大栄環境グループは、大栄環境及び連結子会社38社、非連結子会社2社、持分法適用関連会社6社、持分法非適用関連会社5社で構成されております。
また、2025年3月末日現在、73の事業拠点を有しております。「再資源化施設等」は、廃棄物や汚染土壌の再資源化や処分等を行う施設で33ヶ所、「その他事業拠点」は、分析センターや自治体から受託した廃棄物処理施設の運営を実施している施設等で27ヶ所、「営業所」は、大栄環境グループ統括の営業本部を含め13ヶ所であります。
※一部プロットには事業所の重複があります。また、持分法適用関連会社6社の拠点も含んでおり、持分法非適用関連会社の拠点は重要性の観点から含めておりません。
大栄環境グループは、持続可能な循環型社会の実現を目指し、「廃棄物処理・資源循環」を中心とする「環境関連事業」を主な事業としております。「環境関連事業」は「廃棄物処理・資源循環」のほか、「土壌浄化」、「施設建設・運営管理」、「コンサルティング」、「エネルギー創造」、「森林保全」、「その他」の7つの事業に区分しております。また、「その他」として、「アルミペレット」、「リサイクルプラスチックパレット」で構成される「有価資源リサイクル事業」及び「スポーツ振興事業」を行っております。
なお、以下の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
また、各事業を構成する主要な関係会社の状況については、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載しております。
(1)環境関連事業
(廃棄物処理・資源循環)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の82.5%を占めております。
大栄環境グループの主力となる「廃棄物処理・資源循環」においては、様々な施設群を活用して、産業廃棄物及び一般廃棄物の収集運搬、中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでのワンストップサービスを展開しております。自社廃棄物管理システム等を活用して、廃棄物のトレーサビリティ、処理状況の見える化や再資源化に向けた分別指導などを進め、排出事業者の廃棄物管理をサポートすることで、事務負担やリスクの低減を図り、安全・安心な廃棄物処理サービスを提供しております。産業廃棄物は主にメーカー、ゼネコン、医療機関(国立病院、大学病院、大手民間病院等)から、また、一般廃棄物は主に自治体(2025年3月期における取引自治体数487(※1))から、廃棄物処理を請け負っております。
収集運搬は、廃棄物を排出場所から収集し、中間処理・再資源化等を行うリサイクルセンターまで運搬する事業であります。大栄環境グループは、収集運搬に用いるパッカー車、コンテナ車、ダンプ車のほか、トレーラーなど合計742台(2025年3月末日現在)の車両を保有し、関西・中部エリアをはじめ、関東エリア、中国・四国エリアにおいて収集運搬を行っております。また、廃棄物の大量輸送、広域物流に対応するため、海上輸送も実施しており、廃棄物専用海上コンテナも800基以上保有しております。
中間処理・再資源化は、廃棄物を再生利用するための選別・破砕や減容化のための焼却等を行う事業であり、大栄環境グループの27ヶ所ある中間処理施設の総許可能力(※2)は、2025年3月末日現在、1日当たり58,083トン(選別・破砕・再資源化施設55,671トン、焼却等熱処理施設2,412トン)であります。大栄環境グループは、一般廃棄物及び輸入廃棄物を除く産業廃棄物全20品目に対応する処分業許可及び特定有害汚泥・廃石綿等など特別管理産業廃棄物処分業許可を有しており、廃棄物の減容化・無害化等を通じて、最終処分量の低減を図るとともに、循環型社会の実現に貢献するため、金属・非鉄金属回収や廃プラスチック類の固形燃料化など各種リサイクル法等に対応した処理を行っております。また、廃棄物の焼却時の余熱や蒸気は、エネルギーとして活用しております。
最終処分は、再生利用できない廃棄物を適切に管理された処分場にて埋立処分する事業であり、大栄環境グループは、6地域で管理型最終処分場及び1地域で安定型最終処分場を有しており、2025年3月末日現在、総設置許可容量(※2)は合計31,860千㎥(2025年3月末日現在の残容量(※3)は、8,740千㎥)であります。
大栄環境グループは、これらの施設群を活用して、収集運搬、中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでのワンストップサービスを提供しております。このワンストップ体制については、排出事業者から廃棄物処理過程の透明化に対するニーズの高まりに応えることができ、また、許認可取得が難しく、利益率が高い大型の焼却等熱処理施設や最終処分場を自社で保有していることにより、外部委託による収益性低下を回避できるといったメリットがあると考えております。また、「廃棄物処理・資源循環」は、不法投棄リスクや排出事業者責任の強化により、排出事業者は安心安全で信頼できる処理事業者を選ぶという事業の性質上、既存顧客の取引継続性が高く、かつ許認可の取得や多額の投資を要することから参入障壁が高いため、今後も安定した事業成長を見込んでおります。
また、被災地の災害復興支援として災害廃棄物の処理も実施しております。さらに、少子高齢化に伴う税収やごみ量の減少、多発する大規模災害による大量の災害廃棄物への対応など市町村が抱える課題解決の方策として、廃棄物処理施設を核とした地域循環共生圏(※4)の構築を進めております。
(土壌浄化)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の6.1%を占めております。
大栄環境グループは、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関の許可を保有しており、主に建設会社に対して、土壌汚染エリアの調査から汚染対策の提案、汚染土壌処理に至るトータルソリューションを提供しております。大栄環境グループは、6事業所で汚染土壌処理業許可を取得しております。ほぼ全ての汚染土壌処理方式に対応し、PCB(ポリ塩化ビフェニル)汚染土壌など難処理土壌の処理も実施しております。また、連結子会社の株式会社ジオレ・ジャパン及び株式会社セーフティーアイランドにおいては、専用岸壁を有しており、船舶による広域的な受入れを実現しております。大栄環境グループの土壌浄化の総許可能力(※2)は、2025年3月末日現在、1日当たり11,915トンであります。
(施設建設・運営管理)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の5.9%を占めております。
大栄環境グループは、主に建物構築物の解体工事及び自治体のごみ処理施設の施設建設、維持管理及び保全業務を実施しております。
建物構築物の解体工事は、現地調査、解体計画の策定、解体工事、施工管理、安全管理等の業務全般を実施しております。また、解体工事で発生する廃棄物についても、大栄環境グループの廃棄物処理施設を活用して処理・再資源化を進めるなどシナジーを活かした事業を展開しております。
自治体のごみ処理施設の施設建設、維持管理及び保全業務は、廃棄物処理施設を保有するエンドユーザー目線で廃棄物の性状に適した施設の基本仕様の設計、建設工事、施設稼働後の維持管理及び保全業務まで一貫して実施しております。緊急時には大栄環境グループが保有する廃棄物処理施設で処理をバックアップできる体制を構築しており、安定的な施設運営を図っております。また、維持管理及び保全業務は、日々の点検・保守及び設備や機器の清掃により、設備や機器の不具合・異常の早期発見に繋げるとともに、最適な補修・整備計画の立案を行っており、立案した計画に基づき修繕・整備工事を実施しております。
(コンサルティング)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の1.0%を占めております。
大栄環境グループがこれまで蓄積した経験やノウハウをもとにAI・IoTなどを活用した新たなサービスを研究・開発し、廃棄物を排出する自治体やメーカー、ゼネコンなどの民間企業に対して最適なソリューションを提供しております。また、災害廃棄物処理計画策定支援、循環型社会の実現に向けた事業者のゼロエミッション活動の支援、自治体が抱える課題やニーズに応じた廃棄物管理に関する提案等を行っております。産学官と連携したオープンイノベーションを通じて、地域ソーシャルビジネスを創出し、今後加速する人口減少などの社会課題に対応してまいります。
(エネルギー創造)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の1.0%を占めております。
大栄環境最終処分場の跡地を利用したメガソーラーや、廃棄物及びバイオマスからの熱回収によるエネルギー供給施設、並びにメタン発酵によるバイオガス発電事業における余剰電力の有効利用など、再生可能エネルギーや非化石エネルギーの供給事業を展開しております。余剰電力は再生可能エネルギーの固定価格買取制度の利用等により電力会社に販売しております。このように、廃棄物という資源と自然の力をエネルギーに変換し、地域循環共生圏(※4)の構築に貢献しております。
(森林保全)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の0.1%を占めております。
