estieグループ(estie及び連結子会社)は、「産業の真価を、さらに拓く。」をパーパスに掲げ、商業用不動産業界の構造的課題をデータとテクノロジーの力で解決し、不動産事業者による意思決定の高度化と不動産取引の円滑化を通じた産業全体の発展を目指して事業に取り組んでおります。
(estieグループを巡る環境認識)
オフィス、物流施設、賃貸住宅等、利益の獲得を目的として保有・利用される商業用不動産は、企業活動と社会インフラを支える中核的資産です。一方で、不動産業界は、情報の非対称性、データの非構造化、業界横断的なデータ流通基盤の未整備といった構造的課題に直面しているとestieグループは認識しております。Jones Lang LaSalle IP, Inc.公表の「不動産透明度インデックス2024」において、調査対象となった89の国・地域のうち、日本は「市場ファンダメンタルズ」が31位、「取引プロセス」が33位とされるなど、不動産情報の透明度は国際的に低い水準にあります。また、業界共通の「不動産ID」(※1)が十分に普及していないため、物件名や住所表記の揺れにより物件の名寄せ(※2)が困難となるほか、企業間の情報連携も人手を介したアナログな手法に依存しており、情報は分断され、業界横断的なデータ活用とデータに基づく円滑な不動産取引の実現が阻害されているものと認識しております。
(estieグループの取り組み)
こうした課題に対し、estieグループは、その解消にはデータとAIを活用したDX(※3)が不可欠であると判断し、不動産取引に関わる多様な情報を複数のデータソースから収集・統合し、様々な事業者が業界横断で活用できる共通の「土台」を整備することに一貫して取り組んでまいりました。estieグループが統合する情報には、一般に公開された情報のみならず、建物の稼働状況や賃料水準等、取引当事者間に偏在する情報が多く含まれます。これらは不動産取引に欠かせない情報でありながら、インターネット上や既存の情報提供サービスからは網羅的に入手することが困難なものです。estieグループは、分断されていた情報を統合し、データとして活用可能な状態に整備したうえで顧客に提供することで、不動産の売買・賃貸に関する様々なユースケースにおいて顧客の業務や意思決定を支援しております。
estieグループは、サービスの提供にあたり、建物の空室状況や募集賃料などの不動産情報を、不動産業界に関わる事業者等から仕入れるとともに、公開情報の収集及びestieグループによる現況確認等を通じて、独自に情報を収集しております。estieグループは、2020年のオフィスビルに関するデータベースの提供開始以降、物流施設や賃貸住宅等へと対象とするアセットを順次拡大し、アセット横断のデータベースを構築してまいりました。また、2020年から継続的に蓄積してきた空室状況、募集賃料等の時系列データは、過去に遡って取得することが困難な情報であることから、他社が短期間で再現することは困難であると考えております。
estieグループの各サービスは、データの収集・整備、分析、業務支援、取引支援といった機能の違いはあるものの、業界横断で蓄積・整備した独自のデータベースにおいて更新され続ける情報を提供価値の源泉とする点、および商業用不動産に関わる事業者を共通の顧客とする点において共通しております。estieグループは、不動産業界に従事するプロフェッショナルの業務高度化および業界全体の情報流通の促進という共通の目的のもと、これらのサービスを相互に連携・補完させながら一体的に開発・運営していることから、「不動産プラットフォーム事業」の単一セグメントとして運営しております。
(事業の内容)
estieグループは、上記の統合・整備したデータを、対象とする顧客や提供の形態に応じて、主に以下の方法で提供しております。
[事業系統図]
<用語説明>
※1 不動産ID
国土交通省が推進する、不動産(土地・建物)に一意の識別番号を付与する仕組みをいう。不動産IDの普及により、物件情報の名寄せや複数データソース間での同一物件の紐付けが容易になることが期待されている。
※2 名寄せ
複数のデータソースに分散して存在する同一物件に関する情報を、統一的な識別子により同一物件として紐付け・統合する処理をいう。物件名・住所表記の揺れにより、同一物件が異なるデータとして扱われ、分析精度の低下が生じるケースがある。
※3 DX(Digital Transformation)
デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することをいう。
※4 Vertical Data
特定業界に特化して収集・構造化されたデータ群。本書では主にestieグループが保有する商業用不動産市場に関するデータを指す。
※5 総合デベロッパーTop10社
総合デベロッパーTop10社は東京証券取引所上場・非上場の総合デベロッパーのうち、オフィス(一部オフィス+他アセットも含む)の賃貸有効面積を公表している企業トップ10(各社の公表資料を基にしたestie調べ)をいう。
※6 信託業務を営む大手銀行5行
信託業務を営む大手銀行5行とは、一般社団法人信託協会の加盟社員である三井住友信託銀行株式会社(三井住友トラストグループ株式会社)、三菱UFJ信託銀行株式会社、みずほ信託銀行株式会社、株式会社りそな銀行の4行に加えて、メガバンクグループである株式会社SMBC信託銀行を加えた5行を指す。
※7 2026年8月時点の数値
※8 AI-Ready
企業内に散在する非構造化データ等を、AI(人工知能)による検索、分析及び推論に利用可能な形式に整理・構造化した状態をいう。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてestieが判断したものであります。
(1) 経営方針
estieは、「産業の真価を、さらに拓く。」というパーパスのもと、不動産業界で横断的に活用可能なデジタルインフラの構築を通じ、顧客の意思決定と業務生産性を抜本的に高めるとともに、不動産の売買や賃貸といった各種取引がよりデータドリブン且つ滑らかに実行される世界の実現を目指しております。そのための手段として、総合デベロッパーや大手金融機関等の大企業向けのサービス開発や営業に加えて、中堅・中小企業の開拓・深耕を同時に行っております。このように大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供や、他社とのアライアンスを通じたサービス開発、統合後のPMI・ガバナンスを前提としたM&Aなど、様々な戦略的パートナーシップを活用することで、安定的且つ効率的に売上高の積み上げを目指していく方針です。
(2) 経営環境及び経営戦略
①市場環境
我が国の不動産業は、2024年度の名目国内総生産に占める割合が13%であり、製造業に次ぐ規模の産業であります(出所:内閣府「2024年度国民経済計算」に基づきestieが算出)。そうした不動産業界において、自社利用を主たる目的とせず賃貸又は売買等による収益の獲得を主たる目的として市場で流通・運用される不動産を、商業用不動産、若しくは収益不動産といい、その資産規模は352兆円と推計されるなど、我が国の企業活動と社会インフラを支える中核的資産となっております(出所:ニッセイ基礎研究所「わが国の不動産投資市場規模(2025年)」)。
一方で、日本の不動産市場は、国際比較において透明性や基礎データの充実度、取引プロセスの標準化が十分とは言えません。また、不動産業界にはデベロッパーや投資家、管理会社や金融機関など多様かつ幅広いプレイヤー・事業者が存在していますが、統一化されない不動産情報の扱いや、企業間のアナログな情報連携が情報の分断を生み、業界横断的なデータ活用が阻害されているものと認識しております。
② 経営者が認識する事業機会
estieグループは、こうした業界特有の課題を背景に、様々な事業者が業界横断で活用できるデータ基盤という「土台」の整備に一貫して取り組んできました。空室情報、募集賃料情報、所有者情報等の不動産情報に関する、PDF化された資料や営業メモ等の非構造化データを、AIによる解析や人手による確認も含めて収集・正規化し、網羅性・鮮度・整合性の高い不動産データ基盤を整備するとともに、そうした当該データ基盤をもとに各種サービスを開発し、顧客企業に提供を行うことで、データ活用に基づくデータドリブンな不動産関連取引の意思決定の支援や、業務の効率化に貢献しております。
このように、不動産業界におけるデータの分散及び非対称性は、業界横断的なデータ基盤の構築と業務プロセスの標準化により解消し得る課題であり、estieグループの事業機会であると考えております。加えて、近年の生成AIの普及に伴い、顧客企業においては、自社が保有する情報をAIによる検索、分析及び推論に適した形式で構造化する必要性が高まっております。estieグループは創業以来、不動産データの収集及び構造化に取り組んでまいりましたことから、当該需要の高まりはestieグループの事業機会を拡大するものと判断しております。
estieグループが事業を展開する不動産テック及び商業用不動産の売買取引支援に関連する市場の規模については、次の参考値に基づき、数千億円規模であると考えております。
estieグループが提供するデータ基盤及びソフトウェアは、不動産業界において従来は個々の事業者の内部で人手により行われてきた情報の収集、整理、分析等を業界横断的に担うものであり、これに直接対応する既存の市場区分は存在しないものと認識しております。このため、上記の市場規模は、第三者の調査に基づく不動産テック市場の規模及び仲介手数料のフィープールを、estieグループが対象とする市場の規模を把握するための参考値として記載したものであります。なおestieグループの事業は、不動産仲介会社に代わって取引を仲介することを目的とするものではなく、仲介会社を含む不動産に関わる事業者の業務を効率化し高度化するものであることから、estieグループは業務の効率化及び取引の円滑化を通じた当該市場そのものの拡大に寄与することを目指しております。これらの金額はestieグループが獲得し得る売上高の規模を直接に示すものではありませんが、estieグループは、これらの参考値が示す規模の市場において、estieグループのサービスが対象とし得る事業機会が存在するものと考えております。
estieグループでは、こうした数千億円規模となり得る市場機会の獲得を念頭に、総合デベロッパーや大手金融機関等の大企業向けのプロダクト開発や営業に加えて、中堅・中小企業の開拓・深耕を同時に行っております。このように大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供を通じて、安定的且つ効率的に売上高の積み上げを目指していく方針です。
③ 競争環境及びestieグループのポジショニング
estieグループが競合し得る事業者としては、a.既存の不動産関連情報サービス事業者、b.汎用的なAIサービスを提供する事業者、c.システムインテグレーター、及び、d.顧客企業による内製が挙げられます。estieグループは、次の3点において他の事業者との差別化が図られているものと判断しております。
1. 業界内で流通する情報を収集・構造化したデータベースを、2020年以降継続的に蓄積していること。estieグループが保有する商業用不動産データは、2026年8月末時点で、オフィスビル88,000棟、物流施設19,000棟、ホテル17,000棟及び住宅260万棟であります。
2. 不動産業界における実務経験を有する人材を多数擁し、顧客の業務プロセスに即したアプリケーション及び分析ロジックを設計できること。
3. 総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等を含む顧客基盤を有し、当該顧客の業務を通じて得られる指摘を反映することでデータの精度を継続的に高める仕組みを有していること。
④経営戦略
estieグループは、上記の経営環境に関する認識に基づき、次の3点を成長戦略の柱としております。
1. 既存顧客への提供価値の拡大(顧客単価の向上)
estieグループは複数のプロダクトを提供しており、既存顧客に対する追加プロダクトの導入及び利用範囲の拡大を進めるとともに、顧客企業が保有する情報とestieグループのデータを統合したデータ基盤の構築及びシステムへの実装を支援することにより、顧客1社あたりの取引規模の拡大を図ります。
2. 顧客数の拡大
estieグループのサービスは、総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等の大手事業者を中心に導入が進んでおり、今後更に市場における浸透度の向上を目指していく方針です。加えて、全国に30万以上存在すると言われる中堅・中小の不動産業者を中心に、未開拓の顧客層も多く残されているものと考えております。(出所:公益財団法人不動産流通推進センター「2025 不動産業統計集」)estieグループは、大手事業者のみならず中堅・中小の顧客層にも適したサービスの開発及び提供を通じて、顧客数の拡大を図ります。
3. 提供領域の拡張による対象市場の拡大
ソフトウェアの提供に限定することなく、データを起点としたサービスへとサービスラインアップを拡張することにより、estieグループがアクセスし得る市場の拡大を図ります。その実現にあたっては、自社単独での開発にとどまらず、他社との業務提携及び企業買収を活用する方針であります。estieグループは、M&Aを成長戦略を実現するための手段の一つと位置付けており、これまでの間に株式会社住宅新報の株式取得を含む複数件のM&Aを実施しております。また、自社単独では参入に時間を要する領域については、他社との共同出資による合弁会社の設立も活用しており、2026年6月に株式会社スマート修繕との合弁会社である株式会社estieスマートリフォームを設立しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
estieグループは、事業規模の拡大と収益性の改善を両立させながら持続的に成長することを経営上の目標としており、その達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、調整後EBITDA及びRule of 40の3つを設定しております。各指標の内容及び当該指標を用いる理由は次のとおりであります。
① 売上高
estieグループは、「産業の真価を、さらに拓く。」をパーパスに掲げ、商業用不動産業界の構造的課題をデータとテクノロジーの力で解決し、不動産事業者による意思決定の高度化と不動産取引の円滑化を通じた産業全体の発展を目指して事業に取り組んでおります。estieグループのサービスは、不動産事業者及び金融機関等がデータに基づく意思決定及び業務を行うための基盤として利用されるものであり、estieグループは、不動産市場におけるestieグループのサービスの浸透が進むことが、そのまま業界横断的なデータ活用の広がり、すなわち不動産業界全体のDXの進展につながるものと考えております。estieグループの売上高は、顧客数と顧客単価、すなわちestieグループのサービスを利用する事業者の数と各事業者における利用の深さの積み上げによって構成されることから、不動産市場におけるestieグループのサービスの浸透度を示すとともに、上記パーパスの実現に向けた進捗を測るうえで最も適切な指標であると考えております。
② 調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に減価償却費、のれん償却費及び株式報酬費用を加算して算出する、estieグループ独自の利益指標であります。estieグループは、企業買収に伴うのれんの償却及び役職員へのインセンティブとして付与する新株予約権に係る株式報酬費用が、営業利益に対して相応の影響を及ぼす費用構造にあることから、これらの非資金性費用の影響を除いた事業活動そのものの収益力を把握するため、一般的に用いられるEBITDA(営業利益+のれん償却費及び減価償却費)に株式報酬費用を加算した調整後EBITDAを用いております。estieグループは、人件費を中心とする固定費が費用の大宗を占める一方で売上高の大宗が継続的に発生する収益で構成されているため、売上高の積み上げに伴い収益性が改善する構造にあると認識しており、固定費の規律ある管理を通じて調整後EBITDAの黒字化及びその拡大を図っております。
③ Rule of 40
Rule of 40は、売上高成長率(前年同期比)と調整後EBITDAマージン(調整後EBITDA÷売上高)の合計として算出する指標であり、成長性と収益性のバランスを一つの数値で評価するものであります。一般に、ソフトウェア企業等においては、売上高成長率と利益率の合計が40%を上回る水準にあることが、成長と収益性が均衡した健全な状態の目安とされております。estieグループは、先行投資を継続する成長段階にあり、単年度の利益水準のみでは必ずしも経営の実態を適切に評価できないことから、成長のための投資と収益性の改善のバランスを規律付ける指標としてRule of 40を用いております。
