内田洋行グループは、内田洋行および子会社28社、関連会社10社で構成され、主に以下の3事業を行っております。これら事業は、セグメント情報の報告セグメントの区分と同一です。
「公共関連事業」
大学・小中高市場へのICTシステムの構築・機器販売、教育機器の製造・販売、教育施設への空間デザイン及び家具販売、官公庁自治体市場への基幹業務並びにICTシステム構築及びオフィス関連家具の製造・販売・デザイン・施工を行っております。
「オフィス関連事業」
民間市場及び公共市場向けオフィス関連家具の開発・製造・販売及び空間デザイン・設計・施工や、ICT機器の販売及び事務用機械・ホビークラフト関連製品の製造・販売を行っております。
「情報関連事業」
企業向け基幹業務システムの設計・構築及びICT機器・ネットワークシステムの設計・構築・保守・販売、ソフトウェアライセンス及びICT資産管理の提供・販売を行っております。
「その他」
教育研修事業、人材派遣事業、不動産賃貸事業、各種役務提供等の事業活動を展開しております。
内田洋行グループの事業に係る位置付けは、次のとおりであります。
公共関連事業
ソフトウェア開発および保守は内田洋行が行うほか、連結子会社ウチダエスコ㈱他1社、非連結子会社Open Assessment Technologies S.A.が行っております。生産については、関連会社さくら精機㈱が教材教具、理化学機器等を製造しており、非連結子会社がICT関連商品等を製造・開発しております。
販売については、内田洋行が行うほか、代理店および連結子会社㈱ウチダシステムズおよびウチダエスコ㈱他2社、非連結子会社、関連会社を通じて行っております。
ICT関連商品の納入設置・コンピュータハードおよびネットワークの保守・メンテナンスについては、連結子会社ウチダエスコ㈱が行っており、公共用設備家具やオフィス家具製品等の施工・保守については、連結子会社㈱ウチダテクノが行っております。また、連結子会社パワープレイス㈱はオフィス等のデザインの提供を行っております。
オフィス関連事業
生産については、連結子会社㈱サンテック他2社、在外連結子会社ウチダエムケーSDN.BHD.、関連会社江戸崎共栄工業㈱がオフィス家具製品、事務用品等を製造しております。
販売については、内田洋行が行うほか、内田洋行の代理店および連結子会社㈱ウチダシステムズ他3社、在外連結子会社ウチダ・オブ・アメリカCorp.他1社、非連結子会社、関連会社を通じて行っております。
また、オフィス家具製品等の施工・保守については、連結子会社㈱ウチダテクノが行っており、連結子会社パワープレイス㈱はオフィスデザインの提供を行っております。
情報関連事業
ソフトウェア開発および保守は、内田洋行が行うほか、連結子会社㈱内田洋行ITソリューションズ及びウチダエスコ㈱、非連結子会社、関連会社が行っております。
コンピュータハードおよびソフトウェアの販売、システムインテグレーションサービスの提供は、内田洋行が行うほか、内田洋行の代理店および連結子会社㈱内田洋行ITソリューションズ、関連会社を通じて行っております。
ICT関連商品の納入設置・コンピュータハードおよびネットワークの保守・メンテナンスについては、連結子会社ウチダエスコ㈱が行っております。
ソフトウェアのライセンス販売については、連結子会社ウチダスペクトラム㈱が行っております。
その他
教育研修事業、人材派遣事業については、連結子会社㈱ウチダ人材開発センタが行っており、不動産賃貸事業については内田洋行が行っております。
内田洋行グループ内のシステム開発関連業務、および各事業の業務に関する役務提供等は、連結子会社㈱内田洋行ビジネスエキスパートが行っております。各事業の商品配送・保管等物流事業については、関連会社㈱陽光が行っております。
以上述べた事項の3セグメントの事業系統図は次のとおりであります。
第15次中期経営計画期間以降、製品とスキルの軸から環境構築関連ビジネスと ICT関連ビジネスに、市場の軸から民間市場と公共市場にわけた、4つのマトリクスを設定し、従来の3セグメントに内在する各事業をSBU(スモールビジネスユニット)として分類したうえで、内田洋行グループが持つ事業ポートフォリオを俯瞰的な視点から見直してリソースの再編を進めております。
4つのマトリクスでみる内田洋行グループの事業構造
内田洋行グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において内田洋行グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
内田洋行グループは、「人間の創造性発揮のための環境づくりを通して豊かな社会の実現に貢献する」という企業理念のもと、株主の皆様、取引先、従業員をはじめとする社会の全てのステークホルダーに信頼と満足を得られる企業となることを目指してまいります。
