三井住友トラストグループ(8309)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて
3 【事業の内容】三井住友トラストグループ(以下、「当グループ」という。)は、持株会社である三井住友トラストグループの下、銀行、資産運用・資産管理、不動産業務関連など様々なグループ会社を有しており、これらが統一されたグループ経営戦略に基づき、中核となる三井住友信託銀行株式会社を中心に、多様な事業を行っております。三井住友トラストグループ及び三井住友トラストグループの関係会社は、三井住友トラストグループ、連結子会社57社及び持分法適用関連会社31社で構成されております。三井住友トラストグループ及び三井住友トラストグループの関係会社の事業に係る位置付け及び報告セグメントとの関係は次のとおりであり、主要な関係会社を記載しております。事業の区分は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。また、三井住友トラストグループは特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。 2026年3月31日現在(注)○は連結子会社、△は持分法適用関連会社であります。
有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1) 会社の経営の基本方針①当グループの原点日本では明治時代以降に信託制度が導入され、1922年には「信託法」、「信託業法」が制定されました。これらにより、信託制度が確立され、本格的な発展期を迎えることとなりました。1924年には「信託業法」に基づく日本最初の信託会社として三井信託株式会社が設立されております。1925年には住友信託株式会社が設立され、1962年には中央信託銀行株式会社が設立されております。これら信託会社・信託銀行が当グループの中核子会社たる三井住友信託銀行株式会社の母体となっており、「信託」が当グループの原点となっております。当グループは、「信託」の受託者精神に立脚し、「信託」の力で各時代におけるお客さまのニーズや社会の要請に応じて、新たな価値創出に「挑戦」し、日本の発展に貢献する「開拓」の姿勢を、創業以来貫いてまいりました。例えば、戦後の高度成長期には、重厚長大産業向けの設備投資資金ニーズに応える「貸付信託」を中心に、日本の経済成長を支えてきました。1960年代からは、企業年金の制度設計・資産運用・資産管理を三位一体で提供する「年金信託」の受託者として、勤労者の充実した老後の生活を支援しております。2000年以降は、「信託法」、「信託業法」の改正を契機に、時代に合った新たな商品・サービスの提供を通じて、社会課題に向き合っております。当グループはまさに「信託」を原点とし、「信託」とともにその歴史を歩んでおり、今後もさらなる飛躍に向けて歩みを進めてまいります。(三井住友信託銀行株式会社の主な変遷) (三井住友信託銀行株式会社の信託財産残高推移)(※)2012年3月期以前の信託財産残高については、三井住友信託銀行株式会社統合前の各社の信託財産残高を合算して算出しております。 ②当グループの基本方針当グループは、目指す企業グループ像を明確にするため、次のとおり存在意義(パーパス)、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)を定めております。 存在意義(パーパス) 託された未来をひらく~信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる~ 経営理念(ミッション) 全てのステークホルダーのWell-being向上に貢献してまいります。・高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。・信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立してまいります。・信託グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待に応えてまいります。・個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる職場を提供してまいります。 目指す姿(ビジョン) 当グループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行機能、資産運用・管理機能、不動産機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る信託グループとして、グローバルに飛躍してまいります。 行動規範(バリュー) 当グループの役職員は、パーパスを実践するため、以下の6つの行動規範を遵守してまいります。 お客さま本位の徹底 -信義誠実-私たちは、最善至高の信義誠実と信用を重んじ確実を旨とする精神をもって、お客さまの安心と満足のために行動してまいります。 社会への貢献 -奉仕開拓-私たちは、奉仕と創意工夫による開拓の精神をもって、社会に貢献してまいります。 組織能力の発揮 -信頼創造-私たちは、信託への熱意を共有する多様な人材の切磋琢磨と弛まぬ自己変革で、相互信頼と創造性にあふれる組織の力を発揮してまいります。 個の確立 -自助自律-私たちは、自助自律の精神と高い当事者意識をもって、責務を全うしてまいります。 法令等の厳格な遵守私たちは、あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、社会規範にもとることのない企業活動を推進してまいります。 反社会的勢力への毅然とした対応私たちは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して、毅然とした姿勢を貫いてまいります。 (2) 金融経済環境当連結会計年度の金融経済環境を概観しますと、海外では、米国経済は堅調に推移したものの、関税政策の影響などで雇用の減速が明確となりました。欧州経済は利下げや財政支出の拡大に支えられ、底堅く推移した一方、中国経済は不動産市場の低迷が長期化し、内需も低調な状況が続きました。国内経済は、実質賃金の減少基調や米国の関税引き上げの影響から、回復の力強さを欠く展開となりました。2026年3月には、中東情勢の悪化とホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けて原油価格が急騰し、世界的にスタグフレーションリスクが高まりました。金融市場では、10年国債利回りは、日本銀行の利上げ姿勢や財政悪化懸念、中東情勢を背景とした金利上昇圧力を受け、2026年3月末には2.3%台まで上昇しました。ドル円レートは、2025年9月までは概ね140円台で推移しましたが、10月以降は国内の拡張的な財政政策を受けて円安が進み、2026年3月には160円前後となりました。日経平均株価は、米国の関税政策を巡る不透明感が和らぐにつれて上昇基調を示し、2026年2月には50,000円台後半を付けたものの、中東情勢の悪化を契機に軟調な展開へと転じました。 (3) 事業の経過当グループは、「託された未来をひらく」というパーパスのもと、環境や社会の変化に応じた価値創出に取り組んできました。2025年度は、2023年度より開始した中期経営計画の総仕上げと新中期経営計画への橋渡しの期間として、以下2点を重点テーマとして掲げ、当グループの社会的使命である「資金・資産・資本の好循環」の実現に向けた取り組みに注力してまいりました。その結果、業績は堅調に推移し、金利上昇等の環境変化や株式市場の追い風も相まって、PBRや時価総額、純利益等の経営指標は、2030年のありたい姿(※1)として掲げる目標水準に概ね到達いたしました。 (2025年度経営計画の2つのテーマ)1.プライベートアセット戦略等の成長領域への注力2.