西部技研グループ(西部技研及び西部技研の関係会社)は、西部技研、連結子会社10社の計11社で構成されており、デシカント除湿機やVOC濃縮装置等の製造、販売、据付工事等のサービスを主な事業として取り組んでおります。なお、西部技研グループの事業は、空調事業の単一セグメントであるため、以下製品及びサービスごとに記載しております。
(1) 技術の特徴
西部技研は、1965年に前身となる株式会社西部技術研究所を立ち上げ、1974年に連続ハニカム成形技術(図1)を確立いたしました。シート状の素材と波形の素材を交互に積層接着して形づくられるのが、西部技研グループ製品のコアとなるハニカム積層体です。ハニカム積層体とは、ダンボールの板紙のようなものを何層にも重ねて作る構造体で、断面が蜂の巣(honeycomb)に似ていることから、一般的にハニカムと呼ばれています。このハニカム積層体は、空気抵抗が少なく、強度に優れ、表面積が広いという3つの特長を有しております。西部技研のコア技術は、多くの素材をハニカム状に加工できることと、そのハニカムに様々な機能剤を添着し、特別な機能を持たせることです。この技術を製品の心臓部となるハニカムローター(回転体)(写真1)に用い、デシカント除湿機やVOC濃縮装置、全熱交換器(注1)等を世の中に提供してまいりました。私たちは設立当時より培ってきたこのハニカム加工技術の強みを活かしながら、地球環境に貢献する製品を生み出し続けることを重要なミッションと考え、日々新たな技術を磨いております。
図1:ハニカム成形技術の概念図
写真1:ハニカムローターの写真
注1:各製品の用途や特徴については、後述の「(2)主な製品」にて説明いたします。
(2) 主な製品
(デシカント除湿機)
一般空調に用いられる除湿には主に「冷却式」と「デシカント式=吸着式」の2つの方式があります。「冷却式」は空気中の水分を冷却し結露させて除湿する方式です。一方「吸着式」は吸湿材に湿気を吸着させて空気を除湿する方式です。デシカント式除湿機は、シリカゲルやゼオライト等の吸着材を用いてハニカム内部に湿気を吸着させて空気を除湿します。空気を冷却する必要がないため、低温時や空気中に水分が少ない低露点環境においても、効率的に除湿することができるのが特長です。
最終製品の品質維持のためにその製造工程で湿度コントロールを必要とする食品・製薬工場だけでなく、世界的に需要が急増中のリチウムイオン電池、二次電池や有機ELといった先端技術の製造工程にも採用されています。また、美術館・博物館、スーパーマーケット、室内アイススケートリンク、発電所や船舶輸送においても使われており、その用途は多岐にわたります。販売・設置に加え、導入をご検討いただいている新規顧客もしくは一定期間限定で使用される顧客に対しては、小型標準モデル機のレンタルサービスも提供しております。その中でも近年急拡大している車載用電池の製造においては、高性能、高耐久性、高安全性といった厳しい品質基準が求められているため、そのほとんどの工程で-40℃露点(注1)以下の非常に低湿な環境が不可欠であります。このような超低湿環境を省エネルギー性も加味して実現するには一般的な冷却式除湿機では実質的に不可能で、現在のところデシカント除湿機のみが有効な方式であると認識され採用されております。
また、日本国内においては、デシカント除湿機を用いたドライルームシステムの設計、設置工事も行っており、一般的な-40℃露点クラスから-90℃露点以下の超低露点まで幅広い要求にお応えしております。
デシカント除湿の原理
デシカント除湿機は下図のとおり、中心の除湿ローター、処理空気を送風する処理ファン、再生空気を送風する再生ファン、再生空気を高温にするための再生ヒーターで構成された機器です。湿度の高い処理空気が処理ファンにより除湿ローターの処理ゾーンへ送られ、除湿ローター内に含侵された吸着剤(シリカゲルもしくはゼオライト)により水分がローター内に吸着され、処理ゾーン出口より乾燥空気が供給されます。一方、その吸着された水分はローターの回転により、再生ゾーンに運ばれ、そこに高温再生空気を給気することにより、吸着されていた水分が脱着され、室外へ排出されます。この吸着と脱着のサイクルをローターの回転とファンにより連続的に除湿する方式がデシカント除湿機です。なお、処理、再生ゾーン間は、互いの空気がリークして混合しないようなシール構造と独立した風路により気密が保たれております。
デシカント除湿機(標準機)
