高島屋(8233)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


高島屋(8233)の株価チャート 高島屋(8233)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 高島屋グループは2025年2月28日現在、高島屋と子会社40社及び関連会社17社で構成され、国内百貨店業、海外百貨店業を主要業務として、国内商業開発業、海外商業開発業、金融業及び建装業等を営んでおります。

 高島屋グループが営んでいる主な事業内容と位置づけは、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

① 国内百貨店業

 高島屋、連結子会社の㈱岡山髙島屋等の子会社4社及び関連会社3社で構成し、商品の供給、商品券等の共通取扱を行っております。

② 海外百貨店業

 連結子会社のタカシマヤ シンガポールLTD.等の子会社5社で構成し、商品の供給等を行っております。

③ 国内商業開発業

 連結子会社の東神開発㈱及び関連会社2社で構成し、百貨店とのシナジー効果を発揮する商業開発及び資産・施設の管理運営を行っております。

④ 海外商業開発業

 連結子会社であるトーシン ディベロップメント シンガポールPTE.LTD.等の子会社17社及び関連会社10社で構成し、住宅・オフィス・商業の複合開発事業や、学校不動産賃貸事業を行っております。

⑤ 金融業

 連結子会社の髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ㈱等の子会社3社と関連会社1社で構成し、クレジットカード事業及びファイナンシャルカウンター事業、保険事業、金融商品仲介等を行っております。

⑥ 建装業

 連結子会社の髙島屋スペースクリエイツ㈱が、内装工事の受注・施工を行っております。

⑦ その他

 高島屋(食料品PB運営部)、連結子会社の㈱グッドリブ等の子会社4社及び関連会社1社は、主にグループ各社へ商品の供給を行っております。

 連結子会社の㈱アール・ティー・コーポレーションが、飲食業を行っております。

 連結子会社の㈱エー・ティ・エーが、広告宣伝業を行っております。

 高島屋(クロスメディア事業部)、連結子会社の㈱センチュリーアンドカンパニー、㈱髙島屋ファシリティーズ、㈱セレクトスクエアは、通信販売業その他を行っております。

 

 グループ事業系統図は次のとおりであります。

 

 

 


有価証券報告書(2024年2月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

髙島屋グループ(以下、高島屋)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において高島屋が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 高島屋は、2031年の創業200年を超えてグループが目指す姿を「こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム」と定めました。その実現に向けた「あるべきグループ像」を、従業員からも意見を募ったうえで、「髙島屋グループ グランドデザイン」として策定いたしました。共通の価値観として社内に浸透を図り、あるべき姿の具現化に向けた具体的な課題解決へとつなげてまいります。

 2031年に向けた最初の3年間である2024~26年度について、最終年度に連結営業利益575億円の達成を目標とする「中期経営計画(3カ年)」を作成しました。その実現に向けて、百貨店事業では「短期的な需要の回復期」から「持続可能な成長期」への転換が必要であり、店別の中期計画へ落とし込み、店舗ごとの「まちづくり」を通じた魅力化を推進してまいります。その他事業においても「業界での強みを活かした事業ポートフォリオの明確化」と「外部収益拡大」をテーマとした各社別の中期計画を策定しており、成長戦略として確実に実行してまいります。

 

 

 投資に関しては、百貨店各店は特選ゾーンなどの品揃え強化・特徴化につながるものや、施設の環境改善などエンゲージメントの向上につながるものに必要な投資を行ってまいります。グループ各社については、主に東神開発㈱でベトナムでの複合開発や、国内の非商業事業拡大・新拠点開発等の成長事業への投資を積極的に推進し、グループ計で3カ年累計で約2,080億円の投資を見込んでおります。

 2023年度、高島屋は中期経営計画(2021~2023年度)の最終年度にあたり、コロナ禍からの回復段階から持続的成長と飛躍に向けた経営の土台作りのための極めて重要な一年と位置づけ、「百貨店の営業力強化」「人的資本経営の推進」「グループ会社の業界競争力獲得」「グループESG戦略の深化」に取り組んでまいりました。

 これらの取り組みや、個人消費の緩やかな回復、インバウンド需要の拡大などの消費環境のもと、2023年度の連結業績は増収増益となり、当年度を最終年度とする中期経営計画の目標値も大きく上回りました。経常利益をはじめとし、各利益ともに最高益を更新しております。