コーポレートビジョンを「情報の価値化と知の協創をデザインする」と定め、お客様の成長を支援し続けることを内田洋行グループの存在理由とし、社会への貢献と企業価値の向上を目指します。
(2)利益配分に関する基本方針
内田洋行は、長期的かつ総合的な株主価値の向上を図るため、健全なる持続的成長を目指します。株主様への還元につきましては、安定的な配当の維持を前提に、「財務基盤の充実」と「中長期的な会社の経営戦略の実現に向けた投資」とのバランスをとりながら、将来に向けて一層の拡大と充実を目指すことを基本方針としております。
(3)目標とする経営指標
自己資本当期純利益率(ROE)については、将来の市場変化に対応するための自らの変革に向けての投資を推進しながら、安定的に10%前後の水準を継続できる経営基盤づくりを目指します。
(4)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
今般内田洋行グループは、2025年7月期から2027年7月期までの3年間を対象とする第17次中期経営計画を策定しました。
① 第17次中期経営計画を進めるにあたり
内田洋行における一連の経営改革は、2015年に開始されました。リーマン・ショック後に低迷した内田洋行の収益性の改善に取り組むことと、まだ顕在化していないものの10年後には確実に到来する日本の少子化の重大な影響に対処するため、旧来の内田洋行の延長ではなく中長期の視点に立った改革をスタートしました。
第14次中期経営計画(2016年7月期~2018年7月期)では、全社の事業を俯瞰的にとらえるため、事業の軸からICT関連と環境構築関連に、市場の軸から民間市場と公共市場に分けた4つのマトリクスで構成する事業ポートフォリオを設定、現在のセグメントにある各個別事業をSBU(スモールビジネスユニット)としてマトリクスの領域にプロットすることから始め、共有するためにノウハウなどのリソースの可視化に着手しました。同時に旧来の三本部制を廃止し、各本部の持つスタッフの流動化を進めて、成長の芽となる事業を分離独立させる戦略を遂行し、さらに社内に分散していたSE組織やICT関連のR&D・開発部門などを機能統合することで、リソースの共有を開始しました。
第15次中期経営計画(2019年7月期~2021年7月期)では、第14次中計から推進した市場を起点にSBUの連携を図るマネジメントにより、リソースの共有とフレキシブルな機動性が高まり、Windows10更新需要や教育ICT、首都圏新築ビル需要の集中に対し、従来よりも幅広く着実に対応することができ、過去最高益を達成します。この効果はコロナ禍でも効用を発揮し、コロナ対策のための教育ICT、GIGAスクール構想案件や大手民間企業のIT投資拡大など、急激な市場変化にも的確に機動的に対処し大きな成果を得ることができ、業績のベースラインのアップを実現させました。
第16次中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期)では、内田洋行単体を中心に継続して組織の再編を進めるとともに、グループ全体での再編に向けた準備に着手しました。連結上場子会社のウチダエスコ株式会社や、連結子会社の株式会社ウチダテクノを完全子会社化し、データ活用を事業化したグループ会社のスマートインサイト株式会社を吸収合併しました。また並行してグループリソースの共有化を図るためのグループ共通情報システムにおける大型投資を開始しました。さらに新たな成長に向けて、教育ICTのトレンドであるCBT(Computer Based Testing)の分野において世界で先進的な、ルクセンブルクのソフトウェア開発会社Open Assessment Technologies S.A.の100%出資を実施しています。
これらの成果は、これからの継続したベースラインのアップに活かされると考えます。
第17次中期経営計画では、これまでのマネジメント変革をグループ全体に大きく拡げて、リソース共有の幅を拡大し、さらなるベースラインのアップを図ることを基本方針とします。その上で、10年先を見据えた社会構造変化への対応を進め、将来の成長に向けた投資と、長期的な事業の安定を図るための経営基盤への投資を進めてまいります。
② 利益計画の考え方
第17次中期経営計画では、過去最高益の更新を継続し、売上高3,400億円、営業利益115億円を超える水準に挑戦、さらに次の大台の水準を目指して将来に向けた成長策と投資を推進します。
期間中の市場環境認識としては、海外経済の減速、人手不足による供給制約などが懸念されるものの、企業の設備投資やデジタル投資の増加による生産性向上などが見込まれ、賃金上昇などによる個人消費回復も含め、概ね良好な市場環境と判断しており、国内経済の名目GDP成長率は概ね毎年+3%前後で成長することが予測されます。
