高島屋(8233)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3【事業の内容】 高島屋グループは2026年2月28日現在、高島屋と子会社47社及び関連会社18社で構成され、国内百貨店業、海外百貨店業を主要業務として、国内商業開発業、海外商業開発業、金融業及び建装業等を営んでおります。 高島屋グループが営んでいる主な事業内容と位置づけは、次のとおりであります。 ① 国内百貨店業 高島屋、連結子会社の㈱岡山髙島屋等の子会社4社及び関連会社3社で構成し、商品の供給、商品券等の共通取扱を行っております。② 海外百貨店業 連結子会社のタカシマヤ シンガポールLTD.等の子会社5社で構成し、商品の供給等を行っております。③ 国内商業開発業 連結子会社の東神開発㈱等の子会社4社及び関連会社3社で構成し、百貨店とのシナジー効果を発揮する商業開発及び資産・施設の管理運営を行っております。④ 海外商業開発業 連結子会社であるトーシン ディベロップメント シンガポールPTE.LTD.等の子会社19社及び関連会社10社で構成し、住宅・オフィス・商業の複合開発事業や、学校不動産賃貸事業を行っております。⑤ 金融業 連結子会社の髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ㈱等の子会社3社と関連会社1社で構成し、クレジットカード事業及びファイナンシャルカウンター事業、保険事業、金融商品仲介等を行っております。⑥ 建装業 連結子会社の髙島屋スペースクリエイツ㈱等の子会社2社が、内装工事の受注・施工を行っております。⑦ その他 高島屋(食料品PB運営部)、連結子会社の㈱グッドリブ等の子会社4社及び関連会社1社は、主にグループ各社へ商品の供給を行っております。 連結子会社の㈱アール・ティー・コーポレーションが、飲食業を行っております。 連結子会社の㈱エー・ティ・エー等の子会社2社が、広告宣伝業を行っております。 高島屋(クロスメディア事業部)、連結子会社の㈱センチュリーアンドカンパニー、㈱髙島屋ファシリティーズ、㈱セレクトスクエアは、通信販売業その他を行っております。 グループ事業系統図は次のとおりであります。
有価証券報告書(2026年2月決算)の情報です。
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】髙島屋グループ(以下、高島屋)の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において高島屋が判断したものであります。 (1)経営方針2025年度は経営目標に「自立と共創のうねりによる成長加速」を掲げ、創業200年にあたる2031年に高島屋がめざす姿である「グランドデザイン」の実現に向けて重要な「グループのシームレス化」を本格的に始動いたしました。玉川髙島屋S.C.の食料品フロアでは、百貨店と専門店の垣根を越え、商品・サービスのシームレスな提供実現に向け、2026年1月より段階的に改装工事を開始しております。2026年度の経営環境につきましては、物価上昇の継続による国内消費動向の不透明性に加え、為替動向や地政学的リスクを主要因としてインバウンド需要の変動性が高まるなど、百貨店事業を中心に不確実性がより増している状況であります。加えて、労働人口の減少や原油価格の高騰を背景に、人件費や物流費をはじめとする営業費の上昇が利益を下押ししております。持続的成長の実現に向けては、高島屋ならではの新しいコンテンツやサービスの導入・開発等を通じたお客様体験価値の向上、国内・海外双方での顧客基盤の強化・連携に加え、ROICを軸として資本コストを意識した経営をさらに進めていくことが重要であると認識しております。2026年度は、2024年度に掲げた3か年の中期経営計画の最終年度であります。グランドデザインの実現に向けた基礎固めをやり抜き、上記の経営環境リスクを抑制しながら2027年度以降の成長・投資回収フェーズへと着実につなげていくことが重要と認識しております。これを受け、2026年度の経営目標・経営課題を次のとおり定めております。 [経営目標]グループ総合力発揮による中期経営計画の必達―グランドデザイン実現に向けて、基礎固めをやり抜く― [主要な経営課題]① グループのシームレス化によるまちづくり戦略の強靭化② 仕事変革…組織風土改革とデジタル活用③ 経営基盤強化(ESG経営・人的資本経営) 中期経営計画で定めた主要3課題(まちづくり・ESG経営・人的資本経営)につきましては、計画通りに推進できているかその進捗を精査し、必要な修正を適宜行ったうえで計画完遂をめざしてまいります。