エヌ・ピー・シーグループは、エヌ・ピー・シー(株式会社エヌ・ピー・シー)、海外連結子会社である NPC America Automation Inc.及び非連結子会社であるNPC Korea Co., Ltd.により構成されており、装置関連事業に従事しております。装置関連事業では、太陽電池業界、自動車部品業界、電子部品業界等に対する各種FA装置の提供や、スタンダード製品である太陽光パネルリサイクル装置を提供しております。また、太陽光発電所の検査サービスや、発電所等から排出された太陽光パネルのリユース・リサイクルといったサービスを提供することで、太陽光パネルの検査から廃棄までのトータルサービスを提供しております。加えて、人工光植物工場で栽培した野菜を販売しております。
エヌ・ピー・シーグループの事業内容及びエヌ・ピー・シーと関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、エヌ・ピー・シーは2024年9月1日付で、環境関連事業部を装置関連事業部に統合して事業部を一本化しましたが、エヌ・ピー・シーグループの事業の内容自体に変更はありません。
装置関連事業
①太陽電池製造装置
主に米国の太陽電池メーカーに対して、高性能かつ高効率な太陽光パネルを製造するための各種FA装置(電極形成装置、溶接装置、真空ラミネーター、検査装置、その他組立・搬送装置等)を提供しております。また、国内外の太陽光パネルメーカーに対し、ペロブスカイトなどの次世代型太陽電池用の装置を提供しております。ペロブスカイト太陽電池向けの装置においては、韓国のインクジェット塗布装置に強みを持つ装置メーカーであるGosan Tech Co,. Ltd.との業務提携により、太陽電池部分の製造に使用するインクジェット塗布装置も提供しております。
②太陽光パネルリサイクル装置
太陽光パネルをリサイクルするための解体装置を、国内外の産業廃棄物業者等へ提供しております。具体的な製品としては太陽光パネルのアルミフレームとジャンクションボックスを分離するフレーム・J-Box分離装置、特許技術「ホットナイフ分離法」を利用してカバーガラスからセルシートを分離するガラス分離装置、特許技術「ブラシかきとり法」を利用して分離後のガラスから残存EVAを取り除くEVAスクレーパーの3種類の装置を販売しております。
③FA装置(産業廃棄物業界向けの自動化装置を含む)
様々な業界に向けて、自動化・省力化のための各種FA装置を提供しております。主に太陽電池業界にFA装置を提供することで蓄積した様々な技術(真空技術、塗布技術、接合技術、検査・計測技術、ハンドリング技術、搬送技術等)を太陽電池業界以外の業界に展開しております。具体例として、電子部品の搬送装置、車載部品の自動組立装置、新製品の開発や板状製品の貼り合わせに使用する真空貼合装置、食品や薬剤の梱包装置等、多種多様な製品に対応した装置を提供しております。また、製造にかかわるFA装置に加えて、AI搭載選別機など産業廃棄物処理業界における作業の自動化・省人化を行う装置も提供しております。
④部品
太陽電池製造装置、太陽光パネルリサイクル装置およびFA装置に関して、販売した装置の消耗部品および故障や劣化などに備えたスペアパーツを販売しております。
⑤太陽光発電所の検査サービス
全国の太陽光発電所を中心に、オンサイトでの使用前自主検査(竣工前検査)や定期検査等を実施しております。法定の検査メニュー(接地抵抗試験、接地導通試験、絶縁抵抗試験、絶縁耐力試験等)に加え、独自技術を搭載した検査機器を用いた精密検査や、ドローンを活用した簡易的かつ低価格な検査等、幅広い検査メニューを用意しております。また、エヌ・ピー・シーが主幹している「ソーラーウェルネス」という検査ネットワークにより、全国の太陽光発電所を検査できる体制を構築しております。
⑥太陽光パネルのリユース・リサイクル
太陽光発電所等から排出された太陽光パネルについて、再利用可能なものをリユース品として国内外に販売しております。排出パネルの確保については、太陽光発電所の検査サービスを通じて日本全国に構築してきた太陽光発電所、EPC、電気工事会社等とのネットワークを活用しております。
また、主に四国内で発生した廃棄パネルについて、松山工場においてエヌ・ピー・シーの太陽光パネルリサイクル装置を用いた中間処理を行っております。中間処理により分離・解体した有価物はリサイクルしております。四国以外の地域で発生した廃棄パネルについては、全国の協力業者に仲介し、廃棄パネルの適正処理を促進しております。
