トヨタ自動車(7203)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】連結財務諸表提出会社(以下、トヨタ自動車という。)は、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についてもIFRSの定義に基づいています。「第2 事業の状況」および「第3 設備の状況」においても同様です。 トヨタ自動車およびトヨタ自動車の関係会社(子会社602社、関連会社および共同支配企業159社(2026年3月31日現在)により構成)においては、自動車事業を中心に、金融事業およびその他の事業を行っています。なお、次の3つに区分された事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記5」に掲げるセグメント情報の区分と同様です。 自動車 当事業においては、セダン、ミニバン、コンパクト、SUV、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っています。自動車は、トヨタ自動車、日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱が主に製造していますが、一部については、トヨタ車体㈱等に生産委託しており、海外においては、トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱等が製造しています。自動車部品は、トヨタ自動車および㈱デンソー等が製造しています。これらの製品は、国内では、トヨタモビリティ東京㈱等の全国の販売店を通じて顧客に販売するとともに、一部大口顧客に対してはトヨタ自動車が直接販売を行っています。一方、海外においては、米国トヨタ自動車販売㈱等の販売会社を通じて販売しています。 自動車事業における主な製品は次のとおりです。 主な製品の種類LS、RX、クラウン、カローラ、RAV4、ヤリス、ハイラックス、カムリ、タコマ、アーバンクルーザー、ハイランダー、ランドクルーザー、ライズ、シエンタ、ルーミー、ヴォクシー、アルファード、ノア、プロフィア、タント ほか 金融 当事業においては、主としてトヨタ自動車およびトヨタ自動車の関係会社が製造する自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両のリース事業を行っています。国内では、トヨタファイナンス㈱等が、海外では、トヨタ モーター クレジット㈱等が、これらの販売金融サービスを提供しています。 その他 その他の事業では、情報通信事業等を行っています。 (事業系統図)主な事業の状況の概要図および主要な会社名は次のとおりです。 上記以外の主要な会社としては、北米の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ノース アメリカ㈱、欧州の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ヨーロッパ㈱、金融会社を統括するトヨタファイナンシャルサービス㈱、ソフトウエアを中心とした様々なモビリティの開発を担うウーブン・バイ・トヨタ㈱があります。 *日野自動車㈱およびその連結子会社は、2026年4月1日の三菱ふそうトラック・バス㈱との経営統合に伴い、トヨタ自動車の連結子会社から除外されています。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2026年3月31日現在において判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針 トヨタ自動車および連結子会社(以下、トヨタという。)は経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する (2)トヨタフィロソフィートヨタはモビリティカンパニーへの変革を進めるために、改めて歩んできた道を振り返り、未来への道標となる「トヨタフィロソフィー」をまとめました。トヨタはモビリティカンパニーとして移動にまつわる課題に取り組むことで、人や企業、コミュニティの可能性を広げ、「幸せを量産」することを使命としています。そのために、モノづくりへの徹底したこだわりに加えて、人と社会に対するイマジネーションを大切にし、様々なパートナーと共に、唯一無二の価値を生み出していきます。 「トヨタフィロソフィー」 MISSIONわたしたちは、幸せを量産する。技術でつかみとった未来の便利と幸福を手の届く形であらゆる人に還元する。VISION可動性(モビリティ)を社会の可能性に変える。人、企業、自治体、コミュニティができることをふやし、人類と地球の持続可能な共生を実現する。VALUEトヨタウェイソフト、ハード、パートナーの3つの強みを融合し、唯一無二の価値を生み出す。 (3)会社の対処すべき課題 グループビジョン「次の道を発明しよう」グループビジョンは、トヨタグループ*の目指すべき方向、トヨタグループ全員が立ち戻ることができるビジョン・価値観です。 「次の道を発明しよう」。 グループの創始者・豊田佐吉は「苦労する母親を少しでも楽にしたい」という想いで、「豊田式木製人力織機」を発明しました。そして、豊田喜一郎は「日本人の頭と腕で自動車工業を興さねばならない」との想いで「国産乗用車」を発明しました。誰かを想い、学び、技を磨き、ものをつくり、人を笑顔にする。発明への情熱と姿勢こそ、トヨタグループの原点です。正解のない時代に、互いに「ありがとう」と言い合える風土を築き、多様な人財が活躍し、未来に必要とされるトヨタグループを目指していきます 。* ㈱豊田自動織機、トヨタ自動車㈱、愛知製鋼㈱、㈱ジェイテクト、トヨタ車体㈱、豊田通商㈱、㈱アイシン、㈱デンソー、トヨタ紡織㈱、トヨタ不動産㈱、㈱豊田中央研究所、トヨタ自動車東日本㈱、豊田合成㈱、ダイハツ工業㈱、トヨタホーム㈱、トヨタ自動車九州㈱、ウーブン・バイ・トヨタ㈱の17社(2026年4月1日時点) 「商品軸」「地域軸」経営トヨタ自動車は、「もっといいクルマづくり」を掲げ、Toyota New Global Architecture(TNGA)によるラインアップの群戦略などといった「商品を軸とした経営」と、お客様・地域社会に信頼される「その町いちばんのクルマ屋」を目指す「地域軸経営」により、強固な収益基盤を着実に築いてきました。