連結財務諸表提出会社(以下、トヨタ自動車という。)は、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についてもIFRSの定義に基づいています。「第2 事業の状況」および「第3 設備の状況」においても同様です。
トヨタ自動車およびトヨタ自動車の関係会社(子会社585社、関連会社および共同支配企業165社(2025年3月31日現在)により構成)においては、自動車事業を中心に、金融事業およびその他の事業を行っています。
なお、次の3つに区分された事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記5」に掲げるセグメント情報の区分と同様です。
自動車 当事業においては、セダン、ミニバン、コンパクト、SUV、トラック等の自動車とその関連部品・用品の設計、製造および販売を行っています。自動車は、トヨタ自動車、日野自動車㈱およびダイハツ工業㈱が主に製造していますが、一部については、トヨタ車体㈱等に生産委託しており、海外においては、トヨタ モーター マニュファクチャリング ケンタッキー㈱等が製造しています。自動車部品は、トヨタ自動車および㈱デンソー等が製造しています。これらの製品は、国内では、トヨタモビリティ東京㈱等の全国の販売店を通じて顧客に販売するとともに、一部大口顧客に対してはトヨタ自動車が直接販売を行っています。一方、海外においては、米国トヨタ自動車販売㈱等の販売会社を通じて販売しています。
自動車事業における主な製品は次のとおりです。
金融 当事業においては、主としてトヨタ自動車およびトヨタ自動車の関係会社が製造する自動車および他の製品の販売を補完するための金融ならびに車両のリース事業を行っています。国内では、トヨタファイナンス㈱等が、海外では、トヨタ モーター クレジット㈱等が、これらの販売金融サービスを提供しています。
その他 その他の事業では、情報通信事業等を行っています。
主な事業の状況の概要図および主要な会社名は次のとおりです。
上記以外の主要な会社としては、北米の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ノース アメリカ㈱、欧州の製造・販売会社の統括および渉外・広報・調査活動を行うトヨタ モーター ヨーロッパ㈱、金融会社を統括するトヨタファイナンシャルサービス㈱、ソフトウエアを中心とした様々なモビリティの開発を担うウーブン・バイ・トヨタ㈱があります。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は2024年3月31日現在において判断したものです。
トヨタは経営の基本方針を「トヨタ基本理念」として掲げており、その実現に向けた努力が、企業価値の増大につながるものと考えています。その内容は次のとおりです。
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす
2. 各国、各地域の文化、慣習を尊重し、地域に根ざした企業活動を通じて、経済・社会の発展に貢献する
3. クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む
4. 様々な分野での最先端技術の研究と開発に努め、世界中のお客様のご要望にお応えする魅力あふれる商品・サービスを提供する
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
6. グローバルで革新的な経営により、社会との調和ある成長をめざす
7. 開かれた取引関係を基本に、互いに研究と創造に努め、長期安定的な成長と共存共栄を実現する
トヨタはモビリティカンパニーへの変革を進めるために、改めて歩んできた道を振り返り、未来への道標となる「トヨタフィロソフィー」をまとめました。
トヨタはモビリティカンパニーとして移動にまつわる課題に取り組むことで、人や企業、コミュニティの可能性を広げ、「幸せを量産」することを使命としています。そのために、モノづくりへの徹底したこだわりに加えて、人と社会に対するイマジネーションを大切にし、様々なパートナーと共に、唯一無二の価値を生み出してまいります。
「トヨタフィロソフィー」
モビリティカンパニーへの変革の「実践」
トヨタは「幸せの量産」を使命に、モビリティカンパニーへの変革にチャレンジしています。長年にわたって築いてきた商品や事業、財務における強固な経営基盤の上で、現在は「ビジョンを具体に落とす」ために実践的な取り組みを加速しています。
