九州旅客鉄道(9142)の事業内容、事業の状況や経営戦略、事業等のリスクについて

TOP関連銘柄

事業の状況や経営戦略など
事業などのリスク


九州旅客鉄道(9142)の株価チャート 九州旅客鉄道(9142)の業績 沿革 役員の経歴や変遷

3【事業の内容】九州旅客鉄道グループは、当連結会計年度末現在、九州旅客鉄道と子会社65社及び関連会社7社により構成されており、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設及びビジネスサービス事業を九州全域を中心に展開しております。また、九州旅客鉄道グループは、九州新幹線をはじめとした九州の主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しております。各主要都市では九州旅客鉄道グループが保有する駅ビルを管理・運営しており、地域に根ざした魅力的でにぎわいの溢れるまちづくりを推進しております。各事業における九州旅客鉄道及び九州旅客鉄道の関係会社の位置づけ等は、次のとおりであります。次の5グループは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。 (1)運輸サービスグループ運輸サービスグループでは、鉄道事業、バス事業を行っております。鉄道事業では主に九州の7県において、新幹線2路線、幹線8路線、地方交通線13路線の合計23路線を運営しており、総営業キロは2,342.6キロに及びます(2026年3月31日現在)。九州旅客鉄道の鉄道ネットワークは、九州地域の基幹的交通機関として都市間輸送や通勤・通学をはじめとする日々の生活を支える重要な交通インフラであるとともに、「ななつ星in九州」や「D&S(デザイン&ストーリー)列車」による九州全体のブランド価値の向上と九州への誘客促進の役割を果たしております。その他、バス事業では乗合バス事業、高速バス事業、貸切バス事業を行っております。 〔主な会社〕(鉄道事業)九州旅客鉄道、豊肥本線高速鉄道保有㈱(バス事業)JR九州バス㈱(その他) 1社 (2)不動産・ホテルグループ不動産・ホテルグループでは、不動産賃貸業(商業施設、オフィス、マンション等)、不動産販売業(分譲マンション等)、ホテル業等を行っております。不動産賃貸業では、主に九州の主要都市において九州旅客鉄道が保有する駅ビル等の管理運営を関係会社が行っております。主な物件と管理運営主体は次のとおりです。 主な駅ビル所在地管理運営主体JR博多シティ福岡市博多区㈱JR博多シティ その他、九州旅客鉄道において「RJR」ブランドでマンション賃貸業を行っております。不動産販売業では、九州旅客鉄道において「MJR」ブランドで分譲マンションの販売を行っております。ホテル業では、宿泊特化型ホテルのチェーン展開を中心に九州の各拠点で合計14施設、東京で2施設、京都で1施設、沖縄で1施設、タイ・バンコクで1施設の運営を行っております。 〔主な会社〕(不動産賃貸業)九州旅客鉄道、㈱JR博多シティ(不動産販売業)九州旅客鉄道 (ホテル業) JR九州ホテルズアンドリゾーツ㈱(その他) 23社 (3)流通・外食グループ流通・外食グループでは、小売業、飲食業等を行っております。小売業では、土産専門店「銘品蔵」、コンビニエンスストア「ファミリーマート」等を展開しております。飲食業では、ファーストフード店等を展開しております。 〔主な会社〕(小売業)JR九州リテール㈱(飲食業)JR九州ファーストフーズ㈱(その他)5社 (4)建設グループ建設グループでは、建設業等を行っております。建設業では、鉄道の専門技術を活かし、鉄道に係る土木・軌道・建築工事やメンテナンスを事業の主体とし、土木、建築工事においては官公庁工事や民間工事も行っております。 〔主な会社〕(建設業)九鉄工業㈱(その他)11社 (5)ビジネスサービスグループビジネスサービスグループでは、建設機械販売・レンタル事業等を行っております。建設機械販売・レンタル事業では、建設機械やディーゼルエンジン、発電機等の販売・レンタル、メンテナンス及び教習を行っております。 〔主な会社〕(建設機械販売・レンタル事業)キャタピラー九州㈱(その他) JR九州セコム㈱、九州旅客鉄道含む14社 九州旅客鉄道グループの系統図は次のとおりであります。 お 客 さ ま 及 び 取 引 先 運輸サービスグループ 不動産・ホテルグループ 流通・外食グループ (鉄道事業)豊肥本線高速鉄道保有㈱ (バス事業)JR九州バス㈱ (その他)1社 (不動産賃貸業)㈱JR博多シティ (ホテル業)JR九州ホテルズアンドリゾーツ㈱ (その他)23社 (小売業)JR九州リテール㈱ (飲食業)JR九州ファーストフーズ㈱ (その他)5社 九 州 旅 客 鉄 道 ㈱ 運輸サービス、不動産・ホテル、ビジネスサービス 建設グループ ビジネスサービスグループ (建設業)九鉄工業㈱ (その他)11社 (建設機械販売・レンタル事業)キャタピラー九州㈱ (その他)JR九州セコム㈱※13社 (注)1 ※は持分法適用関連会社2 建設グループは九州旅客鉄道の鉄道関連施設及び九州旅客鉄道が保有する駅ビル等の工事を運輸サービスグループ又は不動産・ホテルグループから請け負っております。

有価証券報告書(2026年3月決算)の情報です。

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 九州旅客鉄道グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において九州旅客鉄道グループが判断したものであります。 (1)経営方針及び経営環境九州旅客鉄道グループは、経営理念として「わたしたちの夢」、「使命」、「おこない」を掲げるとともに、経営理念から導出したJR九州グループが常に考えるべきことであるマテリアリティを設定しております。(経営理念) わたしたちの夢:「九州の元気を、世界へ」魅力あふれるまちづくりを通じて、九州をもっとにぎやかに、もっとおもしろく。九州に住む人、九州を訪れる人、そしてJR九州グループをご利用の世界中の人を元気にしていきます。 使命:「安全を最優先し、お客さま視点で考え、安心で快適な毎日と “わくわく”するときをつくる。」 おこない:「誠実」 常に誠実さを貫き、自分に、そして社会に誇れる仕事をする。   「共創」 人や地域、多様な仲間と未来につながる価値を共創する。       「挑戦」 柔軟な発想を持ち、成長のための挑戦を続ける。 (マテリアリティ) ①事業  「最大の使命である安全の創造とお客さま満足の追求」   ・私たちが営むあらゆる事業は、安全であるというお客さまからの信頼の上に成り立っています   ・変化する世界の中でも、安心で快適な毎日をつくり出すため、誠実に手間を惜しまず安全を最優先し、    お客さまにとって価値のある商品やサービスを提供します   「モビリティサービス を軸に総合力を活かした地域との共創によるまちづくり」   ・モビリティサービスを軸に多様な商品やサービス、そこから生まれる“わくわく”の提供を通じて、    まちとまち、まちと人、人と人をつないでいきます   ・地域のことを深く理解し、JR九州グループに関わるすべての人と手を取り合いながら、持続可能で魅力    あふれる、「住みたい・働きたい・訪れたい」まちづくりを推進します   ②基盤  「価値創造の源泉である人づくり」・社員の誰もがやりがいを持ち、いきいきと活躍できる会社をつくるとともに、人間力・実務力を持っ た人材を育成します   ・多様な価値観や能力を活かし、社員の“個”の力の最大化を図ります     「健全な企業運営」   ・情報を適切に管理・共有するとともに、法令の遵守を徹底します   ・持続的な成長のための適切なリスクテイクを実現するガバナンス体制のあり方を常に検討します   ・ステークホルダーとの対話を充実させ、適切に企業活動に活かしていきます     「環境と調和した事業展開」   ・環境優位性を有する鉄道輸送の提供により脱炭素社会の実現に貢献します   ・効率的な資源利用による資源循環や生物多様性保全の取組みを推進します   ・ビジネス機会でもある環境課題の解決を通じて、持続可能な社会の形成に貢献します (経営環境)グローバルな社会・経済情勢の変化が、九州旅客鉄道グループを取り巻く経営環境に加速度的な変容を及ぼしている現況を的確に捉え、俯瞰的に将来の変化を見据えた経営を行うことが肝要と認識しております。特に、国内における物価高騰や労働人口の減少、働き手の価値観の変容を踏まえた待遇改善の必要性については、注視が必要な変化と捉えております。また、諸外国の政策動向や金融資本市場の変動等の影響に鑑みると、今後の経済の先行きには注意する必要があるものと考えられます。 (2)対処すべき課題2026年3月期よりスタートした「JR九州グループ中期経営計画2025-2027」では、コロナ禍からの成長軌道への復帰を果たした前中期経営計画と九州旅客鉄道グループ内外の環境変化を踏まえて、長期的な目線で九州旅客鉄道グループが持続的な成長を遂げていくことに主眼を置いた戦略の実行が必要との認識のもと、3つの重点戦略である「サステナブルなモビリティサービスの実現」、「事業間連携の強化によるまちづくり」、「未来への種まき」を推進するとともに、「労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充」、「環境課題への統合的なアプローチ」、「DX活用範囲の拡大と深堀り」、「グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築」からなる経営基盤強化の取り組みを進めてまいります。 1.サステナブルなモビリティサービスの実現昨年4月、消費税の引き上げによるものを除き、29年ぶりに実施した運賃改定は、鉄道事業にとって大きな転換点であったと認識しております。デフレからインフレへ環境が変化する中、運賃改定により物価高騰や人材確保に向けた待遇改善等のコスト上昇に対して、より適切な対応が可能になったと考えています。運賃改定を契機として、安全やお客さま満足の更なる向上をはじめ、各種取り組みをさらに強力に推進することで、重点戦略の1つであるサステナブルなモビリティサービスの実現を達成し、グループ全体の持続的な成長につなげてまいります。また、新たに策定した「安全中期計画2026-2028」を柱として、車両データ分析等の新技術を実装し、安全性のさらなる高度化を図ってまいります。さらに、「お客さま満足向上戦略(2025~2027)」を深度化させ、モバイルIC導入や「QRチケレス」の拡充で利便性を高めるとともに、新たな車両の製造や既存D&S列車の刷新を検討するなど、お客さまへご提供する旅の魅力向上に努めます。あわせて自動運転区間の拡大や公衆回線を使用した無線式列車制御の導入準備を進め、強固で効率的な運営体制の早期構築を目指してまいります。 2.事業間連携の強化によるまちづくり駅を中心としたまちづくりを核に、各事業の成長に加え、事業間連携を強化し、グループの総合力の最大化を進めてまいります。事業間連携強化のポイントとなるのが、お客さま接点の強化です。九州旅客鉄道グループが提供する各種サービス会員の新規獲得等、これまで推進してきたJRキューポの取り組みを強化し、お客さまに寄り添った行動の提案や、特典の付与等による複数サービスの利用促進を通じて、お客さま単価・ご利用頻度の増加につなげてまいります。また、福岡都市圏や豊肥本線沿線における大規模な開発プロジェクトを着実に進め、沿線全体の価値向上を牽引するとともに、インフレによる建設コスト増大が進む中、更なる収益拡大策として、駅ビルや商業施設などの既存アセットのリニューアル(バリューアップ)に取り組みます。 3.未来への種まき未来への種まきとして、引き続き、適切なリスクテイクを通じた新たな事業機会の創出とレジリエンスの更なる強化に積極的に取り組んでまいります。新たな事業機会の創出について、外部環境の変化に対応し、不透明な将来においても九州旅客鉄道グループの競争力を維持するためには、新規事業への挑戦が不可欠だと認識しています。新たな収益源の確保と既存事業の変革・活性化を目指し、本中期経営計画期間においては、ベンチャーキャピタルへの出資等を通じたスタートアップとの協業等を加速してまいります。本年4月には既存事業の枠を超えた視点で新規事業創出を行うため、フロンティア創造部を立ち上げました。レジリエンスの強化について、資本効率性の向上を意識しつつ、人流依存の事業ポートフォリオの改善、お客さまとの接点の強化・拡大など、九州旅客鉄道グループの強みが活かせる事業への投資を行ってまいります。 4.労働市場の変化を踏まえた人的資本拡充本中期経営計画期間では、昨今の激しく変化する労働市場に鑑み、長期的に事業を継続し、成長させていくという観点から待遇や働きやすさを改善するための投資を拡充していきます。加えて、マテリアリティや事業戦略と連動して各種研修を拡充するなど、持続的な成長を支える人材の育成を推進いたします。また、従業員意識調査の結果を反映させた人材戦略を推進し、DE&Iの促進や自発的に学ぶ社員への支援等を通じて、「明るく楽しい会社づくり」を推進し、経営基盤を強化してまいります。 5.環境課題への統合的なアプローチ昨年2月に「JR九州グループ環境ビジョン2050」を策定し、従前より取り組んできた気候変動に加え、資源循環や生物多様性も含めた統合的なアプローチを行うことで、自然と共生した未来を目指しています。