ビーエイブルは、設立以来、発電プラント機器のメンテナンス事業を主軸として業績を伸ばしてまいりましたが、2011年3月11日の東日本大震災発災、及び、福島第一原子力発電所事故の発生を経て、その社会的責任を貫徹し、地域社会の復興に少しでも貢献したいとの思いから、現在は工事事業、再生可能エネルギー事業、その他事業の3事業を展開しています。
(工事事業)
工事事業は、ビーエイブル設立以来の中核事業であり、特に福島第一原子力発電所における廃炉作業を主力としております。東日本大震災以降、ビーエイブルは同発電所における事故収束作業及びその後の廃炉作業に継続的に従事しており、現在では元請として各種廃炉作業を受注するなど、当該分野において重要な役割を担っております。ビーエイブルは創意工夫に基づく工法提案やロボティックス技術の開発を通じて、付加価値の高い工事に取り組んでおります。
さらに、東京電力ホールディングス株式会社の柏崎刈羽原子力発電所、中部電力株式会社の浜岡原子力発電所、東北電力株式会社の女川原子力発電所といった、様々な原子力発電所を中心としたプラント建設工事及び定期点検工事、BWR型原子力発電所(※2)の耐震補強工事など再稼働に向けた準備工事を行っております。
また、一般産業分野においては、産業プラント設備に関する配管・設備の保守点検、改修工事、新設工事等を行っているほか、京葉・京浜工業地域を中心として、鉄骨の製作から現地での建方までを一貫して行う鉄骨工事及び一般構造物工事等を展開しております。
2011年3月11日の東日本大震災発災、及び、福島第一原子力発電所事故の発生以降、ビーエイブルは、同年12月16日に政府によって発電所の事故そのものは終息に至った(冷温停止状態の完了)宣言が行われるまでの間、同発電所における原子炉の冷却及び安定化を目的とした各種支援業務、ならびに事故鎮静化業務(圧力容器と格納容器の温度が100度以下となる2011年12月25日迄の作業)に従事しました。その後も現在に至るまで、同発電所の廃炉作業に継続的に携わっております。
その過程において、作業員の放射線被ばく低減を目的として、遠隔操作ロボットによる同発電所1・2号機共用排気筒の上部解体工事に取り組みました。当該工事においては、ビーエイブル独自のアイディアでグランドデザインを描き、既製品のみでは対応が困難な現場特有の課題を切断機構・制振機構・無線システム・常時放射線監視システム等を組み合わせて解決するため、既製品部材とメーカーの特注品を組み合わせた遠隔操作ロボットの構成を採用しております。ビーエイブルはこれらの装置について、基本構想から基本設計、詳細設計、部品調達、組立、モックアップによる検証、現場での作業に至るまで一貫して対応し、当該解体工事を完遂いたしました。本件は国内外から高い評価を得て総理大臣賞を受賞しております。このような実績を背景にビーエイブルではロボティックス技術及び新工法を活用した廃炉作業の受注拡大につなげております。
遠隔操作ロボットによる排気筒の解体
3Dモデルによる検討~製作・組立~モックアップ試験
福島第一原子力発電所の廃炉作業については、今後40年以上にわたり継続することが見込まれております。国及び東京電力ホールディングス株式会社においても、継続的に廃炉に取り組む方針が示されております。
ビーエイブルとしても、当該廃炉事業を重要な事業領域と位置付け、これまで培ってきた技術力、人材及び現場対応力を活かしながら、必要な経営資源を適切に投入し、継続的に取り組んでまいります。
なお、ビーエイブルは震災前より原子力プラントの保守点検業務に従事しておりましたが、東日本大震災及び福島第一原子力発電所事故の発生後は、事故収束対応及び廃炉作業に経営資源を重点投入してまいりました。その後、原子力発電所の再稼働の進展に伴い、再稼働準備工事や再稼働後の定期検査工事を通じて、原子力プラントの保守・点検業務にも再び取り組んでおります
またビーエイブルは、停止していた原子力発電所の再稼働に向けた準備工事や、再稼働後の原子力発電所における定期検査工事にも従事しております。これらの工事においては、発電所の安全性と信頼性を確保するため、厳格な検査や補修作業を実施し、安定的な運転の継続に寄与しています。再稼働後のプラントは毎年、定期的に定期検査が実施され、その中でビーエイブルの技術が必要とされる機器の点検が行われております。
さらに、海外においては、安全性の向上及び避難範囲の限定を特徴とする小型モジュール原子炉(SMR)が注目されております。ビーエイブルは、小型モジュール原子炉向けの検査装置の開発についても、国内メーカーと連携し、これまで培った技術力を活かした製品提供を行っております。
ビーエイブルは、原子力関連工事に加え、一般産業分野においても事業を展開しております。プラントに関する一般産業分野においては、京浜・京葉地区の石油化学プラント等における各種鉄骨構造物の製作及び据付工事、一般産業プラントに係る鉄骨加工及び建方工事を行っております。また、プラント分野にとどまらず、大型レジャー施設やオリンピック関連モニュメントの骨組等の製作も手掛けております。
また、プラント関連工事に加え、各種産業施設等における解体工事についても対応しており、一般産業分野における事業基盤の拡大を図っております。
一般産業分野においては、千葉県富津市に新工場の竣工を予定しており、これにより生産能力の向上が見込まれております。今後は、当該設備の稼働により、受注対応力の強化及び事業規模の拡大を図ってまいります。
(再生可能エネルギー事業)
再生可能エネルギー事業については、ビーエイブルが発電プラントの設備工事で培ってきた発電に関するノウハウを活かし、電力のエキスパートとして、再生可能エネルギー発電所の建設、オペレーション、メンテナンスに携わっております。
東日本大震災発災後に、ビーエイブルは廃炉作業に従事する社員の雇用維持及び事業の多角化を目的として、再生可能エネルギー事業への参入を決定しました。具体的には、福島県浜通り地域において、合計で5MWの太陽光発電所を開発し、2013年から2020年にかけて順次運転を開始しております。当該は発電所については、用地取得から系統接続、建設、メンテナンスまでを一貫して自社で実施しております。
また、持分法適用関連会社であるエイブルエナジー合同会社が運営する福島いわきバイオマス発電所(国内最大級である112MW規模の木質バイオマス発電所)は、2022年4月より運転を開始しており、ビーエイブルは発電設備の運転業務及び日常保守業務等を担っております。自社設備である太陽光発電所の売電収入に加え、数年後以降には、当該発電所の運営会社から、有償減資及び配当等による収益を見込んでおります。
また、ビーエイブルは、同発電所における運営支援を通じて蓄積した知見・ノウハウを活かし、他の木質バイオマス発電所に対するオペレーション&メンテナンス業務の展開を進めてまいります。
さらに、木質バイオマス発電所は、栃木県佐野市で次年度から建設が始まる案件を手掛けており、そこでも長期のオペレーションとメンテナンスの契約を締結しております。また、陸上風力発電所のメンテナンス事業においては、GEベルノバ・インターナショナル・エルエルシー製(以下、「GE製」という。)の機種を中心にメンテナンスを実施するとともに、その他機種への水平展開も図っており、安定的な収益源としております。当該業務の受注にあたっては、第三者機関による審査及び承認が必要であり、参入障壁の高い事業領域となっております。ビーエイブルは現在、55基のメンテナンス業務を受注しており、国内にはGE製風車が数百基以上設置されていることから、今後の受注拡大余地は大きいものと考えております。
また、陸上風力発電の開発についても複数案件を推進しており、最も早い案件では環境アセスメントの手続きに着手しております。
国内ではまだ実用化の事例がない「波力発電」についても実用化に向けた研究開発に取り組んでおり、海上試験において発電することまで確認ができており今後大きな期待が持てます。
ビーエイブルは、福島県双葉郡大熊町の「2050ゼロカーボン宣言」に地元企業として貢献することを目的として地域新電力会社である「大熊るるるん電力株式会社」を通じて電力小売事業に参入しております。その後、当該事業で培った知見を活かし、ビーエイブルが開発した再生可能エネルギー発電設備により発電したクリーンな電力を、地元である福島県浜通り地域を中心とした地産地消化の推進を目的として、2025年11月より電力小売事業を開始しております。
(その他事業)
その他事業については、「地域貢献を通じて共に成長する事業」と位置付け、ビーエイブルが培ってきた「安全」「地域貢献」というビーエイブルの理念に根差した事業を通じて社会課題への対応と地域に信頼される企業を目指しております。
介護事業においては、高齢化の急速な進行や、担い手不足が地域でも深刻な課題となっています。ビーエイブルは、事業活動を行う中で、インフラ整備だけでなく、地域で暮らす人々の生活そのものを支える分野への貢献が必要であると考え、福島県浜通り地域を中心に、2018年から機能訓練型デイサービス、居宅介護支援事業、訪問看護事業などを展開しております。
また、秋田県鹿角市において市及び地元商工会からの要請を受け地域活性化を目的として地元食材を活用した料飲事業を2022年5月から開始しております。
※2:BWR型原子力発電所(Boiling Water Reactor:沸騰水型原子炉)とは、原子炉で水を直接沸騰させ、その蒸気でタービンを回して発電する方式であり、東京電力ホールディングス株式会社が採用している原子力発電所の型式
※3:木材を燃料にして発電する、再生可能エネルギーの発電所(木質バイオマス専焼では国内最大級)
これらの事業に関するセグメント等の関係性、及び、これら事業の商流は、下記図記載のとおりとなります。
(事業系統図)
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在においてビーエイブルが判断したものであります。
(1)経営方針
ビーエイブルは、社是として「利他」を掲げています。これは、株主をはじめとするすべてのステークホルダーから信頼と安心が得られるように最善を尽くす、ということです。また、事業運営を通じて、すべての人々に対して思いやりを持って接する姿勢を重視するものです。
現在、ビーエイブルは、人類がこれまで経験したことのない原子力災害への対応として、福島第一原子力発電所の廃炉事業に取り組んでいます。また、地球環境を守り持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの開発及び運営を行っています。さらに、地域社会の活性化に貢献する取り組みとして介護や食の事業にも取り組んでいます。
これらの事業活動を通じて、社員一人ひとりが社会的意義や仕事へのやりがいを感じ、物心両面において幸せを感じることが、ビーエイブルの重要な経営目的の一つであります。
ビーエイブルは、この考えを基盤として、経営理念として「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に人類・社会の進歩発展に貢献する」を掲げています。事業を通して、共に働く仲間の物心両面の幸せを追求すると共に社会、業界及び地域の発展に貢献することを目指しています。このような取り組みを継続することが、結果として企業価値の向上につながり、株主をはじめとしるステークホルダーからの信頼に応えるものになると考えています。
この「社是」及び「経営理念」に基づき、以下のとおり、経営環境の変化を踏まえて、経営の基本方針として中期経営計画(2025~2027年度)を定めています。
(2)ビーエイブル事業を取り巻く経営環境
① 工事事業
ア 廃炉・原子力分野
福島第一原子力発電所の廃炉作業については、東京電力ホールディングス株式会社が策定した「第5次総合特別事業計画」が、2025年12月26日に原子力損害賠償・廃炉等支援機構の了承を経て、2026年1月9日に政府(経済産業省)へ申請され、同年1月26日に許可されています。当該計画においては「廃炉事業の長期化を前提に、人員・体制を強化すること」が明確化されており、国の指導の下、今後も福島第一原子力発電所の廃炉作業は継続的に推進されると見込まれます。
福島第一原子力発電所の廃炉については、政府が決定した「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づいて進められており、このロードマップでは、「廃止措置(廃炉)完了目標時期:2041年~2051年」「事故(2011年)から 約30~40年 を要する長期事業」と明記されています。
また、廃炉費用について、経済産業省(資源エネルギー庁)では「福島第一原子力発電所の廃炉費用の負担の在り方について(2016)」において、賠償・除染とは別に、廃炉に要する費用として、「廃炉費用:約8兆円程度、対象期間:約30~40年」と推計しています。東京電力ホールティング株式会社では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てた廃炉等積立金を、経済産業大臣の承認に基づき、毎年取り戻すことにより廃炉工事を進めており、2026年4月6日に2026~2028年度の取戻計画として年2,600~3,000億円規模が承認されています。
ビーエイブルは福島県浜通り地域に拠点を置く地元企業として、福島第一原子力発電所の廃炉作業への貢献が期待されており、こうした事業環境のもと、廃炉関連工事における受注機会は拡大しております。
出典:東京電力ホールディングス株式会社/原子力損害賠償・廃炉等支援機構「廃炉等積立金の取戻しに関する計画の概要」を基にビーエイブル作成
出典:「東京電力ホールディングス株式会社廃炉に向けたロードマップ」を基にビーエイブル作成
また、福島第一原子力発電所以外にも、全国において原子力発電所の廃炉が計画されており、その予定基数は、2026年1月時点で計18基であり、廃炉費用の総額は約1兆円規模が見込まれています。福島第二原子力発電所や浜岡原子力発電所において廃炉に向けた準備が進んでおり、今後、受注機会が拡大していく状況にあります。
出典:資源エネルギー庁「原子力政策に関する最近の動向について」(2026年3月31日)を基にビーエイブル作成
原子力分野においては、今後の再稼働に向けた準備工事を進めているほか、再稼働した原子力発電所における定期検査工事の受注・施工も行っています。AIの普及等による将来的な電力需要の増加やCO2削減に向けた社会的要請を背景として、原子力発電所の役割は今後一層重要性を増すと考えられ、ビーエイブルにとっても受注機会の拡大が見込まれる事業環境にあります。
また、核燃料廃棄物の処理及びリサイクルを目的としたプラントの建設が竣工間近となっており、今後は当該プラントのメンテナンス事業の機会が増大する見通しです。
海外に目を向けると、安全性の向上及び避難範囲の限定を特徴とする小型モジュール原子炉(SMR)の建設が始まり、今後増加する傾向にあります。ビーエイブルは、国内メーカーと連携し、小型モジュール原子炉向け検査装置の開発に取り組むとともに、ロボット技術を活用した製造・メンテナンス分野への参画を進めています。現時点での開発サポートサービスの売上規模は限定的であるものの、将来的な国内外におけるSMR関連事業への参入を見据え、技術基盤の構築を進めております。
イ 一般産業分野
千葉県木更津市にて鉄骨加工を行っておりますが、京葉臨海工業地域及び京浜工業地帯の地の利を生かせる好立地にあります。設備投資需要の動向を踏まえ、新しい工場の建設やリニューアル工事が増える環境にあります。
そのようなことを踏まえ、次々年度には千葉県富津市に工場を新設移転し生産能力を増やす予定です。
なお、富津工場への機能移転後の木更津工場跡地については、系統用蓄電池事業やデータセンター事業等への活用を検討しております。現時点で具体的な事業計画は確定しておりませんが、既存資産の有効活用を図る方針であります。
② 再生可能エネルギー事業
第7次エネルギー基本計画(2025年2月)に基づく2040年の発電電力量は1.1~1.2兆kWhと想定され、その4~5割を再生可能エネルギーが担うと想定されています。将来の再エネ電気の価格を一般的と言われている想定値の12~18円/kWhとすると、市場規模は5~11兆円と試算されます。
出典:資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要(令和7年2月)」を基にビーエイブル作成
ア 太陽光発電
太陽光発電事業は、発電設備の設置場所及び電力系統への接続が確保できれば比較的事業化しやすい特性を有しています。一方で、エネルギー密度が低く、一定規模の発電量を確保するためには広大な用地を必要とすることから、景観への影響や地域住民の理解といった点が課題となっております。
また、近年はこうした課題を背景に、立地条件や地域特性を十分に考慮した事業判断が求められています。
イ 木質バイオマス発電
