三菱HCキャピタル(8593)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


三菱HCキャピタル(8593)の株価チャート 三菱HCキャピタル(8593)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】

 三菱HCキャピタルグループは、三菱HCキャピタル、子会社443社および関連会社83社で構成されています。また、その他の関係会社として、三菱商事株式会社および株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループがあります。

(1) 三菱HCキャピタルグループは、「カスタマーソリューション」「海外地域」「環境エネルギー」「航空」「ロジスティクス」「不動産」および「モビリティ」の7セグメントにおいて、事業を展開しています。

報告セグメントごとの主な事業内容は以下のとおりです。

報告セグメント

主な事業内容

カスタマーソリューション

法人・官公庁向けファイナンスソリューション事業、

省エネソリューション事業、ベンダーと提携した販売金融事業、

不動産リース事業、金融サービス事業

海外地域

欧州・米州・中国・ASEAN地域におけるファイナンスソリューション事業、

ベンダーと提携した販売金融事業

環境エネルギー

再生可能エネルギー事業、環境関連ファイナンスソリューション事業

航空

航空機リース事業、航空機エンジンリース事業

ロジスティクス

海上コンテナリース事業、鉄道貨車リース事業

不動産

不動産ファイナンス事業、不動産投資事業、

不動産アセットマネジメント事業

モビリティ

オートリース事業および付帯サービス

なお、翌連結会計年度(2026年3月期)より、「海外地域」の報告セグメントの名称を「海外カスタマー」に変更する予定です。

 

 

(2) 事業系統図は次のとおりです。

 

 


有価証券報告書(2024年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

三菱HCキャピタルグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、三菱HCキャピタルグループが判断したものです。

(1)経営の基本方針

 三菱HCキャピタルは、経営の基本方針である「経営理念」、「経営ビジョン」および「行動指針」を以下のとおり定めています。

 「経営理念」は、長期的な視点でめざす“ありたい姿”、「経営ビジョン」は、この“ありたい姿”を実現するためにめざすべきもの、「行動指針」は、経営理念・経営ビジョンを実現するために社員一人ひとりが持つべき価値観・心構え、取るべき行動です。

経営理念

わたしたちは、アセットの潜在力を最大限に引き出し社会価値を創出することで、持続可能で豊かな未来に貢献します。

経営ビジョン

地球環境に配慮し、独自性と進取性のある事業を展開することで、社会的課題を解決します。

世界各地の多様なステークホルダーとの価値共創を通じて、持続可能な成長をめざします。

デジタル技術とデータの活用によりビジネスモデルを進化させ、企業価値の向上を図ります。

社員一人ひとりが働きがいと誇りを持ち、自由闊達で魅力ある企業文化を醸成します。

法令等を遵守し、健全な企業経営を実践することで、社会で信頼される企業をめざします。

行動指針

チャレンジ     未来志向で、責任を持って挑戦する。

デジタル      デジタルリテラシーを高め、変革を創り出す。

コミュニケーション 対話を通じて相互理解を深め、社内外のステークホルダーと信頼関係を築く。

ダイバーシティ   多様性を受容し、相互に尊重する。

サステナビリティ  人・社会・地球と共生し、持続可能な世界を実現する。

インテグリティ   高い倫理観を持ち、絶えず基本に立ち返る。

 

 

 

(2)中長期的な会社の経営戦略および対処すべき課題

① 経営環境

 昨今の外部環境の変化は激しく、「地政学と経済」「気候変動」「テクノロジーの広がり」「人口動態」「富の格差」といった中長期的に内外経済の動向を左右する潮流、メガトレンドを認識する必要性が増しています。

 このような外部環境の変化の中で、三菱HCキャピタルグループに求められる役割は、従来型のリース・ファイナンスに加えて、事業投資・運営などを通じた社会的課題の解決へと変化しています。また、想像以上のスピードで産業レベルでのビジネスモデルチェンジが生じるとみられ、各企業が環境変化に適応していくうえでは、アセットに関する多様な機能を有し、金融機能にとどまらない柔軟なサービスを提供する三菱HCキャピタルグループの存在意義がさらに高まるものと考えています。

 このような状況を踏まえ、三菱HCキャピタルグループは、2023年度(2024年3月期)からの3年間を対象期間とする中期経営計画(以下、2025中計)を策定、2023年5月に公表しました。

② 三菱HCキャピタルグループの進むべき方向性と2025中計骨子

 三菱HCキャピタルグループは、10年後のありたい姿として「未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター」を掲げました。これを実現するために、データ等、有形・無形のアセットの潜在価値を最大限に活用したサービスや事業経営などを推進することで、「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めています。

 その推進においては、環境・社会・経済的課題の解決を通じた持続的な成長とともに、成長性・資本収益性・財務健全性の3つのバランスをとり、バランスシートの最適化を実現することで、中長期的な企業価値の向上をめざします。

 2025中計は、「10年後のありたい姿」にむけた3次(「ホップ」・「ステップ」・「ジャンプ」)にわたる中期経営計画における「ホップ」として位置づけ、「ステップ」・「ジャンプ」に向けた飛躍につながる「種まき」と「足場固め」をキーワードに取り組んでいます。

 

③ 事業戦略

ビジネス類型

 三菱HCキャピタルグループのビジネスを以下の5つに分類しており、事業ポートフォリオ変革を実現するために「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めます。

 

ビジネスモデルの進化・積層化のイメージ

 「ビジネスモデルの進化・積層化」は、「既存ビジネスの収益力強化と効率化」、「既存ビジネスから高付加価値サービスへのシフト」、「新事業の開発」を同時に行うことにより進めます。