 次年度は、高島屋の成長が外部環境による追い風を受けた一時的なものに留まるか、持続的な成長軌道に乗れるかの分かれ目の年です。前述の「グランドデザイン」や新たな中期経営計画(2024~2026年度)の初年度として、一つ一つの課題を着実に解決しつつ持続的成長を果たしていくために、以下3つの経営課題に取り組んでまいります。

 なお、ESGを価値提供の基盤とすることは変わりありません。事業活動を通じて社会課題の解決に貢献し、高島屋を含めた全てのステークホルダーがメリットや利益を分かち合える仕組みを作り上げることで、持続可能なビジネスを推進してまいります。

[経営目標]

「グループの『持続的成長』実現策の着実な実行」

   ~グランドデザイン実現に向けた確かな進化~

 

[主要な経営課題]

① ESG経営の推進

② 人材の確保・育成・活躍推進

③ まちづくりの推進

 

 

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

2026年度(中期経営計画の最終年度)の連結経営目標は以下の通りです。

〇営業利益             575億円 ( 2023年度比      + 116億円)

〇自己資本比率            42.1% (    同        + 6.4% )

〇ROE              8.0% (    同        + 0.7% )

○ROIC(投下資本利益率)     6.2% (    同        + 0.7% )

 

また2024年度の連結経営目標は以下の通りです。

〇総額営業収益              9,980億円 ( 2023年度比      + 458億円)

○総額営業収益販売管理費比率      24.5% (    同       + 0.1% )

〇営業利益             500億円 (    同        +  41億円)

〇自己資本比率            38.1% (    同        + 2.4% )

〇ROE(当期純利益/自己資本)   7.3% (    同        + 0.0% )

〇EBITDA総資産比率       5.8% (    同        + 0.2% )

〇純有利子負債EBITDA倍率    1.5倍 (    同        △ 0.2倍 )

○ROIC(投下資本利益率)     5.9% (    同        + 0.4% )

 

 

(3)経営環境及び対処すべき課題

日本経済は、本年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、17年ぶりに金利を引き上げるなど、長らく続いたデフレから、物価と賃金が上昇する好循環への転換が進みつつあります。高島屋では、この機を捉えて、将来を見据えた成長投資を着実に実行し、円安や株高、インバウンドなどの外部環境の変化に左右されない本質的な営業力の強化、強靭な経営基盤の構築に向けて取り組みを進めてまいります。

高島屋では、2031年に創業200周年を迎えます。更にその先も、社会に必要とされ存在意義を発揮し続け、持続的成長を果たしていくために高島屋がどうあるべきかについて、一年以上にわたりグループ全体で議論を重ねてまいりました。その中で、高島屋が目指す姿を「お客様・従業員・株主・地域社会など、全てのステークホルダーの『こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム 』」と定めました。お客様にとっては高島屋ならではの商品やサービスの提供を通じて感動体験が得られる場、従業員にとっては労働条件・環境の改善により意欲と能力を高め、働きたいと思える場など、ステークホルダーそれぞれの生活を豊かにするために欠かすことのできない存在としてあり続けることです。

その実現に向け新たな中期経営計画(2024~2026年度)を策定し、初年度は外部環境の変化に左右されない『持続的成長』実現策を着実に実行していく重要な一年と位置づけています。経営課題としては、「ESG経営の推進」、「人材の確保・育成・活躍推進」、「まちづくりの推進」を設定いたしました。

また、高島屋が成長し続けるためには、有形・無形の経営資源の将来価値を見極めた上で、より成長を見込める事業分野への資源再配分を迅速に行っていくことが必要です。そのため、経営資源の効果性を見極める基準として、投下資本に対する利益率を表す「ROIC」をグループ共通で採用し、事業別に資本コストを上回るROICを設定、マネジメントしていくことで、経営の効率性を高めてまいります。

 

□ESG経営の推進

 

価値提供の基盤となるESG経営におきましては、事業活動を通じて、社会課題の解決に貢献していくことは、社会の一員である企業としての責務であり、全てのステークホルダーがメリットや利益を共に分かち合える仕組みを作りあげなければ、持続可能なビジネスを行うことはできません。

高島屋ESG経営の象徴的な取り組みである「TSUNAGU ACTION」におきましては、更なる認知度向上や、社会課題解決と事業成長の両立に向けて全社レベルで強化してまいります。美しい地球と豊かな自然を守り、未来をつなぐ「地球環境」、日本・地域の伝統や文化を受け継ぎ、発展させる「地域社会」、すべての人の自由と平等、笑顔を守り、寄り添う「すべての人に」、という3つのテーマを設定し、企画数を拡充すると共に、通年で展開いたします。更に数値目標を設定し、PDCAサイクルで運営していくことにより、企業価値向上や利益に直結する取り組みにしてまいります。具体的に「地域社会」のテーマでは、本年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」の復興支援を目的に文化の紹介や特産品の販売などの企画を検討しております。

ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)&インクルージョン(包摂性)の観点からは、コンプライアンスを前提にSDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、全ての人々の人権や価値観を尊重し、人種、年齢、性的指向・性自認、障がいの有無等に関係なく全員が活躍できる仕組みづくりに主体的に取り組んでまいります。また、消費者に身近な企業として、あらゆるお客様が楽しく時間を過ごし、お買物をしていただけるような施設環境や商品・サービスの整備・開発にも積極的に取り組んでまいります。

さらに、地球環境保全の観点からは、大規模な商業施設運営をはじめとする高島屋の事業活動が環境に与える影響が大きいことから、再生可能エネルギーの導入拡大など、循環型社会の実現に貢献してまいります。

なお、ESG経営のガバナンス・戦略・リスク管理とリスクに対する取り組み・指標と目標については、「2「サステナビリティに関する考え方及び取組」 (1)高島屋のESG経営」に記載しています。

 

□人材の確保・育成・活躍推進

高島屋は、経営理念に「いつも、人から。」を掲げ、これまでも「人」を大切にする経営を実行してまいりました。人材不足が深刻な社会課題となりつつある中、高島屋の持続的成長に向けては、人材の確保・育成・活躍推進など、人的資本経営の考え方に基づく人材への積極的な投資を行っていくことも最優先の課題です。

高島屋は、百貨店を核とした商業施設展開を主要事業とするビジネスモデルであり、営業力強化に向けては「百貨店の販売力を支える人材の確保・育成」が不可欠です。その実現に向け、店頭・営業現場において、お客様の潜在的なニーズまで読み取り、提案を行うことができる「販売のプロ」の育成を進めてまいります。

また、多様なグループ会社を有する高島屋では、人とノウハウの持続可能性や競争力の確保に向けて「各業務における専門性強化」が重要です。マーケティングや仕入を担う人材、また、金融事業の専門人材やデジタル人材など各業務におけるスペシャリスト育成に向けた取り組みを推進してまいります。

さらに、翌年のグループ商業施設の正月営業について、1月1日の元日に加え、新たに1月2日も原則休業日とする方針といたしました。高島屋のブランド価値を高めるために、従業員一人ひとりが誇りとやりがいを持ちながら長く働くことができる環境整備を進めることも重要です。高島屋が目指す将来の姿を共有し、前向きな職場風土を醸成することでエンゲージメント向上につなげてまいります。

 

□まちづくりの推進

 

高島屋は、グループ総合戦略として「まちづくり」を掲げ、高島屋が目指す姿を実現していくための事業戦略の根幹の考え方には「グループの全員が主役のまちづくりを通じた価値提供」を据えております。

まちづくりは二つの考え方から成り立っております。一つ目は、「街のアンカーとしての役割発揮」、具体的には、人々が集うエリアを大きな「まち」としてとらえ、高島屋が中心的存在となって、地域社会や行政と連携して賑わいを創出し、まちの魅力を高めることです。二つ目は、「館の魅力最大化」、具体的には、館そのものを「まち」ととらえ、そのまちの魅力を最大化させるため、商業開発や金融、飲食、ECなど、グループ各事業のノウハウを結集し、お客様満足を追求した高島屋ならではの商業施設づくりを推進することです。つまり、高島屋が考えるまちづくりは不動産開発だけを意味するものではありません。グループで提供するあらゆる商品・サービス・空間が全て「まちづくり」の一環ということです。

これら二つの考えに基づき「まちづくり」を具現化していくためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくことが必要不可欠です。今後、人口減少に伴う国内マーケットの縮小や人手不足は避けられない状況の中、デジタル技術は加速度的に進化しており、企業の業務運営や人々の生活に大きな影響を与えています。そこで本年から社長をトップとする全社横断のDX推進プロジェクトを立ち上げ、デジタル技術を活用した業務変革に取り組んでまいります。既存の業務の流れを分析し、最適化したうえで、業務をデジタル化して生産性の向上を図り、これにより生み出した経営資源を営業力強化に振り向けていきます。また、営業や販売へのデジタル技術の活用方法についても検討を行い、お客様の新しい買物体験や利便性の向上につなげていくことで「まちづくり」を更に推進してまいります。