2050年カーボンニュートラルに向けては2035年度における野心的な目標として、2023年度比でグループ全体のGHG排出量60%削減を掲げており、省エネ型車両への更新やバイオ燃料の実証試験に加え、PPA(電力購入契約)を活用した再生可能エネルギーの調達を拡大していくなど、それぞれの領域において長期的に企業価値の向上に資する取り組みを意欲的に推進してまいります。   6.DX活用範囲の拡大と深堀り    「JR九州グループDX戦略」に基づき、「デジタルの力で、まちを、お客さまを、社員を、元気に」を旗印に各種取り組みを推進するとともに、生成AIやAIエージェントの積極活用により、オペレーションの変革と生産性向上を図ります。また、並行してこれらを支えるセキュリティ基盤の強化にも積極的に取り組んでまいります。   7.グループガバナンス強化・適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築   (1)グループガバナンス強化2024年度、連結子会社であるJR九州高速船株式会社において安全確保に関わる重大な問題が発生したことを受け、九州旅客鉄道は、再発防止策の策定とグループガバナンス強化に注力してまいりました。また、昨年4月よりグループ会社に常勤監査役を配置することを基本とし、監査体制を強化するとともに、グループ会社の非常勤取締役が各社の現地視察や社員との意見交換を実施する等を通じて、業務の実態把握を強化する取り組みを推進しております。また、これらの実施状況を半期に一度、九州旅客鉄道の取締役会に報告することにより、グループガバナンスの更なる強化を進めてまいりました。しかしながら、昨年、連結子会社においてアルコール検査未実施の事象が発生するとともに、点呼業務を適切に実施していなかった事案も判明しました。これらの事象を受け、九州旅客鉄道では、全グループ会社における自動車運転時のアルコール検査の実施状況を確認するとともに、アルコール検査の厳格化を図っております。また、2026年度以降、九州旅客鉄道のグループ会社の子会社に対しても九州旅客鉄道から監査役を派遣するなど、グループ全体の監査体制の更なる強化を進める方針です。更に、グループ会社における安全等のリスク管理の全体総括等を目的として、本年4月、九州旅客鉄道にリスクマネジメント推進室等を新設し、グループ会社の安全等のリスク管理をより一層強化してまいります。今後も、これらの対策を継続し、その実施状況を適切にトレースすることで、グループガバナンスを強化するとともに、九州旅客鉄道グループにおける安全意識の向上及び安全管理体制の再構築を進め、グループ全体で安全を最優先とした事業運営を行ってまいります。    (2)適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築持続的な企業価値の向上に向けて、引き続き、取締役会の独立した社外取締役の比率を原則過半数とするとともに、業績・企業価値の向上に対する動機付けをより強くする方向で役員報酬の見直しを行う等の仕組みを継続・強化していくことで、適切なリスクテイクを可能にするガバナンス体制構築をより一層促進してまいります。

事業等のリスク

3【事業等のリスク】九州旅客鉄道グループは、九州新幹線をはじめとした九州主要都市間を結ぶ鉄道ネットワークを有しており、鉄道事業に加えて、鉄道事業との相乗効果の高い不動産業(駅ビル商業施設、マンション、ホテル等)、小売業、飲食業、建設業等について九州を中心に展開しております。本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において九州旅客鉄道グループが判断したものであります。 1 安全の確保に関する事項鉄道事業にかかる重大事故があった場合、第三者から損害賠償等の請求を受ける可能性があるほか、損傷した鉄道路線の修繕や交換に要する多額の支出の発生、運休による収入の減少及び九州旅客鉄道グループの評判や社会的信頼の毀損が生じる可能性があります。なお、新幹線を中心に、鉄道ネットワークは相互連携しているため、比較的小規模な事故であっても九州旅客鉄道グループの鉄道の運行に広範囲にわたって支障を来たす可能性があり、九州旅客鉄道グループの収益の減少をもたらすほか、鉄道サービスや設備の安全性そのものに対する懸念を生じさせ、場合によっては九州旅客鉄道グループの鉄道事業以外の事業に対する社会的信頼やブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。九州旅客鉄道グループにおいては、基幹事業である鉄道事業の安全は最大の使命であり、企業価値の源泉であるという認識の下、経営トップの主体的関与により安全管理に係るPDCAサイクルを適切に機能させ、安全監査及び安全点検等を実施することにより、更なる安全の確保に努めています。 2 少子高齢化等の人口動向に関する事項九州旅客鉄道グループの主な事業エリアである九州は、人口減少率が国内の他のエリアよりも高く、加えて高齢者の割合も高い傾向が続くと予測されています。今後の九州の人口減少及び少子高齢化によって、通勤や通学等の定期収入、ビジネスや旅行等の定期外収入が減少する場合、運輸サービスグループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、九州旅客鉄道グループの駅ビル等の商業施設や店舗等の利用者が減少する場合や、賃貸マンション・分譲マンションの利用者・購入者が減少する場合、不動産・ホテルグループや流通・外食グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。進行する人口減少に対して、九州旅客鉄道グループは、沿線価値を高める駅ビル及びマンション開発等により沿線の定住人口を増やすとともに、ビジネスや観光、アジア各国との地理的なメリットを活かしたインバウンド需要の取り込み等により交流人口を増やし、鉄道事業の収入の確保や九州圏内の消費の活性化を図っております。 3 自然災害等に関する事項九州旅客鉄道グループは、九州を中心として幅広い事業を展開しており、そのなかで鉄道軌道、鉄道車両、不動産といった多くの固定資産を有しているため、地震、火山の噴火、津波、台風、地滑り、豪雨、大雪、洪水等の自然災害、テロリズムや武力紛争等の人的災害が発生した場合には、かかる保有資産の大規模な修繕に加え、九州旅客鉄道グループの業務運営の全部若しくは一部を継続できない又は重大な支障が生じる可能性があります。特に九州旅客鉄道グループの事業が集中する九州あるいは福岡において甚大な被害が生じた場合には、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。