 

・「既存ビジネスの収益力強化と効率化」

 ①カスタマーファイナンス、②アセットファイナンスは、強固な顧客基盤からの安定的キャッシュ・フローを創出する収益基盤の位置づけです。一方で、リターンは相対的に低い資産もあるため、収益力を強化していくとともに、低収益資産の圧縮等も着実に進めていきます。

・「既存ビジネスから高付加価値サービスへのシフト」

 ①カスタマーファイナンス、②アセットファイナンスの顧客基盤を維持・拡大のうえ、これらの既存ビジネスを③ファイナンス+サービス、④データ活用プラットフォームサービスといった高付加価値サービスにシフトし、顧客への提供価値を向上させ、リターンを高めていきます。

・「新事業の開発」

 ④データ活用プラットフォームサービス、⑤アセット活用事業のような「新事業の開発」を進めていき、③ファイナンス+サービスとともに中長期的な利益成長の柱とすべく注力していきます。

 

事業戦略の前提

 利益成長は、「ビジネスモデルの進化・積層化」を通じて、事業ポートフォリオやアセットの質を中長期的に転換していくことにより実現します。そのためにも、配当後のキャッシュ・フローは中長期的視点で積極的に投資していきます。

 その取り組みを下支えするため、バランスシートを最適化することで中長期的な資本収益性と財務健全性を両立し、企業価値を最大化していきます。

 

セグメント別の事業戦略

 セグメント別の事業戦略の方向性は以下のとおりです。

セグメント

事業戦略の方向性

カスタマーソリューション

・各パートナー企業とPoC※1を積み重ねてきた多くの新サービスを開始し、収益性を向上。

・顧客への付加価値提供・経営課題解決に繋がるソリューションを創出し、社内連携・横展開の促進により、「ビジネスモデルの進化・積層化」を加速。

・新たな顧客情報管理システムの構築・活用および人員の配置転換実施により、営業精度向上・効率化など営業プロセスを変革。

海外地域

<欧州>

・脱炭素分野等における新規優良資産の積み上げや、中古車売却益の増加等の収益拡大戦略を推進。

・資金調達コスト低減等による金利手数料の拡大。

<米州>

・金利環境の落ち着きに加え、プライシング基準の見直し等の施策実現による手数料拡大。

・商用トラック向け販売金融事業において、第三者評価を踏まえ与信リスクのコントロールモデル・プロセスの見直しを実施。

・適切なリスクリターンを実現するための事業ポートフォリオの分散・再構築。

航空

・機体/エンジンリース、エンジンパーツアウト※2、および本邦ビジネス間の連携による収益性向上。

・M&A等を通じた良質なポートフォリオの安定的拡大。

・脱炭素社会を見据えた事業・サービスの拡大。

ロジスティクス

・コンテナリース事業における新規投資による案件積み上げ、オペレーションのさらなる高度化による高稼働率を維持。

・北米貨車リース事業における好採算案件の獲得、資産回転型オペレーションの強化による売却益の継続的な獲得。

環境エネルギー

・国内保有電源量(太陽光・風力等)のさらなる拡大(2024年度中に1,000MW超到達)。

・国内太陽光・バイオマス発電事業におけるマイノリティ出資の発電事業の売却加速。

・2024年4月に20%出資を実施したEuropean Energy A/S(再生可能・次世代エネルギー事業会社)を通じた欧州での再生可能エネルギー発電事業の展開。

不動産

・国内における開発強化・付加価値向上による期中収益の向上、物件売却益の継続的な獲得。

・国内ファイナンス事業におけるO&D※3およびポートフォリオの再構築。

・米国問題案件における損失抑制、回収極大化。

モビリティ

・国内外のEV統合型サービスを拡充。

・国内オートリース会社2社の合併によるコスト圧縮および営業力強化。

※1 PoC(Proof of Concept):新しいアイデアや技術の実現可能性を検証すること。

※2 エンジンパーツアウト:中古エンジンを解体し、その各部品を販売する事業。

※3 O&D(Origination & Distribution):不動産ノンリコースローンにつき、優先部分と劣後部分に分けるなど一部の債権を外部に売却等することで収益性を高めるビジネスモデル。

 

 

組織横断重要テーマ

 組織横断的に三菱HCキャピタルグループの総力を挙げて取り組んでいくテーマを以下のとおり設定しています。

 各テーマは、三菱HCキャピタルグループだけではなく、パートナー企業とともに社会的課題の解決を通じて社会価値を創造し、持続可能で豊かな未来に貢献していく、三菱HCキャピタルのありたい姿につながるものとしています。

 

将来のめざす姿

水素

国内屈指の再生可能エネルギー電源保有者として、

グリーン水素製造を軸とした水素サプライチェーンの構築に貢献。

EV関連

EVを起点にカーボンニュートラル社会の実現に貢献。

物流

物流サプライチェーン上の社会的課題・顧客ニーズに対し、

有力パートナーとの協働による最適な物流ソリューションの構築・提供を

通じて、物流サービスのフルラインナップ化を実現。

脱炭素ソリューション

脱炭素社会の実現に向けた総合サービス提供者への進化。

④ 経営基盤強化戦略

 以下の4つの戦略を中心に経営基盤を強化しています。

 