estieグループの主要な経営指標の推移は次のとおりであります。
estieグループは、ARR(年間経常収益)、MRR(月間経常収益)及び解約率といった、サブスクリプション型のサービスを提供する企業において一般的に用いられる指標を、経営上の目標として設定しておりません。これは、estieグループの売上高にはソフトウェアの利用料のみならず、エンタープライズ実装における個社別の開発・実装に係る売上高や専門情報サービス等のソフトウェア以外の売上高が含まれているほか、今後も提供領域の拡張により多様な収益形態を組み合わせて成長していく方針であることから、ソフトウェアの利用契約を前提とするこれらの指標のみをもってestieグループの経営成績を評価することは必ずしも適切でないと考えていることによるものであります。なお、既存顧客の解約及び契約金額の減少等の状況については、月次で把握し取締役会に報告しておりますが、その水準は安定的に推移しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
estieグループは、大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供のみならず、他社とのアライアンスを通じたサービス開発、統合後のPMI・ガバナンスを前提としたM&Aなどを通じて、持続的な成長と利益の拡大を目指しております。estieグループの現状については、ソフトウェア利用に係る契約若しくは継続的な保守契約に基づくリカーリング売上高が第9期中間連結会計期間の全売上高の77%を占める予見可能性の高い収益基盤と、2026年6月末時点において総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等の大手事業者を含む573社のリカーリング契約顧客数による顧客基盤を構築している一方で、先行投資により営業損失が継続していること、中堅・中小の事業者層の開拓並びにソフトウェア以外の領域への拡張が途上にあること、成長を支える人材及びデータ基盤への継続的な投資が必要であることを認識しております。こうした認識のもと、成長戦略を実現するにあたり、次の事項を優先的に対処すべき課題として認識しております。
① 収益性の改善及び財務基盤の強化
当連結会計年度における営業損失は530,130千円、調整後EBITDAは△511,210千円であり、収益性の改善が財務上の最優先課題であると認識しております。estieグループの費用は、人件費を中心とする固定費的な性格を有するものが大宗を占める一方、売上高の大宗は継続的に発生する収益で構成されております。このため、売上高の積上げに伴い売上高に対する固定費の比率が低下する構造にあると認識しており、固定費の規律ある管理と、売上高の継続的な成長の両立により、営業損益及び調整後EBITDAの黒字化及びその拡大を図ってまいります。
② 提供価値の拡大及びサービスラインアップの拡充
経営戦略の根幹である提供価値の拡大と顧客数の拡大を両立させるためには、案件探索から実行、実行後の管理・モニタリングに至る一連の不動産関連取引に係る業務を、包括的に支援できるソリューション群を有することが必要であると認識しております。このため、既存サービスの機能強化及び新規サービスの開発に加え、顧客企業が保有する情報とestieグループのデータを統合したデータ基盤の構築及びシステムへの実装を支援する体制を拡充してまいります。
その実現にあたっては、自社単独での取組みにとどまらず、他社との業務提携及び企業買収を活用してまいります。estieグループは、これらの取組みを継続的に実行していくため、対象事業の評価及び提携・買収後の事業の統合及び管理の体制を整備していくことが重要であると考えております。
③ 優秀な人材の規律ある採用・育成・登用及びAIの活用を通じた生産性の向上
estieグループの成長の制約要因は優秀な人材の確保にあると認識しております。estieグループのパーパス及び事業内容に共感する優秀な人材の規律ある採用を継続するとともに、既存事業の成長及び新規事業の立上げを担う人材として育成・登用する仕組みを構築してまいります。あわせて、ソフトウェア開発における生成AIの活用等により、人員の増加を抑制しつつ生産性を高めることにも取り組んでまいります。
④ 不動産データ基盤の質的及び量的な拡大
estieグループの競争力の源泉は、業界慣行に根差して非オンライン環境で流通する情報を含めた様々な不動産情報の収集及びそれらを構造化したデータベースにあると考えており、その網羅性、鮮度及び正確性を維持・向上させることが最優先の課題であると認識しております。このため、データの収集経路の拡充、データ処理基盤への投資、及び更なるデータ精度の向上に向けた運用体制の強化に取り組んでまいります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてestieが判断したものであります。
(1) 経営方針
estieは、「産業の真価を、さらに拓く。」というパーパスのもと、不動産業界で横断的に活用可能なデジタルインフラの構築を通じ、顧客の意思決定と業務生産性を抜本的に高めるとともに、不動産の売買や賃貸といった各種取引がよりデータドリブン且つ滑らかに実行される世界の実現を目指しております。そのための手段として、総合デベロッパーや大手金融機関等の大企業向けのサービス開発や営業に加えて、中堅・中小企業の開拓・深耕を同時に行っております。このように大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供や、他社とのアライアンスを通じたサービス開発、統合後のPMI・ガバナンスを前提としたM&Aなど、様々な戦略的パートナーシップを活用することで、安定的且つ効率的に売上高の積み上げを目指していく方針です。
(2) 経営環境及び経営戦略
①市場環境
我が国の不動産業は、2024年度の名目国内総生産に占める割合が13%であり、製造業に次ぐ規模の産業であります(出所:内閣府「2024年度国民経済計算」に基づきestieが算出)。そうした不動産業界において、自社利用を主たる目的とせず賃貸又は売買等による収益の獲得を主たる目的として市場で流通・運用される不動産を、商業用不動産、若しくは収益不動産といい、その資産規模は352兆円と推計されるなど、我が国の企業活動と社会インフラを支える中核的資産となっております(出所:ニッセイ基礎研究所「わが国の不動産投資市場規模(2025年)」)。
一方で、日本の不動産市場は、国際比較において透明性や基礎データの充実度、取引プロセスの標準化が十分とは言えません。また、不動産業界にはデベロッパーや投資家、管理会社や金融機関など多様かつ幅広いプレイヤー・事業者が存在していますが、統一化されない不動産情報の扱いや、企業間のアナログな情報連携が情報の分断を生み、業界横断的なデータ活用が阻害されているものと認識しております。
② 経営者が認識する事業機会
estieグループは、こうした業界特有の課題を背景に、様々な事業者が業界横断で活用できるデータ基盤という「土台」の整備に一貫して取り組んできました。空室情報、募集賃料情報、所有者情報等の不動産情報に関する、PDF化された資料や営業メモ等の非構造化データを、AIによる解析や人手による確認も含めて収集・正規化し、網羅性・鮮度・整合性の高い不動産データ基盤を整備するとともに、そうした当該データ基盤をもとに各種サービスを開発し、顧客企業に提供を行うことで、データ活用に基づくデータドリブンな不動産関連取引の意思決定の支援や、業務の効率化に貢献しております。
このように、不動産業界におけるデータの分散及び非対称性は、業界横断的なデータ基盤の構築と業務プロセスの標準化により解消し得る課題であり、estieグループの事業機会であると考えております。加えて、近年の生成AIの普及に伴い、顧客企業においては、自社が保有する情報をAIによる検索、分析及び推論に適した形式で構造化する必要性が高まっております。estieグループは創業以来、不動産データの収集及び構造化に取り組んでまいりましたことから、当該需要の高まりはestieグループの事業機会を拡大するものと判断しております。
estieグループが事業を展開する不動産テック及び商業用不動産の売買取引支援に関連する市場の規模については、次の参考値に基づき、数千億円規模であると考えております。
estieグループが提供するデータ基盤及びソフトウェアは、不動産業界において従来は個々の事業者の内部で人手により行われてきた情報の収集、整理、分析等を業界横断的に担うものであり、これに直接対応する既存の市場区分は存在しないものと認識しております。このため、上記の市場規模は、第三者の調査に基づく不動産テック市場の規模及び仲介手数料のフィープールを、estieグループが対象とする市場の規模を把握するための参考値として記載したものであります。なおestieグループの事業は、不動産仲介会社に代わって取引を仲介することを目的とするものではなく、仲介会社を含む不動産に関わる事業者の業務を効率化し高度化するものであることから、estieグループは業務の効率化及び取引の円滑化を通じた当該市場そのものの拡大に寄与することを目指しております。これらの金額はestieグループが獲得し得る売上高の規模を直接に示すものではありませんが、estieグループは、これらの参考値が示す規模の市場において、estieグループのサービスが対象とし得る事業機会が存在するものと考えております。
estieグループでは、こうした数千億円規模となり得る市場機会の獲得を念頭に、総合デベロッパーや大手金融機関等の大企業向けのプロダクト開発や営業に加えて、中堅・中小企業の開拓・深耕を同時に行っております。このように大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供を通じて、安定的且つ効率的に売上高の積み上げを目指していく方針です。
③ 競争環境及びestieグループのポジショニング
estieグループが競合し得る事業者としては、a.既存の不動産関連情報サービス事業者、b.汎用的なAIサービスを提供する事業者、c.システムインテグレーター、及び、d.顧客企業による内製が挙げられます。estieグループは、次の3点において他の事業者との差別化が図られているものと判断しております。
1. 業界内で流通する情報を収集・構造化したデータベースを、2020年以降継続的に蓄積していること。estieグループが保有する商業用不動産データは、2026年8月末時点で、オフィスビル88,000棟、物流施設19,000棟、ホテル17,000棟及び住宅260万棟であります。
2. 不動産業界における実務経験を有する人材を多数擁し、顧客の業務プロセスに即したアプリケーション及び分析ロジックを設計できること。
3. 総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等を含む顧客基盤を有し、当該顧客の業務を通じて得られる指摘を反映することでデータの精度を継続的に高める仕組みを有していること。
④経営戦略
estieグループは、上記の経営環境に関する認識に基づき、次の3点を成長戦略の柱としております。
1. 既存顧客への提供価値の拡大(顧客単価の向上)
estieグループは複数のプロダクトを提供しており、既存顧客に対する追加プロダクトの導入及び利用範囲の拡大を進めるとともに、顧客企業が保有する情報とestieグループのデータを統合したデータ基盤の構築及びシステムへの実装を支援することにより、顧客1社あたりの取引規模の拡大を図ります。
2. 顧客数の拡大
estieグループのサービスは、総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等の大手事業者を中心に導入が進んでおり、今後更に市場における浸透度の向上を目指していく方針です。加えて、全国に30万以上存在すると言われる中堅・中小の不動産業者を中心に、未開拓の顧客層も多く残されているものと考えております。(出所:公益財団法人不動産流通推進センター「2025 不動産業統計集」)estieグループは、大手事業者のみならず中堅・中小の顧客層にも適したサービスの開発及び提供を通じて、顧客数の拡大を図ります。
3. 提供領域の拡張による対象市場の拡大
ソフトウェアの提供に限定することなく、データを起点としたサービスへとサービスラインアップを拡張することにより、estieグループがアクセスし得る市場の拡大を図ります。その実現にあたっては、自社単独での開発にとどまらず、他社との業務提携及び企業買収を活用する方針であります。estieグループは、M&Aを成長戦略を実現するための手段の一つと位置付けており、これまでの間に株式会社住宅新報の株式取得を含む複数件のM&Aを実施しております。また、自社単独では参入に時間を要する領域については、他社との共同出資による合弁会社の設立も活用しており、2026年6月に株式会社スマート修繕との合弁会社である株式会社estieスマートリフォームを設立しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
estieグループは、事業規模の拡大と収益性の改善を両立させながら持続的に成長することを経営上の目標としており、その達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、調整後EBITDA及びRule of 40の3つを設定しております。各指標の内容及び当該指標を用いる理由は次のとおりであります。
① 売上高
estieグループは、「産業の真価を、さらに拓く。」をパーパスに掲げ、商業用不動産業界の構造的課題をデータとテクノロジーの力で解決し、不動産事業者による意思決定の高度化と不動産取引の円滑化を通じた産業全体の発展を目指して事業に取り組んでおります。estieグループのサービスは、不動産事業者及び金融機関等がデータに基づく意思決定及び業務を行うための基盤として利用されるものであり、estieグループは、不動産市場におけるestieグループのサービスの浸透が進むことが、そのまま業界横断的なデータ活用の広がり、すなわち不動産業界全体のDXの進展につながるものと考えております。estieグループの売上高は、顧客数と顧客単価、すなわちestieグループのサービスを利用する事業者の数と各事業者における利用の深さの積み上げによって構成されることから、不動産市場におけるestieグループのサービスの浸透度を示すとともに、上記パーパスの実現に向けた進捗を測るうえで最も適切な指標であると考えております。
② 調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に減価償却費、のれん償却費及び株式報酬費用を加算して算出する、estieグループ独自の利益指標であります。estieグループは、企業買収に伴うのれんの償却及び役職員へのインセンティブとして付与する新株予約権に係る株式報酬費用が、営業利益に対して相応の影響を及ぼす費用構造にあることから、これらの非資金性費用の影響を除いた事業活動そのものの収益力を把握するため、一般的に用いられるEBITDA(営業利益+のれん償却費及び減価償却費)に株式報酬費用を加算した調整後EBITDAを用いております。estieグループは、人件費を中心とする固定費が費用の大宗を占める一方で売上高の大宗が継続的に発生する収益で構成されているため、売上高の積み上げに伴い収益性が改善する構造にあると認識しており、固定費の規律ある管理を通じて調整後EBITDAの黒字化及びその拡大を図っております。
③ Rule of 40
Rule of 40は、売上高成長率(前年同期比)と調整後EBITDAマージン(調整後EBITDA÷売上高)の合計として算出する指標であり、成長性と収益性のバランスを一つの数値で評価するものであります。一般に、ソフトウェア企業等においては、売上高成長率と利益率の合計が40%を上回る水準にあることが、成長と収益性が均衡した健全な状態の目安とされております。estieグループは、先行投資を継続する成長段階にあり、単年度の利益水準のみでは必ずしも経営の実態を適切に評価できないことから、成長のための投資と収益性の改善のバランスを規律付ける指標としてRule of 40を用いております。
estieグループの主要な経営指標の推移は次のとおりであります。
