大日本印刷(7912)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

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事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


大日本印刷(7912)の株価チャート 大日本印刷(7912)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

DNPグループは、大日本印刷及び子会社139社、関連会社25社で構成され、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスに関連する事業活動を行っております。

DNPグループの事業における位置づけ等は、おおむね次のとおりであります。なお、次の3部門は、セグメントの区分と同一であります。

 

≪スマートコミュニケーション部門≫

単行本・辞書・年史等の書籍、週刊誌・月刊誌・季刊誌等の雑誌、企業PR誌、教科書、電子書籍、

販促から顧客分析に関わるデジタルマーケティング支援、

企業の業務プロセス・販売プロセスに関わるBPRコンサルとBPOサービス、

コンタクトセンター事業、IPS、ICカード、決済関連サービス、カード関連機器、

認証・セキュリティサービスと関連製品、ICタグ、ホログラム、ビジネスフォーム、

カタログ、チラシ、パンフレット、カレンダー、POP、デジタルサイネージ(電子看板)、

イベント・店舗・商品・コンテンツ等の企画・開発・制作・施工・運営、

生成AIを活用したサービス、バーチャル空間の企画・開発・制作・運営、

昇華型熱転写製品(カラーインクリボン、受像紙、昇華型フォトプリンター)、

溶融型熱転写製品(モノクロインクリボン)、証明写真機事業、顔写真・IDソリューション、

エンタメ・アミューズフォトソリューション、

電子書籍流通・販売、図書販売、図書館運営、その他

 

[主な関係会社]

(製          造)

大口製本印刷㈱、㈱DNPイメージングコム、㈱DNPエスピーイノベーション、
㈱DNPグラフィカ、㈱DNPコミュニケーションデザイン、
㈱DNP書籍ファクトリー、㈱DNPデータテクノ、㈱DNPメディア・アート、
㈱DNPメディアサポート

 

 

(製  造・販  売)

DNP Imagingcomm Asia Sdn. Bhd.、DNP Imagingcomm Europe B.V.、
DNP Imagingcomm America Corporation
※MK Smart Joint Stock Company

 

 

(販売・サービス)

丸善CHIホールディングス㈱、㈱インテリジェント ウェイブ、
㈱DNPアイディーシステム、㈱DNPアートコミュニケーションズ、
㈱DNPコアライズ、㈱DNPデジタルソリューションズ、
㈱DNPハイパーテック、㈱DNPフォトイメージングジャパン、
㈱DNPプランニングネットワーク、㈱DNPホリーホック、㈱トゥ・ディファクト、

㈱ハコスコ、㈱モバイルブック・ジェーピー、
丸善雄松堂㈱、丸善出版㈱、㈱丸善ジュンク堂書店、
㈱図書館流通センター、㈱丸善リサーチサービス、
Colorvision International, Inc.、DNP Photo Imaging Europe SAS、
DNP Photo Imaging Russia, LLC、DNP Photo Imaging Spain S.L.U.、
DNP Photo Imaging Belgium SA
※BIPROGY㈱、教育出版㈱

 

 

 

なお、丸善CHIホールディングス㈱、㈱インテリジェント ウェイブ及びBIPROGY㈱は東京証券取引所に上場しております。

 

 

≪ライフ&ヘルスケア部門≫

リチウムイオン電池用部材、太陽電池用部材、電子部品搬送用資材、多機能断熱ボックス、
 その他産業用高機能材、食品・飲料・菓子・日用品・医療品用等の各種包装材料、カップ類、
 プラスチックボトル、ラミネートチューブ、プラスチック成型容器、無菌充填システム、
 住宅・店舗・オフィス・車両・家電製品・家具等の内外装材、自動車等のプラスチック成型部品、
 金属化粧板、医薬原薬中間体受託製造、医薬品受託製剤、炭酸飲料、コーヒー飲料、ティー飲料、
 果汁飲料、機能性飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料、その他

 

[主な関係会社]

(製          造)

㈱DNPテクノパック、㈲エヌテック、㈱巴樹脂、
相模容器㈱、㈱DNPエリオ、㈱DNP高機能マテリアル、
㈱DNP生活空間、㈱DNP包装

 

 

(製  造・販  売)

北海道コカ・コーラボトリング㈱、シミックCMO㈱、
㈱DNP高機能マテリアル彦根、DNP田村プラスチック㈱、

㈱アセプティック・システム、㈱DNPファインケミカル宇都宮、

HKホールディング㈱、㈱光金属工業所、
PT DNP Indonesia、DNP Vietnam Co.,Ltd.