ステークホルダーとの長期信任関係の構築 (※1)2030年のありたい姿: (定量)ROE:中長期10%以上、純利益:3,000億円以上、AUF:800兆円、PBR:早期に1倍以上(時価総額3兆円以上) (定性)①フィデューシャリーとしてステークホルダーから信頼される存在、②将来世代も包摂する全ての人のWell-being向上に 貢献、③資金・資産・資本の好循環を促す社会インフラ 1.プライベートアセット戦略等の成長領域への注力当グループでは、持続的な企業価値向上の実現に向け、好循環による利益成長を基軸として、適切な経費戦略と資本政策を一体的に推進してまいりました。重点テーマの一つであるプライベートアセット戦略については、インフラや再生可能エネルギー等のリアルアセット分野を中心とした事業者の長期資金ニーズと投資家の運用ニーズの双方に対して、直接ソリューションを提供することができる当グループの強みを活かした好循環の創出に注力してまいりました。三井住友信託銀行株式会社では、個人のお客さまの期待や投資選好に応える投資機会を提供するため、プライベートアセットを組み入れた実績配当型合同運用指定金銭信託や外国籍投資信託等の新たな投資商品の展開を進めております。また、機関投資家のお客さま向けには、国内のインフラ領域を専門に投資助言を行うジャパン・エクステンシブ・インフラストラクチャー株式会社において、国内総合型インフラファンドの第二号を組成いたしました。本ファンドには、金融法人に加え新たに企業年金基金にも参画いただき、国内のインフラ投資ファンドとしては最大級となる総額1,200億円の募集に向け、取り組みを加速させております。さらに、グローバルでの事業推進体制の強化に向け、これまでの出資・提携等に加え、三井住友信託銀行株式会社のプライベートアセット領域におけるゲートキーパー機能(※2)を分割し、三井住友トラスト・インベストメント株式会社へ統合いたしました。これにより、海外投資家を含む市場での認知向上を図るとともに、アジア最大級のプライベートアセット運用会社としての地位を確立してまいります。今後も、お客さまの多様な運用ニーズに応え、安定的かつ良質なリターンを提供できるよう、投資機会の拡大に加え、運用力及びポートフォリオ提案力の強化に取り組んでまいります。経費戦略においては、AIやITの活用を通じた業務効率化と社員の生産性向上を通じた中長期的なOHRの改善等に取り組んでおります。この取り組みの一環として、データの効率的活用を通じた、業務高度化を推進するため、当グループ独自のRAGプラットフォーム(※3)「Trust BRAiN」を導入いたしました。さらに、ビジネスニーズへの迅速な対応と、堅確かつレジリエンスに優れたITインフラの構築を図るべく、2026年4月に三井住友信託銀行株式会社と三井住友トラスト・システム&サービス株式会社を統合し、システム開発・運営体制の抜本的な見直しを実施いたしました。資本政策に関しては、政策保有株式の削減や事業売却等を通じた資本創出を進めるとともに、成長領域の強化に向けた戦略的な資本活用を推進しております。資本創出の面では、北米貨車リース事業の売却に加え、三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社の資本再編に向けた基本合意書を締結いたしました。(※4)一方、資本活用においては、三井住友信託銀行株式会社が住信SBIネット銀行株式会社(※5)の株式を追加取得し、同行の協働経営パートナーとなった株式会社NTTドコモとの間で資本業務提携を締結いたしました。本提携を通じて、株式会社NTTドコモが有する会員基盤やくらしの接点、住信SBIネット銀行株式会社のテクノロジーによる高い利便性に、信託銀行らしい高度な専門性を融合し、付加価値の高いサービス提供を実現することで、中長期的な成長基盤強化につなげてまいります。(※2)ゲートキーパー機能:主に、信託契約等に基づく運用業務の一環として、数多くの国内外ファンドから投資家にとって最適な商品を選定し、モニタリングやレポーティング等の機能を提供するもの(※3)RAG(Retrieval Augmented Generation)プラットフォーム:生成AIに社内データの検索機能を組み合わせ、業務に必要な情報を参照しながら回答や文章生成を行う仕組み(※4)三井住友トラスト・パナソニックファイナンス株式会社の経営の自由度を高め、事業領域の拡大を図るために、芙蓉総合リース株式会社及び株式会社横浜フィナンシャルグループとの共同事業化に向けた基本合意(※5)2026年8月3日、住信SBIネット銀行株式会社は株式会社ドコモSMTBネット銀行に商号変更します。 2.ステークホルダーとの長期信任関係の構築当グループは、信託会社を起源とする国内唯一の金融グループとして受託者精神に立脚し、お客さま・株主・社会・社員、さらには将来世代も含む全てのステークホルダーとの長期信任関係の構築を、経営の重点テーマとして位置付けております。信任関係の構築には、短期的な成果の追求のみならず、高い倫理観と自己規律に基づく経営、健全かつ実効性のあるガバナンス、そして信頼と期待に応え続ける企業姿勢が不可欠です。この考えのもと、持続的な成長と企業価値向上を実現していくため、ガバナンスとフィデューシャリーの更なる高度化に取り組んでまいりました。コーポレートガバナンス高度化については、経営の透明性と実効性を一層高めるため、2025年度において、取締役会における独立社外取締役比率の過半化(61.5%)及び女性取締役比率の向上(23.0%)を行い、監督機能の強化と多様な視点を活かした意思決定体制の構築を進めました。今後も専門性と多様性を高めつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指してまいります。また、お客さまの期待に応えるサービス品質及び利便性の向上に向けては、デジタル技術の活用と対面・非対面チャネルの融合を推進してまいりました。2025年5月には、HDI-Japanが実施する「クオリティ格付け」及び「Webサポート格付け」において、最高評価の「三つ星」を獲得いたしました。今後もお客さまとのコミュニケーションを一層深め、オンラインを含むサービスの拡充に注力し、長期にわたり安心してご利用いただける金融サービスを提供してまいります。人的資本強化においては、三井住友信託銀行株式会社の人事制度を刷新し、社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を後押しするとともに、自身の意思と専門性に基づく挑戦と成長を促す環境整備を進めております。また、コンプライアンスの面では、2024年10月に判明した、三井住友信託銀行株式会社の元社員によるインサイダー取引事案の再発防止策を着実に実行するとともに、社員一人ひとりの高い倫理観及びコンプライアンス遵守意識の一層の徹底を図りました。信頼回復に引き続き全力をあげて取り組んでまいります。株主還元については、利益成長に応じた累進的配当を継続しております。加えて、資本活用と資本効率向上とのバランスを踏まえた機動的な自己株式取得を実施いたしました。 (4) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題当グループを取り巻く経営環境は、金利ある世界への転換、インフレへの対応、人口動態や社会構造の変化に加え、AI技術の進展により、大きな転換期を迎えております。とりわけ国内社会構造の変化として、公共インフラの老朽化や脱炭素・GX(※6)の進展を背景とした中長期にわたる多額の投資需要が顕在化し、個人分野においては、人生100年時代を背景に、資産形成・管理・承継を通じた中長期的な意思決定の重要性が高まっております。こうした環境において、当グループは、事業者と投資家のお客さまが直面する複雑な課題に対し、「最適な選択肢の提示」と「意思決定の支援」を通じて、資金・資産・資本の好循環を力強く支える存在であり続けたいと考えております。信託が有する、能力や資産、時間を「転換」する本源的機能を軸に、2035年のありたい姿(※7)として、社会課題の解決と持続的な経済成長の両立を実現する「社会課題解決型ビジネスのリーディングカンパニー」を目指します。2026年度から開始する中期経営計画は、このありたい姿の実現を見据えた成長を加速させる3年間と位置付け、以下の3つの重点テーマに挑戦してまいります。