中部水産(8145)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】(1)中部水産の主要事業は、卸売市場法に基づく農林水産大臣許可の水産物卸売業であります。全国各地の生産者等から生鮮、冷凍、加工水産物の販売の委託を受け、また買付を行い、名古屋市中央卸売市場において、せり売りなどの方法により仲卸業者などに販売することを主要業務とし、附帯事業として、冷蔵倉庫業及び不動産賃貸業を営んでおります。 関連会社1社は、名古屋市中央卸売市場の分場として開設された北部市場の同業会社であり、資本関係は有するものの、取引はすべて他地区市場間の一般的な取引と同様であります。 (2)セグメント別の内容及び中部水産と関連会社の事業に係る位置付けは次のとおりであります。水産物卸売業………(卸売部門)中部水産及び関連会社の名北魚市場㈱は「卸売市場法」に基づき、名古屋市中央卸売市場において水産物の販売を行っております。冷蔵倉庫業…………(冷蔵倉庫部門)水産会社及び仲卸業者の生鮮、冷凍及び加工水産物等の保管業務をしております。不動産賃貸業………(不動産賃貸部門)マンション等不動産の賃貸業務をしております。 (3)主要事業の系統図は、次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 中部水産の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において中部水産が判断したものであります。 (1)経営方針 中部水産は、水産物流通の基幹システムである中央卸売市場の卸売業者として、多様化し、変化する消費者ニーズに対応した安全、安心で良質な水産物の安定供給、適正な価格形成、効率的な物流機能、的確な情報提供などによって、地域社会の食生活の充実安定に寄与するとともに、営業力の強化と経営の効率化により強固な経営基盤を確立し、企業体質の充実を図ることにより、将来にわたる安定した健全経営を基本方針としてまいります。 (2)経営戦略等 少子高齢化や人口減少などによる市場規模の縮小に加え、消費者の食生活の形態や購買行動が変化する中で、市場外流通との競合は一層激しさを増しております。 このような状況のもとで、中部水産は、多様化する消費者ニーズに対応するため、広範な情報収集や企画提案力を高め、荷主や販売先の開拓を図り、加工、物流などの市場機能を充実させ、集荷力や販売力を強化してまいります。また、卸売市場の活性化とそれに伴う新規取引先の獲得につながる体制を構築するとともに、業務の効率化や環境の変化に応じた組織改革を不断に実施して、企業体質の強化を図ってまいります。 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 企業価値を高めるための指標として、当期純利益を重視しておりますが、天候不順などによる自然の状況や海洋環境が業績に及ぼす影響も大きいことから、中長期の目標数値は設定しておりません。中部水産では、当事業年度の目標数値及びその達成状況を基本的な経営指標としております。 (4)経営環境及び対処すべき課題 水産物卸売業界におきましては、気候変動に伴う海水温の上昇や海洋環境の変化による不漁の常態化や漁獲規制の拡大、海外需要の高まりや調達価格の高騰など、安定的な供給体制の構築には一層難しい対応が求められています。また、消費者の生活防衛意識の高まり、ライフスタイルの変化による魚食離れの加速、物流コストの高止まり、市場外流通やネット通販といった多角化する販売チャネルへの対応など、収益確保に向けた厳しい事業環境が続くものと思われます。 このような経営環境のもとで、持続的な成長と中長期的な企業価値を向上させるため、「持続可能な水産資源の確保」と「消費動向を捉えた最適な集荷拡大と販路の拡大」を両立させ、安定的な収益の確保と経営基盤の強靭化を図ってまいります。 また、人的資本への投資を通じた職場環境の整備とともに、海洋環境保全に向けたサステナビリティ経営を実践し、豊かな魚食文化の継承に取り組んでまいります。① 収益力の向上 主力事業である水産物の卸売部門は、地域、魚種、荷主別に集荷の対策を強化し、集荷の拡大を図るため産地開拓並びに商品の発掘に邁進してまいります。また、外部環境の変化に対応するために、健康志向や資源保護への関心など消費者ニーズを的確に捉えることによって、生産者と仲卸業者などと情報を共有し、スピーディーに企画提案を行い、中部水産内の営業推進室と連携して、販売の拡大に取り組んでまいります。 冷蔵倉庫部門は、営業の強化並びに新規顧客を開拓し、保管貨物の入出庫を増やすなど、事業の拡大と収益の確保を図ってまいります。② 企業体質の強化 管理面では、法令遵守などコンプライアンス体制の強化と従業員への周知徹底を継続的に図ると共に、AI技術を活用した業務改革を推進します。また、予算、債権、在庫などについて管理を徹底するとともに、業務の見直しによる経費削減に取り組み、経営効率化と事業競争力の強化のためのデジタル技術を活用した戦略的投資や人材育成のための研修投資を実施してまいります。 ③ 安全、安心で良質な商品の提供 消費者による食品への安全安心に対する関心が高まるなかで、安全安心委員会を中心とした原産地表示や期限表示などの食品表示に対する品質管理体制を充実させてまいります。名古屋市中央卸売市場の卸売業者としての公共的使命を担う企業として、消費者の信頼性の確保と向上に努めてまいります。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。中部水産では、このようなリスクを最小化するとともに、発生した場合の対応を図っております。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において中部水産が判断したものであります。 (1) 法的規制について 主要事業であります水産物卸売業は、卸売市場法、食品衛生法、JAS法等が適用されており、これらの法改正、産地偽装や密漁など法規制にかかわる事故が発生した場合は、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 中部水産は名古屋市より許可を受けて、名古屋市中央卸売市場で卸売業を行っておりますが、中央卸売市場の業務条例等に違反したことにより、名古屋市より業務停止等の処分を受けた場合には、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(2) 外部環境等について 水産物卸売業は、海洋環境の変化や天候など自然条件による漁獲量の変動、漁獲規制や輸入制限、為替動向などの要因により、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(3) 食品の安全性について 食品の安全、安心に対する消費者の関心が高まる中で、食品の安全性と品質管理の重要性を従来にも増して認識し、社内に「安全安心委員会」を設置して、品質管理や産地表示等への監視を行うとともに、社員への啓蒙活動に取り組み、安全、安心で良質な商品の提供に努めておりますが、今後、食品の品質問題が発生した場合は、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(4) 見積り前提条件の変動リスクについて 財務諸表の作成に際して、棚卸資産の評価、有価証券の減損、固定資産の減損、売上債権の回収可能性、繰延税金資産に対する評価性引当額、従業員の退職給付費用の算定に関して見積計算を行っております。