三井住友トラストグループ(8309)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


三井住友トラストグループ(8309)の株価チャート 三井住友トラストグループ(8309)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

 

3 【事業の内容】

三井住友トラストグループ(以下、「当グループ」という。)は、持株会社である三井住友トラストグループの下、銀行、資産運用・資産管理、不動産業務関連など様々なグループ会社を有しており、これらが統一されたグループ経営戦略に基づき、中核となる三井住友信託銀行株式会社を中心に、多様な事業を行っております。

三井住友トラストグループ及び三井住友トラストグループの関係会社は、三井住友トラストグループ、連結子会社57社及び持分法適用関連会社31社で構成されております。

三井住友トラストグループ及び三井住友トラストグループの関係会社の事業に係る位置付け及び報告セグメントとの関係は次のとおりであり、主要な関係会社を記載しております。事業の区分は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

また、三井住友トラストグループは特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

 

2026年3月31日現在


(注)○は連結子会社、△は持分法適用関連会社であります。


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

①当グループの原点

日本では明治時代以降に信託制度が導入され、1922年には「信託法」、「信託業法」が制定されました。これらにより、信託制度が確立され、本格的な発展期を迎えることとなりました。

1924年には「信託業法」に基づく日本最初の信託会社として三井信託株式会社が設立されております。1925年には住友信託株式会社が設立され、1962年には中央信託銀行株式会社が設立されております。これら信託会社・信託銀行が当グループの中核子会社たる三井住友信託銀行株式会社の母体となっており、「信託」が当グループの原点となっております。

当グループは、「信託」の受託者精神に立脚し、「信託」の力で各時代におけるお客さまのニーズや社会の要請に応じて、新たな価値創出に「挑戦」し、日本の発展に貢献する「開拓」の姿勢を、創業以来貫いてまいりました。

例えば、戦後の高度成長期には、重厚長大産業向けの設備投資資金ニーズに応える「貸付信託」を中心に、日本の経済成長を支えてきました。

1960年代からは、企業年金の制度設計・資産運用・資産管理を三位一体で提供する「年金信託」の受託者として、勤労者の充実した老後の生活を支援しております。

2000年以降は、「信託法」、「信託業法」の改正を契機に、時代に合った新たな商品・サービスの提供を通じて、社会課題に向き合っております。

当グループはまさに「信託」を原点とし、「信託」とともにその歴史を歩んでおり、今後もさらなる飛躍に向けて歩みを進めてまいります。

(三井住友信託銀行株式会社の主な変遷)


 

(三井住友信託銀行株式会社の信託財産残高推移)


 (※)2012年3月期以前の信託財産残高については、三井住友信託銀行株式会社統合前の各社の信託財産残高を
       合算して算出しております。

 

 

②当グループの基本方針

当グループは、目指す企業グループ像を明確にするため、次のとおり存在意義(パーパス)、経営理念(ミッション)、目指す姿(ビジョン)、行動規範(バリュー)を定めております。

 

 

 

存在意義(パーパス)

 

 

 

 

 

 

 

信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる

 

 

 

経営理念(ミッション)

 

 

 

 

 

 

 

  ①高度な専門性と総合力を駆使して、お客さまにとってトータルなソリューションを迅速に提供してまいります。
  ②信託の受託者精神に立脚した高い自己規律に基づく健全な経営を実践し、社会からの揺るぎない信頼を確立

   してまいります。
  ③信託銀行グループならではの多彩な機能を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出し、株主の期待

   に応えてまいります。
  ④個々人の多様性と創造性が、組織の付加価値として存分に活かされ、働くことに夢と誇りとやりがいを持てる

   職場を提供してまいります。

 

 

 

目指す姿(ビジョン)

 

 

 

 

 

 

 

「The Trust Bank」の実現を目指して

  当グループは、信託の受託者精神に立脚し、高度な専門性と総合力を駆使して、銀行事業、資産運用・管理事業、

  不動産事業を融合した新しいビジネスモデルで独自の価値を創出する、本邦最大かつ最高のステイタスを誇る

  信託銀行グループとして、グローバルに飛躍してまいります。

 

 

 

行動規範(バリュー)

 

 

 

 

 

 

 

当グループの役員・社員は、グループ経営理念を実践するため、以下の6つの行動規範を遵守してまいります。

 

お客さま本位の徹底 -信義誠実-

私たちは、最善至高の信義誠実と信用を重んじ確実を旨とする精神をもって、お客さまの安心と満足のために
行動してまいります。

 

社会への貢献 -奉仕開拓-

私たちは、奉仕と創意工夫による開拓の精神をもって、社会に貢献してまいります。

 

組織能力の発揮 -信頼創造-

私たちは、信託への熱意を共有する多様な人材の切磋琢磨と弛まぬ自己変革で、相互信頼と創造性にあふれる
組織の力を発揮してまいります。

 

個の確立 -自助自律-

私たちは、自助自律の精神と高い当事者意識をもって、責務を全うしてまいります。

 

法令等の厳格な遵守

私たちは、あらゆる法令やルールを厳格に遵守し、社会規範にもとることのない企業活動を推進してまいります。

 

反社会的勢力への毅然とした対応

私たちは、市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力に対して、毅然とした姿勢を貫いてまいります。

 

 

(2) 金融経済環境

当連結会計年度の金融経済環境を見ますと、海外では、欧米を中心に金融引き締めが続き、それを受けて、欧州の景気は低調に推移しましたが、米国は良好な雇用環境を背景に景気の堅調さを示しました。中国は不動産市場の低迷等が景気の重石となりました。国内経済は、インフレ環境下で個人消費を中心に内需が低迷しました。

金融市場では、日経平均株価は2023年12月まで上値の重い展開が続きましたが、米国の株価上昇や円安を背景に上向き、2024年2月には過去最高値を更新しました。10年国債利回りは、日本銀行が変動許容幅を拡大するにつれ2023年10月末には0.9%超まで上昇した後、米金利の低下に伴い12月には0.6%前後まで低下しました。2024年1月以降は、金融政策の正常化期待の高まりから0.7%台まで上昇したものの、3月にマイナス金利政策が解除された後も、日本銀行の緩和継続姿勢が浸透したことから、落ち着いた動きを保ちました。ドル円レートは、一時円高方向に振れる局面もあったものの、総じて日米の金融政策スタンスの違いを反映して円安基調で推移し、2024年3月末には150円を超える水準となりました。

 

(3) 事業の経過

当グループは、「信託の力で、新たな価値を創造し、お客さまや社会の豊かな未来を花開かせる」というパーパス(存在意義)のもと、事業運営を推進しております。

日経平均株価が史上最高値を更新し、日本銀行のマイナス金利政策が解除される等、日本経済がデフレからの完全脱却に向けた大転換期を迎える中、2023年度は、中期経営計画で掲げた以下の3つのテーマに基づいた取り組みを進めました。

 

(中期経営計画の3つのテーマ)

1.信託らしいビジネスの成長と資本効率の向上~資金・資産・資本の好循環の実現と企業価値の向上~

2.未来適合に向けた人的資本強化~働きがいがWell-beingに繋がる組織創り~

3.経営基盤の高度化~ビジネスと組織のトランスフォーメーションを支える力~

 

