのアクセスが深刻な社会課題となっております。例えば、株式会社帝国データバンクの2023年11月発表によると、全国のバス事業者の約8割が路線の削減を検討中であり、国土交通省「令和7年版 国土交通白書 概要」では、2030年には3.6万人(28%)のバスドライバーが不足するとの試算が発表されております。また同白書では、なにも対策を講じなかった場合、物流分野においても、2030年に34%の輸送力不足を見込んでおります。こうした社会課題を解決するための手段の一つとして、自動運転レベル4の自動運転に対する期待が高まっているものと考えております

 


出所:(左図)帝国データバンク「全国「主要路線バス」運行状況調査(2023年)」(2023年11月発表)を基にティアフォー作成、(右図)日本バス協会「国土幹線道路部会 ヒアリング資料」(2023年5月発表)を基にティアフォー作成。

 

② 自動車業界の動向

自動車業界においてはデジタル技術の進展に伴い、自動車産業のバリューチェーンや産業構造に大きな変化がもたらされ、自動車を巡る競争は、グローバルなゲームチェンジが起こりつつあります。こうした中、自動車のDXは、電動化と並ぶ競争軸となり、今後もSDVの実装が進展していくものと認識しております

 

③ 政府の動向

自動車業界の動向を背景に、日本政府は自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト「RoAD to the L4」を立ち上げ、自動運転レベル4に代表される、高度な自動運転を用いた移動・物流サービスの実現・普及に向けた活動に取り組んでいます。また、2022年2月に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想総合戦略において、2027年度100か所以上においての自動運転移動サービスを実現することが定められています。

また、2024年には、経済産業省及び国土交通省により、2030~2035年に向けた我が国の勝ち筋として、「モビリティDX戦略」が策定され、官民連携による取組みを進めるべき3領域の一つとして、「モビリティサービス(自動運転等)領域」が特定されています。

加えて、2025年6月6日には、第7回経済財政諮問会議において、「経済財政運営と改革の基本方針 2025(原案)」が発表され、ティアフォーの事業領域である自動運転の領域では、地方交通の課題解消に向けた自動運転移動サービスの社会実装の加速、関係制度の整備及び実証実験・事業化の全国展開等が盛り込まれた内容となっており、また、2026年1月に閣議決定された「交通政策基本計画」では、2030年度までに自動運転サービス車両10,000台を導入する目標が発表されております。加えて、2026年4月公表の日本成長戦略会議分科会においては、2030年代に日本企業による自動運転車両の販売台数で世界シェア約25%を目指すことが発表されております。以上の動向を踏まえ、引き続き政府による支援は継続するものと見込んでおります。

上記の自動運転市場に対する政策を背景として、ティアフォーは複数の政府助成事業・委託事業への採択を受けております。各事業の詳細は、「5重要な契約等(1)政府助成事業、委託事業に関する契約」をご参照ください。

 

④ 自動運転市場におけるポジショニング

ティアフォーは国内の自動運転市場を開拓してきたリーディングプレイヤーであると認識しており、日本政府や自治体との関係性を強みとして、日本全国における多数の実績を有します。また、国内法規制に適合したレベル4自動運転の許認可取得実績も有しております。

他方で、自動運転市場をグローバルにみると、国内外に他プレイヤーが存在します。他社は特定領域に特化し、ソースコードはブラックボックスのままサービス化を進めているのに対し、ティアフォーは、オープンソースに基づく透明性の高さや、対応可能なハードウェアの幅を強みにして、自動車OEM等の法人を主な顧客として、多様なユースケースにおいて自動運転を実現できることが強みであります。

 

自動運転市場におけるティアフォーのポジショニング図(1)


(注) 1.現時点で他の市場参加者と比較した際の自社の市場ポジションに関するティアフォーの認識・考えに基づくものであり、図は各社の実際の状況を反映したものではありません。

2.ADAS(Advanced Driver Assistance Systems) : ドライバーが引き続き車両操作の責任を負う前提のもと、運転を支援する各種機能を提供するシステム。車両が自律的に運転を行う自動運転システムとは明確に区別されます。

3.ここでは、SoCへの対応を指します。 SoC (System on Chip) とは、自動運転やADASに必要なCPU、GPU、AIアクセラレータ、メモリ制御などの主要機能を1つの半導体チップに統合した車載向け集積回路をいいます。

 

以上のような社会的要請、業界構造の変化及び政策動向を背景に、自動運転分野においては、官民連携の枠組みのもとで市場形成が進展しているものとティアフォーグループでは認識しております。こうした中、ティアフォーは政府主導のプロジェクトへの参画等を通じて、自動運転に関する制度整備やルールメイキングの議論にも関与し、市場形成の初期段階から関与しております。加えて、オープンソースのアプローチのユニークさを活用しながら、競合他社と差別化を図りつつ、地方自治体、交通事業者、自動車OEM等との広範なパートナーシップを構築し、全国各地における実証実験及び社会実装を推進しております。これらの取組みにより、我が国の自動運転分野において一定のプレゼンスを有しているものと認識しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 技術力の強化

ティアフォーグループは「自動運転の民主化」という経営方針のもと、国内外において自動運転レベル4の事業化に取り組んでおり、既に一部の車両・地域においては、商用運行を実施しています。また、テスト走行距離に関しては、創業から2026年3月時点までで約46.9万キロの走行実績を有しますが(ティアフォーシステムによる記録に基づく自動運転システムによる累積走行距離)、さらなる事業拡大のためにはODDの拡大、安全性・信頼性の向上や、自動車OEMとの量産に向けた開発などの技術開発が求められます。これまでと同様に今後も技術開発を重要視して取り組む方針であります。

 

② 優秀な人材の確保

ティアフォーグループは研究開発を遂行するために、多様な開発領域において高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から継続的に雇用しております。2026年4月現在、ティアフォー内には、307名のエンジニアが在籍し、また、「Autoware(オートウェア)」への社外貢献者(ティアフォー及びパートナー企業に属さないエンジニアを含むGitHubにおけるコード・コントリビューター数)を合計すると、716名のエンジニアが従事しています。ティアフォーグループが掲げる「自動運転の民主化」及び複数の事業領域・車種における社会実装を達成、推進するためには、引き続き、優秀な人材の確保は重要な課題であります。リファラル採用の推奨や採用エージェントの活用などに加えて、産学官連携を進め、業界におけるティアフォーグループの認知向上に努めることで継続的に人材を確保する方針です。また、新卒採用を強化し社員の育成にも重点を置いていきます。また、2025年9月期には採用競争力を高めることに加え、優秀な人材の流出を防ぐことを目的とし、人事制度の刷新を実施しました。

 

③ 内部統制システムの構築及び運用

ティアフォーグループは成長段階にあり、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。

 

④ 規律ある先行投資の実行

自動運転業界では一般的に多額の研究開発投資が必要とされるところ、ティアフォーのプロダクトはオープンソース型の自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」を基盤としていることから、ティアフォーグループ独自で開発する項目は限定的であり、効率的な技術開発が実現できております。また、日本政府からの補助金による支援を受けながら研究開発を実施しております。ティアフォーグループが安定的な事業基盤を構築するためには、技術水準の向上が不可欠であり、規律をもって先行投資を実施していきます。

 

⑤ 財務基盤の強化

ティアフォーグループでは、経営戦略の達成のために肝要である技術水準の向上のため、収益化に先行し研究開発投資を行う必要があります。そのため、手許資金確保が重要であると認識しております。ティアフォーグループでは、金融機関3社との間で総額6,000百万円の当座貸越契約を締結しており、1,000百万円の長期借入を実行していることから、提出日現在において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えておりますが、今後の事業拡大に備えて、営業キャッシュ・フローの改善等により財務基盤の強化を図ってまいります。

また、政府による補助金や委託事業等の公的支援も適切に活用しながら、効率的かつ持続可能な事業運営を図っており、こうした取り組みを通じて、自社の財務基盤の一層の強化に努めております。

 

⑥ 先行投資負担を踏まえた収益性改善に向けた課題

ティアフォーグループは、研究開発投資及び事業基盤構築に係る先行費用が継続的に発生していることから、現時点において業績は赤字となっております。ティアフォーグループの目指す方向性を実現するためには、現時点において先行投資を行うことが最善であると判断をしております。また、足元で事業・開発は順調に進捗しておりますが、自動運転市場は黎明期にあり、技術開発及び社会実装に一定の期間を要する特性を有していることから、ティアフォーグループにおいても、黒字化に至るまでには一定の期間を要する可能性があると認識しております。規律ある研究開発投資を継続することと、売上を中心に事業規模を拡大することのバランスを取りながら事業運営を行うことで、経常損益の赤字幅の改善、黒字化に向けて取り組んで参ります。

 

有価証券届出書の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

ティアフォーグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在においてティアフォーが判断したものであります。

(1) 経営方針

ティアフォーグループは、「自動運転の民主化」というビジョンのもと、自動運転に資するあらゆるテクノロジーを開放し、様々な組織、個人がその発展に貢献できる開放的なエコシステムを構築することを目的としております。この実現に向け、オープンソース型の自動運転ソフトウェアである「Autoware(オートウェア)」をベースとして開発したティアフォープロダクトを活用し、「Mobility Service(モビリティサービス)」、「Development Service(デベロップメントサービス)」、「Solution Service(ソリューションサービス)」の3つのサービスで事業展開をしております。

 

(2) 経営戦略

① 自動運転の社会実装の推進

先ず、ティアフォーグループの主な事業領域である国内のモビリティ産業の市場規模について説明をします。以下に主な車種ごとの国内の市場規模を図解します。例えば、バスの領域においては、国内の稼働台数は6.2万台と推定しております。バス以外にも特殊用途車両、タクシー、トラックといった市場も存在しますが、これらについてはより大きな買替需要を見込んでおります。これに加えて、ティアフォーでは海外展開も見据えて事業を実施しております。

 

国内の車両タイプ別市場規模:


(注) 1.車両タイプ別市場規模(既存の車両台数)のうち、バス・特殊用途車両・トラックの日本での稼働台数についてはArthur D Little(2024年5月、ティアフォーからの委託調査)を、タクシーについては全国ハイヤー・タクシー連合会「TAXI Today in Japan 2025」(2024年3月)の数値を参照。

2.年間買替需要は既存の車両台数が変化しないという前提のもと、車両タイプ別に既存の車両台数を想定耐用年数で除して算出。(想定耐用年数は、バス6年、特殊用途車両10年、タクシー4年、トラック5年と仮定)

 

こうした市場の中で、ティアフォーグループではコアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し実装を行っています。具体的には、バス、トラック、特殊用途車両(大型・小型・デリバリーロボット)、タクシー等の自動運転車両を開発しております。

また、ティアフォーグループは、事業領域・車種ごとに異なる事業戦略を採用しております。バス/シャトルはあらかじめ決められたルートで定期運行され、特殊用途車両は閉鎖された環境下において稼働することから、レベル4対応の自動運転の導入に適しており、また、これらの車両については特に人手不足の影響を受けております。これらの領域においては、「先行逃げ切り」(First-Mover)のアプローチを志向し、他社に先行してマーケットシェアを獲得することで、市場成熟段階においてもドメインリーダーとしての地位を維持する方針です。一方、タクシー、トラックや乗用車等の領域においては、海外他社を中心に多額の研究開発費を投下し、市場開拓を行っている状況にあります。そうした中、ティアフォーグループでは「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチを採用し、過度な投資は行うことなく、技術のコモディティ化の進展を見極めつつ、バス/シャトルや特殊用途車両市場での市場拡大を通じて蓄積した経験とノウハウ、並びに自動車OEMやその販売チャネルとのネットワークも活用することで、オープンソースに技術が開放された後に迅速に市場シェアの獲得を図る方針です。

なお、これらのいずれの事業領域・車種においても、研究開発や実証実験用途の取組みに留まらず、「社会実装」の実現を進めていくことを、重視しております。

 

ティアフォーグループが手掛ける自動運転車両の種類


(注) ダンプトラック、レーシングカー、監視用カートは参考イメージ。その他画像はティアフォー技術を搭載した実際の車両を示している。

 

主な取組みとして、バスと物流車両・特殊用途車両における取組みを下記に記載します。

 

1.自動運転バス

バス型車両においては、2026年3月時点で、全国39都道府県127箇所の自治体において実証実験を行った実績を有します。また、長野県塩尻市及び石川県小松市において自動運転レベル4の認可を取得しております。

また、2026年5月時点で全国6自治体において、レベル2もしくはレベル4での通年運行の実績を有しております。自動運転の社会実装において重要になるのが自動運転の車両確保です。ティアフォーグループでは、BYD社製の小型EVバスをベースとして、自動運転に対応するための改造を行い、自ら小型EV自動運転バスの製造販売を行っております。2026年3月時点において、全国の自治体やバス事業者を主な顧客として、26台の販売実績がございます。これらの収益は、「Mobility Service(モビリティサービス)」に区分されております。

また、中長期的な量産化を見据え、いすゞ自動車株式会社と同社大型EVバスERGA EV(エルガEV)の自動運転共同開発プロジェクトを推進し、神奈川県平塚市において開発成果を用いた実証実験を実施しております。加えて、トヨタ自動車とは、次世代モビリティ「e-Palette」の自動運転化にかかる開発を進めております。これらの収益は、「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

 


(左)長野県塩尻市で走行する自動運転小型EVバス

(右)神奈川県平塚市で走行する自動運転大型EVバス

 

ティアフォーグループが実証実験・実装実績を有する地域(2026年3月時点)


2.自動運転物流車両・特殊用途車両

小型自動運転物流車両に関しては、ティアフォーの持分法適用関連会社である株式会社eve autonomyにおいてティアフォーの自動運転システムを組み込んだ車両の製造及び販売が行われております。株式会社eve autonomyにおいては、ヤマハ発動機株式会社の車両に対する知見と自動運転システムに関するティアフォーグループの知見の双方を組み合わせ、小型の工場内搬送車両を用いた無人搬送サービスを展開しており、ティアフォーは当該車両の稼働台数に応じたライセンス料を受領しております。2026年3月現在、93台の車両が国内各地の工場内にて無人運行で稼働しております。当収益は「Development Service(デベロップメントサービス)」に区分されております。

 

無人搬送サービス eve autoの車両


 

 

また、建設機械の自動運転車両に関しては、株式会社小松製作所(以下「コマツ」という。)及びコマツの子会社である株式会社EARTHBRAINと、自動運転技術の実用化に向けた協業を開始しています。土木・砕石現場向けにコマツのアーティキュレートダンプトラックとリジッドダンプトラックの自動運転化を進め、2027年度までに自動運転システムの実用化を目指しています。自動運転の対象とする機種はアーティキュレートダンプトラック「HM400」(最大積載量40トン)及びリジッドダンプトラック「HD785」(最大積載量93.9トン)から取り組みを開始し、その他の機種への展開を視野に入れ、技術開発を進めます。製鉄やプラントなどの様々な現場への導入に加え、海外現場への市場展開も見据えています。

 

自動運転試験中のアーティキュレートダンプトラック(HM400)の走行の様子


 

加えて、警備用無人車両(Unmanned Ground Vehicle:UGV)の開発も行っております。具体的には、防衛省が実施する「警備用無人車両システムの導入検証に係る業務委託」において、技術提供パートナーとして参画をしています。全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地(約160カ所)における警備業務の高度化及び効率化を目的とした初期検証として、朝霞駐屯地において2台のUGVを用いた実証運用を実施しています。実運用環境下における検証を通じて、全国の陸上自衛隊の駐屯地・分屯地への展開を見据えた実用的な運用モデルの確立を目指しています。

 

警備用無人車両のイメージ画像(実際の車両画像ではありません)


 

 

 

② 着実な研究開発の推進

ティアフォーグループでは、研究開発や実証実験に留まることなく、自動運転技術を社会実装することを目標に事業を推進しております。自動運転レベル4の許認可取得実績を有するなどティアフォーグループ製品は一定の技術水準を達成しておりますが、より社会実装を拡大するためには、適用可能な地域の拡大をはじめとした技術開発が必要になると考えております。ティアフォーグループではオープンソース型の自動運転プラットフォームである「Autoware(オートウェア)」を基盤にし、リファレンスデザインの考え方を採用して、効率的に研究開発を推進しております。また、我が国の政府より研究開発費に対する補助を受けながら研究開発を行っております。昨今の主な開発テーマとしては以下のようなものが挙げられます。

・既存のプロダクトにおける量産水準への品質向上

・ODD(Operational Design Domain)拡大のためのE2E(End to End)AI自動運転の推進

・自動運転向け半導体の研究開発

・大規模データ収集プラットフォームの構築

 

③ 中期的な売上拡大及び利益率の改善

ティアフォーグループはこれまで売上拡大を実現してまいりましたが、同時に研究開発活動を加速させることが企業価値の最大化に繋がると考え、研究開発投資も拡大させて参りました。今後に向けては、研究開発の成果がより事業に繋がり、研究開発投資の拡大を上回るペースで売上拡大を図ることにより、中長期的な売上及び利益率の改善を実現し、ひいては企業価値の最大化を企図します。

また、現在自動運転の市場は黎明期にあるため、ティアフォーでは「Mobility Service(モビリティサービス)」の収益構成が大きく、また、「Development Service(デベロップメントサービス)」においては、共同開発に係るエンジニアリングサービスの収入や開発ライセンス料収入の構成が主たるものとなっております。今後市場拡大につれて、「Development Service(デベロップメントサービス)」における量産車販売に伴うリカーリング収入へと収益の主軸を移していくことにより、売上拡大及び利益率の改善を図ります。

 

④ 中長期的なロードマップ

国内事業基盤を盤石なものとしたうえで、培ったノウハウや実績を活かし、海外市場の展開を段階的に推進します。さらに、周辺領域への事業展開を図って、持続的に成長をしてまいります。

具体的には、先ず海外市場への開拓を段階的に進めてまいります。すでに、ティアフォー連結子会社であるTierIV North America Inc.を中心として、自動運転技術の世界の研究開発の中心である米国カーネギーメロン大学や独国ミュンヘン工科大学といった研究機関との共同研究を進行しており、また、Mobility Service(モビリティサービス)やSolution Service(ソリューションサービス)においては、豪州・英国をはじめ10カ国以上への展開実績があります。

さらには、技術を提供するテクノロジープロバイダーとしての立ち位置のみならず、ソリューションプロバイダーとして自動運転技術の周辺領域での事業機会も模索します。具体的には保険や金融機能といった法人ソリューションの事業、鉄道等幹線輸送の二次交通、宇宙における自動運転等を想定しております。また、自動運転ソフトウェアに限らず、半導体など周辺技術のオープン化も進め、さらなる事業機会の開拓にも取り組みます。

 

