エコムは工業炉の設計から稼働後の保守サービスまで全工程を一貫して行う、「熱技術総合エンジニアリング企業」です。エコムという社名はEcology(環境) & Combustion(燃焼)から派生する造語であります。「熱のスペシャリスト集団」として、工場の省エネルギー化を実現し「加熱技術とDXで環境問題に取り組む企業」を企業目標に掲げております。
特に、気候変動の要因と考えられる二酸化炭素(以下「CO₂」とする。)の排出量低減に、エコムの加熱技術を活かしていきたいと考えております。2025年4月に環境省から発表されたデータ(出典:2023年度の温室効果ガス排出及び吸収量(詳細))によると、このCO₂の排出量の約34%は「工場等の産業部門」からの排出であります。これは、自動車を中心とする運輸部門を大きく上回る数字であります。さらに、その産業部門から排出されるCO₂の約40%は「工業炉」からの排出であります。(出典:日本工業炉協会文献資料「産業界の省エネルギー/環境負荷低減に大きく貢献する高性能工業炉」)これは、日本全体の排出量の約14%にも及びます。このような現状から、2050年にCO₂排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指す我が国の社会的要請に対して、工業炉メーカー(工場の生産ラインの中でも、特に「加熱工程」を専門とした機械メーカー)に属するエコムは、この脱炭素社会の中で求められる工業炉の省エネルギー化を事業活動の中心に位置付け、その事業活動と社会貢献を両立し、持続可能な成長を目指します。
事業セグメントは、①工業炉の開発・設計・製造を行う「産業システム事業」と、②工業炉の点検、監視、改造工事を行う「保守サービス事業」で構成されております。設計のみ、製造のみを請け負うメーカーが多い中、川上の設計から川下の保守までの一連の工程すべてを自社で行えることがエコムの強みであります。
セグメント別の事業内容は以下のとおりであります。
① 産業システム事業
産業用の大型工業炉を、オーダーメイドで設計・製造する事業であります。
産業システム事業は、「ファーネスプロダクツ」、「ヒートトライアル」及び「省エネ環境デバイス」の3つの分野で構成されております。
a.ファーネスプロダクツ
世の中で使用されている様々な商品や製品については、強度を増したり、物性を変化させて安定させたりするために、いわゆる「熱処理」が施され、その品質が維持されています。そして、その「熱処理」を通して、商品や製品は「硬く」「強く」「精度よく」「美しく」なり、機能し始めます。エコムは、これらの「熱処理」を行う工業炉をオーダーメイドで設計、製造します。工業炉には、金属を溶解する「溶解炉」、塗装を乾燥する「乾燥炉」、樹脂を硬化する「硬化炉」など、様々な種類があります。それらの工業炉を用いて、アルミ・ガラス・炭素繊維などの素材から、車やスマートフォンの部品などが作り出されています。「部品を作る機械を作る」ことがファーネスプロダクツ事業であります。
なお、エコムの産業システム事業の顧客は自動車業界をはじめ金属重工業、繊維化学、電機・半導体関連となります。自動車部品の製造には、アルミ溶解、塗装乾燥、部品の強度を高めるためのアニール処理など、様々な熱処理が必要となります。特にエンジン系やブレーキ系を始めとする重要保安部品に要求される品質基準は非常に高く、精緻な加熱コントロールが求められます。
また、中長期的には自動車業界は「100年に一度の大変革期」にあり、自動車メーカー各社はCASE対応(Connected Autonomous Shared & Services Electric)に多額の資金を投入しております。
駆動方法が「エンジン」のみならず「EVモーター+電池」も加わる中、エコムは、Electric(電動化)から派生する新たな自動車部品(モーター、インバーター、水素タンクなど)の製造に必要な工業炉を受注するために、エコムテクニカルセンター(ETC)を積極活用し、設備開発段階からプロジェクトに参加できる体制を構築しております。
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製品例1:エレベーター式アルミ熱処理装置 (熱処理装置) |
製品例2:遠赤外線アニール装置 (硬化炉) |
製品例1:エレベーター式アルミ熱処理装置(熱処理装置)
熱源はガスバーナーを使用しております。炉は上下2段に分かれており、地下に焼入れ水槽があります。エレベーターにより製品を投入すると、溶体化処理(注1)→焼入れ処理(注2)→時効処理(注3)の順に自動で熱処理が行われます。
注1.溶体化処理とは、アルミ合金を充分に加熱して、元素を均一に溶け込ませる熱処理のことであります。
注2.焼入れ処理とは、アルミ合金を高温に加熱してから、水や油などに入れて急激に冷却する処理のことであります。
注3.時効処理とは、時間の経過に伴って、アルミ合金の硬さなどの機械的性質が変化すること(時効)を利用して行う熱処理のことであります。
(熱処理の目的)
近年、自動車の軽量化の為に、アルミ部品の採用が増えております。本処理を行う事で、鋳造後のアルミ部品の硬度の向上と歪の除去を行っております。エンジンブロックなど、部品の中でも重要保安部品に必要な処理となります。
製品例2:遠赤外線アニール装置(硬化炉)
熱源は遠赤外線ヒーターを使用しております。樹脂やプラスチックなどの対象物に遠赤外線を放射し、物質の元である分子が振動し振動熱を発生させることで加熱処理を行います。この振動熱を利用することで、対象物の内部まで短時間で加熱することが可能となります。