注1:空気はその温度が低ければ低い程、その空気が含むことのできる水分量が小さくなります。ある温度の空気を冷却し続け、その水分を維持することができずに結露する温度のことをその空気の露点といいます。
(VOC濃縮装置)
1990年代より米国を始め、欧州、そして中国の産業化に伴い、大気汚染防止のための厳しい環境規制が施行され始めました。近年ではその規制もさらに厳しくなってきており、特に半導体、自動車塗装のような大風量のVOC混合排気の処理においては、西部技研VOC濃縮装置による方法が省エネルギー性も兼ねて、非常に効率的に処理することができる環境保全装置として広く認識されております。
VOC濃縮装置は、塗料から発生する大気汚染の原因となるベンゼンやトルエン等を総称した揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、以下「VOC」という。)を選択的にVOC濃縮ローターに吸着させ、排出ガスの無害化を可能にします。
1988年に、世界に先駆けてゼオライトを用いたVOC濃縮ローター商品化に成功して以後、塗装や印刷業界だけでなく近年では急進中の半導体製造工程といった多様な用途に柔軟に対応した製品展開及び豊富なオプション展開をしております。中国やヨーロッパといった大気汚染に関連する法規制が厳しい国々や、大気汚染が深刻化する新興国において、法規制が今後制定・強化される可能性もあります。このような地域において今後も引き続き、製品展開に注力してまいります。
また、近年、同製品は新たな用途での可能性が確立されつつあります。電池の製造工程で使用される溶剤を回収してリユースする動きが出て来ており、同製品がこの溶剤回収を可能にする装置として注目されております。
当該製品は開発からモジュール製造に至るまで日本国内で手掛けており、その性能の高さから世界30か国以上の顧客に選ばれております。
VOC濃縮の原理
VOC濃縮装置は下図のとおり、中心のVOC濃縮ローター、ローター回転駆動装置、処理・再生ゾーンで構成された装置です。半導体や自動車塗装の工場より排出された大風量低濃度VOC混合排気が送風機により、ローター処理ゾーンへ運ばれ、VOCがローター内に含侵された吸着剤(疎水性ゼオライト)によりローター内に吸着され、処理ゾーン出口より清浄化されて排出されます。一方、吸着されたVOCはローターの回転機構により再生ゾーンに運ばれ、逆方向から送風された小風量の高温再生空気によりローターから脱着し、10倍から20倍に濃縮されたVOCガスが酸化分解燃焼装置へ運ばれ、水と炭酸ガスに分解処理し、清浄化されます。大風量、低濃度を直接燃焼装置で処理するためには大型の燃焼装置が必要となり、低濃度のまま燃焼分解するためには燃焼エネルギーを大量に必要としますが、VOC濃縮装置を導入することにより、燃焼装置を大幅に小型化することが可能であり、燃焼エネルギーも低レベルに抑えることで省エネルギー及びランニングコストの低減を実現いたします。
VOC濃縮装置
(その他)
上記主力製品のほか、換気によって失われるエネルギーを再利用しCO2削減に寄与する省エネルギー装置である全熱交換器も製造販売しております。全熱交換器は、室内からの還気が屋外へ排気される際、還気が持つ熱と湿気(全熱)をハニカムローターが蓄え、汚れた空気のみが排気されます。同時に取り入れた外気がローターを通過する際に、蓄えた全熱を外気が受け取り、冬は予熱・加湿、夏は予冷・除湿されて室内に給気されます。国内では西部技研の製品が、一般事務所ビル、研究施設、病院、ホテル、学校、船舶、プール等、多岐にわたる産業で採用されております。
(3) 製造・販売・サービス体制
① 製造体制
国内における生産工場は、本社が所在する福岡県に、第一工場(福岡県古賀市)と第二工場(福岡県古賀市)、第三工場(福岡県古賀市)、宗像工場(福岡県宗像市)を、神奈川県に湘南事業所(神奈川県高座郡寒川町)を展開しております。各工場での主な製造物は、第一工場では除湿ローター、第二工場では各種ハニカムフィルターを中心とした小型製品、第三工場ではデシカント除湿機の組み立て、宗像工場ではVOC濃縮ローター及びVOC濃縮装置の組み立て、湘南事業所では全熱交換器であります。
海外の生産工場は7拠点あり、スウェーデン(スパンガ)とポーランド(グディニャ)に主にデシカント除湿機を生産する工場を、アメリカ(ペンシルバニア州)に主に全熱交換器を生産する工場を、中国(江蘇省常熟市)に主にVOC濃縮装置を生産する工場及びデシカント除湿機を生産する工場(3か所)を展開しております。