「モビリティカンパニーへの変革」を通じてトヨタが目指していることは、クルマの進化に取り組むことで、笑顔があふれる「モビリティ社会」の実現に貢献していくことです。新しい産業構造をつくっていくことを視野に入れて、多くの仲間とともに挑戦していきたいと考えています。そのカギは、エネルギーとデータの可動性を高め、モビリティの価値を高めていくことであると考えています。「電気」と「水素」が支える未来を見据えて、クルマが媒体となってエネルギーを運び、再生可能エネルギーを軸とする社会づくりに貢献していくことに加え、データが生み出すモビリティの価値で、お客様の暮らしをもっと豊かにしていくことを目指しています。
その取り組みのひとつとして、マルチパスウェイ戦略の具体化に取り組んできました。カーボンニュートラル社会を実現するためには、お客様の期待やインフラ整備などの状況を踏まえた多面的なアプローチ、プラクティカルなトランジションが重要であると考えています。
その考えのもと、足元ではハイブリッド車を基軸に、各地で選択肢の拡充を進めています。その上で、ミッシングピースとなっていたバッテリーEV(BEV)と水素モビリティの具体化に、力を入れて取り組んできました。
BEVにおいては、小型軽量ユニットの開発も含めて、クルマの新しいアーキテクチャをつくる挑戦が進んでいます。そして、トヨタ自動車が目指すBEVは、パワートレーンを電動化するだけではなく、お客様の多様な移動価値を実現するトヨタらしい「ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)」であることも定まってきました。
内燃機関についても、さらなる活用を視野に入れて開発に取り組んでいます。
こうした選択肢の全体像を踏まえて、今年を「真のマルチパスウェイ元年」と位置付けて、その具体化を着実に進めていきます。
そして、車載OSのArene(アリーン)の開発を軸に、SDVの基盤づくりにも注力してきました。今後は、生成AIによってデータが生み出す価値が高まっていきます。安全・安心の実現を目指す自動運転や、SDVを中心に、生成AIを活用したモビリティの進化に取り組んでいきたいと考えています。そして、エネルギーやデータを軸に、社会システムと一体となったモビリティの価値を生み出すためには、インフラ整備をはじめ、多くの仲間との連携が必要であると考えています。
Areneを基盤に、生活に寄り添ったアプリやサービスが、クルマともっと融合していくことも必要になっていきます。志を同じくするパートナーの皆様とともにモビリティの価値を具体化する取り組みを進めていきます。そして、こうした新たな価値づくりを強化するためにも、研究開発の先行シフトを加速して、中長期目線での「未来への種まき」を強化していきます。
「10年先を見据えた仕事」の構築
[グループビジョンと足場固め]
2024年1月、トヨタグループ*1の目指すべき方向、トヨタグループ全員が立ち戻ることができるビジョンを発表しました。
「次の道を発明しよう」。
グループの創始者・豊田佐吉は「苦労する母親を少しでも楽にしたい」という想いで、「豊田式木製人力織機」を発明しました。そして、豊田喜一郎は「日本人の頭と腕で自動車工業を興さねばならない」との想いで「国産乗用車」を発明しました。誰かを想い、学び、技を磨き、ものをつくり、人を笑顔にする。発明への情熱と姿勢こそ、トヨタグループの原点です。
正解のない時代に、互いに「ありがとう」と言い合える風土を築き、多様な人財が活躍し、未来に必要とされるトヨタグループを目指してまいります。
*1 ㈱豊田自動織機、トヨタ自動車㈱、愛知製鋼㈱、㈱ジェイテクト、トヨタ車体㈱、豊田通商㈱、㈱アイシン、㈱デンソー、トヨタ紡織㈱、トヨタ不動産㈱、㈱豊田中央研究所、トヨタ自動車東日本㈱、豊田合成㈱、日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱、トヨタホーム㈱、トヨタ自動車九州㈱、ウーブン・バイ・トヨタ㈱の18社(2024年3月31日時点)
足元では、2022年3月日野自動車㈱、2023年4月ダイハツ工業㈱など、トヨタグループおよび子会社において不正問題が発覚し、トヨタ自動車においても「余力不足」に起因する様々な課題に直面しています。これらの課題に向き合い「足場固め」に取り組んでいくことが、持続的成長を実現するための重要事項です。