 

1.信託グループらしいビジネスの成長と資本効率の向上

当グループは、お客さまとの信任関係に基づく長期にわたるお取引を強みに、資産運用・資産管理を軸とした信託グループらしいビジネスモデルで、「社会的価値創出と経済的価値創出の両立」の実現を目指しています。社会課題解決と市場の創出・拡大に貢献する取り組みの規模を示す残高指標として、Assets Under Fiduciary(以下、「AUF」といいます。)を新たに定義し、2030年度までに800兆円まで拡大するとともに、ROE10%以上の早期達成に向けた取り組みを推進しています。

 

個人のお客さまには、三井住友信託銀行において、「人生100年時代」を見据え、年金業務で培った資産運用に係る知見を活かし、年金や退職金に加え、不動産やローンも含めた資産・負債全体のフローとストックの両面に着目したトータルコンサルティングを展開しました。

オンライン・コンサルプラザの拡充をはじめとするお客さまとのコンタクトチャネルの高度化により、資産形成層へのアプローチ強化も進めています。2023年9月には、お客さまの資産形成をサポートするスマートフォンアプリ「スマートライフデザイナー」をご利用のお客さまに、資産形成・運用・管理・承継に至るライフステージに応じた三井住友信託銀行のサービスの提供に加え、住信SBIネット銀行株式会社の先進的なデジタル基盤を活用した機能をご利用いただける「三井住友信託NEOBANK」のサービス提供を開始いたしました。

また、2023年7月には、超富裕層ファミリーの金融資産・不動産・プライベートエクイティ等の資産管理サービスに加え、幅広いジャンルにおいてコンシェルジュサービスを提供する株式会社PrivateBANKと三井住友信託銀行が資本業務提携いたしました。両社の協業により、富裕層のお客さまに対し、より多面的なサービスを提供するとともに、商品開発力とソリューション提供力の強化を図り、資産運用・資産管理や社会貢献を行うための基盤を充実させてまいります。

 

法人のお客さまには、「ESG/サステナブル経営」への取り組みがますます重要となる中、ガバナンス、人的資本、不動産ESG等の各種サーベイを起点に、投資家の立場にも視野を拡張した対話で企業価値向上を促すエンゲージメント型のソリューション営業を拡充しました。

2024年2月には、三井住友信託銀行が、環境・低炭素転換の専門知識を豊富に有する世界最大のサステナビリティ専門コンサルティング企業であるERMグループと、気候変動対策のサービス提供に向けて合弁会社を設立し、4月に事業開始いたしました。

新たな技術やサービスで我が国の未来創りに貢献するスタートアップ企業に対しては、上場前のIRサポートや、上場前後の投資家からの資金調達を支援していきます。三井住友信託銀行では、銀行機能を活かしたシード出資をはじめ、株式上場を検討する段階に入ったスタートアップ企業への支援として、2025年度までに累計で最大500億円規模の投融資を行う活動を推進しています。また、三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社(以下、「三井住友トラスト・アセットマネジメント」といいます。)では、三井住友信託銀行の知見も活かし、上場株式と未上場株式の双方に投資するクロスオーバーファンドを設定しました。銀行機能と投資家機能の両面で、スタートアップ企業への資金供給に貢献していきます。

 

個人を含む投資家のお客さまには、社会的価値と経済的価値の創出を両立し、利の厚い投資機会を提供するプライベートアセット運用を拡大しています。とりわけ、我が国の産業や社会生活を支えるインフラ領域は、脱炭素化、デジタル化等の課題解決のために多額の資金需要を見込む一方、投資市場としては未成熟であり、投資機会が限られています。

かかる中、2023年9月には、三井住友トラストグループグループ会社であるジャパン・エクステンシブ・インフラストラクチャー株式会社が投資判断に関する助言を行う国内総合型インフラファンド(ジャパン・インフラストラクチャー第一号投資事業有限責任組合)を組成しました。国内インフラ領域の資金需要と運用ニーズの結節点となり、投資機会の創出・提供を通じて、社会課題解決に貢献していきます。

 

2023年12月には、資産運用ビジネス高度化に向けた取組方針を公表し、政府の「資産運用立国」構想に対し、業界をリードする取り組みを進めています。三井住友信託銀行、三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメント株式会社(以下、「日興アセットマネジメント」といいます。)の自律的な運用力の向上を進めるとともに、多様で実力ある運用会社とパートナー化を進め、それらをグループ内に連ねる「マルチアフィリエイトモデル」の構築に取り組みます。この実現に向け、2030年度までに累計で最大5,000億円の規模で、主にグローバルな運用力・顧客基盤の獲得や新興マネージャーへの投資等に積極的に投下していく方針です。また、資産運用ビジネスの更なるガバナンス高度化や運用力向上に向けた取り組みを一層加速させていきます。

これに先駆け、2023年11月に、三井住友トラスト・アセットマネジメント及び日興アセットマネジメントは、投資リターンと環境成果の実現に着目した運用商品を有する英国のOsmosis (Holdings) Limitedと資本業務提携いたしました。

 

資産管理業務では、株式会社日本カストディ銀行のガバナンスの改善・強化を支援するとともに、三井住友信託銀行を中心に、投資家や運用会社の業務高度化・効率化ニーズに応える機能強化・サービス向上を図りました。また、デジタル技術を活用した業務プロセス標準化や、海外資産管理の基幹システム共通化の検討を進め、競争力の強化に取り組みました。

 

2.未来適合に向けた人的資本強化

当グループ特有の専門性の高い業務を支えるのは、社員一人ひとりであり、社員が能力を最大限に発揮することが、お客さまや社会への価値の提供に繋がると認識しています。

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを一層加速するため、女性活躍推進、育児や介護と仕事の両立、人権・LGBTQに関する理解促進、及び自律的なキャリア形成を通じた多様性と専門性を組織の総合力として発揮するための人事制度の整備等を推進しました。こうした取り組みの結果、LGBTQに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する一般社団法人wwP(work with Pride)が運用する「PRIDE指標」において、当グループが最高評価「ゴールド」を受賞いたしました。また、三井住友信託銀行においても、企業や行政、NPOなどの異なるセクターから集まった重要なプレイヤーと協働し、特定の社会課題解決に取り組む企業として「レインボー」を同時受賞いたしました。

また、2024年度に創業100年を迎えた当グループは、ステークホルダーの皆さまに当グループをより深くご理解いただき、感謝の意を表す様々な取り組みをグループ一体で進めております。

当グループのパーパスは、お客さま本位のもと、様々な社会課題を解決し、我が国の発展に貢献してきた信託の原点を反映しています。創業100年を迎えるにあたり、お客さまから「信じて託される」尊さと、お客さまの「未来への願い」に応える強い意思を、グループ内外により効果的に伝え、体現していくために、ブランドスローガン「託された未来をひらく」を策定しました。

100周年事業は、当グループの組織創りそのものです。社員一人ひとりが主役となり、当グループのアイデンティティや挑戦と開拓の歴史を知り、当グループで働くことに自信ややりがいを感じ、次の100年に向けた「挑戦」のムーブメントを起こす機会と捉え、取り組んでまいります。