2020年7月に発生した「令和2年7月豪雨」の影響により、久大本線及び肥薩線の鉄道施設に被害を受け、肥薩線においては、現在も一部区間において代行輸送を行っております。昨今の自然災害の頻発及び激甚化を踏まえて、着実な安全投資を行い、新幹線脱線対策や構造物の耐震補強の対策や、降雨による線路沿線斜面の落石・崩落防止等の対策を講じるほか、机上訓練や避難誘導訓練等を実施する等、ハード及びソフト両面の防災及び減災対策の強化に努めております。 4 感染症に関する事項重大な感染症が国内外において発生・流行した場合、社会経済活動の制約やお客さまの外出の自粛、社員の感染等により、鉄道事業を始めとした九州旅客鉄道グループの正常な事業活動ができなくなり、九州旅客鉄道グループの財政状態及び経営成績に大きな影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症が発生・流行した際には、鉄道利用者の大幅な減少、駅ビル等商業施設の休館又は営業時間短縮等による賃料収入の低迷、ホテルの休館又は客室稼働率減等に伴う売上減少等の影響が発生しました。国内外で重大な感染症拡大の恐れがある場合には、九州旅客鉄道が定める「新型インフルエンザ等対策業務計画」に基づき、社長を対策本部長とする対策本部を設置し、政府関係機関・自治体との連携や感染防止への措置など、事業継続に向けた対策を速やかに実施します。 5 経済動向や国際情勢に関する事項九州旅客鉄道グループは、運輸サービス、不動産・ホテル、流通・外食、建設、ビジネスサービス等の様々な事業を主に九州で展開しており、消費動向や政府による経済政策の影響等、日本全体の経済環境のほか、福岡市やその他の主要都市部をはじめとした九州の経済環境の影響下にあります。また、為替相場の変動、政治的なリスクの顕在化、中東地域を含む地政学的リスクの増大、自然災害や異常気象の発生、感染症の流行等の国内外の状況により、韓国・中国・台湾・香港等のアジア近隣諸国・地域を中心とする訪日外国人客数の増減、資材・エネルギー調達価格の変動、さらにはサプライチェーンの停滞を招く恐れがあります。これらにより、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 6 JR九州グループ会社に対するガバナンス強化策に関する事項九州旅客鉄道は、グループ会社に対するガバナンス強化に取り組んでおりますが、グループ会社においてガバナンス強化策が着実に実行されず、安全や法令順守意識の欠如、安全管理体制の不備、法令に関する理解不足等により、社会的影響の大きい事象を発生させてしまった場合、九州旅客鉄道グループの信用が失墜すると共に、事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。九州旅客鉄道は、2024年度に連結子会社であるJR九州高速船株式会社において、安全確保に関わる重大な問題が発生したことを受け、再発防止策を策定し、グループ会社に対するガバナンスの強化を図っておりますが、2025年度には連結子会社でのアルコール検査未実施や点呼業務を適切に実施していなかった事象が発生しました。新たに発生した事象における対策の確実な実行を含め、今後も取組みを継続的に推進し、九州旅客鉄道グループにおける安全意識の向上及び安全管理体制の再構築を図ることで、安全を最優先とした事業運営を行ってまいります。 7 情報技術(IT)上の問題に関する事項九州旅客鉄道グループにおいては、鉄道事業をはじめとする様々な事業を安全かつ適切に運営するため、様々なITシステムを利用しています。また、九州旅客鉄道グループと取引関係にある他の会社(各旅客会社間の収入清算等の計算業務を委託している鉄道情報システム株式会社等)においても同様にITシステムが利用されております。九州旅客鉄道グループではDX戦略を制定し、ITシステムのセキュリティ強化を進めるとともに、インシデントの早期検知や復旧等の対応能力向上に努めております。また、情報セキュリティ委員会を設置し、セキュリティリスクを経営課題としてとらえ、グループ全体の対策推進に取り組んでおります。しかしながら、それらの施策にもかかわらず、九州旅客鉄道グループ又は九州旅客鉄道グループと取引関係にある他の会社のITシステムに関する事故、故障、サイバー攻撃及び人為的な過誤・不正操作等により、鉄道の遅延、不具合、きっぷの発券及び予約機能の障害又は遅延をはじめとして、九州旅客鉄道グループの事業運営に様々な問題が起こる可能性があるとともに、九州旅客鉄道グループの安全性又は信頼性に対する懸念が生じ、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 8 個人情報保護に関する事項九州旅客鉄道グループは、鉄道事業をはじめとする様々な事業を営んでおり、これらの性質上多数の個人・法人の顧客から様々な情報を取得し保有しております。個人情報に関して、九州旅客鉄道グループは、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報取扱事業者として、個人情報保護に係る義務等の遵守が求められており、社内規程の整備、セキュリティ強化及び社員教育の徹底等の対策に努めております。しかしながら、九州旅客鉄道グループが保有する顧客情報等の個人情報やその他重要な情報が外部に漏洩した場合には、損害賠償請求や行政処分を受ける可能性があります。また、かかる事案に対応するための時間及び費用が生じ、九州旅客鉄道グループの事業運営上の支障や社会的信用の低下による顧客喪失等により、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 9 競合に関する事項九州旅客鉄道グループの各事業は競争に晒されています。運輸サービスグループにおいては、安全性、コスト、速達性、利便性、快適性その他の点で、他の鉄道会社に加え、自動車、バス、航空機、船舶等の他の輸送機関との間でも競合しております。特に九州では高速道路が多く利用されており、都市間を結ぶ九州旅客鉄道グループの新幹線や特急列車と競合しています。また、不動産・ホテルグループにおいては、利便性、顧客獲得能力、価格、賃料その他の賃貸条件、ブランド力の点で、他の不動産デベロッパーやホテル事業者と競合しています。そのほか、流通・外食グループにおいては利便性、価格、施設の魅力、顧客満足度等の点で類似の小売・飲食事業者と、建設グループ及びビジネスサービスグループにおいては九州全域又はその他の地域に所在し類似サービスを提供する事業者と競合しています。