 

事業のセグメント別取り組みは、次のとおりであります。

なお、高島屋は、新たな中期経営計画の初年度(2024年度)より、事業ポートフォリオの最適化、事業別の投資効率、収益性などを明確にするROIC経営を更に推進するために、報告セグメントを変更いたします。

具体的には、「百貨店業」に含まれておりました国内、海外百貨店を「国内百貨店業」、「海外百貨店業」に分割いたします。また、「商業開発業」に含まれておりました国内、海外商業開発を同じく「国内商業開発業」、「海外商業開発業」に分割いたします。加えて、「百貨店業」に含まれておりましたレストランや喫茶・カフェなどを出店、運営している株式会社アール・ティー・コーポレーションを「飲食業」として「その他の事業」に移行いたします。

 

<国内百貨店業>

国内百貨店業におきましては、これからもあらゆるお客様を対象として、多様なニーズに応える上質な商品やサービスの拡充、知的欲求に応える文化発信を推進することで、実店舗の強みを生かしたワンストップでの買物体験を提供いたします。具体的には、消費動向の変化を踏まえた新規ブランドの導入、百貨店ならではのアイテム平場や自主編集売場の再構築、新たなイベント開発など、成長に向けた投資は積極的に実施することで、店舗の魅力向上、売上高の増大につなげてまいります。

ECにおきましては、引き続きお客様のニーズに沿った展開ブランドの拡充やサイト、アプリの特徴化、利便性を高める取り組みを推進していきます。また、実店舗を持つ強みを生かし、店頭とECの相互送客により顧客接点を創出、新たなお客様の獲得、収益力の向上につなげてまいります。

さらに、正価品の売上高増大など商品利益率の改善に向けた取り組みや店舗運営体制の更なる効率化などコスト削減に向けた取り組みも同時に進め、利益拡大を図ってまいります。

 

<海外百貨店業>

海外百貨店業におきましては、各国の景気、消費動向を踏まえながら、適切に経営資源を投下し、地域ごとのお客様のニーズに応えてまいります。シンガポール髙島屋では、ファッション関連商品や食料品などの品揃えを強化し、国内顧客やツーリストの更なる取り込みを図ってまいります。上海高島屋では、景気低迷による消費減速リスクが顕在化する中、市場変化に対応した収益基盤の確立に継続して取り組んでまいります。また、ホーチミン髙島屋では、商品カテゴリー・ブランドの再編や催、イベントの強化により店舗の集客力を高めると共に、売上高の増大につなげていきます。また、ベトナムを有望な市場と位置づけ、更なる営業機会の拡大を図ってまいります。サイアム髙島屋では日本ブランドの品揃え強化を図り、収益力の向上につなげてまいります。

 

<国内商業開発業>

国内商業開発業におきましては、東神開発株式会社が段階的に改装を実施している「柏髙島屋ステーションモール」が、ニーズの高いテナントやコミュニティ機能を取り入れてリニューアルオープンいたします。引き続き、地域に根ざした魅力的なSCを実現することでリアル施設ならではの体験価値の向上と新たなお客様層の開拓を進めてまいります。

 

<海外商業開発業>

海外商業開発業におきましては、シンガポールでの実績やベトナム・ホーチミンでの成功を足掛かりに、ハノイでの開発を段階的に進めております。住宅・オフィス・商業の複合開発事業など、ベトナムでは将来的に大きなリターンを見込んでいます。今後もベトナム開発には集中的に投資を行い、シンガポールに次ぐ第2の収益の柱として、持続的な成長につなげてまいります。

 

<金融業>

金融業におきましては、髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ株式会社の収益の柱であるカード事業で既存のカードに合わせて、新たに発行したビジネスカードの新規会員の獲得強化と利用促進を図ってまいります。ライフパートナー事業におきましては、顧客接点の拡大を通じ、収益力向上を目指してまいります。また、M&Aやアライアンスも視野に入れ、事業拡大や新しい領域の開拓を進めてまいります。本年3月には不動産投資やアセットマネジメントを展開する株式会社Fantaと新たに提携いたしました。今後は両社でヘルスケア施設を対象とした投資法人創設を目指して協業し、収益拡大を図ると共に、高齢化時代における社会課題解決にも貢献してまいります。

 

<建装業>

建装業の髙島屋スペースクリエイツ株式会社におきましては、専門人材の育成、補強により、更なる先行提案営業の強化を図り、ラグジュアリーブランドやホテルの受注増につなげてまいります。また、課題を残した原価管理など経営マネジメント体制を強化し、安定的な収益基盤の構築に努めてまいります。