特に、高島屋ならではのまちづくりにつきましては、百貨店を核に専門店ともシームレスに掛け合わせるなどグループの総力を挙げて多様な来店動機を生み出す「次世代型SC」、重点的に投資を行っているベトナム開発をはじめとした「海外事業」、新たなお客様接点であり生涯価値(LTV)最大化の鍵となる「金融事業」、これら3領域を成長の柱として強力に推進してまいります。(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等 2026年度の連結経営目標は以下のとおりです。 なお、総額営業収益については、収益認識に関する会計基準等を適用前の従来基準で算出しております。〇総額営業収益 10,550億円 ( 2025年度比 + 227億円)〇総額営業収益販売管理費比率 23.8% ( 同 ± 0.0% )〇営業利益 575億円 ( 同 + 39億円)〇自己資本比率 33.9% ( 同 + 0.5% )〇ROE(当期純利益/自己資本) 8.3% ( 同 +10.1% )〇総資産対EBITDA比率 6.0% ( 同 + 0.3% )〇純有利子負債EBITDA倍率 3.0倍 ( 同 + 0.3倍 )〇ROIC(投下資本利益率) 5.5% ( 同 △ 0.2% ) (3)経営環境及び対処すべき課題現中期経営計画(2024~2026年度)の最終年度である2026年度は、掲げた目標をやり抜く重要な1年として、経営課題を「グループのシームレス化によるまちづくり戦略の強靭化」「仕事変革(組織風土改革とデジタル活用)」「経営基盤強化(ESG経営・人的資本経営)」と定めております。 □グループのシームレス化によるまちづくり戦略の強靭化現中期経営計画では、「次世代型SCへの転換」「海外事業(ベトナム)」「金融事業」を新たな成長の柱と位置付け、集中的な投資を進めております。2031年度に掲げる「各領域で事業利益100億円規模を創出する」という目標を確実なものとするためには、「グループのシームレス化」が不可欠です。次年度は、「シームレス化」で実現すべき内容のロードマップを具体的に策定し、取組のスピードアップを図ってまいります。 《次世代型SC》 ~各拠点での転換推進と、核となる百貨店の営業力強化~グループ総合戦略である「まちづくり」を具現化する象徴的な取組が、グループ一体で創り上げる「次世代型SC」です。新たなコンテンツの導入や多様な来店動機の創出に加え、地域・お客様・お取引先の参画を得ながら、「百貨店核の強み」をいかして百貨店と専門店の価値を掛け合わせ、SC全体としての魅力向上を図ってまいります。次世代型SCへの転換を通じ、高島屋が目指す「こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム」への進化を加速してまいります。次世代型SCにおいて中核となる百貨店は、「外部環境に左右されない営業力」の獲得に向けた取組を一段と強化してまいります。商品政策では、価値観や消費行動の変化を捉えた「ヒト軸」のマーケティングを推進し、お客様ニーズを起点とした新たなモノ・コトの創出を通じて、より高い体験価値を提供してまいります。顧客政策においては、デジタルを活用した商品提案や、グループの総合力をいかした金融サービスの提案など、顧客特性に応じたパーソナルな施策を推進し、お客様一人ひとりの高島屋に対するロイヤルティ向上を図ってまいります。 《海外事業》 ~市場環境に即した戦略の遂行と、人材育成強化~海外事業においては、重点投資を進めるベトナム開発を中心に、各拠点の市場動向を踏まえた成長戦略を着実に遂行すると共に、海外統括機能や支援体制など、事業成長を支える基盤整備をグループ全体で強化してまいります。また、ローカル人材の登用や国を越えた人材交流を進め、将来を見据えた人材育成にも取り組んでまいります。 《金融事業》 ~グループ全体で推進する金融事業強化~金融サービスを重要な品揃えの一つとして位置付け、金融事業を推進するための体制を整備してまいります。グループ全体で具体化を進めることで、お客様の豊かな暮らしに寄り添い、生涯価値(LTV)の最大化を図ると共に、新たなお客様との接点を広げてまいります。 □仕事変革 ~組織風土改革とデジタル活用~不透明な経営環境の中では、個人と組織が能動的かつ迅速に行動しなければ、社会やお客様ニーズの変化に対応できません。