木質バイオマス発電事業は、再生可能エネルギーの中でも出力が安定しており、天候等の影響を受けにくいベースロード電源としての特性を有しています。ビーエイブルは、関連会社が運営する木質バイオマス発電所に対し、オペレーション&メンテナンス(運転・保守)業務を受託しております。
木質バイオマス発電事業の継続にあたっては、燃料となる木質資源の長期にわたる安定調達体制の構築と発電所設備の安定運転の双方が重要となります。当該事業においては、燃料調達については関西電力株式会社が中心となって対応し、ビーエイブルは主として発電設備のオペレーション及びメンテナンスを担うなど、各社が役割分担しながら事業を推進しております。
オペレーションやメンテナンスにおいては、高度な技術力や有資格者の確保が重要な課題となりますが、これまで培ったプラント技術を活かし、安定運営に貢献しております。
ウ 陸上風力発電
陸上風力発電事業は、十分な風況が確保され事業が成立する地域が限定されるため、広範囲に及ぶ候補地域の中から開発対象地域を選定する必要があることから、事業化までに長期間を要する特徴があります。また、事業の推進にあたっては、森林伐採や猛禽類などにかかわる調査、ならびに大型機材搬入のための道路拡幅工事などが必要となるほか、地域住民の理解及び合意形成が不可欠となります。
このため、事業性を判断するまでの調査・開発段階において相応のコスト及び時間を要し、開発リスクは比較的大きいものの、開発が完了し運転開始に至った場合には、長期かつ安定的な収益が見込まれる事業であり、ビーエイブルにとって成長を支える重要な事業の一つと認識しております。
また、福島県においては、2023年以降、594基(1.95GW)の陸上風力発電所の建設が計画されており、近隣3県(宮城県、山形県、新潟県)を含めると、1,046基(3.64GW)の陸上風力発電所の建設が計画されております。このような事業環境を踏まえ、ビーエイブルは、陸上風力発電分野を中長期的な成長が見込まれる事業領域として認識しております。(出典:経済産業省「風力発電所一覧(発電所環境アセスメント情報)」を基にビーエイブル集計)
エ 小水力発電
小水力発電事業は、適地となる地点が限られていることに加え、水利権の取得や関係者との調整が必要となるため、開発にあたっては一定の時間と労力を要する特徴があります。一方で、発電規模は比較的小さいものの、渇水等の影響を受けない限り、安定した電力供給が可能であり、長期にわたって安定的な運転が見込まれる電源です。
このため、大規模な電源としての位置付けではないものの、地域特性を活かした分散型電源として、安定的収益を確保できる事業であると認識しています。
オ 系統用蓄電池
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力需給の調整手段として系統用蓄電池(電力会社の送配電網(電力系統)に直接接続され、電力の需給バランスを調整するために運用される大規模な蓄電設備)が注目されています。系統用蓄電池事業は、適切な設置用地及び系統接続が確保できれば比較的短期間に事業化が可能である一方、収益性は電力市場の動向やアグリゲーターの運用方針に左右される特性があります。
このため、市場環境や事業スキームを見極めたうえでの事業化判断が重要となる事業であると認識しています。
③ その他事業
ア 介護事業
介護事業は、高齢化の進展を背景として、今後も安定的な需要が見込まれる分野であります。一方で、介護人材の不足は全国的な課題となっており、サービスの質を維持・向上させるためには、専門人材の確保及び定着が経営課題となっています。
イ 料飲事業
料飲事業を取り巻く経営環境としては、健康志向の高まりや地元産食材への関心の増加といった追い風がある一方で、地域における人口減少や過疎化の進行、ならびに人材不足、とりわけ調理人材の確保が課題となっております。また、地域内における同業他店との差別化や、安定的な固定客の確保も重要な経営課題であり、効率的かつ持続可能な店舗運営が求められております。
(3)将来のありたい姿と経営戦略
ビーエイブルは、これまで述べてきた経営環境の変化を踏まえ、5年後(第40期)に目指す姿を見据えた中期経営計画(2025年度~2027年度)を策定しています。本計画に基づき、ビーエイブルは、これまで培ってきた工事技術を基盤として、創意工夫による開発力を発揮し、「事業基盤の強靭化」と「再生可能エネルギー事業の拡大」を重点施策に位置付け収益性の向上を図ってまいります。
あわせて、「その他事業を通した社会貢献」として介護及び料飲事業についても、地域ニーズに即した形で着実な成長を目指してまいります。
また、持続的な成長を支える強固な経営基盤の整備を目的として、ビジョンステートメントとして「人を信じ、人を愛し、未来を創る」を掲げています。社員一人ひとりが自らの無限の可能性を信じ、仲間との信頼関係を基盤に、全社一体となって価値創出に取り組むことを目指し、新たな重点施策として「事業活動を根底で支える人財投資を中心とした強固な経営基盤の整備」を推進してまいります。
また、エネルギー事業を通して、世の為、人の為に尽くすことを目指し、社会課題の解決と地域社会への貢献を果たしてまいります。
ビーエイブルは、創業以来、社名に込めた「be able」の精神を大切にし、困難な課題に対しても主体的に挑戦する企業文化を育んでまいりました。その結果、原子力発電所内における工事においても、元請事業者として発注者から指名を受ける機会が増加しています。今後も、これまでに培った設備工事技術及び現場対応力を基盤として、事業基盤の強靭化を進めるとともに、雇用機会の創出や地場産業の育成など、地域社会との共創を推進してまいります。
さらに、再生可能エネルギー事業の拡大を通じて脱炭素社会の実現に貢献するとともに、介護・料飲事業等のその他事業を通した社会的価値の創出に取り組み、社会的価値と経済的価値の両立による企業価値向上と持続的成長を目指してまいります。
これらの取り組みにより、人類社会の進歩発展に貢献し、「世の為人の為に役立つ企業」であり続けることをビーエイブルの将来像としています。
(4)具体的経営戦略
ビーエイブルは、営業利益率及び経常利益率について、それぞれ10%以上を経営目標としています。当該目標の達成に向けては、各部門において戦略及びアクションプランを策定し、具体的なKPIに落とし込んで運用しております。例えば、差別化提案の推進を目的として、顧客から競争入札によらず個別に指名を受けて受注する案件(以下、「特命受注」という。)の拡大を重視しており、以下の指標をKPIとして設定し、受注構造の高度化を図っております。
① 工事事業
ア 廃炉作業
廃炉作業においては、付加価値の高い特命案件の受注拡大を重要な営業戦略としております。特に、創意工夫による工法提案やロボティックス技術を活用した高難易度案件への対応により、競争優位性のある分野での受注拡大を図っております。
営業部門においては、提案型営業を推進し、顧客の予算計画段階から参画することを目的として、四半期に1件以上の提案案件創出をKPIとして設定しております。また、顧客との継続的な関係構築を目的として、営業担当者による日次訪問活動を実施しております。
施工面においては、軽微なトラブルの抑制による品質向上及び原価低減を重視しており、迅速な対応による顧客信頼の維持向上に努めております。加えて、放射線管理課による現場パトロールを日次で実施し、放射線被ばくリスクの低減及び施工効率の向上を図っております。
これらのKPI及びアクションプランについては、経営計画と連動して運用し、継続的な収益性向上に取り組んでおります。
福島第一原子力発電所の廃炉作業において、安全性の確保、作業効率の向上及び作業員の被ばく低減を最重要課題と位置づけております。ビーエイブルは、ロボティックス技術の活用や工法の改善等、創意工夫による技術的差別化を図ることにより、付加価値の高い工事を提供し、元請工事の受注拡大を目指してまいります。
また、AI等の先端技術の活用も視野に入れ、より高度な工事提案を行うことで受注機会の拡大を図ります。さらに、長期にわたる廃炉作業の特性を踏まえ、毎年安定的に受注が見込まれる工事を積み上げることで、売上の拡大及び安定化を図ってまいります。
加えて、福島第一原子力発電所で培った技術及び施工経験を活かし、他の廃炉プラントにおいても提案型営業を軸とした各種KPIに基づき積極的に受注活動を展開し、事業領域の拡大を図ってまいります。
また、廃炉作業はこれまで誰も経験したことのない分野でありながら、現場を熟知したうえで、従来技術と先端技術を融合させた対応が求められます。このため廃炉作業の現場では、管理型人材ではなく、プロジェクト完遂型人材が不可欠です。創業時からチャレンジ精神を持って取り組んできたビーエイブルの社風は、この点で大きな強みとなっています。
イ 稼働予定・稼働プラント
ビーエイブルは、BWR型原子力発電所における炉内作業や制御棒の点検等、原子力発電所の重要設備に関する専門性の高い特殊な作業に強みを有しています。
今後は、この強みを活かし、BWR型原子力発電所の稼働予定プラントにおける再稼働関連工事に積極的に取り組むとともに、稼働後の定期検査においては、定期的に実施される定例工事として安定的な受注を目指してまいります。そのためには、労働災害や品質トラブルは未然に防止し、安全性及び品質を確保することが重要であると認識しております。このため、安全・品質管理に関するKPIとして、安全・品質パトロールの毎日実施、事前検討会及び事後検討会の実施、ならびに危険予知会議を作業開始前、中間時及び工事終了時に実施することとしております。
ウ 再処理工場(青森県)
青森県六ケ所村の使用済核燃料の再処理工場については、建設工事が終盤を迎えていることから、当該工事に対する積極的な営業活動を行ってまいります。
また、竣工後を見据え、同施設におけるメンテナンス作業についても、元請工事としての受注を目標に取り組んでまいります。
エ 一般産業工事
一般産業工事においては、木更津市に所在する鉄骨加工工場を富津市へ移転し、生産設備の拡充及び生産効率の向上を図ることで、付加価値の高い製品の製造体制を構築してまいります。
これにより、生産能力の増強を図るとともに、京葉・京浜地区の顧客ニーズに柔軟かつ迅速に対応できる体制を整備してまいります。
オ 小型モジュール原子炉
ビーエイブルは、国内メーカーより小型モジュール原子炉向け検査装置の開発業務を受注しており、今後成長が見込まれる小型モジュール原子炉分野への取り組みを進めております
今後も、これまでに培った原子力分野における技術力及びロボット技術を活かし、小型モジュール原子炉関連事業への継続的な参画を目指してまいります。
② 再生可能エネルギー事業
ア 陸上風力発電所メンテナンス工事
国内においては、陸上風力発電所の増加に対して、メンテナンスを担う技術者が不足する状況にあります。
ビーエイブルは、今後増加が見込まれる陸上風力発電所のメンテナンス工事を受注できる体制との構築を進めるとともに、専門技術力の強化を図ることで、参入障壁の高いメンテナンス事業の拡大を目指してまいります。
イ 木質バイオマス発電所オペレ-ション&メンテナンス事業
ビーエイブルが出資するエイブルエナジー合同会社の木質バイオマス発電所の運営実績を基盤として、技術者層の拡充及び有資格者の育成を進め、運転・保守に関する技術力の向上を図ってまいります。
これにより、他の木質バイオマス発電所へオペレーション&メンテナンス事業の水平展開を可能とする体制を構築してまいります。
ウ 再生可能エネルギー電源開発
現在、木質バイオマス発電所について複数の開発計画があり、そのうち佐野発電所については2028年9月の運転開始を予定しております。なお、当該発電所のオペレーション&メンテナンスの契約をビーエイブルが受託しており、これらの実績も活用して更なる開発を進めてまいります。
また、風力発電所についても複数地点で開発を進めており、地産地消を基本とし、地域と共に成長する事業展開を重視しています。
さらに、小水力電源や廃食油を活用した発電等についても進めており、電源開発後はオペレーション&メンテナンスを担う方針です。
加えて、再生可能エネルギー事業においても、ビーエイブルは、開発初期段階における調査・事業性評価から、事業スキームの構築、事業組成、運転開始後のオペレーション&メンテナンスに至るまでをアレンジできる一貫体制の構築を進めております。特に、風力発電及び木質バイオマス発電に係るメンテナンス業務については、必要な技術力、資格、人材及び取引先からの承認等が求められることから参入障壁が相応に高く、これらの分野における知見の蓄積とあわせて、当該一貫体制を通じて他社との差別化を図ってまいります。
再生可能エネルギー事業においても、ビーエイブルは開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を整えています。これにより、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進しています。
③ その他事業
その他事業(介護事業及び料飲事業)については、ビーエイブルの主力事業である工事事業及び再生可能エネルギー事業を支える地域基盤の強化を目的とし、地域社会との関係強化及び人材の定着・活性化を目的として展開しております。これらの事業は、ビーエイブルの経営理念である「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に、人類・社会の進歩発展に貢献する」に基づき、地域課題の解決に資する事業として実施しているものであります。
ア 介護事業
介護事業については、高齢化が進行する福島県において、理学療法士等の専門人材による運動機能の維持・回復を目的としたデイケアサービスを提供しております。本事業は、地域における社会的ニーズに応えることで、潜在的な需要を喚起し、ビーエイブルの事業地域への展開・定着を図ってまいります。
イ 料飲事業
料飲事業については、地元産食材の活用や地域事業者との連携を図ることにより、鹿角市で進めております再生可能エネルギー事業等においても、地域経済に貢献できる事業を目指してまいります。
(5)対処すべき課題と成長戦略
ビーエイブルが、経営戦略を進めていく上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題ならびに成長戦略は、以下のとおりです。
① 原子力にかかわる工事
・福島第一原子力発電所の廃炉作業においては、安全確保が最優先事項であり、労働災害及び放射線災害を未然に防止することが重要課題となります。このため、ビーエイブルは、安全教育の徹底及び安全意識の継続的な向上を図るとともに、現場確認を徹底し「絶対安全」を基本方針として全社員及び協力会社に周知しています。
・放射線災害(過剰被ばく、身体汚染及び内部被ばく等)を防止するため、放射線管理部と工事部が綿密に連携し、作業手順及び工法の事前確認を行うなど、放射線管理体制の強化を図っています。
・廃炉作業を安定的に遂行するためには、各作業に必要な知識及び技能を有する人材の育成と、技量の高い協力会社の確保が不可欠です。ビーエイブルは、教育体制の充実及び協力会社との関係強化を通じて、安定的な施工体制の構築を進めてまいります。
・BWR型原子力発電所において震災後初となる定期検査が実施されるプラントや、再稼働準備中の原子力発電所に対しては、積極的に工事受注を図る方針であり、これに対応するため、必要に応じて地元拠点の設置等、施工体制の整備を進めてまいります。
・小型モジュール原子炉分野については、既に開発分野での受注実績があることから、今後は部品製造等にも対応可能な技術力の習得を進め、事業領域の拡大を目指してまいります。
・AIを活用したメンテナンス工事の効率化を推進し、他社との差別化を図ってまいります。
② 一般産業工事事業
・一般産業分野においては、人手不足を背景として、技能職人の育成及び協力会社の確保が喫緊の課題とされています。ビーエイブルは、魅力ある職場環境の整備を通じて、新規人材の採用及び育成を進め、受注拡大に対応できる体制を構築してまいります。
・労働災害防止の観点から、危険予知活動の徹底を図るとともに、品質管理体制の一層の強化により、高品質な製品及び工事を安定的に提供できる体制を整備してまいります。
③ 再生可能エネルギー事業
・再生可能エネルギー事業においては、木質バイオマス発電所の運営に必要となる各種国家資格を有する人材の確保及び育成が重要な課題であり、社員の資格取得を計画的に進めてまいります。
・陸上風力発電所のメンテナンス分野では、技術者不足が恒常的な課題となっていることから、人員の増強及び教育を通じて技術力の向上を図ってまいります。
・再生可能エネルギーの電源開発にあたっては、事業化の成否を見極めることが重要であり、開発リスクを適切に管理するため、成功可能性の高い案件を慎重に選別してまいります。
・また、電源開発には、地域住民の理解及び協力が不可欠であることから、地域との共生を重視した事業推進を行ってまいります。