(中期経営計画における重点テーマ)1.成長戦略~資産運用ビジネスを軸とした信託グループらしいビジネスモデル~2.資本戦略3.経営基盤高度化 (※6)GX(Green Transformation):カーボンニュートラルを目指した社会や経済システムの変革(※7)2035年のありたい姿(定量):業務純益:1兆円、ROTCE:16%(ROE:12%) <重点テーマ1>成長戦略~資産運用ビジネスを軸とした信託グループらしいビジネスモデル~当グループでは、資金・資産・資本の好循環を通じた持続的成長を実現するため、資産運用ビジネスを成長の中核領域と位置づけております。環境変化に伴い顕在化する低報酬化の流れを転換し、当グループならではの競争優位性の確立を目指します。長期・非流動性の資金ニーズと従来型の金融構造とのミスマッチといった課題に果敢に対応し、高付加価値な運用商品・サービスの提供、バランスシート変革による投資機会の創出、個人ビジネスの拡大を通じて成長を実現してまいります。ファンドラップ等の投資一任型サービスを通じ、グループ一体で多彩なポートフォリオを提供するとともに、アクティブ運用力の高度化や、質の高いプライベートアセットへの投資機会の拡充により、高付加価値な運用サービスの提供を強化してまいります。また、投融資の知見や目利き力を起点に当グループ自らのバランスシートを活用した投資機会の創出を進めるとともに、インフラや再生可能エネルギー等のリアルアセット分野を中心に、長期性資金を呼び込む「令和版産業金融」を推進いたします。これにより、持続可能な社会の実現に資する投資機会を当グループの成長につなげてまいります。加えて、三井住友信託銀行株式会社及び住信SBIネット銀行株式会社やUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント株式会社を含むグループ各社が、多様なチャネルとサービスを一体的に高度化することで、資産形成・管理の裾野を拡大するとともに、高度な資産運用から承継までを一貫して提供し、お客さまのファイナンシャル・ウェルビーイング(※8)の実現を支えてまいります。(※8)ファイナンシャル・ウェルビーイング:「安心して健やかに生きていくために、お金についての不安をとりのぞき、お金との健全な向き合い方ができている状態」を指す <重点テーマ2>資本戦略政策保有株式の削減を着実に進め、成長投資に充当可能な資本の創出を図るとともに、資産運用ビジネスを始めとする成長領域において、出資・提携や戦略的投資を機動的に行うことで、資本効率の向上と成長の加速を両立してまいります。資本創出の面では、2029年3月末の純資産対比時価20%未満の達成に向け、政策保有株式の売却ペースをさらに加速させてまいります。資本活用に向けては、先進の米国や成長著しいアジアなど、グローバルな資産運用領域を中心とした出資・提携等を加速いたします。アモーヴァ・アセットマネジメント株式会社では、高い経済成長率と継続的な人口増加が見込まれるマレーシアの大手資産運用会社AHAM Asset Management Berhadを連結子会社化し、シナジーの拡大を目指してまいります。また、株主還元においては、総還元性向は50%以上を目安とするとともに、1株あたり配当金は累進的としつつ、修正純利益(※9)の50%程度を目安に運営してまいります。成長投資と株主還元のバランスを踏まえた規律ある資本配分を通じ、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。(※9)修正純利益:親会社株主に帰属する当期純利益-政策保有株式に係る売却損益(税引き後) <重点テーマ3>経営基盤高度化お客さまの最善の利益を追求する受託者精神のもと、デジタル化が進む社会に適合した人材を価値創造の中核に据え、IT・DX基盤及び業務プロセスを一体で強化し、事業拡大や業務量の増大にも対応可能な信頼性と生産性の高い経営基盤を構築してまいります。社員一人ひとりがAIを駆使し、業務プロセス等を設計する「Human in the Design 」(※10)を前提とした人材育成・人材活用を強化することで、信頼性の高いオペレーションモデルの構築を推進いたします。また、人的資本投資の強化と新人事制度の定着・高度化を通じて、自律的なキャリア形成と役割・成果に基づく処遇を軸に、戦略領域への配置を進めるとともに、三井住友トラストグループが有する幅広い商品・機能を組み合わせて価値を創出する、高付加価値・高生産性の人材ポートフォリオへの転換を進めてまいります。(※10)Human in the Design :AIの活用にあたり、人が業務プロセスや判断の設計を担い、その結果に対して責任を持つことを前提とする考え方。想定と異なる結果が生じた場合には、人が設計を見直すことにより信頼性を確保する 当グループは、本中期経営計画を通じて、信託の力を進化させ、掲げた戦略を着実に遂行することで、次の成長を実現します。お客さま、社会、そして将来世代から託された未来をひらくことで、全てのステークホルダーのウェルビーイング向上に貢献してまいります。 なお、新たな中期経営計画の策定にあたり、社会構造の変化やステークホルダーからの期待を踏まえ、「持続可能な社会」「ファイナンシャル・ウェルビーイング」「受託者精神」「人的資本(専門性・多様性)」の4つを、パーパスに基づき取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として、改めて特定しました。これらのマテリアリティは、2035年のありたい姿の実現に向け、三井住友トラストグループが経営として重視する事項を整理したものであり、中期経営計画における各種戦略の起点となるものです。マテリアリティに基づいた信託グループらしいビジネスの推進を通じ、次の100年に向けた豊かな未来づくりに挑戦し続けてまいります。(マテリアリティの概要)マテリアリティ概要持続可能な社会資産や事業の潜在価値を引き出し、長期性資金を投資可能な形に転換することで、脱炭素の進展や社会インフラの高度化などの環境・社会課題の解決に資するインフラ、再生エネルギー等の分野に継続的に資金を循環させ、日本の中長期的成長を支えます。ファイナンシャル・ウェルビーイングお客さま一人ひとりの目的や価値観に寄り添い、最適な選択肢の提示と意思決定の支援を通じて、生涯にわたる資産形成・管理・承継を支えます。受託者精神当グループの全ての活動の基盤として、お客さまの最善の利益を追求し、安心して資産や想いを託していただける存在として、未来への期待に基づく信頼に応え続けます。人的資本(専門性・多様性)当グループの付加価値創出と生産性向上を担う基盤として、高い専門性と多様なバックグラウンドを有する人的資本の充実を図り、組織全体の価値創造力の高度化を図ります。 報告セグメントにおける主な事業内容は、以下のとおりであります。 (個人事業)お客さまのさまざまなニーズに対し、銀行・信託・不動産の機能を融合させた商品・サービスを、デジタルとリアル双方の強みを活かして提供しています。人生100年時代のファイナンシャル・ウェルビーイングの実現に向け、お客さまの人生に寄り添い、長期的な視点で資産形成から資産承継までを総合的にデザインすることで、資産をまもり、人生をはぐくみ、未来へつなぐサポートを行います。 (法人事業)各種ファイナンス、証券代行業務に加え、経営課題解決に向けたコンサルティングを通じて、お客さまの企業価値向上や社会における資金循環の創出に取り組んでいます。他事業やグループ会社・外部提携企業と連携した専門的かつ多彩なソリューションを提供し、経済的価値創出と社会的価値創出を両立することで、お客さまと社会の長期的な成長に貢献しています。 (投資家事業)多様な投資家のお客さまに対し、意思決定をサポートする高品質なコンサルティングを通じ、資産運用・資産管理サービスを提供しています。また、他事業やグループ会社等の多彩で専門性の高い機能と有機的に連携し、社会課題解決の中で生じる資金需要に着目した新たな価値ある投資機会を創出すること等を通じて、お客さまの経営課題や社会課題の解決に貢献しています。 (不動産事業)不動産仲介、開発・有効活用・建築・ESG等の各種コンサルティング、アセットマネジメント、不動産カストディ機能等を総合的に発揮することで、お客さまの課題解決に貢献しています。また、不動産の目利き力を駆使した投資機会の創出、フィデューシャリーに拘った堅確な事務を通じた安心・安全の提供により、社会インフラとして不動産市場の成長を力強く後押ししています。 (マーケット事業)外国為替・金利・デリバティブ等の商品・サービスの提供を通じてお客さまの多様な課題の解決に貢献しています。また、投資業務・ALM業務での市場変動リスクの適切なマネージなど、高度な知見と体制を強みに、安定性と収益性の両立に挑みながら、持続的な付加価値の創出に取り組んでいます。 (運用ビジネス)三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社とアモーヴァ・アセットマネジメント株式会社を中心に、グループ全体でアジア最大級となる資産運用残高を有しています。年金運用で培った質の高い運用ソリューションやグローバルネットワークを活用した多様な商品提供など、グループ各社が持つ多彩な運用機能の提供を通じて、お客さまの長期・継続的な資産運用に貢献しています。 (5) 目標とする経営指標当グループは、新中期経営計画期間(2026年度から2028年度まで)におけるKPIとして以下を設定しております。2035年のありたい姿の実現を目指し、中長期的に収益力と成長力の両立を図り、ROTCE16%(ROE12%)を安定的に確保するとともに、実質業務純益1兆円規模を視野に入れた事業規模の拡大に向けて、着実に歩んでまいります。 2025年度 (実績)2026年度 (予想)2028年度 (目標)2035年度まで (ありたい姿)ROTCE(自己資本ROE)9.9%(9.5%)11%台後半(10%台半ば)13%程度(11%程度)16%(12%)実質業務粗利益9,602億円10,900億円12,350億円-実質業務純益3,474億円4,200億円5,000億円1兆円親会社株主純利益3,175億円3,800億円4,100億円-普通株式等Tier1比率(バーゼルⅢ最終化完全実施ベース)10.3%安定的に10%以上安定的に10%以上安定的に10%以上手数料収益比率58.5%50%台半ば 50%台半ば60%経費率(OHR)63.8%60%程度60%未満50%台前半 (注)1.ROTCE(Return on Tangible Common Equity):普通株式に係る自己資本からのれん及び無形資産を控除した金額に対する、普通株式に係る親会社株主に帰属する当期純利益からのれん償却額等を控除した利益の比率。のれん及びM&A等により認識された無形資産を控除した自己資本(TCE)が生み出す収益力を示す指標であり、この比率が高いほど、実質的な自己資本を効率的に使って純利益を稼いでいることを示します。2.実質業務粗利益:三井住友トラストグループ及び連結子会社の業務粗利益に持分法適用会社の損益(臨時要因を除いた持分割合考慮後の金額)等を反映した社内管理ベースの計数。3.実質業務純益:経常利益から与信関係費用や株式等関係損益などの臨時的な要因の影響を控除したもので、実質的な銀行(及びグループ)の本業の収益を表す指標。4.普通株式等Tier1比率:資本金、資本剰余金及び利益剰余金など、自己資本の中でも中核的な資本に対するリスクの割合を表すもの。資本の十分性を示す規制指標であり、この比率が高いほど、リスクに対する備えが厚いことを示します。5.手数料収益比率:実質業務粗利益に対する各種手数料収益(受託財産に係る信託報酬や不動産仲介手数料、投資信託の販売手数料等)の比率。この比率が高いほど、当グループが注力する手数料ビジネスが粗利益の獲得に貢献していることを示します。6.経費率(OHR):実質業務粗利益に対する総経費の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が低いほど、経費を効率的に使って粗利益を稼いでいることを示します。
事業等のリスク
3 【事業等のリスク】当グループでは、フォワードルッキングな視点で、1年以内に当グループの事業執行能力や業績目標に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをトップリスク、中長期的に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをエマージングリスクとして、定期的に選定のうえ、リスクの状況をモニタリング、コントロールしながら、対応策を講じ、取締役会等への報告を行っております。以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当グループが判断したものです。 <トップリスク及びエマージングリスクの(リスク認識)の表記について>当グループでは、管理すべき重要なリスクについて、それぞれの「発生可能性」と「影響度」で評価したリスクマップを作成しております。当グループのリスク認識として、各トップリスク及びエマージングリスクのリスクマップにおける位置を色と番号で示しております。 (1) トップリスク及びエマージングリスクとリスク対応策イ.トップリスクとリスク対応策トップリスクの内容当グループにおける対応策①政策保有株式等の価格下落に関するリスク 当グループは、取引先との安定的・長期的な取引関係の構築、業務提携、又は協働ビジネス展開の円滑化及び強化等の観点から、取引先等の株式等を保有しております。「株式等の政策保有に関する方針」に基づき、継続的にそれらの削減に取り組んでおりますが、保有期間中において大幅な株価下落が生じる場合には保有株式の減損処理や評価損益の悪化を通じて、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、従来型の政策保有株式(資本・業務提携等を目的とせず、安定株主として保有する取引先の株式等)は原則すべて保有しない方針としております。当該方針のもと、取引先各社の持続的な企業価値向上と課題解決に向けた対話を通じて政策保有株式の削減を加速させてまいります。・三井住友信託銀行株式会社では、保有している政策保有株式に係る時価変動リスクに対して、相場変動による影響を抑制し経済価値を確保するため、その一部について、経営会議でヘッジ方針を決議のうえ、ヘッジ取引を実施しております。・当該ヘッジ取引実施後の正味の時価変動リスクに加え、政策保有株式・ヘッジ取引それぞれの評価損益の状況は、日次で計測し定期的に財務審議会に報告しており、株価水準等に応じた運営・管理を実施しております。 トップリスクの内容当グループにおける対応策②信用ポートフォリオにおける大口与信先への与信集中リスク 多額の信用を供与している取引先グループ(以下、「大口与信先」)の信用状況が悪化した場合、多額の与信関係費用が発生する可能性があります。また、担保取得等のリスク軽減措置を講じていたとしても、担保価値の下落、その他予期せざる理由により与信関係費用が発生する可能性があります。これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・三井住友信託銀行株式会社では、信用格付に応じて取引限度額を設け、大口与信先ごとに信用供与額を管理しております。また、大口与信先に対する与信集中の状況、大口与信先の信用格付の状況について月次でモニタリングを実施し、投融資審議会に報告しております。また、定期的に与信集中リスクに関するストレステストを実施する等、当グループに与える影響を勘案した大口与信先リスク管理もあわせて実施しております。③不動産市況変調リスク 国内外の不動産市況の変調により、当グループの不動産業向け与信取引と不動産の仲介・媒介業務に悪影響が及ぶ可能性があります。不動産業向け与信取引では、不動産業に特有の要因でクレジットの質が低下した場合には、その回収率が低下し、これにより与信関係費用が増加する可能性があります。 