高島屋で働くすべての人の働きがいやエンゲージメントを高めることが重要であり、そのために、誰もが働きやすい職場環境の整備と、新たなチャレンジを後押しする風土の醸成に取り組んでまいります。また、労働人口が減少し、人手不足が深刻化する中、業務のDⅩ化は喫緊の課題となっています。DX・AI活用を通じて、定型業務の自動化による時間創出を図ると共に、デジタルを活用した高付加価値な商品・サービスを提供し、お客様満足度の向上を目指してまいります。 □経営基盤強化 ~ESG経営・人的資本経営~ESG経営は、課題解決だけでなく、ESGリスクの低減を通じて企業の持続可能性を高める段階へ移行しています。経営戦略として、国際基準に沿ったグループサステナビリティ戦略を策定、推進すべく、ESG推進室の機能強化を目的とし、名称を「サステナビリティ推進室」に変更いたしました。環境・社会課題に伴うコスト上昇を吸収しつつ、収益力を高め、価値創造を継続するため、経営戦略と一体となった取組を加速してまいります。ESG営業政策については、「TSUNAGU ACTION」を軸に、社会的価値と経済的価値を同時に創造する経営戦略(CSV)に基づく取組を強化し、サステナブルな収益の増大を目指してまいります。また、本年2月には、国内中小企業が有する伝統や技術を守り、文化・歴史を未来へとつなぐことを目的として、「百年のれんプロジェクト」を発足いたしました。本プロジェクトでは、資金需要やブランド価値の維持・向上(販路拡大に向けた戦略策定、事業の継続性確保等)に関する支援ニーズを有する企業を対象として、協業先との連携のもと、「百年のれん投資戦略」の具体化に向けた検討を進めてまいります。これらの取組を通じ、日本の将来を支える持続的なプラットフォームの構築を図ると共に、地域社会及び地域経済の活性化に資するESG経営の推進に取り組んでまいります。AI全盛期を迎えつつある現在においても、持続的成長の原動力は「人」の力であることは変わりません。人材の質がサービスやブランド価値に直結するため、高度なスキル・経験が求められます。海外事業においても、多言語・多文化対応力やマーチャンダイジング力など、幅広い能力が求められます。これらを担う人材の確保・育成とエンゲージメント向上につなげる人的資本経営は、重要な課題です。一人当たりの生産性の向上を前提とした労働分配率の引き上げや職場環境の改善など、「人」への積極的な投資は、今後も継続的に実施してまいります。 事業のセグメント別の取組は、次のとおりであります。 <国内百貨店業>商品政策においては、引き続き、高島屋の強みの一つである東西大型5店を軸に、「魅力ある品揃え」の実現に向けた取組を推進してまいります。さらに、高島屋ならではの「アイテム平場」「自主編集売場」、「EC」の継続強化や、新たなモノ・コト開発を通じ、お客様満足度の向上を目指してまいります。また、商品利益率においても、重点お取引先との連携を通じ、利益率の高い衣料品・雑貨を中心としたファッション領域の強化を図ることにより、商品利益率の改善につなげてまいります。顧客政策においては、外商顧客への営業体制の強化を通じて、金融などの新たなサービスを提供することにより、既存顧客の満足度向上と次世代顧客の獲得を図ってまいります。また、優良な海外店舗を有する強みをいかし、海外顧客の基盤確立とロイヤルカスタマー化に向けた取組を推進してまいります。さらに、着実に会員数が増加しているタカシマヤアプリについても、あらゆるお客様との重要な顧客接点ツールとしての魅力を高めてまいります。なお、本年8月3日をもって現在の形での営業を終了する洛西店につきましては、これまでご利用いただいているお客様に、引き続き京都店を中心にご愛顧いただける体制を整えてまいります。 <海外百貨店業>シンガポール髙島屋におきましては、経営環境が不透明な中、ファッション関連商品や食料品など品揃えの再強化に加え、顧客政策を推進することで、国内顧客やツーリストの維持・拡大を図ってまいります。上海高島屋におきましては、景気低迷による消費減速が長期化する状況の中、お客様ニーズに基づいたテナントの導入など、収益基盤の安定化に継続して取り組んでまいります。開店10周年を迎えるホーチミン髙島屋におきましては、商品カテゴリー・ブランドの再編や催・イベントの強化により店舗の集客力を高め、更なる売上高の増大を目指してまいります。サイアム髙島屋におきましては、化粧品売場のリニューアルに続き、ラグジュアリーゾーンの段階的な拡大を進めており、改装による集客力の向上及び売上高の増大など、効果の最大化を図ってまいります。 <国内商業開発業>東神開発株式会社におきましては、2027年度のグランドオープンを目指し、「玉川髙島屋S.C.」のリニューアルプロジェクトが始動しております。「京都髙島屋S.C.」「柏髙島屋ステーションモール」「流山おおたかの森S.C.」など、その他の施設においても、SC全体としての魅力向上を図ってまいります。 <海外商業開発業>成長ドライバーと位置付けるベトナム事業におきましては、ハノイでの住宅・オフィス・商業の複合開発事業に加え、今後、ホーチミンのサイゴンセンターにおける増床計画が本格化してまいります。2016年の開業以来、成長を続けているサイゴンセンターは更なる進化を遂げ、1993年に開業し国際的にも高く評価されている「シンガポール髙島屋S.C.」に並ぶASEAN第2の拠点へと成長させてまいります。また、資本効率向上の観点から、長期的に資産を保有し持続的な成長を実現する基幹事業と、短期回収型事業への参画を組み合わせ、資産規模も適切にコントロールしてまいります。 <金融業>持続的成長に向け、カード事業、ライフパートナー事業、投融資事業の3事業それぞれの施策を充実させることで、個人の資産管理から法人の資金需要までカバーする「髙島屋のステークホルダーにとっての総合金融プラットフォーム」の構築を目指してまいります。 <建装業>髙島屋スペースクリエイツ株式会社におきましては、主力であるホテル・ラグジュアリー市場が引き続き活況となる見込みの一方、内装業全体では人材不足が深刻化していることから、多様な人材を確保する「人的資本経営」を推進してまいります。また、昨年開設したベトナム子会社につきましては、本格的に営業を開始することで、日本クオリティーの内装需要を確実に捉え、持続的な成長につなげてまいります。 <その他の事業>飲食業の株式会社アール・ティー・コーポレーション、人材派遣業の株式会社センチュリーアンドカンパニー、広告宣伝業の株式会社エー・ティ・エーなど、その他の事業におきましても、各業界における競争力を高めることで、安定的な収益基盤の構築につなげてまいります。 高島屋は、資本コストを意識したROIC経営を推進しています。セグメント別及びグループ会社別、百貨店各店舗別のROICに加え、次世代型SCへの転換を進める中で、「拠点別」(百貨店・専門店)ROICも経営指標として採用しています。それぞれの事業特性や地域特性を踏まえた「ROICツリー」を策定し、現場の一人ひとりがROIC向上に向けた具体的な行動を実践できる仕組みの構築や、風土の醸成にも取り組んでいます。現中期経営計画は、投資が先行するフェーズと位置付けており、2027年度以降は、これらの投資の成果を着実に収益として回収するフェーズへ移行する見通しです。ROIC経営の実効性を一層高めることで、持続的な利益成長及び資本効率の向上を図ってまいります。また、市場との対話は引き続き強化してまいります。市場評価とのギャップの極小化に向け、持続的な利益成長への期待感を高めていくと共に、機動的な資本政策及び株主還元策を志向してまいります。 高島屋は、本年5月開催予定の第160回定時株主総会における承認を条件として、「監査役会設置会社」から「監査等委員会設置会社」へ移行する予定です。グループ経営の多角化・高度化が進展する中、権限委任を通じた意思決定の更なる迅速化、取締役会における戦略的議論の充実及び監督機能の一層の強化を図ることで、グループ総合戦略である「まちづくり」の下、高島屋独自の価値提供に向けた取組を加速してまいります。 (4)資本政策の基本的な方針<基本的な考え方>高島屋は、将来の事業リスクに備え、財務健全性を担保しつつ、適切な財務レバレッジの活用を進めています。主要な経営指標(KPI)として、ROIC、EBITDA、自己資本比率、DOE(株主資本配当率)、TSR(株主総利回り)を設定しております。特に資本コストを意識した経営の実現に向けた取組として、ROIC経営を推進しております。2025年度のROICは5.7%とWACC4.8%を上回りました。今後も、百貨店各店を含む各事業体で特性を踏まえたROICツリーを活用、現場一人ひとりが意識し行動できる仕組みを構築してまいります。EBITDAについては、財務安定性の観点から、純有利子負債EBITDA倍率、現金創出力の観点から、総資産対EBITDA比率を設定しております。 各経営指標については、決算説明会資料(※)で開示しております。