estieグループは、ARR(年間経常収益)、MRR(月間経常収益)及び解約率といった、サブスクリプション型のサービスを提供する企業において一般的に用いられる指標を、経営上の目標として設定しておりません。これは、estieグループの売上高にはソフトウェアの利用料のみならず、エンタープライズ実装における個社別の開発・実装に係る売上高や専門情報サービス等のソフトウェア以外の売上高が含まれているほか、今後も提供領域の拡張により多様な収益形態を組み合わせて成長していく方針であることから、ソフトウェアの利用契約を前提とするこれらの指標のみをもってestieグループの経営成績を評価することは必ずしも適切でないと考えていることによるものであります。なお、既存顧客の解約及び契約金額の減少等の状況については、月次で把握し取締役会に報告しておりますが、その水準は安定的に推移しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
estieグループは、大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供のみならず、他社とのアライアンスを通じたサービス開発、統合後のPMI・ガバナンスを前提としたM&Aなどを通じて、持続的な成長と利益の拡大を目指しております。estieグループの現状については、ソフトウェア利用に係る契約若しくは継続的な保守契約に基づくリカーリング売上高が第9期中間連結会計期間の全売上高の77%を占める予見可能性の高い収益基盤と、2026年6月末時点において総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等の大手事業者を含む573社のリカーリング契約顧客数による顧客基盤を構築している一方で、先行投資により営業損失が継続していること、中堅・中小の事業者層の開拓並びにソフトウェア以外の領域への拡張が途上にあること、成長を支える人材及びデータ基盤への継続的な投資が必要であることを認識しております。こうした認識のもと、成長戦略を実現するにあたり、次の事項を優先的に対処すべき課題として認識しております。
① 収益性の改善及び財務基盤の強化
当連結会計年度における営業損失は530,130千円、調整後EBITDAは△511,210千円であり、収益性の改善が財務上の最優先課題であると認識しております。estieグループの費用は、人件費を中心とする固定費的な性格を有するものが大宗を占める一方、売上高の大宗は継続的に発生する収益で構成されております。このため、売上高の積上げに伴い売上高に対する固定費の比率が低下する構造にあると認識しており、固定費の規律ある管理と、売上高の継続的な成長の両立により、営業損益及び調整後EBITDAの黒字化及びその拡大を図ってまいります。
② 提供価値の拡大及びサービスラインアップの拡充
経営戦略の根幹である提供価値の拡大と顧客数の拡大を両立させるためには、案件探索から実行、実行後の管理・モニタリングに至る一連の不動産関連取引に係る業務を、包括的に支援できるソリューション群を有することが必要であると認識しております。このため、既存サービスの機能強化及び新規サービスの開発に加え、顧客企業が保有する情報とestieグループのデータを統合したデータ基盤の構築及びシステムへの実装を支援する体制を拡充してまいります。
その実現にあたっては、自社単独での取組みにとどまらず、他社との業務提携及び企業買収を活用してまいります。estieグループは、これらの取組みを継続的に実行していくため、対象事業の評価及び提携・買収後の事業の統合及び管理の体制を整備していくことが重要であると考えております。
③ 優秀な人材の規律ある採用・育成・登用及びAIの活用を通じた生産性の向上
estieグループの成長の制約要因は優秀な人材の確保にあると認識しております。estieグループのパーパス及び事業内容に共感する優秀な人材の規律ある採用を継続するとともに、既存事業の成長及び新規事業の立上げを担う人材として育成・登用する仕組みを構築してまいります。あわせて、ソフトウェア開発における生成AIの活用等により、人員の増加を抑制しつつ生産性を高めることにも取り組んでまいります。
④ 不動産データ基盤の質的及び量的な拡大
estieグループの競争力の源泉は、業界慣行に根差して非オンライン環境で流通する情報を含めた様々な不動産情報の収集及びそれらを構造化したデータベースにあると考えており、その網羅性、鮮度及び正確性を維持・向上させることが最優先の課題であると認識しております。このため、データの収集経路の拡充、データ処理基盤への投資、及び更なるデータ精度の向上に向けた運用体制の強化に取り組んでまいります。
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてestieが判断したものであります。
(1) 経営方針
estieは、「産業の真価を、さらに拓く。」というパーパスのもと、不動産業界で横断的に活用可能なデジタルインフラの構築を通じ、顧客の意思決定と業務生産性を抜本的に高めるとともに、不動産の売買や賃貸といった各種取引がよりデータドリブン且つ滑らかに実行される世界の実現を目指しております。そのための手段として、総合デベロッパーや大手金融機関等の大企業向けのサービス開発や営業に加えて、中堅・中小企業の開拓・深耕を同時に行っております。このように大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供や、他社とのアライアンスを通じたサービス開発、統合後のPMI・ガバナンスを前提としたM&Aなど、様々な戦略的パートナーシップを活用することで、安定的且つ効率的に売上高の積み上げを目指していく方針です。
(2) 経営環境及び経営戦略
①市場環境
我が国の不動産業は、2024年度の名目国内総生産に占める割合が13%であり、製造業に次ぐ規模の産業であります(出所:内閣府「2024年度国民経済計算」に基づきestieが算出)。そうした不動産業界において、自社利用を主たる目的とせず賃貸又は売買等による収益の獲得を主たる目的として市場で流通・運用される不動産を、商業用不動産、若しくは収益不動産といい、その資産規模は352兆円と推計されるなど、我が国の企業活動と社会インフラを支える中核的資産となっております(出所:ニッセイ基礎研究所「わが国の不動産投資市場規模(2025年)」)。
一方で、日本の不動産市場は、国際比較において透明性や基礎データの充実度、取引プロセスの標準化が十分とは言えません。また、不動産業界にはデベロッパーや投資家、管理会社や金融機関など多様かつ幅広いプレイヤー・事業者が存在していますが、統一化されない不動産情報の扱いや、企業間のアナログな情報連携が情報の分断を生み、業界横断的なデータ活用が阻害されているものと認識しております。
② 経営者が認識する事業機会
estieグループは、こうした業界特有の課題を背景に、様々な事業者が業界横断で活用できるデータ基盤という「土台」の整備に一貫して取り組んできました。空室情報、募集賃料情報、所有者情報等の不動産情報に関する、PDF化された資料や営業メモ等の非構造化データを、AIによる解析や人手による確認も含めて収集・正規化し、網羅性・鮮度・整合性の高い不動産データ基盤を整備するとともに、そうした当該データ基盤をもとに各種サービスを開発し、顧客企業に提供を行うことで、データ活用に基づくデータドリブンな不動産関連取引の意思決定の支援や、業務の効率化に貢献しております。
このように、不動産業界におけるデータの分散及び非対称性は、業界横断的なデータ基盤の構築と業務プロセスの標準化により解消し得る課題であり、estieグループの事業機会であると考えております。加えて、近年の生成AIの普及に伴い、顧客企業においては、自社が保有する情報をAIによる検索、分析及び推論に適した形式で構造化する必要性が高まっております。estieグループは創業以来、不動産データの収集及び構造化に取り組んでまいりましたことから、当該需要の高まりはestieグループの事業機会を拡大するものと判断しております。
estieグループが事業を展開する不動産テック及び商業用不動産の売買取引支援に関連する市場の規模については、次の参考値に基づき、数千億円規模であると考えております。
estieグループが提供するデータ基盤及びソフトウェアは、不動産業界において従来は個々の事業者の内部で人手により行われてきた情報の収集、整理、分析等を業界横断的に担うものであり、これに直接対応する既存の市場区分は存在しないものと認識しております。このため、上記の市場規模は、第三者の調査に基づく不動産テック市場の規模及び仲介手数料のフィープールを、estieグループが対象とする市場の規模を把握するための参考値として記載したものであります。なおestieグループの事業は、不動産仲介会社に代わって取引を仲介することを目的とするものではなく、仲介会社を含む不動産に関わる事業者の業務を効率化し高度化するものであることから、estieグループは業務の効率化及び取引の円滑化を通じた当該市場そのものの拡大に寄与することを目指しております。これらの金額はestieグループが獲得し得る売上高の規模を直接に示すものではありませんが、estieグループは、これらの参考値が示す規模の市場において、estieグループのサービスが対象とし得る事業機会が存在するものと考えております。
estieグループでは、こうした数千億円規模となり得る市場機会の獲得を念頭に、総合デベロッパーや大手金融機関等の大企業向けのプロダクト開発や営業に加えて、中堅・中小企業の開拓・深耕を同時に行っております。このように大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供を通じて、安定的且つ効率的に売上高の積み上げを目指していく方針です。
③ 競争環境及びestieグループのポジショニング
estieグループが競合し得る事業者としては、a.既存の不動産関連情報サービス事業者、b.汎用的なAIサービスを提供する事業者、c.システムインテグレーター、及び、d.顧客企業による内製が挙げられます。estieグループは、次の3点において他の事業者との差別化が図られているものと判断しております。
1. 業界内で流通する情報を収集・構造化したデータベースを、2020年以降継続的に蓄積していること。estieグループが保有する商業用不動産データは、2026年8月末時点で、オフィスビル88,000棟、物流施設19,000棟、ホテル17,000棟及び住宅260万棟であります。
2. 不動産業界における実務経験を有する人材を多数擁し、顧客の業務プロセスに即したアプリケーション及び分析ロジックを設計できること。
3. 総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等を含む顧客基盤を有し、当該顧客の業務を通じて得られる指摘を反映することでデータの精度を継続的に高める仕組みを有していること。
④経営戦略
estieグループは、上記の経営環境に関する認識に基づき、次の3点を成長戦略の柱としております。
1. 既存顧客への提供価値の拡大(顧客単価の向上)
estieグループは複数のプロダクトを提供しており、既存顧客に対する追加プロダクトの導入及び利用範囲の拡大を進めるとともに、顧客企業が保有する情報とestieグループのデータを統合したデータ基盤の構築及びシステムへの実装を支援することにより、顧客1社あたりの取引規模の拡大を図ります。
2. 顧客数の拡大
estieグループのサービスは、総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等の大手事業者を中心に導入が進んでおり、今後更に市場における浸透度の向上を目指していく方針です。加えて、全国に30万以上存在すると言われる中堅・中小の不動産業者を中心に、未開拓の顧客層も多く残されているものと考えております。(出所:公益財団法人不動産流通推進センター「2025 不動産業統計集」)estieグループは、大手事業者のみならず中堅・中小の顧客層にも適したサービスの開発及び提供を通じて、顧客数の拡大を図ります。
3. 提供領域の拡張による対象市場の拡大
ソフトウェアの提供に限定することなく、データを起点としたサービスへとサービスラインアップを拡張することにより、estieグループがアクセスし得る市場の拡大を図ります。その実現にあたっては、自社単独での開発にとどまらず、他社との業務提携及び企業買収を活用する方針であります。estieグループは、M&Aを成長戦略を実現するための手段の一つと位置付けており、これまでの間に株式会社住宅新報の株式取得を含む複数件のM&Aを実施しております。また、自社単独では参入に時間を要する領域については、他社との共同出資による合弁会社の設立も活用しており、2026年6月に株式会社スマート修繕との合弁会社である株式会社estieスマートリフォームを設立しております。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
estieグループは、事業規模の拡大と収益性の改善を両立させながら持続的に成長することを経営上の目標としており、その達成状況を判断するための客観的な指標として、売上高、調整後EBITDA及びRule of 40の3つを設定しております。各指標の内容及び当該指標を用いる理由は次のとおりであります。
① 売上高
estieグループは、「産業の真価を、さらに拓く。」をパーパスに掲げ、商業用不動産業界の構造的課題をデータとテクノロジーの力で解決し、不動産事業者による意思決定の高度化と不動産取引の円滑化を通じた産業全体の発展を目指して事業に取り組んでおります。estieグループのサービスは、不動産事業者及び金融機関等がデータに基づく意思決定及び業務を行うための基盤として利用されるものであり、estieグループは、不動産市場におけるestieグループのサービスの浸透が進むことが、そのまま業界横断的なデータ活用の広がり、すなわち不動産業界全体のDXの進展につながるものと考えております。estieグループの売上高は、顧客数と顧客単価、すなわちestieグループのサービスを利用する事業者の数と各事業者における利用の深さの積み上げによって構成されることから、不動産市場におけるestieグループのサービスの浸透度を示すとともに、上記パーパスの実現に向けた進捗を測るうえで最も適切な指標であると考えております。
② 調整後EBITDA
調整後EBITDAは、営業利益に減価償却費、のれん償却費及び株式報酬費用を加算して算出する、estieグループ独自の利益指標であります。estieグループは、企業買収に伴うのれんの償却及び役職員へのインセンティブとして付与する新株予約権に係る株式報酬費用が、営業利益に対して相応の影響を及ぼす費用構造にあることから、これらの非資金性費用の影響を除いた事業活動そのものの収益力を把握するため、一般的に用いられるEBITDA(営業利益+のれん償却費及び減価償却費)に株式報酬費用を加算した調整後EBITDAを用いております。estieグループは、人件費を中心とする固定費が費用の大宗を占める一方で売上高の大宗が継続的に発生する収益で構成されているため、売上高の積み上げに伴い収益性が改善する構造にあると認識しており、固定費の規律ある管理を通じて調整後EBITDAの黒字化及びその拡大を図っております。
③ Rule of 40
Rule of 40は、売上高成長率(前年同期比)と調整後EBITDAマージン(調整後EBITDA÷売上高)の合計として算出する指標であり、成長性と収益性のバランスを一つの数値で評価するものであります。一般に、ソフトウェア企業等においては、売上高成長率と利益率の合計が40%を上回る水準にあることが、成長と収益性が均衡した健全な状態の目安とされております。estieグループは、先行投資を継続する成長段階にあり、単年度の利益水準のみでは必ずしも経営の実態を適切に評価できないことから、成長のための投資と収益性の改善のバランスを規律付ける指標としてRule of 40を用いております。
estieグループの主要な経営指標の推移は次のとおりであります。
estieグループは、ARR(年間経常収益)、MRR(月間経常収益)及び解約率といった、サブスクリプション型のサービスを提供する企業において一般的に用いられる指標を、経営上の目標として設定しておりません。これは、estieグループの売上高にはソフトウェアの利用料のみならず、エンタープライズ実装における個社別の開発・実装に係る売上高や専門情報サービス等のソフトウェア以外の売上高が含まれているほか、今後も提供領域の拡張により多様な収益形態を組み合わせて成長していく方針であることから、ソフトウェアの利用契約を前提とするこれらの指標のみをもってestieグループの経営成績を評価することは必ずしも適切でないと考えていることによるものであります。なお、既存顧客の解約及び契約金額の減少等の状況については、月次で把握し取締役会に報告しておりますが、その水準は安定的に推移しております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