⑦植物工場ビジネス
松山工場に密閉性の高い植物工場を設置し、LEDを使用して栽培した野菜(フリルレタス、グリーンリーフ、レッドフリル)を主にスーパーや食品加工場等に販売しております。また、植物工場の屋上にリユースパネルを使用した太陽光発電システムを設置し、生産に必要な電力を一部自家発電で賄っております。
[事業系統図]
文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在においてエヌ・ピー・シーグループが判断した内容であります。
(1) 会社の経営の基本方針
エヌ・ピー・シーグループは、「我々は、もの創りを通して、自然と社会と人間に必要とされる企業を目指します。」という企業方針に則って経営しております。たゆまぬ技術革新の努力により創り出す製品を通じ、地球環境、地域社会等に貢献し、あらゆるステークホルダーに必要とされる企業へと成長することがエヌ・ピー・シーグループの存在意義であると考えております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
エヌ・ピー・シーグループは、2025年8月期の売上高10,925百万円、営業利益2,069百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,549百万円を達成することを目標としております。
(3) 主要製品・サービスの内容と対象となる顧客
①太陽電池製造装置
主に米国の太陽電池メーカーに対して、高性能かつ高効率な太陽光パネルを製造するための各種装置(電極形成装置、溶接装置、真空ラミネーター、検査装置、その他組立・搬送装置等)を提供しております。また、国内外の太陽光パネルメーカーに対し、ペロブスカイト型などの次世代型太陽電池用やその他様々な太陽電池に向けた製造装置を提供しております。
②FA装置
国内外の電子部品業界や自動車業界等の太陽電池以外の業界に向けて、これまで蓄積した技術(真空技術、塗布技術、接合技術、検査・計測技術、ハンドリング技術、搬送技術等)をもとに、組立装置、検査装置、搬送装置等の自動化・省力化のための各種FA装置を提供しております。また、スタンダード製品として多種多様な製品への用途がある真空貼合せ装置(真空ラミネーター)を提供しています。
③太陽光パネル解体装置
国内外の産業廃棄物処理業者等に対して、太陽光パネルを部材毎(ガラス、セルシート、アルミフレーム、ジャンクションボックス等)に分離・解体する装置を販売しております。屋内のみならず太陽光発電所の現地でも使用できるフレーム・ J-Box分離装置や、エヌ・ピー・シーの独自技術である「ホットナイフ分離法」を搭載したガラス分離装置があります。
④部品
エヌ・ピー・シー装置の顧客に対して、装置の予備部品や消耗品を販売しております。主な販売先は、米国の太陽電池メーカーであります。
⑤環境関連サービス
環境関連サービスは、太陽光パネルに関連するサービス(太陽光発電所の検査サービス、太陽光パネルのリユース・リサイクル)と植物工場ビジネスであります。太陽光発電所の検査サービスは、太陽光発電事業者やEPC業者等に向けてサービスを展開しています。また、太陽光発電所から排出されたパネルを回収し、再利用可能なパネルを国内外の太陽光発電事業者や関連企業へリユース販売しています。再利用ができないパネルは、自社の解体装置で中間処理を行い、回収した金属やガラス等の有価物をリサイクル業者に販売するか、産業廃棄物処理業者に適正な廃棄処理を委託します。植物工場ビジネスでは、人工光により水耕したレタス(フリルレタス、グリーンリーフ、サニーレタス)を食品加工場やスーパー等に販売しております。
(4) 経営環境及び事業を行う市場の状況
当連結会計年度における国内経済は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しています。しかし、物価上昇や欧米における高い金利水準の継続、中国経済や中東情勢に対する懸念等、先行き不透明な状況は継続しています。
①太陽電池製造装置
米国の太陽電池市場は、企業の環境意識の高まりや連邦及び州政府等からの政策的支援を背景に、長期的な市場の成長が見込まれ、太陽電池メーカーによる生産能力拡大や研究開発のための設備投資が活発化しています。主要顧客である米国の太陽電池メーカーの継続的な新工場等の設備投資による装置需要に加え、歩留まり向上や生産能力(装置の生産スピード)向上及び1枚あたりの出力(変換効率)を向上させるための新製品の開発やデザイン変更に伴う装置追加や改造の機会があります。