 

3.経営基盤の高度化

お客さまとの長期的な信任関係の基礎となるリスク管理、コンプライアンス、お客さま満足度の向上を含むフィデューシャリーの実践については、一層の高度化に取り組んでまいります。ますます複雑化・巧妙化する金融犯罪やサイバー攻撃に対しても、リスク管理態勢や運営ルールをアップデートし、対策を講じています。 

生成AIをはじめとするデジタル技術を活用したサービス提供や業務プロセス変革も着実に進めています。2023年4月には、相続手続きにおけるお客さまと金融機関双方の負担軽減を図るために、デジタル技術を活用した戸籍謄本の読み取りや書類不備のチェックを行い、相続人関係図の作成を可能とするシステムを開発し、利用を開始しました。生産性向上や業務効率化に効果が大きいと想定される領域に経営資源を集中的に投下し、お客さまのニーズに適した商品・サービスの拡大や、高品質なコンサルティング提供力の向上に一層の磨きをかけてまいります。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

2024年4月15日、当グループは創業100年を迎えました。信託の受託者精神に立脚し、「信託の力」で各時代におけるお客さまのニーズや社会の要請に応じて、新たな価値の創出に果敢に「挑戦」し、我が国の発展に貢献する「開拓」の姿勢は、創業以来、いつの時代も変わりません。

私たちを取り巻く環境が急激に変化する中、健全で豊かな未来創りを目指した創業の原点に立ち返り、「託された未来をひらく」存在として、これまで以上にグループが一体となって新たな「挑戦」と「開拓」に取り組み、全てのステークホルダーのWell-being向上に貢献する企業となるため、2024年10月1日付で三井住友トラストグループは商号を「三井住友トラストグループ株式会社」へ変更する予定です。

 

中期経営計画の2年目となる2024年度は、AUFを軸とした成長戦略を「実行・実践・実現」するために、以下の3つの重点テーマに取り組んでまいります。

 

<テーマ1>アドバイザリ・資産運用・資産管理機能(好循環加速の駆動力)の強化

我が国の最大の金融・社会課題は、金融資産2,100兆円、不動産1,000兆円、合計3,000兆円を超えると言われる個人の資産や企業の内部留保が、投資や消費に回らず、停滞して動かないことだと考えています。当グループが実現したい「好循環による成長」とは、投資家が有望な事業に投資を行い、株価の上昇や配当といった投資の果実が国民の資産形成に繋がり、企業は業績の向上によって新たな投資や雇用の拡大を進める、という一連の行動による経済全体の持続的成長です。

信託会社を起源とする当グループは、不動産関連業務、銀行業務と機能を拡張する中で、投資家、事業者それぞれの想いに直接触れ、双方のニーズを結びつけてきました。その中で培った、三井住友トラストグループの強みであるアドバイザリ・資産運用・資産管理機能の三位一体型ビジネスモデルに一層の磨きをかけ、AUFを拡大させながら、資金・資産・資本の好循環を加速してまいります。

①アドバイザリ

お客さまのライフプランや資産・負債の全体像を把握したうえで、適切な資産配分の提案から商品提供までをシームレスに行い、お客さまの最善の利益に繋がる意思決定を支援いたします。お客さまのリスク許容度に応じた最適なポートフォリオの提案・提供を通じ、新たな投資需要を創造してまいります。

2024年度は、脱炭素をはじめとする社会課題解決領域に資金使途を限定する元本補填付きの信託新商品を新たに導入する予定です。この新商品を皮切りとして、お客さまのリスク許容度に応じたリターンが見込める運用商品の開発・提供を進め、個人のお客さまの資産形成に貢献してまいります。

 

 

②資産運

三井住友信託銀行、三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメントを中心とするグループ各社が、個性を発揮し、自律的に成長することで、グローバルに選ばれるグループとなることを目指します。利が厚く、お客さまの投資ニーズに応えるプライベートアセット領域への注力に加え、北米を中心とした運用会社等への出資・提携やユニークで魅力的な新興マネージャーの発掘・育成など、2030年度までに累計で最大5,000億円の資金を投下することで、世界で戦える運用力を備えてまいります。また、当グループの資産運用ビジネスを支える人材に関しては、グローバル基準に沿った運用会社独自の評価・報酬制度の導入や、外部のプロ人材の積極的な採用・登用も継続して行ってまいります。

③資産管理

AI等の新技術による業務の効率化・標準化を図り、新興運用マネージャーへのインフラ提供、プライベートアセットやデジタルアセットなどへの取扱資産の拡張、取引データを利活用したレポート作成などを通じて、取組領域を拡大してまいります。

今後もお客さまの意思決定支援や需要創造に貢献する「アドバイザリ」、高品質なプロダクトを提供する「資産運用」、アドバイザリや資産運用を支えるプラットフォームである「資産管理」機能による三位一体型ビジネスモデルに一層磨きをかけ、資金・資産・資本の好循環を加速し、2030年度までにAUFを800兆円まで拡大するとともに、ROE10%以上の早期達成を目指します。

 


 

 

<テーマ2>フィデューシャリーの高度化

当グループは、お客さまから信じて託される、お客さまの想いを実現するフィデューシャリー(受認者)として、お客さまの最善の利益を追求し、お客さまの期待を超える水準まで業務品質を高度化してまいります。

様々なサービスを提供するうえで、お客さまの想いや時代の変化を自律的に捉え、常に適正な品質を担保することは、当グループの付加価値であり、収益の源泉と考えています。

リスクの顕在化を未然に防ぐため、管理手法の高度化に加え、グループ社員が誰でも、誰に対しても意見を発信することができ、その声に確りと耳を傾け、適切な対応策を一緒に考え行動する、オープンな組織創りや健全な企業風土の醸成にも取り組んでまいります。

 

<テーマ3>生産性・採算性の向上(DXの推進、インフレへの対応)

我が国の人口減少やインフレが加速していく中、当グループが持続的に成長し、各ステークホルダーのWell-being向上に貢献するには、デジタル技術を活用した抜本的な業務プロセス変革による生産性向上や、適正な商品・サービス価格への見直しによる採算性向上が不可欠だと考えており、これらに資する取り組みに一層注力してまいります。

 

豊かな未来に向け、社会課題の解決を通じたトランジションが進む現下の環境で求められる役割は、健全で豊かな未来創りを目指した創業の原点にも通じており、今まさに「信託の力」が求められる時だと捉えています。

お客さまの最善の利益のために、当グループの役員・社員の一人ひとりが、自ら考え、自ら判断し、自ら行動することを絶えず継続し、進化していくことで、次の100年に向けた未来創りに貢献し、お客さまや社会から選ばれ続ける「三井住友トラスト・グループ」を目指してまいります。

 

報告セグメントにおける目指すべきビジネスモデルは、以下のとおりであります。

 

(個人事業)

人生100年時代を迎え、お客さまの「長く充実した人生を過ごすこと」への関心がますます高まるとともに、将来に向けた資産形成・運用や高齢期における資産管理、相続・資産承継に関する悩み・不安が、各世代における社会課題として顕在化してきています。