 

 

(販売・サービス)

㈱ライフスケープマーケティング、㈱DNP・SIG Combibloc

 

 

 

なお、北海道コカ・コーラボトリング㈱は、東京証券取引所、札幌証券取引所に上場しております。

 

 

≪エレクトロニクス部門≫

ディスプレイ用光学フィルム、有機ELディスプレイ用メタルマスク、
 液晶ディスプレイ用大型フォトマスク、半導体製品用フォトマスク、リードフレーム、LSI設計、
 ハードディスク用サスペンション部品、スマホ用カメラモジュール部品、その他

 

[主な関係会社]

(製            造)

㈱DNPエル・エス・アイ・デザイン、㈱DNPファインオプトロニクス

 

 

(製   造・販   売)

ディー・ティー・ファインエレクトロニクス㈱、
DNP Photomask Europe S.p.A.
※Photronics DNP Mask Corporation、Photronics DNP Mask Corporation Xiamen

 

 

(販            売)

DNP Taiwan Co.,Ltd.

 

 

(事業会社への投資)

※JICC-04㈱

 

 

<複数の事業を行う関係会社>

(製  造・販  売)

㈱DNPファインケミカル、㈱DNPエンジニアリング、㈱DNP四国、
DNP Denmark A/S
※DICグラフィックス㈱

 

 

(販売・サービス)

㈱DNPロジスティクス、大日本商事㈱、㈱DNPアカウンティングサービス、
㈱DNP情報システム、㈱DNPヒューマンサービス、
㈱DNPファシリティサービス、サンシ興産㈱、㈱UBE科学分析センター、
㈱DNP北海道、㈱DNP東北、㈱DNP中部、㈱DNP西日本、
DNP Asia Pacific Pte. Ltd.、DNP Korea Co.,Ltd.、DNP Corporation USA、
DNP America, LLC、DNP Holding USA Corporation

 

 

(注)※:持分法適用関連会社

 

 

<事業系統図>

以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 


 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。また、この理念に基づき、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしを実現するために、長期を見据えて、自らがより良い未来をつくり出すための事業活動を展開していくことを「経営の基本方針」としています。

さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNP自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。

DNPグループは、「経営の基本方針」に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。また、事業活動の評価指標としてROEとPBRを用いて、価値向上の達成状況を評価していきます。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

DNPグループは、「経営の基本方針」に基づき、2026年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画を2023年4月から実行しています。この計画では、「事業戦略」を中心に持続的な価値創出の具体策を実行するとともに、それを支える経営基盤の強化に向けて「財務戦略」と「非財務戦略」を推進し、事業価値・株主価値を高めていきます。

 

<三つの戦略>

〔1:事業戦略〕

〔1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方〕

「事業戦略」では、市場成長性・魅力度と事業収益性を基準として、目指すべき中長期の事業ポートフォリオを明確に示しました。市場成長性・魅力度が高い「成長牽引事業」(*1)と「新規事業」(*2)を「注力事業領域」と位置付けています。この「注力事業領域」の五つの事業にリソース(経営資源)を集中的に投入し、必要な組織・体制なども十分に整備して、利益の創出を一層加速・拡大させていきます。また、DNP独自の強みの進化と深耕のほか、DNPとは異なる強みを持った企業との連携・M&Aを含む、DNPならではの社会・関係資本である多様なパートナーとの共創などによって、「No.1」を獲得していく戦略を推進していきます。