2025中計主要施策

人材の育成・確保

・ サーベイ等を活用した社員エンゲージメントの向上。

・ 経営戦略の実現に資する人材ポートフォリオの形成。

・ 戦略的な人的資本開示。

財務基盤・社内基盤の

強靭化

・ 安定的かつ良質な資金調達と調達余力の拡大、ALM体制の高度化。

・ 事業ポートフォリオ変革に対応した審査、管理態勢の再構築。

・ 新事業、ビジネスモデルに対応した最適なシステムの構築。

コーポレートガバナンス

体制の強化

・ 連結経営体制の強化によるグループ一体運営の推進。

・ ビジネスの進化や変化に対応する統合リスク管理の高度化。

・ グローバルベースの監査一体運営体制の構築。

ステークホルダー

エンゲージメントの向上

・ 財務、非財務情報の開示内容の拡充、発信手法の多様化。

・ 外部ステークホルダーとのコミュニケーション強化。

・ サステナビリティに関する取り組みの推進、強化。

※Asset Liability Management:資産、負債の総合的な管理

⑤ 変革を促す仕組み

 変革の実現に向けて障害となるものを取り除き、変革に向けた意識改革を実施します。

 従来の延長線ではない新たな視点で各種施策においてスピード感を持って推進します。

 

打ち手の方向性

1 変革の土壌を「整える」

全社員の変革意識の醸成。

2 変革を「生み出す」

変革に資する取り組みが活発に生み出されるための仕組みを構築。

3 変革を「推進する」

効率的な意思決定プロセスや権限委譲等を進めることでアジャイル(迅速)な検討態勢を構築し、変革を推進。

 

(3)優先して対処すべき事業上の課題

 三菱HCキャピタルグループは、「10年後のありたい姿」の実現のために、データ等、有形・無形のアセットの潜在価値を最大限に活用したサービスや事業経営などを推進することで、「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めています。

 この「ビジネスモデルの進化・積層化」を進めていくには、社員一人ひとりの意識改革が必要だと考えています。そのための仕掛けとして、「変革を促す仕組み」を構築します。「変革を促す仕組み」として、「変革の土壌を整える」、「変革を生み出す」、「変革を推進する」の3つの切り口から打ち手を実施し、従来の延長線ではない新たな視点で各種施策を実行しています。

 また、2025中計は、「10年後のありたい姿」に向けた3次(「ホップ」・「ステップ」・「ジャンプ」)にわたる中期経営計画における「ホップ」としての位置づけであり、変革に向けた社員の意識改革をはじめとした「ステップ」・「ジャンプ」の飛躍につなげるための「種まき」と「足場固め」に資する戦略に取り組んでいます。

 

(4)目標とする経営指標

 2025中計の対象期間である2023年度から2025年度(2024年3月期から2026年3月期)において、以下の財務目標および非財務目標の達成をめざします。

 

(財務目標)

項目

目標

財務目標

(2026年3月期)

親会社株主に帰属する

当期純利益

1,600億円(2023年3月期実績比 年平均成長率+11.2%)

ROA

1.5%程度(2023年3月期実績比 +0.4pt程度)

ROE

10%程度 (2023年3月期実績比 +1.8pt程度)

配当方針

(2025中計期間)

配当性向40%以上

・ 株主還元は配当によって行うことを基本とする。

・ 利益成長を通じて配当総額を高めていく。

財務健全性

(2025中計期間)

A格の維持

・ 健全な財務基盤と積極的な投資戦略の両立。

・ 現行スタンドアローン格付の維持。

(注)ROAおよびROEの算定においては、親会社株主に帰属する当期純利益を使用しています。

※三菱HCキャピタル単独ベースの信用力評価

 

(非財務目標)

KPI

目標(2025中計期間)

経営戦略に合致した人材ポートフォリオの

充足度(単体)

人材ポートフォリオの枠組みを策定、充足度を可視化。

従業員エンゲージメントサーベイ結果

(単体)

サーベイの内容を精緻化し、分析を高度化。

DXアセスメント※1「スタンダード」

レベル以上の人材比率(単体)

80%以上

月平均残業時間(業務効率)

(単体)

14時間以下

有給休暇取得率(単体)

70%以上

温室効果ガス排出量(Scope3※2

(連結)

影響度の高いカテゴリーを主に分析し、Scope3※2を可視化。

温室効果ガス排出量(Scope1※2,2※2

(連結)

2030年度:2019年度対比△55%

2050年度:ネットゼロ

エネルギー使用量(国内)

(単体+国内グループ会社)

前年度比△1%を継続。

※1 DXアセスメント:外部業者提供のDXリテラシー水準を測るツールで、結果によって「ビギナー」

  「スタンダード」「エキスパート」の3つのレベルに分類

※2 Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

   Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用にともなう間接排出

   Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 


事業等のリスク

3【事業等のリスク】

三菱HCキャピタルグループは、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事業等の主なリスクについて、「統合リスク管理」の枠組みを含めて総合的に管理しており、このようなリスクに対する適切な管理態勢を構築するとともに、リスク顕在化の未然防止と発生時の影響の極小化に努めています。

さらに、各リスクの所管部門が考えられるリスク要因を管理対象として、外部環境の変化等による課題を把握し、定期的にこれらのリスクに対する対策を検討のうえ、業務執行の統制を行うための協議決定機関である経営会議に遅滞なく報告する管理態勢としています。具体的には、経営全般に係るリスクを総合的かつ体系的に管理するリスク管理委員会のほか、個別リスクの課題と対策を議論するALM(Asset Liability Management:資産・負債の総合管理)委員会・コンプライアンス委員会等を四半期ごと、および必要に応じて開催し、リスク状況の報告・対応方針の審議等を行っています。また、各委員会における重要事項は、取締役会に報告し、審議しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において三菱HCキャピタルグループが判断したものです。