また、不動産の仲介・媒介を行う不動産事業では、不動産市況の低迷により、不動産取引量が減少、不動産仲介・媒介に係る手数料収入が減少する可能性があります。これにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・三井住友信託銀行株式会社では、国内外の不動産市況、不動産業向け与信取引の状況を月次でモニタリングし、対応策とともに投融資審議会に報告しております。また、定期的に不動産業向け与信リスクに関するストレステストを実施する等、当グループに与える影響を勘案したセクター集中リスク管理もあわせて実施しております。 ④ALMに関するリスク 当グループは、バランスシートに内包された「市場リスク」や「流動性リスク」等を適切にコントロールする目的、資産及び負債の総合的管理(ALM)を行っております。国内の金融政策転換等の環境変化により、特に金利上昇局面では、当グループが保有する金融資産価値の変動、資金調達費用の増加、顧客の投資行動の変化等が想定されます。その結果、従来よりもALM運営の難易度は上昇し、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、全社的な観点による資産・負債の総合的なリスク運営・管理に関するALM基本計画をCFO Committeeにて策定しております。これらの計画は経営会議や取締役会など規程で定められた会議体へ報告されております。・三井住友信託銀行株式会社では、当グループ全体の金融資産及び金融負債に係るリスクのモニタリングを行うとともに、資産及び負債の総合的管理(ALM)を実施しております。また、市場リスク量・損益、各種リミットの遵守状況については、財務審議会の構成員に日次で報告するとともに、財務審議会に定期的に報告しております。 トップリスクの内容当グループにおける対応策⑤外貨流動性に関するリスク 当グループの中核銀行である三井住友信託銀行株式会社において、資産・負債の状況や市場流動性等、通貨別の特性に応じた中長期調達方針を策定し、過去に発生した市場混乱や資金流出に耐え得る安定的な外貨資金繰り運営に努めております。市場環境の変化や本邦及び本邦金融機関の格下げ発生等による取引条件の悪化、もしくは取引自体の制限により、当グループの資金繰りに悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループの中核銀行である三井住友信託銀行株式会社では、流動性リスク管理の指標として、全社及び拠点ごとに、通貨ごとの決済口座に日々必要となる資金調達額に対する限度枠をALM基本計画で定め、遵守状況を日次でモニタリングしております。また、平時より資金繰りに影響を与える可能性のある定性・定量事象を危機管理指標としてモニタリングし、予兆管理に努めています。・流動性リスクの顕在化に備え、市場環境の急激な変化や当グループ固有の調達環境変化等の複数シナリオを使用したストレステストを実施し資金調達額の把握、コンティンジェンシープランに基づく資金繰り可能額の十分性を検証しております。また、定期的な訓練を通じてコンティンジェンシープランの実行性を確保しております。⑥サイバー攻撃に関するリスク ランサムウェアなどのマルウェアの感染、DDoS※1攻撃、BEC※2(Eメール詐欺)、サプライチェーンへの攻撃等、企業活動に深刻な影響を与えるサイバー攻撃は、ますます大きな脅威となっております。 サイバー攻撃に対しては、継続して対策・強化策を実施しておりますが、攻撃方法は絶えず進化しており、最新の攻撃に対しては万全ではない可能性があります。このため、同攻撃により当グループのサービスの停止や情報漏洩、データの破壊・改ざん等が発生し、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。※1 Distributed Denial of Service attack※2 Business Email Compromise(リスク認識) ・当グループは、「サイバーセキュリティ経営宣言」を策定のうえ、経営の重要課題として対策に取り組んでおります。具体的な取り組みとしては、主要グループ関係会社におけるサイバーセキュリティに関する第三者評価作業の実施など態勢面での対応に加え、統合ログ監視の導入やDDoS攻撃対策の高度化による技術的なセキュリティ向上を行う等、AIや量子コンピューティングによる新たなサイバー脅威への対応を含め、多様なサイバー攻撃に対する各種対応を推進しております。・サイバーセキュリティに対する取り組みは年度計画として策定のうえ、実施状況等について、取締役会やCRO Committeeなどに定期的に報告し、審議を行っております。また、外部環境の変化を考慮のうえ、定期的にセキュリティの十分性を確認・検証するなど、継続的にPDCAサイクルに則った改善対応を行っております。 トップリスクの内容当グループにおける対応策⑦法務・コンプライアンスリスク 当グループは、銀行法、金融商品取引法、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律等の各種法令諸規則等の遵守を徹底しておりますが、役員及び社員が遵守を怠った場合、当グループに対する罰則・行政処分や市場での評価の失墜を招く可能性があります。また、当グループが提供する商品・サービスが顧客の期待に合致せず、業務遂行の過程で発生する様々なトラブルやクレームに起因して損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。これらにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、グループ各社の業務特性に応じた適切なコンプライアンス態勢を整備するため、コンプライアンス・プログラムを策定し、進捗・達成状況を管理しております。・当グループは、グループ全体としてコンプライアンス意識の浸透を促進するため、コンプライアンス研修を強化しております。具体的には、グループ全体にまたがるテーマについて、eラーニング研修やディスカッション型勉強会などの研修資料をグループ各社に提供しております。グループ各社は、業務・商品の特性やお客さまの属性に応じた研修、勉強会及び個別テーマに関するeラーニング研修を実施しております。・グループ各社の役員・社員が当グループの大切な価値観を具体的に移すための指針である「私たちの行動指針」の更なる活用、ホットライン活性化等、声をあげる組織風土の醸成に向けた施策を検討、その理解浸透を図っております。なお、三井住友信託銀行株式会社の元社員によるインサイダー事案が発生したことを受けて、より一層の内部管理態勢の強化を図るべく、コンプライアンス遵守に対する意識醸成の取り組みやインサイダー情報の管理強化等の取り組みを行っております。⑧金融犯罪を未然に検知し防止する能力に関するリスク マネー・ローンダリング等の金融犯罪を未然に検知し防止する能力に関して、金融当局は、金融機関に対し引き続き高い期待を持っております。当グループは、当局と協力しながら対応しておりますが、金融犯罪等の手口は巧妙化しており、将来的には金融犯罪等防止態勢の不備により、当グループの商品・サービスが金融犯罪に利用され、それにより国内外の当局から行政処分や巨額の制裁金を課せられる可能性があります。また、当グループの顧客が金融犯罪の被害者になるリスク、当グループと反社会的勢力等で取引関係が生じるリスク、これらに起因したレピュテーション毀損のリスクがあり、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性等のリスクを網羅的かつ具体的に評価した上で、当グループが直面する金融犯罪等のリスクに対し、その評価の程度に応じてリスクを低減させる施策を立案・実施しております。また、実際に金融犯罪等に接する可能性がある従業員のリスク感度向上の重要性を認識し、教育・研修等の実施を通じて、人材の育成・確保に努めております。加えて、システム面を含め金融犯罪等の防止態勢の更なる高度化に努めております。 