九州旅客鉄道グループが顧客の嗜好や需要の変化、技術の進展に対応できず、又は、競合他社の統合等により競争力を向上又は維持できない場合、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 10 保有資産の価値に関する事項九州旅客鉄道グループは、土地その他の不動産を中心に、多くの固定資産を所有しており、経営環境の変化や収益性の低下等により当該固定資産への投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失を計上することが必要になり、また、将来かかる資産を簿価未満で売却する場合には、売却損を計上する可能性があります。九州旅客鉄道グループは、鉄道事業において継続的に多額の設備投資を実施しているため、将来において鉄道事業の業績が予想以上に低調となった場合には、鉄道事業固定資産について減損損失を計上する可能性があります。また、九州旅客鉄道グループの繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異について、収益力及びタックス・プランニングに基づく将来の課税所得発生額を見積り、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲内で計上しております。従って、将来の課税所得の予測・仮定に基づいて繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額される可能性があります。さらに、市場金利の変動や発行主体の業績又は資産状況の悪化等により、九州旅客鉄道が保有する投資有価証券等の金融資産の市場価値が下落する可能性があります。このような事象が生じた場合、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 11 外部委託先や取引先に関する事項九州旅客鉄道グループは、事業上様々な局面において、第三者である外部事業者に対し、業務委託等を行っております。例えば、不動産・ホテルグループでは、建設業務の一部及び居住用物件の賃貸及び販売管理を第三者に委託しております。さらに、流通・外食グループ及びビジネスサービスグループでは、第三者生産者、卸売業者及びメーカーより原材料や商品の仕入れを行い、コンビニエンスストアの運営については株式会社ファミリーマートとのフランチャイズ契約に基づいております。このため、これらの第三者又はその再委託先が、九州旅客鉄道グループの定める基準を満たす商品やサービスの提供等を怠った場合やこれらの第三者に起因する問題や事故が発生した場合、九州旅客鉄道グループの社会的信用や九州旅客鉄道グループの事業等に重大な影響を及ぼし、九州旅客鉄道グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 12 企業買収等に関する事項九州旅客鉄道グループは、成長戦略として企業買収等を行っており、また、将来行う可能性があります。企業買収等の実施に当たっては、対象会社の財務内容等に関するデューデリジェンスを綿密に行いますが、当該デューデリジェンスの過程で検知できなかった偶発債務や未認識債務等が顕在化した場合等には、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、適切な対象企業を見つけることができないこと、受入可能な取引条件を交渉・合意できないこと、買収資金を調達できないこと、必要な同意や許可等を取得できないこと、法令上の問題を解決できないこと等の理由に基づき、企業買収等を行うこと自体ができない可能性もあります。また、企業買収等実行後の事業環境の変化に伴い、対象会社の収益力が低下した場合や期待するシナジーが実現できない場合、減損損失を認識する必要が生じ、投資の回収が不可能となる等、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 13 環境規制や気候変動に関する事項九州旅客鉄道グループは、主として運輸サービスグループ及び不動産・ホテルグループにおいて、不動産を所有しております。九州旅客鉄道グループは、かかる不動産の取得に際し、土壌汚染、水質汚濁、建物へのアスベスト等の有害物質等の使用に関する環境調査を実施しておりますが、かかる調査によりすべての有害物質等の存在又は使用等が事前に判明する保証はありません。また、土地の所有者は、土壌汚染対策法(平成14年法律第53号)に基づき、さまざまな場面において、土壌汚染に関する調査を実施しなければならず、また、人体への健康被害を生じうる土壌汚染が判明した場合には、その所有者は、土壌汚染に関する帰責性の有無及び善意・悪意を問わず、当局より有害物質等の除去を命じられる可能性があります。また、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び大気汚染防止法(昭和43年法律第97号)に基づき、既存建物の解体、修繕等に関し、アスベストの除去又はその他一定の措置を講じる必要があります。有害物質等の存在は、不動産の販売、賃貸借、開発又は担保としての利用の制約となる可能性があり、また、資産価値の低下、有害物質等の除去等に要する費用の増加等を生じる可能性があります。また、同様に、ポリ塩化ビフェニルについてもポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)に基づき適正に保管、処分等を実施するために、費用の増加等を生じる可能性があります。さらに、かかる有害物質に起因して、現実に人体への健康被害等が生じた場合には、九州旅客鉄道グループは、損害賠償等の責任を負う可能性があります。その結果、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、2015年の国連気候変動枠組条約第21回締約国会議での「パリ協定」採択を機に、世界的に脱炭素社会に向けた動きが広がっております。こうしたなか、低炭素化に向けた政策・規制の見直しが実施され、税負担、事業活動における諸材料・エネルギーの調達コスト、設備・車両の変更等の対応費用が増加する可能性があります。また、気候変動が進展し、自然災害の頻発や激甚化により設備への被害が増額した場合に、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。九州旅客鉄道グループでは、脱炭素社会の実現を重要課題の一つと位置付け、気候変動問題への対応を進めており、2021年2月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明するとともに、TCFDに沿った気候関連情報を開示しました。