② 販売体制
福岡県にある本社に営業本部を置き、この本部の指揮の下に東京・大阪・名古屋に営業拠点を設置し、国内市場の顧客開拓、販売拡大に努めております。
海外では、スウェーデン、アメリカ、中国、ポーランド、アフリカ、韓国等の各子会社との緊密な連携のもと、ヨーロッパ、アメリカ、アジアをはじめ、約50か国にその販売網を広げております。各地域への直接営業及び各地域に代理店を設置し、グローバルな販売体制を構築しております。
③ サービス体制
国内では、据付工事、メンテナンス、ローター交換まで提供しており、製品の性能を最大限に発揮できる環境づくりを行っております。西部技研の製品は、工場等の設備として長い期間使用されることも多く、簡単に改修できない巨大プラントへの導入等もあります。そのような環境下で安定した性能を維持管理し、トラブルを未然に防ぐためにも定期的なメンテナンスは重要です。さらに技術向上のスピードが速い現代においては判断の難しい、交換や改修のタイミング等についても随時ご提案を行っております。また、他社製ローターを使用中であっても、西部技研製ローターへの交換を可能としております。
国外においては、中国ではこれまで製造部と兼任で行っていたサービス業務をサービス部として独立し、さらに専任人材を採用することにより、他社競合との差別化を図りながらサービス事業の拡大に取り組んでおります。今後は、海外の各種ローターの交換需要にも積極的に対応できる体制構築に注力してまいります。
事業の系統図は次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、西部技研グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
「独創と融合」を西部技研の経営理念としております。これは、個々の独自性と創造性を尊重し、それらをあらゆる次元で発展的に融合させることにより、新しい価値を継続的に生み出していく、という意味があります。西部技研に関わる全てのステークホルダーに価値を提供できるよう事業展開を行っております。
西部技研グループ理念としては、「環境に優しい空気のソリューションを届ける。」をパーパスとし、また「クライメイト・ニュートラルな未来実現のため、空気処理技術のイノベーション・リーダーであり続ける。」をビジョンに掲げ、世界各国で社会課題の解決の一助となり得る製品・サービスを提供しております。また、コアバリューを次のとおりに定め、パーパス及びビジョンの実現を目指す上でこれらの価値観を意識し、日々の業務に取り組んでおります。
① お客様の信頼を得るため、常に高品質の製品とサービスをお届けする。
② 前向きで協力的な職場環境をグローバルに創造する。
③ 創造的思考を巡らせ、責任ある行動をとる。
④ 率直にそして誠実に行動する。
西部技研グループのデシカント除湿機により、製薬、食品製造工程だけでなく、近年ではリチウムイオン電池等の製造に必要不可欠なドライ環境を提供することで、製造途中で発生するロスを削減し、製品自体の品質を維持することが可能であります。また、自動車製造、造船、半導体製造の工程で排出される有害なVOC(注1)のみを吸着・濃縮する西部技研のVOC濃縮装置(注2)により、排出ガスを効率的に浄化処理することが可能であるため、処理過程で排出されるCO2を抑えながらの大気汚染防止に貢献しております。更に、電池製造工程で使われる溶剤を回収し再利用する用途にも使われており、顧客のサーキュラーエコノミー実現にも寄与しております。このように、西部技研グループは、顧客の抱える環境に関する課題、ひいては地球環境全体の課題を解決する一助となる製品・サービスを提供し、また当該製品・サービスの更なる改良や環境保全に貢献する新製品の開発をとおして、クライメイト・ニュートラルの実現に寄与することを目指しております。
(注1)VOCとは、Volatile Organic Compounds(揮発性有機化合物)の略語で、浮遊粒子状物質(SPM)、光化学オキシダント、悪臭等を発生する大気汚染物質のひとつであります。
(注2)VOC濃縮装置は、塗装、印刷、コーティング等の過程や、VOCを含む化学物質や原材料を使用する製造工場から主に排出されるベンゼンやトルエンといった有害なVOCのみを吸着・濃縮し、効率的な処理を行い、排ガスを浄化させるための、環境保全に貢献する装置であります。