正しい仕事を徹底するためには、モノづくりの品質管理と同様に「未然防止」と「流出防止」という2つの考え方が大切だと考えています。「未然防止」は「トヨタらしさ」を土台に、価値観とルールに基づいて、全員が正しく仕事をする風土をつくる取り組みです。時間をかけて、人の意識を変えていく取り組みであり、トップマネジメントがビジョンや価値観を繰り返し示し、自ら動いて現場に伝え続けることが大切だと考えています。
「流出防止」では、開発機能への牽制機能を高められる認証組織への見直しや認証業務の「TPS自主研」*2など、不測の事態があった際にはすぐに止まる仕組みと体制をつくっていきます。風土・仕組み・体制での総合的な施策を通じて、実効性のある「トヨタらしいガバナンス」を追求していきます。
*2 自発的にTPS(トヨタ生産方式)を学ぶ自主研究活動
[認証不正問題に対するトヨタ自動車の認識と関与]
取り組みを進めるにあたり、トヨタ自動車ではダイハツ工業㈱、日野自動車㈱、㈱豊田自動織機による認証不正問題を次のとおり受け止めています。
3社の不正に共通する真因は「経営と現場の乖離」です。現場に過度なプレッシャーがかかり、余裕がなくなり、風通しが悪くなった結果、遵法意識が薄れ、不正が日常化してしまいました。経営陣は、そうした現場の実態を把握できておらず、不正を引き起こした環境を変えることができませんでした。
この責任は、経営陣にあります。3社とも当時の経営陣は、賞与返納や報酬減額に加えて、不正の調査や再発防止策のとりまとめで役割を果たし、次の道筋をつける形で責任を明確化しました。新体制のもと、トヨタ自動車も入り込んでサポートしながら、再発防止を徹底し、未来への責任を果たしてまいります。
ダイハツ工業㈱については、これまでトヨタ自動車メンバー50名以上が、各国の法規や図面の見直し、再試験の対応などを一緒に進めてきました。2023年12月の第三者委員会の調査報告以降は、ほぼ毎日、両社の経営メンバーが会議を行い、再発防止策や事業構造の見直しを考えてきました。
そのひとつとして、小型車事業は「トヨタ自動車からの委託」に変えることで、今後はリソーセス管理も含めて、開発から認証まで、トヨタ自動車が責任を持つ体制に変更していきます。法規に沿った認証業務をはじめ、正しい仕事が現場に根付くよう、一緒に取り組んでいきます。
日野自動車㈱については、不正発覚以降、事業のあり方を中心に、再発防止と会社の再建について話し合ってまいりました。現在は、2023年5月に基本合意を発表したとおり、三菱ふそうトラック・バス㈱との経営統合、ダイムラートラック社との連携を通じて、再建を進めています。親会社として、引き続きサポートしていきます。
㈱豊田自動織機については、子会社であるダイハツ工業㈱・日野自動車㈱とは資本関係は異なりますが、トヨタグループの一員として、再発防止に必要なサポートを行っていきます。その一環として、自動車用エンジンの開発・認証をトヨタ自動車に移管します。また、トップ同士の風通しの良い関係をつくり、日常のコミュニケーションの量を増やしています。
[「風土」「体制」「仕組み」]
トヨタ自動車およびトヨタ自動車グループのガバナンス施策については、社外役員も参画し、次のとおりまとめました。
(風土:グループビジョン)
風土づくりの基盤は、トヨタグループのビジョンと心構えです。「豊田章男塾」などの場を通じて、現場のメンバーと対話を重ねて、ビジョンや価値観の浸透を図っています。先日は、ダイハツ販売店の代表者の皆様が集まる場に会長の豊田が参加し、守るべき価値観やダイハツ再生に向けた想いを伝えました。
風土を変えていくために、トップ自ら、こうした対話を繰り返し行っていきます。
また、風土づくりの一環として、トヨタグループの社長会、副社長会などの場を通じて、経営メンバー間でのコミュニケーションの量を増やしています。常日頃からトップ同士がオープンにコミュニケーションできる関係を築くことが、ガバナンスの基盤であると考えています。
(体制:余力づくり)
今、トヨタ自動車で重点的に取り組んでいることは、「余力」づくりです。例えば、生産においては、足元で日当たり生産台数の上限を当初計画の1万4,500台から1万4,000台に下げました。開発では、プライオリティの見直しによりプロジェクトの数を適正化し、現場の余力をつくり出しました。
それにより、職場のコミュニケーション改善や、安全・品質を徹底した仕事、ジョブディスクリプションを踏まえた個々人のスキルアップ、人材育成にしっかり時間を使っていきます。
「10年先の働き方を今つくる」という想いをもって、取り組みを進めています。