個人事業では、信託銀行グループならではの高度な専門性と多彩な商品・サービスを駆使しながら、個人のお客さまの世代やライフイベントなどに応じて変化する資産・負債の特性を踏まえたトータル・コンサルティングを通じてお一人お一人に寄り添った最適なソリューションをご提供することで、お客さまの「ベストパートナー」となり、長期間にわたる信頼と安心を培っていくことを目指しています。

 

(法人事業)

革新的なIT技術・産業素材・工業技術の登場とライフサイクルの短期化、デジタル化の急速な進展、ステークホルダーとの対話の重要性拡大、脱炭素化・SDGs実現に向けた対応の加速など、企業を取り巻く環境は従来以上のスピードで変化するとともに、ますます複雑さを増しています。

創業来培ってきた「信託銀行ならではの多彩さ・専門性を強化」し、これらを複雑・高度に融合させ、お客さまと社会の顕在化した課題はもとより、潜在的な課題の解決にも貢献する「トータルソリューションモデルを進化」させることを通じて、お客さまと社会から「ベストパートナー」に指名される金融機関を目指しています。

 

(投資家事業)

投資家事業においては、ESG投資など社会課題解決に繋がる運用商品の開発や社会的価値の創出に注力することに加え、資産管理事業においては、IT・デジタル技術の活用による資産管理・データサービスの強化など資金等の好循環を創出する各種サービスの高度化に取り組みます。また、地産地消型のエネルギー循環など地域経済エコシステム構築への貢献やライフプランマネジメントを通じたFINANCIAL WELL-BEINGサポートなど、多様な投資家のお客さまの経営課題に寄り添いながら社会課題解決に貢献していきます。

 

 

(不動産事業)

法人向け不動産仲介・コンサルティングは、国内外の金融機関・不動産会社等とのネットワークも生かして、不動産に関する多彩な機能をご提供し、企業価値向上と経営課題の解決を目指します。個人向け不動産仲介は、お客さまのライフステージに即した不動産情報のご提供を拡充し、お客さまの資産価値最大化を追求します。

本邦No.1の規模である不動産証券化信託や不動産投資法人関連業務は、不動産投資市場の拡大を支えるインフラとして、堅確な業務継続を実現し社会的使命を果たします。これらの業務を通じ、お客さまの不動産の「ベストパートナー」を目指します。

 

(マーケット事業)

先進国の金融政策、新興国の景気動向に加えて、世界的な政治情勢、地政学リスクなど市場を取り巻く不確実性は高まっています。お客さまの保有資産やバランスシートにも市場リスクが存在しており、マーケットボラティリティ(市場変動)を適切にマネージするソリューションをご提供することでお客さまの資産価値を守っていきます。

マーケティング業務・マーケットメイク業務の知見に加えて、投資業務や財務マネージ業務における長年の経験に裏打ちされた市場リスクコントロールの技術も活用するなど、専門家集団によるボラティリティマネージのあらゆるノウハウを活用し、お客さまに最適なソリューションをご提供していきます。

 

(運用ビジネス)

今後も長期的にグローバルな資産運用ビジネスの成長が見込まれる一方、地政学リスク、パンデミックリスクに加え、競争激化や規制強化による運用手数料低下圧力が一層強まっており、短中期的なビジネス環境は不透明さを増しています。こうした環境を機会と捉え、グローバルベースの先駆的なESG活動を含めた海外ビジネスの拡大に加え、海外の運用会社への提携戦略(出資などを含む)を通じ、グループとしてグローバル展開を加速します。

また、グループ内に特長が異なる運用会社を複数持つ強みを生かして、パッシブからアクティブ、オルタナティブまでフルラインをカバーし、国内外の機関投資家から個人投資家まで幅広いお客さまの多様化する投資ニーズにお応えしていきます。

 

 

(5) 目標とする経営指標

当グループは、2023年度以降の中期経営計画期間における財務目標(KPI)として以下を設定しております。資産運用・資産管理を軸とした信託グループらしいビジネスモデルの推進により、2030年度までにROE10%以上、親会社株主純利益3,000億円以上、AUF800兆円を目指し、早期にPBR1倍以上(時価総額3兆円以上)が達成できるよう、着実に歩んでまいります。

 

 

2023年度
(実績)

2024年度
(予想

2025年度
(目標)

2030年度まで
(ありたい姿)

自己資本ROE

2.68%

8%程度

8%以上

10%以上

実質業務粗利益

8,741億円

9,100億円

9,200億円

1兆円以上

実質業務純益

3,386億円

3,400億円

3,550億円

4,000億円以上

親会社株主純利益

791億円

2,400億円

2,400億円

3,000億円以上

AUF(残高)

580兆円※

600兆円

600兆円

800兆円

手数料収益比率

54.7%

50%台前半

50%台半ば

60%以上

経費率(OHR)

61.3%

62.6%

60%台前半

50%台後半

普通株式等Tier1比率

(バーゼルⅢ最終化完全

実施ベース)

10.2%

10%程度

9.5~10%程度

安定的に

10%以上

 

※定義見直しによる増加分20兆円を含む。

 

(注)1.自己資本ROE:自己資本に対する当期純利益の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が高いほど、自己資本を効率的に使って純利益を稼いでいることを示します。なお、2023年度(実績)の自己資本ROEについては、政策保有株式及び日本株ベア型の投資信託の損益影響を除くと、概ね親会社株主純利益の期初予想(2,000億円)を前提に算出したROEを上回る水準と試算。

2.実質業務粗利益:三井住友トラストグループ及び連結子会社の業務粗利益に持分法適用会社の損益(臨時要因を除いた持分割合考慮後の金額)等を反映した社内管理ベースの計数。

3.実質業務純益:経常利益から与信関係費用や株式等関係損益などの臨時的な要因の影響を控除したもので、実質的な銀行(及びグループ)の本業の収益を表す指標。

4.AUF(Assets Under Fiduciary):社会課題解決と市場の創出・拡大に貢献する投融資、資産運用・資産管理の残高を合計したもの。

5.手数料収益比率:実質業務粗利益に対する各種手数料収益(受託財産に係る信託報酬や不動産仲介手数料、投資信託の販売手数料等)の比率。この比率が高いほど、当グループが注力する手数料ビジネスが粗利益の獲得に貢献していることを示します。

6.経費率(OHR):実質業務粗利益に対する総経費の比率。利益を稼ぐ効率性を示す指標であり、この比率が低いほど、経費を効率的に使って粗利益を稼いでいることを示します。

7.普通株式等Tier1比率:資本金、資本剰余金及び利益剰余金など、自己資本の中でも中核的な資本に対するリスクの割合を表すもの。資本の十分性を示す規制指標であり、この比率が高いほど、リスクに対する備えが厚いことを示します。

 


事業等のリスク

 

3 【事業等のリスク】

当グループでは、フォワードルッキングな視点で、1年以内に当グループの事業執行能力や業績目標に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをトップリスク、中長期的に重大な影響をもたらす可能性があると考えているリスクをエマージングリスクとして、経営者が定期的に選定のうえ、リスクの状況をモニタリング、コントロールしながら、対応策を講じ、取締役会等への報告を行っております。以下の記載における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当グループが判断したものです。