(2) 経営環境
西部技研グループが属する業界の市場データが存在しないため、「デシカント除湿機」及び「VOC濃縮装置」に絞って記載をしております。
(デシカント除湿機)
デシカント除湿機が使われる用途は多岐にわたり、食品や医薬、倉庫や輸送を含むロジスティック関連、発電所、及び近年特にEV用リチウムイオン電池といった急進産業で必要とされております。
2023年の世界人口は約80億人であり、2030年には85億人、2050年には97億人にまで増加すると予測されております。また、それに占める65歳以上の高齢者の割合は2022年の10%から、2050年には16%にまで増加するとされております(注1)。これらの人口動態のトレンドにより、食品及び医薬品産業の安定的な伸びが見込まれます。また、リチウムイオン電池を含む蓄電池は、2019年の世界市場規模は約5兆円であり、2030年には約40兆円、更に2050年までに約100兆円に成長(注2)することが見込まれております。また、2018年に54兆円であった半導体関連の世界市場規模は、2030年には約100兆円に成長する見込みであります(注3)。これらの各産業において今後も積極的な設備投資が期待されており、各産業の成長と共に、西部技研グループのデシカント除湿機の需要増加が期待されております。これらの産業の中でも特に近年はEV用リチウムイオン電池産業におけるデシカント除湿機の採用が増えており、西部技研グループのデシカント除湿機販売においても最重要市場として位置付けております。同産業の最も大きい市場は中国であり、アメリカがそれに続き、各市場においてEV自動車への移行と共に更なる投資が見込まれております。今後も西部技研グループにとって需要拡大の機会であると認識しております。
(注1)United Nations『World Population Prospects 2022』
(注2)経済産業省『「次世代蓄電池・次世代モータの開発」プロジェクトに関する研究開発・社会実装の方向性
2021年7月』
(注3)経済産業省『半導体戦略(概略)2021年6月』
(VOC濃縮装置)
VOC濃縮装置が使われる用途も多岐にわたっております。自動車や船の塗装、半導体の製造、及びグラビア印刷の工程等で発生する揮発性有機化合物(VOC)やVOCを含む原材料を扱う生産拠点等で必要とされております。日本国内ではVOC排出に関して厳格に規制されていないものの、近年では特に、厳格なVOC排出規制が施行された中国や韓国において、施行前の対策措置として需要が急増する傾向がありました。現在、中国が最大の市場であり、韓国、ヨーロッパ、台湾、アメリカがそれに続きます。今後もこれらの市場において、本装置に使われている主要部品であるロータの交換需要が継続して発生すると認識しております。また今後は、インドや東南アジア諸国等、大気汚染が問題視されているにもかかわらず、これらの法規制が制定されていない国での需要増加を見込んでおります。
(3) 経営戦略
上記のような経営環境のもと、西部技研グループは2024年12月期を初年度とする3か年を対象とした中期経営計画を策定し、その実現に向けて取り組んでまいります。中期経営計画の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針
西部技研グループのパーパスの実現を通し、あらたな価値を提供することで、企業価値と社会価値の両立を図ることを目指し、また、2030年の西部技研グループビジョンの実現に向けての第1フェーズとして、持続的成長の土台づくりを目的として、以下の3つを2024年~2026年中期経営計画の基本方針としております。
1. コア事業で市場シェア拡大
2. 成長事業の本格始動
3. グループガバナンスの強化
② 数値目標
中期経営計画の最終年度である2026年12月期には、売上高375億円、営業利益率14%、EBITDAマージン18%、及びROE 14%を達成することを目標としております。
③ 戦略的方向性
電池領域
1. デシカント除湿機の安定供給継続とともに、海外サービス事業を拡充する
2. 車載用電池製造の最適環境創出のトータルエンジニアリングを提供する
半導体領域
1. 現在売上全体の7%を占める海外サービス売上を2026年から本格拡充し、安定的収益確保
2. 半導体材料製造に最適なクリーン環境のソリューション提案