※ https://www.takashimaya.co.jp/corp/ir/tanshin/ 高島屋は、企業価値向上をめざし、一株当たり利益(EPS)の増加に加え、市場との対話の充実により株価収益率(PER)を高めてまいります。また、EBITDAを意識した経営の推進により、国内外の各事業における現金創出力が高まっていることを踏まえ、資金配分の適正化など資金効率を向上させる取組を推進してまいります。さらに、安定的、持続的な利益成長に資する資産は自ら保有する「持つ経営」を基本方針とする中、機動的な経営判断のもと、ROICや現金創出力を更に向上させるサイクルを構築することで、資産効率も高めていきます。 <株主還元>配当は、純資産増加をベースとした累進配当に加え、各種経営指標を考慮しています。業績が好調に推移し想定以上のフリーキャッシュフローが創出された場合には、人的資本・ESG投資を含む追加の成長投資、及び株主還元等、マルチステークホルダーへのバランスを重視した利益配分の観点から、資金使途を機動的かつ総合的に判断します。
事業等のリスク
3【事業等のリスク】社長を委員長とする「グループリスクマネジメント委員会」は、高島屋グループの横断的なリスク管理体制の構築に努めるとともに、経営環境の変化に伴う新たなリスクに適切に対応できるよう、常に管理体制を見直し、強化しております。また、リスクが事業に与える影響度や発生頻度・可能性を検証し、リスクマップを作成、重要なリスクの選定と対策の策定を実施しております。加えて、サステナビリティを巡る課題への対応が、リスクの減少、ひいては収益機会の拡大や企業価値向上に繋がるという認識のもと、「グループサステナビリティ委員会」においてグループESG経営に積極的に取り組んでおります。 ■リスク管理体制■リスクマップ有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、高島屋が判断したものであります。また、以下の記載は、高島屋の事業等のリスクをすべて網羅することを意図したものではないことにご留意ください。また、以下に記載したリスクのうち、新たな成長領域への事業拡大に関する法令違反や情報漏洩、お客様が損失を被るような事故等により、レピュテーションが低下するリスクは全ての項目において常に内在しています。高島屋は「コンプライアンスの徹底」を何よりも優先すべく、経営トップが強い意志を持って、グループ全体のリスクマネジメント体制の強化、内部統制システムの充実、取締役会の機能強化に取り組んでまいります。(1)経営戦略リスク ①ESG経営への取組遅れのリスク<リスクと機会> ・・・影響度=特に大リスク*ステークホルダーからの信用喪失*グループ収益の根幹となるブランド価値の毀損*法令違反によるレピュテーションの低下、営業損失機 会*高島屋グループの持続的成長*新たなマーケットの獲得*高島屋グループの社会的評価向上 <対応策>高島屋のESG戦略においては、環境・社会・ガバナンスそれぞれの面において、ステークホルダーに対して高島屋ならではの価値を提供することで共感を獲得し、社会課題解決と事業成長を両立しつつ、最終的には全ての人々が21世紀の豊かさを実感できる社会の実現を目指しております。ESG経営を確実に推進していくために、グループの視点での方針管理、進捗管理を充実するための「グループ環境・社会貢献部会」を設置し、より一体的でかつ実効性が発揮できる体制を整えております。持続可能な社会の実現に向け、環境負荷軽減や多様性を尊重する(インクルーシブ化)商品やサービスの提供を通じ、お客様やお取引先と共に取り組む高島屋のサステナブル活動「TSUNAGU ACTION」をはじめ、環境面においては、再生可能エネルギー転換や省エネ対策などによる脱炭素化推進や、廃棄物の削減・リサイクルの推進を全社で推進しています。社会面におきましては、人権尊重に基づく事業活動、国籍や人種・宗教、LGBTQ+などに係わらないDE&Iの推進、教育機会、福利厚生の提供など、多様な価値観を受け入れる基本指針の策定と、その浸透に向けた意識の醸成を推進してまいります。ガバナンス面では、取締役会が果たすべき責務・役割が発揮できているか、機能発揮のための適切な体制整備や取締役会運営ができているかという視点で、年1回、全取締役・監査役対象のアンケートと、その結果に基づく社外取締役・監査役への個別ヒアリングを通して取締役会の実効性評価を行っております。更に、評価結果から得られた改善点に対しては速やかに次年度取締役会に反映するなどPDCAサイクルを徹底し、取締役会の実効性向上に努めてまいります。