 *1 成長牽引事業:デジタルインターフェース関連、半導体関連、モビリティ・産業用高機能材関連

  *2 新規事業:コンテンツ・XR(Extended Reality)コミュニケーション関連、メディカル・ヘルスケア関連

一方、市場成長性・魅力度の伸び率は低水準ながら収益性の高い「基盤事業」(*3)については、事業効率の向上などによって、安定的なキャッシュの創出に努めていきます。また、現状では市場成長性が低く収益性が厳しい「再構築事業」(*4)については、生産能力や拠点の縮小・撤退を含めた最適化を進めるとともに、注力事業領域へのリソースの再配分や、当事業のなかでも独自の強みを有した製品・サービスの強化などによる構造改革を推進していきます。

 *3 基盤事業:イメージングコミュニケーション関連、情報セキュア関連

 *4 再構築事業:既存印刷関連、飲料事業

 

 

〔1-2:各セグメントにおける戦略〕

〇スマートコミュニケーション部門

当部門では、投下資本とキャッシュ創出のバランスを見ながら効率的・効果的な投資を行うほか、DNP独自の強みを活かし、国内外の企業との協業・サービス開発を進めていきます。また、紙メディア印刷関連は、再構築事業の一つとして市場規模に対応した合理化・適正化を進めます。

当部門の注力事業領域である「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」では、リアルとバーチャルの空間をシームレスかつセキュアに行き来できるメタバース等を実現し、人々の体験価値を拡大していきます。国内外の多様なIP(Intellectual Property:知的財産)ホルダーやクリエイターとのネットワーク、アーカイブ事業、高精細画像処理技術や版権処理の実績と信頼、そして、個人や情報を安全に認証しながら大量のデータを流通させ、複雑なビジネスプロセスを統合・最適化させる能力などのDNPならではの強みを活かしていきます。また、着実に収益を積み上げる基盤事業として、写真プリント等の多様な製品・サービスをグローバルに展開する「イメージングコミュニケーション関連」、企業・団体等の最適な業務プロセスを設計して関連業務を受託するBPO(Business Process Outsourcing)事業、国内トップシェアのICカードや各種認証サービス等の「情報セキュア関連」の事業を推進していきます。

具体策として、「イメージングコミュニケーション関連」や「情報セキュア関連」でグローバルな投資を拡大するほか、企業・自治体等の業務効率化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化のニーズを捉えたBPO事業の拡大を図ります。「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」では、国内外の多数のパートナーとの連携を深めて、新規市場を創出していきます。

 

〇ライフ&ヘルスケア部門

当部門の注力事業領域の一つ「モビリティ・産業用高機能材関連」では、世界シェアトップのリチウムイオン電池用バッテリーパウチのEV向けのグローバル展開を積極的な設備投資によって推進します。この製品とモビリティ(移動用車両)向けの多様な内外装加飾材を中心に、数十年先を見据えてEVの航続距離の延伸や自動運転、快適な移動空間の実現に取り組んでいきます。

もう一つの注力事業領域の「メディカル・ヘルスケア関連」では、出版・包装・半導体等の事業で培った画像処理技術やカラーマネジメント技術、無菌・無酸素充填技術、ミクロ・ナノ造形技術、精密有機合成技術等を掛け合わせ、原薬製造・製剤・剤形変更・医療パッケージ製造などの製薬サポート事業を展開していきます。また、画像診断やオンライン診療などのスマートヘルスケア事業の拡大に努め、人々の健康寿命の延伸に貢献していきます。

一方、市場環境が厳しい包装関連事業等では拠点の再編などによる収益性の改善・向上を図るとともに、「DNP透明蒸着フィルム IB(Innovative Barrier)-FILM®」等の独自製品や環境配慮包材の拡大を進めます。

具体策としては、リチウムイオン電池用バッテリーパウチの米国拠点への投資、バリアフィルムや環境配慮包材等のグローバル供給能力拡大のほか、メディカル・ヘルスケア関連のパートナーとの相乗効果の最大化などにも取り組んでいきます。

 

〇エレクトロニクス部門

当部門では、積極的な設備投資を推進するほか、DNP独自の強みを活かした新製品開発や、社外のパートナーとのアライアンスによる半導体サプライチェーンへの提供価値拡大などによって、事業の拡大を加速させていきます。