 

 

(1)統合リスク管理

三菱HCキャピタルでは、経営の健全性維持と収益性向上を両立させることで持続的な成長を図るため、「統合リスク管理」の枠組みを組み込んだ事業運営を行っています。統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスクには、信用リスク、アセットリスク、投資リスク、市場リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク等があり、連結ベースでリスク管理を行っています。

具体的には、アセットやビジネスの特性に応じた評価手法により各リスクを定量化したうえで、三菱HCキャピタルのリスク資本管理方針に基づきそれぞれのリスクカテゴリーにリスク資本を配賦し、リスク許容度の範囲内で合理的なリスクをとる態勢としています。

こうしたリスク管理の枠組みの中で、定期的にリスク資本の使用状況や各種ポートフォリオの状況についてモニタリングを行い、リスク管理委員会、経営会議および取締役会に報告され、審議することで、適切に対応するとともに、社内におけるリスクに関するコミュニケーションの充実を図っています。リスク管理態勢や管理の状況は、取締役会が把握し、監督する態勢としています。

 

 

(2)統合リスク管理の枠組みで管理している重要なリスク

三菱HCキャピタルグループは、グローバルに事業活動を行っており、取引先の事業に必要な設備投資やサービスをリース等により提供しています。リース取引等のために保有するアセットは、事務機器や生産設備といった一般的な動産のほか、航空機等特定の産業で使用されるアセットまで多様化しています。国内外の景気の減速・後退にともない、取引先の事業環境等が悪化し設備投資需要が大幅に減少した場合、リース取引の減少等により、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、内部プロセス・人・システムが不適切であることもしくは機能しないこと、または外生的事象が生起することから生じる損失によっても、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これら想定されるリスクを対象として、三菱HCキャピタルでは「(1)統合リスク管理」で記載した枠組みで重要なリスクを管理しています。

① 信用リスク

 三菱HCキャピタルグループは、リース取引や割賦販売取引や金銭の貸付等の形態による金融サービスの提供により、中長期にわたり信用を供与する事業を行っています。今後の景気動向や金融情勢によっては、企業の信用状況悪化による不良債権の増加にともない貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、グローバルなビジネス展開を行っていることから、取引先や投資先の国や地域における政治・経済等の状況によって損失を被るカントリーリスクを負っています。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 個別案件の取り組み可否の検討にあたっては、三菱HCキャピタルグループ独自の格付制度を用いて取引先の信用状況を精査するとともに、リース対象物件の価値やカントリーリスク等を踏まえたうえで総合的に審査を行い、リスクに基づく適切なリターンの確保に努めています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況をチェックし、取引先の信用状況悪化の際には必要な措置を講ずる態勢を整えています。さらに、ポートフォリオ全体として、特定取引先、業種、国・地域等に与信が集中しないよう、リスク分散を考慮した与信運営に取り組んでいることに加えて、定期的にポートフォリオの信用リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

② アセットリスク

 三菱HCキャピタルグループは、国内外において、一般的な動産に加え、航空機等のグローバルアセット、建物等の不動産を保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。この事業では、前述の信用リスクに加えて、アセットリスクを負っているため、アセットの運用や処分によって得られる収入の変動が当該取引の採算に影響を及ぼす可能性があります。このため、オペレーティング・リースの取り組みにあたっては、個別案件の取り組み時に、取引先の信用状況に加え、アセットの種類に応じて、その価値を慎重に見極めて審査を行っています。また、取引開始後も継続的に当該アセットに係るリースや売買市場の状況、賃借人によるアセットの利用状況等のモニタリングを行い、リスクの顕在化防止、軽減に努めています。

 

a. グローバルアセット

 三菱HCキャピタルグループは、航空機、航空機エンジン、コンテナ、鉄道貨車等のグローバルアセットを国内外において保有し、オペレーティング・リース等の形態で、これらを賃貸する事業を行っています。グローバルアセットに関する事業では、前述の信用リスクに加えて、当該アセットの価格変動リスクを負っています。オペレーティング・リースでは、取引先からのリース料収入のほか、リース期間満了後にアセットを売却して資金の回収を図ります。また、取引先の経営破綻等の際には、当該アセットを引き揚げたうえで、別の取引先とリース取引等を行うほか、アセットを売却して資金の回収を図ります。アセットの売却に際しては、景気動向や金融情勢のほか、技術的問題に起因する大事故、技術革新による陳腐化、法律や規制等の改定、世界的な感染症の拡大やテロの懸念の高まり、あるいは自然災害や戦争・地政学的リスク等によってもアセットを取り戻せなくなるリスクやアセット売却価格が変動するリスクが生じるほか、減損損失の計上や物件管理に付随するコストの増加等により、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 グローバルアセットのオペレーティング・リースの取り組みにあたっては、個別案件の取り組み時に、動産を対象とする取引時の確認事項に加え、将来のアセットの流動性等を含め総合的に審査を行うとともに、信用リスクやアセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。さらに、アセットの種別や地域・満了時期等リスク分散を考慮したポートフォリオを維持すべく、三菱HCキャピタルグループ内でクライテリアを定めて運用しています。また、取引開始後も継続的に取引先の信用状況や業界動向をチェックし、必要に応じてアセットの劣化を回復するための預かり金を取引先から徴求するなどして、取引先の信用状況悪化の際に必要な措置を講ずる態勢を整えています。加えて、主要なアセットカテゴリーごとに、事業部門とリスク管理部門にて、必要に応じて対象業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的に取引先の信用リスクやポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