また高島屋では社長を委員長とする「グループサステナビリティ委員会」を設置し、コンプライアンス経営の徹底に加えて内部統制の状況や新しい社会課題に対するCSR領域への取組状況等をグループ横断的に検証し強化する体制を整えております。また、不正行為等の通報を匿名でも受け付ける窓口「髙島屋グループ・コンプライアンス・ホットライン」「ハラスメント・ホットライン」「就労相談窓口」「法務相談窓口」を設置し、通報者に不利益が及ばないことを確保しつつ、より多くの内部通報を受け付けて自浄作用を高める仕組みを整えております。国内、海外問わず事業拡大に応じて増えつつある子会社・孫会社などグループ全体に行きわたるモニタリングと三線ディフェンスの一層強化に努めてまいります。 ②海外事業展開におけるリスク<リスクと機会> ・・・影響度=大リスク*突発的な政治・経済情勢の変化や為替変動に伴う資産価値の変動と投資回収の遅れ*現地法律や規制変更への未対応、現地採用従業員の文化・宗教等の違いからくるガバナンス破綻機 会*カントリーリスクを踏まえた展開による盤石な事業基盤の確立と海外におけ る事業拡大 <対応策>高島屋においては、経営における迅速な判断・軌道修正を可能とするため、現地法人を設立して当該法人にイニシアチブを持たせています。その上で、グループ本社とはリモート会議等によるタイムリーな情報共有や、自主点検シートを活用した経営状況のチェックなど、三線ディフェンスの強化によるグローバルガバナンスの徹底を図ってまいります。また、高島屋が注力しているアジア事業のリスクマネジメント体制の強化へ向け、アジア統括駐在員事務所をベトナム・ホーチミンに開設し、現地の専門コンサルタントと協働しています。更に、現地従業員との人権尊重に基づく雇用関係確立、国籍や人種・宗教・LGBTQ+などに係わらない平等な賃金・教育機会・福利厚生を提供してまいります。そのうえで、現地従業員の幹部登用も視野に入れた能力開発を積極的に進め、同じ高島屋の一員としての共通目標、意識の共有を図ってまいります。 (2)事業環境リスク①社会構造の変化による国内人口の減少に伴うリスク<リスクと機会> ・・・影響度=大リスク*少子高齢化、若年層の百貨店離れなど消費行動の変化に伴うマーケット縮小*労働人口の減少に伴う事業戦略に基づいた必要人材の確保難機 会*リスキリングによる人材有効活用の促進 <対応策>抗えないこれらの外部環境変化に対応するため、百貨店においてはお客様の興味・関心に即した売場の再編、エシカルな消費行動に対応した独自商品の販売を強化し、魅力ある品揃えの実現に努めてまいります。また多様化するニーズに対応した販売の仕組みづくりや、単なる商品販売に止まらず、金融サービスなどライフタイムバリュー(LTV)全般の向上に寄与する商品提供による来店動機・機会の向上に努めてまいります。更に、実店舗に頼らないECの訴求力向上、百貨店のないエリアへの通販カタログ配布などを通じて商圏の拡大及びお客様との接点の拡大を図ります。また、街のアンカーとしての機能強化につながる拠点開発や異業種・外部企業とのアライアンスによって非商業分野も取り込んだ新たなコンテンツ開拓を通じ、百貨店を核とするSCを中心事業とし、生活を彩るさまざまなモノを提供することはもちろん、記憶に残るコト、大切な人と過ごすトキといった「体験価値」も包含し、ワンストップで提供することで幅広い世代のお客様の支持を獲得してまいります。一方、労働人口減少への対策としては、新卒にこだわらない採用活動、専門人材の登用、外国人労働者の受け入れを積極的に推進するほか、品揃え強化に向けたバイイング能力の向上、リスキルなど社内の人材育成にも努めています。定年後の処遇も改善し、最長70歳までの再雇用延長制度のもとベテラン社員が高いスキルやノウハウを発揮して活躍し続ける仕組みを導入しています。様々な就労ニーズに応えるコース別の雇用管理と、柔軟な働き方が選択できる勤務制度を採用し、多くのベテラン社員が活躍しています。 ②自然災害(地震・台風・洪水等)のリスク<リスクと機会> ・・・影響度=大リスク*店舗など営業用資産の損壊によるビジネス機会の逸失*交通機関や通信網の破綻によるビジネス機会の逸失機 会*安全・安心に向けた取組を通じた、社会インフラとしての地域への貢献 <対応策>高島屋は関西・関東隔たりなく拠点を展開しており、大規模かつ広域にわたる甚大な災害が起きた場合でも、関西・関東のいずれかに危機管理対策本部を速やかに設置し、情報連携及び指示命令系統を損なわない体制を整えております。