プレス工業グループ(プレス工業及びプレス工業の関係会社)は、プレス工業(プレス工業株式会社)、子会社19社により構成され、自動車関連事業及び建設機械関連事業等を営んでおります。
プレス工業グループの事業内容及びプレス工業と主要な子会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、前述の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一の区分であります。
上記の自動車関連事業及び建設機械関連事業では、プレス工業製品の一部を子会社に製造委託しております。なお、子会社においても得意先への直接販売を行っております。
(注)上記は全て連結子会社となります。
2019年度から2023年度までの中期経営計画においては、事業環境の変化が著しい時代を生き抜き適応していくために「質」重視の経営を掲げ、「強靭な経営体質・経営基盤の構築」「商品力向上・競争力強化」「コア商品の商権維持拡大」に取り組んでまいりました。その結果、事業環境の変化が激しい中計期間において、一定レベル以上の利益を確保することができました。総還元性向は安定配当と機動的な自社株買いを実施し、目標を上回るレベルで推移しました。
世界情勢は不安定さを増しており、世界経済後退懸念は継続、不確実で先が見通せない状況です。プレス工業グループを取り巻く事業環境においては、企業再編が進み、グローバル競争の激化、電動化に向けた開発の本格化など、大きく変化しようとしています。
このような環境下、プレス工業グループは2024年度から2028年度までの5か年中期経営計画を策定しました。本中計期間を、2030年以降の本格的な電動車普及期に向けて手を打つ重要な期間と位置づけ、基本方針を「質を追求しプレゼンスを高める」としました。ビジョン・ミッション・バリューのもと、質重視の経営を更に追求し、プレゼンスを高め、なくてはならない存在へと成長しつづけます。骨子を①コア事業における攻めと挑戦、②電動化に向けたコア商品の進化、③サステナビリティ経営の推進、とし、事業環境の変化をチャンスと捉えて、経営課題に取り組み、企業価値の向上と社会課題解決への貢献を目指します。
① コア事業における攻めと挑戦
自動車業界での企業再編が進み、国内商用車メーカーが大きな変化を迎える中、コア商品におけるプレス工業の強みを武器に、攻めの経営で事業拡大を目指します。主要取引先の共通プラットフォーム車においては、共通化によるボリューム拡大への対応と受注車型・車種の拡大を図ります。地域別・事業別戦略に対しては、プレス工業海外拠点の活用等、積極的に対応してまいります。また、この度の新規受注アクスルを足掛かりに、国内ではトラック4社全方位に向けた商権拡大を図ります。競争に勝ち抜くためのプレゼンス向上に向け、プレス工業の強みである技術開発・提案力とものづくり力の追求にも注力します。
建設機械関連事業においては、客先のモデルチェンジをターゲットに、キャビン商品のフルラインナップ化に取り組みます。狙い目としては、油圧ショベル用ミニ/小型キャビン、ホイールローダー、農機・産機キャビン等、メーカー各社の調達戦略変化を好機とした受注拡大・付加価値拡大にも取り組みます。
② 電動化に向けたコア商品の進化
プレス工業コア商品は電動車においても必要な構成部品であり、新パワートレインに適合する商品を開発中。電動化に向けた開発が本格化する中、バッテリー搭載を考慮したフレーム多機能化やEV用のアクスル開発を継続しており、タイではEV専用アクスルを受注し量産準備中です。
電動車専用商品に対しては、車両構造の変化により必要となるバッテリー保護部品や衝撃吸収製品を開発。EV化が先行する欧州拠点においては、すでに受注・量産開始しており、実績から得た知見を活かし、将来的な国内での法規改正を見据えた受注活動を展開してまいります。
③ サステナビリティ経営の推進
プレス工業グループは2022年に長期視点で取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、サステナビリティ経営を推進しております。新中期経営計画においても、重要課題(マテリアリティ)に取り組み、持続可能な社会の実現に向け、企業価値の向上を目指します。
「人材の多様性と活性化」はプレス工業グループの将来成長を支える重要な取り組みと位置づけ「やりぬく」「創造力」「多様性」「安心・安全」をキーワードとした人的資本戦略の各施策に取り組みます。
人権への取り組みを進め、人権デューデリジェンスを単独から開始し、順次展開を図ります。
「地球環境・社会への貢献」では、カーボンニュートラル実現に向けた活動、生物多様性の保全、水リスクへの対応等を推進します。「コーポレートガバナンスの強化」としては、事業継続のための建屋更新・耐震工事、サイバーセキュリティ対策、リスク管理体制強化等に取り組んでまいります。
新中期経営計画(2024~2028年度)における経営目標値は以下の通りです。