・再生可能エネルギー設備のメンテナンス分野においては、AIの活用等を通じた効率化及び高度化による創意工夫に加え、ビーエイブルは開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を活かし、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進してまいります。
④ その他事業
・介護事業においては、利用者に寄り添い信頼関係を構築すること重要であり、社員のホスピタリティー、思いやりの心を重視した人材育成を行ってまいります。その一環として、社内勉強会やコミュニケーションの活性化を通じて、社員の人格面の成長を促進してまいります。
・看護師、理学療法士、介護士、ケアマネージャー等の有資格者については、現時点では一定数を確保しておりますが、今後の事業拡張に対応するため、計画的な増員を進めてまいります。
・料飲事業については、地域の信頼及び評判が事業の成否に大きな影響を与えることから、地元自治体や商工会等との連携を重視し、地元食材の活用等を通じて、産官学や市民の交流の場となるよう、地域と共生する事業運営を行ってまいります。
・その他事業においては、地域で開発した再生可能エネルギーの活用による地域活性化についても検討を進めてまいります。
⑤ 財務
・成長資金の確保
再生可能エネルギー事業の開発には、長期間にわたる投資が必要であり、投資回収までにも相応の期間を有することから、安定的なキャッシュ・フローの確保が重要な財務課題となります。
ビーエイブルは、純資産及び負債のバランスに配慮した財務運営を行い、不測の事態にも対応可能な健全な財務体質の維持を図ってまいります。
⑥ 環境及び地域社会への対応
・環境への配慮
再生可能エネルギーの開発にあたっては、法令上の環境アセスメントの対象外となる場合であっても、自主的な調査を実施し、自然環境への十分な配慮を行ってまいります。
・地域との共生の推進
地域社会と継続的にコミュニケーションを通じて、事業の意義や目的を共有し、地域と連携した事業推進を進めてまいります。
文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在においてビーエイブルが判断したものであります。
(1)経営方針
ビーエイブルは、社是として「利他」を掲げています。これは、株主をはじめとするすべてのステークホルダーから信頼と安心が得られるように最善を尽くす、ということです。また、事業運営を通じて、すべての人々に対して思いやりを持って接する姿勢を重視するものです。
現在、ビーエイブルは、人類がこれまで経験したことのない原子力災害への対応として、福島第一原子力発電所の廃炉事業に取り組んでいます。また、地球環境を守り持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの開発及び運営を行っています。さらに、地域社会の活性化に貢献する取り組みとして介護や食の事業にも取り組んでいます。
これらの事業活動を通じて、社員一人ひとりが社会的意義や仕事へのやりがいを感じ、物心両面において幸せを感じることが、ビーエイブルの重要な経営目的の一つであります。
ビーエイブルは、この考えを基盤として、経営理念として「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に人類・社会の進歩発展に貢献する」を掲げています。事業を通して、共に働く仲間の物心両面の幸せを追求すると共に社会、業界及び地域の発展に貢献することを目指しています。このような取り組みを継続することが、結果として企業価値の向上につながり、株主をはじめとしるステークホルダーからの信頼に応えるものになると考えています。
この「社是」及び「経営理念」に基づき、以下のとおり、経営環境の変化を踏まえて、経営の基本方針として中期経営計画(2025~2027年度)を定めています。
(2)ビーエイブル事業を取り巻く経営環境
① 工事事業
ア 廃炉・原子力分野
福島第一原子力発電所の廃炉作業については、東京電力ホールディングス株式会社が策定した「第5次総合特別事業計画」が、2025年12月26日に原子力損害賠償・廃炉等支援機構の了承を経て、2026年1月9日に政府(経済産業省)へ申請され、同年1月26日に許可されています。当該計画においては「廃炉事業の長期化を前提に、人員・体制を強化すること」が明確化されており、国の指導の下、今後も福島第一原子力発電所の廃炉作業は継続的に推進されると見込まれます。
福島第一原子力発電所の廃炉については、政府が決定した「東京電力HD(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」に基づいて進められており、このロードマップでは、「廃止措置(廃炉)完了目標時期:2041年~2051年」「事故(2011年)から 約30~40年 を要する長期事業」と明記されています。
また、廃炉費用について、経済産業省(資源エネルギー庁)では「福島第一原子力発電所の廃炉費用の負担の在り方について(2016)」において、賠償・除染とは別に、廃炉に要する費用として、「廃炉費用:約8兆円程度、対象期間:約30~40年」と推計しています。東京電力ホールティング株式会社では、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に積み立てた廃炉等積立金を、経済産業大臣の承認に基づき、毎年取り戻すことにより廃炉工事を進めており、2026年4月6日に2026~2028年度の取戻計画として年2,600~3,000億円規模が承認されています。
ビーエイブルは福島県浜通り地域に拠点を置く地元企業として、福島第一原子力発電所の廃炉作業への貢献が期待されており、こうした事業環境のもと、廃炉関連工事における受注機会は拡大しております。
出典:東京電力ホールディングス株式会社/原子力損害賠償・廃炉等支援機構「廃炉等積立金の取戻しに関する計画の概要」を基にビーエイブル作成
出典:「東京電力ホールディングス株式会社廃炉に向けたロードマップ」を基にビーエイブル作成
また、福島第一原子力発電所以外にも、全国において原子力発電所の廃炉が計画されており、その予定基数は、2026年1月時点で計18基であり、廃炉費用の総額は約1兆円規模が見込まれています。福島第二原子力発電所や浜岡原子力発電所において廃炉に向けた準備が進んでおり、今後、受注機会が拡大していく状況にあります。
出典:資源エネルギー庁「原子力政策に関する最近の動向について」(2026年3月31日)を基にビーエイブル作成
原子力分野においては、今後の再稼働に向けた準備工事を進めているほか、再稼働した原子力発電所における定期検査工事の受注・施工も行っています。AIの普及等による将来的な電力需要の増加やCO2削減に向けた社会的要請を背景として、原子力発電所の役割は今後一層重要性を増すと考えられ、ビーエイブルにとっても受注機会の拡大が見込まれる事業環境にあります。
また、核燃料廃棄物の処理及びリサイクルを目的としたプラントの建設が竣工間近となっており、今後は当該プラントのメンテナンス事業の機会が増大する見通しです。
海外に目を向けると、安全性の向上及び避難範囲の限定を特徴とする小型モジュール原子炉(SMR)の建設が始まり、今後増加する傾向にあります。ビーエイブルは、国内メーカーと連携し、小型モジュール原子炉向け検査装置の開発に取り組むとともに、ロボット技術を活用した製造・メンテナンス分野への参画を進めています。現時点での開発サポートサービスの売上規模は限定的であるものの、将来的な国内外におけるSMR関連事業への参入を見据え、技術基盤の構築を進めております。
イ 一般産業分野
千葉県木更津市にて鉄骨加工を行っておりますが、京葉臨海工業地域及び京浜工業地帯の地の利を生かせる好立地にあります。設備投資需要の動向を踏まえ、新しい工場の建設やリニューアル工事が増える環境にあります。
そのようなことを踏まえ、次々年度には千葉県富津市に工場を新設移転し生産能力を増やす予定です。
なお、富津工場への機能移転後の木更津工場跡地については、系統用蓄電池事業やデータセンター事業等への活用を検討しております。現時点で具体的な事業計画は確定しておりませんが、既存資産の有効活用を図る方針であります。
② 再生可能エネルギー事業
第7次エネルギー基本計画(2025年2月)に基づく2040年の発電電力量は1.1~1.2兆kWhと想定され、その4~5割を再生可能エネルギーが担うと想定されています。将来の再エネ電気の価格を一般的と言われている想定値の12~18円/kWhとすると、市場規模は5~11兆円と試算されます。
出典:資源エネルギー庁「エネルギー基本計画の概要(令和7年2月)」を基にビーエイブル作成
ア 太陽光発電
太陽光発電事業は、発電設備の設置場所及び電力系統への接続が確保できれば比較的事業化しやすい特性を有しています。一方で、エネルギー密度が低く、一定規模の発電量を確保するためには広大な用地を必要とすることから、景観への影響や地域住民の理解といった点が課題となっております。
また、近年はこうした課題を背景に、立地条件や地域特性を十分に考慮した事業判断が求められています。
イ 木質バイオマス発電
木質バイオマス発電事業は、再生可能エネルギーの中でも出力が安定しており、天候等の影響を受けにくいベースロード電源としての特性を有しています。ビーエイブルは、関連会社が運営する木質バイオマス発電所に対し、オペレーション&メンテナンス(運転・保守)業務を受託しております。
木質バイオマス発電事業の継続にあたっては、燃料となる木質資源の長期にわたる安定調達体制の構築と発電所設備の安定運転の双方が重要となります。当該事業においては、燃料調達については関西電力株式会社が中心となって対応し、ビーエイブルは主として発電設備のオペレーション及びメンテナンスを担うなど、各社が役割分担しながら事業を推進しております。
オペレーションやメンテナンスにおいては、高度な技術力や有資格者の確保が重要な課題となりますが、これまで培ったプラント技術を活かし、安定運営に貢献しております。
ウ 陸上風力発電
陸上風力発電事業は、十分な風況が確保され事業が成立する地域が限定されるため、広範囲に及ぶ候補地域の中から開発対象地域を選定する必要があることから、事業化までに長期間を要する特徴があります。また、事業の推進にあたっては、森林伐採や猛禽類などにかかわる調査、ならびに大型機材搬入のための道路拡幅工事などが必要となるほか、地域住民の理解及び合意形成が不可欠となります。
このため、事業性を判断するまでの調査・開発段階において相応のコスト及び時間を要し、開発リスクは比較的大きいものの、開発が完了し運転開始に至った場合には、長期かつ安定的な収益が見込まれる事業であり、ビーエイブルにとって成長を支える重要な事業の一つと認識しております。
また、福島県においては、2023年以降、594基(1.95GW)の陸上風力発電所の建設が計画されており、近隣3県(宮城県、山形県、新潟県)を含めると、1,046基(3.64GW)の陸上風力発電所の建設が計画されております。このような事業環境を踏まえ、ビーエイブルは、陸上風力発電分野を中長期的な成長が見込まれる事業領域として認識しております。(出典:経済産業省「風力発電所一覧(発電所環境アセスメント情報)」を基にビーエイブル集計)
エ 小水力発電
小水力発電事業は、適地となる地点が限られていることに加え、水利権の取得や関係者との調整が必要となるため、開発にあたっては一定の時間と労力を要する特徴があります。一方で、発電規模は比較的小さいものの、渇水等の影響を受けない限り、安定した電力供給が可能であり、長期にわたって安定的な運転が見込まれる電源です。
このため、大規模な電源としての位置付けではないものの、地域特性を活かした分散型電源として、安定的収益を確保できる事業であると認識しています。
オ 系統用蓄電池
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、電力需給の調整手段として系統用蓄電池(電力会社の送配電網(電力系統)に直接接続され、電力の需給バランスを調整するために運用される大規模な蓄電設備)が注目されています。系統用蓄電池事業は、適切な設置用地及び系統接続が確保できれば比較的短期間に事業化が可能である一方、収益性は電力市場の動向やアグリゲーターの運用方針に左右される特性があります。
このため、市場環境や事業スキームを見極めたうえでの事業化判断が重要となる事業であると認識しています。
③ その他事業
ア 介護事業
介護事業は、高齢化の進展を背景として、今後も安定的な需要が見込まれる分野であります。一方で、介護人材の不足は全国的な課題となっており、サービスの質を維持・向上させるためには、専門人材の確保及び定着が経営課題となっています。
イ 料飲事業
料飲事業を取り巻く経営環境としては、健康志向の高まりや地元産食材への関心の増加といった追い風がある一方で、地域における人口減少や過疎化の進行、ならびに人材不足、とりわけ調理人材の確保が課題となっております。また、地域内における同業他店との差別化や、安定的な固定客の確保も重要な経営課題であり、効率的かつ持続可能な店舗運営が求められております。
(3)将来のありたい姿と経営戦略
ビーエイブルは、これまで述べてきた経営環境の変化を踏まえ、5年後(第40期)に目指す姿を見据えた中期経営計画(2025年度~2027年度)を策定しています。本計画に基づき、ビーエイブルは、これまで培ってきた工事技術を基盤として、創意工夫による開発力を発揮し、「事業基盤の強靭化」と「再生可能エネルギー事業の拡大」を重点施策に位置付け収益性の向上を図ってまいります。
あわせて、「その他事業を通した社会貢献」として介護及び料飲事業についても、地域ニーズに即した形で着実な成長を目指してまいります。
また、持続的な成長を支える強固な経営基盤の整備を目的として、ビジョンステートメントとして「人を信じ、人を愛し、未来を創る」を掲げています。社員一人ひとりが自らの無限の可能性を信じ、仲間との信頼関係を基盤に、全社一体となって価値創出に取り組むことを目指し、新たな重点施策として「事業活動を根底で支える人財投資を中心とした強固な経営基盤の整備」を推進してまいります。
また、エネルギー事業を通して、世の為、人の為に尽くすことを目指し、社会課題の解決と地域社会への貢献を果たしてまいります。
ビーエイブルは、創業以来、社名に込めた「be able」の精神を大切にし、困難な課題に対しても主体的に挑戦する企業文化を育んでまいりました。その結果、原子力発電所内における工事においても、元請事業者として発注者から指名を受ける機会が増加しています。今後も、これまでに培った設備工事技術及び現場対応力を基盤として、事業基盤の強靭化を進めるとともに、雇用機会の創出や地場産業の育成など、地域社会との共創を推進してまいります。
さらに、再生可能エネルギー事業の拡大を通じて脱炭素社会の実現に貢献するとともに、介護・料飲事業等のその他事業を通した社会的価値の創出に取り組み、社会的価値と経済的価値の両立による企業価値向上と持続的成長を目指してまいります。
これらの取り組みにより、人類社会の進歩発展に貢献し、「世の為人の為に役立つ企業」であり続けることをビーエイブルの将来像としています。
(4)具体的経営戦略
ビーエイブルは、営業利益率及び経常利益率について、それぞれ10%以上を経営目標としています。当該目標の達成に向けては、各部門において戦略及びアクションプランを策定し、具体的なKPIに落とし込んで運用しております。例えば、差別化提案の推進を目的として、顧客から競争入札によらず個別に指名を受けて受注する案件(以下、「特命受注」という。)の拡大を重視しており、以下の指標をKPIとして設定し、受注構造の高度化を図っております。
① 工事事業
ア 廃炉作業
廃炉作業においては、付加価値の高い特命案件の受注拡大を重要な営業戦略としております。特に、創意工夫による工法提案やロボティックス技術を活用した高難易度案件への対応により、競争優位性のある分野での受注拡大を図っております。
営業部門においては、提案型営業を推進し、顧客の予算計画段階から参画することを目的として、四半期に1件以上の提案案件創出をKPIとして設定しております。また、顧客との継続的な関係構築を目的として、営業担当者による日次訪問活動を実施しております。
施工面においては、軽微なトラブルの抑制による品質向上及び原価低減を重視しており、迅速な対応による顧客信頼の維持向上に努めております。加えて、放射線管理課による現場パトロールを日次で実施し、放射線被ばくリスクの低減及び施工効率の向上を図っております。
これらのKPI及びアクションプランについては、経営計画と連動して運用し、継続的な収益性向上に取り組んでおります。
福島第一原子力発電所の廃炉作業において、安全性の確保、作業効率の向上及び作業員の被ばく低減を最重要課題と位置づけております。ビーエイブルは、ロボティックス技術の活用や工法の改善等、創意工夫による技術的差別化を図ることにより、付加価値の高い工事を提供し、元請工事の受注拡大を目指してまいります。