(3) 目標とする経営指標等

ティアフォーグループにおいては、持続的な成長と企業価値の向上を目指しており、事業規模の成長並びに適正な財務規律の中で研究開発投資を行うことが重要であると考えております。そのため、主な経営指標として、売上高、事業利益(売上高から売上原価並びに事業経費を差し引いたもの)に加え、経常利益を重視しております。また、KPIとして、実証実験・実装地域数、車両運用台数、開発プロジェクト顧客数を重視しております。

実証実験・実装地域数は、ティアフォーグループの自動運転車両が各地の公道での実証実験で使用されている、あるいは、公共交通路線に投入されている地域数の合計を表します(なお、双方に該当する場合でも1地域として計上)。ティアフォーグループの技術及びサービスが各地域において展開されている状況を示す指標であり、将来的な事業拡大及び収益機会の拡大に直結します。

車両運用台数は、ティアフォーの自動運転車両の実稼働台数のことです。ティアフォーグループの自動運転システムの普及規模を示す指標であります。運用実績の蓄積による技術高度化及びサービス品質の向上に加え、車両1台当たりの収益水準の動向を把握する上でも重要な指標であると認識しております。また、当指標はリカーリング売上とも連動することから、ティアフォー全体の収益性を把握する上でも重要な指標であります。

また、開発プロジェクト顧客数は、自動車OEMや特殊用途車両メーカーと進める共同開発・受託開発のプロジェクト数のことです。顧客ニーズに基づく研究開発及び実証実験案件の広がりを示すとともに、自動運転車両の量産化に向けた顧客基盤の拡大状況を把握するための指標であり、中長期的な事業成長の源泉を把握する上で重要です。以下に、「Mobility Service(モビリティサービス)」及び「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要なプロジェクトの概要並びに、ティアフォーの想定する自動運転車両の実装台数のイメージを示します。

 


(注) 1.パイプラインの状況は2026年4月時点。デベロップメントサービスについては量産展開に向け、台数・時期・車種について協議中の主要OEMを掲載。

2.NRE(Non Recurring Engineering)とは、継続ではなく一度だけ行われる設計や試作、検証等の工程のこと。

3.車両運用台数は累計値

4.掲載しているデベロップメントサービスの顧客群は一例であり、網羅的な一覧ではありません。

5.2026年9月期以降のプロジェクトについては、2026年4月時点における契約済みプロジェクト及び想定されるプロジェクトスケジュールを示しており、実際のスケジュールは、顧客との協議により変更される可能性があります

6.上記の図は参考イメージであり、ティアフォーが目標とする車両販売の展開規模を示します

 

 

 

① 売上高の中長期的な成長

自動運転は成長が期待される技術であり、ティアフォーグループの目指す社会実装の進捗を示すため、売上高を重要な経営指標の一つとして認識しております。 

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

売上

Mobility Service

(モビリティサービス)

1,803

2,267

1,428

Development Service

(デベロップメントサービス)

744

1,330

1,141

Solution Service

(ソリューションサービス)

1,323

2,812

1,799

 

 

② 経常利益の推移

技術開発においては、世界における競争環境を認識し研究開発目標を立てつつも、過度に投資をしないことが重要であると考えております。政府補助金による支援を踏まえながら、財務規律をもって研究開発投資を行う必要があると考えており、ティアフォーグループでは利益指標として経常利益を重視しております。

(単位:百万円)

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

経常利益(損失)

△4,834

△5,504

△2,385

 

 

③ 非財務KPIの推移

事業進捗、開発進捗を計るための指標として、以下の非財務KPIを定め、定期的にモニタリングしております。

回次

第9期

第10期

第11期

中間連結会計期間

決算年月

2024年9月

2025年9月

2026年3月

実証実験・実装地域数(地域)

29

50

40

車両運用台数(台)

公道

15

25

26

閉鎖空間

52

89

93

開発プロジェクト顧客数(社)

7

9

13

 

(注)1.「実証実験・実装地域数」には、ティアフォーグループ車両を使用しての実証実験を実施、もしくは定常的に走行が行われている地域が含まれます。当該期間中の単年での数値であります。

2.「車両運用台数」には、以下の車両が含まれます。当該期間の期末時点での累計の台数であります。

・公道:ティアフォーグループが販売する小型EV自動運転バスの車両台数

・閉鎖空間:ティアフォーの持分法適用関連会社である、株式会社eve autonomyが顧客に導入したeve autoの車両台数

3.「開発プロジェクト顧客数」には、ティアフォーグループが受託済みの開発プロジェクトに係る当該期間中単年での顧客数が含まれます。

 

 

(4) 経営環境

① 社会環境

世界各国では、タクシー型車両のほか、港湾、鉱山や工場といった現場でも自動運転車の利用が進んでいます。

我が国においては、高齢化・過疎化が進行し、特に自家用車による移動に頼らざるを得ない地方部を中心に、高齢者等の移動弱者の生活機能(医療・買い物等)へのアクセスが深刻な社会課題となっております。例えば、株式会社帝国データバンクの2023年11月発表によると、全国のバス事業者の約8割が路線の削減を検討中であり、国土交通省「令和7年版 国土交通白書 概要」では、2030年には3.6万人(28%)のバスドライバーが不足するとの試算が発表されております。また同白書では、なにも対策を講じなかった場合、物流分野においても、2030年に34%の輸送力不足を見込んでおります。こうした社会課題を解決するための手段の一つとして、自動運転レベル4の自動運転に対する期待が高まっているものと考えております

 


出所:(左図)帝国データバンク「全国「主要路線バス」運行状況調査(2023年)」(2023年11月発表)を基にティアフォー作成、(右図)日本バス協会「国土幹線道路部会 ヒアリング資料」(2023年5月発表)を基にティアフォー作成。

 

② 自動車業界の動向

自動車業界においてはデジタル技術の進展に伴い、自動車産業のバリューチェーンや産業構造に大きな変化がもたらされ、自動車を巡る競争は、グローバルなゲームチェンジが起こりつつあります。こうした中、自動車のDXは、電動化と並ぶ競争軸となり、今後もSDVの実装が進展していくものと認識しております

 

③ 政府の動向

自動車業界の動向を背景に、日本政府は自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト「RoAD to the L4」を立ち上げ、自動運転レベル4に代表される、高度な自動運転を用いた移動・物流サービスの実現・普及に向けた活動に取り組んでいます。また、2022年2月に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想総合戦略において、2027年度100か所以上においての自動運転移動サービスを実現することが定められています。

また、2024年には、経済産業省及び国土交通省により、2030~2035年に向けた我が国の勝ち筋として、「モビリティDX戦略」が策定され、官民連携による取組みを進めるべき3領域の一つとして、「モビリティサービス(自動運転等)領域」が特定されています。

加えて、2025年6月6日には、第7回経済財政諮問会議において、「経済財政運営と改革の基本方針 2025(原案)」が発表され、ティアフォーの事業領域である自動運転の領域では、地方交通の課題解消に向けた自動運転移動サービスの社会実装の加速、関係制度の整備及び実証実験・事業化の全国展開等が盛り込まれた内容となっており、また、2026年1月に閣議決定された「交通政策基本計画」では、2030年度までに自動運転サービス車両10,000台を導入する目標が発表されております。加えて、2026年4月公表の日本成長戦略会議分科会においては、2030年代に日本企業による自動運転車両の販売台数で世界シェア約25%を目指すことが発表されております。以上の動向を踏まえ、引き続き政府による支援は継続するものと見込んでおります。

上記の自動運転市場に対する政策を背景として、ティアフォーは複数の政府助成事業・委託事業への採択を受けております。各事業の詳細は、「5重要な契約等(1)政府助成事業、委託事業に関する契約」をご参照ください。

 

④ 自動運転市場におけるポジショニング

ティアフォーは国内の自動運転市場を開拓してきたリーディングプレイヤーであると認識しており、日本政府や自治体との関係性を強みとして、日本全国における多数の実績を有します。また、国内法規制に適合したレベル4自動運転の許認可取得実績も有しております。

他方で、自動運転市場をグローバルにみると、国内外に他プレイヤーが存在します。他社は特定領域に特化し、ソースコードはブラックボックスのままサービス化を進めているのに対し、ティアフォーは、オープンソースに基づく透明性の高さや、対応可能なハードウェアの幅を強みにして、自動車OEM等の法人を主な顧客として、多様なユースケースにおいて自動運転を実現できることが強みであります。

 

自動運転市場におけるティアフォーのポジショニング図(1)


(注) 1.現時点で他の市場参加者と比較した際の自社の市場ポジションに関するティアフォーの認識・考えに基づくものであり、図は各社の実際の状況を反映したものではありません。

2.ADAS(Advanced Driver Assistance Systems) : ドライバーが引き続き車両操作の責任を負う前提のもと、運転を支援する各種機能を提供するシステム。車両が自律的に運転を行う自動運転システムとは明確に区別されます。

3.ここでは、SoCへの対応を指します。 SoC (System on Chip) とは、自動運転やADASに必要なCPU、GPU、AIアクセラレータ、メモリ制御などの主要機能を1つの半導体チップに統合した車載向け集積回路をいいます。

 

以上のような社会的要請、業界構造の変化及び政策動向を背景に、自動運転分野においては、官民連携の枠組みのもとで市場形成が進展しているものとティアフォーグループでは認識しております。こうした中、ティアフォーは政府主導のプロジェクトへの参画等を通じて、自動運転に関する制度整備やルールメイキングの議論にも関与し、市場形成の初期段階から関与しております。加えて、オープンソースのアプローチのユニークさを活用しながら、競合他社と差別化を図りつつ、地方自治体、交通事業者、自動車OEM等との広範なパートナーシップを構築し、全国各地における実証実験及び社会実装を推進しております。これらの取組みにより、我が国の自動運転分野において一定のプレゼンスを有しているものと認識しております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 技術力の強化

ティアフォーグループは「自動運転の民主化」という経営方針のもと、国内外において自動運転レベル4の事業化に取り組んでおり、既に一部の車両・地域においては、商用運行を実施しています。また、テスト走行距離に関しては、創業から2026年3月時点までで約46.9万キロの走行実績を有しますが(ティアフォーシステムによる記録に基づく自動運転システムによる累積走行距離)、さらなる事業拡大のためにはODDの拡大、安全性・信頼性の向上や、自動車OEMとの量産に向けた開発などの技術開発が求められます。これまでと同様に今後も技術開発を重要視して取り組む方針であります。

 

② 優秀な人材の確保

ティアフォーグループは研究開発を遂行するために、多様な開発領域において高度な専門性と能力を備えた人材を国内外から継続的に雇用しております。2026年4月現在、ティアフォー内には、307名のエンジニアが在籍し、また、「Autoware(オートウェア)」への社外貢献者(ティアフォー及びパートナー企業に属さないエンジニアを含むGitHubにおけるコード・コントリビューター数)を合計すると、716名のエンジニアが従事しています。ティアフォーグループが掲げる「自動運転の民主化」及び複数の事業領域・車種における社会実装を達成、推進するためには、引き続き、優秀な人材の確保は重要な課題であります。リファラル採用の推奨や採用エージェントの活用などに加えて、産学官連携を進め、業界におけるティアフォーグループの認知向上に努めることで継続的に人材を確保する方針です。また、新卒採用を強化し社員の育成にも重点を置いていきます。また、2025年9月期には採用競争力を高めることに加え、優秀な人材の流出を防ぐことを目的とし、人事制度の刷新を実施しました。

 

③ 内部統制システムの構築及び運用

ティアフォーグループは成長段階にあり、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。

 

④ 規律ある先行投資の実行

自動運転業界では一般的に多額の研究開発投資が必要とされるところ、ティアフォーのプロダクトはオープンソース型の自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」を基盤としていることから、ティアフォーグループ独自で開発する項目は限定的であり、効率的な技術開発が実現できております。また、日本政府からの補助金による支援を受けながら研究開発を実施しております。ティアフォーグループが安定的な事業基盤を構築するためには、技術水準の向上が不可欠であり、規律をもって先行投資を実施していきます。

 

⑤ 財務基盤の強化

ティアフォーグループでは、経営戦略の達成のために肝要である技術水準の向上のため、収益化に先行し研究開発投資を行う必要があります。そのため、手許資金確保が重要であると認識しております。ティアフォーグループでは、金融機関3社との間で総額6,000百万円の当座貸越契約を締結しており、1,000百万円の長期借入を実行していることから、提出日現在において優先的に対処すべき財務上の課題はないと考えておりますが、今後の事業拡大に備えて、営業キャッシュ・フローの改善等により財務基盤の強化を図ってまいります。

また、政府による補助金や委託事業等の公的支援も適切に活用しながら、効率的かつ持続可能な事業運営を図っており、こうした取り組みを通じて、自社の財務基盤の一層の強化に努めております。

 

⑥ 先行投資負担を踏まえた収益性改善に向けた課題

ティアフォーグループは、研究開発投資及び事業基盤構築に係る先行費用が継続的に発生していることから、現時点において業績は赤字となっております。ティアフォーグループの目指す方向性を実現するためには、現時点において先行投資を行うことが最善であると判断をしております。また、足元で事業・開発は順調に進捗しておりますが、自動運転市場は黎明期にあり、技術開発及び社会実装に一定の期間を要する特性を有していることから、ティアフォーグループにおいても、黒字化に至るまでには一定の期間を要する可能性があると認識しております。規律ある研究開発投資を継続することと、売上を中心に事業規模を拡大することのバランスを取りながら事業運営を行うことで、経常損益の赤字幅の改善、黒字化に向けて取り組んで参ります。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

ティアフォーグループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であるとティアフォーが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容はティアフォー株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

ティアフォーグループは自動運転というディープテック領域で事業を展開しており、特にティアフォーの企図する量産化に係るビジネスモデルや対象市場が未だ発展途上にあることから、技術開発、社会実装及び市場形成の各段階において不確実性を伴っております。また、自動運転システムの開発及び量産化に向けた取り組みは、多くの時間及び研究開発投資を要するとともに、すべての開発や実証実験、量産化が当初の想定通りに進捗又は実現する保証はありません。このため、ティアフォーグループの事業は、その性質上、一般的な事業と比較して相対的にリスクが高い可能性があります。ティアフォーグループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、ティアフォーの取り組みにかかわらず、かかるリスクが顕在化し、ティアフォーグループの財務を含む経営成績に影響を及ぼす可能性は否定できません。したがって、ティアフォー株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、本項記載の将来に関する事項は、提出日現在において、ティアフォーが判断したものであります。

 

(1) 事故の発生に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、交通事故発生のリスクが存在します。ティアフォーが製造に関与する自動運転車に関して重大な交通事故が発生した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

まず、自動運転における責任関係の概要につき、日本国内の公道での走行に関連する法令を前提に、一般的な説明をします。自動運転にはレベル0からレベル5が存在し、ティアフォーグループの事業はレベル4あるいはレベル2に分類されます。レベル4は特定の条件下においてシステムが全ての運転操作を行う状態、レベル2は、運転操作の主体は運転者で、アクセル・ブレーキ操作及びハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態、と定義されております。ティアフォーでは、人手不足等の社会課題解決を背景に自動運転レベル4のシステムを提供しておりますが、レベル4での運用を開始するまでの期間においては、レベル2でのデータ収集や実験等を実施しております。

自動運転レベル2においては、運転の主体が運転者であり、システムは「運転支援」の位置づけであります。通常の量産車における安全運転支援機能と同様の責任関係となります。より具体的には、運転者の民事責任に関しては、民法第709条に基づく不法行為責任や道路交通法第70条に基づく安全運転義務の違反に基づく責任、自賠法(自動車損害賠償保障法)第3条に基づく運行供用者責任、製造物責任法第3条に基づくメーカー責任に分解されます。

他方で、自動運転レベル4は、運転者不在を前提とした制度であります。自動運転レベル4運行である「特定自動運行」は、道路交通法上の「運転」に該当しないため、従来型の運転者責任は事実上問題になりません。他方で、運行供用者責任や製造物責任法に基づくメーカー責任は自動運転レベル2と同様になお適用されます。自動運転レベル4運行中に事故が発生した場合には、特定自動運行実施者または車両保有者の運行供用者責任に基づき保険会社等が被害者救済を行い、その後、自動運転システム起因の事故であった場合には保険会社等からメーカーへ求償されるという流れが想定されます。

ティアフォーのMobility Service(モビリティサービス)においては、ティアフォーが自動車OEMからベース車両を調達し、自動運転システムを架装した上で、顧客に提供する場合や、自動運転用ハードウェアを販売する場合もあるため、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があり、また、ティアフォーのDevelopment Service(デベロップメントサービス)においては、OEM等の顧客が自社製品として販売を予定する量産車両への自動運転機能の搭載を見据え、ティアフォープロダクトの提供並びに共同開発及び技術協力を行っているため、ティアフォーが当該車両の保有者又は運行主体とならない場合であっても、ティアフォーの提供する自動運転システム等の欠陥に起因して事故が発生した場合には、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があります。また、ティアフォーが特定自動運行実施者又は車両保有者として関与する場合には、運行供用者責任を負う可能性があります。

ティアフォーグループでは、自動運転中の事故を未然に防ぐため、ハードウェア・ソフトウェアの出荷・リリース前の検査やゲートレビューの実施、自動運転ルートに関するリスクアセスメントの実施、自動運転前の事前社内審査を行うことにより、事故の発生リスクの最小化に努めております。結果、2026年5月現在、公道における人身事故件数は0件となっております。また、事故を含むインシデントが発生した場合の社内通報窓口を設置し、全従業員に対する研修を実施し周知を図り、対応ルールに基づいた運用を行っております。これにより、インシデントが発生した場合でも適切かつ迅速な対応が行われています。

加えて、ティアフォーグループが所有する公道を走行する自動運転車両は損害保険ジャパン株式会社の自動運転専用保険に加入し、物損事故又は人身事故が発生した場合の損害賠償の被請求リスクに備えております。当該保険は、損害保険ジャパン株式会社が開発した自動運転向けの任意自動車保険であり、通常の任意自動車保険ではカバーできない自動運転特有のリスクまでカバーされております。もっとも、補償内容は損害保険ジャパン株式会社と協議のうえ設定しているものの、自動運転サービスは未だ広く普及してはいないため、補償内容にかかるマーケットスタンダードは形成されておらず、損害保険他社が開発・提供中の保険とは補償内容が異なる可能性があり、必ずしも自動運転に係る全てのリスクを実際にカバーできるとは限りません。また、ティアフォーグループが所有しない自動運転車両に対しても、ティアフォーグループが提供する自動運転システム又はハードウェアに欠陥がある場合には、ティアフォーが製造物責任法に基づくメーカー責任を受ける可能性があります。これに対し、ティアフォーは企業総合賠償責任保険内において製造物責任特約を付すことで、リスクの低減に努めております。