大栄環境グループは、全国30ヶ所に合計約8,170haの山林を保有しております。100年先を見据えた持続可能な森林経営を目指し、宮崎県三股町の社有林(以下、「宮崎三股山林」)では、長期の森林経営計画に基づき、スギ・ヒノキの間伐等の作業を行うとともに、保安林指定区域の伐採管理を進め、地域防災の強化に努めております。また、2023年10月には宮崎三股山林の一部が環境省の自然共生サイトに認定されたことを受け、現地のモニタリングを定期的に実施し、生物多様性の保全にも注力しております。森林保全事業として、木材・林産物の生産だけでなく、地域・環境に配慮した森林管理に重点的に取り組み、「森」と「木」が生み出す多様な価値の向上を図っております。
(その他)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の0.1%を占めております。
大栄環境グループが保有する廃棄物処理施設の運転管理等の担い手を確保すること等を主たる目的に事業を行っている「人材派遣及び人材紹介」や最終処分場が立地している地域の基幹産業である農業の担い手不足を補い、遊休農地を活用し地元雇用など地域貢献を行う「アグリビジネス」などを行い、多様な事業展開を通じて地域社会へ貢献しております。
※1 取引自治体数には都道府県、東京23区を含み、また広域連合に関しては、構成する各市町村をそれぞれ1自治体としてカウントして算出しております。
※2 総許可能力・容量とは、都道府県等から許可を取得している処理能力(最終処分場は容量ベースのため「許可容量」と記載)をいいます。記載している処理能力は、一般廃棄物のみ許可を有している施設を除き、産業廃棄物の処理能力になります。また、持分法適用関連会社のうち、共同出資会社であるメジャーヴィーナス・ジャパン株式会社の処理能力を含めております。
※3 残容量とは、総許可容量から既に廃棄物や土壌を埋立した容量を除いた将来埋立可能な容量をいいます。
※4 地域循環共生圏とは、各地域が地域資源を最大限活用しながら、自立・分散型の社会を形成しつつ、地域の特性に応じて資源を補完し支え合うことにより、地域の活力が最大限に発揮されることを目指す考え方をいいます。
(2)その他
(有価資源リサイクル事業)
飲料用アルミ缶や容器包装プラスチック等の原料を仕入れ、再生品に加工・販売する事業を行っております。
a. アルミペレット
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の2.3%を占めております。
主に自治体から仕入れる飲料用アルミ缶の表面塗料やコーティング材などの異物を取り除き、徹底した品質管理で高純度なアルミペレットを製造し、高炉メーカー等に販売を行っております。アルミ缶を原料とした粒状の製品であるアルミペレットは、高炉での「鋼」製造工程で使用する副資材である「脱酸材」として国内外で取引しております。
b. リサイクルプラスチックパレット
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の0.8%を占めております。
自治体が回収する容器包装プラスチック等を原料にリサイクルプラスチックパレットの製造及び販売を行っております。
(スポーツ振興事業)
2025年3月期において、大栄環境グループの連結売上高の0.3%を占めております。
WEリーグに所属する日本女子プロサッカークラブ「INAC神戸レオネッサ」の運営などを通じて、地域の皆さまとの関係を深めることにより、青少年の健全育成、スポーツ文化の振興や地域経済の発展に寄与する社会的な役割を担っております。
[事業系統図]
事業の系統図は以下のとおりとなります。
※1 大栄環境
連結子会社:三重中央開発㈱、DINS関西㈱、㈱共同土木、㈱摂津清運、㈱セーフティーアイランド、
他連結子会社18社
持分法適用関連会社:メジャーヴィーナス・ジャパン㈱、㈱シムファイブス、他持分法適用関連会社3社
持分法非適用関連会社:㈱グリーンアローズホールディングス、他持分法非適用関連会社1社
※2 大栄環境
連結子会社:三重中央開発㈱、㈱ジオレ・ジャパン、㈱セーフティーアイランド
※3 大栄環境
連結子会社:近江八幡エコサービス㈱、栄和リサイクル㈱、㈱海成
持分法非適用関連会社:㈱コウキ、㈱エコクリーン大和郡山
※4 大栄環境
連結子会社:三重中央開発㈱、資源循環システムズ㈱、ディーデザイン㈱、他連結子会社3社
※5 大栄環境
連結子会社:三重中央開発㈱、DINS関西㈱
持分法適用関連会社:リエネルミエ㈱
持分法非適用関連会社:かけがわ報徳パワー㈱
※6 連結子会社:㈱総合農林
※7 連結子会社:㈱クリエイトナビ、DINSみらい㈱、他連結子会社2社
非連結子会社:農事組合法人里山
※8 大栄環境
※9 連結子会社:㈱プラファクトリー
※10 連結子会社:アイナックフットボールクラブ㈱
非連結子会社:福知山ゴルフ㈱
大栄環境グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において大栄環境グループが判断したものであり、実際の数値と異なる可能性があります。
(1)経営方針
大栄環境グループは、「われわれは、創造・改革・挑戦の信念をもって、人間生活・産業・自然との共生を目指し、社会に貢献します。」との経営理念のもと、サステナブルな明るい未来社会を実現するより良い環境づくりを目指して、「事業の永続性を高め、環境創造企業として進化する」という経営ビジョンを掲げております。また、大栄環境グループの事業は、地域の皆さまからの「信頼」がなくては成り立たない事業であり、これまでに積み上げてきた地域の皆さまからの「信頼」により、地域に根差した事業を展開していることが大栄環境グループの最大の「強み」です。「未来は信頼から生まれる」という創業の原点をサステナビリティ基本方針として位置付けることで、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指します。さらに、これらを実現するための4つの組織行動として「DINSステートメント」(Development(進化)、Integrity(誠実)、Nature(自然)、Social contribution(社会貢献))を制定のうえ、100年企業に向けての基盤づくりを着実に進めております。
大栄環境グループの事業は、決して止めることのできない重要な社会インフラです。2050年カーボンニュートラルの実現に寄与するとともに、人口減少に伴って廃棄物処理コストが急騰しないようにするためには、長期的視点をもって、社会課題の解決に繋がるESG(環境・社会・ガバナンス)施策に、これまで以上に取り組む必要があります。廃棄物処理・資源循環のあり方を変えていくために、多様なパートナーと共創し、地域循環共生圏を構築するとともに、脱炭素化やDXなど、必要な投資を積極的に行い、最も強みとする地域社会との関わりをより深めて、次世代に求められる新たな価値を社会に届けてまいります。
(2)経営環境
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行や雇用・所得環境の改善に加えて、活発な開発工事が下支えとなり、経済活動の正常化に向けた動きがより一層進んでおります。
大栄環境グループの属する廃棄物処理・資源循環業界では、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」という。)が施行されて50年が経過し、循環経済や脱炭素が求められる社会状況の中で、廃棄物処理や資源循環のあり方を問い直すべき時期にあると考えております。
人口減少が進む自治体は、財源等の課題から、公設での一般廃棄物処理施設の整備・運営が困難な状況に陥っている場合も少なくなく、民間資金を活用した廃棄物処理施設の整備・運営や一般廃棄物処理の民間処理事業者への委託が増えつつあります。また、近年、自然災害が多発・大規模化しており、大量の災害廃棄物を迅速かつ安全に処理するために、民間処理事業者が担う役割が一層重要となっております。
また、長期的には、産業廃棄物、一般廃棄物ともに、排出量の減少が見込まれるものの、これまで自治体が担ってきた一般廃棄物処理の民間委託が進むことにより、民間処理事業者としての市場規模は拡大していくものと考えております。
大栄環境グループは、想定するTAM(最大の市場規模)(※2)について、日本国内における各種廃棄物(産業廃棄物:主に事業活動に伴って生じる廃棄物、一般廃棄物:主に家庭から排出される廃棄物、災害廃棄物:自然災害により発生する廃棄物)・リサイクル市場規模の総計と推定しており、概要は下図のとおりです。
※1 三重県は、中部エリアに含めております。
※2 TAM:Total Addressable Marketの略称。大栄環境グループが想定する最大の市場規模を意味する用語であり、大栄環境グループが当連結会計年度末現在で営む事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではありません。
上記のTAMは、一定の前提の下、外部の統計資料や公表資料(環境省『環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書(令和5年3月)』、環境省『日本の廃棄物処理(令和3年度版)』)を基礎に大栄環境グループが推計したものであり、統計資料や推計に固有の限界があるため、実際の市場規模は上記の推計値と異なる可能性があります。
※3 動脈産業(製造業など製品を生み出す産業)の受入を除くリサイクルサービス・リサイクル素材の市場規模
※4 建設改良費を除いております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題、経営戦略