b. 不動産

 三菱HCキャピタルグループは、国内外において、オフィス、住宅、商業施設、物流施設、ホテル等の商業不動産に対する投融資や保有不動産を活用した賃貸および事業運営等を行っていますが、当該アセットは収入変動リスクや価格変動リスクを負っています。不動産に関する事業では、テナント等からの賃貸料収入のほか、長期保有方針以外のアセットでは、適切な時期にアセットを売却して資金の回収を図ります。賃貸料収入やアセットの売却収入については、景気動向、金融情勢、アセットの所在する個別のロケーションの賃貸市況といった市況環境によって収入が変動し、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 個別案件の取り組み時に、将来のアセット価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、アセットの価格変動リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。また、取り組み後も継続的にアセットの運用状況、価格動向や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。加えて、事業部門とリスク管理部門にて、必要に応じて業界の動向やアセットの価値変動に影響を及ぼす兆候を点検する予兆管理会議を開催しています。また、定期的にポートフォリオにおけるアセットの価値変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

③ 投資リスク

 三菱HCキャピタルグループは、国内外の太陽光や風力を中心とする再生可能エネルギー発電事業、事業会社やファンドへの出資等のさまざまな事業に対する投資活動を行っています。このような投資活動においては、景気変動や需要の減退といった事業環境が変化するリスク、投資先やパートナーの業績停滞等にともなって期待どおりの収益が上げられないリスクや投資額の回収可能性が低下するリスク、投資先の株価が一定水準を下回るリスクがあるほか、投資先の業績にかかわらず経済・金融情勢の急激な変化や金融市場の大きな混乱等により株価が一定水準を下回る状態が相当期間に及ぶリスク等があり、評価上の損失を含め投資の一部または全部が損失となる、あるいは追加資金拠出が必要となる場合があります。さらには、パートナーとの経営方針の相違、投資資産の流動性の低さ等により三菱HCキャピタルグループが望む時期や方法での事業撤退や事業再編が行えないリスク、あるいは、投資先から適切な情報を入手できず三菱HCキャピタルグループに不利益が発生する等のリスクがあり、そのような場合には、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 投資案件の取り組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて投資協議会を開催し、関係各部の意見を確認、幅広い視点で将来の投資価値や流動性等を慎重に見極めて総合的に判断を行うとともに、リスクに見合った適切なリターンの確保に努めています。加えて、取り組み後も継続的に投資の運用状況や業界動向をチェックし、収益の極大化を図る態勢を整えています。また、定期的にポートフォリオにおける投資価値の変動リスク量を計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。

④ 市場リスク

a. 金利変動リスク

 三菱HCキャピタルグループの行うリース取引や割賦取引におけるリース料や賦払金は、取引対象物件の購入代金や契約時点の市場金利水準等をもとに設定され、基本的に契約期間中は変動しない取引が主体となっています。一方、リース物件等の取得資金に掛かる資金原価等は、資金調達の多様化や資金コスト低減を目的に、固定金利調達と変動金利調達とのバランスを図りながら調達を行っているため、市場金利変動の影響を受けます。したがって、金融情勢の急変によって、市場金利が急激に上昇するような場合、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

b. 為替変動リスク

 三菱HCキャピタルグループは、海外での事業展開に積極的に取り組み、外貨建資産が増加しており、連結営業資産に占める割合も高まっています。三菱HCキャピタルグループの海外連結子会社では、原則として資産と同一通貨での資金調達を行っていますが、各社の財務諸表は現地通貨で表示されている一方、三菱HCキャピタルの連結財務諸表は日本円で表示されているため、為替相場の大幅な変動が生じた場合、日本円換算での三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループでは、金融市場の動向を随時注視するとともに、ALM(資産・負債の総合管理)により、資産運用と資金調達の金利形態や為替等のミスマッチの状況を随時モニタリングし、金利動向を考慮しながら適宜ヘッジオペレーションを行い、金利変動リスクを管理しています。為替変動リスクへの対応としては、外貨建営業資産に合致した通貨での資金調達を原則とし、為替評価差損益を極小化するよう努めています。また、金利や為替相場が不利な方向に動いた場合に、保有ポートフォリオのポジションが、一定期間、一定の確率でどの程度損失を被る可能性があるかを過去の統計に基づいて計量的に示したリスク量を定期的に計測し、これが資本の一定の範囲内に収まっているかをモニタリングすることで、経営の健全性確保に努めています。なお、ALM委員会は四半期ごと、または状況に応じて開催し、地政学リスク、パンデミック等、さまざまなリスクファクターによるシナリオ分析、データ分析を行い、金融市場環境の動向やリスク量の状況などを踏まえてALM方針を決定しています。

⑤ 流動性リスク

 三菱HCキャピタルグループは、リース取引に係るリース物件の取得および割賦取引や金銭の貸付等の事業を行うにあたって、内外の通貨により多額の資金調達を行っています。リース等の与信取引や投資等の期間と資金調達の期間とのバランスを図りながら調達を行っていますが、経済・金融情勢の急激な悪化や金融市場の大きな混乱、あるいは三菱HCキャピタルグループの信用力低下等により、金融機関や投資家のリスク回避姿勢が強まり、十分な資金の確保が困難になる場合、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 資金調達については、金融機関からの借入に加え、社債、コマーシャル・ペーパー、リース債権流動化等、市場からの直接調達により多様化に努め、かつ、長期・短期の調達バランスの調整や綿密な資金繰り管理を行うとともに、コミットメントラインの取得等により緊急時の流動性補完対策を講じ、資金の流動性確保を図っています。