(体制・仕組み:子会社の内部統制の強化・リスクマネジメント)
また、各社トップへの働きかけにより、子会社の内部統制の強化を進めています。例えば、ダイハツ工業㈱のGRC*3推進部とGRC委員会は、ダイハツ工業㈱とトヨタ自動車が一緒に再発防止策を検討する中で新設したものであり、実効性ある運用に向けて、連携して取り組んでいきます。加えて、特に今回課題となった法規認証体制の拡充に向けて、「TPS自主研」の活動を通じて、ダイハツ工業㈱・日野自動車㈱・㈱豊田自動織機の現場メンバーが集まって、業務プロセスの明確化に取り組んでいます。
*3 Governance Risk Management and Complianceの略
(仕組み:スピークアップ)
内部通報では、トヨタ内およびトヨタ外(子会社、トヨタグループ等)のスピークアップの運用を一元化し、今まで以上にタイムリーに対応できるよう仕組みを拡充しています。
(仕組み:監査拡充)
また、トヨタ自動車による子会社への監査も拡充していきます。
リスク評価に基づき、対象とする会社の数を拡大し、企業風土、職場環境、法規遵守など、多面的な観点で監査を実施しています。
監査以外でも、ガバナンス点検シートやコンプライアンスサーベイをすべての子会社に展開して、トップが入り込んだ自主点検を促しています。
これらの総合的な施策を通じて、連結ガバナンスを向上させていきます。
「トヨタらしさ」を土台に、全員が正しい仕事を徹底する環境をつくり、「10年先を見据えた競争力につなげていく」という想いをもって、粘り強く取り組んでいきたいと考えています。
トヨタ自動車は2024年1月26日の国土交通省からの指示に基づき、型式指定申請に関する調査を進めてまいりました。まだ調査の途中ではありますが、2014年以降、すでに生産を終了している車種を含め、7車種において国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していたことが判明し、5月31日に国土交通省に報告しました。対象は生産中の3車種(カローラ フィールダー/アクシオ、ヤリス クロス)における歩行者・乗員保護試験でのデータ不備と、生産終了した4車種(クラウン、アイシス、シエンタ、RX)における衝突試験等の試験方法の誤りです。
日野自動車㈱、ダイハツ工業㈱、㈱豊田自動織機に引き続き、トヨタ自動車においても認証に関する問題が判明したことは重大なことと受け止めています。今後、調査を継続するとともに、国土交通省の指導のもと、速やかに立会試験などの適切な対応を進めてまいります。
トヨタは、地域のお客様に寄り添って、商品を軸に経営する会社です。この原点をぶらすことなく、お客様が笑顔になるいいクルマをつくるために、みんなで汗をかいていきたいと考えています。そして、「クルマの未来を変えていこう」を合言葉に、多くの仲間とともに、モビリティ社会の実現に向けた挑戦を加速していきます。
以下において、トヨタの事業その他のリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載しています。ただし、以下はトヨタに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があります。
本項においては、将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものです。
世界の自動車市場では激しい競争が繰り広げられています。トヨタは、ビジネスを展開している各々の地域で、自動車メーカーとの競争に直面しています。近年、自動車市場における競争はさらに激化しており、厳しい状況が続いています。また、世界の自動車産業におけるCASEなどの技術革新が進むことによって、競争は今後より一層激化する可能性があり、業界再編につながる可能性もあります。競争に影響を与える要因としては、製品の品質・機能、安全性、信頼性、燃費、革新性、開発に要する期間、価格、カスタマー・サービス、自動車金融の利用条件、各国の税制優遇措置等の点が挙げられます。競争力を維持することは、トヨタの既存および新規市場における今後の成功、販売シェアにおいて最も重要です。トヨタは、エンジン車から電動車へのお客様のニーズの変化など、昨今の自動車市場の急激な変化に的確に対応し、今後も競争力の維持強化に向けた様々な取り組みを進めていきますが、将来優位に競争することができないリスクがあります。競争が激化した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