廃掃法では、一般廃棄物の処理責任は自治体にあり、産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあると定められております。産業廃棄物は、処理責任を有する排出事業者が自ら処理するよりも大栄環境を含む民間事業者に処理委託されることが多い状況でありながら、一般廃棄物は、処理責任を有する自治体が自ら所有する廃棄物処理施設で処理されることが多く、大栄環境を含む民間事業者に処理委託されることが多いとはいえない状況にあり、ほとんどの一般廃棄物と産業廃棄物は別の施設で処理されております。
人口減少が進む日本において、廃棄物処理・資源循環業界における2050年カーボンニュートラルの実現に向かっていくためには、これまでのように一般廃棄物と産業廃棄物を別の施設で処理するのではなく、同じ地域で同じような性状の廃棄物が発生しているのであれば、同じ施設で一体的に処理することが当たり前になるよう廃棄物処理のあり方を変えていくことが必要であると考えております。
廃棄物処理のあり方を変えるために、大栄環境グループが進めている一般廃棄物処理の公民連携事業は、自治体の財政健全化や施設の維持管理体制確保の面から、自治体の民間委託への機運が高まっているため潜在的な市場は大きく、自治体においても住民サービスの質を変えることなくコスト削減が実現できる等、大栄環境グループ及び自治体の双方にとってメリットのある取組みであると考えております。しかしながら、長年続いているこれまでの廃棄物処理のあり方を変えていくには、変化を恐れずに果敢に挑戦する企業の存在が不可欠であり、大栄環境グループは、その先頭に立つ存在になるべきであると考えております。
そのように考える理由は、以下のとおりであります。
・多種多様で大きな処理能力を有する施設群を保有していること
・産業廃棄物処理の総許可能力のうち、約70%は一般廃棄物処理の許可も有していること
・一般廃棄物処理の許可を活かして、一般廃棄物処理の実績が豊富であること
・決して止めることができない一般廃棄物処理を安定して受託できる財務基盤を有していること
また、2050年カーボンニュートラルの実現に向かっていくには、CO2排出係数の高い廃プラスチックは熱回収施設で処理するのではなく、これまで以上にマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルを進める必要があります。CO2排出係数が低いバイオマス資源は、経済的なバランスを考慮しながら、よりCO2排出量の少ない方法で処理し、将来的には、CO2排出量が森林などによる吸収量を下回る、カーボンネガティブを目指す必要があると考えております。
1.当期の主な成果
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既存事業拡大 |
① 焼却等熱処理施設能力増強 2023年5月、大栄環境三木リサイクルセンターにおいて、三木バイオマスファクトリー(処理能力:440トン/日)を稼働開始。また、2024年1月、大栄環境西宮リサイクルセンターにおいて、新規焼却施設(西宮エネルギープラザ)整備のための産業廃棄物処理施設設置許可(処理能力:220トン/日)を取得。 ② プラスチック資源循環 2023年4月、大栄環境子会社の三重中央開発株式会社及びDINS関西株式会社が「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(以下、「プラスチック資源循環法」という。)」第48条に基づく再資源化事業計画の認定を取得。また、2024年3月には、三重県菰野町及び大阪府堺市がプラスチック資源循環法第33条に基づき認定を取得し、その再商品化計画に参画。 さらに、2024年2月、大栄環境及び大栄環境子会社の資源循環システムズ株式会社他2社との連携により、各社の強みを活かした廃プラスチックの回収・再生樹脂化・成型加工・製品化をワンストップで支援する動静脈連携によるプラスチックリサイクルのトータルコーディネートサービス「iCEP PLASTICS」を開始。 ③ 食品リサイクルループ 2024年3月、生活協同組合コープこうべとともに、食品資源循環の再生利用等の促進に関する法律第19条第3項の規定に基づく「再生利用事業計画(食品リサイクルループ)」について、農林水産省及び環境省からの認定を取得。 |
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新規領域拡大 |
① 地域循環共生圏 公民連携協定を締結している大阪府泉北郡忠岡町において、2024年4月からエネルギー回収施設完成までの間、同町の一般廃棄物を大栄環境グループで受け入れるための中継施設が2024年3月に完成。 ② M&A 2024年1月、大栄環境グループが進めている持続可能な成長に向けた最終処分場や焼却等熱処理施設などの設備計画を機動的に進めるためディーデザイン株式会社を連結子会社化、また、自治体との取引拡大のため北口建設工業株式会社を持分法適用関連会社化。さらに同年3月にはアイナックフットボールクラブ株式会社を連結子会社化し、地域の活性化及び女子スポーツの課題であるセカンドキャリアの支援への取組みや女性活躍社会を推進し、社会的な役割を担うことでブランド価値や認知度向上に取り組む。 |
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事業を支える重要施策 |
① 譲渡制限付株式報酬度の導入 2023年9月、大栄環境及び大栄環境子会社の従業員のための財産形成の一助とすることに加えて、大栄環境の従業員が大栄環境株式を保有することにより経営参画意識を高めるとともに、株主と一層の価値共有を進めることを目的として、従業員持株会向け譲渡制限付株式報酬制度を導入。 |
2.今後の重点施策
2050年カーボンニュートラルに向けて、持続可能な社会の実現と持続的な企業価値の向上を目指すために、多様なパートナーと共創し、地域循環共生圏を構築するとともに、脱炭素化、DX推進など必要な投資を積極的に行ってまいります。
※1 必要残容量とは、資源循環システムの整備が想定どおり進んだ場合における2080年3月期までの想定埋立量を前提とした最終処分場の残容量をいいます。
※2 上記及び下記の将来数値は、様々な前提や仮定に基づいた目標値であり、様々なリスクや不確定要素によって、実際の数値と大きく異なる可能性があります。
① 既存事業拡大による成長戦略
a.リサイクル事業
(a)食品リサイクルループ構築に向けた取組み
国内有数の処理能力を持つメタン発酵施設(処理能力:320トン/日)及び堆肥化施設(処理能力:92トン/日)を伊賀リサイクルセンターにおいて2022年11月と同年10月にそれぞれ稼働開始しており、早期安定稼働を目指しております。
(b)プラスチック資源循環に関する取組み
プラスチック資源循環法への対応として、2023年4月に、同法第48条に基づき国の認定を取得した再資源化事業スキームを活用して、産業廃棄物となるプラスチックの資源循環を進めるとともに、2024年3月、4月に、同法第33条に基づき国の認定を取得した3つの自治体の再商品化計画へ再商品化事業者として参画しております。今後も自治体の計画に参画する数を増やしていき、一般廃棄物となるプラスチックの資源循環も推進してまいります。
プラスチックの資源循環の更なる推進にあたっては、当期に開始した動静脈連携によるプラスチックリサイクルのトータルコーディネートサービス「iCEP PLASTICS」とのシナジーも図ってまいります。
b.焼却等熱処理施設
(a)熱処理施設の処理能力倍増及びCCU(※)導入可能性の検討
既存施設を高効率な熱回収施設へ更新するほか、地産地消による自律分散型の地域エネルギーセンター等の整備により、グループ熱処理施設の処理能力を、2023年3月期末時点の2,412トン/日から、2030年3月期末までに処理能力を4,000トン/日にすることを目指しております。同時に、脱炭素化との両立を目指し、CCU導入可能性の検討も進めております。
※CCUは、「Carbon dioxide Capture and Utilization」の略称であり、従来の化石燃料由来の燃料や化学品等の製品を、CO2を原料として製造した製品へと置き換えることで低炭素化を図ることをいいます。
c.最終処分場
(a)超長期目線での最終処分場の残容量確保
現在建設工事を進めております大栄環境御坊リサイクルセンター第2期管理型最終処分場及び大栄環境子会社の三重中央開発株式会社第8期管理型最終処分場(2期工事)の供用開始に向けて着実に進めてまいります。また、埋立負荷低減を図りつつも、埋立せざるを得ない廃棄物は残るため、最終処分場の計画的な整備は、資源循環システムを構築する上で必要不可欠です。大栄環境では、創業から100年となる2080年3月期までに必要な残容量を確保するため、継続的に最終処分場の増設・新設を行いつつ、循環経済が進展する2030年以降は資源化可能物・有機性廃棄物の埋立ゼロによる埋立量の抑制を目指すことにより、「100年企業の基盤づくり」を着実に進めております。
② 新規領域拡大による成長戦略
a.地域循環共生圏
(a)地域循環共生圏の構築
日本の人口が減少する中、行政における財政健全化への歳出改革は喫緊の課題です。民設民営による効率的なインフラ整備は、その課題の解決に繋がると考えております。また、自治体に処理責任のある一般廃棄物は、自治体保有の焼却施設での処理が大部分であり、今後は民間が整備する焼却施設等へ処理委託する公民連携(PPP)への移行を成長機会と捉えております。