その他の市場領域
1. 既存事業:既存の販売網を通じて継続的に伸ばす
2. 新規事業: 2027年に年間10億円の事業規模を目指す
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
西部技研グループは、持続的な成長を果たし、すべてのステークホルダーの利益増大と企業価値の向上を目指し、営業利益率、EBITDAマージン、及びROE(自己資本利益率)を重要な経営指標としております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
ウクライナ情勢等による原油価格をはじめとするエネルギー価格の高騰、米国による対中投資規制の影響等、複数の不確実要素が混在する中で、先行きは極めて不透明な状況であります。また、景気低迷に直面する中国市場をはじめ、企業間競争が激しくなることが予想されます。このような状況の中、西部技研グループを取り巻く状況も予断を許しませんが、引き続き、原材料価格や物流コスト上昇に対処すべく、生産効率化、業務効率化に注力、製品の安定供給を継続し、また、継続的に収益を確保できるサービス事業の海外展開により収益確保に繋げてまいります。
① 人材の育成
西部技研グループにとって、顧客の声に耳を傾け、顧客起点の製品開発を推進するための人材育成は最重要課題の一つと位置づけており、従業員のモチベーションの向上やスキルアップに取り組んでおります。さらに、世界各国で事業展開をしているため、グローバルに活躍できる人材の育成にも取り組んでおります。
また、全社的な労務管理を行うとともに、働き方の多様性を推進し、より良い労働環境の整備、運用に努めてまいります。
② 高品質、安全・安心な製品の安定供給
西部技研グループは、社会や業界を取り巻く法律や規制への対応に積極的に取り組むとともに、大規模な事故・災害等の発生に備えて、事業継続計画(以下「BCP」という。)を策定し、社員教育や災害訓練等によりBCPの周知徹底及び実効性の向上を図っております。
一方、経営環境に大きな影響を及ぼす、物流コストや原材料の価格と安定的な調達も大きな課題ととらえております。
③ 顧客ニーズに沿った製品開発と新しいマーケットの開拓
西部技研グループは、デシカント除湿機及びVOC濃縮装置を主力としております。
VOC濃縮装置については、西部技研がパイオニアということもあり世界市場でも認知度が高く、世界30か国以上の顧客に選ばれております。しかし、中国においては現地メーカーによる安価な製品が多く上市されており、競争が増しております。このような状況の中、西部技研グループは品質と性能で高く評価されており、現地の廉価な製品よりも高付加価値製品として市場でポジショニングが形成されており、売上を伸ばしております。また、新たな用途開拓のため、引き続き製品開発にも取り組んでおります。
一方、デシカント除湿機については、近年のEV普及に伴うリチウムイオン電池製造投資の急増により、西部技研グループのデシカント除湿機の売上は好調であります。しかし、当下期からの中国の景気悪化に伴い、同市場での競争が益々激化しております。中国現地メーカーに対しては性能等で製品の優位性を維持しているものの、西部技研と同様にグローバル市場で競合する他社においては、様々な製品やサービスを精力的に展開しており、世界市場での地位を維持しております。西部技研グループにおいては、引き続き顧客ニーズを満たす製品を提供するとともに、海外主要拠点での24時間のサービス体制を構築し柔軟に対応することで、顧客と良好な関係を築き、西部技研グループのプレゼンスを高める取り組みを進めております。
また、中長期的な視点から、将来的にリチウムイオン電池産業の伸びが緩やかになる可能性、又は、VOCを含まない代替塗料等が普及する可能性に備え、今から次世代製品の開発を進めておく必要があります。そのため、CO2濃縮技術を農業用途に実用化させ、2024年の販売開始に向けて現在準備を進めております。
④ 生産性の向上
世界的なEVシフト加速に伴い、高まるデシカント除湿機への需要に応えるために、経営資源を最適活用し、組織・業務・生産活動の効率化に努めてまいります。当期は、欧米での今後の需要増加を見込み、Seibu Giken DST Poland SP. ZO.O.(グディニャ)の既存のデシカント除湿機工場、Seibu Giken America,Inc.のデシカント除湿機工場を増設しました。また、福岡県宗像市に除湿ロータを生産する新工場の建設を予定しております。生産能力を上げることで収益力の向上に繋げてまいります。