トップリスクの内容当グループにおける対応策⑨戦略遂行・競争力低下に関するリスク 国内外の政策変更、経済環境・市場環境・企業業績の悪化、市場構造や顧客ニーズの変化、技術革新、同業他社との競争激化等の外部要因の変化により、当グループが変化に適切に対応できない場合、経営戦略・各種施策を計画どおりに実行できない、又は想定した成果の実現に至らない可能性があります。また、当グループは、顧客サービスの向上やコスト競争力の強化等を目的として、他社との提携等を通じて中長期的な収益力強化を図っておりますが、提携等に伴うコストや事業・再編戦略、会計方針、事業環境の変化等により、期待どおりの成果を確保できないリスクがあります。 加えて、当グループの業務範囲の拡大や金融サービス及び管理システムの高度化に伴い、当グループが従来経験のない、もしくは予想されなかったリスク、あるいはより複雑なリスクに晒され、事業戦略の遂行や事業目標の達成に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、収益力強化とリスク管理高度化の両立を主な目的とした経営管理の枠組み(リスクアペタイト・フレームワーク)を導入し、リスク・リターン・コストの3つの観点から設定する指標のモニタリング・検証を通じて、計画や施策の見直し及び高度化を必要に応じ実施しております。・加えて、定期的に、マクロ経済シナリオをベースにした中期的なポートフォリオシミュレーションを実施し、ストレス時の対応策等も検討しております。・また、複雑化・多様化する社会課題と顧客ニーズの双方に応える社会課題解決型ビジネスのリーディングカンパニーへの進化やデジタル技術の活用も含めた業務効率化等による生産性向上にも努め、競争力の強化を図っております。 トップリスクの内容当グループにおける対応策⑩気候変動に関するリスク 当グループは、「三井住友トラストグループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」を掲げ、持続可能な社会の構築に積極的に貢献することが社会的責任であると認識しております。 当グループでは気候変動対応行動指針を含むサステナビリティ方針に基づき、取引先等の脱炭素化の支援、多様な投資機会の提供等を通じた脱炭素社会の実現に貢献していくことを目指しております。 中長期的な気候変動に起因する物理的リスク※1及び移行リスク※2は、取引先企業の経営への悪影響(気候変動対応のための制約・コスト増加、自然災害等の被災等による担保資産の棄損など)、それに伴う与信関係費用の増加などを通じて当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 また、これらのリスクは財務的な影響に留まらず、当グループの業務継続性やブランド価値、成長性等にも悪影響を及ぼす可能性があり、当グループはこれらの気候変動に関するリスクをリスクカテゴリー横断的に影響を及ぼすリスクドライバーと認識しております。※1 中長期的な気候変動に起因して直接・間接的に生じるリスク。例えば、台風や豪雨等の異常気象あるいは断続的な気温上昇や海面上昇等に伴う自然資本や社会インフラの被害、コスト増加などの事業継続性への悪影響が存在する。※2 低炭素・脱炭素社会への移行に伴い生じるリスク。例えば、排出量規制や将来的な炭素税の導入等の政策変更リスク、技術革新等による企業の競争力低下・生産コスト増加等の技術的リスク、投資・消費行動の変化等の市場リスク、気候変動等対応に伴う批判・ブランド価値毀損等の風評リスク等が存在する。(リスク認識) ・当グループでは、気候変動に関するリスクを的確に把握・低減すべく、サステナビリティ関連リスク管理方針において気候変動関連リスクを含むサステナビリティ関連リスク全般に関するリスク管理の考え方(リスクカテゴリー毎の気候変動に関するリスクの管理方針等を含む)や、基本的な管理体制等を定めております。・また、当該体制に基づき、中長期的な気候変動が当グループの業務や保有資産等に及ぼす影響を把握し、継続的な態勢強化を図ることで、気候変動に関するリスクのリスク管理プロセスの強化を進めております。・中でも、当グループの目指す姿に照らしてリスクベースで影響の大きい投融資分野においては、高炭素セクター毎のGHG排出量削減目標の設定・管理はもちろん、中長期的なシナリオ分析等を通じた当グループのポートフォリオや取引先企業の経営への影響把握、ステークホルダーにも配慮した多様なソリューション提供による脱炭素化への支援、与信業務におけるセクターポリシーの更新・審査の高度化、エンゲージメントを通じた課題解決の支援等に取り組んでおります。 ロ.エマージングリスクとリスク対応策エマージングリスクの内容当グループにおける対応策①地政学に関するリスク 長期化するロシア・ウクライナ紛争に加え、中東情勢の不安定化や海上輸送路を巡る緊張、米中間の対立を背景とした関税措置や輸出管理等の強化など、地政学・地経学リスクは引き続き高い水準にあります。国際情勢の悪化や各国の政策対応の変化により、金融市場のボラティリティ上昇、資源価格・物流コストの変動、サプライチェーンや決済・資金移動の混乱が生じ、当グループ取引先の企業業績悪化や金融市場の混乱に繋がる可能性があります。 また、国家間対立に伴う経済制裁を含む各国の規制強化により、国際的な業務の運営に支障が生じるほか、規制に抵触するリスクが生じ、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、定期的にマクロ経済シナリオをベースにしたストレステストを実施し、ストレス時のアクションプランを策定しております。ストレステストにおけるマクロ経済シナリオは、トップリスクや当グループの内外環境を考慮して複数のシナリオを策定し、シナリオ毎に業績への影響度合いをシミュレーションしております。②スタグフレーションリスク 日本においては、物価上昇率やインフレ期待の動向を受けて金利水準の正常化に向けた調整が進む可能性がある一方、主要先進国においては、物価上昇率やインフレ期待が中央銀行の目標水準に収まらず、利下げの遅れ等により金融環境が引き締まった状態が継続する可能性があります。また、金利水準の高止まりや資産価格(株式・不動産等)の下落、実質可処分所得の低下等を通じて消費者心理が冷え込み、需要全体が弱含む可能性があります。これにより、与信先の事業等への悪影響や有価証券の評価損益悪化が顕在化した場合、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、定期的にマクロ経済シナリオをベースにしたストレステストを実施し、ストレス時のアクションプランを策定しております。スタグフレーションリスクについても、業績への影響度合いをシミュレーションしております。 エマージングリスクの内容当グループにおける対応策③IT戦略に関するリスク 当グループを取り巻く事業環境は、顧客ニーズの変化、デジタル技術の進展、競争環境の変化等を背景に変化しており、これらに対応し経営戦略・各種施策を遂行するため、IT戦略に基づく適切なシステム投資・開発が求められております。IT投資が想定通りに実行できない場合、又はシステム開発案件における進捗遅延・リリース延期等により施策の実行や提供価値の向上が遅れる場合には、顧客利便性の低下や商品・サービスの競争力劣後を招き、顧客離れや事業機会の逸失に繋がる可能性があります。 これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。(リスク認識) ・当グループは、経営戦略及びIT戦略に基づき、収益獲得やコスト削減等の価値創出に繋がるIT投資を推進しております。あわせて、IT投資額に加えROI等の指標による投資効果のモニタリング・検証を行い、案件の優先順位付けや投資内容の見直しを通じて、IT投資管理の高度化に取り組んでおります。さらに、IT戦略の実行に必要な高度IT人材の確保・育成及び適切な配置を進め、開発体制の強化と進捗遅延等の抑制に努めております。 (2) その他のリスクトップリスク及びエマージングリスク以外の主要なリスクには以下のものがあります。 イ.