大栄環境は、2024年3月期において、全国の自治体(1,788自治体(※))の25%を超える467の自治体との取引があります。このネットワークを活かして、現在、熊本県上益城郡5町、兵庫県相生市及び大阪府泉北郡忠岡町の3エリアで締結済の公民連携協定について、2030年3月期末までに合計12エリアでの締結に拡大することを目指し、地域循環共生圏の構築を推進してまいります。
※2024年4月1日時点の全国の自治体1,718(東京23区除く)に、東京23区と47都道府県を合算したものであります(出所:政府統計の総合窓口(e-Stat))。
b.地域パートナー企業との連携
(a)M&A戦略
日本の廃棄物処理市場においては、欧米と比較して、各処理工程において多くの中小規模の事業者が分散する業界であることから、業界再編に繋がるM&Aの機会が豊富にあると考えております。これまで多くの子会社をM&Aによりグループ化(2024年3月末時点で連結子会社32社中19社)してきた実績を活かして、シナジーのある案件について、積極的にM&Aを推進していく予定としております。
③ 成長戦略を支える重要施策
a.コーポレート・ガバナンスへの取組み強化
(a)機関設計の変更
取締役である監査等委員が取締役会における議決権を有し、さらに、社外取締役が過半数を占める監査等委員会が「適法性監査」に加えて「妥当性監査」を行うことで、取締役会の監督機能を強化し、企業価値の向上に資する有効なガバナンス体制であると考え、2024年6月26日開催の第45期定時株主総会における承認をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行いたしました。監査等委員会設置会社への移行により、取締役会の監督機能の強化、経営の意思決定の迅速化を図ってまいります。
(b)譲渡制限付株式報酬制度の導入
企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、取締役及び執行役員と株主との一層の価値共有を進めることを目的として、大栄環境の取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く。)及び執行役員に対して、業績連動型譲渡制限付株式報酬制度を、大栄環境の社外取締役及び監査等委員である取締役に対して、譲渡制限付株式報酬制度を導入いたしました。一部従業員への譲渡制限付株式報酬制度の導入等により、株価変動のメリットとリスクを株主と従業員が共有し、株価上昇及び企業価値向上への貢献意欲を従来以上に高める環境整備を進めてまいります。
b.DX推進
(a)DX推進に関する取組み
業務プロセスの抜本的な改革・再設計を図り、事務作業のデジタル化等による社内外の業務効率化を目指すとともに、AI・IoT等の技術を活用した自動化・省人化による生産性向上に繋がる取組みを進め、資源循環のあり方を変革し、社会課題の解決に挑戦し続けてまいります。
c.人財育成
(a)ダイバーシティ推進・人財育成
多様な人財が、事業に誇りと使命感を持ち、やりがいを感じる土壌を創ることが大栄環境グループの持続的な成長及び企業価値向上に繋がると考えております。従業員の能力向上を目的とした各種研修の実施、女性活躍推進、高齢者雇用の積極的な再雇用、健康経営の推進及び従業員の資産形成のサポート等を通じて、「従業員一人ひとりが自身と企業の成長に向けて意欲的に取り組める組織運営」を目指しております。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
事業の永続性を高め、環境サービス産業のリーディングカンパニーとしての地位を確立するために、企業の成長を評価する客観的な指標として、売上高、営業利益、EBITDA(営業利益+減価償却費(営業外費用除く)+のれん償却額)を重視しており、設備投資による既存事業の拡大や公民連携事業の強化、積極的なM&Aの実施等の施策を通じて、中長期的に、より高い売上高年平均成長率、営業利益率及びEBITDAマージンを目指します。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ここに記載した各リスクの発生可能性、発生時期、影響度は、当連結会計年度末現在における大栄環境経営陣の分析に基づくものであり、また、発生可能性又は影響度が「低」又は「小」と記載されたリスクについても、現に当該リスクが発生し又は大栄環境の事業等に重大な影響を及ぼす可能性を否定するものではなく、発生時期の記載と異なる時期に当該リスクが発生する可能性を否定するものではありません。なお、発生時期における「特定時期なし」は、短期から長期のいずれにおいても発生しうるリスクであり、現に一部顕在化しているリスクを含みます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において大栄環境グループが判断したものであります。
(1)事業活動に関するリスク
① 費用の増加について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループの事業においては、人件費が営業費用の相当部分を占めているところ、日本における労働人口の減少や人財不足により人件費がさらに増加し、大栄環境グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、大栄環境グループの事業運営においては、廃棄物の収集運搬や廃棄物処理施設の運営等にあたって、燃料、電力、薬剤に加え、設備の保守管理に用いる部材等の消耗品を多く使用していることから、それらの価格変動の影響を大きく受けます。特に、燃料価格については、地政学的な要因、為替変動、石油輸出国機構(OPEC)を含む主要な石油供給者の生産計画、需要状況の変化、原油産出国の政情不安、豪雨等の天候不順等により、大きく変動する可能性があります。近時、ロシアによるウクライナ侵攻や日米金利差拡大を受けた円安の進行により、大栄環境グループにおける燃料費は、上昇する傾向にあります。
これら費用の増加について、大栄環境グループが顧客から受領する廃棄物の処理受託価格に適時に転嫁できない場合や、他の費用の削減ができない場合には、大栄環境グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 労働災害について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
大栄環境グループは、廃棄物の収集運搬や廃棄物処理施設の設置・運営を行っているため、事業運営の過程において事故、又は設備の欠陥もしくは誤作動等による死亡事故を含む労働災害が発生する可能性があります。大栄環境グループは、車両及び機械設備の保守管理や防護具の使用等の対策に加え、事業本部において労働災害を一元管理し、各事業所で毎月実施する安全衛生委員会やグループ全体で実施する安全衛生大会において、起こりうる事故や発生した事故の情報共有と対策の立案・周知徹底を行っておりますが、このような施策が功を奏する保証はありません。
これらの労働災害の発生により、保険により填補される金額を超える損害賠償責任の発生、施設等の操業の停止もしくは中止、又は大栄環境グループの社会的信用の低下が生じ、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 危険を伴う廃棄物の取扱いについて(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループは、可燃性廃棄物や特別管理廃棄物等の危険を伴う廃棄物を取り扱っているため、事業運営の中で火災その他の事故の発生により、人的被害が生じる可能性や、機械設備等が大きく損傷することにより長期にわたり事業活動に支障が生じる可能性があります。また、大栄環境グループによるこれら危険を伴う廃棄物の取扱いが不適切であった場合には、法令違反として、業務改善命令、業務停止命令、許認可の取消し又は罰金等の制裁を受ける可能性もあります。そのような場合、大栄環境グループの社会的信用が低下し、施設の周辺地域からの信頼を失い、許認可の新規取得や既存の許認可の維持に悪影響を及ぼす可能性もあります。
大栄環境グループでは、消火設備等のハード対策や従業員に対する安全教育等のソフト対策を実施しており、AIによる火花探知システムの事業所への導入を順次進める等の対策を講じることで、火災発生の未然防止に努めておりますが、かかる対策だけでは功を奏しない可能性があります。
④ 顧客との取引について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
大栄環境グループの売上は、製造メーカー、ゼネコン、医療機関及び自治体等の主要顧客との間の継続的な取引によるものが大半を占めております。かかる顧客との取引に係る契約の更新に際しては、顧客との間で価格交渉が行われますが、競合他社との価格競争の結果によっては、既存顧客との取引を失う可能性や更新前の価格よりも低い価格で受注することになる可能性があります。また、契約条項の違反が生じた場合には、契約期間内であっても取引が解消される可能性もあります。
これらにより、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 競合他社との競争について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループの属する廃棄物処理業界においては、全国的に大きなシェアを持つ大企業は存在せず、各地域に多くの中小企業が分散し、競合しております。大栄環境グループは、関西、中部及び関東エリアを中心に事業を展開し、多角的な事業展開により、多くの事業者及び自治体等と継続的に取引を行っており、今後も地理的にも事業領域を拡大することを企図しておりますが、自治体や地域と強固な関係を構築している既存の事業者が存在する場合には、そのような地域への進出が困難となる可能性があります。