また、AI等の先端技術の活用も視野に入れ、より高度な工事提案を行うことで受注機会の拡大を図ります。さらに、長期にわたる廃炉作業の特性を踏まえ、毎年安定的に受注が見込まれる工事を積み上げることで、売上の拡大及び安定化を図ってまいります。
加えて、福島第一原子力発電所で培った技術及び施工経験を活かし、他の廃炉プラントにおいても提案型営業を軸とした各種KPIに基づき積極的に受注活動を展開し、事業領域の拡大を図ってまいります。
また、廃炉作業はこれまで誰も経験したことのない分野でありながら、現場を熟知したうえで、従来技術と先端技術を融合させた対応が求められます。このため廃炉作業の現場では、管理型人材ではなく、プロジェクト完遂型人材が不可欠です。創業時からチャレンジ精神を持って取り組んできたビーエイブルの社風は、この点で大きな強みとなっています。
イ 稼働予定・稼働プラント
ビーエイブルは、BWR型原子力発電所における炉内作業や制御棒の点検等、原子力発電所の重要設備に関する専門性の高い特殊な作業に強みを有しています。
今後は、この強みを活かし、BWR型原子力発電所の稼働予定プラントにおける再稼働関連工事に積極的に取り組むとともに、稼働後の定期検査においては、定期的に実施される定例工事として安定的な受注を目指してまいります。そのためには、労働災害や品質トラブルは未然に防止し、安全性及び品質を確保することが重要であると認識しております。このため、安全・品質管理に関するKPIとして、安全・品質パトロールの毎日実施、事前検討会及び事後検討会の実施、ならびに危険予知会議を作業開始前、中間時及び工事終了時に実施することとしております。
ウ 再処理工場(青森県)
青森県六ケ所村の使用済核燃料の再処理工場については、建設工事が終盤を迎えていることから、当該工事に対する積極的な営業活動を行ってまいります。
また、竣工後を見据え、同施設におけるメンテナンス作業についても、元請工事としての受注を目標に取り組んでまいります。
エ 一般産業工事
一般産業工事においては、木更津市に所在する鉄骨加工工場を富津市へ移転し、生産設備の拡充及び生産効率の向上を図ることで、付加価値の高い製品の製造体制を構築してまいります。
これにより、生産能力の増強を図るとともに、京葉・京浜地区の顧客ニーズに柔軟かつ迅速に対応できる体制を整備してまいります。
オ 小型モジュール原子炉
ビーエイブルは、国内メーカーより小型モジュール原子炉向け検査装置の開発業務を受注しており、今後成長が見込まれる小型モジュール原子炉分野への取り組みを進めております
今後も、これまでに培った原子力分野における技術力及びロボット技術を活かし、小型モジュール原子炉関連事業への継続的な参画を目指してまいります。
② 再生可能エネルギー事業
ア 陸上風力発電所メンテナンス工事
国内においては、陸上風力発電所の増加に対して、メンテナンスを担う技術者が不足する状況にあります。
ビーエイブルは、今後増加が見込まれる陸上風力発電所のメンテナンス工事を受注できる体制との構築を進めるとともに、専門技術力の強化を図ることで、参入障壁の高いメンテナンス事業の拡大を目指してまいります。
イ 木質バイオマス発電所オペレ-ション&メンテナンス事業
ビーエイブルが出資するエイブルエナジー合同会社の木質バイオマス発電所の運営実績を基盤として、技術者層の拡充及び有資格者の育成を進め、運転・保守に関する技術力の向上を図ってまいります。
これにより、他の木質バイオマス発電所へオペレーション&メンテナンス事業の水平展開を可能とする体制を構築してまいります。
ウ 再生可能エネルギー電源開発
現在、木質バイオマス発電所について複数の開発計画があり、そのうち佐野発電所については2028年9月の運転開始を予定しております。なお、当該発電所のオペレーション&メンテナンスの契約をビーエイブルが受託しており、これらの実績も活用して更なる開発を進めてまいります。
また、風力発電所についても複数地点で開発を進めており、地産地消を基本とし、地域と共に成長する事業展開を重視しています。
さらに、小水力電源や廃食油を活用した発電等についても進めており、電源開発後はオペレーション&メンテナンスを担う方針です。
加えて、再生可能エネルギー事業においても、ビーエイブルは、開発初期段階における調査・事業性評価から、事業スキームの構築、事業組成、運転開始後のオペレーション&メンテナンスに至るまでをアレンジできる一貫体制の構築を進めております。特に、風力発電及び木質バイオマス発電に係るメンテナンス業務については、必要な技術力、資格、人材及び取引先からの承認等が求められることから参入障壁が相応に高く、これらの分野における知見の蓄積とあわせて、当該一貫体制を通じて他社との差別化を図ってまいります。
再生可能エネルギー事業においても、ビーエイブルは開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を整えています。これにより、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進しています。
③ その他事業
その他事業(介護事業及び料飲事業)については、ビーエイブルの主力事業である工事事業及び再生可能エネルギー事業を支える地域基盤の強化を目的とし、地域社会との関係強化及び人材の定着・活性化を目的として展開しております。これらの事業は、ビーエイブルの経営理念である「全従業員の物心両面の幸せを追求すると共に、人類・社会の進歩発展に貢献する」に基づき、地域課題の解決に資する事業として実施しているものであります。
ア 介護事業
介護事業については、高齢化が進行する福島県において、理学療法士等の専門人材による運動機能の維持・回復を目的としたデイケアサービスを提供しております。本事業は、地域における社会的ニーズに応えることで、潜在的な需要を喚起し、ビーエイブルの事業地域への展開・定着を図ってまいります。
イ 料飲事業
料飲事業については、地元産食材の活用や地域事業者との連携を図ることにより、鹿角市で進めております再生可能エネルギー事業等においても、地域経済に貢献できる事業を目指してまいります。
(5)対処すべき課題と成長戦略
ビーエイブルが、経営戦略を進めていく上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題ならびに成長戦略は、以下のとおりです。
① 原子力にかかわる工事
・福島第一原子力発電所の廃炉作業においては、安全確保が最優先事項であり、労働災害及び放射線災害を未然に防止することが重要課題となります。このため、ビーエイブルは、安全教育の徹底及び安全意識の継続的な向上を図るとともに、現場確認を徹底し「絶対安全」を基本方針として全社員及び協力会社に周知しています。
・放射線災害(過剰被ばく、身体汚染及び内部被ばく等)を防止するため、放射線管理部と工事部が綿密に連携し、作業手順及び工法の事前確認を行うなど、放射線管理体制の強化を図っています。
・廃炉作業を安定的に遂行するためには、各作業に必要な知識及び技能を有する人材の育成と、技量の高い協力会社の確保が不可欠です。ビーエイブルは、教育体制の充実及び協力会社との関係強化を通じて、安定的な施工体制の構築を進めてまいります。
・BWR型原子力発電所において震災後初となる定期検査が実施されるプラントや、再稼働準備中の原子力発電所に対しては、積極的に工事受注を図る方針であり、これに対応するため、必要に応じて地元拠点の設置等、施工体制の整備を進めてまいります。
・小型モジュール原子炉分野については、既に開発分野での受注実績があることから、今後は部品製造等にも対応可能な技術力の習得を進め、事業領域の拡大を目指してまいります。
・AIを活用したメンテナンス工事の効率化を推進し、他社との差別化を図ってまいります。
② 一般産業工事事業
・一般産業分野においては、人手不足を背景として、技能職人の育成及び協力会社の確保が喫緊の課題とされています。ビーエイブルは、魅力ある職場環境の整備を通じて、新規人材の採用及び育成を進め、受注拡大に対応できる体制を構築してまいります。
・労働災害防止の観点から、危険予知活動の徹底を図るとともに、品質管理体制の一層の強化により、高品質な製品及び工事を安定的に提供できる体制を整備してまいります。
③ 再生可能エネルギー事業
・再生可能エネルギー事業においては、木質バイオマス発電所の運営に必要となる各種国家資格を有する人材の確保及び育成が重要な課題であり、社員の資格取得を計画的に進めてまいります。
・陸上風力発電所のメンテナンス分野では、技術者不足が恒常的な課題となっていることから、人員の増強及び教育を通じて技術力の向上を図ってまいります。
・再生可能エネルギーの電源開発にあたっては、事業化の成否を見極めることが重要であり、開発リスクを適切に管理するため、成功可能性の高い案件を慎重に選別してまいります。
・また、電源開発には、地域住民の理解及び協力が不可欠であることから、地域との共生を重視した事業推進を行ってまいります。
・再生可能エネルギー設備のメンテナンス分野においては、AIの活用等を通じた効率化及び高度化による創意工夫に加え、ビーエイブルは開発から事業スキームの構築、事業組成、さらにオペレーション&メンテナンスまでをアレンジできる一貫体制を活かし、他社との差別化を図るブルーオーシャン戦略を推進してまいります。
④ その他事業
・介護事業においては、利用者に寄り添い信頼関係を構築すること重要であり、社員のホスピタリティー、思いやりの心を重視した人材育成を行ってまいります。その一環として、社内勉強会やコミュニケーションの活性化を通じて、社員の人格面の成長を促進してまいります。
・看護師、理学療法士、介護士、ケアマネージャー等の有資格者については、現時点では一定数を確保しておりますが、今後の事業拡張に対応するため、計画的な増員を進めてまいります。
・料飲事業については、地域の信頼及び評判が事業の成否に大きな影響を与えることから、地元自治体や商工会等との連携を重視し、地元食材の活用等を通じて、産官学や市民の交流の場となるよう、地域と共生する事業運営を行ってまいります。
・その他事業においては、地域で開発した再生可能エネルギーの活用による地域活性化についても検討を進めてまいります。
⑤ 財務
・成長資金の確保
再生可能エネルギー事業の開発には、長期間にわたる投資が必要であり、投資回収までにも相応の期間を有することから、安定的なキャッシュ・フローの確保が重要な財務課題となります。
ビーエイブルは、純資産及び負債のバランスに配慮した財務運営を行い、不測の事態にも対応可能な健全な財務体質の維持を図ってまいります。
⑥ 環境及び地域社会への対応
・環境への配慮
再生可能エネルギーの開発にあたっては、法令上の環境アセスメントの対象外となる場合であっても、自主的な調査を実施し、自然環境への十分な配慮を行ってまいります。
・地域との共生の推進
地域社会と継続的にコミュニケーションを通じて、事業の意義や目的を共有し、地域と連携した事業推進を進めてまいります。
ビーエイブルの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。なお、ビーエイブルは、これらのリスクについて、顕在化の可能性及び顕在化した場合の影響とその時期について分析し、各リスクの重要性を把握・評価した上で、発生の回避及び万が一発生した場合でも、業績及び財務状況に与える影響を最小にすべく、具体的対応を検討・実施しています。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本書提出日現在において判断したものです。
(1)外部環境に関するリスク
ビーエイブルの事業(工事事業、再生可能エネルギー事業(以下、再エネ事業という)、その他事業)は、原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変化等により影響を受けるため、「外部環境に関するリスク」として、エネルギー政策の変更等に関するリスクに加え、事業(工事事業、再エネ事業、その他事業)毎に、事業を取り巻く外部環境について記載します。
①エネルギー政策の変更に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、電気事業者の発電設備工事を主体としており、電気事業者は、政府が5年毎に見直しを行う「エネルギー基本計画」のエネルギー政策等に基づいて、電源設備の拡大と系統設備の整備を進めるため、ビーエイブルの業績及び財政状態は「エネルギー基本計画」のエネルギー政策等の影響を受けることになります。
2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」においては、「政府の最重要課題である、福島の復興・再生に向けて、政府の責務として福島第一原子力発電所事故処理に最後まで取り組むこと」、また2040年に向けた政策の方向性として、「DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中で、エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する」方針が示されました。また、原子力発電については、これまでの「原子力依存度の低減」という文言が削除され、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが不可欠である」ことが記載され、カーボンニュートラル実現に不可欠であることに加え、低廉で安定的な電力の供給、レジリエンス強化の観点からも重要な電源として位置付けられました。
このようなエネルギー政策等を踏まえ、ビーエイブルは事業基盤である「工事事業」について、原子力発電設備の再稼働・廃炉工事を中心として取り組んできています。また、収益構造の多様化を目的として「再エネ事業」の拡大にも努めてきています。
しかしながら、エネルギー政策は、気候変動の進行状況や多国間の合意・国際的な議論、政権交代を含む国内の政治動向、資源価格等の経済環境、発電設備の安全性、国際紛争、諸外国の金融政策等、様々な事象の影響を受けます。エネルギー政策に変更等が生じた場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②-1 工事事業における原子力・廃炉政策等に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
エネルギー政策のうち、地元企業としてビーエイブルが深くかかわっている福島第一原子力発電所の事故処理・廃炉に関して、東京電力ホールディングス株式会社は、被災者への賠償を滞らせないよう、また廃炉や除染などの事故対応の費用を計画的に確保することを目的として、「総合特別事業計画」を原則3年毎に策定し、国の認可を得て事故処理・廃炉等を進めています。
また、東京電力ホールディングス株式会社は、適正かつ着実に廃炉作業を進めることを目的として定められた原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号)に基づき、廃炉等積立金を廃炉等に要する費用に充てる「廃炉等積立金取戻し計画」を毎年作成し経済産業大臣の承認を得ながら廃炉工事を進めています。さらに、東京電力ホールディングス株式会社は、廃炉工事の具体的内容と今後の見通しを「廃炉中長期実行プラン」として毎年公表し、計画的に廃炉作業を進めています。
廃炉工事は、燃料デブリ取出し等これまで経験のない工事工法の開発を伴い、また身体汚染や汚染水の漏洩等のトラブル発生による作業停止など、種々の要因により計画通りに廃炉措置の工事等が進捗しない可能性があり、それに伴う工事計画の変更・発注時期の変更等により、ビーエイブルの業績に影響を及ぼす可能性があります。
しかしながら、エネルギー政策の変更及び原子力・廃炉政策等に関するリスクについては、計画性・予見性が高く、年度毎に事業計画の見直しを行うことにより、リスク項目の変化への追随が可能であり、影響を極めて低く抑えることができるものと認識しています。
また、ビーエイブルは、福島第一原子力発電所の廃炉作業において、燃料デブリ取り出しに伴う干渉物撤去等の工事に加え、使用済燃料取出しに伴う使用済燃料プール内の瓦礫処理、取出後の燃料を貯蔵するキャスクの運搬等の工事や、汚染水対策工事、廃棄物処理関連工事等、幅広く多種多様な工事に取り組むことにより、特定の工事変更に伴う影響低減を図っております。
さらに、廃炉以外にも新規制基準対応の安全対策工事や再稼働準備工事、東京電力ホールディングス株式会社以外の電気事業者の工事、原子力以外の一般産業工事や再生可能エネルギーの開発に事業展開し、収益源の多様化を図ることによりリスクを低減しております。
一般産業工事において、現況は設備の改修・更新工事需要は堅調であるものの、外部環境として社会経済状況の変化から工事需要の減少した場合には、ビーエイブルの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②-2 再エネ事業における業界動向等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