トヨタが参入している各市場では、今までも需要が変動してきました。各市場の状況によって、自動車の販売は左右されます。トヨタの販売は、世界各国の市場に依存しており、各市場の景気動向はトヨタにとって特に重要です。当連結会計年度の世界経済は、インフレや金利の上昇、中国における不動産市場の停滞の影響が見られたものの、雇用が堅調な米国を中心に、底堅く推移しました。自動車市場においては、半導体の供給制約が改善され、ペントアップ需要が市場を押し上げたことで、前年から大幅に拡大しました。このような需要の変化は現在でも続いており、この状況が今後どのように推移するかは不透明です。今後トヨタの想定を超えて需要の変化が継続または悪化した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。また、需要は、販売・金融インセンティブ、原材料・部品等の価格、燃料価格、政府の規制(関税、輸入規制、その他の租税を含む)など、自動車の価格および自動車の購入・維持費用に直接関わる要因により、影響を受ける場合があります。需要が変動した場合、自動車の販売台数の減少や販売価格の低下などが起きる可能性があり、それによりトヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受けるリスクがあります。
③お客様のニーズに速やかに対応した、革新的で価格競争力のある新商品を投入する能力
製品の開発期間を短縮し、魅力あふれる新型車でお客様にご満足いただくことは、自動車メーカーにとっては成功のカギとなります。特に、品質、安全性、信頼性、サステナビリティにおいて、お客様にご満足いただくことは非常に重要です。世界経済の変化や技術革新に伴い、自動車市場の構造が急激に変化している現在、お客様の価値観とニーズの急速な変化に対応した新型車および新機能を適時・適切にかつ魅力ある価格で投入することは、トヨタの成功にとってこれまで以上に重要であり、技術・商品開発から生産にいたる、トヨタの事業の様々なプロセスにおいて、そのための取り組みを進めています。しかし、トヨタが、品質、安全性、信頼性、スタイル、サステナビリティ、その他の性能に関するお客様の価値観とニーズを適時・適切にかつ十分にとらえることができない可能性があります。また、トヨタがお客様の価値観とニーズをとらえることができたとしても、その有する技術、知的財産、原材料や部品の調達、原価低減能力を含む製造能力またはその他生産性に関する状況により、価格競争力のある新製品を適時・適切に開発・製造できない可能性があります。また、トヨタが計画どおりに新製品の投入や設備投資を実施し、製造能力を維持・向上できない可能性もあります。お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
④効果的な販売・流通を実施する能力
トヨタの自動車販売の成功は、お客様のご要望を満たす流通網と販売手法に基づき効果的な販売・流通を実施する能力に依存します。トヨタはその参入している各主要市場につきお客様の価値観または地政学的な緊張関係や規制環境において、変化に効果的に対応した流通網と販売手法を展開できない場合は、営業収益および販売シェアが減少するリスクがあります。
⑤ブランド・イメージの維持・発展
競争の激しい自動車業界において、ブランド・イメージを維持し発展させることは非常に重要です。ブランド・イメージを維持し発展させるためには、トヨタグループおよび仕入先が法令遵守を徹底し、お客様の価値観やニーズに対応した安全で高品質の製品を提供すること、また、ステークホルダーの皆様への迅速かつ適切な情報発信を通じ、ステークホルダーの皆様の信頼をさらに高めていくことが重要です。また、企業としてサステナビリティに貢献することの重要性も高まっています。
しかし、トヨタグループや仕入先があらゆる場面において、それを徹底できるとは限りません。例えば、連結子会社においては、2022年3月に日野自動車㈱、2023年4月にダイハツ工業㈱において、認証に関する不正行為が発覚し、公表しました。また、トヨタ自動車においても、2024年1月26日の国土交通省からの指示に基づき、型式指定申請に関する調査を進める中、2014年以降、すでに生産を終了している車種を含め、7車種において国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していたことが判明し、5月31日に国土交通省に報告しました。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)会社の対処すべき課題」を参照ください。