また、海外事業者や他産業からの新規参入に加えて、既存の競合他社による企業買収・提携等を活用した地理的な事業領域の拡大や、提供するサービスの多角化を含む業界再編に伴う競争環境の変化により、大栄環境グループより価格競争力の高い競合他社が出現した場合には、価格競争が激化し、大栄環境グループによる新規顧客の獲得や、契約更新を控えた自治体を含む既存顧客の維持ができなくなる可能性があります。また、上記「第1 企業の概況 3 事業の内容 (1)環境関連事業」のとおり、産業廃棄物及び一般廃棄物の収集運搬、中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでワンストップでサービスを提供することができるというのが大栄環境グループの強みと考えておりますが、競合他社が企業買収・提携等を活用して、同様のワンストップサービスを実現するような場合には、大栄環境グループの競争上の優位性が失われる可能性があります。
このように大栄環境グループが競合他社との競争上優位に立つことができない場合には、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 人財の確保・育成について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループの事業においては、多様かつ優秀な人財の確保と育成が不可欠です。日本における少子高齢化及びそれに伴う労働人口の減少や人財不足等によって、優秀な人財の確保・育成ができない場合や予期しない規模の人財流出が起こった場合には、社内の重要なノウハウやリソースが失われ、また、大栄環境グループの社会的信用が損なわれることにより、大栄環境グループの競争力が損なわれる可能性があります。
大栄環境グループは、事業の見える化を推進し、業界と大栄環境グループの認知度・ブランド価値を高めるとともに、ダイバーシティ経営を推進することで、優秀な人財が集まる会社を目指しております。また、「次世代リーダー層の育成」、「成長意欲のある社員への投資」、「多様性を活かす取組み」を柱とする人財育成を推進しておりますが、かかる施策は功を奏さない場合があります。
⑦ 廃棄物の排出量の減少について(発生可能性:高、発生時期:長期、影響度:大)
大栄環境グループの事業は関西、中部及び関東エリアを中心とした日本国内でのみ行われており、日本の人口動態や経済の影響を強く受けます。日本の少子高齢化及び人口減少が進み、また、日本の景気後退によって消費・経済活動が停滞する場合には、建設業及び製造業を中心に廃棄物の排出量が減少し、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、欧米を含む外国中央銀行と日本銀行における金利差の影響、日本と周辺諸国における地政学的な緊張の高まり、円安のさらなる進行等、今後の日本経済には種々の不確定要素が存在いたします。これらの要因により廃棄物の排出量が減少した場合には、廃棄物の処理受託価格の下落圧力がかかる可能性もあります。
さらに、日本におけるサステナビリティ、ESG、CSRに対する意識の高まり及びそれに伴う政府による廃棄物量の減少やリサイクル率の向上に向けた施策によって、廃棄物の排出量が減少することが長期的に見込まれるとともに、廃棄物処理の方法も循環経済への移行に向けて徐々に変化していくことが考えられます。大栄環境グループがこうした廃棄物量や廃棄物処理方法の変化に適応したサービスを提供できない場合には、大栄環境グループが顧客から受託する廃棄物量が減少する可能性があります。
大栄環境グループは、ESG施策を通じて廃棄物のリサイクル等の資源循環システムの高度化を図るとともに、地域に根差した経営を推進し、信頼できるパートナー企業との連携等を通じ、事業エリアの拡大及び事業の多様化を図っておりますが、こうした施策が功を奏さず、大栄環境グループが、上記のマクロ経済及び事業環境の変化に適切に対応できない場合には、大栄環境グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 中期経営計画について(発生可能性:中、発生時期:短期から中期、影響度:大)
大栄環境グループは、2022年5月30日付で新たな中期経営計画を策定しております。大栄環境グループの中期経営計画における各種施策及びその経営指標については、新設・増設する施設・機械設備等が計画どおりの能力を有し予定どおり稼働開始すること、廃棄物の排出量・処理受託価格が大栄環境グループの想定の範囲内であること、大栄環境グループの計画どおりに施設・機械設備等の新設・増設及び稼働に関する許認可が得られること、燃料やその他の費用の変動が大栄環境グループの想定の範囲に収まっていること、大栄環境グループの社会的信用に悪影響を与える事象が発生しないこと、大栄環境グループに適用される規制に変更がないこと、廃棄物処理業界における競争環境に著しい変更がないこと等、様々な前提や仮定に基づいて算定しております。しかしながら、これらの前提や仮定が実際の事実関係と異なる場合には、大栄環境グループの中期経営計画における各種施策の遂行及び経営指標の達成が困難となる可能性があります。
⑨ ESGに関する目標について(発生可能性:中、発生時期:長期、影響度:大)
大栄環境グループの中期経営計画においては、上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、ESGに関する長期的な目標を設定しており、その達成に向けた種々の投資計画を掲げておりますが、投資計画等の施策の遂行とその効果の発現には、様々なリスク及び不確実性が存在いたします。大栄環境グループがかかる目標を達成できない場合には、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績や社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、近時はESG投資の拡大を背景として、企業におけるESGに関する方針の策定及び実施、並びに気候変動関連リスク等の開示に対する意識が高まっておりますが、それらを適切に実践できない場合には、大栄環境グループの社会的信用や投資家からの評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 企業買収・提携について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
大栄環境グループは、事業エリアの拡大及び事業の多様化を図る手段の一つとして、企業買収・提携等を実施することがあります。大栄環境グループは、企業買収・提携に際しては、対象企業の事業・財務内容や契約関係等についてデューデリジェンスを実施するとともに、企業買収・提携後も対象企業の経営状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて是正措置を実施しております。
しかしながら、デューデリジェンスにおいて全てのリスク、損失又は債務等が提示される保証はなく、提示されたリスクや債務に対する大栄環境グループの評価が適切である保証もありません。企業買収・提携には、買収後の業務、技術、人事及び企業風土の統合が想定どおりに進まない、買収後に判明した偶発債務や簿外債務について十分な補償を受けることができない、当初想定していたシナジーが実現しない、買収先の主要な顧客及び役職員が離脱する、のれん等の無形固定資産の減損が生じる、買収・提携先との関係に拘束され大栄環境グループにとって最適な施策を実施することができない、提携先が提携終了後に大栄環境グループと競合する等のリスクがあり、これらが顕在化した場合には、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 外部委託について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
大栄環境グループの「廃棄物処理・資源循環」においては、廃棄物の収集運搬、中間処理、再資源化又は最終処分など業務の一部を外部業者に対して委託しておりますが、かかる委託先が大栄環境グループから委託を受けた業務を適時かつ適切に遂行することができない可能性があります。
加えて、廃掃法上、廃棄物処理業者は産業廃棄物の収集運搬や処分を委託する場合であっても、処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならず、委託先の産業廃棄物処理業者が法令の定める基準を満たす必要があるとされております(廃掃法第14条第15項、同法施行規則第8条の2の8、第8条の3)。そのため、委託先の外部業者が大栄環境グループから委託を受けた廃棄物の処理に関して法令に違反した場合には、大栄環境グループが業務停止命令等の制裁の対象となる可能性もあります。
これらの事象が生じた場合には、大栄環境グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 固定資産の減損について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
大栄環境グループは、収集運搬から中間処理・再資源化及び最終処分に至るまでのワンストップサービスを提供するために、多数の廃棄物収集車両、並びに顧客ニーズに合わせた多様な再資源化施設等の中間処理施設及び最終処分場を保有しており、多額の固定資産を計上しております。また、大栄環境グループは、事業エリアの拡大及び事業の多様化を図る手段として過去に企業買収を実施しており、これにより生じたのれんを有しております。