また被災店舗への救援体制の整備、重要データ消失を防ぐクラウド化の推進、事業を最低限継続できる各種インフラや備品の整備など、BCP対策の徹底を図っております。 主要都市に拠点を持つ企業として求められる社会的使命を果たす観点から、大規模災害時に帰宅困難者を受け入れるスペースを店舗施設内に予め確保するほか、生活関連物資を中心とした店頭商品の拠出ができるよう、あらかじめ仕入先と取り決めておくなど、直ちに被災者救援活動を行う体制を整えております。また、行政と連携しながら、地域の防災拠点としての機能を果たすべく取組を進めております。 ③戦争・地政学・世界経済減退のリスク<リスクと機会> ・・・影響度=大リスク*物流や人流が制限されることによる商品調達や売上機会への影響*海外拠点・事業における方針変更の可能性*金融市場の混乱による資金調達への悪影響*政情不安等に起因する経済混乱が引き起こす消費マインドの低下機 会*新規マーケット、お取引先、調達ルートの開拓*企業活動における有事の際のレジリエンス向上*国産商品の需要拡大戦争・地政学上の混乱発生時に想定される、サイバー攻撃に起因するリスクに関しては、「(3)-①サイバー攻撃によるシステム障害・情報漏洩発生リスク」において記載しております。 <対応策>アメリカによるイラン攻撃、ロシアによるウクライナ侵攻や米中二国間関係の悪化による台湾有事リスクなど、国際情勢は日々変化を続けています。高島屋のサプライチェーンは多国間にわたることから、世界規模の混乱は商品調達や適正な価格形成、事業活動のためのエネルギーコストに大きな影響を与えます。予期せぬ損失の発生可能性を回避するため、国内取引先の開拓、調達先の切り替えや、遅延リスクを見越した発注・展開計画策定などに取り組んでおります。また、高島屋が成長のドライバーと位置付ける海外事業においても、現地従業員の安全対策やBCP計画の策定とともに、利益影響の試算を実施しながら随時戦略の見直しを図ります。市場の混乱が金融領域に及んだ場合には、高島屋が通常求める条件での資金調達ができないリスクが考えられます。現時点で必要な資金は確保しておりますが、将来におけるリスクシナリオを想定し、多様な資金調達手段により十分な手元流動性を確保してまいります。また、アメリカとイランの軍事衝突による原油価格高騰により、消費需要の減退リスクが高まっております。社会・経済状況の変化次第では、更なる売上減少リスクが増大することも想定されるため、状況に応じた抜本的なリスク削減策を実施してまいります。 ④新たなパンデミックの発生リスク<リスクと機会> ・・・影響度=特に大リスク*店舗の休業・営業時間の短縮によるビジネス機会の逸失*消費行動の変化及び来店頻度の減少機 会*新たな社会環境や消費行動に対応した事業展開*アセットの多角化、経営資源の有効活用によるグループ事業の成長 <対応策>コロナ禍の経験と反省を踏まえ、このようなパンデミック影響の極小化に向けて事業ポートフォリオを見直し、経営の更なる安定化を図ります。百貨店の事業基盤を一層強化すると共に、商業開発業、金融業などの成長領域事業の積極拡大を進めてまいります。また、リアル店舗の魅力向上と合わせて、ECなどの無店舗販売チャネルの強化拡大、デジタル技術を活用したリモート接客システムの導入など非接触型販売の仕組みを積極的に導入してまいります。 ⑤サプライチェーンの破綻リスク<リスクと機会> ・・・影響度=大リスク*お取引先の倒産や事業終了による百貨店の商品調達への支障、品揃えの魅力度低下*テナントの賃料支払能力低下による賃貸収入の減少*生産・物流・販売段階における人材不足による営業活動への影響機 会*お取引先との強固な関係構築による品揃えの魅力度向上と安定的な利益確保サプライチェーン上における人権問題(不当労働、差別等)に起因するレピュテーション低下、不買運動などによる損失の発生リスクに関しては「(4)-①事業活動における人権問題発生リスク」において記載しております。 <対応策>高島屋は、事業活動における一連の取引において、法令順守はもとより、環境保全や人権などに配慮し、公平・公正な取引を推進するために「髙島屋グループ取引指針」を策定しております。「髙島屋グループ取引指針」では、「人権の尊重」の視点に加え、法令順守、持続可能なサプライチェーンの構築などを事業活動において重視すべき項目に掲げています。この指針に則り、主要なお取引先と目標を共有・協働し、新たなお取引先開拓による安定した商品調達やОМОによる在庫の効率化、ドライバー・車両不足へ対応した配送スキームの検討など、様々な面でお取引先とともにサプライチェーン全般に及ぶリスクの低減へ向けた取組を推進しております。