また、日本の太陽電池市場においては、従来の太陽光パネルよりも用途が広いペロブスカイト型等の次世代型太陽電池の事業化に向けた開発が進展しています。
②FA装置
人手不足や高騰する人件費を背景として、生産性の向上やコスト削減に向けて、国内外の製造業において自動化及び省人化のためのFA装置に対するニーズが存在しています。また、真空貼り合せ装置は積層・貼合・封止・成形など用途が広く、研究開発・製品開発に使用される真空関連装置に対するニーズが広がっています。
③パネル解体装置
日本国内においては、将来的な使用済み太陽光パネルの大量排出に備えるため、太陽光パネルのリサイクル義務化に向けた法案が2025年に国会に提出される見込みであることから、日本政府や自治体の各種補助金を前提に新規事業として太陽光パネルの処理に参入する企業が増える見込みです。海外においても、欧州、豪州、米国で太陽光パネルのリサイクルに向けた取り組みが活発化しており、太陽光パネル解体装置の重要が拡大していく見込みです。
④部品
エヌ・ピー・シーの主要顧客である太陽電池メーカーにおいて、既存工場を含め装置台数が増加しているため、部品需要は今後も増加していく見込みです。
⑤環境関連サービス
発電所の検査サービスにおいては、大規模太陽光発電所の竣工前検査のほか、企業や自治体でも自家消費型太陽光発電の普及によって定期検査等の需要が見込まれます。太陽光パネルのリユース・リサイクルでは、現時点で大きな市場規模はありませんが、2032年以降に電力固定価格買取制度における買取期間を迎える太陽光発電所が発生してくることから、以降の排出量は増加していく見込みです。植物工場ビジネスは、気候変動に影響されず安定供給される野菜に対する需要が増えていく見込みです。
(5) 競合他社との競争優位性
①太陽電池製造装置
エヌ・ピー・シーの主要顧客である米国の太陽電池メーカーにおいては、各製造プロセスに携わる装置サプライヤーが限定されており、実質的な競合はありません。
国内外で事業化に向けた開発が進んでいるペロブスカイト型の次世代型太陽電池の製造装置に関しては、一般的な自動機メーカーが競合となりますが、これまで太陽電池製造装置で培った経験を活用した高度な提案をできることがエヌ・ピー・シーの強みとして差別化しております。
②FA装置
FA装置では数多くの競合が存在しますが、エヌ・ピー・シーには大型ラインを製造できる松山工場の生産能力や、太陽電池製造装置で培った様々な技術、開発から製造までの一貫体制、豊富な海外実績、オーダーメイド装置の実績と経験といった強みがあり、大手企業を中心に大型のラインや各種FA装置を提供しています。
③パネル解体装置
エヌ・ピー・シーとは異なる技術による解体装置の提供を行っている企業が存在しますが、エヌ・ピー・シーの特許技術を活かした「ホットナイフ分離法」は、太陽光パネルのガラスと金属を分離できる点でリサイクル性が高く、処理能力も高いため、他社技術と比較しても技術的な優位性は高いものと考えております。また、アルミフレーム・J-Box除去装置は、太陽光発電所の現場で解体作業をすることを想定して開発したコンパクトでポータブルな装置であり、パネル処理に関するトータル運送コストを低減できるという強みがあります。
④部品
エヌ・ピー・シーが納入した装置に関連する部品販売のため、競合はありません。
⑤環境関連サービス
太陽光発電所の検査サービスでは、法定検査(目視検査、抵抗検査等)を含めた検査サービス(ドローンIR、洗浄、除草作業等)を提供する企業は多数存在しています。しかしながら、エヌ・ピー・シーは独自技術を用いたI-V検査やEL検査により太陽光パネルの品質そのものを検査した上で解析レポートを作成しており、同様のサービスを提供できる競合先は限られていることや、ソーラーウェルネスという検査ネットワークを組成しており、日本全国の発電所で同品質の検査を提供できるという強みがあります。
パネルのリユース・リサイクルにおいては、国内に数社競合先はいますが、エヌ・ピー・シーには太陽光発電所の検査サービスで構築したネットワークがあり、排出されたパネルの回収と販売において大きな優位性となっております。
植物工場ビジネスにおいては、工場がある愛媛県内での植物工場が少なく、地元での「はこひめ」というブランドが浸透してきております。また、屋上太陽光発電システムによる自家発電で植物工場の電力を一部賄い、光熱費の削減とクリーンエネルギーによる生産を実現しております。
(6) 経営戦略及び会社の対処すべき課題