このようにリスクの低減あるいは転移に向けた施策を講じてはいるものの、将来に向けても重大事故が発生しないことを保証することは困難であり、重大事故が発生した場合には、上記保険でもカバーできない多額の費用負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品に対する信頼性の喪失、官公庁による支援の打ち切り等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、ティアフォーグループ以外の第三者による自動運転に関する重大事故等が発生した場合には、自動運転技術全体に対する社会的評価が低下し、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に間接的な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術革新に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、技術革新のスピードが早く、常に先進の技術ノウハウを把握し、ティアフォーグループの技術に取り入れていく必要があります。このため、産学官での連携、「Autoware(オートウェア)」を通じた国内外の関連プレイヤーとのエコシステム構築等を通じて最新の技術ノウハウの獲得に注力しております。特に、自動運転の領域においては、複雑な交通環境下における認識精度や経路計画精度の向上、システム異常の発生時や予期せぬ事象に対する安全性の確保等、引き続き技術的な高度化が求められる領域が存在しております。加えて、これらの機能・性能を実運用環境において安定的に発揮するための継続的な精度改善も重要な課題となっております。

このような状況を踏まえ、ティアフォーグループでは、研究開発部門を中心として、実証実験や商用運行を通じた走行データ及び運用データの蓄積・分析を継続的に実施するとともに、ソフトウェア更新や評価・検証体制の強化を通じて、機能・性能の改善に努めております。また、国内外のパートナー企業、研究機関及び自治体等との連携を通じて、技術動向や市場ニーズの把握に取り組むことで、技術革新への対応力向上を図っております。

しかしながら、これらの対応に困難が生じ、技術革新に対するティアフォーグループの対応が遅れた場合や、ティアフォーグループが進めている研究開発について、想定どおりに進捗しない場合、またはその成果が想定どおりに得られず事業化又は商用化に至らない場合、また産学官での連携や国内外の関連プレイヤーとの協働が奏功しない場合には、ティアフォーグループの競争力が低下する可能性があります。このような場合には、ティアフォーグループの技術力低下、それに伴う製品・サービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業環境及び事業展開に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、バス・物流車両等の複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し社会実装を行っていますが、ティアフォーグループが提供する自動運転車両及び自動運転システムの事業化又は商用化の実績は限定的です。ティアフォーグループとしては、今後の自動運転業界の順調な拡大、本格的な立ち上がりを見込んでおりますが、自動運転業界は提出日現在において黎明期であり、我が国においてティアフォーグループ以外を含む自動運転車両が重大な事故を発生させるなどの安全性の観点や、他にも技術的、経済性及び政策動向等の観点から市場普及や量産化に遅れが生じた場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは自動運転技術の社会実装に向けての開発を行っており、その先行投資によって、設立以来赤字を継続しております。今後も、自動運転技術の開発への投資や事業規模の拡大に伴い、継続的なコストの発生及び増加が見込まれます。ティアフォーは、経営上の目標の達成に向け、「先行逃げ切り」(First-Mover)及び「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチの併用、自動運転市場の本格的な立ち上がりを捉えた売上の拡大や収益の主軸のリカーリング収入への移行、規律ある開発体制の構築により、中期的な利益率の改善といった上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」記載の経営戦略に基づき対処すべき課題に取り組んでいく方針ですが、マクロ要因を含むティアフォーグループを取り巻く経営環境の急激な変化を始めとする「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化すること、ティアフォーの想定通り自動運転技術の実装台数やパイプラインが進捗しないこと、その他様々な事情により、上記経営戦略や取組が想定どおりに進まなかった場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 「Autoware(オートウェア)」の利用に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループが活用する自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、AWFにより管理されております。ティアフォーグループは、AWFが定めるオープンソースライセンスの枠組みに基づき「Autoware(オートウェア)」を利用しており、現時点において、当該利用に関して重大な制約が生じているものではありません。もっとも、AWFは独立した法人であり、将来的にAWFの方針変更やガバナンスの変化等が生じた場合には、「Autoware(オートウェア)」の利用条件や開発方針に影響が及ぶ可能性があり、その結果、ティアフォーグループの事業活動に一定の制約が生じる可能性があります。ティアフォーグループとしては、AWFとの継続的な連携やコミュニケーションを通じて関係性の維持・強化を図るとともに、「Autoware(オートウェア)」の開発・運用に主体的に関与することにより、当該リスクの低減に努めております。しかしながら、これらの対応にもかかわらず、AWFの方針等に起因して「Autoware(オートウェア)」の利用に制約が生じた場合や「Autoware(オートウェア)」の開発が減速した場合、あるいは競合他社が「Autoware(オートウェア)」を活用する場合、第三者による「Autoware(オートウェア)」に係る権利侵害が生じた場合等は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、ティアフォーグループとAWFとの間では、主には、同法人のPremium Member(プレミアムメンバー)としての会費支払及び「Autoware(オートウェア)」に関わるフレームワークの策定等の外注の取引が存在しますが、通常の取引と同等に適正な条件での取引を行っております。

 

(5) 製品・サービスの不具合の発生に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転システムに関わるハードウェア(車両を含む。以下同じ。)、及びソフトウェアの製造・販売・提供を手掛けております。各種製品の出荷・リリース前には出荷前検査や各種試験・評価、ゲートレビュー等を実施しており、製品・サービスの不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。しかしながら、ティアフォーグループの製品・サービスの不具合により顧客が損害を被った場合やティアフォーグループ製品に関してリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償の被請求や不具合の是正等の対応実施等に係る費用発生、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループでは、自動車OEMからベース車両を調達し、委託先企業がティアフォーの自動運転システムの架装を行ったうえで、当該製品を顧客に提供する等、製品・サービスの製造・販売・提供に際して第三者のハードウェア及びソフトウェア並びに第三者による製造過程に依拠する場合があります。このような場合、ティアフォーグループの開発及び技術に何ら問題がなくても、第三者のハードウェア、ソフトウェア又は製造過程の不具合等に起因して不具合やリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償や不具合の是正等の対応実施に係る費用その他負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 政策動向の変化に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループの主要事業領域である、自動運転市場は将来の成長が期待される市場でありますが、グローバルにおいても黎明期にあたります。また、日本国内の自動運転市場においては、技術開発の推進や社会実装の促進のために、日本政府及び地方自治体等の官公庁による制度面・金銭面での支援がなされております。政府政策にも自動運転は重点領域として位置づけられているため、ティアフォーグループでは政府による支援が今後も継続すると予測しており、新規製品及びサービスの研究開発を積極的に展開していく計画であります。しかしながら、ティアフォーの研究開発に係る費用は一部日本政府からの補助金に依存していることから、経済情勢や景気動向、政策動向の変化により、政府の政策方針が変更になり、自動運転事業に対する補助金の交付が減少するような場合には、研究開発に重大な支障が生じるほか、自動運転市場がティアフォーの想定どおりに拡大しない等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なおティアフォーグループでは上記リスクへの対策の一環として、官公庁や業界団体等との継続的な意見交換を通じて、政策動向に関する情報収集に努めるとともに、特定の政策支援に過度に依存しない事業運営を志向し、民間企業向け案件や海外市場の開拓を進めることで、政策動向変化による影響の低減を図っておりますが、奏功しない可能性もあります。

 

(7) 自動運転に係るセンサーや演算装置類等の需給逼迫リスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

世界的に半導体を中心とした電子部品の需給が逼迫している状況にあります。ティアフォーでは、センサー・演算装置類の電子部品を含む主要部品を対象にPSI管理を実施し、適正な在庫量の維持に努めております。しかしながら、需給逼迫状況の急速な変化によって、前述の部材や、その他事業運営に必要な部材・部品の入手が困難な状況が発生した場合、ティアフォーグループの自動運転車両の生産計画に影響を及ぼし、また、需給逼迫により部材・部品の価格が高騰した場合にはティアフォーの利益率に悪影響を及ぼす可能性があり、これらの結果、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材の採用に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループが今後更なる成長を成し遂げていくためには、優秀な人材の確保が重要課題の一つであると認識しております。特に、自動運転に係るソフトウェア、AI等の分野において高度な専門性を有する人材の確保が不可欠であり、これらの人材に対する需要は業界全体で高まっております。加えて、当該分野における人材は国内外を含めて限られていることから人材獲得競争が激化しているほか、事業展開地域の拡大に伴い、各地域における運用・保守等を担う現場人材の確保も必要となるため、適時かつ十分な人材確保が困難となる可能性があります。ティアフォーグループは現在も人材紹介会社を利用した中途採用を実施し、従業員からの紹介によるリファラル採用制度を導入する等、多様なチャネルを用いて優秀な人材の確保に努めておりますが、今後求める人材を十分に採用できない場合や、あるいは在職中の優秀な人材が退職する等した場合、また、人材の獲得・維持にかかるコストが大幅に増加した場合には、ティアフォーグループの事業拡大の制約となり、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) ティアフォーグループのイメージ及びブランドに関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの事業活動において、イメージ及びブランドは、既存顧客との関係維持又は新規顧客の獲得にとって重要な要素であると認識しています。ティアフォーグループにとってネガティブな報道がされた場合、不利益な風説が流布した場合、役職員による違法又は不適切な行為のあった場合、その他イメージやブランドに悪影響を与える事態が生じた場合や、ティアフォー又は同業他社が製造に関与した自動運転車に事故等が生じることにより自動運転に対するイメージが低下する場合には、ティアフォーグループの顧客が離反する又は新規顧客を獲得できなくなることにより、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者がティアフォーグループの許可なくティアフォーグループのブランド、商標、ロゴ等を使用した場合には、ティアフォーグループのイメージやブランドに悪影響が生じ、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対して、各種社内研修において、関連研修をカリキュラムとして含めることで、従業員への周知徹底を図っておりますが、役職員による違法又は不適切な行為を未然に防止できる保証はありません。

 

(10) 競合に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

グローバルに自動運転技術の開発を行う企業は複数存在し、特定の事業領域においてはティアフォーグループと競合する可能性があります。ただ、こうした複数の自動運転企業は、オープンソースを活用したティアフォーグループのビジネスモデルや、事業に対するアプローチとは異なるため、ティアフォーは高い独自性を有するものと認識しております。また、海外競合はロボットタクシーやトラック、自家用車といった車種における自動運転に取り組む一方で、ティアフォーはバス・シャトルや、特殊用途車両といった競合の少ない領域でも事業展開をしており、現時点では事業領域においても棲み分けが出来ているものと認識しております。しかしながら、特定の領域で先行する競合が存在した場合やティアフォーよりも資金その他のリソースを豊富に有する競合が新たに市場に参入してきた場合、ティアフォーグループのマーケットシェアが脅かされ、または利益率が低下することにより、結果としてティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ティアフォーとしては競合と伍するために必要な技術開発やパートナー企業を含めた事業連携・エコシステム形成を進めることにより、上記リスクの低減を図っております。

 

(11) 法的規制に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの事業活動においては、自動運転分野に係る法令に限らず、企業法人として遵守すべき各種法令への対応が求められており、これらへの抵触が生じた場合には、事業運営に影響を及ぼすリスクがありますが、ティアフォーグループでは関係法令の動向を踏まえ、適切な対応に努めております。

また、ティアフォーグループの事業領域である自動運転においては、道路運送車両法、道路交通法等の関係法令を遵守する必要があります。我が国においては、2020年に道路運送車両法の改正が、2023年に道路交通法の改正がそれぞれ施行され、自動運転レベル4による運行が可能になりました。この法体系に基づき、ティアフォーグループ、パートナー企業、及び顧客企業・団体では自動運転車両の運行に先立ち、国土交通省(地方運輸局)、都道府県公安委員会といった所管省庁からの許認可を受け、許認可内容に基づき適切に運行を行っており、これらの認可は、自治体ごとの区分に加え、バス路線ごと及び車両ごとに取得しております。

また、自動運転は成長途上の産業であることから、今後法改正等が実施されることも想定されます。ティアフォーグループは我が国の自動運転開発において主導的な立ち位置に属すると認識しており、関係省庁との関係性を構築していることから、最新の法改正などの情報を逐次把握することが可能だと考えております。しかしながら、法改正等により、自動運転の許認可を受けることが難しくなる、あるいは多大な工数が要する等の影響が発生する可能性も否定しきれず、そうした場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、自動運転に係る許認可は、現時点では個別案件ごとに取得する必要があるものの、その審査基準は一定程度共通していることから、特定の地域や案件における事故や不具合等が発生した場合には、他の地域や案件における許認可の取得や更新に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 知的財産に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、事業運営の際に第三者の知的財産権を侵害することのないよう、社内外の弁理士への照会等を実施し慎重に調査・検討を行うことで上記リスクの低減を図っておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償又は当該知的財産権の使用に対する対価の支払等が発生する可能性があり、その際にはティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループの知的財産権が第三者により侵害された場合や営業秘密、ノウハウ、その他機密情報が外部に流出した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループのプロダクトの基盤である「Autoware(オートウェア)」はオープンソース型の自動運転ソフトウェアであり、「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、ティアフォーから独立した組織であるAWFに帰属しています。したがってティアフォーは、「Autoware(オートウェア)」の開発の方向性を完全に予測及び管理することも、潜在的な競合を含む第三者による「Autoware(オートウェア)」の利用の態様を完全に把握することもできません。「Autoware(オートウェア)」の開発及び利用が、ティアフォーの意図しない形でなされた場合、ティアフォーグループのプロダクトに係る開発環境や競合環境が変化し、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) システム障害に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転ソフトウェアや運行管理システムといった自動運転車両の運行に必要なシステムを開発し提供しております。当該システムの安定的かつ安全な運用に向けて、セキュリティ対策、ネットワークの監視、ペネトレーションテスト等を行い、安定的かつ安全に運用できるように対策を講じておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により重要データの流出や車両の乗っ取りや意図的な破壊工作が発生した場合、ITインフラ機器の障害、コンピューターウイルスへの感染、自然災害、その他不測の事態が生じることによりシステムトラブル等が生じた場合、加えて第三者によるデータの不正使用等が生じた場合には、これによる損害を賠償する責任を負ったり、対応のために多大な時間と労力を要したりするおそれがあるほか、レピュテーションの低下等によりティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは、製品開発やサービスの提供にあたってのデータの保存等をクラウドベースのインフラを提供する第三者プロバイダーに依存しています。これらの第三者プロバイダーの運営において、障害や不正アクセス等が生じた場合、第三者プロバイダーとの契約が解除された場合や当該サービスが廃止された場合においても、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 訴訟等について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループは、提出日現在において、訴訟を提起されている事実はございません。一方で、事業運営の中でティアフォーグループが提供する自動運転システムに関わるハードウェア及びソフトウェアの不備等により、何らかの問題が生じた場合や、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、これらに起因した損害賠償請求や訴訟の提起がなされる可能性があります。ティアフォーグループでは法令や契約の遵守に関する従業員への教育等の対策や、自動運転システムに関する品質管理・品質保証、実験管理、契約管理等、法的問題の発生を最小限に抑えるための対策を講じておりますが、仮に訴訟等が提起された場合、ティアフォーグループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 特定の経営者等への依存に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォー代表取締役CEOの加藤 真平は、ティアフォーの創業者であり、経営方針・経営戦略の策定や業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。ティアフォーグループでは、経営幹部の育成等を図ることにより、同人への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ同人に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同人によるティアフォーグループの業務遂行が困難になる場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) SOMPOホールディングス株式会社との関係について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:特定時期なし)

SOMPOホールディングス株式会社は、提出日現在において、ティアフォーの議決権の24.1%を保有しているため、SOMPOホールディングス株式会社はティアフォーのその他の関係会社に該当いたします。同社の状況については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のあるとおりになります。

ティアフォーと同社グループとの間に役員の招聘等の人的関係はなく、同社グループからの資金の借入、及び同社グループに対して事前承認や事前報告を要する事項等はありません。またティアフォーの経営判断については、ティアフォーが独自に検討の上決定しております。もっとも、ティアフォーの主要株主である同社は、ティアフォーの株主総会決議において一定の影響力を有しており、一般株主の利益とは異なる利害に基づき影響力を行使する可能性があります。

なお、ティアフォーグループは同社グループとの間で、自動運転に係る保険の加入等の取引関係を有しておりますが、当該取引は合理的な取引条件に基づき実施されております。このような関係性を踏まえ、ティアフォーグループでは、関連当事者取引に係る社内規程を整備するとともに、取締役会等における審議を通じて、取引条件の合理性及び取引実行の妥当性を確認する体制を構築しております。加えて、ティアフォーの経営判断及び事業運営の独立性を確保する観点から、同社グループから独立した意思決定体制を維持しております。

また、SOMPOホールディングス株式会社は、ティアフォーの上場に際し、保有株式について上場後180日の間第三者に処分しない旨のロックアップの合意を行う予定でありますが、当該ロックアップ期間経過後においては、ティアフォー株式の売却は制限されません。同社の今後のティアフォー株式の保有・処分方針によっては、ティアフォー株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 為替及び海外事業展開に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、海外への事業展開にも取り組んでおり、米国に連結子会社を有しております。米国子会社の財務諸表における現地通貨建の項目は、連結財務諸表作成のために円換算されることから、連結財務諸表数値は為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。また、ティアフォーグループは海外のサプライヤーとの間で複数の外貨建て取引を行っていますが、特に為替予約その他ヘッジ取引は行っておりません。今後著しい為替変動があった場合には、ティアフォーグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、海外での事業活動においては、ティアフォーグループの企業文化を保ちつつ優秀な人材を確保することが困難となるリスク、自動運転に関する法規制に関するリスク、雇用や労働慣行に関する現地法規制に関するリスク、言語・慣習・文化の違いや地理的分散によって経営陣によるコミュニケーションや円滑な事業遂行が困難となるリスク、輸出入規制・課税に関するリスク、法規制の変更に関するリスク、法規制の遵守に関するリスク、贈賄規制に関するリスク、知的財産権の保護に関するリスク、公衆衛生や渡航制限に関するリスク、政治・経済状況に関するリスク等が存在し、これらが顕在化した場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ティアフォーグループでは商流に応じ一部外貨を保有しており、今後、為替変動リスクを伴う商流が増加した場合には、金融機関を通じた為替変動リスクをヘッジするための取引を行う可能性があります。なお仮に将来当該取引を行う場合においても、為替変動リスクの全てを回避できるとは限りません。

 