(熱処理の目的)
自動車や家電などに使用される樹脂系部品の硬化処理やプラスチック成形品の残留応力(歪)を除去するために行います。
受注の多くは開発機(テスト機)として1台の受注から始まりますが、最終的には複数台の量産機となり、将来的なリピート受注が期待できるビジネスモデルとなっております。逆に言えば「いかに開発機を受注するか」が営業上のポイントであり、そのための具体的な取り組みが、次に述べる「ヒートトライアル」になります。
その他製品例
その他製品例1:ハイブリッド熱処理炉 その他製品例2:省エネバーナー搭載焼鈍炉
(熱処理炉) (焼鈍炉)
その他製品例1:ハイブリッド熱処理炉
昇温部はガスを利用し、均熱部は電気を利用する事でエネルギー使用量とCO₂排出量の低減が可能となる新しいコンセプトの工業炉です。
その他製品例2:省エネバーナー搭載焼鈍炉
金属熱処理を目的とした焼鈍炉に排熱回収式熱交換器搭載型の省エネバーナー「ecoNext(エコネクスト)」を搭載する事でエネルギー使用量とCO₂排出量を低減しています。
b.ヒートトライアル(製品加熱テスト)
「何度で何分加熱すればよいのか?」その最適解を見つけるのがヒートトライアルであります。
エコムのエコムテクニカルセンター(ETC)では、顧客企業が「ワーク」を持ち込んでエコムとともに加熱テストを行っております。ワークとは、エンジンブロックやホイール、モーター、フィルムなどの加熱対象物のことであります。熱処理には、熱源(ガス又は電気等)、温度、圧力、風速、加熱方向、ノズル形状、及び搬送方法など様々なパラメータがあり、品質を担保しながら最短の処理時間を模索します。顧客企業が工業炉を発注するには、これらのパラメータを記した仕様書が必要となります。エコムは、この仕様書を顧客企業とともにテストを重ねながら作り上げていきます。ヒートトライアルの結果、既存の炉と比較して50%以上の省エネに成功するケースも少なくありません。
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エコムテクニカルセンター(ETC) |
ヒートトライアルの様子 |
また、試験機を保有している競合他社はありますが、複数種類の試験機を常に使える状態でスタンバイさせている企業は業界内でも限られております。
エコムにとってヒートトライアルは、強力な開発ツールでもあり、営業ツールでもあります。そして、テストで良好な結果を出すことで、省エネ、省時間(時短)、省スペースを実現した付加価値の高い製品提案が可能となります。
図:エコムの引合い段階から受注までの営業フロー
ヒートトライアルが終了したら、次に3D-CADによる構想設計、及び「3D熱流体解析シミュレーション」(注1)に着手します。オーダーメイドの工業炉は、「実際作ってみるまで仕様どおりの温度が出せるかわからない」というのが従来からの問題でした。いったん炉ができてからの作り直しは、製造コストを増大させます。エコムは、この「作り直し問題」を解決するため、「ヒートトライアル」によるアナログ試験データと「3D熱流体解析シミュレーション」によるデジタルデータを融合させ、失敗の少ない「ものづくり」を可能にしております。
注1.3D熱流体解析シミュレーションでは、設備内の熱の移動、空気の流れや速度、圧力の大きさ、温度の分布など、様々な状況を再現し3D図面上で立体的に可視化することで、設備製作を行うことなく最適な条件の検証・追求を行います。
画像:3D熱流体解析シミュレーション 画像:3D-CAD図面
c.省エネ環境デバイス
工業炉は大量のエネルギーを消費するため、同時に多くのCO₂を排出します。日本の産業部門のエネルギー消費量のうち、工業炉が占める割合は約40%と言われており、地球温暖化の大きな一因となっております。エコムの顧客の中心である大手メーカーは、カーボンニュートラル実現に向けCO₂排出削減目標を掲げており、よりエネルギー効率の高い設備の導入を求めております。エコムはそのニーズに応えるべく、省エネ環境デバイスを開発しております。代表的な製品としては、高温空気燃焼技術を採用し通常のバーナーに比べ窒素酸化物(NOx)とCO₂の排出を抑制した排熱回収式熱交換器搭載型の省エネバーナー「ecoNext(エコネクスト)」、遠赤外線効果により加熱処理時間を短縮可能とした遠赤外線パネルヒーター「EIRヒーター(イーアイアールヒーター)」が挙げられます。省エネ環境デバイス単体での販売だけでなく、自社提案のファーネスプロダクトに搭載する事で、より付加価値の高い高利益率な装置提案が可能となります。
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排熱回収式熱交換器搭載型の省エネバーナー 「ecoNext(エコネクスト)」
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遠赤外線パネルヒーター 「EIRヒーター(イーアイアールヒーター)」 |
② 保守サービス事業
保守サービス事業は、エコムの祖業のビジネスであります。創業者が、工具箱を片手に工業炉のメンテナンスを始めたのがエコムの出発点であり、そこで得たノウハウをもとに産業システム事業を立ち上げ、成長してまいりました。現在メンテナンスを請け負っているお客様は全国で600社、そのメンテナンスを行っている設備数は、1,600設備を超えております。お客様が保有する工業炉を、安全にかつ省エネルギーで長い間稼働、使用し続けられるように、定期・不定期の点検や改修工事の提案などを行っております。利益率が高く、景気に左右されにくいのが特徴であります。