estieグループは、大企業から中堅・中小企業までをカバーする包括的なソリューションの開発・提供のみならず、他社とのアライアンスを通じたサービス開発、統合後のPMI・ガバナンスを前提としたM&Aなどを通じて、持続的な成長と利益の拡大を目指しております。estieグループの現状については、ソフトウェア利用に係る契約若しくは継続的な保守契約に基づくリカーリング売上高が第9期中間連結会計期間の全売上高の77%を占める予見可能性の高い収益基盤と、2026年6月末時点において総合デベロッパー、資産運用会社及び金融機関等の大手事業者を含む573社のリカーリング契約顧客数による顧客基盤を構築している一方で、先行投資により営業損失が継続していること、中堅・中小の事業者層の開拓並びにソフトウェア以外の領域への拡張が途上にあること、成長を支える人材及びデータ基盤への継続的な投資が必要であることを認識しております。こうした認識のもと、成長戦略を実現するにあたり、次の事項を優先的に対処すべき課題として認識しております。
① 収益性の改善及び財務基盤の強化
当連結会計年度における営業損失は530,130千円、調整後EBITDAは△511,210千円であり、収益性の改善が財務上の最優先課題であると認識しております。estieグループの費用は、人件費を中心とする固定費的な性格を有するものが大宗を占める一方、売上高の大宗は継続的に発生する収益で構成されております。このため、売上高の積上げに伴い売上高に対する固定費の比率が低下する構造にあると認識しており、固定費の規律ある管理と、売上高の継続的な成長の両立により、営業損益及び調整後EBITDAの黒字化及びその拡大を図ってまいります。
② 提供価値の拡大及びサービスラインアップの拡充
経営戦略の根幹である提供価値の拡大と顧客数の拡大を両立させるためには、案件探索から実行、実行後の管理・モニタリングに至る一連の不動産関連取引に係る業務を、包括的に支援できるソリューション群を有することが必要であると認識しております。このため、既存サービスの機能強化及び新規サービスの開発に加え、顧客企業が保有する情報とestieグループのデータを統合したデータ基盤の構築及びシステムへの実装を支援する体制を拡充してまいります。
その実現にあたっては、自社単独での取組みにとどまらず、他社との業務提携及び企業買収を活用してまいります。estieグループは、これらの取組みを継続的に実行していくため、対象事業の評価及び提携・買収後の事業の統合及び管理の体制を整備していくことが重要であると考えております。
③ 優秀な人材の規律ある採用・育成・登用及びAIの活用を通じた生産性の向上
estieグループの成長の制約要因は優秀な人材の確保にあると認識しております。estieグループのパーパス及び事業内容に共感する優秀な人材の規律ある採用を継続するとともに、既存事業の成長及び新規事業の立上げを担う人材として育成・登用する仕組みを構築してまいります。あわせて、ソフトウェア開発における生成AIの活用等により、人員の増加を抑制しつつ生産性を高めることにも取り組んでまいります。
④ 不動産データ基盤の質的及び量的な拡大
estieグループの競争力の源泉は、業界慣行に根差して非オンライン環境で流通する情報を含めた様々な不動産情報の収集及びそれらを構造化したデータベースにあると考えており、その網羅性、鮮度及び正確性を維持・向上させることが最優先の課題であると認識しております。このため、データの収集経路の拡充、データ処理基盤への投資、及び更なるデータ精度の向上に向けた運用体制の強化に取り組んでまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
estieグループのリスク管理体制に関しましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等、(1)コーポレート・ガバナンスの概要、② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由、c リスク・コンプライアンス委員会」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてestieグループが判断したものであります。
① 市場環境について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
estieグループは、不動産情報プラットフォームの提供及びデータを活用した業務支援事業を展開しており、不動産業界に属する幅広い顧客を対象としております。不動産市場の動向は、国内外の景気、金利水準、企業活動、オフィス需要の変動等に大きく影響を受けますが、その影響の程度はデベロッパー、投資会社、管理会社、金融機関、仲介会社等といった顧客セグメントごとに異なります。今後、景気後退や金利上昇等により不動産取引量や投資意欲が減退した場合、estieサービスを利用する顧客の活動水準やIT投資意欲が低下し、estieグループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、estieグループの顧客基盤が不動産業界内の特定の顧客セグメントに偏る場合には、当該セグメントの事業環境の悪化がestieグループの業績に及ぼす影響が大きくなるおそれがあります。
estieグループは、当該リスクに対し、不動産業界における多様な顧客セグメントを幅広くターゲットとし、特定の顧客セグメントに過度に依存しない顧客基盤の構築を進めるとともに、市場の景況に左右されにくいサービスの付加価値向上及びサービスラインナップの多角化に努めることで、市場環境変動の影響の低減を図っております。
② 競合について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループは、不動産情報に特化したサービスを提供しております。不動産業界の業態や取引慣行には特有の側面があるため、新規参入者が不動産業界のビジネスノウハウを習得し、estieと同様のビジネスモデルを構築するには、相応の参入障壁があるものと考えております。
estieグループは、かかるリスクに対して、不動産業界における深い専門知識と独自のデータ資産を活かした差別化戦略を推進するとともに、継続的なプロダクト改善及び顧客との関係強化を通じて競争優位性の維持・向上に努めております。しかしながら、同種のサービスを展開する新たな競合が出現した場合には、estieグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針でありますが、技術革新への対応が遅れた場合や、競合他社がより優れたサービスを展開した場合には、estieグループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のために、予想外に開発費が発生する可能性があります。今後、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合、estieグループの競争力の低下を招き、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、技術動向や市場トレンドに関する情報収集体制を強化するとともに、先端技術の検証を継続的に実施しております。また、外部の技術パートナーとの連携や社内エンジニアのスキル向上施策を通じて、技術革新への迅速な対応力の確保に努めております。
① 特定サービスへの依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)
estieグループは、不動産プラットフォーム事業の単一セグメントであり、中でも商業用不動産データ分析基盤(Vertical Dataソリューション)の利用料が大半を占めております。不動産市場における競合他社との競合激化等により、Vertical Dataソリューションの収益が減少した場合には、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、estieグループはVertical Dataソリューションの大手顧客層への導入を進めており、当該顧客層への導入が一定程度進捗した段階においては、新規契約の獲得による売上高の増加ペースが過年度と同水準では推移しない可能性があります。estieグループは、Vertical Dataソリューションの既存顧客における利用部門の拡大及び提供サービスの追加並びに未取引の顧客層への展開により、引き続き成長の余地があるものと考えておりますが、これらが想定どおりに進捗しない場合には、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、新たなサービスの開発・展開を推進し、Vertical Dataソリューションの競争力の向上を図るとともに、エンタープライズ実装(顧客企業のデータ基盤の構築及びシステムの実装)等の複合的なサービスの開発・展開を推進し収益源の多角化を図り、既存サービスの継続的な機能強化及び顧客基盤の拡大並びに既存顧客に対するアップセル及びクロスセルの推進を通じて、特定サービスへの依存度の低減に努めております。
② 新規事業について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは、中長期的な成長を見据え、生成AIを活用した新たなサービスの企画・開発を推進しております。具体的には、物件概要書等の資料をAIにより読み取り構造化する機能、生成AIを活用した市場データの分析及び業務支援機能(AIエージェント)並びに顧客企業が保有するデータをAIによる活用に適した形式に整備するデータ基盤の構築等に取り組んでおります。これらのサービスは、業務効率化や新たな顧客価値の創出を目的としておりますが、生成AIは技術革新の速度が極めて速く、顧客ニーズの変化や競合環境の激化も著しい領域です。
このような状況下において、estieが投入した開発資源や販売体制が市場の要求に十分に適合せず、期待した収益化に至らない場合、また、サービスの精度や信頼性に対する社会的懸念、法規制の変化、倫理的な問題等が顕在化した場合には、当該領域における売上高の伸長が当初の想定を下回る、あるいは継続的なコスト負担により、estieの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、段階的な開発投資と市場検証を行う体制を構築するとともに、生成AIに関する社内ガイドラインの整備及び法規制動向のモニタリングを実施し、リスクの低減に努めております。
③ システム障害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループのシステムは、クライアントへのサービス提供を担うプロダクトシステムと、受注から売上計上に至る業務フローを一元管理する社内管理システムの大きく2つから構成されております。
プロダクトシステムについては、クラウドを介してインターネット経由でサービスを提供しており、通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。estieグループは、システムの稼働状況の監視、バックアップ及びクラウドサーバーの冗長化を実施し、障害発生の未然防止と発生時の影響最小化に努めております。しかしながら、自然災害、事故、不正アクセス等の予期しえない要因により大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供が停止し、顧客の信頼低下や損害賠償責任が生じる等、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
社内管理システムについては、受注から売上計上までの業務処理が当該システムを通じて自動的に連携・処理される仕組みとなっております。障害が発生し自動化された業務処理が正常に機能しない場合には、売上の正確な計上が困難となる等、適正な財務報告に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、このようなリスクに対して、システム構成の継続的な見直し及びインシデント対応マニュアルの整備・定期的な障害復旧訓練を実施することにより、障害発生時の迅速な復旧と影響範囲の最小化を図り、リスクの軽減に努めております。
④ M&A及び業務提携について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは、パーパスである「産業の真価を、さらに拓く。」の実現に向けて、自社によるサービス開発に加え、事業を補完・強化し得る企業又は事業を対象とするM&A及び業務提携を成長戦略の一つと位置付けており、今後も継続的に検討していく方針であります。M&Aの実施に際しては、対象企業又は事業の財務、税務、法務、ビジネス及び情報システム等について外部専門家を含めたデューデリジェンスを実施しておりますが、実施後に認識していなかった問題が判明した場合、市場環境や競合状況の変化等により対象事業が計画どおりに進まない場合、統合プロセス(PMI)に想定以上の期間若しくは費用を要する場合、又は主要な人材が流出した場合には、期待した効果が得られず、取得した株式、事業資産若しくはのれんについて減損処理が必要となる等、estieグループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業務提携については、提携先の経営方針の変更、提携関係の解消又は想定していた協業効果が実現しないことにより、estieグループの事業戦略の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、顧客基盤の獲得及び保有データの拡充により長期的な企業価値の向上に資すると判断して実施した過去のM&Aについて、上場会社グループに求められる管理体制への適合を含む統合プロセス(PMI)に要する費用及び経営資源の負担により短期的な収益が取得時の計画を下回る見込みとなったことから、のれんの減損損失を計上しております。これを踏まえ、当該案件に係る事後検証及び独立社外取締役によるレビューの結果を反映したM&A実施ガイドラインを制定し、投資判断及び統合管理の体制の整備・向上に取り組んでおります。投資判断に当たっては、統合に要する費用及び経営資源を織り込んだ事業計画をストレスケースを含めて策定したうえで取得価額の妥当性を検証し、デューデリジェンスにおいて検出したリスクを取得価額又は契約条件等により手当てできない場合には案件の中止を検討することとしているほか、想定される会計処理を事前に検討し、取締役会への付議に先立ち監査役会において事前協議を行っております。投資実行後は、一定規模以上の案件について取得後一定期間経過時点で事業計画対比の実績及びのれんの回収可能性を評価して取締役会に報告し、重大な乖離が認められる場合には改善策又は事業の継続若しくは撤退の方針を付議することとしております。これらの手続の遵守状況は、内部監査人及び監査役が独立した立場から検証しております。
⑤ データの取得について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
estieグループは、サービスの提供にあたり、不動産デベロッパー、不動産管理会社、仲介会社等の第三者から、商業用不動産に関するデータ(建物情報、募集情報、賃料情報及び入居テナント情報等)の提供を受けております。estieグループは、これらのデータの提供を受けるに当たり、当該第三者において適法に取得され、かつestieグループへの提供が適法に行われるものである旨の表明及び保証を取得するとともに、外部の法律専門家による確認を通じて、estieグループの不動産プラットフォーム事業の運営の適法性の確保に努めております。また、主要なデータ提供元との間では、提供を受けるデータの範囲及び提供対象外とすべき情報の取扱い等について、定期的に協議する機会を設けております。
しかしながら、データソースとなる第三者が常に適法かつ正確なデータの提供を行っていることをestieグループが確認することには限界があり、当該第三者の故意又は過失により、適法性又は正確性を欠く情報がestieグループに提供される可能性を完全に排除することはできず、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 情報漏洩について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループが提供するサービスにおいて、物件保有者の個人情報、またユーザー企業の保有する第三者の個人情報に関与するケースがあります。estieグループは、個人情報の取り扱いに関する重要性を十分に認識し、個人情報を含むすべての情報資産の管理並びに保護をしております。具体的には、「情報システム管理規程」及び「情報セキュリティマニュアル」を定め、秘密情報の保護に関し役員及び従業員が遵守すべき事項を規定するとともに、社内イントラへの掲載並びに入社時及び定期の研修を通じて周知徹底を図っております。また、「情報セキュリティ基本方針」を対外的に公開するとともに、estieにおいては、ISMSの認証を取得し、外部専門機関による定期的な審査を通じて実効性の維持・向上を図っております。個人情報保護についても「個人情報保護規程」を定め、管理体制を整備しております。