(18) 特定の取引先への依存リスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループにおいては、展開する各サービスにおいて、効率的な事業拡大を目指す観点や多岐にわたる関係者との円滑な調整を行う観点から、多くの案件においてパートナー企業を通じた事業展開を行っております。その中で、主に「Mobility Service(モビリティサービス)」と「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要顧客であるアイサンテクノロジー株式会社との取引は、2025年9月期において売上高の19.9%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係(ティアフォーグループは主に自動運転システムの開発、同社は主に自治体等折衝の役割や、自動運転の実証実験や車両販売等に関するパートナー企業同士という関係)にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社との取引が減少又は終了した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の取引先についても存在します。なお、「Development Service(デベロップメントサービス)」において、自動車メーカー等のパートナー企業と業務提携を締結していくことを計画しておりますが、ティアフォーグループとパートナー企業との関係性が構築できない、台数計画に合意できない場合やパートナー企業が競合他社と提携する場合、あるいは提携後に何らかの事情によりパートナー企業の事業戦略や方針に変更が生じた場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。

また、ティアフォーグループでは官公庁からの受託開発を実施しております。その中でも国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構に対する取引が、2025年9月期において売上高の17.8%を占めております。当該取引は、自動運転の開発及び社会実装の加速を目的としたデータ連携基盤の研究開発に係る委託事業であり、ティアフォーグループは自動運転システムに関する技術開発や実証実験等を担っております。当該機関との緊密な連携を継続し、継続的な受注に繋げる所存であり、契約件数としても複数の契約を締結していることから、当該機関の今後の方針がティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、自治体やその他顧客は3月末に向けて予算消化を行う傾向があることや、官公庁は事業年度が開始する4月以降に予算執行を行う傾向があるため、ティアフォーグループの業績は季節変動の影響を受ける可能性があります。

また、2025年9月期において、ティアフォーにおける売上原価に係る仕入・外注に関しては、ティアフォーグループの販売する自動運転車両の架装及び構築に係る取引や路車協調システムの開発外注に関連し、主要仕入れ先である株式会社トノックスとの取引が仕入額全体の57.6%を占めており、主要外注先であるスマートモビリティインフラ技術研究組合との取引が外注額全体の12.5%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社からの調達が困難になった場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の仕入れ先及び外注先についても存在します。

これらのリスクに対応するために、ティアフォーグループでは、新規顧客の開拓や提供サービスの多様化を推進することで、収益基盤の安定化及び特定顧客への依存度低減に努めるとともに、複数の取引先との関係構築や調達先・外注先の分散化等を通じて、安定的な事業運営体制の構築に努めております。また、官公庁案件についても、継続的な案件獲得及び新規案件への参画を推進することで、特定案件への依存度低減に取り組んでおります。しかしながら、そのような施策が奏功する確証はありません。

 

(19) 株主構成について(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:短期)

提出日現在において、ティアフォー発行済株式総数46,074,490株のうち、計7,082,500株(15.4%)はベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合等の金融投資家(以下「VC等」という。)が所有しております。ティアフォー株式上場後において、ティアフォー株式の株価推移によっては、VC等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場におけるティアフォー株式の需給バランスが短期的に偏り、ティアフォー株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは役職員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。また、今後も優秀な人材確保のため新株予約権等を活用したインセンティブプランを継続していく方針であります。これらの新株予約権が行使された場合、ティアフォー株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は6,133,000株であり、発行済株式総数46,074,490株の13.3%に相当しております。

 

(21) 個人情報に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、役職員や一部顧客の個人情報を取り扱っておりますが、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、厳格な個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、これら個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、事故対応による多額の経費発生等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) 内部統制システムに関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大に応じた体制の整備に遅れが生じた場合は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

内部統制システムに関する詳細は、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(23) 配当政策について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーは、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。しかしながら、ティアフォーグループは現在成長過程にあり、内部留保が充実しているとはいえず、最近事業年度までの過去において配当を行っておりません。また、現時点では研究開発投資を行うことで中長期的かつ安定的な事業成長を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

将来的には毎期の経営成績並びに財政状態を勘案しつつ、配当による株主への利益還元を実施することを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期につきましては未定であります。

 

(24) 調達資金の使途に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーグループの本募集及び本第三者割当増資の手取概算額の使途については、自動運転技術の研究開発費、量産・事業拡張費及び組織拡張のための採用費・人件費に充当する予定であります。しかしながら、ティアフォーグループが属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ資金を充当する可能性があります。実際の調達金額は今後決定される引受価額等により変動するため、想定調達金額を下回る可能性があり、その場合には、上記資金使途への充当も行われないか、又は充当金額が減少します。また、当初の計画に沿って資金を使用した結果ティアフォーグループにおいて想定した投資効果が得られない可能性があります。なお、調達資金の使途を変更する可能性がある場合は、速やかにその旨の開示を行う予定であります。

 

(25) 税務上の繰越欠損金について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、最近事業年度末時点において税務上の繰越欠損金を有しており、将来的に法人税等の負担軽減が見込まれる状況にあります。一方で、将来当該繰越欠損金が消滅又は利用不能となった場合には、通常の税率に基づく課税が生じることとなり、その結果として、ティアフォーグループの当期純利益やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

ティアフォーグループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であるとティアフォーが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容はティアフォー株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

ティアフォーグループは自動運転というディープテック領域で事業を展開しており、特にティアフォーの企図する量産化に係るビジネスモデルや対象市場が未だ発展途上にあることから、技術開発、社会実装及び市場形成の各段階において不確実性を伴っております。また、自動運転システムの開発及び量産化に向けた取り組みは、多くの時間及び研究開発投資を要するとともに、すべての開発や実証実験、量産化が当初の想定通りに進捗又は実現する保証はありません。このため、ティアフォーグループの事業は、その性質上、一般的な事業と比較して相対的にリスクが高い可能性があります。ティアフォーグループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、ティアフォーの取り組みにかかわらず、かかるリスクが顕在化し、ティアフォーグループの財務を含む経営成績に影響を及ぼす可能性は否定できません。したがって、ティアフォー株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、本項記載の将来に関する事項は、提出日現在において、ティアフォーが判断したものであります。

 

(1) 事故の発生に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、交通事故発生のリスクが存在します。ティアフォーが製造に関与する自動運転車に関して重大な交通事故が発生した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

まず、自動運転における責任関係の概要につき、日本国内の公道での走行に関連する法令を前提に、一般的な説明をします。自動運転にはレベル0からレベル5が存在し、ティアフォーグループの事業はレベル4あるいはレベル2に分類されます。レベル4は特定の条件下においてシステムが全ての運転操作を行う状態、レベル2は、運転操作の主体は運転者で、アクセル・ブレーキ操作及びハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態、と定義されております。ティアフォーでは、人手不足等の社会課題解決を背景に自動運転レベル4のシステムを提供しておりますが、レベル4での運用を開始するまでの期間においては、レベル2でのデータ収集や実験等を実施しております。

自動運転レベル2においては、運転の主体が運転者であり、システムは「運転支援」の位置づけであります。通常の量産車における安全運転支援機能と同様の責任関係となります。より具体的には、運転者の民事責任に関しては、民法第709条に基づく不法行為責任や道路交通法第70条に基づく安全運転義務の違反に基づく責任、自賠法(自動車損害賠償保障法)第3条に基づく運行供用者責任、製造物責任法第3条に基づくメーカー責任に分解されます。

他方で、自動運転レベル4は、運転者不在を前提とした制度であります。自動運転レベル4運行である「特定自動運行」は、道路交通法上の「運転」に該当しないため、従来型の運転者責任は事実上問題になりません。他方で、運行供用者責任や製造物責任法に基づくメーカー責任は自動運転レベル2と同様になお適用されます。自動運転レベル4運行中に事故が発生した場合には、特定自動運行実施者または車両保有者の運行供用者責任に基づき保険会社等が被害者救済を行い、その後、自動運転システム起因の事故であった場合には保険会社等からメーカーへ求償されるという流れが想定されます。

ティアフォーのMobility Service(モビリティサービス)においては、ティアフォーが自動車OEMからベース車両を調達し、自動運転システムを架装した上で、顧客に提供する場合や、自動運転用ハードウェアを販売する場合もあるため、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があり、また、ティアフォーのDevelopment Service(デベロップメントサービス)においては、OEM等の顧客が自社製品として販売を予定する量産車両への自動運転機能の搭載を見据え、ティアフォープロダクトの提供並びに共同開発及び技術協力を行っているため、ティアフォーが当該車両の保有者又は運行主体とならない場合であっても、ティアフォーの提供する自動運転システム等の欠陥に起因して事故が発生した場合には、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があります。また、ティアフォーが特定自動運行実施者又は車両保有者として関与する場合には、運行供用者責任を負う可能性があります。

ティアフォーグループでは、自動運転中の事故を未然に防ぐため、ハードウェア・ソフトウェアの出荷・リリース前の検査やゲートレビューの実施、自動運転ルートに関するリスクアセスメントの実施、自動運転前の事前社内審査を行うことにより、事故の発生リスクの最小化に努めております。結果、2026年5月現在、公道における人身事故件数は0件となっております。また、事故を含むインシデントが発生した場合の社内通報窓口を設置し、全従業員に対する研修を実施し周知を図り、対応ルールに基づいた運用を行っております。これにより、インシデントが発生した場合でも適切かつ迅速な対応が行われています。

加えて、ティアフォーグループが所有する公道を走行する自動運転車両は損害保険ジャパン株式会社の自動運転専用保険に加入し、物損事故又は人身事故が発生した場合の損害賠償の被請求リスクに備えております。当該保険は、損害保険ジャパン株式会社が開発した自動運転向けの任意自動車保険であり、通常の任意自動車保険ではカバーできない自動運転特有のリスクまでカバーされております。もっとも、補償内容は損害保険ジャパン株式会社と協議のうえ設定しているものの、自動運転サービスは未だ広く普及してはいないため、補償内容にかかるマーケットスタンダードは形成されておらず、損害保険他社が開発・提供中の保険とは補償内容が異なる可能性があり、必ずしも自動運転に係る全てのリスクを実際にカバーできるとは限りません。また、ティアフォーグループが所有しない自動運転車両に対しても、ティアフォーグループが提供する自動運転システム又はハードウェアに欠陥がある場合には、ティアフォーが製造物責任法に基づくメーカー責任を受ける可能性があります。これに対し、ティアフォーは企業総合賠償責任保険内において製造物責任特約を付すことで、リスクの低減に努めております。

このようにリスクの低減あるいは転移に向けた施策を講じてはいるものの、将来に向けても重大事故が発生しないことを保証することは困難であり、重大事故が発生した場合には、上記保険でもカバーできない多額の費用負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品に対する信頼性の喪失、官公庁による支援の打ち切り等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、ティアフォーグループ以外の第三者による自動運転に関する重大事故等が発生した場合には、自動運転技術全体に対する社会的評価が低下し、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に間接的な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術革新に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、技術革新のスピードが早く、常に先進の技術ノウハウを把握し、ティアフォーグループの技術に取り入れていく必要があります。このため、産学官での連携、「Autoware(オートウェア)」を通じた国内外の関連プレイヤーとのエコシステム構築等を通じて最新の技術ノウハウの獲得に注力しております。特に、自動運転の領域においては、複雑な交通環境下における認識精度や経路計画精度の向上、システム異常の発生時や予期せぬ事象に対する安全性の確保等、引き続き技術的な高度化が求められる領域が存在しております。加えて、これらの機能・性能を実運用環境において安定的に発揮するための継続的な精度改善も重要な課題となっております。

このような状況を踏まえ、ティアフォーグループでは、研究開発部門を中心として、実証実験や商用運行を通じた走行データ及び運用データの蓄積・分析を継続的に実施するとともに、ソフトウェア更新や評価・検証体制の強化を通じて、機能・性能の改善に努めております。また、国内外のパートナー企業、研究機関及び自治体等との連携を通じて、技術動向や市場ニーズの把握に取り組むことで、技術革新への対応力向上を図っております。

しかしながら、これらの対応に困難が生じ、技術革新に対するティアフォーグループの対応が遅れた場合や、ティアフォーグループが進めている研究開発について、想定どおりに進捗しない場合、またはその成果が想定どおりに得られず事業化又は商用化に至らない場合、また産学官での連携や国内外の関連プレイヤーとの協働が奏功しない場合には、ティアフォーグループの競争力が低下する可能性があります。このような場合には、ティアフォーグループの技術力低下、それに伴う製品・サービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業環境及び事業展開に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、バス・物流車両等の複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し社会実装を行っていますが、ティアフォーグループが提供する自動運転車両及び自動運転システムの事業化又は商用化の実績は限定的です。ティアフォーグループとしては、今後の自動運転業界の順調な拡大、本格的な立ち上がりを見込んでおりますが、自動運転業界は提出日現在において黎明期であり、我が国においてティアフォーグループ以外を含む自動運転車両が重大な事故を発生させるなどの安全性の観点や、他にも技術的、経済性及び政策動向等の観点から市場普及や量産化に遅れが生じた場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは自動運転技術の社会実装に向けての開発を行っており、その先行投資によって、設立以来赤字を継続しております。今後も、自動運転技術の開発への投資や事業規模の拡大に伴い、継続的なコストの発生及び増加が見込まれます。ティアフォーは、経営上の目標の達成に向け、「先行逃げ切り」(First-Mover)及び「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチの併用、自動運転市場の本格的な立ち上がりを捉えた売上の拡大や収益の主軸のリカーリング収入への移行、規律ある開発体制の構築により、中期的な利益率の改善といった上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」記載の経営戦略に基づき対処すべき課題に取り組んでいく方針ですが、マクロ要因を含むティアフォーグループを取り巻く経営環境の急激な変化を始めとする「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化すること、ティアフォーの想定通り自動運転技術の実装台数やパイプラインが進捗しないこと、その他様々な事情により、上記経営戦略や取組が想定どおりに進まなかった場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 「Autoware(オートウェア)」の利用に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループが活用する自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、AWFにより管理されております。ティアフォーグループは、AWFが定めるオープンソースライセンスの枠組みに基づき「Autoware(オートウェア)」を利用しており、現時点において、当該利用に関して重大な制約が生じているものではありません。もっとも、AWFは独立した法人であり、将来的にAWFの方針変更やガバナンスの変化等が生じた場合には、「Autoware(オートウェア)」の利用条件や開発方針に影響が及ぶ可能性があり、その結果、ティアフォーグループの事業活動に一定の制約が生じる可能性があります。ティアフォーグループとしては、AWFとの継続的な連携やコミュニケーションを通じて関係性の維持・強化を図るとともに、「Autoware(オートウェア)」の開発・運用に主体的に関与することにより、当該リスクの低減に努めております。しかしながら、これらの対応にもかかわらず、AWFの方針等に起因して「Autoware(オートウェア)」の利用に制約が生じた場合や「Autoware(オートウェア)」の開発が減速した場合、あるいは競合他社が「Autoware(オートウェア)」を活用する場合、第三者による「Autoware(オートウェア)」に係る権利侵害が生じた場合等は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、ティアフォーグループとAWFとの間では、主には、同法人のPremium Member(プレミアムメンバー)としての会費支払及び「Autoware(オートウェア)」に関わるフレームワークの策定等の外注の取引が存在しますが、通常の取引と同等に適正な条件での取引を行っております。

 

(5) 製品・サービスの不具合の発生に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転システムに関わるハードウェア(車両を含む。以下同じ。)、及びソフトウェアの製造・販売・提供を手掛けております。各種製品の出荷・リリース前には出荷前検査や各種試験・評価、ゲートレビュー等を実施しており、製品・サービスの不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。しかしながら、ティアフォーグループの製品・サービスの不具合により顧客が損害を被った場合やティアフォーグループ製品に関してリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償の被請求や不具合の是正等の対応実施等に係る費用発生、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループでは、自動車OEMからベース車両を調達し、委託先企業がティアフォーの自動運転システムの架装を行ったうえで、当該製品を顧客に提供する等、製品・サービスの製造・販売・提供に際して第三者のハードウェア及びソフトウェア並びに第三者による製造過程に依拠する場合があります。このような場合、ティアフォーグループの開発及び技術に何ら問題がなくても、第三者のハードウェア、ソフトウェア又は製造過程の不具合等に起因して不具合やリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償や不具合の是正等の対応実施に係る費用その他負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 政策動向の変化に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループの主要事業領域である、自動運転市場は将来の成長が期待される市場でありますが、グローバルにおいても黎明期にあたります。また、日本国内の自動運転市場においては、技術開発の推進や社会実装の促進のために、日本政府及び地方自治体等の官公庁による制度面・金銭面での支援がなされております。政府政策にも自動運転は重点領域として位置づけられているため、ティアフォーグループでは政府による支援が今後も継続すると予測しており、新規製品及びサービスの研究開発を積極的に展開していく計画であります。しかしながら、ティアフォーの研究開発に係る費用は一部日本政府からの補助金に依存していることから、経済情勢や景気動向、政策動向の変化により、政府の政策方針が変更になり、自動運転事業に対する補助金の交付が減少するような場合には、研究開発に重大な支障が生じるほか、自動運転市場がティアフォーの想定どおりに拡大しない等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なおティアフォーグループでは上記リスクへの対策の一環として、官公庁や業界団体等との継続的な意見交換を通じて、政策動向に関する情報収集に努めるとともに、特定の政策支援に過度に依存しない事業運営を志向し、民間企業向け案件や海外市場の開拓を進めることで、政策動向変化による影響の低減を図っておりますが、奏功しない可能性もあります。

 

(7) 自動運転に係るセンサーや演算装置類等の需給逼迫リスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

世界的に半導体を中心とした電子部品の需給が逼迫している状況にあります。ティアフォーでは、センサー・演算装置類の電子部品を含む主要部品を対象にPSI管理を実施し、適正な在庫量の維持に努めております。しかしながら、需給逼迫状況の急速な変化によって、前述の部材や、その他事業運営に必要な部材・部品の入手が困難な状況が発生した場合、ティアフォーグループの自動運転車両の生産計画に影響を及ぼし、また、需給逼迫により部材・部品の価格が高騰した場合にはティアフォーの利益率に悪影響を及ぼす可能性があり、これらの結果、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材の採用に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループが今後更なる成長を成し遂げていくためには、優秀な人材の確保が重要課題の一つであると認識しております。特に、自動運転に係るソフトウェア、AI等の分野において高度な専門性を有する人材の確保が不可欠であり、これらの人材に対する需要は業界全体で高まっております。加えて、当該分野における人材は国内外を含めて限られていることから人材獲得競争が激化しているほか、事業展開地域の拡大に伴い、各地域における運用・保守等を担う現場人材の確保も必要となるため、適時かつ十分な人材確保が困難となる可能性があります。ティアフォーグループは現在も人材紹介会社を利用した中途採用を実施し、従業員からの紹介によるリファラル採用制度を導入する等、多様なチャネルを用いて優秀な人材の確保に努めておりますが、今後求める人材を十分に採用できない場合や、あるいは在職中の優秀な人材が退職する等した場合、また、人材の獲得・維持にかかるコストが大幅に増加した場合には、ティアフォーグループの事業拡大の制約となり、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) ティアフォーグループのイメージ及びブランドに関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの事業活動において、イメージ及びブランドは、既存顧客との関係維持又は新規顧客の獲得にとって重要な要素であると認識しています。ティアフォーグループにとってネガティブな報道がされた場合、不利益な風説が流布した場合、役職員による違法又は不適切な行為のあった場合、その他イメージやブランドに悪影響を与える事態が生じた場合や、ティアフォー又は同業他社が製造に関与した自動運転車に事故等が生じることにより自動運転に対するイメージが低下する場合には、ティアフォーグループの顧客が離反する又は新規顧客を獲得できなくなることにより、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者がティアフォーグループの許可なくティアフォーグループのブランド、商標、ロゴ等を使用した場合には、ティアフォーグループのイメージやブランドに悪影響が生じ、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対して、各種社内研修において、関連研修をカリキュラムとして含めることで、従業員への周知徹底を図っておりますが、役職員による違法又は不適切な行為を未然に防止できる保証はありません。