なお、中計期間における総還元性向は60%以上としております。
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2028年度目標 |
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売上高 |
2,400億円 |
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営業利益率 |
8.0%以上 |
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ROE |
9.0%以上 |
以下において、プレス工業グループの事業その他に関するリスク要因と考えられ、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主な事項を記載しております。なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末においてプレス工業グループが判断したものであります。
(1) 経済状況の変動
プレス工業グループの主要製品は、自動車部品や建設機械用部品であり、プレス工業グループの営業収入は、これらの製品を直接的及び間接的に供給している国や地域の経済状況の影響を受けるため、情報を収集・分析しその内容を年度計画や中期経営計画等の事業計画へ反映するよう努めております。しかし、日本・北米・欧州・アジアを含めて、プレス工業グループの主要市場における景気後退や、それに伴う予測を超えた需要減少は、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 海外事業環境の変動
プレス工業グループは、日本・北米・欧州・アジアで生産及び販売活動を展開しており、海外事業において以下のリスクが発生した場合、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
・政治的または経済的に不安定な事象や、戦争、テロ、過激なデモ、暴動、ストライキ等の社会的な混乱
・法律、規則や税制の予期しない変更
・労働争議、人件費の急激な上昇、人材確保や採用の難化
・大規模な自然災害や感染症、伝染病
・合弁事業における経営方針、経営環境などの変化
(3) 為替レートの変動
プレス工業グループの海外関係会社の財務諸表は、現地通貨で表示されており、連結財務諸表の作成のために円換算されております。換算時の為替レートによりプレス工業グループの経営成績及び財政状態へ悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 人材の確保・育成
プレス工業グループは、業界における競争力を維持・向上し、グローバルな事業活動を強化することを目的として、専門技能に精通した人材やマネジメント能力に優れた人材を将来に渡り確保・育成することが、極めて重要な課題と認識しております。このため、国内外での積極的な採用活動や、研修・教育の充実などの対策をとっております。しかし、プレス工業グループ内の人材確保・人材育成が遅れた場合には、プレス工業グループの将来的な事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 技術・製品開発
プレス工業グループを取り巻く事業環境は、企業再編が進み、グローバル競争の激化、電動化に向けた開発の本格化など、大きく変化しようとしています。このため、事業環境の変化をチャンスと捉えて、中期経営計画において①コア事業における攻めと挑戦、②電動化に向けたコア商品の進化を掲げ、技術革新や新製品開発に経営資源を投入しております。しかし、市場ニーズや顧客ニーズの変化への対応が結果として不十分であったり、実現時期がタイムリーでなかったりした場合は、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 気候変動
プレス工業グループは、気候変動リスクへの対応を経営上の重要課題として位置付けており、2050年度カーボンニュートラル実現を目指し、CO₂排出量(Scope1, 2※)を2030年度までに2019年度基準で41.0%削減する中間目標を設定、その達成に向けた取組を進めております。具体的には、省エネ活動の徹底(待機電力削減等)、高効率設備への更新、生産ラインの再編及び再生可能エネルギーの導入を加速させます。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿ったシナリオ分析を実施し、気候変動に伴うリスクと機会を明確化しており、そのリスクへの対応をさらなる成長の機会と捉え、製品軽量化、新商品開発、新技術・新工法の技術開発への取組を強化し、脱炭素社会における新たな市場ニーズへ対応してまいります。しかし、気候変動により生じる物理的リスクや、脱炭素社会への移行リスクに適切に対応できなかった場合、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
※ Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
(7) 自然災害等による影響
プレス工業グループでは、自然災害等による生産活動への影響を最小化するために、BCP(事業継続計画)に基づく訓練、並びに政府指針等に基づく諸施策の徹底を図り、リスク発生の未然防止や啓蒙活動等を進めております。しかし、想定を超える大規模な自然災害等が発生し、建物や設備の倒壊・破損、ライフラインやサプライチェーン、輸送ルート、情報インフラの寸断、人的資源への重大な影響などにより、生産能力の著しい低下や操業の中断といった事態が起こった場合は、顧客への製品供給が遅れたり、損害を蒙った建物・設備等の修復に多額の費用が必要となったりすることで、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 材料・部品の調達
プレス工業グループは、事業活動に必要な材料・部品の多くをグループ外の仕入先から購入しております。特定の仕入先の納入遅延、製品の欠陥、経営状態の悪化、不慮の事故、並びに想定を超える自然災害などにより、原材料や部品の不足やコストの上昇が生じる事態が懸念されます。調達先の複数確保や迅速な復旧支援等、調達方針に基づく諸施策を講じておりますが、著しい原価上昇や生産停止等により、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 製品の欠陥
プレス工業グループは、国際的に認知されている品質管理基準に基づき製品を製造しており、製品品質の安定と向上に取り組むとともに、第三者審査を受けることにより、品質管理体制を整備しております。しかし、全ての製品について欠陥がなく、将来においてリコールなどの問題が発生しない保証はありません。また、製造物賠償責任に関しては、保険に加入しておりますが、最終的に負担する賠償額は、保険によって十分にカバーされない事態も懸念されます。そのため、リコールや製造物責任賠償につながる製品の欠陥が生じた場合は、多大なコストと社会的信用の低下を発生させ、プレス工業グループの評価に大きな影響を与え、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)情報セキュリティ
プレス工業グループは、顧客からの情報や自社の開発情報など、営業上・技術上の機密情報を有しております。また、生産活動をはじめとした事業活動全般において、IT技術・ネットワークを活用しております。プレス工業グループでは、サイバー攻撃の未然防止とその事件・事故を対象とした、ネットワークやサーバー等の脅威監視や分析の範囲拡大など、インシデント検知・対応能力の強化を図るとともに、テレワークやクラウドサービス利用の増加に対応するためのセキュリティ対策基盤の強化や、教育の充実を図っております。しかし、日々高度化・巧妙化するサイバー攻撃等による不測の事態が発生した場合、情報漏洩による社会的信用の低下や損害賠償責任の発生、復旧のための費用、システムダウンによる顧客や調達先全体を巻込んだ業務の停止などにより、プレス工業グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11)企業倫理の遵守
プレス工業グループの従業員は、労務関連、独占禁止、情報管理、知的財産保護、環境保護、適正な会計・税務処理、インサイダー取引防止といった各種法令等を遵守する必要があります。このため、プレス工業グループでは、「倫理規定」を制定し、全社的な「行動指針」として守るべきルールやマナー、業務への取組姿勢などを定め、企業倫理を遵守した業務運営や啓蒙活動に努めております。また、コンプライアンス対応やハラスメント防止に関する相談窓口を社内・社外に設け、寄せられた事案に関しては、適時・適切に対応しております。しかし、従業員による法令違反等の問題が万一発生した場合は、直接的な費用の増加や社会的制裁、風評被害等、有形無形の損害の発生により、プレス工業グループの社会的信用が低下し、円滑な事業運営に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)大規模感染症等の流行による影響
プレス工業グループでは、新型コロナウイルス感染症等の大規模な感染症拡大防止に向けて衛生管理を徹底し、在宅勤務・フレックス勤務・時差出勤等の柔軟な働き方を許容・推奨する労務管理を実施しております。しかしながら、ひとたび国内外で大規模な感染拡大が起こった場合、ロックダウン等の外出措置により経済や生活に著しい制限が生じ、事業活動に多大な影響を及ぼすことが想定され、プレス工業グループの経営成績及び財政状況に重大な影響を与える可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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