SMC(6273)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】SMC及び子会社71社(連結子会社69社、非連結子会社2社)(2026年3月31日現在)から成る企業集団は、ファクトリー・オートメーション(FA)に欠かせない要素機器である自動制御機器(方向制御機器、駆動機器、空気圧補助機器などの空気圧機器のほか温調機器、センサー等)を製造・販売する「自動制御機器事業」を営んでいます。2026年3月31日現在の事業における主要な会社の名称及び取引関係の概要は、次の「事業系統図」及び「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。なお、子会社の名称は、一部略称を用いて表記しています。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】SMCグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてSMCグループが判断したものです。 (1) 経営方針・経営戦略等SMCグループは、企業として目指す姿を表した「経営理念」を以下のとおり定めています。① 自動化・省力化に貢献する空気圧機器をはじめとする自動制御機器製品の製造販売を通じて、「産業界の自動化・省力化に貢献する」ことが、SMCの社会的使命であると認識しております。② 本業に専心する「産業界の自動化・省力化に貢献する」要素部品メーカーとしての本分に徹し、本業である自動制御機器事業に経営資源を集中して、競争力の向上に努めてまいります。③ グローバルに製品を供給する世界各国・地域のルールやニーズに沿った製品、世界のどの市場でも通用する製品を供給してまいります。 (2) 経営環境① 市場環境 (a) お客様の多様性SMCグループの主要製品である空気圧機器をはじめとする自動制御機器は、自動化された工場の生産・搬送ライン、半導体製造装置、工作機械、産業用ロボットなどのオートメーションを支える要素部品として、あらゆる産業分野で使用されています。SMCグループは、特定の業種、特定のお客様への依存度が低いため、産業構造の変化や需要環境の急変への耐性が相対的に高いと認識しています。 (b) 製品の汎用性の高さ空気圧機器は、汎用性が高く、お客様の創意工夫によって、用途が無限に拡大しています。SMCグループは、お客様のニーズに応える製品開発を進めており、これを通じて新規需要の開拓が可能です。 (c) 環境保護への要請の高まり環境保護の取組は人類共通の喫緊の課題であり、お客様の環境保護への要請は年々高まっています。大気中に放出しても問題のない圧縮空気を動力源とする空気圧機器は、それ自体が環境にやさしい特性を備えています。 (d) 労働力人口の減少と人件費の高騰少子・高齢化は世界的に進んでおり、多くの先進国では、労働力人口の減少が始まっています。また、これまで労働集約型の生産活動を担ってきた新興国においては、経済発展に伴い人件費が高騰しつつあります。空気圧機器は、人の手による作業の代替に適した自動制御機器であり、労働力人口の減少や人件費の高騰に対処するための自動化・省力化ニーズに合致しています。 ② SMCグループの競争優位性 (a) 空気圧機器の総合メーカー空気圧機器は、空気配管上で使用される様々な機器でシステムを構成しています。SMCグループは、それらの機器すべてを製造販売する総合メーカーであり、お客様に各種の空気圧機器をワンストップで供給することができます。 (b) 環境性能に優れた製品開発SMCグループは、製品設計の段階から、環境負荷の少ない製品の開発に取り組んでいます。また、お客様のニーズに応じた製品開発を続ける中で技術力を培い、特に製品の小型化・軽量化を得意としています。空気圧機器の小型化・軽量化は、空気圧機器を組み込んだ装置やロボットの重量を減らし、お客様の工場全体のエネルギー消費量の削減を可能にします。 (c) 豊富な品揃えと潤沢な在庫空気圧機器には、お客様の使用状況に応じた様々なバリエーションが要求されます。SMCグループは、88万品目に及ぶ豊富な品揃えで、お客様のあらゆるニーズにお応えします。空気圧機器は、お客様の工場の生産・搬送ライン等に組み込まれる要素部品であり、空気圧機器の不具合や欠品によってライン等が停止すれば、お客様は多大な損失を被ります。そのためSMCグループは、製品の品質管理に万全を期すとともに、戦略的に厚めの在庫を保持することにより、お客様のご注文に迅速に対応できる短納期即納体制を整えています。 (d) グローバルネットワークお客様の事業はグローバル化が進んでいます。SMCグループは80以上の国と地域に拠点を持ち、直販の営業人員を配置することで、お客様のニーズを的確にとらえ、ニーズに合った製品をグローバルに供給できる体制を構築しています。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① SMCグループの強みを活かした事業戦略以下のようなSMCグループの強みを活かすことにより、さらなる売上成長と、低シェア地域及び低シェア製品の領域を中心に、販売シェアの向上を実現することができるものと考えています。(a) 広汎なグローバルフットプリントSMCグループの製品は汎用性が高く、半導体・電機、自動車、工作機械だけでなく、あらゆる産業分野で多種多様な用途でご使用いただいています。顧客アカウントは70万社に上り、特定の業種・地域への依存度が低いことから、需要環境の急激な変化に対して強い耐性を持っています。またSMCグループは、世界80以上の国と地域に500以上の拠点網を展開し、約7,000名の営業スタッフを配置するとともに、販売代理店各社との協働により、お客様へのきめ細かなサービスの提供に努めています。世界5か国の技術センターは、約2,000名の技術スタッフを擁し、センター間の連携強化を図りつつ、研究開発、技術情報の収集及びお客様への技術サポートを行っています。こうした広汎なグローバルフットプリントを通じて収集・蓄積した情報は、お客様に付加価値をもたらす源泉であり、SMCグループは、各種のITツールも利用して情報を共有し、事業戦略に活用しています。(b) 88万品目の豊富な品揃えSMCグループは、主力の空気圧機器だけでなく、自動制御機器全般を網羅する一連の製品群をお客様に提供しています。豊富な品揃えは88万品目に及び、在庫も厚めに保持する戦略で、SMCグループにご用命いただければ自動制御機器なら何でも揃う「ワンストップショップ」のサービスにより、お客様の様々なニーズに対応しています。 ② 着実な設備投資SMCグループは、以下の観点から、着実な設備投資に取り組んでいます。これらは、短期的には減価償却費の負担により収益性の悪化を招きますが、中長期的にはSMCグループの競争力を高め、企業価値の向上に資するものと考えています。 (a) 生産能力の確保地球温暖化や労働力人口の減少などの社会課題は深刻さを増しており、自動化・省力化を通じてこれら社会課題の解決に貢献できる自動制御機器は、中長期的に安定した需要の拡大が見込まれます。SMCグループは、不況期にも着実な設備投資を行って生産能力を確保することにより、需要回復期には他社に先んじて受注を獲得し、販売シェアを伸ばす戦略を採用してきました。不透明な政治経済情勢を背景に、設備投資の抑制傾向がみられる現下の状況においても、生産拠点、物流拠点及び研究開発拠点の拡充を進めています。 (b) 生産の複線化SMCグループは従来、集中生産とロケーションセービング(人件費を中心とする生産コストの低い国・地域での生産)による徹底的なコストダウンを進めてきましたが、自然災害や感染症、貿易紛争など様々なリスクを想定し、いかなる事態が発生してもお客様への製品供給責任を果たすことができる体制を確立するため、世界6か国の量産拠点を中心に、生産の複線化(一つの製品を複数の拠点で生産できる体制の構築)を進めています。 (c) 人的資本投資SMCグループは、「従業員が誇りと愛着を持てる企業」を目指して、快適な職場環境の整備に取り組んでいます。近年竣工した新工場、新本社、新たな研究開発拠点Japan Technical Center(JTC)及び遠野サプライヤーパークでは、働く人にとって快適な環境を整備するとともに、お客様、お取引先、SMCグループ各社の従業員などとの交流促進を目的とした設備を導入して、生産性の向上と優秀な人材の確保に努めています。 ③ CO2排出量削減に貢献する製品とソリューションの提案 SMCグループは従来から、小型・軽量で省エネルギー性能に優れた製品を開発し、お客様に提供してきました。SMCの高い環境関連技術をお客様にアピールすることで、売上成長につなげていきます。 (a) 低圧化の提案 工場における消費電力の約20%が、圧縮空気を生成するコンプレッサの稼働によるものとされています。お客様の工場で使用されるエアの消費量や圧力を抑えることにより、CO2排出量と電力コストの大幅な削減が可能です。