 

(10) 競合に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

グローバルに自動運転技術の開発を行う企業は複数存在し、特定の事業領域においてはティアフォーグループと競合する可能性があります。ただ、こうした複数の自動運転企業は、オープンソースを活用したティアフォーグループのビジネスモデルや、事業に対するアプローチとは異なるため、ティアフォーは高い独自性を有するものと認識しております。また、海外競合はロボットタクシーやトラック、自家用車といった車種における自動運転に取り組む一方で、ティアフォーはバス・シャトルや、特殊用途車両といった競合の少ない領域でも事業展開をしており、現時点では事業領域においても棲み分けが出来ているものと認識しております。しかしながら、特定の領域で先行する競合が存在した場合やティアフォーよりも資金その他のリソースを豊富に有する競合が新たに市場に参入してきた場合、ティアフォーグループのマーケットシェアが脅かされ、または利益率が低下することにより、結果としてティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ティアフォーとしては競合と伍するために必要な技術開発やパートナー企業を含めた事業連携・エコシステム形成を進めることにより、上記リスクの低減を図っております。

 

(11) 法的規制に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの事業活動においては、自動運転分野に係る法令に限らず、企業法人として遵守すべき各種法令への対応が求められており、これらへの抵触が生じた場合には、事業運営に影響を及ぼすリスクがありますが、ティアフォーグループでは関係法令の動向を踏まえ、適切な対応に努めております。

また、ティアフォーグループの事業領域である自動運転においては、道路運送車両法、道路交通法等の関係法令を遵守する必要があります。我が国においては、2020年に道路運送車両法の改正が、2023年に道路交通法の改正がそれぞれ施行され、自動運転レベル4による運行が可能になりました。この法体系に基づき、ティアフォーグループ、パートナー企業、及び顧客企業・団体では自動運転車両の運行に先立ち、国土交通省(地方運輸局)、都道府県公安委員会といった所管省庁からの許認可を受け、許認可内容に基づき適切に運行を行っており、これらの認可は、自治体ごとの区分に加え、バス路線ごと及び車両ごとに取得しております。

また、自動運転は成長途上の産業であることから、今後法改正等が実施されることも想定されます。ティアフォーグループは我が国の自動運転開発において主導的な立ち位置に属すると認識しており、関係省庁との関係性を構築していることから、最新の法改正などの情報を逐次把握することが可能だと考えております。しかしながら、法改正等により、自動運転の許認可を受けることが難しくなる、あるいは多大な工数が要する等の影響が発生する可能性も否定しきれず、そうした場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、自動運転に係る許認可は、現時点では個別案件ごとに取得する必要があるものの、その審査基準は一定程度共通していることから、特定の地域や案件における事故や不具合等が発生した場合には、他の地域や案件における許認可の取得や更新に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 知的財産に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、事業運営の際に第三者の知的財産権を侵害することのないよう、社内外の弁理士への照会等を実施し慎重に調査・検討を行うことで上記リスクの低減を図っておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償又は当該知的財産権の使用に対する対価の支払等が発生する可能性があり、その際にはティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループの知的財産権が第三者により侵害された場合や営業秘密、ノウハウ、その他機密情報が外部に流出した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループのプロダクトの基盤である「Autoware(オートウェア)」はオープンソース型の自動運転ソフトウェアであり、「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、ティアフォーから独立した組織であるAWFに帰属しています。したがってティアフォーは、「Autoware(オートウェア)」の開発の方向性を完全に予測及び管理することも、潜在的な競合を含む第三者による「Autoware(オートウェア)」の利用の態様を完全に把握することもできません。「Autoware(オートウェア)」の開発及び利用が、ティアフォーの意図しない形でなされた場合、ティアフォーグループのプロダクトに係る開発環境や競合環境が変化し、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) システム障害に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転ソフトウェアや運行管理システムといった自動運転車両の運行に必要なシステムを開発し提供しております。当該システムの安定的かつ安全な運用に向けて、セキュリティ対策、ネットワークの監視、ペネトレーションテスト等を行い、安定的かつ安全に運用できるように対策を講じておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により重要データの流出や車両の乗っ取りや意図的な破壊工作が発生した場合、ITインフラ機器の障害、コンピューターウイルスへの感染、自然災害、その他不測の事態が生じることによりシステムトラブル等が生じた場合、加えて第三者によるデータの不正使用等が生じた場合には、これによる損害を賠償する責任を負ったり、対応のために多大な時間と労力を要したりするおそれがあるほか、レピュテーションの低下等によりティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは、製品開発やサービスの提供にあたってのデータの保存等をクラウドベースのインフラを提供する第三者プロバイダーに依存しています。これらの第三者プロバイダーの運営において、障害や不正アクセス等が生じた場合、第三者プロバイダーとの契約が解除された場合や当該サービスが廃止された場合においても、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 訴訟等について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループは、提出日現在において、訴訟を提起されている事実はございません。一方で、事業運営の中でティアフォーグループが提供する自動運転システムに関わるハードウェア及びソフトウェアの不備等により、何らかの問題が生じた場合や、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、これらに起因した損害賠償請求や訴訟の提起がなされる可能性があります。ティアフォーグループでは法令や契約の遵守に関する従業員への教育等の対策や、自動運転システムに関する品質管理・品質保証、実験管理、契約管理等、法的問題の発生を最小限に抑えるための対策を講じておりますが、仮に訴訟等が提起された場合、ティアフォーグループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 特定の経営者等への依存に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォー代表取締役CEOの加藤 真平は、ティアフォーの創業者であり、経営方針・経営戦略の策定や業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。ティアフォーグループでは、経営幹部の育成等を図ることにより、同人への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ同人に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同人によるティアフォーグループの業務遂行が困難になる場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) SOMPOホールディングス株式会社との関係について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:特定時期なし)

SOMPOホールディングス株式会社は、提出日現在において、ティアフォーの議決権の24.1%を保有しているため、SOMPOホールディングス株式会社はティアフォーのその他の関係会社に該当いたします。同社の状況については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のあるとおりになります。

ティアフォーと同社グループとの間に役員の招聘等の人的関係はなく、同社グループからの資金の借入、及び同社グループに対して事前承認や事前報告を要する事項等はありません。またティアフォーの経営判断については、ティアフォーが独自に検討の上決定しております。もっとも、ティアフォーの主要株主である同社は、ティアフォーの株主総会決議において一定の影響力を有しており、一般株主の利益とは異なる利害に基づき影響力を行使する可能性があります。

なお、ティアフォーグループは同社グループとの間で、自動運転に係る保険の加入等の取引関係を有しておりますが、当該取引は合理的な取引条件に基づき実施されております。このような関係性を踏まえ、ティアフォーグループでは、関連当事者取引に係る社内規程を整備するとともに、取締役会等における審議を通じて、取引条件の合理性及び取引実行の妥当性を確認する体制を構築しております。加えて、ティアフォーの経営判断及び事業運営の独立性を確保する観点から、同社グループから独立した意思決定体制を維持しております。

また、SOMPOホールディングス株式会社は、ティアフォーの上場に際し、保有株式について上場後180日の間第三者に処分しない旨のロックアップの合意を行う予定でありますが、当該ロックアップ期間経過後においては、ティアフォー株式の売却は制限されません。同社の今後のティアフォー株式の保有・処分方針によっては、ティアフォー株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 為替及び海外事業展開に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、海外への事業展開にも取り組んでおり、米国に連結子会社を有しております。米国子会社の財務諸表における現地通貨建の項目は、連結財務諸表作成のために円換算されることから、連結財務諸表数値は為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。また、ティアフォーグループは海外のサプライヤーとの間で複数の外貨建て取引を行っていますが、特に為替予約その他ヘッジ取引は行っておりません。今後著しい為替変動があった場合には、ティアフォーグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、海外での事業活動においては、ティアフォーグループの企業文化を保ちつつ優秀な人材を確保することが困難となるリスク、自動運転に関する法規制に関するリスク、雇用や労働慣行に関する現地法規制に関するリスク、言語・慣習・文化の違いや地理的分散によって経営陣によるコミュニケーションや円滑な事業遂行が困難となるリスク、輸出入規制・課税に関するリスク、法規制の変更に関するリスク、法規制の遵守に関するリスク、贈賄規制に関するリスク、知的財産権の保護に関するリスク、公衆衛生や渡航制限に関するリスク、政治・経済状況に関するリスク等が存在し、これらが顕在化した場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ティアフォーグループでは商流に応じ一部外貨を保有しており、今後、為替変動リスクを伴う商流が増加した場合には、金融機関を通じた為替変動リスクをヘッジするための取引を行う可能性があります。なお仮に将来当該取引を行う場合においても、為替変動リスクの全てを回避できるとは限りません。

 

(18) 特定の取引先への依存リスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループにおいては、展開する各サービスにおいて、効率的な事業拡大を目指す観点や多岐にわたる関係者との円滑な調整を行う観点から、多くの案件においてパートナー企業を通じた事業展開を行っております。その中で、主に「Mobility Service(モビリティサービス)」と「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要顧客であるアイサンテクノロジー株式会社との取引は、2025年9月期において売上高の19.9%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係(ティアフォーグループは主に自動運転システムの開発、同社は主に自治体等折衝の役割や、自動運転の実証実験や車両販売等に関するパートナー企業同士という関係)にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社との取引が減少又は終了した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の取引先についても存在します。なお、「Development Service(デベロップメントサービス)」において、自動車メーカー等のパートナー企業と業務提携を締結していくことを計画しておりますが、ティアフォーグループとパートナー企業との関係性が構築できない、台数計画に合意できない場合やパートナー企業が競合他社と提携する場合、あるいは提携後に何らかの事情によりパートナー企業の事業戦略や方針に変更が生じた場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。

また、ティアフォーグループでは官公庁からの受託開発を実施しております。その中でも国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構に対する取引が、2025年9月期において売上高の17.8%を占めております。当該取引は、自動運転の開発及び社会実装の加速を目的としたデータ連携基盤の研究開発に係る委託事業であり、ティアフォーグループは自動運転システムに関する技術開発や実証実験等を担っております。当該機関との緊密な連携を継続し、継続的な受注に繋げる所存であり、契約件数としても複数の契約を締結していることから、当該機関の今後の方針がティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、自治体やその他顧客は3月末に向けて予算消化を行う傾向があることや、官公庁は事業年度が開始する4月以降に予算執行を行う傾向があるため、ティアフォーグループの業績は季節変動の影響を受ける可能性があります。

また、2025年9月期において、ティアフォーにおける売上原価に係る仕入・外注に関しては、ティアフォーグループの販売する自動運転車両の架装及び構築に係る取引や路車協調システムの開発外注に関連し、主要仕入れ先である株式会社トノックスとの取引が仕入額全体の57.6%を占めており、主要外注先であるスマートモビリティインフラ技術研究組合との取引が外注額全体の12.5%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社からの調達が困難になった場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の仕入れ先及び外注先についても存在します。

これらのリスクに対応するために、ティアフォーグループでは、新規顧客の開拓や提供サービスの多様化を推進することで、収益基盤の安定化及び特定顧客への依存度低減に努めるとともに、複数の取引先との関係構築や調達先・外注先の分散化等を通じて、安定的な事業運営体制の構築に努めております。また、官公庁案件についても、継続的な案件獲得及び新規案件への参画を推進することで、特定案件への依存度低減に取り組んでおります。しかしながら、そのような施策が奏功する確証はありません。

 

(19) 株主構成について(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:短期)

提出日現在において、ティアフォー発行済株式総数46,074,490株のうち、計7,082,500株(15.4%)はベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合等の金融投資家(以下「VC等」という。)が所有しております。ティアフォー株式上場後において、ティアフォー株式の株価推移によっては、VC等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場におけるティアフォー株式の需給バランスが短期的に偏り、ティアフォー株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは役職員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。また、今後も優秀な人材確保のため新株予約権等を活用したインセンティブプランを継続していく方針であります。これらの新株予約権が行使された場合、ティアフォー株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は6,133,000株であり、発行済株式総数46,074,490株の13.3%に相当しております。

 

(21) 個人情報に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、役職員や一部顧客の個人情報を取り扱っておりますが、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、厳格な個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、これら個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、事故対応による多額の経費発生等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) 内部統制システムに関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大に応じた体制の整備に遅れが生じた場合は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

内部統制システムに関する詳細は、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(23) 配当政策について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーは、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。しかしながら、ティアフォーグループは現在成長過程にあり、内部留保が充実しているとはいえず、最近事業年度までの過去において配当を行っておりません。また、現時点では研究開発投資を行うことで中長期的かつ安定的な事業成長を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

将来的には毎期の経営成績並びに財政状態を勘案しつつ、配当による株主への利益還元を実施することを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期につきましては未定であります。

 

(24) 調達資金の使途に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーグループの本募集及び本第三者割当増資の手取概算額の使途については、自動運転技術の研究開発費、量産・事業拡張費及び組織拡張のための採用費・人件費に充当する予定であります。しかしながら、ティアフォーグループが属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ資金を充当する可能性があります。実際の調達金額は今後決定される引受価額等により変動するため、想定調達金額を下回る可能性があり、その場合には、上記資金使途への充当も行われないか、又は充当金額が減少します。また、当初の計画に沿って資金を使用した結果ティアフォーグループにおいて想定した投資効果が得られない可能性があります。なお、調達資金の使途を変更する可能性がある場合は、速やかにその旨の開示を行う予定であります。

 

(25) 税務上の繰越欠損金について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、最近事業年度末時点において税務上の繰越欠損金を有しており、将来的に法人税等の負担軽減が見込まれる状況にあります。一方で、将来当該繰越欠損金が消滅又は利用不能となった場合には、通常の税率に基づく課税が生じることとなり、その結果として、ティアフォーグループの当期純利益やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

ティアフォーグループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であるとティアフォーが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容はティアフォー株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

ティアフォーグループは自動運転というディープテック領域で事業を展開しており、特にティアフォーの企図する量産化に係るビジネスモデルや対象市場が未だ発展途上にあることから、技術開発、社会実装及び市場形成の各段階において不確実性を伴っております。また、自動運転システムの開発及び量産化に向けた取り組みは、多くの時間及び研究開発投資を要するとともに、すべての開発や実証実験、量産化が当初の想定通りに進捗又は実現する保証はありません。このため、ティアフォーグループの事業は、その性質上、一般的な事業と比較して相対的にリスクが高い可能性があります。ティアフォーグループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、ティアフォーの取り組みにかかわらず、かかるリスクが顕在化し、ティアフォーグループの財務を含む経営成績に影響を及ぼす可能性は否定できません。したがって、ティアフォー株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、本項記載の将来に関する事項は、提出日現在において、ティアフォーが判断したものであります。

 

(1) 事故の発生に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、交通事故発生のリスクが存在します。ティアフォーが製造に関与する自動運転車に関して重大な交通事故が発生した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

まず、自動運転における責任関係の概要につき、日本国内の公道での走行に関連する法令を前提に、一般的な説明をします。自動運転にはレベル0からレベル5が存在し、ティアフォーグループの事業はレベル4あるいはレベル2に分類されます。レベル4は特定の条件下においてシステムが全ての運転操作を行う状態、レベル2は、運転操作の主体は運転者で、アクセル・ブレーキ操作及びハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態、と定義されております。ティアフォーでは、人手不足等の社会課題解決を背景に自動運転レベル4のシステムを提供しておりますが、レベル4での運用を開始するまでの期間においては、レベル2でのデータ収集や実験等を実施しております。

自動運転レベル2においては、運転の主体が運転者であり、システムは「運転支援」の位置づけであります。通常の量産車における安全運転支援機能と同様の責任関係となります。より具体的には、運転者の民事責任に関しては、民法第709条に基づく不法行為責任や道路交通法第70条に基づく安全運転義務の違反に基づく責任、自賠法(自動車損害賠償保障法)第3条に基づく運行供用者責任、製造物責任法第3条に基づくメーカー責任に分解されます。

他方で、自動運転レベル4は、運転者不在を前提とした制度であります。自動運転レベル4運行である「特定自動運行」は、道路交通法上の「運転」に該当しないため、従来型の運転者責任は事実上問題になりません。他方で、運行供用者責任や製造物責任法に基づくメーカー責任は自動運転レベル2と同様になお適用されます。自動運転レベル4運行中に事故が発生した場合には、特定自動運行実施者または車両保有者の運行供用者責任に基づき保険会社等が被害者救済を行い、その後、自動運転システム起因の事故であった場合には保険会社等からメーカーへ求償されるという流れが想定されます。

ティアフォーのMobility Service(モビリティサービス)においては、ティアフォーが自動車OEMからベース車両を調達し、自動運転システムを架装した上で、顧客に提供する場合や、自動運転用ハードウェアを販売する場合もあるため、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があり、また、ティアフォーのDevelopment Service(デベロップメントサービス)においては、OEM等の顧客が自社製品として販売を予定する量産車両への自動運転機能の搭載を見据え、ティアフォープロダクトの提供並びに共同開発及び技術協力を行っているため、ティアフォーが当該車両の保有者又は運行主体とならない場合であっても、ティアフォーの提供する自動運転システム等の欠陥に起因して事故が発生した場合には、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があります。また、ティアフォーが特定自動運行実施者又は車両保有者として関与する場合には、運行供用者責任を負う可能性があります。

ティアフォーグループでは、自動運転中の事故を未然に防ぐため、ハードウェア・ソフトウェアの出荷・リリース前の検査やゲートレビューの実施、自動運転ルートに関するリスクアセスメントの実施、自動運転前の事前社内審査を行うことにより、事故の発生リスクの最小化に努めております。結果、2026年5月現在、公道における人身事故件数は0件となっております。また、事故を含むインシデントが発生した場合の社内通報窓口を設置し、全従業員に対する研修を実施し周知を図り、対応ルールに基づいた運用を行っております。これにより、インシデントが発生した場合でも適切かつ迅速な対応が行われています。

加えて、ティアフォーグループが所有する公道を走行する自動運転車両は損害保険ジャパン株式会社の自動運転専用保険に加入し、物損事故又は人身事故が発生した場合の損害賠償の被請求リスクに備えております。当該保険は、損害保険ジャパン株式会社が開発した自動運転向けの任意自動車保険であり、通常の任意自動車保険ではカバーできない自動運転特有のリスクまでカバーされております。もっとも、補償内容は損害保険ジャパン株式会社と協議のうえ設定しているものの、自動運転サービスは未だ広く普及してはいないため、補償内容にかかるマーケットスタンダードは形成されておらず、損害保険他社が開発・提供中の保険とは補償内容が異なる可能性があり、必ずしも自動運転に係る全てのリスクを実際にカバーできるとは限りません。また、ティアフォーグループが所有しない自動運転車両に対しても、ティアフォーグループが提供する自動運転システム又はハードウェアに欠陥がある場合には、ティアフォーが製造物責任法に基づくメーカー責任を受ける可能性があります。これに対し、ティアフォーは企業総合賠償責任保険内において製造物責任特約を付すことで、リスクの低減に努めております。

このようにリスクの低減あるいは転移に向けた施策を講じてはいるものの、将来に向けても重大事故が発生しないことを保証することは困難であり、重大事故が発生した場合には、上記保険でもカバーできない多額の費用負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品に対する信頼性の喪失、官公庁による支援の打ち切り等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、ティアフォーグループ以外の第三者による自動運転に関する重大事故等が発生した場合には、自動運転技術全体に対する社会的評価が低下し、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に間接的な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術革新に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、技術革新のスピードが早く、常に先進の技術ノウハウを把握し、ティアフォーグループの技術に取り入れていく必要があります。このため、産学官での連携、「Autoware(オートウェア)」を通じた国内外の関連プレイヤーとのエコシステム構築等を通じて最新の技術ノウハウの獲得に注力しております。特に、自動運転の領域においては、複雑な交通環境下における認識精度や経路計画精度の向上、システム異常の発生時や予期せぬ事象に対する安全性の確保等、引き続き技術的な高度化が求められる領域が存在しております。加えて、これらの機能・性能を実運用環境において安定的に発揮するための継続的な精度改善も重要な課題となっております。

このような状況を踏まえ、ティアフォーグループでは、研究開発部門を中心として、実証実験や商用運行を通じた走行データ及び運用データの蓄積・分析を継続的に実施するとともに、ソフトウェア更新や評価・検証体制の強化を通じて、機能・性能の改善に努めております。また、国内外のパートナー企業、研究機関及び自治体等との連携を通じて、技術動向や市場ニーズの把握に取り組むことで、技術革新への対応力向上を図っております。

しかしながら、これらの対応に困難が生じ、技術革新に対するティアフォーグループの対応が遅れた場合や、ティアフォーグループが進めている研究開発について、想定どおりに進捗しない場合、またはその成果が想定どおりに得られず事業化又は商用化に至らない場合、また産学官での連携や国内外の関連プレイヤーとの協働が奏功しない場合には、ティアフォーグループの競争力が低下する可能性があります。このような場合には、ティアフォーグループの技術力低下、それに伴う製品・サービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業環境及び事業展開に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、バス・物流車両等の複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し社会実装を行っていますが、ティアフォーグループが提供する自動運転車両及び自動運転システムの事業化又は商用化の実績は限定的です。ティアフォーグループとしては、今後の自動運転業界の順調な拡大、本格的な立ち上がりを見込んでおりますが、自動運転業界は提出日現在において黎明期であり、我が国においてティアフォーグループ以外を含む自動運転車両が重大な事故を発生させるなどの安全性の観点や、他にも技術的、経済性及び政策動向等の観点から市場普及や量産化に遅れが生じた場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは自動運転技術の社会実装に向けての開発を行っており、その先行投資によって、設立以来赤字を継続しております。今後も、自動運転技術の開発への投資や事業規模の拡大に伴い、継続的なコストの発生及び増加が見込まれます。ティアフォーは、経営上の目標の達成に向け、「先行逃げ切り」(First-Mover)及び「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチの併用、自動運転市場の本格的な立ち上がりを捉えた売上の拡大や収益の主軸のリカーリング収入への移行、規律ある開発体制の構築により、中期的な利益率の改善といった上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」記載の経営戦略に基づき対処すべき課題に取り組んでいく方針ですが、マクロ要因を含むティアフォーグループを取り巻く経営環境の急激な変化を始めとする「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化すること、ティアフォーの想定通り自動運転技術の実装台数やパイプラインが進捗しないこと、その他様々な事情により、上記経営戦略や取組が想定どおりに進まなかった場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 「Autoware(オートウェア)」の利用に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループが活用する自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、AWFにより管理されております。ティアフォーグループは、AWFが定めるオープンソースライセンスの枠組みに基づき「Autoware(オートウェア)」を利用しており、現時点において、当該利用に関して重大な制約が生じているものではありません。もっとも、AWFは独立した法人であり、将来的にAWFの方針変更やガバナンスの変化等が生じた場合には、「Autoware(オートウェア)」の利用条件や開発方針に影響が及ぶ可能性があり、その結果、ティアフォーグループの事業活動に一定の制約が生じる可能性があります。ティアフォーグループとしては、AWFとの継続的な連携やコミュニケーションを通じて関係性の維持・強化を図るとともに、「Autoware(オートウェア)」の開発・運用に主体的に関与することにより、当該リスクの低減に努めております。しかしながら、これらの対応にもかかわらず、AWFの方針等に起因して「Autoware(オートウェア)」の利用に制約が生じた場合や「Autoware(オートウェア)」の開発が減速した場合、あるいは競合他社が「Autoware(オートウェア)」を活用する場合、第三者による「Autoware(オートウェア)」に係る権利侵害が生じた場合等は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、ティアフォーグループとAWFとの間では、主には、同法人のPremium Member(プレミアムメンバー)としての会費支払及び「Autoware(オートウェア)」に関わるフレームワークの策定等の外注の取引が存在しますが、通常の取引と同等に適正な条件での取引を行っております。

 

(5) 製品・サービスの不具合の発生に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転システムに関わるハードウェア(車両を含む。以下同じ。)、及びソフトウェアの製造・販売・提供を手掛けております。各種製品の出荷・リリース前には出荷前検査や各種試験・評価、ゲートレビュー等を実施しており、製品・サービスの不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。しかしながら、ティアフォーグループの製品・サービスの不具合により顧客が損害を被った場合やティアフォーグループ製品に関してリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償の被請求や不具合の是正等の対応実施等に係る費用発生、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループでは、自動車OEMからベース車両を調達し、委託先企業がティアフォーの自動運転システムの架装を行ったうえで、当該製品を顧客に提供する等、製品・サービスの製造・販売・提供に際して第三者のハードウェア及びソフトウェア並びに第三者による製造過程に依拠する場合があります。このような場合、ティアフォーグループの開発及び技術に何ら問題がなくても、第三者のハードウェア、ソフトウェア又は製造過程の不具合等に起因して不具合やリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償や不具合の是正等の対応実施に係る費用その他負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 政策動向の変化に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループの主要事業領域である、自動運転市場は将来の成長が期待される市場でありますが、グローバルにおいても黎明期にあたります。また、日本国内の自動運転市場においては、技術開発の推進や社会実装の促進のために、日本政府及び地方自治体等の官公庁による制度面・金銭面での支援がなされております。政府政策にも自動運転は重点領域として位置づけられているため、ティアフォーグループでは政府による支援が今後も継続すると予測しており、新規製品及びサービスの研究開発を積極的に展開していく計画であります。しかしながら、ティアフォーの研究開発に係る費用は一部日本政府からの補助金に依存していることから、経済情勢や景気動向、政策動向の変化により、政府の政策方針が変更になり、自動運転事業に対する補助金の交付が減少するような場合には、研究開発に重大な支障が生じるほか、自動運転市場がティアフォーの想定どおりに拡大しない等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なおティアフォーグループでは上記リスクへの対策の一環として、官公庁や業界団体等との継続的な意見交換を通じて、政策動向に関する情報収集に努めるとともに、特定の政策支援に過度に依存しない事業運営を志向し、民間企業向け案件や海外市場の開拓を進めることで、政策動向変化による影響の低減を図っておりますが、奏功しない可能性もあります。

 

(7) 自動運転に係るセンサーや演算装置類等の需給逼迫リスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

世界的に半導体を中心とした電子部品の需給が逼迫している状況にあります。ティアフォーでは、センサー・演算装置類の電子部品を含む主要部品を対象にPSI管理を実施し、適正な在庫量の維持に努めております。しかしながら、需給逼迫状況の急速な変化によって、前述の部材や、その他事業運営に必要な部材・部品の入手が困難な状況が発生した場合、ティアフォーグループの自動運転車両の生産計画に影響を及ぼし、また、需給逼迫により部材・部品の価格が高騰した場合にはティアフォーの利益率に悪影響を及ぼす可能性があり、これらの結果、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材の採用に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループが今後更なる成長を成し遂げていくためには、優秀な人材の確保が重要課題の一つであると認識しております。特に、自動運転に係るソフトウェア、AI等の分野において高度な専門性を有する人材の確保が不可欠であり、これらの人材に対する需要は業界全体で高まっております。加えて、当該分野における人材は国内外を含めて限られていることから人材獲得競争が激化しているほか、事業展開地域の拡大に伴い、各地域における運用・保守等を担う現場人材の確保も必要となるため、適時かつ十分な人材確保が困難となる可能性があります。ティアフォーグループは現在も人材紹介会社を利用した中途採用を実施し、従業員からの紹介によるリファラル採用制度を導入する等、多様なチャネルを用いて優秀な人材の確保に努めておりますが、今後求める人材を十分に採用できない場合や、あるいは在職中の優秀な人材が退職する等した場合、また、人材の獲得・維持にかかるコストが大幅に増加した場合には、ティアフォーグループの事業拡大の制約となり、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) ティアフォーグループのイメージ及びブランドに関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの事業活動において、イメージ及びブランドは、既存顧客との関係維持又は新規顧客の獲得にとって重要な要素であると認識しています。ティアフォーグループにとってネガティブな報道がされた場合、不利益な風説が流布した場合、役職員による違法又は不適切な行為のあった場合、その他イメージやブランドに悪影響を与える事態が生じた場合や、ティアフォー又は同業他社が製造に関与した自動運転車に事故等が生じることにより自動運転に対するイメージが低下する場合には、ティアフォーグループの顧客が離反する又は新規顧客を獲得できなくなることにより、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者がティアフォーグループの許可なくティアフォーグループのブランド、商標、ロゴ等を使用した場合には、ティアフォーグループのイメージやブランドに悪影響が生じ、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対して、各種社内研修において、関連研修をカリキュラムとして含めることで、従業員への周知徹底を図っておりますが、役職員による違法又は不適切な行為を未然に防止できる保証はありません。

 

(10) 競合に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

グローバルに自動運転技術の開発を行う企業は複数存在し、特定の事業領域においてはティアフォーグループと競合する可能性があります。ただ、こうした複数の自動運転企業は、オープンソースを活用したティアフォーグループのビジネスモデルや、事業に対するアプローチとは異なるため、ティアフォーは高い独自性を有するものと認識しております。また、海外競合はロボットタクシーやトラック、自家用車といった車種における自動運転に取り組む一方で、ティアフォーはバス・シャトルや、特殊用途車両といった競合の少ない領域でも事業展開をしており、現時点では事業領域においても棲み分けが出来ているものと認識しております。しかしながら、特定の領域で先行する競合が存在した場合やティアフォーよりも資金その他のリソースを豊富に有する競合が新たに市場に参入してきた場合、ティアフォーグループのマーケットシェアが脅かされ、または利益率が低下することにより、結果としてティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ティアフォーとしては競合と伍するために必要な技術開発やパートナー企業を含めた事業連携・エコシステム形成を進めることにより、上記リスクの低減を図っております。

 

(11) 法的規制に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの事業活動においては、自動運転分野に係る法令に限らず、企業法人として遵守すべき各種法令への対応が求められており、これらへの抵触が生じた場合には、事業運営に影響を及ぼすリスクがありますが、ティアフォーグループでは関係法令の動向を踏まえ、適切な対応に努めております。

また、ティアフォーグループの事業領域である自動運転においては、道路運送車両法、道路交通法等の関係法令を遵守する必要があります。我が国においては、2020年に道路運送車両法の改正が、2023年に道路交通法の改正がそれぞれ施行され、自動運転レベル4による運行が可能になりました。この法体系に基づき、ティアフォーグループ、パートナー企業、及び顧客企業・団体では自動運転車両の運行に先立ち、国土交通省(地方運輸局)、都道府県公安委員会といった所管省庁からの許認可を受け、許認可内容に基づき適切に運行を行っており、これらの認可は、自治体ごとの区分に加え、バス路線ごと及び車両ごとに取得しております。

また、自動運転は成長途上の産業であることから、今後法改正等が実施されることも想定されます。ティアフォーグループは我が国の自動運転開発において主導的な立ち位置に属すると認識しており、関係省庁との関係性を構築していることから、最新の法改正などの情報を逐次把握することが可能だと考えております。しかしながら、法改正等により、自動運転の許認可を受けることが難しくなる、あるいは多大な工数が要する等の影響が発生する可能性も否定しきれず、そうした場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、自動運転に係る許認可は、現時点では個別案件ごとに取得する必要があるものの、その審査基準は一定程度共通していることから、特定の地域や案件における事故や不具合等が発生した場合には、他の地域や案件における許認可の取得や更新に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 知的財産に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、事業運営の際に第三者の知的財産権を侵害することのないよう、社内外の弁理士への照会等を実施し慎重に調査・検討を行うことで上記リスクの低減を図っておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償又は当該知的財産権の使用に対する対価の支払等が発生する可能性があり、その際にはティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループの知的財産権が第三者により侵害された場合や営業秘密、ノウハウ、その他機密情報が外部に流出した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループのプロダクトの基盤である「Autoware(オートウェア)」はオープンソース型の自動運転ソフトウェアであり、「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、ティアフォーから独立した組織であるAWFに帰属しています。したがってティアフォーは、「Autoware(オートウェア)」の開発の方向性を完全に予測及び管理することも、潜在的な競合を含む第三者による「Autoware(オートウェア)」の利用の態様を完全に把握することもできません。「Autoware(オートウェア)」の開発及び利用が、ティアフォーの意図しない形でなされた場合、ティアフォーグループのプロダクトに係る開発環境や競合環境が変化し、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) システム障害に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転ソフトウェアや運行管理システムといった自動運転車両の運行に必要なシステムを開発し提供しております。当該システムの安定的かつ安全な運用に向けて、セキュリティ対策、ネットワークの監視、ペネトレーションテスト等を行い、安定的かつ安全に運用できるように対策を講じておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により重要データの流出や車両の乗っ取りや意図的な破壊工作が発生した場合、ITインフラ機器の障害、コンピューターウイルスへの感染、自然災害、その他不測の事態が生じることによりシステムトラブル等が生じた場合、加えて第三者によるデータの不正使用等が生じた場合には、これによる損害を賠償する責任を負ったり、対応のために多大な時間と労力を要したりするおそれがあるほか、レピュテーションの低下等によりティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは、製品開発やサービスの提供にあたってのデータの保存等をクラウドベースのインフラを提供する第三者プロバイダーに依存しています。これらの第三者プロバイダーの運営において、障害や不正アクセス等が生じた場合、第三者プロバイダーとの契約が解除された場合や当該サービスが廃止された場合においても、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 訴訟等について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループは、提出日現在において、訴訟を提起されている事実はございません。一方で、事業運営の中でティアフォーグループが提供する自動運転システムに関わるハードウェア及びソフトウェアの不備等により、何らかの問題が生じた場合や、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、これらに起因した損害賠償請求や訴訟の提起がなされる可能性があります。ティアフォーグループでは法令や契約の遵守に関する従業員への教育等の対策や、自動運転システムに関する品質管理・品質保証、実験管理、契約管理等、法的問題の発生を最小限に抑えるための対策を講じておりますが、仮に訴訟等が提起された場合、ティアフォーグループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 特定の経営者等への依存に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォー代表取締役CEOの加藤 真平は、ティアフォーの創業者であり、経営方針・経営戦略の策定や業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。ティアフォーグループでは、経営幹部の育成等を図ることにより、同人への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ同人に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同人によるティアフォーグループの業務遂行が困難になる場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) SOMPOホールディングス株式会社との関係について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:特定時期なし)

SOMPOホールディングス株式会社は、提出日現在において、ティアフォーの議決権の24.1%を保有しているため、SOMPOホールディングス株式会社はティアフォーのその他の関係会社に該当いたします。同社の状況については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のあるとおりになります。

ティアフォーと同社グループとの間に役員の招聘等の人的関係はなく、同社グループからの資金の借入、及び同社グループに対して事前承認や事前報告を要する事項等はありません。またティアフォーの経営判断については、ティアフォーが独自に検討の上決定しております。もっとも、ティアフォーの主要株主である同社は、ティアフォーの株主総会決議において一定の影響力を有しており、一般株主の利益とは異なる利害に基づき影響力を行使する可能性があります。

なお、ティアフォーグループは同社グループとの間で、自動運転に係る保険の加入等の取引関係を有しておりますが、当該取引は合理的な取引条件に基づき実施されております。このような関係性を踏まえ、ティアフォーグループでは、関連当事者取引に係る社内規程を整備するとともに、取締役会等における審議を通じて、取引条件の合理性及び取引実行の妥当性を確認する体制を構築しております。加えて、ティアフォーの経営判断及び事業運営の独立性を確保する観点から、同社グループから独立した意思決定体制を維持しております。

また、SOMPOホールディングス株式会社は、ティアフォーの上場に際し、保有株式について上場後180日の間第三者に処分しない旨のロックアップの合意を行う予定でありますが、当該ロックアップ期間経過後においては、ティアフォー株式の売却は制限されません。同社の今後のティアフォー株式の保有・処分方針によっては、ティアフォー株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 為替及び海外事業展開に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、海外への事業展開にも取り組んでおり、米国に連結子会社を有しております。米国子会社の財務諸表における現地通貨建の項目は、連結財務諸表作成のために円換算されることから、連結財務諸表数値は為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。また、ティアフォーグループは海外のサプライヤーとの間で複数の外貨建て取引を行っていますが、特に為替予約その他ヘッジ取引は行っておりません。今後著しい為替変動があった場合には、ティアフォーグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、海外での事業活動においては、ティアフォーグループの企業文化を保ちつつ優秀な人材を確保することが困難となるリスク、自動運転に関する法規制に関するリスク、雇用や労働慣行に関する現地法規制に関するリスク、言語・慣習・文化の違いや地理的分散によって経営陣によるコミュニケーションや円滑な事業遂行が困難となるリスク、輸出入規制・課税に関するリスク、法規制の変更に関するリスク、法規制の遵守に関するリスク、贈賄規制に関するリスク、知的財産権の保護に関するリスク、公衆衛生や渡航制限に関するリスク、政治・経済状況に関するリスク等が存在し、これらが顕在化した場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ティアフォーグループでは商流に応じ一部外貨を保有しており、今後、為替変動リスクを伴う商流が増加した場合には、金融機関を通じた為替変動リスクをヘッジするための取引を行う可能性があります。なお仮に将来当該取引を行う場合においても、為替変動リスクの全てを回避できるとは限りません。