 

<その他の事業>

飲食業の株式会社アール・ティー・コーポレーションにおきましては、今秋、セントラルキッチンの新拠点が始動いたします。既存拠点と併せて活用することで製造加工・調達物流の効率化を図ると共に、独自性のある商品開発を推進してまいります。また、「鼎泰豐」や日本国内での店舗運営の独占契約を有する「リナストアズ」など、日本マーケットで支持されるための品質・サービスの改善を図ることで、取り扱いブランドの魅力向上につなげてまいります。

通信販売業のクロスメディア事業におきましては、品揃え強化、編集力向上を図り、カタログ紙面の魅力を高め、既存のお客様の満足を高めると共に、店舗と連携したお客様づくりを推進し、収益基盤の拡大につなげてまいります。

また、広告宣伝業の株式会社エー・ティ・エーにおきましては、デジタル領域の専門性強化、人材派遣業の株式会社センチュリーアンドカンパニーにおきましては、百貨店で培ったクオリティの高い業務運営力を生かした受注拡大など、グループ各社におきましては、成長に向けた取り組みを進めてまいります。

 

(4)資本政策の基本的な方針

<基本的な考え方>

高島屋は、将来の事業リスクへの備えおよび持続的な成長投資に向けた資金調達のため、自己資本拡充と有利子負債の縮減により財務健全性を高めていきます。

主要な経営指標(KPI)として、ROIC(投下資本利益率)、EBITDA、自己資本比率、DOE(株主資本配当率)、TSR(株主総利回り)を設定しております。ROICにつきましては、資本コストを意識した経営の実現に向け、事業別にWACC(加重平均資本コスト)を想定し、それを上回るROIC目標を設定のうえ、事業ごとに投資に対するリターンを意識した経営を実践します。2023年度末時点のWACCは、4.6%であり、持続的に5%を上回る水準の達成を目指します。EBITDAについては、財務安定性の観点から、純有利子負債EBITDA倍率、現金創出力の観点から、総資産対EBITDA比率を設定しております。

各経営指標については、決算説明会資料(※)で開示しております。

※ https://www.takashimaya.co.jp/corp/ir/tanshin/

 

<キャッシュアロケーションの想定>

高島屋では、営業活動によるキャッシュ・フロー(営業CF)に占める、持続的成長に向けた設備投資への配分が約80%から90%と想定されます。その内訳は、商業開発を中心にした国内外成長投資に約70%、店舗の安全安心投資、ESG・人的資本投資に約30%です。

また、財務健全性の観点については、2027年度導入が予定されているリース会計を見越した有利子負債圧縮に向けた支出が営業CFの3%から5%想定されます。

株主還元へは、営業CFの7%から10%を想定します。

 

<株主還元>

配当は、純資産増加をベースとした累進配当に加え、EBITDA又は営業CF比率を考慮します。業績が好調に推移するなど、フリーキャッシュ・フローが想定以上に改善した場合は、投資額の増加、さらなる有利子負債圧縮、追加の株主還元から総合的に判断します。

 

 

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、高島屋が判断したものであります。また、以下の記載は、高島屋の事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意ください。

なお、以下に記載したリスクのうち、新たな成長領域への事業拡大に関する法令違反や情報漏洩、お客様が損失を被るような事故等により、レピュテーションが低下するリスクは全ての項目において常に内在しています。高島屋は「コンプライアンスの徹底」を何よりも優先すべく、経営トップが強い意志を持って、グループ全体のリスクマネジメント体制の強化、内部統制システムの充実、取締役会の機能強化に取り組んでまいります。

 

(1)外部環境に起因するリスク

  主に、主業である百貨店業の外部環境を想定しております。

①社会構造の変化による国内人口の減少と地方都市空洞化

<リスクと機会> ・・・影響度=大

リスク

*少子高齢化、地方都市空洞化に伴うマーケットの縮小

*労働人口の減少に伴う必要人材の確保難

機 会

*リスキルによる人材有効活用の促進

 

<対応策>

抗えないこれらの外部環境変化に対応するため、百貨店においてはお客様の興味・関心に即した売場の再編、エシカルな消費行動に対応した独自商品の販売を強化し、魅力ある品揃えの実現に努めてまいります。また多様化するニーズに対応した販売の仕組みづくりや、単なる商品販売に止まらず、金融サービスや介護サービスなどライフタイムバリュー(LTV)全般の向上に寄与する商品提供による来店動機・機会の向上に努めてまいります。更に、実店舗に頼らないECの訴求力向上、百貨店のないエリアへの通販カタログ配布などを通じて商圏の拡大およびお客様との接点の拡大を図ります。