また、鉄道事業における省エネ型車両の導入、建物の省エネ化及び再生可能エネルギーの導入などの取り組みを推進するとともに、2025年2月には2050年GHG排出量実質ゼロに向けたロードマップを策定しました。しかしながら、このような取り組みにも関わらず、株主・投資家から低炭素化への取り組みが不十分である、又は気候変動に関する情報開示に的確に対応していない、などと判断され信頼・評価が低下した場合、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、九州旅客鉄道グループでは自然共生社会の実現を重要課題の一つと位置付け、2025年11月に「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」提言への賛同を表明し、TNFDの提言に基づき自然への依存・影響及び自然関連のリスク・機会の分析を行い開示するなどの対応を進めています。しかしながら、自然資本に関するリスクの特定・評価・管理は不確実性が高く、将来の規制動向や社会的要請の変化に適切に対応できない場合、追加的なコスト負担や事業活動の制約並びに株主・投資家からの評価低下を招く可能性があります。 14 特有の法的規制(1)鉄道事業に係る法律関連事項九州旅客鉄道は、鉄道事業者として鉄道事業法の定めに基づき事業運営を行っております。また、JR会社法の適用対象からは除外されたものの、同法の附則に定められた「当分の間配慮すべき事項に関する指針」等に配慮した事業運営が求められております。これらの詳細については、以下のとおりです。① 鉄道事業法(昭和61年法律第92号)九州旅客鉄道グループの鉄道事業においては、鉄道事業法の規制を受けております。鉄道事業者は本法の定めに従い、営業する路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の許可を受けなければならない(第3条)とともに、旅客の運賃及び料金について国土交通大臣の認可を受け、その範囲内での設定・変更を行う場合は、事前届出を行うこととされております(第16条)。また、鉄道事業の休廃止については、国土交通大臣に事前届出(廃止の場合は廃止日の1年前まで)を行うこととされております(第28条、第28条の2)。この他、国土交通省の指針や事業の公益性の観点から鉄道事業において大きな方針転換を図ることができない可能性があります。 ② 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律(平成27年法律第36号)(以下「JR会社法改正法」という。)JR会社法改正法附則第2条において、九州旅客鉄道及び九州旅客鉄道の鉄道事業の全部又は一部を譲受け、合併等により施行日以降経営する者のうち国土交通大臣が指定するもの(以下「新会社」という。)が事業を営むに際し、当分の間配慮すべき事項に関する指針(以下「指針」という。)を定めると規定されております。この指針は2015年12月に告示され、2016年4月1日より適用されております。指針に定められた内容は概ね次のとおりです。・会社間(新会社との間又は、新会社と北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社又は東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社、並びにその事業の全部若しくは一部を譲受、合併、分割、相続によりJR会社法の改正法(平成13年法律第61号)の施行日以後経営するもののうち国土交通大臣が指定するものとの間をいう。)における旅客の運賃及び料金の適切な設定、鉄道施設の円滑な使用その他鉄道事業に関する会社間における連携及び協力の確保に関する事項・国鉄改革の実施後の輸送需要の動向その他新たな事情の変化を踏まえた現に営業している路線の適切な維持及び駅その他の鉄道施設の整備に当たっての利用者の利便の確保に関する事項・新会社がその事業を営む地域において当該事業と同種の事業を営む中小企業者の事業活動に対する不当な妨害又はその利益の不当な侵害を回避することによる中小企業者への配慮に関する事項国土交通大臣は、指針を踏まえた事業経営を確保するため必要があると認めるときは、新会社に対し、その事業経営について必要な指導及び助言をすることができるとされており(附則第3条)、さらに正当な理由がなく指針に反する事業運営を行ったときには、勧告をすることができるとされております(附則第4条)。なお、九州旅客鉄道はこれまでも指針に定められた事項に沿った事業運営を行ってきており、この指針は今後の九州旅客鉄道の事業運営に大きな影響を及ぼすものではないと考えております。 (2)運賃及び料金の設定又は変更九州旅客鉄道が鉄道事業における運賃及び料金を設定又は変更する際には、鉄道事業法に規定された必要な手続きを経る必要があり、何らかの理由により当該手続きに基づいた運賃及び料金の設定又は変更を機動的に行えない場合には、九州旅客鉄道の収益に影響を与える可能性があります。手続きの詳細については以下のとおりです。① 運賃及び料金の認可の仕組みと手続き鉄道運送事業者が旅客の運賃及び新幹線特急料金(以下「運賃等」という。)の上限を定め、又は変更しようとする場合、国土交通大臣の認可を受けなければならないことが法定されております(鉄道事業法第16条第1項)。また、その上限の範囲内での運賃等の設定・変更及び在来線特急料金等その他の料金の設定・変更については、事前の届出で実施できることとなっております(鉄道事業法第16条第3項及び第8項)。鉄道運送事業者の申請を受けて国土交通大臣が認可するまでの手続きは、概ね次のようになっております。 (注)1 鉄道事業法第64条の2に基づく手続きであります。また、国土交通省設置法第23条では、運輸審議会が審議の過程で必要があると認めるとき又は国土交通大臣の指示等があったときに公聴会が開かれることが定められております。2 鉄道営業法第3条第2項で、運賃その他の運送条件の加重をなす場合に7日以上の公告をしなければならないことが定められております。 なお、各旅客会社における独自の運賃改定の実施の妨げとなるものではありませんが、国鉄改革の実施に際し利用者の利便の確保を図るため、旅客会社では、現在、2社以上の旅客会社間をまたがって利用する旅客及び荷物に対する運賃及び料金に関し、旅客会社間の契約により通算できる制度とし、また、運賃について、遠距離逓減制を加味したものとしております。 ② 運賃改定に対する九州旅客鉄道の考え方イ 九州旅客鉄道では、1987年4月の会社発足以降、消費税等を転嫁するための運賃改定(1989年4月、1997年4月、2014年4月及び2019年10月)を除くと、1996年1月10日に初めての運賃改定(平均7.8%)を実施し、2025年4月1日に29年ぶりとなる2度目の運賃改定(平均15.0%)を実施いたしました。