保守サービス事業は、「ファーネスエンジニアリング」、「IoTメンテナンスサービス」及び「パーツセールス」の3つの分野で構成されております。
a.ファーネスエンジニアリング
ファーネスエンジニアリングは、顧客企業の工場に出向き、改造工事などを行う「オンサイトサービス」であります。
昨今、顧客企業は「カーボンニュートラルの実現」に向けた投資を加速しており、省エネ改造工事を行う「ファーネスエンジニアリング」は、成長ビジネスの一つと位置付けております。このような要望に対し、自社製作設備に限らず、他社が製作した装置に対しても工事を行っております。
また、省エネ改造工事の前後には「省エネ診断」にて、CO₂削減量などの効果を数値で測定、評価します。
そして、顧客の要望に応える事で、「IoTメンテナンスサービス」であるストック型の安定収入ビジネスに繋げていきます。
工業炉メーカーであるエコムにとって、現場で起きた様々な問題点を実感できることは技術的に大きなメリットがあり、そこで得た気づき、これらの対処方法やノウハウを産業システム事業の「ものづくり」に反映することができます。
b. IoTメンテナンスサービス
IoTメンテナンスサービスは、「定期点検」を中心とした「ストック型のオンサイトサービス」であります。点検業務は、「自社で製作した設備しか保守はしない」のが一般的でありますが、エコムは、自社製はもちろん、他社製の工業炉も積極的に点検しております。なお、エコムにおける点検業務の約80%が他社製品を対象とするものとなっております。
現在では600社、1,600設備を超える工業炉の定期点検をストック型ビジネスとして全国で展開しております。加えて、2020年10月に新しい定期点検の形として、IoTメンテナンスサービス「Miterune(ミテルネ)」をリリースしました。
従来では、年に1~2回の定期点検において問題点を抽出し、設備保全に努めていましたが、顧客企業の工業炉にセンサーを設置し、収集した各種燃焼データを、エコムが遠隔監視することで、設備の不具合や故障を事前に予知し、生産停止などの企業にとって致命的なトラブルを未然に防ぎます。
アナログの「オンサイトサービス」とデジタルの「データサービス」を融合することで、付加価値の高いメンテナンスサービスを提供しております。
「Miterune(ミテルネ)」を使用することで、従来、現場にいないと把握できなかった工業炉の稼働状況をPCやタブレットなどの画面にグラフィカルに表示し、いつでもどこでも精度の高い運転管理が可能になります。工業炉の稼働状況を監視し、省エネのための運用サポートもいたします。
c. パーツセールス
パーツセールスは、工業炉に必要な各種消耗用品、交換部品を販売するサービスであります。
プロテクトリレー(注1)、コントロールモーター(注2)、温度調節計(注3)、温度センサーなど、工業炉を構成するパーツの大部分を取り扱っております。また、常時600以上のパーツを在庫として常備し、緊急対応できる体制を整えております。工業炉のパーツは購入できても、その取り付けには技術や調整が必要なものが多くあります。さらに、工業炉は他の工作機械と比べ比較的使用年数が長く、構成部品が古くて廃番になっていたり、型式がわからなかったりと選定が困難なケースもあります。部品を販売するだけでなく、最適な機器選定、取り付け、設定まで行うことができるのがエコムのパーツセールスの特徴であります。
注1.プロテクトリレーとは、バーナーにトラブルが生じたときに、安全に燃料の供給を遮断する指令を出すコントローラーのことで、火炎検出器や燃焼遮断弁等と組み合わせて使用するものであります。
注2.コントロールモーターとは、工業炉では流量調整弁とダンパー等と組合せて使用する電動操作機器であります。
注3.温度調節計とは温度センサーから測定温度信号を入力し、設定温度になるよう操作機を制御する調節計であります。
[事業系統図]
エコムの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末においてエコムが判断したものであります。
(1)経営方針
エコムの「エコム」という社名は、Ecology(環境)& Combustion(燃焼)を意味する造語であります。「熱のスペシャリスト集団」として、工場の省エネルギー化を実現し、「加熱技術で環境問題に取り組む企業」を企業目標に掲げております。
(2)経営環境、経営戦略等
我が国経済は、雇用・所得環境が改善傾向にあり、個人所得やインバウンド需要が持ち直したことにより、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。しかしながら、為替相場の急激な変動、大幅な円安による物価の上昇、ウクライナやパレスチナにおける紛争等による影響や中国経済の減速等を受け、依然として景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
また、我が国では2050年までの「カーボンニュートラル」実現に向けて、産業部門の構造転換への取り組みを加速させており、こうした影響を受け、製造業では大手メーカーを中心に温室効果ガス(主にCO₂)排出量削減を実現するための生産設備の更新や改造工事への投資需要の高まりが見受けられました。