また、街のアンカーとしての機能強化につながる拠点開発や異業種・外部企業とのアライアンスによって非商業分野も取り込んだ新たなコンテンツ開拓、各拠点における複合的な機能・サービス・空間としての魅力訴求による来店頻度の向上も積極的に推進してまいります。

一方、労働人口減少への対策としては、新卒にこだわらない採用活動、専門人材の登用、外国人労働者の受け入れを積極的に推進するほか、品揃え強化に向けたバイイング能力の向上、リスキルなど社内の人材育成にも努めてまいります。

 

②自然災害(地震・台風・洪水等)、戦争・テロ等

<リスクと機会> ・・・影響度=大

リスク

*店舗など営業用資産の損壊によるビジネス機会の逸失

*交通機関や通信網の破綻によるビジネス機会の逸失

*金融市場の混乱による資金調達への悪影響

機 会

*地域の安心・安全に向けた取り組みへの貢献

 

<対応策>

高島屋は関西・関東隔たりなく拠点を展開しており、大規模かつ広域にわたる甚大な災害が起きた場合でも、関西・関東のいずれかに危機管理対策本部を速やかに設置し、情報連携および指示命令系統を損なわない体制を整えております。また被災店舗への救援体制の整備、重要データ消失を防ぐクラウド化の推進、事業を最低限継続できる各種インフラや備品の整備など、BCP対策の徹底を図っております。

主要都市に拠点を持つ企業として求められる社会的使命を果たす観点から、大規模災害時に帰宅困難者を受け入れるスペースを店舗施設内に予め確保するほか、生活関連物資を中心とした店頭商品の拠出ができるよう、あらかじめ仕入先と取り決めておくなど、直ちに被災者救援活動を行う体制を整えております。

また、戦争・テロ等に関しましては、世界的規模で各種市場が混乱し、適正な価格形成が果たせず、予期せぬ損失が発生する可能性があります。金融市場に及んだ場合には、高島屋が通常求める条件での資金調達ができないリスクが考えられます。現時点で必要な資金は確保しておりますが、将来におけるリスクシナリオを想定し、多様な資金調達手段により十分な手元流動性を確保してまいります。

 

 

 

 

 

③新たなパンデミックの発生

<リスクと機会> ・・・影響度=特に大

リスク

*店舗の休業・営業時間の短縮によるビジネス機会の逸失

*消費マインドの低下および来店頻度の減少

機 会

*新たな社会環境や消費行動に対応した事業展開

*アセットの多角化、経営資源の有効活用によるグループ事業の成長

 

<対応策>

コロナ禍の経験と反省を踏まえ、このようなパンデミック影響の極小化に向けて事業ポートフォリオを見直し、経営の更なる安定化を図ります。百貨店の事業基盤を一層強化すると共に、商業開発業、金融業などの成長領域事業の積極拡大を進めてまいります。

また、リアル店舗の魅力向上と合わせて、ECなどの無店舗販売チャネルの強化拡大、デジタル技術を活用したリモート接客システムの導入など非接触型販売の仕組みを積極的に導入してまいります。

 

(2)グループ経営におけるリスク

 

①事業活動における人権問題の発生

<リスクと機会> ・・・影響度=特に大

リスク

*接客時や媒体表現における差別的対応(国籍・ジェンダー等)によるレピュ

 テーション低下

*プライバシー保護に関する不備によるレピュテーション低下

*サプライチェーン上における人権問題(不当労働、差別等)に起因するレピ

 ュテーション低下、不買運動などによる損失の発生

機 会

*人権を尊重する経営の実践によるステークホルダーからの信頼獲得と髙島屋

 ファンの増大

 

<対応策>

高島屋は、1831年の創業以来、商いの行動規範である「店是(てんぜ)」において、「顧客の待遇を平等にし、いやしくも貧富貴賤(ひんぷきせん)に依りて差等を附すべからず」を掲げるなど、人権を尊重する創業の精神を受け継いできました。

この「店是」の精神を起点に、人権の尊重を従業員一人ひとりに浸透、徹底させてまいります。

人権を尊重する経営については社長を委員長とする「髙島屋グループCSR委員会」においてグループ横断的な進捗確認と対応を推進していきます。

また、取引先やビジネスパートナーに対しても、高島屋の人権尊重に対する考えや姿勢を理解・支持して頂き、事業活動を通じた社会課題に向け、協働して取り組んでいくことを積極的に働きかけていきます。