再エネ事業の開発において、環境保護の規制強化等による風力設備の開発コスト上昇やバイオマス燃料コストの上昇、他社のバイオマス発電所における爆発火災事故発生を踏まえた保険料率の上昇、安全規制の強化による開発費の高騰、燃料供給会社の倒産リスク、景観等に関する県条例制定の動きなど、太陽光発電設備・風力発電設備やバイオマス発電設備の開発・工事が計画通りに進捗できず、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは代替事業地点が確保できるよう多様な地点での開発調査や燃料供給会社の多様化を進めること等により、リスクヘッジを図っています。
再エネ事業の発電事業に関して、ビーエイブルが運営する太陽光発電所は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT制度 再生可能エネルギー固定価格買取制度)の認定を受けた設備による発電事業を行っており、現行制度では一度適用された買取価格は当該法で定める期間内において変更されることはありません。しかし、経済産業省・資源エネルギー庁による再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直しの検討など、エネルギー政策及びその他ビーエイブル事業に関連する各種法令等が変更された場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、太陽光発電は、発電出力が天候の影響を受ける自然変動電源であり、電力需給バランスを保ち電力供給の安定化を図ることを目的として、運転開始後における無制限・無補償の出力制御を受け入れることが系統への接続要件となる出力抑制ルール拡充の制度改定(2015年1月)により、想定を上回る出力制御が実施された場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、再エネ事業における電力小売事業に関しては、その販売電力量は経済・景気動向等の外部環境の影響を受けるほか、電力小売全面自由化(2016年4月開始)に伴う新規競合他社の参入等による競争環境の変化、電力取引市場における卸電力取引の動向、相対取引の価格動向等により影響を受ける可能性があります。新規参入者の急増は、電力販売価格の下落を招く可能性があり、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②-3 その他事業における業界動向等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
介護事業は、2000年4月の介護保険制度の施行以来、在宅サービスを中心に老後生活を支える仕組みとして定着してきています。今後も団塊世代の高齢化に伴い、利用者は増加基調にあり、介護市場は規模拡大が予想されています。これにより毎年多くの新規事業者が介護事業に参入しており、競争の激化により利用者確保が困難となる場合には、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
このため、ビーエイブルは綿密な市場調査に基づいて健康事業を展開するとともに、利用者の満足度向上に資する施策を講じることで、利用者確保に努めています。
(2)事業運営に関するリスク
① 特定の取引先等への依存に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、東京電力ホールディングス株式会社の取引依存度が高い(東京電力ホールディングス株式会社との直接取引額では、同社からの工事の総額がビーエイブル売上の50%程度、同社のグループ企業も含めた総額はビーエイブル売上の70%程度)ことから、福島第一原子力発電所の廃炉の計画変更等によって、ビーエイブルの事業、業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
このため、ビーエイブルは福島第一原子力発電所の廃炉作業においても、特定の工事計画に変更等があっても、その影響が限定された範囲にとどまるよう、特定の工事にだけ取り組むのではなく、燃料デブリ取出し関連工事、使用済燃料取出し関連工事、汚染水対策工事、廃棄物処理関連工事など、多種多様な廃炉作業に幅広く取り組むとともに、東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所の新規制基準対応の安全対策工事・再稼働準備工事等、廃炉措置工事以外の工事にも取り組んでいます。
また、東京電力ホールディングス株式会社以外に、東北電力株式会社女川原子力発電所、北陸電力株式会社志賀原子力発電所、中国電力株式会社島根原子力発電所、日本原子力発電株式会社東海発電所、日本原燃株式会社等にも進出し、工事を進めることで収益源の多様化を図っています。
さらに、 特定の取引先や特定の業種への依存を避けるため、廃炉・原子力以外として、千葉県木更津市を事業拠点とする一般産業工事や、再エネ事業の開発にも事業展開して、特定取引先等への依存リスクの低減を図っています。
② 投融資事業の不採算リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、風力発電やバイオマス発電等の再エネ事業の開発において、原則として開発事業のプロジェクト関連契約や融資関連契約の締結確度が高まり事業性が見込めるような段階になった時点で特別目的会社(SPC)を設立し、そこに出資を行い、事業化を加速します。SPCに出資後に急な環境の変化で事業化を断念した場合等においては、当該出資のリスクが顕在化し、損失を計上することになります。このような場合にはビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
リスクとしては、再エネ事業の開発中止のほか、再エネ事業の開発投資決定後の為替の急激な変動、資機材・人件費の高騰や、投資事業における稼働率の低下等が考えられます。また、波力発電設備の研究開発や一般産業部門の工場建設等における出資のリスクが顕在化し、損失を計上するような場合も考えられます。
ビーエイブルは、事前の市場・技術調査や段階的な研究開発計画において慎重な検討や検証を重ねることにより、リスクヘッジを図るとともに、リスクの確認と運用状況のモニタリングを実施しています。
③ 契約に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
事前の契約審査が不十分で、設備設置工事において、設備故障等の不可抗力の事象が請負責任になる可能性があります。ビーエイブルは、新規契約案件等について事前に契約書類の法務審査を実施することや受注検討会の実施等により、不可抗力の事象が請負責任化するリスクを低減するため契約内容の精査等に努めています。
④ 長期契約等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、再エネ事業の運転保守(オペレーション&メンテナンス)基本契約等において、長期請負契約を締結する場合があります。
長期請負契約等に基づく収益認識においては、見積原価総額、見積収益総額、契約に係るリスクやその他の要因について重要な仮定を用いて見積る必要があり、この見積りは変動する可能性があります。価格が確定している契約の予測損失は、その損失が見積られた時点で費用計上していますが、見積りは変動する可能性があること、また、当該契約に関する当初の見積りを見直す必要が生じる場合は、ビーエイブルの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは長期契約締結においては、エスカレーションなどを加味した長期契約とすることで、契約締結内容においてリスク回避をしていく計画でおります。
⑤ 代表者への依存リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルの代表取締役社長である佐藤順英は、ビーエイブルの創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定するとともに、組織運営上の中核的役割を担っております。また、同氏はビーエイブルの支配株主であり、ビーエイブルの経営に関する重要な意思決定に対して一定の影響力を有しております。
今後何らかの理由により佐藤順英の業務執行が困難になった場合には、ビーエイブルの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。ビーエイブルでは、他の経営陣や幹部への権限委譲を行うことで依存度合いを薄めてまいります。
⑥ 有利子負債依存度に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、運転資金、研究開発資金、風力発電事業の実現可能性の調査・検証等に対応するため、有利子負債による資金調達を行っております。
今後、金利の急激な変動や金融情勢の変化、財務制限条項(コベナンツ)の影響等により、計画どおり資金調達ができない場合には、ビーエイブルの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルでは、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに複数の金融機関へ融資を打診し、融資シェアバランスを考慮した調達先選定と、金融機関との良好な関係構築に努めることで、現時点では資金調達余力を確保しております。
⑦ 借入金の財務制限条項に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルの借入契約の一部には財務制限条項が付されており、万が一これらの条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる可能性があるため、事業運営に影響を及ぼすリスクがあります。ビーエイブルの経常利益は黒字を継続しており、財務制限条項に抵触する水準に対して十分な余裕のある状態にありますが、ビーエイブルではこの状態を維持しつつ有利子負債の計画的な返済を進めるとともに、金融機関との安定的な関係維持に努めることにより、当該リスクの低減を図っております。
⑧ 重大な不適合発生のリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルの施工不良等による設備損傷、又は据付設備が性能基準を満たさない等、重大な品質不適合が発生し、工期遅延やコスト増加の発生リスクがあります。
このため、ビーエイブルでは、「不適合ゼロ」に向けた取り組みとして、詳細な施工要領書を作成し、関係者全員で作業前に行う事前検討会において読み合せを行う等、工事品質の維持向上を図っております。
また、過去の不適合事例を関係者へ教育・啓発活動を行うとともに、品質保証体制を強化し、不適合発生の未然防止に取り組んでいます。
⑨ 重大な労働災害発生のリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
重大な労働災害(死亡災害、重篤な災害、許容被ばく線量の超過等)については、これまでビーエイブルで発生したことはありませんが、今後工事の施工中に、ビーエイブルの責任により重大な労働災害が発生する可能性は否定できません。
ビーエイブルは、重大災害の未然防止を図るために、中期経営計画の重点ポイントとして「絶対安全戦略」を掲げ、軽微な事象であっても原因究明と再発防止策を実施し、災害ゼロに向けて水平展開を図ることや、「放射線管理基本計画書」に基づき厳格な被ばく線量管理を実施すること等により、重大事故発生の未然防止を図っています。
また、関係者への安全教育や啓発活動を行うとともに、三現主義(現場・現物・現実を重視する是正・再発防止の基本原則)を確実に実施するため、安全管理・放射線管理の体制強化を図っています。
なお、ヒヤリハットのような軽微な事象であっても、当日作業後に一斉メールで情報共有することを実施しています。日々の作業状況の報告により、報告漏れや隠ぺいが起きない風通しの良い企業風土の醸成に努めています。
⑩ バイオマス発電所の重大災害発生リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルが事業運営に関係するバイオマス発電所の運営会社(エイブルエナジー合同会社(以下「エイブルエナジー社」という。))のバイオマス発電所は、爆発火災事故が発生している他社のサイロ式バイオマス発電所(サイロから木質燃料を自動搬送し、ボイラで連続的に燃焼させる方式)とは異なり、燃料は木質ペレットを燃料として用い、燃料倉庫から一定量のペレットをトラックで輸送し、ボイラの燃料供給装置に一定量のペレットを順次供給するバッチ処理方式の設備です。
また、燃料倉庫は細かく区切り火災が延焼しない構造であり、各ブロックには消火設備・温度センサーを設置し、中央制御操作室で常に監視している等、類似災害の発生に対しては十分な対策を講じております。
しかしながら、大量の木質ペレットを扱うバイオマス発電所であり、万が一火災事故等が発生した場合には、施設の損傷に止まらず、万一周辺地域まで被害が及んだ場合には、エイブルエナジー社とともにビーエイブルに対する信頼性の低下や多額の損害賠償請求などが発生する可能性があり、エイブルエナジー社だけでなく、ビーエイブルの事業、業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があります。
このため、エイブルエナジー社の火災保険の付保は勿論のこと、ビーエイブルは、関係者への防火教育、設備巡視、計画的な点検清掃等を徹底して実施するよう指導し、爆発火災事故等の重大災害の発生防止を図っています。
⑪ 情報管理・セキュリティに関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、サイバー攻撃・システム障害・作業ミスや社内ルール違反等により、ビーエイブルの事業運営に支障が生じた場合や、ビーエイブルが保有する機密情報/個人情報が流出した場合には、社会的信頼が失墜し、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
ビーエイブルは高度化・巧妙化するサイバー事案に関して、セキュリティ教育・啓発活動の実施、2重のファイヤウォールシステムによる防御対策、事業継続計画(BCP)として基幹システムの定期的なバックアップ実施など、情報管理とセキュリティ対策を徹底し、リスク低減に努めています。
⑫ 調達活動に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルの調達活動では、工事事業における工事施工中の資機材価格・労務費の高騰等により、工事原価が増加するリスクがあります。
また、資材価格の高騰によって労務費が圧迫され、適正な労務単価の確保が困難になる場合や、取引先の財政悪化や経営破綻など、取引先(サプライヤー)信用リスクが顕在化した場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このため、ビーエイブルは新規契約案件等について契約内容の事前審査を実施するとともに、受注検討会において工事原価の慎重な検討を実施しています。
また、工法改善による資材・労務力の低減や、協力工事業者・資機材供給業者と情報共有し連携強化を図ること、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定など、信用リスク管理の施策により、リスクの回避・最小化に努めております。
電力小売事業における調達活動として、現在は一般社団法人日本卸電力取引所より電力を調達しています。将来はエイブルエナジー社の発電電力を特定卸供給によって東北電力ネットワーク株式会社より調達する予定です。一般社団法人日本卸電力取引所における取引価格は、国際情勢を反映した原油、天然ガス等の資源価格の動向、季節や時間帯の電気の需要動向、太陽光発電の稼働状況、原子力発電所の稼働状況等、様々な要因によって変動します。