投資時においては資金収支や内部収益率(IRR)に基づく評価を実施しております。投資後においては業績推移のモニタリングを徹底することで、減損の兆候の早期把握・改善対応に努めておりますが、当初の想定と異なり、これらの固定資産グループの収益性が低下し、将来キャッシュ・フローの見込額が減少した場合には、減損損失が計上され、大栄環境グループの財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 設備投資について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
大栄環境グループは、競争力の維持・強化のため、営業活動によるキャッシュ・フローを恒常的に廃棄物処理施設・機械設備・車両の取得や維持等の設備投資に充当しております。また、大栄環境グループの事業に適用される法令の基準等が変更された場合には、それに対応するため、想定外の設備投資が必要となる場合もあります。かかる設備投資により、他の投資への余剰資金が減少するほか、減価償却費の増加により、大栄環境グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 有利子負債について(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
大栄環境グループは、廃棄物収集車両、中間処理施設及び最終処分場等の多額の固定資産を計上しており、当該機械設備等の取得や維持・修繕のための資金が必要であり、新設計画等の将来的な資金需要に応じて、今後も有利子負債で資金を調達する可能性があります。2024年3月末時点において、有利子負債残高は61,200百万円であり、有利子負債比率は69.9%、総資産に占める割合は35.4%、ネットD/Eレシオ((有利子負債-現金及び現金同等物)/自己資本)は0.1倍となっております。大栄環境グループは、金利の変動リスクを軽減するために、固定金利での調達を行っておりますが、今後金利が上昇する場合には将来の借入等に関する支払利息の負担が増加する可能性があります。
⑮ 自然災害等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループは、関西、中部及び関東エリアを中心とする日本各地の事業所において、多数の廃棄物処理施設、再資源化施設、最終処分場、機械設備等を有しております。これらの大栄環境グループの施設は、特に日本における大規模な地震、津波、台風、集中豪雨、降雪、洪水、火災、落雷等の自然災害により、甚大な被害を受ける可能性があります。
そのため、大栄環境グループにおいては、事業継続計画(BCP)を策定するとともに、事業所間連携を強化し、自然災害の有事の際にも事業への影響が小さくなるよう努めておりますが、上記のような事象が発生した場合には、施設の操業停止や廃棄物の収集運搬・処理の遅滞が生じ、修繕費用等も発生する可能性があります。また、これらの自然災害の発生により、大栄環境グループの顧客の事業活動に悪影響が生じ、大栄環境グループの事業に対する需要が減少する可能性もあります。これらの結果、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 感染症について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
新型コロナウイルス感染症のような感染症の拡大・継続により、企業の生産活動が停止し又は制約を受け、建設業及び製造業を中心に廃棄物の排出量が減少することで、大栄環境グループの売上が減少する可能性があります。また、大栄環境グループが行う「廃棄物処理・資源循環」には社会や経済活動を維持する上で、必要不可欠なサービスとして臨機応変かつ柔軟な対応が求められることから、感染症に対する基本的対処方針を定め、感染対策を徹底することで事業の継続性を確保するよう努めておりますが、かかる施策にかかわらず、大栄環境グループの従業員の多くが感染症等に感染した場合には、施設等の操業に支障が生じ、大栄環境グループは適時かつ十分に廃棄物を受け入れることができない可能性があります。これらの事象により、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)法務、規制、コンプライアンス、レピュテーションに関するリスク
① 法的規制等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループの営む事業においては、「廃掃法」に基づく廃棄物収集運搬業許可、廃棄物中間処理業・最終処分業許可、廃棄物処理施設設置許可、「土壌汚染対策法」に基づく汚染土壌処理業許可、「使用済自動車の再資源化等に関する法律」に基づく特定再資源化物品の再資源化認定、「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」に基づく再商品化事業者認定、「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」に基づく再生利用事業計画の認定、「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」に基づく再資源化事業計画の認定、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づく再資源化事業計画の認定や、それらの許認可を取得する上で必要となる「都市計画法」に基づく開発許可等、各種環境法令に基づく多くの許認可の取得が必要であり、それぞれの法的規制等を受けております。
大栄環境グループは、全役職員に対するコンプライアンス教育等を実施し、法令遵守の徹底を図るとともに、事業本部において許認可を一体的に管理する体制を構築することを通じて、法改正等を適時に把握し、迅速な対応に努めておりますが、上記の環境法令に違反した場合には、大栄環境グループが損害賠償義務を負い、又は業務改善命令、業務停止命令もしくは罰金等の制裁を受ける可能性があります。
また、国内外の環境法令の改正やその運用の変更があった場合には、大栄環境グループの事業運営に支障が生じる可能性、追加の費用が必要となる可能性、既存施設の改修が必要となる可能性、廃棄物処理の需要に悪影響を及ぼす可能性があります。
<廃掃法>
大栄環境グループの営む主要な事業を規制する廃掃法には、許可の取消し要件(廃掃法第7条の4、第14条の3の2、第14条の6)が定められております。大栄環境、大栄環境役員及び5%以上の株式を保有している株主が廃掃法の罰則規定に該当する場合はもちろん、刑法、浄化槽法、その他生活環境の保全を目的とする法律、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、暴力行為等処罰ニ関スル法律のいずれかに違反し、罰金刑に処せられた場合等欠格要件(廃掃法第7条第5項第4号、同条第10項第4号、第14条第5項第2号、同条第10項第2号、第14条の4第5項第2号、同条第10項第2号)に該当した場合には、大栄環境の許可の取消し要件に該当いたします。また、大栄環境グループの子会社や関連会社が欠格要件に該当した場合、当該グループ会社が取得している許可の取消し要件に該当するとともに、一定の条件を満たした場合には大栄環境が取得している許可の取消し要件にも該当することとなります。
大栄環境グループにおいては、現在許可の取消し要件に該当する事象は生じておりませんが、万一、許可の取消し要件に抵触し、許可が取り消される場合には、事業停止に陥り、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、廃掃法における許可の取消し事由及び大栄環境グループが取得している許認可の概要は以下のとおりであります。
(廃掃法における許可の取消し事由)
第七条の四 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
一 第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条まで若しくは第三十二条第一項(第二十五条から第二十七条までの規定に係る部分に限る。)の規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに該当するに至つたとき。
二 第七条第五項第四号リからルまで(同号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条までの規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。
三 第七条第五項第四号リからルまで(同号ホに係るものに限る。)のいずれかに該当するに至つたとき。
四 第七条第五項第四号イからトまで又はリからルまでのいずれかに該当するに至つたとき(前三号に該当する場合を除く。)。
五 前条第一号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。
六 不正の手段により第七条第一項若しくは第六項の許可(同条第二項又は第七項の許可の更新を含む。)又は第七条の二第一項の変更の許可を受けたとき。
2 市町村長は、一般廃棄物収集運搬業者又は一般廃棄物処分業者が前条第二号又は第三号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。
第十四条の三の二 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消さなければならない。