 

<トップリスク及びエマージングリスクの(リスク認識)の表記について>

当グループでは、管理すべき重要なリスクについて、それぞれの「発生可能性」と「影響度」で評価したリスクマップを作成し、定期的に取締役会等に報告しております。当グループのリスク認識として、各トップリスク及びエマージングリスクのリスクマップにおける位置を色と番号で示しています。

 


 

(1) トップリスク及びエマージングリスクとリスク対応策

イ.トップリスクとリスク対応策

トップリスクの内容

当グループにおける対応策

①政策保有株式等の価格下落に関するリスク

当グループは、取引先との安定的・長期的な取引関係の構築、業務提携、又は協働ビジネス展開の円滑化及び強化等の観点から、取引先等の株式等を保有してきております。「株式等の政策保有に関する方針」に基づき、継続的にそれらの削減に取り組んでおりますが、保有期間中において大幅な株価下落が生じる場合には保有株式の減損処理や評価損益の悪化を通じて、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、従来型の政策保有株式(資本・業務提携等を目的とせず、安定株主として保有する取引先の株式等)は原則すべて保有しない方針としております。当該方針のもと、取引先各社の持続的な企業価値向上と課題解決に向けた対話を通じて政策保有株式の削減を加速させてまいります。

・三井住友信託銀行株式会社では、保有している政策保有株式に係る時価変動リスクに対して、相場変動による影響を抑制し経済価値を確保するため、その一部について、経営会議でヘッジ方針を決議のうえ、ヘッジ取引を実施しております。

・当該ヘッジ取引実施後の正味の時価変動リスクに加え、政策保有株式・ヘッジ取引それぞれの評価損益の状況は、日次で計測され財務審議会構成員に報告されており、株価水準等に応じた運営・管理を実施しております。

 

信用ポートフォリオにおける大口与信先への与信集中リスク

多額の信用を供与している取引先グループ(以下、「大口与信先」)の信用状況が悪化した場合、多額の与信関係費用が発生する可能性があります。また、担保取得等のリスク軽減措置を講じていたとしても、担保価値の下落、その他予期せざる理由により与信関係費用が発生する可能性があります。これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・三井住友信託銀行株式会社では、信用格付に応じて取引限度額を設け、大口与信先ごとに信用供与額を管理しております。また、大口与信先に対する与信集中の状況、大口与信先の信用格付の状況について月次でモニタリングを実施し、投融資審議会に報告しております。また、定期的に与信集中リスクに関するストレステストを実施する等、当グループに与える影響を勘案した大口与信先リスク管理もあわせて実施しております。

 

 

 

トップリスクの内容

当グループにおける対応策

不動産市況変調リスク

国内外の不動産市況の変調により、当グループの不動産業向け与信取引と不動産の仲介・媒介業務に悪影響が及ぶ可能性があります。不動産業向け与信取引では、不動産業に特有の要因でクレジットの質が低下した場合には、その回収率が低下し、これにより与信関係費用が増加する可能性があります。

また、不動産の仲介・媒介を行う不動産事業では、不動産市況の低迷により、不動産取引量が減少、不動産仲介・媒介に係る手数料収入が減少する可能性があります。これにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・三井住友信託銀行株式会社では、国内外の不動産市況、不動産業向け与信取引の状況を月次でモニタリングし、対応策とともに投融資審議会に報告しております。また、定期的に不動産業向け与信リスクに関するストレステストを実施する等、当グループに与える影響を勘案したセクター集中リスク管理もあわせて実施しております。

 

サイバー攻撃に関するリスク

ランサムウェアなどのマルウェアの感染、DDoS※1攻撃、BEC※2(Eメール詐欺)は、サプライチェーンへの攻撃等、企業活動に深刻な影響を与えるサイバー攻撃は、ますます大きな脅威となっています。

サイバー攻撃に対しては、継続して対策・強化策を実施しておりますが、攻撃方法は絶えず進化しており、最新の攻撃に対しては万全ではない可能性があります。このため、同攻撃により当グループのサービスの停止や情報漏洩、データの破壊・改ざん等が発生し、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。 ※1 Distributed Denial of Service attack
※2 Business Email Compromise

(リスク認識)


 

当グループは、「サイバーセキュリティ経営宣言」を策定のうえ、経営の重要課題として対策に取り組んでおります。具体的な取り組みとしては、主要グループ関係会社におけるサイバーセキュリティに関する第三者評価作業の実施など態勢面での対応に加え、統合ログ監視の導入やDDoS攻撃対策の高度化による技術的なセキュリティ向上を行う等、多様なサイバー攻撃に対する各種対応を推進しております。

・サイバーセキュリティに対する取り組みは年度計画として策定のうえ、実施状況等について、IT審議会などに定期的に報告し、審議を行っております。また、外部環境の変化を考慮のうえ、定期的にセキュリティの十分性を確認・検証するなど、継続的にPDCAサイクルに則った改善対応を行っております。

 

 

 

 

トップリスクの内容

当グループにおける対応策

法務・コンプライアンスリスク

当グループは、銀行法、金融商品取引法、金融機関の信託業務の兼営等に関する法律等の各種法令諸規則等の遵守を徹底しておりますが、役員及び社員が遵守を怠った場合、当グループに対する罰則・行政処分や市場での評価の失墜を招く可能性があります。また、当グループが提供する商品・サービスが顧客の期待に合致せず、業務遂行の過程で発生する様々なトラブルやクレームに起因して損害賠償請求訴訟を提起される可能性があります。これらにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、グループ各事業の特性に応じた適切なコンプライアンス態勢を整備するため、コンプライアンス・プログラムを策定し、進捗・達成状況を管理しております。

・当グループは、グループ全体としてコンプライアンス意識の浸透を促進するため、コンプライアンス研修を強化しております。具体的には、グループ全体にまたがるテーマについて、eラーニング研修やディスカッション型勉強会などの研修資料をグループ各社に提供しております。グループ各社は、業務・商品の特性やお客さまの属性に応じた研修、勉強会及び個別テーマに関するeラーニング研修を実施しております。

・グループ各社の役員・社員が当グループの大切な価値観を具体的に移すための指針である「私たちの行動指針」の更なる活用、ホットライン活性化等、声をあげる組織風土の醸成に向けた施策を検討、その理解浸透を図っております。

 

⑥金融犯罪を未然に検知し防止する能力に関するリスク

マネー・ローンダリング等の金融犯罪を未然に検知し防止する能力に関して、金融当局は、金融機関に対し引き続き高い期待を持っております。当グループは、当局と協力しながら対応しておりますが、金融犯罪等の手口は巧妙化しており、将来的には金融犯罪等防止態勢の不備により、三井住友トラストグループ商品・サービスが金融犯罪に利用され、それにより国内外の当局から行政処分や巨額の制裁金を課せられる可能性があります。また、当グループの顧客が金融犯罪の被害者になるリスク、当グループと反社会的勢力等で取引関係が生じるリスク、これらに起因したレピュテーション毀損のリスクがあり、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性等のリスクを網羅的かつ具体的に評価した上で、当グループが直面する金融犯罪等のリスクに対し、その評価の程度に応じてリスクを低減させる施策を立案・実施しております。また、実際に金融犯罪等に接する可能性がある社員のリスク感度向上の重要性を認識し、教育・研修等の実施を通じて、人材の育成・確保に努めております。加えて、システム面を含め金融犯罪等の防止態勢の更なる高度化に努めております。