エヌ・ピー・シーグループは、環境及び持続可能な社会の実現を意識し、既存事業の強化・拡大を図ってまいります。また、新規事業に積極的に取り組むことによりリスク分散を図り、安定した業績を維持し、かつ成長することができる企業を目指しております。この方針の下、以下のとおり対処すべき課題を定めております。なお、2024年9月に実施した組織変更により2つの事業部制から事業部を一本化し、組織や人的資本を効率化させ、方針の達成に向けて取り組んでおります。
①太陽電池製造装置
太陽電池製造装置については、米国の薄膜系太陽電池メーカーである主要顧客が計画する新工場や既存工場の拡張、及び新製品の開発用装置に対して、エヌ・ピー・シーがこれまで手掛けてきた装置とサービスを提供することに加え、新規の装置も積極的に取り組んでまいります。また、すでに納入済み装置の保守サービスや改造、部品販売についても安定的に積み上げてまいります。
加えて、ペロブスカイト型太陽電池の研究開発が商業化に向けて国内外で進んでいる状況において、各太陽電池メーカーへの対応を強化し、エヌ・ピー・シーの薄膜系太陽電池の経験を活かして、今後拡大が見込まれる装置需要を取り込んでまいります。
②FA装置
太陽電池以外の業界へのFA装置については、事業部の一本化により集約した人員を効果的に活用することで営業活動を強化し、既存の業界のみならず新しい業界においても安定顧客を増やしてまいります。また、エヌ・ピー・シーのスタンダード製品である真空貼合装置を様々な業界へ幅広く展開し、業績の拡大に取り組んでまいります。
③太陽光パネル解体装置
太陽光パネルの解体装置については、国内では補助金を活用して装置を導入する企業が増えており、海外でも欧州・オーストラリア・米国の企業に対して、着実に実績を積み上げております。国内ではパネルリサイクルの義務化が進められる見通しであり、それにより装置需要は更に高まると考えられます。また、排出パネルが多い海外においても、リサイクル意識の高い欧州などで継続した需要が見込まれます。これらの需要に対応するために、FA装置と同様に営業活動の強化を図ってまいります。
④環境関連サービス
エヌ・ピー・シーは太陽光パネルの解体装置の販売を主な事業とする一方で、排出されるパネルの適正なリユース販売や、リサイクルを含めた適正処理を行なうという課題に取り組んでおります。エヌ・ピー・シーが手掛ける太陽光発電所の検査サービスやパネルのリユース・リサイクルビジネスはその課題解決と太陽光パネル解体装置の販売増にもつながり、また、ストックビジネスとなるので、引き続き強化してまいります。
植物工場ビジネスについては、引き続き安定供給を継続し、付加価値の高い品種の開発により次のステップを目指し、サステナブルなビジネスとして継続してまいります。エヌ・ピー・シーは、持続可能な社会の実現に貢献できる製品やサービスに取り組んでいくことを基本方針としております。
⑤その他の課題
その他の課題としては、研究開発、採用、新規事業への取り組み等があります。
研究開発においては、太陽電池製造装置、FA装置及びパネル解体装置における顧客ニーズや、関連する市場動向を見ながら開発を引き続き行なってまいります。
採用においては、装置製造に必要となる設計及び製造に係る技術力を向上させるために、新卒採用を中心として技術者の採用に力をいれております。新規事業においては、持続可能な社会の実現に貢献できる製品やサービスを提供するという考えの下、国内のみならず海外での展開も含めて新規事業の開発に取り組んでおります。
以下において、エヌ・ピー・シーグループが事業を展開していく上で、特に重要と考えるリスクを記載しております。エヌ・ピー・シーグループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、エヌ・ピー・シー株式に対する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、本文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在においてエヌ・ピー・シーグループが判断したものです。
(1)太陽電池市場の停滞又は減速
a.リスクの内容
エヌ・ピー・シーグループの売上高は太陽電池業界向けの割合が高く、将来何かしらの理由により、太陽電池の普及が停滞あるいは減速した場合、減損損失の発生を含め、エヌ・ピー・シーグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.リスクへの対応策