ビーエイブルは、市場価格高騰リスク対策として市場価格連動メニューにて販売しています。また価格ヘッジ取引によるリスク軽減も今後行っていきます。現状は、同取引所の取引価格が大きく変動した場合でも、ビーエイブルの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性は小さいと考えています。但し、今後、低圧需要家や高圧需要家向けに従量制料金メニューを導入しこれを採用する需要家が増えていった場合は市場の取引価格の高騰がビーエイブルの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、電力小売事業における電力調達量に関しては、ビーエイブルは一般送配電事業者の送電ネットワークを介して電力を供給するため、一般送配電事業者の定める託送供給約款等に基づき、需要想定と実際の需要量を、それぞれ30分毎に一致させる義務(計画値同時同量制度)を負っています。事前に計画した需給量と実際の需給量の差分は、インバランス(料金)として一般送配電事業者との間で精算されることになります。ビーエイブルは、需給管理システムを用い、時間毎の需給バランスの最適化を図っておりますが、同時同量を達成できない場合において精算するインバランス料金が多額に生じる場合、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 外注業者及び外注管理に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、工事事業の外注業務において法令違反等を含む契約不適合等が判明した場合、その管理責任を問われる又は信頼性の著しい毀損が生じることにより、ビーエイブルの事業運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは外注先の協力企業社員を含めてビーエイブルで教育を実施するとともに、受注検討会において外注管理を徹底しております。
また、外注先による工事施工にあたっては、外注工事毎にビーエイブル社員を配置する体制により、適切な外注工事管理を行うことで、リスク低減を図っております。
⑭ 債権回収リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
原子力分野の工事事業においては、顧客は大企業であることから債権回収リスクは小さいと考えています。但し、再生可能エネルギー分野の工事、メンテナンス事業や電力小売事業においては、顧客が中小企業となる場合も多く、顧客の財務状況によっては債権回収不能となるリスクが存在します。契約前、及び契約後も定期的に顧客の与信管理をしっかり行うことで債権回収リスクの低減に努めて参ります。電力小売事業において債権回収不能が起こった場合は、回収に努めるだけでなく電力供給を停止することを契約に盛り込むことでリスク低減を図るようにしています。
⑮ 販売活動におけるレピュテーションリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
原子力分野の工事事業において、安全文化・核セキュリティ文化の取り組みが不十分な場合や、介護事業における重大不祥事が発生した場合等には、企業ブランド価値毀損や、信用失墜のリスクがあります。
このため、ビーエイブルでは、「人として正しいことを正しいままに貫く」という考えを経営の基本とし、関係者への教育・啓発活動を継続的に実施するとともに、「コンプライアンス行動規範」を制定し周知・啓発活動を実施してリスク低減に努めております。また、原子力分野の工事事業では顧客満足度調査によるお客様評価の把握や、健康事業において利用者様のご意見を伺う活動の実施等により、レピュテーションリスク低減を図っております。
⑯ 人材不足に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
ビーエイブルは、新しい事業分野に進出し、事業規模を拡大していくため、また、既存事業の継続・拡大を図るために高度な専門性を有する多様な人材を採用することが重要と考えています。しかし、少子化等の要因により、新卒及び中途での人材の採用が困難になった場合や、著しい人材流出の発生により、人材不足に陥る可能性があります。このような場合には、ビーエイブルの将来的な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルでは多様な人材を採用するために人事処遇制度の見直しを図るとともに、多様なチャンネルによる採用活動の展開、広報活動の充実等により企業知名度の向上に努めております。
また、教育・研修制度の充実や働きやすい環境づくり等の離職防止策の実施や協力企業の発掘等により、外注先の協力企業の労働力確保も含め、ビーエイブルの動員力の強化に努めております。
今後も採用活動の強化に努め、働き方改革や育児支援を実施することで、リスクの回避・影響の最小化を図ります。
⑰ 人材育成に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、成長の機会が与えられないことによる社員のモチベーション低下や、業務遂行に必要な能力・スキルが獲得出来ないことによる工事の遂行力・効率・品質の低下、生産性の低下による納期遅延等により、事業運営に支障をきたす可能性があります。
このため、ビーエイブルでは技術継承を図る取り組みとして、社員が自分の技量・力量を「スキルアップシート」を用いて評価・分析し、技術・知識の向上を図る取り組みを実施するとともに、研修や資格取得の機会を提供し、社員のモチベーションと生産性の向上に繋げ、リスクの回避・影響の最小化を図っております。
(3)法的規制・訴訟に関するリスクについて
① 法令違反・訴訟に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルが事業活動を行うには、「建設業法」、「労働者派遣法」、「労働安全衛生法(電離放射線障害防止規則)」、「労働基準法」、「職業安定法」、「電気事業法」、「介護保険法」及び関連する各種法令による規制を受けております。
また、ビーエイブルは、建設業許可等のほか、介護保険法に定める必要な届出をしております。
ビーエイブルが事業活動を継続する上で特に重要な許認可は、工事事業における「一般建設業許可」であります。ビーエイブル売上高に占める工事事業の割合は高く、一般建設業許可が取り消された場合には、主要な事業活動の継続が困難となるため、ビーエイブルの事業運営、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
現時点の許認可等の取得状況は,下表のとおりです。
現時点において、当該許認可等が取消しとなる事由は発生しておりません。しかしながら、将来、法令違反その他の事由により一般建設業許可をはじめとする重要な許認可等が取り消された場合、又は更新が認められなかった場合には、主要な事業活動の継続に重大な支障が生じる可能性があります。また、行政処分による営業停止や社会的信用の低下等により、ビーエイブルの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現時点において、ビーエイブルの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりません。ビーエイブルは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、法令等に対する違反の有無にかかわらず、事業活動において訴訟の提起を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
さらに、電力小売事業に関連する電気事業法については、電力システムに関する詳細制度設計、制度見直しの議論が継続的に行われており、その内容によっては、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このため、ビーエイブルでは、電力システム改革の検証に伴う制度設計の検討状況を注視するとともに、「コンプライアンス行動規範」を制定して関係者への教育・周知・啓発活動を継続的に実施し、リスク低減に努めております。
② 環境保護等の規制リスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、再エネ事業として風力発電施設等の開発事業を行っています。ビーエイブルは、開発地点の事業化にあたって、当該地域における過去の環境アセスメント実施履歴の調査や自主調査等により環境アセスメントにおける必要対処項目の事前確認を行っています。しかしながら、事前調査では想定されていない必要対処項目が発生した場合や、環境アセスメントにかかる法令又は条例の改訂が行われた場合には、事業化時期、開発規模又は開発可否等に影響を及ぼし、又は環境アセスメントに要する費用の増加する可能性があります。このような場合には、ビーエイブルの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
① 自然災害・気候変動・感染症に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、国内に事業所・工場・営業所・研究開発拠点等の施設を有しています。日本は地震・津波・台風など多くの自然災害に見舞われており、今後も大規模な自然災害により、取引先(サプライチェーン)や顧客も含めて、事業活動に影響を受ける可能性があります。
さらに、気候変動に起因して、渇水・長期的な気温上昇や洪水などの自然災害が一層深刻化する可能性があります。
このような自然災害により、ビーエイブル施設が直接損傷を受けた場合、事業活動が中断するだけでなく、多額の修理費の発生など多くの損失が発生する可能性があります。また、感染症の流行などにより社員が就労不能となった場合、工事施工力の低下等の混乱が生じる可能性があります。
すべての潜在的な損失に対して保険が付保されている訳ではなく、自然災害その他の事象により、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクへの対応として、ビーエイブルは事業継続計画(BCP)の策定による事業中断リスクへの対応力強化等を図っております。また新たな事業所等設置にあたっては、ハザードマップなど地域特性を設計・計画に反映するとともに、気象情報から事前の災害対策を実施した上で、必要に応じて損害保険を付保することにしています。
② 関連会社の業績の悪化に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、関連会社に対して出資を行っております。これら関連会社の業績が事業環境の変化等により悪化した場合、ビーエイブルが保有する投資の回収可能価額が帳簿価額を下回ると判断されるときは、減損損失を計上する必要が生じる可能性があります。
現時点では、関連会社は長期の売電契約や複数の燃料調達ルート等により安定した事業運営を行っており、減損が発生する蓋然性は高くないと認識しておりますが、外部環境の変動等によりビーエイブルの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該関連会社はいずれもプロジェクトファイナンスにより資金調達を行っており、ビーエイブルは追加出資や債務保証などのスポンサーサポート義務を負うものではありません。そのため、ビーエイブルの損失リスクは出資金額の範囲内に限定されています。
また、当該関連会社であるエイブルエナジー社においては、燃料の安定供給保証・その為替レート・売電価格等について変動リスクがあるため、長期契約の締結等により、リスクヘッジを図っています。
ビーエイブルの関連会社への出資額は、エイブルエナジー合同会社2,595百万円、合同会社佐野バイオマス発電457百万円 (本書提出日2026年6月25日現在)であり、再生可能エネルギー分野における発電事業等を行っています。
③ 株式の流動性に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:直近1~2年、影響度:小)
ビーエイブルは、2026年7月に東京証券取引所スタンダード市場への上場を計画しており、自己株式の処分及び売出しによってビーエイブル株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、ビーエイブルの新規上場時における流通株式比率は、33.5%となっております。
このため、株式市況等の要因により流通株式比率が向上しない、あるいは低下する可能性があり、これらの場合にはビーエイブル株式の市場売買が停滞すること等によりビーエイブル株式の需給関係に影響を及ぼす可能性があります。
ビーエイブルは、これらのリスク低減を図るため、状況に応じて既存大株主への一部売出しの要請、ビーエイブルの事業計画に沿った成長資金の増資による調達を勘案し、流動性の向上を図ってまいります。
④ 人権問題の発生に関わるリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
ビーエイブルは、人権問題(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、外国人労働者への差別等)が発生した場合には、人材の能力が十分発揮できないばかりでなく、ビーエイブルの社会的信用が低下し、顧客からの発注停止などにより、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは関係取引先からの情報収集や調査、関係者とのコミュニケ―ションの過程で、「コンプライアンス行動規範」等からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置などを講じます。
また、社内外に内部通報制度を整備して迅速な情報収集と健全な企業風土の醸成に努めております。
⑤ 内部統制に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
ビーエイブルは、今後さらなる事業拡大を図るため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、内部統制の体制整備が必要不可欠と認識しています。業務の適正性及び財務報告の信頼性確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、内部統制の体制整備が追いつかない状況が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは今後の事業規模拡大に応じた内部統制の体制を構築できるよう、管理部門や内部監査室の人材を強化するとともに、コーポレート・ガバナンスの重要性について教育研修を実施することにより社内の共通認識とし、内部統制の管理体制の一層の充実を図っております。
ビーエイブルの事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。なお、ビーエイブルは、これらのリスクについて、顕在化の可能性及び顕在化した場合の影響とその時期について分析し、各リスクの重要性を把握・評価した上で、発生の回避及び万が一発生した場合でも、業績及び財務状況に与える影響を最小にすべく、具体的対応を検討・実施しています。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は本書提出日現在において判断したものです。
(1)外部環境に関するリスク
ビーエイブルの事業(工事事業、再生可能エネルギー事業(以下、再エネ事業という)、その他事業)は、原子力政策をはじめとするエネルギー政策の変化等により影響を受けるため、「外部環境に関するリスク」として、エネルギー政策の変更等に関するリスクに加え、事業(工事事業、再エネ事業、その他事業)毎に、事業を取り巻く外部環境について記載します。
①エネルギー政策の変更に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、電気事業者の発電設備工事を主体としており、電気事業者は、政府が5年毎に見直しを行う「エネルギー基本計画」のエネルギー政策等に基づいて、電源設備の拡大と系統設備の整備を進めるため、ビーエイブルの業績及び財政状態は「エネルギー基本計画」のエネルギー政策等の影響を受けることになります。
2025年2月に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」においては、「政府の最重要課題である、福島の復興・再生に向けて、政府の責務として福島第一原子力発電所事故処理に最後まで取り組むこと」、また2040年に向けた政策の方向性として、「DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中で、エネルギー安定供給と脱炭素を両立する観点から再生可能エネルギーを主力電源として最大限導入する」方針が示されました。また、原子力発電については、これまでの「原子力依存度の低減」という文言が削除され、「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用することが不可欠である」ことが記載され、カーボンニュートラル実現に不可欠であることに加え、低廉で安定的な電力の供給、レジリエンス強化の観点からも重要な電源として位置付けられました。
このようなエネルギー政策等を踏まえ、ビーエイブルは事業基盤である「工事事業」について、原子力発電設備の再稼働・廃炉工事を中心として取り組んできています。また、収益構造の多様化を目的として「再エネ事業」の拡大にも努めてきています。