 

(18) 特定の取引先への依存リスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループにおいては、展開する各サービスにおいて、効率的な事業拡大を目指す観点や多岐にわたる関係者との円滑な調整を行う観点から、多くの案件においてパートナー企業を通じた事業展開を行っております。その中で、主に「Mobility Service(モビリティサービス)」と「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要顧客であるアイサンテクノロジー株式会社との取引は、2025年9月期において売上高の19.9%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係(ティアフォーグループは主に自動運転システムの開発、同社は主に自治体等折衝の役割や、自動運転の実証実験や車両販売等に関するパートナー企業同士という関係)にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社との取引が減少又は終了した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の取引先についても存在します。なお、「Development Service(デベロップメントサービス)」において、自動車メーカー等のパートナー企業と業務提携を締結していくことを計画しておりますが、ティアフォーグループとパートナー企業との関係性が構築できない、台数計画に合意できない場合やパートナー企業が競合他社と提携する場合、あるいは提携後に何らかの事情によりパートナー企業の事業戦略や方針に変更が生じた場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。

また、ティアフォーグループでは官公庁からの受託開発を実施しております。その中でも国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構に対する取引が、2025年9月期において売上高の17.8%を占めております。当該取引は、自動運転の開発及び社会実装の加速を目的としたデータ連携基盤の研究開発に係る委託事業であり、ティアフォーグループは自動運転システムに関する技術開発や実証実験等を担っております。当該機関との緊密な連携を継続し、継続的な受注に繋げる所存であり、契約件数としても複数の契約を締結していることから、当該機関の今後の方針がティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、自治体やその他顧客は3月末に向けて予算消化を行う傾向があることや、官公庁は事業年度が開始する4月以降に予算執行を行う傾向があるため、ティアフォーグループの業績は季節変動の影響を受ける可能性があります。

また、2025年9月期において、ティアフォーにおける売上原価に係る仕入・外注に関しては、ティアフォーグループの販売する自動運転車両の架装及び構築に係る取引や路車協調システムの開発外注に関連し、主要仕入れ先である株式会社トノックスとの取引が仕入額全体の57.6%を占めており、主要外注先であるスマートモビリティインフラ技術研究組合との取引が外注額全体の12.5%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社からの調達が困難になった場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の仕入れ先及び外注先についても存在します。

これらのリスクに対応するために、ティアフォーグループでは、新規顧客の開拓や提供サービスの多様化を推進することで、収益基盤の安定化及び特定顧客への依存度低減に努めるとともに、複数の取引先との関係構築や調達先・外注先の分散化等を通じて、安定的な事業運営体制の構築に努めております。また、官公庁案件についても、継続的な案件獲得及び新規案件への参画を推進することで、特定案件への依存度低減に取り組んでおります。しかしながら、そのような施策が奏功する確証はありません。

 

(19) 株主構成について(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:短期)

提出日現在において、ティアフォー発行済株式総数46,074,490株のうち、計7,082,500株(15.4%)はベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合等の金融投資家(以下「VC等」という。)が所有しております。ティアフォー株式上場後において、ティアフォー株式の株価推移によっては、VC等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場におけるティアフォー株式の需給バランスが短期的に偏り、ティアフォー株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは役職員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。また、今後も優秀な人材確保のため新株予約権等を活用したインセンティブプランを継続していく方針であります。これらの新株予約権が行使された場合、ティアフォー株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は6,133,000株であり、発行済株式総数46,074,490株の13.3%に相当しております。

 

(21) 個人情報に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、役職員や一部顧客の個人情報を取り扱っておりますが、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、厳格な個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、これら個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、事故対応による多額の経費発生等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) 内部統制システムに関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大に応じた体制の整備に遅れが生じた場合は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

内部統制システムに関する詳細は、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(23) 配当政策について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーは、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。しかしながら、ティアフォーグループは現在成長過程にあり、内部留保が充実しているとはいえず、最近事業年度までの過去において配当を行っておりません。また、現時点では研究開発投資を行うことで中長期的かつ安定的な事業成長を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

将来的には毎期の経営成績並びに財政状態を勘案しつつ、配当による株主への利益還元を実施することを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期につきましては未定であります。

 

(24) 調達資金の使途に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーグループの本募集及び本第三者割当増資の手取概算額の使途については、自動運転技術の研究開発費、量産・事業拡張費及び組織拡張のための採用費・人件費に充当する予定であります。しかしながら、ティアフォーグループが属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ資金を充当する可能性があります。実際の調達金額は今後決定される引受価額等により変動するため、想定調達金額を下回る可能性があり、その場合には、上記資金使途への充当も行われないか、又は充当金額が減少します。また、当初の計画に沿って資金を使用した結果ティアフォーグループにおいて想定した投資効果が得られない可能性があります。なお、調達資金の使途を変更する可能性がある場合は、速やかにその旨の開示を行う予定であります。

 

(25) 税務上の繰越欠損金について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、最近事業年度末時点において税務上の繰越欠損金を有しており、将来的に法人税等の負担軽減が見込まれる状況にあります。一方で、将来当該繰越欠損金が消滅又は利用不能となった場合には、通常の税率に基づく課税が生じることとなり、その結果として、ティアフォーグループの当期純利益やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。

事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

ティアフォーグループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載しております。あわせて、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項についても、投資家の判断にとって重要であるとティアフォーが考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。なお、本項の記載内容はティアフォー株式の投資に関する全てのリスクを網羅しているものではありません。

ティアフォーグループは自動運転というディープテック領域で事業を展開しており、特にティアフォーの企図する量産化に係るビジネスモデルや対象市場が未だ発展途上にあることから、技術開発、社会実装及び市場形成の各段階において不確実性を伴っております。また、自動運転システムの開発及び量産化に向けた取り組みは、多くの時間及び研究開発投資を要するとともに、すべての開発や実証実験、量産化が当初の想定通りに進捗又は実現する保証はありません。このため、ティアフォーグループの事業は、その性質上、一般的な事業と比較して相対的にリスクが高い可能性があります。ティアフォーグループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存でありますが、ティアフォーの取り組みにかかわらず、かかるリスクが顕在化し、ティアフォーグループの財務を含む経営成績に影響を及ぼす可能性は否定できません。したがって、ティアフォー株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、本項記載の将来に関する事項は、提出日現在において、ティアフォーが判断したものであります。

 

(1) 事故の発生に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、交通事故発生のリスクが存在します。ティアフォーが製造に関与する自動運転車に関して重大な交通事故が発生した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

まず、自動運転における責任関係の概要につき、日本国内の公道での走行に関連する法令を前提に、一般的な説明をします。自動運転にはレベル0からレベル5が存在し、ティアフォーグループの事業はレベル4あるいはレベル2に分類されます。レベル4は特定の条件下においてシステムが全ての運転操作を行う状態、レベル2は、運転操作の主体は運転者で、アクセル・ブレーキ操作及びハンドル操作の両方が、部分的に自動化された状態、と定義されております。ティアフォーでは、人手不足等の社会課題解決を背景に自動運転レベル4のシステムを提供しておりますが、レベル4での運用を開始するまでの期間においては、レベル2でのデータ収集や実験等を実施しております。

自動運転レベル2においては、運転の主体が運転者であり、システムは「運転支援」の位置づけであります。通常の量産車における安全運転支援機能と同様の責任関係となります。より具体的には、運転者の民事責任に関しては、民法第709条に基づく不法行為責任や道路交通法第70条に基づく安全運転義務の違反に基づく責任、自賠法(自動車損害賠償保障法)第3条に基づく運行供用者責任、製造物責任法第3条に基づくメーカー責任に分解されます。

他方で、自動運転レベル4は、運転者不在を前提とした制度であります。自動運転レベル4運行である「特定自動運行」は、道路交通法上の「運転」に該当しないため、従来型の運転者責任は事実上問題になりません。他方で、運行供用者責任や製造物責任法に基づくメーカー責任は自動運転レベル2と同様になお適用されます。自動運転レベル4運行中に事故が発生した場合には、特定自動運行実施者または車両保有者の運行供用者責任に基づき保険会社等が被害者救済を行い、その後、自動運転システム起因の事故であった場合には保険会社等からメーカーへ求償されるという流れが想定されます。

ティアフォーのMobility Service(モビリティサービス)においては、ティアフォーが自動車OEMからベース車両を調達し、自動運転システムを架装した上で、顧客に提供する場合や、自動運転用ハードウェアを販売する場合もあるため、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があり、また、ティアフォーのDevelopment Service(デベロップメントサービス)においては、OEM等の顧客が自社製品として販売を予定する量産車両への自動運転機能の搭載を見据え、ティアフォープロダクトの提供並びに共同開発及び技術協力を行っているため、ティアフォーが当該車両の保有者又は運行主体とならない場合であっても、ティアフォーの提供する自動運転システム等の欠陥に起因して事故が発生した場合には、製造物責任法に基づくメーカーとしての責任を負う可能性があります。また、ティアフォーが特定自動運行実施者又は車両保有者として関与する場合には、運行供用者責任を負う可能性があります。

ティアフォーグループでは、自動運転中の事故を未然に防ぐため、ハードウェア・ソフトウェアの出荷・リリース前の検査やゲートレビューの実施、自動運転ルートに関するリスクアセスメントの実施、自動運転前の事前社内審査を行うことにより、事故の発生リスクの最小化に努めております。結果、2026年5月現在、公道における人身事故件数は0件となっております。また、事故を含むインシデントが発生した場合の社内通報窓口を設置し、全従業員に対する研修を実施し周知を図り、対応ルールに基づいた運用を行っております。これにより、インシデントが発生した場合でも適切かつ迅速な対応が行われています。

加えて、ティアフォーグループが所有する公道を走行する自動運転車両は損害保険ジャパン株式会社の自動運転専用保険に加入し、物損事故又は人身事故が発生した場合の損害賠償の被請求リスクに備えております。当該保険は、損害保険ジャパン株式会社が開発した自動運転向けの任意自動車保険であり、通常の任意自動車保険ではカバーできない自動運転特有のリスクまでカバーされております。もっとも、補償内容は損害保険ジャパン株式会社と協議のうえ設定しているものの、自動運転サービスは未だ広く普及してはいないため、補償内容にかかるマーケットスタンダードは形成されておらず、損害保険他社が開発・提供中の保険とは補償内容が異なる可能性があり、必ずしも自動運転に係る全てのリスクを実際にカバーできるとは限りません。また、ティアフォーグループが所有しない自動運転車両に対しても、ティアフォーグループが提供する自動運転システム又はハードウェアに欠陥がある場合には、ティアフォーが製造物責任法に基づくメーカー責任を受ける可能性があります。これに対し、ティアフォーは企業総合賠償責任保険内において製造物責任特約を付すことで、リスクの低減に努めております。

このようにリスクの低減あるいは転移に向けた施策を講じてはいるものの、将来に向けても重大事故が発生しないことを保証することは困難であり、重大事故が発生した場合には、上記保険でもカバーできない多額の費用負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品に対する信頼性の喪失、官公庁による支援の打ち切り等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、ティアフォーグループ以外の第三者による自動運転に関する重大事故等が発生した場合には、自動運転技術全体に対する社会的評価が低下し、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に間接的な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 技術革新に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの属する自動運転業界においては、技術革新のスピードが早く、常に先進の技術ノウハウを把握し、ティアフォーグループの技術に取り入れていく必要があります。このため、産学官での連携、「Autoware(オートウェア)」を通じた国内外の関連プレイヤーとのエコシステム構築等を通じて最新の技術ノウハウの獲得に注力しております。特に、自動運転の領域においては、複雑な交通環境下における認識精度や経路計画精度の向上、システム異常の発生時や予期せぬ事象に対する安全性の確保等、引き続き技術的な高度化が求められる領域が存在しております。加えて、これらの機能・性能を実運用環境において安定的に発揮するための継続的な精度改善も重要な課題となっております。

このような状況を踏まえ、ティアフォーグループでは、研究開発部門を中心として、実証実験や商用運行を通じた走行データ及び運用データの蓄積・分析を継続的に実施するとともに、ソフトウェア更新や評価・検証体制の強化を通じて、機能・性能の改善に努めております。また、国内外のパートナー企業、研究機関及び自治体等との連携を通じて、技術動向や市場ニーズの把握に取り組むことで、技術革新への対応力向上を図っております。

しかしながら、これらの対応に困難が生じ、技術革新に対するティアフォーグループの対応が遅れた場合や、ティアフォーグループが進めている研究開発について、想定どおりに進捗しない場合、またはその成果が想定どおりに得られず事業化又は商用化に至らない場合、また産学官での連携や国内外の関連プレイヤーとの協働が奏功しない場合には、ティアフォーグループの競争力が低下する可能性があります。このような場合には、ティアフォーグループの技術力低下、それに伴う製品・サービスの質の低下、そして競争力の低下を招き、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業環境及び事業展開に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コアコンピタンスである、マイクロオートノミー・アーキテクチャの考え方で、共通の要素技術をもとに、バス・物流車両等の複数の事業領域・車種において、自動運転レベル4対応の自動運転車両を開発し社会実装を行っていますが、ティアフォーグループが提供する自動運転車両及び自動運転システムの事業化又は商用化の実績は限定的です。ティアフォーグループとしては、今後の自動運転業界の順調な拡大、本格的な立ち上がりを見込んでおりますが、自動運転業界は提出日現在において黎明期であり、我が国においてティアフォーグループ以外を含む自動運転車両が重大な事故を発生させるなどの安全性の観点や、他にも技術的、経済性及び政策動向等の観点から市場普及や量産化に遅れが生じた場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは自動運転技術の社会実装に向けての開発を行っており、その先行投資によって、設立以来赤字を継続しております。今後も、自動運転技術の開発への投資や事業規模の拡大に伴い、継続的なコストの発生及び増加が見込まれます。ティアフォーは、経営上の目標の達成に向け、「先行逃げ切り」(First-Mover)及び「後方追い上げ」(Fast-Follower)のアプローチの併用、自動運転市場の本格的な立ち上がりを捉えた売上の拡大や収益の主軸のリカーリング収入への移行、規律ある開発体制の構築により、中期的な利益率の改善といった上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」記載の経営戦略に基づき対処すべき課題に取り組んでいく方針ですが、マクロ要因を含むティアフォーグループを取り巻く経営環境の急激な変化を始めとする「事業等のリスク」に記載されたリスクが顕在化すること、ティアフォーの想定通り自動運転技術の実装台数やパイプラインが進捗しないこと、その他様々な事情により、上記経営戦略や取組が想定どおりに進まなかった場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 「Autoware(オートウェア)」の利用に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:大/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループが活用する自動運転ソフトウェア「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、AWFにより管理されております。ティアフォーグループは、AWFが定めるオープンソースライセンスの枠組みに基づき「Autoware(オートウェア)」を利用しており、現時点において、当該利用に関して重大な制約が生じているものではありません。もっとも、AWFは独立した法人であり、将来的にAWFの方針変更やガバナンスの変化等が生じた場合には、「Autoware(オートウェア)」の利用条件や開発方針に影響が及ぶ可能性があり、その結果、ティアフォーグループの事業活動に一定の制約が生じる可能性があります。ティアフォーグループとしては、AWFとの継続的な連携やコミュニケーションを通じて関係性の維持・強化を図るとともに、「Autoware(オートウェア)」の開発・運用に主体的に関与することにより、当該リスクの低減に努めております。しかしながら、これらの対応にもかかわらず、AWFの方針等に起因して「Autoware(オートウェア)」の利用に制約が生じた場合や「Autoware(オートウェア)」の開発が減速した場合、あるいは競合他社が「Autoware(オートウェア)」を活用する場合、第三者による「Autoware(オートウェア)」に係る権利侵害が生じた場合等は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、ティアフォーグループとAWFとの間では、主には、同法人のPremium Member(プレミアムメンバー)としての会費支払及び「Autoware(オートウェア)」に関わるフレームワークの策定等の外注の取引が存在しますが、通常の取引と同等に適正な条件での取引を行っております。

 

(5) 製品・サービスの不具合の発生に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転システムに関わるハードウェア(車両を含む。以下同じ。)、及びソフトウェアの製造・販売・提供を手掛けております。各種製品の出荷・リリース前には出荷前検査や各種試験・評価、ゲートレビュー等を実施しており、製品・サービスの不具合等の発生防止に最大限の注意を払っております。しかしながら、ティアフォーグループの製品・サービスの不具合により顧客が損害を被った場合やティアフォーグループ製品に関してリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償の被請求や不具合の是正等の対応実施等に係る費用発生、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループでは、自動車OEMからベース車両を調達し、委託先企業がティアフォーの自動運転システムの架装を行ったうえで、当該製品を顧客に提供する等、製品・サービスの製造・販売・提供に際して第三者のハードウェア及びソフトウェア並びに第三者による製造過程に依拠する場合があります。このような場合、ティアフォーグループの開発及び技術に何ら問題がなくても、第三者のハードウェア、ソフトウェア又は製造過程の不具合等に起因して不具合やリコール等が発生した場合、ティアフォーグループの製品・サービスの製造・販売・提供の停止や遅延、損害賠償や不具合の是正等の対応実施に係る費用その他負担、ティアフォーグループ及びティアフォーグループ製品・サービスに対する信頼性の喪失等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 政策動向の変化に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループの主要事業領域である、自動運転市場は将来の成長が期待される市場でありますが、グローバルにおいても黎明期にあたります。また、日本国内の自動運転市場においては、技術開発の推進や社会実装の促進のために、日本政府及びに地方自治体等の官公庁による制度面・金銭面での支援がなされております。政府政策にも自動運転は重点領域として位置づけられているため、ティアフォーグループでは政府による支援が今後も継続すると予測しており、新規製品及びサービスの研究開発を積極的に展開していく計画であります。しかしながら、ティアフォーの研究開発に係る費用は一部日本政府からの補助金に依存していることから、経済情勢や景気動向、政策動向の変化により、政府の政策方針が変更になり、自動運転事業に対する補助金の交付が減少するような場合には、研究開発に重大な支障が生じるほか、自動運転市場がティアフォーの想定どおりに拡大しない等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なおティアフォーグループでは上記リスクへの対策の一環として、官公庁や業界団体等との継続的な意見交換を通じて、政策動向に関する情報収集に努めるとともに、特定の政策支援に過度に依存しない事業運営を志向し、民間企業向け案件や海外市場の開拓を進めることで、政策動向変化による影響の低減を図っておりますが、奏功しない可能性もあります。