注力事業領域の一つ「デジタルインターフェース関連」では、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクやディスプレイ用光学フィルムなど、世界トップシェアの製品を中心に、技術革新の潮流も捉えて、リアルとバーチャル、アナログとデジタルをつなぐ新しい価値を創出していきます。

もう一つの注力事業領域「半導体関連」では、自動運転や遠隔教育・遠隔医療、クラウド環境やデータセンターの広がりなどによって全世界のデータ流通量が飛躍的に増大するなか、半導体サプライチェーン全体に不可欠なファインデバイスを開発・提供していきます。

 

 

〔2:財務戦略〕

持続的な事業価値と株主価値の創出に向けて、安定的な財務基盤を構築・維持した上で、キャッシュを成長投資に振り向けるとともに、株主還元にも適切に配分していきます。

 

〇キャッシュ・アロケーション戦略

注力事業領域への積極的な投資とそれぞれの事業の効率化を推進し、成長投資の原資となる営業キャッシュ・フローを安定的に創出していきます。資産効率の改善に向けて、政策保有株式の売却を加速し、遊休不動産の縮減にも着実に取り組んでいます。また、有利子負債の活用を含む適切な資金調達方法を検討するなど、資金効率の最大化に努めていきます。

創出したキャッシュは、注力事業領域に集中的に投資するとともに、経営基盤の構築に向けた投資にも配分していきます。長期にわたって企業活動を推進し、社会や人々に価値を提供し続けていくため、成長投資の推進と株主還元のバランスを考慮した上で、株主還元にも積極的に配分していきます。

 

〔3:非財務戦略〕

〇人的資本の強化

DNPグループは、「人への投資」を積極的に進めるなかで、2022年に「人的資本ポリシー」を策定し、「人への投資」を企業価値の向上にさらに明確に結びつけ、グローバルでの「人的創造性(付加価値生産性)」を飛躍的に高めていくため、以下の取り組みを進めています。

価値創造に向けた社員のキャリア自律支援と組織力の強化に向けて、DNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」を展開しており、複線型のポスト型処遇、キャリア自律支援に向けた人的投資、競争力の高い報酬水準・体系の維持・確保、組織開発の充実などを進めています。

また、「DNPグループ健康宣言」に基づき、多様な個の強みを引き出すチーム力の強化とマネジメント改革に向けて、「DNP価値目標(DVO)制度」の浸透や組織のエンゲージメントを高める施策を展開し、社員の幸せ(幸福度)を高める健康経営を推進しています。

事業戦略に基づく適材適所の人材配置の実現については、タレントマネジメントシステムを活用したICT人材・DX人材のスキルレベルの可視化、人材ポートフォリオに基づく採用・育成、人材再配置に必要なリスキリングの強化などを進めていきます。

DNPグループはまた、多様な社員を活かし、一人ひとりの強みを掛け合わせることが価値の創出に欠かせないと考え、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進を重要な経営課題の一つとしています。D&I推進の基本方針である「多様な人材の育成」「多様な働き方の実現」「多様な人材が活躍できる風土醸成」の具現化に向けた施策をさらに進めていきます。

 

〇知的資本の強化

DNP独自の強みと社外のパートナーとの連携を活かして、知的資本を強化していきます。

研究開発の方針として、DNP自身がつくり出したい「より良い未来」の姿を描き、それを起点とした“未来シナリオ”を実現するため、独自の技術等の強みを強化・連動させて、新製品・新サービスの開発・提供につなげていきます。注力事業領域を中心とした新規テーマの創出、基盤技術の強化と新製品開発、オープンイノベーションによる戦略的な技術の獲得と製品化・事業化などを推進していきます。また、ライフ&ヘルスケア部門を中心とした海外での事業展開・マーケティング・研究開発の強化にも努めます。多様な事業を通じて獲得してきた特許等の知的資本の新製品・新サービスへの展開、社内外の強みを積極的に掛け合わせる組織風土の構築・醸成なども進めて、既存事業と新規事業の両方で新しい価値を創出していきます。