さらに、トヨタまたは仕入先がサステナビリティに貢献しない、または気候変動やサプライチェーンにおける人権保護など、特定のサステナビリティに関する目標または目的を達成できない場合、トヨタのブランド・イメージが低下する可能性があります。トヨタのブランド・イメージを効果的に維持し発展させることができなかった場合、営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
⑥仕入先への部品・原材料供給の依存
トヨタは、部品や原材料などの調達部品を世界中の複数の競合する仕入先から調達する方針を取っていますが、調達部品によっては他の仕入先への代替が難しいものもあり、特定の仕入先に依存しているものがあります。また、かかる特定の仕入先からの調達ができない場合、当該部品等の調達がより困難となり、生産面への影響を受ける可能性があります。さらに、トヨタが直接の取引先である一次仕入先を分散していたとしても、一次仕入先が部品調達を二次以降の特定の仕入先に依存していた場合、同様に部品の供給を受けられないリスクもあります。仕入先の数に関わらず、トヨタが調達部品を継続的にタイムリーかつ低コストで調達できるかどうかは、多くの要因の影響を受けますが、それら要因にはトヨタがコントロールできないものも含まれています。それらの要因の中には、仕入先が継続的に調達部品を調達し供給できるか、またトヨタが、仕入先から調達部品を競争力のある価格で供給を受けられるか等が含まれます。このような能力に悪影響を与える可能性のある状況には、地政学的な緊張や、経済制裁などの政府の行動が含まれます。特定の仕入先を失う、またはそれら仕入先から調達部品をタイムリーもしくは低コストで調達できない場合、トヨタの生産に遅延や休止またはコストの増加を引き起こす可能性があり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶ可能性があります。
⑦金融サービスにおける競争の激化
世界の金融サービス業界では激しい競争が繰り広げられています。自動車金融の競争激化は、利益率の減少を引き起こす可能性があります。この他トヨタの金融事業に影響を与える要因には、トヨタ車の販売台数の減少、中古車の価格低下による残存価値リスクの増加、貸倒率の増加および資金調達費用の増加が挙げられます。
⑧デジタル情報技術および情報セキュリティへの依存
トヨタは、機密データを含む電子情報を処理・送信・蓄積するため、または製造・研究開発・サプライチェーン管理・販売・会計を含む様々なビジネスプロセスや活動を管理・サポートするために、第三者によって管理されているものも含め、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しています。さらに、トヨタの製品にも情報サービス機能や運転支援機能など様々なデジタル情報技術が利用されています。これらのデジタル情報技術ネットワークやシステムは、安全対策が施されているものの、ハッカーによる不正アクセスやコンピュータウィルスによる攻撃、トヨタが利用するネットワークおよびシステムにアクセスできる者による不正使用・誤用、開発ベンダー・クラウド業者など関係取引先からのサービスの停止、電力供給不足を含むインフラの障害、天災などによって被害や妨害を受ける、または停止する可能性があります。特にサイバー攻撃や他の不正行為は苛烈さ、巧妙さ、頻度において脅威を増しており、そのような攻撃の標的であり続ける恐れがあります。このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、機密データの漏洩、トヨタ製品の情報サービス機能・運転支援機能などへの悪影響のほか、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務などが発生する可能性もあります。その結果、トヨタのブランド・イメージや、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、トヨタの取引先やビジネスパートナーに対する同様の攻撃は、トヨタにも同様の悪影響を与える可能性があります。
気候変動リスクは、日本および世界で、社会面、規制を含む政治面での関心が高まっています。これらのリスクには、気候変動による物理的リスクや低炭素経済への移行リスクが含まれます。