太陽光パネルの新規設置に影響を受ける製品やサービス(太陽電池製造装置、太陽光発電所の竣工前検査等)以外にも、既に設置されたパネルに対する製品やサービス(太陽光発電所の検査機器や検査サービスの提供等)、排出パネルに対する製品やサービス(リユース販売、パネル解体装置、中間処理業等)のように、太陽電池の製造から廃棄まで幅広く事業を展開することで、当該リスクによる影響を低減させる取り組みをしています。また、太陽電池業界以外のFA装置や新規事業にも力を入れることで、太陽電池業界以外の売上高を増やしています。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
太陽電池の経済性の向上や環境意識の高まりを受け、太陽電池の設置は世界的に広がりを見せています。中長期的にも堅調に普及することが期待されており、当該リスク発生の可能性は低いと考えています。
(2)為替の変動
a.リスクの内容
エヌ・ピー・シーグループは数多くの海外企業と取引しており、会計年度により異なりますが、海外売上高比率は6~8割であります。そのため、為替が円高傾向となる場合には、為替差損が発生する可能性があることや、海外の競合メーカーと比較して価格競争力が低下し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、円安傾向となると海外調達コストが上がり、原価への影響が出る可能性がありますが、現段階では海外調達比率が低いためにリスクレベルは低いと考えます。
b.リスクへの対応策
為替差による損益への影響を抑えるため、基本的に海外顧客との取引通貨は円建てとしています。また、例外的に外貨建て取引をする場合については、ある一定の規模を超える取引については為替予約を行っています。また、競争力の高い製品やサービスを提供するため、常に品質向上に努めるとともにコストダウンを図っています。円高傾向となった場合には海外調達比率を上げることがひとつの対策となります。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
為替の変動は様々な要因により発生するものであるため、エヌ・ピー・シーが将来的な動向やリスク発生の可能性を予想することは困難であります。しかしながら当事業年度において、歴史的な円安により日本経済全体が影響を受けており、この状況が続く限りエヌ・ピー・シー業績については、上述のとおり海外調達比率が低く国内調達が中心となっているため、影響は限定的です。
(3)売上計上時期や個別案件の利益率に伴う業績変動
a.リスクの内容
顧客の都合による設計変更や検収時期の変更等が発生する場合があり、当初予定していた売上計上時期が後ろ倒しになることで短期的な業績に影響を及ぼす可能性があります。また、エヌ・ピー・シーグループが提供する製品やサービスは案件毎の利益率が一定ではないため、個別案件の積み上がり状況によっては短期的に利益率が変動する可能性があります。更に、開発要素を含む案件を戦略的に受注した場合や、設計や製造工数の超過等により原価が想定以上となった場合、当初想定していなかった製品の不具合等が発生した場合は、通常見込まれる利益率が確保できない場合があります。
b.リスクへの対応策
基本的に品質マネージメントシステム(ISO9001)に則して、顧客との認識の齟齬によるリスクを発生させないため、ミーティングの際には議事録を作成し、顧客から当該議事録の確認を受けています。客先要求事項を精査したうえで担当部門が試算し、精度の高い見積りをしています。受注後は、複数回のミーティング(デザインレビュー)を実施することで、顧客の要望やエヌ・ピー・シーが対応すべき事項を各部署の担当者が情報共有しています。製造段階においては、製作途中の大型案件について定例幹部会で工程の進捗状況をレビューすることで、費用の超過が発生していないか等を確認し、必要に応じて対策をしています。最終的な売上段階においては、仕様未達による検収遅れのリスクを低減するため、装置の出荷に先立って、松山工場で要求する仕様を満たしているかどうかを顧客立ち合いの下で確認しています。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
当該リスクは常に発生する可能性があります。なお、大型案件の場合には売上高が10億円を超えるものもあることから、発生した場合には期初に発表した業績予想から大きく変動する可能性があります。
(4)大口顧客の事業環境の変動による影響について
a.リスクの内容