また、資金流動性のステージ管理を実施しており、調達環境が悪化した場合であっても返済資金を含めた当面の必要資金が確保できるように調達構造を構築し、その流動性の状況を確認し、ALM委員会に報告する運用としています。

 ALM委員会では、金利感応度分析(金利変動による収益への影響分析)、クレジット分析を実施するほか、金融市場などにストレスがかかった場合における④の市場リスクおよび⑤の流動性リスクの状況や損益インパクト等を総合的に検証したうえで、市場環境を踏まえた全社戦略を実現するための資金調達戦略、リスク対応への方針を決定しています。特に、リスク管理に関しては、全社的な統合リスク管理の一環であるリスク管理委員会とも連携しています。予兆管理態勢を強化し、コンティンジェンシー・プランと合わせることで、危機に直面したときの財務構造の柔軟性と回復力の向上に努めています。

 また、三菱HCキャピタルグループは近年の事業のグローバル化を支え、外貨調達力を引き上げるためにも、地域財務拠点の再構築を進めています。その一環として、まず三菱HCキャピタルグループの資産残高の多い北米に地域財務拠点を設置し、資金調達の集約を含めた「グループファイナンス態勢」を敷いています。北米の地域財務拠点では、間接金融のみならずUSコマーシャル・ペーパーや社債の発行等による多様な資金調達を実施し、北米に展開するグループ会社に対する資金の提供を行っています。

⑥ オペレーショナルリスク

a. 地震・風水害・感染症・戦争・テロ等に関するリスク

 三菱HCキャピタルグループは、国内外に拠点・システム等の設備を有し事業活動を行っており、地震・風水害等の自然災害や感染症・戦争・テロ等その他の突発的な事態が発生した場合、拠点やシステム等への被害、従業員が直接の被害を受けるまたは出社が制限される等により、拠点の活動が縮小または運営困難などの被害が生じ、事業活動に支障が生じる可能性があります。また、その被害の程度、あるいは当該事象の発生の長期化等によっては、システム等の設備の復旧に多額の費用が必要になる可能性や事業活動の回復に長期間を要する可能性があり、このような場合、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループでは、このような事態に備え、想定されるリスク事象により所管部を定め、危機事態には対策本部を設置し対応する態勢を整備しています。また、事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)の策定、基幹システムの二重化対策、在宅勤務が可能なシステムインフラ整備による業務継続、継続すべき業務を限定したうえでの交代出社等により、業務継続態勢の整備を進めています。

 なお、三菱HCキャピタルグループはウクライナ・ロシアに拠点を有していないこともあり、現時点でウクライナ情勢による三菱HCキャピタルグループへの直接的な影響は限定的ですが、今後の事態が深刻化する場合は、取引先企業の信用状況悪化による不良債権の増加等の間接的影響にともない貸倒引当金の追加繰入等が必要となり、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 2022年3月以降、三菱HCキャピタルでは危機管理対策本部を設置し、サイバーセキュリティ対応、貿易管理やマネー・ローンダリング対応、金融動向注視、案件審査管理の強化、三菱HCキャピタル営業資産価値への影響注視、その他間接的影響の把握および管理等に努めています。

b. システムリスク

 三菱HCキャピタルグループは、さまざまな情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しています。これらの情報システムについては、保守の不備、開発の不調等を起因とするシステムの停止や障害の発生による契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失等により、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループは、システムの安定稼働のため、三菱HCキャピタルおよび協力会社との連携による強固な保守管理態勢を整備し運用しています。障害等発生時には当該事象の社内外の速やかな情報連携・対応を行うとともに、その後の再発防止策の策定・実施も含めた一連の対応態勢を構築しています。また、システムの開発にあたっては、三菱HCキャピタル開発プロセスの標準的手法を国内外のグループ会社へも展開しグループベースでのIT統制を行っています。

c. サイバーセキュリティリスク・情報セキュリティリスク

 三菱HCキャピタルグループは、さまざまな情報システムを利用し、会計処理、各種契約管理、取引先管理、リース物件の資産管理等を行うほか、電子メール等を利用しており、これらの情報システムについては、ビジネスメール詐欺、マルウェアの侵入、外部からの不正アクセス等、サイバー攻撃等を受けるリスクがあります。外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入、人為的ミス、不正、詐欺行為等により、システムの停止や障害、金銭的被害の発生、あるいは三菱HCキャピタル機密情報や取引先情報の漏洩、不正使用等が発生した場合、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、経済的損失、重要情報の外部への漏洩による社会的信頼の失墜等により、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループでは、これらのリスクに対し、社内に組織横断型チームMHC-SIRT(Security Incident Response Team)を設置し、入口・内部・出口の多段階での防御とインシデント発生時の対応態勢を整備しています。具体的には、脆弱性を悪用したサイバー攻撃への備えとして、ソフトウェアを最新の状態に更新し、外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入、サイバー攻撃等を検知し、トラブルを未然に防止する管理態勢を講じるとともに、インシデント発生時の社内外の連携態勢の整備・訓練を行い、全社員に対し標的型メール訓練や情報セキュリティに係る社内教育を継続的に実施しています。