国内商業開発業・海外商業開発業においては、専門店テナントとの共同販促活動を一層強化推進するほか、経営状態が厳しいテナントに対しては、敷金からの一時的な家賃への充当、当面の家賃支払猶予など資金支援を行い、共存共栄を原則とした取組に努めてまいります。 (3)情報セキュリティリスク①サイバー攻撃によるシステム障害・情報漏洩発生リスク<リスクと機会> ・・・影響度=特に大リスク*外部からの不正アクセスによる改ざんや破壊によるシステム障害がもたらす 営業機会の逸失*個人情報等、機微な情報漏洩による社会的信用の失墜機 会*サイバーレジリエンスの向上*顧客からの信頼や社会的信用の向上 <対応策>高島屋は、情報管理規則に基づき、事業活動を通じて得るあらゆる情報の取り扱いについて、その特性に応じた組織機能により適正に管理しております。また、各職場・職能に応じた適切なデジタルスキルの取得へ向けた教育機会も設けております。サイバー攻撃の脅威・要防御範囲が増す中では、適切なセキュリティマネジメントがなされなければ、ステークホルダーからの信頼失墜、ひいては企業の存続にも関わりかねないリスクを発生させかねません。今や情報管理の範囲は従来のクローズド環境からSaaSアプリやインターネット上のサービスを含む外部へ拡大しており、自社のセキュリティの仕組みだけでなく、外部サービス事業者を含めた網羅的な対策が必要と認識しております。米国立標準技術研究所(NIST)のサイバーセキュリティフレームワークと高島屋の情報セキュリティ基本方針に基づき、「識別」「防御」「検知」「対応」「復旧」の各レベルで必要な防御策を講じるとともに、侵害に備えた対応を実施するべくロードマップを敷いて取組を進めております。同時に、システム利用不可のシナリオを想定し、業務継続方法を確立するなど被害発生時のレジリエンス強化にも取り組んでおります。 (4)社会的リスク①事業活動における人権問題発生リスク<リスクと機会> ・・・影響度=特に大リスク*接客時や媒体表現における差別的対応(国籍・ジェンダー等)によるレピュテーション低下*就業上のカスタマーハラスメントやハラスメントへの対策不足によるエンゲージメントの低下*サプライチェーン上における人権問題(ハラスメント、不当労働、差別等)に起因するレピュテーション低下、不買運動などによる損失発生機 会*人権を尊重する経営の実践によるステークホルダーからの信頼獲得と髙島屋ファンの増大 <対応策>高島屋は、1831年の創業以来、商いの行動規範である「店是(てんぜ)」において、「顧客の待遇を平等にし、いやしくも貧富貴賤(ひんぷきせん)に依りて差等を附すべからず」を掲げるなど、人権を尊重する創業の精神を受け継いできました。この「店是」の精神を起点に、人権の尊重を変えることのない基本的価値観として全従業員に共有しています。人権を尊重する経営については、社長を委員長とする「髙島屋グループサステナビリティ委員会」においてグループ横断的な進捗確認と対応を推進していきます。また、お取引先やビジネスパートナーと協働し、サプライチェーン全体の直接的な人権侵害だけでなく、間接的に負の影響を助長・関与する人権侵害リスクの防止・是正に努めていくことを、「人権コミットメント」として制定し、社内外に公表しております。サプライチェーン上の人権リスクの防止・是正に向けては、国連人権理事会で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく人権デューデリジェンスに取り組んでおり、グループの事業領域ごとの人権リスクを洗い出し、課題を特定しています。人権リスクを防止・軽減するため、管理監督者を対象としたコンプライアンス研修のテーマに「ビジネスと人権」を取り上げ、仕入れ担当者に対してはサプライチェーン上における人権リスク課題などについての教育を実施しました。また、事業活動における一連の取引を公平・公正に推進するため新たに策定した「髙島屋グループ取引指針」について、お取引先にも同意・協力を依頼するとともに、お取引先アンケートを通じて各社の状況を確認しております。高島屋はお取引先と公平で良好なパートナーシップを築きながら、より良い取引を継続的に推進し、共存共栄を図ってまいります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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