事業面に関するリスク ① 信託事業に関するリスク当グループは、取引先に提供する信託商品のうち一部の合同運用指定金銭信託について、元本補填契約を結んでおります。信託勘定には債権償却準備金を計上しておりますが、これを充当しても元本に損失が生じた場合には、その補填のための支払を行う可能性があります。また、元本補填契約のない信託商品についても、信託事業を遂行する上で、受託者としての責任において負担すべき債務・費用が発生する可能性があります。また、資産運用業務において、運用成績が市場のベンチマークや他社の運用商品に劣る結果となった場合には、委託者が運用を委託している資金を引き揚げる可能性があり、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。 ② 規制・制度の変更に関するリスク当グループは、事業活動を行う上で、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制の法令諸規制等の影響を受けております。これらの法令諸規制等は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供が制限される、新たなリスク管理手法の導入その他の体制整備が必要となる等により、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ③ 子会社・関連会社等に関するリスク当グループは、グループ会社間の連携により、顧客基盤の拡大やソリューション提供力の強化等による連結収益の拡大に取り組むとともに、経費削減等を通じた効率性の向上に努めております。当グループがグループ内の連携による収益効果を得られるかどうかについては、将来の事業環境の変化による不確実性を伴うものであり、子会社・関連会社の事業又は経営の悪化により、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ④ 企業買収・出資・資本提携等に関するリスク当グループは、企業価値の向上を目的として、企業買収、出資、資本提携、子会社の設立等を行っており、今後も同様の企業買収等を行う可能性があります。しかし、これら企業買収等は、法制度の変更、競争環境の変化等により、想定通りの効果が得られない可能性があります。また、企業の財務内容や契約関係等の事前調査を十分に行っておりますが、買収後に未認識の偶発債務が発生した場合や、当該子会社等の利益が、期待した水準を大幅に下回った場合には、子会社株式及びのれんについて、相当の減額を行う必要が生じる可能性があります。これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ロ.業務面に関するリスク ① 事務リスク当グループは、内部規定及び事務処理体制の整備、事務処理状況の定期的な点検、本部の事務指導等によって、適正な事務の遂行に努めておりますが、役員・社員・外部委託先要員が事務処理の過誤や不正等を起こした場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ② 外部委託に関するリスク当グループは、様々な業務の外部委託を行っております。外部委託を行うにあたっては委託先の適格性や委託内容、形態を含め十分な検討を行っておりますが、委託先の選択が不適切であった場合や委託先において重大な事務過誤等が発生した場合、又はサイバー攻撃による顧客情報の漏洩や委託業務の中断・停止が発生した場合等には、当グループにおいても間接的・直接的に悪影響を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ③ システムに関するリスク当グループは、様々な業務を遂行するため、多様なシステムを活用しておりますが、システム障害や性能低下、複数システム間の連携不全、外部サービスを含む障害の影響等により、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。 ④ 新技術リスク情報通信技術の進展は引き続き加速しており、特に人工知能(AI)等の新技術の活用は、当グループの業務運営やサービスの在り方に影響を与える可能性があります。これらの新技術は機会をもたらす一方で、技術選択の誤り、想定した効果が得られないこと、又は導入・運用過程における不具合等により、業務効率の低下や追加的なコストの発生など、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑤ 情報セキュリティリスク当グループは、内部規定や情報管理体制の整備、社内教育、及び情報セキュリティ対策の徹底等によって、顧客情報や社内機密情報の漏洩への対策を講じておりますが、役員・社員・外部委託先要員の不注意や不正行為、サイバー攻撃等により顧客情報や社内機密情報が外部に漏洩した場合、当グループが行政処分や損害賠償等の請求を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑥ 人材に関するリスク当グループは、幅広い分野で高度な専門性を必要とする業務を行っており、有能な人材の確保・育成に努めておりますが、必要な人材を確保・育成することができない場合には、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑦ コンダクトに関するリスク当グループ各社・役員又は社員の行為が、職業倫理に反していること、又はステークホルダーの期待と信頼(※)に応えていないことにより、当グループ・顧客・市場・金融インフラ・社会及び職場環境に対し悪影響を与える可能性があります。(※)合理的な期待水準を把握のうえ当グループとして設定する適切なサービスレベル ⑧ 人的リスク人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)、人権問題(ハラスメントを含む)等が発生した場合、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑨ 災害等の発生に伴うリスク当グループは国内外の営業拠点や本部、システムセンター等の業務施設において事業活動を行っており、これら施設等や、その他当グループが保有する有形資産(動産・不動産・設備・備品等)及び従事する役員及び社員は、自然災害(地震・津波・噴火・風水害)、火災、爆発、停電、戦争、犯罪・テロ、資産管理の瑕疵、あるいは新型インフルエンザ等の新種感染症等による被害を受ける可能性があります。こうした事態が発生した場合、その被害の程度によっては、当グループの業務の全部又は一部の継続が困難になる等、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑩ 風評リスク当グループや金融業界一般に対して否定的な内容の報道がなされたり、インターネット等の情報媒体において、否定的な内容の風評・風説が流布することがあります。その内容が正確か否かにかかわらず、こうした報道・風評・風説により、当グループ又は金融業界一般のイメージや株価等に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑪ 環境・社会的リスク当グループは、「三井住友トラストグループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」を掲げ、持続可能な社会の構築に積極的に貢献することが社会的責任であると認識しております。当グループの事業を取り巻く環境・社会課題に対し、金融機関として社会の期待に適う対応が十分に行われていない場合、当グループの目指す持続可能な社会の構築に負の影響を及ぼすことはもちろん、引いては当グループの業績や財務状況、業務継続性、ブランド価値、成長性等にも悪影響が及ぶ可能性があります。こうした負の影響は当グループ自身に起因するものに加え、当グループが関与するバリューチェーンの中で生じる可能性があり、様々な経路を通じてその影響が伝播あるいは相互に影響しあうことで、三井住友トラストグループのリスクカテゴリーにおけるリスク顕在化の可能性を高めるリスクドライバーとなりえます。 ⑫ モデルリスク当グループは、業務遂行上さまざまなモデル(※)を使用しております。モデルには唯一の正解は存在せず、一定の仮定や単純化を含むことにより、不正確なアウトプットを出力するリスクがあります。また、モデルに根本的な誤りがなくても、適切に使用されないことによって、誤った意思決定に繋がるリスクがあります。当グループではこれらのモデルリスクを認識し、モデルの開発、使用、変更、廃止等の各プロセスにわたり、モデルリスクを管理していますが、モデルの不確実性を完全に排除することはできず、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。(※)インプット、加工処理プロセス、アウトプットの3つの要素から構成されるものであり、理論や仮定に基づきインプットデータを処理し、アウトプット(推定値、予測値、スコア、分類等)を出力するもの ⑬ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク当グループは、リスク管理の方針及び手続の強化に努めております。しかしながら、新しい分野への業務進出や急速な業務展開、又は外部環境の変化により、リスクを特定・管理するための方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当グループのリスク管理の方針及び手続の一部は、過去の経験・データに基づいて構築されたものもあること、将来のリスクの顕在化を正確に予測し対処することには限界があることもあり、有効に機能しない可能性があります。こうした当グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合には、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ハ.財務面に関するリスク ① 信用リスク(ⅰ) 不良債権の状況国内外の景気動向、不動産・株式市場を含む金融経済環境の変化及び貸出先の経営状況等により、当グループの不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。(ⅱ) 貸倒引当金当グループは、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提・見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。従って、実際の貸倒費用が貸倒引当金計上時点における見積りと乖離する可能性があります。また、経済情勢全般の悪化、貸出先の信用状況の変化、担保価値の下落、その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。(ⅲ) 貸出先への金融支援当グループは、貸出債権等の回収実効性を確保することを目的として、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、債権者として有する法的な権利を必ずしも行使せず、状況に応じて債権放棄や追加貸出等の金融支援を行うことがあります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。(ⅳ) 他の金融機関の動向による影響急速な貸出金回収や取組方針の変更等、他の金融機関の動向によっては、当該貸出先の経営状態が悪化する可能性や追加融資を求められる可能性があります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。 ② 市場リスク当グループは、バンキング業務又はトレーディング業務として、債券、株式、デリバティブ商品等の多種の金融商品に対し投資活動を行っております。これらの活動による損益は、金利、外国為替、債券及び株式市場の変動等のリスクに晒されており、その結果、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ③ 退職給付債務に関するリスク当グループの年金資産の価値の下落や退職給付債務の計算の前提となる期待運用利回りの低下等の数理上の仮定に変化があった場合、当グループの未積立退職給付債務が変動する可能性があります。また、金利環境の変化等によって未積立退職給付債務や退職給付費用に悪影響が及ぶ可能性、年金制度の変更によって未認識の過去勤務費用の発生及び会計基準の変更によって財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ④ 繰延税金資産に関するリスク繰延税金資産は将来の課税所得の見積額等に基づき計上されております。経営環境の変化等に伴う課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑤ 自己資本比率等に関するリスク当グループには、銀行法に定める自己資本比率等に関する規制が適用されるため、自己資本比率やレバレッジ比率等の規制比率を所要水準以上に維持する必要があります。当グループの自己資本比率やレバレッジ比率等が、要求される水準を満たすことができなかった場合には、その水準に応じて、金融庁から経営改善計画の提出や業務の全部又は一部の停止を含む様々な命令を受けることとなり、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑥ 格付低下のリスク格付機関が格付を引き下げた場合には、当グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される可能性があります。また、当グループのデリバティブ取引に関して追加担保を要求される、既存の顧客取引が解約される等の事態が発生する可能性もあります。このような場合には、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 (3) リスクガバナンス体制当グループは、グループ全体のリスクガバナンス体制として、各事業によるリスク管理(ファーストライン・ディフェンス)、リスク統括部及びリスク管理各部によるリスク管理(セカンドライン・ディフェンス)、内部監査部による監査(サードライン・ディフェンス)の三線防御体制(スリーラインズ・オブ・ディフェンス)を構築しております。 (4) リスク管理のプロセス当グループでは、リスク統括部及びリスク管理各部がセカンドラインとして、以下の手順でリスク管理を行っております。また、このリスク管理プロセスについては、関連するシステムを含め、サードラインの内部監査部により定期的に監査されております。 イ.リスクの特定当グループの業務範囲の網羅性も確保した上で、直面するリスクを網羅的に洗い出し、洗い出したリスクの規模・特性を踏まえ、管理対象とするリスクを特定しております。この中で、特に重要なリスクを「重要リスク」として管理しております。 ロ.リスクの評価管理対象として特定したリスクについて、グループ各事業の規模・特性及びリスクプロファイルに見合った適切なリスクの分析・評価・計測を行っております。「重要リスク」については、定期的に、「発生可能性」と「影響度」を評価し、トップリスクやエマージングリスクなどを選定しております。 ハ.リスクへの対応上記のリスク評価を踏まえ、特定したリスクについてはそれぞれ、受容、回避、移転または削減に必要な方策を講じます。また、リスクアペタイトに照らし受容できないリスクは、回避、移転又は削減により受容できるリスク水準に抑制をしております。 ニ.リスクのモニタリング当グループの内部環境(リスクプロファイル、配分資本の使用状況など)や外部環境(経済、市場など)を踏まえ、リスクの状況を適切な頻度でモニタリングし、必要に応じてグループ各事業に対して監督・指導を行っております。モニタリング結果は、定期的に取締役会、経営会議などへ報告・提言しております。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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