しかしながら、エネルギー政策は、気候変動の進行状況や多国間の合意・国際的な議論、政権交代を含む国内の政治動向、資源価格等の経済環境、発電設備の安全性、国際紛争、諸外国の金融政策等、様々な事象の影響を受けます。エネルギー政策に変更等が生じた場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②-1 工事事業における原子力・廃炉政策等に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
エネルギー政策のうち、地元企業としてビーエイブルが深くかかわっている福島第一原子力発電所の事故処理・廃炉に関して、東京電力ホールディングス株式会社は、被災者への賠償を滞らせないよう、また廃炉や除染などの事故対応の費用を計画的に確保することを目的として、「総合特別事業計画」を原則3年毎に策定し、国の認可を得て事故処理・廃炉等を進めています。
また、東京電力ホールディングス株式会社は、適正かつ着実に廃炉作業を進めることを目的として定められた原子力損害賠償・廃炉等支援機構法(平成23年法律第94号)に基づき、廃炉等積立金を廃炉等に要する費用に充てる「廃炉等積立金取戻し計画」を毎年作成し経済産業大臣の承認を得ながら廃炉工事を進めています。さらに、東京電力ホールディングス株式会社は、廃炉工事の具体的内容と今後の見通しを「廃炉中長期実行プラン」として毎年公表し、計画的に廃炉作業を進めています。
廃炉工事は、燃料デブリ取出し等これまで経験のない工事工法の開発を伴い、また身体汚染や汚染水の漏洩等のトラブル発生による作業停止など、種々の要因により計画通りに廃炉措置の工事等が進捗しない可能性があり、それに伴う工事計画の変更・発注時期の変更等により、ビーエイブルの業績に影響を及ぼす可能性があります。
しかしながら、エネルギー政策の変更及び原子力・廃炉政策等に関するリスクについては、計画性・予見性が高く、年度毎に事業計画の見直しを行うことにより、リスク項目の変化への追随が可能であり、影響を極めて低く抑えることができるものと認識しています。
また、ビーエイブルは、福島第一原子力発電所の廃炉作業において、燃料デブリ取り出しに伴う干渉物撤去等の工事に加え、使用済燃料取出しに伴う使用済燃料プール内の瓦礫処理、取出後の燃料を貯蔵するキャスクの運搬等の工事や、汚染水対策工事、廃棄物処理関連工事等、幅広く多種多様な工事に取り組むことにより、特定の工事変更に伴う影響低減を図っております。
さらに、廃炉以外にも新規制基準対応の安全対策工事や再稼働準備工事、東京電力ホールディングス株式会社以外の電気事業者の工事、原子力以外の一般産業工事や再生可能エネルギーの開発に事業展開し、収益源の多様化を図ることによりリスクを低減しております。
一般産業工事において、現況は設備の改修・更新工事需要は堅調であるものの、外部環境として社会経済状況の変化から工事需要の減少した場合には、ビーエイブルの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②-2 再エネ事業における業界動向等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
再エネ事業の開発において、環境保護の規制強化等による風力設備の開発コスト上昇やバイオマス燃料コストの上昇、他社のバイオマス発電所における爆発火災事故発生を踏まえた保険料率の上昇、安全規制の強化による開発費の高騰、燃料供給会社の倒産リスク、景観等に関する県条例制定の動きなど、太陽光発電設備・風力発電設備やバイオマス発電設備の開発・工事が計画通りに進捗できず、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは代替事業地点が確保できるよう多様な地点での開発調査や燃料供給会社の多様化を進めること等により、リスクヘッジを図っています。
再エネ事業の発電事業に関して、ビーエイブルが運営する太陽光発電所は、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(FIT制度 再生可能エネルギー固定価格買取制度)の認定を受けた設備による発電事業を行っており、現行制度では一度適用された買取価格は当該法で定める期間内において変更されることはありません。しかし、経済産業省・資源エネルギー庁による再生可能エネルギー固定価格買取制度の見直しの検討など、エネルギー政策及びその他ビーエイブル事業に関連する各種法令等が変更された場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、太陽光発電は、発電出力が天候の影響を受ける自然変動電源であり、電力需給バランスを保ち電力供給の安定化を図ることを目的として、運転開始後における無制限・無補償の出力制御を受け入れることが系統への接続要件となる出力抑制ルール拡充の制度改定(2015年1月)により、想定を上回る出力制御が実施された場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、再エネ事業における電力小売事業に関しては、その販売電力量は経済・景気動向等の外部環境の影響を受けるほか、電力小売全面自由化(2016年4月開始)に伴う新規競合他社の参入等による競争環境の変化、電力取引市場における卸電力取引の動向、相対取引の価格動向等により影響を受ける可能性があります。新規参入者の急増は、電力販売価格の下落を招く可能性があり、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②-3 その他事業における業界動向等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
介護事業は、2000年4月の介護保険制度の施行以来、在宅サービスを中心に老後生活を支える仕組みとして定着してきています。今後も団塊世代の高齢化に伴い、利用者は増加基調にあり、介護市場は規模拡大が予想されています。これにより毎年多くの新規事業者が介護事業に参入しており、競争の激化により利用者確保が困難となる場合には、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
このため、ビーエイブルは綿密な市場調査に基づいて健康事業を展開するとともに、利用者の満足度向上に資する施策を講じることで、利用者確保に努めています。
(2)事業運営に関するリスク
① 特定の取引先等への依存に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、東京電力ホールディングス株式会社の取引依存度が高い(東京電力ホールディングス株式会社との直接取引額では、同社からの工事の総額がビーエイブル売上の50%程度、同社のグループ企業も含めた総額はビーエイブル売上の70%程度)ことから、福島第一原子力発電所の廃炉の計画変更等によって、ビーエイブルの事業、業績及び財政状態は影響を受ける可能性があります。
このため、ビーエイブルは福島第一原子力発電所の廃炉作業においても、特定の工事計画に変更等があっても、その影響が限定された範囲にとどまるよう、特定の工事にだけ取り組むのではなく、燃料デブリ取出し関連工事、使用済燃料取出し関連工事、汚染水対策工事、廃棄物処理関連工事など、多種多様な廃炉作業に幅広く取り組むとともに、東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所の新規制基準対応の安全対策工事・再稼働準備工事等、廃炉措置工事以外の工事にも取り組んでいます。
また、東京電力ホールディングス株式会社以外に、東北電力株式会社女川原子力発電所、北陸電力株式会社志賀原子力発電所、中国電力株式会社島根原子力発電所、日本原子力発電株式会社東海発電所、日本原燃株式会社等にも進出し、工事を進めることで収益源の多様化を図っています。
さらに、 特定の取引先や特定の業種への依存を避けるため、廃炉・原子力以外として、千葉県木更津市を事業拠点とする一般産業工事や、再エネ事業の開発にも事業展開して、特定取引先等への依存リスクの低減を図っています。
② 投融資事業の不採算リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、風力発電やバイオマス発電等の再エネ事業の開発において、原則として開発事業のプロジェクト関連契約や融資関連契約の締結確度が高まり事業性が見込めるような段階になった時点で特別目的会社(SPC)を設立し、そこに出資を行い、事業化を加速します。SPCに出資後に急な環境の変化で事業化を断念した場合等においては、当該出資のリスクが顕在化し、損失を計上することになります。このような場合にはビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
リスクとしては、再エネ事業の開発中止のほか、再エネ事業の開発投資決定後の為替の急激な変動、資機材・人件費の高騰や、投資事業における稼働率の低下等が考えられます。また、波力発電設備の研究開発や一般産業部門の工場建設等における出資のリスクが顕在化し、損失を計上するような場合も考えられます。
ビーエイブルは、事前の市場・技術調査や段階的な研究開発計画において慎重な検討や検証を重ねることにより、リスクヘッジを図るとともに、リスクの確認と運用状況のモニタリングを実施しています。
③ 契約に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
事前の契約審査が不十分で、設備設置工事において、設備故障等の不可抗力の事象が請負責任になる可能性があります。ビーエイブルは、新規契約案件等について事前に契約書類の法務審査を実施することや受注検討会の実施等により、不可抗力の事象が請負責任化するリスクを低減するため契約内容の精査等に努めています。
④ 長期契約等に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、再エネ事業の運転保守(オペレーション&メンテナンス)基本契約等において、長期請負契約を締結する場合があります。
長期請負契約等に基づく収益認識においては、見積原価総額、見積収益総額、契約に係るリスクやその他の要因について重要な仮定を用いて見積る必要があり、この見積りは変動する可能性があります。価格が確定している契約の予測損失は、その損失が見積られた時点で費用計上していますが、見積りは変動する可能性があること、また、当該契約に関する当初の見積りを見直す必要が生じる場合は、ビーエイブルの事業、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは長期契約締結においては、エスカレーションなどを加味した長期契約とすることで、契約締結内容においてリスク回避をしていく計画でおります。
⑤ 代表者への依存リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルの代表取締役社長である佐藤順英は、ビーエイブルの創業者であり、創業以来、経営者として経営方針や経営戦略を決定するとともに、組織運営上の中核的役割を担っております。また、同氏はビーエイブルの支配株主であり、ビーエイブルの経営に関する重要な意思決定に対して一定の影響力を有しております。
今後何らかの理由により佐藤順英の業務執行が困難になった場合には、ビーエイブルの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。ビーエイブルでは、他の経営陣や幹部への権限委譲を行うことで依存度合いを薄めてまいります。
⑥ 有利子負債依存度に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、運転資金、研究開発資金、風力発電事業の実現可能性の調査・検証等に対応するため、有利子負債による資金調達を行っております。
今後、金利の急激な変動や金融情勢の変化、財務制限条項(コベナンツ)の影響等により、計画どおり資金調達ができない場合には、ビーエイブルの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルでは、特定の金融機関に依存することなく、案件ごとに複数の金融機関へ融資を打診し、融資シェアバランスを考慮した調達先選定と、金融機関との良好な関係構築に努めることで、現時点では資金調達余力を確保しております。
⑦ 借入金の財務制限条項に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルの借入契約の一部には財務制限条項が付されており、万が一これらの条項に抵触した場合には、期限の利益を喪失し、一括返済を求められる可能性があるため、事業運営に影響を及ぼすリスクがあります。ビーエイブルの経常利益は黒字を継続しており、財務制限条項に抵触する水準に対して十分な余裕のある状態にありますが、ビーエイブルではこの状態を維持しつつ有利子負債の計画的な返済を進めるとともに、金融機関との安定的な関係維持に努めることにより、当該リスクの低減を図っております。
⑧ 重大な不適合発生のリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルの施工不良等による設備損傷、又は据付設備が性能基準を満たさない等、重大な品質不適合が発生し、工期遅延やコスト増加の発生リスクがあります。
このため、ビーエイブルでは、「不適合ゼロ」に向けた取り組みとして、詳細な施工要領書を作成し、関係者全員で作業前に行う事前検討会において読み合せを行う等、工事品質の維持向上を図っております。
また、過去の不適合事例を関係者へ教育・啓発活動を行うとともに、品質保証体制を強化し、不適合発生の未然防止に取り組んでいます。
⑨ 重大な労働災害発生のリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
重大な労働災害(死亡災害、重篤な災害、許容被ばく線量の超過等)については、これまでビーエイブルで発生したことはありませんが、今後工事の施工中に、ビーエイブルの責任により重大な労働災害が発生する可能性は否定できません。
ビーエイブルは、重大災害の未然防止を図るために、中期経営計画の重点ポイントとして「絶対安全戦略」を掲げ、軽微な事象であっても原因究明と再発防止策を実施し、災害ゼロに向けて水平展開を図ることや、「放射線管理基本計画書」に基づき厳格な被ばく線量管理を実施すること等により、重大事故発生の未然防止を図っています。
また、関係者への安全教育や啓発活動を行うとともに、三現主義(現場・現物・現実を重視する是正・再発防止の基本原則)を確実に実施するため、安全管理・放射線管理の体制強化を図っています。
なお、ヒヤリハットのような軽微な事象であっても、当日作業後に一斉メールで情報共有することを実施しています。日々の作業状況の報告により、報告漏れや隠ぺいが起きない風通しの良い企業風土の醸成に努めています。
⑩ バイオマス発電所の重大災害発生リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルが事業運営に関係するバイオマス発電所の運営会社(エイブルエナジー合同会社(以下「エイブルエナジー社」という。))のバイオマス発電所は、爆発火災事故が発生している他社のサイロ式バイオマス発電所(サイロから木質燃料を自動搬送し、ボイラで連続的に燃焼させる方式)とは異なり、燃料は木質ペレットを燃料として用い、燃料倉庫から一定量のペレットをトラックで輸送し、ボイラの燃料供給装置に一定量のペレットを順次供給するバッチ処理方式の設備です。
また、燃料倉庫は細かく区切り火災が延焼しない構造であり、各ブロックには消火設備・温度センサーを設置し、中央制御操作室で常に監視している等、類似災害の発生に対しては十分な対策を講じております。
しかしながら、大量の木質ペレットを扱うバイオマス発電所であり、万が一火災事故等が発生した場合には、施設の損傷に止まらず、万一周辺地域まで被害が及んだ場合には、エイブルエナジー社とともにビーエイブルに対する信頼性の低下や多額の損害賠償請求などが発生する可能性があり、エイブルエナジー社だけでなく、ビーエイブルの事業、業績及び財政状態に重大な影響が及ぶ可能性があります。
このため、エイブルエナジー社の火災保険の付保は勿論のこと、ビーエイブルは、関係者への防火教育、設備巡視、計画的な点検清掃等を徹底して実施するよう指導し、爆発火災事故等の重大災害の発生防止を図っています。
⑪ 情報管理・セキュリティに関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルは、サイバー攻撃・システム障害・作業ミスや社内ルール違反等により、ビーエイブルの事業運営に支障が生じた場合や、ビーエイブルが保有する機密情報/個人情報が流出した場合には、社会的信頼が失墜し、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