また、DNPグループにとってのDXは、アナログとデジタル、リアルとバーチャル、モノづくりとサービスなど、両極端ともいえる強みを融合し、独自のビジネスモデルや価値を生み出すことだと位置付けています。DXに関するこの基本方針に沿って、新規事業の創出と既存事業の変革、生産性の飛躍的な向上、社内の情報基盤の革新などを進めていきます。

 

 

〇環境への取り組み

DNPグループは常に、事業活動と地球環境の共生を考え、環境問題への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「価値の創出(事業の推進)」と「基盤の強化」の両輪で環境課題の解決に取り組むことで、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に貢献していきます。

「価値の創出(事業の推進)」については、環境負荷の低減と事業の付加価値の向上をともに実現する事業ポートフォリオへの転換、環境をテーマとした新規事業の創出、低炭素材料・素材の開発・活用、製品単位のCO排出量の算定と削減、循環型社会に向けたリサイクルスキームの構築、リサイクル材の活用促進などに取り組んでいきます。

「基盤の強化」では、環境負荷の見える化、再生可能エネルギーの導入、環境負荷を考慮した省エネ設備への投資、生産拠点の最適化、プラスチックを中心とした資源の効率的な利用、原材料のトレーサビリティの確保、生態系への負荷の低減などに取り組んでいきます。

 

〔4:ガバナンス〕

DNPグループは、環境・社会・経済の急激な変化等、経営に大きな影響を与えるリスクを評価して中長期的な経営戦略に反映し、また、そのリスクを事業機会に転換していくプロセスの強化に取り組んでいます。

この取り組みを一層加速させるため、2022年4月に代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を始動させました。当委員会では、中期経営計画を実行していく過程で、環境・社会・経済の急激な変化を捉え、適切に経営戦略に反映していくため、経営会議・取締役会に報告・提言していきます。


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

DNPグループは、地球環境の持続可能性を高め、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしを実現していく新しい価値の創出に努めており、それによってDNP自身の持続的な成長を達成していきます。また、その実現に向けて、環境・社会・経済に関するさまざまな課題と、変動要素としてのリスクを正しく認識し、統合的なリスクマネジメントを行う取り組みに注力しています。これら事業環境の変化におけるリスクを、DNP独自の「P&I」(印刷と情報)の強みの進化・深耕によって成長機会への転換を推進しています。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてDNPグループが判断したものであります。

 

(1)環境関連のリスク

○あらゆる企業活動の土台となる地球環境の持続可能性に関連する変動要素

・気候変動による自然災害の頻発・激甚化、渇水や洪水等水リスクの高まり

・プラスチック汚染や生物多様性の損失の加速

○地球環境保全に関連した制度や市場動向の変動要素

・気候変動リスクや自然関連情報等の開示の強化、グローバル化

・GHG排出量の規制強化、エネルギー関連施策の見直し、循環経済への移行の加速

・環境負荷削減に資する製品・サービスの市場拡大、技術革新の加速 等

 

DNPグループは、事業活動と地球環境の共生を絶えず考え、「DNPグループ環境ビジョン2050」に掲げる「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。例えば、短期的なリスクである風水害等の大規模な自然災害等への対応としては、製造設備その他の主要施設に防火・耐震・水害対策等を施すとともに、製造拠点や原材料調達先の分散を図り、生産活動の停止や製品供給の混乱を最小化する事業継続計画(BCP)を策定し、その適切なマネジメント(BCM)を推進しています。また、各種保険によるリスク移転も図っており、事業の存続を脅かすような緊急事態が発生したとしても、事業活動が早急に復旧できる強い企業体質を構築しています。しかしながら、甚大な自然災害や感染症の流行など、社会インフラの大規模な損壊や機能低下、生産活動の停止につながるような予想を超える事態が発生した場合は、業績に大きな影響を与える可能性があります。

長期環境ビジョンの達成に向けて、DNPグループは中期目標を設定し、環境負荷の削減を計画的に進めています。しかしながら、GHG排出量削減のさらなる強化や脱石化製品への移行の加速、代替素材への切り替え要請の高まりによる削減目標の引き上げや製品仕様の見直し等によって、事業への影響や追加的措置が必要となる場合があり、企業活動に大きく影響する可能性があります。