今後も総合的な経営判断に立ち、適正な利潤を確保し得るような運賃改定を適時実施する必要があると考えております。ロ 事業経営に当たっては、まず収入の確保と合理化努力を進め効率的な経営に努めますが、適正利潤についてはこのような努力を前提とした上で、将来の設備投資や財務体質の強化等を可能なものとする水準にあることが是非とも必要であると考えております。ハ 鉄道事業の資本費用に大きな影響を与える設備投資については、安全・安定輸送を前提とし、案件ごとに必要性等を勘案しつつ実施しております。なお、九州旅客鉄道としましては、事業者の明確な経営責任の下で主体的に設備投資に取り組むことが必要であると認識しているところであります。 ③ 国土交通省の考え方九州旅客鉄道の運賃改定に関し、国土交通省からは、次のような考え方が示されております。イ 九州旅客鉄道を含む鉄道事業の運賃の上限の改定に当たっては、鉄道事業者の申請を受けて、国土交通大臣が、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたもの(以下「総括原価」という。)を超えないものかどうかを審査して認可することとなっている(鉄道事業法第16条第2項)。なお、原価計算期間は3年間とする。ロ 総括原価を算定するに当たっては、他の事業を兼業している場合であっても鉄道事業部門のみを対象として、所要の株主配当を含めた適正な利潤を含む適正な原価を算定することとなっている。また、通勤・通学輸送の混雑等を改善するための輸送力の増強、旅客サービス向上等に関する設備投資計画の提出を求め、これについて審査を行い、必要な資本費用については原価算入を認めているところである。ハ 総括原価を算定する方法としては、当該事業に投下される資本に対して、機会費用の考え方による公正・妥当な報酬を与えることにより資本費用(支払利息、配当金等)額を推定するレートベース方式を用いる方針であり、総括原価の具体的な算定は以下によることとしている。総括原価=営業費等(注1)+事業報酬・事業報酬=事業報酬対象資産(レートベース)×事業報酬率・事業報酬対象資産=鉄道事業固定資産+建設仮勘定+繰延資産+運転資本(注2)・事業報酬率=自己資本比率(注3)×自己資本報酬率(注4)+他人資本比率(注3)×他人資本報酬率(注5)(注)1 鉄道事業者間で比較可能な費用について、経営効率化を推進するため各事業者間の間接的な競争を促す方式(ヤードスティック方式)により、比較結果を毎事業年度終了後に公表するとともに、原価の算定はこれを基に行うこととしている。2 運転資本=営業費及び貯蔵品の一部3 自己資本比率30%、他人資本比率70%4 自己資本報酬率=公社債利回り実績値+β×(全産業(陸運業除く。)平均自己資本利益率-公社債利回り実績値)  ※ 公社債利回り実績値:国債(10年もの)、地方債、政府保証債の平均の過去5年平均  ※ β:(TOPIXの変化率と鉄道会社の株価変化率の共分散)÷(TOPIXの変化率の分散)5 他人資本報酬率=九州旅客鉄道の場合、法定債務を除き、債務実績利子率の上場旅客会社4社平均の過去5年平均ニ なお、認可した上限の範囲内での運賃等の設定・変更、又はその他の料金の設定・変更は、事前の届出で実施できることとなっているが、国土交通大臣は、届出された運賃等が、次の(a)又は(b)に該当すると認めるときは、期限を定めてその運賃等を変更すべきことを命じることができるとされている(鉄道事業法第16条第9項)。(a)特定の旅客に対し不当な差別的取扱いをするものであるとき(b)他の鉄道運送事業者との間に不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき (3)整備新幹線についてア.整備新幹線の建設計画整備新幹線は、1970年に制定された全国新幹線鉄道整備法(昭和45年法律第71号)に基づき、1973年に整備計画が決定されており、九州旅客鉄道は九州新幹線(鹿児島ルート(福岡市~鹿児島市)、西九州ルート(福岡市~長崎市))について営業主体とされました。このうち、九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月13日に新八代・鹿児島中央間、2011年3月12日に博多・新八代間がそれぞれ開業しました。九州新幹線(西九州ルート)については、武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)がフル規格で建設主体である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)により工事が進められ、2022年9月23日に武雄温泉駅で博多・武雄温泉間を走行する在来線特急と対面乗換を行うこと(いわゆるリレー方式)により暫定開業しました。また、新鳥栖・武雄温泉間については、当初、在来線を活用する軌間可変電車を導入する予定であったものの、2017年7月14日の国土交通省の軌間可変技術評価委員会において、軌間可変電車の安全性、経済性について引き続き課題が残っているものと評価されるなど、軌間可変電車の開発状況に鑑み、2018年7月19日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)により導入が断念されました。その後、2019年8月5日の検討委員会において、「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方等に関する基本方針」が示され、武雄温泉駅での対面乗換が恒久化することはあってはならず、新鳥栖・武雄温泉間はフル規格(複線)で整備することが適当であることと、今後は、国土交通省、佐賀県、長崎県、九州旅客鉄道の間で協議を行い、検討を深めていくべきであり、国土交通省に対し、協議の実施と検討委員会への報告を求めることとされました。以後、これまでに国土交通省と佐賀県との間で複数回の協議がなされ、この間、国土交通省と九州旅客鉄道、国土交通省と長崎県との間でも個別に協議が行われましたが、合意には至っておりません。したがって、現時点において、新鳥栖・武雄温泉間の整備方式は決定しておりません。 イ.整備新幹線建設の費用負担整備新幹線は、鉄道・運輸機構が建設を行っており、その費用は国、地方公共団体及びJRが負担することとされていますが、九州旅客鉄道の負担については、整備新幹線の営業主体となるJRが支払う貸付料を充てることとされています。