内田洋行の事業領域の中では、IT市場でのクラウド関連が高い伸びを継続する可能性が高く、東名阪でのオフィス分野の需要拡大も予想されます。加えて、2025年~2026年にかけてGIGAスクール更新需要、自治体でのシステム標準化需要など、特別な需要がピークを迎えることから、日本の平均成長率より高い年率7%以上の伸びを継続し、将来に向けた変革と投資を進めます。
③ 市場変化に対応する成長シナリオとマネジメント変革
イ グループ全体で市場変化に対応できるフレキシブルな体制を構築する。
内田洋行グループは、民間・公共という共通する市場の中で、ICT関連と環境構築関連の多様な事業各々が、それぞれの特色をもってお客様と接して蓄積されたノウハウからお客様を多角的、立体的に把握し、継続的に貢献してきましたが、これからの社会構造変化によって需要は大きく変化します。同一の事業領域にあるグループの事業リソースをこれまで以上に関連づけることで、内田洋行グループ全体の市場変化への対応力が高まり、より強い事業集団に発展するものと考えます。
これまで4つのマトリクスの視点から事業ポートフォリオを設定し、新たな事業の組合せにより変革してきた取り組みを、今後はグループ全体に拡げて、上記の戦略を推進し、更なる将来の市場変化に機敏に対応できる体制を構築します。
ロ 成長シナリオ
スマート社会を実現するためにはデジタルトランスフォーメーション(DX)が必須となりますが、真の意味でのDX、トランスフォーム(変革)の実現には、実行する「人」の育成と、基になる「データ」への投資の強化が重要になります。内田洋行グループはこの「人」の創造性を大切にする環境づくりと、「データ」の生成と活用する「人」のスキルとテクノロジーを高める「働く場」「学ぶ場」の革新に挑戦し、企業や官公庁・自治体、学校を中心とするお客様をご支援します。
○第17次中期経営計画においては、戦略的な重点市場に対しICTと環境構築のノウハウを融合、グループ全体のリソースを活用し、セグメントを超えたリソースの結集により競争力を高め、内田洋行独自の競争優位づくりに挑戦する。
(大手民間市場)
DX投資の拡大で急成長するICT事業分野をベースに、他の分野のノウハウと顧客網を結び付けてビジネス機会の拡充を図り、ユニークな強みの具現化を進展させる。
(公共市場)
NEXT GIGAと自治体の情報システム標準化の推進を基に、教育ICTと自治体ICTを繋ぐ役割を担い、少子化に苦しむ地域に貢献を目指す。学校と公共施設の連携から地方創生へもつなげる。
(伝統的に強みのある市場の再活性)
強みのある食品・建設・福祉・印刷・教育機器・社会人教育などの業種をさらに強化すると同時に、他分野のリソースの活用と他分野への貢献で相互強化する。
○将来の成長のためのデータ活用ビジネスの強化
DXのキーはデータ活用にあるものと認識し、各ICT分野でデータ活用に取り組み、顧客への貢献と内田洋行の将来の収益モデルの開拓に取り組む。
(民間市場のデータ活用)
シェアの高い会議室運用支援サービス「SmartRooms」、オフィスワークでのナビゲーションシステム「SmartOfficeNavigator」を軸に、デジタルデータの統合可視化と生成AIを活用したデータ解析・アナリティクス等を支援する「Mμgen」など、内田洋行ソリューション群を起点にサービスビジネスの強化・拡充を図る。
(公共市場のデータ活用)
二つのデータ連携基盤から顧客のデータ活用を推進する。
・自治体の情報システムの標準化と学校の児童生徒のデータの標準化を結び、子供たちのデータを子供たちのために活かす。
・国内外でCBT(Computer Based Testing)の展開を図り、CBTと多様なアプリケーションを連携できる学習デジタルエコシステムの構築を目指す。
○グループ全体でのエンジニアリングリソースの強化
上記の戦略的な市場の強化とデータ活用を支えるのは、顧客に近いところに立つエンジニアリングリソースにある。その強みはネットワークと業務系システムのノウハウにある。グループ全体を横断して民間・公共のシステムズエンジニアリング(※)の強化と投資を行う。
(※)複数の専門領域にまたがる多様な価値を統合して全体最適を実現する考え方
ハ 長期的な経営基盤の安定を図るための投資の拡大
○グループ共通システムの整備の継続推進
・グループの情報共有、業務効率向上とともに、フレキシブルな体制構築に不可欠な共通販売管理システム及び周辺システムの整備を推進する。
○人への投資の拡大
・採用の拡充・人材育成(次世代経営層の育成、DX研修)
○働く環境の整備、安全安心の強化
○ブランド価値の向上
・事業改革にともなうブランド発信の強化
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、下記記載のリスク項目は、内田洋行グループの事業に関するすべてのリスクを網羅したものではありません。また、文中における将来に関する事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)国内外の経済動向による影響について