またDNPグループの事業は、印刷用紙等の森林資源や鉱物資源等の原材料、製造工程で使用する水やエネルギー等の供給サービス、水質や大気排出、事業所の土地利用等の調整サービスなど、さまざまな形で自然の恩恵を受けています。さらに、グローバルなサプライチェーンの構築など、社会と密接に関係しながら事業活動を展開しています。こうした状況をグループ全体で明確に認識し、環境の持続性を確保しつつ、社会とともに持続的に成長するため、サプライチェーン全体における環境負荷の把握・削減、トレーサビリティの確保を進めています。しかしながら、地球環境の急激な変動や生物多様性の損失の加速などによって、DNPが必要とする自然資本に想定以上の変動がある場合は、企業活動への影響が大きくなります。

国内外では、気候変動への対応や生物多様性の保全などに関する法的規制や国際規範の強化が進み、社会課題の解決に取り組む姿勢を重視して企業価値を判断する傾向がますます強まっています。特にカーボンニュートラルの実現や循環経済への移行は、緊急度と深刻度が増しており、ネイチャーポジティブに向けた各種インフラや事業構造の変革がさらに強く求められています。DNPグループはこうした変化を先取りすることに加え、自ら主体的に変化を起こすことによって、価値創造と基盤強化の両輪で環境課題の解決に取り組みます。また、国際的な開示基準に沿って透明性を有した情報を積極的に開示することにより、ステークホルダーとの対話を進めていきます。

 

 

(2)社会関連のリスク

○人的資本と人権に関する変動要素

・少子高齢化や労働力不足、雇用の流動化の加速

・多様な社会で生きる多様な人々の尊厳に関する課題の変化

・あらゆる人が心地よく生きるための諸条件の変化(心身の健康・安全・衛生等)

・サプライチェーン全体における人権リスク対応の重要性の高まり

○健全な社会の構築に向けた制度や市場動向の変動要素

・各国・地域の法制度・政治制度の変更、サプライチェーン上のリスク対応の強化

・地政学的リスク/カントリーリスクの拡大

・文化や制度・ルールの違いによる各種リスクの顕在化

・レピュテーションリスクの増大 等

 

DNPグループは、「人的資本ポリシー」に基づき、社員の心理的安全性が高く健康で活力ある職場の実現に注力するほか、社員一人ひとりの状況に配慮した働き方を実現し、多様な強みを掛け合わせていく「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)」の取り組みや、注力事業領域を中心とした人材ポートフォリオに基づく採用・人材配置・リスキリング等を推進しています。しかしながら、国内外の雇用情勢の急激な変化にともない、高い専門性を有する人材や、変化に柔軟に対応しながら業務を遂行できる人材の確保・育成ができない場合など、競争優位性の高い組織体制の構築が難しくなる可能性があります。

近年は特に、海外での事業活動やグローバルに拡大するサプライチェーンに関して、多様な社会的・政治的・経済的変動要素が顕在化しています。世界各地での労働環境の適正化や人権への配慮がますます重要となるなか、「DNPグループ人権方針」に基づく労働環境や人権への配慮などの社会的責任を果たし続けていくことが、企業として長期的に発展していくための重要な基盤となります。それに対して、各国・地域や経済圏における人権デュー・ディリジェンスの重要性の高まりなど、社会関連の法律や規制の予期しない制定や変更、地政学的リスクやカントリーリスクの増大等が起きることによって、DNPグループの国内外の事業活動や原材料調達に支障が生じ、業績に影響を与える可能性があります。

DNPグループは、果たすべき3つの責任として「価値の創造」「誠実な行動」「高い透明性(説明責任)」を掲げており、社員全員に対して企業倫理の浸透・徹底を図っています。すべての企業活動において法令等を守るだけでなく、高い倫理観を持ち、常に公正・公平な態度で、社会の維持・発展に寄与することで、将来にわたって信頼を得るべく努めています。しかしながら昨今、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の広がりを背景として、企業に対する批判的な評価や評判によって企業のレピュテーションが低下するような事案が国内外で発生する可能性があります。そのため、グローバルレベルでのコーポレート・ガバナンス、コンプライアンス体制を強化するとともに、社員に対する企業倫理の浸透・徹底を図っています。また、国内外のSNSなどのモニタリングを行い、早期のリスク発見と適宜適切な対応に努めています。