1997年10月の北陸新幹線高崎・長野間の開業に伴い、整備新幹線の営業主体であるJRが支払う貸付料の額の基準が設けられ、現在は独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法施行令(平成27年政令第392号)(以下「施行令」という。)第6条に規定されています。施行令において、貸付料の額は、当該新幹線開業後の営業主体の受益の程度を勘案し算定された額に、貸付けを受けた鉄道施設に関して鉄道・運輸機構が支払う租税及び鉄道・運輸機構の管理費の合計額を加えた額を基準として、鉄道・運輸機構において定めるものとされています。ここでいう受益は、新幹線が開業した場合の当該新幹線区間及び関連線区区間の収支と、開業しなかったと仮定した場合の並行在来線及び関連線区区間の収支を比較し、前者が後者より改善することにより営業主体が受けると見込まれる利益とされており、具体的には、開業後30年間の需要予測及び収支予測に基づいて算定されることとなります。なお、この受益の程度を勘案し算定された額については、開業後30年間は定額とされています。また、租税及び鉄道・運輸機構管理費相当額については、営業主体の当該新幹線開業後の経費として、受益算定の際に反映されています。整備新幹線の建設を行う鉄道・運輸機構は建設費の調達を行い、建設した施設を保有することとされています。九州旅客鉄道は完成後にこの施設の貸付けを受け、開業後に上記の貸付料を支払うこととなっており、建設期間中における同機構への建設費の直接負担は原則としてないものとされています。なお、九州新幹線(鹿児島ルート)については、JR会社法改正法及び九州旅客鉄道株式会社の経営安定基金の取崩しに関する省令(平成27年国土交通省令第61号)に基づき、上記貸付料の定額部分につき、2016年4月1日から各区間の開業後30年までに係る貸付料の全額(約2,205億円)を一括して2015年度末に鉄道・運輸機構に支払っております。また、2022年9月23日に開業した武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)について、当該路線の営業主体となる九州旅客鉄道が、建設主体である鉄道・運輸機構に支払う新幹線鉄道施設の貸付料の年額は、定額部分5.1億円に租税及び管理費相当額を加えた額となります。 ウ.並行在来線の扱い九州新幹線(鹿児島ルート)については、2004年3月の新八代・鹿児島中央間の開業時に、並行在来線である鹿児島本線八代・川内間は経営分離され、「肥薩おれんじ鉄道株式会社」に引き継がれました。また、西九州新幹線については、長崎本線江北・諫早間は経営分離せず、2022年9月23日の開業時点で上下分離し、九州旅客鉄道は、当該開業時点から3年間は一定水準の列車運行のサービスレベルを維持するとともに、当該開業後、23年間運行を維持することを関係6者(九州旅客鉄道、佐賀県、長崎県、検討委員会、国土交通省及び鉄道・運輸機構)にて合意しており、2022年9月の武雄温泉・長崎間(西九州新幹線)の開業時に、当該合意に基づいて、長崎本線江北・諫早間の鉄道施設の一部を「一般社団法人佐賀・長崎鉄道管理センター」に譲渡し、上下分離方式へ移行しております。 エ.整備新幹線建設に関する九州旅客鉄道の考え方イ.記載の貸付料のうち、受益の程度を勘案して算定される額は、実際の収益に関わらず定額を支払うこととされているため、収支が予測を下回る場合、九州旅客鉄道の鉄道事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。九州旅客鉄道は、2019年3月27日の検討委員会において、リレー方式による運営が長期化又は固定化することは、地域振興効果が極めて限定的になること等から、到底受け入れられない旨の表明をしております。また、少しでも早期に全線開業できるよう要望しており、2024年7月30日の検討委員会においても、同様の要望をしております。さらに、2019年4月12日に国土交通省より鉄道・運輸機構に対して、工事予算の増額等を主旨とする工事実施計画(武雄温泉・長崎間)の変更認可がなされました。なお、2018年11月28日の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおいて、九州旅客鉄道は、整備新幹線の建設費に応じて貸付料を引上げることについて、整備新幹線の基本的なスキームを大幅に逸脱するものであり受け入れられるものではない旨の表明をしております。また、2021年6月14日に検討委員会より、九州新幹線(西九州ルート)について、新鳥栖・武雄温泉間の在来線については、JR九州が運行を維持することが不可欠である等の検討状況が示されました。なお九州旅客鉄道は、経営上極めて重要な課題となる並行在来線の取扱いについては、・在来線の利便性の問題は、地域の皆さまにとって重要な課題である・必ずしも経営分離を前提とせず、佐賀県等から具体的な課題認識のご意見を拝聴しながら、真摯に議論を 深めたい・佐賀県と国土交通省の「幅広い協議」において、「フル規格」という選択肢にある程度の目途がつきそう な段階になれば、議論を深めたいとの考えを、国土交通省との協議において示しております。 15 不動産・ホテルグループに関する事項九州旅客鉄道グループの不動産・ホテルグループにおいては、収益化まで長期にわたるプロジェクトの各過程で多額の投資を行います。そして、建設資材価格及び人件費の上昇による建設費の増加、金利水準並びに金融政策をはじめとする九州旅客鉄道グループが制御できないさまざまな外部要因により、完成に要する時間と投資額等が増加し、想定していた収益を生まないことがあります。不動産販売業においては、販売価格の低下や、完成した販売用不動産を長期にわたって保有せざるを得ない場合に評価損を認識することがあります。不動産賃貸業においては、大型テナントの喪失、空室率の上昇や賃料の低下が生じる場合があり、駅ビル商業施設のテナント売上が減少した場合は、賃料収入の売上連動部分が減少します。ホテル業においては、景気動向の影響を受けやすいため、景気低迷による企業活動の縮小や個人消費の減退が続いた場合、過当な価格競争による売上減少、また、これに伴う事業収支の悪化により、有形固定資産の減損損失を計上する可能性があります。また、九州旅客鉄道グループは、プロジェクトの完成後にも、テナント、居住者その他の利用者に生じた不測の損失、損害、被害の責任や、建築瑕疵の補償費用の負担を負うことがあります。このような事象が生じた場合、九州旅客鉄道グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。



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