ビーエイブルは高度化・巧妙化するサイバー事案に関して、セキュリティ教育・啓発活動の実施、2重のファイヤウォールシステムによる防御対策、事業継続計画(BCP)として基幹システムの定期的なバックアップ実施など、情報管理とセキュリティ対策を徹底し、リスク低減に努めています。
⑫ 調達活動に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルの調達活動では、工事事業における工事施工中の資機材価格・労務費の高騰等により、工事原価が増加するリスクがあります。
また、資材価格の高騰によって労務費が圧迫され、適正な労務単価の確保が困難になる場合や、取引先の財政悪化や経営破綻など、取引先(サプライヤー)信用リスクが顕在化した場合には、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このため、ビーエイブルは新規契約案件等について契約内容の事前審査を実施するとともに、受注検討会において工事原価の慎重な検討を実施しています。
また、工法改善による資材・労務力の低減や、協力工事業者・資機材供給業者と情報共有し連携強化を図ること、定期的な信用調査や信用リスクに応じた取引限度額の設定など、信用リスク管理の施策により、リスクの回避・最小化に努めております。
電力小売事業における調達活動として、現在は一般社団法人日本卸電力取引所より電力を調達しています。将来はエイブルエナジー社の発電電力を特定卸供給によって東北電力ネットワーク株式会社より調達する予定です。一般社団法人日本卸電力取引所における取引価格は、国際情勢を反映した原油、天然ガス等の資源価格の動向、季節や時間帯の電気の需要動向、太陽光発電の稼働状況、原子力発電所の稼働状況等、様々な要因によって変動します。
ビーエイブルは、市場価格高騰リスク対策として市場価格連動メニューにて販売しています。また価格ヘッジ取引によるリスク軽減も今後行っていきます。現状は、同取引所の取引価格が大きく変動した場合でも、ビーエイブルの業績・財政状態に影響を及ぼす可能性は小さいと考えています。但し、今後、低圧需要家や高圧需要家向けに従量制料金メニューを導入しこれを採用する需要家が増えていった場合は市場の取引価格の高騰がビーエイブルの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、電力小売事業における電力調達量に関しては、ビーエイブルは一般送配電事業者の送電ネットワークを介して電力を供給するため、一般送配電事業者の定める託送供給約款等に基づき、需要想定と実際の需要量を、それぞれ30分毎に一致させる義務(計画値同時同量制度)を負っています。事前に計画した需給量と実際の需給量の差分は、インバランス(料金)として一般送配電事業者との間で精算されることになります。ビーエイブルは、需給管理システムを用い、時間毎の需給バランスの最適化を図っておりますが、同時同量を達成できない場合において精算するインバランス料金が多額に生じる場合、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 外注業者及び外注管理に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、工事事業の外注業務において法令違反等を含む契約不適合等が判明した場合、その管理責任を問われる又は信頼性の著しい毀損が生じることにより、ビーエイブルの事業運営、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは外注先の協力企業社員を含めてビーエイブルで教育を実施するとともに、受注検討会において外注管理を徹底しております。
また、外注先による工事施工にあたっては、外注工事毎にビーエイブル社員を配置する体制により、適切な外注工事管理を行うことで、リスク低減を図っております。
⑭ 債権回収リスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
原子力分野の工事事業においては、顧客は大企業であることから債権回収リスクは小さいと考えています。但し、再生可能エネルギー分野の工事、メンテナンス事業や電力小売事業においては、顧客が中小企業となる場合も多く、顧客の財務状況によっては債権回収不能となるリスクが存在します。契約前、及び契約後も定期的に顧客の与信管理をしっかり行うことで債権回収リスクの低減に努めて参ります。電力小売事業において債権回収不能が起こった場合は、回収に努めるだけでなく電力供給を停止することを契約に盛り込むことでリスク低減を図るようにしています。
⑮ 販売活動におけるレピュテーションリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
原子力分野の工事事業において、安全文化・核セキュリティ文化の取り組みが不十分な場合や、介護事業における重大不祥事が発生した場合等には、企業ブランド価値毀損や、信用失墜のリスクがあります。
このため、ビーエイブルでは、「人として正しいことを正しいままに貫く」という考えを経営の基本とし、関係者への教育・啓発活動を継続的に実施するとともに、「コンプライアンス行動規範」を制定し周知・啓発活動を実施してリスク低減に努めております。また、原子力分野の工事事業では顧客満足度調査によるお客様評価の把握や、健康事業において利用者様のご意見を伺う活動の実施等により、レピュテーションリスク低減を図っております。
⑯ 人材不足に関するリスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
ビーエイブルは、新しい事業分野に進出し、事業規模を拡大していくため、また、既存事業の継続・拡大を図るために高度な専門性を有する多様な人材を採用することが重要と考えています。しかし、少子化等の要因により、新卒及び中途での人材の採用が困難になった場合や、著しい人材流出の発生により、人材不足に陥る可能性があります。このような場合には、ビーエイブルの将来的な事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルでは多様な人材を採用するために人事処遇制度の見直しを図るとともに、多様なチャンネルによる採用活動の展開、広報活動の充実等により企業知名度の向上に努めております。
また、教育・研修制度の充実や働きやすい環境づくり等の離職防止策の実施や協力企業の発掘等により、外注先の協力企業の労働力確保も含め、ビーエイブルの動員力の強化に努めております。
今後も採用活動の強化に努め、働き方改革や育児支援を実施することで、リスクの回避・影響の最小化を図ります。
⑰ 人材育成に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、成長の機会が与えられないことによる社員のモチベーション低下や、業務遂行に必要な能力・スキルが獲得出来ないことによる工事の遂行力・効率・品質の低下、生産性の低下による納期遅延等により、事業運営に支障をきたす可能性があります。
このため、ビーエイブルでは技術継承を図る取り組みとして、社員が自分の技量・力量を「スキルアップシート」を用いて評価・分析し、技術・知識の向上を図る取り組みを実施するとともに、研修や資格取得の機会を提供し、社員のモチベーションと生産性の向上に繋げ、リスクの回避・影響の最小化を図っております。
(3)法的規制・訴訟に関するリスクについて
① 法令違反・訴訟に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
ビーエイブルが事業活動を行うには、「建設業法」、「労働者派遣法」、「労働安全衛生法(電離放射線障害防止規則)」、「労働基準法」、「職業安定法」、「電気事業法」、「介護保険法」及び関連する各種法令による規制を受けております。
また、ビーエイブルは、建設業許可等のほか、介護保険法に定める必要な届出をしております。
ビーエイブルが事業活動を継続する上で特に重要な許認可は、工事事業における「一般建設業許可」であります。ビーエイブル売上高に占める工事事業の割合は高く、一般建設業許可が取り消された場合には、主要な事業活動の継続が困難となるため、ビーエイブルの事業運営、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
現時点の許認可等の取得状況は,下表のとおりです。
現時点において、当該許認可等が取消しとなる事由は発生しておりません。しかしながら、将来、法令違反その他の事由により一般建設業許可をはじめとする重要な許認可等が取り消された場合、又は更新が認められなかった場合には、主要な事業活動の継続に重大な支障が生じる可能性があります。また、行政処分による営業停止や社会的信用の低下等により、ビーエイブルの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、現時点において、ビーエイブルの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりません。ビーエイブルは、法令及び契約等の遵守に努めておりますが、法令等に対する違反の有無にかかわらず、事業活動において訴訟の提起を受ける可能性があります。重大な訴訟が提起された場合、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
さらに、電力小売事業に関連する電気事業法については、電力システムに関する詳細制度設計、制度見直しの議論が継続的に行われており、その内容によっては、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
このため、ビーエイブルでは、電力システム改革の検証に伴う制度設計の検討状況を注視するとともに、「コンプライアンス行動規範」を制定して関係者への教育・周知・啓発活動を継続的に実施し、リスク低減に努めております。
② 環境保護等の規制リスク
(発生頻度:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、再エネ事業として風力発電施設等の開発事業を行っています。ビーエイブルは、開発地点の事業化にあたって、当該地域における過去の環境アセスメント実施履歴の調査や自主調査等により環境アセスメントにおける必要対処項目の事前確認を行っています。しかしながら、事前調査では想定されていない必要対処項目が発生した場合や、環境アセスメントにかかる法令又は条例の改訂が行われた場合には、事業化時期、開発規模又は開発可否等に影響を及ぼし、又は環境アセスメントに要する費用の増加する可能性があります。このような場合には、ビーエイブルの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)その他のリスクについて
① 自然災害・気候変動・感染症に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、国内に事業所・工場・営業所・研究開発拠点等の施設を有しています。日本は地震・津波・台風など多くの自然災害に見舞われており、今後も大規模な自然災害により、取引先(サプライチェーン)や顧客も含めて、事業活動に影響を受ける可能性があります。
さらに、気候変動に起因して、渇水・長期的な気温上昇や洪水などの自然災害が一層深刻化する可能性があります。
このような自然災害により、ビーエイブル施設が直接損傷を受けた場合、事業活動が中断するだけでなく、多額の修理費の発生など多くの損失が発生する可能性があります。また、感染症の流行などにより社員が就労不能となった場合、工事施工力の低下等の混乱が生じる可能性があります。
すべての潜在的な損失に対して保険が付保されている訳ではなく、自然災害その他の事象により、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクへの対応として、ビーエイブルは事業継続計画(BCP)の策定による事業中断リスクへの対応力強化等を図っております。また新たな事業所等設置にあたっては、ハザードマップなど地域特性を設計・計画に反映するとともに、気象情報から事前の災害対策を実施した上で、必要に応じて損害保険を付保することにしています。
② 関連会社の業績の悪化に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
ビーエイブルは、関連会社に対して出資を行っております。これら関連会社の業績が事業環境の変化等により悪化した場合、ビーエイブルが保有する投資の回収可能価額が帳簿価額を下回ると判断されるときは、減損損失を計上する必要が生じる可能性があります。
現時点では、関連会社は長期の売電契約や複数の燃料調達ルート等により安定した事業運営を行っており、減損が発生する蓋然性は高くないと認識しておりますが、外部環境の変動等によりビーエイブルの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当該関連会社はいずれもプロジェクトファイナンスにより資金調達を行っており、ビーエイブルは追加出資や債務保証などのスポンサーサポート義務を負うものではありません。そのため、ビーエイブルの損失リスクは出資金額の範囲内に限定されています。
また、当該関連会社であるエイブルエナジー社においては、燃料の安定供給保証・その為替レート・売電価格等について変動リスクがあるため、長期契約の締結等により、リスクヘッジを図っています。
ビーエイブルの関連会社への出資額は、エイブルエナジー合同会社2,595百万円、合同会社佐野バイオマス発電457百万円 (本書提出日2026年6月25日現在)であり、再生可能エネルギー分野における発電事業等を行っています。
③ 株式の流動性に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:直近1~2年、影響度:小)
ビーエイブルは、2026年7月に東京証券取引所スタンダード市場への上場を計画しており、自己株式の処分及び売出しによってビーエイブル株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、ビーエイブルの新規上場時における流通株式比率は、33.5%となっております。
このため、株式市況等の要因により流通株式比率が向上しない、あるいは低下する可能性があり、これらの場合にはビーエイブル株式の市場売買が停滞すること等によりビーエイブル株式の需給関係に影響を及ぼす可能性があります。
ビーエイブルは、これらのリスク低減を図るため、状況に応じて既存大株主への一部売出しの要請、ビーエイブルの事業計画に沿った成長資金の増資による調達を勘案し、流動性の向上を図ってまいります。
④ 人権問題の発生に関わるリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
ビーエイブルは、人権問題(パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、外国人労働者への差別等)が発生した場合には、人材の能力が十分発揮できないばかりでなく、ビーエイブルの社会的信用が低下し、顧客からの発注停止などにより、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは関係取引先からの情報収集や調査、関係者とのコミュニケ―ションの過程で、「コンプライアンス行動規範」等からの逸脱行為があると判断した場合には、是正に必要な措置などを講じます。
また、社内外に内部通報制度を整備して迅速な情報収集と健全な企業風土の醸成に努めております。
⑤ 内部統制に関するリスク
(発生頻度:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
ビーエイブルは、今後さらなる事業拡大を図るため、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、内部統制の体制整備が必要不可欠と認識しています。業務の適正性及び財務報告の信頼性確保のための内部統制システムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、内部統制の体制整備が追いつかない状況が生じる場合には適切な業務運営が困難となり、ビーエイブルの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ビーエイブルは今後の事業規模拡大に応じた内部統制の体制を構築できるよう、管理部門や内部監査室の人材を強化するとともに、コーポレート・ガバナンスの重要性について教育研修を実施することにより社内の共通認識とし、内部統制の管理体制の一層の充実を図っております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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