 

(3)経済関連のリスク

○各国・地域とグローバルな市場における経済活動の短期および中長期の変動要素

・ビジネスモデル/技術/製品・サービス等の開発の加速

・デジタルトランスフォーメーション(DX)やグローバルネットワーク等の加速

・各種経済指標の急激な変動(国内外の景気・業界動向・消費意欲・物価・為替・GDP他)

・世界経済の地政学的要因によるバランスの変化や分断化

○経済活動の基盤となる制度や市場動向の変動要素

・資本主義の見直し、バーチャルな経済圏の確立等による金融インフラの変動

・情報インフラ関連の変動(GDPR等各種ルール・規制の強化/緩和、情報セキュリティへの脅威) 等

 

 

DNPグループは、特定の業種に偏らない数万社の企業や、自治体・各種団体・生活者等と多様な事業活動を行っています。この強靭で安定的な事業基盤を強みにするとともに、オールDNPの強みの掛け合わせと、社外のパートナーとの連携を推進しながら成長牽引事業・新規事業からなる注力事業領域と長期間安定的にキャッシュを生み出す基盤事業を中心に価値の創出に努めています。また、DXの進展やAI利用が拡大するなか、リアルとデジタルを繋ぐ付加価値の創出やAI革新による事業化のスピードアップなどを進めるとともに、「DNPグループAI倫理方針」を策定し、AIの適切かつ効果的・効率的な利活用を推進し、事業活動・研究開発活動などでの価値創出を加速させていきます。しかしながら、国内外の景気や消費の動向などが想定以上に低迷した場合や、特に新興国での生産や需要の変化が大きい場合など、生産量の減少や単価の下落等によって業績が影響を受ける可能性があります。また、新規のビジネスモデルや技術、製品・サービスの開発において、さらなる競争の激化や変化に対する対応の遅れ、予想を上回る商品サイクルの短期化、市場動向の変化等が業績に影響を与える可能性があります。戦略的な事業・資本提携や企業買収は、事業拡大の迅速化や効果の拡大に有効ですが、提携先・買収先等を取り巻く事業環境が悪化し、当初想定していたような相乗効果が得られない場合、業績に影響を与える可能性があります。

原材料等の調達については、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料を購入するなど、安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めています。しかしながら、地政学リスクの高まり、石油価格や為替の大幅な変動や新興国での急激な需要の増加、天然資源の枯渇、気候変動の影響、サプライチェーンにおける人権の問題などにより、需給バランスが崩れる懸念もあります。また為替相場については、現地生産化や為替予約などによって変動リスクをヘッジしていますが、これらの状況が急激に変動する場合には、業績に影響を与える可能性があります。

また、事業活動において、世界規模のコンピュータネットワークなど情報システムを活用するなかで、ソフトウェアやハードウェアの不具合のほか、日々巧妙化・高度化するサイバー攻撃によるコンピュータウイルスへの感染、個人情報の漏えいなどの発生リスクが高まっており、更なる自社防御強化が必須です。DNPグループは、個人情報を含む重要情報の保護、つまり情報セキュリティを経営の最重要課題のひとつとして捉え、体制の強化や社員教育などを通じてシステムとデータの保守・管理に万全を尽くしていますが、万一、DNPグループのサプライヤーやパートナーにおいてサイバー攻撃による被害や重要情報に関連する事故などが発生した場合には、事業の停止等事業活動に影響を与える可能性があります。

事業活動において自社が保有する知的財産やノウハウ等を適切に保護、管理、活用することが不可欠です。DNPグループでは、自らの技術・ノウハウ等の流出を防止するための管理を厳重に行っていますが、不測の事態による外部流出の可能性があります。一方で他者の知的財産を必要とする事業や製品開発において当該知的財産を利用できない場合、事業拡大や業績に影響を与える可能性があります。また、他者の知的財産権を尊重し、侵害しないよう対応していますが、他者から訴訟等を提起され、差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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