エヌ・ピー・シーグループの売上高比率は、自ずと規模の大きい企業又は設備投資に積極的な企業に対する割合が高くなります。現在、特に米国の太陽電池メーカーであるFirst Solar, Inc.及びその子会社(以下「First Solar社」という)に対するエヌ・ピー・シーグループの売上比率が高い状況でありますが、同社の事業環境が大幅に縮小した場合や、同社の信用力が低下した場合、エヌ・ピー・シーとの取引が減少した場合は、エヌ・ピー・シーグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.リスクへの対応策
First Solar社に対しては今後も安定的な取引が継続できるよう、研究開発やコストダウンに力を入れ、より高品質で低コストな装置を提供することで関係の強化を図っています。また、米国へ工場を設置して同社へのサービスを充実させると同時にハイエンドな製造装置を必要とするFirst Solar社以外の太陽電池メーカーへの販売を強化し、米国での太陽電池業界以外の様々な業界へFA装置の提供をしてまいります。また、市場の拡大が見込まれている環境関連事業を引き続き伸ばしていくことで、業績が特定顧客のみに依存する状況の解消を図っています。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
First Solar社はNASDAQ上場企業であり、信用力が高く財務体質が安定しています。また、同社がメインターゲットとしている米国の太陽電池市場は非常に堅調であり、今後も継続した成長が期待されております。また、エヌ・ピー・シーグループは同社と長年の取引実績があり、信頼関係も構築していることから、取引が急激に減少する可能性は低いと考えています。しかしながら、現時点における依存度は非常に高いことから、仮にリスクが顕在化した場合はエヌ・ピー・シーの業績に大きな影響を与える可能性があります。
(5)部品の長納期化
a.リスクの内容
半導体不足等様々な要因により、エヌ・ピー・シー装置に使用する電装品をはじめとした部品が長納期化し、装置製造に要する期間が通常より長くなる場合があります。状況が悪化した場合、装置に必要な部品が確保できず、製品を出荷できなくなる、あるいは製品の長納期化により顧客の要望に応えられない、通常とは異なるルートからの調達によるコスト増により製造原価が増加する等の事態により、エヌ・ピー・シーグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.リスクへの対応策
部品不足の場合は、代替品の調達や、海外子会社を利用した海外調達によって製造に必要な部品を確保しています。また、顧客との納期の交渉によって十分な装置製造期間を確保しています。エヌ・ピー・シーはオーダーメイド装置を製造しており、設計段階で部品を選定できるため、代替品の調達により製造を継続することができます。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
特に前々期(第30期)において世界的な部品の長納期化が発生しておりましたが、現在は平常の納期に戻りつつあります。同様の事態が再度起こった場合は、装置売上時期の遅れなどにより業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)部品・原材料の価格上昇
a.リスクの内容
部品全般について価格の上昇は継続しています。急激な価格の上昇が発生する場合、製造原価が増加し利益を圧迫する等の事態により、エヌ・ピー・シーグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.リスクへの対応策
エヌ・ピー・シーグループはオーダーメイド装置を製造しているため、見積りの時点で部品価格を装置価格に反映させています。また、仕入先との交渉により、仕入価格の抑制に努めています。更に、装置の販売契約において、受注から仕入までの期間に想定を上回る急激な部品価格の変動が発生した場合には、再交渉できるような条項を盛り込むよう営業における交渉努力をしております。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
エヌ・ピー・シーの製造原価における材料費の割合は60~70%程度と高く、部品価格の上昇はエヌ・ピー・シーの業績に大きく影響します。前期(第31期)からは、部品の価格上昇を見込んだ販売価格による契約ができており、一定の利益率を確保できております。