一 第十四条第五項第二号イ(第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条まで若しくは第三十二条第一項(第二十五条から第二十七条までの規定に係る部分に限る。)の規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)又は第十四条第五項第二号ロ若しくはヘに該当するに至つたとき。
二 第十四条第五項第二号ハからホまで(同号イ(第七条第五項第四号ハ若しくはニ(第二十五条から第二十七条までの規定により、又は暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、刑に処せられたことによる場合に限る。)又は同号チに係るものに限る。)又は第十四条第五項第二号ロに係るものに限る。)に該当するに至つたとき。
三 第十四条第五項第二号ハからホまで(同号イ(第七条第五項第四号ホに係るものに限る。)に係るものに限る。)に該当するに至つたとき。
四 第十四条第五項第二号イ又はハからホまでのいずれかに該当するに至つたとき(前三号に該当する場合を除く。)。
五 前条第一号に該当し情状が特に重いとき、又は同条の規定による処分に違反したとき。
六 不正の手段により第十四条第一項若しくは第六項の許可(同条第二項又は第七項の許可の更新を含む。)又は第十四条の二第一項の変更の許可を受けたとき。
2 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が前条第二号又は第三号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。
3 前二項の規定により許可を取り消された者であつて当該許可に係る産業廃棄物の収集、運搬又は処分を終了していないものは、環境省令で定めるところにより、遅滞なく、許可を取り消された旨を当該収集、運搬又は処分を終了していない産業廃棄物の収集、運搬又は処分を委託した者に書面により通知しなければならない。
4 第十四条の二第五項の規定は、前項の規定による通知をした者について準用する。
(取得している主要な許認可の概要)
大栄環境株式会社
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許認可等の名称 |
所管官庁等 |
許認可等の内容 |
有効期限 |
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一般廃棄物処分業許可 |
市町村 |
一般廃棄物の中間処理・最終処分 |
(最初に期限を迎えるもの)2024年10月13日 (最後に期限を迎えるもの)2026年3月31日 |
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産業廃棄物収集運搬業許可 |
都道府県、 政令市 |
産業廃棄物の収集・運搬 |
(最初に期限を迎えるもの)2024年8月4日 (最後に期限を迎えるもの)2031年6月17日 |
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産業廃棄物処分業許可 |
都道府県、 市町村 |
産業廃棄物の中間処理・最終処分 |
(最初に期限を迎えるもの)2024年7月26日 (最後に期限を迎えるもの)2031年6月17日 |
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特別管理産業廃棄物収集運搬業許可 |
都道府県、 政令市 |
特別管理産業廃棄物の収集・運搬 |
(最初に期限を迎えるもの)2024年10月11日 (最後に期限を迎えるもの)2030年3月28日 |
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特別管理産業廃棄物処分業許可 |
都道府県、 市町村 |
特別管理産業廃棄物の中間処理・最終処分 |
(最初に期限を迎えるもの)2028年4月3日 (最後に期限を迎えるもの)2030年7月24日 |
三重中央開発株式会社
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許認可等の名称 |
所管官庁等 |
許認可等の内容 |
有効期限 |
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一般廃棄物収集運搬業許可 |
市町村 |
一般廃棄物の収集・運搬 |
(最初に期限を迎えるもの)2024年6月19日 (最後に期限を迎えるもの)2026年3月31日 |
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一般廃棄物処分業許可 |
市町村 |
一般廃棄物の中間処理・最終処分 |
(最初に期限を迎えるもの)2025年3月11日 (最後に期限を迎えるもの)2026年3月31日 |
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産業廃棄物収集運搬業許可 |
都道府県、 政令市 |
産業廃棄物の収集・運搬 |
(最初に期限を迎えるもの)2024年7月31日 (最後に期限を迎えるもの)2031年6月5日 |
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産業廃棄物処分業許可 |
都道府県 |
産業廃棄物の中間処理・最終処分 |
(最初に期限を迎えるもの)2026年8月27日 (最後に期限を迎えるもの)2031年6月12日 |
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特別管理産業廃棄物収集運搬業許可 |
都道府県、 政令市 |
特別管理産業廃棄物の収集・運搬 |
(最初に期限を迎えるもの)2024年11月15日 (最後に期限を迎えるもの)2031年6月5日 |
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特別管理産業廃棄物処分業許可 |
都道府県 |
特別管理産業廃棄物の中間処理・最終処分 |
(最初に期限を迎えるもの)2029年6月30日 (最後に期限を迎えるもの)2029年6月30日 |
<その他関係法令>
大栄環境グループは、廃掃法等の環境法令以外に、建設業法、古物営業法、刑法や労働安全衛生法等による規制を受けております。これらの法規制の改廃や新たな法規制、条例等の制定による規制強化がなされた場合、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 入札の指名停止等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
大栄環境グループは2024年3月期において、467の自治体と一般廃棄物処理や災害支援に関する契約を締結しております。自治体に対しては、業者登録が必要であり、登録事業者が入札に参加することが可能となります。しかしながら、入札手続において虚偽記載等があった場合、談合を行い競争法に違反した場合や従業員の労働衛生が不十分であった場合には、業者登録が取り消される、あるいは入札の指名が停止され、自治体との契約ができなくなる可能性があり、これにより大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
<指名停止基準>
a.指名競争又は一般競争参加資格審査申請
地方自治法施行令(昭和二十二年政令第十六号)上、指名競争入札及び一般競争入札には参加要件が定められております。また、指名競争入札又は一般競争入札に参加しようとする者が、契約の履行にあたり、故意に工事、製造その他の役務を粗雑に行い、又は物件の品質もしくは数量に関して不正の行為をしたとき等に該当すると認められるときは、地方自治体はその者について3年以内の期間を定めて指名競争入札又は一般競争入札に参加させないことができます。
また、必要があるときは、指名競争入札及び一般競争入札に参加する者に必要な資格として、あらかじめ、契約の種類及び金額に応じ、工事、製造又は販売等の実績、従業員の数、資本の額その他の経営の規模及び状況を要件とする資格を定められる可能性があります。
指名競争入札及び一般競争入札へのかかる参加資格の認定にあたっては、あらかじめ地方自治体に資格審査申請を行う手続が定められていることがあります。このような資格審査申請手続において、虚偽の記載等があった場合は、指名競争入札及び一般競争入札参加資格の認定は受けられず、認定後に発覚した場合には取り消されることがあります。
かかる入札参加資格として、大栄環境グループは省庁及び都道府県を含む地方自治体における指名競争入札及び一般競争入札に参加するための資格として、「全省庁統一資格」を含む複数の資格を取得しております。かかる資格に関しては、各省庁や各地方自治体が定める指名停止等の措置要領に定められた一定の事由(指名停止事由)に該当した場合には、指名停止措置を受け、一定期間入札に参加することができなくなります。指名停止事由はこれを定める省庁又は地方自治体により異なりますが、入札参加資格審査申請書等に虚偽の記載があった場合、安全管理措置の不適切による事故により死亡者又は負傷者を生じさせる等した場合、入札妨害・談合を行った場合、関連業法に違反した場合等が定められることがあります。
また、全省庁統一資格は、破産手続開始の決定を受けた場合や暴力団員等に該当するに至った場合等、所定の場合に取り消されるものとされております。
b.入札行為