しかしながら、重要な情報資産の外部漏洩により、estieグループが行政指導や行政処分等を受け、estieグループの社会的信用が失墜し、もしくは損害賠償請求が発生する可能性があり、また、情報資産の取り扱いに関する法規制もしくは運用の厳格化等により、estieグループのサービスの停止、情報の利用に対する制約等が発生した場合には、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
estieグループは、第三者の知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っております。具体的には、新規サービスの開発時における第三者の知的財産権の事前調査及び必要に応じた外部専門家への相談体制を整備し、知的財産権侵害リスクの低減に努めております。本書提出日現在においてestieグループの認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後estieの調査・確認漏れ、不測の事態の発生等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受けるような事態が発生した場合には、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 訴訟・係争について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
本書提出日現在において、estieグループの業績に影響を及ぼす訴訟や紛争は生じておりません。
しかしながら、今後何らかの事情によってestieに関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、法令遵守の徹底、顧問弁護士等の外部専門家との連携強化及び契約書のリーガルチェック体制の整備等を通じて、訴訟リスクの未然防止に努めております。
④ 法的規制について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
本書提出日現在において、estieグループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、estieグループの事業は、電気通信事業法の規制の影響を受けております。今後、法的規制の改正や業界の自主ルールが整備されることなどにより、estieグループの事業が何らかの制約を受けることとなった場合や規制強化等の対応が求められることとなった場合には、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、関連法規制の動向を継続的にモニタリングするとともに、外部の法律専門家との連携を通じて、法改正等への迅速な対応体制の整備に努めております。
① 特定人物への依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:大)
estieの代表取締役である平井瑛は、estieの創業者であり、設立以来estieの経営方針や事業戦略の立案やその遂行において重要な役割を担っております。estieグループは特定の人物に依存しない体制を構築するべく、幹部社員の情報共有や権限の委譲によって平井瑛に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により平井瑛のestieグループにおける業務遂行が困難になった場合、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、経営幹部層の育成及び後継者計画の策定を進めるとともに、取締役会における重要事項の合議制による意思決定体制を整備し、特定人物への依存度の低減に努めております。
② 内部管理体制について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:大)
estieグループは、コーポレート・ガバナンス体制の充実を重要な経営課題と認識しており、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制の充実を図っております。具体的には、内部監査機能の強化、業務プロセスの文書化及び標準化、並びにリスク・コンプライアンス委員会の定期的な開催等を通じて、管理体制の強化を推進しております。
しかしながら、estieグループの急速な事業展開及び会社規模の拡大に内部管理体制の整備が追いつかなかった場合には、業務運営に支障をきたし、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材の確保・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループが、今後も企業規模を拡大していくためには、estieグループのパーパスに共感し、estieグループのカルチャーに適合する高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠です。estieグループは、事業規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も継続的に採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材が十分に獲得できなかった場合や人材流出が生じた場合、並びに人材の育成が想定通りに進まない場合には、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、競争力のある報酬体系の維持、柔軟な働き方の推進、社内研修制度の充実及びエンジニアコミュニティへの積極的な参加等を通じて、人材の採用力及び定着率の向上に努めております。
① 自然災害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループの事業は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。そのため、これらに被害をもたらすおそれのある自然災害等が発生した場合には、estieグループは事業を継続することができない等の支障が生じ、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、自然災害等に備えて災害時の事業継続計画を策定していますが、estieグループの事業を継続するために十分ではない可能性があります。結果として、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、事業継続計画の定期的な見直し及び訓練の実施、リモートワーク環境の整備等を通じて、自然災害発生時の事業継続性の向上に努めております。
② 株式発行及び資本金の額の減少について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)
本書提出日現在におけるestieの資本金の額は1億192万1,934円であり(資本金の推移については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (3) 発行済株式総数、資本金等の推移」をご参照ください。)、本募集及び本第三者割当増資により増加した後の資本金の額について、estieは、2026年8月31日開催の臨時株主総会において、会社法第447条第1項に基づき、資本金の額を減少し、最終的な資本金の額を1,000万円とすること(減少額は会社計算規則第27条に基づきその他資本剰余金へ振り替える予定)について決議を行っております(以下「本件減資」といいます。)。本件減資は、上場後に、会社法第449条に基づく債権者保護手続(官報公告及び定款に定める電子公告並びに知れたる債権者への個別催告)を実施し、当該手続を経たうえで、2026年12月31日を効力発生日とする予定です。本件減資は資本の部内における振替であり、資金の流出を伴うものではありません。
estieにおいては、今後の事業成長及びM&A等を通じた成長戦略を継続するうえで、財務基盤を強化し、より柔軟な資本政策(株主に対する利益還元政策を含む)を可能とする体制を整備することが重要な経営課題であると認識しており、本件減資は、かかる財務戦略上の要請に基づき実施するものです。あわせて、本件減資の実施により、estieの資本金の額が1億円以下となることから、法人税法上の中小法人等として、繰越欠損金について課税所得の全額まで控除が可能となる等、税法上のいわゆる中小企業向け措置の適用を受けることが可能となる見込みであり、これらは、estieグループのキャッシュ・フローを含む財務基盤の強化及び投資余力の拡大に資するものです。さらに、本募集及び本第三者割当増資により増加した資本金をその他資本剰余金へ振り替えることは、将来的な株主還元を含む資本政策の選択肢を広げる効果もあり、本募集及び本第三者割当増資と本件減資等を併せて実施する意義は高いものと考えております。
しかしながら、今後、estieの資本金の額が増加し、これに応じた資本金の減少がなされない場合、また、上記の中小企業向けの措置について、廃止又は変更その他の理由により、上記措置の全部又は一部がestieに適用されなくなった場合、estieの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。なお、本件減資の実施については、社外の専門家等の意見も踏まえ、取締役会にて慎重に検討いたしましたが、本件減資は現行の法制度を利用した適法なものであり、estieの安定的な運営及び企業価値の向上に資するものであると判断しております。ただし、上記措置を利用することにつき、今後、否定的な報道等がなされた場合には、estieのレピュテーションに影響を与える可能性があります。
③ 配当政策について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)
estieグループは、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。
しかしながら、estieグループは、現時点では成長過程にあり内部留保が充実しているとはいえず、配当を行っておりません。また、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
将来的には、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。estieグループは、当該リスクに対し、株主との対話を通じてestieの成長戦略及び利益還元に関する方針を丁寧に説明するとともに、中長期的な企業価値の向上を通じて株主利益の最大化に努めております。
④ ベンチャーキャピタルの株式保有割合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
本書提出日現在におけるestieの発行済株式総数は15,443,800株であり、このうち7,424,000株(発行済株式の48.1%)についてはベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル」という。)が保有しております。
一般的に、ベンチャーキャピタルが未上場会社の株式を取得する場合、上場後には保有する株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであり、estieにおきましても、上場後にベンチャーキャピタルにより株式が売却される可能性があります。そのような場合には、短期的に需給が悪化し、estieの株価が低下する可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、ベンチャーキャピタルとの継続的な対話を通じて株式売却のタイミングや規模に関する情報共有に努めるとともに、積極的なIR活動を通じた安定的な株主基盤の構築を推進しております。
⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期、影響度:小)
estieは、業績向上に対する意欲向上を目的として、会社法の規定に基づく新株予約権をestieグループの役職員等に付与しております。本書提出日現在、新株予約権の株数は2,354,000株であり、estie発行済株式数の15,443,800株に対する潜在株式比率は15.2%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、estieの株式価値が希薄化する可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、新株予約権の付与に際して既存株主の利益を考慮した適切な発行規模の設定及び行使条件の検討を行うとともに、株式価値の希薄化の影響を最小限に抑えるよう努めております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
estieグループのリスク管理体制に関しましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等、(1)コーポレート・ガバナンスの概要、② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由、c リスク・コンプライアンス委員会」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてestieグループが判断したものであります。
① 市場環境について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
estieグループは、不動産情報プラットフォームの提供及びデータを活用した業務支援事業を展開しており、不動産業界に属する幅広い顧客を対象としております。不動産市場の動向は、国内外の景気、金利水準、企業活動、オフィス需要の変動等に大きく影響を受けますが、その影響の程度はデベロッパー、投資会社、管理会社、金融機関、仲介会社等といった顧客セグメントごとに異なります。今後、景気後退や金利上昇等により不動産取引量や投資意欲が減退した場合、estieサービスを利用する顧客の活動水準やIT投資意欲が低下し、estieグループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、estieグループの顧客基盤が不動産業界内の特定の顧客セグメントに偏る場合には、当該セグメントの事業環境の悪化がestieグループの業績に及ぼす影響が大きくなるおそれがあります。
estieグループは、当該リスクに対し、不動産業界における多様な顧客セグメントを幅広くターゲットとし、特定の顧客セグメントに過度に依存しない顧客基盤の構築を進めるとともに、市場の景況に左右されにくいサービスの付加価値向上及びサービスラインナップの多角化に努めることで、市場環境変動の影響の低減を図っております。
② 競合について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループは、不動産情報に特化したサービスを提供しております。不動産業界の業態や取引慣行には特有の側面があるため、新規参入者が不動産業界のビジネスノウハウを習得し、estieと同様のビジネスモデルを構築するには、相応の参入障壁があるものと考えております。
estieグループは、かかるリスクに対して、不動産業界における深い専門知識と独自のデータ資産を活かした差別化戦略を推進するとともに、継続的なプロダクト改善及び顧客との関係強化を通じて競争優位性の維持・向上に努めております。しかしながら、同種のサービスを展開する新たな競合が出現した場合には、estieグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針でありますが、技術革新への対応が遅れた場合や、競合他社がより優れたサービスを展開した場合には、estieグループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のために、予想外に開発費が発生する可能性があります。今後、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合、estieグループの競争力の低下を招き、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、技術動向や市場トレンドに関する情報収集体制を強化するとともに、先端技術の検証を継続的に実施しております。また、外部の技術パートナーとの連携や社内エンジニアのスキル向上施策を通じて、技術革新への迅速な対応力の確保に努めております。
① 特定サービスへの依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)
estieグループは、不動産プラットフォーム事業の単一セグメントであり、中でも商業用不動産データ分析基盤(Vertical Dataソリューション)の利用料が大半を占めております。不動産市場における競合他社との競合激化等により、Vertical Dataソリューションの収益が減少した場合には、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、estieグループはVertical Dataソリューションの大手顧客層への導入を進めており、当該顧客層への導入が一定程度進捗した段階においては、新規契約の獲得による売上高の増加ペースが過年度と同水準では推移しない可能性があります。estieグループは、Vertical Dataソリューションの既存顧客における利用部門の拡大及び提供サービスの追加並びに未取引の顧客層への展開により、引き続き成長の余地があるものと考えておりますが、これらが想定どおりに進捗しない場合には、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、新たなサービスの開発・展開を推進し、Vertical Dataソリューションの競争力の向上を図るとともに、エンタープライズ実装(顧客企業のデータ基盤の構築及びシステムの実装)等の複合的なサービスの開発・展開を推進し収益源の多角化を図り、既存サービスの継続的な機能強化及び顧客基盤の拡大並びに既存顧客に対するアップセル及びクロスセルの推進を通じて、特定サービスへの依存度の低減に努めております。
② 新規事業について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは、中長期的な成長を見据え、生成AIを活用した新たなサービスの企画・開発を推進しております。具体的には、物件概要書等の資料をAIにより読み取り構造化する機能、生成AIを活用した市場データの分析及び業務支援機能(AIエージェント)並びに顧客企業が保有するデータをAIによる活用に適した形式に整備するデータ基盤の構築等に取り組んでおります。これらのサービスは、業務効率化や新たな顧客価値の創出を目的としておりますが、生成AIは技術革新の速度が極めて速く、顧客ニーズの変化や競合環境の激化も著しい領域です。
このような状況下において、estieが投入した開発資源や販売体制が市場の要求に十分に適合せず、期待した収益化に至らない場合、また、サービスの精度や信頼性に対する社会的懸念、法規制の変化、倫理的な問題等が顕在化した場合には、当該領域における売上高の伸長が当初の想定を下回る、あるいは継続的なコスト負担により、estieの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、段階的な開発投資と市場検証を行う体制を構築するとともに、生成AIに関する社内ガイドラインの整備及び法規制動向のモニタリングを実施し、リスクの低減に努めております。
③ システム障害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループのシステムは、クライアントへのサービス提供を担うプロダクトシステムと、受注から売上計上に至る業務フローを一元管理する社内管理システムの大きく2つから構成されております。
プロダクトシステムについては、クラウドを介してインターネット経由でサービスを提供しており、通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。estieグループは、システムの稼働状況の監視、バックアップ及びクラウドサーバーの冗長化を実施し、障害発生の未然防止と発生時の影響最小化に努めております。しかしながら、自然災害、事故、不正アクセス等の予期しえない要因により大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供が停止し、顧客の信頼低下や損害賠償責任が生じる等、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
社内管理システムについては、受注から売上計上までの業務処理が当該システムを通じて自動的に連携・処理される仕組みとなっております。障害が発生し自動化された業務処理が正常に機能しない場合には、売上の正確な計上が困難となる等、適正な財務報告に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、このようなリスクに対して、システム構成の継続的な見直し及びインシデント対応マニュアルの整備・定期的な障害復旧訓練を実施することにより、障害発生時の迅速な復旧と影響範囲の最小化を図り、リスクの軽減に努めております。
④ M&A及び業務提携について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは、パーパスである「産業の真価を、さらに拓く。」の実現に向けて、自社によるサービス開発に加え、事業を補完・強化し得る企業又は事業を対象とするM&A及び業務提携を成長戦略の一つと位置付けており、今後も継続的に検討していく方針であります。M&Aの実施に際しては、対象企業又は事業の財務、税務、法務、ビジネス及び情報システム等について外部専門家を含めたデューデリジェンスを実施しておりますが、実施後に認識していなかった問題が判明した場合、市場環境や競合状況の変化等により対象事業が計画どおりに進まない場合、統合プロセス(PMI)に想定以上の期間若しくは費用を要する場合、又は主要な人材が流出した場合には、期待した効果が得られず、取得した株式、事業資産若しくはのれんについて減損処理が必要となる等、estieグループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業務提携については、提携先の経営方針の変更、提携関係の解消又は想定していた協業効果が実現しないことにより、estieグループの事業戦略の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、顧客基盤の獲得及び保有データの拡充により長期的な企業価値の向上に資すると判断して実施した過去のM&Aについて、上場会社グループに求められる管理体制への適合を含む統合プロセス(PMI)に要する費用及び経営資源の負担により短期的な収益が取得時の計画を下回る見込みとなったことから、のれんの減損損失を計上しております。これを踏まえ、当該案件に係る事後検証及び独立社外取締役によるレビューの結果を反映したM&A実施ガイドラインを制定し、投資判断及び統合管理の体制の整備・向上に取り組んでおります。投資判断に当たっては、統合に要する費用及び経営資源を織り込んだ事業計画をストレスケースを含めて策定したうえで取得価額の妥当性を検証し、デューデリジェンスにおいて検出したリスクを取得価額又は契約条件等により手当てできない場合には案件の中止を検討することとしているほか、想定される会計処理を事前に検討し、取締役会への付議に先立ち監査役会において事前協議を行っております。投資実行後は、一定規模以上の案件について取得後一定期間経過時点で事業計画対比の実績及びのれんの回収可能性を評価して取締役会に報告し、重大な乖離が認められる場合には改善策又は事業の継続若しくは撤退の方針を付議することとしております。これらの手続の遵守状況は、内部監査人及び監査役が独立した立場から検証しております。
⑤ データの取得について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
estieグループは、サービスの提供にあたり、不動産デベロッパー、不動産管理会社、仲介会社等の第三者から、商業用不動産に関するデータ(建物情報、募集情報、賃料情報及び入居テナント情報等)の提供を受けております。estieグループは、これらのデータの提供を受けるに当たり、当該第三者において適法に取得され、かつestieグループへの提供が適法に行われるものである旨の表明及び保証を取得するとともに、外部の法律専門家による確認を通じて、estieグループの不動産プラットフォーム事業の運営の適法性の確保に努めております。また、主要なデータ提供元との間では、提供を受けるデータの範囲及び提供対象外とすべき情報の取扱い等について、定期的に協議する機会を設けております。
しかしながら、データソースとなる第三者が常に適法かつ正確なデータの提供を行っていることをestieグループが確認することには限界があり、当該第三者の故意又は過失により、適法性又は正確性を欠く情報がestieグループに提供される可能性を完全に排除することはできず、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 情報漏洩について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループが提供するサービスにおいて、物件保有者の個人情報、またユーザー企業の保有する第三者の個人情報に関与するケースがあります。estieグループは、個人情報の取り扱いに関する重要性を十分に認識し、個人情報を含むすべての情報資産の管理並びに保護をしております。具体的には、「情報システム管理規程」及び「情報セキュリティマニュアル」を定め、秘密情報の保護に関し役員及び従業員が遵守すべき事項を規定するとともに、社内イントラへの掲載並びに入社時及び定期の研修を通じて周知徹底を図っております。また、「情報セキュリティ基本方針」を対外的に公開するとともに、estieにおいては、ISMSの認証を取得し、外部専門機関による定期的な審査を通じて実効性の維持・向上を図っております。個人情報保護についても「個人情報保護規程」を定め、管理体制を整備しております。
しかしながら、重要な情報資産の外部漏洩により、estieグループが行政指導や行政処分等を受け、estieグループの社会的信用が失墜し、もしくは損害賠償請求が発生する可能性があり、また、情報資産の取り扱いに関する法規制もしくは運用の厳格化等により、estieグループのサービスの停止、情報の利用に対する制約等が発生した場合には、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
estieグループは、第三者の知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っております。具体的には、新規サービスの開発時における第三者の知的財産権の事前調査及び必要に応じた外部専門家への相談体制を整備し、知的財産権侵害リスクの低減に努めております。本書提出日現在においてestieグループの認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後estieの調査・確認漏れ、不測の事態の発生等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受けるような事態が発生した場合には、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 訴訟・係争について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
本書提出日現在において、estieグループの業績に影響を及ぼす訴訟や紛争は生じておりません。
しかしながら、今後何らかの事情によってestieに関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、法令遵守の徹底、顧問弁護士等の外部専門家との連携強化及び契約書のリーガルチェック体制の整備等を通じて、訴訟リスクの未然防止に努めております。
④ 法的規制について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
本書提出日現在において、estieグループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、estieグループの事業は、電気通信事業法の規制の影響を受けております。今後、法的規制の改正や業界の自主ルールが整備されることなどにより、estieグループの事業が何らかの制約を受けることとなった場合や規制強化等の対応が求められることとなった場合には、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、関連法規制の動向を継続的にモニタリングするとともに、外部の法律専門家との連携を通じて、法改正等への迅速な対応体制の整備に努めております。
① 特定人物への依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:大)
estieの代表取締役である平井瑛は、estieの創業者であり、設立以来estieの経営方針や事業戦略の立案やその遂行において重要な役割を担っております。estieグループは特定の人物に依存しない体制を構築するべく、幹部社員の情報共有や権限の委譲によって平井瑛に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により平井瑛のestieグループにおける業務遂行が困難になった場合、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、経営幹部層の育成及び後継者計画の策定を進めるとともに、取締役会における重要事項の合議制による意思決定体制を整備し、特定人物への依存度の低減に努めております。
② 内部管理体制について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:大)
estieグループは、コーポレート・ガバナンス体制の充実を重要な経営課題と認識しており、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制の充実を図っております。具体的には、内部監査機能の強化、業務プロセスの文書化及び標準化、並びにリスク・コンプライアンス委員会の定期的な開催等を通じて、管理体制の強化を推進しております。
しかしながら、estieグループの急速な事業展開及び会社規模の拡大に内部管理体制の整備が追いつかなかった場合には、業務運営に支障をきたし、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材の確保・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループが、今後も企業規模を拡大していくためには、estieグループのパーパスに共感し、estieグループのカルチャーに適合する高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠です。estieグループは、事業規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も継続的に採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材が十分に獲得できなかった場合や人材流出が生じた場合、並びに人材の育成が想定通りに進まない場合には、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、競争力のある報酬体系の維持、柔軟な働き方の推進、社内研修制度の充実及びエンジニアコミュニティへの積極的な参加等を通じて、人材の採用力及び定着率の向上に努めております。
① 自然災害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループの事業は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。そのため、これらに被害をもたらすおそれのある自然災害等が発生した場合には、estieグループは事業を継続することができない等の支障が生じ、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、自然災害等に備えて災害時の事業継続計画を策定していますが、estieグループの事業を継続するために十分ではない可能性があります。結果として、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、事業継続計画の定期的な見直し及び訓練の実施、リモートワーク環境の整備等を通じて、自然災害発生時の事業継続性の向上に努めております。
② 株式発行及び資本金の額の減少について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)
本書提出日現在におけるestieの資本金の額は1億192万1,934円であり(資本金の推移については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (3) 発行済株式総数、資本金等の推移」をご参照ください。)、本募集及び本第三者割当増資により増加した後の資本金の額について、estieは、2026年8月31日開催の臨時株主総会において、会社法第447条第1項に基づき、資本金の額を減少し、最終的な資本金の額を1,000万円とすること(減少額は会社計算規則第27条に基づきその他資本剰余金へ振り替える予定)について決議を行っております(以下「本件減資」といいます。)。本件減資は、上場後に、会社法第449条に基づく債権者保護手続(官報公告及び定款に定める電子公告並びに知れたる債権者への個別催告)を実施し、当該手続を経たうえで、2026年12月31日を効力発生日とする予定です。本件減資は資本の部内における振替であり、資金の流出を伴うものではありません。
estieにおいては、今後の事業成長及びM&A等を通じた成長戦略を継続するうえで、財務基盤を強化し、より柔軟な資本政策(株主に対する利益還元政策を含む)を可能とする体制を整備することが重要な経営課題であると認識しており、本件減資は、かかる財務戦略上の要請に基づき実施するものです。あわせて、本件減資の実施により、estieの資本金の額が1億円以下となることから、法人税法上の中小法人等として、繰越欠損金について課税所得の全額まで控除が可能となる等、税法上のいわゆる中小企業向け措置の適用を受けることが可能となる見込みであり、これらは、estieグループのキャッシュ・フローを含む財務基盤の強化及び投資余力の拡大に資するものです。さらに、本募集及び本第三者割当増資により増加した資本金をその他資本剰余金へ振り替えることは、将来的な株主還元を含む資本政策の選択肢を広げる効果もあり、本募集及び本第三者割当増資と本件減資等を併せて実施する意義は高いものと考えております。
しかしながら、今後、estieの資本金の額が増加し、これに応じた資本金の減少がなされない場合、また、上記の中小企業向けの措置について、廃止又は変更その他の理由により、上記措置の全部又は一部がestieに適用されなくなった場合、estieの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。なお、本件減資の実施については、社外の専門家等の意見も踏まえ、取締役会にて慎重に検討いたしましたが、本件減資は現行の法制度を利用した適法なものであり、estieの安定的な運営及び企業価値の向上に資するものであると判断しております。ただし、上記措置を利用することにつき、今後、否定的な報道等がなされた場合には、estieのレピュテーションに影響を与える可能性があります。
③ 配当政策について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)
estieグループは、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。
しかしながら、estieグループは、現時点では成長過程にあり内部留保が充実しているとはいえず、配当を行っておりません。また、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
将来的には、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。estieグループは、当該リスクに対し、株主との対話を通じてestieの成長戦略及び利益還元に関する方針を丁寧に説明するとともに、中長期的な企業価値の向上を通じて株主利益の最大化に努めております。
④ ベンチャーキャピタルの株式保有割合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
本書提出日現在におけるestieの発行済株式総数は15,443,800株であり、このうち7,424,000株(発行済株式の48.1%)についてはベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル」という。)が保有しております。
一般的に、ベンチャーキャピタルが未上場会社の株式を取得する場合、上場後には保有する株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであり、estieにおきましても、上場後にベンチャーキャピタルにより株式が売却される可能性があります。そのような場合には、短期的に需給が悪化し、estieの株価が低下する可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、ベンチャーキャピタルとの継続的な対話を通じて株式売却のタイミングや規模に関する情報共有に努めるとともに、積極的なIR活動を通じた安定的な株主基盤の構築を推進しております。
⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期、影響度:小)
estieは、業績向上に対する意欲向上を目的として、会社法の規定に基づく新株予約権をestieグループの役職員等に付与しております。本書提出日現在、新株予約権の株数は2,354,000株であり、estie発行済株式数の15,443,800株に対する潜在株式比率は15.2%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、estieの株式価値が希薄化する可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、新株予約権の付与に際して既存株主の利益を考慮した適切な発行規模の設定及び行使条件の検討を行うとともに、株式価値の希薄化の影響を最小限に抑えるよう努めております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
estieグループのリスク管理体制に関しましては、「4 コーポレート・ガバナンスの状況等、(1)コーポレート・ガバナンスの概要、② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由、c リスク・コンプライアンス委員会」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在においてestieグループが判断したものであります。
① 市場環境について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
estieグループは、不動産情報プラットフォームの提供及びデータを活用した業務支援事業を展開しており、不動産業界に属する幅広い顧客を対象としております。不動産市場の動向は、国内外の景気、金利水準、企業活動、オフィス需要の変動等に大きく影響を受けますが、その影響の程度はデベロッパー、投資会社、管理会社、金融機関、仲介会社等といった顧客セグメントごとに異なります。今後、景気後退や金利上昇等により不動産取引量や投資意欲が減退した場合、estieサービスを利用する顧客の活動水準やIT投資意欲が低下し、estieグループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、estieグループの顧客基盤が不動産業界内の特定の顧客セグメントに偏る場合には、当該セグメントの事業環境の悪化がestieグループの業績に及ぼす影響が大きくなるおそれがあります。
estieグループは、当該リスクに対し、不動産業界における多様な顧客セグメントを幅広くターゲットとし、特定の顧客セグメントに過度に依存しない顧客基盤の構築を進めるとともに、市場の景況に左右されにくいサービスの付加価値向上及びサービスラインナップの多角化に努めることで、市場環境変動の影響の低減を図っております。
② 競合について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループは、不動産情報に特化したサービスを提供しております。不動産業界の業態や取引慣行には特有の側面があるため、新規参入者が不動産業界のビジネスノウハウを習得し、estieと同様のビジネスモデルを構築するには、相応の参入障壁があるものと考えております。
estieグループは、かかるリスクに対して、不動産業界における深い専門知識と独自のデータ資産を活かした差別化戦略を推進するとともに、継続的なプロダクト改善及び顧客との関係強化を通じて競争優位性の維持・向上に努めております。しかしながら、同種のサービスを展開する新たな競合が出現した場合には、estieグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは新技術の積極的な投入を行い、適時に独自のサービスを構築していく方針でありますが、技術革新への対応が遅れた場合や、競合他社がより優れたサービスを展開した場合には、estieグループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術への対応のために、予想外に開発費が発生する可能性があります。今後、新たな技術やサービスへの対応が遅れた場合、estieグループの競争力の低下を招き、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、技術動向や市場トレンドに関する情報収集体制を強化するとともに、先端技術の検証を継続的に実施しております。また、外部の技術パートナーとの連携や社内エンジニアのスキル向上施策を通じて、技術革新への迅速な対応力の確保に努めております。
① 特定サービスへの依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:中)
estieグループは、不動産プラットフォーム事業の単一セグメントであり、中でも商業用不動産データ分析基盤(Vertical Dataソリューション)の利用料が大半を占めております。不動産市場における競合他社との競合激化等により、Vertical Dataソリューションの収益が減少した場合には、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、estieグループはVertical Dataソリューションの大手顧客層への導入を進めており、当該顧客層への導入が一定程度進捗した段階においては、新規契約の獲得による売上高の増加ペースが過年度と同水準では推移しない可能性があります。estieグループは、Vertical Dataソリューションの既存顧客における利用部門の拡大及び提供サービスの追加並びに未取引の顧客層への展開により、引き続き成長の余地があるものと考えておりますが、これらが想定どおりに進捗しない場合には、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、新たなサービスの開発・展開を推進し、Vertical Dataソリューションの競争力の向上を図るとともに、エンタープライズ実装(顧客企業のデータ基盤の構築及びシステムの実装)等の複合的なサービスの開発・展開を推進し収益源の多角化を図り、既存サービスの継続的な機能強化及び顧客基盤の拡大並びに既存顧客に対するアップセル及びクロスセルの推進を通じて、特定サービスへの依存度の低減に努めております。
② 新規事業について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは、中長期的な成長を見据え、生成AIを活用した新たなサービスの企画・開発を推進しております。具体的には、物件概要書等の資料をAIにより読み取り構造化する機能、生成AIを活用した市場データの分析及び業務支援機能(AIエージェント)並びに顧客企業が保有するデータをAIによる活用に適した形式に整備するデータ基盤の構築等に取り組んでおります。これらのサービスは、業務効率化や新たな顧客価値の創出を目的としておりますが、生成AIは技術革新の速度が極めて速く、顧客ニーズの変化や競合環境の激化も著しい領域です。
このような状況下において、estieが投入した開発資源や販売体制が市場の要求に十分に適合せず、期待した収益化に至らない場合、また、サービスの精度や信頼性に対する社会的懸念、法規制の変化、倫理的な問題等が顕在化した場合には、当該領域における売上高の伸長が当初の想定を下回る、あるいは継続的なコスト負担により、estieの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、段階的な開発投資と市場検証を行う体制を構築するとともに、生成AIに関する社内ガイドラインの整備及び法規制動向のモニタリングを実施し、リスクの低減に努めております。
③ システム障害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループのシステムは、クライアントへのサービス提供を担うプロダクトシステムと、受注から売上計上に至る業務フローを一元管理する社内管理システムの大きく2つから構成されております。
プロダクトシステムについては、クラウドを介してインターネット経由でサービスを提供しており、通信ネットワークやインフラストラクチャーに依存しております。estieグループは、システムの稼働状況の監視、バックアップ及びクラウドサーバーの冗長化を実施し、障害発生の未然防止と発生時の影響最小化に努めております。しかしながら、自然災害、事故、不正アクセス等の予期しえない要因により大規模なシステム障害が発生した場合には、サービスの提供が停止し、顧客の信頼低下や損害賠償責任が生じる等、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
社内管理システムについては、受注から売上計上までの業務処理が当該システムを通じて自動的に連携・処理される仕組みとなっております。障害が発生し自動化された業務処理が正常に機能しない場合には、売上の正確な計上が困難となる等、適正な財務報告に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、このようなリスクに対して、システム構成の継続的な見直し及びインシデント対応マニュアルの整備・定期的な障害復旧訓練を実施することにより、障害発生時の迅速な復旧と影響範囲の最小化を図り、リスクの軽減に努めております。
④ M&A及び業務提携について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループは、パーパスである「産業の真価を、さらに拓く。」の実現に向けて、自社によるサービス開発に加え、事業を補完・強化し得る企業又は事業を対象とするM&A及び業務提携を成長戦略の一つと位置付けており、今後も継続的に検討していく方針であります。M&Aの実施に際しては、対象企業又は事業の財務、税務、法務、ビジネス及び情報システム等について外部専門家を含めたデューデリジェンスを実施しておりますが、実施後に認識していなかった問題が判明した場合、市場環境や競合状況の変化等により対象事業が計画どおりに進まない場合、統合プロセス(PMI)に想定以上の期間若しくは費用を要する場合、又は主要な人材が流出した場合には、期待した効果が得られず、取得した株式、事業資産若しくはのれんについて減損処理が必要となる等、estieグループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、業務提携については、提携先の経営方針の変更、提携関係の解消又は想定していた協業効果が実現しないことにより、estieグループの事業戦略の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、顧客基盤の獲得及び保有データの拡充により長期的な企業価値の向上に資すると判断して実施した過去のM&Aについて、上場会社グループに求められる管理体制への適合を含む統合プロセス(PMI)に要する費用及び経営資源の負担により短期的な収益が取得時の計画を下回る見込みとなったことから、のれんの減損損失を計上しております。これを踏まえ、当該案件に係る事後検証及び独立社外取締役によるレビューの結果を反映したM&A実施ガイドラインを制定し、投資判断及び統合管理の体制の整備・向上に取り組んでおります。投資判断に当たっては、統合に要する費用及び経営資源を織り込んだ事業計画をストレスケースを含めて策定したうえで取得価額の妥当性を検証し、デューデリジェンスにおいて検出したリスクを取得価額又は契約条件等により手当てできない場合には案件の中止を検討することとしているほか、想定される会計処理を事前に検討し、取締役会への付議に先立ち監査役会において事前協議を行っております。投資実行後は、一定規模以上の案件について取得後一定期間経過時点で事業計画対比の実績及びのれんの回収可能性を評価して取締役会に報告し、重大な乖離が認められる場合には改善策又は事業の継続若しくは撤退の方針を付議することとしております。これらの手続の遵守状況は、内部監査人及び監査役が独立した立場から検証しております。