d. 法的リスク

 三菱HCキャピタルグループの業務活動は、国内外の各種関連法令等の適用を受けています。主なものとして、会社法、税法、金融商品取引法、独占禁止法、個人情報保護法、貸金業法、割賦販売法、犯罪収益移転防止法、環境に関する法令等を遵守する必要があり、海外においては、それぞれの国・地域における法令の適用を受け、規制当局の監督を受けています。法令や社内ルール等が遵守されなかった場合、業務の制限や停止、取引先等からの損害賠償の請求、社会的信頼の失墜等により、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループは、法令や各種規制、社内ルールを厳格に遵守して業務活動等を行っています。三菱HCキャピタルグループでは、「贈収賄防止に関する方針」「競争法遵守に関する方針」「反社会的勢力に対する方針」「マネー・ローンダリング等防止に関する方針」「個人情報保護方針」「安全保障輸出管理方針」を定め、これらの方針や規程などを三菱HCキャピタルグループ全役職員に浸透させるために「コンプライアンス・マニュアル」を整備し、いつでも閲覧できるよう社内イントラネットに公開するとともに、コンプライアンスに関する継続的な教育を実施しています。また、「コンプライアンス・ホットライン制度」を定め、外部専門家による定期的な評価を参照しながら運用する等、コンプライアンス態勢の強化に努めています。

e. 制度変更リスク

 三菱HCキャピタルグループの業務活動は、国内外の法令・会計・税制等、各種制度の適用を受けています。三菱HCキャピタルの業務に密接に関連する各種制度に大幅変更・改訂等が発生し、三菱HCキャピタルが当該制度変更・改訂に適切に対処できなかった場合、各種制度への不適合による罰則、商品の取扱い中止、業務活動の制限、会計上の売上減少等により、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループでは、国内外の法令・会計・税制等の各種制度について、コーポレートセンター・各事業部門・国内営業拠点・各国拠点のそれぞれが、担当業務・国に係る制度等の改訂・変更の状況を継続的にモニタリングしていることに加え、外部専門家の積極的な活用により当該モニタリングを補強しながら、各種変更・改訂の早期の情報収集・対策の実施を行っています。

f. 事務リスク

 三菱HCキャピタルグループは、さまざまな形態の取引を行っており、取引ごとにさまざまな事務管理が発生しています。これらの事務管理については、不適切な事務等の人為的ミス、不正等により、契約・回収等の業務や取引先への提供サービスの中断による営業活動の停滞、取引先からの信用の失墜等が発生し、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループは、取引ごとに事務管理ルールを定め、当該事務管理ルールにしたがって業務を行うとともに、同ルールの見直しを適宜実施しています。また、社内で事務事故が発生した場合の社内報告態勢を整備し、事故発生時には社内報告・発生事象への迅速な対応・事故原因の特定と再発防止策の策定・実施を行う態勢を構築し運用しています。

 

(3)その他の重要なリスク

 三菱HCキャピタルグループでは、統合リスク管理の枠組みで管理しているリスクとあわせて、以下のような重要なリスクについても認識しています。こうしたリスクは、各リスクの特性や状況に応じて、統合リスク管理の枠組みで管理している各リスク項目への影響や複数のリスク項目に跨る複合的な影響を分析するとともに、三菱HCキャピタルグループとしての対応を検討、必要に応じて対応方針を策定するほか、状況に応じてシナリオ分析などを実施して、リスク耐久力に対する多面的な検証を行っています。

① コンダクトに関するリスク

 三菱HCキャピタルグループでは、10年後のありたい姿である「未踏の未来へ、ともに挑むイノベーター」に向けて「変革」をキーワードとしてさまざまな施策を実施していますが、この過程において役職員による顧客保護、有効な競争、市場の健全性、公共の利益および社会規範から逸脱した行為等によりステークホルダーに不利益が生じた場合、三菱HCキャピタルグループの信用、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループでは、「経営の基本方針」のなかで「社員一人ひとりが“持つべき価値観・心構え”“取るべき行動”」である「行動指針」のひとつとして、高い倫理観を持ち、絶えず基本に立ち返る「インテグリティ」をもって行動するよう定め、全役職員に徹底しています。また、「三菱HCキャピタルグループ倫理綱領・行動規範」を定め、法令はもとより社会規範の遵守やその精神を重んじ高い倫理観をもって行動するよう全役職員に徹底するとともに、「インテグリティ」に関する継続的な教育を実施しています。

② 人材確保に関するリスク

 三菱HCキャピタルグループは、国内外で展開している各種事業の競争力を維持・強化していくため、十分な人的資源を安定的に確保する必要があります。三菱HCキャピタルグループでは、継続的に有能な人材の確保・育成に努めていますが、必要な人材を十分に確保・育成できない場合、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 労務・雇用管理に関するリスク

 三菱HCキャピタルグループの業務には多くの従業員が従事していますが、長時間労働により、従業員の心身の健康等に悪影響を及ぼし、想定していた業務を遂行できないリスク、または雇用等に関する法令遵守事項を適切にモニタリングしていないことによって法令違反を犯してしまうリスク、加えてこれらにより社会的信用を毀損する可能性があります。

 上述のリスクを低減するため、生産性向上に向けたプロジェクトや多様な働き方を可能とする制度(テレワーク、フレックスタイム等)を推進し、長時間労働縮減だけでなく育児・介護の必要な社員が活躍できる環境づくりに努めています。また、ハラスメント等の労務問題についても国内外の従業員に対して、社内通報・相談窓口を設置するなど対応しています。三菱HCキャピタルでは、従業員が最大限能力を発揮できるよう「働きやすい職場づくり」を三菱HCキャピタルの重要な取り組みテーマとして推進しています。

④ 事業基盤拡大・戦略的提携・M&A等に関するリスク

 三菱HCキャピタルグループは、事業基盤拡大による持続的な成長を図るため、国内外で、三菱HCキャピタルグループ独自での展開に加え、各種サービスの充実に向けた外部との戦略的な提携にも取り組んでおり、また、M&Aによりグループの事業ポートフォリオの多様化・拡充を図っています。