気候変動の物理的リスクには、台風、洪水、竜巻など突発的な気象変化に起因する影響と、気温上昇、海面上昇、干ばつ、山火事の増加など、長期的な気象変化による影響の両方が含まれます。トヨタはBusiness Continuity Plan(BCP)を策定していますが、異常気象による大規模災害に加え、熱波等が増加・激甚化することで熱中症のリスクが増加し、また、干ばつや渇水による水不足も予想されます。これらは、トヨタならびに仕入先および取引先の従業員、施設およびその他の資産に損害を与える可能性があり、トヨタの生産、販売またはその他の事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。大規模な災害等はまた、お客様の財政状態に悪影響を及ぼし、トヨタの製品およびサービスの需要に悪影響を与える可能性があります。
低炭素経済への移行リスクとは、気候関連のリスクを軽減するための規制、技術、および市場の変化やその対応に伴うリスクです。例えば、トヨタは、気候変動に関する法律、規制、政策の変更、気候変動に対処するための技術革新、市場構造の変化をとらえた自動車産業への新規参入者などの要因により、自動車に対するお客様のニーズが変化するリスクにさらされています。お客様のニーズの変化は、トヨタが部品や原材料などの調達部品を継続的かつ競争力のある価格で調達するために、新たな供給網の確立や既存の供給網の強化が必要になるなど、付随的なリスクや課題をもたらす可能性があります。トヨタは、そのようなリスクの顕在化の結果として、またはリスク軽減やリスク対応の努力の結果として、多額の費用および支出を負担する可能性があります。また、お客様のニーズに対応する製品を開発・提供できない場合、販売シェアの縮小ならびに営業収益と利益率の低下を引き起こすリスクがあります。
トヨタは、トヨタの事業やビジネスパートナーに関する気候変動関連事項の開示を公表しています。この開示には、トヨタの予想に基づき、将来の見通しに関する記述が含まれており、結果的にこれらが実現できない可能性があります。また、気候変動に関する取り組みは意図した結果をもたらさない可能性があり、目標の達成時期やコスト、達成能力に関する予測は、リスクと不確実性を伴います。その結果、気候変動関連の目標が達成できない恐れがあります。特に、中長期にわたるトヨタの気候変動関連の目標の達成には、多大なリソーセスと投資、ならびにコンプライアンス、リスク管理システム、内部統制およびその他の内部手続のさらなる改善が必要です。また、トヨタがコントロールできない環境・エネルギー規制、政策の変更、技術革新、顧客や競合他社の行動等にも影響を受けます。気候変動関連の目標を達成できない、または達成できないとみなされた場合、トヨタのブランド・イメージ、財務状況、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(4)気候変動対応(TCFD)に基づく気候関連財務情報開示)」を参照ください。
事業環境の急激な変化やモビリティカンパニーへの変革に向けた取り組みを進めるにあたり、優秀で多様な人材を確保し、育成し続けることが重要です。しかしながら、そのような人材の獲得競争は激しく、トヨタが高い専門性や豊富な経験を持つ多様な人材を計画とおりに採用、定着化できない場合、または成長に必要な機会、教育、リソースを提供できない場合、競争力低下につながり、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
①為替および金利変動の影響
トヨタの収益は、外国為替相場の変動に影響を受け、主として日本円、米ドル、ユーロ、ならびに豪ドル、加ドルおよび英国ポンドの価格変動によって影響を受けます。トヨタの連結財務諸表は、日本円で表示されているため、換算リスクという形で為替変動の影響を受けます。また、為替相場の変動は、外国通貨で販売する製品および調達する材料に、取引リスクという形で影響を与える可能性があります。特に、米ドルに対する円高の進行は、トヨタの経営成績に悪影響を与える可能性があります。
為替相場および金利の変動リスクを軽減するために、現地生産を行い、先物為替予約取引や金利スワップ取引を含むデリバティブ金融商品を利用していますが、依然として為替相場と金利の変動は、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。為替変動の影響およびデリバティブ金融商品の利用に関しては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①概観 d.為替の変動」および連結財務諸表注記19ならびに20を参照ください。