(7)自然災害の発生
a.リスクの内容
エヌ・ピー・シーグループは、愛媛県松山市に工場を有しておりますが、同地域で想定を超える大規模な自然災害が発生し、工場の生産能力が減少もしくは無くなった場合には、エヌ・ピー・シーグループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
b.リスクへの対応策
松山工場での生産方法は製造設備を使用してライン生産するのではなく、セル方式で製造部員が装置を組み立てる方法であるため、工場が被災した場合でも人員とスペースが確保できれば事業を継続できる体制となっています。現在、生産体制の強化のため製造を協力会社へ一部委託する体制ができており、充分な人員とスペースが確保できない場合においても、協力会社での生産を増やすこと等で臨機応変に生産能力を確保できます。なお、装置図面等の事業上の重要情報や会計データについては、社内ネットワークでバックアップ体制を構築しており、速やかに復旧できる体制を構築しています。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
保険会社が評価している自然災害リスクの評点において、エヌ・ピー・シー松山工場の所在地で今後30年以内に震度6強を超える地震が発生する確率は18.4%とされています。また、全国を13地域に区分する場合、松山工場は四国地域に該当しますが、台風接近数は13地域中8番目となっています。しかしながら、津波被害、洪水被害、土砂災害についてはリスクが低いとされており、一般的に他地域よりリスクが顕在化する可能性は低いと考えています。
(8)繰延税金資産に関するリスク
a.リスクの内容
エヌ・ピー・シーグループは、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合や、税率変更を含む税制改正、会計基準等の改正が行われた場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、エヌ・ピー・シーグループの当期純利益に影響を与える可能性があります。
b.リスクへの対応策
繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり基準とした利益計画の実現可能性について慎重に検討を行い、合理的かつ保守的に見積った課税所得について繰延税金資産を計上することとしております。また、回収可能性を定期的に見直しております。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
エヌ・ピー・シーグループの売上構成において多くを占める主要顧客の設備投資の有無により、事業年度ごとの利益計画が変動すること、また税制等の改正は予期せず行われることから、当該リスクは常に発生する可能性があります。
(9)受注増による生産能力不足
a.リスクの内容
受注の急激な増加や、技術者の高齢化による人員不足等により、松山工場の生産能力が不足した場合、装置の納期の超過、要求仕様の未達、受注機会の損失等が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
b.リスクへの対応策
装置の組立に関しては、協力会社の業務委託や派遣社員の受け入れにより、設備投資を行うことなく生産能力を拡大することが可能です。他方、設計および電気設計に関しては業務委託が不可能なため人員増強が必要であることや、技術者の高齢化への対応として、若手技術者の採用を強化し教育を行っております。また、製造スケジュールを綿密に調整し、顧客との交渉により十分な納期を確保しています。
c.リスクが顕在化する可能性の程度や時期
顧客からの納期短縮の要求が強まった場合や、受注が急激に増加した場合等、当該リスクは常に発生する可能性がありますが、生産体制の見直しや顧客との交渉により十分に対応可能と考えております。
これらの重要なリスクに加え、訴訟リスク、知的財産を侵害される又は侵害するリスク、法的規制に伴うリスク、カントリーリスク、情報セキュリティリスク等、エヌ・ピー・シーグループの経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性のある様々なリスクが存在しています。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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