 このようなアプローチで、事業の多角化やサービスの充実に取り組んでいますが、国内外の経済・金融情勢の変化、競争の激化、提携先の事業環境の変化や戦略の変化、関連法令の変更等により、期待した効果が得られない可能性、M&Aの際に計上したのれんの減損処理を迫られる等、追加的な費用計上が必要となる可能性があり、このような場合、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 M&A等の案件の取り組みにあたっては、個別案件の投資額やリスクの深度等に応じて関係各部で検討を行うほか、外部の専門家を起用し、幅広い視点で投資ストラクチャーの合理性や将来の投資効果等を慎重に見極めて総合的に判断を行うこととしています。なお、M&A案件実行後においても、三菱HCキャピタルグループの規程等を適用し、適正な業務運営を行う態勢を整備するとともに、その事業計画や実績管理等のモニタリングを行い必要な対応を適時に行う態勢としています。

⑤ ビジネス領域の拡大にともなうリスク

 三菱HCキャピタルグループは、法令や規制をはじめとする各種の条件で許容される範囲において、新規のビジネス領域を含めた業務範囲をグローバルベースで拡大しています。その過程において、拡大したビジネス領域に関する経験や知見またはリスクの検証を実施してもなお、リスクの顕在化が合理的想定の範囲を超えるなどした場合、あるいは、拡大した業務範囲のビジネスが想定どおりに進展しない場合には、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 競争の激化

 三菱HCキャピタルグループが国内外で行っているリース取引等の各種事業では、同業のみならず金融機関等も含めた競争のさらなる激化、あるいは異業種のビジネスモデル転換や技術革新等による競争環境の変化が生ずる可能性があります。三菱HCキャピタルグループでは、競争力の維持・強化に向けて、取引先へのさらなる付加価値サービスの提供、アセットホルダーとしての価値創造力、低コストによる資金調達などさまざまな取り組みを進めていますが、競争状況がさらに激化した場合、マーケットシェアの低下や利益の減少により、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 気候変動リスク

 脱炭素社会への移行にともなう規制変更や技術革新、ビジネスモデルの転換等に対応できないこと、または地球温暖化にともなう異常気象等により、業績悪化等による取引先の経営破綻、三菱HCキャピタルグループが保有するアセットの価値下落等が生じ、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、気候変動リスクへの対応や情報開示が不十分であった場合、またはそのように見做された場合には、三菱HCキャピタルグループの企業価値の毀損につながるおそれがあります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループは、持続的に成長するうえで優先的に取り組むべきテーマとして、「脱炭素社会の推進」をマテリアリティ(重要課題)として認識しており、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、TCFD提言に準拠したリスクの把握・評価や情報開示の拡充に取り組んでいます。また、三菱HCキャピタルグループは、気候変動リスクを全社的なリスク管理における重要なリスクの一つとして認識しており、気候変動リスクを把握し、管理する取り組みを進めていきます。

 

⑧ 人権侵害リスク

 企業の責任はサプライチェーン全体に及び、またサステナビリティへの取り組みが重視されるなか、企業が尊重すべきステークホルダーは、広く一般の個人や地域住民にまで及ぶという考えが主流になってきています。こうしたなか、当該ステークホルダーを軽視し、三菱HCキャピタルグループにおける人権侵害や、三菱HCキャピタルグループの取引先での人権侵害が発生し、三菱HCキャピタルグループが人権侵害を自ら引き起こした、助長した、または直接関与したと見做された場合、三菱HCキャピタルグループの企業価値の棄損につながるおそれがあります。

〔リスクに対する主な取り組み〕

 三菱HCキャピタルグループは2022年9月、人権方針を定め、「人権の尊重を経営における重要課題と認識し、事業活動のすべてにおいて、その責任を果たす」ことを宣言しています。また、2022年10月より、社内にて人権侵害リスクへの対応プロジェクトをスタートさせており、今後も、人権侵害を排除する取り組みを進めていきます。

⑨ 世界的な感染症リスク

 世界的な感染症の拡大(パンデミック)が生じた場合、広域なサプライチェーンの分断、各国政府による経済活動の一定期間の抑制措置や停止措置の実施、産業システムや金融機能の棄損などにより、幅広い顧客層や三菱HCキャピタル保有アセットを利用したビジネスに影響が波及し、取引先の経営破綻や保有アセットの価値下落などが生じて、三菱HCキャピタルグループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 2020年より続いてきた新型コロナウイルス感染症の収束後においても、「生産性向上」や「再度の感染拡大をはじめとしたBCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)」の観点から、コロナ禍で進展した社内外とのITリモートコミュニケーションツールや在宅勤務制度等を活用した多様で柔軟な勤務形態の推進を継続していきます。

 

(4)ストレステスト

 経営戦略の遂行にあたっては、景気悪化や市場変動、各種市況の悪化等、三菱HCキャピタルグループのビジネスに影響を及ぼすと考えられるさまざまなリスク事象について、ストレス時の影響度を把握するようにしています。具体的には、世界経済が悪化するシナリオに加え、事業分野ごとに市況変動やクレジットの悪化、大口集中リスクの顕在化など、強いストレスを想定した複数のシナリオを設定し、ストレス状況下において、期間損益や自己資本にどの程度の影響が生じる可能性があるのか、分析・検証を行っています。

 こうした多面的な検証により、経営計画において、リスク選好に無理は生じていないか、リスクの耐久力の確認を行っています。

 




※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。

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