サプライチェーン上の人権リスクの防止・是正に向けては、国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューデリジェンスの仕組みを構築してまいります。

 

②ESG経営への取り組みの遅れ

<リスクと機会> ・・・影響度=特に大

リスク

*ステークホルダーからの信用喪失

*グループ収益の根幹となるブランド価値の毀損

*法令違反によるレピュテーションの低下、営業損失

機 会

*高島屋の社会的評価、存在意義の確立

 

<対応策>

高島屋のESG戦略においては、環境・社会・ガバナンスそれぞれの面において、ステークホルダーに対して高島屋ならではの価値を提供することで共感を獲得し、社会課題解決と事業成長を両立しつつ、最終的には全ての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現を目指しております。

ESG経営を確実に推進していくために、グループの視点での方針管理、進捗管理を充実するための「グループ環境・社会貢献部会」を設置し、より一体的でかつ実効性が発揮できる体制を整えております。

そのうえで、環境面の主な取り組み内容としては、省エネ対策や再生エネルギー転換などによる脱炭素化推進、「環境負荷軽減とデザイン性・機能性」を両立する商品開発や、多様性を尊重する(インクルーシブ化)商品提案や施設・サービスなど、高島屋ならではの価値提供を通じて、新たな文化を創造し、次代のトレンドをけん引する主体的な役割を高島屋が果たしていきます。

社会面におきましては、人権尊重に基づく雇用関係確立、国籍や人種・宗教、LGBTQ+などに係わらない平等な賃金、教育機会、福利厚生の提供など、多様な価値観を受け入れる基本指針の策定と、その浸透に向けた意識の醸成を推進してまいります。

ガバナンス面では、取締役会が果たすべき責務・役割が発揮できているか、機能発揮のための適切な体制整備や取締役会運営ができているかという視点で、年1回、全取締役・監査役対象のアンケートと、その結果に基づく社外取締役・監査役への個別ヒアリングを通して取締役会の実効性評価を行っております。更に、評価結果から得られた改善点に対しては速やかに次年度取締役会に反映するなどPDCAサイクルを徹底し、取締役会の実効性向上に努めてまいります。

また高島屋では社長を委員長とする「髙島屋グループCSR委員会」を設置し、コンプライアンス経営の徹底に加えて内部統制の状況や新しい社会課題に対するCSR領域への取り組み状況等をグループ横断的に検証し強化する体制を整えております。また、不正行為等の通報を匿名でも受け付ける窓口「髙島屋グループ・コンプライアンス・ホットライン」「ハラスメント・ホットライン」「就労相談窓口」「法務相談窓口」を設置し、通報者に不利益が及ばないことを確保しつつより多くの内部通報を受け付けて自浄作用を高める仕組みを整えております。国内、海外問わず事業拡大に応じて増えつつある子会社・孫会社などグループ全体に行きわたるモニタリングと三線ディフェンスの一層強化に努めてまいります。

 

③デジタルトランスフォーメーションへの対応の遅れ

<リスクと機会> ・・・影響度=大

リスク

*新たなニーズの掘り起こしと新たな顧客層開拓への支障

*グループコスト構造への悪影響

*情報漏洩事故

*ITシステム維持コストの増大

機 会

*着実なデジタルトランスフォーメーションの推進による事業効率の向上

*新たな情報発信手法による顧客ターゲットへの確実な訴求

 

<対応策>

デジタルトランスフォーメーションの着実な推進と効果の最大化に向け、グループ従業員および各組織のITリテラシーの向上を図ってまいります。そのうえで、デジタル技術を活用したオンライン予約システムやリモート接客などお客様の新しいニーズへの対応策を展開してまいります。コスト構造改革の観点からはデジタル技術を活用した販売手続き・業務手続きの簡素化を進めて業務の効率化と要員の最適化を図ってまいります。情報セキュリティーの観点からは、セキュリティーポリシーを随時見直し、それに基づく厳格なシステム運用を行っていきます。また、経営計画と連動し、IT関連の長期投資計画、予算の適正化に努めてITシステム維持コストの抑制に努めてまいります。

 

④成長事業に関するリスク

a.EC事業拡大戦略の遅れ

<リスクと機会> ・・・影響度=大

リスク

*実店舗依存型ビジネスモデルからの脱却の遅れ

*物流費などをはじめとする高コスト構造改善の遅れ

機 会

*新しい生活様式、消費行動に順応した事業展開

 