これらの見積りは将来に関する一定の前提に基づいており、その前提が実際の結果と相違する場合には、予期せぬ追加的な費用計上が必要となり、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(5) 有価証券の損失計上のリスクについて 保有する有価証券については、主に公社債等の債券及び市場性のある株式であり、経済状況や株式市場の動向によっては譲渡損及び評価損が発生し、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。(6) 減損に関するリスクについて 中部水産は不動産賃貸事業への投資を行っております。その結果、保有している有形固定資産につきましては、対象となる事業において将来の収益力が低下した等により、投資額の回収が困難になった場合、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(7) 債権の貸倒リスクについて 主要な販売先であります仲卸業者について、開設者の名古屋市では、一定の財務基準を満たしていない場合に経営指導や必要な改善措置を行うことになっています。中部水産においては、与信管理の徹底といった債権管理の強化、貸倒引当金の設定などの対応を講じてまいりますが、予測不能な事態が生じた場合には、債権回収に支障をきたす可能性があります。(8) 自然災害のリスクについて 中部水産の事業活動は、中部圏に集中していますが、この地域において、地震、津波等の大規模な自然災害が発生した場合は、中部水産の事業が一時的又は中長期的に中断を余儀なくされる可能性があります。 また、他地域において、同様な自然災害により中部水産の取引先に甚大な被害があった場合は、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 人材の確保に関するリスクについて 今後の成長を実現していくためには、優秀な人材の確保と育成が重要課題であると認識しております。しかしながら、少子高齢化やそれに伴う労働人口の減少等もあり、人材の確保と育成が計画どおり進捗しない場合や、採用の競争激化に伴う給与、福利厚生等の上昇により経費が増加した場合は、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(10) 情報システムに関するリスクについて コンピューターウイルスの感染などによるシステム障害や情報漏洩に対し、規程等を整備するなど適切な対策を講じておりますが、予測不能なウイルスの感染や情報への不正アクセスなどにより、事業運営に支障をきたす恐れがあり、その結果、中部水産の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(11) 名義変更取引に係る収益認識に関するリスクについて 卸売部門において行われる冷蔵庫保管商品の販売取引は、一取引当たりの金額が相対的に大きく、また、商品の現物移動を伴わない名義変更による取引も多く行われております。この名義変更取引は、売上と仕入の双方で用いられる所有権移転の手法であり、会社と販売先及び冷蔵庫業者間の書面手続で取引が完結します。この特性から、本取引を利用した循環取引による収益の過大計上が行われやすいという業界特有のリスクが存在しております。 中部水産は、このリスクに対応するため、新規取引の際には申請書等により取引の経緯や名義変更取引の有無などの詳細な内容を確認しております。また、売上高、売掛金、仕入高、買掛金、及び棚卸資産といった取引額又は勘定残高を用いて、循環取引の特徴を考慮した複数の財務分析を行い、異常な取引の有無を確かめております。(12) 内部統制に関するリスクについて 中部水産では、財務報告の信頼性の確保、コンプライアンス体制の強化を達成するために内部統制システムを整備し、運用してまいりましたが、2024年3月期に中部水産の販売先に対する売掛金について約定弁済がなされなかったことを契機として架空循環取引が行われていたことが発覚し、その経済的実態は資金移動取引であることが判明しました。そのため、中部水産は、循環取引に係る仕入高及び売上高を取り消すとともに、資金移動取引について金融取引として認識して未収入金を計上し、当該修正により生じた未収入金に対して貸倒引当金を計上しました。また、財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備があったことが判明しております。中部水産は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、不備を是正するため、前事業年度からリスク管理体制の強化と会社財産の保全を基本方針に加えております。また、2024年5月14日に「特別調査委員会の提言を踏まえた再発防止策の策定に関するお知らせ」にて公表しました再発防止策について、具体的な対応策を構築し、全社一丸となって実行いたしました。 その結果、前事業年度末日においては、開示すべき重要な不備とされたものは全て是正されており、2025年6月27日付「内部統制報告書」において、財務報告に係る内部統制は有効である旨を開示しております。中部水産は、再発防止の取組を今後も継続的に実行し、一層コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、役職員間の報告・連絡・相談を徹底するなど、循環取引等のリスクを排除できる対策を実行し、内部統制の強化を図ってまいります。 中部水産は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題の一つとして取り組んでまいりますが、将来にわたって常に有効な内部統制システムを整備及び運用できる保証はなく、また、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合や、財務報告に係る内部統制の不備又は開示すべき重要な不備が発生した場合には、中部水産の財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 なお、現時点では予想できない上記以外の事象により、中部水産の財政状況及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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