⑤ グループ経営における社会的責任
西部技研グループの経営につきましては、社会的責任を果たすために、環境保全に積極的に取り組んでおります。西部技研グループの製品を使って頂くことで大気汚染防止に繋がり、顧客の製造過程で排出されるロスを削減し、また顧客におけるCO2排出量の削減にも繋がることから、西部技研グループの事業そのものが、2015年9月に国連持続可能な開発サミットで採択された「持続可能な開発目標:SDGs(Sustainable Development Goals)」の「12 つくる責任 つかう責任」及び「13 気候変動に具体的な対策を」等を達成することに繋がると考えております。
また、西部技研では2018年より企業主導型保育施設として「はにかむほいくえん」を運営しております。従業員の福利厚生としての側面だけでなく、地域の皆様の仕事と育児の両立をサポートできるよう、また、子どもたちの未来を地域で育むことを目標にしております。
さらに、「公益財団法人隈科学技術・文化振興会」への寄付を通して、科学技術に関する分野を専攻する大学院生に対する奨学金の給付及び日本文芸の伝統等の活動を行う団体等に対する支援を行っております。意欲ある若手研究者の独創的、先駆的な研究開発、実用化に対する助成及び起業家の育成、また日本文化の発展と伝承に寄与することは、持続可能な社会の発展につながると考えております。
今後も事業活動を通じ、SDGsを始めとする社会課題の解決に貢献できるよう努めてまいります。また、適切な企業情報の開示やコンプライアンスを一層推進するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化及び内部統制の充実に全力を投入致します。
⑥ 収益力の向上
グループ各社をあげて、高付加価値製品の受注拡大を図り、製造時間の短縮や製造経費のさらなる削減を継続して進め、利益確保に努めてまいります。また、利益率の高いサービス事業の海外展開を推進することで収益力の向上を目指してまいります。
さらに、Seibu Giken DST East Africaの早期黒字化及び債務超過の解消に向けて取り組んでまいります。
⑦ グローバルなグループ経営
国内外拠点の自立と連携を図り、各製造拠点の生産技術力の向上に努め、顧客に満足いただける品質、価格、納期及び製品開発をも含めた生産競争力の強化・充実に努めてまいります。
また、グループガバナンスの向上に向けた強固なグループ体制の構築に努めてまいります。海外のグループ子会社については、現地トップと西部技研経営陣が日常的に電話やweb会議等で頻繁に情報交換することで、課題やトラブル等に対して協議しながら解決に当たっております。それに加えて2023年より、グループ会社の経営陣によるGlobal Management Councilを開催することとし、グループとしての方針や戦略の策定と進捗管理、予算管理、共有課題の抽出と解決を図っております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下の事項は、西部技研グループに係る全ての事業等のリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測し難い事業等のリスクが存在するものと考えます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは西部技研グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な開示の観点から記載しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において西部技研グループが判断したものであります。
(1)事業環境の変化に関するリスク
(2)西部技研グループの事業活動に関わるリスク
(3)法的規制・訴訟等に関するリスク
(4)自然災害等に関するリスク
(5)財務状況に関わるリスク
(6)代表者への依存のリスク
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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