上記のような経営環境のもと、産業システム事業においては、産業構造変化にともなう、設備ニーズの変化に対し、燃焼技術とエネルギー管理という専門性を追求し、最適な技術の提供を継続していきます。また、多品種少量生産のニーズに合わせた、セル生産向けの加熱設備を提供し生産効率向上への貢献をいたします。そして、カーボンニュートラルや排ガス規制などの世界的環境規制をクリアした省エネデバイスの提供により、社会環境への貢献を目指します。
また、保守サービス事業においては、他メーカーの加熱設備、加熱機器を点検できる点検技術を有し、熱設備の不具合に対して困ったときの窓口としての存在感を発揮いたします。そして、IoTを駆使して、いつでも、どこでも設備の稼働状況を把握する設備の予防保全サービスの確立を目指していきます。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
エコムの目標とする経営指標は、変動費率、売上高総利益率及び売上高営業利益率であります。エコムの特色として、産業システム事業は1件ごとの受注額が大きい反面、市場の影響を受けやすく、変動費率の高い特色のセグメントであります。反対に、保守サービス事業は安定的な受注が見込めますが、受注額が小さく変動費率の低い特色のセグメントであります。そのため、エコムの経営状況を読み取るには、掲げた3つの経営指標を総合的に判断する必要があります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
コロナ後の世界は、各産業とも新たな生活様式に合わせた構造変化が求められることが予測されるほか、日本は未曽有の人口減少という人口構造の変化により労働力の減少も予想され、業務効率化が急務となっております。エコムといたしましては、社会変化に対応した人材育成を重視し、社是である「共育」のもと、以下の課題に取り組んでまいります。
① 優秀な人材の採用と育成・活用
エコムは人材育成が事業活動の軸であると考えております。熱意のある人材を適時に採用することが重要な課題と認識しているため、人事教育制度の整備、OJTによる現場研修制度などを導入しております。また、働きがいのある職場づくりを目指し健康経営の推進による生産性の向上を目指してまいります。今後も従業員満足度を高める取り組み、定着に向けた施策を講じながら、優秀な人材の採用とさらなる育成に投資を行っていく方針であります。
② 技術革新への対応
エコムは、自動車産業を中心とした様々な業種のお客様へ、オーダーメイドの高付加価値設備の提案やメンテナンスサービスを展開しておりますが、電気自動車への技術革新や進歩に対してタイムリーに対応することが、今後の事業展開上重要な要素であると認識しております。そのために、ヒートトライアルを通じて顧客の動向やニーズを的確に把握し、独自の熱技術を提供することで、自社の先進性や独自性を確保していく方針であります。さらに、自社の得意分野である加熱技術による省エネルギー化した設備を提供することにより、お客様が求める「カーボンニュートラル」を見据えたものづくりを実現してまいります。
③ 海外進出への対応
エコムでは、日本市場で展開してきた独自の熱技術を海外市場でも活用するべく、海外に拠点を持つ既存顧客へのサービス展開をベースとしながら、様々なネットワークや情報収集を通じて更なる顧客の開拓を図り、サービスの多国展開を達成することが、事業の一層の発展に貢献し得る要素であると考えております。その一環として、ノリタケ株式会社との提携を図り、海外事業の拡大・成長の機会を検討してまいります。
④ 内部管理体制の強化
エコムは、事業規模を拡大すると同時に企業価値を継続的に高めていくために、内部管理体制のさらなる強化が重要であると認識しております。このため、事業規模や成長ステージに合わせバックオフィス機能を拡充していくとともに、経営の公正性・透明性を確保するため、また、円滑で効率的な業務運営を行うため、各種会議体の運営における工夫にも注力してまいります。併せて、事業運営上のリスク管理や定期的な内部監査の実施によるコンプライアンスに関する意識を高く持つ体制の一層の強化を図るとともに、内部統制システムを活用した監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実等を行ってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてエコムが判断したものであります。
(1)景気変動のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコム製品に対する需要は、自動車産業を中心とした工場等の設備投資規模に連動する傾向があり、景気変動により、受注状況が変動することになります。今後、受注状況が芳しくなく減少する場合には、それによってエコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)海外情勢等のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムは、主に日本企業が世界各国に展開している現地法人、現地工場へ加熱設備を提供しております。従って、海外の経済情勢、紛争、政変等により現地への輸出・納入が困難になった場合には、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)海外業務のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコムは、お客様の工場立地が海外である場合もあり、既に製品の輸出、納入、据え付けなど海外業務を行っております。今後、市場の拡大を目指し海外業務を独自で行っていく際には、リスクの洗い出しを入念に行ってまいります。しかし、諸外国における法規制の強化、テロ、紛争その他予期し得ない政治又は社会情勢の変動、景気動向及び為替動向等の経済情勢の変化、言語、文化及び商慣習の違いによるトラブル等業務上の非効率が生じた場合には、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)大規模災害のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