 

 

 

 

トップリスクの内容

当グループにおける対応策

データ管理に関するリスク

当グループは、お客さまへのさまざまなサービスの提供や対外的な報告等のため、各種システム等にてお客さまのデータや経営管理に必要な基礎データ(以下、「経営情報等」という。)を管理しております。経営情報等の管理については、バーゼル銀行監督委員会の「実効的なリスクデータ集計とリスク報告に関する諸原則(BCBS239)」に沿って確立したデータガバナンス体制を適用する業務範囲の拡大と高度化、実効的な重要報告の品質管理フレームワーク運営が課題となります。これらの経営情報等のデータ品質管理プロセスに不備があることにより、経営の意思決定等を誤り、当グループの企業価値の低下や信頼を失うことはもとより、業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、個人情報、経営情報等の管理に関する統制フレームワークを整備し、継続的なデータ管理の強化及びBCBS239に沿ったデータガバナンスの高度化に努めております。

・毎年度、品質管理方針の策定並びにデータ統制環境・整備改善計画を策定し、経営情報システムの高度化を図るとともに、重要報告に係る品質管理フレームワークのPDCAを通じて、報告品質・データ品質の高度化を図っております。

・情報管理に関するポリシーや事務手続等を策定しており、社員に対する教育・研修等により情報管理の重要性について周知徹底しております。

 

⑧ビジネスモデルの持続性に関するリスク

国内外の物価上昇を背景に、計画以上の費用が発生する可能性があります。また、同業他社との競争激化等により、費用に見合った適正な価格設定ができない、あるいは価格の見直しが遅れる可能性があります。

当グループはAUF(Assets Under Fiduciary)の拡大を通じた成長を目指す計画を策定し、様々な施策を実行しております。しかしながら、こうした計画や施策が実行できない、あるいは計画や施策が実行できた場合でも当初想定した成果の実現に至らない可能性があります。

これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、収益力強化とリスク管理高度化の両立を主な目的とした経営管理の枠組み(リスクアペタイト・フレームワーク)を導入しており、リスク・リターン・コストの3つの観点から設定する指標(リスクアペタイト指標)のモニタリング・検証を通じた計画や施策の見直しおよび高度化を必要に応じ実施しています。

・加えて、定期的に、マクロ経済シナリオをベースにした中期的なポートフォリオシミュレーションを実施し、ストレス時の対応策等も協議しております。

・また、多様化するニーズにより的確に応えるビジネスモデルへの進化、デジタル技術の活用も含めた業務効率化等によるコスト構造改善にも努め、競争力の強化を図っております。

 

 

 

 

 

トップリスクの内容

当グループにおける対応策

気候変動に関するリスク

中長期的気候変動により、自然環境や社会インフラ、顧客の資産等に物理的被害が及ぶリスク(物理的リスク)が増加したり、政策変更や、気候変動に対する金融市場の選好や社会通念の変化、技術革新等による低炭素社会への急速な移行(移行リスク)が起こったりすることにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

具体的には、自然災害により与信先の信用状況や担保資産の価値が悪化するリスク(物理的リスク)や、低炭素社会への急速な移行により、二酸化炭素を多く排出する企業が発行する有価証券や当該企業向け貸出金等、当グループの保有資産の価格が下落するリスク等(移行リスク)があります。

(リスク認識)


・当グループは、気候変動に関する基本的方針として「気候変動対応行動指針」を策定しています。また、気候変動関連のリスク管理に関し、「サステナビリティ関連リスク管理方針」を規定し、基本的な考え方、取締役会・経営会議・役員の役割と責任、3線防衛体制、リスクカテゴリーごとの気候変動を考慮したリスク管理方針等を明確化しています。また、気候変動をリスクドライバーとした各リスクカテゴリーにおける1線でのリスク管理プロセスを強化・監督・支援するため、2線のリスク統括部内に気候変動リスクを含むサステナビリティ関連リスクの専門チームを設置しております。

・投融資先の気候変動移行リスク管理においては、高炭素セクターごとの投融資ポートフォリオGHG排出量をパリ協定に沿ったものへコントロールする目的で、投融資ポートフォリオ移行リスク管理態勢を策定しております。この中で、関連各部の役割と責任、セクターポリシーの在り方、1線における与信先の移行リスク管理プロセス及び2線における牽制の在り方等を定めています。これらのリスク管理プロセスは、セクターごとのGHG排出量削減目標の進捗管理や、風評リスク管理と一体となって実施されます。

 

 

 

ロ.エマージングリスクとリスク対応策

エマージングリスクの内容

当グループにおける対応策

地政学に関するリスク

長期化するロシア・ウクライナ紛争に加え、米国と中国の対立が深まる等、世界的に地政学リスクの増大が懸念されます。国家間の対立や各地域における政治的不安定化等により、当グループ取引先の企業業績悪化や金融市場の混乱が生じる可能性があります。また、国家間対立における経済制裁を含む各国の規制強化に伴い、国際的な業務の運営に一部支障が生じたり、規制に抵触したりする可能性があります。これらにより、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、定期的にマクロ経済シナリオをベースにしたストレステストを実施しており、ストレス時のアクションプランを策定しています。ストレステストにおけるマクロ経済シナリオは、トップリスクや当グループの内外環境を考慮して複数のシナリオを策定し、シナリオ毎に業績への影響度合いをシミュレーションしています。

 

 

 

 

エマージングリスクの内容

当グループにおける対応策

②イノベーションに関するリスク

フィンテック等、金融ビジネスに関わるテクノロジーの高度化は、業界の垣根を越えて進歩し、お客さまの行動にも変化が生じております。当グループがこのような変化に適応できない場合、競争力の低下や事業規模の縮小等につながる可能性があり、これにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、デジタル技術を活用した既存業務のオペレーションの効率化や、新たな商品・サービスの提供に取り組んでいます。

・当グループは新商品・サービス導入時に複数の部署がさまざまな角度から検証する審査体制としており、お客さまから信頼していただける商品・サービスの導入に努めております。

 

スタグフレーションリスク

海外先進国において、インフレ期待が中央銀行の目標水準に収まらなくなり、中央銀行が利下げしにくい環境となる可能性があります。また、海外先進国において、債券市場の金利水準が高止まり、株式市場・不動産市場が弱含み、実質可処分所得が低下することで、消費者心理が冷え込み需要全体が弱含む可能性があります。これにより与信先の事業等への悪影響が顕在化した場合、与信関係費用の増加等を通じて当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(リスク認識)


 

・当グループは、信用ポートフォリオについて、定期的にマクロ経済シナリオをベースにしたストレステストを実施しており、ストレス時のアクションプランを策定しております。スタグフレーションリスクについても、業績への影響度合いをシミュレーションしております。

 

 

 

 