②原材料価格の上昇
鉄鋼、貴金属、非鉄金属(アルミ等)、樹脂関連部品など、トヨタおよびトヨタの仕入先が製造に使用する原材料価格の上昇は、部品代や製造コストの上昇につながり、これらのコストを製品の販売価格に十分に転嫁できない場合、トヨタの将来の収益性に悪影響を与える可能性があります。
③金融市場の低迷
世界経済が急激に悪化した場合、多くの金融機関や投資家は、自らの財務体力に見合った水準で金融市場に資金を供給することが難しい状況に陥る可能性があります。その結果、企業がその信用力に見合った条件で資金調達をすることが困難になる可能性があります。必要に応じて資金を適切な条件で調達できない場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローが悪影響を受ける可能性があります。
①自動車産業に適用される政府の規制
世界の自動車産業は、自動車の安全性や排ガス、燃費、騒音、公害をはじめとする環境問題などに関する様々な法律と政府の規制の適用を受けています。特に、安全面では、法律や政府の規制に適合しない、またはその恐れのある自動車は、リコール等の市場処置の実施が求められます。さらに、トヨタはお客様の安心感の観点から、法律や政府の規制への適合性に関わらず、自主的に販売停止やリコール等の市場処置を実施する可能性もあります。トヨタが市場に投入した車両にリコール等の市場処置が必要となった場合(リコール等に関係する部品はトヨタが第三者から調達したものも含む)、製品のリコール等にかかる費用を含めた様々な費用が発生する可能性があります。また、多くの政府は、価格管理規制や為替管理規制を制定しています。さらに、規制を遵守できなかった場合、法的手続、リコール、改善措置の交渉、罰金、是正命令、政府承認の取り消しやその他の政府制裁の賦課、製品提供の制限、補償金の支払い等の不利益をもたらす可能性があります。トヨタは、国際貿易の動向や政策の変化に関する費用を含むこれらの規制に適合するために費用を負担し、今後も法令遵守のために費用が発生する可能性があります。また、新しい法律または現行法の改正により、トヨタの今後の費用負担が増えるリスクがあります。このように、市場処置を講じたり法律や政府の規制へ適合するために多額の費用が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響を与える可能性があります。
②法的手続
トヨタは、製造物責任、知的所有権の侵害等、様々な法的手続の当事者となる可能性があります。また、株主との間で法的手続の当事者となったり、行政手続または当局の調査の対象となる可能性もあります。現在トヨタは、行政手続および当局の調査を含む、複数の係属中の法的手続の当事者となっています。トヨタが当事者となる法的手続で不利な判断がなされた場合、トヨタの評判、ブランド・イメージ、財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。政府の規制等の法的手続の状況については連結財務諸表注記30を参照ください。
③自然災害、感染症、政治動乱、経済の不安定な局面、燃料供給の不足、インフラの障害、戦争、テロまたはストライキの発生
トヨタは、全世界で事業を展開することに関連して、様々なイベントリスクにさらされています。これらのリスクとは、自然災害、感染症の発生・蔓延、政治・経済の不安定な局面、燃料供給の不足、天災などによる電力・交通機能・ガス・水道・通信等のインフラの障害、戦争、テロ、ストライキ、操業の中断などが挙げられます。トヨタが製品を製造するための材料・部品・資材などを調達し、またはトヨタの製品が製造・流通・販売される主な市場において、これらの事態が生じた場合、トヨタの事業運営に障害または遅延をきたす可能性があります。トヨタの事業運営において、重大または長期間の障害ならびに遅延が発生した場合、トヨタの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに悪影響が及ぶリスクがあります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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