<対応策>

ECの売上高と強固な収益基盤の確立を早期に達成するため、単なる営業施策としての取り組みではなく、社長直轄の推進プロジェクトを構築、全社・グループ横断的な検討を強力に推進してまいります。このプロジェクトを通じて、EC専業の事業者にはできない、百貨店ならではの魅力ある商品・独自商品の訴求とサービスの提供、実店舗とオンラインの垣根をなくして相乗効果を図るOMO(Online Merges with Offline)による他社との差別化を図ります。

2024年4月の労働基準法改正(自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制)に伴う物流コストの上昇も見据え、EC出荷倉庫を準備し、配送スキームの効率化とコスト削減により収益基盤の確立に努めてまいります。

 

b.金融業拡大戦略の遅れ

<リスクと機会> ・・・影響度=大

リスク

*グループ事業拡大の遅れ

機 会

*新たな顧客層の開拓

 

<対応策>

金融業がグループ全体の盤石な顧客基盤形成に寄与するよう、百貨店売場や外商との連携をより一層緊密化した新たなサービスの開発、コンサルティングの強化、商品メニューの充実により、継続的に顧客満足度の向上に取り組んでまいります。

また、金融事業拡大を加速するため、資産運用事業会社とのアライアンスを通じた投資・アセットマネジメント事業への参入も進めてまいります。

c.海外事業の展開におけるリスク

<リスクと機会> ・・・影響度=大

リスク

*突発的な政治・経済情勢の変化や為替変動に伴う資産価値の変動と
投資回収の遅れ

*現地採用従業員の文化・宗教等の違いからくるガバナンス破綻

機 会

*カントリーリスクを踏まえた展開による盤石な事業基盤の確立と

 海外における事業拡大

 

<対応策>

高島屋においては、経営における迅速な判断・軌道修正を可能とするため、現地法人を設立して当該法人にイニシアチブを持たせています。その上で、グループ本社とはリモート会議等によるタイムリーな情報共有や、自主点検シートを活用した経営状況のチェックなど、三線ディフェンスの強化によるグローバルガバナンスの徹底を図ってまいります。また、現地従業員との人権尊重に基づく雇用関係確立、国籍や人種・宗教・LGBTQ+などに係わらない平等な賃金・教育機会・福利厚生を提供してまいります。そのうえで、現地従業員の幹部登用も視野に入れた能力開発を積極的に進め、同じ高島屋の一員としての共通目標、意識の共有を図ってまいります。

 

⑤サプライチェーンの破綻

<リスクと機会> ・・・影響度=大

リスク

*取引先の倒産や事業終了による百貨店の商品調達への支障、品揃えの

 魅力度低下

*テナントの賃料支払能力低下による賃貸収入の減少

*売場レイアウト破綻による売場空間の魅力低下

機 会

*取引先との強固な関係構築による品揃えの魅力度向上と安定的な利益確保

サプライチェーン上における人権問題(不当労働、差別等)に起因するレピュテーション低下、不買運動などによる損失の発生リスクに関しては「(2)-①事業活動における人権問題の発生」において記載しております。

 

<対応策>

高島屋は、生産・製造・流通過程における一連の取引において、法令順守はもとより、幅広い視点でCSRに基づいた取引を推進し、共存共栄を図るための「髙島屋 取引指針」を策定し運用を続けております。

これまでの指針は、商品の仕入取引先を対象としたものでしたが、2024年1月、様々な取引関係を有するお取引先とのパートナーシップのもと事業活動を推進していくために「髙島屋グループ 取引指針」として改訂を行いました。

新しい「髙島屋グループ 取引指針」は、「人権の尊重」の視点を新たに加え、法令順守、持続可能なサプライチェーンの構築などを事業活動において重視すべき項目に掲げています。この指針に則り、主要なお取引先と目標を共有し協働でそれを達成するための具体策推進、新たなお取引先開拓による品揃えの鮮度維持向上、川上企業との直接取引拡大による商品調達力の向上を図ってまいります。

国内商業開発業・海外商業開発業においては、専門店テナントとの共同販促活動を一層強化推進するほか、経営状態が厳しいテナントに対しては、敷金からの一時的な家賃への充当、当面の家賃支払猶予など資金支援を行い、共存共栄を原則とした取り組みに努めてまいります。




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

Copyright (c) 2014 かぶれん. All Rights Reserved. プライバシーポリシー