(2) その他のリスク

トップリスク及びエマージングリスク以外の主要なリスクには以下のものがあります。

 

イ.事業面に関するリスク

 

① 事業戦略に関するリスク

当グループは収益力強化の観点から様々な事業戦略を展開しておりますが、以下の要因により当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

(ⅰ) 経済環境・市場環境・企業業績の悪化、同業他社との競争激化等の外部要因の変化等によって、事業戦略が奏功せず、当初想定した成果を生まない可能性があります。

(ⅱ) 当グループは、顧客サービスの向上、コスト競争力の強化等を目的として、他社との提携や合弁等を通じて、効率的なグループ経営を行うことにより、当グループとしての中長期的な収益力強化を図っておりますが、他社との提携や合弁等に伴うコスト、採用する事業・再編戦略や会計方針、事業環境の変化、その他の外部要因等により、期待通りのサービス提供や成果を確保できない可能性があります。また、このような提携や合弁等には、当グループと相手先との利益相反や意見対立、提携や合弁等の解消等様々なリスクがあります。

(ⅲ) 当グループの業務範囲の拡大、金融サービスや管理システムの高度化に伴って、当グループが従来経験のない、もしくは予想されなかったリスクあるいはより複雑なリスクに晒される可能性があります。

 

② 企業買収・出資・資本提携等に関するリスク

当グループは、企業価値の向上を目的として、企業買収、出資、資本提携、子会社の設立等を行っており、今後も同様の企業買収等を行う可能性があります。しかし、これら企業買収等は、法制度の変更、競争環境の変化等により、想定通りの効果が得られない可能性があります。また、企業の財務内容や契約関係等の事前調査を十分に行っておりますが、買収後に未認識の偶発債務が発生した場合や、当該子会社等の利益が、期待した水準を大幅に下回った場合には、子会社株式及びのれんについて、相当の減額を行う必要が生じる可能性があります。これらにより、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 子会社・関連会社等に関するリスク

当グループは、グループ会社間の連携により、顧客基盤の拡大やソリューション提供力の強化等による連結収益の拡大に取り組むとともに、経費削減等を通じた効率性の向上に努めております。当グループがグループ内の連携による収益効果を得られるかどうかについては、将来の事業環境の変化による不確実性を伴うものであり、子会社・関連会社の事業又は経営の悪化により、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 信託事業に関するリスク

当グループは、取引先に提供する信託商品のうち一部の合同運用指定金銭信託について、元本補填契約を結んでおります。信託勘定には債権償却準備金を計上しておりますが、これを充当しても元本に損失が生じた場合には、その補填のための支払を行う可能性があります。また、元本補填契約のない信託商品についても、信託事業を遂行する上で、受託者としての責任において負担すべき債務・費用が発生する可能性があります。

また、資産運用業務において、運用成績が市場のベンチマークや他社の運用商品に劣る結果となった場合には、委託者が運用を委託している資金を引き揚げる可能性があり、当グループの業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 規制・制度の変更に関するリスク

当グループは、事業活動を行う上で、様々な法律、規則、政策、実務慣行、会計制度及び税制の法令諸規制等の影響を受けております。これらの法令諸規制等は将来において新設・変更・廃止される可能性があり、その内容によっては、商品・サービスの提供が制限される、新たなリスク管理手法の導入その他の体制整備が必要となる等により、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

 

ロ.業務面に関するリスク

 

① 事務リスク

当グループは、内部規定及び事務処理体制の整備、事務処理状況の定期的な点検、本部の事務指導等によって、適正な事務の遂行に努めておりますが、役員・社員・外部委託先要員が事務処理の過誤や不正等を起こした場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

② 外部委託に関するリスク

当グループは、様々な業務の外部委託を行っております。外部委託を行うにあたっては委託先の適格性や委託内容、形態を含め十分な検討を行っておりますが、委託先の選択が不適切であった場合、委託先において重大な事務過誤等が発生した場合等には、当グループにおいても間接的・直接的に悪影響を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

③ システムに関するリスク

当グループは、様々な業務を遂行するため多様なシステムを活用しております。システムに関しては十分なリスク管理体制を構築しておりますが、コンピュータシステムのダウンや誤作動、システムの不備、さらにコンピュータの不正使用等により、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 新技術リスク

情報通信技術の変化の勢いは加速し続け、お客さまの行動に影響を与えており、当グループは、従来のビジネスモデルを再定義する場合がございます。クラウドコンピューティングやブロックチェーン、人工知能等の新技術は、大きな機会を提供するだけでなく、慎重に管理する必要がある新しいリスクを生み出しております。当グループは、これら新技術に関しては慎重に管理するようにしておりますが、誤作動や不備等により、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 情報セキュリティリスク

当グループは、内部規定及び情報管理体制の整備や社内教育の徹底等によって、顧客情報や社内機密情報の漏洩への対策を講じておりますが、役員・社員・外部委託先要員の不注意や不正行為等により顧客情報や社内機密情報が外部に漏洩した場合、当グループが行政処分や損害賠償等の請求を受ける可能性があり、これにより、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 人材に関するリスク

当グループは、幅広い分野で高度な専門性を必要とする業務を行っており、有能な人材の確保・育成に努めておりますが、必要な人材を確保・育成することができない場合には、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ コンダクトに関するリスク

当グループ各社・役員又は社員の行為が、職業倫理に反していること、又はステークホルダーの期待と信頼(※)に応えていないことにより、当グループ・顧客・市場・金融インフラ・社会及び職場環境に対し悪影響を与える可能性があります。
(※)合理的な期待水準を把握のうえ当グループとして設定する適切なサービスレベル

 

⑧ 人的リスク

人事運営上の不公平・不公正(報酬・手当・解雇等の問題)、人権問題(ハラスメントを含む)等が発生した場合、当グループの業務運営や業績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑨ 災害等の発生に伴うリスク

当グループは国内外の営業拠点や本部、システムセンター等の業務施設において事業活動を行っており、これら施設等や、その他当グループが保有する有形資産(動産・不動産・設備・備品等)及び従事する役員及び社員は、地震、風水害、火災、爆発、停電、戦争、犯罪・テロ、資産管理の瑕疵、あるいは新型インフルエンザ等の感染症等による被害を受ける可能性があります。こうした事態が発生した場合、その被害の程度によっては、当グループの業務の全部又は一部の継続が困難になる等、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑩ 風評リスク

当グループや金融業界一般に対して否定的な内容の報道がなされたり、インターネット等の情報媒体において、否定的な内容の風評・風説が流布したりすることがあります。その内容が正確か否かにかかわらず、こうした報道・風評・風説により、金融業界一般又は当グループのイメージや株価に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

環境・社会的リスク

当グループは、「三井住友トラスト・グループの社会的責任に関する基本方針(サステナビリティ方針)」を掲げ、持続可能な社会の構築に積極的に貢献することが社会的な責任であると認識しています。しかしながら、当グループの事業活動が環境・社会問題に及ぼす影響に対する配慮が不十分である場合、直接的・間接的の如何に関わらず、結果的に問題の発生や拡大、あるいは助長等に関与してしまうおそれがあり、引いては信用リスク等の財務面に関するリスクや三井住友トラストグループ風評等に影響が及ぶ可能性があります。