内田洋行グループの事業は、国内市場に大きく依存しており、国内経済の動向により影響を受けます。
企業収益の悪化により企業の設備関連投資が減少した場合、また、政府及び地方自治体の財政状態の悪化により公共投資が削減された場合、内田洋行グループの業績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(2)製品およびサービスの欠陥について
内田洋行グループは品質管理に十分な意を尽くしておりますが、提供する製品およびサービスに欠陥が生じるリスクがあります。内田洋行グループの製品およびサービスには、顧客の基幹業務の遂行等、高い信頼性が求められる状況において使用されているものがあり、その障害が顧客に深刻な損失をもたらす危険性があります。その場合、内田洋行グループは、製品またはサービスの欠陥が原因で生じた損失に対する責任を追及される可能性があります。さらに、製品またはサービスに欠陥が生じたことにより社会的評価が低下した場合は、内田洋行グループの製品およびサービスに対する顧客の購買意欲が低減する可能性があります。これらの場合、内田洋行グループの業績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(3)情報管理に関するリスク
お客様やお取引先の個人情報や機密情報を保護することは、企業としての信頼の根幹をなすものであります。内田洋行グループでは、社内管理体制を整備し、従業員に対する情報管理やセキュリティ教育など、情報の保護について数々の対策を推進しておりますが、情報の漏洩が全く起きないという保証はありません。万一、情報の漏洩が起きた場合、内田洋行グループの信用は低下し、お客様等に対する賠償責任が発生するなど、内田洋行グループの業績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(4)取引先、提携先等に関するリスク
内田洋行グループの事業は、多くの取引先や、提携先など他社との関係によって成り立っています。従って、これらの取引先等との関係に著しい変化が生じた場合には、内田洋行グループの業績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(5)公的規制等に関するリスク
内田洋行グループは、事業許認可、独占禁止、消費者、環境・リサイクル、租税等に関する法令や、輸出入に関する制限や規制等の適用を受けております。これらの法令・規制等を遵守できなかった場合、事業許可の取り消しや入札停止などにより事業活動に制限を受け、内田洋行グループの業績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(6)自然災害に関するリスク
地震、風水害などの自然災害により事務所・設備・社員とその家族などに被害が発生した場合には、事業継続計画(BCP)の策定、防災訓練、社員安否システムの整備などの対策を講じておりますが、被害を完全に回避できるものではなく、内田洋行グループの業績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(7)気候変動に関するリスク
内田洋行グループでは、気候変動問題への対応を重要な課題として捉えております。今後、環境関連法規制の強化により、脱炭素社会に向け、地球環境保全に関連する費用が増加した場合は、内田洋行グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会移行への要求の高まりに対して内田洋行グループの対応が遅れた場合には、販売機会の損失等による企業価値低下が発生し、内田洋行グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8)知的財産権に関するリスク
内田洋行グループの製品または技術について、他社の知的財産権を侵害しているとされるリスク、また、第三者のソフトウェアその他の知的財産の使用に際し、何らかの事情により制約を受けるリスクがあります。これらの場合、内田洋行グループの業績および財務状況が悪影響を受ける可能性があります。
(9)人的資本に関するリスク
内田洋行グループの成長と利益は、人材に大きく依存するため、必要とする人材を採用及び育成するとともに、人材が継続して働くことができる環境を整備することが重要です。人材を採用または育成することができない場合、流出を防止できない場合や重大な労務問題が発生した場合は、内田洋行グループの成長や利益に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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