独占禁止法違反や官製談合等の不正な入札行為を行った場合は、公正取引委員会から排除措置命令が行われます。排除措置命令を受けた場合は、営業禁止や営業停止の行政処分の他、国及び自治体から指名停止の処分が科せられます。
③ 環境影響について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループの営む事業においては、大栄環境グループが現在又は過去において所有・運営する廃棄物処理施設等における廃棄物等の中間処理や最終処分の過程で、騒音、振動、排気ガス、粉塵、排水、悪臭が発生し、また、危険性を伴う廃棄物を取り扱っていることにより、周辺の土壌・地下水・地表水等に有害物質が流入し環境汚染が生じる可能性もあるため、周辺住民その他の関係者に対して法的責任を負う可能性があります。大栄環境グループは、かかるリスクを最小化するために、適切な設備を配置し環境保全対策を実施し、また、施設の稼働に伴う環境への影響をモニタリングしておりますが、これらの対策には追加費用を要するうえ、奏功する保証はありません。また、大栄環境グループが過去の所有者等から、契約等において施設の所在する土地等の環境リスクに係る表明保証を得ていたとしても、その違反があった場合の補償額や期間制限が大栄環境グループの負う損害賠償責任を填補できず、また過去の所有者等が十分な資力を有していない可能性もあります。加えて、有害物質に関する新たな規制の導入や規制の改正により、追加費用が必要となり、法的紛争のリスクが増加する可能性もあります。
不測の事態により環境汚染が発生した場合、人的被害、資産もしくは天然資源への損害を理由とする損害賠償請求を受け、又は周辺の調査や浄化に係る義務を負うこととなる可能性があり、これにより大栄環境グループの社会的信用が低下し、施設の周辺地域からの支持を失い、新規の許認可の取得や既存の許認可の維持に支障を及ぼす可能性があります。その結果、大栄環境グループの事業、財政状態及び経営成績に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 大栄環境グループの社会的信用について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループの事業運営においては、周辺住民との良好な関係を含む社会的信用が非常に重要であり、これを維持・向上するための様々な施策を講じていますが、大栄環境グループの事業活動やCSR活動、従業員又は委託先に関する風評等が生じる可能性は否定できず、その場合、風評等が正当なものかどうかに関わらず、大栄環境グループの社会的信用に悪影響を及ぼす可能性があります。大栄環境グループの社会的信用が低下した場合には、顧客からの受注が減少する可能性、自治体から事業上必要な許認可を新規に取得できない可能性、社会的信用の回復に追加の費用等を要する可能性があります。
⑤ 新規施設計画の遅延・中止について(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)
大栄環境グループの事業上・財務上の経営指標を達成するためには、新規施設に係る許認可取得等が必要不可欠であり、許認可取得等についての規制当局等による承認を得られない場合、新たな中間処理施設や最終処分場の設置等が禁止される可能性があります。廃棄物処理施設の新規開設を行う場合は、周辺住民その他の関係者との合意形成が求められるため、新規施設に関する説明会を開催することなどにより良好な関係を構築し、円滑な開発に努めておりますが、それが実現できない場合には、施設の周辺住民その他の関係者が大栄環境グループによる許認可の新規取得に反対する可能性があります。
これらの事情により合意形成が遅れる場合には、新規施設計画が遅延し、売上の計上が後ろ倒しとなり、先行して発生する費用負担が増大する可能性があります。また、最終処分場の新規計画が遅延し、大栄環境グループの既存の最終処分場で処理しきれない場合には、より高いコストで外部業者へ最終処分を委託しなければならない可能性もあります。さらに、新規施設計画が中止になる場合においては、先行して発生した費用の回収が困難となるだけでなく、全体の事業計画の見直しが必要となるおそれもあります。これらの事象が発生した場合には、大栄環境グループの事業、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに重大な悪影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 訴訟等について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小から大)
大栄環境グループは、施設の周辺住民その他の関係者、顧客その他の取引先、競合他社、従業員等から、環境被害、契約違反、労働問題、知的財産権侵害や機密情報漏洩等を理由として、訴訟その他の法的手続を提起される可能性があります。
特に大栄環境グループは、労働基準法を遵守するとともに、勤務条件等について従業員に対して丁寧な説明を行うことで、労働訴訟の未然防止に努めておりますが、従業員及び労働組合等の団体から、勤務条件等に関して労働訴訟が提起されております。
かかる訴訟等の提起がなされ、大栄環境グループに不利な決定又は和解がなされた場合には、例えば労働問題の場合には大栄環境グループの従業員の採用が困難となり又は既存の従業員の離脱が発生するなど、大栄環境グループの事業運営に悪影響を及ぼす可能性や、大栄環境グループの社会的信用が低下し又は顧客との関係が毀損する可能性があります。また、仮に大栄環境グループに不利な決定が下されなかった場合でも、訴訟対応のため、時間、費用その他の経営資源を費やす結果、大栄環境グループの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 情報管理について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:大)
大栄環境グループは、経営情報や顧客情報等の機密情報及び個人情報を取り扱っております。これらの情報が、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルス感染、社内設備の故障、システム障害、人為的・技術的な過失、自然災害等により、外部に漏洩・消失する可能性があります。
大栄環境グループでは、情報管理システムを整備しており、個人情報の保護に関する法律を遵守し、情報システム管理規程の制定や情報管理に係る社内教育の実施等により、情報セキュリティ対策を講じる等、上記のような事態の未然防止に努めておりますが、そのために多くの時間と費用を要する可能性があるうえ、かかる予防策が奏功せず、予期せぬ事態により情報が漏洩・消失する可能性があります。今後機密情報及び個人情報の取扱いに係る規制が変更された場合には、それに対応するために、システム開発等の費用が必要となる可能性もあります。
大栄環境グループは、情報システムの運営及び保守の一部について第三者に委託しているため、大栄環境グループの管理の及ばないところでシステム障害その他の問題が発生する可能性があり、その開発、維持及び拡張に要する費用が将来大幅に増加する可能性もあります。また、大栄環境は事業継続計画(BCP)を定めているものの、情報システムの障害をもたらす可能性のある全ての事態に対処できるとは限りません。
これらにより、大栄環境グループに対する社会的信用の失墜、事業活動の制約、損害賠償責任の発生等が生じる可能性があります。
(3)大栄環境株式に関するリスク
① 大株主との関係について(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:小)
ウイングトワ株式会社は、当連結会計年度末現在、大栄環境の発行済株式総数(自己株式を除く)の61.91%を保有しております。同社が大栄環境株式を売却しようとする場合には、売却時の市場環境等により、大栄環境株式の市場価格等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、同社は、当面の間引き続き相当数の大栄環境株式を保有する予定とのことであり、大栄環境の取締役の選解任を含む株主の承認を必要とする事項について引き続き一定の影響力を有します。また、同社は、大栄環境グループの運営その他の事項に関し、大栄環境の一般株主と異なる利害関係を有している可能性があり、同社が保有する株式に係る議決権については、一般株主の利害と異なる議決権の行使が行われる可能性があります。
② 大栄環境株式の流動性について(発生可能性:中、発生時期:短期、影響度:小)
大栄環境は、2022年12月に株式会社東京証券取引所プライム市場に上場しており、上場後も公募増資等によって大栄環境株式の流動性の確保に努めることとしておりますが、株式会社東京証券取引所の定める流通株式比率は2024年3月末時点において36.67%となっております。
今後は、大栄環境の事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達や大株主への一部売出しの要請による流通株式数の増加分を勘案し、これらの組み合わせにより、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場維持基準に抵触した場合にはプライム市場から他の市場に移行し、大栄環境株式の市場における流動性が減少する可能性があり、それにより大栄環境株式の株価が不安定となる可能性があります。
※金融庁に提出された有価証券報告書のデータを使用しています。
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