SMCグループは、お客様の工場全体で使用する空気圧を低圧化する「4BAR factory」のソリューション、エアの使用状況を常時監視し設備の稼働状況に応じて自動的に圧力を下げる機能などを持つ「AMS(エアマネジメントシステム)」、工場全体を低圧化しつつラインの必要な部分のみ局所で増圧する「省エネ増圧弁」などの提案活動に力を入れています。 (b) 省エネ診断 SMCグループのスタッフがお客様の工場にお伺いして、エアの使用状況を細かくチェックし、エアの消費量の削減や圧力の低圧化を実現する製品やノウハウを組み合わせた、総合的な提案を行う「省エネ診断」の活動を進めています。世界50か国以上で約200名の営業スタッフを担当者として任命し、お客様に対して年間600件以上の省エネ診断を実施しています。 (c) 「環境配慮型製品」SMC製品をシリーズごとに区分して、原材料の調達から生産、販売、お客様による製品の使用、廃棄に至るまでのプロセス全体における環境負荷の低減について、11項目の評価を実施しています。これらの項目のうち、お客様のCO2排出量削減に直接に貢献できる4項目(省電力、省資源、省エア、省エネ性能の向上を目的に開発した新製品)のいずれかに該当する製品を「環境配慮型製品」と定義しました。環境配慮型製品の売上高は、SMCグループの売上高全体の約80%を占めています。 (d) 政府・自治体との協働SMCは、経済産業省資源エネルギー庁の施策として(一社)環境共創イニシアチブが運営する「中小企業等に向けた省エネルギー診断拡充事業」の「省エネ診断機関」として登録を受けて、お客様の生産設備や装置の省エネ診断を実施しています。また、当連結会計年度においては、環境省の「バリューチェーン全体での脱炭素化推進モデル事業」に選定されました。環境省が目指す事業の脱炭素化を図る「脱炭素経営」をより一層促進するため、バリューチェーン上の中小企業を含むサプライヤー各社との連携等により、個社ではなく協働でGHG排出量の把握や削減を行うモデル事業に選定されました。このほか、各国政府や自治体などと協働して、SMCグループの製品やソリューションの活用により、広くCO2排出量削減を図る施策の検討を進めています。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてSMCグループが判断したものです。 (1) 海外での事業展開に伴うカントリーリスク(リスクの内容)SMCグループは、顧客満足度の向上を通じた受注の拡大を目的として、世界各地域において研究開発から資材調達、生産、販売に至るまでの広範な事業活動を展開しています。特に中国及びベトナムにおいては、当該国内での需要への対応やグローバルな製品供給の役割を担うべく、生産拠点の充実・強化を進めています。中国をはじめ各国においては、以下のような不測の事態が発生するリスクがあります。 ① 政治体制、経済環境の激変 ② 法制、税制、為替政策、輸出入に関する規制などの急激な変更 ③ 労働力の不足、人件費の高騰、大規模な労働争議の発生など労働環境の激変 ④ 社会インフラの未整備に起因するエネルギー供給の不安定化 ⑤ テロ、戦争、暴動、自然災害、感染症の蔓延などによる社会的混乱(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)当該リスクが顕在化する可能性は10年から20年に一度程度と想定してきましたが、近年、戦争や感染症の蔓延などリスクが顕在化したほか、経済面や安全保障面での米中対立も続いており、不透明感が高まっています。(リスクが顕在化した場合の影響の内容)当該リスクが顕在化した場合、現地従業員及び駐在員の安全並びに生産設備など現地資産の保全が危うくなるおそれがあるほか、グローバルな製品供給体制に支障が生じ、SMCグループ全体の事業活動に深刻な悪影響が及ぶ可能性があります。(リスクへの対応策)BCPの観点から、中国に匹敵する規模の生産拠点をベトナムに整備することや、国内にも一定の供給能力を確保することで、不測の事態が発生しても早期に復旧できる体制の整備に努めています。 (当連結会計年度におけるリスクの顕在化について)当連結会計年度においては、ロシアによるウクライナ侵攻、中東における紛争とそれに伴うホルムズ海峡の航行不能という形で、当該リスクの顕在化が継続しました。SMCグループの各拠点は、通常稼働を継続しており、お客様及びサプライヤー様の事業活動への影響も限定的なものにとどまりました。海上輸送の所要期間及び物流コストの面では影響を受けましたが、平素から潤沢な在庫を保持する戦略も奏功し、SMCグループの製品供給に大きな支障は生じませんでした。 (2) 外国為替相場の変動リスク(リスクの内容)SMCグループは、世界各地域において研究開発から資材調達、生産、販売に至るまでの広範な事業活動を展開しています。SMCグループの外貨建取引及び外貨建資産等は、連結財務諸表作成時に円換算するため、外国為替相場の変動により業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)SMCグループの海外ビジネスの拡大に伴い、当該リスクが顕在化する可能性は高まっており、過去の経験上、2~3年程度に一度は、為替変動により業績及び財政状態に比較的大きな影響を受けることが想定されます。顕在化の時期としては、業績に対する影響は年間を通じて、財政状態に対する影響は決算期末となります。(リスクが顕在化した場合の影響の内容)円高方向への為替変動により、SMCグループの外貨建売上高及び利益が減少します。外貨建の仕入及び費用も減りますが、相対的に影響は少額です。また、SMCグループの外貨建資産に関して、換算上のマイナスが発生します。(リスクへの対応策)外貨建の仕入を増やすことに努めていますが、モノづくりの本拠が日本にあることから、対応には限界があります。現在、グループ内での現金配分を見直すことにより、特に為替変動の影響を受けやすい新興国通貨建の資産を減らす対応を進めています。(3) 製品の欠陥に関するリスク(リスクの内容)SMCグループは、製品の欠陥によってお客様に損害を与えた場合、製造物責任を問われるリスクがあります。SMCグループの主要製品である空気圧機器は、医療機器などの新しい分野に用途が拡大しており、これら機器に使用された製品に欠陥があったとして、損害賠償を求める訴訟が提起されるリスクもあります。(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)大規模な製品の欠陥という形で、当該リスクが顕在化する可能性は非常に低いと想定しています。顕在化の時期は特定できません。(リスクが顕在化した場合の影響の内容)当該リスクが顕在化した場合、損害賠償のための費用負担が発生するほか、お客様からの信頼を失うおそれがあり、イメージダウンに伴う他のお客様からの失注も含め、SMCグループ全体の事業活動に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスクへの対応策)SMCグループは厳しい品質管理を行っていますが、製品に欠陥が生じるリスクをゼロにすることは不可能です。生産物賠償責任保険には加入していますが、保険金によって賠償額のすべてを賄える保証はありません。 (4) 情報セキュリティに関するリスク(リスクの内容)SMCグループは、顧客情報や技術情報の管理、受発注から生産、人事・給与、会計のデータ処理など、事業活動のあらゆる場面において、情報ネットワークやシステムに大きく依存しています。これらの情報ネットワークやシステムは、日常的に大量のサイバー攻撃にさらされています。このほかシステムや機器の故障、ヒューマンエラーや不正アクセスにより、情報システムの障害や、重要な情報の漏洩が発生するリスクがあります。(リスクが顕在化する可能性の程度及び時期)サイバー攻撃の手法は年々巧妙化しており、また経済安全保障やプライバシー保護の観点から、情報の取扱いに関する規制強化の動きが各国で進む中、当該リスクが顕在化する可能性は高まっています。顕在化の時期は特定できません。 (リスクが顕在化した場合の影響の内容)当該リスクが顕在化した場合、生産や出荷、支払が止まるなど、SMCグループの事業活動全般に重大な支障が生じることが想定されます。また、お客様やお取引先様の情報が漏洩した場合、損害賠償のための費用負担が発生するほか、社会的信用を失うことによる売上の減少など、SMCグループの業績に深刻な悪影響が生じるおそれがあります。(リスクへの対応策)SMCグループは、グループ全体の情報セキュリティを統括管理する専門チームを置いて、NIST(米国国立基準技術研究所)の「サイバーセキュリティフレームワーク」を踏まえた総合的な情報セキュリティ対策を実施しています。詳しくは、本有価証券報告書の「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (5) 情報セキュリティに関する取組」をご参照ください。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー