インスペック(6656)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】インスペックグループは、インスペック(インスペック株式会社)及び台湾英視股份有限公司の2社により構成されており、インスペックグループの事業は、基板検査装置関連機器製造・販売を主な事業内容とし、その他にこれらに関連する研究開発及び保守・サービス等の事業活動を展開しております。なお、台湾英視股份有限公司については、連結財務諸表に及ぼす影響に重要性が乏しいため、連結の範囲より除外しております。 基板検査装置関連事業インスペック株式会社生成AIの普及によるデータセンター向けのCPU・GPUに使用される半導体パッケージ基板及びスマートフォンなどのデジタル機器に使用される精密プリント基板などの外観検査装置の開発、製造、販売及び保守サービスを行っております。 [事業系統図] インスペックの事業系統図は、次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年4月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】インスペックの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてインスペックが判断したものであります。(1) 経営方針インスペックは、「確かな技術とあくなき挑戦で、創造社会を切り拓く」というパーパス(存在意義)のもと、以下の課題に取り組んでおります。 (2) 中長期的な会社の経営戦略2026年4月期の半導体関連分野におきましては、生成AI向けデータセンター投資の拡大を背景に、最先端半導体パッケージ基板の需要が堅調に推移しました。これに伴い、インスペックの主要取引先である半導体パッケージ基板メーカー各社における設備投資が拡大したことから、半導体パッケージ基板検査装置関連の引き合い及び商談は活発化しました。一方で、自動車関連分野におきましては、中国においては電気自動車(EV)市場が堅調に推移しているものの、EV向けFPC市場では現地メーカーの競争力向上や現地調達の進展などにより、インスペック向け需要は伸び悩みました。インスペックは、2025年4月期に露光装置関連事業から撤退したことで、改めて中期経営計画を見直し、2028年4月期をゴールとした中期経営計画を2025年6月に策定いたしました。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題① 高い競争力を持つ装置の開発インスペックの主力製品である精密基板検査装置においては、AIの急速な進歩を背景に高機能AI半導体の市場拡大に伴い、高密度チップレット基板など最先端パッケージ基板のニーズが拡大しております。インスペックはこの動向に対応するため、2025年7月にL/S※=1.5/1.5μmまで対応可能な新製品「SX7000」シリーズをリリースいたしました。今後は、微細化・高密度化する配線パターンに対応した高精度検査技術の開発をさらに加速するとともに、AI技術を活用した画像処理の高度化及び検査処理の高速化を推進してまいります。また、配線パターンの欠陥修復を行うリペア装置についても、2025年7月に新製品「LX7000」をリリースしており、現在も機能高度化に向けた開発を継続しております。これにより、検査から修復までを一体化したソリューションを提供し、顧客の製品品質向上及び歩留まり改善に貢献してまいります。さらに、生産現場における省人化ニーズの高まりを踏まえ、全自動化検査システムの機能高度化及びライン統合を推進し、顧客の生産性向上に資するソリューション提供を強化してまいります。これらの取り組みを通じ、急拡大する先端半導体パッケージ分野における競争力強化と事業拡大を図ってまいります。※ L/S:ライン&スペース(基板上の配線幅と配線間のスペースの寸法を表す) ② 収益体質の強化原材料価格の高騰や円安の進行に加え、中東情勢の不安定化により、原材料価格のさらなる上昇や調達リードタイムの長期化が顕在化しており、インスペック製品の製造コスト増加及び利益率低下の要因となっております。これらに対応するため、顧客との交渉を通じた適正な価格転嫁を推進するとともに、生産効率の向上による原価低減に取り組んでおります。具体的には、見積段階から工数及び技術ノウハウを精緻に管理することで原価算定精度の向上を図るとともに、予実管理の強化を通じて継続的なコスト削減を推進しております。また、サプライチェーンの見直しを進め、新規サプライヤーの開拓及び調達先の多様化により供給リスクの分散と納期安定化を図り、QCDの向上に努めております。今後も、不確実性の高い外部環境に対応可能な強靭かつ柔軟な供給体制の構築を推進し、収益体質の強化と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。 ③ 海外市場向け販売の強化海外市場においては、既存代理店であるWorld Wide Semi-Conductor Equipment社と連携し、中国、タイ及びベトナムでの販売活動を推進しております。今後は、東アジアを中心とする半導体関連市場を主要ターゲットとし、台湾・中国での展示会出展や、台湾現地商社との連携強化を進めるとともに、インスペック子会社である台湾英視股份有限公司における実機デモンストレーションを通じて商談機会の拡大を図ってまいります。加えて、タイ及びベトナムを中心とした東南アジア市場においても展示会出展等を通じ、販売活動の強化を図ってまいります。④ 人的資本経営の強化インスペックは、持続的成長を支える組織力の強化に向け、人的資本への投資を重要課題として位置付けております。市場環境の不確実性が高まる中、社員一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境の整備が不可欠であるとの認識のもと、人事評価制度の定着を図るとともに、新たに策定した人材育成プログラムに基づき、階層別研修や専門スキル研修を推進しております。また、初任給の引き上げ及び基本給のベースアップを継続的に実施し、社員の働きがい向上と優秀な人材の確保・定着に努めております。さらに、パーパス及びバリューの浸透を通じて組織の一体感を醸成し、企業価値の持続的向上を図ってまいります。 ⑤ コーポレート・ガバナンスの強化インスペックは、持続的な企業価値向上に向け、コーポレート・ガバナンスの実効性向上及び透明性の確保を重要課題としております。リスク管理体制については、従来のモニタリングに加え、リスクの早期把握及び迅速な対応を可能とする体制の高度化を推進しております。具体的には、社外役員による監督機能の強化や、コンプライアンス・リスク管理委員会における重要リスクの優先順位付け及び対応状況の定期的なレビューを実施しております。また、情報開示については、財務情報に加え非財務情報の充実及びタイムリーな開示を推進し、ステークホルダーとの対話機会の拡充を図ることで説明責任の一層の明確化に努めております。 (4) スリムでシンプルな経営体制インスペックは製造業ですが、メーカーとしては極めて小規模な企業体制を取っております。この小規模体制であることを強みとして活かし、その上でグローバルマーケットに向けて事業を展開していくため、コア技術及び業務は社内で確立し、アウトソーシングが可能な業務については、外部企業の協力を得ることで必要な生産能力を確保し事業の拡大を図ってまいります。このため、販売活動のみならず生産業務、サービス業務、一部の開発業務等についても、国内外を問わず求める能力とコストのバランスを検討し、最適なパートナーと判断できる企業との協力関係を構築して事業活動を進めてまいります。なお、計画実現のため、販売部門、サービス・サポート部門、設計及び開発部門それぞれの部門でマンパワーの増強に取り組んでおり、若手社員の育成とともに、将来の事業拡大を支える経営基盤の強化に取り組んでおります。この方針のもとに、高成長・高収益を目指し、強固な経営基盤の構築を実現してまいります。 (5) 財務及びキャッシュ・フロー方針インスペックは、製品の生産活動及び技術開発や製品開発等の投資活動を通し、継続的な成長を実現し、最適な財務及びキャッシュ・フロー戦略を実行してまいります。今後、中期経営計画の中で創出されるキャッシュ・フローは、戦略投資と財務基盤の強化について健全なバランスを維持して活用してまいります。また、大口受注等による一時的な資金需要については、現状の金融機関との良好な関係をもとに資金需要のロットに合わせて機動的な資金調達方法により事業資金の安定化に努めてまいります。剰余金の配当につきましては、当事業年度の業績及び財政状態等を総合的に勘案した結果、誠に遺憾ではございますが無配とさせて頂いております。 (6) 目標とする経営指標インスペックは、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けて、パーパスのもと、基板検査装置関連事業の成長の持続と稼ぐ力の向上で企業価値拡大を図り、2028年4月期をゴールとした中期経営計画のもと、中長期的な目標として営業利益率15%以上、ROE(自己資本利益率)15%以上を目指し、PBR(株価純資産倍率)の向上を図ります。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】 以下には、インスペックの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、事業上のリスクとして具体化する可能性は必ずしも高くないと見られる事項を含め、投資家の投資判断上、重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。 インスペックはこれらのリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生の際の対応に努力する方針ですが、本項目の記載はインスペックの事業またはインスペック株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありません。インスペック株式に関する投資判断は、本項目以外の記載内容をあわせて慎重に検討の上、行われる必要があると考えられます。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在においてインスペックが判断したものであります。 (1) 設備投資需要の変動について インスペックの業績は、景気変動による設備投資の増減の影響を大きく受ける傾向にあり、何らかの要因で日本及び主要事業国の台湾、中国において設備投資需要が落ち込んだ場合には、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (2) 他社との競合について インスペックの検査装置は、自社で開発したコア技術が競争力の原点となっており、インスペックの成長はこの技術に依存していくものと予想しております。インスペックは、今後も継続して大きな競争力を持つシステムの開発を進めていきますが、他社が同様のシステムあるいはインスペックの製品を上回る性能を発揮するシステムを開発する可能性は否定できないため、インスペック事業において競争力が失われた場合、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (3) 新製品の開発・販売について インスペックの検査装置は、自社で開発した画像処理専用コンピューターをコアとした画像処理システムを特徴としており、画像処理システムのバージョンアップや検査対象の拡大など、今後も継続して魅力ある製品開発を行っていく予定であります。 新製品開発のためには先行して長期的な投資と大量の資源投入が必要ですが、これらのすべてが新製品・新技術の創造へとつながる保証はなく、また、新製品や新技術への投資に必要な資金と資源を今後十分確保できるという保証もありません。 さらに、インスペックがユーザーから支持を獲得できる新製品・新技術を正確に予想することができるとは限らず、開発した新製品の販売が必ずしも成功する保証もありません。このため、インスペックが業界とユーザーの変化を十分に予測できず魅力ある新製品を開発できない場合には、開発のための先行投資が売上に貢献せず、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (4) 製品のライフサイクルについて インスペックの検査装置は、軽量化や小型化に向けた技術革新の進展が早いデジタル家電分野の商品を対象としており、より微細なものを検査する、あるいは製造する必要があることから装置性能の向上が求められ、新しいニーズが連続的に発生いたします。半導体分野及び精密プリント基板分野のメーカーからは、短期間で性能向上を実現する開発が求められるため、インスペックの開発に遅れが生じた場合には、顧客ニーズに対応しきれずに受注のタイミングを逃す可能性があり、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (5) 製品保証について インスペックの製品については、品質不良あるいは製品不具合に対して、検収後1年間の無償保証期間を設けております。製品保証に伴い発生する費用に対しては、過去の実績等をもとに製品保証引当金を計上しておりますが、新製品など従来とは異なる仕様の製品などで引当額以上の保証費用が発生した場合、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 優秀な人材の確保について インスペックの事業は、ユーザーからの要求に応じて最先端かつ高度な技術力を提供していくことが重要な要素であります。このような要求に対応し、ユーザー満足度を高め、製品の付加価値を高めていくためには、優秀な人材の確保が重要となります。このため、タイムリーに必要な人材の確保ができない場合や優秀な従業員が多数離職した場合、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (7) 検収時期の変動による業績変動の可能性について インスペックの検査装置は、通常、受注から検収まで約4~6ヶ月を要し、ユーザーの検収に基づき売上を計上しております。そのため、インスペックは製品の設計から納品までの製造工程を管理し、計画どおりに売上計上できるように努めておりますが、ユーザーの設備投資計画の変更または事業方針の変更等により、仕様あるいは納期が変更されることもあります。この場合、1台当たりの製品が比較的高額であることから、ユーザーの検収タイミングによっては、事業年度期間を前後することでインスペックの売上が変動し、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (8) 有利子負債の依存度について インスペックは、財務戦略として一定規模の有利子負債に依存しております。そのため、金利が上昇した場合には、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。インスペックの有利子負債の内訳 (単位:千円)区分第37期前事業年度(2025年4月期)第38期当事業年度(2026年4月期)流動負債短期借入金1,000,0001,720,8001年内返済予定の長期借入金154,224130,438固定負債長期借入金507,086376,648有利子負債計1,661,3102,227,886総資産3,000,6833,738,311有利子負債依存度55.4%59.6% (9) 知的財産権について インスペックの技術の中には、画像処理専用コンピューターにおけるソフトウェアのように、特許として知的財産権を獲得するよりも、ノウハウとして保有するほうが事業戦略上有利であると考えられるものもあり、必ずしも全ての技術について特許を出願する必要はないと考えております。 インスペックは、特許の出願については、有用性及び費用対効果を考慮して行っており、インスペック独自の技術あるいは研究成果について、必要かつ可能な範囲において特許権等の知的財産権の登録を行い、権利保護に努めることとしておりますが、他社によりインスペックの権利が侵害される可能性があります。 また、ノウハウとして保有している技術についても他社が利用する可能性もあります。 一方、インスペックでは、第三者に対する知的財産権の侵害を行っていないものと認識しておりますが、インスペックの事業分野における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であります。したがって、万一、インスペックが第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償または使用差止め等の請求を受ける可能性があります。 これらの事態が発生した場合、インスペックの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (10) 経営陣への依存度について インスペックの創業者であり代表取締役社長兼代表執行役員である菅原雅史は、経営方針や戦略の決定をはじめ、主要な取引先へのトップセールスなど、インスペック事業において極めて重要な役割を果たしております。現在、退任の予定はなく、インスペックも依存しない体制作りを行っておりますが、万一、当該体制が構築される前に何らかの事情でインスペックを離れる事態となった場合には、インスペックの事業活動に重大な影響を与える可能性があります。 (11) 小規模組織であることについて インスペックは、従業員85名(2026年4月30日現在)と会社規模が小さいため、社内体制も組織規模に応じたものになっております。今後、事業規模が拡大し、それに応じた社内体制の構築が実現できない場合には、迅速かつ適切な内部管理を行えず、事業運営に制約を受ける可能性があります。 (12) 海外展開について インスペックは、2012年度より本格的に海外展開を図っており、台湾及び中国の顧客への販売強化、サポート体制の確立のため、代理店と連携を図りながら推進しております。海外では予測しがたい規制や法律、政情不安、社会的混乱、為替、人材確保などのリスクが存在しており、これらの事象によってはインスペックの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(13) 自然災害等による影響について インスペックは創業の地である秋田県仙北市に本社があります。今後、当地域において大地震等の自然災害等が発生した場合は、インスペックの業績のみならずインスペックの活動に影響を与える可能性があります。 また、感染症の拡大によって事業活動に影響を受ける可能性があります。インスペックでは、適宜リスク管理委員会を開催し検討の結果、必要な処置を施すことにより従業員等の安全を守るよう努めております。具体的には、Web会議システムの導入やテレワークの実施、リモートで立上作業を行う等の感染予防策を講じておりますが、この影響が継続・拡大した場合には、取引先との商談や工場稼働の悪化要因にもなり、インスペックの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (14) 企業買収、資本提携について インスペックは、事業の拡大や競争力の強化などを目的として、企業買収や資本提携などを実施することがあります。これらを行う際には、対象となる市場や事業並びに相手先企業の経営状況などのリスク分析を行ったうえで判断しておりますが、インスペックや対象企業を取り巻く事業環境の変化などにより、当初期待していたシナジー効果や新事業創出などのメリットを得られない場合や出資先の業績不振により「のれん」や「株式簿価」などの減損損失を計上する場合には、インスペックの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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