エコムは地震、落雷、火災、風水害、パンデミック等の各種災害に対して発生時の損失を最小限に抑えるため、損害保険の加入のほか、緊急連絡体制の整備、非常時を想定した訓練の実施等を進めております。しかし、生産拠点が静岡県浜松市に集中していることから、このような災害に伴う人的・物的被害の発生や資材・物流の停滞等により、生産活動の中止等を余儀なくされた場合には、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(5)情報漏洩のリスクについて
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコムは業務を通じて入手した取引先の機密情報や個人情報、又は設計・技術・営業等の事業活動に係る機密情報を多数保有しております。これらの情報を保護するため、情報管理体制の構築や従業員への教育等を行い、情報漏洩防止に努めております。しかし、コンピューターウイルスによる攻撃、不正アクセス、盗難等により機密情報が漏洩した場合、それによってエコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6)品質管理に関するリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコムは品質や安全に関する法令・規制の遵守に努めるとともに、製品の品質確保や安全性、機械安全のリスクアセスメントを通じて、常に信頼性の向上に努めております。さらに、製品の品質に起因する事故、あるいはクレームやリコールに備え、製造物賠償責任保険への加入を行っておりますが、付保金額を上回る損害賠償が発生した場合や、会社に対する信頼が低下した場合には、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)競合リスクについて
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムは、産業システム事業及び保守サービス事業を行っております。これら事業を推進する中で、お客様の置かれた状況・環境に応じたご提案を行い、生産性の向上に資する改善提案等にも努めることにより、付加価値を高め、競合他社との差別化を継続的に図っております。しかし、これらの取組みが奏功せず、将来にわたって差別化を維持できなくなる場合には、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8)訴訟・クレームのリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコムは、事業運営において、サービス品質等のトラブルなどの問題が生じた場合、エコムの瑕疵の有無にかかわらず、サービス品質等のトラブルや問題に起因する損害の賠償請求や訴訟(以下「訴訟等」という。)の提起を受ける可能性があります。エコムは事前に取引基本契約書を締結する等により訴訟等のリスクを低減し、またトラブルや問題等が発生した場合は可能な限り迅速に対応する等して訴訟等のリスクに対する対策を講じております。しかし、万が一訴訟等が生じた場合は、訴訟等の内容や損害賠償請求額によっては、社会的信用の低下を招き、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9)サービス品質の低下リスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムは、産業システム事業及び保守サービス事業のサービス提供にあたって、製品・サービスの品質維持・向上を図り、お客様満足度の向上に努めております。しかしながら、これらの取組みが奏功せず、製品・サービス品質の低下を招く等、お客様満足度が低下することがあった場合は、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)コスト上昇リスクについて
発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムは、新規設備の導入等による生産性の向上や業務改善を実施し、常に原価低減への取組みを行っております。また、世界的な半導体不足などの材料不足あるいは原油、鉄、非鉄金属などの資源高騰の影響から、材料費や外注費等の直接原価が高騰した場合は、お客様にご理解いただき値上げ対応させていただく方針であります。しかしながら、その交渉が難航するケースにおいては、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)業績変動のリスクについて