一つひとつの商品は、一朝一夕に生まれるものではありません。多くの仲間が、長い間積み上げてきたものであり、開発・生産・仕入先・販売店、そしてお客様や市場など、多くの関係者によって育てていただいたものだと考えています。地域の皆様との信頼関係も同様です。さらに、2025年10月に開催されたジャパンモビリティショーにおいて、「トヨタ」「レクサス」「ダイハツ」「GR」に加え、新たに「センチュリー」ブランドを提案しました。なかでも、「センチュリー」は、「ジャパン・プライドを世界へ発信するブランド」を目指しています。その名には「次の100年をつくる」という想いが込められており、日本発の新たな価値創造を通じて、トヨタ自動車は、持続可能で平和な社会の実現に貢献していきたいと考えています。また、TOYOTAブランドについては、「TO YOU」という言葉にトヨタ自動車の想いを載せました。トヨタ自動車が発表したIMV Originは、あえて未完成の状態で工場から出荷することで、地域の中に「組み立てる」という新しい仕事を生み、さらには、暮らしや仕事の多様な用途に応じて自由にカスタマイズすることで、その地域にとって最適な一台を生み出していくことを目指しています。トヨタ自動車グループの各ブランドが、これまで以上に明確な役割を担い、互いに補完し合うことで、お一人おひとりに応える多様な商品を通じ、お客様の選択肢をさらに広げていきます。 継続的な損益分岐台数の改善トヨタ自動車は、2024年および2025年において、認証問題や余力不足と正面から向き合い、足場固めに取り組んできました。その結果、安全・品質が徹底され、余力創出が進み、生産も安定しました。一方で、人への投資や未来への投資の拡大に加え、米国関税の影響も重なり、足元では、損益分岐台数が大きく上昇しています。この課題に対応すべく、全社一丸となった取り組みを開始しました。すべての地域・本部・カンパニーで、固定費の見直しや、原価改善・営業面の努力などによる収益の積み増しを進めるとともに、従業員一人ひとりが仕事のやり方を見直し、ムダのない正味作業を追求することで、生産性を一層向上させていきます。例えば、定型作業や付加価値が低い業務には、これまで以上にAIを積極活用し、人にしかできない仕事に集中することで、正味率を向上させます。このように、足場固めの成果を「稼ぐ力」に着実につなげ、損益分岐台数の改善に徹底的にこだわっていきます。環境が悪いときにも収益を上げ、ステークホルダーの皆様とともに成長への取り組みをサステナブルに継続できることが、トヨタ自動車に求められる経営体質だと考えています。加えて、モビリティカンパニーへの変革に向けて、重要な役割を果たすのがバリューチェーン事業です。この事業は、新車販売後の長い保有期間を通じて、お客様に継続的な価値を提供するビジネスであり、これまで着実に成長してきました。これは、商品軸・地域軸経営によって築かれた強いブランドに支えられた多様な商品が、世界中で1.5億台の保有につながったことに加え、修理のしやすさや補給部品の供給力も含めた商品力、高水準の残価をサービス・金融・中古車販売・保険などの現場が、1台1台の価値を最大限に活かそうと努力してきた結果です。今後は、新車とバリューチェーン事業の好循環に加え、ソフトウエアや多様なモビリティ・サービスを通じた新たな価値創造を推進し、収益基盤の一層の強化を図っていきます。また、生産現場をはじめとする各職場では、多くの課題に向き合いながらも、「もっといいクルマ」を目指して日々、改善に取り組んでいます。その努力を結果に結びつけるべく、経営陣と現場が一体となり、各職場の力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいきます。 モビリティカンパニーへの変革トヨタ自動車は、すべての人に「移動の自由」を届ける企業への変革を目指し、事業活動を推進しています。将来にわたり、クルマが世の中の役に立ち、お客様を笑顔にするモビリティであり続けるためには、交通事故や環境負荷等の課題を低減するとともに、利便性や快適性、運転の楽しさといった価値を高めていくことが必要です。クルマを真ん中に置いて、データやエネルギーの可動性を高め、社会システムとの融合を視野に入れ、新しい移動価値の創造と新しい産業構造をつくっていくことに挑戦していきます。 [交通事故ゼロ社会への貢献:SDV(Software Defined Vehicle)]モビリティカンパニーへの変革のリード役となるのがSDVです。トヨタ自動車がSDVに取り組む一番の目的は交通事故ゼロ社会の実現であり、SDVを通じて、より安全・安心で、楽しい移動を実現します。交通事故ゼロ社会の実現はクルマの技術革新だけでは難しく「クルマ」「ヒト」「インフラ」の三位一体での取り組みが不可欠です。例えば、クルマだけの進化では補えない死角からの飛び出しに、路上インフラのセンサー情報を活用するインフラとの協調や、ドライバー(ヒト)の運転を自律的にサポートしてくれるAIエージェントなどです。クルマが社会とつながるためには、切れ目のない通信環境やデータセンターなどの整備が重要であり、その基盤構築を進めています。トヨタ自動車は「安全・安心を一丁目一番地」としながら、お客様とともに育つAIエージェント、プロフェッショナルや若かりし頃の運転を再現するクルマなど、データとAIが生み出すSDVの多様な価値を保有1.5億台の強みを活かし、具体化させていきます。ソフトウエア開発の土台となる電子プラットフォームの刷新や、モデルチェンジ後のRAV4に搭載されたソフトウエアづくりプラットフォーム「Arene」を通じて、安全・安心かつ高品質なソフトウエアを継続的にお客様に提供していきます。引き続き、産業を超えたパートナーとも力を合わせて、トヨタ自動車らしいSDVの基盤整備を加速していきます。 [Toyota Woven City]トヨタ自動車は、モビリティカンパニーへの変革を掲げ、その変革に向けて、新たなプロダクトやサービスを生み出していく「モビリティのテストコース」として、Toyota Woven City(トヨタ・ウーブン・シティ)を位置づけています。トヨタ自動車グループの一社であるウーブン・バイ・トヨタが、トヨタ自動車とともにプロジェクトを進めており、2025年9月にオフィシャルローンチを迎えました。企業・個人が様々なプロダクトやサービスの実証を開始するとともに、一部住民が居住を開始しています。トヨタ自動車のモノづくりの知見やウーブン・バイ・トヨタのソフトウエア技術、そしてそれぞれのInventor(発明家)が持つ様々な強みや専門性といった、自分たちが持っていないものを掛け合わせることで、今は存在しない価値をつくり出していきます。それが、私たちが目指す「カケザン」による発明です。さらに、この「カケザン」による発明を加速させる施設として、2026年4月より「Woven City Inventor Garage」(以下、Inventor Garage)の稼働を開始しました。Inventor Garageは長年にわたり、乗用車を生産してきたトヨタ自動車東日本㈱の東富士工場プレス建屋をリノベーションして誕生した施設です。東富士工場が培ってきたモノづくりの魂を受け継ぎ、未来のイノベーションへとつなげる、Toyota Woven Cityの象徴でもあります。Inventor Garageでは、発明品のプロトタイプを製作するモノづくりスペースや、実証スペースが備えられており、プロダクトやサービスの開発拠点となることが期待されています。Toyota Woven Cityは、ヒト・モビリティ技術・インフラが互いに連携するしくみなどの実証を行い、安全・安心な「モビリティ社会」の実現を目指します。想いをともにする人々と、Toyota Woven Cityからモビリティカンパニーへの変革を目指し、未来を紡いでいきます。 ステークホルダーとの関係強化・文化トヨタ自動車の持続的な企業価値向上のためには、株主・投資家の皆様をはじめ、お客様、地域社会、販売店、仕入先など多様なステークホルダーとの信頼関係を一層強化させていくことが重要な課題であると認識しています。 [TOYOTA WORLD ARIGATO FEST. 2025]2025年12月、トヨタ自動車グループを支える地域社会、各地域の販売店、取引先、投資家の皆様をご招待し、日頃の感謝を伝える場としてTOYOTA WORLD ARIGATO FEST. 2025を開催しました。当イベントでは、トヨタが今後投入を予定している新型車をご覧いただいたほか、開発中の様々なモビリティを体感していただきました。今回のイベントで相互に交わされた「ARIGATO」から、トヨタ自動車は、ステークホルダーの皆様と築いてきた信頼の大切さを改めて実感しました。「ARIGATO」と言い合える関係を、世代を超えて受け継ぎ、その絆をさらに深めていきます。 [TOYOTA ARENA TOKYO]2025年10月にTOYOTA ARENA TOKYOがオープンしました。男子プロバスケットボールリーグ Bリーグ「アルバルク東京」のホームアリーナとして使用するほか、様々なスポーツ観戦やエンターテインメント興行に対応可能な多目的アリーナです。コンセプトは「可能性にかけていこう」です。スポーツや音楽で頑張る人たち、特に若い方たちが可能性に挑戦する場所として、活用してもらいたいと考えています。TOYOTA ARENA TOKYOがバスケットボールをはじめとするスポーツやエンターテインメントを愛する人にとっての憧れの場に。そしてファンの皆様、ここに住む人、働く人、訪れる人、一人ひとりと一緒になって、365日の賑わいをつくっていくとともに、スポーツの、モビリティの、この街の、あらゆる可能性を解き放つ場所になっていくことを目指します。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2026年6月10日)現在において判断したものです。 (1)市場および事業に関するリスク①自動車市場の競争激化世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。近年、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業におけるCASEなどの技術革新が進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件、各国の税制優遇措置等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、エンジン車から電動車へのお客様のニーズの変化など、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。 ②自動車市場の需要変動トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制(関税、輸入規制、その他の租税を含む)など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。 ③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性、サステナビリティにおいて、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化や技術革新に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車および新機能を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイル、サステナビリティ、その他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに新製品の投入や設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。 ④効果的な販売・流通を実施する能力トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場につきお客様の価値観または地政学的な緊張関係や規制環境において、変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開できない場合は、営業収益および販売シェアが減少するリスクがあります。 ⑤ブランド・イメージの維持・発展競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、トヨタグループおよび仕入先が法令遵守を徹底し、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供すること、また、ステークホルダーの皆様への迅速かつ適切な情報発信を通じ、ステークホルダーの皆様の信頼をさらに高めていくことが重要です。また、企業としてサステナビリティに貢献することの重要性も高まっています。しかし、トヨタグループや仕入先があらゆる場面において、それを徹底できるとは限りません。さらに、トヨタまたは仕入先がサステナビリティに貢献しない、または気候変動やサプライチェーンにおける人権保護など、特定のサステナビリティに関する目標または目的を達成できない場合、トヨタのブランド・イメージが低下する可能性があります。トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。 ⑥仕入先への部品・原材料供給の依存トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、かかる特定の仕入先からの調達ができない場合、当該部品等の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。仕入先の数に関わらず、トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。このような能力に悪影響を与える可能性のある状況には、地政学的な緊張や、経済制裁などの政府の行動が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達できない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑦金融サービスにおける競争の激化世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。 ⑧デジタル情報技術および情報セキュリティへの依存トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーによる不正アクセスやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。特にサイバー攻撃や他の不正行為は苛烈さ、巧妙さ、頻度において脅威を増しており、そのような攻撃の標的であり続ける恐れがあります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、トヨタの取引先やビジネスパートナーに対する同様の攻撃は、トヨタにも同様の悪影響を与える可能性があります。 ⑨気候変動および低炭素経済への移行気候変動リスクは、日本および世界で、社会面、規制を含む政治面での関心が高まっています。これらのリスクには、気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクが含まれます。気候変動の物理的リスクには、台風、洪水、竜巻、干ばつ、山火事など突発的な気象変化に起因する影響と、気温上昇、海面上昇など、長期的な気象変化による影響の両方が含まれます。トヨタはBusiness Continuity Plan(BCP)を策定していますが、異常気象による大規模災害に加え、熱波等が増加・激甚化することで熱中症のリスクが増加し、また、干ばつや渇水による水不足も予想されます。これらは、トヨタならびに仕入先および取引先の従業員、施設およびその他の資産に損害を与える可能性があり、トヨタの生産、販売またはその他の事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。大規模な災害等はまた、お客様の財政状態に悪影響を及ぼし、トヨタの製品およびサービスの需要に悪影響を与える可能性があります。低炭素経済への移行リスクとは、気候関連のリスクを軽減するための規制、技術、および市場の変化やその対応に伴うリスクです。例えば、トヨタは、気候変動に関する法律、規制、政策の変更、気候変動に対処するための技術革新、市場構造の変化をとらえた自動車産業への新規参入者などの要因により、自動車に対するお客様のニーズが変化するリスクにさらされています。お客様のニーズの変化は、トヨタが部品や原材料などの調達部品を継続的かつ競争力のある価格で調達するために、新たな供給網の確立や既存の供給網の強化が必要になるなど、付随的なリスクや課題をもたらす可能性があります。トヨタは、そのようなリスクの顕在化の結果として、またはリスク軽減やリスク対応の努力の結果として、多額の費用および支出を負担する可能性があります。また、お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。 トヨタは、トヨタの事業やビジネスパートナーに関する気候変動関連事項の開示を公表しています。この開示には、トヨタの予想に基づき、将来の見通しに関する記述が含まれており、結果的にこれらが実現できない可能性があります。また、気候変動に関する取り組みは意図した結果をもたらさない可能性があり、目標の達成時期やコスト、達成能力に関する予測は、リスクと不確実性を伴います。その結果、気候変動関連の目標が達成できない恐れがあります。特に、中長期にわたるトヨタの気候変動関連の目標の達成には、多大なリソーセスと投資、ならびにコンプライアンス、リスク管理システム、内部統制およびその他の内部手続のさらなる改善が必要です。