⑤ データの取得について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
estieグループは、サービスの提供にあたり、不動産デベロッパー、不動産管理会社、仲介会社等の第三者から、商業用不動産に関するデータ(建物情報、募集情報、賃料情報及び入居テナント情報等)の提供を受けております。estieグループは、これらのデータの提供を受けるに当たり、当該第三者において適法に取得され、かつestieグループへの提供が適法に行われるものである旨の表明及び保証を取得するとともに、外部の法律専門家による確認を通じて、estieグループの不動産プラットフォーム事業の運営の適法性の確保に努めております。また、主要なデータ提供元との間では、提供を受けるデータの範囲及び提供対象外とすべき情報の取扱い等について、定期的に協議する機会を設けております。
しかしながら、データソースとなる第三者が常に適法かつ正確なデータの提供を行っていることをestieグループが確認することには限界があり、当該第三者の故意又は過失により、適法性又は正確性を欠く情報がestieグループに提供される可能性を完全に排除することはできず、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
① 情報漏洩について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループが提供するサービスにおいて、物件保有者の個人情報、またユーザー企業の保有する第三者の個人情報に関与するケースがあります。estieグループは、個人情報の取り扱いに関する重要性を十分に認識し、個人情報を含むすべての情報資産の管理並びに保護をしております。具体的には、「情報システム管理規程」及び「情報セキュリティマニュアル」を定め、秘密情報の保護に関し役員及び従業員が遵守すべき事項を規定するとともに、社内イントラへの掲載並びに入社時及び定期の研修を通じて周知徹底を図っております。また、「情報セキュリティ基本方針」を対外的に公開するとともに、estieにおいては、ISMSの認証を取得し、外部専門機関による定期的な審査を通じて実効性の維持・向上を図っております。個人情報保護についても「個人情報保護規程」を定め、管理体制を整備しております。
しかしながら、重要な情報資産の外部漏洩により、estieグループが行政指導や行政処分等を受け、estieグループの社会的信用が失墜し、もしくは損害賠償請求が発生する可能性があり、また、情報資産の取り扱いに関する法規制もしくは運用の厳格化等により、estieグループのサービスの停止、情報の利用に対する制約等が発生した場合には、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:小)
estieグループは、第三者の知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っております。具体的には、新規サービスの開発時における第三者の知的財産権の事前調査及び必要に応じた外部専門家への相談体制を整備し、知的財産権侵害リスクの低減に努めております。本書提出日現在においてestieグループの認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後estieの調査・確認漏れ、不測の事態の発生等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受けるような事態が発生した場合には、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 訴訟・係争について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:中)
本書提出日現在において、estieグループの業績に影響を及ぼす訴訟や紛争は生じておりません。
しかしながら、今後何らかの事情によってestieに関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては、estieグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、法令遵守の徹底、顧問弁護士等の外部専門家との連携強化及び契約書のリーガルチェック体制の整備等を通じて、訴訟リスクの未然防止に努めております。
④ 法的規制について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
本書提出日現在において、estieグループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、estieグループの事業は、電気通信事業法の規制の影響を受けております。今後、法的規制の改正や業界の自主ルールが整備されることなどにより、estieグループの事業が何らかの制約を受けることとなった場合や規制強化等の対応が求められることとなった場合には、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、関連法規制の動向を継続的にモニタリングするとともに、外部の法律専門家との連携を通じて、法改正等への迅速な対応体制の整備に努めております。
① 特定人物への依存について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:短期、影響度:大)
estieの代表取締役である平井瑛は、estieの創業者であり、設立以来estieの経営方針や事業戦略の立案やその遂行において重要な役割を担っております。estieグループは特定の人物に依存しない体制を構築するべく、幹部社員の情報共有や権限の委譲によって平井瑛に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により平井瑛のestieグループにおける業務遂行が困難になった場合、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、経営幹部層の育成及び後継者計画の策定を進めるとともに、取締役会における重要事項の合議制による意思決定体制を整備し、特定人物への依存度の低減に努めております。
② 内部管理体制について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:大)
estieグループは、コーポレート・ガバナンス体制の充実を重要な経営課題と認識しており、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制の充実を図っております。具体的には、内部監査機能の強化、業務プロセスの文書化及び標準化、並びにリスク・コンプライアンス委員会の定期的な開催等を通じて、管理体制の強化を推進しております。
しかしながら、estieグループの急速な事業展開及び会社規模の拡大に内部管理体制の整備が追いつかなかった場合には、業務運営に支障をきたし、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材の確保・育成について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:中期、影響度:中)
estieグループが、今後も企業規模を拡大していくためには、estieグループのパーパスに共感し、estieグループのカルチャーに適合する高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠です。estieグループは、事業規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も継続的に採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材が十分に獲得できなかった場合や人材流出が生じた場合、並びに人材の育成が想定通りに進まない場合には、estieグループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、当該リスクに対し、競争力のある報酬体系の維持、柔軟な働き方の推進、社内研修制度の充実及びエンジニアコミュニティへの積極的な参加等を通じて、人材の採用力及び定着率の向上に努めております。
① 自然災害について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:特定時期なし、影響度:大)
estieグループの事業は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。そのため、これらに被害をもたらすおそれのある自然災害等が発生した場合には、estieグループは事業を継続することができない等の支障が生じ、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
estieグループは、自然災害等に備えて災害時の事業継続計画を策定していますが、estieグループの事業を継続するために十分ではない可能性があります。結果として、estieグループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、事業継続計画の定期的な見直し及び訓練の実施、リモートワーク環境の整備等を通じて、自然災害発生時の事業継続性の向上に努めております。
② 株式発行及び資本金の額の減少について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:中)
本書提出日現在におけるestieの資本金の額は1億192万1,934円であり(資本金の推移については、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (3) 発行済株式総数、資本金等の推移」をご参照ください。)、本募集及び本第三者割当増資により増加した後の資本金の額について、estieは、2026年8月31日開催の臨時株主総会において、会社法第447条第1項に基づき、資本金の額を減少し、最終的な資本金の額を1,000万円とすること(減少額は会社計算規則第27条に基づきその他資本剰余金へ振り替える予定)について決議を行っております(以下「本件減資」といいます。)。本件減資は、上場後に、会社法第449条に基づく債権者保護手続(官報公告及び定款に定める電子公告並びに知れたる債権者への個別催告)を実施し、当該手続を経たうえで、2026年12月31日を効力発生日とする予定です。本件減資は資本の部内における振替であり、資金の流出を伴うものではありません。
estieにおいては、今後の事業成長及びM&A等を通じた成長戦略を継続するうえで、財務基盤を強化し、より柔軟な資本政策(株主に対する利益還元政策を含む)を可能とする体制を整備することが重要な経営課題であると認識しており、本件減資は、かかる財務戦略上の要請に基づき実施するものです。あわせて、本件減資の実施により、estieの資本金の額が1億円以下となることから、法人税法上の中小法人等として、繰越欠損金について課税所得の全額まで控除が可能となる等、税法上のいわゆる中小企業向け措置の適用を受けることが可能となる見込みであり、これらは、estieグループのキャッシュ・フローを含む財務基盤の強化及び投資余力の拡大に資するものです。さらに、本募集及び本第三者割当増資により増加した資本金をその他資本剰余金へ振り替えることは、将来的な株主還元を含む資本政策の選択肢を広げる効果もあり、本募集及び本第三者割当増資と本件減資等を併せて実施する意義は高いものと考えております。
しかしながら、今後、estieの資本金の額が増加し、これに応じた資本金の減少がなされない場合、また、上記の中小企業向けの措置について、廃止又は変更その他の理由により、上記措置の全部又は一部がestieに適用されなくなった場合、estieの財政状態、業績及びキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。なお、本件減資の実施については、社外の専門家等の意見も踏まえ、取締役会にて慎重に検討いたしましたが、本件減資は現行の法制度を利用した適法なものであり、estieの安定的な運営及び企業価値の向上に資するものであると判断しております。ただし、上記措置を利用することにつき、今後、否定的な報道等がなされた場合には、estieのレピュテーションに影響を与える可能性があります。
③ 配当政策について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期:中期、影響度:小)
estieグループは、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。
しかしながら、estieグループは、現時点では成長過程にあり内部留保が充実しているとはいえず、配当を行っておりません。また、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。
将来的には、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を勘案し、利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。estieグループは、当該リスクに対し、株主との対話を通じてestieの成長戦略及び利益還元に関する方針を丁寧に説明するとともに、中長期的な企業価値の向上を通じて株主利益の最大化に努めております。
④ ベンチャーキャピタルの株式保有割合について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期:短期、影響度:中)
本書提出日現在におけるestieの発行済株式総数は15,443,800株であり、このうち7,424,000株(発行済株式の48.1%)についてはベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下、「ベンチャーキャピタル」という。)が保有しております。
一般的に、ベンチャーキャピタルが未上場会社の株式を取得する場合、上場後には保有する株式を売却しキャピタルゲインを得ることがその目的のひとつであり、estieにおきましても、上場後にベンチャーキャピタルにより株式が売却される可能性があります。そのような場合には、短期的に需給が悪化し、estieの株価が低下する可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、ベンチャーキャピタルとの継続的な対話を通じて株式売却のタイミングや規模に関する情報共有に努めるとともに、積極的なIR活動を通じた安定的な株主基盤の構築を推進しております。
⑤ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(顕在化の可能性:高、顕在化の時期:短期、影響度:小)
estieは、業績向上に対する意欲向上を目的として、会社法の規定に基づく新株予約権をestieグループの役職員等に付与しております。本書提出日現在、新株予約権の株数は2,354,000株であり、estie発行済株式数の15,443,800株に対する潜在株式比率は15.2%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、estieの株式価値が希薄化する可能性があります。estieグループは、当該リスクに対し、新株予約権の付与に際して既存株主の利益を考慮した適切な発行規模の設定及び行使条件の検討を行うとともに、株式価値の希薄化の影響を最小限に抑えるよう努めております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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