 

モデルリスク

当グループは、業務遂行上さまざまなモデル(※)を使用しています。モデルには唯一の正解は存在せず、一定の仮定や単純化を含むことにより、不正確なアウトプットを出力するリスクがあります。また、モデルに根本的な誤りがなくても、適切に使用されないことによって、誤った意思決定につながるリスクがあります。当グループではこれらのモデルリスクを認識し、モデルの開発、使用、変更、廃止等の各プロセスにわたり、モデルリスクを管理していますが、モデルの不確実性を完全に排除することはできず、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。
(※)インプット、加工処理プロセス、アウトプットの3つの要素から構成されるものであり、理論や仮定に基づきインプットデータを処理し、アウトプット(推定値、予測値、スコア、分類等)を出力するもの

 

⑬ リスク管理の方針及び手続が有効に機能しないリスク

当グループは、リスク管理の方針及び手続の強化に努めております。しかしながら、新しい分野への業務進出や急速な業務展開、又は外部環境の変化により、リスクを特定・管理するための方針及び手続が有効に機能しない可能性があります。また、当グループのリスク管理の方針及び手続の一部は、過去の経験・データに基づいて構築されたものもあること、将来のリスクの顕在化を正確に予測し対処することには限界があることもあり、有効に機能しない可能性があります。こうした当グループのリスク管理の方針及び手続が有効に機能しない場合には、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

ハ.財務面に関するリスク

 

① 信用リスク

(ⅰ) 不良債権の状況

国内外の景気動向、不動産・株式市場を含む金融経済環境の変化及び貸出先の経営状況等により、当グループの不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。

(ⅱ) 貸倒引当金

当グループは、貸出先の状況、差入れられた担保の価値及び経済全体に関する前提・見積りに基づいて貸倒引当金を計上しております。従って、実際の貸倒費用が貸倒引当金計上時点における見積りと乖離する可能性があります。また、経済情勢全般の悪化、貸出先の信用状況の変化、担保価値の下落その他予期せざる理由により、貸倒引当金の積み増しが必要となる可能性があります。

(ⅲ) 貸出先への金融支援

当グループは、貸出債権等の回収実効性を確保することを目的として、貸出先に債務不履行等が生じた場合においても、債権者として有する法的な権利を必ずしも行使せず、状況に応じて債権放棄や追加貸出等の金融支援を行うことがあります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。

(ⅳ) 他の金融機関の動向による影響

急速な貸出金回収や取組方針の変更等、他の金融機関の動向によっては、当該貸出先の経営状態が悪化する可能性や追加融資を求められる可能性があります。このような場合には、不良債権残高や与信関係費用が増加する可能性があります。

 

② 市場リスク

当グループは、バンキング業務又はトレーディング業務として、債券、株式、デリバティブ商品等の多種の金融商品に対し投資活動を行っております。これらの活動による損益は、金利、外国為替、債券及び株式市場の変動等のリスクに晒されており、その結果、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

③ 退職給付債務に関するリスク

当グループの年金資産の価値の下落や退職給付債務の計算の前提となる期待運用利回りの低下等の数理上の仮定に変化があった場合、当グループの未積立退職給付債務が変動する可能性があります。また、金利環境の変化等によって未積立退職給付債務や退職給付費用に悪影響が及ぶ可能性、年金制度の変更によって未認識の過去勤務費用が発生する可能性及び会計基準の変更によって財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

④ 繰延税金資産に関するリスク

繰延税金資産は将来の課税所得の見積額等に基づき計上されております。経営環境の変化等に伴う課税所得の見積額の変更等によって繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑤ 自己資本比率等に関するリスク

当グループには、銀行法に定める自己資本比率等に関する規制が適用されるため、自己資本比率やレバレッジ比率等の規制比率を所要水準以上に維持する必要があります。

当グループの自己資本比率やレバレッジ比率等が、要求される水準を満たすことができなかった場合には、その水準に応じて、金融庁から経営改善計画の提出や業務の全部又は一部の停止を含む様々な命令を受けることとなり、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑥ 資金繰りリスク

当グループの財務状況や業績の悪化、当グループに対する悪い風評、経済環境の悪化、市場の流動性の低下等によって、当グループの資金調達コストが上昇したり、資金調達が制限されたりする可能性があります。その結果、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑦ 格付低下のリスク

格付機関が格付を引き下げた場合には、当グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される可能性があります。また、当グループのデリバティブ取引に関して追加担保を要求される、既存の顧客取引が解約される等の事態が発生する可能性もあります。このような場合には、当グループの業務運営や、業績及び財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

⑧ ALMに関するリスク

当グループは、バランスシートに内包された上記「②市場リスク」や「⑥資金繰りリスク」等を適切にコントロールする目的で、資産及び負債の総合管理(ALM)を行っています。

国内の金融政策転換等の環境変化により、特に金利上昇局面では、三井住友トラストグループが保有する金融資産価値の変動、資金調達費用の増加、顧客の投資行動の変化等が想定されます。その結果、従来よりもALM運営の難易度は上昇しており、当グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

(3) リスクガバナンス体制

当グループは、グループ全体のリスクガバナンス体制として、各事業によるリスク管理(ファーストライン・ディフェンス)、リスク統括部及びリスク管理各部によるリスク管理(セカンドライン・ディフェンス)、内部監査部による監査(サードライン・ディフェンス)の三線防御体制(スリーラインズ・オブ・ディフェンス)を構築しております。

 


 

(4) リスク管理のプロセス

当グループでは、リスク統括部及びリスク管理各部がセカンドラインとして、以下の手順でリスク管理を行っております。また、このリスク管理プロセスについては、関連するシステムを含め、サードラインの内部監査部により定期的に監査されております。

 

イ.リスクの特定

当グループの業務範囲の網羅性も確保した上で、直面するリスクを網羅的に洗い出し、洗い出したリスクの規模・特性を踏まえ、管理対象とするリスクを特定しております。この中で、特に重要なリスクを「重要リスク」として管理しております。

 

ロ.リスクの評価

管理対象として特定したリスクについて、グループ各事業の規模・特性及びリスクプロファイルに見合った適切なリスクの分析・評価・計測を行っております。「重要リスク」については、定期的に、「発生頻度」「影響度」及び「重要度」を評価し、トップリスクやエマージングリスクなどに該当するかどうかの判断を行っております。

 

ハ.リスクのモニタリング

当グループの内部環境(リスクプロファイル、配分資本の使用状況など)や外部環境(経済、市場など)の状況に照らし、KRI等の指標を設定した上で、リスクの状況を適切な頻度でモニタリングし、状況に応じ、グループ各事業に対して勧告・指導又は助言を行っております。モニタリングした内容は、定期的に又は必要に応じて取締役会、経営会議などへ報告・提言しております。

 

ニ.リスクのコントロール及び削減

リスク量がリスクアペタイトの許容レンジやリスク限度枠を超過したとき、もしくは超過が懸念されるなど、経営の健全性に重大な影響を及ぼす事象が生じた場合には、取締役会、経営会議などに対して適切に報告を行い、リスクの重要度に応じ、必要な対応策を講じております。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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