また、トヨタがコントロールできない環境・エネルギー規制、政策の変更、技術革新、顧客や競合他社の行動等にも影響を受けます。気候変動関連の目標を達成できない、または達成できないとみなされた場合、トヨタのブランド・イメージ、財務状況、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(5)気候変動関連課題への対応(TCFDに基づく気候関連財務情報開示)」を参照ください。 ⑩優秀で多様な人材の確保と育成事業環境の急激な変化やモビリティカンパニーへの変革に向けた取り組みを進めるにあたり、優秀で多様な人材を確保し、育成し続けることが重要です。しかしながら、そのような人材の獲得競争は激しく、トヨタが高い専門性や豊富な経験を持つ多様な人材を計画どおりに採用、定着化できない場合、または成長に必要な機会、教育、リソースを提供できない場合、競争力低下につながり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。 (2)金融・経済のリスク①為替および金利変動の影響トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響および為替リスクの管理に関しては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①概観 c.為替の変動」および連結財務諸表注記20を参照ください。 ②原材料価格の上昇鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない場合、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。 ③金融市場の低迷世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。 (3)政治・規制・法的手続・災害等に関するイベント性のリスク①自動車産業に適用される法律、規制および行政措置世界の自動車産業は、様々な法律や規制の適用を受けています。トヨタは、法律や規制、行政措置、またはそれらへの対応の結果として、多額の費用を負担しており、今後も発生することが予想されます。さらに、新しい法律や規制の適用、または既存の法律や規制の変更によっても、将来的に追加的な費用が発生する可能性があります。トヨタが、法律、規制、行政措置に関連して多額の費用を負担する場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー状況並びにそれらの見通しに重大な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法律、規制および行政措置は、トヨタの事業を制限するものとなる可能性があり、その場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況並びにそれらの見通しに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、トヨタは自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的に販売停止やリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合(リコール等に関係する部品はトヨタが第三者から調達したものも含む)、製品のリコール等にかかる費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。さらに、規制を遵守できなかった場合、法的手続、リコール、改善措置の交渉、罰金、是正命令、政府承認の取り消しやその他の政府制裁の賦課、製品提供の制限、補償金の支払い等の不利益をもたらす可能性があります。同様に、多くの政府は、関税やその他の貿易障壁、税金、課徴金を課したり、価格や為替の規制を制定しています。例えば、2025年には、自動車産業に特化した関税を含む対米輸出関税の大幅な引き上げが、米国の他の貿易政策の変更とともに発表され、それに対応して他の国々も報復関税や貿易政策の変更を発表し、現在も高い関税率が継続しています。このような関税や貿易政策の将来の変更、または他の関税や貿易関連措置の時期、実施期間、および範囲を予測することは困難であり、最近発表された関税や貿易関連措置は、トヨタ自動車製品のコストを上昇させ、将来の需要の鈍化を引き起こす可能性があります。また、トヨタ自動車のサプライチェーンや物流ネットワークへの影響は、トヨタ自動車の生産や販売に悪影響を及ぼす可能性があります。上記の影響は主として米国におけるものでありますが、トヨタの事業活動への影響は米国に限定されるものではありません。当該状況が長期間継続した場合、トヨタのみならず、自動車産業全体および関連業界の他の企業にも悪影響を及ぼす可能性があり、その結果、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況並びにそれらの見通しに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、当該関税や貿易関連措置の影響を緩和するための取り組みは、トヨタのコスト負担を増加させ、経営上注意を要するリスクとなる可能性があります。 ②法的手続トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの評判、ブランド・イメージ、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記32を参照ください。 ③自然災害、感染症、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、感染症の発生・蔓延、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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