 

(7) 自動運転に係るセンサーや演算装置類等の需給逼迫リスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

世界的に半導体を中心とした電子部品の需給が逼迫している状況にあります。ティアフォーでは、センサー・演算装置類の電子部品を含む主要部品を対象にPSI管理を実施し、適正な在庫量の維持に努めております。しかしながら、需給逼迫状況の急速な変化によって、前述の部材や、その他事業運営に必要な部材・部品の入手が困難な状況が発生した場合、ティアフォーグループの自動運転車両の生産計画に影響を及ぼし、また、需給逼迫により部材・部品の価格が高騰した場合にはティアフォーの利益率に悪影響を及ぼす可能性があり、これらの結果、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 人材の採用に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループが今後更なる成長を成し遂げていくためには、優秀な人材の確保が重要課題の一つであると認識しております。特に、自動運転に係るソフトウェア、AI等の分野において高度な専門性を有する人材の確保が不可欠であり、これらの人材に対する需要は業界全体で高まっております。加えて、当該分野における人材は国内外を含めて限られていることから人材獲得競争が激化しているほか、事業展開地域の拡大に伴い、各地域における運用・保守等を担う現場人材の確保も必要となるため、適時かつ十分な人材確保が困難となる可能性があります。ティアフォーグループは現在も人材紹介会社を利用した中途採用を実施し、従業員からの紹介によるリファラル採用制度を導入する等、多様なチャネルを用いて優秀な人材の確保に努めておりますが、今後求める人材を十分に採用できない場合や、あるいは在職中の優秀な人材が退職する等した場合、また、人材の獲得・維持にかかるコストが大幅に増加した場合には、ティアフォーグループの事業拡大の制約となり、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) ティアフォーグループのイメージ及びブランドに関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループの事業活動において、イメージ及びブランドは、既存顧客との関係維持又は新規顧客の獲得にとって重要な要素であると認識しています。ティアフォーグループにとってネガティブな報道がされた場合、不利益な風説が流布した場合、役職員による違法又は不適切な行為のあった場合、その他イメージやブランドに悪影響を与える事態が生じた場合や、ティアフォー又は同業他社が製造に関与した自動運転車に事故等が生じることにより自動運転に対するイメージが低下する場合には、ティアフォーグループの顧客が離反する又は新規顧客を獲得できなくなることにより、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者がティアフォーグループの許可なくティアフォーグループのブランド、商標、ロゴ等を使用した場合には、ティアフォーグループのイメージやブランドに悪影響が生じ、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対して、各種社内研修において、関連研修をカリキュラムとして含めることで、従業員への周知徹底を図っておりますが、役職員による違法又は不適切な行為を未然に防止できる保証はありません。

 

(10) 競合に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

グローバルに自動運転技術の開発を行う企業は複数存在し、特定の事業領域においてはティアフォーグループと競合する可能性があります。ただ、こうした複数の自動運転企業は、オープンソースを活用したティアフォーグループのビジネスモデルや、事業に対するアプローチとは異なるため、ティアフォーは高い独自性を有するものと認識しております。また、海外競合はロボットタクシーやトラック、自家用車といった車種における自動運転に取り組む一方で、ティアフォーはバス・シャトルや、特殊用途車両といった競合の少ない領域でも事業展開をしており、現時点では事業領域においても棲み分けが出来ているものと認識しております。しかしながら、特定の領域で先行する競合が存在した場合やティアフォーよりも資金その他のリソースを豊富に有する競合が新たに市場に参入してきた場合、ティアフォーグループのマーケットシェアが脅かされ、または利益率が低下することにより、結果としてティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ティアフォーとしては競合と伍するために必要な技術開発やパートナー企業を含めた事業連携・エコシステム形成を進めることにより、上記リスクの低減を図っております。

 

(11) 法的規制に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:長期)

ティアフォーグループの事業活動においては、自動運転分野に係る法令に限らず、企業法人として遵守すべき各種法令への対応が求められており、これらへの抵触が生じた場合には、事業運営に影響を及ぼすリスクがありますが、ティアフォーグループでは関係法令の動向を踏まえ、適切な対応に努めております。

また、ティアフォーグループの事業領域である自動運転においては、道路運送車両法、道路交通法等の関係法令を遵守する必要があります。我が国においては、2020年に道路運送車両法の改正が、2023年に道路交通法の改正がそれぞれ施行され、自動運転レベル4による運行が可能になりました。この法体系に基づき、ティアフォーグループ、パートナー企業、及び顧客企業・団体では自動運転車両の運行に先立ち、国土交通省(地方運輸局)、都道府県公安委員会といった所管省庁からの許認可を受け、許認可内容に基づき適切に運行を行っており、これらの認可は、自治体ごとの区分に加え、バス路線ごと及び車両ごとに取得しております。

また、自動運転は成長途上の産業であることから、今後法改正等が実施されることも想定されます。ティアフォーグループは我が国の自動運転開発において主導的な立ち位置に属すると認識しており、関係省庁との関係性を構築していることから、最新の法改正などの情報を逐次把握することが可能だと考えております。しかしながら、法改正等により、自動運転の許認可を受けることが難しくなる、あるいは多大な工数が要する等の影響が発生する可能性も否定しきれず、そうした場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、自動運転に係る許認可は、現時点では個別案件ごとに取得する必要があるものの、その審査基準は一定程度共通していることから、特定の地域や案件における事故や不具合等が発生した場合には、他の地域や案件における許認可の取得や更新に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 知的財産に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、事業運営の際に第三者の知的財産権を侵害することのないよう、社内外の弁理士への照会等を実施し慎重に調査・検討を行うことで上記リスクの低減を図っておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償又は当該知的財産権の使用に対する対価の支払等が発生する可能性があり、その際にはティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ティアフォーグループの知的財産権が第三者により侵害された場合や営業秘密、ノウハウ、その他機密情報が外部に流出した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループのプロダクトの基盤である「Autoware(オートウェア)」はオープンソース型の自動運転ソフトウェアであり、「Autoware(オートウェア)」に係る知的財産権は、ティアフォーから独立した組織であるAWFに帰属しています。したがってティアフォーは、「Autoware(オートウェア)」の開発の方向性を完全に予測及び管理することも、潜在的な競合を含む第三者による「Autoware(オートウェア)」の利用の態様を完全に把握することもできません。「Autoware(オートウェア)」の開発及び利用が、ティアフォーの意図しない形でなされた場合、ティアフォーグループのプロダクトに係る開発環境や競合環境が変化し、ティアフォーグループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) システム障害に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、自動運転ソフトウェアや運行管理システムといった自動運転車両の運行に必要なシステムを開発し提供しております。当該システムの安定的かつ安全な運用に向けて、セキュリティ対策、ネットワークの監視、ペネトレーションテスト等を行い、安定的かつ安全に運用できるように対策を講じておりますが、サイバー攻撃や不正アクセス等により重要データの流出や車両の乗っ取りや意図的な破壊工作が発生した場合、ITインフラ機器の障害、コンピューターウイルスへの感染、自然災害、その他不測の事態が生じることによりシステムトラブル等が生じた場合、加えて第三者によるデータの不正使用等が生じた場合には、これによる損害を賠償する責任を負ったり、対応のために多大な時間と労力を要したりするおそれがあるほか、レピュテーションの低下等によりティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、ティアフォーグループは、製品開発やサービスの提供にあたってのデータの保存等をクラウドベースのインフラを提供する第三者プロバイダーに依存しています。これらの第三者プロバイダーの運営において、障害や不正アクセス等が生じた場合、第三者プロバイダーとの契約が解除された場合や当該サービスが廃止された場合においても、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 訴訟等について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループは、提出日現在において、訴訟を提起されている事実はございません。一方で、事業運営の中でティアフォーグループが提供する自動運転システムに関わるハードウェア及びソフトウェアの不備等により、何らかの問題が生じた場合や、顧客、取引先、従業員、株主等を含む第三者の権利・利益を侵害したとして、これらに起因した損害賠償請求や訴訟の提起がなされる可能性があります。ティアフォーグループでは法令や契約の遵守に関する従業員への教育等の対策や、自動運転システムに関する品質管理・品質保証、実験管理、契約管理等、法的問題の発生を最小限に抑えるための対策を講じておりますが、仮に訴訟等が提起された場合、ティアフォーグループの社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容及び結果によっては、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 特定の経営者等への依存に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:未定)

ティアフォー代表取締役CEOの加藤 真平は、ティアフォーの創業者であり、経営方針・経営戦略の策定や業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。ティアフォーグループでは、経営幹部の育成等を図ることにより、同人への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ同人に対する依存度は高いと考えております。今後、何らかの理由により同人によるティアフォーグループの業務遂行が困難になる場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) SOMPOホールディングス株式会社との関係について(顕在化可能性:小/影響度:中/顕在化の時期:特定時期なし)

SOMPOホールディングス株式会社は、提出日現在において、ティアフォーの議決権の24.1%を保有しているため、SOMPOホールディングス株式会社はティアフォーのその他の関係会社に該当いたします。同社の状況については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のあるとおりになります。

ティアフォーと同社グループとの間に役員の招聘等の人的関係はなく、同社グループからの資金の借入、及び同社グループに対して事前承認や事前報告を要する事項等はありません。またティアフォーの経営判断については、ティアフォーが独自に検討の上決定しております。もっとも、ティアフォーの主要株主である同社は、ティアフォーの株主総会決議において一定の影響力を有しており、一般株主の利益とは異なる利害に基づき影響力を行使する可能性があります。

なお、ティアフォーグループは同社グループとの間で、自動運転に係る保険の加入等の取引関係を有しておりますが、当該取引は合理的な取引条件に基づき実施されております。このような関係性を踏まえ、ティアフォーグループでは、関連当事者取引に係る社内規程を整備するとともに、取締役会等における審議を通じて、取引条件の合理性及び取引実行の妥当性を確認する体制を構築しております。加えて、ティアフォーの経営判断及び事業運営の独立性を確保する観点から、同社グループから独立した意思決定体制を維持しております。

また、SOMPOホールディングス株式会社は、ティアフォーの上場に際し、保有株式について上場後180日の間第三者に処分しない旨のロックアップの合意を行う予定でありますが、当該ロックアップ期間経過後においては、ティアフォー株式の売却は制限されません。同社の今後のティアフォー株式の保有・処分方針によっては、ティアフォー株式の流動性や市場価格等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 為替及び海外事業展開に関するリスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、海外への事業展開にも取り組んでおり、米国に連結子会社を有しております。米国子会社の財務諸表における現地通貨建の項目は、連結財務諸表作成のために円換算されることから、連結財務諸表数値は為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。また、ティアフォーグループは海外のサプライヤーとの間で複数の外貨建て取引を行っていますが、特に為替予約その他ヘッジ取引は行っておりません。今後著しい為替変動があった場合には、ティアフォーグループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。さらに、海外での事業活動においては、ティアフォーグループの企業文化を保ちつつ優秀な人材を確保することが困難となるリスク、自動運転に関する法規制に関するリスク、雇用や労働慣行に関する現地法規制に関するリスク、言語・慣習・文化の違いや地理的分散によって経営陣によるコミュニケーションや円滑な事業遂行が困難となるリスク、輸出入規制・課税に関するリスク、法規制の変更に関するリスク、法規制の遵守に関するリスク、贈賄規制に関するリスク、知的財産権の保護に関するリスク、公衆衛生や渡航制限に関するリスク、政治・経済状況に関するリスク等が存在し、これらが顕在化した場合、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ティアフォーグループでは商流に応じ一部外貨を保有しており、今後、為替変動リスクを伴う商流が増加した場合には、金融機関を通じた為替変動リスクをヘッジするための取引を行う可能性があります。なお仮に将来当該取引を行う場合においても、為替変動リスクの全てを回避できるとは限りません。

 

(18) 特定の取引先への依存リスク(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループにおいては、展開する各サービスにおいて、効率的な事業拡大を目指す観点や多岐にわたる関係者との円滑な調整を行う観点から、多くの案件においてパートナー企業を通じた事業展開を行っております。その中で、主に「Mobility Service(モビリティサービス)」と「Development Service(デベロップメントサービス)」における主要顧客であるアイサンテクノロジー株式会社との取引は、2025年9月期において売上高の19.9%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係(ティアフォーグループは主に自動運転システムの開発、同社は主に自治体等折衝の役割や、自動運転の実証実験や車両販売等に関するパートナー企業同士という関係)にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社との取引が減少又は終了した場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の取引先についても存在します。なお、「Development Service(デベロップメントサービス)」において、自動車メーカー等のパートナー企業と業務提携を締結していくことを計画しておりますが、ティアフォーグループとパートナー企業との関係性が構築できない、台数計画に合意できない場合やパートナー企業が競合他社と提携する場合、あるいは提携後に何らかの事情によりパートナー企業の事業戦略や方針に変更が生じた場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を与える可能性があります。

また、ティアフォーグループでは官公庁からの受託開発を実施しております。その中でも国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構に対する取引が、2025年9月期において売上高の17.8%を占めております。当該取引は、自動運転の開発及び社会実装の加速を目的としたデータ連携基盤の研究開発に係る委託事業であり、ティアフォーグループは自動運転システムに関する技術開発や実証実験等を担っております。当該機関との緊密な連携を継続し、継続的な受注に繋げる所存であり、契約件数としても複数の契約を締結していることから、当該機関の今後の方針がティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、自治体やその他顧客は3月末に向けて予算消化を行う傾向があることや、官公庁は事業年度が開始する4月以降に予算執行を行う傾向があるため、ティアフォーグループの業績は季節変動の影響を受ける可能性があります。

また、2025年9月期において、ティアフォーにおける売上原価に係る仕入・外注に関しては、ティアフォーグループの販売する自動運転車両の架装及び構築に係る取引や路車協調システムの開発外注に関連し、主要仕入れ先である株式会社トノックスとの取引が仕入額全体の57.6%を占めており、主要外注先であるスマートモビリティインフラ技術研究組合との取引が外注額全体の12.5%を占めております。ティアフォーグループと同社とは、現時点においては緊密かつ良好な関係にあり、今後もこれまでの取引関係を維持・発展させていく方針でありますが、同社の今後の経営方針により、又は同社との関係の悪化等により、同社からの調達が困難になった場合には、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。同様のリスクは、その他の仕入れ先及び外注先についても存在します。

これらのリスクに対応するために、ティアフォーグループでは、新規顧客の開拓や提供サービスの多様化を推進することで、収益基盤の安定化及び特定顧客への依存度低減に努めるとともに、複数の取引先との関係構築や調達先・外注先の分散化等を通じて、安定的な事業運営体制の構築に努めております。また、官公庁案件についても、継続的な案件獲得及び新規案件への参画を推進することで、特定案件への依存度低減に取り組んでおります。しかしながら、そのような施策が奏功する確証はありません。

 

(19) 株主構成について(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:短期)

提出日現在において、ティアフォー発行済株式総数46,074,490株のうち、計7,082,500株(15.4%)はベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業有限責任組合等の金融投資家(以下「VC等」という。)が所有しております。ティアフォー株式上場後において、ティアフォー株式の株価推移によっては、VC等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場におけるティアフォー株式の需給バランスが短期的に偏り、ティアフォー株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20) 新株予約権の行使による株式価値の希薄化(顕在化可能性:中/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは役職員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとして新株予約権を付与しております。また、今後も優秀な人材確保のため新株予約権等を活用したインセンティブプランを活用していく方針であります。これらの新株予約権が行使された場合、ティアフォー株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、本書提出日時点でこれらの新株予約権による潜在株式数は6,133,000株であり、発行済株式総数46,074,490株の13.3%に相当しております。

 

(21) 個人情報に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、役職員や一部顧客の個人情報を取り扱っておりますが、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、厳格な個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、これら個人情報が漏洩した場合、社会的信用の失墜、事故対応による多額の経費発生等により、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) 内部統制システムに関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:未定)

ティアフォーグループでは、コンプライアンスの徹底、業務の効率性及び適正の確保及びリスク管理の強化が重要な課題であると考えております。これまでも内部統制システムの体制整備を進めてまいりましたが、今後も事業規模の拡大に応じて人的拡充を行うと共に、内部監査及び監査役監査の結果に基づく改善の実施により、内部統制システムの充実を図っていく方針であります。しかしながら、事業規模の拡大に応じた体制の整備に遅れが生じた場合は、ティアフォーグループの事業展開や財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

内部統制システムに関する詳細は、「第4提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(23) 配当政策について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーは、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。しかしながら、ティアフォーグループは現在成長過程にあり、内部留保が充実しているとはいえず、最近事業年度までの過去において配当を行っておりません。また、現時点では研究開発投資を行うことで中長期的かつ安定的な事業成長を目指すことが株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

将来的には毎期の経営成績並びに財政状態を勘案しつつ、配当による株主への利益還元を実施することを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその時期につきましては未定であります。

 

(24) 調達資金の使途に関するリスク(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:短期)

ティアフォーグループの本募集による差引手取概算額(提出日現在における見込額:9,800百万円から29,800百万円)の使途については、自動運転技術の研究開発費、量産・事業拡張費及び組織拡張のための採用費・人件費に充当する予定であります。しかしながら、ティアフォーグループが属する業界において急速に事業環境が変化することも考えられ、現時点における資金使途計画以外の使途へ資金を充当する可能性があります。ティアフォーは、機関投資家等の需要の状況に関する調査を踏まえて、本募集を実施するか否かを判断する予定であり、また、本募集を実施せず、引受人の買取引受による国内売出及びオーバーアロットメントによる売出しのみを実施する可能性があり、また、本募集が実施される場合にも、実際の調達金額は今後決定される新規株式発行数及び引受価額により変動するため、上記金額を下回る可能性があり、その場合には、上記資金使途への充当も行われないか、又は充当金額が減少します。また、本募集が実施された場合にも、当初の計画に沿って資金を使用した結果ティアフォーグループにおいて想定した投資効果が得られない可能性があります。なお、調達資金の使途を変更する可能性がある場合は、速やかにその旨の開示を行う予定であります。

 

(25) 税務上の繰越欠損金について(顕在化可能性:小/影響度:小/顕在化の時期:中期)

ティアフォーグループは、最近事業年度末時点において税務上の繰越欠損金を有しており、将来的に法人税等の負担軽減が見込まれる状況にあります。一方で、将来当該繰越欠損金が消滅又は利用不能となった場合には、通常の税率に基づく課税が生じることとなり、その結果として、ティアフォーグループの当期純利益やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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