発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムのファーネスプロダクツに関する売上は、お客様の指定工場の据付等作業の受入事情によって検収日程が延期することがあり、売上が当初の計画どおり計上できない場合があります。経済や業界の動向に伴うお客様の工場稼働に係る受入事情などにより、計画どおり検収が進捗しない場合には、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)投資成果に関するリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムは、今後も、生産性向上やお客様ニーズに対応した生産拠点・営業拠点の整備、取得等にかかる設備資金、並びに事業拡大に伴う運転資金へ資金を充当していく予定であります。しかしながら、予定どおりの使途に資金を充当した場合でも、計画したとおりの売上高が見込めず、また、設備にかかる投資効果が得られない場合には、固定資産に減損損失が発生する恐れがあり、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)金利変動のリスクについて
発生可能性:高、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムは、今後拠点の新設や事業展開に必要な資金を借入等により調達することも選択肢として考えております。変動金利による借入金は、金利の変動リスクに晒されているため、固定・変動調達比率の調整を行い、極力低金利による固定化等でリスク管理していく予定でありますが、リスクを完全に回避できるものではなく、変動金利での借入を行い予測を上回る金利の上昇等があった場合、調達コストが増加し、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)人材確保のリスクについて
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコムでは、今後保守サービス事業の拡大にともない人材の確保が重要となります。エコムの事業計画を遂行する上で必要な人材を継続的に採用し、労働環境の整備や教育体制の充実等により人材の定着を図ることが、エコムの持続的な成長にとって必要となります。しかし、これらが達成できなかった場合、また、達成のために人件費等の増加が生じた場合には、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15)システムダウンによるリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコムでは、基幹システム等に対する被害を防御し、又は最小限に抑えるべく、ウイルス対策やデータのバックアップ等の予防策を講じております。しかしながら、万が一、災害やコンピューターウイルス等によりシステムがダウン又は破壊された場合、業務に多大な被害を受ける可能性があり、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16)M&A及び資本業務提携等のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
エコムは、持続的な成長のため、M&Aや資本業務提携等を行うことがあります。これらの実施にあたっては、事前に対象企業の財務内容や契約内容等の審査を十分行い、リスクを検討した上で決定することになります。しかし、実施後の事業環境の変化等により、当初想定していた成果が得られないと判断した場合や、資本業務提携等を解消・変更する場合など、のれんや投資の減損損失等の発生により、エコムの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(17)配当方針にかかるリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
株主に対する利益還元を経営上の重要な課題と認識しており、剰余金の配当については、将来の事業展開及び財務体質の強化のために必要な内部留保資金を確保しつつ、安定した剰余金の配当を実施していく方針であります。しかしながら、外部環境の影響等様々な要因により、想定どおりの収益を確保することができない場合、配当方針に影響を及ぼす可能性があります。
(18)大株主のリスクについて
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
エコムの代表取締役であり、大株主である髙梨智志は本書提出日現在では発行済株式総数の28.66%を所有しており、引き続き大株主となる見込みであります。また、同人の二親等内の親族である髙梨今日子、髙梨千宙の所有分を合算した場合は51.51%となっております。同人は安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権の行使に当たっては、株主共同利益を追求するとともに少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。同人は、エコムの代表取締役であるため、エコムといたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情によって、同人がエコム株式を売却することとなった場合、エコム株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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